【写真】「距離を取って戦う。僕らのチームではキックボクサーが、MMAで結果を残している。僕もテイクダウン防御だけでなく、テイクダウンをできるようになっている。レスリングにも柔術にも自信がある」とアルバーグは話している。つまりコンテンダーシリーズやUFC初陣とは別人になっているということだ (C)Zuffa/UFC
12日(土・現地時間)、テキサス州ヒューストンのトヨタ・センターで開催されるUFC 271「Adesanya vs Whittaker 2」で、カーロス・アルバーグがファビオ・チェラントとオクタゴン2戦目を戦う。
メインではロバート・ウィティカーの挑戦を受けるUFC世界ミドル級王者イスラエル・アデサニャのチームメイト、そしてニュージーランドで最大のキックイベントのチャンピオンからMMAというプロセスは、アデサニャと共通している。
ラグビーを見れば一目瞭然、秀でた肉体と精神面を含めた戦闘力を持つサモア系のキウイは、僅か5戦目でUFCと契約し、6戦目で初黒星を狙う。そんなアルバーグに初インタビューを行うと、とんでもないMMAデビューとユニークなキャリアップの方法を知ることとなった。
──UFC初勝利を目指し、オクタゴン2戦目となるファビオ・チェラントが土曜日の夜に迫ってきました。今の心境を教えてください。
「調子は良いよ。13週間という自分のキャリアでも最長のファイトキャンプで準備をしてきたからね」
──13週間、3カ月以上のキャンプになりますね。
「キックボクシング時代でも6週間のキャンプが一番長かったから、比較にならないね。凄く気持ちも乗っているよ」
──カーロスはメインで世界王座を防衛するチームメイトのイスラエル・アデサニャと同様にニュージーランドのKING in the RingのワンデーTを制しているキックボクサーでもありました。
「そうだね、彼はライトヘビー級で2度、そしてヘビー級で優勝していて。僕はヘビー級とクルーザー級で勝っているんだ」
──そんなカーロスですが、2011年に1度MMAを戦い、それから7年間は立ち技に挑み2018年にもう1度MMAにトライ。その後、今言われたKing of Ringで2度目の優勝をしてコンテンダーシリーズでMMAを戦うというユニークなキャリアアップの仕方をしていますね。
「僕にとって最初のコンバットスポーツの経験は、オークランドで2011年に戦ったMMAなんだ。2週間前に戦う機会に恵まれ、そこで勝てたからファイトを続けようと思った。MMAサイトにあるように、1度勝ってMMAから離れたわけじゃなくて、もう2試合戦って3連勝した時点で『いつかUFCで戦いたい』と思うようになっていた」
──2週間の準備期間で、初めてのMMAを戦った。既にMMAの練習をしていたのですね。
「ノー、MMAの練習をしたことなんてなかったよ。子供の頃からボクサーだった父にボクシングを習っていたけど、僕が進んだ道はラグビーだったから。ファイトに関しては……あの実戦がトレーニングだった」
──!!
「笑っちゃうよね(笑)。ラグビーをやっていてナショナルリーグに進み、オールブラックスになるのが夢だったけど、MMAを戦ったことで、違う道が見つかったんだ。個人戦で、凄く燃えるモノを感じた」
──いやぁ、それができるのもサモアン・ラグビープレイヤーらしさですね。もともとファイターとしての素質を持って生まれてきたように感じます。
「そうかもしれないね。サムライと同じだよ(笑)」
──ただMMA戦績は一度途絶えています。
「UFCで戦いたいと思うようになったのが、2013年か2014年だった。つまりプロのファイターとして生きていきたいという考えになり、ボクシングで良い結果を残せた。けれども、すぐさまキックボクシングに転向したよ。キックの方がニュージーランドでは試合数が多かったからね。
そうしたらニュージーランドでもイベントを開いたことがある中国のEm Legendという中国のビッグショーと3年契約を結ぶことができたんだ。Em Legendでもチャンピオンになり、2017年に契約を満了してニュージーランドに戻ることを決めた」
──チャンピオンになったけど、契約を更新しなかったのですね。
「オークランドでは、誰も僕のことをファイターだと知らなかった。息子に父親の戦う姿を見せたかったしね。そのタイミングでシティ・キックボクシングに移籍し、コーチからKing of the Ringで戦おうと勧められた。1日に3試合、優勝できて母国でプロとしてやっていく手応えを感じることができたよ。
そうしたら、またMMAにトライしたくなってきて……。急激に何もかも変えるんじゃなくて、少しずつMMAで戦えるようにソレ用のトレーニングを増やしつつ、2019年にもう1度、King of the Ringのトーナメントに出て優勝したんだ。2017年はヘビー級で、2019年はクルーザー級だった。1度目はラッキーかもしれないけど、2度続けてラッキーはない。自分の力に確固たる自信を持つようになれた」
──そしてMMAに舵を切ったと?
「ニュージーランドで最大のキックのトーナメントで2度優勝し、キックボクシングに区切りをつけることができた。次の目標であるMMAで本格的にやっていこうと決心した。やっぱりUFCは規模が違うし、世界最大のファイトプロモーションだからね。
そうしたらコンテンダーシリーズに出られることになった。正直、そこまでMMAの練習を積めていなかったけど、一気にコトが動きUFCと契約できた。気が付けば今、ここにいるよ(笑)」
──いきなりコンテンダーシリーズというのもチャレンジングでしたね。地元や豪州のフィーダーショーで経験を積もうという考えはなかったですか。
「もちろん、そのつもりだった。でもコロナになったから、ニュージーランドも豪州もMMAの大会が開かれる状況ではなくなったんだ。いつ、試合ができるか分からない。でもUFCは活動を続けていた。最初はアブダビのUFCで戦うという話をもらった。経験がないからって、あの状況で断るという選択はなかったよ。
結果的にそこで試合はなくて、コンテンダーシリーズのオファーがあり、当然のようにコンテンダーシリーズで戦った。あの下した判断は正しかったよ。だって今もまだニュージーランドでは格闘技の大会は開くことはできていないからね」
──とはいえUFCは育成の場ではなく、常に生き残りを賭けた戦いが用意されています。
「その通りだ。ライトヘビー級は特にタフな階級だよ。肉体的にはヘビー級に負けず、スピードやテクニックもある。だからこそ、挑戦し甲斐がある。僕には強い心がある。それは自分が強いという自信があるからだ。僕のようなキャリアでUFCに来て、強さがなければ自信なんて持てない。この自信と力があれば、技術は追いついてくる。もちろん、スキルと知識を自分のモノにするには時間は掛かるだろうけどね。
実際、デビュー戦では逆転負けをしてしまった。でも自分の力を信じているし、トップにいける。それまでに勝ったり、負けたりとアップ&ダウンを経験することになるかもしれない。でも、その度に色々と学ぶことができるに違いない。MMAはやっぱりキックともボクシングとも違うからね。ケージで、テイクダウンがある戦いを勉強中さ。でも、いつの日かUFCライトヘビー級のベルトを巻く……時間は掛かるだろうけど、2年後、いや5年以内に必ずそうなると信じている」
──では土曜日はどのような試合がしたいですか。
「エキサイティングな試合をして、世界を驚かせたい。サモア人にとってファイトは文化だ。サモアの力を世界に誇示したい。レイ・セフォーやマーク・ハントのようにガンガン倒しにいくファイトスタイルと、アデサニャのスタイルを足して2で割ったようなアグレッシブでスマートな戦いを見せるよ」
■視聴方法(予定)
1月23日(日・日本時間)
午前7時30分~UFC FIGHT PASS
正午~PPV
正午~WOWOWライブ
■UFC271対戦カード
<UFC世界ミドル級選手権試合/5分5R>
[王者] イスラエル・アデサニャ(ニュージーランド)
[挑戦者] ロバート・ウィティカー(豪州)
<ヘビー級/5分3R>
デリック・ルイス(米国)
タイ・ツイバサ(豪州)
<ミドル級/5分3R>
ジャレッド・キャノニア(米国)
デレック・ブルンソン(米国)
<バンタム級/5分3R>
カイラー・フィリップス(米国)
マルセロ・ロホ(アルゼンチン)
<ライト級/5分3R>
ナスラ・ハクパレス(ドイツ)
ボビー・グリーン(米国)
<ヘビー級/5分3R>
アンドレ・オルロフスキー(ベラルーシ)
ジャレッド・ヴァンデラ(米国)
<女子フライ級/5分3R>
ロクサン・モダフェリ(米国)
ケイシー・オニール(英国)
<フライ級/5分3R>
アレックス・ペレス(米国)
マット・シュネル(米国)
<ライトヘビー級/5分3R>
ウィリアム・ナイト(米国)
マキシム・グリシン(ロシア)
<バンタム級/5分3R>
ロニー・ローレンス(米国)
マナ・マルチネス(米国)
<ライト級/5分3R>
アレキサンダー・ヘルナンデス(米国)
ヘナト・モイカノ(ブラジル)
<ライトヘビー級/5分3R>
カーロス・アルバーグ(ニュージーランド)
ファビオ・チェラント(米国)
<ミドル級/5分3R>
ジェイコブ・マルクーン(豪州)
AJ・ドブソン(米国)
<バンタム級/5分3R>
ドゥグラス・アンドレージ(ブラジル)
セルゲイ・モロゾフ(カザフスタン)
<ウェルター級/5分3R>
ジェレマイア・ウェルス(米国)
マイク・マザサ(ニュージーランド)
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【UFC271】アデサニャの同門、カーロス・アルバーグ「(セフォー&ハント+アデサニャ)÷2のファイトを」 first appeared on
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