【写真】柔術の神の子が決勝進出、タイ・ルオトロ戦 (C)MIKE CALIMBAS/FLOGRAPPLING
25&26日(土&日・現地時間)にテキサス州オースチンのパーマー・イベンツセンターで開催されたWho’s Number One Championships。ライト級、ミドル級とヘビー級、女子はストロー級及びヘビー級で賞金3万ドルとチャンピオンベルトを賭けた2days 8人制トーナメント──は2021年グラップリング界の最大のイベントとなった。
Text by Isamu Horiuchi
レビュー第4回はミドル級の準決勝までの流れを整理したい。
ライト級同様、ミドル級の1回戦でも大波乱が起きた。優勝候補本命のロベルト・ヒメネスが、最後の最後にトーナメント代役出場が決まったジェイコブ・カウチに一本負けを喫した(別稿で詳述)。
同ブロックのもう一つの1回戦では、世界の注目を集める柔術の神の子ことミカ・ガルバォンが登場。コロナ禍の北米グラップリング界の隆盛を象徴する存在ウィリアム・タケットとの新世代対決が実現した。
まずはミカがきれいな小外掛けでテイクダウンを奪うと、タケットも下からの足関節の仕掛けで反撃。タケットが逃れるミカのバックを狙ったところで、一瞬の反応で体を翻してニアマウントに入るなど、序盤から両者の持ち味が発揮される展開となった。その後もミカが主導権を握り、タケットがシットアップした刹那のタイミングでニーカットパスを決め、次の瞬間マウントに入るといった素晴らしい動きを随所で披露した。結局一本こそ取れなかったものの、その天性の能力を存分に発揮したミカが判定3-0で完勝を収めた。
続いてミカは準決勝で、1回戦でヒメネスを倒す大殊勲を挙げたカウチと相対した。下からのスイープを狙うカウチが頭を抱えてきた瞬間に、ダイブしながらその右腕をすくいあげて伸ばしてアームバーに入るという離れ技を炸裂させ、3分弱で決勝進出を決めた。
もう一方のブロックでは、ヒメネスと並んで優勝候補のタイ・ルオトロが登場、1回戦でジョニー・タマ──オリバー・タザの代打として急遽出場が決定──と対戦した。タマが下から足を絡めてくるとすかさずベリンボロで切り返してバックを奪ったタイは、脱出したタマがシッティングから仕掛けようとしたときにダイブしてダースチョーク一閃。足関節にはベリンボロ、シッティングにはダースチョークというルオトロ兄弟の黄金カウンターパターンを見事に決めて1回戦を突破した。
同ブロックもう一つの1回戦を勝ち上がったのはダンテ・リオンだった。ジョン・ブランク相手にスタンドからのシングルレッグと下からのレスリングアップを何度も決めて優位に立ったリオンは、終盤にはブランクのフレームを手で押し除けて前にドライブして後ろ三角絞めへ。極めきることこそできなかったものの、文句なしの判定3-0で勝利した。
タイとリオンによる注目の準決勝は、スタンドレスリングでダブルレッグを何度も決めたタイが、上から攻撃を仕掛け続ける展開に。リオンも鉄壁のニーシールドからのレッスルアップという得意の流れを試みるが、タイはそれをことごとく遮断して上をキープ、ノンストップ・パス攻勢でリオン削っていった。終盤、ついに側転パスからサイドを取りかけたタイは、亀になったダンテの背後に付く。すかさず左腕をダンテの肩口から入れて首をワキで抱え、ギロチンと肩固めの融合のような形で絞め上げると、ダンテはすぐにタップ。のこり10秒ほどのところで見事な一本勝ちを収めた。
かくてミドル級決勝の顔合わせは、18歳のタイ・ルオトロもうすぐ18歳のミカ・ガルバォンに。圧巻の強さと輝きをもって勝ち上がった柔術界の未来そのもののような二人による、大注目の新世代決戦が実現することとなった。
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