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【ONE】若松佑弥の今―03―「MMAの練習ができない間に山登り、滝行、カポエイラをやってみました」

【写真】ここが若松の人生の分岐点となった──かもしれない (C)MMAPLANET

2023年に向けて『2022年中に話を訊いておきたい』勝者、敗者を6人リストアップしたインタビュー──若松佑弥編Part.03。

もって生まれた性格でなく、自己をコントロールする。その難しさを理解し、そうなろうとする自分。そんな若松佑弥の今が語られた。

<若松佑弥インタビューPart.02はコチラから>


──ウ・ソンフン戦の負けで、ある意味人生観が変わったということでしょうか。

「勝ち続けて調子に乗る。そういう人間は五万といます。僕はもう、そういう人間にならない。その機会を与えてもらったと思います」

──試合での敗北。人生を賭けて戦っているのだから、自分の人生が負けて全てを失ったような感覚に陥るかもしれないです。ただし、人生の負けではなく一時的な失敗。その失敗を如何に見つめるのかが、次に繋がる。年を取るとそんな風に思えるようになってきました。

「ハイ、そこはしっかりと見ようと思います。目を瞑るということは妥協することで。妥協しようと思えば、いくらでもできます。敗北に向き合うと……正直、あの負けを思い出して叫びそうになったこともありました。うわぁ……って。それができれば、楽だったかなって思います。

僕が終わったという風に言っている人もいます。それは、僕自身も以前は他の選手のことで『あぁ、あの選手見なくなったな』って簡単に思っていました。でも、その選手だって姿を見せなくて、色々な発信していなくても裏では戦っていたはずです。

そんなこと誰も知らないし、僕も分かっていなかった。でも、今の僕はそれが分かる。分かったことで、自分に対しても『休めってことだな。まぁ、見ておけよ』って思えるようになったんです」

──う~ん、深いですねぇ。

「この間、MMAの練習ができない間に山登り、滝行、カポエイラをやってみました」

──カポエイラ?

「ハイ。運動というか……MMAとは別モノと考えて」

──いや、カポエイラの準備運動をするだけでもコーディネーション能力のアップにつながると自分は思っています。

「あぁ、あの動きは……そうかもしれないですね。器械体操とかと同じですね。体を自在に操れるというか……。僕、バック宙もやってみると、できたんです。自分でもバック宙ができることを知らなかったです。カポエイラもそうですけど、知らないことが多すぎました。MMAだけに集中して、そこだけに全てを賭けてやってきたけど、自分のことですら知らないことだらけだったんです。

カポエイラにしても、他の人がやっているのを見て『俺もできると思う』ぐらいでいるとダメで。自分でやらないと分からないです。本当に……滝行なんて、実際にやってみないとあのキツさは分からない。そういう格闘技でなくても知らないことがあって、知らないことを知る。そのことが自分に役立つ。

カポエイラの動きでMMAを勝つわけじゃないけど、カポエイラをやることで僕の蹴りが良くなるかもしれない。リュックを背負って山の中を走ることで、パンチが良くなるかもしれない。滝行もそうで、MMAとは違うところで体と精神に刺激を与えてやる。そこには達成感や喜びもあって、色々と感銘を受けることができます。そういうことを自ら体験していかないといけない」

──ここも誤解されるようなことかもしれないですが、全ては自分が強くなるために必要だということですね。いやぁ、でも迷走していると思われるかもしれないですね。

「そんなもんは……僕はもう自分勝手にやっちゃっているんで。安藤(達也)さんって『練習していない』って思われるじゃないですか」

──ハイ。安藤選手、夜叉坊選手。山に行って、水泳して。何やってんだ、と。

「僕も前はそう思っているところがありました。でも、『いや、そうじゃない』って感じて。多分、安藤さんからすると『あっ、祐弥。気付いたんだ。そこに』みたいに思っているかもしれいないです。自然に身を置く、そういう観点だって存在している。

MMAをやっていると、そういう人たちは遊んでいるように見えると思います。でも、そうじゃない。それが分かりました。全てが修行で……。でもリラックスとか精神世界に走る気はないです。お坊さんの話を聞いたり、精神性という部分では参考にさせてもらっても。

僕は試合に勝ちたい。そして、人間として強くありたい。ずっと試合に勝ち続けること、ずっと努力し続けることが強くなるということだと思っています。結局はシンプルにプラス思考で生きること。それは全てに感謝するということで。そうできることが、素晴らしい人生を送るということ。『喧嘩に勝ちたい』という風にただ肉体的な強さに憧れていた以前の自分が、今の自分を見ると『お前、詰まんねぇなぁ』って言うと思います(笑)。

でも、今の方が自分に対して、将来に対して楽観視できています。以前は『こいつら、会った時はぶっ飛ばしてやろう』と思っていたような連中に対しても、そういう気持ちはなくなりました。やっておけば良いよって。ぶっ飛ばしてやろうと思っていたこと自体が、自分の弱さでした」

──人に優しくなれた?

「いえ、そうではなくて自分がコントロールできるようになった。自制できるようになったと思っています。千日回峰行を達成した人でも、やっぱり自分に甘く接したい時があるはずです。でも、それをすると全てが崩れる」

──自分をコントロールすること、それこそ精神的に一番の苦行かもしれないですね。

「だからこそ日々、学んで自制していくこと。そうすることで自分は進化できる。それでも勝った負けたでいえば、いつも良い結果が出るものじゃない。でも負けても……負けたら、負けたでまた考えれば良い。そういう境地じゃないですけど、これまで分かっていなかった気持ち、精神的な弱さがあったことに11月の負けで気づけました。

だから、これまでもやってきたのですが……当てられた相手に勝つ。さらにシンプルに自分のやるべきことはそれだけだと思っています。必要以上に多くを語る必要はなくて。内に秘めて、自分のやるべきことを全うしていくごことできれば……それで良いかなって。それが日々の修行になる。そう思います」

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【ONE】2023年へ、若松佑弥―02―「分かってくれる人がいる。そこへの感謝の気持ちがあれば」

【写真】取材時には、当然いくらでも笑顔になっていた若松 (C)MMAPLANET

2022年も最後の1日に。この1年もMMA界には色々な出来事があり、多くの勝者が誕生し、同じ数だけ敗者も生まれた。

2023年に向けて『2022年中に話を訊いておきたい』勝者、敗者を6人リストアップしインタビュー──若松佑弥編Part.02。

ウ・ソンフン戦の敗北で、一時的でもMMAが嫌になったという若松は、この敗北を誰の責任にも転嫁せず、自分を見つめなおす材料とした。

<若松佑弥インタビューPart.01はコチラから>


──完全に足に来ていたようにも見えました。あの左を貰ってからの下がり方は。そうでないと若松選手は被弾して下がるタイプの選手ではないと思いますし。

「頭では『ここから盛り返す』って感じだったんですけど、体がまるでいうことを聞かなかったです。今から思えば、それが普通なんですよね。パンチを効かされるということは。ここまでMMAを続けてきて、自分がそうなって初めて怖さが分かりました。

皆が『危ない』と言っていても、あんな風に貰ったことが無いので分かっていなかったです。この負け方は今後MMAを戦っていくうえで必要だった。それこそ神様が教えてくれたお告げだと捉えています。

勝敗に関して……仙三さんのように打たれても前に出て勝てる人もいるけど、それは皆に当てはまることじゃない。僕が試合前に思っていたような仙三さんみたいになりたいというのも違っていて。その必要はないと思い知りました。

無理矢理打ち合わなくても。MMAは戦争じゃないと分かったし。決まった時間内で、自分のテクニックを出して勝ち切る。判定だとつまらないと言われることもありますが、やはり勝たないと始まらないです」

──「もう嫌だ」という気持ちは、どれぐらい続いていましたか。

「そうですね……試合後は『俺が屑だから、勝てなかったんだ』と自分を全否定して、穴があったら入りたいぐらいのきもちでした。頭のなかも真っ白になって。これから、どうすれば良いのか分からない。

長南さんにも『俺、もう辞めます。こんなのやっていられない』って伝えました。長南さんも『辞めたければ、辞めれば良い。でも、俺はずっとTRIBEにいるから。やりたいときはいつでも来い。待っているから』と言ってくれました」

──いや、それ長南さんに言わせちゃダメですよ。若松選手──。

「そうなんです。こんな最高な……幸せなことをやってきて、すぐにそういうことを想うからダメなんだって考え直せました。やるだけのことやったんだから。家族のため、仲間のために妥協せずにやってきた。

それを分かってくれる人いる。なので『俺がやってきたことは間違いない』と気持ちを入れ替えることはできました。同時に家族のために、殺されないために殺しにいく。そんな使命感を持って戦うんじゃなくて、気楽に楽しんで戦おうと。強靭なメンタルも柔軟性があってこそ、だから心の修行をしているんだと敗北を飲みこみました」

──若松選手は敗北を第三者の責任にしていないですね。

「全ては自分の責任です。練習環境でもない。それに今の僕は米国で練習する必要が無いような練習環境があって。そこで、やれるだけのことやって……皆にやらせてもらって。結果として『ああすれば良かった』、『こうすれば良かった』ということは出てきますけど、それは勝っても負けてでも出てくることなので。

ただ入れ込み過ぎない。僕もこれからの人生は長いし、これで終わりじゃないです。長南さんからも『鹿児島にいた時はどうだった? こんなに応援してくれる人間がいたか』と指摘されました。

いなかったです。そうですね……こういう時期なんだなって。TRIBE勢はあれから3連敗して……負けた人間の気持ちも分かるし。それでも確かなことは皆、戦っている。肉体的な強さだけでなくて、精神的に強くなること。それが今、自分に課せられていることだと思っています。

精神力は……自分は全然弱いので。僕は生まれながらに、多分そこが弱いんです。勝っている時は良いんですけど。負けて、それも再確認できました」

──ONEで戦っている日本人選手、特に若松選手や和田竜光選手には世界で名の通った相手、もしくは通のファンなら分かる強豪と試合をしてほしいと常に思ってきました。だからONEでキャリアアップ途中の選手だと、勝って当然という風に捉えがちでした。そこは自分も反省しています。若松選手の敗北を目の当たりにして。もっと対戦相手のことも知らないといけないと感じました。

「いえ、僕もあの相手に負けていられないと思っていたので。本当にそういうところから、自分を見つめ直さないといけないと感じました」

──では現状、練習の方は?

「試合でケガもありましたし、組みも含めてコンタクトする練習はしてこなかったです。また年が明ければ、試合に向けての練習を再開させます。練習には制限があるので、他に自分のできることを試してきました。カポエイラに行ったり、こないだは滝行に行ってきました。それから修行のことを勉強して。千日回峰行って分かりますか」

──クレイジージャーニーか何かで、塩沼亮淳さんの荒行を拝見したことがあります。1日に数10キロ、山道、獣道を歩き、その間人とも話さない。それを9百数十日続けるとか……。

「今、そういう修行を勉強しているんです。悟りを開いて無になるとか。結局、人間って弱いから荒々しい態度を取ったり、色々な手段で自分を強そうに見せます。そういう人がなぜイライラしているのか、相手の気持ちを考えることから考えようと思うようにしています。

結局、シンプルに全てに感謝して。あの敗北にも『ありがとう』と思って生きないといけないし。僕はこれで飯も食えているわけで。如何に自分が幸せなのか改めて分かりました。あの試合で勝っていたら、こういう風にはなっていない。

僕は負けてストーリー作りとかできないけど、ごく僅かでもちゃんと分かってくれる人がいる。そこへの感謝の気持ちがあれば、今後、自分がどういう立場になっても他の人に対して、偉そうな態度を取ったりすることはないと思います。そこに気付けた。自分は恵まれている人間です。そうなる状況を与えてもらえました」

<この項、続く>

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【ONE】2022年中に話が訊きたかったファイター。1人目、若松佑弥―01―「もう嫌だ。やっていられない」

【写真】覚悟のある言葉が、終始聞かれた若松佑弥 (C)MMAPLANET

2022年も最後の1日に。この1年もMMA界には色々な出来事があり、多くの勝者が誕生し、同じ数だけ敗者も生まれた。

2023年に向けて、MMAPLANETでは『2022年中に話を訊いておきたい』勝者、敗者を6人リストアップしインタビューを行った。

第1弾は3月にONE世界フライ級王座に挑戦するも一本負け。再起戦は対戦相手の体重オーバーで消滅。仕切り直しの11月19日、ONE163でのウ・ソンフン戦ではまさかの計量失敗TKO負けを喫した若松佑弥に――あの日を振り返ってもらった。


――2022年、若松選手は結果的に0勝2敗。何よりウ・ソンフン戦ではハイドレーションに失敗してキャッチウェイト戦になってしまったうえでの敗戦でした。試合前にインタビューを受けてもらった時は、当然のように負傷などあっても公言できるものではないですが、実際には何か体調不良でもあったのでしょうか。

「いえ、そういうことは一切なかったです。僕はこういうとアレですけど、普段から他の選手と比較しても体のことは考えている方です。酒も飲まないし、不摂生になるようなことはしない。あの試合の時も体重を抑え気味にして、普段よりも1キロぐらい軽い状態で調整していました。

コンディションもバッチリで、計量前には(品川)朝陽君や(平田)樹ちゃんのように慌てることもなかったです。これまで通りにできていて、過去にハイドレーションで引っかかったこともなかったので。トレーナーとも『問題なくきている』という風に話をしていた状態でした。

それなのにハイドレーションがオーバーしてしまって。体重はいつもリミット丁度に合わせていたのに対し、今回は万全を期してアンダーにしていたのですが……。そこから水分を補給しても、いつものような数値にならなくて。あの時は頭の中が真っ白になりました」

――これまで通りの調整だったから、対処のしようがなかった?

「ハイ。まさか……の何も想定していない状況でした。13時計量開始で、僕の順番は13時半ぐらいで。そこから4時までに体重とハイドレーションをパスしないといけないので、長南さんと部屋に戻って調整をして。2度、4時までに小便をしてハイドレーションを測っても無理で。3度目も……どんどん濃くなっていて。でも、本当になぜかが分からなくて……」

――ここ最近のONEは試合前日だけで、当日の再計量はないという方針です。

「ハイ、午後4時までにクリアしないとハイドレーションをパスした体重のキャッチウェイトになって……罰金を支払う形です。僕は最悪、当日になってもパスをするというつもりだったのですが……あの時から、計量方法が変わって」

――ということはセレモニアル計量とフェイスオフの時には若松選手はキャッチ戦が決まっていて、平田選手など試合がなくてもあの場に立たないといけなかったということですね。

「あの時点で樹ちゃんはもうないと思っていたはずです。体重をパスできないのはありますけど、試合がなくなって涙している彼女がアレをやるのはちょっと厳しいなと思いました」

――生理があっても落とすのがプロ。その生理が来ないようにしている選手もいる。そして平田選手が落とせかった理由がどこにあるのか、分かっていないです。そこも踏まえて、男子と女子は肉体特性が違う。そして女子には妊娠&出産があるという一点において、女性と男では計量のレギュレーションは違うモノがあっても良いかと思ってしまいます。

「……。ハイ、そういう風に考えないといけないのかもしれないですね」

――話を戻しますと、若松選手は頭を剃ってセレモニアル計量の場に立っていました。あれは禊の意味だったのでしょうか。

(C)ONE

「いえ、あれは少しでも体重を軽くするためです。

体重自体はアンダーでも、水を飲むので髪の毛の分でも軽くしようと長南さんと話して、剃りました。僕らも習慣的に体重を絶対にアンダーにしたいです。そうするとハイドレーションがオーバーするので、ハイドレーションがパスするまで水を飲むことになり、その時の体重で試合をすることになります」

――ONEではその結果が発表されているのかどうかは不明ですが、リカバリーも105パーセントまでという規定がって、試合後に体重を測る。これでオーバーしている選手は、勝者など試合結果は変更されないですが、罰金があるようですね。

「ハイ。僕だと62キロぐらいでパスして、64キロぐらいまでしか戻せないです」

――正直、ONEのハイドレーションは水抜き減量をしないためのモノですが、サウナスーツを着て汗をかいている時点でドライアウトなわけですし。それでもハイドレーションをパスする術をほぼほぼ出場選手とその陣営は持っているというのが、私個人の見解です。ほぼ皆が水抜きして、通常体重の選手の方が一握りだと。北米とリミットが違うからこそ、カラカラにならず体重を落として、水分補給をしてクリアする。でも、まだノウハウが確立できない部分もあるのですね。

「なんで……俺は……って。正直、そういう気持ちにもなりました。もう、どうしようもできないです。何カ月もやってきて、それが最後にああいう風になる。実際に水抜きより難しい面もあります。なら、それが起こったことで何か自分にとって意味があるんだと考えるようになりました。

天命じゃないけど、これも天が与えた試練。ここを乗り越えて強くなるんだって。結果としてキャッチウェイトになった経験を、今では受け入れています。

全ての規定を僕は知っていて。だから全ては自分の責任です。以前に樹ちゃんが計量オーバーをしたことに対して、批判をしました。でも自分が経験すると、彼女がどういう状況だったのか理解せずに発言していたなって。だから、ああいうことも言う必要はなかったです」

――今回のハイドレーション失敗を経て、現状で解決方法は見いだせたのでしょうか。

「とりあえず……通常体重を落として、水抜きにならないよう体重を調整する。それしかないと思っています」

――そうなると水抜きをして、上手くハイドレーションをクリアした選手との体格差が出てこないでしょうか。

「……。サウナスーツを着て、ウォーターローディングしてパスをする選手は確かにいると思います……。でも、僕はハイドレーションにパスしなかったので、『もう嫌だ』という気持ちになっています」

――今後にも関係している計量失敗ですが、試合に向けては気持ちを切り替えることは?

「それはしていました。これも運命だと受けいれていた自分がいて……究極に自分を追い込んで、でも正常を保つ。そんな精神状態でいられるようにしようと。だから試合前は、絶好調で、気持ちとしては『やるだけのことはやった。あとは勝つだけ』というぐらいでした。で、結局負けてしまったんですけど」

――……。

「正直、戦っている最中はプレッシャーとか、何も感じなくて。相手のパンチは一発も当たる気がしていなかったです。気持ちも乗っていて……『こいつのパンチなんか当たっても倒れない』とか感じてしまうぐらいになっていました。『俺は自分を越えるぞ』という感覚になっていました。

ずっと、ビビっている自分を変えたい。そう思ってMMAを戦ってきました。仙三さんみたいに、打たれても前に出る。倒れても立ち上がる。1秒でも早く勝つ……そんな風に気持ちが昂っていたのはあったと思います。戦略的に強いのではなくて――そうですね、スポーツとかでなく、心の中の何かを克服したい。ここで自分から行って、違う自分になるんだって。

それもあって試合後は……『もう嫌だ』と思いました。これだけ練習して、自分を追い込めるだけ追い込んで。でも、こんなに呆気なくやられるんなんて、もうこんなこと続けられない……って、MMAが嫌になりました。『もう嫌だ。やっていられない』と。でも、実際には人間は脆い生き物で。今から思えば、変なプレッシャーを自分に掛けていたのかなと思います」

<この項、続く>

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【ONE】国際戦負け続け。PPVビジネスは成立するのかを北野Pに尋ねる─01─「そもそもPPV云々以前の段階」

【写真】日本人が負け続ける状況に、ファンは有料で中継を視聴し続けてくれるのか(C)ONE

11月19日(土・現地時間)にシンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されたONE163「AKIMOTO VS PETCHTANONG」。日本ではABEMAがPPVライブ中継を行ったが、MMAでは若松佑弥がウ・ソンフン、岡見勇信はオンラ・ウサン、青木真也はザイード・イザガクマエフに敗れ、平田樹は計量失敗でサークルケージに足を踏み入れることすらなかった。

ABEMA格闘チャンネルは無料配信からストーリーを組み立て、PPVでピークを迎える手法が採られている。ただし、ONEのPPVに関していえば主役たる日本人選手たちの戦績が芳しくない。いや、芳しくないどころでなく散々たる結果といっても過言でない。

3月26日のONE XではMMAでは国際戦4戦全敗、そして上記にあるようにONE163でも3戦全敗。さらにONE Xにおいてキックで世界バンタム級王座を獲得した秋元皓貴が、そのベルトを失った。勝った負けたが全てでない──と同時に、勝敗は絶対だ。人は強さに憧れ、夢中になる。これだけ敗戦が続くなかで、ONEのPPV中継はビジネスとして成り立つのか。北野雄司エグゼクティブ・プロデューサーに話を訊いた。

これからの日本勢の巻き返しに何が必要なのか。


──11月19日のONE163、PPVでABEMAは中継を行いまいした。同じくABEMAで「FIFA ワールドカップ カタール 2022」を全試合無料生中継して日本が予選を突破。しかもドイツとスペインに勝利ということもあり視聴者数の更新が続きました。対してONEでは品川朝陽選手以外がことごとく敗北。平田樹選手は計量オーバーで欠場に。ラグビーのワールドカップもそうですが、サッカーも五輪競技でも日本が勝つことで視聴者が増える。その点、この敗北続きで2023年に予定されるONEの大会中継やPPV配信は果たして継続できるのか。選手育成から関わっているABEMAの格闘チャンネルとすれば、どのようにこの敗北を捉えていますか。

「日本人選手が勝てない。上位になるほど勝てないのは、ここ2年ほど続いているので正直、そこに驚きはそれほどなかったです。PPVのなかで勝ったり、負けたりしながらストーリーを見せていくPPVスターという存在が必要だという点で言えば、青木真也選手以外にストーリーを紡げるような負け方は見られなかったと感じました」

──う~ん、負けてストーリーを紡ぐというのは現状のファンの間で起こる事象であり、ABEMAと青木選手のマターとして進めていただくとして。ONEをより広く浸透させるためにはやはり日本人の勝利は欠かせないかと。ただし、勝てる法則も魔法もない。そのなかで現状、ONEの日本人選手でPPVビジネスが成立するのか。どのように考えておられますか。

「そうですね、質問への返答としてはズレるかもしれないですが、最近の日本のMMAの国力が他の国と比較すると下がった。そこを改めてシンガポールで感じました。計量とハイドレーション・テストが試合前日の1度になったじゃないですか」

──ハイ。

「ザイード・イザガクマエフは実質、水抜きをしていますよね。実際はどうか分からないですが、見た目の印象ではやっているかと」

──イザガクマエフに限らず、日本勢も含めて事実上の水抜きをしている選手は多いと思います。

「水抜きをしていると思われる選手と、通常体重で戦う選手は契約体重が同じでも体の大きさが違います。青木選手は水抜きをしません。そして他の日本人選手はハイドレーションでかなり苦労しています。平田選手はパスできなかった。あのシステムに苦労をしているのは試合をした選手も、辿り着けなかった選手も同様でした。

あの状況を目の当たりにして、対応能力という面でMMAに対する国力が低下していると試合前に実感しました。海外の選手たちはハイドレーション・テストを利用し、さらに自分を有利にしている。それなのに日本人選手は四苦八苦して試合ができない選手までいる。

選手育成なのか、マネージメントなのか、僕らのような中継する側が原因となっているのか分からないですが、試合前から負けている。そもそもPPV云々以前の段階だと感じています」

──とはいえ来年にはPPVを複数回行うということが発表されています。PPVを軸としたストーリー作りを必要としているなかで、PPV以前の段階に問題がある……。

「PPVにて配信した大会を3月と11月に行い、いずれも国際戦で日本人選手がことごとく敗れるという状態になっています。現状の戦力を僕がどうこう言えることではないのですが、新しい血が必要なことは間違いないです。海外で鍛えられた、新しい血が。一歩日本の外に出れば、日本と同じことをするにもエネルギーが必要です。電車に乗るにも、バスに乗るにも、食事をとるだけで日本にはない障害にぶつかります」

──ハイ。その通りですね。

「そういうことを当たり前のモノとして生活し続ける──格闘バガボンド的な新しい血を送り込む必要があるかなと思っています。ONEに限らず、世界に向けて。今は本当に限られた選手がUFCやBellator、PFL、そしてONEと契約できる状況ですが、あえて言うと下手な鉄砲数打ちゃ当たるというような……間に入る人の偏向した選球眼のない状態で、条件さえクリアできれば海外で試合ができる人達がもっと多く出てくるべきじゃないかと。

Road to UFCだけでなく、UFCでもアジアでのイベントが再開され、ABEMAではONEやLFA、CFFCを中継するなど海外での試合が目に届く状況が増えてきました。つまり出場機会が増えます。北米では様々なフィーダーショーが存在していて、そういう場所で戦って勝ち残った選手がメジャーと契約できる。日本もそういう状態に、あと2年ぐらいでしていかないと、僕らのPPVビジネスも終わるんじゃないですかね。

色々な場所で数多くの国の人が交わって、格闘技のイベントが行われている。だから3カ月経つと潮流が変わることがいくらでもあります。複数の国の人達がせめぎ合っている環境だから、直ぐに何かが変わる。それが当たり前のことです。3カ月前は居心地が良かった場所が、そうではなくなることが平気で起こるのが海外です。自分のスピードで、世界が変化するのではなくて世界のスピードに合わせて、自分が変わる必要がある。生き残るのは大きな魚でなくて、動きの速い魚だというじゃないですか。そういう時代になったと思います」

──居心地の良かった場所が、そうでなくなる。これはもう日本人選手にとっての2019年のONEと、2022年のONEで明白になっています。そのONEでは2023年のスケジュールも1月から5月の米国進出まで、PRIME VIDEO大会──ファイトナイト大会のみの発表となっています。ABEMAが日本で行ったPPV大会のような土曜日の特別なイベントでない場合は、従来のアジア向けの金曜日の夜のナンバーシリーズ枠がなくなるという話も伝わってきます。そうなると日本人選手の出場枠の確保が、この戦績では難しくなることはないでしょうか。

「そこに関して言えば、ONEルンピニーが毎週金曜日に年間で50大会行われることになりました」

──ハイ、ABEMAも毎週ライブ中継すると。クレイジーな発表もありました。

「50大会もあるので、放送する面においても色々なチャレンジができると思います。解説者も大沢ケンジさんを脅かす存在が出てきてほしいです(笑)。ただ、これを決めたのには高尚な理由はなかったです。ONEルンピニーが決まった時にチャトリさんが電話してきて『ユージ、これまさにお前のためのコンテンツだよ。ユージは格闘技がメチャクチャ好きだから、毎週視られるよ』って(笑)」

──視るのと中継するのは、話が違うかと(苦笑)。

「だからオンエアーしろって。これ、ホントの話で(笑)。でも、毎週やるのは面白いなって思いました。勿論、予算の問題もあるし各署と話す必要はあったのですが。今のナンバーシリーズやファイトナイト大会のような規模ではないです。でも、そこで日本人選手が20~30人ぐらい戦っていく。延べで100人、毎週2人ぐらいルンピニーで試合をしてほしいと思っています。ONEとABEMAのNew Blood Projectですね」

──ONEルンピニーに新しい血を導入していくと。

「前半6試合、後半6試合で全12試合。国際試合は6試合だから、そのうち2試合ぐらいは日本人選手が出てほしいです。契約形態でいえば年間契約の選手も、スポット契約の選手もいるかと思います。今のONEのロースターである選手も、ファイトマネーが折り合えば出場するでしょうし」

<この項、続く>

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【ONE163】ダウンを奪った若松だが左2発からラッシュ→最後はマウントパンチでウ・ソンフンに敗れる

<139ポンド契約/5分3R>
ウ・ソンフン(韓国)
Def.1R2分47秒by TKO
若松佑弥(日本)

頭を刈り上げ、鋭い眼光の若松はいきなり右ミドルを蹴る。サウスポーを交えて戦うウ・ソンフンに対し、若松はハイ、そして右を伸ばす。ローを蹴ったウ・ソンフン、若松は右に回り左に戻りつつ右、左フックでダウンを奪う。直ぐに立ち上がったウ・ソンフンのワンツーに、右を合わせていく若松はオーソに構えるとジャブを伸ばす。ウ・ソンフンが左ミドル蹴り、左リードフックを当てた若松だが、左を2発食らい姿勢を乱す。下がりながらパンチを纏められ倒れた若松はヒザ蹴りをボディに受け、立ち上がってもパンチ被弾し続ける。

足がもつれた状態で組みに行った若松は潰され、マウントを取られる。若松は背中を譲り、両足をフックされる。暴れて何とか上を向いた若松だったが、ウ・ソンフンのマウントからパンチの連打にレフェリーが試合を止めた。


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【ONE】速報中!ONE 163

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午前中はONEにBellatorと海外MMA花盛りの1日。ここからは日本人選手が大挙参戦するONE 163がシンガポールのインドアスタジアムで開催されます。前日の計量ではなんと平田樹が計量オーバー。ハム・ソヒとの試合が消滅するアクシデントが発生。落胆するしかありませんが、それでも青木真也がザイード・イザガクマエフというハードな相手とぶつかる好試合を配置。見逃すわけにはいきません。今回はABEMAのPPVで観戦しつつ、日本人のMMAの試合を中心に電波と充電の続く限り速報します。乱筆乱文にはご容赦くださいませ。


【第6試合 MMA バンタム級】
◯クォン・ウォンイル
(3R TKO)
×マーク・アベラルド
1R、リーチで劣るアベラルドは距離を詰めてパンチを振るう。序盤はこれがヒットするが、クォンのボディで流れが一変。腹を効かせてアベラルドの動きを止めると棒立ちのところに左右の連打。肘も絡めて猛攻。しかしアベラルドはどうにか堪えてラウンドを終えた。
2R、やはりクォンのボディがエグい。それでもアベラルドは止まらない。胴タックルで組みつくとスタンドでバックに回る。あの手この手で倒しにかかるがクォンの腰は重い。身体が離れるとアベラルドも下がらずにパンチを打って互角に渡り合ってラウンド終了。
3R、開始直後にアベラルドのタックル。しぶとく組み付いてテイクダウンに成功。しかしクォンはすぐに立ち上がって身体が離れる。そこからは一進一退のスタンドの攻防。ここからアベラルドが片足タックル。クォンが膝を合わせる。これが効いたか亀になったアベラルドにパウンドを放ったところでレフェリーかま試合を止めた!


【第7試合 MMA フライ級】
×若松佑弥(TRIBE TOKYO MMA)
(1R TKO)
◯ウ・ソンフン
1R、開始直後から出入りの激しいスタンドの展開。序盤は軽快なステップで若松がパンチを当てる。左フックでソンフンをグラつかせて主導権を握る。しかしソンフンは距離を詰めて接近戦で打ち合う。するとショートレンジのフックで若松は腰砕け。何とか立ち上がるがソンフンはパンチの連打で畳み掛けて押し潰すとマウントからパウンド連打。動けない若松を見てレフェリーが試合を止めた!
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【ONE163】若松佑弥が語っていたこと─02─「計量で何かあるかもしれないし。自分と向き合います」

【写真】ここまでしっかりと話していた若松が計量にパスできず……何が起こっているのか……(C)ONE

19日(土・現地時間)にシンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE163「AKIMOTO VS PETCHTANONG」で、ウ・ソンフンと対戦する若松佑弥インタビュー後編。

既報の通り、計量をクリアできずキャッチ戦を戦うこととなった若松は、事前のインタビューで相手の力を見極めて上で「自分との勝負」と言い切っていた。そのうえで「計量が何かあるかもしれない」という言葉を発していた若松──この計量失敗は、体が発した黄信号なら、今夜の試合は全ての自信が覆される結果になるやもしれない。

<若松佑弥インタビューPart.01はコチラから>


──勝手ながら、若松選手には打撃でダウンを奪って欲しいですし、打撃を見せてテイクダウンも奪わって欲しいです。

「戦ってきた相手が違うというか……あれよ、あれよという間にONEに来た選手だと思います。打撃が強いのもノーガードで打ち合って、フィジカルの弱い相手に打ち勝って来た。KO負けもしているし。そういうのを見ていると、インディな技術のない一発当てたもん勝ちのような試合をしてきたので、ラモスとやるとあんな風に攻め込まれる。ラモスからすると、あそこまで差があると極めなくても勝てるからダメージを負わないように、3Rの練習みたいな試合になった。

そういう選手なので、あの敗戦からどこまで強くなっているのかというと……年齢的にも31歳とかだし。だったら伸びしろは僕の方が多い。アレって思うところがたくさんある選手ですけど、油断はしないし自分との勝負だと思っています。

前回の僕の試合前よりも、強い自分でいたい。アドリアーノ戦よりも、強い自分でいたいし。当日、僕が万全だったら一瞬でKO勝ちしたり、一瞬で一本を極めることができます。ただ、試合なんで計量で何かあるかもしれないし、風邪をひくかもしれない。拳が折れるかもしれないので、19日の夜まで集中して、万全を期して自分と向き合います。

ONE自体がチャトリが言っていたように武士道のように死ぬつもりで向き合って、一瞬の隙で倒す。それを僕は心掛けてきたし、僕の理想はソレだと思います。一瞬で息の根を止める。ただここ何年か、技術的に混同しちゃって色々な情報が入って……良くも悪くも今の自分がいます。でも、シンプルにしていけば自分はONEの戦い方が一番合っている。1秒でも先に当てて仕留める。

そこを惚れ込んだチャトリは僕がチャンピオンになると言ってくれた。なんで僕に惚れ込んでくれたのかが、こないだの会見でちょっと分かりました。だから自ずとシンプルに戦わないといけない。負けても良いから相手を仕留める。破壊する。ソレをテーマにしています」

──その一瞬の隙をつく戦い方、負けても良いと言いつつ負けてはいけない。そのうえでテイクダウンやコントロールして勝つという経験を試合で実践できて、相手を仕留める戦いに向けてさらなる自信になっていますか。

「そうですね、何でもできる……練習でもある程度、取れるようになっていますし、3Rをコントロールしても勝てるようになっています。急にテイクダウンを決められても、本能で立てます。だからこそ、相手にプレッシャーを掛けて、雑に攻めるのではなくて、全てを警戒したうえで相手を仕留めに行く。

それはちゃんと格闘技と向き合ってきた人間じゃないとできない。ただ殴り合いで当てれば良いでしょって、当たらないとボコボコにされて。酒飲んで、遊んで一発だけ当ててば良いってヤツには到底できない。僕はそれを日々、自分と向き合って嫌なところから逃げないでやってきたので、リスクは承知で戦います。

攻めることによって打たれることもあるけど、そんなことを言っていたら攻めることができない。相打ち覚悟という部分もあるし、仙三戦のような激闘もできる。その覚悟を決めるだけです」

──土曜日の夜の日本向けのPPV大会で、日本人が多く出場しています。メインはキック、青木選手と平田選手は世間を巻き込んで、自己発信をする選手たちで。そういう日本勢のなかで、若松佑弥はどのようなインパクトを残したいですか。

「こっちは侍ですからね。現代ではあんまり見られないモノを魅せたいなって。KOすれば自ずとヤバいと思われるようになるでしょうし。とにかく上手くゲームをコントロールするのではなくて、殺してやるっていう感じなんです。それをケージの中で見せれば、自然と注目は僕に集まってきます」

──ではソコも踏まえて、ファンにどのような試合を見せたいですか。

「武士道を見て欲しいです(笑)」

──そして試合後は夫婦円満でお願いします。

「もちろんです。問題を解決してから、ずっと円満です。1回も喧嘩してないです」

──素晴らしいです。小さな幸せが大切ですから。

「僕もです(笑)」

■放送予定
11月19日(土・日本時間)
午後7時30分~ PPV ABEMA格闘チャンネル

■ONE163対戦カード

<ONEキックボクシング世界バンタム級選手権試合/3分5R>
[王者] 秋元皓貴(日本)
[挑戦者] ペッタノン・ペットフォーガス(タイ)

<キックボクシング・ヘビー級ワールドGP決勝/3分3R>
ロマン・クリキア(ウクライナ)
イラジ・アジズプール(イラン)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
青木真也(日本)
ザイード・イザガクマエフ(ロシア)

<ミドル級(※93.0キロ)/5分3R>
オンラ・ンサン(ミャンマー)
岡見勇信(日本)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
クォン・ウォンイル(韓国)
マーク・アベラルド(ニュージーランド)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
若松佑弥(日本)
ウ・ソンフン(韓国)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
アブラォン・アモリン(ブラジル)
アフメド・ウジタバ(パキスタン)

<126ポンド契約/3分3R>
ルイ・ポテーリョ(ポルトガル)
朝陽PKセンチャイムエタイジム(日本)

<キック・ヘビー級/3分3R>
ブルーノ・シャベス(ブラジル)
アフメド・クリッチ(ボスニアヘルツェゴビナ)

<サブミッショングラップリング女子ストロー級(※56.7キロ)/12分1R>
ミレーナ・カオリ(日本)
ビアンカ・バシリオ(ブラジル)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
キム・ジェウン(ウクライナ)
キリル・ゴロベッツ(ウクライナ)

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【ONE163】計量終了 崩れゆく理想論─。平田樹と若松佑弥が計量通らず。平田✖ハム・ソヒはキャンセルに

【写真】セレモニアル・フェイスオフでの平田……どのような心境でこの場に立っていたのか (C)ONE

19日(土・現地時間)にシンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE Fight Night163「Akimoto vs Petchtanog」の計量及びハイドレーションテストの結果が発表され、平田樹が体重及びハイドレーションとともに規定に達せず、ハム・ソヒがキャッチウェイト戦を拒否し試合が不成立となった。

また若松佑弥も139ポンドで計量失敗、キャッチ戦でウ・ソンフンと戦うことに。キック勢では日本から出場の品川朝陽も失敗、ルイ・ボテーリョと契約体重戦に臨む。

岡見勇信と対戦するオンラ・ンサンは再計量でパス、両者の試合はミドル級マッチとして無事実施されることとなった……計量結果を経て、試合が行われることに関して「無事」という表現を使うことが異常事態だが、既にイベントがスタートしているONE FC04でもウェルター級王者キャムラン・アバソフが計量失敗→王座剥奪。バンタム級で戦うはずだったビビアーノ・フェルナンデス✖スティーブン・ローマン戦は両者とも大量オーバーで153.25ポンド契約とフェザー級に近い体重で行われる。


平田の計量失敗はこれで4度目、これまでは金銭的ペナルティを受けキャッチ戦を戦ってきたが、今回はハム・ソヒがこれを拒否。ハム・ソヒはSNSで「これまで初回でクリアできていなかったことを恥じ、今回は絶対にクリアしようと努力をしてきた。平田はペナルティを支払えば試合ができるという態度で、これまでの計量オーバーに反省する様子もなかった」と試合を拒否した理由を記している。

前回のキャッチ戦勝利後──興奮に任せて『ジャンクフードが食べたい』という発言が中継されており、平田に対してバッシングが起こっても致し方ない。

何より生理を伴う女子であっても、これだけ計量失敗が繰り返されればONEアトム級が適正階級でないと判断されても致し方ない。そもそも彼女自身がこのままMMAを続けていくうえで、戦いと減量のバランスの比重が後者に寄り過ぎる恐れもある。MMAは身を削るスポーツだが、精神を削る段階に至っては見直しが必要となるはずだ。

と同時にONEの計量方法も、このままで良いのかという声も挙がるだろう。ONEでは2015年12月にヤン・ジェンビンが減量中に脱水症状に陥り死亡したことをきっかけに、階級を北米ユニファイドよりも実質1階級重い体重リミットとし、水抜き減量を禁じた。ハイドレーション検査も用いるようになった新計量方法は選手を守るべき採られた手段だ。

実施当初は体重リミットから+〇パーセントという数値を試合前の特定の時期に報告させ、計量も大会2日前と1日前の2度に加え、パスできなかった選手は当日にもチェックされるという三段階で実施されていた。それが時を経て、コロナ期の人との接触を減らすという事情もあって簡素化、現在は試合前日の1度と再計量という形に落ち着いている。

それ以前に数値の報告は必要なくなっており──結果、ルールの抜け道はどの規定&法に存在するように、選手たちは水抜きを行い計量をパスするようになっている。北米体重よりも1階級重いことで、リミットの1キロや2キロ余計に体重を落とし、その分水分を摂ることでハイドレーションの数値を下げるというのが常套手段だが、選手は水抜きOKの減量と同様に神経を使い、通常体重で戦うという理想は崩れている。

結果的にハイドレーションと体重のバランスを取ることに苦慮し、計量失敗のケースが増えてきた。そして今回の2大会のようにタイトルマッチで連続し、PPVに欠かせないカードが消滅する。ハイドレーション検査、水抜き減量の禁止は選手の安全を確保するうえで絶対的に正しい判断だ。それゆえに実施方法の再度の見直しが必要な時期を迎えたといえる。

■放送予定
11月19日(土・日本時間)
午前10時00分~ ABEMA格闘チャンネル

■ONE Fight Night04対戦カード

<ONE世界ウェルター級(※83.9キロ)選手権試合/5分5R>
キャムラン・アバソフ(キルギス)
クリスチャン・リー(米国)

<ONE Super Seriesムエタイ世界フライ級選手権試合/3分5R>
[王者]ロッタン・シットムアンノン(タイ)
[挑戦者] ジョセフ・ラシリ(イタリア)

<153.25ポンド契約/5分3R>
ビビアーノ・フェルナンデス(ブラジル)
スティーブン・ローマン(フィリピン)

<ムエタイ・ウェルター級/3分3R>
コズモ・アレッシャンドリ(ブラジル)
フアン・セルバンテス(英国)

<バンタム級 (※65.8キロ)/5分3R>
ケビン・ベリンゴン(フィリピン)
キム・ジェウン(韓国)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
ジョナサン・ハガティー(英国)
ウラジミール・クズミン(ロシア)

<ウェルター級(※83.9キロ)/5分3R>
ラスラン・エミルベク(キルギス)
イシ・フィティケフ(豪州)

<グラップリング女子アトム級(※52.2キロ)/12分1R>
ダニエラ・ケリー(米国)
マリア・モルチャノワ(ロシア)

<ムエタイ・ライト級/3分3R>
リアム・ノーラン(英国)
エディ・アバソロ(米国)

■放送予定
11月19日(土・日本時間)
午後7時00分~ PPV ABEMA格闘チャンネル

■ONE163対戦カード

<ONEキックボクシング世界バンタム級選手権試合/3分5R>
[王者] 秋元皓貴(日本)
[挑戦者] ペッタノン・ペットフォーガス(タイ)

<キックボクシング・ヘビー級ワールドGP決勝/3分3R>
ロマン・クリキア(ウクライナ)
イラジ・アジズプール(イラン)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
青木真也(日本)
ザイード・イザガクマエフ(ロシア)

<ミドル級(※93.0キロ)/5分3R>
オンラ・ンサン(ミャンマー)
岡見勇信(日本)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
クォン・ウォンイル(韓国)
マーク・アベラルド(ニュージーランド)

<139ポンド契約/5分3R>
若松佑弥(日本)
ウ・ソンフン(韓国)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
アブラォン・アモリン(ブラジル)
アフメド・ウジタバ(パキスタン)

<126ポンド契約/3分3R>
ルイ・ポテーリョ(ポルトガル)
朝陽PKセンチャイムエタイジム(日本)

<キック・ヘビー級/3分3R>
ブルーノ・シャベス(ブラジル)
アフメド・クリッチ(ボスニアヘルツェゴビナ)

<サブミッショングラップリング女子ストロー級(※56.7キロ)/12分1R>
ミレーナ・カオリ(日本)
ビアンカ・バシリオ(ブラジル)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
キム・ジェウン(ウクライナ)
キリル・ゴロベッツ(ウクライナ)

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ABEMA MMA MMAPLANET o ONE ONE163 アブラォン・アモリン ウ・ソンフン オンラ・ンサン キック キム・ジェウン キャムラン・アバソフ キリル・ゴロベッツ クォン・ウォンイル クリスチャン・リー ケビン・ベリンゴン ザイード・イザガクマエフ スティーブン・ローマン ダニエラ・ケリー チャンネル ハム・ソヒ ビビアーノ・フェルナンデス ボクシング ラスラン・エミルベク ロッタン・シットムアンノン 岡見勇信 平田樹 根津優太 若松佑弥 長谷川賢 青木真也

【ONE163】オンラ・ンサン戦前の岡見勇信─02─「集大成です。でも、これが最後なんて思っていない」

【写真】もう何も聞くことも、言うことも、書くこともない。明日、見せてもらいます (C)MMAPLANET

19日(土・現地時間)にシンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE163「AKIMOTO VS PETCHTANONG」で、オンラ・ンサンと戦う岡見勇信インタビュー後編。

3年以上のブランクを経て、キャリア21年目の新境地。岡見勇信が集大成となる、『今』を戦う。

<岡見勇信インタビューPart.01はコチラから>


──ヘクター・ロンバート、ティム・ボーシュ戦などを引き合いに出すのは違うかもしれないですが、勝とうが負けようが気迫が凄まじかったと正直思います。

「ハイ……もちろん、あの頃の感覚を忘れていないつもりです。持ち続けています。そういう良さもあった。ただ、何かに追い詰められていた……。試合中も普段も常に、何かに追い詰められていました。自分ならもっとできるはずだって、誰もが想うことだと思いますけど。今回のファイトキャンプは、楽しむという気持ちがないと潰れていました。

もう、これ以上やっていけないって。アタイジ戦がコロナで流れて、あの時も追い詰めて、追い詰めてやっていました。メンタル的には全然良くなかったです。試合がなくなったことをある意味、ポジティブに捉えるようになり、今回の試合は格闘技を始めた頃の気持ちを思い出して、楽しく厳しくやっていこうと」

──ここまで、そうできましたか。

「キツいことをやって心が折れそうになることもあるけど、日々、楽しめていると思います。きっと回りは楽しんでいるとは思っていないはずです(笑)」

──アハハハハ。

「その気持ちを忘れずに、追い込まないというか思い詰めないでやってきました。だから、アタイジ戦のキャンプではEXFIGHTに人を呼んで、ケージのなかでずっとやっていました。でも、そういうのは違う。僕はずっとGENでやってきた。だから今回は、GENで一緒にやってきた仲間たちに囲まれて格闘技を必死にやろうと。そういうところも今回は変えました」

──その気持ちはオンラ戦で生きる?

「生きるというか、これは勝つためにやっているので。勝つためにそういう気持ちでやろうと。だから今回、これを選んだ僕の判断は生きると思います」

──オンラは生き物として、根本が強い。そんな気がします。そんな彼に対して、どう戦おうと思っていますか。

「う~ん、必死に戦うしかないですね。オンラは頑丈ですから。ハセ(長谷川賢)に聞いてもそうだし。きっと自分がKOされるなんて思っていない。パンチを打たれても、そういう感じだと思います。どんどん前に出てきて、打ってきますから。とにかく必死に戦うしかない。必死に戦って、動いて動いて。ぶつけてぶつけて。どっちが倒れるのか。どっちが力を使い果たすのか。そういう苦しい戦いになると思います。そういう戦いをしないと無理だと思います」

──打ち損じまで気にしないといけない。そんなパンチの持つ主を相手には、やはり組み勝負。つまり組むための打撃が大切になる。結果、岡見選手がMMAファイター人生をかけてやってきたことが、この試合で大切になってくるのかと。そこで強い気持ちで居続けることができるのか。

「うん、そうですね。体全体で来る攻撃、全てに対して警戒しないといけないですし。被弾すればダメージは確実です。オンラのやりたいことは分かっている。向うも僕のやりたいことは分かっている。もちろん、組んで削らないといけない。お互いに分かっているから、潰し合いになる。潰れた方が負ける。まぁ、やりますよ」

──ここから先を見ることはありますか。

「先は見ていないです。ただし、この試合で終わろうなんて思っていないです。オンラで終わろうと思うようだと、この試合はできない。でも、やってみないと先は見えないです。もう41歳です。間違いなく時間は進んでいる。それでもこの3年間、体力と気力は待ってくれた。デキる。勝てる。そう思うから、オンラ・ンサンと戦える。これで終わろうと思っていたら戦えないです。そして、先も見ていないです」

──集大成という言葉が独り歩きしてしまいそうで。あれはコメントを纏めているということですか。

「そうですね(笑)。その方が分かりやすいので。でも本当に集大成ではあると思います。岡見勇信、そのもの。そういう試合になると思います」

──集大成、つまり『今』が出る?

「ハイ。そうなると思います。それが自分にとっての集大成だと思ってくれれば良いと思います」

──根津優太選手が引退しました。

「ねぇ、同い年の慧舟會出身。想うところはあります。今言えることは、お疲れさまです。久しぶりの試合で……本当に勇気が必要だったはず。絶対にやらないといけないという状況でないのに試合に出て……本当にお疲れさんっていう気持ちです」

──根津選手は練習できる環境でなくなっていた。岡見選手は違います。

「根津に関しては、そりゃあ僕は一番良い時を知っているから……。でも、誰もが通る道です。だから自分と根津を比べるとか、そういう意識はなかったです。これは仕方ないこと。人それぞれの時間があることなので。

僕はこの3年間、嘘偽りなく練習はやってきた。若い子が出てきて新しい刺激を貰い、同世代のファイターたちが試合をしているのをセコンドとして見ることができて……戦わないと、戦わっているヤツは凄い。自分も戦わないといけないって思うことができたので」

──正直、現役ファイターとしてではない部分で、神経が擦り減ることがあった数カ月だったと思います。

「たくさんの人々が動いていたプロジェクトなので、申し訳ない気持ちです。ただし、試合とは関係ないです。彼らは彼らで頑張るだろうし、僕は僕で頑張ります。でも今もEXIFIGHTには真っ直ぐな若い子たちが練習しています。MMAでトップに立ちたいという気持ちを持っています。僕と髙谷(裕之)さんが力を合わせて、彼らを育てていきたいと思います」

──若いエキスを吸い取って、エネルギーにできますか(笑)。

「若すぎて、毒になります(笑)。26歳は越えてもらわないと」

──アハハハ。最後に失礼の念押しで。今回の試合、岡見勇信を見せてください。

「どんな風になっちゃうのか不安でもあるけど、楽しみでもあります。正直、オンラ・ンサンと戦えると思っていなかったので。それが色々な縁があって実現する。自分がどんな風になるのか、想像できないけど。自分を信じられるだけのことをやってきたので、やります」

■放送予定
11月19日(土・日本時間)
午後7時00分~ PPV ABEMA格闘チャンネル

■ONE163対戦カード

<ONEキックボクシング世界バンタム級選手権試合/3分5R>
[王者] 秋元皓貴(日本)
[挑戦者] ペッタノン・ペットフォーガス(タイ)

<キックボクシング・ヘビー級ワールドGP決勝/3分3R>
ロマン・クリキア(ウクライナ)
イラジ・アジズプール(イラン)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
青木真也(日本)
ザイード・イザガクマエフ(ロシア)

<ミドル級(※93.0キロ)/5分3R>
オンラ・ンサン(ミャンマー)
岡見勇信(日本)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
ハム・ソヒ(韓国)
平田樹(日本)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
クォン・ウォンイル(韓国)
マーク・アベラルド(ニュージーランド)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
若松佑弥(日本)
ウ・ソンフン(韓国)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
アブラォン・アモリン(ブラジル)
アフメド・ウジタバ(パキスタン)

<ムエタイ・ストロー級/3分3R>
ルイ・ポテーリョ(ポルトガル)
朝陽PKセンチャイムエタイジム(日本)

<キック・ヘビー級/3分3R>
ブルーノ・シャベス(ブラジル)
アフメド・クリッチ(ボスニアヘルツェゴビナ)

<サブミッショングラップリング女子ストロー級(※56.7キロ)/12分1R>
ミレーナ・カオリ(日本)
ビアンカ・バシリオ(ブラジル)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
キム・ジェウン(ウクライナ)
キリル・ゴロベッツ(ウクライナ)

■放送予定
11月19日(土・日本時間)
午前10時00分~ ABEMA格闘チャンネル

■ONE Fight Night04対戦カード

<ONE世界ウェルター級(※83.9キロ)選手権試合/5分5R>
[王者] キャムラン・アバソフ(キルギス)
[挑戦者]クリスチャン・リー(米国)

<ONE Super Seriesムエタイ世界フライ級選手権試合/3分5R>
[王者]ロッタン・シットムアンノン(タイ)
[挑戦者] ジョセフ・ラシリ(イタリア)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
ビビアーノ・フェルナンデス(ブラジル)
スティーブン・ローマン(フィリピン)

<ムエタイ・ウェルター級/3分3R>
コズモ・アレッシャンドリ(ブラジル)
フアン・セルバンテス(英国)

<バンタム級 (※65.8キロ)/5分3R>
ケビン・ベリンゴン(フィリピン)
キム・ジェウン(韓国)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
ジョナサン・ハガティー(英国)
ウラジミール・クズミン(ロシア)

<ウェルター級(※83.9キロ)/5分3R>
ラスラン・エミルベク(キルギス)
イシ・フィティケフ(豪州)

<グラップリング女子アトム級(※52.2キロ)/12分1R>
ダニエラ・ケリー(米国)
マリア・モルチャノワ(ロシア)

<ムエタイ・ライト級/3分3R>
リアム・ノーラン(英国)
エディ・アバソロ(米国)

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【ONE163】青木真也と対戦=イザガクマエフ─02─「殴って試合を終らせるよ。彼の柔術は役立たない」

【写真】決戦はいよいよ明日 (C)MMAPLANET

明日19日(土・現地時間)にシンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE163「AKIMOTO VS PETCHTANONG」で、青木真也と対戦するザイード・イザガクマエフ・インタビュー後編。

世界を席巻するカビブ・ヌルマゴメドフ軍団の実力者はUFC行きを逃した一戦で何を学び、青木戦をどのように捉えているのか。話を訊くほどに、ヌルマゴ軍団とは今は亡きアブドゥルマナップの教え子という誇りを持って戦う集団であることが伝わってきた。

<ザイード・イザガクマエフ・インタビューPart.01はコチラから>


──ダゲスタンは次から次へと強豪ファイターが生まれていますが、ザイードを初めて注目したのは旧Eagle F=Gorilla FCの暫定ウェルター級王者になり、ダナ・ホワイトが観戦したUAEWとEagle FCの合同イベントに出場した時でした。UFCとの契約が目の前にあったファイトでカールストン・ハリスに敗れ、ハリスがオクタゴンへステップアップを果たしました。その後、ザイードはEagle FCで2勝しONEとの契約をしました。

「UAEでの試合を落としたのは……初回は取っていたけど、2Rに拳を負傷してしまったからだ。ケガをしたけど、そのまま戦ってアナコンダチョークを極められてしまった。試合映像を何度も見て、どこにミスがあったのかを確認した。結果、一番の敗因は自信過剰だったことだ。あの試合から俺は変わった、絶対に相手を軽視することなく、集中して戦うようになった。

そしてONEと契約して、最初の試合はランク3位のジェイムス・ナカシマを相手に、見た目も良い勝利を収めることができた。あの試合でも、律し方などさらに厳しく自分を見るめることができるようになった」

──9月にジャン・リーポンを破った際、青木選手を対戦相手に指名しました。

「シンヤはレジェンドだ。子供の頃から彼の試合をずっと見てきた。もうすぐ40歳になることも分かっている。時間の無駄使いになるような試合はしたくないから、シンヤ・アオキと戦いたいとアピールした。彼に勝つと、俺はさらにステップアップできるからね」

──チャトリなどもONEで一・二を争うグラップラー対決だと言っていました。青木選手は極めの強さはが知れ渡っていますが、今やケージレスリングも彼のスタイルを構成する上で欠かせないコアとなっています。その辺り、ザイードはどのように思っていますか。

「彼のスキルは疑いようがない。特にレスリング、テイクダウンに関しては。でも、その点においては僕の方がずっと上回っている。それを試合当日に証明するよ」

──そうなると、青木選手は下からの仕掛けも高度な技術を持っています。彼の柔術についてはどのような印象を持っていますか。

「俺がテイクダウンを奪えば、彼にとっては最悪のポジションにいることになる。殴って試合を終らせるよ。そうなると彼の柔術は何も役立たない。それに彼は打撃戦が苦手なことは誰もが知っている。そして、40歳のファイターがそこをどう変わる手立てがあるのかって話だよ。だから、シンヤはテイクダウンを狙ってくる。距離がバッチリをハマれば、彼の想い通りになる可能性もある。ただし、そうならなければどうなるのか。そこは試合でハッキリさせるから、しっかりと見て欲しい」

──日本のファンにショックを与える自信は? 

「アハハハハ。勿論、日本の人たちは日本人選手を応援するだろう。だけど19日の夜は皆を驚かせることになる。僕の拳は、皆にショックを与えることになるだろうね」

──今、カビブ・ヌルマゴメドフ軍団にはUFC世界ライト級王者イスラム・マカチェフがいて、18日の夜にはウスマン・ヌルマゴメドフがBellator世界ライト級王座に挑戦します。そしてザイードはONEで戦っている。イーグル軍団が世界のメジャー・ライト級王座を独占する自信はどれだけありますか。

「う~ん、もちろんONEライト級王座が目標で、ベルトを巻くために戦っている。でも次の試合を10日後に控えた今、そういうことはあまり考えていない。シンヤ・アオキとの試合に向けてポジティブな気持ちで居続けたい。ただし、この試合で勝てば次はチャンピオンを指名する。そして、タイトルに挑戦してライト級のベルトを巻く。

ONEの関係者、ファン、そしてファイターたちに言いたいのは、この団体のライト級のチャンピオンになるのは、伝説的な指導者アブドゥルマナップ・ヌルマゴメドフの教え子だということだ」

──では最後に日本のMMAファンに一言お願いします。

「可能であれば、僕の勝利を見てもハッピーな気持ちでいてほしい」

■放送予定
11月19日(土・日本時間)
午後7時00分~ PPV ABEMA格闘チャンネル

■ONE163対戦カード

<ONEキックボクシング世界バンタム級選手権試合/3分5R>
[王者] 秋元皓貴(日本)
[挑戦者] ペッタノン・ペットフォーガス(タイ)

<キックボクシング・ヘビー級ワールドGP決勝/3分3R>
ロマン・クリキア(ウクライナ)
イラジ・アジズプール(イラン)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
青木真也(日本)
ザイード・イザガクマエフ(ロシア)

<ミドル級(※93.0キロ)/5分3R>
オンラ・ンサン(ミャンマー)
岡見勇信(日本)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
ハム・ソヒ(韓国)
平田樹(日本)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
クォン・ウォンイル(韓国)
マーク・アベラルド(ニュージーランド)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
若松佑弥(日本)
ウ・ソンフン(韓国)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
アブラォン・アモリン(ブラジル)
アフメド・ウジタバ(パキスタン)

<ムエタイ・ストロー級/3分3R>
ルイ・ポテーリョ(ポルトガル)
朝陽PKセンチャイムエタイジム(日本)

<キック・ヘビー級/3分3R>
ブルーノ・シャベス(ブラジル)
アフメド・クリッチ(ボスニアヘルツェゴビナ)

<サブミッショングラップリング女子ストロー級(※56.7キロ)/12分1R>
ミレーナ・カオリ(日本)
ビアンカ・バシリオ(ブラジル)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
キム・ジェウン(ウクライナ)
キリル・ゴロベッツ(ウクライナ)


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■放送予定
11月19日(土・日本時間)
午前10時00分~ ABEMA格闘チャンネル

■ONE Fight Night04対戦カード

<ONE世界ウェルター級(※83.9キロ)選手権試合/5分5R>
[王者] キャムラン・アバソフ(キルギス)
[挑戦者]クリスチャン・リー(米国)

<ONE Super Seriesムエタイ世界フライ級選手権試合/3分5R>
[王者]ロッタン・シットムアンノン(タイ)
[挑戦者] ジョセフ・ラシリ(イタリア)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
ビビアーノ・フェルナンデス(ブラジル)
スティーブン・ローマン(フィリピン)

<ムエタイ・ウェルター級/3分3R>
コズモ・アレッシャンドリ(ブラジル)
フアン・セルバンテス(英国)

<バンタム級 (※65.8キロ)/5分3R>
ケビン・ベリンゴン(フィリピン)
キム・ジェウン(韓国)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
ジョナサン・ハガティー(英国)
ウラジミール・クズミン(ロシア)

<ウェルター級(※83.9キロ)/5分3R>
ラスラン・エミルベク(キルギス)
イシ・フィティケフ(豪州)

<グラップリング女子アトム級(※52.2キロ)/12分1R>
ダニエラ・ケリー(米国)
マリア・モルチャノワ(ロシア)

<ムエタイ・ライト級/3分3R>
リアム・ノーラン(英国)
エディ・アバソロ(米国)

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