カテゴリー
45 Eterna Eternal MMA89 Grachan HEAT53 HEAT55 K-1 MMA MMAPLANET o RIZIN ROAD FC Road FC70 UFC   ふくやーまん キック ショーン・オマリー ジャック・ベッカー パク・ヒョングン ボクシング レイマート・キンタナ 宮田和幸 海外 熊崎夏暉 神谷大智 黒井海成

【HEAT55 X AFC34 & Eternal MMA89 & Road FC70】今週末、日・豪・韓で戦う黒崎&神谷&黒井=鼎談

【写真】左から名古屋で戦う黒崎、豪州で戦う神谷。そして韓国で戦う黒井海成。凄い時代になったものだ (C)TAKUMI NAKAMURA

26日(土)、27日(日)の2日間、宮田和幸代表が率いるBRAVEから3選手が国内外の様々な舞台で戦う。熊崎夏暉は26(土)に名古屋市熱田区の名古屋国際会議場イベントホールで開催されるHEAT55 x AFC34でふくやーまん戦が控えており、神谷大智は同じく26日(土・現地時間)に豪州パースのHBFスタジアムで行われるEternal MMA 89でレイマート・キンタナと、黒井海成は27日(日・同)に韓国はウォンジュのチアク体育館で開かれるRoad FC 70でパク・ヒョングンと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

それぞれバックボーンも特徴も異なる3人だが、BRAVEの「毎日が異種格闘技戦」(熊崎)という環境のもと、自身の武器を強化&弱点を克服し、己のファイトスタイルに磨きをかけてきた。レスリングという明確な軸がありつつ、ファイトスタイル、そして目指す舞台は自由――そんなBRAVE育ちのMMAファイターたちに話を訊いた。


――今回は10月26日& 27日に3選手が試合を控えているということで鼎談を企画させていただきました。年齢的には誰が一番先輩になるのですか。

神谷 年齢で言ったら僕が25歳で、夏暉が24歳で、海成が23歳で1歳ずつ違うんです。でもジムに入った順番でいくと海成、僕、夏暉なので、ちょっと複雑です(笑)。

――それぞれBRAVEに入った理由を聞かせてもらえますか。

黒井 僕は宮城で空手とキックをやっていて、K-1甲子園に出たり、そのまま立ち技を続けてK-1でプロになろうと思っていたんです。そうしたら新型コロナウィルスの影響で、東京に行くのが難しくなって。その時にたまたま宮田(和幸)先生のセミナーが地元であって、それに参加させてもらったんですね。

その時に(宮田に)「MMAもやってみない?」と声をかけてもらって。僕自身、MMAは見るのも好きだったし、セミナーの後にBRAVEの練習にも一度参加させてもらったことがあったんですね。その時にBRAVEに入門して、MMAをやってみようと思いました。

神谷 自分はもともと柔道をやっていて、大学3、4年の時に新型コロナウィルスの影響で、学校で練習できなくなっちゃったんです。それでどこか身体を動かせる場所がないかと探していてBRAVEを見つけました。もともと格闘技は好きだったし、柔道にも活きるだろうなと思って、一般会員として通っていた感じですね。

当時は週1回くらいしかジムに来ていなくて、そのまま大学を卒業して就職するつもりだったんですけど、どうもそれがしっくりこなくて。それで宮田先生をはじめ、色んな人たちと話していくうちに、格闘技の道に進むのもいいんじゃないかと思って、大学卒業後にプロになろうと思いました。

熊崎 僕はずっと柔道をやっていて、大学時代の柔道部の監督が松本秀彦監督で、柔道と並行してサンボとコンバットサンボもやっていたんですね。それで段々とMMAに興味が出てきて、柔道部をやめてMMAをやるつもりだったんです。

そしたら監督に「それはもったいないから4年間は柔道を続けなさい。ちゃんと4年間続けたら、関東にあるBRAVEというジムを紹介するから」と言われて、その言葉通りに大学でも柔道をやりきって、BRAVEを紹介してもらいました。

――それぞれバックボーンもジムに入る経緯も違う3人ですが、実際にBRAVEで練習をスタートして、どんなことを感じましたか。

神谷 最初からプロ選手の練習に混じる感じだったので、最初は戸惑いましたが、自分に足りないと思ったことを宮田先生や周りの選手たちに質問して…という感じですね。

熊崎 今のBRAVEは本当に色んな選手がいるので、練習相手に困らないです。

神谷 ここのジムはレスリング、柔道、空手、伝統派空手、日本拳法、キックボクシング…と、色んなタイプの選手がいるので練習相手には事欠かないですし、選手同士でも色々と話し合いながらレベルを上げられるなと思います。

黒井 すごく自由にやらせてもらえるので、僕はやりやすかったです。自分の得意なところを伸ばしつつ、苦手なところを補うスタイルなので、僕の場合は組み全般、純粋なレスリング、投げ、グラップリング、壁レス……を教えてもらいつつ、あとはMMAにおけるグラップラーの間合いとか、そういうものを教えてもらうことが多いです。

熊崎 自分は柔道出身だったのでステップワークが難しかったですね。ああいう足の使い方は柔道にはないので。ボクシングや伝統派空手の選手はステップが上手いので、そういう選手に(ステップを)教わって、それから打撃に体重を乗せることを足していったイメージです。

神谷 僕はワンツーすら打てなかったです(苦笑)。柔道は構え的に上半身が起きていてワキも空いているから、打撃系の構えとは真逆じゃないですか。だからそれを矯正するのが大変でしたね。あとは夏暉が言っていたように柔道は擦り足でどっしり構えるので、ステップを踏むどころじゃないから、本当に一から新しいことにチャレンジする感覚でしたね。

だからスパーリングをやりながら少しずつ覚えていきました。その中でも一緒に練習している打撃出身の選手たちが「その動きはダメだよ」とか「こうした方がいい」と自然にアドバイスをくれる環境なので、それは本当に恵まれているなと思います。

――お互いに練習していてどんなところに特徴や強みを感じていますか。

黒井 大智さんは一度組んだら絶対に離さないという組みの強さがあって、そこは一緒に練習していてもすごいなと感じています。あと最近は打撃も上手くなっていて、一発一発のパンチがすごく重いですね。

夏暉さんは大智さんとは違うタイプの組みの強さがあって、スピードが早いうえに技のレパートリーが多いんですよ。僕としてはそれぞれ違う強さがあって、やる側としては嫌なタイプですね(苦笑)。

熊崎 海成は何でもできる器用なタイプだと思っていて、僕が教えた技もすぐ吸収して、感覚的なところは違うと思うんですけど、技や動きを見てある程度のことが出来ちゃうんですね。

そこが海成の特徴かなと思います。大智さんは海成も言っていたみたいに組まれた終わりです。一回組まれたら動かせてもらえない、そういう強さがありますね。打撃もどんどん上達しているので、そこも見習うべきことが多いです。

神谷 海成は吸収能力がずば抜けて高くて全体的に出来るというのもあるんですけど、自分の強味がどこにあって、それを活かす戦い方が出来る選手だなと思います。スパーリングをしていて、こっちの気が抜ける瞬間がないというか。常に打撃のプレッシャーをかけるし、組みに関しても必ず対応できるところにいる。

だから海成と向かい合っていると消耗していきますね。夏暉はとにかく極めが強くて、極めの強さはBRAVEでもトップクラスだと思います。あとは打撃でもスピードを使って、組みに攻防になったらすぐに極めに行く。そういう戦い方もできるので、極めの強さを生かす戦い方が発揮されれば同じレベルの選手に負けることはないと思います。

――黒井選手は2人から吸収能力の良さを挙げてもらいましたが、そこは自分でも意識しているところですか。

黒井 そうですね。僕は動きを選手で例えるというか、ボクシングだったらイリア・トプリア、蹴りだったらショーン・オマリー……そういう選手をイメージ・真似してやっていますね。あとは1日の練習に向けて3つミッションを作って、どれか1つは必ず成功させようと思ったり、教わった技をすべて覚えるのは無理だから、必ず1つは覚えて帰ろうと思ったり。色んなアドバイスをもらうけど、自分に合った使えるものを取捨選択したり、そういうところはすごく考えますね。

――熊崎選手の極めの強さは大学時代に松本先生に教わったものですか。

熊崎 まさにそうですね。大学に入るまで寝技はほぼやったことがなかったのですが、逆にそれが良かったんですよね。監督は「抑え込みは柔道じゃない。抑え込むなら極めに行け」という考え・指導だったので、予備知識がなかった分、自分的にはすんなり覚えることが出来ました。

逆に柔道出身なのに抑え込みが出来なかったので、抑え込みとかトップキープはMMAを始めてから覚えました(笑)。

――神谷選手は組んでからのキープ力には自信がありますか。

神谷 そうですね。僕はしつこく削って最後にフィニッシュするタイプなので、一度掴んだら絶対に離さない自信はあるんですけど、最近のMMAはポジションキープよりもダメージや極めに行く姿勢が評価されるので、僕としては戦い方を変えなきゃいけない部分はありました。

でも最近では抑えながら殴る練習が出来ているし、コントロールして殴る技術には自信があります。宮田先生も練習から『キープするだけじゃなくてダメージを与えろ』と口酸っぱく言われますし、キープしながら殴れるポイントを教えてもらっているので、細かい部分なんですけど、そういうアドバイスがすごく活きてきますね。

――こうしてお話を聞いていると同じ柔道出身でもファイトスタイルが違うわけですし、BRAVEのプロ練習はあらゆる格闘技のバックボーンを持った選手たちがぶつかり合う場所ですね。

熊崎 毎日が異種格闘技戦ですね。

神谷 ただそのなかでもやはり軸はレスリングだと思います。海成のような打撃の選手はいかにテイクダウンされないかで、僕や夏暉のような組み技の選手はいかにテイクダウンして展開を作っていくかなので、基本は“組んで倒す”や“組ませない・倒れない”だと思います。

――なるほど!! ここからはそれぞれの試合について聞かせてください。熊崎選手はHEATでふくやーまん選手と対戦します。

熊崎 相手は伝統派空手出身で型の選手ということですが、フィニッシュ率は100パーセントなので、大きい一発はもらわないように気をつけています。ただ自分も打撃が伸びてきているので、すべての局面で圧倒して勝ちたいです。

また今回は地元でやる試合で、地元にいる僕の仲間たちは地元でくすぶっているというか、なかなか夢を見て生きいけてないなと感じるので、そういう仲間たちに自分が夢を見せられる試合をしたいです。そういう面でも圧倒して勝つことが試合のテーマです。

――続いて神谷選手はEternalでレイマート・キンタナと対戦することになりました。

神谷 今のところ海外大会ならではの洗礼を浴びていて、当初決まっていた相手(ジャック・ベッカー)が試合の3週間ほど前に欠場になって、キンタナ選手と対戦することになったんですけど、キンタナ選手サイドから怪我で体重を落とせないからキャッチウエイトの74キロ契約に変更してくれないかと言われたんです。

僕とキンタナ選手は同じ大会でライト級の試合が決まっていて、お互いの相手が負傷欠場になって残った2人で試合を組まれることになったんで、相手が代わるのはしょうがないにしても、もともとライト級で試合が決まっていたんだから、契約体重を変えてくれというのはおかしな話じゃないですか(苦笑)。

――急遽参戦が決まった、もともと階級が違うではないですからね。

神谷 まぁ、こういうことがあるのも海外遠征だし、相手が代わってもやることは一緒です。ポジティブに考えれば、これから海外で試合をしていく上で、こういうハプニングは起こりうることだと思うので、それを今のタイミングで経験できてよかったなと。対戦相手や契約体重が変わっても勝つやつは勝つ、ということを次の試合で証明したいです。

――そして黒井選手はRoad FCでパク・ヒョングンと対戦します。ヒョングンはBreakingdownにも出場歴があり、Netflixで配信された「フィジカル100」にも出演するなど現地の人気ファイターという印象です。

黒井 初の海外での試合で、韓国ではかなり有名な選手らしいのですが、すべてにおいてレベルが違うと思っています。色々と挑発してくると思うんですけど、相手が口だけだってことを分からせてやろうかなと思います。

――次の試合で勝つことはもちろん、その先の目標を聞かせてもらえますか。

熊崎 最終的な目標はUFCなので、そこにつなげるためにもまずは日本の団体でベルトを獲りたいです。来年度までにはベルトを巻きます。

神谷 今回Eternalに出させてもらうことになったので、直近の目標はEternalでベルトを巻くことです。EternalからUFCに行くルートが明確に出来ているので、日本でタイトルを獲ることも大事だと思うのですが、僕の考えでは海外で実績を残してベルトを獲って、そこからUFCを目指していきたいです。Eternalでベルトを獲って勝ち続ければ(UFCは)決して遠い目標ではないと思うので、今回のチャンスをしっかりものにして結果を出していきたいです。

黒井 僕はUFCというよりもRIZINで活躍したいです。上京してMMAをやろうと思ったのは朝倉(未来・海)選手たちや堀口(恭司)選手を見て、自分もRIZINに出たいと思ったからなんですね。そのうえで今回は海外=Road FCで試合をしたいと思ったし、国内ではGrachanを主戦場にしているので、Grachanのベルトを獲ってRIZINで戦うことが目標です。今RIZINのフェザー級がすごく盛り上がっていて、特に海外勢がみんな強いので、そういう選手たちを次々と倒していきたいです。

――ちなみに3人は練習以外でも仲が良いのですか。

神谷 ジム以外でもみんな仲が良いですし、いい意味で上下関係がないんですよ。ちょうどいい関係性というか。仲は良いけど礼儀はちゃんとしているみたいな。格闘技経験者が多いので、ここまではやっていい・これ以上はやっちゃいけないというラインが分かるメンバーなんですよ。

熊崎 体育会系ならではの感覚ですよね(笑)。

黒井 年下の僕でも気を使わなくていいので、本当にいい雰囲気のジムだと思います。

神谷 たまには気を使えよ!と思いますが(笑)、いきなり態度を変えられてもやりづらいので、今まで通りでよろしく!

■HEAT55 x AFC34 視聴方法(予定)
10月26日(土)
午後3時00分~ Twit Casting LIVE

■ Eternal MMA89視聴方法(予定)
10月26日(土・日本時間)
午後7時00分~UFC Fight Pass

■Road FC視聴方法(予定)
10月27日(日・日本時間)
午後4時00分~KAKAO TV、SOOP

The post 【HEAT55 X AFC34 & Eternal MMA89 & Road FC70】今週末、日・豪・韓で戦う黒崎&神谷&黒井=鼎談 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 Eternal MMA85 MMA MMAPLANET o ジャック・ベッカー 松本光史

【Eternal MMA85】最終回の猛攻に最後まで粘った松本だが、ジャック・ベッカーに0-3で敗れる

<ライト級/5分3R>
ジャック・ベッカー(豪州)
Def.3-0:30-26.30-26.30-27
松本光史(日本)

HEATライト級タイトルコンテンダー、元Eternal MMAライト級王者でご当地ファイターのベッカーに大きな声援が集まる。圧を掛ける松本の右カーフで、ベッカーがバランスを乱す。カーフから左を振る松本だが、ベッカーも左ジャブをクリーンヒットさせる。ジャブを続けるベッカーは、一瞬のスイッチ。松本は腹を殴り、カーフを蹴る。ジャブを続けるベッカーも右ローを蹴り返し、右をヒットさせる。松本も右を入れ、組みのフェイクを見せる。

引き続き左ジャブのベッカーが、右アッパー、そして左ハイが松本の頭部をかすめる。直後にベッカーの右カーフで、姿勢を崩した松本は引き続き左足を蹴られる。サウスポーから左ハイを狙ったベッカーに対し、松本がステップインから右を当てる。残り80秒が過ぎ、ベッカーが右カーフを繰り返し、左フックをヒット。さらに右カーフのベッカーが初回を取った。

2R、松本の左足に触れてから、右を伸ばしたベッカー。初回と同様にジャブを伸ばす。松本は左ミドルを蹴られ、一瞬動きが止まったか。それでも前に出てくるベッカーにパンチを振るう松本が右を伸ばして前へ。ベッカーはジャブ、ボディを見てジャブ&右アッパー、さらに左リードフックを打ち込む。ジャブの相打ちから、右を伸ばした松本がジャブをダブルで振るう。ベッカーのシングルを切った松本が、ボディを続けワンツーを打っていく。

ベッカーが右ストレート、松本は左ジャブ、そして左フックを入れる。さらに蹴りから追い突きのように右を当てた松本だが、ベッカーは右を打ち返す。松本も右ボディを決め、ジリジリと前へ。ジャブで迎え撃ったベッカーは右ローから左というコンビを決める。ボディ後に左を顔面に伸ばしたベッカー、松本は右を狙う。ベッカーの右フックは空振り、互角で判断の難しいラウンドとなった。

最終回、まずベッカーが左ハイ。松本の蹴り足を掴んで殴り、右ハイを狙う。松本はジャブを被弾しても圧を掛け、右をヒット。ベッカーは右を正確に当てる。左リードフックの松本、ベッカーは右カーフを効かせる。下がり、回るようになった松本だが距離を詰めてフック──も、カーフを蹴られる。ベッカーも殴られても前に出る戦いを続け、一瞬の組み狙いにも対応する。そして首相撲からボディを殴り、離れた松本にパンチを振るうベッカーは、蹴り足をキャッチ即リリースして、右をクリーンヒットさせる。ケージに詰まった松本にパンチの追い打ち、前に出てきたところで飛びヒザを入れたベッカーがパンチ&ヒザと猛攻を仕掛ける。

腹も殴られ、追い込まれた松本はダブルレッグでテイクダウンを奪われると、パンチに背中を見せる。一度は背中をマットにつけた松本だが、もう一度バッククラブからマウントを許しパンチ&エルボーを落とされタイムアップに。

最終回をビッグラウンドとされた松本は0-3で敗れた。


The post 【Eternal MMA85】最終回の猛攻に最後まで粘った松本だが、ジャック・ベッカーに0-3で敗れる first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 Eternal MMA85 MMA MMAPLANET o UFC ジャック・ベッカー パンクラス フランク・カマチョ 天弥 松本光史 海外

【Eternal MMA85】豪州で元王者ジャック・ベッカー戦へ、松本光史「答え合わせをするために強い相手と」

【写真】豪州西部、パースのスーパーマーケット前にて(C)KOSHI MATSUMOTO

8日(土・現地時間)、豪州パースのHBFスタジアムで開催されるEternal MMA85にて、松本光史がジャック・ベッカーと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

松本は今年3月に天弥戦で敗れて以来の復帰戦が、豪州エターナルMMA初出場となった。対戦相手のジャック・ベッカーはHEATでオク・ユレンとの対戦経験もある、同大会の元ライト級王者だ。松本にとって、ここで海外——しかも元王者という強豪と戦う意味とは。


――6月4日の深夜2時に現地到着で、その翌朝にインタビューを行っております。まずは長旅お疲れさまでした。

「疲れました(苦笑)。飛んでいる時間は問題ないですが、成田空港で、飛行機の中で1時間半も待つことになって……。他の便で火災トラブルがあり、同じ時間帯の飛行機も止められたんですよ(※注)。なんとか飛行機も飛んで、無事パースに着くことができました。まだ散策していないけど、とにかく道も何もかも広いという場所です(笑)」

注)4日10時16分に成田空港を離陸した貨物機で、エンジンの不具合が発生。貨物機は引き返し、成田空港に緊急着陸する。その影響で成田空港では一部の便の出発が遅れたという

――今回、豪州のエターナルMMAで戦おうと思った理由から教えてください。

「もともと海外で試合をしたいとは思っていたんですよ。自分の中に『外国人選手を乗り越えることができていない』という気持ちがあって。ただ、ここ最近はそこまで勝てていないし、前回も負けている。そんな状態で海外の大会と交渉しても、そこまで強くない相手と組まれるんじゃないかと考えていました。

そんな中で、今回はジャック・ベッカーという――エターナルの元王者との対戦というオファーが来て。試合間隔の短さは心配ではありましたけど、トライしようとオファーを受けました」

――正直なところ現在の戦績で、かつ試合間隔の短さから「これが最後のチャンスだと考えたのか……」とも思いました。

「あぁ、分かります。……うん、そうですよね。前回の試合は負けたけど、チェックを受けて自分の体も大丈夫だったし、すぐ練習も再開していたんですよ。それと準備期間を十分に取ったからといって、万全の状態で試合に臨めるとも限らないわけで。試合が決まるのも、その時の運というか、巡り合わせみたいなものじゃないですか。だから自分には断る理由がなく、とにかく『ジャック・ベッカーと試合したい』と思ったんです」

――相手がベッカーという点は大きかったわけですね。

「それは大きいです。エターナルMMAの元王者で、強い選手ですからね」

――まず前回の天弥戦後に「大丈夫だった」と言える体が凄いです。

「アハハハ、そうですよね。あんなに血だらけになっていたのに(笑)。

あの時は『これが効いた!』という、脳が揺れるようなクリーンヒットはなかったんですよ。それより攻防の中で疲労のほうが強かったです。もちろんダメージがないわけではないけど、試合後に何日間も頭が痛いとか、そういうことはなくて。頑丈な体に産んでくれた親に感謝しています」

――良かったです。しかし天弥戦の敗北で、ライト級KOPのベルトからは一歩遠のいてしまいました。

「はい、そうですね」

――そんななかでエターナルのオファーが来るまで、ご自身の今後についてはどのように考えていましたか。

「考えていたようで考えていなかったというか…」

――というと?

「天弥戦で負けはしたけど、もっと強くなれるんじゃないかという実感があったんですよ。正直、パンクラスで戦った試合の中では一番それを感じて。

打撃の取り組みとか練習したことを出せたし、体の調整も変えたりしている、自分の中でうまくいっていなかった部分が繋がったところもあって。もちろんミスした部分もあったので、そこを改善していくと『もっとやれるんじゃないか』と思ったんですよね。だから試合が終わったあと『すぐに練習したい』という気持ちになりました。

あの敗戦でベルトから遠のいたのは分かります。だけど、強い相手じゃないと自分をつくり上げていくことができない。だから強い相手との試合のオファーを受けたんです」

――そうだったのですね。ダメージよりも疲労が大きかったという点について、20代の頃と比較することはありますか。

「体力が落ちたか、っていうことですよね。それは考えることはあります。若い時のほうが体力はあるのは当然で。数値化したら落ちているとは思うんですよ。でも若い時は、今のように精度や質の高い練習をできていたか。それは過去のことだから、今はもう数値化できないです。

若い時に今と同じ出力で試合をしても、疲労は変わらないんじゃないかとも思うんです。むしろ今のほうが精度と質が高くなって、それだけの出力で試合をしているから疲労もするんだろうなと。もう答え合わせはできないから、考えるのはやめました(笑)」

――過去と比べたり、過去を振り返っても意味はないと。

「はい。今その答え合わせをするためには、これから強い相手との試合で結果を残すしかないんです」

――今後のキャリアを考えるうえで、まずは一度エターナルMMAで気持ちを切り替えたい、ということですか。それともエターナルのベルトを目指したいですか。

「まだ分からないですけど、今回は相手がベッカーだから出るということで。実際に試合をしてみてから、次のことは考えたいです。もしベッカーに勝って、次の試合にも勝ってタイトルマッチという流れになるなら、エターナルのベルトを持って帰ったほうが、パンクラスにとっても良いかとは思っているんですよ。パンクラスのライト級も強い選手が揃ってきて、誰と対戦しても面白いでしょうし。自分がスパイスのようになるほうが、パンクラスの坂本靖さんも喜ぶような気がします(笑)」

――特にベルトを巻いてパンクラスに戻ってくれば、箔は付きますよね。初戦の相手ベッカーの印象を教えてください。

「一番は、タフですね。体も僕より一回り大きいし。どちらかというと組みの選手で、バックテイクすると相手を逃がさないというファイターです。そこで封じ込められたら負けてしまうとは思っています」

――しかもパンチを受けながら前に出て来るという……。

「ああいうタイプは苦手なんですよ(苦笑)。でもオファーを受けた理由として、ベッカーの実績はもちろん、こういうタイプを克服したいという気持ちもありました。その対策もしっかり練ってきたし、ベッカーに勝てばまた一歩先に進めるんんじゃないかと思います」

――どう考えてもフルラウンド削り合うことになるでしょう。敵地でフルラウンド戦うのは、スタミナだけでなくメンタル面の疲労も激しくなるとは思います。

「海外で試合をするのは2013年のPXC、フランク・カマチョ戦以来なんですよ。あの時はグアムで、今回はもっと日本から遠い場所ですけど――日本に来る外国人選手は、そういう状況の中で戦い、勝っているファイターもいるわけじゃないですか。そこでパフォーマンスを出せるかどうかは、自分にその能力があるかどうかであって。自分は出せるように、つくり上げてきました。良いパフォーマンスを見せることができると思いますので、皆さんUFCファイトパスでご覧ください!」

■視聴方法(予定)
6月8日(土・日本時間)
午後7時00分~UFC Fight Pass

The post 【Eternal MMA85】豪州で元王者ジャック・ベッカー戦へ、松本光史「答え合わせをするために強い相手と」 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 Eternal MMA83 MMA MMAPLANET o キック ジャック・ベッカー ジョシュ・トーゴ

【Eternal MMA83】ベッカーのバックを凌いだトーゴが、打撃でスプリット判定逆転勝ち

<ライト級/5分3R>
ジョシュ・トーゴ(豪州)
Def.2-1:29-28.29-28.28-29
ジャック・ベッカー(豪州)

BRAVEで活躍したトーゴと、HEATでライト級王座挑戦経験のある元暫定王者ベッカーの対戦。サウスポー、ワイドスタンスのトーゴが右ローを蹴る。続いて左ハイを見せたトーゴに対し、ベッカーはスイッチする。オーソに戻したベッカーが、再びスイッチ。互いに様子見のなかで、ベッカーが左ミドルを入れる。トーゴの左ミドルに組みついたベッカーがボディロックで崩して、バックへ。前方へのテイクダウンから両足をフックしたベッカーがボディトライアングルを取る。

腹ばいになって立ち上がったトーゴは、アゴの上からの絞めを外すが背中に乗られた状態が続く。ハーフネルソンからRNC、一瞬背中が伸びたトーゴにエルボーを入れたベッカーは、前方に落とされそうになると腕十字へ。トーゴは一回転して上を向かされたが肩を抜いてエスケープ、サイドで抑える。すぐにスクランブルからスタンドに戻ったベッカーは、ハイに左を合わされ、右ストレートを被弾して初回が終わった。

2R、右ローを連続で蹴るトーゴがワンツー。さらに左を決める。組みたいベッカーだが左を被弾し、思うように距離を詰めることができない。構えを変えるベッカーに対し、ジャブ、左ストレートを入れるトーゴが優勢に。それでもベッカーがジャブにダブルレッグを合わせてテイクダウンを決める。背中を譲って立ち上がったトーゴは正対し、ダブルを防ぐ。ベッカーはシングルに変化も、スイッチからバックを許す。背中に飛び乗れず下になったトーゴは、バックを譲って立ち上がり胸を合わせる。離れたトーゴが左ハイもクリーンヒットはせず、左ストレートも的を外した。

最終回、ベッカーのシングルを切って、左ハイを狙ったトーゴがジャブを当てる。構えを変えつつ左ストレートを決めたトーゴが、ボディ、ジャブ、そして左ストレートでベッカーがもんどり打つ。右ジャブを入れ、左ストレートという流れのなかでスイッチしてローを蹴るトーゴが、右ストレートも届かせる。ジャブでステップインを止められたベッカーは、左ストレートでヒットされ後方に下がる。一気に距離を詰めにいったトーゴだが、ベッカーがダブルレッグでドライブ。トーゴはスイッチからバックを狙うが、取り切れず正対する。残り70秒で離れると、トーゴが再び左ストレートを決める。ハイ、スピニングバックキックとアクションの大きな蹴りを繰り出したトーゴが、オーソでスピニングヒールキックを狙う。

残り15秒でパンチの回転数を上げたトーゴが、最後はスピニングバックキックで締め──なぜかスプリットに割れた試合で判定勝ちとタイトル挑戦権を手にした。


The post 【Eternal MMA83】ベッカーのバックを凌いだトーゴが、打撃でスプリット判定逆転勝ち first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
Eternal MMA78 MMA MMAPLANET o   ジャック・ベッカー デヴィッド・マルチネス ボクシング

【Eternal MMA78】カーフか、組んでコントロールか。勝ち筋が見えなかったベッカーがマルチネスに下る

<スーパーライト級/5分3R>
デヴィッド・マルチネス(豪州)
Def.2-1:29-28.29-28.28-29
ジャック・ベッカー(豪州)

74キロリミットのスーパーライト級で実施されることとなった一戦は、元ライト級王者同士の顔合わせだ。左の蹴りから左ジャブを見せるマルチネスに対し、ベッカーはスイッチを見せる。ジャブを受けて姿勢を乱したベッカーが、そのまま飛び込んで跳びヒザ、シングルからバックに回り、背中に飛び乗る。ベッカーは自ら着地し、胸を合わせたマルチネスに対し、シングル、ダブルとテイクダウンを狙う。ヒジを打たれ、ボディを連打したベッカーはマルチネスをケージに押し込んだ状態を続け、ついにシングルレッグでテイクダウンを決める。さらにスクランブルでサイドバックを取ったベッカーが、後方からヒザ蹴りを見せる。

離れたマルチネスが右を伸ばし、左ハイへ。ジャブで前に出たベッカーは、ジャブを被弾して下がる。ここから試合はクリンチ合戦となり、ケージに押し込まれそうになったベッカーはヒザ蹴りから押し返して離れる。残り1分、ワンツーで前に出たマルチネスの右が当たりベッカーの腰が一瞬落ちる。マルチネスはダブルレッグを選択するが、倒せず距離を取り直す。ベッカーはローに左を合わされ、時間となった。

2R、ワンツー、右を伸ばすマルチネスに対し、ショートのコンビを見せたベッカーが組んでエルボー、さらに首相撲からヒザを繰り出す。ベッカーはローのタイミングで組んでボディロックも、倒せず離れる。重いカーフに続き、右を当てたベッカーはカーフを続ける。ついにバランスを崩すようになったマルチネスは、右を振るうがダブルレッグで簡単に倒される。

背中を譲って立ち上がったマルチネスが正対、クリンチで右エルボーを2発打ち込む。離れたベッカーはカーフを狙い過ぎになっているか。それでも前傾姿勢でカーフを蹴られるマルチネスは、ジャブを返すがボディを殴られ、さらにカーフの餌食となる。それでも右、インローを返したマルチネスはショートを纏められると、逆にパンチのコンビからダブルレッグでクリーンテイクダウンを奪った。

最終回、開始直後にダブルレッグに出たマルチネスをギロチンで捕えたベッカーだが、極め切れず頭を抜かれると立ち上がる。バックを許さずシングルに出たベッカー。しかし、低い姿勢を保っていられない。マルチネスはダーティーボクシング、レベルチェンジでダブルレッグへ。キムラクラッチを取り切れなかったベッカーはバックを許し、上を向いてマウントを取られてパンチを落とされる。バックグラブに移行したマルチネスは、ボディトライアングルで固め後方からパンチをワキ腹に入れRNCを狙う。
 
手首を掴んで耐えるベッカーだが、腹ばいになりパンチを打たれ厳しい展開に。ベッカーは正座から立ち上がろうとしたが、マルチネスが許さず仰向けになって四の字フックを続ける。バックを制したままタイムアップを迎えたマルチネスが、なぜかスプリットで割れた試合を制した。


The post 【Eternal MMA78】カーフか、組んでコントロールか。勝ち筋が見えなかったベッカーがマルチネスに下る first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
Eternal MMA78 MMA MMAPLANET o ONE Road to UFC UFC アラン・フィルポット イーサン・トーマス オク・レユン ショーン・エッチェル ジャック・ベッカー スティーブ・アーセグ ダヴィッド・ドヴォルザーク デヴィッド・マルチネス パク・ジェヒョン 原口伸 平井総一朗 竹中大地

【Eternal MMA78】2月に続き、UFCウィークに大会開催。猫の目タイトル戦線、ライト級のベッカーに注目

【写真】豪州トップ・フィーダーショーのタイトルラインにあるファイターたちの実力は? (C)ETERNAL MMA

8日(金・現地時間)、これから30後に豪州はシドニーのリバティ・ホールでEternal MMA78が開催される。
Text by Manabu Takashima

Eternal MMAといえばHex FC、BRACEと並び豪州MMA界の登竜門といえるイベントで、今日のイベントも2月の73回大会に続きUFCファイトウィークの金曜日に行われるわけだ。

2月のパース大会では日本の平井総一朗を破ったスティーブ・アーセグがUFCとサインし、6月のオクタゴン初陣でフライ級10位のダヴィッド・ドヴォルザークを破っているが、今大会でもアーセグと同じ青写真を選手だけでなくプロモーションも描いていた。


それがメインのミドル級選手権試合=マット・マイヤース✖ブローガン・アンダーソンの一戦だ。しかし、王者マイヤースがファイトウィークになって負傷欠場が決まり、ブローガンの対戦相手は見つからずメインは消滅──代替ヘッドライナーはバンタム級のジャック・ベッカー✖デヴィッド・マルチネスが務めることに。

ベッカーはかつてHEATに来日し、2勝1敗。5年前の2018年5月にはオク・レユンの持つライト級王座に挑戦も判定負けを喫した過去がある。

ベッカーにとって、この試合は昨年5月にエイデン・アギレラの持つEternal MMAライト級王座に挑むも開始直後にカーフで足を折り、TKO負けを喫して以来の再起戦となる。

そのアギレラを破って、ライト級に王者になったのが今大会でベッカーと対戦するマルチネスだが、マルチネスも既にブレイク・ドネリーにベルトを譲り渡しており無冠だ。

さらにはドネリーも今年の6月にクイラン・サルキルドに敗れ王座陥落──サルキルドは8月のRoad to UFCワンマッチで、パク・ジェヒョンと対戦予定だったが、トーナメント繰り上がりで原口伸と戦ったために、シンガポールで戦う機会は失してしまったファイターだ。

とにかく王座が猫の目のように変わり、王者はUFCを目指すというEternalのライト級戦線だが、日本を知るベッカーがどのようなファイトを見せるのか。実はベッカーは再起戦を日本で戦いたいという意向を持っていたが、Eternalのオファーを受けて母国でのファイトを選択したという話も伝わってくる。

そして、そのベッカーの相手には平井のように日本人ファイターを招聘するプランをEternalも持っていたものの実現はせず、今回はマルチネスと事実上の次期挑戦者決定戦といえるマッチアップが決まった。

日本繋がりでいえばコメインでショーン・エッチェルと戦うアラン・フィルポットは、7年目にVJT大阪大会に来日し、竹中大地に敗れていたファイターだ。その後はONE Warrior Seriesを経て、Eternalに出場もそのONE WSから4連敗中でキャリアの崖っぷちにあるフィルポットだ。

■視聴方法(予定)
9月8日(金・日本時間)、
午後7時00分~UFC Fight Pass

■ Eternal MMA78対戦カード

<バンタム級/5分3R>
ジャック・ベッカー(豪州)
デヴィッド・マルチネス(豪州)

<バンタム級/5分3R>
アラン・フィルポット(英国)
ショーン・エッチェル(豪州)

<フェザー級/5分3R>
ロッド・コスタ(豪州)
イーサン・トーマス(豪州)

<フェザー級/5分3R>
ジョー・デイヴィス(豪州)
セバスチャン・ショーライ(豪州)

<150ポンド契約/5分3R>
ジョシュ・クーン(豪州)
ジェイムス・マクブライド(英国)

<フライ級/5分3R>
ジョセフ・ラーシニーズ(豪州)
トロイ・フーモ(豪州)

<ウェルター級/5分3R>
キム・ジュンギョ(韓国)
チョウ・ニエンラ(中国)

<バンタム級/5分3R>
クーパー・スミス(豪州)
ダニエル・ミッチェル(豪州)

The post 【Eternal MMA78】2月に続き、UFCウィークに大会開催。猫の目タイトル戦線、ライト級のベッカーに注目 first appeared on MMAPLANET.