【写真】自信、それも確かな自信が感じられた原口伸 (C)MMAPLANET
27日(日・現地時間)、シンガポールのインドアスタジアムで開催されるRoad to UFC 2023Ep06のメイン=ライト級準決勝で原口伸がバーハートゥブールゥ・アトゥボラティと対戦する。
Text by Manabu Takashima
キルクリフFC所属のアトゥボラティは、RTUの初戦でダメージを受けた後の後頭部へのパンチで反則勝ち――もフィジカルの違いは明白な元はウェルター級のファイターだ。対する原口は、以前から「UFCで戦うにはフェザー級」と公言してきた、ライト級では小兵だ。その原口、7月のタイガームエタイでダゲスタン人ファイターとのスパーリングをしてきたことで、確かな実力の底上げを感じている。
――今回の試合に向けて、タイガームエタイで練習をしていたそうですね。
「ハイ。7月3日から3週間ほど練習してきました」
――タイガームエタイは、あのジムで何かMMAを学ぶというよりも、チームがそのまま移動してキャンプを張るというイメージが強かったです。
「僕自身、技術的なことを求めていたわけでなくて、がんがんスパーリングをして実力の底上げするために行きました。ちょうどコロナ後に、初めてのトライアウトが行なわれている時で。そのトライアウト勢がたくさんいてスパーリングが激しくて、凄く良い練習になりました。特訓のような練習が多かったので、結果として強さが身についたように感じました」
――どのような選手と練習を?
「ダゲスタン人やカザフスタン人……ダゲスタンの選手とスパーリングをいっぱいやりました。ONE FFに出ていたアリ・ムスリム・アリカノフ選手とか」
――アリカノフ、無敗のライト級ファイターですね。ダゲスタン人ファイターとの練習、手ごたえの方は?
「同じライト級でももともとの体重はちょっと向こうの方が上で、レスリングで転がされたことも多いです」
――そうなのですか!! ピュアレスリングだと、原口選手が遅れを取るようなことはないのではないかと思っていました。
「そうですね、シンプルにレスリングだと。でもMMAのレスリングになると、全然違いました。ガンガン、アッパーを当てて来ようとしてきたり。でも彼らと組みあって自分の長所が、より明白になりました。フィジカルが上の相手にも、通用する勝負のポイントがあって。それが分かって、しっかりと動けたので自信にもなりました」
――良かったです。原口伸のダブルレッグはダゲスタンにも通じると。
「ダブルレッグは基本は取れて。でもシングルレッグになると、日本で練習しているときは暫くジッとしてからでも倒せていたのですが、ダゲスタンの選手はシングルにとってもすぐに持ち替えないとテイクダウンはできなかったです。少しでも迷ったり、動きが止まるとバーンと切られて。どんどん、次の手を打たないとテイクダウンができないことも分かりました。だからこそ、底上げはできたと思います」
――ではタイから戻ってきてから、今回の試合の対策練習を始めるように?
「7月の24日ぐらいに戻ってきてからは、頭をもう1度使って調整してきました」
――では体を使ったタイ、頭を使った日本での練習を経て対戦相手のバーハートゥブールゥ・アトゥボラティにはどのような印象を持っていますか。
「もともとウェルター級で戦ってきた選手なので、そもそもデカさがあります。あとは蹴りが結構厄介、伸びる左ストレートもあります。Road to UFCの初戦でも1Rはキ・ウォンビンにプレッシャーをかけていて、LFAで戦っていたときよりもあげてきている印象です」
――やはり気になるのは、フレーム。サイズの違いかと。
「ただ僕の方も今回は77キロから78キロで保っていて。前回より少し大きくなっており、動きも凄く良いです」
――なるほど、ライト級では小さい原口選手もそれだけ体重を落とすのですね。
「ただ骨格でそこまでの大きなではないので、すぐに4キロぐらいは落ちるんですよ。。でも、もうフィジカルの差とか言ってもしょうがないという気持ちでいます」
――前日に韓国で戦うお兄さん(原口央)の試合と、どちらがタフになると考えていますか(※取材は23日に行われた)。
「アニキの方ですね(笑)。相手が63キロにしては、デカい。ただ、同じ時期に試合があることで同じように追い込み練習をして、同じモチベーションとペースで練習ができました」
――バーハートゥブールゥと戦う上で、同じような体格の練習相手は?
「武田(光司)さんだったり、野村(駿太)先輩が相手をしてくれました。武田さんは普段は82、83キロぐらいあって。70いくつでもしっかりと組み合えていたので、そこはもう気にならなくなってきました」
――ではこの試合でやってはいけないと肝に銘じていることはありますか。
「メチャな打撃の打ち合いをしないことです。一発もらってもカッとしない。打ち合う気はないなかで、打撃を出す。そういうイメージをずっと持って練習してきました。気持ち的に流されない。躍起にならない。しっかりとそのチャンスを待つ。そうやって戦うなかで、組んでテイクダウンしてパウンド。狙えるならサブミッションという練習をずっとやってきました」
――これまで植田豊選手との試合以外ではパウンドを打っても、スクランブルに持ち込ませなかったという印象があります。抑えとパンチの比重はどのように考えていますか。
「立たれても構わないので、思い切り殴ります。立たれると、また倒せば良いので。抑えるよりは殴って、動かして倒す。自分のフィジカルでずっと抑えようとしても、難しいですから。だから倒して、殴って、立たれても倒す。マラブ・デヴァリシビリのように戦う。そこはやり込んできました。
前回の相手とはレベルが違うことは分かっています。だからこそ、楽しみです。組みも打撃もできて、フィジカルもある。そういうレベルの高い相手と戦えることが楽しみでならないです。インパクトを残せるフィニッシュを狙って、しっかりと勝って決勝につなげます」
■視聴方法(予定)
8月27日(日・日本時間)
Ep.05午後5時~UFC FIGHT PASS
Ep.06午後7時~UFC FIGHT PASS
午後4時30分~U-NEXT
■Road to UFC2023 Ep06対戦カード
<Road to UFCライト級T準決勝/5分3R>
バーハートゥブールゥ・アトゥボラティ(中国)
原口伸(日本)
<Road to UFCバンタム級準決勝/5分3R>
ダールミス・チャウパスゥイ(中国)
イ・チャンホ(韓国)
<Road to UFCライト級準決勝/5分3R>
ロン・チュウ(中国)
キム・サンウク(韓国)
<Road to UFCバンタム級準決勝/5分3R>
シャオ・ロン(中国)
上久保周哉(日本)
<ライト級/5分3R>
パク・ジェヒョン(韓国)
クイラン・サルキルド(豪州)
■Road to UFC2023 Ep06対戦カード
<Road to UFCフェザー級T準決勝/5分3R>
リー・カイウェン(中国)
神田コウヤ(日本)
<Road to UFCフライ級準決勝/5分3R>
チェ・スングク(韓国)
チーニョーシーユエ(中国)
<Road to UFCフェザー級T準決勝/5分3R>
イー・チャア(中国)
キム・サンウォン(韓国)
<Road to UFCフライ級準決勝/5分3R>
鶴屋怜(日本)
マーク・クリマコ(米国)
<フライ級/5分3R>
ピーター・ダナソー(タイ)
ナムジャルガル・トゥメンデムベレエル(モンゴル)