【写真】挑戦者、でも女王の風格(C)MMAPLANET
本日3日(金・現地時間)、シンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE「Empower」のメインで、ムンジアル黒帯8冠&DACC優勝のミシェウ・ニコリニが、ONE世界ストロー級王者シィオン・ヂィンナンに挑戦する。
組み技で彼女に比肩する選手はONEには存在しない。それでもMMAを戦う彼女にとって柔術は、勝つための一つの要素であることを明言した。
鍵は打撃。そんな世界挑戦を前にニコリニに話を訊いた。
──シンガポール入りして、今の調子はいかがですか(※試合は8月27日に行われた)。
「全てにおいて良い感じね。2日前にシンガポールに着いて快適に過ごしているわ。ホテルのバブルにいて、外出はできないけど問題ない。トレーニングもできているし、今もプールで泳いできたばかりなの。ファイトウィークだし、これで十分よ」
──フラストレーションはなさそうですね。
「この状況だしね。外をで出歩くことがショーを開くことに対して、どれだけ危険かは分かっているから。私はブラジルに住んでいるし、COVID19と向き合うには本当に色々な制約があることを経験してきたわ。シンガポールで試合をする。そのために必要な感染予防対策に従うのは当然の話よ」
──さすが大人ですね。ブラジルでは、大変なことを乗り越えてきたかと思います。
「そうね。今は練習も自由になったわ……でも、ようやくね。ブラジルでは国民の大体50パーセント以上がワクチン接種を済ませたから、よりオープンになってきていて。人々も以前のような生活を求めてワクチン接種を受けているわ」
──つまり、ワクチン接種が進むまで多くの制限があったということですね。
「今でも自主的に信頼のおける少人数のグループで練習をしているけど、街中はよりオープンになっているわ。1年半前、ブラジルでコロナ感染が爆発的に広まる前に、私はタイトル挑戦が決まっていて。パンデミックが始まった時も、懸命に練習だけは続けていたの。ずっとトレーニングパートナーと2人っきりで。来る日も、来る日も何カ月間と、彼女と2人で練習を続けたわ。8カ月前に練習場所が開放されるまで」
──パンデミック後、ブラジル国内でグラップリングの試合に出るようなこともなかったのでしょうか。
「ブラジルでは今年になるまで、ほとんどコンペティションが行われていなかった。私にとって、今回のタイトル戦はCOVID19が広まってからは初めての試合よ」
──今大会はONEで初めての女子だけのイベントになります。
「アメージングね。このショーのヘッドライナーになれて、凄く嬉しいわ。何より、本当に素晴らしい選手が揃っていることが最高ね。アトム級GPがあって、私はストロー級。アトム級のように層が厚いということはないけど、シィオン・ヂィンナンがいて、アンジェラ・リーもチャレンジした。これからストロー級にも強い選手が集まってくると思うわ。そうそう、名前は忘れたけど良い日本人選手(※三浦彩佳)もいるし。あの子も凄く良い選手だし、これからはストロー級の戦いも面白くなってくるはず。私自身、楽しみでしょうがない気持ちね」
──ではその頂点にあるチャンピオン、シィオン・ヂィンナン選手の印象を教えてください。
「個人的には知り合いじゃないんだけど、皆からとても良い人だと聞いているわ。打撃はもちろん、グラウンドゲームもできるし、上手く試合をまとめることができる選手ね。動きも速い。とても尊敬しているけど、ケージのドアが閉められたら倒すべき相手。どうなるのか、楽しみにしてほしいと思っている」
──いくら彼女が寝技ができても、ミシェルの寝技と比肩できる選手はONEにはいません。とはいえ、あのストライカーを相手にどれだけに寝技に持ち込むことができるのか。テイクダウンが鍵を握ってくると思いますし、そのためには打撃も必要です。
「ブラジルでずっと打撃の練習をしてきたわ。去年、シィオン・ヂィンナンと戦うことが決まってから。私のスタンドゲームは成長した。でもパンチを打たなくて、柔術に持ち込めるならそうするわ(笑)。彼女と私の距離が近づいた時、何かが起こるから。そこは期待してほしいわ」
──グラップラーが序盤からテイクダウン&コントロールしても、フィニッシュできないと疲れてガスアウト状態に陥るという試合は幾千と行われてきました。
「大丈夫よ。5Rのスパーリングを2度、3度と1日に行ってきたから、スタミナには問題はない。全てで、上手く仕上げることができてから。スタミナがどれだけもつか。多くの人はスタミナをつけるために走れというわ。でもファイターのスタミナはランニングではなくて、スパーリングで養われるもの。リアルなシチュエーションでのスパーリング、ケージのなかで起こる全てのことを予想し、全ての動きを使ったスパーリングでしかMMAファイターのスタミナは創れないと私は思っているの。
なにより、今回の試合にむけてデミアン・マイアとずっと練習してきて、ずっとアドバイスを受けてきたの。動き、技、思考とあらゆる面でデミアンはリードしてくれて。ずっとストライカーやレスラーと戦ってきたから、私にとってデミアン以上に参考になる選手はいないわ。彼は私のアイドルよ」
──デミアン・マイアは今も、そしてこれからもケージのなかで最高の柔術家です。ただし、彼はUFCで戦ってきました。ONEではグラウンドのヒザがあります。ここはどのように捉えていますか。
「グラウンドでのヒザは、私にとって追い風よ。寝技でのオプションが増えるし。使われることより、使う機会が断然多いはずだしね」
──ではデミアンのように引き込むことも考えていますか。
「デミアンのように引き込むのではなくて、私の戦い方として引き込むことはあるでしょうね。とにかくタイトに戦って、アタックすることが私を勝利に導いてくれることは確かよ」
──ところでミシェウは柔術の優秀性を示すためにMMAで戦う……という気持ちを持っていますか。
「ノー。そんなことは考えていないわ。私にとって本当に柔術は大切なものよ。簡単に身につくものじゃない。だからといってMMAを戦う上で、柔術は全てじゃない。私自身MMAを戦う時は、他のスタイルのトレーニングにより時間を割いているし。ボクシング、ムエタイ、レスリング、テコンドー、それらを混ぜた練習を、ね。
もちろん私は柔術のトレーニングをストップすることはないし、試合前以外は道着を着た練習も週に2、3度続けている。道着を着ることで、細かなディティールを知ることができるし、絶対に欠かせないわ。繰り返すけど、私にとって柔術はとても大切なもの。私は生涯、柔術家よ。
それは変わることはない。でも、打撃で勝つのか、柔術で勝つのか──とか、そういうのは関係ないの。勝つことが最大の目標だから、勝ち方にはこだわらない。ボクシングが成長しているから、そこを見せて勝ちたいとも決して思わない。私がウェルラウンダーだと試合で証明したいなんて考えていないし。チャンスがあれば柔術に持ち込んで、柔術で倒す。それで勝てるから。試合は勝つために戦うのよ。」
──ミシェル。色々と興味深い話、ありがとうございました。
「アリガト。日本の皆が私の試合を楽しんでくれることを願っているわ」
■視聴方法(予定)
9月3日(金・日本時間)
午後8時30分~ ABEMA格闘チャンネル
午後8時30分~ONE Super App
■ONE Empower 対戦カード
<ONE世界女子ストロー級(※56.7キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]シィオン・ヂィンナン(中国)
[挑戦者] ミシェル・ニコリニ(ブラジル)
<女子アトム級(※52.2キロ) ワールドGP準々決勝/5分3R>
ハム・ソヒ(韓国)
デニス・ザンボアンガ(フィリピン)
<女子アトム級(※52.2キロ) ワールドGP準々決勝/5分3R>
アリョーナ・ラソヒーナ(ウクライナ)
スタンプ・フェアテックス(タイ)
<女子アトム級(※52.2キロ) ワールドGP準々決勝/5分3R>
モン・ボー(中国)
リトゥ・フォーガット(インド)
<女子アトム級(※52.2キロ) ワールドGP準々決勝/5分3R>
平田樹(日本)
アリス・アンダーソン(米国)
<キックボクシング女子アトム級/3分3R>
アニッサ・メクセン(フランス)
クリスティーナ・モラレス(スペイン)
<ムエタイ女子ストロー級/3分3R>
ジャッキー・ブンタン(米国)
ダニエラ・ロペス(アルゼンチン)
<女子アトム級(※52.2キロ) ワールドGP補欠戦/5分3R>
VV.Mei(日本)
ジュリー・メザバルバ(ブラジル)
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