【写真】インスペクターも含め、怪獣総進撃のようだ(C)ONE
明日9 日(土・現地時間)にタイはバンコクのルンピニー・スタジアムでONE169が開催される。日本から三浦彩佳が出場する同大会。ONEムエタイ世界フライ級王座の防衛戦を行う予定だったロッタン・シットムアンノンが制限時間内に計量をパスできず、王座剥奪。キャッチ戦となった変則世界戦は、ジェイコブ・スミスが勝利した場合のみ王者に認定されることとなった。
Text by Manabu Takashima
トリプルクラウンがダブルクラウンとなったイベントのメインはONE世界ヘビー級選手権試合=王者アナトリ―・マリキン×挑戦者ウマウ・ケニ・ログログの一戦だ。ミドル&ライトヘビー&ヘビー級の三冠王者にとって、ヘビー級王座の初防衛戦となる。
マレキンはこれで2022年2月の暫定ヘビー級王座決定戦から、同年12月のライトヘビー級王座挑戦。昨年6月のヘビー級王座統一戦。そして今年3月のミドル級王座挑戦を経ての王座防衛戦で、5試合連続の世界戦となる。
ONE独自の階級により、北米階級ではヘビー級に相当する選手がライトヘビー級で戦える背景もある3階級制覇とはいえ、腰に巻き、両肩に掛けるベルトの数よりもマレキンの偉業はその圧巻の試合内容といえるだろう。
4試合の世界戦はおろか、ONEで戦った6試合の全てがフィニッシュ勝利。キャリア全般においても、敗北も判定勝ちも一度としてない。
対するログログはMMA二戦目からONEで戦い、通算戦績は5勝1敗。前回の試合ではムエタイ初陣をKO勝ちで飾っている。ONE特有のマルチウェイトカテゴリー、マルチスタイルが融合したMMAヘビー級のベルトに挑むこととなったログログのベースは、ルッ・セネガル=セネガル相撲だ。
セネガル相撲といえば、先月14日に第1回大会が実施されたROMANにゲイ・ババカールが出場し、僅か18秒で水口清吾をパウンドアウトしている。
ナチュラルにパンチを出せ、被弾しても怯まないレスラー。それがセネガル相撲勢といえる。殴ることが許されたレスリングだけに、MMAでいえばダーティーボクシングがクリーンファイトとなり彼らのDNAに組み込まれている。過去の試合からいえば序盤のテイクダウン能力の高さは、マレキンも警戒が必要だろう。とはいえ距離を取ったキックボクシングをされると、距離の詰め方とスタミナ配分には課題も残る。
グラップリングといえば攻めより、防御力の方が高いか。マーカス・アルメイダ・ブシェシャに極めさせなかったのは、ともに疲労困憊でグダグダのファイトであったとはいえ特筆すべきことだろう。
MMAファイターとしての完成度の高さでは、チャンピオン。そしてフィニッシュ力もマレキンだが、序盤の瞬発力ではログログも負けていない。加えて、そこから試合が長引くと……マレキンも持久戦には未知数な部分が残っている。とはいえログログのスタイルからも、試合がチャンピオンシップラウンドまで続く可能性は低い。
同時に短時間のファイトではマレキン有利だが、ログログも序盤にだからこそ発揮でいる一発を有しているかもしれない──そんな王者有利なヘビー級の頂点争いといえるだろう。
■ONE169 視聴方法(予定)
11月9日(土・日本時間)
午前9時45分~U-NEXT
■ONE169 対戦カード
<ONE世界ヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者] アナトリ―・マリキン(ロシア)
[挑戦者] ウマウ・ケニ(セネガル)
<ONEムエタイ世界フライ級変則選手権試合135.5ポンド契約/3分5R>
ロッタン・シットムアンノン(タイ)
ジェイコブ・スミス(英国)
<ONEキックボクシング女子世界ストロー級選手権試合/3分5R>
[王者] ジャッキー・ブンタン(米国)
[挑戦者] アニッサ・メクセン(フランス)
<フライ級((※61.2キロ)/5分3R>
アドリアーノ・モライシュ(ブラジル)
ダニー・キンガド(フィリピン)
<ムエタイ・フライ級/3分3R>
ゴントーラニー・ソー・ソンマイ(タイ)
タギール・カリロフ(ロシア)
<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
ケイド・ルオトロ(米国)
アフメド・ムジタバ(パキスタン)
<キック・ストロー級/3分3R>
サムエー・ガイヤーンハーダオ(タイ)
ジャン・ペイメン(中国)
<ヘビー級/5分3R>
マーカス・ブシェシャ・アルメイダ(ブラジル)
アミール・アリアックバリ(イラン)
<ムエタイ・フェザー級/3分3R>
エディ・アバソロ(米国)
モハメド・ユネス・ラバー(アルジェリア)
<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
三浦彩佳(日本)
マカレナ・アラゴン(アルゼンチン)
<ムエタイ・ストロー級/3分3R>
アリーフ・ソー・デチャパン(マレーシア)
ヴァウテル・ゴンサウベス(ブラジル)