【写真】砂漠を選んだ吉野光。誰もやらないことができる人生は楽しいだろう(C)GRANT BOGDANOVE
18日(土・現地時間)、UAEはアブダビのエティハド・アリーナで開催されるUAE Warriors39に吉野光が出場し、全UAEWバンタム級王者ヴィニシウス・ジ・オリヴェイラと対戦する。
Road to UFCからUFCを目指す吉野は、決まった道筋のない世界最高峰へのトレイルロードを駆け上がるには「自分から動きださないといけない」と言い切った。
――昨年10月以来のUAEWですが、前回は超スクランブル発進でキャッチウェイト戦でした。今回は試合が決まったのはいつ頃だったのでしょうか。
「オファーがあったのは1カ月弱ぐらい前ですけど、発表があったのは1週間ほど前ですね(※取材は14日に行われた)」
──前回、ジャマル・ラステムに勝利していますが、複数契約だったのでしょうか。
「いえ、1回だけです。今回もこの試合だけですね」
──なぜ、単発か複数かが気になったのかというと、やはりRoad to UFCの存在があるからです。
「Road to UFCには出たくて、応募もしています。ただ、この試合に勝てばタイトル挑戦という話もしてもらっていて。Road to UFCに出られるなら、やっぱりRoad to UFCには出たいですけど、なければUAEWのチャンピオンを狙います」
──ところで2度目のアブダビでの試合。ファイトウィークの過ごし方も、前回よりは慣れましたか。
「ハイ。ホテルにいて全部できるんで、凄く楽です。マットスペースも凄く広くて。ホテルに泊まっていると、試合っていう気持ちになって……海外にいることだけで楽しいです」
──その表情からも、エンジョイしているのが伝わってきます。
「試合は緊張しないです。ケージに入って、気持ちを創れば良いだけで。試合前は楽しいです」
──そんななか、元チャンピオンとの対戦です。
「めちゃくちゃ嬉しいです。2試合目で元チャンピオンと戦えるなんて。戦績も17勝4敗で実績もあって、強い選手。オイシイ試合です」
──映像で見る限り、相当に粗くてパワフルな打撃戦をする選手のように見えました。
「そうですね。トリッキーで、身体能力が高くて動きが読めないです。そこはちょっと怖いです。寝技も下になっている場面がなく、上から殴ることが多かった。ただし四つ組みに付き合ってくれそうな感じで、そこで倒したいですね。前回がKO負けなので、そこも僕に有利かなと思います」
──その前に、粗くて怖い打撃をどう見切るのか。
「最初は当たらない位置に立って、近づいたら組むイメージでいます。振りが大きいので、組みやすいかと思います。ただテイクダウンをした場合、どういう下の動きがあるのか。そこは未知です」
──さきほど出たいと言っていたRoad to UFCですが、昨年は日本から3人が出場して1人は過去に勝利している野瀬翔平選手でした。そして優勝した中村倫也選手に準決で敗れた。さらにいえば中村選手は決勝も風間敏臣選手に勝利し、風間選手もUFCと契約を果たしました。
「中村倫也選手は強いです。ただ組み合わせ次第ですけど、僕も出ていれば決勝には行けたと思います。日本人選手が勝った3人の外国人選手には、僕も勝てます」
──今年のRoad to UFCバンタム級では上久保周哉選手も申し込みをしているとのことですが、練習仲間ですよね。
「こんなことは言いたくないですけど、上久保選手に勝てる可能性は限りなく少ないです。初めてスパーリングをした時とか、認めたくなくて頑張っていたのですが(笑)。練習をすればするほど凄さが分かって、今では尊敬しています。技も教えてもらっていますし、戦いたいとは思わないです」
──なるほどです。ところでUFC、Road to UFCを目指すにしても砂漠経由という選手は、日本では吉野選手だけです。他の選手はLFAに出る選手はいても、大概は日本に留まっています。
「行動を起こさないとダメです。ディスるつもりはないですけど、日本で修斗、DEEP、パンクラスでベルトを獲ったところでUFCに行くアピールにはならないと思います。現状、平良(達郎)選手だけだし。だから僕はUFCに近い海外の大会に出たいとずっと思っていました。しかも中東の大会に出たいと思って狙っていたので、たまたまですけどオファーがもらえて凄く嬉しかったです。とりあえず、自分から動きださないと何も起きないと思います」
──それは吉野選手が、日本で一つのプロモーションで定期的に試合が組まれたことがなかったからこそ、備わった思考ではないでしょうか。
「結構、試合がない時期とかもありました。ただ、頑張って交渉すれば継続参戦はできたと思っています。でも、ずっとそこで使われるような形になってしまう。それと僕が所属しているALMA FIGHT GYM LIFEではグラント(ボクダノフ)君が、僕のマネージメントとの通訳を助けくれて。他のジムのように代表が話を持って来るという……日本の泥沼のようなシステムにハマらなくて良かったと思っています。
僕しかやっていないから、中東で試合をすることに味をしめています。凄く楽しいです。ただし、試合に関しては負けるイメージが浮かんで怖くなることもあります。だから、相手のことを考えないで、自分が普段やっている練習通りの試合をする。練習での力を出すことができれば、勝てると思っています。自分の形に入れば勝てるという自信を持っています。
殴られて意識さえ飛ばされなければ、大丈夫です。殴られるのを覚悟のうえで、殴らせないで試合を制する。そういうイメージで戦います」
──押忍。UFCファイトパスで、吉野選手の試合を追ってくれるファンに一言お願いします。
「僕がやっていること、中東で戦うことは僕にしかできないことです。そういう場で、レベルの高い選手に勝てる日本人がいるところを是非見届けてください」
■放送予定
3月18日(土・日本時間)
午後9時00分~ UFC Fight Pass