MMAPLANETでは昨年11月ONE Championship非公認・大沢ケンジ監修非公式ランキングと勝手に月間・三賞というインタビューを掲載してきた。その後4月にONEがオフィシャルランキングを制定したことで──大沢氏による月間・三賞のみの連載に切り替えようとした矢先のコロナ禍による、ONEの大会延期となり、同企画も棚上げ状態となってしまった。
そしてONEが7月31日のタイはバンコクのNo Surrender大会より、国際大会の本格活動再開への一歩を踏み出した。そこでNo Surrender1~3と、8月28日に開かれたA New Breed第1大会・計4大会から、同企画が仕切り直されることに。
ただしムエタイ王国のイベントはムエタイ中心なので、今回は7月31日から8月28日にかけて行われた9試合から、大沢親分が気になった3選手について語ってもらうこととした。
題して「大沢ケンジの気になるONE MMAアスリート」7月&8月度の1人目は、ポンシリ・ミートサティーを破った藤沢彰博だ!!
──いよいよ、タイからONEが再始動を始めました。MMAは試合数が少なかったですが、大沢さんの気になった選手をお願いします。
「それはもう、一番は藤沢選手ですよ。すげぇ頑張っていましたね。40歳で格闘技を始めたのも遅い、ポンシリ・ミートサティートって最近はそこそこやれるようになってきた選手だと思うんです。修斗でいえばランキングの下位に入るぐらいは。
藤沢選手はまだ、そこに来ていないと見ていたのですが……来ていましたね。凄いですね。ポンシリを相手にしっかりと打撃で勝負して、最初はもらっていたけどテイクダウンをして。とにかく気持ちで引かない、そこは本当に大切だと思いました」
──ポンシリのハイとか、嫌ですしね。
「あそこで勝負できるのは良いですよ。しかもMMAらしい試合だったじゃないですか。スクランブルに対しては、がぶってヒザをいれたり。立ちあがられてハイを蹴ってきたポンシリに右を入れてダウンを奪った。その後のパウンドも良かったです。
気持ちの部分もあるのでしょうかね。3連敗中で、ポンシリというそこそこの相手と戦って。藤沢選手からすると格上だし、『やることやってやれ』って開き直ることができたのかもしれないですね。
40歳になっても、続けていればできる。それを藤沢選手は見せてくれました。モチベーションも違うでしょうね」
──コロナ禍だから回ってきたチャンスというのも藤沢選手自身が理解していたでしょうし。
「ハイ、そうですね。タイ在住の日本人で、このチャンスを掴みました。完全に想像を上回る姿を見せてくれましたね。解説を一緒にしていた(若松)佑弥がポンシリが立ち上がった時に『藤沢さんはボコボコにされる』と中継の時に言っていましたからね。ソレ、生で話すかって(笑)。佑弥は何でも思ったことを口に出すから」
──アハハハ。若松選手は置いておいて(笑)。今後の藤沢選手への期待感を。
「ハイ、とにかく頑張って欲しいです。やっぱね、40歳って僕のなかでは結構デカいんです。これまでトップになっていない状況で、一つのスポーツを40歳で続けていて。それでレベルを上げたって、なかなかない話ですよ」
──実はかつてトイカツ道場にいた時代を知る選手は、藤沢選手がONEで戦うのは危ないということをデビュー戦前に話してくれたことがありました。
「本当にそうだったんだと思います。それがちゃんとタイで強くなっている。周りの評価を覆す選手って時々いますけど、それをタイで40歳でやってのけた。自分がやっている競技で、そこまで熱をあげてくれる人間がいる。世間的に見たら『何をやっているんだ?』って思われることだと思うんです。でも、人生を捧げてMMAをやっている。
なんか……普通の大人が口にする言葉じゃないかもしれないですけど、僕にとって藤沢選手は格好良い存在です。自分の好きなことを、同じような熱量を持ってやってくれる人がいるのは凄く嬉しいです。人生賭けていますよね。凄く応援したいです」
──40歳過ぎて好きなことをする。もう人生勝ち組だと思っています。
「その通りですね。素晴らしいです」