カテゴリー
ADCC2022 MMA MMAPLANET o ONE WNO Championships   ガブリエル・ソウザ コナー・マクレガー ジオゴ・ヘイス ジオ・マルチネス ファブリシオ・アンドレイ マイキー・ムスメシ メイソン・ファウラー 堀内勇 高橋SUBMISSION雄己

【ADCC2022】ADCCを深掘り─01─/高橋Sub&堀内勇。66キロ級はレス&柔術力でファブシリオ&ジオゴ

【写真】22歳のファブシリオ・アンドレイと比較すると20歳のベイビーシャークの童顔ぶりが凄まじい(C)CLAYTON JONES/FLOGRAPPLING

17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターで開催される2022 ADCC World Championship。2年に1度のグラップリング界最大のトーナメントが、コロナの影響で3年振りに開催される。

グラップリング界においても特殊なポイント制が用いられながら、世界最高峰の組み技の祭典を高橋Submission雄己とMMAPLANETグラップリング・ライター堀内勇氏が、独断と偏見と愛情をもって深堀り。第1弾は天才2人を中心に66キロ級について語ってもらった。


――昨年のWNO Championshipsに続き、1年振りに高橋選手と堀内さんに、グラップリング大会の見所を語ってもらうことになりました。まずはADCC世界大会、、まずは66キロ級からお願いします。

堀内 自分は予習でFight&Lifeの高橋選手のADCC2022ガイドを読ませていただいて、さすがの見立てというか。ファブリシオ・アンドレイのことを分かっていなかったのですが、記事を読んでチェックしてみたら『これはレスリングが強いわ』と(笑)。ADCCのルールを考えた時に、ファブリシオが本命というのは反論のしようがないと思いました。

だからこそ、僕はファブシリオのチームメイトでもあるベイビーシャークことと、ジオゴ・ヘイスに注目したいと思います。

──体のバネが異様にありますよね。

堀内 そこを頭に入れてMMAPLANETの読者の方には、彼の動画でのインタビューを見て欲しいのですが、本当に童顔なんです。中学生ぐらいにしか見えなくて、声変わりもしていない(笑)。ミカ・ガルバォンも含め、ファブシリオとジオゴ・ヘイスは同門なんですが、ミカが「米国のファミレスで食事をした時に、ジオゴ・ヘイスにキッズ・メニューが渡された」と話していて。

高橋 アハハハハハ。

堀内 今回の66キロ級はマイキーがいなくなったことで、強い選手はブラジルの若い選手に集約されたような状態ですけど、ジオゴ・ヘイスの可愛らしいキャラを認知していただければと。試合に関していうと南米予選の1回目の方を視ましたが、準決勝の同門対決でファブリシオに足関節で勝っています。でも、アレはいつも取ったり、取られたりしている延長戦上にあるものかと思いました。

それより決勝のジエゴ・パト戦、世界最高のガードプレイヤーのパトを相手に後半の加点時間帯のレスリング合戦になると、体力とレスリングの圧力でベイビーシャークの方が上回ってきて。反応が悪くなったパトからバックを奪いかけて優勢勝ちしました。

あの試合を見て、パトは再戦が実現しても正直勝てないと思いました。コレをやられると防ぎようがない。ADCCに必要なレスリングの消耗戦での強さをこの子は持っていますね。ADCCのレスリングってテイクダウンをされても、亀になって3秒過ぎればテイクダウンが無効になります。だからなかなかテイクダウンポイントが入らず、永遠にレスリングが続きます。

そういう風な展開になると、ファブシリオとジオゴがもう1度戦うとファブリシオが勝つかなというのは、正直なところですけど。でも、この強豪揃いのなかで決勝を勝ち上がってくることを考えると、ひょっとしてジオゴの方が強いかも。そういう見立てをしました。

高橋 トーナメント表が出ていないなかで、ワンツートップはファブリシオとジオゴだと思います。

──ファブリシオも体のバネが尋常ではないですね。

高橋 ジオゴがファブシリオからヒールで勝ったものの、試合で極められたモノって凄く残るから、2度同じモノは食らわないだろうというところで──僕はファブシリオかと。ポラリスで66キロ級のファブシリオが、88キロ級のメイソン・ファウラーをレスリングで吹っ飛ばしているのを見て、その強さは絶対だという想いを持っています。

いずれにせよ、ファブリシオとジオゴが一番の注目株です。全然、関係ないんですけどポラリスの時、ジオゴが隣の部屋でした(笑)。部屋を出るときに十字を切っていて、敬虔なクリスチャンなんだと。

──ファブシリオ・アンドレイのレスリング、裸の柔道のような技もありますよね。小内刈りからシングルレッグとか、大腰で投げた試合を見ました。あの背中からドンと落とせる柔道技はテイクダウンポイントを取り辛いADCCでも有効でないかと思いました。

高橋 立ち技のポイントになると、シングルレッグで引き倒したり、ダブルレッグでガチッと入るよりも柔道的な投げのほうが抑え込みっぽくなるので、ポイントになりやすい。そうなるとさらにファブリシオの線が濃くなりますね。

──この2人以外に名前を挙げるなら、道着世界一のパトと言いたいのですが、南米予選の決勝後にムンジアルの準決勝でジオゴと戦った試合を見て、道着を有効利用して最後は50/50でパトが勝ちました。柔術だから何も間違っていないです。と同時に、あの勝ち方を見て、ADCCでパトがジオゴに勝つことはないと感じました。

高橋 そうですね。パトはガブリエル・ソウザとやった試合が印象的で。切って、倒れないところを見せていますが、それでもゴリゴリに立ち技が強いファブリシオやジオゴに勝つ手札はないと感じました。消耗戦のレスリングとなると、攻め手の少なさが原因となってギリギリのところで勝てないと思います。

堀内 下手をするとレスリングが強い選手と当たって、ベスト4前に敗退ということもあるかと。

──道着柔術の世界のトップで、そっちが本職という気持ちが少しでもあると、諦めて引き込んで負けという展開も有り得るかと。

堀内 南米予選の決勝で、パトがボロボロに疲れた状態でバックを許すと、ベイビーシャークが離れたんです。『最大のチャンスで離れた。何をやっているんだ』という意見があるなかで、ジオゴは『あの場面ではパトに背中をつけてガードをプレーさせたくなかった』と振り返っていました。先ほど言いましたが、ADCCルールだと亀でヒザをつき3秒が過ぎるとテイクダウンにならない。

──なるほど、スクランブルゲームでなく引き込み選択できるということですね。

堀内 ハイ。3秒間、パトが亀で耐えると彼は減点無しでガードを選択できるようになります。でも、ジオゴはそれをさせなかった。そこにはミカのお父さん、メルキ・ガルバォンの指示もあったかと思います。あんな風に最後の手段までそうやって周到に封じ込まれると、下派の選手は厳しいですね。

高橋 パトはソウザとの試合でも、なんだかんだと減点なしで下を取りました。下になるとガンガン攻めて、レフェリー判定で勝ちました。ジオゴ・ヘイスのようなトップゲームの強い選手が、パトにガードは取らせたくないというのは逆に幻想が膨らみますね。

──66キロの見所を話してもらううえで、最初に堀内さんが言われたマイキー・ムスメシの不出場。これはもう本音をいえば「ONE、要らんことするなよ」と。

高橋 アハハハハ。

堀内 盲腸の手術をするから欠場といっても、その翌週にONEでサブミッション・グラップリングの世界王座決定戦に出場するわけですよね……。

高橋 出場して欲しかったですけど、正直なところルール的に勝てないと僕は思っています。

──マイキーにすら、極め幻想は持てないですか。

高橋 それはWNOでソウザが打ち破った感はあるじゃないですか。マイキーのレスリングって、ジオ・マルチネスにぶん投げられているんで(笑)。

堀内 ただマイキーがジョー・ローガンのポッドキャストに出て『僕は3回、コロナで陽性になった(笑)』と言っていたんですよ。きっとソウザ戦の前はコロナだったんじゃないかなって(笑)。

高橋 病み上がりでガードのリテンションを仕切るスタミナがなくて、削り切られたと。

──いずれにせよ、マイキーは今回の欠場といい、ONEで5万ドルのボーナスで泣いている姿といい、ちょっとガッカリ感があります。5万ドルって、いうたら普通に働いていたら1年間で手にデキる額で。それで柔術世界一が泣くなよって。

高橋 マイキーともあろうお方が(笑)。コナー・マクレガーが飲み食いして一晩で使っちゃいそうな額ですからね。業界IQでいえば同じところにいる人間が、そこで泣くなと(笑)。

<この項、続く>

The post 【ADCC2022】ADCCを深掘り─01─/高橋Sub&堀内勇。66キロ級はレス&柔術力でファブシリオ&ジオゴ first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
ABEMA MMA MMAPLANET o ONE Polaris20 Progress YouTube ゲイリー・トノン ジオ・マルチネス 海外 高橋SUBMISSION雄己

【Polaris20】ポラリスへ、高橋サブミッション─01─「ビジネス的な役回りをする人が、業界に必要」

【写真】先人のいないことをサブミッションはやろうとしています。そして、彼の言っていることはMMAも同じかと思われます(C)SHOJIRO KAMEIKE

25日(土)、英国ウェールズのニューポートにあるウェールズ国際会議場で開催されるPolaris20に高橋Submission雄己が出場し、トミー・イィプと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

5月上旬にグラップリングの本場である米国へ渡り、NAGAニューオリンズ大会でノーギ・エキスパートクラスのフライ級とフェザー級で優勝したという高橋。彼はなぜ米国に向かい、現地で何を見てきたのか。貴重な米国グラップリング事情を語ってくれた。


――5月14日に米国で開催されたNAGAに飛び入りで出場し、2階級で優勝されたとのことですが、この飛び入りというのはどんな経緯があったのでしょうか。

「もともとNAGAには出ようと思っていたんです。これは話が前後するのですが――まずポラリス出場が決まった時点で、それまで海外で試合をしたことがなかったんですね。そこでポラリスの前哨戦としてNAGAに出ようと考えていて。その折にONEでルオトロ兄弟やマイキーとかが試合をし始めていました。

僕は去年からIREのプロデューサーとなって、ABEMA TVさんと懇意にさせていただいているんですね。そこでABEMA TVの北野雄司さんから『ONEのグラップリングの動きは無視できないのでは?』と言われたんです。ルオトロ兄弟やマイキーがONEで試合をするタイミングで、シンガポールでこうしたグラップラーたちの映像を撮らないかと。ちょうど僕は米国へ行こうという計画があって。米国に行けばONEの契約選手なり、他のグラップラーがいるので、彼らを撮影するのはどうですか? という話になり、ABEMA TVのお仕事絡みで米国へ行くことになりました」

――そうだったのですか。

「そうなると優先順位としては、青木さんの試合の煽りVを撮らないといけないので、まずルオトロ兄弟を取材しないといけない。取材へ行ったときに練習することもできれば、米国で練習するという目的も合致するので良かったです。

ただ、ルオトロ兄弟のスケジュールが……海外の選手って、そういう取材スケジュールが前後することって、よくあるじゃないですか。まずはルオトロ兄弟のスケジュールを抑えないといけない。そのために僕の都合は後回しにしなければいけない。そういった事情から、ギリギリまでNAGAに出られるかどうか分からなかったんです。結果、撮るものは撮れたのでNAGAに出場することができた、という経緯がありました」

――かつて日本人選手がブラジルへ練習に行くと、日本人からすれば現地の選手たちが時間にルーズで、伝えられた時間に選手たちが集まってこないというお話は聞きました。

「僕はそれほどルーズな海外事情の煽りを受けたことがないのですが、伊藤健一さんがジョン・ダナハーのジムへ行ったら、ダナハーが自分のクラスなのに1時間半ぐらい遅刻してきて、会員さんがみんな怒っていたという話は聞きました(笑)」

――アハハハ、現地では何が起こるか分からないので大変ですよね。しかし撮影、練習、試合と希望していたプランは全て叶えられたということですか。

「はい。いわゆる映像の撮れ高や編集の出来については僕も分からないのですが、僕自身の希望としてはルオトロなり、ジオ・マルチネスなり、ダナハーのところにいるジョナサンと組むことができました。エディにクラスにも参加できたし、NAGAにも出られたしで、僕の希望は叶えられたと思います」

――そのような米国の情報を聞くと、日本のグラップリングにも同様のビジネスが持ち込めるかもしれないですね。

「持ち込めるというより、持ち込まないといけないと思っています。日本のグラップリング界には、各ステークホルダーをつなぐプラットフォームのようなことをしている人が全くいません。つまりビジネス的な役回りをする人が、業界に必要です。そこで僕自身が、そういう役回りをするのも有りだなと考えています。たとえばプライベートレッスンの予約ができるような、グラップリング版ホットペッパーを創るとか」

――それは面白そうですね! 他にも米国での取材、練習、試合を通じて見えてきたものはありますか。

「まず米国と日本で、グラップリング界の構造自体が全く違う、というわけではないと思ったんです。もともと僕の中にも、日本と米国のグラップリングは全く違う世界だという気持ちがありましたが、米国に倣って日本も伸ばしていけばいいと思うところはあります。ただ、人口も業界の規模も違い、それなりに成熟していっている米国には、技術を売り買いするプラットフォームがありますよね。たとえばBJJ FANATICSとか。これから日本のグラップリング界が整備していかないといけない点などが、自分の中でもクリアになりました」

――BJJ FANATICSは、有名選手がオンラインで技術動画を販売するプラットフォームですよね。米国では、そのような仕組みが普及しているのですか。

「そう思います。たとえば今回ニューヨークで、ヘンゾ・グレイシーの道場のヘッドインストラクターと『英語圏の人なら、英語の技術動画のプラットフォームを観られるから良いですよね』という話をしていた時、こんなエピソードを教えてくれたんです。

昔、ダナハーの大ファンでヨーロッパの片田舎に住んでいる方が、出稽古に来た時のことです。そんな片田舎では柔術の練習相手が誰もいない。でもダナハーが大好きだから、動画でダナハーのサドルシステムを学んで、友達を相手に打ち込みをし続けていたそうなんです。ダナハーの言っていることは、動画から全てインプットしている。でも練習相手がいないから、旅行がてらグラップリングの本場に来てみた、と。それでダナハーのアカデミーに行き、ゲイリー・トノンとスパーをしてみたら、トノンと互角の実力を持っていたそうです(笑)」

――えっ!? 動画を見てゲイリー・トノンと互角レベルにまで……。

「やはり現代のグラップリングは情報戦だな、と思いました。これは極端な例ですけど、すごく面白い話ですよね。勤勉な人が勤勉に学び、インプットとアウトプットを繰り返していたら、理論上はそこまで伸びるわけです。あくまで理論上ではありますけど。

たとえ、そこまでのお話ではなくても、一部の最先端を行っている人たちがどんどん先に行って、地方は取り残されているという状況が、日本は多いので。今でいうとBJJ Laboとか、BJJ FANATICSの日本版のようなものが立ち上がっていて、精力的にやってくれています。それはすごく良い動きだなと思っています。そういったプラットフォームの規模がもっと大きくなり、いろんな技術が末端の人まで広まれば、業界の底辺拡大にも繋がりますよね。もちろん動画を販売しているトップ選手にもお金が入るシステムですから、日本の柔術&グラップリング界にも良い影響を及ぼすと思います」

――なるほど。技術面についてはいかがですか。

「おそらくコレはまだ米国の人たちも言語化できていないのだろうな、と思ったものがあります。実は僕が最先端を行っているんじゃないか、と思うものなんですけど(笑)」

――ぜひお願いします。

「レッグロックが流行り始めたじゃないですか。エディ・カミングスとか、ダナハー一派のゲイリー・トノンたちがサドルロックなどを使い始めて、内ヒールをバンバン極める時代がありました。これは宣伝っぽくなって申し訳ないんですけど……僕は先日『レッグロック4.0』という教則DVDを出したんです。実はレッグロックもアップデートされ続けていて、今はバージョン4.0まで来ているという意味なんですよ」


The post 【Polaris20】ポラリスへ、高橋サブミッション─01─「ビジネス的な役回りをする人が、業界に必要」 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
ABEMA MIKE MMA MMAPLANET o ONE ONE Championship ONE X ONE131 Road to ADCC WNO09 WNO10 WNO12 エステファン・マルチネス ガブリエル・ソウザ キック ジオ・マルチネス ジュニー・オカシオ ボクシング マイキー・ムスメシ リチャード・アラルコン ルーカス・ピニェーロ 今成正和

【ONE131】ONEが攻める!! 4月22日、地上最強柔術家&グラップラー=マイキー・ムスメシ✖今成正和決定

【写真】ファンメンタル、モダン、レッグロッカー、マイキーはどの顔で今成と相対するのか──楽しみ過ぎる一戦(C)FLOGRAPPLING&MMAPLANET

31日(木・現地時間)、26日(土・同)に10周年記念大会=ONE Xを終えたばかりのONE Championshipが公式SNSで4月22日(金・同)に開催されるONE131「Reloaded」でマイキー・ムスメシ✖今成正和のサブミッション・グラップリング戦を組むことを発表している。

MMA、ムエタイ、キックボクシングに次ぐONEにとって第4の軸となるサブミッション・グラップリングで、超注目カードが組まれた。


2017年から2年連続ムンジアルのライトフェザー級を制し、2019年とパンデミックで中止となった2020年を経て2021年にはルースター級優勝、現状4連覇中で道着柔術世界最強の名を欲しいままにしているマイキーは、その2021年にはノーギ・グラップリングをロックオンした。

1月にWNO07でマルセロ・コーヘンを腕ひしぎ腕固めで一蹴すると、5月のWNO09におけるルーカス・ピニェーロ戦、さらに6月のWNO10でジュニー・オカシオ戦、3カ月連続となる7月には後半ポイント有りのRoad to ADCCでジオ・マルチネスを撃破し、ノーギへの対応力の凄まじい高さを見せつけた。

9月のWNO Championshipではライト級トーナメントに出場し、ガブリエル・ソウザのノースサウスチョークに下るも、翌10月WNO12ではリチャード・アラルコンを秒殺してWNOバンタム級チャンピオンの座に就いている。

そして12月に上記にあるムンジアル4連覇目を達成するや、今年に入り1月にはノーギワールズ王者エステファン・マルチネスを3-0で下しWNOバンタム級王座初防衛と、マイキーは誰にも止められない破竹の勢いを見せている。

そのマイキー、本来は今月25日のWNO14でジオ・マルチネスの挑戦を受ける予定だったが、祖母を亡くし欠場しONE初陣を迎えることとなった。

ベリンボロがクラブライド~トラックポジションでトップもバックも奪取できるモダン柔術の使い手、現代競技柔術最先端の旗手という印象の強いマイキーだが、その実──彼は競技大会直前以外の期間はオールドスクールといっても良い、クローズドガード、パスガード、バックテイクにチョークという根幹部を重視したファンダメンタル柔術の精度を上げることに費やしている。

そんな軸があってモダン、ノーギになっても足関節を使いこなすことがデキる万能がグラップラーだ。一方イマナリロールで世界に名を知らしめる今成も現代レッグロックを習得し、代名詞である足関をアップデートしている。

さらにいえば道着柔術でムンジアルに挑戦している頃からガードを取っての三角、腕十字、スイープを得意としていた。ただし、トップからポジションニング、ガードでの防御能力の高さでいえばこれはもうマイキーが今成を上回るとしか書き記しようがない。

とはいえ、この試合はケージで行われる。リングMMA時代からマットと違い、ロープや金網があることで動きが窮屈になる位置と、そこでの動きを今成は熟知している。そしてケージ際に持ち込む術も持つ。

マイキーがそれ以上回転できない場所で、ヒールの攻防が見られれば今成にも勝機が生まれるが、果たして……。

(C)FLOGRAPPLING

一方マイキーには足関節へのカウンターのベリンボロがあり、足関節にしてもワキの下で足首を取るのではなく、首の付け根と鎖骨の上=ネックピットで利して極めるマイキーロックなる仕掛けある。

マイキーが有利なことを承知のうえで、今成が勝ちに行くグラップリングを展開できるのか──軽量級だからこそのダイナミズムを両者に期待したいケージ・サブミッション・グラップリング戦だ。

The post 【ONE131】ONEが攻める!! 4月22日、地上最強柔術家&グラップラー=マイキー・ムスメシ✖今成正和決定 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
MIKE MMA ONE ONE Championship WNO Championships   ガブリエル・ソウザ ケイド・ルオトロ コール・アバテ ジオ・マルチネス ジョシュ・シスネロス デミアン・アンダーソン マイキー・ムスメシ

【WNO Championships】レポート─01─波乱続出、ライト級準々決勝~準決。ファイナルはソウザ✖ケイド

【写真】準決勝でアバテを下し、ドヤ顔のソウザ(C)CLAYTONE JONES/FLOGRAPPLING

25&26日(土&日・現地時間)にテキサス州オースチンのパーマー・イベンツセンターで開催されたWho’s Number One Championships。ライト級、ミドル級とヘビー級、女子はストロー級及びヘビー級で賞金3万ドルとチャンピオンベルトを賭けた2days 8人制トーナメント──は2021年グラップリング界の最大のイベントとなった。

WNO Championshipsレビュー、第1回はライト級準決勝までの痕跡を辿りたい。
Text by Isamu Horiuchi


ライト階級は1回戦から波乱続出となった。まず、優勝候補大本命と思われたマイキー・ムスメシが、当初は補欠扱いだったガブリエル・ソウザにまさかの一本負け(別稿で詳述)。

(C)MIKE CALIMBAS/FLOGRAPPLING

さらに、準決勝におけるムスメシとの因縁の再戦が期待されていたジオ・マルチネスまでも1回戦敗退。

土壇場で代打出場が決まったAOJの16歳、コール・アバテと対戦したマルチネスは、序盤から素早く力強いアバテの下からの足関節の仕掛けに防戦を強いられる。さらに上から強引に腕を取りに行ったところで、体をずらされてバックを許してしまった。結局最後までアバテの足狙いに手を焼き、攻め手を見つけられないままマルチネスは判定0-3で完敗した。

(C)CLAYTONE JONES/FLOGRAPPLING

かくて伏兵同士の顔合わせとなった準決勝では、ソウザとアバテが一進一退の攻防を展開。

前半はアバテが下からの足関節の仕掛けでペースを握る。が、後半はパターンを読んだソウザが徐々に上からのプレッシャーを強める展開に。結局、途中内ヒールを深く入れる場面も作ったソウザが、スプリット2-1で判定をものにして決勝進出した。が、15分間を通して攻勢に出る場面が多かったのはアバテの方だっただけに、異論を唱える声も多く聞かれたジャッジングだった。

(C)MIKE CALIMBAS/FLOGRAPPLING

もう一方のブラケットの1回戦では、ムスメシ本人が最大のライバルとして名前を挙げていたケイド・ルオトロが、今年のアブダビ・ワールドプロ大会覇者であるパトことディエゴ・オリヴェイラと対戦。

序盤にパトの下からの迅速の抱え十字で腕を伸ばされかける場面もあったものの、その後は持ち前のノンストップ・パス攻勢で徐々にパトを削ってゆく。残り2分でついにインヴァーテッドガードを突破してパスに成功したケイドは、すぐにダースチョークを仕掛け、鮮やかな一本勝ちを収めた。

(C)MIKE CALIMBAS/FLOGRAPPLING

もう一つの1回戦は、やはり注目株のジョシュ・シスネロスが代打出場のデミアン・アンダーソンと相対した。

下から足を絡めてくるアンダーソンの仕掛けを、素早い反応のダースチョーク狙いで切り返したシスネロスは、うつ伏せで耐えるアンダーソンのバックへ。そのまま右腕をとって腕十字を極め、2分弱で会心の勝利。

(C)CLAYTON JONES/FLOGRAPPLING

続く準決勝──ケイドとシスネロスによる注目の新世代対決──では、残念なアクシデントが起きてしまう。

シングルを仕掛けたシスネロスに対し、ケイドがスピード感溢れるカニバサミで切り返すと、シスネロスは不自然な形で崩れてしまう。ここでレフェリーは即座に試合をストップすると、倒れこんだシスネロスが痛みに絶叫し、それを見ているケイドも頭をかかえてしまう状況となった。

スロー再生を見ると、シスネロスが重心をかけた右足のヒザ下に、横から勢いよくケイドの上半身がぶつかっている。これにより、右ヒザが曲がらない方向に大きな力が一瞬でかかってしまったようだ。やがて立ち上がり歩けるようになったシスネロスだが、負傷棄権によりケイドが決勝に進出。本命のムスメシ、新星アバテを倒したガブリエル・ソウザと決勝を争うことになった。

The post 【WNO Championships】レポート─01─波乱続出、ライト級準々決勝~準決。ファイナルはソウザ✖ケイド first appeared on MMAPLANET.

カテゴリー
MMA ONE ONE Championship UFC WNO Championships アナ・カロリーナ・ヴィエイラ アマンダ・リヴェイ アマンダ・ローウェン ウィリアム・タケット エリン・ハープ オーランド・サンチェス カイナン・デュアルチ カイル・ベーム ギャビ・ガルシア クレイグ・ジョーンズ グレース・ガンドラム ケイド・ルオトロ ケネディ・マシエル ジオ・マルチネス タイ・ルオトロ ダンテ・リオン ティム・スプリッグス テックス・ジョンソン ハイサム・リダ マイキー・ムスメシ マイサ・バストス メイソン・ファウラー ルイス・パンザ ロベルト・ヒメネス

【WNO Championships】世界への扉、開くか。ハイサム・リダ─02─「日本の柔術を世界に証明したい」

【写真】動けるヘビー級ハイサムに、世界が驚く日がやって来る──のか(C)CLAYTONE JONES

25&26日(土&日・現地時間)にテキサス州オースチンのパーマー・イベンツセンターで開催されるWho’s Number One Championships。5階級の2021年グラップライング最強を決めるノーポイント&サブオンリー、ジャッジ裁定有りのトーナメントに出場するハイサム・リダ・インタビュー後編。

参加選手はカイナン・デュアルチ、メイソン・ファウラー、オーランド・サンチェス、カイル・ベーム、ティム・スプリッグス、ルイス・パンザ、テックス・ジョンソン。右を見ても左を見ても強豪だらけのトーナメント出場を関しては、ハイサムは「カイナン以外なら全員勝てる。」と断言した。

全てを変える──トーナメントへの意気込みとは。

<ハイサム・リダ・インタビューPart.01はコチラから>


──トーナメントで優勝を狙うには、カイナンが初戦の相手だとやはりリスクは高いです。

「決勝で当たるのが一番ですよね」

──ではトーナメント優勝を考えると、初戦で誰と戦いたいと思っていますか。

「最初はテックス・ジョンソン……なんというのか、正直なところカイナン以外では誰でもいけると思っています。なのでトーナメントで優勝することを考えても、カイナンとは決勝で戦うのが一番良いです。カイナンも1回戦で僕と戦うのは嫌だと思っているだろうし、カイナン以外だと最初に戦うのは誰でも良いです。」

──オーランド・サンチェス、ティム・スプリッグスなどよく言えば重厚、いわば動かない試合で勝つ選手です。そのなかでハイサムはヘビー級でもライト級のように動くことができる。それが世界に知れ渡って欲しいです。

「そこが自分の持ち味です。今、少しだけハイサム・リダがどんな選手なのか皆が気付き始めています。『あれだけ体重があって、身長も高いのに動ける』って。

(C)SATOSHI NARITA

オーランド・サンチェスのパワーはとんでもないはずです。ただ、言われたように動けない。ということは、試合が進めば僕の動きについて来られなくなります。これは絶対に。

それに米国に来てから、ずっとレスリングの練習をしてきました。ミシガンから五輪に出たジェイク・ハーバートから直接指導を受けています。ジェイクは2012年のロンドン五輪フリースタイルレスリング米国代表で、世界選手権で準優勝になったこともあります。

※ジェイク・ハーバートは2009年のレスリング世界選手権フリースタイル84キロ級で銀メダルを獲得。ノースウェスタン大学時代には2度のNCAA D1王者で、4度のオールアメリカンレスラー。2009年にはダン・ホッジ・トロフィー(年間ベスト・カレッジレスラー)を獲得している。

ジェイクとやってきたので、テイクダウンをバンバン取れるということではないですが、テイクダウンされない自信もついてきました。オーランドのような選手は、テイクダウンしてずっと上からプレッシャーを掛けてくるのですが、自分の動きにはついて来られなくなるという自信は持っています」

──テイクダウンポイントがない。引き込めることに関して、ADCCルールよりもテイクダウン&コントロール・グラップラーと戦いやすいということはないですか。

「下になっても構わないです。ただし、ジャッジ裁定になった際にテイクダウンやパスにはUFCのように評価される向きはあります。一本を取れないと、マットコントロールは重視されます。ただし、テイクダウンを取っても一本を逆に取られることもありますし。WNOルールは、自分に一番向いているルールです」

──カイル・ベームは10thPlanetスタイルで、足関節が巧みです。僅か1試合の印象でハイサムは足関節が課題と見続けられている面もあると思いますが、さきほど名前を挙げたテックス・ジョンソンもレッグアタッカーです。それはハイサムが足関節の防御に自信を持つようになった表れなのでしょうか。

(C)SATOSHI NARITA

「テックス・ジョンソンはガンガン足関節を狙ってきます。

でも、もう足関節の防御には、自信があります。自分の弱点だと思ったので、ここに来てから克服に努めてきました。デトロイトに来てからの練習でも、皆が上を取れないので凄く足関節を狙ってきました。

(C)SUG

最初は極められましたが、ずっと練習してきたので今は以前のように極められることはないです。

カイル・ベームとテックス・ジョンソンは、リバースデラヒーバから回って足関節を狙ってくると思うので、その対策練習はずっとやってきました。それに自分の課題は足関節だけでなく、他にもあります。なので足関節も含め、穴がなくなるよう練習してきました」

──それはスパーリングで身につけていくものですか。

「僕はまず打ち込みを徹底してやっています。1時間の打ち込みから、少し休憩してスパーリングという風にやっています。できることは全てやっています。自分の時間は強くなるために、全て使っています」

──それにしても凄くイキイキしていますね。

「本当に楽しみです。最初に言ったように、ADCCに出たこともない実績では一番下だと思っています。完全にアンダードッグですが、そんな評価をひっくり返したいです。それができる予感が凄くあります。凄く大きなチャンスを手にすることができました。アンダードッグだからこそ、一番目立てます」

──本当に楽しみしている日本のサポーターに一言、お願いします。

「ハイ。いつも同じことを言っていますが、試合が決まってからも本当に色々な人からメッセージを貰いました。皆が応援してくれています。6月の試合も、こんなに多くの人が日本で見ていてくれたんだと……嬉しいし、本当に皆に感謝しています。これからも日本の柔術を世界に証明したいです」

■WNO Championships出場選手

【ヘビー級】
カイナン・デュアルチ(ブラジル)
メイソン・ファウラー(米国)
オーランド・サンチェス(米国)
カイル・ベーム(米国)
ティム・スプリッグス(米国)
ルイス・パンザ(ブラジル)
テックス・ジョンソン(米国)
ハイサム・リダ(ガーナ)

【ミドル級】
クレイグ・ジョーンズ(豪州)
タイ・ルオトロ(米国)
アンドリュー・ウィルツ(米国)
ウィリアム・タケット(米国)
ロベルト・ヒメネス(米国)
ジョン・ブランク(米国)、
ダンテ・リオン(カナダ)
ミカ・ガルバォン(ブラジル)

【ライト級】
マイキー・ムスメシ(米国)
ケイド・ルオトロ(米国)
ジオ・マルチネス(米国)
ディエゴ・オリヴェイラ(ブラジル)
コール・アベート(米国)
イーサン・クレリステン(カナダ)
ジョシュア・シスネロス(米国)
ケネディ・マシエル(ブラジル)

【女子ストロー級】
マイサ・バストス(ブラジル)
ニエル・ケリー(米国)
ジェッサ・カーン(米国)
トゥディ・アレキン(米国)
グレース・ガンドラム(米国)
アレックス・グエン(米国)
ジェシカ・クラン(米国)
タミー・ムスメシ(米国)

【女子ヘビー級】
ギャビ・ガルシア(ブラジル)
ハファエラ・ゲイジス(ブラジル)
エリン・ハープ(米国)
アナ・カロリーナ・ヴィエイラ(ブラジル)
エリザベス・クレイ(米国)
アマンダ・ローウェン(米国)
ケンドール・リユージング(米国)
アマンダ・リヴェイ(米国)

The post 【WNO Championships】世界への扉、開くか。ハイサム・リダ─02─「日本の柔術を世界に証明したい」 first appeared on MMAPLANET.

カテゴリー
MMA ONE ONE Championship WNO Championships   アナ・カロリーナ・ヴィエイラ アマンダ・リヴェイ アマンダ・ローウェン ウィリアム・タケット エリン・ハープ オーランド・サンチェス カイナン・デュアルチ カイル・ベーム ギャビ・ガルシア クレイグ・ジョーンズ グレース・ガンドラム ケイド・ルオトロ ケネディ・マシエル ジオ・マルチネス タイ・ルオトロ ダンテ・リオン ティム・スプリッグス テックス・ジョンソン ニュース ハイサム・リダ マイキー・ムスメシ マイサ・バストス ミカ・ペルハヴェッツ メイソン・ファウラー ルイス・パンザ ロベルト・ヒメネス

【WNO Championships】ヘビー級T出場、ハイサム・リダ─01─「カイナンは僕を止めることはできない」

【写真】目指すはグラップリング世界一、ハイサム・リダ(C)CLAYTONE JONES

25&26日(土&日・現地時間)にテキサス州オースチンのパーマー・イベンツセンターで開催されるWho’s Number One Championships。男子ではライト級、ミドル級とヘビー級、女子はストロー級及びヘビー級で賞金3万ドルとチャンピオンベルトを賭けた2days 8人制トーナメントが同大会では行われる。

世界のベストグラップラー、そして新進気鋭の若い選手が一堂に会す大会に、ハイサム・リダがヘビー級でエントリーされている。

カイナン・デュアルチ、メイソン・ファウラー、オーランド・サンチェス、カイル・ベーム、ティム・スプリッグス、ルイス・パンザ、テックス・ジョンソンという世界を代表する屈強なグラップラーと王座を争うメンバーに抜擢されたハイサムをZoomインタビューした。

全てを変える──トーナメントへの意気込みとは。


──WNOのヘビー級のリストが発表されたことは先週末(※取材は9月1日に行われた)に分かっていたのですが、仕事に追われていてチェックするのが週を明けてからになってしまいました。そうしたらリストにハイサムの名前を見つけて、メチャクチャ興奮しました。このメンバーに名前が連なるなんて、凄いビッグニュースです。

「正直、出たい気持ちはずっとありましたけど、自分でもこの8人の中に入れるようになるなんて思っていなかったです。米国に住むようになって、それほど時間は経っていないですし、レコード的にも……これから、どんどんタイトルを獲っていく自信はあるのですが、今はまだ他の出場選手と比較しても実績不足なのは明らかなので。だから、まだ入れないなっていうことは頭の中にありました。

なのでオーガナイザーからオファーが来た時は、自分でもビックリして嬉しかったです。自分の柔術を世界に証明するチャンスを手にしました。これまでやってきたことの全てをこのトーナメントに賭けていきたいです」

──オファーはいつ頃だったのですか。

「8月の後半になってからですね。発表までは少しありました」

──6月のWNOではキーン・コーネリアスと戦うという注目の試合が、キーナンの欠場で彼の弟子ミカ・ペルハヴェッツに対戦相手が代わり、本戦からプレリミに試合順も下げられてしまいました。あの時、ハイサムの名前を売る絶好のチャンスを逃してしまったと残念でならなかったです。それがプレリミでの勝利から、ここのメンバーに入った。大逆転ですね。

「キーナンとの試合は、僕もチャンスだと思っていました。レベル的にも自信もありましたし。それがミハとの試合になり、試合順もメインカードからプレリミに下げられた時は、頭に来ました。『マジかよ』って」

──ハイサムの責任ではないですからね。

「ハイ。メインカードに出たいとずっと思ってきたので。怒りというかフラストレーションは感じていました。あの試合は、自分は周囲が思っているよりも、ずっとできるといことを証明する試合にしたい……そういう試合を見せるという気持ちで戦いました。

そうしたら自分が期待していた以上に短時間で試合を終えることができて、WNOの人達に力を見せることができたと感じました。そして次の週にアメリカン・ナショナルがあって、そこでも優勝しました(黒帯スーパーヘビー級)。あの2大会はオーガナイザーにアピールできたと思います」

──結果、思い通りになったということですね。

「ただ、アメリカン・ナショナルのあとで連絡がきたときは、出場8人のなかで誰かケガをしたら代役で出てもらうという話だったんです。『100パーセントではないけど、準備はしていて欲しい』という感じで」

──なかなか微妙な状況ですね……それは。

「ハイ。そして、8月の後半になって『やっぱりハイサムに出てほしい』という風になりました。あの時は他にどんなメンバーが出るのか分かっていなかったですが、『YES。やるよ』と即答しました」

──その後、出場メンバーを見てどのように思いましたか。

「なんというのか……まぁ簡単な試合はないです。でも、自分は勝てるという自信はあります」

──おお、力強い言葉です。もうトーナメント枠は決まっているのでしょうか。

「トーナメント・ブラケットはファイトウィークになってから、抽選で決めるんだと思います。違うのかもしれないですけど(笑)。誰が相手になっても、大丈夫なように準備をして臨みます」

──優勝云々でなく、コンペティターとして誰と一番戦いたいですか。

「一番戦いたい試合は、一番困難になる試合です」

──つまりは……。

「ハイ、カイナン・デュアルチです。彼を倒すと、全てが変わると思います。カイナンには道着で2度戦って、2回とも負けています。でもノーギだったら、僕のスピードや勢いを止めることはできない。その自信はあります。道着ではなくて、ノーギの自分はカイナンにとって多分……いや、絶対に苦手なタイプです。それにフィジカルトレーニングを積んで体も大きくなっていますし、スピードもあって動けます。カイナンは僕を止めることはできない。カイナンと一番戦いたいです」

<この項、続く>

■WNO Championships出場選手

【ヘビー級】
カイナン・デュアルチ(ブラジル)
メイソン・ファウラー(米国)
オーランド・サンチェス(米国)
カイル・ベーム(米国)
ティム・スプリッグス(米国)
ルイス・パンザ(ブラジル)
テックス・ジョンソン(米国)
ハイサム・リダ(ガーナ)

【ミドル級】
クレイグ・ジョーンズ(豪州)
タイ・ルオトロ(米国)
アンドリュー・ウィルツ(米国)
ウィリアム・タケット(米国)
ロベルト・ヒメネス(米国)
ジョン・ブランク(米国)、
ダンテ・リオン(カナダ)
ミカ・ガルバォン(ブラジル)

【ライト級】
マイキー・ムスメシ(米国)
ケイド・ルオトロ(米国)
ジオ・マルチネス(米国)
ディエゴ・オリヴェイラ(ブラジル)
コール・アベート(米国)
イーサン・クレリステン(カナダ)
ジョシュア・シスネロス(米国)
ケネディ・マシエル(ブラジル)

【女子ストロー級】
マイサ・バストス(ブラジル)
ニエル・ケリー(米国)
ジェッサ・カーン(米国)
トゥディ・アレキン(米国)
グレース・ガンドラム(米国)
アレックス・グエン(米国)
ジェシカ・クラン(米国)
タミー・ムスメシ(米国)

【女子ヘビー級】
ギャビ・ガルシア(ブラジル)
ハファエラ・ゲイジス(ブラジル)
エリン・ハープ(米国)
アナ・カロリーナ・ヴィエイラ(ブラジル)
エリザベス・クレイ(米国)
アマンダ・ローウェン(米国)
ケンドール・リユージング(米国)
アマンダ・リヴェイ(米国)

The post 【WNO Championships】ヘビー級T出場、ハイサム・リダ─01─「カイナンは僕を止めることはできない」 first appeared on MMAPLANET.

カテゴリー
MMA ONE WNO Championships アナ・カロリーナ・ヴィエイラ アマンダ・リヴェイ アマンダ・ローウェン ウィリアム・タケット エリン・ハープ オーランド・サンチェス カイナン・デュアルチ カイル・ベーム ギャビ・ガルシア クレイグ・ジョーンズ グレース・ガンドラム ケイド・ルオトロ ケネディ・マシエル ジオ・マルチネス タイ・ルオトロ ダンテ・リオン ティム・スプリッグス テックス・ジョンソン ニュース ハイサム・リダ マイキー・ムスメシ マイサ・バストス メイソン・ファウラー ルイス・パンザ ロベルト・ヒメネス

【WNO Championships】ADCC&ノーギワールズ、SUG覇者らと共に。ヘビー級Tにハイサム・リダ出場!!!

【写真】この面子のなかに選ばれることが、すでにハイサムのバリューだ(C)CLAYTON JONES/FLOGRAPPLING

9月25日(土)と26日(日)の2日間に渡り5階級の8人制チャンピオンシップ・トーナメントが開催されるWho’s Number One。ライト級&ミドル級、女子ストロー級及び女子ヘビー級に続き、ヘビー級参加選手が発表されている。

そして世界のベストグラップラーが3万ドルを賭けて覇権を争うチャンピオンシップ・トーナメントにハイサム・リダの出場が決まった。


カイナン・デュアルチ、メイソン・ファウラー、オーランド・サンチェス、カイル・ベーム、ティム・スプリッグス、ルイス・パンザ、テックス・ジョンソンの7名。

ADCC2019とムンジアルを制した(※テストで陽性となり剥奪)カイナンを筆頭に、2015年ADCC99キロ以上級優勝のサンチェス、ノーギワールズ優勝経験者はスプリッグス、パンザ、ジョンソンの3選手、さらにいえばファウラーはSUG無差別級王者で、ベームはそのファウラーへの挑戦者を決めるトーナメントで優勝しており、ルカス・バルボーサに勝利している。

いってみればハイサムからすれば全員が格上だ。ただし、ハイサムの実績が及ばないのは北米を拠点にしてからまだ日が浅いからにすぎない。F2W、WNOのプレリミ出場からの今回の抜擢となったことはすでにハイサムのポテンシャルが認められているという表れでもある。

特にサンチェス、スプリッグス、ジョンソンなどはテイクダウン&コントールという渋い試合になることも予想され、ハイサムは動けるスタイルで一躍グラップリング界重量級のニュースターと認められるか可能性も大きい。

とはいえ足関スペシャリトのベームら、ハイサムが課題される部分で抜群に強さを発揮する選手も出場する。ポイント制ということも考慮すると、当然のように本命はカイナンだが、トーナメント枠次第でファイナル進出もあり得る。柔術家としては日本育ちのハイサムが、世界のトップグラップラーを相手にどのようなパフォーマンスを見せることができるか──心底楽しみだ。

■WNO Championships出場選手

【ヘビー級】

カイナン・デュアルチ(ブラジル)
メイソン・ファウラー(米国)
オーランド・サンチェス(米国)
カイル・ベーム(米国)
ティム・スプリッグス(米国)
ルイス・パンザ(ブラジル)
テックス・ジョンソン(米国)
ハイサム・リダ(ガーナ)

【ミドル級】
クレイグ・ジョーンズ(豪州)
タイ・ルオトロ(米国)
アンドリュー・ウィルツ(米国)
ウィリアム・タケット(米国)
ロベルト・ヒメネス(米国)
ジョン・ブランク(米国)、
ダンテ・リオン(カナダ)
ミカ・ガルバォン(ブラジル)

【ライト級】
マイキー・ムスメシ(米国)
ケイド・ルオトロ(米国)
ジオ・マルチネス(米国)
ディエゴ・オリヴェイラ(ブラジル)
コール・アベート(米国)
イーサン・クレリステン(カナダ)
ジョシュア・シスネロス(米国)
ケネディ・マシエル(ブラジル)

【女子ストロー級】
マイサ・バストス(ブラジル)
ニエル・ケリー(米国)
ジェッサ・カーン(米国)
トゥディ・アレキン(米国)
グレース・ガンドラム(米国)
アレックス・グエン(米国)
ジェシカ・クラン(米国)
タミー・ムスメシ(米国)

【女子ヘビー級】
ギャビ・ガルシア(ブラジル)
ハファエラ・ゲイジス(ブラジル)
エリン・ハープ(米国)
アナ・カロリーナ・ヴィエイラ(ブラジル)
エリザベス・クレイ(米国)
アマンダ・ローウェン(米国)
ケンドール・リユージング(米国)
アマンダ・リヴェイ(米国)

The post 【WNO Championships】ADCC&ノーギワールズ、SUG覇者らと共に。ヘビー級Tにハイサム・リダ出場!!! first appeared on MMAPLANET.

カテゴリー
MMA ONE WNO Championships アナ・カロリーナ・ヴィエイラ アマンダ・ローウェン ウィリアム・タケット エリン・ハープ ギャビ・ガルシア クレイグ・ジョーンズ グレース・ガンドラム ケイド・ルオトロ ケネディ・マシエル ジオ・マルチネス タイ・ルオトロ ダンテ・リオン マイキー・ムスメシ マイサ・バストス ロベルト・ヒメネス

【WNO Championship】女子ヘビー級は天敵不在のなかギャビが対本命。推定体重差45キロのハープも注目

【写真】写真は3度目のADCC制覇時。試合には敗れたが、先のデジェスス戦などスタンドのフットロックで足首を破壊するなど、今も頭抜けた強さを見せているギャビだ (C)SATOSHI NRIATA

9月25日(土)と26日(日)の2日間に渡り5階級の8人制チャンピオンシップ・トーナメントが開催されるWho’s Number Oneで、女子ヘビー級のロースターが明らかになっている。

この階級の本命はムンジアル6冠、ADCCを4度制したギャビ・ガルシアであることは間違いない。今年に入り、クレイグ・ジョーンズとの性別を越えた対決に向けて動き出し、話題となったが──これは実現に至っていない。

そのギャビだが、2月にWNO06でムンジアル3度優勝のナチアリ・デジェススの足をバキバキに破壊しながら、「ポッブして痛みがなかった」というデジェススの反撃を受け、バッククラブを取られ判定負けを喫している。

人類女子最強の座を守るには、デジェススが出場しない今回のトーナメントを圧倒的に勝ち抜きたいところだ。


他の出場選手はハファエラ・ゲイジス、エリン・ハープ、アナ・カロリーナ・ヴィエイラ、エリザベス・クレイ、アマンダ・ローウェン、ケンドール・リユージング、アマンダ・リヴェイの7名となっている。

(C)SUG

SUG王者アマンダ・ローウェンとF2W女子ヘビー級王者エリザベス・クレイの競演も興味深い。

ローウェンはポイント有り&道着の試合も経験豊富だが、最近は5分&OTとかなり偏向した状況でのSUGが主戦場となっており、トーナメントを勝ち上がる戦術とポジショニングへの対応力が問われるだろう。

一方クレイはノーギワールズで紫&茶帯を制しており、前述したF2Wでサブオンリーも戦うなど、ADCC特有の前半と後半での戦い方のアジャストが上手くいえば、面白い存在になりそうだ。

またケンドール・リユージングは2019年のノーギワールズ黒帯世界王者、今年もパン・ノーギを制しており、アマンダ・リヴェイは紫&茶帯のノーギワールズ・チャンピオンでキムラ・スペシャリストだ。

道着で2019年ムンジアル茶帯優勝、黒帯になってからはパン柔術で優勝しているハファエラ・ゲイジスは、道着ではラッソー、ノーギではクローズドガードが基本姿勢──だけに、引き込みマイナスがどのように作用するか。

柔術の実績でいえばギャビ以外の参加者のなかで、アナ・カロリーナ・ヴィエイラが群を抜いている。ムンジアルではミドル級で3連覇中のヴィエイラだが、ギャビと比較すると体格的なハンデはあるか。

女子はストロー級とヘビー級、ライト級以下のハープは適正階級がない(C)CLAYTON JONES

体格的なハンデでいえば、Invicta FCにも出場しているエリン・ハープはWNOではゲイジスとフェザー級で戦い勝利こそしているが、MMAではバンタム級ファイターだ。

通常体重だとギャビとの体重差は推定45キロ以上になるかと思われる。

ヘビー級というよりも、ミドル級以上のオープンクラスといえる同トーナメント。小兵のハープがどのような動きを見せるか。マーク・ケアー✖レオジーニョの再現を期待したい……とまでは言えないが、彼女の出場はグラップリングならでの醍醐味を見せることになるかもしれない。

■WNO Championships出場選手

【ミドル級】
クレイグ・ジョーンズ(豪州)
タイ・ルオトロ(米国)
アンドリュー・ウィルツ(米国)
ウィリアム・タケット(米国)
ロベルト・ヒメネス(米国)
ジョン・ブランク(米国)、
ダンテ・リオン(カナダ)
ミカ・ガルバォン(ブラジル)

【ライト級】
マイキー・ムスメシ(米国)
ケイド・ルオトロ(米国)
ジオ・マルチネス(米国)
ディエゴ・オリヴェイラ(ブラジル)
コール・アベート(米国)
イーサン・クレリステン(カナダ)
ジョシュア・シスネロス(米国)
ケネディ・マシエル(ブラジル)

【女子ストロー級】
マイサ・バストス(ブラジル)
ニエル・ケリー(米国)
ジェッサ・カーン(米国)
トゥディ・アレキン(米国)
グレース・ガンドラム(米国)
アレックス・グエン(米国)
ジェシカ・クラン(米国)
タミー・ムスメシ(米国)

【女子ヘビー級】
ギャビ・ガルシア(ブラジル)
ハファエラ・ゲイジス(ブラジル)
エリン・ハープ(米国)
アナ・カロリーナ・ヴィエイラ(ブラジル)
エリザベス・クレイ(米国)
アマンダ・ローウェン(米国)
ケンドール・リユージング(米国)
アマンダ・リヴェイ(米国)

The post 【WNO Championship】女子ヘビー級は天敵不在のなかギャビが対本命。推定体重差45キロのハープも注目 first appeared on MMAPLANET.

カテゴリー
MIKE MMA ONE WNO11 ウィリアム・タケット クレイグ・ジョーンズ グレース・ガンドラム ケイド・ルオトロ ケネディ・マシエル ジオ・マルチネス タイ・ルオトロ ダンテ・リオン マイキー・ムスメシ マイサ・バストス ロベルト・ヒメネス

【WNO11】2021年、組み技の祭典。No-P&Sub Onlyの頂点が決まる5階級8人制Two DaysT開催!!

【写真】タイ・ルオトロ、ラミレス、ガルバォン、そしてジョーンズ。ノーポイント&サブオンリーの頂点が決まる (C)/WNO

ADCC世界大会が延期された2021年、グラップリング界をリードしているWho’s Number Oneが、9月25日(土)と26日(日)の2日間に渡り5階級の8人制チャンピオンシップ・トーナメントを開催し、女子ストロー級、ライト級及びミドル級のランナップが既に明らかとなっている。

2年に1度開催のADCC世界大会は16名参加で男女7階級と無差別級の9人の世界チャンピオンを輩出しているが、コロナパンデミックで1年延期されることが決まっている。

この間のグラップリングの盛り上がりが反映し、かつ8人制Tの実施により、精鋭が揃うという見方ができるロースターが階級ごとに発表が始めっている。


ミドル級は──クレイグ・ジョーンズ、タイ・ルオトロ、アンドリュー・ウィルツ、ウィリアム・タケット、ロベルト・ヒメネス、ジョン・ブランク、ダンテ・リオン、ミカ・ガルバォンの8名だ。まさに豪華絢爛、道着の実績でなくノーギで選ばれた8人のグラップラーといえる。

ライト級では──マイキー・ムスメシ、ケイド・ルオトロ、ジオ・マルチネス、ディエゴ・オリヴェイラ、コール・アベート、イーサン・クレリステン、ジョシュア・シスネロス、ケネディ・マシエルがリストアップされた。

圧倒的な存在感を誇るのが、道着から本格的にノーギに活躍の場を移したマイキーであることは間違いない。

この階級はADCCの66キロと77キロの中間、道着と並行して活躍してきた選手も少なくないだけに、ミドル級と比較するとビッグネーム感に欠けるきらいもある。が、その分AOJの青帯で16歳のアベートを筆頭に若い選手が目立っている。

マイサ・バストス、ダニエル・ケリー、ジェッサ・カーン、トゥディ・アレキン、グレース・ガンドラム、アレックス・グエン、ジェシカ・クラン、タミー・ムスメシの8人の参加が決まった女子ストロー級トーナメント。

2019年ムンジアル女子ルースター級王者でEBI女子ストロー級Tを制しているバストスと筆頭にムスメシ姉が大舞台に復帰、エレクトリックチェアーの王女ガンドラムらと粒揃いの女子グラップラーが集まっている。情勢が許すことはなかったのだろうが、バストスやケリー、そしてガンドラムというライバルや過去に対戦経験のある湯浅麗歌子の名前は見たかったのは偽らざるところだ。

とはいえ、これぞ2021年のグラップリング界の頂点を決めるワールド・ザ・ベスト決定戦といっても過言ないTwo Daysトーナメント、他の階級の出場選手のアナウンスが待たれる──組み技の祭典だ。

The post 【WNO11】2021年、組み技の祭典。No-P&Sub Onlyの頂点が決まる5階級8人制Two DaysT開催!! first appeared on MMAPLANET.

カテゴリー
MMA Road to ADCC   ジオ・マルチネス ブログ マイキー・ムスメシ

【Road to ADCC】ノーギでの進化が止まらないムスメシが、ジオに快勝も切れまくり!!

【写真】試合内容には満足も、ジオ・マルチネスとのやり取りに憤慨していたマイキー──試合中の冷静さとまるで別人のようだった(C)ROAD TO ADCC

17日(土・現地時間)にテキサス州オースティンのJWマリオット・オースティンでRoad to ADCCが開催された。来年開催予定のノーギグラップリングの祭典=ADCC世界大会への前哨戦として位置付けられた、豪華きわまりないワンマッチ大会。
Text by Isamu Horiuchi

プレビュー第1回は、ノーギに専念して数ヶ月で急激な進化を続けるマイキー・ムスメシを、10th planet柔術軽量級エースのジオ・マルチネスが迎え撃った注目の一戦の模様をレポートしたい。

<66キロ級/20分1R>
マイキー・ムスメシ(米国)
Def. 6-0
ジオ・マルチネス(米国)

試合場に上がった両者。戦前から「尊敬する友人のジオと戦えて光栄だ」と友好的な態度を崩さなかったムスメシが握手を求めるが、「マットに上がったら友人だとは思わない。そもそもあいつはいつも偽善的に微笑んでいて気に入らない」と戦闘モードを取っていたマルチネスはそれを無視した。

試合開始。引き込むとペナルティを受けるルールだけに、ムスメシは頭を付けてのスタンドレスリングに挑む。が、体格に勝るマルチネスは前進して左で脇を差すと、体落としでテイクダウン。あっさりと倒されたムスメシだが、加点時間対開始前なので失点はなし。なおかつ引き込みのペナルティも取られずに下になることに成功したとも言える。

オープンガードをとったムスメシに対して、右にパスを仕掛けるマルチネス。エビで反応したムスメシは、すぐにマルチネスの右腕を両手で抱えると、あっという間に旋回して足をこじ入れてファーサイドのアームバーに。回転して逃れようとするジオだが、その腕は完全に伸ばされてしまっている。強烈に極まっているように見えるがタップしないマルチネスは、強引に立ち上がりながら腕を引き抜いた。

逃げられたムスメシは、すぐに下からマルチネスの右足に足を絡めて崩すと、左足にトーホールド狙い。さらに内ヒールに移行して極めにゆくが、マルチネスは腰を引いて支点のニーラインをクリアして危機を回避、上に戻った。ここまで3分足らずだが、ノーギの練習に専念して5カ月のムスメシが恐るべき仕掛けのタイトさを見せつけている。

その後もムスメシは積極的に下から足を絡めては極めを狙う。が、この攻防は熟知しているマルチネスも防御しては足を取り返す展開に。ムスメシは内回りや外回りを狙うが、マルチネスは距離を取ってポジションは取らせない。ダブルガード状態で足を取り合うなか、何やらマルチネスがムスメシに話しかけ、ムスメシも応じている。

ムスメシは、2019年の世界柔術決勝でホドネイ・バルボーザを秒殺した強烈なストレートフットロックのグリップも用いて、内ヒール、外ヒールと積極的に仕掛け、また回転してのバックも狙ってゆく。このムスメシのノンストップ・アタックに対して、マルチネスは守勢になりながらも、最初の腕十字以降は危ない場面に追い込まれることはまま時間が過ぎていった。

残り4分半になったとところで、ダブルガードの攻防では押され気味だったマルチネスが立ち、右のニースライスを狙って前に体重をかけてゆく。するとムスメシは後転するようにマルチネスを前に崩してから、すかさずベリンボロへ。ここでついにマルチネスの背後に回ってクラブライドに持ち込んだムスメシは、ヒザをついたマルチネスの背中に登る。

足を一本フックされたマルチネスは回転して正対を試みるが、ムスメシはタイトにマルチネスの背中に密着。やがて襷掛けのグリップを作ったムスメシは、もう一本の足も入れてフックを完成。残り3分のところで先制の3点を奪った。

その後もマルチネスは動き続けるが、ムスメシは背中から離れない。一瞬マルチネスは体を捻って正対したかに見えたが、ムスメシがバックに付き直すとさらに3点が追加される。さらにマルチネスはムスメシを背に乗せたまま立ち上がって落とそうとするが、ムスメシの密着は解けず。仕方なくマルチネスはダイブするように前転してのスクランブルを狙うが、ムスメシは背中から離れず。そのままムスメシがチョークを狙い、マルチネスが守る中で試合が終了した。

フックを解いたムスメシと向かい合ったマルチネスは、握手をしながらなにやら声をかける。ムスメシはそれに対して不満げに言い返し、さらにマルチネスのセコンドのエディ・ブラボーに挨拶する際にも、なにやら訴えかけていた。

放送席で勝利者インタビューを受けたムスメシは、怒りが収まらない様子で「僕は同じ黒帯としてジオのことをすごく尊敬していたのに、今日のマットでのあの態度には失望したよ。なんて品格がないんだ。試合前には僕がポルトガル語を話すことを馬鹿にして、僕がブラジル人みたいだとか、他の文化にリスペクトを表することを嘲笑った。あんな奴が黒帯だなんて、信じられないよ! いくら柔術のスキルが高くても、黒帯の資格なんかない!」とまくし立てる。

さらに試合中のやりとりについて聞かれると「僕は試合中は何も話してないよ。ただ奴がさんざんこっちを罵り続けたんだ。なんてアマチュアな態度だ! だから試合後に奴に言ってやったんだ。『僕は試合に勝つことにこだわりなんかない。僕らは次の世代に模範を示すためにやってるいんだ』ってね。奴の振る舞いは本当に馬鹿げている」とその興奮は止まらない。

さらに試合展開について聞かれると「それは満足しているよ。僕にとってビッグチャレンジだったからね。レスリングをやらなくてはならないから、今までで一番大変だと分かっていたんだ。でもなんとかしたよ(笑)。序盤の腕十字は極まったと思ったんだけどね。ジオの柔術自体はインクレディブルだよ。若い頃からファンだったんだ。いつも応援していた。なのに変わってしまった。もう自分のフォロワーへの受けしか考えていないんだろうね。柔術のスキルはすごくリスペクトするけど、人間としてはゼロ・リスペクトだ。僕は下の帯の選手達が、この試合での彼の振る舞いを見ているってことが我慢ならないんだ。ありえないよ。こんな態度をジムで取ったら出入り禁止にされるべきだよ。トーナメントでも同じだ」と、結局マルチネスへの怒りを蒸し返してしまった。

そんなムスメシは最後に今後の展望について聞かれて「みんな、僕は来年のADCCに出る資格があるかい? 興奮しちゃってすまない。この5カ月、僕は文字通り1日も休まずに練習してきたんだ。そしてものすごく上達している。まだまだ課題はすごくたくさんあるけどね」と、前向きに語った。

一方、言われ放題のマルチネスも「いったいなんであんなに怒るんだ?」と驚きを隠せない様子だったが、さすがに黒帯失格とまで言われると「試合後には一緒にピザでも食うのもいいかなと思っていたけど、もうイヤだ。奴はフェイクスマイルの奥にある本性をさらけ出したな。だいたい奴はこれまで何回所属を変えているんだよ。俺の師匠はずっとエディで変わらない。そういうことだ」とグラップリングとは関係のないところで中傷しあうようになってしまった……。

両者の遺恨についてはさておき、ノーギに本格的に取り組んで半年と経っていないムスメシは、強豪マルチネスにも快勝。序盤にタイトな腕十字を極めかけた上、足の取り合いや回転してのバックの取り合いといったマルチネスの得意分野でも試合を支配し、至高の柔術ファンダメンタルとノーギの技術の融合がますます進んでいることを見せつけた。

同時にスタンディングレスリングや、ノーギにおいて極めきる技術等、さらなる向上の余地も見えたこの試合。本人が「これが達成できたら、僕はもうハッピーに死ねるよ」とすら語る最後の目標=来年のADCC世界大会制覇に向け、天才児の急速な進化を現在進行形で目の当たりにできる我々の幸運は、まだまだ続いてくれそうだ。


The post 【Road to ADCC】ノーギでの進化が止まらないムスメシが、ジオに快勝も切れまくり!! first appeared on MMAPLANET.