【写真】現世界ミドル級王者アレックス・ポアタンのキャリア8戦目、UFC4戦目で王座挑戦という記録を打ち破る可能性も (C)MMAPLANET
4日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのTモバイル・アリーナで開催されるUFC285「Jones vs Gane」でボー・ニコルが、UFCデビュー戦でジェイミー・ピケットと対戦する。
ペンステート時代にNCAA D-1優勝3度、東京五輪出場は逃したが、MMA転向後は3戦3勝、1試合平均の試合タイムは驚愕の1分切り、49秒だ。レスラー時代にグラップリングでライアン・ゴードンと対戦し、最終的には三角絞めで敗れたが、それまでカニバサミからヒールを防ぎ続けていた。
東京五輪を目指していた時期に、これだけの対応力を見せていたニコル。MMAのコアの部分では、すでに世界トップクラスにあるスーパールーキーはUFCで戦うことに自信しか持っていなかった。
──コンテンダーシリーズの圧倒的な2連勝からUFCデビュー。現時点で世界王者アレックス・ポアタンと対戦しても、無傷で組んで倒すことができれば勝利する力がある。そんな風に思わせるだけの圧勝劇を続けています。
「アハハハハ。そんな風に言ってもらって、最高だよ。サンキュー・ソーマッチ」
──そして今週末、オクタゴン初陣が控えています。今の気持ちを教えてください。
「楽しみでならない。素晴しい機会を得ることができたと思っている」
──ところでコンテンダーシリーズ初戦では3勝0敗の相手に62秒でRNCを極めたにも関わらず、サインはならずシリーズ最終戦でもう1試合を組むという結果となりました。同シリーズに出場権を得た時点で、経験云々は不問にすべきだと思うのですが、ボー自身は理不尽だと感じなかったですか。
「もちろん最初の試合でUFCと契約したかったよ。でも、またコンテンダーシリーズで戦う機会をダナ・ホワイトから与えられたのだから、凄く燃えた。より経験を積むチャンスを得られたわけだし、UFCでデビューする準備になると思ったからね」
──そうなのですね。いやぁ、でも次の試合がUFC本戦の方がよりセンセーショナルナルじゃないかと。
「まぁ、UFCで戦いたいと思わなかったわけじゃない。そのつもりだったし。ただし、このプランの変更は全てが良い方向に働いたんじゃないかな。実は僕は多くの対戦相手から、試合を拒否られてきたんだ。だから、あそこでもう1試合約束されたことは良いことだったよ」
──やはりボーのレスリングの実績が、そうさせるのでしょうか……。ところで日本にはフォークスタイルレスリングは行われていないのですが、試合を見るとパンチのないMMAと言っても過言でない。ずっとそう思ってきました。
「その通りだ。全てのレスリングがMMAで戦うことに役立つよ。でもカレッジ・フォークスタイルレスリングは、どの格闘技と比較してもMMAに転向したときに技術の応用がきく。テイクダウンをしてからも、エスケープという攻防がある。そこにたくさんの技術が詰まっているんだ。子供の頃からフォークスタイルレスリングをやってきたから、どんな相手が来てもコントロールして、抑えることができる自信がある」
──両手をホールドすることなく相手をコントロールできる。つまり、片手が自由になっています。
「MMAになるとコントロールして、殴れるってことだからね(笑)」
──米国のMMAには本当に多くのカレッジレスリング出身のファイターがいますが、NCAA D-1で3度優勝、残りの1回も1年生次の準優勝という結果を残しているファイターは、ほとんどないかと。
■NCAA D-1レスリングで複数回優勝し、MMAで一定以上の活動をして結果を残しているファイター
2回:マーク・コールマン、マーク・ケアー、ケヴィン・ランデルマン、ロイス・アルジャー、ジョニー・ヘンドリックス、スティーブ・モッコ、コール・コンラッド、ベン・アスクレン
3回:ジェイク・ロショルト、エド・ルース、スティーブン・アバス、
※3度優勝はこの他マーク・シュルツ(MMAは初期UFCで1戦1勝のみ)、カールトン・ハセルリグ(3勝2敗、ローカルショーとEXCのプリレミ出場が1度)。スティーブン・ジョーゲンス(活動1年3カ月。エクストリーム・チャレンジで3勝0敗)
「3度、NCAAで優勝したことに関して達成感はあるよ。現状、MMAファイターで僕と同じだけの達成感を持っている選手はいないだろう。まぁ、もう今ではそうやって文字にして伝えられるだけのことでしかないけどね。
ただし、これからUFCで活躍することで僕に続いて多くのカレッジレスラーがMMAで活躍してほしい。特に僕の母校のペンシルバニア州立大のレスラーたちがね」
──フォークスタイルレスラーは、大学を卒業すると長年トレーニングしてきたルールで戦う大舞台はないのですか。
「ないね。五輪スタイルに転向するしかない。レスリングを続ける者の多くは、フリースタイルで戦うようになる。僕自身、TOKYO2020のトライアルに出て2位だった。この結果を受けて、MMA熱の方が大きくなったんだ」
──やはり五輪を逃した時が、キャリアの分岐点になるのですね。
「五輪は大きいよ。オリンピックの金メダルは、ずっと僕の夢だった。だから2024年のパリ五輪を目指すという選択もあった。家族とも話したけど、MMAの方が燃えられると感じたんだ。簡単な決断じゃなかったよ。でも僕は今、とても楽しめている。あの時の判断は間違っていなかったと思っている」
──五輪が夢だと、カレッジまでフォークスタイルを続けるのは遠回りではないでしょうか。ずっとフリースタイルに集中している方が、有利ではないかと。
「きっとそうだろうね。フォークスタイルとフリースタイルは凄く違う。ピリオド、タイム、ルールとまるで別だからね。それでもアメリカン・レスラーは、五輪で活躍し続けているよ。何よりカレッジでのフォークスタイルレスリングは、本当にエキサイティングだからね。あのコンペティションの盛り上がりを知れば、大学に進まずフリースタイルに専念することなんて僕はできないな(※ヘンリー・セフードは大学に進学せず、コロラドのオリンピック・トレーニングセンターでフリースタイルに集中し、金メダリストとなった)」
──それほどレスリングに没頭していたボーですが、いつ頃からMMAファイターになることを考えるようになったのですか。
「子供の頃、8歳や9歳の時からUFCを見ることが大好きだった。レスリングを続けていても、将来的にはMMAに進む気持ちでいたよ。そしてカレッジの2年と3年の時、少しだけど柔術も習い始めていた。あの時、MMAを戦いたいという気持ちからMMAを戦わないといけないという風に意識が変化したんだ。
柔術、ボクシング、ムエタイと違うマーシャルアーツを学ぶことは凄く楽しいよ」
──レスラーがMMAで成功するか否かは、レスリングの能力以上に殴ること、何より殴られることにどれだけ耐久性があるかだと思われます。
「打撃には自信を持っているよ。プロ初戦はKO勝ち、コンテンダーシリーズの2戦目でもパンチでダウンを奪っている(※組むと見せて、左オーバーハンドを決めた)。殴るタイミングや距離は、僕にとっては新しい経験で新鮮だった。だからこそ、可能な限り時間を割いて練習している。今だって一番自信があるのはレスリングだけど、僕の打撃は日に日に良くなっているよ」
──ATTには堀口恭司選手が所属していますが、親交はありますか。
「実は初めてATTに練習に行った時、ドーム(ドミトリー=寮)で一緒だったんだ。キョージは最高だよ。ベストガイさ。ペンシルバニアの自分のジムからATTに練習に行くとき、キョージに会うのが楽しみでならない。
キョージのカラテ・スタイルで見せるパンチ、そして蹴りからテイクダウンという流れが大好きなんだよ。キョージのMMAを見るのが、楽しみでならない。彼は絶対的に世界のベストの1人だ。いくつかキョージのような打撃を自分のファイトのなかに採り入れることができればなって思うよ。本当にキョージは最高のヤツだから」
──それは楽しみです。ではUFC初戦の相手、ジェイミー・ピケットの印象を教えてください。
「喧嘩屋……喧嘩ボクサーだけど、経験豊かで何でもできるファイターだよ。運動神経も良いし、体も強い。ただし、アドバンテージを持っているのは僕の方だ。圧倒的にレスリングでは僕の方が上だから。テイクダウンから寝技に持ち込んで、僕の柔術がどれほどのモノか披露したい。彼をサブミットしてね。
まあKOでも、サブミッションでもフィニッシュして、どでかいインパクトを残すつもりだ。僕はただのレスラーじゃない、MMAファイターとして勝つ。もちろん勝利は大切だけど、それ以上にファンの皆がまた見たいと思うる試合をするつもりだ」
■視聴方法(予定)
3月5日(日・日本時間)
午前7時30分~UFC FIGHT PASS
正午~PPV
正午~WOWOWプライム
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【UFC285】NCAA優勝3度、MMA3戦の平均試合タイム49秒!! ボー・ニコル「MMAファイターとして勝つ」 first appeared on
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