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【ADCC2024 & CJI】ADCC世界大会にクレイグ・ジョーンズが優勝賞金$100万Tをぶつける

【写真】CJIをいち早く選択したアンドリューとウィリアムのタケット兄弟(C)MMAPLANET

グラップリング界に激震が訪れようとしている?! 世界のグラップリング界の頂点といえば、四半世紀以上ADCC世界選手権がその座にあった。前世紀はMMAファイターとトップ柔術家の戦いが軸のADCCだったがTUF以降、MMAファイターのファイトマネーが急騰し、他分野にチャレンジする選手は減少していった。
Text by Manabu Takashima

柔術家の独壇場となったADCCだが、新足関節時代の到来とともにEBIなどノーギに特化したグラップリング大会が台頭し、特にコロナ禍でトーナメント方式の柔術に代わり、WNOのようなワンマッチ&プロイベント大会が活動を活発化してきた。同時に道着とノーギは競技として別モノという認識が定着するや、2022年のADCC世界大会はケイド&タイのルオトロ兄弟の活躍などもあり、ついにはDoスポーツから観賞用スポーツに昇華されラスベガスのトーマス&マック・センターには1万人以上の観客が集まった。


今年の世界大会からは米国、ブラジルに続き、欧州やアジア&オセニアも予選が2度開かれ男子5階級は16人の参加選手中8名が地区予選ウィナーで、残り8選手が過去の実績を考慮された招待選手というフォーマットになっている。

他方、ONEがサブミッション・グラップリングの王座を認定し、トップ選手と契約。ルオトロ兄弟やマイキー・ムスメシらが世界王者に君臨し、毎試合のように5万ドルのボーナスを手にしている。

適正体重がADCCにないムスメシはともかくとして、ルオトロ兄弟はONEとはエクスクルーシブ契約にあるなかで、ADCC世界大会だけは例外で、ムンジアルと同様にファイナンシャルでなく、世界最強の勲章を手にするために出場しているといえる。

盛り上がり続けるグラップリング界を牽引、もしくは頂点に君臨するADCC世界大会は8月17日(土・現地時間)&18日(日・同)にネヴァダ州ラスベガスのTモバイル・アリーナで開催が決まっているが、なんと──そのADCCでの活躍もあり名を馳せるようになったクレイグ・ジョーンズの名を冠したクレイグ・ジョーンズ・インビテーショナル(CJI)が同じ週末の金曜=16日と土曜=17日に開かれることが、24日(金・同)に明らかとなった。

ショーアップだけで、ADCC優勝賞金より1ドル多いCJI!!

クレイグ・ジョーンズ(C)SATOSHI NARITA

CJIの売りはグラップリング史上、最高額の支払いがあるというモノ。

80キロ以下と以上の2階級の16人制トーナメントの優勝賞金は驚愕の100万ドル(※1億5600万円)を数える。しかも出場するだけ1万1ドルのファイトマネーが用意されているという。しかも、昨年のADCC世界大会で用いられたトーマス&マック・センターが会場となっている。

世界最高峰のADCC世界大会の各階級の優勝賞金は1万ドル、8人制の女子は6000ドル。金額的な差は絶対といえる。このCJIの開催にいち早く、ADCCワールドから転じたのがウィリアムとアンドリューのタケット兄弟だ。

ウィリアムは米国西海岸予選の88キロを制し、アンドリューは同予選で77キロ級を制している。両者が戦場を変えたのは、ズバリ優勝賞金が目当てだ。アンドリューは「公式にADCCから離れ、CJIに出場する」とSNSに宣言し、「子供の頃からADCCで優勝することは夢だった。ただし、100万ドルは人生を変えることができる額だ。そのチャンスがあるなら、そこにトライする。ADCCの成功を願っている」と言葉を続けている。

兄ウィリアムも「凄くタフな判断だった。特にADCCで勝てる自信があったから。でも100万ドルは僕だけでなく、家族の人生を変えることができる。8月の16日と17日に人生のために体を張る準備はできている」とSNSで発言した。これに伴いADCCでは77キロ級にアンディ・ヴァレラ、88キロ級でエルダー・クルーズの出場が発表されている(とはいえ88キロ級はまだ12人しか選手が埋まっていない)。

(C)SATOSHI NARITA

タケット兄弟に続き、フィオン・デイヴィスもワンマッチでCJIに参戦することを明言した。

前回大会の女子60キロ級優勝でムンジアル二連覇中、ノーギワールズも2021年に制しているデイヴィスは、女子グラップリング界のP4Pといっても過言でない存在だ。今年の世界大会は55キロ級が設けられ、65キロ級、65キロ超級と階級に変化が生じたが、デイヴィスは65キロ以下級に出ても優勝候補に挙げられていたはず。その彼女は「ガザ地区の救援基金をサポートするイベントに参加することを誇りに思う。つまり、私はADCCには出ない」とSNSで所信表明を行っている。

またCJIはYouTubeで無料配信が実施されるとのこと。グラップリング界の地殻変動ともいえるCJIの出現だが、どのような背景を持ち、如何にマネタイズをしていくのかも気になるところ。残り2カ月半、ADCC世界大会はグラップリング界の最高峰の地位を維持できるのか。CJIにどのようなメンツが揃うのか注視したい。

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ADCC2022 MMA MMAPLANET o   エルダー・クルーズ カイナン・デュアルチ ボクシング ラファエル・ロバトJr

【ADCC2022】99キロ級 出場7度目、5度目のセミファイナル出場のロバトJrを破ったカイナンが決勝へ

【写真】3年前の大会で+99キロ級を制したカイナン。2021年と2022年はムンジアルのヘビー級王者は大ベテランを破って決勝進出を決めた(C)SATOSHI NARITA

9月17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第14 回からは99キロからカイナン・デュアルチのラファエル・ロバトJrの勝ち上がりと両者の準決勝戦の模様をお伝えしたい。

前回大会99キロ超級の覇者にして、今年の世界柔術も制している優勝候補筆頭のカイナン・デュアルチは、1回戦で英国のオーウェン・リヴシーと対戦。加点時間帯にクローズドガードから両ワキを差し、リヴシーの体を引きつけて伸ばしてからスクランブルで上を取る見事な技術で2点を獲得。その後も低く体重を預けてサイド、マウントとポジションを制し8-0で快勝した。

2回戦は、そのレスリング力故にダークホースとも見られたエルダー・クルーズ──初戦は世界柔術で2度準優勝を果たしているパトリック・ガウジオと対戦し、スタンドの積極性で上回って延長レフェリー判定勝ちを収めた──と対戦。

クルーズのダックアンダーを迅速の反応でスプロールすると、背後に回って四の字フックを完成。そのままマウントも取って先制し、クルーズに体勢を入れかられるものの、5-2で快勝。順当に2日目に勝ち上がった。

デュアルチの準決勝の相手は、大ベテランのラファエル・ロバトJrだ。2013年の88キロ以下級準優勝者のロバトJrは、2007年に初出場以来なんとこれが7度目のADCC世界大会出場だ。初戦では、フィンランドのペルトゥ・テポネン相手に四つから脇を潜ってバックを奪うと、フェースロックで快勝している。

2回戦は昨年の準優勝者のヴィニシウス・フェレイラと対戦したロバトJr。本戦終盤にフェレイラのボディロックからのテイクダウンを切り返す形で上を取り、2-0で勝利。実に5度目のADCC世界大会準決勝進出を決めた39歳のレジェンドは「今回が最後となるかもしれない。僕はもう父親になったし、人生の次のフェイズに入ろうとしているから。そんな今でも世界のトップの選手たちと戦えて感無量だよ」と涙を流した。


<99キロ級準決勝/10分1R+ExR>
カイナン・デュアルチ(ブラジル)
Def.ExR by Ref Decision
ラファエル・ロバトJr(米国)

迎えた両者の準決勝。積極的にフェイントを仕掛けるカイナンは、1分ほどのところでダブルレッグでテイクダウン。加点時間帯前とあって、ロバトJrはあまり抵抗せず下のポジションを受け入れた。

ここからカイナンは低くプレッシャーをかけていくが、右足に絡んだロバトJrがニーシールドと腕のフレームで阻止。この攻防が延々と続き、加点時間帯を超えても展開は変わらず。試合は延長戦に持ち込まれた。

スタンドから再開された延長戦。軽快なフットワークのカイナンは序盤同様に細かくフェイントを入れては、ロバトJrの首を掴んで押し下げてそのスタミナを奪いにかかる。が、お互いなかなかテイクダウンは仕掛けられず、両者にマイナスポイントが与えられる展開に。

以後もカイナンはアウトボクシング的スタンドレスリングとでも呼びたくなるようなフットワーク&フェイントで、ペースを支配。動きが明らかに落ちてきたロバトJrもテイクダウンを試みるが、カイナンは軽く距離を取って回避した。

残り45秒。相変わらず軽快な動きのカイナンがダブルレッグを仕掛けると、そのままドライブしてテイクダウンに成功。が、倒されたロバトJrはいったん背中を向けて亀になってから正対し、失点は回避して見せた。さらに下からアームドラッグを仕掛けるロバトJrだが、強力なベースを誇るカイナンは崩れない。

ならばと立ち上がったロバトJrの右足を抱えるカイナン。ここは足を抜いて距離を取ったロバトJrは、残り7秒でシュートイン。が、カイナンはここも距離を取って試合終了した。

レフェリー判定は、終始ペースを支配して最後にはテイクダウンの見せ場も作ったカイナンに。後に、前日のクルズ戦でバックを奪った場面でヒザを怪我してしまったことを明かしたカイナン。あまりリスクを負わず、それでも要所で確実にポイントを取る賢い戦い方を貫いて、2連覇に王手をかけた。

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