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【ADCC Asia & Oseania Trial】「自信はあるッス」岩本健汰&「自分を出しきれれば」米倉大貴

【写真】レベルが急上昇のアジア・オセアニア予選。今日もこの位置で笑顔を見せることができるか(C)MMAPLANET

本日25日(土・現地時間)にシンガポールはジュロンイースト・スポーツセンターで開催されるADCCアジア&オセニア予選。24日(金・同)には同所で計量も行われ、多くの日本人選手も無事計量をクリアした。

午後5時開始の計量は各国から集まったグラップラーが列をなし、日本からの遠征組も含まれていたが、1時間もすれば計量を終えて各々が帰路についた。

そんななか前回の77キロ級優勝の岩本健汰はしんがりといってよいほど最後に会場に到着し、計量へ。一瞬、ギョッとした表情を見せた岩本はステージ奥へ移動する。暗幕の向こうにはアンダーウェアを脱いだ選手用の体重計が用意されており、岩本もそこでクリアし安堵感を漂わせるなかIGLOOの盟友・米倉大貴とともにトーナメントへの意気込みを訊いた。

77キロと66キロで優勝候補に挙げられる2人の日本人組み技師の予選前日の心境とは。


──岩本選手、無事と言いますか奥の体重計を使いパスをしました。実は最初の体重計は重く出ると須藤拓真選手も言っていました。

岩本 ハイ、200グラム・オーバーで。ここで失格になったらヤバいなと思いました(笑)。でも裏で測ると、パンツをはいたままでも77キロジャストでした。パンツを脱いだら76.85キロで(苦笑)。

――やはり前の体重計は重く出ていたのですね(笑)。それにしても、あのパンツが、150グラムもあったとは(笑)。

岩本 いろいろ詰まっているんです(笑)。

――ともあれ無事、計量が終わりました。今の気持ちを教えてください。

岩本 結構落ち着いている感じです。感情的にはなっていないです。前と違うのは勝たないといけないという気持ちがあること。前は勝てれば凄いなという感じだったのですが、今回は勝たないといけないという気持ちでいて――良い意味でプレッシャーになっています。

――77キロ級でも水抜きが必要ということで、ちょっとした疑惑が頭を過ります(笑)。

米倉 ハハハハハ。

岩本 ここで話しておきます。完全にナチュラルです。摂っているのはコーヒーのカフェインぐらいです(笑)。

――これはもう鉄板ネタとして、定着させていこうと思います(笑)。

岩本 僕の周りの人も聞かれるようなので、ハッキリと話しておきます(笑)。

――アハハハ、そんな77キロ級の優勝候補に対し、米倉選手も66キロ級で優勝候補として、海外のサイトでも書かれています。

米倉 もちろん優勝を目指すのは当然なんですけど、自分がどこまでできるのか――ということで、凄く落ち着いています。AIGA(Champion League)で、世界のトップクラスと戦ってあげ過ぎて、試合は落ちたりもして。AIGA以降、自分の持って行き方が分かりました。(IBJJF No Gi)Pan Pacificも福岡のBloom FCも凄く凄く落ち着いて戦うことができました。上げ過ぎない方が良い戦いができるので。

――岩本選手はテキサスのB-Teamで準備し、一方の米倉選手は豪州の方で練習してきました。

岩本 ハイ。テキサスでジョセフ(チェン)と同居して練習してきました。

――そのジョセフ・チェンが欧州予選で優勝し、ここでの対戦を避けることができました。

岩本 ジョセフがいるといないのとでは、気持ちが違いますね。前から2人で話していて、ジョセフが欧州を取って、僕がアジア・オセアニアを取って世界に出ようと。2人がまた戦うなら世界大会、大きな舞台でやろうと。

――まずはジョセフがプランを実行したと。では、米倉選手が豪州で練習するようになったのは?

米倉 ADCC予選前に試合に出たいと決めていて、No Gi Pan Pacific選手権に出て。そこで優勝して帰国しようと思っていたんですけど、Absolute MMAのリーダーのケマルっていう人から『もう少しいたら』と話があって、3週間いました。日本に戻ったのは福岡の試合の直前です。

――豪州から日本、そしてシンガポール。大変でしたね。

米倉 豪州からシンガポールの方が楽なんですけど、福岡の試合が決まっていたので。ギリギリまで豪州で練習していたんです。

――1週間前の試し斬りに関して、岩本選手はどのように思いますか。

岩本 凄く良いと思います。試合慣れをすることは大切なので。僕もあればやりたかったです。ケージ? そこはあんまり関係ないです。

米倉 野瀬選手は立ちが強いので、ADCC予選もレスラーが多いから丁度良くて。もちろん、ファイトマネーも欲しかったですけど。あの試合は1Rで極めるって決めていたので。あれ、テイクダウンに見えたかもしれないですけど……近くで引き込んで足関節というのが作戦だったんです。アンクルピックは違います(笑)。まぁ、Progressはどっちにしても2Pが相手に入るので。でも、そこも気にしていなかったです。ADCC予選は前半の3分はポイントがないので、その戦い方をしておきたかったのもありました。

ジョセフ・チェン ハヤク、ハヤク。(※日本語で)

――おお、盟友から宿に戻るということで巻きが入ってしまいました(笑)。岩本選手が明日、米倉選手に期待するところは?

岩本 僕的にはデイヴィッド・ストイレスクとイーサン・トーマス、この2人が強いと思っていて。大貴が優勝するにはこの強豪に勝たないといけないのですが、可能性は全然あります。

米倉 その2人は逆ブロックなんですよ。

岩本 だから決勝でどっちかに勝てば良いですね。向こうは大貴のゲームを知らないと思うのでチャンスは十分にあります。

――そういう風に言ってもらった米倉選手ですが、岩本選手への期待は?

米倉 期待というか、むしろこの人をどうやって倒せば良いんのかってずっと思っているんで。それぐらいのトップ選手ですから、優勝は間違いない。そう期待しています。

――いよいよ、ジョセフのプレッシャーが強くなってきたので(苦笑)……最後に意気込みの方をお願いします。

岩本 今回は米国でトレーニングキャンプをして、1日3部練を続けてここまで持ってきました。厳しかったですが、ケガもなく過去一番の練習ができたので自信はあるッスね。あとはもう自分に任せるだけです。

米倉 明日のためにずっと練習してきたので、後悔ないよう出し切れればと思います。

――押忍。ジョセフが待ちくたびれているので、急いでください(笑)。

岩本 勝って、しっかりとインタビューで話すので。また明日、よろしくお願いします。

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【Fight&Life & ADCC Asia & Oceania Trial】ADCC予選へ、森戸新士「家族や仲間の存在が自分の力に」

【写真】競技として柔術とグラップリングは別モノであると思いますが、グラップリングを修めようといういう姿勢は生き方として柔術家だと感じます(C)MMAPLANET

現在発売中のFight&Life#99で11月25日(土・現地時間)にシンガポールはジュロンイースト・スポーツセンターで開催されるADCCアジア&オセニア予選に出場する森戸新士のインタビューが掲載されている。

岩国と広島に柔術道場を持つ。経営&指導でありながら、毎月のように道着&ノーギ、プロ&アマ・トーナメントに数多く出場する森戸にとってADCC出場の意義と、柔術家として取り組みを尋ねた同インタビューを全文掲載したい。


──昨日の全日本柔術選手権、ライト級と無差別級で3位でした。

「階級別も無差別も初めて試合をした大浦マイケ選手、グラント・ボクダノフ選手に準決勝で負けてしまいました。マイケ選手は茶帯で勝ちまくっていた選手で、自分の形を創る前に崩されてしまいした。素直に完敗でしたので悔しくて、やり返したい気持ちでいっぱいです(苦笑)」

──無差別の準決勝はポイントを取り合って同点でレフェリー判定負けだったと。マイケ選手もグラント選手も年下です。国内において下の世代が上がってきたことに関しては、どのように捉えていますか。

「そういう年齢になってきたな、と(笑)。僕が黒帯になったのが2018年、あの時には『やっと黒帯の強い選手を倒しにいける』と思っていました。思ったことを実現してきて、今は茶帯から上がってきた強い選手を倒す立場になった。でも今回は倒されたから、やり返したいです」

──それにしても1週間前にグラジエイターで暫定王座決定戦を戦い、世羅智茂選手を破って王者になったばかりでした。ケージ・グラップリングと畳の道着、もう完全に別モノかと。強行スケジュールで、どちらに比重を置いていたのですか。

「今回はノーギの方でした。ただ普段からノーギの試合前でも道着の指導をしていますし。そのままスパーにも加わっているので、どちらも練習しています。ただフォーカスしていたのはノーギですね。道着の方は3、4回ほど練習しただけでした。なので全日本は出場するかどうか迷ったんですけど、これでは来年のムンジアルで勝てないと思い知らされたので、出て良かったです」

──たまたまグラップリングの試合が前だったから、比重を置いていたのでしょうか。

「今回はタイトル戦で、世羅さんにはノーギで1度負けているので。ちゃんと取り返しておきたいというのがありました」

──4-2でしっかりと確実に勝った。そういう印象の試合でした。

「ルール的に上の取り合いになると分かっていましたし、そのつもりで準備もしていました。しっかりと勝てたことは良かったです」

──それにしてもグラジエイター、FINISHというグラップリングのプロマッチ、プロ柔術でもKITとART。そして全日本やアジア、全日本ノーギともの凄い数の試合に出場していますね。

「基本的には月に1度は試合をしていると思います。でも僕は試合が終わると、もう過去のことになっちゃうんです(笑)。次のことしか考えないので」

──現役生活と指導者生活、これだけ試合に出ていてなお、バランスが取れているのですね。

「基本、オファーがあったら断らないようにしています。呼ばれているうちが華なので。大きな舞台で活躍したいですし、その過程でもあるので数もこなしていきたいです」

──そういうなかで旅費、出場費を払うトーナメントと足代が出てファイトマネーのあるプロの試合では、捉え方は違ってきますか。

「試合は始まれば同じなので、あまり違いとかは考えないです。エントリー費用で1万円払うのも経験値を積んで、実績を創るためです。それにトーナメントは試合数が多くて、その分練習で取り組んできたモノを試せて成長できます。勿論、ファイトマネーが少しでも多い方が良いですけどね(笑)。それにプロの試合は旅費の負担がないのも助かります。そこに呼んでもらえていることが、有難いです。そういう舞台で戦うと名前も売れますし、ジムの宣伝にもなるので。プロマッチは相手が強い人しかいないのも良い点です」

──森戸選手はいつ頃からグラップリングの試合に出て、ADCCを目指すようになったのですか。

「初めてグラップリングの試合に出たのは2019年のADCCアジア・オセニア予選でした。岩本健汰選手が66キロ級で代表になった時です。僕は77キロ級に出場し2回戦でラクラン・ジャイルスに内ヒールで負けました」

──ラクランはその年の世界大会では無差別級で3位になるなど、足関節で旋風を巻き起こしたグラップラーですし、初のグラップリングでは致し方ない結果かと。

「あの時は柔術の練習の時に道着の上だけ脱いで藤田(善弘。藤田柔術代表)先生とチョロッとやっただけで出ていました。で足関を創られて、逃げ方も分からず足首とヒザを少し鳴らされてタップしました」

──なぜ予選に出ようと?

「当時はまだ会社員で、仕事をしながらでも選手として活躍したいともがいていた時期で、大きな大会は全て出ようとしていました。それで、取りあえず出てみようと。振り返れば、まぁ……どうやって勝つつもりだったんだろうとは思います。同時にそれぐらいのマインドを持っていないと、ああいう舞台には出ていなかったでしょうし。僕は試合に出て、課題に直面して直していくようにしているので」

──柔術では禁止されている内ヒールで敗れて、これは別モノだから構わないという気持ちには?

「ならなかったです。あの後のラクランの活躍も見て、自分もグラップリングを頑張ろうというきっかけになりました」

──別モノだという考えにはならなかったということですね。

「別モノという考えもあると思います。ただADCCの入賞者を見ても柔術家が多かったです。コブリーニャ、ダヴィ・ハモス、2連覇のJT・トレスと。柔術家がADCCルールに対応するために練習をして結果を残している。つまり柔術はグラップリングで生きているということじゃないですか」

──ハイ。

「グラップリングを戦う上でも柔術の練習が無駄になるとは思わないので、それほど分けて考えることはないです。ただし、グラップリングに特化して練習した方がADCCでは結果を残せるとは思っています。ムンジアルとADCCの両方を狙うよりも、どちらかに集中した方が成果は出しやすい。それでもミカ・ガルバォン、ジオゴ・ヘイス、ファブリシオ・アンドレだとか、ルオトロ兄弟もそうですが、両方で活躍している柔術家も多くて。僕が目指したいのはそういう選手です」

──まさにその言葉通りの活躍を国内ではできています。両競技に出る利点はどこにあると考えていますか。

「利点……利点というか、両方とも楽しいです。道着もアジアの前に集中して練習していると、掘り下げる分だけ新しい技術が見つかって。その時は道着にハマります。でもノーギの大会前はレスリングもそうだし、新しい技術にハマります。一方に集中した方が、競技者としては上達すると思いますが、両方とも楽しいから、今のところは両方で頑張りたいという気持ちです」

──コンペティションに出る理由も楽しいからでしょうか。

「そこに対する取り組みも、ですね。もちろん、試合だから精神的に負担もあります。ただ挑戦していること自体は楽しいです」

──楽しめなくなる。それも競技者生活の一面ではあります。

「注目が集まり過ぎると、そうなるんじゃないでしょうか。マイナー競技だから、楽しめているのかもしれないです。ただゴードン・ライアンが楽しめているとは思えないですね(笑)。ウィリアム・タケットも『試合に出ることはストレスだから、ずっと競技者をやっていこうとは思っていない』と言っていました。弟のアンドリューは、ただ楽しいって感じですけど(笑)」

──なるほどぉ。これは絶対的に否定していることではなくて──。森戸選手が全日本柔術の週末に子供さんの運動会に行かれていたことは、正直驚きました。

「日程的に可能であれば、どんな大きな大会前でも娘の運動会には行きますっ!! 」

──かつかつに体重を落とすわけでないですし。そういえば、MMAでも計量後に運動会に駆けつけている選手もいました。

「僕は減量を余りしないのですが、そりゃあ娘の運動会は大切です。むしろ、そこから活力を得ないといけない。そのために日々を頑張っているので」

──昭和親父として、頭が下がります(苦笑)。

「競技を続けることは当然、楽しいだけではないです。今の僕は道場経営で生活を成り立たせているので、自分の実績も今後の経営に関係してきます。何より応援してくれる家族、生徒さんやスポンサーさん達の生活も僕が活躍することで豊かになってほしいし、自分の心も豊かになれるので競技を頑張りたいです」

──今年は1月にジョセフ・チェンに完敗を喫しました。自らの努力を否定されかねない敗北だったかと思うのですが、心を豊かにするのとは真逆で絶望感を持つことは?

「自分がジョセフの域まで達していないだけで、でも強くなっている実感があります。これだけ強い人がいるのだから、もっと頑張ろうという気持ちになりました。強い選手と肌を合わせられて良かったと思います。戦う舞台が世界になると、ああいう選手が揃っているので。現にジョセフはノーギだと過去一で強かった。ジョセフ・レベルの選手がADCCの世界大会に出る。そういう選手と日本で試合ができて、差も分かりました。そこをどう埋めていくのかという過程に今はいます」

──あの試合以降、森戸選手のグラップリングは技術的に変化しました。ラクランの足関から始まったグラップリング挑戦ですが、この競技自体に技術変遷が見られます。

「今では足関は必須科目です。主流の技術が代わり、その技術を修得していく過程はやはり楽しいです。強くなることが実感できるので」

──その成果を発揮する舞台が、 11月25日のADCCアジア・オセアニア予選です。

「ADCC世界大会は僕の目標とする大会の一つです。招待選手でもない僕は、そこに出るには予選で勝つしかない。もちろん、そこに賭ける想いはあります。そのために練習をしているので」

──その練習環境としては広島&岩国だと、首都圏のコンペ練習がある道場とはまた違ってきます。首都圏ではMMAファイターのプロ練習に参加する選手もいますし。

「練習環境の差はどう見てもあります。でも僕はこのジムを自分で起ち上げて、通ってくれる生徒さん、出稽古で来てくれる練習仲間──皆で強くなっていこうという気持ちでやっています。取り組み方次第で、練習環境の差は埋めていける。結果を残して、ソレを示していきたいという想いでやっています」

──アジア・オセニアニア予選、豪州、あるいは中央アジアからどのような選手が出てくるのか分からないですが、前回優勝の岩本健汰選手が優勝候補一番手だと思われます。東京やB-Teamで練習する岩本選手を相手にして、今の言葉を実践できるのか。大勝負ですね。

「う~ん、ADCCルールの実力でいえば向うの方が全然上です。ジョゼフに勝ち、ウィリアム、ダンテ・リオンという世界のトップと張り合える選手との試合を見ても、岩本選手はめっちゃ強いです(笑)。でも、そこに挑んでナンボなんで。やるからにはもちろん、自分の持っているモノを全部出して勝ちに行きたいです」

──岩本健汰になくて、森戸新士にある長所とは?

「柔術の極め。岩本選手もスクランブルが強いですけど、自分も意外と得意なので、そこで驚かせることもないことはない。そういうところでチャンスを創りたいです。僕はコロナの時に米軍基地での指導という仕事を失って、あの時に柔術を教えていた生徒さんの助けがあって、家族と生き抜くことができました」

──……。

「LEOSを創る前、結婚をする前、子供が生まれる前は自分のことしか考えていなかったです。今は柔術だと試合会場に仲間と一緒に行き、プログレスとか自分だけの試合でもセコンドで仲間が来てくれます。試合直前まで支えてくれて、応援してくれる家族や仲間の存在は、明らかに自分の力になっています」

──圧倒的な実力差があるケースを抜きにして、競り合った時にその想いが森戸選手のエネルギーになりそうですね。

「より一層負けられないという気持ちが大きくなります。試合前も娘の写真を見て……だから運動会にも行くし(笑)。奥さんから娘が『頑張ってねぇ』と言っている動画が送られてきます。道場の皆のメッセージを読んで、動画を見ると良い感じで緊張が取れて『やるぞ』と気持ちを切り替えることができるし。そんな皆のためにも頑張りたいです」

──では改めてADCCアジア・オセニア予選に向けて、意気込みの程をお願いします。

「ADCCアジア・オセアニア予選はレベルも凄く上がっていて、メンバー的にも過酷なモノになると思います。インターバルも短く体力的にも厳しいです。勝ち上がれば勝ち上がるほど厳しい状況になりますが、一つひとつ勝ち進んで──代表権を掴み取りたいと思います」

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【Gladiator023】世羅智茂戦へ、森戸新士─02─「プログレスの日本一を決める試合」

【写真】冷静と情熱のあいだ--森戸の言葉から迷いは一切感じられない(C)MMAPLANET

29日(土)、大阪府豊中市の176boxで開催されるGLADIATOR023にて、PROGRESSフォークスタイルグラップリング暫定ウェルター級王座を賭け、世羅智茂が対戦する森戸新士のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

プログレスのフォークスタイルグラップリングを通じて、これまで森戸はスタンドレスリングを強化してきた。MMAファイターのためのグラップリング=プログレスを通じて、森戸は柔術あるいはグラップリングで強くなってきたのだ。そんな森戸と世羅の対戦成績はギ、ノーギ含めて世羅の1勝2敗――ベルトと雪辱を賭けた大一番に臨む森戸の意気込みを訊いた。

<森戸新士インタビューPart.01はコチラから>


――評価が爆上がり……今年3月に対戦して以降、ご自身とジョセフ・チェンの差はどのように感じていますか。

「実績でいうなら当然、差は開いてしまっていますよね。試合内容を冷静に分析すると、どう見ても差が開いているようにしか思えない。だからといって、そこに挑戦しないということにはならないので。僕は自分ができることをやって、ジョセフ・チェンとの再戦にしがみついていきたいです」

――そのジョセフ・チェンとの対戦に向けてスタートした今回の暫定王者決定トーナメントですが、今年6月の1回戦の感想を教えてください。

「1回戦では、いろいろスタンドレスリングで試そうと思っていました。上手くいった部分もあるし、上手くいかなかった部分もあります。一本も取れなくて、いくつも課題が見つかった試合です。ただ、体格が大きい網藤選手に組み勝てたことは自信にも繋がっています」

――上手くいかなかったこと、とは……。

「テイクダウン後のコントロールです。プログレスのフォークスタイルグラップリングはボディロックが禁止という部分が大きいですね。それとまだレスリングの攻防に対して、練習はしていても試合で使い慣れていないので、スタンドの攻防で削られてしまいます」

――反対に、上手くいった部分とは何でしょうか。

「シングルレッグなど練習で使ってきたテイクダウンのエントリーを、いくつか出すことができました。でも、出せないことも多かったですし、1回戦に対して自己評価はそれほど高くないです」

――厳しい! 対して世羅選手の1回戦を見た感想はいかがですか。

「対戦相手の加賀谷選手はグレコローマンの選手ということで、しっかりスタンドで戦えていたと思います。世羅さんが投げられる場面もあって。加賀谷選手に投げたあとのコントロールがあれば勝ち筋も見えていたと思いますが、そういう意味では加賀谷選手が勿体なかったですね。投げたあとの展開を見ていると『このまま世羅さんが極めるだろうな』と感じて、実際に世羅さんが極めて勝った。そこは思っていたとおりの展開でした」

――これまで森戸選手と世羅選手はギ、ノーギ合わせて過去に3度対戦しています。プログレスで見る世羅選手の印象は、ギあるいはノーギの試合とも違うものですか。

「世羅さんは普段、秒で引き込む選手なので全く違いますよね。プログレスだと引き込みはマイナスポイントですから。でも次の試合は5分3Rですし、どんな展開になるかは分からないです。もしかしたら引き込んで極めに来るかもしれない。ただ、世羅さんもADCC世界大会を目指してスタンドレスリングを強化しているのでしょうし、まずは立ちの勝負になってくると思います。もともと世羅さんはスタンドのバランスが凄く良くて、特にアームドラッグが上手いです。自分としては、アームドラッグからの小内刈りなどを警戒しながら組んでいきたいです」

―なるほど。ここでギ、ノーギ、プログレスとルールが異なるとはいえ、過去3度の対戦を振り返りたいと思います。森戸選手は3試合を全て覚えていますか。

「はい。覚えていますよ」

【森戸×世羅 過去の対戦結果】
■2021年8月8日 JBJJF第22回全日本ブラジリアン柔術選手権
アダルト黒帯ライト級準決勝 森戸def.世羅 by Kimura

■2021年9月4日 JBJJF第9回全日本ノーギ選手権
アダルトエキスパートライト級決勝 世羅def.森戸 by レフェリー判定

■2022年4月9日 JBJJF第23回全日本ブラジリアン柔術選手権
アダルト黒帯ライト級準決勝 世羅def.森戸 by 4-0

――現在、世羅選手との対戦成績は森戸選手の1勝2敗……つまり負け越しています。森戸選手にとって世羅選手に対して苦手な部分、やりづらい部分はあるのですか。

「特に苦手意識はないですね。世羅さんは極める力を持っている強い選手で、それが他の選手との違いではあります。ノーギの試合は、自分としてはレフェリー判定では勝つかと思っていました。でも後半に世羅さんがアドバンを取った印象が強かったのかもしれないです」

――初戦は森戸選手が勝利し、以降は世羅選手が2連勝しています。2戦目から世羅選手に変化はありましたか。

「世羅さんはレッスルアップのタイミングが巧いんですよ。一方で僕は……当時はレッスルアップへの対応が下手でした。あと6月の試合では、世羅さんの体が大きくなっているように感じました。この1年でフィジカルなども鍛えてきているのかもしれません。ただ、僕もレッスルアップについては向上してきています。お互い強くなっていますし、スタイルも変わってきているので、あまり前回のノーギの試合については考慮していません。これまでの結果は深く考えずに、今回の試合に臨みます」

――では最後に、次の試合への意気込みをお願いします。

「プログレスには最初から出させてもらっていて、やはりそのベルトは巻きたいです。今回の試合はプログレスの日本一を決めて、世界トップレベルのジョセフ・チェンに挑みます!」

■視聴方法(予定)
9月30日(土)
午後12時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■ Gladiator023対戦カード

<フライ級/5分2R>
宮川日向(日本)
坪内一将(日本)

<フライ級/5分2R>
陸虎(日本)
古賀珠楠(日本)

<ストロー級/5分2R>
澤田政輝(日本)
三輪勇気(日本)

<フェザー級/5分2R>
水野翔(日本)
野口蒼太(日本)

<ライト級/5分2R>
秋岡翔(日本)
磯嶋祥蔵(日本)

<Gladiatorバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者]テムーレン・アルギルマー(モンゴル)
[挑戦者]竹本啓哉(日本)

<Gladiatorフェザー級王座決定T決勝/5分3R>
パン・ジェヒョク(韓国)
ダギースレン・チャグナードルジ(モンゴル)

<Progressフォークスタイルグラップリング・ウェルター級暫定王座決定T決勝/5分3R>
森戸新士(日本)
世羅智茂(日本)

<フェザー級/5分3R>
河名マスト(日本)
ユン・ダウォン(韓国)

<フェザー級/5分3R>
チハヤフル・ズッキーニョス(日本)
ハンセン玲雄(日本)

<ミドル級/5分3R>
藤井章太(日本)
イ・イサク(韓国)

<ライト級/5分3R>
八木敬志(日本)
エフェヴィガ雄志(日本)

<Progressフォークスタイルグラップリング60キロ契約/5分2R>
NavE(日本)
前田吉朗(日本)

<バンタム級/5分3R>
藤原克也(日本)
川北晏生(日本)

<フライ級/5分2R>
和田教良(日本)
梅川毒一郎(日本)

<フェザー級/5分2R>
桑本征希(日本)
高木亮(日本)

<ウェルター級/5分2R>
森井翼(日本)
阿部光太(日本)

<バンタム級/5分2R>
エダ塾長こうすけ(日本)
宮口龍鳳(日本)

<バンタム級/5分2R>
吉田開威(日本)
空(日本)

<バンタム級/5分2R>
南友之輔(日本)
小松祐貴(日本)

<アマ・フライ級/3分2R>
向井琉綺弥(日本)
伊藤琥大郎(日本)

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【Gladiator023】世羅智茂と王座決定T決勝、森戸新士─01─「優勝し、もう一度ジョセフ・チェンと」

【写真】常に冷静、常に丁寧。そりゃあ、強いでしょう(C)SHOJIRO KAMEIKE

29日(土)、大阪府豊中市の176boxで開催されるGLADIATOR023にて、PROGRESSフォークスタイルグラップリング暫定ウェルター級王座を賭け、森戸新士と世羅智茂が対戦する。
Text by Shojiro Kameike

今年1月に森戸を下してベルトを巻いたジョセフ・チェンがADCC世界選手権を目指すため、ADCCトライアル終了までケージの中で戦うことを一旦休止したことで、暫定王座決定トーナメントが6月大会よりスタートした。

結果、森戸がトーナメント1回戦で網藤雄太を、世羅は加賀谷庸一朗をそれぞれ下して決勝に進出。その森戸は7月にIBJJFアジア選手権でアダルト黒帯ライト級を制し、来年のムンジアル出場権をゲットした。続く8月にはJBJJF全日本ノーギ選手権のアダルト黒帯ミドル級&オープンクラスでも優勝し、11月にはADCCアジア&オセアニア予選出場も予定している森戸に、現在の好調ぶりの理由を訊いた。


――6月のトーナメント準決勝戦から今回の世羅戦まで、ハイペースで試合をこなしていますね。それもギとノーギ、異なるルールの試合で極めまくっているとネット上でも評判になっています。

「ありがとうございます。試合のペースに関しては、コロナ禍で試合ができない時期を除けば、毎年これぐらいは試合に出場しています」

――これだけのペースで試合をこなし、かつ勝利しているということはご自身にとっても好調といえるのでしょうか。

「うーん、勝ってはいても自分に足りないものが多いので、どんどん試合に出て上達していこうと考えています。もちろん良い結果を出すことができて嬉しいです。でもアジアを制したら次は来年のムンジアルに向けて準備していかないといけないので……まだまだ、これからですね」

――ムンジアルは来年が初出場となるのですか。

「そうなんです。色帯時代にもムンジアルには出たことがなくて。国際大会でいえばパンアメリカンは紫帯時代に2回出ていて、あとはアジア選手権に出られる時は出るというぐらいでした」

――今年に入り、森戸選手の中で変わってきたことや変えてきたものはありますか。

「取り組み自体は、それほど変わっていないですね。今までどおりやってきたことが、さらに強くなっている感覚は得ています。それが今の結果に繋がっているのかな、とは思います」

――練習仲間である摩嶋一整選手に森戸選手のことをお聞きしたところ、摩嶋選手は「引き込んで足を取りに行くというイメージだったが、今はスタンドレスリングとケージレスリングが強くなっている」と仰っていました。

「それはそうですね。プログレスの試合に出ることによって鍛えられた部分もあります。それはADCCを見据えて練習しているものでもありますし。ノーギでいえば実際にADCCで勝っている岩本健汰選手のスタイルも参考にしたりとか。今のトップ選手のスタイルを参考していたら、自然とスタンドレスリングとトップからの攻めを練習するようになります。そういうスタイルの変化はありますけど、トップクラスを目指すためには当たり前のことをやっているだけなので。それを試合で試していきたいし、どんどん上を目指していきたいです」

――どこまでも謙虚な森戸選手です。今までは極めの強さがなかった……というわけではなく、下からどんどん極めていた。現在はテイクダウンとトップからの攻めとサブミッションというスタイルが加わっているインパクトが強いのでしょう。

「僕自身も強くなっていると思いますし、あとは相手もどんどん強くなっていますから、そこで極めて勝っているという印象が強くなっているのかもしれませんね」

――サブミッションの精度が高まっている面もあるのでしょうか。

「極める技術が高まっていることはもちろんですが、もうひとつはポジションに対する理解が深まってきています。サブミッションもポジショニングによるコントロールが強ければ強いほど、しっかりホールドして極めることができるようになりますから。ノーギでも足関節の選択肢が増えたり、パスガードを狙いながらサブミッションを散らすことができる技術も研究しています。そのパターンがハマれば極めることができる。結果、一本勝ちが増えているのかなと思います」

――スタイルが変わったというよりも、幅が広がったということですね。

「スタンドレスリングを鍛えれば、まず自分が上を取るか下を取るかの選択ができますよね。相手によって戦術を変えることもできます。あとは今のノーギだと、下になったらレッスルアップで上を取りに行くことも必要です。スイープする時も強い相手だと、返し切れずに相手が片足ケンケンで立ってくる。

やはりレスリング力を鍛えることで、スイープ力も強くなる――つまり全局面で強くなるということですよね。さらに、スタンドレスリングを嫌がる相手からバックを奪えたりと、サブミッションに繋がる展開が増えます」

――なるほど。今年のアジアで優勝してムンジアル出場が確定しているわけですが、もうムンジアルまでポイントを稼ぐために国際大会に出ることはないのでしょうか。

「いえ、獲得したポイントによってトーナメントで入る枠も違ってくるのと、やはり国際大会の経験を積みたいです。道場の運営も考慮しながら、出られる大会には出たいですね。それはギでもノーギでも、同じことが言えます。ノーギだと11月25日にシンガポールでADCCアジア&オセアニア予選があって。すでにジョセフ・チェンはヨーロピアンで勝っているじゃないですか(※9月16日にポーランドで行われたADCCヨーロピアン予選で、77キロ級を制し世界大会出場を決めている)。

だから前回のようにアジア&オセアニア予選には出てこないと思いますが、それでも岩本選手ほか強豪が揃いますよね。できればワールドノーギにも出たいです。ただ、日程が12月7~9日と、ADCCアジア&オセアニア予選と2週間しか離れていないし、ワールドノーギには出るのは難しいと思います」

――ジョセフ・チェンとは今年1月にプログレスで対戦し、敗れています。ADCCでリベンジを狙いたいですか。

「ジョセフ・チェンがまたプログレスに出るなら、プログレスでも再戦したいですよ。今はジョセフ・チェンの評価がさらに爆上がりしていますし、そんな相手と勝負できるチャンスも多くはないので。ADCCとの兼ね合いもあるので予定は分かりませんが――今回のトーナメントで優勝し、もう一度ジョセフ・チェンと試合がしたいです」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
9月30日(土)
午後12時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■ Gladiator023対戦カード

<フライ級/5分2R>
宮川日向(日本)
坪内一将(日本)

<フライ級/5分2R>
陸虎(日本)
古賀珠楠(日本)

<ストロー級/5分2R>
澤田政輝(日本)
三輪勇気(日本)

<フェザー級/5分2R>
水野翔(日本)
野口蒼太(日本)

<ライト級/5分2R>
秋岡翔(日本)
磯嶋祥蔵(日本)

<Gladiatorバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者]テムーレン・アルギルマー(モンゴル)
[挑戦者]竹本啓哉(日本)

<Gladiatorフェザー級王座決定T決勝/5分3R>
パン・ジェヒョク(韓国)
ダギースレン・チャグナードルジ(モンゴル)

<Progressフォークスタイルグラップリング・ウェルター級暫定王座決定T決勝/5分3R>
森戸新士(日本)
世羅智茂(日本)

<フェザー級/5分3R>
河名マスト(日本)
ユン・ダウォン(韓国)

<フェザー級/5分3R>
チハヤフル・ズッキーニョス(日本)
ハンセン玲雄(日本)

<ミドル級/5分3R>
藤井章太(日本)
イ・イサク(韓国)

<ライト級/5分3R>
八木敬志(日本)
エフェヴィガ雄志(日本)

<Progressフォークスタイルグラップリング60キロ契約/5分2R>
NavE(日本)
前田吉朗(日本)

<バンタム級/5分3R>
藤原克也(日本)
川北晏生(日本)

<フライ級/5分2R>
和田教良(日本)
梅川毒一郎(日本)

<フェザー級/5分2R>
桑本征希(日本)
高木亮(日本)

<ウェルター級/5分2R>
森井翼(日本)
阿部光太(日本)

<バンタム級/5分2R>
エダ塾長こうすけ(日本)
宮口龍鳳(日本)

<バンタム級/5分2R>
吉田開威(日本)
空(日本)

<バンタム級/5分2R>
南友之輔(日本)
小松祐貴(日本)

<アマ・フライ級/3分2R>
向井琉綺弥(日本)
伊藤琥大郎(日本)

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MMA MMAPLANET o YouTube ウィリアム・タケット オリバー・タザ ジョセフ・チェン トミー・ランガカー 岩本健汰

【ADCC2024 European Trial01】ジョセフ・チェンが77キロ級を制し、初の世界大会出場を決める!!

【写真】危なげないといっても過言でない戦い振りで、世界大会出場を決めたジョセフ・チェン。11月25日にはオセアニア・アジア予選が実施される (C) FLO GRAPPLING

16日(土・現地時間)、ポーランドのワルシャワにあるアレナ・ウルシヌフ・ホールで第一次ADCCヨーロピアン予選が行われ77キロ級でジョセフ・チェンが優勝を果たしている。
Text by Takashima Manabu

台湾人の父と南アフリカ系ドイツ人の母を持つジョセフは、ドイツのパスポートを保有しており、中東及びアフリカ諸国のグラップラーも出場できるヨーロピアン・トライアルに出場した。


ジョセフは1回戦で昨年のADCC世界大会でウィリアム・タケットをストレートフットロックで破ったマテウス・シュゼシンスキと対戦し、序盤から代名詞といえる上攻めを続ける。シュゼシンスキに足関節をセットさせなかったが、本戦7分で足を越すこともできず試合は3分間の延長戦へ。

ジョセフは小内刈りからダブルレッグで尻もちをつかせ、バックへ。フックをさせなかったシュゼシンスキが、引き込んだことでポイントは獲得ならなかったがレフェリー判定をモノにし準決勝に駒を進めた。

セミファイナルの相手は欧州柔術界、北欧グラップリング界の雄トミー・ランガカーだ。まずランガカーが座り、ジョセフのパスのプレッシャーに負けじと足関節、スイープのセットをする。そんなランガカーに対し、ジョセフはポイント獲得時間になるとまずハーフから足を抜いてマウント奪取で、3 Pを奪取。足を戻され、もう一度抜いてマウントで3Pを追加したジョゼフは、バックマウントも奪い9-0でランガカーに快勝した。

続いて10分&延長4分となる決勝でオリバー・タザと相対したジョセフは、支えつり込み足をシングルレッグで切り返してトップを取ると、過去2試合以上に強いパスの圧をかける。

タザもスクランブルに持ち込み、トップを取れずとも50/50 に入れるなど下からコントロールをはかり、両者譲らず試合は延長へ。ジョセフはテイクダウン狙いの際に、バランスを崩して場外でタザにバックを譲ると、足をフックさせていない状態&仰向けでマット中央で試合が再開される。

その刹那、ジョセフは一気に胸を合わせてバックを狙う。前方に落とされながら、ジョセフは両ワキを抱えた状態で頭を支点に、後転するようにタザのバックを制し両足をフックしてみせる。これで3Pを手にすると、タザの反撃を遮断して昨年は、オセアニア&アジア予選で岩本健汰に阻まれた世界大会出場の切符を19歳&茶帯で成し遂げた。

この他の階級で最速世界選手権出場を決めたのはジョセフ以外の選手は──66キロ級で英国のオーウェン・ジョーンズ。88キロ級はフィンランドのサンテリ・リリウス、99キロ級は南アフリカ国籍のルーク・グリフィン、そして+99キロ級もフィンランドのヘイキ・ユシラと北欧勢が2つの枠を獲得している。

女子は新設された55キロ級でノルウェーのヨセフィーナ・ムーテ、65キロ級はフィンランドのサニ・ブランフォルス、65キロ超級でノルウェーのアーネ・スヴェンソンが世界大会出場を決めた。オーウェンとブランフォルスが紫帯、グフィリスとムーデがジョセフと同様に茶帯で欧州予選を制している。

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Gladiator Gladiator022 MMA MMAPLANET o Progress ジョセフ・チェン 森戸新士 網藤雄太

【Gladiator022】スタンドレスリングにこだわった森戸、TDポイントで網藤の猛攻を振り切る

【写真】ジョセフ・チェン戦の課題だったスタンドレスリングに挑んだ森戸(C)MMAPLANET

<Progressフォークスタイルグラップリング・ウェルター級暫定王座決定T準決勝/5分2R>
森戸新士(日本)
Def.4-3
網藤雄太(日本)

森戸が距離を詰めて首と手首を掴みにいく。森戸が引くと網藤が離れた。シングルレッグでテイクダウンを奪い2pを獲得した森戸は、立ち上がる網藤に対してバックコントロールからグラウンドへ。バックを奪うことはできなかったが、腕をたぐりながらマウントへ移行する。右腕を枕にして抑え込む森戸が、網藤の両脇を挙げさせる。網藤の頭を起こし、腕十字を狙ったが網藤が凌いで立ち上がった。これで網藤にスクランブルの1pが与えられる。

スタンドに戻ると網藤がシングルレッグで組むもテイクダウンできず。森戸は左腕を差し上げて網藤をケージに押し込んだ。すぐにケージから離れる網藤。頭をつけて組みにいく網藤、森戸は腕をたぐってくませない。ケージ中央で森戸が網藤の頭を押さえ、ギロチンを狙う。さらに網藤の右足にシングルレッグで組んだ森戸が、ケージ際で網藤に背中を着かせてテイクダウンの2pを追加する。

残り30秒、森戸がマウントからワキを上げさせて腕十字を狙う。しかしケージの反対側に引き込んで三角に切り替えるも、網藤が返しに行く。ラウンド終了間際に森戸がトップを押さえた。

最終回、ケージ中央の組み手争いから、網藤が首を触りに来ると森戸が下がる。網藤はケージに押し込みながらダブルレッグでテイクダウンを狙うも、森戸がすぐに体勢を立て直してポイントを与えない。森戸のリストを掴んで押し込む網藤。森戸はケージ際でシングルレッグを狙うも、切られてしまう。ケージ中央で網藤の首を引き入れる森戸だが、ギロチンの形には至らない。

森戸が組んで左腕を差し上げると、網藤が離れる。ケージ中央に戻り、森戸がシングルレッグで組んだ。網藤はクラッチを切ろうを試みるが、森戸が押し込む。しかし網藤がクラッチを切ってケージ中央に戻り、組んで押し込むが森戸は倒れない。またもシングルレッグに入った森戸だがグラウンドに持ち込むことはできない。

残り30秒で網藤がシングルレッグで森戸に背中を着かせ、テイクダウンの2pをゲットする。ポイント差はわずか1p。森戸が下から三角と足関節を狙い、そのまま逃げ切った。

試合後、世羅がケージインし「ここまで来たら決勝は一本勝ちする」と宣言。森戸は「ジョセフ・チェンには開始早々テイクダウンを取られて負けたので、今日は立ちで勝負しようと思った。決勝に向けて、良いパフォーマンスができるように整えていく」と語った。世羅と森戸によるトーナメント決勝戦は10月1日、同じく176boxで開催されるGLADIATOR 023で行われる。


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JT・トレス MMA MMAPLANET o SOGI UNRIVALED UNRIVALED02 YouTube アンドリュー・タケット キース・クリコリアン コール・アバテ ジアニ・グリッポ ジョシュ・シスネロス ジョセフ・チェン ディエゴ・オリヴェイラ デミアン・アンダーソン 岩本健汰 青木真也

【SOGI】岩本健汰がメインで、キース・クリコリアンを相手にSOGIウェルター級王座防衛戦!!

【写真】今や岩本、アンドリュー・タケット、ジョセフ・チェン絡みのグラップリングは、どれも超楽しみでならない (C)MMAPLANET

6日(土・現地時間)、ニューヨーク州ホーポージにある10th Planet ロングアイランド道場にて、SOGI(Submission Only Grappling Invitational)主催の「Cinco de Mayo: Iwamoto vs Krikorian」 が行われる。
Text by Isamu Horiuchi

イベント名にあるように、この大会のメインには岩本健汰が出場し、強豪キース・クリコリアン相手に自身の保持する同団体ウェルター級タイトルの防衛戦を行う。グラップリングの本場北米の大会において、日本人選手の試合がメインイベントとしてフィーチャーされるのは、2013年6月9日に行われたMetamrois02のクロン・グレイシー✖青木真也以来、実に9年11カ月振りの快挙。

さらにイベント名に日本人選手の名前が入るのは前例にないことだ。誇張抜きに、日本グラップリング界における歴史的快挙と呼べるこの試合の見所を紹介したい。


SOGIは、2019年から10th Planet ロングアイランド支部が母体となって開催されているグラップリングイベント。一流選手を招待した階級別の王座決定トーナメントやスーパーファイト、一般の参加者向けの初心者や中級者の部の試合も行っている。10th Planet支部だけあり、ルールは当然総帥エディ・ブラボーが発案したEBIルール(本戦はサブミッション・オンリーで、決着がつかない場合はオーバータイム=OT)が採用され、本戦の試合時間は10分だ。

ちなみに今回の大会名のCinco de Mayoとはスペイン語で5月5日を意味し、1862年にメキシコ軍が侵略を試みたフランス軍を撃退したことを祝う日だが、メキシコ本国よりも米国在住のメキシカンの間で重視されているようだ。もっともこの大会が行われるのは現地の5月6日であり、このようなアバウトな大会名の付け方も面白い。

さて、岩本は昨年のADCC世界大会77キロ以下級に出場。2連覇中の優勝候補筆頭だったJT・トレスと初戦で当たり、延長レフェリー判定で敗れたものの、シングルレッグで最初にテイクダウンを奪ったことでその存在を世界に知らしめたのは記憶に新しいところだ。

この大健闘から3ヶ月後の12月、岩本はSOGI主催の大会のウェルター級16人トーナメントに出場。他に有名選手がいなかったこともあり、4試合ともトップゲームで圧倒的な強さを見せて優勝を飾った。初戦と決勝戦は相手に粘られてOTに持ちこまれたものの、どちらもまず相手の攻撃からエスケープを果たした後、自分の攻撃のターンでバックからのチョークを決めて勝利し、SOGI同級王座に就いた。単身本場で戦い、自らの腕一つで名を為す。まさに唯一無二の日本人ノーギグラップラーが岩本健汰だ。

相手のクリコリアンは、ブギーマンことリッチー・マルティネスが率いる10th Planet サンディエゴ所属の軽量級トップグラップラー。昨年のADCC世界大会に向けた東海岸予選では、66キロ以下級準決勝でジアニ・グリッポにチョークで一本勝ちを収める等6試合を勝ち抜くも、決勝でコール・アバテに0-10で敗戦。

続く西海岸予選では、決勝でジョシュ・シスネロスを内ヒールで仕留めて7試合を勝ち抜いて世界大会出場を決めた。世界大会では、3位入賞したパトことディエゴ・オリヴェイラにストレートレッグロックを極められて初戦敗退としている。

そのクリコリアンは、今年3月のSOGI大会にて12月に岩本と決勝で戦ったアンドリュー・ソラノとワンマッチで対戦。引き込んで得意のニーシールドを作ると、下から足を取って崩し、3分少々でバックからのチョークを極めてみせて今大会における岩本への挑戦権を得た。

大会メインイベントに相応しい、世界レベルのグラップラー同士の好カードとなったこの試合。両者とも全局面で優れた技術を持つ万能型選手だが、戦い方は少し異なる。かつて岩本は下からの足関節狙いを主体に試合を組み立てていたが、現在は上からの攻撃を重視する。

日本でMMA選手たちと練習して強化したテイクダウンに加え、テキサス州のBチームにてトップゲームの最新技術をアップデート。上から左右に角度を付けて動き、重いプレッシャーをかけ続けて相手の足を疲弊させ、最終的に上半身を制する術に磨きをかけた。こうして相手を制圧する戦いが、現在の岩本の形だろう。

対するクリコリアンも、もともとレスリング出身だけあって立ちの攻防を恐れず挑む選手。スナップダウンやアームドラッグ、シングルを積極的に狙う場面もしばしばだ。が、引き込みがマイナスにならない状況では自ら下になり、ニーシールド等から積極的に相手の足を狙ってゆくことが多い。前述のADCC西海岸予選でも、7勝のうち3勝は内ヒールによるものだ。

体格に勝る岩本からテイクダウンを奪うのが難しいと見た場合、クリコリアンの方から引き込んでくる可能性は大いにある。その時には、岩本がそのトップゲームをもってクリコリアンのガードワーク、あるいはシールド&フレームを突破できるかが最大の見所となる。

ここで特筆すべきは、ADCC西海岸予選準決勝における、クリコリアン対デミアン・アンダーソンの試合内容だ。岩本が学んだBチームの主要メンバーの一人であるアンダーソン相手に引き込んで足を効かせたクリコリアンは、左右に動いて足を捌きにかかるアンダーソンにパスを許さず、下から足を絡めて得意の足関節で攻撃、最後には崩し切って迅速のバックテイクを決めて快勝したのだ。

果たして岩本は、最先端のパスガードの使い手をも凌駕するクリコリアンの足を捌き切り、制圧することはできるのか。もし今回、クリコリアンを完全に押さえ込むかバックを制する場面が見られたならば、それは岩本が世界の頂点にさらに近づく大いなる一歩と考えていいだろう。

その上さらに岩本が本戦で一本を奪うようなことがあれば、階級差こそあれ快挙と言える。ノーギの本戦10分間にて、世界トップグラップラーを極めるのは至難の業だからだ。逆の言い方をすれば、万能型ハイレベルグラップラー同士によるこの試合、どちらが優勢に進めようが試合がOTにもつれ込む可能性は大いにある。

もしそうなれば、昨年11月にSOS(サブミッション・オンリー・シリーズ)のミドル級トーナメント出場した際に、決勝で自分より遥かに体格で勝る相手を本戦で圧倒しながら極めきれずにOTで敗れた岩本より、おそらく常日頃からOTの研究をし、現にエステヴァン・マルティネスのような強豪にOTで勝利したこともあるクリコリアンの方が有利という見方もできる。

そう考えると今回の岩本には、OTを避けるためどこかで普段の自分のスタイルを崩し、極めを狙いにゆくという選択もあるのかもしれない。以前足関節師として鳴らしていただけに、それを試みるスキルも十分に持っている。

本人がどのような戦い方を選ぶにせよ、岩本にとってこの試合は昨年のADCC本戦のJT戦、昨年末のノーギ・ワールズと今年2月のUnrivaled02におけるタケット兄弟戦に続き、世界レベルのノーギグラップラーと真っ向勝負する貴重な機会となる。

グラップリング未発展の日本を拠点に、道無き道を一人行く勇敢な若者がさらにステップアップするための大きな糧となることを祈りつつ、この試合を見届けたい。

■視聴方法(予定)
5月7日(日・日本時間)
午前7時00~FLO GRAPPLING

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FINISH10 MMA MMAPLANET o ジェセフ・チェン ジョセフ・チェン 寒河江寿泰 森戸新士

【Finish10】ジョセフ・チェンが開いた扉、森戸がトップで削って大健闘&意地の寒河江に後ろ三角極める

【写真】このキムラのホールドで勝負があったか。グラップリングが相当な消耗戦になってきた(C)MMAPLANET

<ライト級/5分3R>
森戸新士(日本)
Def.3R0分42秒by 後ろ三角
寒河江寿泰(日本)

すぐに引き込むと思われた寒河江が、立ちレス──いや、ノーギ柔道で森戸と組手争いを続ける。

ケージに押し込まれ、煽られても下にならない寒河江は首を取られたところで、跳びつき十字から、フラワースイープの要領で腰を押してくる森戸からトップを取りにかかる。

虚をつかれた森戸だが、すぐに草刈りスイープを仕掛けて、立ち上がり上下を逆転させる。

ここから森戸は、足を捌いてパスのプレッシャーを強める。フレームを創り、抵抗する寒河江は森戸を浮かせて、股を潜って前方に送っていく。足を抜いてスタンドを戻った森戸を追う寒河江、下にステイすることはない。

森戸のシングルを切った寒河江だったが、続くシングルでケージに押し込まれ、ついに背中をつかされてしまう。残り時間が少なく、森戸は間髪入れず内ヒールに入ったがタイムとなった。

2R、ケージに押し込まれた寒河江は削られてきた重心を低く保てず、シングルからボディロックテイクダウンを懸命に耐えていたテイクダウンを奪取される。

ハーフを捌き、Kガードに入らせない森戸の圧力に、ついにニーシールドが越えられた寒河江はパスから、即マウントを取られる。

ワキをすくうように体重を掛けて、さらに削る森戸は足を戻されても即ニースライスを狙いつつ、逆側にパスを決めて上四方で抑える。ニーインから三角マウントの森戸は、マウントを切り替えて体重を思い切りかけていく。

寒河江も踏ん張り、足を戻すと森戸はここも一気の足関節狙いでタイムとなった。

3R、ついに寒河江はシッティングを選択する。パスにカウンターの足狙いも捌かれ、頭を跨いだ森戸がキムラに取ると寒河江は反転もできず、エビも使えない。

森戸は後方から四の字に両足をフックする。腕を伸ばされないようグリップを組んでいた寒河江は、後ろ三角に力尽きタップした。

ジェセフ・チェン戦で自ら仕掛けられた展開を、寒河江にぶつけていった森戸が再起の一本勝ちを手にした。体調不良で最後の2週間、練習ができなかった寒河江も跳びつきや、スイープに意地が感じられた──一本負けだった。


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FINISH10 MMA MMAPLANET o Progress UNRIVALED YouTube   コンバット柔術 ジェセフ・チェン ジョセフ・チェン 上久保周哉 寒河江寿泰 岩本健汰 日沖発 杉山廣平 村田卓実 森戸新士 江木伸成 白木アマゾン大輔 石橋佳大 神田T800周一 竹浦正起

【Finish10】寒河江寿泰と対戦──ジョセフ・チェン戦後の森戸新士「ここで燃えないと、面白くない」

【写真】前日のUnrivaledでタケット兄弟とジェイコブ・カウチのサポートを終え、広島に戻った足で神田T800周一と練習し、取材に応じてくれた──燃えている──森戸(C)MMAPLANET

5日(日)に東京都港区のリバーサル田町芝浦スタジオで開催されるFinish10で、森戸新士が寒河江寿泰と対戦する。

昨年来、ケージ内ポイント制グラップリングwith MMAグローブというProgressでの活躍が目立ち、グラップラーのイメージもついてきた森戸だ。1月のグラジエイターではジェセフ・チャンに敗れベルトは奪取ならず、2月の最終週にはウィリアムとアンドリューのタケット兄弟と過ごしたことで、彼の身の内に何が生まれたのだろうか。寒河江戦前の心境をLEOS柔術アカデミー広島で尋ねた。


壁レス、そしてパウンド(!!)も見せていた

──まず1月のProgressフォークスタイルグラップリング・ウェルター級王座決定戦、ジェセフ・チェン戦について改めて感想をお願いします。

「そうですね……あの試合は、結構差を感じてしまったので色々と取り組むべきところがあるな、と思いました。立ちで壁とか使ってどうにかしようと思っていたのですが、そこもできずに一発でテイクダウンに持っていかれてしまいました。

スナップダウンで崩されてしまったので……。組手の創り方とか練習からあまりできていなかったです。ちょっと、色々と見直そうと思いました」

──ただ、それは柔術をやるうえにおいては余り必要ない部分かと思うのですが。柔術家だから寝転んで、自分のやるべきことをやっていれば良い──という風に考えることは?

「やっぱりプログレスという新しいルールで戦うなかで変わってきた部分もあるし、あとはADCCとかも見据えて練習したいと思っています。そういう意味で、柔術のように引き込めば良いという考え方ではなくて、立ちでも勝負できるように普段から練習しようと思います」

──そのような考え方になっていた森戸選手にとって、Unrivaledに来日したタケット兄弟と過ごす時間が長かったというのは何か運命的なモノが感じられますね。

「タケット兄弟とはほぼ1週間付きっ切りでいたので、凄く刺激を貰いました。試したいことがたくさんあります。彼らと話をしていると、取り組み方の違いにも気づきました。打ち込みなんかでもアドバイスを貰いましたし。

ウィリアムが21歳で、アンドリューが19歳と凄く若いのですが、柔術に関する姿勢……その研究の深さの試合とか、違いがありました。『僕らの帰国後も質問があれば、尋ねてきてくれれば良いから』と言ってくれて。彼らからインスパイアされたことを練習で試してみたくて、凄く楽しみです」

──『オースチンに来いよ』とは?

「それも言ってもらえました(笑)。ちょっと計画したいですね」

──ジョセフ・チェン戦の完敗とタケット兄弟との邂逅で、森戸選手自身の中に変化が生まれましたか。

「そうですね。結構、燃えています。次の試合もすぐですし(笑)。FINISHでの試合は展開として、余り立ちとかならないと思いますけど色々と試したいことがあります」

──寒河江選手は階級的に一つ下かと。その寒河江選手との試合は、まず立ちはないかと予想されます。

「ハイ。ジョセフ・チェン選手と戦って、パスガードの仕掛けで削られ、追い詰められて負けてしまいました。そこも研究してきたので、ちょっと試したいですね。それとタケット兄弟のセミナーや打ち込みでも、パスガードでヒントを貰ったので。直ぐにできるかどうか別ですが、トライはしてみます」

──グラップリング、下がデキて当然のトップ時代に入りつつありますね。

「ウィリアム選手もレスリングができれば、それが一番楽に勝てると言っていましたし。ボトムの方が厳しいというグラップリングになってきていますね。自分も発展途上なので、練習で試して、さらに試合で試していきたいです」

──ADCCを狙うということですが、今後は道着の試合の方は?

「両方頑張ります。ジムをやっていて生徒さんにメインで教えているのは道着なので。そこで活躍できないと、説得力がなくなってしまいます。ちゃんと両方頑張りたいです。同時にグラップリングも広めたいと思っているので、そっちも実績を残すことができれば広島や中国地方で広めることができる。グラップリングのクラスも増やしたいですし。ちゃんと、道着もグラップリングも両方で実績を創りたいです」

──ADCC予選に出るとすれば、77キロ級でしょうか。

「66キロに落とせないことはないですけど、77キロですね。そうなると相手は大きくなることを考え、通常体重を少しあげるためにトレーニングを始めようと思っています」

──本気度が感じられます。プログレスで定期的にオファーがあったことで、グラップリング熱が高まったということはありますか。

「明らかにきっかけにはなっています。ノーギの試合機会がなかなかないなか、プログレスからコンスタントにオファーをもらったことで、モチベーションをずっと保つことができました。そういうなかでADCCで頑張っている岩本健汰選手のような存在がいる。インスパイアされながら自分も頑張りたいと思います」

──ジェセフ・チェンが巻いたベルトに関しては?

「いつか取り戻せるように……取り戻せるじゃないですね、1回も取っていないので(笑)。勝ち取れるように、しっかりと積んでいきたいと思います」

──自分など、愕然としてしまったジョセフ・チェンの強さだったのですが、そこで諦めるのではなくモチベーションになったと。

「ここで燃えないと、面白くないですよ」

──なるほど、です。では、その燃えている森戸選手の寒河江選手との試合に向けて意気込みをお願いします。

「ADCCとか世界に挑戦していきたいので、ちゃんと日本で実績を積むことが絶対です。色々と挑戦していくために、とりあえず目の前の試合に勝ちます」

■視聴方法(予定)
3月5日(日)
午前8時55分~ツイキャスLIVE
             
■ FINISH10対戦カード

<ライト級/5分3R>
日沖発(日本)
土屋大喜(日本)

<ライト級/5分3R>
上久保周哉(日本)
石橋佳大(日本)

<ライト級/5分3R>
寒河江寿泰(日本)
森戸新士(日本)

<IREコンバット柔術66キロ契約/10分1R>
村田卓実(日本)
杉山廣平(日本)

<73キロ契約/5分2R>
白木アマゾン大輔(日本)
竹内稔(日本)

<フェザー級/5分2R>
竹浦正起(日本)
江木伸成(日本)

<73キロ契約/5分2R>
小野隆史(日本)
大嶋聡承(日本)

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FINISH10 MMA MMAPLANET o UNRIVALED UNRIVALED02 YouTube   ウィリアム・タケット コンバット柔術 ジョセフ・チェン 上久保周哉 吉岡崇人 寒河江寿泰 岩本健汰 日沖発 杉山廣平 村田卓実 森戸新士 江木伸成 白木アマゾン大輔 石橋佳大 竹浦正起

【Unrivaled02&Finish10】吉岡崇人に勝利、石橋佳大戦へ上久保周哉─01─前に岩本×タケット感想戦??

【写真】自分がある、あり過ぎる上久保は自分の言葉を持っています(C)MMAPLANET

2月26日(日)、東京都世田谷区のiTSCOMA STUDIO&HALL二子玉ライズで開催されたUnrivaled02で、上久保周也が吉岡崇人に勝利した。

その上久保、5日(日)には東京都港区のリバーサル田町芝浦スタジオで開かれるFinish10で石橋佳大と対戦することが決まっている。僅か1週間のインターバルで柔術黒帯に続き、元MMAファイターとグラップリングで戦う。かたやマットでポイント制、もう一方はケージでサブオンリーと違いがあっても、MMAで強くなるために組み技戦に挑む上久保のやるべきことは変わらない。

そんな上久保に吉岡戦の手応え、石橋戦の抱負を訊こうとしたところ、直ぐ隣にメインを戦ったばかりの岩本健汰の姿があり、自然発生的に両者に話してもらうこととなった矢先、岩本とで激闘を繰り広げたばかりのウィリアム・タケットが挨拶にやってきた。結果、岩本とタケットの歓談から、上久保の話を振ることとなった。


──せっかくなので本人を前にして、メインの感想をお願いできますか。

岩本 あっ。僕、上久保選手の試合が見られなかったので。勝った……15分がやりきったと聞いています。

「もう、いつのもヤツですよ(笑)。15分間、相手を固定していたス」

岩本 壁が無いから。

「そう……。でも、岩本君が負けたのショックだった、そうは言っても」

岩本 あと1年あれば、絶対に勝てそうです。

──おおっ!! 森戸選手とジョセフ・チェンの試合を見て、そして今日のウィリアム・タケット戦を見て、改めて岩本選手の強さが認識できた次第です。

岩本 正直、最初に組んだ時、レスリングは余裕だなって思いました。行ける……入ったら倒せると思いました。

「上の組手は、全然勝てそうだったよね」

──実は試合の試合前にケガをして、岩本選手からはレスリングに行けないという話を聞いていました。

「えっ、そうなの?」

岩本 ハイ。専修大レスリング部で水曜日に練習して、テイクダウンに入られた時に相手の指が食い込んで。それで、ブチって。速攻で帰宅して、ずっと休んでいました。だから四つ組みとかはやらなかったです。でも、レスリングでは絶対に勝てると思います。

──昨年のADCCオセアニア・アジア予選、ジョセフ・チェンを破ったのは延長サドンデスでした。今日、終盤パスを取って同点、そしてサドンデスになれば行けたかも……と。そして、そのパスももう少しという風に見えました。

岩本 毎回、僕の場合は……。

ウィリアム・タケット(がやって来て) アリガト。

岩本 凄く勉強になったよ。今回の試合前にBチームで練習したの?

タケット 1度だけね。そんなに行ってない、1度だけだよ。でもニッキー(ライアン)達と良い練習ができた。いやぁ、でも疲れたよ。日本に来るまで試合は10分だと思っていたんだ。

──えっ、そうなのですか。

タケット そうなんだ。だから、もう10分を過ぎるとホントもう動けなくなってしまった。

──77キロで2人の再戦が見たいです。できればADCC世界大会で。

タケット 次のアブダビには、僕は88キロでエントリーする予定なんだ。

岩本 じゃあ、今度はアンドリューが77キロで?

タケット そうなんだ。前回、アンドリューは西海岸予選に66キロで出て、減量し過ぎて力を発揮できなかったから。だから、僕はこれから体を大きくしないといけない。ケンタは体重、どれぐらいなの?

岩本 80キロ付近だよ。

タケット 僕もそれぐらいなんだ。

岩本 それよりヒザのケガの方は問題なかった?

タケット 大丈夫。まだ少し痛いけど。

岩本 でも、本当にヒザが柔軟だったよ。

タケット そうじゃないと戦えない(笑)。ただ、まだ100パーセントじゃないんだ。去年のADCC世界大会でデマテウス・シュゼンスキにやられて。

岩本 ああ、アオキロックでヒザをやったんだ。

タケット そう、アオキロックだった。カカトが捻る形だったから、ヒザがやられた。

岩本 ヒールフックみたいに極まったんだね。

タケット タップしたけど、間に合わなかった。いや、とにかく今日は戦えて光栄だったよ。本当にありがとう。アブダビでは77キロ級に僕がいなくても、アンドリューが必ず出るから。

岩本 楽しみにしているよ。こちらこそ、ありがとう。

タケット またオースチンにやってくるんだろう?  その時に!!

──という戦った者同士の会話でした。

岩本 スミマセン。質問の返答の途中だったのですが、最後のパスは普通の相手なら抜けていたと思います。でも、凄く柔らかくて。

「そんなにずらしている感じじゃなかったよね。見ている限りは」

岩本 足だけがふにゃっとしていました。普通だったら、あそこから行けるんですけど。

「岩本君のパスを耐えているって、見ているだけでも勉強になるから。でも、スタンドでテイクダウンが取れると思っていた」

岩本 今日のコンディションだと、あそこで攻められないのは仕方なかったです。

──ケガがなければ、と。そんななか、上久保選手は来週はFINISHで石橋佳大選手とのサブオンリーが控えているなかで、今日は吉岡崇人選手の引き込み2つのペナルティ4Pで勝利しました。

「完封したいという気持ちはずっとあったので。トップを取って、トップをキープする。パンチを落とせる場所にいることを意識して、相手の仕掛けは切りつつ自分の時間を長くすることを考えていました」

──上久保選手はMMAで強くなるためにグラップリングに出ています。

「ハイ」

──組み技系のグラップラーでも柔術黒帯の吉岡選手に対して、トップにいて噛みつきと担ぎパスを狙い続けるという戦い方を選択する選手がどれだけいるのか。ずっと吉岡選手のフィールドで戦い続けましたね。

「Unrivaledのルール上、-2Pが入った時点で付き合わないで、相手の回りをぐるぐると動いていれば勝てます。でも、自分は相手を削りに行くポジションにいることが一番落ち着ける。触ってこそ、だし。試合のなかで、そういう練習をしたいと思ってやっています」

──相手が、入れば足関節を使いこなす。そういう相手でも、やはりトップにいる戦いを選択できる……だけの自信がありますか。

「それをやりたい……というか(笑)。最優先は勝つことであること。それは間違いないです。仕掛けられると、しっかりと切らないといけないのも当然です。当然なんですけど、じゃあ遠くでグルグルとランニングしていれば良いのか、と。それは自分がMMAで勝つためには必要ないので」

──その理屈でいえばグラップリング界の強豪と戦って、そういう戦いを仕掛けることが上久保選手のMMAファイターの成長につながるということですね。

「そういう選手から上を取って、削っていかないと。柔術の強い選手と試合をして、テイクダウンにいかないで試合に勝とうと思ったら、その時点で自分の持っているカードが減ります。それはしたくない。自分の強いところで勝負できる──そういう強さと自分が欲しいから、グラップリングの試合にも出ているので」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
3月5日(日)
午前8時55分~ツイキャスLIVE
             
■対戦カード

<ライト級/5分3R>
上久保周哉(日本)
石橋佳大(日本)

<ライト級/5分3R>
日沖発(日本)
土屋大喜(日本)

<ライト級/5分3R>
寒河江寿泰(日本)
森戸新士(日本)

<IREコンバット柔術66キロ契約/10分1R>
村田卓実(日本)
杉山廣平(日本)

<73キロ契約/5分2R>
白木アマゾン大輔(日本)
竹内稔(日本)

<フェザー級/5分2R>
竹浦正起(日本)
江木伸成(日本)

<73キロ契約/5分2R>
小野隆史(日本)
大嶋聡承(日本)

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