【写真】溌溂としていた本田良介(C)MMAPLANET
19日(日)に福岡市中央区の西鉄ホールで旗揚げ戦が開催されるBloom FCの旗揚げ戦が行われる。地方在住の選手に定期的に試合機会を与え、文字通りBloom FCで開花し直接世界を目指す。そんな目標を掲げるBloom FCの旗揚げ戦を前に、福岡からタイのプーケットに生活拠点を移すのが、本田良介だ。
修斗からDEEPで活躍し、フライ級GPでは準優勝に終わったものの実力者ぶりを国内MMAに浸透させた。そんな本田がMMAで食っていくために、本当の意味でプロとして生きていく基盤を築くためにタイガームエタイのトライアウトを受け、合格。ビザ取得と引っ越しのために帰郷していた――一足先に福岡から世界に飛び出る本田をインタビューした。
――Bloom FCは「首都圏を経由せず、世界へ」というスローガンを掲げていますが、タイガームエタイでの本格的な練習が控えている(※取材は9月13日に行われた)本田選手は、この活動をどのように捉えていますか。
「嬉しいです。ちゃんと認知されていってほしいです。MMAの底上げになると思うので。地元にプロモーションがあるというのは、やはり違っています。僕も東京にいた時は距離感も近くて、試合に出ることを現実的に捉えることができていました。Bloom FCが定着すれば選手が経験を積めますし、熱がある選手が多いので九州の選手には絶対にプラスだと思います」
――福岡から遠征する場合、海外の大会のように4日、5日というファイトウィークがあるわけではなくてほとんどのケースが計量当日に現地入りというのが日本の通常のプロモーションのスケジュールです。最小限の移動で計量&ファイトがこなせる首都圏在住者と比較して絶対的なハンデです。
「前日の宿泊は自費だったりしますしね。減量&計量を家族がいる場所で行えるのと、地方から出ていくのとは違います。プロ1、2戦目の選手なんかが福岡で手厚いサポートがあるなかで減量、計量、リカバリーから試合に臨めて経験を積む。そこを経て違う場所に遠征をするのが、本来は普通の流れですしね」
――若手に試合機会が与えられると同時に、盟友・上田選手が地元で国際戦を戦います。
「九州の大会に上田選手が出る。味が出て、良いなと思います」
――タイガームエタイ所属になった本田選手ですが、いつの日か福岡で、グラップリングでも良いので上田選手と揃い踏みなど期待したいです。
「そうですね。色々な可能性が出てくると思います。そういう意味でも僕自身、タイガームエタイ所属選手なれて良かったです」
――そもそも本田選手がタイガームエタイのトライアウトを狙おうと思ったのは、いつ頃なのでしょうか。
「DEEPフライ級GPで優勝できなくて、悔しくて。これからどうしようかと考えていた時に、何かに挑戦しないとやっていられないという気持ちになって。もともと練習で3、4回と行っていて良い練習環境だと思っていたタイガームエタイとコンタクトを取ると、トライアウトがあることを知り、『やるしかない』と挑戦することにしました」
――GP直後はどのようなキャリアの再構築を考えていましたか。
「次はRIZINとか言われたりもしましたが基本、思った通りにならない。だから何も考えていなかったです。RIZINからオファーをいただけるとしたら、それは周囲も関係していることですし。待っていて何もしないのではなくて自分は自分で、常に行動していないといけない。動いてこそ、チャンスが広がる。次はどこで戦うとかよりも、とにかく練習をして強くならないといけない。そのなかでトライアウトに挑戦する――チャレンジをすること自体が良いなと思いました」
――どのような境遇を手に入れるためにトライアウトを受けたのでしょうか。
「最初に聞いたのは練習ができて住む場所と食事が保障されるということです。そしてタイガームエタイのマネージメントを受けることができる」
――サラリーがあるということではない?
「給与を手にできる――それはファイトの機会を創ってくれることだと理解しています(笑)。戦わないと給料はもらえない。それが僕らの仕事なので」
――実際にトライアウト期間というのは?
「5月7日の試合後……17日にトライアウトを受けることにして、合格したのが6月24日でした。やはり日本とは気候が違うので、慣らすために早く入って18日から6日間のトライアウトを受けました」
――どのような点をチェックされたのですか。
「全部です。寝技、打撃、レスリング、フィジカル。トライアウトに参加する選手やジムの選手と練習して。後半はトライアウト中のメンバーだけになっていました」
――何人でトライアウトを?
「書類選考で選ばれて現地でトライアウトを受けたのが、32人で。ムエタイとMMAで5人が合格しました」
――国籍的には?
「ダゲスタンを始めロシア系、イラン、UAEやサウジアラビア、中東の国の選手も多かったです。それとカザフスタン、キルギス――モンゴルや中国、韓国はいなかったです。日本人は山口(怜臣)選手も受けていました。でも、何をチェックされて合否があったかは僕も不明です(苦笑)」
――そしてマネージメントもタイガームエタイとなったと。
「だからといって、日本で試合をしないということはないです。DEEPの佐伯さんも『試合が決まったら教えて』と言ってくれていて。佐伯代表と直接やりとりができるのも、タイガームエタイ所属になった利点かなって思います」
――意中のプロモーションはありますか。
「シンプルに言えばお金を稼げるところ……です。そうなると国外が最初にくるかと思っています。ファイトマネーがないと生活ができない状況になったので(笑)。日本にいると海外で戦う機会は、今よりずっと少なかったので視野も狭くなっていたと、今は思えます。日本では海外からのオファーは普通ではないので、それだけのビジョンを描くことができないですよね。だから、今はそういう海外の試合から引っかかればなって思っています」
――思い通りにならないと明言していましたが、希望は持ってほしいです。
「ハイ。タイガームエタイはONEともしっかりと話ができますし、フライデーファイトでも出られるところに出たい。そこで知名度を上げて、しっかりと稼げるような選手になる。やんわりやっていこうかなっていうのではなくて、タイガームエタイでちゃんと練習してMMAで食っていく。そう明確に考えるようになりました」
――契約期間はどれぐらいですか。
「最初は1年契約、そこからは希望更新です」
――タイガームエタイで強くなれる手ごたえの方は?
「なれます。それはどこにいても、そう思ってやってきました。福岡では自分で練習時間を創ってもパートナーがなかなか揃わないので、思い通りの練習ができていたとは言い難いです。皆、生活があるので。そのなかで僕はもっと練習したいと思っていたので、常にトレーニングパートナーが存在するだけで違ってきます。
一つのジムにレスリングの先生、寝技の先生、打撃の先生、MMAの先生が揃っていて、色々な体格、色々な国の選手がいる。強くなるかどうかでいえば、向うは強くなりやすい環境じゃないのかなって思います。トライアウトで合格したメンバーはロシア人、カザフスタン人、キルギス人、ウクライナ人、そして日本――僕らはチームとしてやっていきます」
――ロシア人選手とウクライナ人選手が……。
「ウクライナの選手は英語が分かって、ロシア人選手に通訳してあげて。凄く仲良くやっています。バンタム級以下が4人で。あっ、僕は小さいから選ばれたのかも。ライト級やウェルター級がたくさんいたけど、合格者は小さい選手が多かったので」
――いやぁ、強くなれそうですね(笑)。
「ハイ(笑)。最高の練習場所、格闘技をやりたい場所をチャレンジし、試されて手にすることができました。これでやっとプロらしくなれた。勝ちさえすれば生活できる。そのためだけの環境を手にできたと思います。皆が見て、楽しいなと思ってもらえる試合を世界でやりたいです」
■ Bloom FC01対戦カード
■第2部
<フライ級/5分2R>
市川剛希(日本)
荒木凌(日本)
<バンタム級/5分2R>
河野慶樹(日本)
荒木雄登(日本)
<バンタム級/5分2R>※
NAO(日本)
後藤優弥(日本)
<フェザー級/5分2R>
出田貴大(日本)
RAGO(日本)
<フライ級/5分3R>
上田将年(日本)
ツェルマー・オトゴンバヤル(モンゴル)
<バンタム級/5分3R>
原田惟紘(日本)
上田祐起(日本)
<フェザー級/5分2R>
盛坪チャッピー大樹(日本)
柿原”RR”昇汰(日本)
<フライ級/5分2R>
柴山鷹成(日本)
真生(日本)
<フライ級/5分2R>
平賢二郎(日本)
陸虎(日本)
■第1部
<フェザー級/5分2R>※
林大輝(日本)
森本健介(日本)
<ライト級/5分2R>
平川杏平(日本)
髙橋惺哉(日本)
<63キロ契約/5分3R>
持田哲兵(日本)
パク・サンヒョン(韓国)
<ライト級/5分2R>
深見弦汰(日本)
清水洸志(日本)
<Progressフォークスタイルグラップリング・フェザー級/5分2R>
野瀬翔平(日本)
米倉大貴(日本)
<Progressフォークスタイルグラップリング無差級/5分2R>
中村勇太(日本)
小次郎(日本)
<Progressフォークスタイルグラップリング・ウェルター級/5分2R>
スターリング・ベアー・ミーチャム(米国)
ムクロック(日本)
<フライ級/5分2R>
koki(日本)
下田洋介(日本)
<フライ級/5分2R>
堺龍平(日本)
田上健太(日本)
<フライ級/5分2R>※
林大輝(日本)
森本健介(日本)
※はヒジ無し
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【Bloom FC01】一足早く―福岡発、世界へ。本田良介「勝ちさえすれば生活できる環境を手にできた」 first appeared on
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