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【Special 】バンコク在住プロファイター=ウィラチャイ&アマファイター=ボスに訊く、タイのMMA

【写真】シャノン・ウィラチャイ(左)とボスことチャユット・ロジャナカット(C)MMAPLANET

今や世界中からファイターが集まり、タイではトレーニングを中心としたファイト産業が、急成長している。特にプーケット、パタヤには多くの外国人がトレーニングをするために短期、長期滞在している。ただし、観光地のメガジムにローカルファイターの姿は少ない。
Text by Manabu Takashima

従業員はタイ人でも、トレーニングをしているのは外国人だ。まさにリゾート・ホテルと同じようなメガジムでなく、首都バンコクのMMA事情はどうなっているのか。バンコク・ファイトラボで元ONEファイターのシャノン・ウィラチャイ、そしてフォーエバーヤング・ライフジムでアマMMA選手兼指導者でもあるチャユット・ロジャナカットに尋ねた。


Part.01
シャノン・ウィラチャイ・インタビュー

──タイのMMAのパイオニアであるシャノンですが、タイにおけるMMAの現状を教えてください。ONEがタイに進出した直後、幾人かのムエタイのビッグネームがムエタイに転向しましたが、デェダムロン・ソーアミュアイシルチョークのような成功例は少なかったです。今ではONE Friday Fightはムエタイの試合が多く組まれるようになり、ムエタイそのものの環境は変化しました。今、タイの若者がファイターを目指す時はムエタイかMMA、どちらを目指す傾向にありますか。

「タイにおけるMMAの現状は、以前は少し良くなっていた。ONE以外にも大会が開かれ手始めていたしね。でも、ここ数年は少しスローダウンした。特にコロナの影響も大きかった。同時に僕もそうだけど、タイ人ファイターがONEで戦いたいという想いは強くなっている。ただし、この1年はONEがムエタイとキックボクシングに力を入れてきたので、MMAファイターが戦う機会は決して多くない

常時MMAの練習をするタイ人選手、それとタイ人以外の選手──いずれもファイターになりたいと思っている人間は増えたけど、試合の機会を得るのは本当に難しい。年に1度や2度というところがやっとで。そういう状況だから若いMMA思考の選手も、戦う機会をえるためにストリートファイトのような独立団体で試合をしたりしている。それこそストリートで素手で殴り合っていた若い連中は、ボクシングやムエタイ、MMAで戦いたいという風になっているんだけどね。

タイの若い選手たちが、もっと試合機会に恵まれてグラスルーツショーからプロ、ワールドクラスレベルへというヒエラルキーができると素晴らしいんだけど。キックボクシングなのか、ムエタイなのか、MMAなのか──いずれにしても、タイ人選手は可能性を秘めているよ。うん、テコンドーでも空手でも活躍できる。世界一になれるかどうかともかく、良い活躍はできるはずだ。

ファイティングスポーツは楽しまれているから、ムエタイにしてもMMAにしても、この国は凄く可能性がある。とにかく、まずはムエタイ。そしてボクシング、それからキックボクシング……タイの人々は『なぜ? クリンチとエルボーがない』って不満を言うけど、キックボクシングでも凄く多くの世界チャンピオンが生まれている。タイ人はどんなコンバットスポーツでも活躍できる力がある」

問題はムエタイファイターはキックボクシングには気軽に転向できるけど、MMAはそうでないということ。MMAは寝技があってサブミッションや柔術、レスリング、パウンドなど修得しないといけない技術が多い。それを彼らは怖がっている。でも、練習すれば誰もができるようになるのは絶対だよ。それなのに首を絞められたくない、腕を極められなくないって感じなんだ。毎日のようにエルボーで、誰かの顔をカットしているのにね。

繰り返すけど、タイ人はMMAでも活躍できる。ローマ・ルックンブンミーはUFCで活躍していて、スタンプ・フェアテックスはONEで世界チャンピオンになっている。タイ人ファイターはどんなマーシャルアーツでも良い結果を残せると思っている」

──プーケットでは外国人ばかりが練習していて、コーチも外国人です。ここバンコクでも柔術などタイ人以外の指導者が目っています。そういうコーチを雇うにはお金がかかるので、ジムの会費も自然と高くなります。結果、タイの若い世代がMMAの練習はなかなかできない。この現状をどう思いますか。

「その通りで、ずっと長い間タイの問題でもあるよね。この国は観光産業でなりたっている。そして市井の人々は、観光客との触れ合いを躊躇するところもあるんだよね。でも今、タイは変化の時を迎えている。

以前は足が向いていなかったエリアにも出向くようになった。でも外国人のいる場所は、何でも高価で自分たちの場所とは思えないんだ。英語を話せない人も多いしね。それはプーケット、バンコクだけでなく、タイ全土で見られることなんだよ。特に昔の人、オールドジェネレーションはそんな感覚が強く残っている。でも、若い世代は違う。どんどん、進んでそんな場所にも入っていくようになっている」

──飛び込んでいるわけですね。

「ホント、英語を話せないから怖がっている部分はあるんだよ。それがタイだった。でも今では、どこもがオープンになっているよ。まだ、少し時間はかかりそうだけどね」


Part.02
チャユット・ロジャナカット・インタビュー

──ジム訪問の機会を頂いてありがとうございます。

「逆に訪れてくれて、ありがとうございます」

──いつ、このジムはオープンしたのでしょうか。

「フォーエバーヤングジムとして、ここのエカマイのジムは、2つ目の支部にジムになります。最初のジムは2018年にオープンしました。そしてここは去年(※取材は2023年11月に行われた)、2022年から活動し始めて、ちょうど1年になりますね」

──ボスと皆が呼んでいますが、フルネームを教えてください。

「チャユット・ロジャナカットです」

──ボスが最初に格闘技を始めたのは、いつのことですか。

「とても若い時、5歳か6歳、7歳の時かにムエタイを始めて。しばらくして完全に辞めていたけど、14歳か15歳のときにランシット地区のムエタイスクールでまた練習するようになりました。MMAは17、18歳になった時に始め、これまでアマチュアで戦ってきました」

──今、何歳ですか。

「今年で27歳になりました」

──既に10年のMMAキャリアがあるのですね。10年前にバンコクでMMAが練習できる環境があったということですか。

「イエス。最初にMMAの練習を始めたのは、バンコク・ファイトクラブというジムでした。ただし、上手く機能しているというわけではなくて7、8年前にここのオーナーに出会って柔術、MMA、ムエタイのトレーニングをするようになった。ムエタイは他のジムでも練習を続けていたけど、今は全てのトレーニングをここでしています」

──MMA戦績は?

「12戦して10勝し、2敗しています。全てアマチュアです」

──もう指導もしていますが、MMAを戦う目的は何ですか。

「初めてMMAを見た時には、うわぁ、何でもやって良いんだと思いました。僕自身はムエタイをやっていたけど、MMAは完璧なファイティングゲームに映りました。打撃系の格闘技はクリンチがあると、ブレイクが掛かりますが、MMAではファイトは続けられます。そんな戦いにインスパイアされ、10年前からやってきました。格闘技として、全てを補っているからです」

──国技ムエタイが世界一である、タイの一般の人はMMAのことをどのように思っているのでしょうか。

「当時、MMAはとても新しいモノでした。グラウンドがあって、ムエタイとは全く違います。寝技に関しては、全く理解されていなかったです。10年前までタイの人達は、ファイトはグラウンドになるとスタンドに戻るものだと思っていました。でも僕もそうですが、『ワォ。こんなことやって良いんだ』と驚き、MMAはリアルファイト、本物の戦いがあるマーシャルアーツだと思われるようになりました。

ムエタイ選手は、MMAを十分に戦えると思っています。クリンチゲームもできるし、爆発力もあります。ムエタイは既に立ち技では世界一ですが、MMAの将来はもっと広がっている。その機会があると思います」

──ところでタイではONEかUFC、どちらの方が人気があるのですか。

「以前からMMAを見ている人はUFCです。ムエタイから徐々にMMAを見るようになった人は、間違いなくONEを支持しています。この2つのグループに、タイのMMAファンは大別されるでしょう。以前はUFCのファンはハードコアファンだけでした。でも今では、UFCもONEも皆が知っています。ムエタイからMMAを見るようになった人は、ONEがスタート地点になります」

──では、このジムで練習している人々の目的は?

「誰もが楽しめます。マーシャルアーツの練習を通じて、人として成長する。プロで戦いたい人、体重を減らしたい人、どんな目的を持っていても、ここで練習できます。どんな目標を持っている人でも、一緒になって目標を達成する。そんなコミュニティです。皆で上を目指しています」

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F1 MMA MMAPLANET o ONE ONE FF03 シャノン・ウィラチャイ ポリア・ゴルプール

【ONE FF03】シャノン・ウィラチャイ、ロープ掴みでイエローもパウンドアウト勝利でボーナス獲得

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
シャノン・ウィラチャイ(タイ)
Def1R.4分33秒by TKO
ポリア・ゴルプール(イラン)

サウスポーに構えたウィラチャイは距離を取って回るゴルプールに対し、両腕を下ろして「来い」と挑発する。ウィラチャイがハイを蹴った直後に、ゴルプールが低い姿勢で組んでいく。ロープに押し込まれたウィラチャイはボディロックでテイクダウンを許すとハーフバタフライを取る。

パウンドを空振りしたゴルプールは、バタフライスイープからのスクランブル狙いにもシングルレッグを続ける。ウィラチャイはロープ掴みを続け、イエローカードが提示される。離れて再開となり、ゴルプールが前蹴りを見せて右で殴り組んでいく。シングル、ダブルと執拗に攻めるゴルプールに対し、ウィラチャイがロープを一瞬触り、バランスをキープしロープの外に足を出してスプロールする。

後方への投げで逆に下になってしまったゴルプールは、両ヒザ立ちの状態でヒザ蹴りを食らい、ここからパンチを纏められる。一度は持ち直し、間合いを取ったゴルプールだが右の手打ちのパンチで後方に倒れ込む。ここからパウンド、エルボーを落としたウィラチャイがTKO勝ちを決めた。

「テイクダウンされたくなくて、イエローカードをもらってしまった」というウィラチャイにも1万ドルのボーナスが与えられた。


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ABEMA MMA MMAPLANET o ONE ONE FF03 エリオット・コンプトン キック シャノン・ウィラチャイ チャンネル パンクラス ブラジリアン柔術 ポリア・ゴルプール ルンピニー

【ONE FF03】豪州キック界トップ=コンプトンが、ムエタイに続きMMAでルンピニー勝利を狙う

【写真】ルンピニーでムエタイとMMAで勝利──これは快挙だし、これからそういう選手が増えていって欲しいものだ (C)ONE

3日(金・現地時間)、タイはバンコクのルンピニースタジアムでONE Friday Fights03が開催される。

毎週金曜日のムエタイ&MMAショーは第3週を迎え、初めてMMAが3試合組まれることになった。今回もタイ在住選手が中心で、ONE本戦出場経験のあるタイ人ファイター=シャノン・ウィラチャイが初参戦しヴェノム・トレーニングキャンプに所属するポリア・ゴルプールと戦う。

そんなウィラチャイのルンピニー登場よりも、気になるのがエリオット・コンプトンとプーケット・トップチームに籍を置くブラジル人=アリソン・バルボーザのライト級マッチだ。


ブラジル、中国でキャリアの大半を過ごしてきたバルボーサの戦績は19勝8敗ということだが、ワン・サイに敗れるなどトップクラスで活躍してきたわけではない。今回のONE FF登場は昨年11月にプーケットで行われたフェアテックス・ファイトでの勝利から、ステップアップを果たした形だ。

とはいえこの一戦──注目はバルボーザではなく、対戦相手のコンプトンだ。MMAファンには馴染がないかもしれないが、コンプトンは豪州を代表する1人といえるキックボクサーだ。ONEではニキー・ホルツケン、アンソニー・ンジュグアニ、コズモ・アレッシャンドリらと戦い1勝3敗ながら、キック全般では46勝14敗、MMAグローブ着用のCage Muay Thaiでは世界王座に就いている。

そのコンプトン、実は4歳の時からキックやムエタイだけでなく父スティーブの導きによりテコンドー、ジークンドー、カリなど多くのマーシャルアーツ経験を持っている。何よりも、彼のMMA挑戦に期待が高まるのは、ブラジリアン柔術でも茶帯を巻いているからだ。

グラウンドに持ち込まれても、凌げる。その技術があるコンプトンは、立ち技でその力を十分に発揮できることをMMAデビュー戦で証明している。

昨年7月にホームタウン=ブリスベン郊外のイートンズヒルで旗揚げ興行が行われたBeatdown Promotionsのメインで、コンプトンは日本の大山釼呑助と戦っている。この試合でコンプトンはパンチの圧をかけ、ヒザ蹴りでダウンを奪うとパウンドの連打から、立ち上がったところでもう一度ヒザを突き上げてKO勝ちを決めている。

組み技を見せる機会はなかったが、パンチを意識させてのパーフェクトなヒザ蹴りは鮮烈と表現して良いMMAデビュー戦だった。初陣でキャリア11勝6敗の大山を破ったコンプトンは、2戦目で過去にパンクラス参戦経験もある23勝13敗のキーラン・ジョブリンと対戦予定も、ここを負傷欠場していた。

大山との試合は北米階級のライト級で、ONEライト級ではほぼ通常体重と思われるコンプトンとバルボーザとフィジカルの差は殆どないと思われる。

既にムエタイではルンピニーで勝利を挙げているコンプトンが、MMAでも勝ち名乗りを挙げることがデキるのか。正直、MMAファンには物足りなかったONE Friday Fightsだが、コンプトンのように立ち技で実績のある選手の流入と日本人選手の出場があれば、一気に興味深い週一格闘技ショーとなるだろう。

■放送予定
2月03日(金・日本時間)
午後9時30分~ ABEMA格闘チャンネル

■ ONE FF03 MMA対戦カード

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
シャノン・ウィラチャイ(タイ)
ポリア・ゴルプール(イラン)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
エリオット・コンプトン(豪州)
アリソン・バルボーザ(ブラジル)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
ドミトリー・バブキン(ロシア)
イヴァン・バルシコフ(ロシア)

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Interview Special シャノン・ウィラチャイ ファビオ・ピンカ ブログ 青木真也

【Special】月刊、青木真也のこの一番:8月─その弐─ウィラチャイ×ピンカ「ウィラチャイ勝利は救い」

【写真】このスピニングバックフィストが当たるのもMMAならでは (C)ONE

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ2020年8月の一番、第3 弾は21日に中継されたONE No Surrender IIIからシャノン・ウィラチャイ✖ファビオ・ピンカの一戦を語らおう。


──8月の青木真也が選ぶ、この一番。3試合目は?

「シャノン・ウィラチャイ✖ファビオ・ピンカです。正直、競技レベルでいえばそんなに高くないですよ。でも、十分に楽しめました」

──どういう部分で、ですか。

「ウィラチャイがテイクダウンを切られ、でもスピニングバックフィストが当たるとか。MMAなんだよって部分ですね」

──本来、MMAはMMAでラジャのチャンピオンだったから勝てることはない。それがフランス人でアレだけムエタイに挑戦し、そして2年間MMAの練習をしてきたという情報でどれだけ、ムエタイをMMAで見せてくれるのかという部分で幻想が持てました。

「そうなんですよね。でも、これはMMAだから本来はピンカがどこまでやれるかという見方をすべきなんです。ラジャのチャンピオンだからって、MMAで即通用することはないので。いわばMMAファイターが勝って当然なわけで」

──そこをONEという磁場が、狂わせてしまったのかと。

「そういうことですね。ファビオ・ピンカはムエタイでは最高峰ではなかった。でもヨーロッパで一番という見方はできました。外国人がタイの国技に挑戦する。そういう美学を持っていますが、ムエタイではないといえばムエタイではない。

それにMMAをやり込んだという部分では、ムエタイ選手の中ではランバー・ソムデートM16が一番だったと思います。ちょっと異常なぐらいできていました。植松さんが一緒だったというのもありましたけど。やっぱり一番MMAができていたムエタイの選手はランバーです。そして、ランバーと比較するとピンカは打撃も、倒された時もまるでできていなかったです」

──ウィラチャイが踏ん張ったともいえる試合でした。

「ウィラチャイは僕に負けてから4連敗中でしたけど、中堅以下として安定はしている選手です。そんなに弱くないんです。それなのにテイクダウンを仕掛けて、切られていたのは最高でした(笑)。

でも、そうやってテイクダウンが切れたから、ウィラチャイのスピニングバックフィストでピンカはダウンしたのかもしれない。それがMMAの妙ですよね。確かにペースを握っていたのはピンカです。でも2度ダウンをしていますからね」

──裁定結果は、スプリットでした。

「怖いです。リングジェネラルシップを取ったということですけど……あれは、ムエタイでも負けです。2度もダウンしていたら、勝ちはあり得ないです。

この試合でピンカを楽しめるという部分は削げてしまいました。かといってウィラチャイが凄くアップするわけでもなかった。MMAなのにジェネラルシップを取られてしまうし。結果、『あぁあピンカ、ウィラチャイに負けちゃって』という試合になってしまいました。

ただし、MMAとしてあの試合でウィラチャイが勝ったのは救いでした。そこに尽きます。組みがあるから、あのパンチも当たる。組みが合って小さいグローブでやると、こういうことが起こる。ムエタイの実績が、そのままMMAで通じるならMMAなんてやる必要がなくなってしまいますよ」

──その通りですね。そういう意味ではハイキックを空振りしてピンカがバランスを崩しましたが、ムエタイならレフェリーが間に入って安全に立つことができます。でも、MMAはそうじゃなかった。

「つまりは完全に別競技。そこ挑戦したピンカはこれまで練習していたとしても、パニックに陥ってしまったかもしれないです。なんせデビュー戦ですから」

──そうなると、打撃をどう効かすという部分よりも、そういうMMAとしてやるべきことができているのかという部分で、次のピンカの試合を楽しめるかと。

「それなのにムエタイの評価で、ピンカをMMAで高く見積もっちゃダメってことです」

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ONE ONE110 No Surrender III Report シャノン・ウィラチャイ ファビオ・ピンカ ブログ

【ONE110 No Surrender III】That’s MMA!!! ピンカがバック拳でダウンし、ウィラチャイに判定負け

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
シャノン・ウィラチャイ(タイ)
Def. judgment
ファビオ・ピンカ(フランス)

注目のピンカのMMA初陣。距離を取って回るピンカが、まず右のミドルを蹴る。関節蹴りを見せたウィラチャイが圧力を受けてコーナーに追い込まれる。ウィラチャイが蹴り足をキャッチしてクリンチへ。ロープを背負って耐えていたピンカは小外掛けをで倒されそうになるが、ロープにワキをかけて耐える。

レフェリーは見過ごし、ブレイクに。打撃の間合いでローを入れるピンカ、間合を外したウィラチャイの右フックに左を被せていく。右から左のローを蹴ったピンカがプレッシャーを掛け、ローに右を合わせる。ピンカは左アウトサイド、ローに再び右を繰り出す。残り50秒、ウィラチャイが右ジャブを当てるが構わずローを続ける。前足のアウトサイド―でウィラチャイの体が流れるようになる。左ハイでバランスを崩したピンカに対し、左を入れたウィラチャイがパウンドを連打。ピンカは時間に救われた。

2R、初回終盤の攻防がどのように影響を与えるか。右ロー、左ローを3発入れたピンカに対し、ウィラチャイはカットせず組みにも行かない。コーナーに詰まったウィラチャイに右を当て、自ら組んだピンカは体を入れ替えられるとエルボーを2発入れて離れる。スイッチから前に出たウィラチャイに右を当て、右ミドルを入れたピンカはハイをかわした直後に左を放つも──直後にバックブローを被弾してダウンを喫する。

パウンドを受けながら立ち上がったピンカはヒザを顔面に受け、距離を取り直す。フックの打ち合いでも、ヒザを貰ったウィラチャイがフックを返す。一旦距離を取り直したウィラチャイはローを受けて下がる。ピンカはワンツーを入れ、下がるウィラチャイにローを蹴り込む。左ミドルハイ、前蹴りからハイ、ラウンド終了となりウィラチャイが試合をリードした。

最終回、ローの蹴り合いからピンカが左フックを振るう。距離を取るウィラチャイはローをキャッチできず、ローが急所に入ったとアピールする。インターバル後、強烈なインローを入れたピンカは前に出てきたウィラチャイだが、すぐに間合いを取り直す。左ミドルに右フックを合わせていったウィラチャイは、ローを蹴られて回るのみの状態に。

組まれてもパンチで離れ、ローを蹴るピンカは前に出てくるところで左を当て、ローからハイを蹴り込む。ピンカはダブルレッグを切り、距離を詰めると左を当てる。スピニングバックフィストを空振りとなったピンカは、残り10秒でスピニングバックキック。さらにローを入れてタイムアップに。

攻めている時間は圧倒的に多かったピンカだが、初回のパウンド、2Rのバックブローでのダウンを喫しているのは大きい。結果、ウィラチャイが判定勝ちとなった。


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【ONE110 No Surrender III】最終計量結果 ファビオ・ピンカ、ウィラチャイ共に問題なくパス

【写真】ムエタイ界のビッグネームのデビュー戦の相手となる、現在4連敗中のウィラチャイ。ここで遅れを取るようなことがあれば、中途半端は笑いを取るパフォーマーで終わってしまう。どちらかといえば、正念場は彼の方だ(C)MMAPLANET

21日(金・現地時間)に中継される無観客大会=ONE110「No Surrender III」の計量及びハイドレーション結果が発表された。

ONEでは水抜き禁止、北米MMAより実質1階級の体重が上限となり、ハイドレーション・テストが試合の2日前と前日に行われている。体重はリミット+500グラム、ハイドレーションは1.0250以下という規定が設けられており、1日でもパスできないと試合当日の朝に再計量が必要になっている。


MMAデビュー戦でシャノン・ウィラチャイと対戦する──今大会再注目といっても過言でないファビオ・ピンカは体重は規定通り、ハイドレーションの数値もかなり低めでパス。No Surrender大会で2人目の日本人選手となるLittle Tigerはアトム級でもリミットから2.85キロも軽く、体格面のハンデを技術で切り崩せるか注目したい。

■ONE No Surrender III計量結果

※赤字の選手の名前をクリックすると、インタビューページに移動します。

<ムエタイ・バンタム級T準決勝/3分3R>
センマニー・クロンスアンプルリゾート:65.3キロ/1.0247
クラップタム・ソーチョーピャッウータイ:64.8キロ/1.0031

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
モンコルペット・ペッティンディーアカデミー:60.85キロ/1.0148
ソク・ティー:60.7キロ/1.0018

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
シャノン・ウィラチャイ:69.55キロ/1.0233
ファビオ・ピンカ:70.3キロ/1.0074

<ムエタイ・女子ストロー級/3分3R>
ワンダーガール・フェアテックス:56.5キロ/1.0237
ブルック・ファレル:56.7キロ/1.0156

<ムエタイ・女子アトム級/3分3R>
マリー・ルーメット:51.6キロ/1.0023
Little Tiger:49.35キロ/1. 0112

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
ベン・ロイル:69.9キロ/1.0027
クインティン・トーマス:69.75キロ/1.0070

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【ONE110 No Surrender III】非タイ人ラジャ王者、ファビオ・ピンカがMMAデビュー「MMAに集中」

【写真】ついにファビオ・ピンカの雄姿をMMAで視ることができる (C)Zuffa/UFC

21日(金・現地時間)に中継されるONE110「No Surrender III」。先週に続きタイはバンコクのインパクトアリーナで収録された6試合中2試合がMMAで、ついにファビオ・ピンカがMMAデビューを迎える。

タイ人以外で7人目のラジャダムナンの頂点に立ち、WBCムエタイでウェルター級とスーパーライト級で世界王座獲得、ISKAでは世界ウェルター級王座、米国のLion Fight、ユーラシアのKombat Leagueと世界中で結果を残してきた最強・仏製ナックモエに、MMA初戦=シャノン・ウィチャイ戦に向けての心境を語ってもらった。


──MMA初戦でウィラチャイと戦います。今の気持ちを教えてください。

「良い感じだよ。この試合のためにハードなトレーニングをしてきたし、MMAデビューを彼と戦えて嬉しい」

──この試合に向けて、どこでMMAの練習をしてきたのでしょうか。

「半年間、タイガームエタイでトレーニングをしてきた。2月にタイにやってきて、COVID19のパンデミックが起きてからもずっとプーケットに留まっていた。だから、このタイミングで試合をすることができたんだ」

──母国フランスは一時期大変な状況でした。

「僕の家族は大丈夫だけど、ロックダウンにより経済的な影響は皆が受けている。まぁ、僕は大丈夫だけど」

──ところで欧州で最高のムエタイファイターのファビオが、なぜMMA転向を決めたのでしょうか。

「もうムエタイは20年もやってきた。ファイトを続けるモチベーションを保つためには、新しいチャレンジをする時がきたんだ。知らない技術を習得したかったし、MMAのトレーニングは本当に楽しいよ」

──いつ頃、MMAの転向を本格的に決意したのですか。

「もう3、4年ぐらい前だよ。スネーク・ジムでMMAの練習を開始し、2年前からはMMAに専念してきた」

──寝技があるのは当然ですが、間合いなどスタンドでもムエタイとMMAは別物だと思います。

「そうだね、打撃をキックボクシングに近づける必要があった。ムエタイは相手の正面に立って、足を使って動くということはそれほどないからね。キックボクシング的な動きを採り入れることは難しいことではなかったよ。頭を切り替えれば、動きもアジャストできる」

──ムエタイのトップファイターがMMAに挑戦するときには、常に首相撲がどれだけMMAで使えるのかが興味深いです。

「MMAファイターは首相撲を使いこなせていないから、そこは僕の武器になるね。まだMMA選手のヒジやヒザはムエタイほど完成されていない。タイ・クリンチは僕にとっても大きな武器になる」

──去年の12月にユン・チャンミンと戦う予定でしたが、負傷して戦えなかったです。

「凄く残念だった。でもケガはこの仕事の一部だ。ケガをしてしまったら家に戻って少しでも早く治すこと、より強くなるためにね」

──ところでONE Super Seriesは世界トップクラスのムエタイ選手と契約しています。ファビオ自身もSuper Seriesの立ち上げとなった1昨年4月のマニラ大会でノンオー・ガイヤーンハーダオと戦っています。今後、ムエタイとMMAを並行して戦っていくことは?

「今は本当にMMAに集中している。そうだね……世界タイトルに挑戦できるなら、ムエタイも戦うよ。それは確かだ。でも今は一歩ずつMMAで強くなりたいと思っている。そしてONEでフェザー級王者になりたいんだ」

──アンディ・サワーやサゲッダーオらがMMAにトライし、キックやムエタイ時代のような華々しい成果を挙げることはできていません。その理由はどこにあると考えていますか。

「他の選手のことは分からないよ。ただし、100パーセント集中していればMMAでもやっていけるはずだ。そうだね……この件に関しては、まず僕の試合を見てもらいたい。口で話してもしょうがない。僕の戦いを見てもらってから、話そう(笑)」

──了解しました。寝技で戦う準備はできていますか。

「100パーセントできているよ。立ち技も寝技も自信があると断言する」

──対戦相手のウィラチャイは既にMMAで15戦しており、青木真也選手などトップファイターとも戦っています。

「彼のMMAの経験値は、僕よりも上だよ。でもファイトゲーム全体で見ると、僕は120戦以上戦ってきた。MMAデビュー戦といえども、これまでの戦いが僕を助けてくれることは間違いない」

──この試合はリングで行われます。打撃とグラップリングのミックス度合いを考えると、ケージとは違ってくることが予想できます。

「僕はケージで戦ったことがないからね(笑)。MMAだからケージで戦いたかったよ」

──では小さなMMAグローブで戦うことで、何か注意すべき点はありますか。

「MMAグローブはワンショットでKOできる。ムエタイだとワンパンチでダウンを奪っても、相手は立ち上がってくる。MMAでは、それで終わりだ」

──ファビオ、今日はありがとうございました。日本のMMAファン、そしてムエタイファンもファビオのMMA初戦を視ることを楽しみにしていると思います。彼らへメッセージをお願いできますか。

「皆に僕の技術を見て欲しい。最高の試合になるよう全力を尽くすよ。MMAでムエタイの強さを証明するためにね」

■ONE110「No Surrender III」対戦カード

<ムエタイ・バンタム級T準決勝/3分3R>
センマニー・クロンスアンプルリゾート(タイ)
クラップタム・ソーチョーピャッウータイ(タイ)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
モンコルペット・ペッティンディーアカデミー(タイ)
ソク・ティー(カンボジア)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
シャノン・ウィラチャイ(タイ)
ファビオ・ピンカ(フランス)

<ムエタイ・女子ストロー級/3分3R>
ワンダーガール・フェアテックス(タイ)
ブルック・ファレル(豪州)

<ムエタイ・女子アトム級/3分3R>
マリー・ルーメット(エストニア)
Little Tiger(日本)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
ベン・ロイル(英国)
クインティン・トーマス(米国)

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News ONE ONE110 No Surrender II ONE110 No Surrender III シャノン・ウィラチャイ ファビオ・ピンカ ブログ ポンシリ・ミートサティート 藤沢彰博

【ONE110 No Surrender II & III】14日に藤沢彰博、21日にフランス最強ムエタイ戦士ピンカのMMA初陣

【写真】ついにファビオ・ピンカがMMAを戦う (C)ONE

3日(月・現地時間)、ONEより14日(金・同)と21日(金・同)に配信されるONE Surrender II及びIIIの対戦カードが発表された。

ONEでは7月31日(金・同)にタイのバンコクはインパクト・アリーナで無観客大会=ONE110「No Surrender I」のライブ中継が行われたが、それら6試合の前に12試合が収録されており、この両日に配信される。

両日揃って6試合の配信となり、両中継でMMAは2試合ずつ見られる。


まず14日のNo Surrender IIではバンコク在住の日本人選手=藤沢彰博が、59.5キロ契約マッチでポンシリ・ミートサティートと対戦。藤沢は本来フライ級で戦っているが、ストロー級のポンシリとの対戦に合わせてキャッチ戦となった。

この試合まで藤沢は3連敗中でONEでの戦績は2勝3敗、なぜかマニラやクアラルンプール大会で試合が組まれてきたが、ホーム・バンコク大会は初出場だけに無観客とはいえ地元で星を五分にしたい。この日の中継では藤沢✖ポンシリ以外に、ヨッカイカー・フェアテックス✖ジョン・シンクのONE初陣同時のタイ✖英国フライ級対決が組まれている。

21日のSurrender IIIでは、あのファビオ・ピンカがついにMMAデビューを迎える。ピンカは昨年12月のKL大会のユン・チャンミン戦でMMA初戦を行う予定だったが、負傷欠場に。そのピンカはMMAデビューを目指し、今年の2月からタイガームエタイで練習していたことでパンデミック後も母国フランスに戻らず、タイで練習をしてきた。

タイ人以外で7人目のラジャダムナン(※ウェルター級)の頂点に立ち、WBCムエタイでウェルター級とスーパーライト級で世界王座獲得、ISKAでも世界ウェルター級王座、米国のLion Fight、ユーラシアのKombat Leagueと世界中で結果を残してきた最強・仏製ナックモエ、そのデビュー戦の相手はシャノン・ウィチャイだ。

2018年7月の青木真也戦から現状4連敗中のウィラチャイとはいえMMAの戦い方、特にグラップリング面の経験値はピンカを大きく上回る。ONE Super Seriesがスタートした2018年4月のマニラ大会でノンオー・ガイヤーンハーダオに判定負けを喫しているピンカだが、この頃には既にMMA転向を決めフランスのスネークジムでトレーニングを開始していた。

以来、柔術とレスリングもしっかりと積んできたピンカにとっても、初戦がウィラチャイというのは決して楽でない。とはいえ、ここを軽くクリアするようなことがあれば一気にトップ戦線入りとなる。

またNo Surrender IIIでもプーケットトップチーム所属の英国人ファイターのベン・ロイル✖タイガームエタイ所属の米国人クインティン・トーマスというフェザー級の一戦も見られる。トーマスは2017年のIMMAF=アマMMAの世界王者で、プロはまで2戦目だがアマ時代に14勝2敗というレコードを残している。パンデミック下のバンコク・シリーズは、ONEと契約できる大きなチャンスを彼ら在タイ人ファイターにもたらしており、高いモチベーションから好パフォーマンスを生んで欲しいものだ。

なおSurrender IIIではリトルタイガーが、ムエタイ女子アトム級で マリー・ルーメット と対戦している。既にこれらの大会は結果がでてしまっているが、MMAPLANETでは事前に対戦カードを入手し、試合前の藤沢とピンカのインタビューを行っており、ファイトウィークに掲載する予定だ。

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【ONE】7月31日= No surrenderはロッタン✖ペッダムから。どうなるMMA? あるか、藤沢の出場?!

【写真】7月31日、藤沢が復活ONEのリングで戦うことはあるのか…… (C)MMAPLANET

26 日(金・現地時間)にONE Championshipのチャトリ・シットヨートンCEO兼会長が、SNSで7月31日(金・同)にタイでONE「No surrender」(諦めない、降参しないという意)の開催を発表したのに続き、28日(日・同)にはSNSでカードを明言し、29日(月・同)になりONE PRからイベント開催と対戦カードのプレスリリースがメディアに配布されている。

今回、発表されたのはスーパーシリーズ=ムエタイ&キックボクシングから──ONEムエタイ世界フライ級王者ロッタン・ジットムアンノン✖挑戦者ペッダム・ペッティンディーアカデミー(タイ)、ONEムエタイ世界フェザー級王者ペットモラコット・ペッティンディーアカデミー✖挑戦者ヨーセングライ・フェアテックスという2つのムエタイ世界選手権試合、加えてキックボクシング・フェザー級でスーパーボン・バンチャメーク✖シッティチャイ・シッソンピーノンの3試合だ。


立ち技、そしてタイ人だけというカードがまず決まったことは、タイの現状とバンコク大会だけに頷ける。その一方で、リリースにあるMMAのカードも早急にアナウンスするという下りに注目したい。

タイ=ムエタイという印象が強く、活動再開の一歩はムエタイのメガファイトになることは明らかだが、シャノン・ウィラチャイ、リカ・イシゲの両選手、そしてマルチファイターのスタンプ・フェアテックスがMMAを戦うことがあるのか。

また忘れてならないのは、バンコク在住の日本人ファイター藤沢彰博だ。2018年4月のONEデビューから2勝3敗──現状は3連敗中だが、昨年11月以来のファイトの機会を今大会で得ることができるのか注目したい。

さらに現状、プーケットに滞在しているままなのか確認できていないが、山田哲也も普段はタイガームエタイで生活をしている。そのタイガームエタイに、祖国に戻っていない欧米のMMAファイターが残っていれば、7月31日のリングに上がるMMAファイターも現れるだろう。

とにかく立ち技だけでなく、MMAのラインナップの発表を待ちたい──7月31日= No surrenderだ。