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AB o UFC キック ジョシュア・ヴァン ティム・エリオット マット・シュネル

UFC on ESPN+103:第9試合・チャールズ・ジョンソン vs. ス・ムダルジ

フライ級。同じフライ級のニコラウ vs. アルマバイエフのランカー対決を差し置いてセミ前で組まれた。

ジョンソンは昨年3連敗でリリース寸前まで追い込まれたが、今年2月に無敗の中央アジアファイター・カザフスタンのアザト・マクスム相手に代役で緊急出場。1Rにダウンを奪われ絶体絶命のピンチに陥ったが、2R以降にパンチで盛り返して逆転判定勝ち。ギリギリ生き残った。さらにジェイク・ハドリー、ジョシュア・ヴァンにも勝利して、すべてオッズではアンダードッグながら3連勝を達成。年間4勝目に挑む試合となる。ランカー目前のヴァンには、3R開始等同時にラッシュを仕掛けて、アッパーでKOしてUFCでの初黒星を与えている。今回のオッズは4戦ぶりのフェイバリット。33歳。

ス・ムダルジは前戦までランキングに入っていたが、敗れてランク外に。チベット出身で、ニックネームはザ・チベタン・イーグル。UFC3勝3敗。激闘型ファイターで、マット・シュネルにはパンチを効かせる場面があったものの、逆にパンチでダウンし、最後は三角絞めで一本負け。ティム・エリオットにも打撃では攻勢だったが、グラウンドに持ち込まれると一方的に攻められ肩固めで一本負けと連敗。6月にはジョシュア・ヴァン戦が組まれていたが欠場した。28歳。

いきなりパンチで飛び込んだジョンソン。詰めるとシングルレッグに入る。ケージに押し込んだジョンソン。引き剥がそうとするス・ムダルジだが、離れ際に右をヒットさせる。すぐに詰めるジョンソン。左右のパンチで出た。バックステップでかわすス・ムダルジ。しかしまたケージに詰まった。右ハイ。左フックをヒットさせる。ス・ムダルジはヒジを返す。ス・ムダルジ左ストレートをヒット。右ボディを打ち込んだジョンソン。ケージに詰めてまた右ボディ。組み付いた。ヒジを入れて離れるス・ムダルジ。残り1分。ジョンソンまでパンチで出たが、ス・ムダルジ首相撲からヒザで離れる。距離を取りジャブを入れるス・ムダルジ。また詰めたジョンソン。左右のパンチ。ホーン。

1Rジョンソン。

2R。またすぐに出るジョンソン。圧されてケージまで下がるス・ムダルジ。ジョンソン関節蹴り。どんどん詰めるが、ス・ムダルジの右フックがヒット。インローでバランスを崩すジョンソン。しかしなおも出る。ス・ムダルジの左がヒットするが、ジョンソン変わらず出る。追ってス・ムダルジの左をかわすと右を打ち込みヒット!下がったス・ムダルジ。ケージに詰めてアッパーからパンチのラッシュ!しゃがみこんだス・ムダルジにパウンドラッシュ。止めていい気がするがレフェリー流した。ガードを取るス・ムダルジ。下から三角。三角十字に。外したジョンソンだがス・ムダルジ逆にバックに回る。ケージ際まで移動し立ったジョンソン。テイクダウン。倒されたス・ムダルジだがフックスイープで上を取り返す。しかしまた上を取ったジョンソン。巴投げで返すス・ムダルジ。ホーン。

2Rジョンソン10-8。しかしジョンソンラッシュでかなりスタミナを使った。

3R。ス・ムダルジ動きが落ちていない。バックスピンキック。ジョンソンの蹴りをキャッチしてテイクダウン。すぐに立ったジョンソン。またプレスしてきた。倒すしかないス・ムダルジだが後退。出てきたジョンソンに左フック。ジョンソンもステップしながらのフックをヒット。まだまだ動けるジョンソン。また詰める。ボディブロー。ス・ムダルジの飛びヒザはバックステップでかわした。詰めるジョンソンに左ストレートを入れたス・ムダルジだが、プレスされてまたケージを背負う。パンチで出たジョンソンにス・ムダルジタックル。しかしス・ムダルジ投げてテイクダウン。上を取ろうとするが、ス・ムダルジ立った。残り1分。また詰めるジョンソン。タックルに入るジョンソンだが、ス・ムダルジはネルソンからダースチョーク。外れてまたネルソンになるとヒザを入れた。振りほどいたジョンソン。タイムアップ。

判定三者29-28でジョンソン勝利。今年4連勝を達成。

2RKO寸前まで追い込みながら仕留めきれなかったが、最後まで動きが落ちず。

ス・ムダルジはKO負け寸前から三角に入るなど諦めなかったが、これで3連敗。

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MMA o RIZIN Road to UFC UFC YouTube その他 アレックス・ペレス アンソニー・スミス クレイ・グイダ ジョシュア・ヴァン タティアナ・スアレス タリソン・テイシェイラ チェイス・フーパー ドミニク・レイエス ニック・ディアス ブランドン・モレノ マックス・グリフィン マネル・ケイプ モフサル・エフロエフ ランディ・ブラウン 中村倫也 佐々木憂流迦 堀口恭司 平良達郎 朝倉海 木下憂朔 風間敏臣 魅津希 鶴屋怜

UFC 310:朝倉海 アルティメットメディアデー Presented by U-NEXT

概要欄
UFC® 310:ムハマッド vs. ラフモノフ
日本時間:2024年12月8日(日)
会場:T-Mobileアリーナ(アメリカ・ネバダ州ラスベガス)
配信:U-NEXT / UFC Fight Pass

世界最高峰の総合格闘技(MMA)団体であるUFC®(Ultimate Fighting Championship)が日本時間12月8日(日)に開催を予定しているUFC® 310のセミメインイベントにて、UFCフライ級王者アレシャンドレ・パントージャが、UFCデビューを飾る朝倉海を相手に3度目の防衛戦に挑みます。

2023年7月に開催したUFC 290で、当時のUFCフライ級王者ブランドン・モレノを下してUFCフライ級王座を獲得したアレシャンドレ・パントージャ(28勝5敗、ブラジル/アハイアウ・ド・カボ)は、以降の1年間でブランドン・ロイバルとスティーブ・エルセグを退けて王座防衛に成功しました。パントージャはサブミッションで10勝、ノックアウトで8勝、第1ラウンドフィニッシュ10回を記録しており、モレノ(3戦)、アレックス・ペレス、マネル・ケイプ、佐々木憂流迦、カイ・カラ・フランスら強豪に勝利しています。

UFCデビュー戦がタイトルマッチという歴史的な一戦に挑む朝倉海(あさくら・かい、21勝4敗、愛知県)は、現在、日本で最も有名なMMAアスリートであり、10年以上のMMA経験を持つ実績あるノックアウトアーティストと称されています。朝倉のベーススタイルは打撃とグラップリングを包括する日本の空手、禅道会。UFC参戦までに2連勝を収めており、日本のRIZIN FFでは過去12試合中9試合でメインイベントまたはセミメインイベントを務めています。最近では2023年12月にフアン・アーチュレッタを破ってRIZIN FFバンタム級王座を獲得した経歴を誇ります。また、これまでに朝倉はマネル・ケイプ、堀口恭司、佐々木憂流迦らを下してきました。

朝倉の参戦により、UFCロースターに名を連ねる日本人選手はフライ級ランキング5位の平良達郎、女子ストロー級の魅津希、ウェルター級の木下憂朔、ROAD TO UFCシーズン1バンタム級ファイナリストの中村倫也と風間敏臣、ROAD TO UFCシーズン2フライ級優勝者である鶴屋怜の7名となります。

対戦カード一覧(予定)
【メインイベント】
ウェルター級タイトルマッチ
ベラル・ムハメド vs. シャフカト・ラフモノフ

【セミメインイベント】
フライ級タイトルマッチ
アレシャンドレ・パントージャ vs. 朝倉海

【その他カード:順不同】
ヘビー級:シリル・ガーン vs. アレクサンドル・ボルコフ
ウェルター級:ビセンテ・ルーケ vs. ニック・ディアス
フェザー級:モフサル・エフロエフ vs. アルジャメイン・スターリング
ウェルター級:ランディ・ブラウン vs. ブライアン・バトル
ヘビー級:タリソン・テイシェイラ vs. ルーカス・ブジェスキー
女子ストロー級:タティアナ・スアレス vs. ビルナ・ジャンジロバ
フライ級:コーディ・ダーデン vs. ジョシュア・ヴァン
ライト級:クレイ・グイダ vs. チェイス・フーパー
ウェルター級:マイケル・キエーザ vs. マックス・グリフィン
ライトヘビー級:アンソニー・スミス vs. ドミニク・レイエス

※対戦カードおよび試合順、試合数は事前の予告なしに変更となる場合がございます。

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AB DWCS MMA o UFC ジョシュア・ヴァン ボクシング

UFC on ESPN+98:第1試合・クレイトン・カーペンター vs. ルーカス・ホシャ

フライ級。

カーペンターは2022年のDWCSで、後に平良とも対戦したエドガー・チャイレス(昨年7月に判定負け)に判定勝ちしてUFCと契約。昨年2月のUFCデビュー戦は、UFC0勝1敗のフアンカミロ・ロンデロスにタックルに合わせたギロチンは防がれたものの、ガードから腕十字→三角と攻めて、オモプラッタで上を取ると、バックに回ってのチョークで1Rフィニッシュ勝利。2戦目は昨年5月にUFCデビュー戦となるスティーブ・エルセグとの試合が組まれていたが流れ、今回は1年8ヶ月ぶりの試合となる。寝技の強さを見せたが、ムエタイやボクシングのキャリアもあり、打撃もできる。ここまでキャリア7戦全勝の有望株。26歳。

ホシャは昨年のDWCSで勝利してUFCと契約し、今年4月にジョシュア・ヴァン戦が組まれていたが、肋骨の骨折で欠場。今回が仕切り直しでのUFCデビューとなる。アマゾンの奥地のコアリ出身・在住で、現地ではアマチュアMMAがなく、16歳でプロデビューしている。ここまで17勝(10KO・4一本勝ち)1敗。平良・モカエフと同じ2000年生まれの24歳。

序盤から両者激しく打撃を打ち込む。ホシャがパンチで飛び込むタイミングでカーペンターがダブルレッグ。テイクダウン。ハーフガードから足関を狙うホシャ。防いだカーペンター。ガードに戻したホシャだが再びハーフにしたカーペンター。ヒジ。左眉付近をカットしたホシャ。ハーフで固めるホシャ。スクランブルからタックルに入ろうとするホシャ。カーペンターはダースチョークを狙うとバックに回る。またハーフに戻すホシャ。また足関を狙うが、防いで上をキープするカーペンター。ハーフからヒジを入れていく。ホーン。

1Rカーペンター。

2R。カーペンターが打撃でプレスする。タックルに入るが切ったホシャ。ヒジで飛び込むカーペンター。右ミドル。またタックル。タイミングよく入りテイクダウン。亀になったホシャから四の字バック。チョーク!喉元に入っている。ぎりぎり耐えていたホシャだが、がっちりと入り落ちた!

カーペンター、今回もUFC未勝利の相手との試合ではあったが、強い勝ち方。ランカーとの対戦が期待される。

ホシャはタックルでテイクダウンを奪われるとスクランブルで立ちに行ったが、カーペンターに常に先回りされて完敗。

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45 MMA MMAPLANET o UFC UFC306 エドガー・チャイレス キック ジョシュア・ヴァン

【UFC306】初回にカーフを効かされたヴァンが2Rに左ボディから反撃。3Rを制して判定勝ちを収める

<フライ級/5分3R>
ジョシュア・ヴァン(ミャンマー)
Def.3-0:29-28.29-28.29-28.
エドガー・チャイレス(メキシコ)

チャイレスが左右のカーフ、ジャブを伸ばす。ヴァンも右カーフを返すが、チャイレスが前蹴りと右カーフ、左ミドルで距離を取る。さらにチャイレスは左フックと右カーフ、サウスポーにもスイッチする。ヴァンは右ハイを蹴ってジャブで前進。チャイレスはジャブと右カーフで前に出ると、ヴァンは右フックを合わせる。

チャイレスは距離を取りながら右カーフを当て、飛び込もうとするヴァンに右アッパーを合わせる。なかなか距離を詰められないヴァンはチャイレスの右カーフで足が流れる。チャイレスは距離が詰まると首相撲からヒザ蹴りを突き上げ、ジャブと右カーフで削る。

ヴァンは右フックを狙いつつ、右カーフを蹴り込む。チャイレスはやはり右カーフ、さらにインローでもヴァンの前足を狙う。チャイレスが左ミドルを蹴ると、ヴァンは左フックを狙い、スピニングバックキックを狙うが当たらない。チャイレスがワンツーを突き刺すとヴァンがバランスを崩す。前に出るチャイレスはジャブと足へのスピニングバックキックも繰り出した。

2R、いきなりチャイレスが飛びヒザ蹴り。ヴァンはチャイレスのジャブに右フックをかぶせ、ジャブから前に出ていく。チャイレスはサウスポーにもスイッチしつつジャブを当てる。今度はヴァンは右カーフを蹴ってジャブで前進し、ボディを交えたパンチのコンビネーションを繰り出す。さらにヴァンが左ボディを叩き込むとチャイレスの足が止まる。

ここからヴァンは左ボディを叩き込むとボディにヒザ蹴り。明らかに効いたチャイレスに左右のフックで襲い掛かり、パンチとヒザ蹴りで猛攻。チャイレスもスピニングバックエルボーを見せ、ヴァンはチャイレスのヒザ蹴りをキャッチしてテイクダウンする。チャイレスは下から三角絞めを狙いつつ、ヴァンが立ち上がって試合をスタンドに戻る。

ヴァンは再び右を見せつつ左ボディ、スピニングバックキック。、チャイレスも右ストレートを当てて前に出る。ヴァンがダブルレッグに入り、チャイレスがギロチンを狙うが極まらない。ガードポジションになったチャイレスは下からエルボーを入れる。

3R、チャイレスはジャブと右カーフ、ヴァンはジャブから右ストレートにつなげ、右カーフと前蹴りを当てる。チャイレスがサウスポーにスイッチして左の前蹴り、オーソドックスに戻してジャブとワンツーを当てる。ヴァンはジャブを見せながら左ボディと右カーフ、ジャブをボディにも振って右ストレートを打ち下ろす。

チャイレスが右で前に出ると、かわしたヴァンが右アッパー、右ストレートから前に出る。ここでヴァンが足払いのような形でチャイレスをテイクダウンし、チャイレスが背中を見せて立ち上がると、ヴァンが自らガードに引き込むようにしてヒールホールドへ。

チャイレスはこれを極めさせず、立ち上がるヴァンのバックにつく。正対したヴァンはダブルレッグから持ち上げるようにしてチャイレスをテイクダウンする。チャイレスはガードからヒジを入れて三角絞めへ。ヴァンはそれをディフェンスして細かくパンチを入れる。ヴァンはチャイレスの左足を右ヒザで抑えつつ、左のパンチを落としながら、最後は右を強振した。

判定はジャッジ3名とも29-28でヴァンが勝利。初回にカーフを効かされたヴァンが2Rに左ボディから反撃。3Rを制して逆転の判定勝ちを収めた。


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【UFC306】展望  ついに決着なるか。史上最強の女子MMA三部作=グラッソ×シェフチェンコ

【写真】グラッソが124ポンド、シェフチェンコが125ポンドで計量をパス。フェイバリットは-140でグラッソ。とはいえシェフチェンコも+115でほぼ差はない (C)Zuffa UFC

14日(土・現地時間)、ラスベガス近郊のパラダイスにあるスフィアにて、NOCHE UFC 306が行われる。昨年9月にオープンしたばかり、世界中で話題の地球上最大の球形建造物におけるUFCの記念すべき初興行。
Text Isamu Horiuchi

メキシコの独立記念日(16日)に合わせて行われるこの大会のコメインを飾るのは、王者アレクサ・グラッソと、元王者ヴァレンチーナ・シェフチェンコによるトリロジー最終章=UFC女子フライ級タイトルマッチだ。

既報の通り、昨年オープンしたばかりの光り輝く球形アリーナ=スフィアで開催される世界初のスポーツイベントとして、2000万ドル(約28億円)という莫大な演出費をかけて行われる今大会。そのメインテーマがメキシコのファイトカルチャーの祝福ということもあり、総勢7人のメキシコ人ファイター(加えてメインカードに出場するブライアン・オルテガもメキシコ系だ)が出場する。そんな彼女/彼らの大トリとして登場するのが、現在UFC唯一のメキシコ人王者であり、女子UFCパウンドフォーパウンドランキングにおいても頂点に君臨するグラッソだ。


(C)Zuffaf/UFC

昨年3月にグラッソは、当時7度王座防衛に成功していた絶対女王シェフチェンコに挑戦。

圧倒的に不利が予想される中、4Rに逆転のバックチョークで一本勝ちし、まさに世界が震撼する王座戴冠劇を演じてみせた。そして半年後、ベガスのT-Mobileアリーナで行われたメキシコ独立記念日を祝福する第1回「NOCHE UFC(UFCナイト)」大会のメインイベントにてリマッチが実現。一進一退の大激闘の判定は三者三様のドローとなり、グラッソが初防衛に成功した。

(C)Zuffa/UFC

それからちょうど一年――。

2度目の「NOCHE UFC」大会──販売開始当初のチケット最高価格250万円以上という、前代未聞のメガイベント──で、両者の決着戦が行われる。ちなみに同日、昨年のNOCHE UFCが行われたT-Mobileではメキシコ人が誇るボクシング世界4階級王者のカネロ・アルヴァレズの防衛戦も行われることになっている。当然デイナ・ホワイト代表やメインを飾るショーン・オマリーは「興行としてカネロに完勝してやる」と息巻いているが、対照的にグラッソは「彼と同じ日に戦えて光栄」と謙虚なコメントを残している。

さて、この夏にESPNでオンエアされたTUF32にて、チームを率いてコーチ対決を行うなど決着戦の機運を盛り上げてきた両者。ただしどちらも対戦相手へのトラッシュトーク等は好まず、互いに敬意を持つ二人の間に特筆すべき個人的な遺恨は存在しない。その代わり昨年の両者の2戦そのものが、純粋な競技としてのMMAの魅力がこれでもかとばかりに凝縮された連続ドラマと言える。両者がケージの上で見せているのは、試合を通してお互いが打・投・極の全てにおいて進化を重ね、どんな苦境にも屈しない魂をぶつけ合う、究極の総力戦としてのMMAだ。

第1戦。4Rまで試合をリードしていたシェフチェンコのスピニングバックキックの空振りに乗じたグラッソは、あっという間にバックを奪ってチョークを極めた。絶対王者のたった一つの不用意な攻撃が仇となった、まさかの大番狂わせとの印象が強かったが、実はグラッソの所属するロボジムのヘッドコーチにして叔父のフランシスコ氏が、王者の試合映像を繰り返し研究して生み出した作戦の成果だったことが後に判明した。

そこに至るまでの試合展開も決して一方的なものではなく、1Rはグラッソが自分の最大の武器であるボクシングを存分に活かし、待ちの姿勢の王者を追い込む場面が目立っていた。2、3Rは戦い方を変えた王者にテイクダウンを取られたグラッソだが、高い危機意識をもって動き続けて凌いでみせた。そして迎えた4R、グラッソは王者のテイクダウンを切り始めると、再びスタンドで攻勢に──命運を分けたバックキックは、ジャブでプレッシャーをかけるグラッソに対し、ややケージ側に詰められかけた王者が放ったものだった。

チームの総力を結集して、あまりにも厚い絶対王者の壁に挑んだグラッソは、序盤は自分の強みを最大限に用いて王者に肉薄。中盤作戦を変えてきたシェフチェンコの攻撃を凌いだ上で後半反撃に転じ、最後についに致命的なミスを誘い出したのだ。たゆまぬ努力と研究、不屈の精神と勝負強さの全てが組み合わさりはじめて可能となった、きわめて劇的な王座戴冠だった。

そして第2戦では、初戦を経て進化した両者によるさらなる高次元の攻防が展開された。「もう同じことは起こらない」と断言したシェフチェンコは、スタンドで受けに回った前回の反省を踏まえて先に仕掛け、鋭いジャブとワンツーを次々とヒット。コンビネーションの最後に強烈な左ミドルも放って完全にペースを掌握した。

しかし2Rは、グラッソが前回見せなかった首相撲からのヒザで反撃。さらにランディ・クートゥアばりに相手の首を抱えてのダーディボクシングで元王者を豪快に殴りつけるという、荒々しくも力強い新しい側面を見せて取り返した。3Rは、シェフチェンコの方が(簡単にエスケープを許した)前回以上にタイトさを増したバックコントロールを披露してさらに上をゆく。続く4Rは、グラッソの荒々しさが再び炸裂。クリンチからの打撃を入れた後にワキをくぐってバックを奪い、高々と抱え上げて元王者を叩きつけるという驚きの新展開を見せた。それを凌いだシェフチェンコが終盤バックを奪い返すと、グラッソは前転してのヒール狙いで逆襲し、さらなる引き出しを開けた。

お互いがお互いの進化に対応し、「その先」を行き合って迎えた最終R。消耗し被弾が目立つグラッソだが、頭を振りながら前に。その右フックをくぐったシェフチェンコは組みつくと、首を抱える形で強引に倒しにいってしまう。ここで一瞬体をずらしたグラッソは、首をすっぽ抜けさせるような形でバックを奪取。前回のスピンキック同様、会場の誰もが思わず大声を上げてしまうような決定的なシーンを経て有利なポジションを奪ったグラッソが、背後からの強烈なパウンドやフェースロックを仕掛けるうちに試合は終了した。

1Rと3Rは間違いなくシェフチェンコ。逆に2Rと5Rは明らかにグラッソ。4Rをどちらに付けるか次第と思われた判定は、何と3者3様のドロー。4Rの判断によって48-47、あるいは47-48と付けた2人の採点は十分理解できるとして、問題はもう一人のジャッジ。4Rをシェフチェンコに付けたにもかかわらず、最終Rは10-8でグラッソに与えていた。

この最終回、ダメージという点で全ラウンド中もっとも差があったことは確かだ。しかし現代MMAにおいては、よほど一方的な展開にならない限り2点差を付けることはない。例外的な──意図的な「得点調整」と思われても仕方のないような──採点が行われた上で、グラッソのドロー防衛が成立したことになる。

試合直後のインタビュー。母国メキシコを祝う日に初防衛を果たしたグラッソは「私のパンチの方が強力だった。私が勝者よ!」と宣言し、インタビュアーのダニエル・コーミエに「でも結果はドローですよ」と訂正されてしまうも笑顔を見せた。

対するシェフチェンコの方は苦笑しながら「メキシコ独立記念日のプレッシャーで、ジャッジはこんな採点をしたのでしょうね。もしもこれがフェアな競技だったとしたら、勝利は私のものだった」と語り、当然のようにメキシコ系の大観衆からブーイングを浴びてしまう。元・絶対女王の名前に恥じない素晴らしい戦いを見せてくれただけに、最終Rのジャッジは確かに気の毒だった。

しかし、前回と同じく最後の最後に痛恨の、かつ決定的なミステイクを犯してしまったことは否めない。そしてそのミスが、苦境に立たされながらも自分を信じて前に出たグラッソの気迫と執念によって引き出されたこともまた、前回と同様だ。そして最終的には、もはや両選手の力ではどうすることもならない領域=ジャッジによる判断によって明暗が別れた。

グラッソとシェフチェンコ。お互いに研究を尽くして全局面での進化を遂げ、全てをぶつけ合った両者による昨年の2試合は、究極的には技術や理屈を超越した勝負強さと、それさえも及ばぬ運が作用し、刹那で天国と地獄が入れ替わってしまう──そんな現実の残酷さも我々に見せつけてくれた。MMAの凄さ、奥深さ、さらには不条理さまで堪能させてくれる極上の連続ドラマだった。

あれから一年──今度はどのような形で両者は「極上の、さらなる先」を見せてくれるのだろうか。前回シェフチェンコの鋭いジャブに翻弄されたグラッソ陣営が今回出してくる答は? 逆にグラッソのダーティボクシングにしてやられたシェフチェンコの対策は? 回を増すごとに高度化する両者のテイクダウン&コントロール&スクランブル&サブミッションの攻防の行き着く先は? そして何より、二度に渡って土壇場で自らのミスを引き出したグラッソの無類の勝負強さを、今回シェフチェンコは克服することができるのだろうか? 

女子MMA史上最高の連続ドラマは、週末に完結する。

■視聴方法(予定)
9月15日(日・日本時間)
午前8時30分~UFC FIGHT PASS
午後11時~PPV
午前8時00分~U-NEXT

■対戦カード

<UFC世界バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者] ショーン・オマリー(米国)
[挑戦者] マラブ・デヴァリシビリ(ジョージア)

<UFC世界女子フライ級選手権試合/5分5R>
[王者] アレクサ・グラッソ(米国)
[挑戦者] ヴァレンチーナ・シェフチェンコ(キルギス)

<フェザー級/5分3R>
ブライアン・オルテガ(米国)
ジエゴ・ロピス(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
ダニエル・セルフーベル(メキシコ)
エステバン・リボビチ(アルゼンチン)

<フライ級/5分3R>
ロナルド・ロドリゲス(メキシコ)
オーデ・オズボーン(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
アイリーン・アルダナ(メキシコ)
ノルマ・ドゥモント(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
マニュエル・トーレス(メキシコ)
イグナシオ・バハモンデス(チリ)

<女子ストロー/5分3R>
ジャスミン・ハウレギ(メキシコ)
ケトレン・ソウザ(ブラジル)

<フライ級/5分3R>
エドガー・チャイレス(メキシコ)
ジョシュア・ヴァン(ミャンマー)

<バンタム級/5分3R>
ラウル・ロサスJr(米国)
アオリーチーラン(中国)

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45 o UFC アレクサ・グラッソ キック ショーン・オマリー ジョシュア・ヴァン ピョートル・ヤン マルロン・モラエス ラウル・ロサスJr リッキー・シモン

UFC306:オッズ/予想と展望

ショーン・オマリー 1.77
メラブ・ドバリシビリ 2.10
アレクサ・グラッソ 1.74
ワレンチナ・シェフチェンコ 2.14
ブライアン・オルテガ 2.45
ディエゴ・ロペス 1.57
ダニエル・ゼルフーバー 1.43
エステバン・リボビクス 2.90
ロナウド・ロドリゲス 1.74
オデー・オズボーン 2.14
イレーネ・アルダナ 1.91
ノルマ・ドゥモン 1.91
マヌエル・トーレス 1.85
イグナシオ・バーモンデス 1.98
ジャスミンハウレギ 1.20
ケトレン・ソウザ 4.80
エドガル・チャイレス 2.90
ジョシュア・ヴァン 1.43
ラウル・ロサスJr. 1.12
アオリ・チロン 6.75

2年連続となるメキシコ独立記念日イベントで、メイン以外の全試合にメキシカンまたはメキシコ系アメリカ人ファイターが出場する。昨年オープンした新会場・スフィアでの初の開催(スフィアでのスポーツイベント開催自体が初)。会場の内壁がLEDスクリーンとなっており、通常のナンバーシリーズの制作費200万ドルに対し、10倍以上の予算をかけた演出がされるとのこと。

メインは王者オマリー2度目の防衛戦。UFCデビューからプロスペクトとして期待され、KO勝ちの山を築いてきたオマリー。当時ランキング11位、ランカー相手の勝利がないままランキング1位のピョートル・ヤン戦が組まれ、露骨にプッシュされているイメージがある中で、メディアもファンもほとんどがヤンの勝ちと見た内容でオマリーが判定勝ち。批判もされたが(オマリーには責任はないが)、これでランキング1位となり、昨年8月にスターリングの王座に挑戦。難攻不落の王者から左一発でダウンを奪い、パウンドでKOして王座を獲得した。そこに至る経緯には、周囲の力によるものという印象はあったものの、タイトル戦の勝ち方には文句のつけようがなかった。しかし、その後はNo.1コンテンダーであるドバリシビリではなく、過去に敗れている下位ランカーのヴェラを初防衛戦の相手に指名。判定勝ちしたが、事前の期待感を超えるものではなかった。今回は満を持してドバリシビリとの対戦が実現する。ここで勝てば、王者としての実力を疑うものはいなくなるだろう。

ドバリシビリはUFCデビューから2戦こそ力を出しきれずに敗れたが、そこから10連勝。10勝のうち、マルロン・モラエスのKO勝ちが唯一のフィニッシュで、唯一のボーナス獲得。ノンストップでテイクダウンしまくるスタイルで、立たれてもテイクダウンを繰り返し、相手を消耗させていく。テイクダウン66回は、UFCバンタム級では2位リッキー・シモンの43回を大きく上回る圧倒的トップ。オマリーが実質負けていたピョートル・ヤンにも完勝し、実績的には王座に挑戦することに問題はなかったが、当時の王者スターリングが同門のため対戦を拒否。ドバリシビリのタイトル挑戦が後回しにされたのは、それもあってのことかもしれない。

オッズは僅差だがオマリーがフェイバリット。10連勝中、劣勢な場面すら見せなかったドバリシビリだが、33歳で、通常軽量級ではピークアウトし始める年齢。ここで勝てなければ、タイトルに届かないままキャリアを終えることになる可能性もある。

ヤン相手には打撃を効かせた上でテイクダウンを取りまくって勝利したドバリシビリ。長期戦になるほどドバリシビリが有利となる。オマリーが勝つとすれば、前半のうちにビッグパンチをヒットさせて大きなダメージを与えた場合か。

ドバリシビリ判定勝ち。

セミは女子フライ級タイトルマッチで、昨年3月、9月に続く3連戦目であり、TUFコーチ対決。初戦は、当時絶対王者だったシェフチェンコにがジャブを突いてタックルからテイクダウンする展開で優勢に試合を進めていたが、シェフチェンコのバックスピンキックに合わせて背中に乗ったグラッソがチョークで一本勝ち。絶対王者シェフチェンコにフライ級で初めて土をつけた。回転技に対してチョークを狙うのは試合前から用意してきたもので、偶然ではないが、作戦がうまくハマっての勝利という印象も残った。

昨年9月のダイレクトリマッチでは、シェフチェンコが1R・3Rにテイクダウンからバックを奪い、2Rはグラッソがパンチでダウンを奪う展開で一進一退。4Rはグラッソがテイクダウンしてバックを取るが、シェフチェンコが反転して上を取り返し、残り30秒でもテイクダウンを奪ってジャッジの印象が割れるラウンドに。運命の5Rはシェフチェンコの投げをスカしたグラッソがバックマウントからチョークを執拗に狙っていったもののフィニッシュは奪えず。4Rの判断次第でジャッジが割れる内容ではあったが、一者グラッソ、一者シェフチェンコで、残る一者が5Rに10-8をつけて三者三様のドローに。が、5Rは通常であれば10-8をつけることほどの差はなく、10-8をつけたジャッジが他の2名と同様に10-9であればシェフチェンコの勝利となっていただけに、このジャッジも物議を醸した。

オッズは初戦が大差でシェフチェンコのフェイバリットだったものが、再戦では僅差でのフェイバリットとなり、今回はついにグラッソがフェイバリット。シェフチェンコはフライ級に落としてから初のアンダードッグとなる。シェフチェンコは36歳で、女子フライ級では3番目の年長。前回も僅差でのドローとはいえ、初戦に比べれば内容は競っていた。さらに1年が経過し、両者の力関係も逆転したと見られているか。

予想はグラッソの判定勝ち。

通常のナンバーシリーズは全12~13試合だが、今回は全10試合。第1試合開始は朝8時半から。速報します。

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45 F1 MMA o UFC   イグナシオ・バハモンデス エドガー・チャイレス ジョシュア・ヴァン チャールズ・ジョンソン

9.14『UFC 306: O’Malley vs. Dvalishvili』エドガー・チャイレスの対戦相手がケビン・ボルハスからジョシュア・ヴァンに変更



9.14『UFC 306』でマヌエル・トーレス vs. イグナシオ・バハモンデス、ヤスミン・ハウレギ vs. ケトレン・ソウザ etc.(2024年09月03日)

 こちらの続報。


 UFCが9月14日にネバダ州パラダイスのスフィアで開催する『UFC 306: O'Malley vs. Dvalishvili』でエドガー・チャイレスと対戦予定だったケビン・ボルハスが欠場、代わりにジョシュア・ヴァンがチャイレスと対戦するとのこと。

 ヴァンは7月の『UFC on ESPN 59: Namajunas vs. Cortez』でチャールズ・ジョンソンに3R KO負けして以来の試合。続きを読む・・・
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45 AB DEEP MMA MMAPLANET o TSUNE UFC YouTube   アレックス・ペレス キック ジョシュア・ヴァン ボクシング マネル・ケイプ ムハマド・モカエフ 修斗 和田竜光 岡田遼 平良達郎 松根良太 海外 食事

【UFC 】平良達郎&松根良太、師弟対談─02─「次が世界戦でなければ、モカエフ×ケイプの勝者と」(平良)

【写真】平良がUFC世界王者になるために、頑強が足場が整ってきている(C)THE BLACBELT JAPAN

UFC on ESPN58でアレックス・ペレスを倒し、フライ級で5位にランクされることとなった平良達郎と師・松根良太対談、第2弾。
Text by Manabu Takashima

UFC世界フライ級王座を見据え、武器を増やしながらも軸を崩さない平良の成長の裏には、強い信頼感で結ばれた人間関係とプロアスリートとして彼を支えるマネージメントの存在があった。

王座挑戦が現実的になってきた平良が描く、青写真はファンが見たくなるストーリーだった。

<平良達郎&松根良太対談Part.01はコチラから>


「ボクシング業界から、日本のMMAが少しでも認めてもらえた」(松根)

──課題を克服しつつ長所が伸びる。この稀な例を最高に引き出しているのが、平良選手の環境かと感じています。コロラドでの出稽古と拠点である沖縄での練習。そこがしっかりと調和できているようで。

平良 拠点は沖縄にある。そこは絶対です。そのうえでエベレーションファイトチームのコーチも「セカンド・ホームとして使ってくれれば良いから」と言ってくれています。

──練習をするならこっちに来て、チームの一員になれということではないと。

平良 そういうガツガツしたところはないです(笑)。だからってよそ者扱いすることなく、本当に親切で。それでも今回は試合前に行くのは初めてだったで、不安はありました。でもコーチ達もアレックス・ペレスの映像を視て、アドバイスをくれました。それはチームメイトも同じで。沖縄でやってきたことを信じ、最後にコロラドで練習をして良いイメージを持った状態でオクタゴンに上がることができました。

──その最後の調整に帯同していたのも松根さんではなくて、岡田遼選手だった。そこが機能するのも、THE BLACKBELT JAPAN平良チームの良さかと思います。

松根 試合が2度延期されて、ペレス戦が決まったのはジョシュア・ヴァン戦のために渡米する前日でした。あのタイミングで米国に行くと40日間ほど向うにステイしないといけない状態で。相手もペレスになったので、あのタイミングで渡米するのはよそうということになりました。

そこから2週間半、沖縄でペレスと戦うための準備をして、最後にデンバーで高地トレをしつつ時差ボケを解消するというプロセスがしっかりとハマりました。2週間半、平良とペレス戦について話して、対策を施した。そこを岡田に託して、米国で創ってもらえましたね。本当に岡田のサポートには感謝しています。岡田だからこそ、できたことだと思っています。

──3人の間に絶対の信頼関係があるからこそ、この選択ができたと思います。

松根 とても良いチームができています。その上で今年からセカンドキャリアというボクシングを主体としているマネージメント(井上尚弥、武居由樹、平岡アンディらプロボクサーをマネージメントしている)と一緒にやって行くことが本当に大きいです。

2023年まで沖縄の企業様の協力を頂いていましたが、去年の夏ごろからセカンドキャリアから声を掛けてもらって。色々と話をするなかで2024年から一緒にやって行くことが決まりました。「平良達郎をUFCチャンピオンにするためなら、何でもサポートをする」と言って頂けています。

今回のデンバーでの最終調整に関しても岡田遼、そして食事面のサポートをしてもらうために達郎のお母さんにも同行してもらったんですが、渡航及び滞在に必要な費用を全てセカンドキャリアが用意してくれました。「何不自由することなく平良達郎が勝てるベストの状況を整えて欲しい」ということで、最終合宿が実現できました。セカンドキャリアさんと一緒にやって行けていることは、本当に大きいです。

平良達郎の練習、睡眠、食事だけを考えることに集中して欲しいと、SNSやYouTube、テレビなど露出する必要もない。とにかく試合前は練習と体調管理に集中できています。

──プロとは?という部分で強調される露出と話題創り、ここを考える必要がないということですね。

松根 ハイ。オフの時に、自分でやりたいことがあればやってください──というスタンスなんです。これ以上ない、マネージメント会社とチームが組めたと思います。同時に長い歴史を誇るボクシング業界から、日本のMMAが少しでも認めてもらえたのかと。その最初の一例を平良達郎で創ることができました。後に続く選手たちに良い背中を見せることができています。

先ほど仰っていただいた打撃、テイクダウン、寝技のつなぎができていることに踏まえて、プライベートの部分もUFCチャンピオンになる環境が整ってきていると実感しています。

──松根さんの言葉も本当に力がこもっていますね。

松根 MMAで頑張る。達郎は今、MMA以外に興味がない人間になっていますね。

平良 僕はだらしないんで、SNSとかやると失言しそうで怖くて。

──炎上ビジネスとは真逆の人間性。ホッとします。UFCでも沖縄で煽りVが撮られるまでの位置にきた。それでいて、修斗で2回戦を戦っていた時のような純朴さが残っている。

平良 その辺りは変わらないです(笑)。というよりも、変われないです。

「達郎はデビュー2戦目で、オタツロックを使っているんですよ」(松根)

──一方で、平良選手のMMAは進化し続けている。前回の試合で話題になったオタツロックですが、着目するようになったのは、どのようなことからだったのでしょうか。

平良 和田選手が使っていることでオタツロックという技があるのを知って、修斗の頃からチョコチョコ使っていました。今ではオタツロックを意識しているというよりも、流れのなかでバックを取れば自然に出るようになっています。流れの中で使う技ですね。そこに関しても和田選手から、勉強をさせてもらえました。

僕はアマ修斗から修斗をやってきて、修斗しか知らなかったんです。そのなかでDEEPのフライ級チャンピオンだった和田選手の試合を視た時に、『全てがしっかりしている選手だ』と思ったんです。MMAとして全ての要素を混ぜて戦っていて、柔軟性がある。パンチも強くて、カーフキックも強い。和田選手の戦い方も好きで、注目して視ていました。

松根 実は達郎はデビュー2戦目で、オタツロックを使っているんですよ。

──そうだったのですね。自分は初めて撮影をした試合だったからか、両足フックの大翔選手をパウンドしたイメージが強かったです。

松根 両足フックを使う時もありますけど、以前からオタツロックでコントロールをしてきました。沖縄では達郎がオタツロックを使うということで、後に続く選手も多かったです。和田選手とは体形も違いますし、もしかすると独自で進化している部分もあるかもしれないです。

──ペレス戦ではスタンドでオタツロックを取り、すぐに煽りました。ペレスと垂直になるぐらいまで煽って、また背中に戻った。ペレスの軸が強いのもありますが、平良選手の軸とロックの強固さにも驚かされました。

松根 そういう技なんだよな?

平良 ハイ、そうなんです。

松根 日本では和田選手がいてくれて皆が知っていたけど、海外ではアルジャメインが「あの技はなんだ」と騒いでいました。なので、これから世界に広まるでしょうね。達郎もタツなんで、面白いですよね(笑)。

──確かに(笑)。

平良 だから僕のオリジナルではないということは、しっかりと言っていかないといけないと思っています。

松根 達郎のタツでなく、和田竜光選手のタツだと。

「何だかんだとモカエフが勝つ」(平良)

──そこを気にするのも、この師弟ならではです。そして、この勝利でUFCフライ級5位にランクされました。ここでパントージャの名前を出すことも説得力があります。実際問題、実現の可能性はどの程度に感じていますか。

平良 UFCのマッチメイク的に、これで進んでくれるのだったら、もうやれます。そうでないなら、次に誰かと戦ったあとで挑戦したいです。挑戦権を争ううえで一番盛り上がる……自分自身、一番燃えるのはやっぱりムハマド・モカエフとマネル・ケイプの勝った方と戦うことですね。僕自身そうだし、フライ級の流れとしても盛り上がるのではないかと思っています。この試合で勝った選手と試合をする方が僕も燃えますし、そこで勝つと「もう平良しかいないだろう」という空気になるでしょうし。

──7月27日、UFC304で対戦する両者。実はこの取材で、両者の対戦について平良選手の予想を尋ねたいと思っていました。

平良 まぁ……何だかんだとモカエフが勝つとは思うのですが、毎試合危なっかしい試合をしますよね。モカエフにはスパッと極めるイメージはもともとないです。でも1Rでフィニッシュできないと、危ない場面を見ることになるかと。それでもフィニッシュするにしろ、判定になるにしろ、モカエフが勝つと思います。

<この項、続く>

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MMA MMAPLANET o UFC UFC ESPN59 ジョシュア・ヴァン

【UFC ESPN59】3R開始直後のスイッチとラッシュでジョンソンがヴァンをKO!ヴァンはUFC初黒星

<フライ級/5分3R>
チャールス・ジョンソン(米国)
Def.3R0分20秒by KO
ジョシュア・ヴァン(ミャンマー)

サウスポーのジョンソンが左ミドルと右のアウトローを蹴る。ヴァンはジャブを伸ばす。ジョンソンが左ストレートからパンチをまとめ、左の前蹴り、右のアウトローと手数を増やす。前に出るヴァンだが、ジョンソンの細かい蹴りを受けて攻撃が出ない。逆にジョンソンは左ストレートと右ジャブ、左の前蹴りを小刻みに当てる。ヴァンが右ストレートで前に出ると、組みついたジョンソンがヴァンを左腕を差してケージに押し込む。

距離が開くとジョンソンが左ストレートから右フック、左ストレートからダブルレッグに入る。これを切ったヴァンが前に出て左フックから右ストレート。ジョンソンも下がりながらパンチを返すが、ヴァンが右を打ち込むと、右ストレートから左ボディ、ヒザ蹴り、右フックと攻撃をまとめる。ここはジョンソンがヒザ蹴りのローブローをアピールして試合が一時止まる。

再開後、ヴァンは右ストレート、ジョンソンの蹴り足をすくってテイクダウンするとパンチを落とす。ジョンソンは横三角から足関節を狙い、ヴァンは距離を取って立つ。ダブルレッグに入るジョンソンだが、ヴァンもすぐに反応して切る。ジョンソンは立って首相撲からヒザ蹴り。ヴァンはボディブローを連打し、右ストレートから返しの左フック。ブロックを固めるジョンソンのボディを左でえぐり、ジャブで前に出る。

2R、ジャブから前に出るヴァン。ジョンソンは左の前蹴りで止めて、右のアウトローにつなげる。ヴァンはジャブでジョンソンの頭を下げさせて、そこに右アッパーを突き上げる。さらにヴァンは右ローを蹴って、顔面のパンチからボディブローを打ち込む。圧力勝ちするヴァンは左を当てて右ストレートを打ち下ろす。

ジョンソンも細かく左ストレートを当てるが、ヴァンがジョンソンにケージを背負わせてパンチをまとめる。ジョンソンも左を蹴って、左ストレートをコツコツと返す。下がらないヴァンは右ストレートから左フック、飛び込むような右、ジャブから右で前進。距離が詰まると一気にパンチをまとめてボディにつなげる。ジョンソンはヒジを返し、飛びヒザ蹴り、スピニングバックエルボーも繰り出した。

3R、オーソドックスにスイッチしたジョンソンが一気にラッシュ。パンチをまとめてスピニングバックエルボーを繰り出す。さらに右ストレートからの左フックを効かせると、左アッパーを突き上げる。これでヴァンがバッタリと崩れ落ち、ジョンソンがKO勝利。ヴァンはUFC初黒星を喫した。

3R開始時に構えをスイッチしてラッシュを仕掛け、試合のペースを変えて勝利を掴んだジョンソン。試合後に「11日前にこの試合を受けた。キーストーンから、1600メートルの高地に3,4日前にやってきた。誰も俺には触らせない。今日、クレイジーな襲撃事件があった。皆、祈りあおう。人、それが一番大切なことを思い出そう。皆で支え合うんだ。それが人間ってものだよ」とコメントした。

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AB o UFC UFC302 UFC303 アブドゥル・ラザク アレックス・ペレス ガブリエル・ボンフィム クリスチャン・ロドリゲス ジョシュア・ヴァン ジョシュ・フレムド ダリウス・フラワーズ チャールズ・ジョンソン ティム・エリオット ブラック マイク・デイヴィス メイシー・バーバー モンテル・ジャクソン ルアナ・サントス 平良達郎

UFC on ESPN59:オッズ/予想と展望

ローズ・ナマユナス 1.46
トレイシー・コルテス 2.80
サンチアゴ・ポンジニッビオ 1.52
ムスリム・サリコフ 2.60
ドリュー・ドーバー 1.91
ジェアン・シウバ 1.91
ガブリエル・ボンフィム 1.29
アンジュ・ルーサ 3.70
ジュリアン・エローサ 2.70
クリスチャン・ロドリゲス 1.49
アブドゥル・ラザク・アルハサン 1.59
コーディ・ブランデージ 2.40
ジョシュア・ヴァン 1.46
チャールズ・ジョンソン 2.80
ジャスミン・ジャスダビシアス 1.91
ファティマ・クライン 1.91
モンテル・ジャクソン 1.70
ダモン・ブラックシア 2.20
ルアナ・サントス 1.26
マリヤ・アガポバ 4.00
ジョシュ・フレムド 1.89
アンドレ・ペトロスキー 1.93
エヴァン・エルダー 1.33
ダリウス・フラワーズ 3.50

2週間ぶりのUFCは旗揚げの地デンバーで開催。

メインは女子フライ級。元ストロー級王者ナマユナスは前回フライ級に上げて初勝利。今回はランキング4位のメイシー・バーバーとの対戦が組まれていたが、2週間前にバーバーが欠場。来週ミランダ・マーヴェリックとの対戦が組まれていたランキング14位のトレイシー・コルテスとの対戦に変更されている。

代役のコルテスはUFC初メイン。現在、UFCデビューから5連勝中だが、ほぼ年1の試合ペースのため、なかなか上位との対戦が組まれず、これまでの相手は全部ノーランカー。テイクダウンから押さえ込みするスタイルで、キャリア11勝のうち、KO勝ちと一本勝ちが1試合のみで、残り9試合は判定勝ち。UFCでの5勝もすべて判定勝ちとなっている。かつては打撃が弱点だったが、昨年9月の前戦ではパンチで打ち合う場面を見せるなど打撃が向上していた。

現在もストロー級で戦える体格のナマユナスに対し、コルテスは逆にバンタムから落としてきた選手。身長・リーチは同じだが、フィジカルではコルテスが上回るので、コルテスとしては組みで体力を削る展開にしたいところ。とはいえ、5戦全勝でもこれまでノーランカーとしか対戦していないコルテスでは、ナマユナスの相手は厳しいか。

ナマユナス判定勝ち。

セミ前に出場する元ランカーのドリュー・ドーバーはマイク・デイヴィスと対戦予定だったが、デイヴィスが欠場。ドーバーの相手が先週まで決まらず、急遽UFC303に出場したジェアン・シウバの出場が決まった。

シウバは本来フェザー級だが、前戦では体重オーバーしている。13勝中10KOのハードパンチャーで、前戦では中堅のシャルル・ジョーデインから2RKO勝ちし、UFCデビューから2連続KO勝利。ドーバーもKOパンチャーだが、オッズは本来階級下のシウバとイーブンになっている。今後もライトで戦うのか、フェザーに戻すのかは不明だが、元ランカーのドーバー相手にショートノーティスで勝つなら、ランカーとの対戦にも期待できる。

プレリムにはフライ級期待の新星のジョシュア・ヴァンが登場。昨年11月にUFCデビューし、今年1月にも勝利して2連勝としたが、4月の試合は相手の怪我で消滅。先月のUFC302ではスムダルジ戦が組まれていたがスムダルジが欠場。前月のティム・エリオット戦がエリオットの怪我で消滅していた平良達郎との対戦に入れ替わったが、その後試合のシャッフルがあり、平良はアレックス・ペレスと、ヴァンは当初ペレスと対戦予定だったランカーのウランベコフとの対戦に変更。が、その試合もまた、ウランベコフの欠場により消滅と、4試合続けて自分に責任のない試合消滅が続いている。

今回の相手チャールズ・ジョンソンUFCで3連敗していた時、無敗のカザフスタンファイター・アザト・マクスム相手に代打出場し、打撃で攻めてマクスムを失速させて判定勝ち。5月の前戦は地元セントルイスでUFC2勝2敗のジェイク・ハドリー相手に打撃の手数で上回っての判定勝ちで2連勝。2試合連続でオッズではアンダードッグだったが、アップセット勝利している。ヴァンにとっても油断できない相手。

第1試合開始は14日朝8時から。速報します。