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【DEEP115】BCフェザー級王者シン・スンミン「蒼井そらは知っていても、青井人なんて知らなかったです」

【写真】9勝4敗、パン・ジェヒョクやパク・チョンスに勝利しているBlack Combatフェザー級王者(C)MMAPLANET

明日18日(月・祝)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP115 Impact 「DEEP vs BLACK COMBAT」。ダブルタイトル戦が3試合揃った同大会でBlack Combatフェザー級チャンピオンのシン・スンミンはノンタイトルで青井人と戦う。
Text by Manabu Takashima

コリアンソンビに憧れてMMAを始め、トルネード・ソンにMMAを習った。アグレッシブかつ、戦術を用いる冷静なファイト、削り合いもできるシン・スンミンに話を訊いた。


――去年の大みそかにシン・スンミン選手に話を伺った時、本当に日本で戦いたいという風に言われていましたが、ついに実現しますね(※取材は4日に行われた)。

「実は自分のプロデビュー戦は日本で、DEEP浜松大会だったんです(※2015年。×柴ちゃん)。5日前のオファーで、日本に旅行に行こうというぐらいの気持ちで戦いRNCで負けてしまいました。今回はしっかりと練習できているので、あの時よりもずっと楽しみです」

――いきなりのファイトに観光気分になれるのですね。ある意味、凄いです。

「まだMMAの練習を始めて8カ月ぐらいだったので。どうなるっていうものでもなかったので、旅行に行こうという気持ちでいたんです。あの時は、そうでした。ただあの負けがあったので、また日本で試合をしたいという気持ちは心のどこかにありました。去年、日本から来た記者さんに話をきいてもらった時に、その気持ちは確実なモノになりました」

――2018年8月にArzaletソウル大会に出場しています。日本のREALの海外版という位置づけだった同大会で戦った時も日本を意識していたのでしょうか。

「あの時はキム・ジョンホン選手と戦ったのですが、本当は日本人選手と戦いたかったですし、日本で戦いたいと思っていました」

――では今回はBlack Combatフェザー級王者としての来日です。Double GFC王者のパク・チョンス選手との王座決定戦ではサッカーボールキックを決めて勝ちました。あの試合の勝利をどのように捉えていますか。

「チャンス選手が良い選手だと言われるのは分かりますが、自分はパンクラスやグラジエイターで活躍しているバン・ジェヒョク選手にも勝っているので彼に勝ったことで、自分の株が上がったとは思っていないです。絶対に自分が勝つと自信を持って戦っていました。自分のキャリアは、今回の試合から始まります」

――そんなシン・スンミン選手ですが、MMAを始めるきっかけは何だったのですか。

「2013年の兵役中に、テレビでジョン・チャンソン選手とジョゼ・アルドの試合を視ました。凄く格好良くて、兵役を終えた2015年に始めました。それまで遊びで体を動かすぐらいしか、格闘技の経験はなかったですが、Ssenジムに入門してトルネード・ソン館長にMMAを学ぶようになりました」

――コリアンゾンビに憧れ、トルネード・ソンにMMAを学ぶ。なんだか良い話ですね。

「たまたま家の近所に道場があったんです。自分はテグに住んでいるので、ソウルのジョン・チャンソン選手のジムは遠すぎました。ただ、チャンス選手との試合前からコリアンゾンビMMAでも練習をしていて、今後は正式にジムを移籍するかどうか。今回の試合を終えて、決断したいと思っています」

――では、先日のコリアンゾンビ×マックス・ホロウェイ戦など胸に来るものがあったのではないですか。

「ジョン・チャンソン選手を見て、MMAを始めました。最後までMMAファイターとして、見ている人に感動を与えることができる素晴らしいファイターです。自分も引退する時には、ジョン・チャンソン選手のようになっていたいです。凄く感動的な引退試合でした」

――韓国のファンも第2のコリアンゾンビを求めているでしょうね。

「自分がどこまで昇り詰めることができるのか。それがMMAを戦う理由であり、凄く楽しみにしています。なので第2のコリアンゾンビを目指すのではなく、シン・スンミンとして世界でどれだけ通用するのか。そう思っています」

――承知しました。そのためにも今回の対抗戦、凄く大切だと思います。

「今回、自分はチャンピオンとして日本に行きます。なので相手がチャンピオンでないことは残念です。試合が決まってから、青井人選手がRIZINでも活躍していることを知りました。それまで蒼井そらは知っていても、青井人なんて知らなかったです」

――アハハハハ。

「ただDEEPには牛久絢太郎選手というチャンピオンがいるのに、青井選手が出てきたということは彼が逃げたと思っていました」

――まぁ、牛久選手はRIZINでの試合があるので――と話しを続けたいのですが、蒼井そらという名前の方に読者の皆さんも反応してしまうかと思います(笑)。ベルト奪取の際に彼女と抱き合っていましたが、問題ないですか。

「ハハハ。蒼井そらの名前が自然に出てきました(笑)。ただ蒼井そらが好きとは言っていないので大丈夫です(笑)。何も問題ありません(笑)」

――押忍。シン・スンミン選手はアグレッシブかつ、冷静に戦えるファイターです。今回の試合で、日本のファンにどのようなファイトを見せたいと思っていますか。

「蒼井そら……いや青井人選手を相手にして、自分のスタイルが変わることは一切ないです。自分は自分のスタイルで戦います。青井選手は1Rを戦い切ることができないでしょう。まずは目の前にいる青井選手を倒して、Road to UFCかRIZINで戦いたいと思います」

■視聴方法(予定)
9月18日(日)
午後5時40分~DEEP チャンネル-YouTube、U-NEXT、サムライTV

■ DEEP115対戦カード

<ヘビー級/5分3R>
酒井リョウ(日本)
ヤン・へジュン(韓国)

<DEEP & Black Combatライト級選手権試合/5分3R>
大原樹理(日本)
イ・ソンハ(韓国)

<DEEP & Black Combatバンタム級選手権試合/5分3R>
石司晃一(日本)
ユ・スヨン(韓国)

<DEEP JEWELS & Black Combat女子級アトム級選手権試合/5分3R>
大島沙緒里(日本)
パク・シユン(韓国)

<ミドル級/5分3R>
鈴木槙吾(日本)
チェ・ジュンソ(韓国)

<フェザー級/5分3R>
青井人(日本)
シン・スンミン(韓国)

<フライ級/5分3R>
駒杵嵩大(日本)
キム・ソンウン(韓国)

<バンタム級/5分2R>
力也(日本)
木下尚祐(日本)

<フライ級/5分2R>
杉山廣平(日本)
KENTA(日本)

<ライト級/5分2R>
涌井忍(日本)
倉本大悟(日本)

<フライ級/5分2R>
マサト・ナカムラ(日本)
亀田一鶴(日本)

<アマ68キロ契約/3分2R>
安井飛馬(日本)
菅涼星(日本)

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【DEEP115】対抗戦、先鋒戦出場の駒杵嵩大─02─「技術どうこうでなく、韓国は見ている先が違う」

【写真】フッと詰めて寄る。打撃の交換なくして、上手くハマった時は達人級(C)MMAPLANET

18日(月・祝)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP115 Impact 「DEEP vs BLACK COMBAT」。DEEPとBLACK COMBATの対抗戦では、駒杵嵩大がフライ級代表としてキム・ソンウンと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

インタビュー前編では、自身の課題と理想について語ってくれた駒杵。打撃主体のキム・ソンウンとの対戦は、その課題を克服した姿を見せられるマッチアップかもしれない。対抗戦の第1試合に出場することとなった駒杵が、DEEP軍に1勝ち目をもたらすことができるか。

<駒杵嵩大インタビューPart.01はコチラから>


――理想はDJですか!

「DJのように、打撃も組みも全部混ぜることができるようになりたいですよね。殴りながら入ったり、入りながら殴ったりとか――相手からすれば、僕が何をやってくるか分からなくなるぐらいまで(笑)。そういうDJのスタイルが理想です」

――現状、その理想まで何パーセントまで辿り着いていますか。

「まだまだです。自分の理想まで、半分も辿り着いていないと思います。でもそれって、まだまだ自分には伸びしろがあるっていうことなんですよ」

――そんななかでBLACK COMBATとの対抗戦を迎えます。まず今年2月に対抗戦第一弾が行われた時、ご自身がその輪に加わるとは思っていましたか。

「試合映像は見ましたが、『自分には関係ないのかなぁ』と思っていました。第一弾の時はフライ級がなかったので。ただ、いつか海外勢と対戦したいという気持ちはありましたね」

――駒杵選手はMMAでは国際戦の経験がありません。柔道時代を含めると、最後の国際戦はいつまで遡りますか。

「大学2年生の時なので、ちょうど10年ぐらい前です。ずっと海外勢との練習はやっていたんですよ。いろんな国のナショナルチームが大学(駒杵は東海大学出身)に来ますから」

――どういった国々が出稽古に来ていたのでしょうか。

「カザフスタン、フランス、韓国のチームとも練習していました。東海大学の柔道部には強いヤツが集まっているので、それだけ海外からも出稽古に来るんですよ」

――最初にMMAにおける相性の話がありました。駒杵選手は柔道時代、海外勢との相性は良かったのですか。

「国際大会でも優勝していますし、相性は良かったと思います。柔道の場合は、日本人と比べたら海外勢のほうが雑なので、やりやすいんですよ。時間が経つにつれて、試合が雑になってくるんです。昔は『海外の選手は体力がない』と言われることもありました。後半になってくるとスタミナが切れてくるから、こちらも後半に勝負できるわけですね。今はそんなこともないと思いますけど」

――MMAでいえば逆に、韓国勢と中央アジア勢の体力と削り合いのタフさは強みの一つですよね。

「あと韓国人選手は気持ちが強いです。柔道でも『絶対に勝つ!』という気持ちで向かってくるし、気持ちの面では日本人よりも上だと思いますよ」

――韓国人選手の気持ちの強さに対し、駒杵選手はどのように対抗していたのですか。

「僕の場合は、技術で対抗していました。それは韓国人選手だけでなく、特に中央アジア勢は体の強さもレベルが違っていて。密着してしまうと勝てない、すぐに投げられてしまう。旧ソ連圏の選手は特に、レスリングのように抱き着いて倒しに来ることが多いんです。だから腕でうまく距離をつくりながら、道着を使っていなしながら技に入ることが必要になります。そういう作戦は必須でした」

――柔道時代に培ったその技術は、MMAでも韓国人選手との試合で生きてきますか。

「いえ、もう全然別モノですからね。韓国からUFCに出ている選手って多いじゃないですか。歌手とかエンターテインメントの世界でも、米国に進出している人が多いですよね。日本よりも韓国のほうが技術的に上かどうかではなく、まず見ている先が違うと思います。だから韓国ではUFCをはじめ、MMAが人気になっているのかもしれないです」

――なるほど。柔道という国際舞台で戦ってきた駒杵選手の意見だけに、納得できます。では試合の話に戻りますが、次の対戦相手であるキム・ソンウンの印象を教えてください。

「試合映像を視ましたが、逆転勝ちをする選手ですよね。でもテイクダウンディフェンスは、まだまだなのかな……。対抗戦の中で、まずフライ級の僕がしっかり勝ちたいですね(※取材後、駒杵×キム・ソンウンのフライ級戦が、対抗戦の第1試合になることが発表された)。相手の打撃をもらわずに倒していけば、問題ない相手だと思っています」

――危険視するとすれば、あの打撃ですよね。とにかくガンガン前に出て、打撃を繰り出してくる選手です。

「僕としてガンガン前に出てきてくれたほうが、やりやすいです。パンチを出してくれたほうが、空いているところに組みやすくもなるので。そこは今練習していることが出せるし、練習の成果を見せるという部分でも、良い相手だと思います」

――今回はDEEPフライ級代表として対抗戦に出場します。ここで勝てば、その後にタイトルマッチなどのチャンスも得られるかもしれません。

「そこは分からないですよね。タイミング次第じゃないですか。今フライ級は神龍誠選手が正規王者で、福田龍彌選手が暫定王者ですから。まずは統一戦があるのかどうか――でも僕としてはオファーがあれば、いつでもやります。もちろんベルトを獲る自信もあります」

――それは楽しみです。では最後に、次の試合に向けて意気込みをお願いします。

「まずはテイクダウンして、サブミッションを極めたりパウンドでKOする姿をお見せしたいです。勝ち負けがハッキリ分かる試合をします。僕自身まだまだ伸びしろを感じているので、この試合だけでなく今後も応援よろしくお願いします」

■視聴方法(予定)
9月18日(日)
午後5時40分~DEEP チャンネル-YouTube、U-NEXT、サムライTV

■ DEEP115対戦カード

<ヘビー級/5分3R>
酒井リョウ(日本)
ヤン・へジュン(韓国)

<DEEP & Black Combatライト級選手権試合/5分3R>
大原樹理(日本)
イ・ソンハ(韓国)

<DEEP & Black Combatバンタム級選手権試合/5分3R>
石司晃一(日本)
ユ・スヨン(韓国)

<DEEP JEWELS & Black Combat女子級アトム級選手権試合/5分3R>
大島沙緒里(日本)
パク・シユン(韓国)

<ミドル級/5分3R>
鈴木槙吾(日本)
チェ・ジュンソ(韓国)

<フェザー級/5分3R>
青井人(日本)
シン・スンミン(韓国)

<フライ級/5分3R>
駒杵嵩大(日本)
キム・ソンウン(韓国)

<バンタム級/5分2R>
力也(日本)
木下尚祐(日本)

<フライ級/5分2R>
杉山廣平(日本)
KENTA(日本)

<ライト級/5分2R>
涌井忍(日本)
倉本大悟(日本)

<フライ級/5分2R>
マサト・ナカムラ(日本)
亀田一鶴(日本)

<アマ68キロ契約/3分2R>
安井飛馬(日本)
菅涼星(日本)

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【DEEP115】パク・シユン戦前の大島沙緒里─02─「試合を長引かせるつもりはありません。最初から極めに」

【写真】母は強し。DEEPが雪辱するためにも、そんな姿の再現に絶対(C)MMAPLANET

18日(月・祝)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP115 Impact 「DEEP vs BLACK COMBAT」でパク・シユンと対戦する大島沙緒里のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

対戦相手のパク・シユンにとって日本での試合は、これが2度目となる。前回は2019年12月にDEEPジュエルス大阪大会で赤林檎に判定負けを喫した。そこから3連勝を収めているパク・シヨンがアトム級王座を獲得した際の試合映像について大島に訊いたところ――YouTubeを中心に展開されるBLACK COMBATの撮影エピソードを明かしてくれた。

<大島沙緒里インタビューPart.01はコチラから>


――先ほど「上を目指す」と仰っていましたが、上に行けば行くほど大島選手が組んでも切られたり、テイクダウンしても立たれてしまう状況は増えるでしょう。

「ケージ際で組み合っている時にヒジを打ったり、離れ際のヒジやヒザは考えています。練習では本気でヒジを振ると、当たった時に危ないので難しいですが……。でも常に『ここでヒジを打ったら、こうなるかな』ということは意識しながら練習しています」

――一方、国内では大島選手を相手に自分から組んでくる選手は少ないと思います。しかし上には上がいる。では組みが強い選手が組んできた時に、どう対処するのか。その経験も重要になってきますね。

「まさに次の相手は組むにしろ打撃にしろ、どんどん前に出て来る相手ですよね」

――パク・シヨンは今年7月にキム・ナンヒをRNCで下し、BLACK COMBATのアトム級王座を獲得しています。その試合映像はご覧になりましたか。

「視ました。まず試合内容より、外で試合をしていたのは驚きました(苦笑)。私が2月に韓国へ行った時も、まあまあYouTube用の撮影時間が長かったんですよ。もちろん試合の日は選手ファーストです。でも韓国に入ってから試合に至るまでの撮影は、時間が結構長くて。だからパク・シヨン選手がベルトを獲得した日は外で長い時間、撮影部隊の人も大変だっただろうなぁって。自分が2月に行った時のことを思い出してしまいました」

――大島選手が2月に韓国で試合をした時は、試合当日までの撮影で演出や撮り直しなどの注文も入ったりしたのですか。

「いくつか要望は言われました。でも基本的に選手に対して敬意を持ってくれていますし、撮影中に選手が気分を害するようなことはなかったと思います」

――なるほど……、試合の話に戻ります。では試合映像を視たうえで、相手の印象を教えてください。

「前回だけでなく、過去の試合も視ました。昔は上の階級でも試合していて、打撃戦をすることも多かったですよね。でも最新の試合では、すぐにテイクダウンを狙いに行っていて。実は日本に住んでいる韓国人の知り合いに訊くと、もともとレスラータイプだったと。だから私との試合も、まずテイクダウンを狙いに来るんじゃないかと思っています。それでもフィジカル勝ちしようとしているというか、かなりパワーで来る選手だとは感じますよね」

――戦績はプロデビュー戦で勝利し、その後は3連敗。3敗目はDEEPジュエルス大阪大会で赤林檎選手に判定負けしたものです。しかし以降は3連勝しています。

「しかも3連勝は全て1R決着ですよね。もともと私は対戦相手の映像を視ないので、連敗している頃と連勝してからの違いについては、よく考えていないんですけど……。ただ、一度大きな怪我をしたらしくて。肩を負傷したか何かで、オーソドックスからサウスポーに変えたのかなって思います」

――そういえば赤林檎戦はオーソドックスに構えていたのに対し、前回のキム・ナンヒ戦はサウスポースタンスから組みついていました。

「過去の映像では、オーソドックスで戦っている試合とサウスポーで戦っている試合があったんです。試合の日付を調べると、サウスポーで戦っているのが、大きな怪我をしたと言われる時期の後だったんですよね。どちらでも戦えるのでしょうし、私との試合でもオーソドックスで来るかサウスポーで来るか……。

もともと私は対戦相手の映像を視るほうではないので、そこは気にせず試合が始まってからどうするか、と考えています」

――それと韓国人選手は戦績だけでは測り切れないところがあります。大島選手にとっては、前回の対抗戦で下したホン・イェリンと比較した場合、パク・シヨンのレベルはどのように見ていますか。

「ホン・イェリン選手もパク・シヨン選手も気持ちが強いところは同じだけど、スタイルは全然違っていて。ホン・イェリン選手は細かく打撃を当ててきました。パク・シヨン選手はフィジカルを生かして、パワフルに攻めてくるタイプですよね」

――となると、試合はノンストップで動き続けたホン・イェリン戦以上にタフで、削り合う展開となるでしょうか。

「私も5分3R動き続けることができる練習はしているので、たとえフルラウンドになっても大丈夫です。これまで判定決着で勝つこともありましたし。反対に相手のほうが最近は早い決着が続いているので――試合が長引いたらパク・シヨン選手のほうがどうなるのかというところですよね。

ただ、私も試合を長引かせるつもりはありません。最初から極めに行きます。相手がテイクダウンしに来たら私も寝技で勝負しますけど、もしかしたら次は打撃も見せられるかもしれないので、楽しみにしていてください」

■視聴方法(予定)
9月18日(日)
午後5時40分~DEEP チャンネル-YouTube、U-NEXT、サムライTV

■ DEEP115対戦カード

<ヘビー級/5分3R>
酒井リョウ(日本)
ヤン・へジュン(韓国)

<DEEP & Black Combatライト級選手権試合/5分3R>
大原樹理(日本)
イ・ソンハ(韓国)

<DEEP & Black Combatバンタム級選手権試合/5分3R>
石司晃一(日本)
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<DEEP JEWELS & Black Combat女子級アトム級選手権試合/5分3R>
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<ミドル級/5分3R>
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<フェザー級/5分3R>
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<フライ級/5分3R>
駒杵嵩大(日本)
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<バンタム級/5分2R>
力也(日本)
木下尚祐(日本)

<フライ級/5分2R>
杉山廣平(日本)
KENTA(日本)

<ライト級/5分2R>
涌井忍(日本)
倉本大悟(日本)

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【DEEP115】Black Combatとの対抗戦へ、鈴木槙吾―01―「それが格闘技であり、それが勝負だ」

【写真】本能で戦う――DEEPウェルター級チャンピオン鈴木。今回はミドル級での出場だ(C)MMAPLANET

18日(月・祝)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP115では、今年2月に続きDEEPと韓国BLACK COMBATの対抗戦が行われる。そのなかでDEEPウェルター級王者の鈴木槙吾はチェ・ジュンソを迎え撃つ。
Text by Shojiro Kameike

鈴木は2016年から5連敗を喫し、2018年3月を最後に一度MMAから離れていた。その後はプロレスラーとして活動しながら、昨年8月の住村竜市朗戦で復帰してKO勝ちを収める。さらに今年2月には阿部大治もサッカーボールキックからのギロチンで沈め、DEEPウェルター級王座を獲得した。なぜ一度MMAを離れ、そして復帰したのか。鈴木が4年間の想いとMMA観を語ってくれた。


――今年2月にDEEPウェルター級のベルトを獲得して以来、7カ月ぶりの試合を迎えます。少し間は空いていますが、まずはDEEP王者となった感想から教えてください。

「前日計量の時にも言ったことなのですが、2月の試合は『DEEPのベルトを獲りたいのではなく、阿部選手という強い相手と対戦するチャンス』と捉えていました。こう言ってしまうと、DEEPのベルトの価値を貶めるようで申し訳ないのですが……。阿部選手との試合にベルトが賭けられた。そういう降って湧いた、副産物的なものだったといいますか」

――強い阿部選手がDEEPのベルトを巻いている。それがDEEPウェルター級王座の価値であったと思います。一方、今『降って湧いた』と言われましたが、鈴木選手の場合は2018年3月のキャプテン☆アフリカ戦から昨年8月の住村竜市朗戦まで、4年以上のブランクがありました。

「実は結果如何に関わらず、キャプテン☆アフリカ選手との試合を終えたら一旦、格闘技から離れようと考えていたんです。それまで4連敗していましたし、自分の年齢的なことも考えて。結果、キャプテン☆アフリカ戦も一本負けして、当時所属していたアライアンスからも離れました。その時期に同郷(鈴木は静岡県出身)の先輩にプロレスラーのSUGIさんから『プロレスをやってみないか』と誘われたんですよ」

――その誘いがプロレスデビューに繋がるのですか。阿部選手をKOしたあと「ウェルター級で一番強いのは、プロレスラーのこの俺だ!」と仰ってましたね。

「僕はもともとプロレスが好きで、プロレスから格闘技に入った人間です。SUGIさんのお誘いを受けて、『今はプロレスをやってみたい。またやりたくなったら格闘技に出よう』と思いました。そこからは主にプロレスラーとして活動していたんです」

――先ほどお話に出た5連敗の相手は、順に村山暁洋選手、岡見勇信選手、川名雄生選手、岡野裕城選手、そしてキャプテン☆アフリカ選手です。強豪との対戦が続いたとはいえ、当時は鈴木選手が5連敗を喫したことに驚きました。

「なぜ5連敗を喫したのか、その明確な要因は分からないです。でも今にして思えば――よく『格闘技には心技体が必要だ』と言うじゃないですか。何があったわけでもないですけど、『心技体のバランスが良くなかったのだろうな』と考えています」

――正直なところ、鈴木選手のファイトスタイルを考えると「ダメージが溜まっていたのかな」とも思っていました。

「ダメージですか。それは無かったですね。ただ、4連敗目の時に『何か歯車がかみ合っていないな』という感覚がありました」

――ではプロレスラーとして活動していながら、2022年にもう一度MMAを戦おうと考えたキッカケは何だったのでしょうか。

「それが――特に理由もないんです(笑)。やっぱり僕はMMAが好きなんですよ。ただただ『もう一度MMAをやりたい』と思って、同じアライアンスにいた先輩の宮川博孝さんに相談したらDEEPで試合を組んでもらえることになりました。

あとMMAを離れている間、プロレスのほかにラウェイの試合もしているんですよね。2021年7月にシュートボクシング王者の坂本優起選手と、グローブを着けたラウェイルールの試合で対戦しています。その時に『今なら心技体が揃って、もう一度MMAを戦えるんじゃないか』と感じました。それもMMAに復帰した理由の一つです」

――なるほど。キャプテン☆アフリカ戦から住村戦までの4年間で、国内のMMA事情も変わっていたと思います。そこで鈴木選手としては復帰にあたり、MMAを戦ううえで目標にしていることはありますか。

「目標ですか……。『ただMMAをやりたくなった』と、それだけなんです(笑)。今からUFCに行きたいとか、この大会に出たいという気持ちはなくて」

――それはもう心の底からMMAが好きなのですよね。しかし4年ぶりのMMAの相手が住村選手というのは、なかなかハードな復帰戦ではなかったですか。

「いえ、僕にとっては逆にありがたかったです。強い相手のほうが気持ちも乗るじゃないですか。変な言い方かもしれませんが、試合に勝ちたいから試合に出るということではなくて。もちろん試合をするからには勝ちたいです。そこで相手を選べば、それだけ勝つ可能性は高くなりますよ。でも、そういう試合はしたくない。僕は強い相手と戦うために、MMAに復帰したんです」

――強い相手に勝つために、もう一度MMAへ! 鈴木選手といえば、殺るか殺されるかのファイトスタイルが特徴的です。プロデビュー当時から「強い相手と殴り合って勝つ」ことが目標だったのでしょうか。

「それが……自分でも分からないんですよ」

――えっ!? どういうことですか。

「練習では寝技のほうが得意なのに、試合になると殴り合いに行っています(苦笑)。ケージに入ったところでスイッチが入ってしまうのか――今でも分からないです。それでも試合中の記憶はあるんですよ。自分が何をやったかは、全て記憶していて。だから自分の根っこには『それが格闘技であり、それが勝負だ』という気持ちがあるのかもしれないですね」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
9月18日(日)
午後5時40分~DEEP チャンネル-YouTube、U-NEXT、サムライTV

■ DEEP115対戦カード

<ヘビー級/5分3R>
酒井リョウ(日本)
ヤン・へジュン(韓国)

<DEEP & Black Combatライト級選手権試合/5分3R>
大原樹理(日本)
イ・ソンハ(韓国)

<DEEP & Black Combatバンタム級選手権試合/5分3R>
石司晃一(日本)
ユ・スヨン(韓国)

<DEEP JEWELS & Black Combat女子級アトム級選手権試合/5分3R>
大島沙緒里(日本)
パク・シユン(韓国)

<ミドル級/5分3R>
鈴木槙吾(日本)
チェ・ジュンソ(韓国)

<フェザー級/5分3R>
青井人(日本)
シン・スンミン(韓国)

<フライ級/5分3R>
駒杵嵩大(日本)
キム・ソンウン(韓国)

<バンタム級/5分2R>
力也(日本)
木下尚祐(日本)

<フライ級/5分2R>
杉山廣平(日本)
KENTA(日本)

<ライト級/5分2R>
涌井忍(日本)
倉本大悟(日本)

<フライ級/5分2R>
マサト・ナカムラ(日本)
亀田一鶴(日本)

<アマ68キロ契約/3分2R>
安井飛馬(日本)
菅涼星(日本)

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【DEEP115】Black Combat勢最強=ユ・スヨンとWタイトル戦、石司晃一「これからのキャリアを考えると」

【写真】石司にとっても真価が問われる一戦となる(C)TAKUMI NAKAMURA

18日(月・祝)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP115 Impact「DEEP vs BLACK COMBAT」。DEEPと韓国BLACK COMBATの対抗戦にDEEPバンタム級王者の石司晃一が参戦。DEEP & Black Combatバンタム級選手権試合でユ・スヨンと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

元Black Combatフェザー級&ライト級王者のユ・スヨンはBLACK COMBAT勢の中で実力ナンバーワンの呼び声もあるファイターだ。


――今回はDEEP×Black Combatの対抗戦への出場が決まりました。最初にオファーを受けた時の心境を聞かせてもらえますか。

「もともと今年2月に韓国で対抗戦が行われて、結果的にDEEPが負け越してしまい、次に対抗戦がある時は自分も出てみたいという興味がありました」

――韓国人選手との対戦でいうと、2017年12月にソン・ナクジュンに一本勝ちしています。

「前回戦った韓国人選手はキャリアが浅い選手だったのですが、今回の相手は実績を残している選手なのですが、その部分ではあまり参考にはならないと思っています」

――対抗戦という図式についてはいかがでしょうか。

「韓国に乗り込んでの試合だったら心境も変わるかもしれませんが、DEEPの中での試合なので普段通りに戦えると思います」

――対戦相手のユ・スヨン選手にはどのような印象を持っていますか。

「バランスが良くて何でもできる選手かなと思います。特徴としては柔術ベースで寝技がしっかりできて、テイクダウンが鋭いところが強みかなと思います」

――韓国人MMAファイターといえば、打たれ強さとスタミナ、そして思い切りのよい打撃で試合を組み立てるイメージですが、スヨン選手はそういった韓国人ファイターとは違うスタイルだと思います。

「はい。打撃中心で殴り合う選手ではないですが、そこまでやりにくい感じはしないです。ただテイクダウン能力や高さや鋭さ、そこからのトップキープの力がどのくらいあるのかは実際にやってみないと分からないですね」

――組み技ベースですが、パンチもシャープで打撃でも戦える選手です。

「格闘技歴的には組み技の選手というイメージですが、パンチもシャープだし、パンクラスの試合に出た時はパンチでKOしているので、打撃も意外と侮れないと思います」

――穴の少ないスタイルですが、勝つイメージは出来ていますか。

「自分のファイトプランや戦うイメージは大きな部分で出ていきます。それが試合中にどうなるのか。しっかりハマるのか。それとも予想以上にやりにくいところがあるのか。そこを試合中に見極めながら戦っていきたいです」

――石司選手のX(Twitter)で「韓国の関係者の人によると、韓国の格闘技ファンの間では今回の対抗戦の中で一番確実にバンタム級は韓国側が勝つとみんな言ってます、と聞かされました」という投稿がありましたが、どういったシチュエーションだったのですか。

「Black Combat用の煽り映像の撮影があって、韓国から主催者・撮影クルーが来日していたんですね。そのときに『韓国のファンは絶対この試合は韓国人が勝つと言っている』と聞きました。きっと韓国のファンは自分のことを知らないと思うんで『スヨン選手が僕に勝つだろう』ではなくて『スヨン選手だったら絶対に勝ってくれる』という安心感があると思うんですよ。韓国の方たちと話して、そのくらい現地で評価されている選手なんだなと感じました」

――そうした評価を受けている相手と試合が組まれたことをどう捉えていますか。

「弱い選手に勝っても状況は変わらないし、実力・実績がある選手に勝たないと上にはいけないので。リスクはあると思うけど、そういう相手に挑戦しないと意味がないので、ありがたいです」

――石司選手は2021年6月以降、6戦6勝と無敗です。好調の要因はなんですか。

「僕としては調子が良くなったというよりも、一時期調子を落としていたという方が近いですね。デビューして4年くらいは連勝が続いたんですけど、2017年に初めてのタイトルマッチで負けて。そこから病気や怪我があって、身体の不調と重なって成績が悪くなっていったんです。それでこのまま続けていても意味がないと感じて、身体を治そうと思って1年半ほど休みました。だから今が好調というよりも、不調だった部分がなくなって、通常の自分に戻ったという感覚です」

――ブランクだと思っていた期間も必要だったわけですね。

「そうですね。一度休むことで怪我も回復して、内臓的な疲れもとれて、リフレッシュしてやり直すことができたので、必要な時間だったと思います」

――昨年は三村亘戦、山本聖悟戦とKO勝ちが続き、CORO戦に勝利してDEEPバンタム級暫定王座を獲得(※のちにビクター・ヘンリーの王座返上により、正規王者に昇格)。今年4月のRIZINは金太郎選手にも勝利して、確実にキャリアアップしていると思います。石司選手自身は手応えを感じていますか。

「僕も成長していきたいと思って取り組んでいるので、もちろん良くなった部分はあります。ただ昔の方が怖いものなしでイケイケだった部分もあると思うんです。だからすべて良くなっている……とは言えないかもしれませんが、自分のなかで試行錯誤してどうすれば良くなるかを考えながら練習しているので、ただ復活しただけではなく、進化した部分も間違いなくあると思います」

――RIZINでの金太郎戦は石司選手にとってどのような経験になりましたか。

「内容的にはいい試合ではなかったんですけど、初めての経験が多かったんですよ。例えばMMAで遠征したのが初で、計量前日にホテルに入って水抜きするのも初めてでした。あとは試合会場も今までより大きかったですし、相手の金太郎選手が地元大阪出身だったので、日本にも関わらず完全アウェーだったんです。日本人同士でああいう雰囲気になることは珍しいので、そういった面は大きな経験になりました」

――そして今回韓国で評価の高いスヨン選手に勝てば、今までよりワンステップの相手やチャンスが来ると思います。石司選手はスヨン戦を自分のキャリアにおいてどんな位置づけをしていますか。

「この試合は結果がものすごく大きなものになると思います。Black Combat勢のなかで一番強い相手と戦うことになって、そこで勝つことで韓国での試合につながるかもしれないですし、今まで以上に実績がある選手と戦うチャンスがくるかもしれない。逆にここで負けたら失うものが大きい、一からの出直しになると思うので、これからのキャリアを考えるとスヨン戦の勝敗は大きなものになると思います」

――石司選手には混戦のRIZINバンタム級戦線に入って欲しいというファンも多いと思います。石司選手にもそうした想いはありますか。

「自分もトップになることを目指していて、日本で一番レベルが高くて規模が大きい大会はRIZINだと思うので、RIZINでトップを取らなければ、その先には進めないと思います。だから今はRIZINのトップを目指していますし、そのためにも次を落とすと大きく後退するし、クリアすれば先が見えてくると思います。ここからRIZINのトップファイターたちを倒して、一番を目指して戦っていきたいです」

■視聴方法(予定)
9月18日(日)
午後5時40分~DEEP チャンネル-YouTube、U-NEXT、サムライTV

■ DEEP115対戦カード

<ヘビー級/5分3R>
酒井リョウ(日本)
ヤン・へジュン(韓国)

<DEEP & Black Combatライト級選手権試合/5分3R>
大原樹理(日本)
イ・ソンハ(韓国)

<DEEP & Black Combatバンタム級選手権試合/5分3R>
石司晃一(日本)
ユ・スヨン(韓国)

<DEEP JEWELS & Black Combat女子級アトム級選手権試合/5分3R>
大島沙緒里(日本)
パク・シユン(韓国)

<ミドル級/5分3R>
鈴木槙吾(日本)
チェ・ジュンソ(韓国)

<フェザー級/5分3R>
青井人(日本)
シン・スンミン(韓国)

<フライ級/5分3R>
駒杵嵩大(日本)
キム・ソンウン(韓国)

<バンタム級/5分2R>
力也(日本)
木下尚祐(日本)

<フライ級/5分2R>
杉山廣平(日本)
KENTA(日本)

<ライト級/5分2R>
涌井忍(日本)
倉本大悟(日本)

<フライ級/5分2R>
マサト・ナカムラ(日本)
亀田一鶴(日本)

<アマ68キロ契約/3分2R>
安井飛馬(日本)
菅涼星(日本)

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【DEEP115】石司晃一とダブルタイトル戦――ユ・スヨン「石司選手の体でキャンバスの拭き掃除をする」

【写真】昨年の大みそかでフェザー級王座を獲得したときのユ・スヨン。下のリモート取材時の彼とは輪郭も違う(C)MMAPLANET

18日(月・祝)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP115 Impact 「DEEP vs BLACK COMBAT」同大会において、マニア垂涎の対戦がDEEP & Black Combatバンタム級選手権試合=石司晃一×ユ・スヨンだ。
Text by Manabu Takashima

誰もが認める実力者、石司と対するユ・スヨンは韓国とカザフスタンでバンタム級からライト級までベルトを巻いている。何より2019年11月の初来日で、その実力の片鱗を見せている。対抗戦、随一の実力者と目されるユ・スヨンをインタビューした。


――まず伺いたいのですが、ユ・スヨン選手のタイトル歴です。Black Combatでは3つの階級でタイトル戦を戦っています。

「去年の6月にキム・ジョンギュン選手を破り、ライト級王座を獲得しました。そして返上して、大晦日にイ・ジンセ選手に勝ってフェザー級王者になりました。そのベルトも返上して、7月にキム・ドンギュ選手とバンタム級王座決定戦を戦ったのですが、その時は試合では肩固めで勝利したのですが、計量に失敗しノーコンテストになっています。

あの試合で取り逃したベルトの王座決定戦として今回は石司選手と戦うと同時に、彼の持つDEEPのベルトに挑戦します。カザフスタンのNAIZA FCバンタム級王者でもあるので、次の試合で4つ目と5つ目のベルトを巻きます」

――説明ありがとうございます。前回、バンタム級王座決定戦で計量失敗。今回は大丈夫ですか。

「全然問題ないです。体重に関しては、しっかり自信があるので今回は問題なくパスします。NAIZAの王座もバンタム級ですし、問題ありません」

――それにしても、もともとバンタム級のユ・スヨン選手がライト級王者だったことが異例中の異例だと思います。

「3階級の王者になることは目標でした。何よりもライト級で戦っても、自分の技術が通じるのかを確かめたくてチャレンジしました。そこでチャンピオンになることができたので、フェザー級王座決定戦は自信をもって戦うことができました」

――ユ選手ご自身では、何級が適正階級だと考えていますか。

「バンタム級が自分にとってベストの階級だと思っています」

――そのバンタム級では2019年11月に韓国柔術界の強豪という触れ込みでパンクラスに来日し、大橋悠一選手を13秒でKOしました。そして翌2020年2月には福島秀和戦が発表されました。

「あの時はずっとパンクラスで戦ってチャンピオンになるつもりでしたが、コロナになって2月の大会が延期になり、そのまま日本に入国するのがハードになってしまいました。あの時期は物凄くコンディションも良くて、自分の強さにも自信を持っていました。ただし、コロナになって試合が遠ざかった期間の練習にさらに力をつけることができたと思っています」

――そんなユ選手ですが、さきほどもパンクラス参戦時の時に柔術界の強豪という触れ込みがあったと触れさせてもらいましたが、もともとなぜMMAを始めたのでしょうか。

「中学の時にブラジリアン柔術を始め、そこから打撃も含めた格闘技に趣味以上に力を入れて取り組んできました。単純に強くなりたくてMMAを始めて、実際に強くなれていると感じていました。アマチュアで戦うようになり、全ての試合で腕十字を極めて勝つこともできたので。

でも自信過剰になり、プロ転向初戦で判定負けをしてしまったんです。あの時はMMAを舐めていました。同時に、あの負けで落ち込んでしまって一度MMAのキャリアを打ち切ったんです」

――悔しくて、より真剣に向き合ったのではなくて……。

「違いました。そこから徴兵で軍に行き、その期間も自分のこれからについて悩みました。その時にMMAに未練が残っていることに気づき、兵役を終えると本格的にMMAをやろうと決心しました」

――だから2014年11月のプロデビューから、2017年6月の2戦目まで2年7カ月ものブランクがあったのですね。

「ハイ。プロ2戦目は初戦と違い、必死で練習をして臨みました。結果、RNCで勝つことができてプロで戦うことに対し、真摯な姿勢を持ちつつ自信を持つこともできるようになり、今まで楽しくMMAファイター人生を歩むことができています」

――兵役に就く前と兵役後も同じジムで練習しているのですか。

「ハイ。今も所属するボン柔術で、ずっと練習しています」

――柔術道場に所属し続けているのですね。

「以前のように毎日というわけにはいかなくなりましたが、それでも週に3度、道着を着た練習も続けています」

――ちなみに帯の色は?

「黒帯の一段です。柔術のトーナメントは今も時々出場しています」

――そうなのですね。昨年の大みそかのフェザー級タイトル戦を取材させた頂いた際も、いわゆるK-MMAの主流ともいえる殴り合いでなく、打撃も駆使しつつしっかりとケージレスリングで勝利した印象でした。

「自分のベースは柔術です。柔術を生かしたMMAを戦いたいという気持ちもあります。MMAのトレンドについていくことも大切ですが、UFCを例にするまでもなく打撃戦は予期しない展開が多く訪れます。レスリングとグラップリングにはラッキーやアンラッキーはないです。試合も実力の通りの結果しかでないです。

そういう組み技に関しては、打撃を始める前から自信があった部分ですし、MMA界を見渡すとチャンピオンはグラップラーが多いです。グラップリングのベースがあって、打撃を使う選手が上に立てる。そこを考えると、自分のスタイルでやっていけると思います」

――押忍。そして今回の石司選手の試合ですが、通好み。MMA好きが注目する一番だと思います。

「ありがとうございます。ただ石司選手の試合映像を見ると、グラップリングがあまり得意でない選手にもギリギリの勝負で勝つことがあります。何より自分のような本物のグラップラーと戦ったことがないはずです。この試合、自分は石司選手の体でキャンバスの拭き掃除するつもりで、トップコントロールし続けます。同時に最近は打撃にも自信がついてきたので、立っても寝ても問題ないです」

――パンクラス継続参戦ならず中東に目がいった時期もありましたし、中央アジアでも戦っています。そのタイミングでBlack Combatが誕生しました。ユ選手のキャリアにとって、Black Combatが誕生したことはどのように役立っていますか。

「海外で戦っていると、どうしても国内での認知度が少なかったです。Black Combatで戦うようになり、自分のことを知ってくれる人が増えました。ファイトマネーにも満足していて、選手として得ることが多い大会です。

Black Combatで戦う以前は、他に仕事を持っていました。それが今ではファイトに専念できています。そこに凄く感謝しています。なので今回のDEEPとの対抗戦でも、自分がしっかりと戦ってBlack Combatをもっと大きくしていきたいです」

――では現状に満足し、海外進出などは考えていないということでしょうか。

「まず国内で一番にならないといけないです。その気持ちがあって、Black Combatで戦ってきました。韓国人選手に負けていては、韓国代表として海外で戦えないです。そうですね……海外のメジャーリーグで戦うためにも、今回の試合は想うところがあります。

アジアのMMAでは日本が一番です。そのなかでDEEPの代表と戦う。この試合に勝てば韓国、アジアを越えて大きな舞台に進むことができます。選手にとって大切でない試合はないですが、今回の試合は、練習中も常に勝利への欲求を感じていました。絶対に勝たないといけないという気持ちが、試合だけでなく練習中も常に持っています。そこが今回の試合と、他の試合の違いかと思います。

お互いの団体を背負ってタイトルを賭けて戦います。日本、韓国、カザフスタンの団体のベルトを巻けば、アジアのバンタム級では自分がナンバーワンです。石司選手は強い相手です。でも、より強いのが自分です。そこを石司選手に教えてあげます」

■視聴方法(予定)
9月18日(日)
午後5時40分~DEEP チャンネル-YouTube、U-NEXT、サムライTV

■ DEEP115対戦カード

<ヘビー級/5分3R>
酒井リョウ(日本)
ヤン・へジュン(韓国)

<DEEP & Black Combatライト級選手権試合/5分3R>
大原樹理(日本)
イ・ソンハ(韓国)

<DEEP & Black Combatバンタム級選手権試合/5分3R>
石司晃一(日本)
ユ・スヨン(韓国)

<DEEP JEWELS & Black Combat女子級アトム級選手権試合/5分3R>
大島沙緒里(日本)
パク・シユン(韓国)

<ミドル級/5分3R>
鈴木槙吾(日本)
チェ・ジュンソ(韓国)

<フェザー級/5分3R>
青井人(日本)
シン・スンミン(韓国)

<フライ級/5分3R>
駒杵嵩大(日本)
キム・ソンウン(韓国)

<バンタム級/5分2R>
力也(日本)
木下尚祐(日本)

<フライ級/5分2R>
杉山廣平(日本)
KENTA(日本)

<ライト級/5分2R>
涌井忍(日本)
倉本大悟(日本)

<フライ級/5分2R>
マサト・ナカムラ(日本)
亀田一鶴(日本)

<アマ68キロ契約/3分2R>
安井飛馬(日本)
菅涼星(日本)

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Black Combat DEEP DEEP JEWELS DEEP115 DEEPフライ級GP KOMA MMA MMAPLANET NEXUS o RYO RYOGA YouTube   イ・ソンハ キム・ソンウン シン・スンミン チャンネル デメトリウス・ジョンソン パク・シユン マサト・ナカムラ ユ・スヨン 伊藤裕樹 佐藤将光 力也 大原樹理 大島沙緒里 木下尚祐 本田良介 杉山廣平 松場貴志 石司晃一 酒井リョウ 鈴木槙吾 青井人 風我 駒杵嵩大

【DEEP115】Black Combatとの対抗戦、フライ級DEEP代表=駒杵嵩大─01─「まず自分から組んでいく」

【写真】柔道だけで勝てなくなった時、柔道が生きる(C)SHOJIRO KAMEIKE

18日(月・祝)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP115 Impact 「DEEP vs BLACK COMBAT」。DEEPとBLACK COMBATの対抗戦で、駒杵嵩大がフライ級代表としてキム・ソンウンと対戦することとなった。
Text by Shojiro Kameike

2019年にNEXUSフライ級王座を獲得した駒杵は、ZSTで1試合行ったあと2021年よりDEEPに参戦する。新天地で2連敗を喫してから、3連勝と盛り返し今回の対抗戦を迎えた。ただ、その間に開催されたDEEPフライ級GPにエントリーしたものの、減量失敗で1回戦は欠場となってしまう。厳しい体験の中で駒杵が見つけ、さらに克服してきた課題とは。


――現在DEEPで3連勝を収めて、今回の対抗戦にフライ級代表として臨みます。ただ、次の試合に関する話の前に訊いておきたいのが……DEEPフライ級トーナメントに関して。トーナメント1回戦は松場貴志選手との対戦が予定されていましたが、駒杵選手は減量失敗で病院に搬送され、欠場となりました。それ以降、盛り上がるトーナメント戦をどのように見ていましたか。

「あのトーナメントで優勝できれば、MMAファイターとして何かしら形にできたと思います。だからこそ欠場になってしまったのは悔しくて。何より、いろんな方にご迷惑をおかけしてしまいました」

――1回戦から決勝までトーナメントの勝敗は予想していたものでしたか。

「正直、本田良介選手が伊藤裕樹選手に勝って、決勝に進んだのは意外でした。本田選手とは僕も一度対戦していて、負けましたけど――跳びヒザ蹴りで逆転KO負けという内容でした。僕は伊藤裕樹選手に注目してGPを視ていたんですよ。伊藤選手と本田選手の試合は『伊藤選手が捌いて勝つのかな』と予想していて。伊藤選手はグラップリングも強いじゃないですか。その伊藤選手に本田選手がグラップリングで勝ちましたよね。

とにかくMMAは柔道と違って、相手との相性という部分も大きいんだなと感じています。分かりやすく言えば、パンチを食らったら負ける。食らわなければ勝てる――という想いが強くなりました」

――本田選手のファイトスタイルは、相手が打撃を出してくる前に潰していくというものでした。柔道ベースの駒杵選手にとっても参考になったわけですね。

「そうなんです。相手のパンチを食らわないように、食らわないようにしながら組むよりも、まず自分から組んで行ったほうが良い。自分の中でもそういう意識が高まっていたなかで、本田選手の試合を視て改めて意識するようになっています」

――DEEPフライ級GP欠場からの復帰戦であった、昨年5月のRYOGA戦は速攻で腕十字を極めました。あの試合は『相手が何かしてくる前に自分から潰していこう』という気持ちが強かったのでしょうか。

「あの試合は少し違いますね。もともと風我選手と対戦する予定で、いろいろ対策を立てていたんです。でも風我選手が怪我で欠場になり、急きょRYOGA選手と試合することが決まったので対策は関係なくなりました。試合ではRYOGA選手から距離を詰めてきて。僕としては組んだら倒せる自信はありましたし、結果的にすぐ極めることができました」

――対して今年3月に風我選手とフルラウンド戦った試合内容はいかがでしたか。

「フィニッシュしたかったけど、まず完封することができました。GPの時から風我選手の評価も上がってきていて、その相手に何もさせずに勝てたので良かったと思います」

――その風我戦から6カ月、試合間隔が空いたのは何か理由があったのでしょうか。

「特に何もないです。体で不調なところもありましたし、技術的にも伸ばしたいところがあって、試合間隔が空いたのも調整期間になって良かったですね。僕は特に打撃に関して課題がありました。距離感や、しっかりと相手の動きを見ることとか――もっともっと丁寧に戦わないといけない。以前からずっと、そう思っていました。でも試合が続くと対策練習をすることが多くなるし、かといって新しいことをいきなり試合で試すことも難しいじゃないですか。

僕としても試合では勝つことを重視しているので、どうしてもグラップリングに重点を置きがちになります。そこで今回は試合間隔を空けさせてもらって、打撃面も含めて伸ばしてきました。そんな時に今回のBLACK COMBATとの対抗戦が、タイミング良く入ってきたような感じですね。僕としては、いつもと同じように日本人選手との試合でも良かったですが、対抗戦という良い話を頂けたなぁと思います」

――打撃面も含めた課題に取り組み始めたのは最近のことですか。

「ずっと課題ではありました。一番やらないといけないと思ったのは、DEEPに参戦して2連敗した時ですね。それまでは柔道時代の貯金で勝っていたような気がします。連敗してから課題に取り組みつつ、試合の準備もしながら――という状態でした。今回は試合間隔を空けて、しっかりと課題に取り組むことができて良かったです」

――駒杵選手は柔道の国際大会で優勝し、全日本強化指定選手になっています。それだけのベースがあれば、MMAという他競技でも柔道時代の貯金で、ある一定のレベルまでは勝ち進むことができますよね。しかし、必ずどこかで壁がやってくる。そういう柔道やレスリング出身のMMA選手が多いのも事実です。

「はい、勝てちゃうんです(苦笑)。MMAを始めた頃にアマチュアの試合を見ていても、レスリングや柔道出身の選手が勝つことのほうが多かったんですよ。打撃の経験が少なくても、ヘッドギアをしているのでパンチを食らっても耐えることができる。プロでも序盤は、相手の打撃がそれほど強くないから勝てる。

そこからワンランク上がると、打撃の壁に阻まれてしまいます。それに気づかせてもらったのは、佐藤将光さんと練習し始めてからです。将光さんと練習していたら、自分のボロしか出てこなくて(笑)。もちろん打撃以外も……全部できないといけない。今の僕の理想は、デメトリウス・ジョンソンです」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
9月18日(日)
午後5時40分~DEEP チャンネル-YouTube、U-NEXT、サムライTV

■ DEEP115対戦カード

<ヘビー級/5分3R>
酒井リョウ(日本)
ヤン・へジュン(韓国)

<DEEP & Black Combatライト級選手権試合/5分3R>
大原樹理(日本)
イ・ソンハ(韓国)

<DEEP & Black Combatバンタム級選手権試合/5分3R>
石司晃一(日本)
ユ・スヨン(韓国)

<DEEP JEWELS & Black Combat女子級アトム級選手権試合/5分3R>
大島沙緒里(日本)
パク・シユン(韓国)

<ミドル級/5分3R>
鈴木槙吾(日本)
チェ・ジュンソ(韓国)

<フェザー級/5分3R>
青井人(日本)
シン・スンミン(韓国)

<フライ級/5分3R>
駒杵嵩大(日本)
キム・ソンウン(韓国)

<バンタム級/5分2R>
力也(日本)
木下尚祐(日本)

<フライ級/5分2R>
杉山廣平(日本)
KENTA(日本)

<ライト級/5分2R>
涌井忍(日本)
倉本大悟(日本)

<フライ級/5分2R>
マサト・ナカムラ(日本)
亀田一鶴(日本)

<アマ68キロ契約/3分2R>
安井飛馬(日本)
菅涼星(日本)

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【DEEP115】Black Combatとの対抗戦02へ、大島沙緒里─01─「王者として指名された相手と戦います」

【写真】DEEP、BLACK COMBAT、RIZIN──昨年は4試合、今年も3試合目。J-MMAでこれだけコンスタントに試合数が多いチャンピオンは少ない(C)SHOJIRO KAMEIKE

18日(月・祝)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP115 Impact 「DEEP vs BLACK COMBAT」。今年2月に続き実現するDEEPと韓国BLACK COMBATの対抗戦のなかで、DEEPミクロ級&DEEP JEWELSアトム級王者の大島沙緒里が、BLACK COMBATアトム級王者のパク・シユンと対戦する。
Text by Manabu Takashima

対抗戦第一弾では、大島はホン・イェリンに一本勝ち。その後、6月にはRIZINでストロー級QOPであるソルトとの王者対決を制し、今回のパク・シユン戦に至っている。そんな大島に、まずMMAでは初となった海外遠征――ホン・イェリン戦とBLACK COMBATについて振り返ってもらった。


――DEEP×BLACK COMBATの対抗戦第2弾として、女子アトム級王者対決を控えています。大島選手は今年2月に開催された対抗戦第一弾にも出場していますが、これまでのDEEPやDEEPJEWELSの試合と対抗戦では何か意識の違いはありますか。

「特に意識は変わらないですね。もちろんDEEPとJEWELSのチャンピオンだという気持ちは持っています。ただ、今はアトム級でも良い選手が多くて、私がDEEPとJEWELSの女子アトム級を背負うという気持ちは薄くなってきています」

――なるほど。国内でも女子アトム級の選手層は濃くなりつつありますね。

「私としては、ただ目の前の試合で勝つこと。その気持ちはDEEPでもJEWELSでも、RIZINに出ても変わらないんですよ」

――確かに大島選手にとっては、DEEPやJEWELSではアトム級やミクロ級には対戦経験のある選手が多いです。さらにRIZINでもパンクラスのストロー級QOPであるソルト選手にも完勝しているだけに、国内ではマッチメイクに困るかもしれません。

「チャンピオンとして、指名された相手と戦います。防衛期限もありますし。と同時に私もファイターとして、これからも上を目指していきたい。じゃあ女子のアトム級で上となったら、何を目指すのか……。モチベーションを失ったとか、そういうことではないです。ただ、いろいろと考えるようにはなりましたね」

――その状況でBLACK COMBATとの対抗戦があり、海外で試合を行うことができたのは、気持ちを切り替えるキッカケにもなったのではないですか。

「そうなんです。MMAでは初めて海外で試合をすることができて、すごく勉強になりました。試合スタイルも日本人と韓国の選手では違いますから。その部分で学ばせてもらったことは大きいです」

――韓国の試合で学んだものとは何だったのでしょうか。

「対戦相手のホン・イェリン選手が引退を賭けて臨んだ試合だったと、試合後に聞いて納得したんですよ。試合はずっと私が攻め続けていても、相手の気持ちが折れなくて。『最後まで諦めたくない』と食らいついてくる感じで――とにかく気持ちの強い選手でした。

あと韓国人選手といえばパク・シウ選手もそうですけど、フィジカルが強いイメージもあります。私はまだ海外勢だと韓国人選手としか試合をしたことがないけど、他の国の選手はどうなんだろうって考えさせられました。あと当日は私もコンディションが悪くて……」

――えっ!? どのような状態だったのでしょうか。

「熱とかはなかったんですけど、とにかく体の動きが悪かったです。もともと私は特に減量も厳しくないので、試合直前まで体を動かしているタイプなんですよ。だから2月も試合の1週間前ぐらいに韓国に入ってから、ずっと体を動かしていて――でも海外で調整する難しさも感じました。試合中も立っているのが辛くて、とにかく打撃を出すことなく組みに行ったんですよ(苦笑)」

――試合前のインタビューで、あれだけ打撃の話をしていたのに(笑)。

「アハハハ。もうコンディションが悪すぎて、自分の中で余裕がなくなっていました。試合前からセコンドにも『スタミナがもたないだろうから、すぐ自分の得意な展開にもっていきます』と言っていて。だから試合が始まってすぐに極めに行ったんですけど、思った以上に相手がタフだし、気持ちも強くて粘られてしまいましたね」

――しかも2Rに相手がリバーサルに成功し、ヒジを連打してきたシーンは驚きました。大島選手のコンディションの問題もあったとは思いますが、ホン・イェリンも気持ちの強さを見せつけたと思います。

「そういう試合展開だったので、3Rに極めたあとマイクを持った時は、フラフラで立っていられないぐらいの状態でした。敵地だと判定になったら、どうなるか分からないじゃないですか。もともと自分としても極めるしか勝つ道はないと思っていて。でもグラウンドに持ち込んだら、すぐに立たされたりしていたので、私の中でも焦りはありましたね。『寝技の時間を全然くれない!』って(笑)」

――現在行われているROAD FCのグローバルトーナメントもそうですが、BLACK COMBATも同じようにブレイクが早い傾向にありましたね。打撃の話でいえば全く出していなかったわけではなく、離れ際にムエタイ式のヒザを打とうとした瞬間は『これのことか!』と思いました。

「えっ! それは全然覚えていないです。本当にフラフラで……。でもその状態で出るというところまで体に染みついているのは嬉しいです。やっぱり私が組みに行く以上、テイクダウンできずに立たれることは想定しないといけないし、離れ際の打撃も重要になってきますよね」

<この項、続く>

■ DEEP115対戦カード

<ライト級/5分3R>
大原樹理(日本)
イ・ソンハ(韓国)

<バンタム級/5分3R>
石司晃一(日本)
ユ・スヨン(韓国)

<女子級アトム級/5分3R>
大島沙緒里(日本)
パク・シユン(韓国)

<ヘビー級/5分3R>
酒井リョウ(日本)
ヤン・へジュン(韓国)

<ミドル級/5分3R>
鈴木槙吾(日本)
チェ・ジュンソ(韓国)

<フェザー級/5分3R>
青井人(日本)
シン・スンミン(韓国)

<フライ級/5分3R>
駒杵嵩大(日本)
キム・ソンウン(韓国)

<フライ級/5分2R>
杉山廣平(日本)
KENTA(日本)

<バンタム級/5分2R>
力也(日本)
木下尚祐(日本)

<フライ級/5分2R>
マサト・ナカムラ(日本)
亀田一鶴(日本)

<ライト級/5分2R>
涌井忍(日本)
倉本大悟(日本)

<アマ68キロ契約/3分2R>
安井飛馬(日本)
菅涼星(日本)

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【DEEP115】DEEP vs Black Combat対抗戦。ここは負けられない大原、大島、駒杵、鈴木、酒井の対戦相手達

【写真】ここでフィニッシュして、大晦日というのが大原の想いだろう(C)MMAPLANET

9月18日(月・祝)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP 115 IMPACTで行われるDEEP vs Black Combat 7×7全面対抗戦の対戦カードが発表された。
Text by Takumi Nakamura

前回はMMAPLANETの注目カードとして、石司晃一×ユ・スヨンと青井人×シン・スンミンの2カードを紹介したが、今回はその他の5カードをブラックコンバット勢=韓国人選手を中心に紹介していきたい。

<DEEP115見どころPart.01はコチラから>


今年2月に韓国・スウォン・コンベンションセンターで行われたBlack Combat05での対抗戦第一弾で勝利した現DEEPライト級王者の大原樹理と対戦するのは現ブラックコンバット・ライト級王者のイ・ソンハだ。ソンハは2021年5月にプロデビューし、昨年12月のブラックコンバット初参戦でキム・ジョンギュンを破って、同団体の第2代ライト級王座を獲得。今年4月のパク・ジョンセン戦でも一本勝ちし、現在2連勝と勢いに乗っている。

ジョンホン戦では、左フックでダウンを奪われたあとに三角絞めからアームバーを極めて一本勝ちして極めの強さを見せたソンハだが、ジュンギュンとの王座戦では互いにテイクダウンを奪い合う接戦を演じている。大原はソンハの勢いに飲まれずに冷静に戦いたいところだ。

大原と共に対抗戦第一弾で勝利したDEEP女子ミクロ級及びDEEP JEWELSアトム級チャンピオンの大島沙緒里と対戦するパク・シユンは現ブラックコンバット女子アトム級王者。

2019年12月のDEEP JEWELSで赤林檎に敗れてから2連勝を収めているが、大島としては実績・経験の差をしっかりと見せつけたい試合だ。

初代Fighting Nexusフライ級王者の駒杵嵩大と対戦するキム・ソンウンはフライ級では長身の175センチから繰り出すヒザ蹴りとグラップリング技術が持ち味。

今年4月のブラックコンバット初代フライ級王座決定戦ではイ・ジュンヨに敗れているが、7月にはフライ級トップファイターの“闘犬”チョン・ウォンヒに一本勝ちしている。ソンウン最大の武器はウォンヒからタップを奪ったギロチンチョークで、テイクダウン能力は決して高くないが、この一発には駒杵も警戒が必要だろう。

激しい打ち合いが予想されるのは現DEEPウェルター級王者の鈴木槙吾とチェ・ジュンソの一戦だ。ジュンソはここまで勝った試合のほとんどが2RまででのKO勝ちで、今年1月のブラックコンバットでは赤沢幸典をKOしたチェ・ウォンジュンから左フックでダウンを奪っているハードパンチャー。そのパンチ力を活かすあまり、大振りで簡単にボディロックやテイクダウンを許す面もあるが、ミドル級の一戦ということもあり――激闘派の鈴木が足を止めて打ち合うとリスキーな相手だ。

現DEEPメガトン級暫定王者の酒井リョウと対戦するのはブラックコンバット・ヘビー級王者のヤン・へジュン。レスリングのバックボーンを持ち、2018年7月のROAD FCでは現在UFCに参戦中のミシェウ・ペレイラとも拳を交えた。翌2019年6月にラ・インジェに勝利して第7代ROAD FCミドル級王者となるも、その後に約3年間のブランクがあり、復帰戦となった昨年10月のブラックコンバットでチェ・ウォンジュンに一本勝ちして同団体のベルトを巻いた。

へジュンのファイトスタイルはペレイラ戦でも見せたダーティボクシング&テイクダウンが軸となりつつ、インジェやウォンジンに極めた首投げ&Vクロスという必勝パターンがある。ただしミドル級から階級を上げてきただけに、同じヘビー級でも酒井と比較すると身体のサイズでは劣る。酒井としてはそのアドバンテージも含めて勝利に近づきたい。

DEEP公式YouTubeチャンネルにて公開された対抗戦の告知動画では、DEEP佐伯繁代表が(リアルに)鼻息荒く「潰してやるかな!」と宣言していた対抗戦・日本ROUND。その結果は果たして――。

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【DEEP115】Black Combatとの対抗戦。石司晃一×ユ・スヨンと青井人×シン・スンミンに要・要・要注目

【写真】青井はベルトを持たないが、正規王者&暫定王者が不在のなかDEEP代表としてシン・スンミンと対戦。つまり、それだけ王座に近いの青井ということだ(C)MMAPLANET

9月18日(月・祝)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP 115 IMPACTで行われるDEEPvsBlack Combat 7×7全面対抗戦の対戦カードが発表された。
Text by Takumi Nakamura

今年2月に第一弾が組まれた、DEEPとBlack Combatとの対抗戦。1st ROUNDとなった韓国・スウォン・コンベンションセンターでのBlack Combat05では、ライト級王者の大原樹理、女子ミクロ級及びDEEP JEWELSアトム級チャンピオンの大島沙緒里、フェザー級とメガトン級のタイトルコンテンダーである中村大介と赤沢幸典、そして山本聖悟という本気度100パーセントのメンバーを揃えたDEEP勢だったが、ブラックコンバットに2勝3敗と負け越す結果に終わった。


その後、Black Combatのブラック代表は4月に来日し、RIZINとの対抗戦への意気込みを見せていたが、DEEP佐伯代表が雪辱を果たすべくホーム=日本で対抗戦の第2弾を意地の主催。韓国勢が東京ドームホテルに宿泊するなど、現地でのホスピタリティに対して、オ・モ・テ・ナ・シで意地を見せている。

そんな今回の対抗戦にはチャンピオンを揃えたBlack Combat勢に対し、現DEEPバンタム級暫定王者の石司晃一、現DEEPウェルター級王者の鈴木槙吾、現DEEPメガトン級暫定王者の酒井リョウを筆頭に、初代Fighting Nexusフライ級王者の駒杵嵩大とRIZIN・DEEPで連勝中の青井人、そこに韓国ROUNDで勝利した大原・大島を加えた、佐伯DEEPはまさに本気度150パーセントといえるメンバーを揃えた。

この対抗戦でMMAPLANETとして注目したいのが、石司晃一×ユ・スヨンと青井人×シン・スンミンの2カードだ。

石司と対戦するスヨンは韓国柔術界史上最年少24歳で黒帯を取得し、MMAでは母国・韓国でZEUS FCフェザー級王座、Black Combatライト級王座、カザフスタンのNEIZA FCフェザー級王座を次々と戴冠。昨年大晦日にBlack Combatでフェザー級を獲得し、ライト級に続いて2階級制覇を達成した。

7月にはバンタム級に階級を下げ、Black Combatバンタム級王座戦に挑むも計量失敗。一本勝ちを収めるも、王座獲得とはならなかった。5本目のベルトこそ手に入れられかったスヨンだが、ライト級からバンタム級という階級で戦い、これだけの実績を残していることは驚異的と言えるだろう。

韓国人MMAファイターといえば、打たれ強さとスタミナ、そして思い切りのよい打撃で試合を組み立てるイメージだが、スヨンのファイトスタイルはそれと違う。細かくジャブとローを散らし、ダブルレッグからテイクダウン、トップキープ・ポジショニングで相手をコントロールしてフィニッシュを狙うというもの。

柔術ベースでサブミッションによる一本勝ちが目立つが、そこにいたるまでにコンパクトなジャブ・ワンツー、そしてカーフキックで対戦相手を削る技術にも長けている。決してエキサイティングで派手な試合にはなりにくいが、よりグローバルなMMAを意識&アジャストを目指しているスタイルだといえるだろう。

ロングリーチを活かしたジャブで距離を制してペースを掴む石司としては、いかにスヨンの接近を止められるか。一発で試合をひっくり返す右フック&ストレートが魅力の石司ではあるが、勝利に近づくためには、その右に頼らない試合運びが求められる。

一方、青井と対戦するスンミンは従来の韓国人MMAファイターのイメージ通りの戦い方をする選手だ。重心を落としたスタンスの広い構えからパンチの強打&ロー・カーフキックのプレッシャーをかけ、最終的に打撃でのKOを目指すスタイルで、昨年12月からBlack Combatに主戦場を移してからは2連続KO勝利中。

今年4月にDouble GFC暫定王者だったパク・チャンスを左フックからのサッカーボールキックで沈め、Black Combatのフェザー級王座に就いた。

ガードを高く構えて細かい打撃から試合を組み立てていく青井とは、スタンドでの距離・間合いも似ており、必然的にスタンドの時間が長い展開が予想される。

ただしスンミンがほぼスタンドの攻防に終始するのに対し、青井には昨年11月のRIZIN LANDMARK04での鈴木博昭戦のように、スタンドの攻防で後手に回ってもテイクダウン&グラウンドゲームという選択肢がある。スンミンのテイクダウンディフェンス能力が勝敗の鍵を握る一戦になりそうだ。

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