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【Pancrase347】ホン・イェリン戦前のアトム級QOP SARAMI「塩漬けです。もう、ああいう勝ち方はない」

【写真】有終の美ではないかもしれないが、終わりを見て現役生活を全うしている (C)MMAPLANET

本日29日(日)、東京都立川市の立川ステージガーデンで開催されるPancrase347で、アトム級QOPのSARAMIがホン・イェリンとノンタイトル戦で戦う。
Text by Shojiro Kameike

3月に同王座決定トーナメント決勝で沙弥子を48秒で下したSARAMIにとって、あの右ストレートで一発の勝利は何を意味したのか。その後、パンクラスイズム横浜を離れ、毎日のように違う場所でトレーニングの日々を送る。

「この生活も長くは続けられない」というSARAMIに3月のKO劇と今、そして──これからについて尋ねた。


――もう次の日曜日にホン・イェリン戦を控えているSARAMI選手ですが、今一度3月のアトム級王座奪取について話をきかせてください。見事過ぎる右ストレート一発のKO劇。格闘技生活で、一番の喜びようだったのではないかと。

リモート取材を行った24日の時点では、藤野恵実につけられた傷が残っていた

「あの瞬間は『嘘でしょ!!』っていう感じでした」

──そこから笑顔の時間が、凄く長かったです。

「アハハハハハハ。北岡(悟)さんや、矢澤(諒)君は『パンチで倒す』と思っていたらしいです。いつか、パンチで倒すと。北岡さんにはずっと前から言われていました。でも、私はできないだろうって思っていたんです。女子で一発KOなんて、ないじゃないですか。まさか自分がするなんて思っていなくて(笑)。打撃に自信があるわけじゃないので」

──ただ、あのパンチです。練習をしてきて、成長しているという風に自分で感じることはなかったですか。

「自分の右のパンチが凄く強いという実感はありました。打ち方とかも、凄く考えてきたので。それは分かっていたけど、試合でソレを出せるとは思っていなかったです」

──あの勝ち方をこれからも続けたいという想いは?

「ないです」

──本当ですか。それを想って戦えないかもしれないですが、どこか少しでも残っていないですか。

「えぇぇ……。また、したい気持ちはありますけど。アレを狙うと、絶対にできないです。自分の攻めをしているなかで、ああいう偶然が起これば良いかなって。あのパンチを狙うと、自分のスタイルが崩れてしまいます。私の試合はドロドロで、勝つ時も負ける時も。殴り合いって誰でもできるので、それは余り格好良いとは思えないんです」

──練習仲間、女子選手たちの反応はどうでしたか。

「びっくりしていました。練習では私は打撃が上手くはないので。男子も女子も当てっこゲームが上手な人が、練習では打撃は上手です。思い切り打てないから、試合とは違うと思っています」

──ぶっちゃけてKO勝ちとタイトル奪取、どちらの方が嬉しかったですか。

「一発KOです」

──ずっと練習を続けてきて、あのKO劇があって良かったと本当に思います。

「私の人生にこんなことがあるんだって。本当に。私、格闘技の試合で勝って、お客さんが盛り上がる瞬間──あの気持ち良さって多分、結婚式をする時の気持ち良さよりも上だと思うんです。なのに、あんなKO勝ちしちゃうと、もう最高ですよ」

──そんなタイトル奪取後、所属先が整体北西に変わりました。

「もともとトーナメント中もパンクラスイズムで練習するのは1度か2度で。ジムの面子も変わっていく中で、私が格闘技をやる場所はイズムではなくなってきたように思えたんです」

──練習場所が所属名になったわけではないですよね。

「ハイ。私がずっと体を見てもらってきた整体です。北西(英司)さんはパンクラスができた頃から、選手の体を診ていて、格闘技の試合も物凄く見ている人で。フォースタンス理論に出会えたから、こっちに出てきて少し結果を残せたと思っています」

──イズムを離れる時、どこかジムの所属になろうと考えることはなかったですか。

「それは今も迷っています。決まった練習場所があることは大切だと思うので。ただ試合がもう決まっていたから、そこままという感じできました」

──今、練習場所はどういう風になっているのでしょうか。

「なかなか、色々なところに行っています。行動範囲は相当に広いですよ(笑)。女子選手がいるところに、練習に行かせてもらっていて」

──では万智選手ばりに1週間のルーティンをお願いします。

「月曜日は朝から仕事をして、夜は坂口道場に行きます。火曜日は昼ぐらいにKRAZY BEEに行き、夕方は元町にあるクロスフィットでパーソナルトレーニング。夜はカルペディウム三田のレスリングクラスに参加したり、しなかったり。水曜日は1日仕事をして、行けたらファイトベースに。木曜日も1日仕事して夜に東中野のトイカツ道場。金曜日は昼にマスタージャパンでグラップリング、夕方は国立に体の使い方のコンディショニング・トレーニングに行って、夜に整体をして帰って来ます。

土曜日は朝から仕事をして、夕方に千葉の市川市にあるトランセンド・ジムでロッキー川村さんにミットを持ってもらっています。で日曜日の朝にJTTに女子練習ですね(笑)」

──仕事をしながら……ですよね。1週間で7位置の練習を。

「やばいですよね(笑)」

──その原動力は何なのでしょうか。

「不安だから。やらないと不安なんです。もちろん毎週 、完璧にやっているわけじゃないですけど、この生活と練習を維持するには心もお金も、体力も大変です」

──そうですよね。

「だから、これをずっとやっていられないなって。引退も近いのかなって思っています」

──それでも結婚式よりも嬉しいモノがMMAでの勝利なわけですよね。

「結婚式をしたことないんですけどね(笑)。私は結婚して子供も欲しい。だからずっとできない」

──そうなると限られた試合のなかで、今回はタイトルマッチでないですが、その辺りはどのように思っているのですか。

「ホン・イェリン戦が用意されたことに、全く不満はないです。ちゃんと強い相手ですし、国際戦が戦いたかったので。用意してもらった相手に、今の全てをぶつけます。対戦相手の格とか関係なく、準備したことを全て出します」

──それは右ストレートですね(笑)。

「違います(笑)。塩漬けです。もう、ああいう勝ち方はないし、一度したから思い切り漬けにいけます(笑)」

──女子は比較的行き来ができていますが、これからのキャリアをどのように考えていますか。

「目標がなんなのかよくわからない状況ではあるんですけど、海外でやりたいです。もう日本人は皆やったし、今さら新しい子とやる必要はないかなって。めちゃくちゃ強い外国人にメチャクチャにやられたら、辞めることができるかなって」

──刹那的ですね。

「もう私、敵わないんだっていう経験をしたら辞められるかなって」

──その将来を望むとしても、メチャクチャ強い外国人を戦うためには次の試合でしっかりと勝つ必要があるかと思います。どのような試合にしたいですか。

「…………(じっくりと考えて)、攻め続ける。とにかく攻め続けます」

■視聴方法(予定)
9月29日(日)
午後12時40分~U-NEXT

■Pancrase347 計量結果

<ライト級KOP選手権試合/5分5R>
[王者] 雑賀ヤン坊達也:70.15キロ
[挑戦者] 久米鷹介:70.3キロ

<ストロー級QOP選手権試合/5分5R>
[王者] ソルト:51.95キロ
[挑戦者] 藤野恵実:52.1キロ

<ウェルター級KOP選手権試合/5分5R>
[王者] 押忍マン洸太:76.95キロ
[挑戦者] 佐藤生虎:77.1キロ

<ライト級次期挑戦者決定/5分3ラウンド
葛西和希:70.55キロ
天弥:70.65キロ

<女子アトム級/5分3R>
SARAMI:48.05キロ
ホン・イェリン:47.75キロ

<バンタム級/5分3R>
井村塁:61.4キロ
カリベク・アルジクル・ウルル:61.65キロ

<ライト級/5分3R>
粕谷優介:70.7キロ
ホン・ソンチャン:70.5キロ

<女子フライ級/5分3R>
端貴代:56.65キロ
渡邉史佳:56.8キロ

<女子ストロー級/5分3R>
KAREN:52.1キロ
エジナ・トラキナス:51.9キロ

<フェザー級/5分3R>
糸川義人:65.9キロ
栁川唯人:65.95キロ

<ストロー級/5分3R>
野田遼介:52.5キロ
船田侃志:52.55キロ

<バンタム級/5分3R>
安藤武尊:61.45キロ
ギレルメ・ナカガワ:61.55キロ

<2024年ネオブラッドTフライ級決勝/5分3R>
岸田宙大:56.7キロ
山﨑蒼空:57.1キロ

<フライ級/5分3R>
時田隆成:56.95キロ
齋藤楼貴:56.95キロ
 
<バンタム級/5分3R>
友寄龍太:61.1キロ
渡邉泰斗:61.5キロ

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【Pancrase347】計量よもやま話。アルジクル・ウルル、あ、あぶないっ!! 久米鷹介──危機一髪!!

【写真】よくパスできた──それほど厳しそうだったカリベク・アルジクル・ウルル(C)MMAPLANET

明日29日(日)に立川市の立川ステージガーデンで開催されるPancrase347の計量が、28日(土)に品川区の目黒セントラルスクエアU-NEXT内カンファレンスルームで行われた。
Text by Manabu Takashima

計量開始の15分前に会場に到着すると、驚いたことにエレベーターホールに井村塁と対戦するカリベク・アルジクル・ウルルが座り込んでいるではないか。しかも、喉に指を突っ込む荒療法で懸命で唾を吐いており、相当に減量が厳しい様子だ。

そのアルジクル、計量の際はフラフラになって下着を脱いで体重計へ。空気的にアウトのように見えたが、450グラム・オーバー規約ジャストの61.65キロでクリア。あれだけの状態でも体重を落とし切った気迫のパス──明日のリカバリーもそうだが、試合中の気持ちの強さは相当だと恐怖すら感じるアルジクルだった。


メインで雑賀ヤン坊達也の持つライト級王座に挑戦する久米鷹介も本計量スタート時間のギリギリまでトイレにこもるという緊急事態を思わせたが、彼もまた下着を脱いでパス。と、久米の下半身を隠していた布をレフェリー陣が外すのが早く──会場の人間には、TVに写せない部分の毛髪が確かに確認されていた。

この計量の模様は生配信されていたが、カメラマンさんのグッドジョブで画面は寄りになっており、久米もまたアルジクルとは違った意味で危機一髪のところでアウトにならずにすんだ。

またMMAPLANETが追う計量後の握手問題。男子はするが、女子はしないという定説だが──全15試合中、握手が見られなかったのは3試合。それがストロー級QOP選手権試合=ソルト×藤野恵実、SARAMI×ホン・イェリン、端貴代×渡邉史佳お3試合で全て女子マッチと定説は裏付けされることに。

とはいえ女子勢は握手でなく、距離をとって互いに一礼するという健闘のたたえ合いをしていた。

その女子の流儀に従おうとしたKARENを呼び止めて握手をしたエジナ・トラキナスは、体重計の上で何やら手話のようなモノを披露していたが、これは「ジーザスの導きが、唯一の道」というようなことだったようだ。

キルギス、ブラジル勢とともに韓国からやってきたホン・イェリン。彼女のセコンドにはGladiatorからONE FFに転じたイ・スンチョルの姿が見られ、次戦は2025年になってONE FFでなくONE FNデビューが予定されているとのことだった。

■視聴方法(予定)
9月29日(日)
午後12時40分~U-NEXT

■Pancrase347 計量結果

<ライト級KOP選手権試合/5分5R>
[王者] 雑賀ヤン坊達也:70.15キロ
[挑戦者] 久米鷹介:70.3キロ

<ストロー級QOP選手権試合/5分5R>
[王者] ソルト:51.95キロ
[挑戦者] 藤野恵実:52.1キロ

<ウェルター級KOP選手権試合/5分5R>
[王者] 押忍マン洸太:76.95キロ
[挑戦者] 佐藤生虎:77.1キロ

<ライト級次期挑戦者決定/5分3ラウンド
葛西和希:70.55キロ
天弥:70.65キロ

<女子アトム級/5分3R>
SARAMI:48.05キロ
ホン・イェリン:47.75キロ

<バンタム級/5分3R>
井村塁:61.4キロ
カリベク・アルジクル・ウルル:61.65キロ

<ライト級/5分3R>
粕谷優介:70.7キロ
ホン・ソンチャン:70.5キロ

<女子フライ級/5分3R>
端貴代:56.65キロ
渡邉史佳:56.8キロ

<女子ストロー級/5分3R>
KAREN:52.1キロ
エジナ・トラキナス:51.9キロ

<フェザー級/5分3R>
糸川義人:65.9キロ
栁川唯人:65.95キロ

<ストロー級/5分3R>
野田遼介:52.5キロ
船田侃志:52.55キロ

<バンタム級/5分3R>
安藤武尊:61.45キロ
ギレルメ・ナカガワ:61.55キロ

<2024年ネオブラッドTフライ級決勝/5分3R>
岸田宙大:56.7キロ
山﨑蒼空:57.1キロ

<フライ級/5分3R>
時田隆成:56.95キロ
齋藤楼貴:56.95キロ


 

<バンタム級/5分3R>
友寄龍太:61.1キロ
渡邉泰斗:61.5キロ

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【Pancrase347】葛西和希と挑戦者決定戦へ、天弥「アイツは持ってるみたいに言われるの、すっげぇ嫌」

【写真】 どれだけ女性の前で下ネタをしようが、これだけ格闘技について熱く語ってくれるのはMMAPLANETでは◎です(C)MMAPLANET

29日(日)、東京都立川市の立川ステージガーデンで開催されるPancrase347で、天弥がライト級次期挑戦者決定戦で葛西和希と対戦する。
Text by Takumi Nakamura

3月のパンクラス立川大会で天弥は松本光史と対戦し、2Rに松本をストップ寸前まで追い込み、文句なしの判定勝利を収めた。わずかキャリア4戦目で、元修斗王者にして30戦以上のキャリアを誇る実力者を下したことはアップセットと言っていい勝利だったが、天弥自身は「1㎜も負けるとは思わなかった。立ちでもスクランブルでも組みでも負ける気はしなかった」と言ってのける。

葛西戦は同じ日に決まるライト級王者(雑賀ヤン坊達也×久米鷹介の勝者)への挑戦権をかけた一戦。天弥はさらにその先を見据えたうえで、葛西戦での勝利、そして王座奪取を目論んでいる。


どっちが世界でやっていけるか

――今大会では葛西選手とライト級次期挑戦者決定戦として試合が決まりました。試合が決まった時はどんな心境でしたか。

「自分が松本(光史)選手とやったあとに葛西選手と丸山(数馬)選手の試合が決まっていて、次はその試合で勝った方になるんじゃないかなってパンクラスさんから伝えられていたんですよ。もし丸山選手が勝っていたら次期挑戦者決定戦じゃなかったと思うんですけど、自分的には試合経験を積みたかったんで(葛西✖丸山の)勝った方とやることはOKしていました。それで葛西選手になったって感じですね」

――葛西選手との対戦は想定していたわけですね。ファイターとしてはどんな形で印象を持っていますか。

「結構(試合を)長い間やっていて、11勝3敗って、そうそう簡単な数字じゃないと思うんですよ。そういうレコードを残して、これだけ長い間ずっとトップ戦線にいるんで、油断できないですよね。でも自分としては倒さなきゃって感じです」

――油断できない相手ではありつつ、倒して勝つことは今回のテーマのようですね。

「ですね。葛西選手が丸山戦後のマイクで『俺もトップ戦線でやっていける。世界と戦うんだ』と言って、僕と久米(鷹介)さんの名前を出したと思うんですけど、自分の方が歳も若いし、世界でやるのは俺の方が先だよって思ったので、だから実際に試合をやって、どっちが世界でやっていけるか(を見せたい)って気持ちもありますね」

――天弥選手としては受けて立つくらいのつもりだ、と。前回の松本戦は天弥選手の評価を変える試合だったと思うのですが、ご自身では勝つ自信を持って戦った試合だったのですか。

「世間はそういう予想だったと思うんですけど、自分の実力は自分が一番分かっているんで、1㎜も負けるとは思わなかったです。立ちでもスクランブルでも組みでも負ける気はしなかったです」

――その自信は日々の練習で身につくものでしょうか。

「練習のメンツがメンツですからね。基本はHEARTSとNEVER QUITで、たまに(中村)K太郎さんのところに行って、ですね。よくMMAスパーリングするのは安藤晃司さん、菊入正行さん、ISAOさん、江藤公洋さん。海外でも戦ってきた日本のトップ選手たちと毎週練習しているんで(対戦相手が)この人たちより強いのかよ?って思っちゃいます。例えば安藤さんと5分間殴り合ったりしたら、他の選手はこんなことやれないだろうと思うんで、やっぱり自信になりますよね」

――それだけ自信があったからこそ作戦や対策を立てるのではなく、全局面で勝つという意識だったんですね。

「はい。作戦は特になくて、全力でぶつかってやろうって感じです」

――その一方で元修斗世界王者で、40戦近いキャリアがある松本選手に勝てたことは自信になったのではないですか。

「それはありますね。やっぱ元(修斗)チャンピオンに勝ったんで。『これいけちゃうんだ、俺』って思いました」

――試合内容もフィニッシュではなかったですが、松本選手にしっかり勝つという内容だったと思います。

「KO勝ちって見た目も派手だし、完全決着がつくものですけど、見る人によっては『一発当てただけじゃん』とか『マグレじゃん』みたいに言う人もいるわけですよ。あと『アイツは持ってる』みたいに言われるのも、すっげぇ嫌で」

――勢いで勝っていると思われるのは心外だ、と。

「全部それで片付けられちゃうのはどうなの?って。それだったら3Rフルに使って、しっかりボコボコにしてやろうと。松本戦は、自分から行き過ぎて後半はバテちゃったんですけど、最後まで圧倒して勝とうと思っていました。自分は勝った試合が1RKOだったから、僕の評価って『キレる打撃を持っている』ぐらいだったと思うんで、それを変える試合だったと思います」

キツイ際の攻防は自信があるんで

――では3Rフルでやれたことも意味がありますよね。バテたことも経験と言えば経験ですし。

「そうですね。KO勝ちしちゃうと、逆に3Rやる機会がないんで。ある意味試合でバテたっていうのも経験と言えば経験なんで。あとは3Rのゲームメイクというか、そこも実戦で学びましたね。ああいう展開になって3Rをどうゲームメイクするか」

――松本選手はキャリアもあるので戦い方や試合運びも上手いですよね。

「そうなんですよ。やっぱり後半の方が戦い方が上手かったですよね。でも僕も2RにKO寸前まで追い込んで、3Rはポイントアウトしながら寝かせて、バック取ってパウンドみたいな戦い方をしたじゃないですか。あれも大沢さんの指示だったんですよ」

――どういう指示が出ていたのですか。

「2Rが終わったあとのインターバルで、大沢さんから『疲れただろ?』と言われて。やっぱり2Rの最後にフィニッシュしようと思ってダッシュしたから(スタミナを)使っちゃったんです。そしたら『3Rは戦い方を切り替えよう』と言われて、自分もそれが出来る自信があったから『分かりました』って答えて、3Rはああいう戦い方をしました」

――なるほど。でもああいう切り替え方ができことも驚きでした。

「そこは大丈夫です。キツイ際の攻防は自信があるんで」

――松本選手に勝ったことでライト級の国内トップにいるという意識も出てきましたか。

「今の自分はそのくらいにいるんだなって思います。次も組みでいくなら組みでもいいし、特に作戦も練っているわけじゃないんで、僕は練習してきたものを出そうかなぐらい、です」

――天弥選手は将来的に海外で戦うこと、UFCを目標にしていると思います。そこを目指す以上、国内では全局面で勝つつもりでやるという考えもあるのですか。

「そういうのはあるんですけど……まだ自分自身にそこまで自信を持ってないというか。松本選手に勝ったとはいえ、 やっぱり普段の練習では公洋さんたちとか、あのレベルの選手になるとやっぱりやられるんですよ。で、みんな世界でやっているわけじゃないですか。そういうメンツとラウンドをこなすと、みんなラウンドごとに違うんです──味が」

――まだ練習では差を感じる部分はある、と。

「でもそういう相手に対して、ようやく色々できるようになってきているんですよ」

――何か分かり始めた部分もあるんですね。

「はい。なんかUFCにはUFCなりの打撃の流れというか、ラウンドごとのポイントの取り方や作りがあるじゃないですか。それはBellatorにもONEにもあると思っていて、戦う舞台によって試合の組み立ても違うんだなって」

――それは戦況によっても変わりますよね。

「それを体で味わえているんですよ。だから試合で出していけたらな──ぐらいには思っているんですけど、葛西選手が出させてくる相手なのかなって思ったら、そうは思わないんで、全力でやりきります」

――試合で強さを見せる一方、普段の練習で自分の未熟さを感じることが出来る。いい意味で天狗になれない環境は選手にとっては最高だと思います。

「鼻を伸ばそうと思っても壁があって伸びません(笑)。あの先輩たちと練習していたら、天狗になれないし(格闘技の)厳しさを教えてくれる人たちなんで、ありがたいです」

個人的には久米選手とやりたい

――この試合に勝てば、次は雑賀ヤン坊達也×久米鷹介の勝者に挑戦する形になります。

「僕的にはヤン坊選手の方が楽で、久米選手の方がしんどい試合になるだろうなぐらいの想定なんですけど、個人的には久米選手とやりたいですね」

――それは久米選手のこれまでのレコードや実績を考えてですか。

「久米選手はアキラ選手に負けるまで7年ぐらいベルトを持っていたし、あれだけキャリアが長いのに(実力が)落ちないじゃないですか。前回も粕谷(優介)選手を3R圧倒していましたよね」

――久米選手は息の長い選手ですし、年齢・キャリアを重ねてもパワフルなファイトスタイルが変わらないところも特徴的です。

「なんか久米選手を倒して日本から出たいんですよ。久米選手はライト級で日本最強なんじゃないかと言われた時期もあったじゃないですか。そう言われる選手ってやっぱり何か特別なものを持っていると思うんで、そういう相手を倒したいです」

――フィニッシュするだけじゃなくタフな展開になっても競り勝つ強さも持っていますよね。

「日本でああいうタフなMMAができる選手って久米選手くらいじゃないですか。あの辺もちょっと経験したいですね」

――マッチメイク的な部分でいえば、ヤン坊選手と戦った方がKO決着必至のエキサイティングな試合になりそうです。

「打撃戦になると思うんで、どっちが立っていられるか試合になるでしょうね」

――例えばどちらの選手とも戦いたかったりしますか。

「やりたいっす。自分は日本のトップ選手とバンバンやりたいし、そうやって経験を積んで、海外にいきたいです」

――そういう意味でもベルトを巻くことでマッチメイク的な可能性が広がっていくと思いますし、やはりベルトは必ず巻きたいですか。

「ベルト……そうっすね。まあ獲っておきたいっす。やっぱりベルトを巻けば、僕の名前がパンクラスとか格闘技の歴史に刻まれるわけじゃないですか。僕がネオブラを獲ったのも、アマチュア修斗・アマチュアパンクラスの全日本を獲ったのもそうで、自分の名前を検索した時に出てくる獲得タイトルとかレコードって、自分を知ってもらうのに1番分かりやすいじゃないですか。『ベルト巻いてんだ』、『あの大会で優勝しているんだ』みたいな」

――天弥選手は必ずターニングポイントになるところで獲るべきものを獲ってきたわけですね。今日本から色んな選手たちが海外の団体に出ていて、今年のRoad to UFCでは日本人選手が全員ベスト4敗退という厳しい現実もあります。天弥選手も海外での活躍を目指す選手として、この結果をどう受け止めましたか。

「RTUに出ていた日本人選手はみんなレスリングが強かったじゃないですか。で、日本国内だとやりたい試合が出来ていたと思うんですけど、RTUでは出来ていなかった。そこら辺のゲームメイクが最近は大事だなと思っていて、打撃をポンポン当ててテイクダウンを取るのと、テイクダウンを見せて打撃を当てるって簡単なリズムではあるんですけど、それを試合で出すのが難しいんですよ」

――それが出来たとしても、どちらか一方になってしまいますよね。

「そうなんですよ。だから河名(マスト)選手も原口(伸)選手も、結局組んで抱きついて止まっちゃうじゃないですか。だったらもうちょい打撃の時間を割いてやった方がいいと思いました。だから僕自身は全グラフを均等に大きくしていって世界に出て、打ち合いが強い・打撃が強い選手なら組みを見せて削って、打撃で倒すみたいな。そういう全局面できる選手になって世界に出たいです」

――今は判定でもダメージが重視される傾向にありますが、天弥選手はもともとそういったダメージ重視の考えなのですか。

「やっぱり相手からしたらダメージを食らうのが1番嫌じゃないですか。よくRNCでも口塞いだりする選手とかいますけど、ああいうのを淡々とできる選手って強いと思います。頭の回転も速いだろうし。テイクダウンを狙ってしがみついて何とかとする、上を取ったままキープして終わる選手が多いけど、そういう選手は何を目的にやっているんだろうと思っちゃうんです。

あれはただ時間が過ぎていくだけじゃないですか。試合はパフォーマンスを見せる場なのに。自分はそういう考えが…ちょっと分からないです」

――なんにせよ格闘技は強さを示す競技。ジャッジする側がこのところコントールよりも加打に重きを置いていますね。

「最初から判定を狙って戦うことが評価されなくなってきて、自分はそれが本来のMMAなんじゃないかなと思います。組み技・寝技になったらサブミッションを狙う、パウンド出来るポジションを探す…そういう練習が必要だと思います」

――逆に組み技出身の選手が殴る意識を持てばスクランブルや寝技の動きも変わるでしょうね。

「絶対それがあるはずなんですよ。それこそレスリングとか柔道とか組み技のバックボーンがある選手は“殴る”ことを頭に置いていれば、それができる場面ってたくさん出てくると思いますよ。僕が打撃出身だからそう思うのかどうかは分からないですけど」

――天弥選手からすると「なぜ、ここで殴らないの?」と思うことも多いですか。

「逆に組み技出身の選手からすると、同じ場面を見ていても『ここで殴るの?』と思うことがあるだろうし、もしかしたらそこは打撃系と組み技系で分かり合えないのかもしれないですね」

――それは天弥選手が打撃格闘技出身で、そこからMMAに入って組み技を覚えたからこその感覚かもしれないですし、天弥選手にしか見えないMMAの世界もありそうです。

「自分はあると思っています。例えば相手を寝かして、相手が立ち上がろうとする瞬間、絶対に顔(のガード)が空くんです」

――顔をガードしたまま立ち上がるのは無理ですよね。

「絶対マットに手をついて立つんだから。だったらそこで寝かせにいくより、殴ってダメージ与えた方がいいじゃんって思うんです。がぶってコンロールするより、殴っておいて上体が浮いたところでまた下にテイクダウンに入れば削れていきますよね。自分はそういう見方をしているから、発想そのものが違うんだと思います」

――それがさきほどの「打撃系と組み技系で分かり合えないのかもしれない」ですね。今は組み技出身選手が海外の団体に挑戦するパターンが多いですが、天弥選手のような打撃出身選手が世界に出ていく姿も見たいですし、今のMMAにおいては天弥選手のように、組みを踏まえて“殴る”意識を持つことが必要だと思います。

「僕はそこが大事だと思うし、その意識が日本人には必要だと思います。この前のオリンピックを見ても、日本ってあんなにレスリングが強い国じゃないですか。絶対にダメージを与える意識を持つ選手が増えれば、その先(コントロールの先)にいけるはずなんで。自分も今後はレスリングもやっていくだろうし、練習環境ももっともっと整えて日本人が世界で勝っていきたいですよね。で、自分はそこにいく確信を持っているんで、みなさんも楽しみにしていてください」

■視聴方法(予定)
9月29日(日)
午後12時40分~U-NEXT

■Pancrase347 対戦カード

<ライト級KOP選手権試合/5分5R>
[王者] 雑賀ヤン坊達也(日本)
[挑戦者] 久米鷹介(日本)

<ストロー級QOP選手権試合/5分5R>
[王者] ソルト(日本)
[挑戦者] 藤野恵実(日本)

<ウェルター級KOP選手権試合/5分5R>
[王者] 押忍マン洸太(日本)
[挑戦者] 佐藤生虎(日本)

<ライト級次期挑戦者決定/5分3ラウンド
葛西和希(日本)
天弥(日本)

<女子アトム級/5分3R>
SARAMI(日本)
ホン・イェリン(韓国)

<バンタム級/5分3R>
井村塁(日本)
カリベク・アルジクル ウルル(キルギス)

<ライト級/5分3R>
粕谷優介(日本)
ホン・ソンチャン(韓国)

<女子フライ級/5分3R>
端貴代(日本)
渡邉史佳(日本)

<女子ストロー級/5分3R>
KAREN(日本)
エジナ・トラキナス(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
糸川義人(日本)
栁川唯人(日本)

<ストロー級/5分3R>
野田遼介(日本)
船田侃志(日本)

<バンタム級/5分3R>
安藤武尊(日本)
ギレルメ・ナカガワ(ブラジル)

<2024年ネオブラッドTフライ級決勝/5分3R>
岸田宙大(日本)
山﨑蒼空(日本)

<フライ級/5分3R>
時田隆成(日本)
齋藤楼貴(日本)
 
<バンタム級/5分3R>
友寄龍太(日本)
渡邉泰斗(日本)

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【Pancrase342】TD&グラウンドも交えて攻め続けたKARENがイェリンに判定勝利

<女子ストロー級/5分3R>
KAREN(日本)
Def.3-0:30-27.30-27.30-27.
ホン・イェリン(韓国)

イェリンが細かくジャブと左フック、KARENも右ローを蹴る。イェリンが右ミドル、KARENの右ローに右ストレートを合わせる。KARENの蹴りをバックステップでかわしてワンツー、KARENの右ストレートに右ストレートを返し、右ストレートから左フック、右ローを手数を増やす。

ジャブの差し合いからKARENが組みつくと、イェリンがKARENをケージに押し込む。イェリンはKARENの足にヒザ蹴りを入れ、KARENも態勢を入れ替えてテイクダウンする。イェリンはガードポジションから三角絞めを仕掛け、それを外したKARENがトップキープする。残り30秒、イェリンが腕十字を狙ったところでラウンド終了となった。

2R、KARENがジャブと右ロー。イェリンも右ストレートと左フック、左ミドルを蹴る。KARENがジャブと右ストレート、イェリンはKARENの蹴りに右ストレートを伸ばす。イェリンが右フックを見せると、KARENが右ストレートを返す。組みの展開になるが、すぐに離れる両者。KARENはイェリンの右ストレートにシングルレッグに合わせてテイクダウンを奪う。

KARENはイェリンの頭をケージに押し付けてパスガードを狙い、ヒジを入れる。イェリンが体を反転すると、がぶったKARENがボディにヒザ蹴りを入れる。KARENはイェリンの体をケージに押し付けてギロチンを狙いつつ、イェリンがKARENをケージに押し込んで立ち上がったところでラウンド終了となった。

3R、イェリンが細かくステップしてジャブをつく。KARENは右の前蹴り・右ストレートから組み付き、シングルレッグでテイクダウンする。ハーフガードでトップキープするKARENがヒジを入れる。KARENはアームロックを狙いながらヒジを入れ、イェリンが体を起こすとバックキープも狙いながらパンチを入れる。

イェリンは亀になって足を取りに行くが、KARENがそれをつぶしてパンチを落とし続ける。残り1分を切ったところでKARENがバックを取ってRNCへ。イェリンがそれをしのいだところで試合終了。テイクダウン&グラウンドも交えて攻め続けたKARENが判定勝利を収めた。

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45 AXEL RYOTA KAREN MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase342 RYO YouTube パンクラス ホン・イェリン ホン・ソンチャン ボクシング ライカ リトル 中村K太郎 久米鷹介 佐藤生虎 前田浩平 松岡嵩志 櫻井裕康 砂辺光久 粕谷優介 糸川義人 長岡弘樹 黒澤亮平

【Pancrase342】長岡弘樹戦へ。柔道出身の剛腕、佐藤生虎「……次の試合も殴ります」

【写真】生虎(しょうご)という名前の由来は、「正午に生まれたことから当て字で……という説があります」とのことでした(C)SHOJIRO KAMEIKE

28日(日)、翌29日に東京都立川市の立川ステージガーデンで開催されるPancrase342の計量が行われ、出場選手全員がクリアした。明日の第10試合試合では佐藤生虎が長岡弘樹と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

昨年プロデビュー以来3試合連続、1ラウンドKO勝ちをマークしている佐藤。しかも合計タイムは3分と、1ラウンド分にも至っていない。特に左ストレートを軸に戦っているが、もともとは柔道ベースだというから驚きだ。なぜ佐藤がこれまでに左ストレートで倒しまくるようになったのか。その秘密をひも解く。豪快なKOの裏には、試合スタイルからは想像できない佐藤の性格が関係していた(※取材は4月24日に行われた)。


――MMAPLANETでは初のインタビューとなりますが、宜しくお願いいたします。

「……、……」

――すみません、ちょっと音声が小さいようですね。

「(マイクを口に近づけて)聞こえますでしょうか?」

――ありがとうございます。聞こえました。もしかして今は職場ですか。

「はい、そうです」

――もしかして小さな声で喋らないとか……。

「そんなことはないのですが――ちょっと周りから見られています(笑)。でも大丈夫です。すみません」

――いえ、職場でインタビューを行わせていただき、ありがとうございます。会社の方にも宜しくお伝えください。

「アハハハ、分かりました(笑)」

――改めて、プロデビュー以来3試合で合計3分ほどしか戦っていない佐藤選手です。

「えっ、そんなに短いですか」

――これまでのKOタイムが1分1秒、35秒、1分22秒ですから、正確には2分58秒です。ご本人としては意識していないのですか。

「そうですね。まぁ、たまたまというか……」

――あれだけ左ストレートを軸に戦っていて、「たまたま」ではないでしょう(笑)。

「いや、もう必死に戦っているだけで(苦笑)。自分でもよく説明できなくて――喋るのも下手なので、すみません」

――いえいえ。あれだけの剛腕っぷりを見せていながら、ベースは柔道なのですよね。

「柔道は10歳から28歳までやっていました。もともと兄が柔道をやっていたので、僕も同じ町道場に入れられて。28歳の時に柔道を辞めて、MMAを始めました」

――28歳というと大学を卒業してから、どこか企業で柔道をやっていたのでしょうか。

「いえ、警察です」

――警察ですか! 大学までの優勝実績などは……。

「特に無かったです。高校の時に県大会で優勝したり、大学も全国大会に出たぐらいで。そこから警察の柔道部に入りました。ずっとMMAは好きで、大学を卒業した時点で柔道を続けるか、MMAを始めるかは一度考えました」

――そこで柔道を続けた理由は何だったのでしょうか。

「……母の反対ですね(苦笑)。今もMMAをやることは反対されています。でも警察の柔道部って定員があり、毎年誰かが引退して誰かが入るということが繰り返されるんです。柔道部の先生から『今年で引退してほしい』と告げられて。柔道部にいられないなら警察にいる理由もないので辞めました」

――柔道部を辞めたとしても、警察には残ることはできるわけですよね。

「はい。もともとMMAをやりたくて、ずっと柔道を続ける気持ちはなかったんです。だから先生から告げられた時に踏ん切りがついたといいますか。ちょうどコロナ禍で試合もできない時期でしたし」

――では警察を退職して、すぐにMMAを始めたのですか。

「MMAを始めようと思ってジムを探した時、自分が柔道出身なので組み技が強いパラエストラ松戸(現THE BLACKBELT JAPAN)に入りました。そのあと去年の3月に、講道館の柔道クラブ時代の先輩である中村K太郎さんと宮澤元樹さんがいる、ユナイテッドジムに移籍してプロデビューしました」

――なるほど。2022年にパンクラスのアマチュア全日本を制してプロデビューに至るわけですが、当時から今のように左をバシバシ当てていたのでしょうか。

「いえ、最初はとにかく組みついていました。それがアマチュア全日本の時に、減量で水抜きしすぎてヘロヘロになってしまい、試合では組めない――スタミナがもたないと思ったんです。それで殴りに行ったら『当たるなぁ』という感じで」

――減量ミスから生まれた左ストレート! 最初に仰った「たまたま」というのは、そういう意味だったのですね。

「アハハハ、そうなんです。自分自身でもグラップラーだと思っていましたけど」

――結果、プロデビュー以降はストライカーで行くと。プロの3試合はほぼ組みに行っていません。それはまだ組みの実力……つまり本当の力を隠しているということではないですか。

「いや、それはないです」

――ハッキリと否定しましたね(笑)。

「もう本当に、いつも限界で。毎試合ギリギリの状態でやっています」

――確かに1戦目と2戦目は、とにかく左を振り回している感もありました。しかし3戦目の川中戦は完全に左ストレートを軸に戦うように進化していたように思います。相手の頭の位置を見ながら、左ストレートを急所に叩きこんでいくという。

「ありがとうございます。でも、それも意識したことはなくて……。ただ、今はボクシングで日本と東洋太平洋のチャンピオンだった柴田明雄さんの指導を受けて、打ち方と位置取りは変わってきていると思います。前回の試合は、とにかく相手の左側に回ろうと柴田さんから言われていて――相手との距離、自分の位置については考えるようになりました」

――なるほど。川中選手をKOしてパンクラスのウェルター級5位にランクインしました。そして次は大ベテランの長岡戦で、この試合をクリアすればベルト挑戦も射程圏内に入っくると思います。

「ベルトは意識していますが……う~ん、自分が上がってきているという実感はないですね。次の試合も不安しかないですし(苦笑)」

――浮かれているよりは良いと思いますが、それにしても自信のあるコメントは出て来ないですね。

「長岡選手はキャリアも凄くて、削り合う試合になると思いますし――引き出しの要素も全て、僕が負けていますからね。試合になると、いつも不安しかないです」

――その不安は、どのように解消するのですか。

「ケージに入るまで不安ですし、ケージに入っても頭が真っ白になって。あとは『やるしかない』という気持ちになって試合をするだけです。自分がやらないと、やられてしまう。その気持ちが一番大きいですね。

――では次の長岡戦、どのような試合をしたいですか。

「……次の試合も殴ります。長岡選手って打たれ強いと思うんですけど、それでも殴ります」

■視聴方法(予定)
4月29日(月・祝)
午後1時30分~U-NEXT

■Pancrase342 計量結果

<ストロー級暫定王者決定戦/5分5R>
黒澤亮平(52.15キロ)
リトル(52.05キロ)

<ライト級/5分3R>
粕谷優介(70.70キロ)
久米鷹介(70.70キロ)

<ウェルター級/5分3R>
佐藤生虎(77.55キロ)
長岡弘樹(77.35キロ)

<女子ストロー級/5分3R>
KAREN(52.05キロ)
ホン・イェリン(51.40キロ)

<ライト級/5分3R>
松岡嵩志(70.40キロ)
ホン・ソンチャン(70.00キロ)

<フライ級/5分3R>
砂辺光久(57.00キロ)
前田浩平(57.20キロ→57.10キロ)

<ストロー級/5分3R>
寺岡拓永(52.25キロ)
氏原魁星(52.10キロ)

<フェザー級/5分3R>
糸川義人(65.85キロ)
櫻井裕康(66.50キロ→66.10キロ)

<バンタム級/5分3R>
坂本瑞氣(61.35キロ)
谷内晴柾(61.25キロ)
<ネオブラッドT 2回戦 フライ級/5分3R>
饒平名知靖(56.65キロ)
名久井悠成(56.55キロ)

<ネオブラッドT 2回戦 フライ級/5分3R>
山崎蒼空(56.85キロ)
AXEL RYOTA(56.95キロ)

<フライ級/5分3R>
田中亮祐(56.35キロ)
齋藤桜貴(57.15キロ)

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45 AB GFC KAREN MMA MMAPLANET o RING Championship04 YouTube アナ・パラシオス チャンネル パク・サンヒョン パク・シウ パンクラス ホン・イェリン 古賀愛蘭 國頭武

【RING C04】國頭は対戦相手が倒れ、試合は中止に。古賀愛蘭、Double GFCアトム級王者と対戦!!

【写真】楽しみな一戦だ(C)RING CHAMPIONSHIP

明日6日(土)に韓国はソウルのTHE K Hotel Seoul内グランドボールルームで開催されるRING Championship04の計量が行われた。
Text by Manabu Takashima

同大会には日本から古賀愛蘭が出場し、パク・ボヒョンと対戦する。またBURST所属の國頭武はバンタム級8人トーナメント準々決勝に出場予定だったが、対戦相手が計量中に体調不調に陥り欠場となった。


カザフスタンのボラット・ザマンベコフ×ムン・グックフワン、イ・ヒゼ×シン・ユミン、キム・ウンソン×ソン・グンホら3試合とともに準々決勝でパク・サンヒョンと対戦予定だった國頭だが、そのパクが減量中に倒れて病院に搬送される事態に。

これを受けて「パク選手は減量中に倒れたと聞きました。彼の回復を祈ります。自分も命を懸けて準備しましたが、次の試合の準備をします」と話した國頭は、試合はキャンセルとなったがトーナメント準決勝進出が決まった。

チームメイトの試合はなくなった古賀にとって、初の海外での試合は2年前のパク・シウ戦に並ぶキャリア最強の相手とのファイトとなる。パク・ボヒョンは格闘代理戦争シーズン3で平田樹に敗れたが、その後は母国のAngel’s FCやDouble GFCでキャリアを重ね、後者ではパンクラス4月大会でKARENと対戦するホン・イェリンを破ってアトム級チャンピオンに輝いている。

2022年7月には北米進出もCombateでアナ・パラシオスに判定負けを喫して以来の再起戦が、今回の古賀との試合となる。パク・ボヒョンは47.8キロ、古賀は48.2キロで計量をクリア。パク・ボヒョンにとってはウィニングトラックに戻るため一戦は、古賀にとってはステップアップが掛かった試合となる。そして元々定評のあった打撃以外の部分で、彼女が如何に成長し総合力を身につけているのかが問われる一戦といえる。

■放送予定
4月6日(土・日本時間)
午後5時00分~RING Championship YouTubeチャンネル

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45 AB KAREN MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase342 YouTube   アキラ アントニオ猪木 パンクラス ホン・イェリン 久米鷹介 粕谷優介 黒澤亮平

【Pancrase342】4・29 KAREN×ホン・イェリン&粕谷優介✖久米鷹介。「僕の方が人間に近い」(久米)

【写真】ゴリラ顔でも競い合ってくれた粕谷と久米 (C)MMAPLANET

21日(木)、東京都新宿区の新宿サンエービルで4月29日(月・祝)に立川市の太刀川ステージガーデンで開催される PANCRASE342の記者会見及び、タイトル戦の調印式が行われた。
Text by Manabu Takashima

今月31日(日)にも同所で30週周年記念大会第3弾を開くパンクラス。今回の会見で本戦10試合の発表がされたなかでライト級=粕谷優介✖久米鷹介、女子ストロー級=KAREN×ホン・イェリン、そして暫定ストロー級王座決定戦=黒澤亮平×リトル戦から、ホン・イェリンを除く5選手が会見に臨み、タイトル戦で戦う両者は調印式も行われた。

ここではライト級と女子ストロー級マッチに出場する3選手の会見での挨拶とMMAPLANETの質問への返答をお届けしたい(要約)。


流れでゴリラ顔をお願いすると、アゴをひいたアントニオ猪木のような顔をしてくれたKAREN(笑)

KAREN
「今回半年ぶりぐらいにパンクラスに参戦させていただきます。国際戦を組んでくれたので、このチャンスをしっかりと生かして一本・KO勝ちします」

粕谷優介
「長年頂点にいた久米さんと戦えるということで、凄く楽しみにしています。このカードが決まって、凄く気合いが入っています」

久米鷹介
「負けて以来、丁度1年振りの復帰戦になるんですけど、粕谷選手という素晴らしい相手に本当に全力で挑むつもりで戦いたいと思っています。

──KAREN選手、このタイミングでパンクラスに戻り、大島佐緒里選手に敗れて引退を決意したこともあるホン・イェリン選手と戦うこと、どのように思っていますか。

KAREN 一回引退を考えて、そこから上がってくる選手なので意気込みも強いと思うんですけど、まぁそこをねじ伏せて──また、アレですけど……引退じゃないですけど、上には上がらせてないような試合をしたいと思います」

──去年のベルトを失って厳しい1年になったかと思いますが、THE BLACKBELT JAPAN所属となり1年以上が過ぎ、昨年の自分と比較して今どれぐらい力をつけたと思えますか。

KAREN 移籍してから1年ほど経つんですけど、去年の今頃と比べると絶対に一回りも二回りも強くなっているので、そこをしっかりと試合で見せたいと思います」

──粕谷選手と久米選手。アキラ選手も含め自ら、または自他ともにゴリラ・キャラで通っていますが、対戦相手と比較して自分の方がゴリラなんだというアピールがあればお願いします。

粕谷 ……。ちょっと予想もしていなかった質問なので……。二人よりゴリラに近い……キッズの子供達がゴリラのガチャガチャを見つけると『先生がいたよ』って買ってきてくれます(笑)。

久米 ガチャガチャでいうと同じやつを3つ、別人から貰ったことがあります(笑)。実際に受け取っているので……。ただ3人のなかで自分が一番人間に近いと思っています(笑)。

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Black Combat DEEP DEEP JEWELS DEEP115 MMA MMAPLANET o YouTube   イ・ソンハ キム・ソンウン シン・スンミン チェ・ジュンソ チャンネル パク・シユン ホン・イェリン マサト・ナカムラ ユ・スヨン 力也 大原樹理 大島沙緒里 木下尚祐 杉山廣平 石司晃一 酒井リョウ 鈴木槙吾 青井人 駒杵嵩大

【DEEP115】パク・シユン戦前の大島沙緒里─02─「試合を長引かせるつもりはありません。最初から極めに」

【写真】母は強し。DEEPが雪辱するためにも、そんな姿の再現に絶対(C)MMAPLANET

18日(月・祝)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP115 Impact 「DEEP vs BLACK COMBAT」でパク・シユンと対戦する大島沙緒里のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

対戦相手のパク・シユンにとって日本での試合は、これが2度目となる。前回は2019年12月にDEEPジュエルス大阪大会で赤林檎に判定負けを喫した。そこから3連勝を収めているパク・シヨンがアトム級王座を獲得した際の試合映像について大島に訊いたところ――YouTubeを中心に展開されるBLACK COMBATの撮影エピソードを明かしてくれた。

<大島沙緒里インタビューPart.01はコチラから>


――先ほど「上を目指す」と仰っていましたが、上に行けば行くほど大島選手が組んでも切られたり、テイクダウンしても立たれてしまう状況は増えるでしょう。

「ケージ際で組み合っている時にヒジを打ったり、離れ際のヒジやヒザは考えています。練習では本気でヒジを振ると、当たった時に危ないので難しいですが……。でも常に『ここでヒジを打ったら、こうなるかな』ということは意識しながら練習しています」

――一方、国内では大島選手を相手に自分から組んでくる選手は少ないと思います。しかし上には上がいる。では組みが強い選手が組んできた時に、どう対処するのか。その経験も重要になってきますね。

「まさに次の相手は組むにしろ打撃にしろ、どんどん前に出て来る相手ですよね」

――パク・シヨンは今年7月にキム・ナンヒをRNCで下し、BLACK COMBATのアトム級王座を獲得しています。その試合映像はご覧になりましたか。

「視ました。まず試合内容より、外で試合をしていたのは驚きました(苦笑)。私が2月に韓国へ行った時も、まあまあYouTube用の撮影時間が長かったんですよ。もちろん試合の日は選手ファーストです。でも韓国に入ってから試合に至るまでの撮影は、時間が結構長くて。だからパク・シヨン選手がベルトを獲得した日は外で長い時間、撮影部隊の人も大変だっただろうなぁって。自分が2月に行った時のことを思い出してしまいました」

――大島選手が2月に韓国で試合をした時は、試合当日までの撮影で演出や撮り直しなどの注文も入ったりしたのですか。

「いくつか要望は言われました。でも基本的に選手に対して敬意を持ってくれていますし、撮影中に選手が気分を害するようなことはなかったと思います」

――なるほど……、試合の話に戻ります。では試合映像を視たうえで、相手の印象を教えてください。

「前回だけでなく、過去の試合も視ました。昔は上の階級でも試合していて、打撃戦をすることも多かったですよね。でも最新の試合では、すぐにテイクダウンを狙いに行っていて。実は日本に住んでいる韓国人の知り合いに訊くと、もともとレスラータイプだったと。だから私との試合も、まずテイクダウンを狙いに来るんじゃないかと思っています。それでもフィジカル勝ちしようとしているというか、かなりパワーで来る選手だとは感じますよね」

――戦績はプロデビュー戦で勝利し、その後は3連敗。3敗目はDEEPジュエルス大阪大会で赤林檎選手に判定負けしたものです。しかし以降は3連勝しています。

「しかも3連勝は全て1R決着ですよね。もともと私は対戦相手の映像を視ないので、連敗している頃と連勝してからの違いについては、よく考えていないんですけど……。ただ、一度大きな怪我をしたらしくて。肩を負傷したか何かで、オーソドックスからサウスポーに変えたのかなって思います」

――そういえば赤林檎戦はオーソドックスに構えていたのに対し、前回のキム・ナンヒ戦はサウスポースタンスから組みついていました。

「過去の映像では、オーソドックスで戦っている試合とサウスポーで戦っている試合があったんです。試合の日付を調べると、サウスポーで戦っているのが、大きな怪我をしたと言われる時期の後だったんですよね。どちらでも戦えるのでしょうし、私との試合でもオーソドックスで来るかサウスポーで来るか……。

もともと私は対戦相手の映像を視るほうではないので、そこは気にせず試合が始まってからどうするか、と考えています」

――それと韓国人選手は戦績だけでは測り切れないところがあります。大島選手にとっては、前回の対抗戦で下したホン・イェリンと比較した場合、パク・シヨンのレベルはどのように見ていますか。

「ホン・イェリン選手もパク・シヨン選手も気持ちが強いところは同じだけど、スタイルは全然違っていて。ホン・イェリン選手は細かく打撃を当ててきました。パク・シヨン選手はフィジカルを生かして、パワフルに攻めてくるタイプですよね」

――となると、試合はノンストップで動き続けたホン・イェリン戦以上にタフで、削り合う展開となるでしょうか。

「私も5分3R動き続けることができる練習はしているので、たとえフルラウンドになっても大丈夫です。これまで判定決着で勝つこともありましたし。反対に相手のほうが最近は早い決着が続いているので――試合が長引いたらパク・シヨン選手のほうがどうなるのかというところですよね。

ただ、私も試合を長引かせるつもりはありません。最初から極めに行きます。相手がテイクダウンしに来たら私も寝技で勝負しますけど、もしかしたら次は打撃も見せられるかもしれないので、楽しみにしていてください」

■視聴方法(予定)
9月18日(日)
午後5時40分~DEEP チャンネル-YouTube、U-NEXT、サムライTV

■ DEEP115対戦カード

<ヘビー級/5分3R>
酒井リョウ(日本)
ヤン・へジュン(韓国)

<DEEP & Black Combatライト級選手権試合/5分3R>
大原樹理(日本)
イ・ソンハ(韓国)

<DEEP & Black Combatバンタム級選手権試合/5分3R>
石司晃一(日本)
ユ・スヨン(韓国)

<DEEP JEWELS & Black Combat女子級アトム級選手権試合/5分3R>
大島沙緒里(日本)
パク・シユン(韓国)

<ミドル級/5分3R>
鈴木槙吾(日本)
チェ・ジュンソ(韓国)

<フェザー級/5分3R>
青井人(日本)
シン・スンミン(韓国)

<フライ級/5分3R>
駒杵嵩大(日本)
キム・ソンウン(韓国)

<バンタム級/5分2R>
力也(日本)
木下尚祐(日本)

<フライ級/5分2R>
杉山廣平(日本)
KENTA(日本)

<ライト級/5分2R>
涌井忍(日本)
倉本大悟(日本)

<フライ級/5分2R>
マサト・ナカムラ(日本)
亀田一鶴(日本)

<アマ68キロ契約/3分2R>
安井飛馬(日本)
菅涼星(日本)

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Black Combat DEEP DEEP JEWELS DEEP115 MMA MMAPLANET o RIZIN ROAD FC イ・ソンハ キム・ソンウン シン・スンミン ソルト パク・シウ パク・シユン パンクラス ホン・イェリン マサト・ナカムラ ユ・スヨン 力也 大原樹理 大島沙緒里 木下尚祐 杉山廣平 海外 石司晃一 酒井リョウ 鈴木槙吾 青井人 駒杵嵩大

【DEEP115】Black Combatとの対抗戦02へ、大島沙緒里─01─「王者として指名された相手と戦います」

【写真】DEEP、BLACK COMBAT、RIZIN──昨年は4試合、今年も3試合目。J-MMAでこれだけコンスタントに試合数が多いチャンピオンは少ない(C)SHOJIRO KAMEIKE

18日(月・祝)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP115 Impact 「DEEP vs BLACK COMBAT」。今年2月に続き実現するDEEPと韓国BLACK COMBATの対抗戦のなかで、DEEPミクロ級&DEEP JEWELSアトム級王者の大島沙緒里が、BLACK COMBATアトム級王者のパク・シユンと対戦する。
Text by Manabu Takashima

対抗戦第一弾では、大島はホン・イェリンに一本勝ち。その後、6月にはRIZINでストロー級QOPであるソルトとの王者対決を制し、今回のパク・シユン戦に至っている。そんな大島に、まずMMAでは初となった海外遠征――ホン・イェリン戦とBLACK COMBATについて振り返ってもらった。


――DEEP×BLACK COMBATの対抗戦第2弾として、女子アトム級王者対決を控えています。大島選手は今年2月に開催された対抗戦第一弾にも出場していますが、これまでのDEEPやDEEPJEWELSの試合と対抗戦では何か意識の違いはありますか。

「特に意識は変わらないですね。もちろんDEEPとJEWELSのチャンピオンだという気持ちは持っています。ただ、今はアトム級でも良い選手が多くて、私がDEEPとJEWELSの女子アトム級を背負うという気持ちは薄くなってきています」

――なるほど。国内でも女子アトム級の選手層は濃くなりつつありますね。

「私としては、ただ目の前の試合で勝つこと。その気持ちはDEEPでもJEWELSでも、RIZINに出ても変わらないんですよ」

――確かに大島選手にとっては、DEEPやJEWELSではアトム級やミクロ級には対戦経験のある選手が多いです。さらにRIZINでもパンクラスのストロー級QOPであるソルト選手にも完勝しているだけに、国内ではマッチメイクに困るかもしれません。

「チャンピオンとして、指名された相手と戦います。防衛期限もありますし。と同時に私もファイターとして、これからも上を目指していきたい。じゃあ女子のアトム級で上となったら、何を目指すのか……。モチベーションを失ったとか、そういうことではないです。ただ、いろいろと考えるようにはなりましたね」

――その状況でBLACK COMBATとの対抗戦があり、海外で試合を行うことができたのは、気持ちを切り替えるキッカケにもなったのではないですか。

「そうなんです。MMAでは初めて海外で試合をすることができて、すごく勉強になりました。試合スタイルも日本人と韓国の選手では違いますから。その部分で学ばせてもらったことは大きいです」

――韓国の試合で学んだものとは何だったのでしょうか。

「対戦相手のホン・イェリン選手が引退を賭けて臨んだ試合だったと、試合後に聞いて納得したんですよ。試合はずっと私が攻め続けていても、相手の気持ちが折れなくて。『最後まで諦めたくない』と食らいついてくる感じで――とにかく気持ちの強い選手でした。

あと韓国人選手といえばパク・シウ選手もそうですけど、フィジカルが強いイメージもあります。私はまだ海外勢だと韓国人選手としか試合をしたことがないけど、他の国の選手はどうなんだろうって考えさせられました。あと当日は私もコンディションが悪くて……」

――えっ!? どのような状態だったのでしょうか。

「熱とかはなかったんですけど、とにかく体の動きが悪かったです。もともと私は特に減量も厳しくないので、試合直前まで体を動かしているタイプなんですよ。だから2月も試合の1週間前ぐらいに韓国に入ってから、ずっと体を動かしていて――でも海外で調整する難しさも感じました。試合中も立っているのが辛くて、とにかく打撃を出すことなく組みに行ったんですよ(苦笑)」

――試合前のインタビューで、あれだけ打撃の話をしていたのに(笑)。

「アハハハ。もうコンディションが悪すぎて、自分の中で余裕がなくなっていました。試合前からセコンドにも『スタミナがもたないだろうから、すぐ自分の得意な展開にもっていきます』と言っていて。だから試合が始まってすぐに極めに行ったんですけど、思った以上に相手がタフだし、気持ちも強くて粘られてしまいましたね」

――しかも2Rに相手がリバーサルに成功し、ヒジを連打してきたシーンは驚きました。大島選手のコンディションの問題もあったとは思いますが、ホン・イェリンも気持ちの強さを見せつけたと思います。

「そういう試合展開だったので、3Rに極めたあとマイクを持った時は、フラフラで立っていられないぐらいの状態でした。敵地だと判定になったら、どうなるか分からないじゃないですか。もともと自分としても極めるしか勝つ道はないと思っていて。でもグラウンドに持ち込んだら、すぐに立たされたりしていたので、私の中でも焦りはありましたね。『寝技の時間を全然くれない!』って(笑)」

――現在行われているROAD FCのグローバルトーナメントもそうですが、BLACK COMBATも同じようにブレイクが早い傾向にありましたね。打撃の話でいえば全く出していなかったわけではなく、離れ際にムエタイ式のヒザを打とうとした瞬間は『これのことか!』と思いました。

「えっ! それは全然覚えていないです。本当にフラフラで……。でもその状態で出るというところまで体に染みついているのは嬉しいです。やっぱり私が組みに行く以上、テイクダウンできずに立たれることは想定しないといけないし、離れ際の打撃も重要になってきますよね」

<この項、続く>

■ DEEP115対戦カード

<ライト級/5分3R>
大原樹理(日本)
イ・ソンハ(韓国)

<バンタム級/5分3R>
石司晃一(日本)
ユ・スヨン(韓国)

<女子級アトム級/5分3R>
大島沙緒里(日本)
パク・シユン(韓国)

<ヘビー級/5分3R>
酒井リョウ(日本)
ヤン・へジュン(韓国)

<ミドル級/5分3R>
鈴木槙吾(日本)
チェ・ジュンソ(韓国)

<フェザー級/5分3R>
青井人(日本)
シン・スンミン(韓国)

<フライ級/5分3R>
駒杵嵩大(日本)
キム・ソンウン(韓国)

<フライ級/5分2R>
杉山廣平(日本)
KENTA(日本)

<バンタム級/5分2R>
力也(日本)
木下尚祐(日本)

<フライ級/5分2R>
マサト・ナカムラ(日本)
亀田一鶴(日本)

<ライト級/5分2R>
涌井忍(日本)
倉本大悟(日本)

<アマ68キロ契約/3分2R>
安井飛馬(日本)
菅涼星(日本)

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【Black Combat05】ブラックコンバット✖DEEPの対抗戦は──3勝2敗でブラックコンバットに凱歌…厳しい

【写真】この陣容で敗れるのは、厳しい(C)PARK JONG HYUK

4日(土・現地時間)、韓国はスウォンのスウォン・コンベンションセンターで開催されたBlack Combat05「Song of the Sword」。
Text by Choi Woo Suk

同大会で実現したBlack Combat vs DEEP対抗戦は3勝2敗でブラックコンバットに凱歌が挙がった。しかも、日本勢の2連勝から3連勝で逆転勝ち。DEEPにとってはある意味、0勝5敗よりもしてやられた結果となった。

<無座別級/5分3R>
チェ・ウォンジュン(韓国)
Def.3R1分49秒by TKO
赤沢幸典(日本)

<フェザー級/5分3R>
キム・ミンウ(韓国)
Def.3R4分39秒by RNC
中村大介(日本)

<バンタム級/5分3R>
キム・ジョンフン(韓国)
Def.2R0分30秒by TKO
山本聖悟(日本)

<ライト級/5分3R>
大原樹理(日本)
Def.1R4分39秒by KO
ユン・ダウォン(韓国)

<女子アトム級/5分3R>
大島沙緒里(日本)
Def.3R0分59秒by 腕十字
ホン・イェリン(韓国)


※同大会のレポートはYouTubeの公開を待ってアップします


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