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【UFC ESPN58】ペレスを下し、ランク5位。平良達郎&松根良太、師弟対談─01─「謙虚さが強さ」(松根)

【写真】抜群の信頼関係にある松根良太と平良達郎 (C)THE BLACBELT JAPAN

6月15日(土・現地時間)のUFC on ESPN58でアレックス・ペレスから2RTKO勝ちを収めた平良達郎は、日本人前人未到のオクタゴン6連勝とし、フライ級で5位にランクされることとなった。
Text by Manabu Takashima

対戦相手が2度変更、戦う日付も2度延期された。その状態で過去最強といって良いペレスから衝撃的なオタツロック→足の負傷というフィニッシュ勝利をした平良と、師匠である松根良太氏に今回の勝利を振り返り、これからに関して尋ねた。

武器を増やしながらも自分の軸を崩さない平良。UFCで王座挑戦が現実的に見えてきた平良の根底にある強さの源が何なのか──が、両者の言葉から見えてきた。


「上手くいかないことを考える時間が凄く長かった」(平良)

──メインでアレックス・ペレスに勝利し、フライ級のランク5位になりました。ティム・エリオット、ジョシュア・ヴァンと対戦相手が2度も変わり、また試合の日も2週間、また2週間と1カ月近く延びました。ただ、一番良い相手との試合をしっかりと勝てたのではないかと。

平良 3人とも面白い選手でしたが、これからチャンピオンを目指す上でペレスが一番良い相手だったと思います。ペレスのテイクダウンディフェンス能力の高さは誰もが認めるところで。そこに対し、僕はどうすれば勝てるのかなってメチャクチャ考えました。

ティム・エリオットだとガチャガチャの展開になって、彼の方から下になることもあったと思います。ジョシュア・ヴァンはグラップリングに穴があって、これまでの試合と戦い方はそれほど変わることはない試合になっていた可能性が高いです。対してペレスと戦うことで、上手くいかないことを考える時間が凄く長かったです。そのペレスからテイクダウンが取れて、自分がやらないといけないことができて勝てた。結果として、一番良い相手に勝てました。

松根 これまでの5試合はランク外の選手と戦って、UFCで上にいくために良い経験が積めているという気持ちはありました。例えば修斗で戦っていた時に清水(清隆)選手に勝った後に、ランキング的に王座挑戦ということでなく前田吉朗選手と戦うべきだと思いました。

ワンクッションを置いてから、挑戦だと。それは平良達郎の経験が足りていないと感じていたからです。前田選手と戦うための練習をしっかりとすることで成長し、福田(龍彌)選手と戦いで勝利する道に繋がりました。彼が修斗で戦っているときは、そんな風に考えていました。対して今の達郎はUFCの5試合で経験が積めています。

ジョシュア・ヴァンとやっても、彼も言ったようにその5試合と同じような試合になっていたはずです。ティム・エリオットに関しては、扇久保(博正)とのストーリーがあるのと、彼のようなスタイルの選手と戦うと、これまでの試合とは違う経験ができるという想いもしていました。

達郎自身も興味を持っていましたし。でも、アレックス・ペレスは現状で一番良い相手でした。紛れもない実力者で、その彼にああいう試合展開で勝てた。達郎にとって、良い経験になりました。ティム・エリオットですが、ACLを痛めたと聞き、その回復の時や今後の復調を考えるともうやることはないかなと思います。

これまでの16試合、達郎も相当に良い経験を積むことができています。機は熟してきているんじゃないかと、僕は思います」

──ペレスはタイトル挑戦経験もあり、直近の試合でマテウス・ニコラウに勝ったこともタイトル挑戦に近づくうえで大きかったのではないかと。

松根 マテウス・ニコラウも越すことができましたしね。

──UFCで上にいくほど、相手は穴が無くなります。そして防御能力が高い。そこが先ほどから平良選手も言われているペレスのテイクダウン防御能力の高さを含めて、過去一番穴のない相手だったかと。

松根 そうですね。そのペレスに対して、初回にはしっかりとジャブをつくことができていました。ペレスがフック系のパンチだったのに対して、達郎は真っ直ぐが打てていた。そして距離を創ることもしっかりとできていました。

バッと来た時に被弾した場面もありましたが、効かされたパンチは一発もなかったです。届いたように見えるパンチも顔を背けて、抜かしています。

沖縄の琉豊ボクシングジムで、與那城(信一)会長の下でやってきたこともしっかりと試合で出ていました。会長も「アッパーをあそこで出せると思わなかった。試合で出せている」と言ってもらえたように、1Rに打撃でやり合えたことはとても大きいです。戦前に僕が予想していたのは、距離感と相手のステップの雰囲気を掴むのに時間を使う。でも2R以降、3R、4Rと達郎はどんどん見えてくるはずだと。それが2R開始の時点で、相当に見えていましたね。

あのまま打撃戦を続けていても、達郎は目が良くて距離感も良いので彼のペースになっていたはずです。岡田(遼)とも話しましたが、初回にやられているということは全くない。そういう印象でした。ただ、取っているかどうかでいうと、そうでないかもしれない。そこで取られるようなことがあれば(※ジャッジは3者とも10-9でペレスを支持していた)、判定に関して今後ももっと勉強をしないといけないと考えています。

平良 1Rは良いラウンドとは言えないですけど、想定通りというか。ペースも思った通りでした。ケージに詰められて手数が減り、ペレスがカーフキックやパンチで攻めてくる展開が続くことは避けたいと試合前に考えていました。それに一番警戒していたカーフキックを2、3発貰ったのですが、「大丈夫だ」と本当に思えて。

──一番嫌だった技が、そうでもなかった。

平良 スコアはそれほど頭になくて、カーフキックに関して「対応できる」と凄く安心できたのは大きかったです。

──個人的に平良選手がUFCとサインをした時に、やっていけるのか不安ばかりでした。スタイル的に一番の武器が寝技、その前のボディロックテイクダウン。寝技はスクランブルゲームが発達している。そしてボディロックは、、その距離に入るための打撃が必要だったからです。

松根 ハイ。

──そうなると、よりボクシング&レスリングが必要で。ただ、そのために自分の良さを失う選手も見てきました。対して平良選手は課題を克服しつつ、得意だったところもより良くなっている。そこが凄いと感じています。

平良 ありがとうございます。

「達郎を信じて少し背中を押した」(松根)

松根 例えば琉豊ジムでのボクシングに関しても、UFCに合わせて近い距離のボクシングが増えています。そこで技術的に上達すると、安心して試合でも距離が近くなります。そこが、自分が通常はボクシングに手を出し始めた選手に感じる不安です。

でも達郎は、それがないんです。自分の戦いを忘れない。軸を崩さないです。ボクシングに関してはいざという時の近い距離の目慣らしをして、試合の時は自分の距離で戦えます。これまでやってきた15戦、今回が16試合目ですが、それまでやってきたことを信じているからだと思います。テイクダウンと寝技を信じて、打撃も信じて戦うことができています。

ただし、試合前は不安になるタイプなんです。15連勝していても、試合前は常に不安に陥って。スタート時点が「これで勝てるのか」ということになるので、そういう彼の謙虚さが、強さです。だからこそ、自分のなかで色々と考えて、噛み砕くことができるので。

平良 今回は特に──でした。これまで戦ってきた選手のなかでテイクダウン防御が一番強く、無駄打ちすると勝手に自分の方からガス欠になってしまう。ただ松根先生にも言ってもらったのですが、自分を信じて2Rになるとテイクダウンに行こうと思っていました。結果、体が動いてテイクダウンからバックを取ることができました。それができたので、しっかりと自信を持つことができる試合になりました。

──5R制だったので3Rよりも不安で、いつも以上に考える。結果、クリアできて自信になったということでしょうか。

松根 今回の試合、そこの部分で達郎と意見が食い違うこともありました。アレックス・ペレスはオールアメリカンで、ディフェンス能力が高いレスラーです。だから達郎はテイクダウンが通用しないかもしれない、無駄打ちすると5R制なので切られてガス欠が怖いと思っていました。

僕はテイクダウンをしっかりと見せること。切られても打撃、打撃からまたテイクダウンを初回から続けることが大切だと考えていました。そういう僕の考えと、5Rだからという達郎の間でせめぎ合いがありました。でも僕は達郎のテイクダウンは、アレックス・ペレスに通じると信じていました。

と同時に達郎が1Rはテイクダウンにいかなかったことで、ペレスは2Rにモロに受けてしまった。そこがあったとしても達郎のテイクダウン能力は、1度で取れなくても2回目、3回目で取れると思っていました。すんなりでなくても、しっかりと取れてきたモノなので。そこに関しては「自信を持って、行きなさい」と伝えていました。

──それでも取れないかもと、考えてしまうものかと。

松根 ハイ。取れないとしても、強い気持ちを持ってリセットする。テイクダウンのフェイントから打撃、打撃からのテイクダウンを織り交ぜて戦う。試合前にデンバーに入って、高地トレーニングでスタミナもあげていたので。スタミナ面も信じていました。

僕自身、5Rを戦ったこともないのに(笑)。でも、達郎を信じて少し背中を押した感じですね。

<この項、続く>

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UFC on ESPN58:メインイベント・アレックス・ペレス vs. 平良達郎

フライ級5分5R。ペレス5位、平良13位。

ペレスは3月・4月・6月と4ヶ月で3試合目。2020年に当時王者のデイブソン・フィゲイレードのタイトルに挑戦したが、1Rギロチンで一本負け。その後は自分や相手の怪我や体重オーバーなどで試合が流れることが多く、1年半ぶりの復帰戦では現王者のアレクサンドル・パントーハに1Rチョークで一本負け。そこからまた1年半以上のブランク明けで、平良と同じく2000年生まれの無敗のプロスペクト・モカエフと対戦。判定で負けたが、モカエフ得意のタックルを切る展開で苦しめた。翌月にマネル・ケイプの代役でマテウス・ニコラウと対戦すると、積極的に打撃で攻めて、右フックでKO勝ち。約4年ぶりの勝利を挙げた。そこからわずか2ヶ月での再登場。レスリング+ボクシングが武器のオールラウンダー。32歳。

当初はペレスとプレリムに出場したウランベコフが対戦するカードが組まれていたが、メインに昇格するにあたってUFC302でジョシュア・ヴァンとの対戦が組まれていた平良との対戦に変更。

平良は試合が決まっては中止や延期などのカード変更に見舞われることが常態化していたが、今回は過去初めてプラス方向への変更。相手がUFC無敗で平良より若いノーランカーのヴァンから、ランキング5位のペレスとなり、試合順も初のメインに。ここまで5連勝で、オッズはすべてフェイバリット。今回も5位ペレス相手にフェイバリット。中止となったが、ランカーのエリオット戦、ヴァン戦もオッズではフェイバリットだった。フライ級は前挑戦者が当時ランキング10位のエルセグであり、上位陣は常連ファイターで欠場中の選手も多く、5位になればタイトル挑戦のチャンスが回ってきてもおかしくない。24歳。

リラックスした表情で入場する平良。

両者オーソドックス。小刻みに上半身を動かすペレス。両者カーフで牽制。右を出した平良だがまだ遠い。ジャブ。ペレス飛び込むフェイント。右で飛び込んだ平良。組み付いたが、脇を差したのはペレス。ヒジを入れたが、四つでがっぷり組んだ。テイクダウンを狙う平良だが引き剥がしたペレス。離れた。首相撲に捉えようとした平良だがペレス引き剥がす。ワンツーを入れた平良。ジャブ。冷静にジャブを入れていく平良。右。左ハイ。ペレス飛び込んで右。また飛び込み左ボディから右フック。平良首相撲に捕らえた。膝。離れた。ジャブを突く平良。ワンツー。ペレスの飛び込みはかわした。アッパーをヒットさせた平良。またアッパー。ペレスが下がる。カーフ。組んできたペレスに首相撲。ペレス離れた。ペレス飛び込んで左右のフック。また出たところで右フックを入れた平良。平良が出たが、出した前手がアイポークになりタイムストップ。再開。残り1分。飛び膝を出した平良。しかし受け止めたペレスがテイクダウン。ディープハーフから立ち上がった平良。詰める。間合いに入らず。ホーン。

1Rは僅差。スタッツではヒット数でペレス、テイクダウンも奪っており、落としていてもおかしくない。

2R。平良ワンツー。ペレスはカーフ。テンカオから右を出した平良。ペレスがタックルに来ると首相撲。すぐ離れたペレス。また出たところに右を入れた平良。が、またアイポークがありタイムストップ。2度目で手を握れと注意される平良。再開。アッパーを入れた平良。ワンツー。カーフ。ペレスもカーフ。ジャブを合わせた平良。またアッパーを入れた平良。ペレスインロー。カーフを返した平良。また出てきたところにアッパーを合わせて首相撲。ペレスすぐ離れる。平良タックル。左脇を差したペレスだが、平良そのまま大内テイクダウン!すぐバックについた!背中に乗ってチョーク。スタンドでおたつロックの体勢。倒れ込んでグラウンドに。おたつロックのままバックマウントでうつ伏せになると、ペレスが膝を痛めて戦闘不能に。試合終了。

裁定を待っているが、ペレスの負傷によりTKOか。

2R2分57秒、TKOで平良が日本人最多となる6連勝でランキング5位ペレスを下す。

おたつロックの状態で背負われた状態で、グラウンドに持ち込むために右後方に体重をかけた際に、ペレスの右膝に体重が掛かり、膝を痛めて倒れた模様。アクシデント的な決着ではあったが、正当な動きの中での勝利。

インタビューではパントーハとのタイトル戦をアピール。

1Rは僅差だったが、ジャッジは三者ともペレス。当然楽な相手ではなかった。序盤やや入れ込んで力みすぎな部分があったが、ペレスが出てきたところにアッパー→組みになると首相撲と、作戦をしっかり実行し、最後はレスラー相手にタックルからテイクダウンを奪い、バックを取るという得意のムーブに持ち込んだ。打撃でも互角に渡り合えていた。成長を見せての勝利。

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【UFC ESPN58】日本のK-1からオクタゴンへ、ヨセフィン・ヌットソン「K-1を生かしたMMA」

【写真】日本格闘技LOVEのヌットソン(C)MMAPLANET

15日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるUFC on ESPN58「Perez vs Taira」でヨセフィン・ヌットソンが、ジュリア・ポラストリとオクタゴン2戦目を戦う。
Text by Manabu Takashima

K-1、Krushと4度に渡って日本で試合経験があるヌットソンは、所属ジムで練習するMMAファイターを見て「いつの日かMMAを戦ってみたい」という想いを抱いていた。そしてコロナ・パンデミックが起こり、ファイトがなくなった日常にあった彼女はアマチュアMMAを戦う機会に跳びついた。

その2年後、コンテンダーシリーズで勝利も契約を逃した彼女だったが1カ月に世界の最高峰に辿り着いた。打撃に関しては既にトップレベル──そんなヌットソンはMMAにフィットしたファイトIQの持ち主だった。


――UFCでの2試合目を今週末に控えています。今の気持ちを教えていただけますか。

「土曜日のUFC第2戦目に向けて、凄くワクワクしているわ。長い期間、今回の戦いの準備をしてきたので。もう、ずっとジムに缶詰め状態で、ようやく外に出ることができたから(笑)。やっと、自分のやりたいことができる。そんな気分ね」

──押忍。ヨセフィンは日本で4度キックの試合をしています。K-1で3試合、Krushで1試合を戦っています。日本にはどのような印象を持っていますか。

「いつも言っているけど、本当に日本のことが大好きで。K-1のような大きな舞台で戦ってきて、日本に行くのはいつも試合の時だったけど、いつもファンが温かく接してくれたことが忘れようはない思い出ね。どこにでもあることでなく──本当にファンがファイターに優しくて、日本のファンの前で試合をすることが大好きだった。日本では人生で最高の日々を送ることができたわ。

今の私の夢はUFC日本大会が開かれ、今度はUFCファイターとして日本のファンに再会することなの」

──この言葉が嬉しい限りです。ところで2019年12月にK-1でKANA選手と対戦したのを最後にキックボクシングの試合を戦っていません。いつ頃からMMAに転向しようと考えていたのですか。

「K-1で戦っている頃から、所属するジムに練習に行くと横でMMAのトレーニングが行われていて。アレクサンダー・グスタフソン、カムザット・チマエフ、イリル・ラティフィ達がMMAの打撃練習をしていたの。彼らのトレーニングする姿を見ていて、いつかMMAに挑戦したいなって思うようになって。

そんな時にコロナ・パンデミックが始まり、試合機会が全くのゼロになったでしょ? そうしたらBRAVE CFからMMAファイト、アマチュアマッチのオファーがあって。もう何も考えることなく、そのチャンスに跳びついたわ。MMAとかキックとかでなく、ファイトの機会を逃したくなかったから」

2020年にBrave CFでアマチュアMMAを経験し、翌年プロデビュー (C)BRAVE CF

──BRAVE CFはUFC、Titan FC、KSW、LFAや日本のプロモーションと並び、いち早く活動を再開。2020年の8月にはストックホルムで4週連続のイベントを開催しました。ロックダウンが世界中であったなか、MMAを戦う準備はできていたのですか。

「あの時は大変だったわ。ただ、ファイティングチームで屋外に出て。1日に3時間、もしくはそれ以上のトレーニングをしていたの。1度の練習にテクニックからコンディショニングまで詰め込むから、その練習時間が長くて。

でも、それが許されたのもスウェーデン政府が緩和策をしていたからだと思う。それでも全てのジムは閉鎖されていたし、ジムで練習しようものならポリスに止められていたはず。ただ、外で練習することはそれほど問題視はされていなかったわ。正直、K-1でまた戦いたいと思っていたけど、パンデミックはアジアを直撃していたし、その機会が訪れることはなかったの」

──2022年6月にはRoad to UFCのワンマッチに出場しました。あの時はもうMMAを戦おうと決めていたのですか。

「そうね、シンガポールで試合をした時はもうMMAで戦っていくことを決めていた。UFCファイターになるって。だからRoad to UFCでの試合は、その一歩だしチャンスを掴むために全てを出し尽くそうと思って戦ったわ」

RTUのワンマッチでは、韓国のソ・イェダムを判定で下した(C)MMAPLANET

──実はBRAVE CFのアマチュア戦は配信で、Road to UFCシンガポール大会は現場で取材もしていました。ただ私はMMAの記者でキックボクシングのことを全然知らなくて、ヨセフィンが日本のK-1で戦っていることも実は知らなかったです。

「アハハハハ、全然大丈夫よ」

──ただ昨年8月のコンテンダーシリーズの時にK-1プロデューサーから、メディアの仕事に戻ってきた中村拓己氏からヨセフィンに注目してほしいと教えてもらったのです。

「なんて素敵な話なの。その話を今回の試合前に聞けて、本当に嬉しい。ハッピーな気持ちになったわ」

──コンテンダーシリーズから約1カ月後にUFCデビュー。当然のように立ち技では既にアドバンテージを持っていますが、グラウンドでも見事にBJJの技術を駆使していました。

「ありがとう!! グラップリングの練習には相当に時間を使ってきたわ。未知の領域だったから。レスリングもそうね。壁レスも。MMAでやって行こうと決めた時、特に怖いとは思わなかった。でも覚悟は必要だったわ。本当に多くの知らない技術を吸収する必要があるし、練習時間はいくらあっても足らないって感じていたから。

何より、再び自分がビギナーになることを受け入れないといけなかった。それってちょっと、気持ちが落ちるんだけど。キックの実績でMMAを戦っていくことはできない。だから懸命にレスリングとグラップリングに取り組んだの。もちろん、MMAの打撃もね」

──そこです。打撃もK-1とMMAでは距離もリズムも違います

「その通りね。別モノだった。K-1ファイターは前へのプレッシャーの強さが必要で、テクニックにも厚みを持たせないといけない。私は可能な限り、その技の厚みをMMAでも生かしたいと考えていて。MMAでもK-1ほどじゃないけど、近い距離でパンチ、キック、ヒザ、そしてエルボーを使う局面がある。あの小さなMMAグローブで、そこを戦うわけで。でも近い距離は絶対に私の世界だから。

MMAにはいくらでも戦いのバリエーションがある。なら、私だから可能になるK-1を生かしたMMAも存在しているはずで。同時にもっと距離を取った戦い方があって、その位置取りは限りなく存在しているわ」

──それでもヨセフィンの立ち技でのアドバンテージは絶対かと。レスリングにはまだ課題があっても、首相撲をよく使っていますね。

「逆にコーチから首相撲を使い過ぎるなって怒られるの。私自身がクリンチが好きだから、すぐに組んでしまう……それも必要のないところで。打撃をもっと使えるのにとか、色々と考えるわ。それにレスリングが強い相手に、首相撲を使う時間は最小限にしないといけないし。やっぱり、近づきたい相手を自分から迎え入れるのは良くない。打撃で突き放さないと。

結局のところ、どういう選手と向き合っているのか。それでやることが大きく違ってくる。それがMMAだと思う。それでも、ムエタイから使っている首相撲は私の武器になるのは絶対ね」

──ヨセフィンのファイトIQの高さは、絶対的にMMAにフィットしていますね。最高のキックボクサーでも、その考えがないと打撃は無力化してしまいます。

「ありがとう(笑)。凄く嬉しいわ。私はいつだってK-1とムエタイ、私のルーツをオクタゴンで見せたいと思っているから。それは、誰と戦った時も変わらないわ」

──つまりは次戦、ジュリア・ポラストリの戦いでも?

「彼女はグラップリングもデキる、ストライカー。でも打撃を使いたがる傾向にある。ブラジルの選手は本当に寝技が強いけど、彼女はストライカーだわ。打撃戦を好んでいる。その立ち技もあまりフットワークを使わないで、上半身は動いているけど、下半身はフラット。ボクシングね。それは良い面もあるし、悪い面もあるわ」

──前足が目の前にありますね。

「そこが狙いだから、これ以上は聞かないで(笑)」

──ハハハハ。では、どのようなファイトをしたいと考えていますか。

「ファンの皆が喜んでくれるK-1スタイルを見せるには、最適の相手。結果、彼女はテイクダウンを仕掛けてくる。その瞬間、きっと驚くことになるわ。グラウンドだって十分に対応できるけど、できるだけ立って戦う。皆に喜んでもらうファイトを見せたいから」

──では最後に日本のMMAファン、そしてキックボクシングファンに一言お願いします。

「今の私の戦いをフォローしてくれている全てのK-1ファンの皆、心から感謝している。日本でUFCが開催された際には、皆に会場で応援してほしい。また、皆に日本で会いたい。その日が来ることを願っているわ」

■放送予定
6月16日(日・日本時間)
午前8時00分~UFC Fight Pass
午前7時45分~U-NEXT

■UFC ESPN57対戦カード

<フライ級/5分5R>
アレックス・ペレス(米国)
平良達郎(日本)

<フェザー級/5分3R>
ルーカス・アルメイダ(ブラジル)
ティモシー・クアンバ(米国)

<バンタム級/5分3R>
マイルス・ジョンズ(米国)
ドゥグラス・アンドレージ(ブラジル)

<フライ級/5分3R>
アス・アルマバエフ(カザフスタン)
ホゼ・ジョンソン(米国)

<ウェルター級/5分3R>
アダム・ヒューギット(米国)
ジョシュ・クィンラン(米国)

<フライ級/5分3R>
タジル・ウランベコフ(ロシア)
ジョシュア・ヴァン(ミャンマー)

<フライ級/5分3R>
ネイサン・メネス(米国)
ジミー・フリック(米国)

<バンタム級/5分3R>
ギャレット・アームフィールド(米国)
ブレディ・ヒースタンド(米国)

<女子フライ級/5分3R>
カーリー・ジュディシー(米国)
ガブリエラ・フェルナンジス(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
ジェカ・サラギ(インドネシア)
ウェスティン・ウィルソン(米国)

<フェザー級/5分3R>
シャイラン・ヌルダンベク(中国)
メルキザエル・コスタ(ブラジル)

<女子ストロー級/5分3R>
ジュリア・ポラストリ(ブラジル)
ヨセフィン・ヌットソン(スウェーデン)

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【UFC ESPN57】メインでアレックス・ペレスと対戦、平良達郎「本当にどう転んでも気持ちで勝てると思う」

【写真】取材を助けてくれてなお、スクショでは主人公は平良達郎とばかりにコントラストをつけて自身は目立たない。岡田さん、神です (C)TAKUMI NAKAMURA

15日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるUFC on ESPN58「Perez vs Taira」のメインイベントで平良達郎がアレックス・ペレスと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

当初、平良は5月18日のUFN241でティム・エリオットと対戦を予定していたが、1日のUFC302でのジョシュア・ヴァン戦に変更&スライド。さらにそれが変更となり、今週末のイベントでフライ級ランキング5位のペレスと対戦することになった。

MMAPLANETではジョシュア戦が決まったあとの5月5日、そしてペレス戦に向けて米国入りした今月5日にインタンビューを実施。対戦相手変更を受けて平良が何を思っていたのか。そして久々に日本人がタイトル戦に絡んでいくかもしれない――そんな期待と注目を集めるペレス戦に向けた想いを訊いた。

対戦相手がエリオットからジョシュアに変更になったあとのインタビューに続いて、今回はペレス戦に向けたインタビューを公開。UFCキャリア最大のチャレンジを控える平良は「今回は試合に対してワクワクしている」と笑顔も見せ、その上で「どう転んでも勝つ」と力強く言い切った。


攻略するイメージは割とすぐ作れました

――5月上旬にジョシュア・ヴァン戦に向けたインタビューを収録したあと、2度目のカード変更でアレックス・ペレスと対戦することになりました。話を聞いたときの率直な心境を聞かせてください。

「(相手変更の)連絡が来たのが沖縄を出発する日だったんですよ。最初はみんな『またかよ!』って感じで慌ただしかったんですけど、相手がペレスになったと聞いて、それはオイシイなと。僕はチャンスが来たと思いました」

――これまでのカード変更と違い、ランキング5位の選手に変更ということで、ポジティブに捉えることもできましたか。

「そうですね。ランキングが上の選手を喰ってやろうという気持ちでポジティブになりました」

――とはいえ準備・対策を変える必要もあったと思うのですが、そこはどう対応しましたか。

「ペレスはジョシュア・ヴァンと全然違いますが、試合まで1カ月あったので、それも含めて松根(良太)さんと話し合ったり、岡田(遼)さんにも相談したり、しっかりと良いイメージを持って集中して準備できている感じはあります」

――ギリギリ1カ月前だったので、まだ軌道修正できた、と。ペレスにはどのような印象を持っていますか。

「一言で言うとウェルラウンダー、ガードを固めてパンチの選手かなというイメージです」

――僕はボクシング&レスリングで前に出てプレッシャーをかけるアメリカ人らしいスタイルという印象です。そこはいかがでしょうか。

「今まで僕が戦ってきた選手と比べると、レスリング力やテイクダウンディフェンス力は高いと思うので、そういう意味では打撃とレスリングの北米スタイルかなと思います」

――ここまで典型的な北米スタイルの選手と戦うのは初めてだと思いますが、勝つイメージは作りやすかったですか。

「攻略するイメージは割とすぐ作れましたね。ただ向こうの得意な攻撃、気持ちよく前に出させると3つくらい攻撃が飛んでくるので、相手のリズムに乗らせないリズムというか。

カーフキックも強いのでカーフを蹴られっぱなしにしないいとか、そういう意識も持っています。北米スタイル、打撃・レスリングにプラス、警戒するポイントも抑えてっていう感じですね」

――個々のテクニックを警戒するのもそうですが、ペレスを前に出させてしまい、後手に回るのが最も危ないパターンだと思います。平良選手もそこは警戒していますか。

「警戒はしていますね。最近あんまりペレスの試合を見ていなかったので、どんな選手だろう?という感じだったんですけど、今年すでに2試合やっていて、そこを見ても(調子が)上がってきているイメージがありますし、今までの相手よりはちょっと気が引き締まっている感じがあります」

――5分5R制という部分はいかがでしょうか。

「修斗で5R制のタイトルマッチをやったことがあって、5Rの作り方をしていたつもりなんですけど、本番では5Rまでいかなかったです。こればっかりは試合をやってみないと分からないし、僕自身は5Rに関しては楽しみです」

――今回の試合は今後のキャリアにおいて重要な一戦だと思います。平良選手にもそういった意識はありますか。

「ここで勝ってタイトルマッチをリクエストするのは難しいと思いますが、一気にベルトも見えてくると思うし、それぐらい重要な一戦だということは理解していますし、どう転んでも当日は僕が勝つだろうなと思っていますね」

――どう転んでも自分が勝つ。それだけ自信を持てている、と。

「本当にいろいろと(勝ちパターンは)想像できています。普通に考えたら僕の寝技を警戒して打撃で来るのかなと思いますけど、そこで組んでドミネイトするイメージ、ペレスはヒットアンドアウェイするスタイルでもないので総力戦になるイメージ、一瞬でチャンスを作って、そのまま流れで決めるイメージ……どれもありますね。本当にどう転んでも気持ちで勝てると思うので、最終的には強い気持ちで勝つだけです」

――試合まで10日ということもあって非常にリラックスしているというか、試合を楽しそうにしているのが印象的です。ペレスと戦うことにワクワクしていますか。

「そうですね。今回は試合に対してすごくワクワクしていまして(笑)。今は練習がすごく楽しくて、もっと練習したいって感じなんです。試合の日は決まっているので、そうもいかないんですけど、練習をやればやるほど自分が上がっているのが分かります。

いつも試合の1週間~2週間前は、なんか『しんどいな…』と感じて、いい動きが出来ないことが多いんですけど、今は対戦相手のイメージもしつつ、そこと自分の動きのピントが合ってきてるというか。そういった意味で試合が楽しみです」

手塚選手からは似たような田舎感を感じました(笑)

――例えば米国で調整していることも影響していますか。

「今までは試合の1週間前に米国入りしてたんですけど、今回は3週間前に入って調整していて、それもすごく新鮮なんですよ。そうやって楽しいなって思うことがいっぱいありますね」

岡田さんのフェザー級での再起戦の報、お待ちしています(C)RYO OKADA

――米国では岡田選手、手塚裕之選手と3人で行動しているのですか。

「はい。手塚さんとは初めて会ったんですけど、めっちゃ優しいですし、一緒にいると不安が解消されるし、なんか………心強いんですよ(笑)」

――今回が初めてだったのですね。そうは思えないほど3人の仲の良さがSNSからも伝わってきます。

「僕も沖縄出身じゃないですか。なんか似たような田舎感を感じましたね(笑)」

――おおらかな平良選手と豪快な手塚選手の間に岡田選手がいるのはすごくバランスがいいなと思いました。

「ハハハハ、そんな感じですね」

――UFCで日本人選手がランキング上位と対戦する、勝てばタイトル挑戦も見えてくる試合は本当に久々だと思います。日本の格闘技ファンはこの試合をすごく楽しみにしています。そういったファンの皆さんにどんな試合を見せたいですか。

「僕がタイトルマッチをやって、UFCのベルトを巻く姿を見せたいというのが一番です。そのために、常にではあるんですけど、毎試合毎試合が落とせない一戦だと思っています。そのなかで一番感じているのは、試合でオールアウトして、スプリット判定になった時、全力を出し切っても勝利が叶わなかったか…という気持ちになりたくないんですよ。仮にそうなっても、しっかり勝ちは取れるように。今回の試合は勝ち以外はありえない、そう思っています」

――平良選手の強い意思を感じる言葉でした。平良選手がどう転んでも勝つ姿を楽しみにしています。

■放送予定
6月16日(日・日本時間)
午前5時00分~UFC Fight Pass
午前4 時45分~U-NEXT

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お蔵入り厳禁【UFC ESPN58】メイン出場、平良達郎がヴァン戦について話していたこと「僕がハマれば」

【写真】確固たる自信が感じられる平良達郎=アレックス・ペレス戦に変更される前バージョンの言葉の数々です (C)MMAPLANET

15日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるUFC on ESPN58「Perez vs Taira」のメインイベントで平良達郎がアレックス・ペレスと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

当初、平良は5月18日のUFN241でティム・エリオットと対戦を予定していたが、1日のUFC302でのジョシュア・ヴァン戦に変更&スライド。さらにそれが変更となり、今週末のイベントでフライ級ランキング5位のぺレスと対戦することになった。

MMAPLANETではジョシュア戦が決まったあとの5月5日、そしてぺレス戦に向けてアメリカ入りした今月5日にインタンビューを実施。対戦相手変更を受けて平良が何を思っていたのか。そして久々に日本人がタイトル戦に絡んでいくかもしれない――そんな期待と注目を集めるぺレス戦に向けた想いを訊いた。

まずはお蔵入り厳禁として、対戦相手がエリオットからジョシュアに変更になったあとのインタビューからお届けしたい。


――今回も…という言い方はおかしいですが、対戦相手がティム・エリオットからジョシュア・ヴァンに変更となりました。カード変更の話を聞いた時はどんな心境でしたか。

「もともと3月上旬にティム・エリオット戦が発表されて、大会が5月18日だったんで結構準備期間があって、すごく順調に来ていたんです。だから逆に僕は何か疑っていたんですよ、こんな順調に試合まで行くことある?って。そうしたらやはり恒例の…(対戦相手が変更)ですね(苦笑)。

僕らとイリディウムのLINEグループがあるんですけど、そこにメッセージが入った時に、これは相手が変わるなと察しました。そうしたら案の定『エリオットがアウトになります』ということで。僕も相手変更の連絡が来て、初めの頃は『どういうことですか?』みたいに、松根(良太)さんにもLINEして送ったりしたんですけど、今はもう慣れてしまったというか、分かりましたという感じですね」

――エリオット戦に向けた調整や準備は順調だったのですか。

「かなり順調にきていて、倒す気満々でした」

――試合間隔としては約5カ月空く形ですが、その期間は相手の対策以外の部分でどんなことに重点を置いて練習してきたのですか。

「おそらく次はランカーとの対戦が決まるだろうなと思っていたし、僕からも絶対ランカーを用意してくれと伝えてもらっていたんです。だから誰が来ても倒せるように、自分自身、スタンドだったり色々と。結局は全体的になるんですけど、あらゆる面を強化していましたね」

――もちろん対戦相手によって練習内容は変わると思います。その一方でランキングに入ってからはトータル的に強くならないと、この先の勝負は勝っていけないという感覚もありますか。

「そうですね。軽量級のランカーは基本的に何でもできる選手が多いので。そういう上の選手と戦っていくなかで、自分の打撃と寝技の両方で相手を削るというか、そこをミックスさせられるように。試合になったら自信を持って技を出せるくらいのクオリティで引き出しを増やす。そういうイメージで練習していましたね」

――UFCでランカー、しかもトップ選手と戦うとなると「長所をどれだけ伸ばすか」と「短所をどう補うか」のバランスが難しくなりそうです。そういうところも松根さんと話をしながら練習内容を考えているのですか。

「松根さんは基本的に『自信を持ってやっていいよ』と言ってくれて。例えばエリオット戦が決まったときは、エリオットはレスリングが強いからガチャガチャした展開になることが多いので、僕は松根さんに『組んでの離れ際を積極的に狙いたい』とか、そういうイメージの話をしていたんです。

そしたら、松根さんは『全然四つ組みでも通用すると思うから、達郎は自信を持ってやればいいよ』と言ってくれたんですよね」

――なるほど。松根さんの考えは対戦相手に軸を置くのではなく、自分のストロングポイントをどうぶつけて勝つか。そのための底上げをするようなイメージですか。

「そうですね。そういうイメージです。僕は僕で作戦を立てちゃうところもあるんですけど、松根さんはベーシックに今までやってきたことを変えない方がいいよという派なので。うまくバランスがとれてやっていますね」

――僕のイメージでは選手の方が自分に自信を持っていて、トレーナーは相手や試合によって戦術を考えるイメージだったので、平良選手と松根さんの場合はそれが逆なんですね。

「確かに逆かもしれないです。僕は結構相手のストロングポイントに気をつけて戦おうとするタイプなんですけど、松根さんは『それで達郎のいいところが消えるよりは、達郎のいいところを出そう』という考えで。スパーリングでも対策的な動きだけじゃなく、僕の長所や得意技を活かすように言ってくれるので、それがあるとスパーリングの内容も変わってくる。そうやって今は全部自信を持ってやっています」

――そして今大会ではジョシュア・ヴァンと対戦することになりました。平良選手と共にフライ級新世代を代表する選手ですが、いつか対戦するだろうという予感はあったのですか。

「はい、どこかでぶつかるかもなとは少し思っていました。まだ底が見えない雰囲気の選手ですし、どこまでいくかなと注目していたら、その役目が僕に回ってきたみたいな感じです」

――これまでのジョシュアの試合を見ても、自分のポテンシャルとストロングポイントをぶつけて勝つスタイルで、いい意味で怖いものなしだと思います。

「僕と比較して言えば、ジョシュアがストライカーで僕がグラップラーだと思うんですよ。シンプルに寝技は僕の方が上回ってると思います。ジョシュアはいわゆるファイターというか戦士みたいなイメージで、僕も似たような選手と戦ったことがあるので、自分としてはいいイメージができています」

――平良選手もジョシュア選手もフィニッシュして勝ちたいという気持ちが強いのでかみ合う試合になると思っています。それと同時に同じ新世代というところでの出世争い、ネクストジェネレーションの潰し合いだと思います。そこは意識していますか。

「意識していますね。ここで負けるとジョシュアがどんどん上にいくと思いますし、逆に僕は絶対に勝って、改めて上位ランカーの人にアタックしないといけない立場です。本当に落とせない試合になったなと気持ちが引き締まりました。エリオットが試合をできないと聞いて落ち込みましたし、どうなるんだろうと思った時にジョシュア・ヴァンの話が来て。

僕も追われる立場というか、そういう感じにもなりましたけど、新世代同士の潰し合いという意味ではワクワクする気持ちも大きいです。この相手を倒した時、やっぱりこれからのフライ級は平良だなと思わせるにはいい相手なので、僕自身すごい楽しみですね」

――ここから本格的にタイトル戦線に入っていくための試合になると思いますが、今日のタイトルマッチ=アレッシャンドリ・パントージャ×スティーブ・アーセグをご覧なりましたか。

「見ました。パントージャがやっぱり強かった、しっかり勝ったイメージなんですけど、チャンピオンも確固たる強さがありつつ、5Rやればオールアウトするような試合になるんだなと。僕は結構隙はあるなと感じましたね」

――ランキングで言えばアーセグは挑戦時にフライ級10位で、それでもチャンピオンを追い詰める展開があるということは、他の階級よりも1位~10位まで誰にでもチャンスがあるのがフライ級だと思います。それで勝ちきるパントージャもすごい選手ですが、付け入る過ぎがないわけではないですよね。

「それは間違いないと思います。今のフライ級は突出して強いデメトリウス・ジョンソンみたいな絶対的なチャンピオンはいないと思っているし、逆にそういう飛び抜けたファイターが必要だと思うので、そこに僕がハマればいいかなって思っています」

――その飛び抜けたファイターになるまず第一歩がこの試合だと思います。最後にファンのみなさんにメッセージをいただけますか。

「この試合は勝った方が自ずと上にいくと思いますし、大きい会場で自分自身楽しんで普通に圧倒して、ジョシュア・ヴァンを倒して勢いづいてまた上にアタックしていきたいなと思っています」

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【UFC】速報!平良達郎 再び対戦カード変更!ランキング5位ペレスとメインで対戦!

変更の末に6月1日に開催されるUFC302でジョシュア・ヴァンと対戦する事になっていた平良達郎。それが再び変更。6月15日に開催されるUFCVegas93でフライ級ランキング5位のアレックス・ペレスと対戦する事が明らかになりました。しかも今回はメインカード。5分5Rで行われます。

あまりの急な変更、しかも驚くべき内容。頭の中がぐちゃぐちゃで整理出来ていませんが、元々対戦する予定だったヴァンはランク外で血気盛んな若手。ぶっちゃけリスクが大きかった事を考えると、メインでランカーと対戦するのは明らかにメリットが大きいと言うべきでしょう。

ペレスは敗れたものの、過去に デイブソン・フィゲイレードとのタイトルショットも経験しているフライ級のビッグネーム。打撃でもKO出来るし、寝技でも極められるオールラウンダー。平良となら全局面でハードで動きのある試合になるはず。5Rという未知なる領域はありますが、このチャンスは是が非でも掴んでほしい!続報は追って!
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AB F1 o ONE UFC UFC301 アレックス・ペレス ジョシュア・ヴァン マネル・ケイプ 岡見勇信 平良達郎

UFC on ESPN+100:平良の試合が6月15日のメインイベントに変更。相手はランキング5位のアレックス・ペレスに。

6月1日のUFC301で組まれていた平良達郎 vs. ジョシュア・ヴァン、6月15日に予定されていたアレックス・ペレス vs. タギル・ウランベコフの2試合が組み換え。ペレス vs. 平良、ウランベコフ vs. ヴァンとなり、ペレス vs. 平良は5Rのメインイベントとして行われる。

ペレスは3月にムハンマドモカエフと対戦し、モカエフがキャリアで最も苦戦する試合となったが判定負けで3連敗。4月に予定されていたマテウス・ニコラウ vs. マネル・ケイプ戦でケイプが負傷欠場となり、代役としてペレスがニコラウと対戦して、2RKOで4年ぶりの勝利を挙げている。

今回は負傷等で欠場する選手はおらず、6月15日のAPEX大会のメインのカードが決まっていなかったため、メインとしてふさわしいカードを組むために組み換えが行われた模様。だとすると、13位の平良より上の12位で、UFC4勝1敗のウランベコフよりも、無敗でUFC5連勝中の平良の方がメインに組む価値があると評価されたことになる(一番割りを食ったのがウランベコフで、ランキング5位のペレス戦からランク外のヴァンへと変更されている)。日本人ファイターがUFCのメインイベントで組まれるのは2017年のUFC日本大会でオヴァンス・サン・プレーと対戦した岡見勇信以来。

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【悲報】ティム・エリオットが欠場 平良達郎の対戦相手がUFC3連勝中のジョシュア・ヴァンに変更

951: 実況厳禁@名無しの格闘家 2024/04/26(金) 01:57:45.17 ID:P44EvllP0
平良はまたノーランカーとやることになったのか
ドンマイw


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【Special】月刊、水垣偉弥のこの一番:12月 平良×ヘルナンデス「イメージ的にシャーウス・オリヴィエラ」

【写真】寝技に自信があるかこその打撃、フィニッシュから逆算した組み立て。まさに独自にスタイルで勝ち続ける平良達郎だ(C)Zuffa/UFC

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客3名が気になった試合をピックアップして語る当企画。背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。
Text by Takumi Nakamura

大沢ケンジ、水垣偉弥、柏木信吾というJ-MMA界の論客をMMAPLANET執筆陣がインタビュー。(担当・中村が月を跨いで取材する凡ミスをしたため、12月&1月の2部作として)今回は水垣偉弥氏が選んだ2023年12月の一番──12月9日に行われたUFN233の平良達郎×カーロス・ヘルナンデス戦について語らおう。


──今月の一番ですが、完全に私のミスで1月を跨いでしまいました…。というわけで今回は12月と1月の二本立てでいかせてください! まずは12月の一番はUFN233での平良達郎×カーロス・ヘルナンデスをセレクトしていただきました。やはりここは平良選手の勝ちっぷりですよね。

「すごく安心して見ていられましたし、ここ数試合は相手が弱く見えちゃうくらい、平良選手の安定感と強さが際立っていますね。当たり前のことや基本的な技を決めて、ポンポンポン!と駒を進めてしまうので『あれ?相手こんなことも出来ないの?』と思っちゃうんですけど、対戦相手の他の試合を見てみると全くそんなことはないわけで。今回もフィニッシュは右ストレートからのパウンドでしたけど、普通に寝技で圧倒しちゃうわけなので、相当寝技は強いんだろうなと思います」

──UFC参戦当初は勢いや相手との相性で勝っていたのかなと思う部分も少なからずありましたが、5連勝という結果でUFCファイターとしての実力を完全に証明したと思います。

「ランキング手前の選手は完封して勝つことを証明できたので、次はランキングの上の選手たちとどう戦っていくかですね」

──あの試合で具体的に良かった点はどこですか。

「もちろん四つ(組み)の強さもあるし、寝技で上を取れる選手ではあるんですけど、テイクダウン能力がめちゃめちゃ高いタイプではないと思うんです。でもそこ(トップを取る)につなげるためのスキルとしての打撃のレベルが高いことも分かって、右ストレートを効かせてパウンドでフィニッシュしても驚きはなかったです」

──寝技に自信がある=打撃で思い切りいける=結果的に打撃が当たるスタイルですね。

「グラウンドで下になっても落ち着いているじゃないですか。今回僕がびっくりしたのは、1Rに自分で蹴ってバランスを崩して下になった時、迷わずに潜りスイープにいったこと。僕自身がそうだったし、僕は選手を指導するときも『MMAで潜りスイープは危ないよ』と言うんです。腕を足に挟まれて殴られたり、失敗したときのリスクが大きいので」

──今のMMAファイターはあの場面では背中を見せて立つことを選択する選手が多いと思います。

「はい。あとは、もし僕が1Rのあの時間帯で下になったら相当焦っていたと思います。でも平良選手は迷わず潜って上を取っていて、それだけ寝技の技術に自信があって、実際にスキルのレベルも高いんでしょうね。イメージ的にシャーウス・オリヴィエラというか、グラウンドで下になってもOKだから打撃を思い切りいける、みたいな」

──平良=チャールズ・オリベイラはイメージしやすいです。あとは事前のインタビューで平良選手が殴る・削る意識を持って戦うと言っていて、そこも影響したのかな、と。

「僕が試合前にインタビューした時にもそれを話していて、実際にパウンドアウトしたわけだから、自分のやりたいことを明確に持って戦って、それが上手く試合で出せているんだなと思います」

──個人的には打撃を出す際の安定感も増しているのかなと思いました。

「フィニッシュの右は安定感がありましたよね。強いパンチが打てる姿勢で出せていたと思います。あのパンチも『倒してやろう!』と思って出したというよりも自然に出ていたパンチだと思います。やっぱり組みや下になることを警戒していると、ああいうパンチは出せないです」

──平良選手は試合を組み立てた先にフィニッシュがあるのではなく、フィニッシュから逆算して戦っている印象があります。僕は倒す感覚や極める感覚に優れていることも才能の一つだと思っていて、キャリア関係なくフィニッシュできる選手はフィニッシュの画が見えているというか。

「確かに。僕は打撃で倒すという部分で言えば倒すことを捨てたんですよ」

──倒すことを捨てた、ですか。

「はい。僕は相手を倒す攻撃には”落差”が必要だと考えていて、軽くパパパパン!とパンチをまとめて、フィニッシュブローをズドン!と強く打つ。打撃の威力に”落差”をつけるからこそ、相手に大きなダメージを与えると思うんです。でも僕の場合は先にガードの上からでもいいので強いパンチをズドン!と当てるんです。最初にそれをやって相手に『この相手はパンチがあるな』と思わせる。そうすると相手は僕のパンチを警戒した動きになるし、相手はやりたいことができなくなる。最初に一発かましておくことで、結果的に僕が試合を進めやすくなるんです」

──あえて警戒させるためのビッグヒットですね。

「はい。ただそれをやると相手の警戒心を強める分、倒すための攻撃は当てづらくなるんです」

──倒すための戦い方か、勝率を上げるための戦い方か。

「そこで僕の場合は考えを割り切って、倒すことよりも自分が有利に戦って勝つ可能性を上げることを選択していました」

──水垣さんが現役引退したからこそ話していただける技術論ですね。

「寝技にもそういった組み立てがあるだろうし、倒し感や極め感がある選手は本能的にその組み立てや落差のつけ方ができるんでしょうね」

──平良選手はそれをUFCで勝つレベルで出来ているわけで、自分のフィニッシュ力をMMAに落とし込むセンスや才能もある。

「先ほどの話にもつながりますが、僕が考えているMMAで勝率を上げる戦い方とは違う戦い方をしていますよね。判定勝ちにするにしても、レスリング勝負してトップキープして削る…とは違うじゃないですか。だからどうやってあのスタイルや戦い方を身につけたのか気になるんですよ。先生の松根(良太)さんの現役時代とも少し違うし。松根さんの指導の幅の広さや持っている引き出しの多さで、ああいう選手が育ってきたのか。僕はそこにも興味があります」

──いよいよ今年はランカーとの対戦が組まれると思います。どんなことを期待していますか。

「上位陣に勝ってタイトルを獲ることも期待しているし、無敗のままいけるか。ランキング上位陣にどういう戦いができるか楽しみです。平良選手を含めたフライ級の新世代= ムハマド・モカエフ、アザット・マクスン、ジョシュア・ヴァン…たちが、上位ランカーとどう戦っていくか。またその世代同士の潰し合いがどういう結果になるのか。それも合わせて楽しみです」

──鶴屋怜選手がRoad to UFCで優勝してUFCと契約し、堀口恭司選手や朝倉海選手もUFC参戦に興味を示しています。今年はUFCフライ級が一気に注目されますね。

「フライ級は日本人が活躍できる階級なので、そういう部分でも今年はより注目ですね」

──あと僕が平良選手を取材していて、いい意味で図太いというか、UFCにチャレンジしているという感覚を持っていない気がしています。UFCで戦うことが当たり前、みたいな。

「そうなんですよ。マイクアピール一つとっても、しっかりタメを作ってから『アイム・ハッピー!センキュー!』とか“慣れてきた”じゃないですか(笑)。そうやってUFCの一員になってきたなと思いました。それと今回の勝利で僕が持っていた日本人のUFCでの連勝記録(5連勝)に並ばれたんですよ。これは僕が拾っておかなければいけないな、と。そういう意味でも今回、平良選手の試合を選ばせてもらいました」

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45 MMA MMAPLANET o UFC UFC300 UFN UFN235 アザット・マクスン キック ジョシュア・ヴァン チャールズ・ジョンソン

【UFN235】1Rにダウンを奪われたジョンソンが打ち合って挽回。17戦無敗のマクスンに判定で逆転勝利

<フライ級/5分3R>
チャールズ・ジョンソン(米国)
Def.3-0:29-28.29-28.29-28.
アザット・マクスン(カザフスタン)

ジョンソンが細かくパンチとローで前に出る。マクスンは左フックから右ストレート。これを効かされたジョンソンがすぐに組みつく。マクスンはがぶり返しからダースチョークを狙う。ジョンソンもマクスンに密着させず、立ち上がる。マクスンは左フックとヒザ蹴り、サウスポーにスイッチして左ストレートとヒザ蹴り、オーソドックスに戻すとジョンソンのインローに左を合わせ、これでジョンソンがバランスを崩す。

組みつくジョンソンをがぶるマクスン。ここはジョンソンが腰を上げて距離を取る。マクスンがジャブ、ジョンソンはサウスポーにスイッチする。マクスンもシングルレッグを狙いつつ、ワンツー。ジョンソンも左のカーフキックから右フック、左から右アッパー。マクスンがシングルレッグからテイクダウンを狙ったところでラウンド終了となった。

2R、細かく構えをスイッチするジョンソン。マクスンもワンツーを返し、サウスポーに構える。ワンツーで前に出ていくマクスン。ジョンソンはパンチに合わせて組んでテイクダウン、すぐにバックについてRNCを狙う。マクスンは足をフックさせず、ジョンソンを前に落とす。ジョンソンが三角絞めを仕掛けると、マクスンは担いで外してバックへ。スクランブルになるとジョンソンが立ち上がって、試合はスタンドに戻る。

マクスンが右ストレート、構えをスイッチしながらワンツー、左のヒザ蹴り。ジョンソンも距離が詰まるとヒザ蹴りを返す。マクスンは右ストレート・右フック、そのまま組みついてジョンソンを押し込む。ジョンソンも差し返してヒザ蹴り、シングルレッグでテイクダウンを狙う。

3R、サウスポーのマクスンが左ストレートで前に出て、左ストレートから右フック。マクスンもインローを蹴り返す。オーソに戻したマクスンが右フック・右ストレート、ジョンソンの左ミドルをキャッチしてケージに押し込む。テイクダウンを阻止するジョンソン。マクスンは後ろにつきつつ、ヒザ蹴りを入れて離れる。

マクスンはジャブとワンツー、ジョンソンはマクスンの前足に細かくローを蹴る。マクスンが左右のストレート、ジョンソンもオーソドックスからワンツーを当てる。マクスンがジョンソンの左ミドルを取って、シングルレッグに入るとジョンソンはカウンターのニンジャチョーク。離れ際に右アッパーと左フックを当てる。

試合がスタンドに戻るとマクスンがワンツー、ジョンソンは距離を取りながらローと左フックを的確に当てる。残り20秒、ジョンソンがダブルレッグでテイクダウンすると、マウントを取って一気にパンチを落とす。1Rにダウンを喫したジョンソンだったが、2R以降は細かい打撃と組みで挽回し、逆転勝利を収めた。試合後、ジョンソンは「この階級はもっともテクニカルなんだ。どのプロモーションのなかでも。そのためには強い精神力が必要だ。UFC300のオープニングファイトでジョシュア・ヴァンとやりたい!!」と叫んだ。


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