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【Black Combat12】開始40秒で大ピンチも、ギロチンで大逆転。大原樹理がBlack Combatライト級王者に

【写真】リベンジとか借りを返すという言葉が陳腐に感じられる大逆転一本勝ちだった(C)LEE GYO DOK

<Black Combatライト級選手権試合/5分3R>
大原樹理(日本)
Def.2R4分17秒 by ギロチンチョーク
イ・ソンハ(韓国)

サウスポーに構えたイ・ソンハ。大原はジャブを見せ、イ・ソンハはワンツーで距離を詰めると組んで一気にテイクダウンを決める。背中を預けた大原は、殴られ亀に足を入れられると一気にボディトライアングルを取られる。仰向けで背中を伸ばされた大原は、RNCをセットされ危ない展開に持ち込まれる。それでも2度窮地を脱した大原は、胸を合わせにいくとイ・ソンハが足のフックを一度外す。しかし起き上ることができず即、同じ状態に持ち込まれる。

暴れる大原を後方から殴るイ・ソンハが、腰をあげた大原の前転にもついていきバックグラブを続ける。イ・ソンハが右足を抜き、バックコントロールに戻る。大原の動きに合わせてバックを続けようとしたイ・ソンハは、嫌がって背中をマットにつけた大原からパスを奪うとニーインベリー、さらに頭をステップオーバーする。ここで抑えがルーズになり、大原は立ち上がる。背中を取られたまま、もう一度崩された大原だが立ち上がって時間となった。

2R、右ハイの大原、イ・ソンハの最初の組みでボディロックテイクダウンを許しサイドで抑え込まれる。スクランブルもバックを許した大原は、バックスナップに体を翻しシングルレッグへ。キムラからバックに回ったイ・ソンハがここもボディロックで崩す。すぐに立ち上がった大原は、足のフックをここでは許さない。左右に回り、テイクダウンの機会を伺うイ・ソンハ。大原は胸を合わせるも、小外刈りでテイクダウンを取られる。

イ・ソンハはまたもサイドで抑え、反転した大原のバックを取る。腰をずらして足を入れさせず立ち上がった大原の蹴りが急所に。試合が一時中断する。再開後、大原は圧を高め、イ・ソンハがサークリングから左を当てる。構わず前に出て右ハイの大原は、右ヒザから右ストレート。イ・ソンハもパンチを打ち返す。打撃戦に持ち込んだ大原は、ヒザをシングルレッグに合わせる。

イ・ソンハはそのまま右足を取ってドライブするが、大原がニンジャチョークへ。頭を右ワキの下に入れていたために大原の腕が深く回っており、イ・ソンハは反転して自ら背中をマットにつける。それでも大原のRNグリップがしっかりとハマり、ネックロック気味に首がねじ曲がったイ・ソンハがタップ。大原は信じられないという表情を浮かべ、ケージによじ登ると勝利の雄叫びをあげ、セコンドと抱き合う。

ケージを下りて、アリーナ席からスタンドへ駆け上がり日本からの応援団と喜びと分かち合った大原は、ケージに戻りウイナーコール後ベルトをブラック代表から腰に巻かれた。

大原はイ・ソンハに腕を挙げられ、健闘を讃え合うと「ヘンボケヨ(幸せです)。強かった。厳しかった。でも諦めないで自分がやってきたことやれば絶対に勝てると思って、一生懸命練習してきました。だから今回、こうやって勝てたのも一生懸命練習したからだと思っています。僕は試合がしたいし、できる限り防衛をしたいと思います。すぐにとは言えないけど、いっぱい防衛したい。もっとBlack Combatのファンになってもらいたい。全員蹴散らしてやります。ちょっと休みますけど。7月に僕のおばあちゃんが亡くなって、ベルトを獲るから見ていてくれと約束したので、きっとおばあちゃんも天国から見てくれていると思います。いつもはいの一番に奥さんに勝利を報告しているのですが、今回ばかりは一番におばあちゃんに伝えたかったです。ピエロのファンもいたし、僕のファンもいました。もっともっとファンを増やせるよう頑張るので。あと、ブラック代表、日本から10人、応援団がきているのでピエロのインタビューの後、記念撮影を撮らせてください。カムサハムニダ」とマイクで話した。


<64キロ契約/5分3R>
キム・ジェウン(韓国)
Def.3R1分41秒 by TKO
パク・ソンジュン(韓国)

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【Black Combat12】リベンジ兼挑戦、大原樹理「どれだけボコボコになっても、ベルトを巻いてしまえば」

【写真】ここまえ積んできたことの自信が感じられた(C)MMAPLANET

28日(土・現地時間)に韓国はソウルのソンブク区にある高麗大学校(コリョ・テハッキョ)ファジョン体育館(チェユックァン)で開催される Black Combat12「The Return of the King」で大原樹理がBlack Combatライト級王者イ・ソンハに挑む。
Text by Manabu Takashima

昨年9月にDEEPで対戦し、自らの持つDEEPライト級のベルトをイ・スンハに奪われた。以来、あれだけDEEP愛に満ちた大原は日本で戦うことなく、Black Combatで戦い続けている。「DEEPERであり、Black Combater」という大原にこの試合に賭ける意気込みと、独特の興行論を展開するBlack Combatでの戦い方を尋ねた。


──いよいよBlack Combatライト級王者イ・ソンハへの挑戦が近づいてきました。同時に以前は毎大会のように感じられた大原選手のDEEP出場が、ついには1年間途絶えました。そこまでイ・ソンハへのリベンジに執念を燃やしてきたということでしょうか。

「前々から言っていますが、僕はDEEPのベルトを持っていかれたじゃないですか。ならDEEPのベルトをもう1回巻くんじゃなくて、向うが持っているBlack Combatのベルトを奪うことがやり返すということだと思うんで。向うのベルトを獲る、それがリベンジですよね」

──この間、DEEPからもオファーもあったかと思うのですが……。

「社長からはDEEPで戦っても構わないけど、韓国で人気がでているのでそれを捨てるのは勿体ないと、快く送り出してもらっています」

──プロとして条件面でも、評価されていると聞きます。

「それはDEEPでチャンピオンからBlack Combatで戦うようになって、DEEPでやってきたことや戦績をしっかりと評価してもらっているからです。なにより韓国のファンが熱い応援をしてくれ、なぜか人気があるんですよね(笑)」

──1月大会を取材させてもらったのですが、全くアウェイではなかったですね。

「僕もビックリしました。YouTubeとかのコメントで、過酷な環境でチャンピオンになったから応援したいという感じなのは読みました。KIBAマーシャルアーツクラブは小さいジムだし、そこで会長と二人三脚でやってきたことがマンガの主人公みたいだって」

──あぁ、逆境を跳ね返して恵まれた環境の相手に勝ってきたと。まさに韓ドラの世界ですね(笑)。

「そういうのが受けるみたいですね。僕もこないだの会見の時に少し韓国語で挨拶をすると、凄い拍手でした。韓国語が聞き取れるようになりたいですね。ファンの人が一生懸命に僕のことを良く言ってくれているみたいだけど、正確には分からないので。そこが分かるともっと楽しいでしょうね。片言でお礼を言うだけで、凄く喜んでくれますしね」

──MMAの会場、特に若いファンが多いBlack Combatの会場ではサッカーや野球で見られた歴史問題からのヘイトのような空気は一切ないですね。

「全くないですね。最初の対抗戦も、アウェイで凄い感じなんだろうなって思っていたのですが、その辺の自分の考えは全く変わりました。最初は飛行機に乗ったりするのは日本で戦うのとは違う感覚でしたが、もう慣れましたね。もともと日本での試合もそうですが、ほぼ減量もないので。それでも何があるか分からないので、早めに落とすようにはしていますが、そこだけで。試合の時に何か違うというのはないですね。一番きついのは寒さで。今回は温かいし、凄く過ごしやすいです」

──ところでBlack Combatって、試合後の寸劇がメチャクチャ長いじゃないですか。次に試合が控えている時とか、分からない言葉でやり取りが続くとウォーミングアップが難しくないでしょうか。

「あれ、最初は長ぇって思っていました。結局どれだけ短い時間で試合が終わっても、1試合で30分から50分掛ります。判定までいくと1時間。勝った選手のインタビュー、負けた選手のインタビュー、そこからお客も呼び入れて……あとブラックさんも出てくる。1試合で約1時間と思っていると、ほぼほぼ間違いないです」

──1試合で1時間……。それはキツイですね。

「早く試合をして、早く終わらせて帰りたいとは思います。でもタイムテーブル通りなんです。ほぼ、その通りで。だから体とか温めやすいです。そのスケジュールも貰えますし。逆に日本でやるときみたいに、これから動かそうかと思っていたら秒殺で終わって『やばい』っていうドタバタはないです。

良い見方をすれば、そういうことはない。だから時間と気持ちの持っていきかたはBlack Combatは楽といえば楽ですかね。早く終わることがないので。ただ長いですよね(笑)」

──押忍。そこまでハッキリとしているなら、割り切れますね。もう韓国での試合も問題ない大原選手ですが、試合内容としては日本で戦っている時と違い、根性勝負のねちっこい展開が増えてきて苦戦をしているのではないかという風にも感じます。

「ちょっとスタイルを変えたこともあるので、その辺りの違いが出ているのかと思います。プレッシャーをかけて戦うということではなくて、もっと上に行くにはということを考えて戦っているので。それで苦戦をしているように見えているのはあるかと思います。

上に行くためには、ただただ殴り合うだけじゃよくねぇなぁって。そうなると、まぁしんどい試合がしたいわけじゃないですけど、そこを覚悟の上で組み立て方から何から変えないといけないというのは思っています」

──それを聞くと4月のパク・ジョンホン戦は、手応えが感じられた試合だったのかと。

「そうですね。死ぬほど、きつかったですけどね(笑)。アレをやってみて、取りあえず4Rでも動けるという発見はありました。そのうえで、あの試合は……やっている最中はドローになるかとは思ったのですが、冷静になって動画を見直すと2Rと3Rは俺が取っとるやないかと」

──接戦は、もう延長にしましょうという空気が感じられます。

「結局、Black Combatの場合はその場の空気なので」

──アハハハ。

「レフェリーの半分以上が、延長が見たいと思えばそうなります。もう、ジャッジの裁定を聞いている時に分かります。あからさまに長い。そしてレフェリーたちが集まって、ワイワイガヤガヤやっている。アレを見ると、延長だなって」

──結果、よりドロドロの延長戦を制しました。

「しんどい試合をした方が勝ちますよね」

──そして掴んだタイトル挑戦兼リベンジマッチ。前回の試合はやはりサイズ差から組まれて、崩された。日本のライト級では、あの大きさの選手はいなかった。そこが大きく影響したのかと。

「体系的には小金(翔)選手ですかね。でも、あの大きさは初めてでした。誰が相手でも、僕の場合はテイクダウンを取らせないことが一番で、同じようにバックを取らせないこと。でも、相手の方が大きくてリーチもあるから、遠目からのアウトボクシングなんてできないですからね。

まぁ、入り込んでいくことになる。テイクダウンは取られないように戦い、取られても立ち上がる。これまでやってきたことを突き詰めた……やり込んだ形で戦います」

──イ・ソンハの形で組まれたくないです。

「ハイ。一発で良いところに入らせなければ、何とかできると思っています。もちろん打撃で殴って終わらせたいですけど、ここまでくると互いに我の押し付け合いなので。殴りにいくけど、良いところは取らせない。打撃を警戒しながらのテイクダウンだと、良いところを取らせない自信は絶対にあります。

まあ倒されたとしても、立てば良い。もちろん、バックは取らせないし。前回みたいに、簡単にやられることはないよ──と言いたいです。テイクダウンを仮に決められることがあったとしても」

──イ・ソンハへのリベンジが第一にあると、これまでの他の試合のための練習でも今言われたようなことが頭にありましたか。

「それを考えていると、目の前の相手に勝てなくなるので、しっかりと考えることはなかったです。ただ前回の相手は、体形も近くて同じタイプのグラップリングはやってくるので、ハンター(パク・ジョンホン)に勝つためにもピエロ(イ・ソンハ)戦のためにもという意識はありました。3割ほど、ピエロを意識していましたね。で、ハンターとの試合が終わってからはメチャクチャ、ピエロのことを考えてやってきました」

──一度、肌を合わせたことがアドバンテージになる?

「前回の試合は、ほぼほぼ自分の力を出せていないと思っています。もうメンタル面もボロボロで、それをいうと言い訳になってしまいますけどね。今回は失うモノもないですし、タイトルマッチを戦うとなるとプレッシャーや、背負うモノはチャンピオンの方が大きいです。そういう意味で、一度戦ったことも踏まえて僕の方がアドバンテージがあるなと思います」

──イ・ソンハがDEEP王座を失ったことに対して、何か想うことはありましたか。

「ぶっちゃけて、あの試合は『どっちも負けてしまえ』と思っていたので」

──アハハハハハ。

「ピエロがDEEPのベルトを持っていようがいまいが、僕がロックオンしているのはピエロが持っているBlack Combatのベルトなので。だから、まぁDEEP王座の行方は関係ないです」

──なるほどです。ここでタイトル奪取となると、その後はDEEP王座も取り戻したいという考えは?

「まずはBlack Combatの王座防衛ですよね。DEEPからオファーがあってタイミングがあえば戦いたいとは思いますけど」

──今やBlack Combatがホームのようですね。

「DEEPを背負ってBlack Combatで戦っているということは絶対にあります」

──では改めて土曜日の王座挑戦に向けて、一言お願いします。

「KO勝ちしたいという気持ちはあります。でも、何よりも勝ちたい。やり返したい。どれだけ泥臭くて、顔がどれだけボコボコになっても、ベルトを巻いてしまえば良い。勝ちは勝ちなので。僕は今も真のDEEPERだと思っています。DEEPERでありながら、Black Combaterでもある。それでも気持ちとしてはDEEPがやられ、その借りを返すためにDEEPを代表して戦っているので、今回は何としてもやり返します」

■視聴方法(予定)
9月28日(土・日本時間)
午後6時30分~メインカードBlack Combat YouTubeメンバーシップ
午後1時30分~アンダーカードBlack Combat YouTubeメンバーシップ

■ Black Combat12対戦カード

<Black Combatライト級選手権試合/5分3R>
[王者]イ・ソンハ(韓国)
[挑戦者] 大原樹理(日本)

<バンタム級/5分3R>
キム・ジェウン(韓国)
パク・ソンジュン(韓国)

<フェザー級/5分3R>
パン・ソンヒョク(韓国)
チョ・ギュジュン(韓国)

<バンタム級/5分3R>
キム・ドンギュ(韓国)
イム・ジョンミン(韓国)

<ライト級/5分3R>
パウ・オジン(韓国)
ナム・ウィチョル(韓国)

<ライト級/5分3R>
キム・ジョンギュン(韓国)
ジョン・ハングク(韓国)

<ウェルター級/5分3R>
キム・ユル(韓国)
ジン・テホ(韓国)

<フライ級/5分3R>
キム・ソンウン(韓国)
キム・ソンジェ(韓国)

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【Black Combat12】大原樹理の挑戦を受けるイ・ソンハ「うんざり。大原選手はDEEPに戻って欲しい」

【写真】涼しい顔で、まま攻撃的な発言がきかれたイ・ソンハ(C)MMAPLANET

29日(土・現地時間)に韓国はソウルのソンブク区にある高麗大学校(コリョ・テハッキョ)ファジョン体育館(チェユックァン)で開催される Black Combat12「The Return of the King」でBlack Combatライト級王者イ・ソンハが大原樹理の挑戦を受ける。
Text by Manabu Takashima

昨年9月に日本で戦っている両者。その時はイ・ソンハが2Rにスロエフ・ストレッチを極めて一本勝ちし、DEEPライト級王座を手にした。同王座は3月に江藤公洋に譲ったイ・ソンハが、今回はもう一つのベルトを賭けて大原と戦うことになった。

イ・ソンハは大原を返り討ちにする自信に満ち溢れ、インタビュー中も余裕の勝利宣言が訊かれた。


──土曜日に防衛戦が控えているイ・ソンハ選手です。調子はいかがですか。

「昨日までしっかりとハードトレーニングをし、今日は軽くミット打ちをした程度で、体重もしっかりと落とせています。過去最高のパフォーマンスを見せることができると思います」

──今回の試合に向けて、特別な練習をするようなことはありましたか。

「キャンプ期間を長くし、その分だけパワーをつけるためのコンディショニング・トレーニングに力を入れてきました。それとエポ柔術の黒帯柔術家ヤン・ジュヨン選手を始め、強い選手が集まっている場所で、バックを取ると逃げられないようにするための練習を強化してきました。厳しいメニューを課され、そこを乗り越えてきたので自信がついています」

──ライト級で185センチの長身を誇るイ・ソンハ選手がパワーをつけるということは、減量が厳しくなることはないでしょうか。

「筋肉をつけるわけでなく2カ所ほど負傷している箇所があったので、その周囲を強化してきた感じです。だから減量は問題ないです」

──そのケガは、前回の試合で江藤公洋選手に敗れDEEPライト級王座を奪われたことに関係していますか。

「そこは関係ないです。あの試合は実力で負けました。ただ1Rの1分過ぎに右手の拳、中指の拳頭部の筋が切れてしまって、そこは手術をしました。それがあってケージに押し込まれると防御できなかったことはありましたが、そこも含めて力不足でした。完敗です。

それでお江藤選手はONEでも戦っていた世界レベルの選手ですし、そんな選手と初回は互角に戦えたので自信がつきました。DEEPのベルトは失いましたが、あれから自信を手にすることができて練習も楽しくなりました」

──今回はBlack Combat王座の防衛戦ですが、大原選手はこの1年DEEPで戦わず、ずっと韓国で戦ってきました。それだけリベンジに執念を持っていることは明らかです。

「うんざりです(笑)。でも、今回の試合では前回の試合よりも圧倒的な勝ち方をするので、大原選手はもうDEEPに戻って欲しいです。アハハハハ。

正直、大原選手は自分と戦うまで彼より背の低い選手と戦うことが多かったと思います。その状況で自分が彼の倒し方を見せたので、他の選手も同じように戦いをするようになりました。韓国のライト級ファイターの身長は180センチある選手が多いですし、その結果としてBlack Combatでは苦戦を強いられていると思います」

──それでも気持ちは折れていない。大原選手の精神力をどのように感じていますか。

「正直、大原選手の勝利に対する執念は凄いと思います。ただMMAは気持ちだけでは勝てないです。大原選手は前回の自分の試合で色々と学べたはずですが、今回はもっと多くのことを教えてやろうと思います。そうですね、今回の試合では左足でなく右足を壊してあげます」

──絶対的な自信を持っていることが伝わってきます。では江藤選手から野村駿太選手に持ち主が変わったDEEPライト級王座に関しては、どのような想いでいますか。

「DEEPのベルトは気に入っていました。手放して淋しかったです。ただ江藤選手と比べると、スタイル的に野村選手は自分にとっては戦いやすい相手です。自分は打撃を無効化させる方法を心得ています。なので、野村選手には機会を見て挑戦したいです。それにはDEEPに認められる必要がありますが……」

──ところでRoad to UFCで日本は準決勝で全員が敗退。韓国人選手はユ・スヨン選手とチェ・ドンフン選手が決勝に残りましたが、中国勢は5人ものファイナリストを輩出しています。この中国の成長をどのように捉えていますか。

「7月にBlack Combatは中国のWLFと対抗戦を行いましたが、2人の中国人選手がドーピングテストで陽性になりました。自分も色々と噂を聞きますが、中国のUFC選手の強さはそこと関係していると思います。自分は上手くやっているだろうという疑い目で見ています。アンフェアです」

──なんとも力強い言葉でした。では最後に日本のファンに一言お願いします。

「DEEPとの対抗戦後、今も日本のファンからメッセージが届きます。自分はその日本の大舞台、RIZINで戦うことを目標としているので──今回の試合も皆さん、応援してください」

■Black Combat12視聴方法(予定)
9月28 日(日)
メインカード=午後6時30分~ Black CombatオフィシャルYoutubeチャンネル

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【DEEP121】野村駿太の挑戦を受ける──江藤公洋「自分が積み上げてきたものをしっかりと出す」

【写真】落ち着き払っている江藤(C)TAKUMI NAKAMURA

16日(月・祝)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP121 Impactにて、ライト級王者の江藤公洋が初防衛戦で野村駿太の挑戦を受ける。
Text by Takumi Nakamura

3月のDEEP118 Impactでイ・ソンハに一本勝ちし、キャリア初のタイトル=DEEPライト級のベルトを巻いた江藤。戦績的にもこれで6連勝となり、30代半ばにして最盛期を迎えているといっても過言ではない。

好調の理由は「自分がやるべきことを淡々とやる」こと。今回の防衛戦でもそのスタンスは変わらない。そして「格闘家としてやり残しをなくしたい」と強豪外国人選手との対戦実現に向けて、静かに闘志を燃やしている。


過去に勝っている相手と再戦ということで『またこの相手か…』という気持ちはどうしても出てきちゃいます

――3月にイ・ソンハ選手をRNCで下して、DEEPライト級王座に就いた江藤選手です。ベルトを巻いた時の心境から聞かせていただけますか。

「シンプルにずっと1番試合に出ているのがDEEPだったので、そこでベルトを獲れたことが嬉しかったというのと、海外に流出したベルトを取り戻すことでDEEPに恩返しできたことが良かったなと思います。また格闘技をやってきた中でベルトという1つの形を作ることができてよかったなという気持ちもありますね」

――江藤選手にとっては初のベルトだったのですよね。

「そうなんですよ。自分は一度DEEPを離れて、ONEの方に行ったので、その関係でベルトに絡めなかったというところがありました。それからONEの契約が終わって日本に戻ってきて、またDEEPで試合をやらせてもらったことで、ベルトに絡めたというのはうれしいです」

――日本でベルトを巻くならDEEPで、という想いはありましたか。

「そうですね。日本の大会でDEEP、修斗、パンクラスで言ったら、やっぱり自分はDEEPにずっと出ていたのでベルトを取るんだったらDEEPかなと思っていました」

――冒頭にもあったように海外に流出したベルトを取り戻すこともモチベーションになっていましたか。

「日本から韓国にベルトが流出したことによって、逆にこんな強い選手いるんだと思って、この選手とやれたら面白いだろうなというドキドキ感が強かったですね。日本でも負けが少ない大原樹理選手がああいう形で1本負けして、ソンハ選手はそれだけの力がある選手ですし、やっぱり自分には海外の強豪とやりたいという気持ちがあります。だから✖日本人ではなく、海外の強豪とやれるという状況が面白かったし、これでベルトを獲り返せたら、面白いだろうなと思っていました」

――タイトルマッチのチャンスは何度も巡ってくるものではないです。このチャンスで絶対にベルトを巻くんだという気持ちもありましたか。

「自分的は年齢的にも、ここでチャンスを逃したら、次にチャンスが来るまでどのぐらい時間がかかるか分からなかったですし、 ここで負けてベルトを獲れなくて終わりでもいいのかなくらいの気持ちはありました。その中でしっかり結果としてベルトを獲れたというのは、今までやってきたことがちゃんと実って成果として出たと思うので、そこは良かったのかなと思っています」

――ソンハ戦の勝利を含めて6連勝となりましたが。好調の要因はなんだと思いますか。

「昔は『いい試合をしよう』や『派手なことをしよう』じゃないですけど、変に気合いが入りすぎていたんですよね。それで試合中に迷ったり、うまくいかないなと思ったり。アップの段階で動きが悪いなと思ったら、疑心暗鬼になって普段通りの動きができないことがありました。今はそういうことは考えず、今までやってきたことを淡々とやる。

試合は日常の練習でやってきたことの切り取りなので、そこで負けたら日常の取り組みで何かが足りなかったということだし、たまたまドカン!と1発いいのをもらって倒されたら、それは運がなかったんだと思うようになりました。そうなってからは淡々と自分がやるべきことをやる──そこに意識を置いて迷いなく戦えていることに繋がってるのかなと思います」

――例えば過去の試合では試合直前に気持ちがぐらついたまま、試合していたこともあったのですか。

「ONEに出ていた頃がそうでしたね、試合でインパクトを残さなきゃいけないということに囚われすぎていて。でもそういう経験をしたからこそ、今はそうならないように心がけているところもあるし、もしかしたらまたそれが試合で出てしまう可能性もあるので、そうならないようにしっかり意識して、気を緩ませないようにしようと思っています」

――今はもうこれで負けたらしょうがないという、いい意味で開き直って試合が出来ていますか。

「そうですね。あとはやっぱりこの年齢になってくると、キャリアの執着点をどこにするのか?だと思うんですよ。20代前半から半ばの選手だったら無限大の可能性がありますが、今年36歳になる自分はそうじゃない。じゃあそのなかで自分の終着点はどこなんだろう?と思うことは多々あります」

――2020年にONEでの試合に区切りをつけて、2022年11月以降はDEEPを主戦場に戦ってきました。まずはDEEPでベルトを巻くことが目標だったのですか。

「最低限DEEPのベルトは獲ることは意識としてあって、あとは海外の強豪とやって、やり尽くして、自分の可能性を食いつぶしたいと思う部分もあります。だから前回ベルトを獲って、初防衛戦で過去に勝っている相手と再戦ということで『またこの相手か…』という気持ちはどうしても出てきちゃいますね。

ここで勝った後もそういう(海外勢と戦う)チャンスが巡ってこないんだったらどうしようという。僕自身、ダラダラ(現役を)続けても仕方ないという部分もあるので、 色々と考えてしまいます」

――江藤選手の年齢・キャリアを考えると、どこにモチベーションを置いて、そこに向けて自分のネジを巻くかが重要ですよね。

「僕も年齢とキャリアを重ねて、どうしてもそこを工夫しないといけなくなったなとは思います。前回の試合は、相手も実績を残していて、ベルトも2本持っているというところでモチベーションが上がったんですけど、今回の相手はそうじゃない。だから対戦相手に対してではなく、自分に目を向けて淡々とやってきたことをやることに意識を置く感じですね。これまでの試合もそれをやり続けて結果を出してきたので、今回もそれと同じように勝ちに行きたいと思います」

ちゃんと組みにも対応してくると思うし、その先の展開も全然あると思っています

――野村選手とは昨年7月に対戦して判定勝ちしていますが、どんな印象を持っていますか。

「対戦相手は伝統派空手出身で飛び込みの一発がある。打撃の出入りでやってくる選手というのは分かっていたんですけど、その通りの選手だったかなと思います。前回は1発をもらわないように気を付けながらやっていて、今回もそれと同じ感じになるのかなと予想しつつ、向こうが1発いいのを当てるか。それとも自分が組み伏せるのか。そういう試合になるのかなと思います」

――前回の試合も踏まえつつ、試合中に起きたことに対応していくイメージですか。

「前回は相手が組みに対応できていなかったですが、今回はちゃんと組みにも対応してくると思うし、その先の展開も全然あると思っています。僕も仮にテイクダウンを切られたとしても、そこで終わりじゃないし、僕は打撃の攻防もできるので。トータルで上回った方が勝つことになるでしょうね」

――江藤選手としては野村選手にしっかり勝って。希望する外国人選手との試合を実現させる状況を作っていきたいですよね。

「はい。ただそこまで理想通りにいくのかな………って感じですね。試合前ではあるんですけど、この試合に勝った先に何かあるのかなと思ったりもしますし。ただ勝ち続けないと先の未来も見えないし、という感じですね」

――今現在練習ではどんなことを意識して取り組んでいるのですか。

「そこはもう本当に淡々とやるべきことをやる、みたいな。それが1番で、シャドーだったり打ち込みだったり、基本的な動きを体に染み込ませる作業が多いですね。スパーリングをガンガンやるというよりは、スパーリンももちろんやるんですけど、シャドーや打ち込みで何回も練り込んで染み込ませた動きが自然とスパーリングでも出るようにする。そしてそれが試合でもしっかり出るようにする。そういった作業が多いのかなと思います。

技術的なものを新たに覚えないといけないのかなと言うと、そうでもなくなっていて。それよりも1個1個の技の精度を上げるとか、それが自然と出るようにするとか。そういった部分を意識しています。どうしても年齢的に知らない間に落ちているものや劣化するものもあるわけで、そこにいち早く気づいて修正することもやっていかなければいけないなと思っています」

――自分の衰えに目を向けているからこそ、年齢を重ねてもいいパフォーマンスを継続して、結果を出せているのかなと思いました。

「やっぱり昔と同じやり方をしていると、この年齢になれば絶対に何かしらの変化が起こるわけで、自分はそういうところにも敏感に反応して、そこをちゃんとカバーリングしていくことを意識しています」

――スパーリングよりも一つの前の段階、シャドーや打ち込みは重要ですか。

「一周回ってそこが1番大切なのかなと自分は思っています。動画を見たりして、新しい技術も覚えて使えるようにはするんですけど、それよりも基礎的なものを練り上げる。その結果として、新しい技術が付属品としてあるというイメージですね。

新しい技術を覚えて、変にそういう技を使おうとすると、自分が軸にしているものが崩れちゃうので、 自分の軸をしっかりと保ちながら、チャンスが来たら(新しい技を)仕掛ける──ぐらいの感じです」

格闘家としてやり残しをなくしたい

――練習としてはHEARTSが主になっているのですか。

「HEARTS中心で、安藤晃司さんのNEVER QUIT、中村K太郎さんのユナイテッドジム東京に出稽古に行っています。HEARTSでは先ほど話した基礎的な練習とフィジカル、あとは同門で同じ階級で天弥くんもちゃんと成長してきてるので、彼らとスパーリングしていますね」

――天弥選手を始め若い選手たちと練習することは刺激になりますか。

「そうですね、天弥くんは自分とは全然違うタイプで(笑)。僕が選手を続けている間にどれだけ何かを伝えられるのか、ちゃんと練習相手になってあげられるのかという部分もあるので、ちゃんと彼が今後自分の思い描く未来に行けるように協力してあげれたらなと思います」

――ジムでは江藤選手が一番上の世代になるのですか。

「今はそうなりますね。現役でコンスタントに試合をしているとなると、自分がHEARTS所属では古い方ですね」

――そういった部分で格闘技に対する取り組み方も変わってきましたか。

「それはあります。昔は自分が強くなることだけだったものが、今はHEARTSのプロも指導するようになって。下の選手もちゃんと勝って、 チーム自体が盛り上がればいいなと思いますし、チームとして下の選手たちを育てていきたいです」

――改めて次の野村戦ではどのような試合を見せたいですか。

「繰り返しになりますが、やっぱり自分が積み上げてきたものをしっかりと出すこと。そこになるのかなと思います。彼が自分とやったときよりも成長していて、自分の組みにある程度対応できるようになっていたら、僕としてもその先の展開も見せれると思うので、そういうところも含めて、楽しんでもらえればなと思います」

――初めて江藤選手を取材させていただきましたが、試合前でもすごく落ち着いているのが印象的でした。

「そうなんです。そんなにギラギラしていなくて、本当に淡々とやってきたことをやる、積み上げてきたことをやるという感じなので。ファイターらしくないと言えばファイターらしくないかもしれないです(笑)」

――これから江藤選手が望む試合を実現させる・キャリアを積むためにも勝利が絶対条件ですね。

「はい。これからも淡々とやり続けて結果を出して、あとは格闘家としてモチベーションの大きな部分をしっかりと作っていきたいです」

――海外の強豪と戦いたいという気持ちはずっと変わらないのですか。

「やっぱりこう…やるなら強い相手とやりたいじゃないですか。自分の技術が通用するのか、しないのか。そういう相手と戦う!!』と心の底から思えるし、周りも喜んでくれるじゃないですか。あとは自分の可能性を使い切りたい、格闘家としてやり残しをなくしたいと思っているので、そういう試合をやっていきたいです」

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45 AB CORO DEEP DEEP120 DEEP121 Gladiator MMA MMAPLANET o RIZIN Wardog YouTube イ・ソンハ キック 中務修良 五明宏人 修斗 元谷友貴 力也 南友之輔 多湖力翔 大成 杉山廣平 水野竜也 江藤公洋 泉武志 海外 渡部修斗 瀧澤謙太 相本宗輝 福田龍彌 谷岡祐樹 野村駿太 関原翔 雅駿介 鹿志村仁之介

【DEEP121】福田龍彌✖瀧澤謙太、江藤公洋✖野村駿太。2階級のタイトル戦と、粒ぞろいすぎる2回戦!!

【写真】RIZIN枠を考慮し、旬を逃さないカードが組まれているDEEPだ(C)MMAPLANET

23日(火)、DEEPより9月16日(月・祝)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP121 Impactの対戦カードが、タイトルマッチ2試合を含み、11試合が発表されている。
Text by Manabu Takashima

ベルトが懸かった試合は、バンタム級王座決定戦=福田龍彌×瀧澤謙太、そしてライト級チャンピオン江藤公洋に野村駿太が挑戦する2試合だ。


フライ級王者でもある福田は、5月に元谷友貴とバンタム王座決定戦に出場予定だったが、タイでの練習中に肩鎖関節脱臼で欠場となっていた。

対する瀧澤は14日の後楽園ホール大会でDEEP初出場を果たし、COROに判定勝ちを収めている。試合後のマイクでは「DEEPのベルトを獲ってRIZINにリベンジしにいく」と宣言していた。超RIZIN後、9月以降のRIZIN参戦を目指し、ベルトを切符代わりとしたい瀧澤だが、CORO戦はテイクダウンを警戒して慎重なファイトに終始していた。

福田はいわば、命のやり取りをする覚悟で日々の練習をし、ケージに上がっている。そんな福田を凌駕するには、同じ戦意を持ち福田のフィールドに足を踏み入れる必要がある。それができれば、瀧澤の天賦の才といえる当て勘が活きてくるはずだ。

対して、福田としてはやはり負傷の復調具合が気になるところ。筋や腱に傷が及んでいれば、完治までそれ相応の期間は必要となる。それでも福田の性分からして、五体満足になることを欲して、試合機会を減らす選択はしないはず。つまりは完治しなくとも、瀧澤と斬り合い──セッションを求めるのであれば、このタイトル戦は福田にとってリスクが高いファイトとなる。

ライト級戦タイトル挑戦者の野村はDEEP120で泉武志から逆転TKO勝ちを収め、江藤へのリベンジと挑戦をアピールしていた。昨年7月に江藤のテイクダウン&コントロールに屈した野村は、泉のテイクダウン&コントロールを跳ね返したことで、自信を確信に変えてベルト獲りに挑む。

チャンピオン江藤は3月にイ・ソンハをRNCで下して以来、半年ぶりの実戦となる。RIZIN、海外再進出を模索する江藤はとにかく強さを見せての防衛が必要となってくる。

そんな江藤への挑戦に向け、泉を下した直後の取材で野村は以下のように話していた。

「来てくれる方が、ぶっ飛ばせます」(野村駿太)

──2日前のGladiator Challenger Seriesに出場したジムの後輩、南友之輔選手が右ストレートから左フックで強烈なKO勝ちを収めました。あのKOを見て、先輩としてやらないといけないという気持ちになったのでは?

「バリバリなっていました。『コイツ、やってくれるなぁ』みたいな(笑)。『野村さん、繋ぎました』とか言ってくれて。試合の流れも逆転勝ちで、変なところまで同じでしたね。友之輔がBRAVEに加わってくれたところで、自分がやって行くべきことのなかで、空手の良さも再発見することができました。

友之輔がやろうとしていることも、僕のなかで刺激になっています。木村(柊也)や南を見て、自分も『コイツらに負けていらない』という風になりますし。あの2人が、自分を手本にしたくなるような選手に、自分はなっていかないといけないです」

──泉選手を返り討ちしたことで、江藤選手への挑戦権を手にしたかと思います。同じテイクダウン&コントロールにしても、江藤選手のソレはより柔軟に包み込んでくるようなイメージがあります。

「そこは1度、触れているので。自分のなかで江藤選手と戦うなら、どうすべきが分かっている部分はあります。今日みたいにやられないように戦ってしまうと、また去年と同じになってしまうので、自分から仕掛けていっても良いと思っています。そこをタイトル戦で見て欲しいです」

──一発、右アッパーを被弾して下がらされました。

「攻め気でいた時に、自分の流れに持ちこみ過ぎようとして……余りない形のアッパーを貰いました。打撃が上手な人と練習をしていると、あのパンチはなくて。でも、喧嘩のような動きのパンチを貰ったのは反省材料です。変に自分のなかで貰わないという自信があって、それが慢心になってしまっていたかと思います」

──以前よりも、そして泉選手と比較しても、江藤選手は貰っても怯まないようになってきたようにも感じます。

「そっちの方が戦いやすいです。気持ちを強く持ってくれているほうが、向かい合ってくれるでしょうし。ビビッて距離を取られる方が面倒くさくなるので。変に自信を持ってくれている方が、術中にハメやすいです。来てくれる方が、ぶっ飛ばせます」

──打撃でなく、テイクダウンでも出てくる方が戦いやすいですか。

「逆にソレしかしてこないと思っています。泉選手には失礼な言い方になってしまいますが、あのスタイルでさらに強化されているのが江藤選手です。なので、今日は攻め込まれる場面があって良かったです。今日の経験を生かして、煮詰めていけばさらに成長できると思っています」

なお今回の発表ではメガトン級の水野竜也×大成が3回戦で組まれることが明らかとなっている。また関原翔×杉山廣平のフライ級戦、涙の引退から約1年で復帰の渡部修斗もフライ級でKENATと知りなおしの一戦。五明宏人✖相本宗輝のフェザー級戦。バンタム級ではルーツは立ち技同士、ムエタイ=雅駿介×キック=谷岡祐樹、同じくバンタム級で力也×禊の鹿志村仁之介。WardogからRIZIN、GRALDIATOR、HEX FSを経てDEEPストロー級戦線に辿り着いた中務修良✖Blackcombatでの勝利で6連勝中の多湖力翔のマッチアップ──と、粒が揃い過ぎている2回戦6試合も決定している。

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45 AB Black Combat Black Combat Rise02 DEEP K-MMA MMA MMAPLANET o ROAD FC YouTube イ・ソンハ イ・ファンソン イ・ミンヒョク キック パク・ジョンホン ファン・ドユン ブラック 大原樹理 山本聖悟 江藤公洋

【Black Combat Rise02】大原樹理と対戦、クソ真面目?!パク・ジョンホン「おかしな言動はできないです」

【写真】Black Combatというよりも、「漢とは!!」的なK-MMAファイターにあって珍しいタイプだったパク・ジョンホン(C)MMAPLANET

20日(土)、韓国はオサン市のブラック・アゴラで開催されるBlack Combat Rise02で、大原樹理と対戦するパク・ジョンホン。
Text by Manabu Takashima

1月の大原の敗戦、Road FCのFight100ルール、イ・ソンハが失ったDEEPライト級王座と尋ねるたびに、パク・ジョンホンは丁寧な返答を続けた。イケイケドンドンという雰囲気のあるBlack Combatにあって、異質でもあるパク・ジョンホン──怖い相手かもしれない。


――今週末、大原選手と戦うパク・ジョンホン選手です(※取材は17日に行われた)。まず大原選手が1月にファン・ドユンに喫したTKO負け、ストップが早いと我々も思った次第です。ジョンホン選手はどのように捉えていますか。

「早いかなという気もしますが、一般的にはあの時点でストップがかかっても仕方ないと思います。ただし、大原選手はこれまでにもパンチだけでなく、サッカーボールキックを食らってからも立ち上がって逆転KO勝ちをしているので──少し気の毒なストップでした。もう少し、審判も様子を見て良かったかと思います」

──ともあれ前回負けた大原選手と戦うことに関しては、どのように思っていますか。

「それは大原選手が勝った方が……あのような負け方をしない方が、自分にとっても良かったです。特に大原選手はDEEPでタフな試合をしていただけに」

──大原選手の価値は落ちていないという理解なのでしょうか。

「そうですね、大原選手が勝っていた方が、気持ち的に張りが出たと思います。戦い甲斐がるというか。同時に大原選手は自分にとって、戦う価値のあるファイターです」

──そんなパク・ジョンホン選手ですが、MMAを始めたきっかけを教えてもらえますか。

「高校の時に3年間キックをやっていました。MMAは20歳の時からなので、12年間続けてきたことになります。最初は護身術のつもりで軽い気持ちで習い始めたのですが、いつのまにかずっと続けています」

──MMA歴12年で、7勝3敗。試合数が決して多くなかったのは、何か理由がるのでしょうか。

「それはMMA以外の試合をしてきたからです。キックで16試合、プロ以外のセミプロのMMAを11戦、コンバットサンボも3試合やっています。トータルで考えると40戦になるので、大原選手ほどではないにしても試合経験は少なくはないかと思っています」

──なるほど、です。このところBlack Combatで4試合を戦っていますが、注目団体で戦うことで何か気持ちの変化はありましたか。

「自分はずっと格闘技の指導をして食べてきたので、Black Combatが盛り上がっているからといって、そこではしゃぐようなことはないです。なのでBlack Combatで戦っていても、それ以前と同じようにやっています」

──決して派手ではなくても、ずっとMMA、格闘技を続けていたパク・ジョンホン選手だからこそお伺いしたいのですが、今、Road FCというK-MMA界の老舗でFight100ルールを併用していることをどのように思いますか。

「これまで格闘技に興味のなかった人達の注意を引き、MMAを知ってもらうためには良いことかもしれないですが、あくまでも自分たちがやってきたものはスポーツです。ああいう刺激的なモノだけを求められるようになるのは、あまり良くない面もあると思います。スポーツとして一線を越えないことをやってほしい。そういう想いです」

──押忍。今回の試合は180センチ超同士のライト級戦、これまでと違った対策をしてきましたか。

「当然、自分より背が低くリーチの短い選手との方が戦いやすいです。ただし、今回の試合に向けて特別な準備をしています。彼が戦い難いというプランを立てているので、そこは試合で確認してください。この試合はメンタルの強さをいかに保てるか。お互いにとって、心が折れないで戦うことが一番重要になってきます。」

──では、この試合を経て目指すところは?

「大原選手がランク1位なので、彼に勝ってベルトに挑戦したいと思います」

──あっ、ということは大原選手は負けてもランクが下がらなかったのですね。スミマセン、そんなことも理解せずにインタビューをお願いしてしまって。

「いえ……。大原選手とファン・ドユン選手の戦績の差も考慮したのと、大原選手の怒りようがすさまじかったのでBlack Combatがその怒りを受け止めたのではないでしょうか」

──なるほど(苦笑)。ところでBlack Combatライト級王者のイ・ソンハ選手が、3月にDEEPで江藤公洋選手に敗れDEEPライト級のベルトは失いました。パク・ジョンホン選手にとって、DEEP王座とはどのようなモノなのでしょうか。

「まだ自分はベルトを1つも巻いていないです。今、DEEP王座のことを自分が触れるのは時期尚早だと思います。まずはBlack Combatのベルトを手にしてから、DEEPのことは考えさせてもらいます」

──トラッシュトーク、自己アピール上等のBlack Combatにあってパク・ジョンホン選手は凄く珍しいタイプの選手ですね。

「もっと何か言った方が良かったでしょうか(笑)」

──Black Combatでは日本人選手も、日本とは違うことをやっていることもあるので。凄く新鮮でした(笑)。

「自分が誠実な人間だとは言えないですが、支えてくれる人もいるのでおかしな言動はできないです。ただ、何か仕掛けてきた相手にはしっかりとケージのなかで返事をさせてもらいます」

──では最後に日本のファンに一言お願いします。

「大原選手は尊敬してきた選手です。尊敬している選手だからこそ、負けないようにできる限りの準備をしてきました。ベストを尽くしたいと思います」

■視聴方法(予定)
4月20日(土・日本時間)
午後5時~Black Combat YouTubeメンバーシップ


■Black Combat Rise02 対戦カード

<ライト級/5分3R>
大原樹理(日本)
パク・ジョンホン(韓国)

<ライト級/5分3R>
イ・ファンソン(韓国)
チョ・ユンジュン(韓国)

<フライ級/5分3R>
イ・ソンチョル(韓国)
山本聖悟(日本)

<フェザー級/5分3R>
イ・ミンヒョク(韓国)
イム・ジェユン(韓国)

<無差別契約/5分3R>
キム・ミョンファン(韓国)
稲田将(日本)

<フライ級/5分3R>
ソン・ナクジュン(韓国)
パク・テホ(韓国)

<63.5キロ契約/5分3R>
ジョン・スミン(韓国)
ぽちゃんZ(日

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45 Black Combat Black Combat Rise02 DEEP MMA MMAPLANET o YouTube イ・ソンハ イ・ファンソン イ・ミンヒョク チャンネル パク・ジョンホン ファン・ドユン ブラック 中村大介 大原樹理 山本聖悟 江藤公洋 須田萌里

【Black Combat Rise02】ハンターと仕切り直しの一戦、大原樹理「やっぱりアウェイ。KOで勝つ」

【写真】引き続きBlac Combatで戦う。すでに大原は気持ちを切り替えている(C)SHOJIRO KAMEIKE

20日(土)、韓国はオサン市のブラック・アゴラで開催されるBlack Combat Rise02で、大原樹理がハンターことパク・ジョンホンと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

今年1月、ファン・ドユンに敗れた大原樹理が韓国に乗り込む。前回の試合は「レフェリーストップが早すぎる」と物議を醸し、試合後は大原陣営も「二度とBlack Combatには出たくない」という意思を示していた。その大原がなぜ再び韓国で戦うことになったのか。気になるファン・ドユン戦のレフェリーストップに関する決着は? Black Combat独特のYouTube動画撮影の裏側も明かしてくれた。


――Black Combat(以下、BC)の公式YouTubeチャンネルで、試合に向けた一連の動画を拝見しました。何と言いますか……、大変そうですね。

「あの撮影のために1泊2日で韓国に行ってきたんですよ。羽田空港から朝8時の飛行機に乗って、ソウルに着いてから車で3時間ぐらい移動しました。遠かったです(苦笑)」

――動画の詳細については触れませんが、大原選手だけがストーリーラインに乗らずにド正論をかましていました。

「アハハハ! 我が道を往きました。トラッシュトークがあるから、前回の試合について触れられると思ったんですよ。『お前、前の試合で負けているじゃないか』みたいな。そう言われた時の答えを考えていると、ハンターが感情論ばかり言ってきて。そんな流れに乗っかるより、アイツを悪者にしてやろうと考えました(笑)」

――詳しくは動画を視ていただくとして、収録では台本も一切無いのですね。

「台本が無いどころか、現地に着くまで何をするのかも知らされていなかったです。僕だけじゃなく、他の選手も同じでした。とりあえず韓国に呼ばれた、っていう」

――大変ですね……。ただ、仰ったとおり前回の試合については触れられませんでした。それはストーリーライン上、敗戦については無かったことになるのかと。

「どうなんでしょうね? 撮影時にも誰もイジってこないし、今でもライト級ランキングでは僕が1位で」

――大原選手が1位で、次に対戦するハンターが2位。つまりランキング上位同士が対戦し、その勝者が王者イ・ソンハに挑むという流れなのかもしれません。とはいえ、BCのストーリーラインでは触れられないとしても、MMAファイターとしての戦績には残ります。

「正直、前回のレフェリーストップについては――納得しているかどうかといえば、納得はしていないです。それで戦績にひとつ黒星がついたわけで。でもBC側から『また出てもらいたい』という話をもらった時に、僕からもいくつか条件を出したんですよ。その条件もある程度は呑んでくれました。そうなると自分もウダウダ言っているよりは、黒星をつけられた以上は白星を取り戻しに行くしかないって考えましたね」

――再度オファーがあり、条件もいくつかは呑んでくれた。ということは、BCサイドとしても大原選手に対する評価は高いのでしょう。

「はい、評価はしてくれているんだと思います。それは素直に嬉しいです」

――では改めて前回の試合について振り返っていただきたいと思います。何よりも「早すぎる」と言われたレフェリーストップについて率直な意見を聞かせてください。

「まず相手のパンチを食らってグラついたじゃないですか。あの時は僕が前に出て、相手がパンチを合わせて来るのが見えたんですよ。だから僕は頭を傾けて、カウンターをよけようとしたところに相手のパンチが頭をかすめて。それで脳が揺れてクラッっとしたので、ヤバいなと思って組みつこうとしたんですね。それだけ一連の流れはハッキリと意識がありました。直後に僕が倒れたのは、なぜか割って入ってきたレフェリーに押されたからです。それでレフェリーが『ストップ!』とか言っているから『いやいや、なぜ?』と」

――明らかに大原選手が一発食らった瞬間にレフェリーが走り始めていました。あの展開で大原選手が追撃をもらっている、あるいは背中から倒れて追撃を食らいそうなところでレフェリーが割って入るのは理解できます。しかし、そうではなかった。

「あれで止められるなら、中村大介さんの試合も完全にストップされているはずなんです。だから、正直言って試合後は勘ぐっちゃいましたよ。『俺、やられちゃったのかな?』って」

――個人的な印象を言えば、競技運営陣のミスだったと思います。2022年大晦日に初めて現地でBCを取材した際、YouTubeで展開されるストーリーラインとイベントの完成度の高さは感じました。若いファンを獲得したうえ、今年1月の大会では試合のレベルも格段に上がっている。須田萌里選手の試合メインの対応を見るかぎり、次の課題は競技運営面のレベルアップというところでしょう。

「僕がもう一度BCに出ようと思ったのは、条件を呑んでくれたこともあるけど、そのファンたちの声によるところも大きかったんですよ」

――というと?

「試合直後は本当に『もう二度と出るか!』と思いましたよ。あんなやり方をされたら誰も勝てないし。大会後にまずブラックさん、レフェリー陣、佐伯社長、そして須田さんや自分の陣営も交えて話をしました。さらにオファーとフォローがありましたしね。何より試合映像がアップされたら、ファンの方が『ストップが早すぎる!』『もう出ない、とか言わないでほしい』とコメントを書き込んでくれていたんです」

――おぉっ! 韓国のファンのハートをガッチリ掴んでいますね。

「日本にはファンがいないのに(笑)。僕のSNSにも、韓国のファンの方々がコメントをくれて。僕はこれまでずっと、求められれば試合に出ていた人間ですから。そうやってファンの声があるなら、またBCで戦いたいと思いました」

――今日もDEEPのTシャツを着てインタビューを受けてくれていますが、いずれBCのTシャツに変わるかもしれないと思っておきます。

「いやいや(苦笑)。僕はDEEPで育ってきたので、それはないです!」

――アハハハ。今年3月にイ・ソンハが江藤公洋選手に敗れてDEEPのベルトを失った試合は、どのように見ていましたか。

「どちらかといえば『どっちが勝つかな?』という興味のほうが大きくて。一般のお客さんと同じ目線に近かったです。複雑な心境もありましたよ。自分に勝った相手が負ける姿を見るのも、自分が取られたベルトを他の選手が巻いているのも……。かといってイ・スンハが勝って喜んでいる姿を見るのも悔しいじゃないですか。だから、ぶっちゃけ『どっちも負けちまえよ』という気持ちはありました」

――それがファイターとして当たり前で、素直な気持ちではないですか。

「そうなんですかね。お客さんに近い目線で観ていたとしても、やっぱり両選手に対して『俺のほうが上だからな』と思っていました。その気持ちは失いたくないので」

――江藤選手が巻いたDEEPのベルトを取り戻したいとは考えていないのでしょうか。

「まず今はBCで借りを返したいです。イ・スンハからBCのベルトを奪って、DEEPに帰ってくる。そして、まさかのDEEPとBCのダブルタイトルマッチをもう一度――しかも日本人同士で。佐伯社長、嫌がるかなぁ(笑)」

――それは……なかなかカオスな状況です。

「超面白いじゃないですか。BCもDEEPもグチャグチャにかき回したいですよ。そのほうが観ている人も面白いでしょうし」

――まずはBCで再スタートとなる試合の相手がハンターに決まりました。

「作戦にも関わっちゃうので、あまり深くは言えないけど――ハンターって打撃は打撃、寝技は寝技っていう選手ですよね。MMAとしての繋ぎとか、際の部分がない。だからMMAとしては自分のほうが有利なんじゃないかと思っています」

――大原選手がイ・ファンソンにKO勝ちを収めた大会で、ハンターはチョ・ユンジュン(ミスターサタン)にKO勝ちしています。終始ケージに押し込まれながら、身長差を生かして勝ったという印象です。

「そうなんですよ。だから、それほど身長が変わらない自分に対して同じ試合ができるのかな、って。実際、身長が高いイ・スンハにも負けていますしね(昨年4月、1Rに腕十字で一本負け)。イ・スンハとハンターでは明確な差があると思いますよ」

――なるほど。さらに言えば、大原選手の中でもBCがアウェイという気持ちは薄れているのではないでしょうか。

「それが……去年の11月の試合までは『敵地だから倒さないと勝てない』と思っていました。でもファンの反応もあったから、その気持ちが薄れたまま臨んだのが今年1月の試合で。韓国にも応援してくれる方はいるけど、やっぱりアウェイなんですよ。だから次のハンター戦は100パーセント、アウェイの気持ちで戦います。前回の分を取り返してくることができるよう、しっかりKOで勝ちます!」

■視聴方法(予定)
4月20日(土・日本時間)
午後5時~Black Combat YouTubeメンバーシップ

■Black Combat Rise02 対戦カード

<ライト級/5分3R>
大原樹理(日本)
パク・ジョンホン(韓国)

<ライト級/5分3R>
イ・ファンソン(韓国)
チョ・ユンジュン(韓国)

<フライ級/5分3R>
イ・ソンチョル(韓国)
山本聖悟(日本)

<フェザー級/5分3R>
イ・ミンヒョク(韓国)
イム・ジェユン(韓国)

<無差別契約/5分3R>
キム・ミョンファン(韓国)
稲田将(日本)

<フライ級/5分3R>
ソン・ナクジュン(韓国)
パク・テホ(韓国)

<63.5キロ契約/5分3R>
ジョン・スミン(韓国)
ぽちゃんZ(日本)

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45 DEEP DEEP118 MMA MMAPLANET o イ・ソンハ 江藤公洋

【DEEP118】左ストレート&TD防御のイ・ソンハに、江藤がRNCを極めてDEEPライト級王座を獲得

【写真】チーム全員、会心の笑顔だ(C)MMAPLANET

<DEEPライト級選手権試合/5分3R>
江藤公洋(日本)
Def.2R2分07秒 by RNC
イ・ソンハ(韓国)

サウスポーのイ・ソンハがサークリングする。ともに前手で探りながら、イ・ソンハが右ジャブを見せると、江藤は左ボディを突き刺す。イ・ソンハも左ストレートを当てた。さらに左を当てたイ・ソンハはスイッチして右ミドルを繰り出すも、これは江藤が掴みに行く。離れたイ・ソンハの顔面を、江藤の左フックが捕らえる。至近距離で江藤の右フックが当たる。江藤は飛び込みながら、相手の離れ際に右ハイを見せた。ケージを背負ったイ・ソンハにダブルレッグで入った江藤だったが、ここはイ・ソンハが離れる。

互いにスイッチしながら、江藤は右ストレートから右ハイへ。イ・ソンハが前に出て来ると、ダブルレッグで入ったが、すぐにイ・ソンハが離れた。イ・ソンハが左ストレートから右フックで江藤のアゴを跳ね上げる。江藤がシングルレッグで組みつき、離れる相手に対してダブルレッグに切り替えてバックに回った。左手をイ・ソンハの首に回すも、なんとイ・ソンハもここで立ち上がる。スタンドに戻るとイ・ソンハは前蹴りと関節蹴りで距離を取り続けた。

2R、江藤のシングルレッグをカットしたイ・ソンハは、江藤の立ち際に左ハイを繰り出す。スタンドに戻り、イ・ソンハが右ハイを放った瞬間に足を滑らせた。サークリングするイ・ソンハに対し、ダブルレッグで組んだ江藤が尻もちを着かせた。

さらにバックへ回りフェイスロック気味のRNCを狙うが、イ・ソンハが凌ぐ。なおも江藤はRNCを狙い続ける。自身がケージに背中をつけ、左腕でアゴから絞め上げるとイ・ソンハがタップした。

試合を終え、笑顔で抱擁する両者。ベルトを巻いた江藤は涙を流す。「子供が生まれてから5連勝で、ここで負けたら現役引退も考えていました。今回しっかり覚悟を決めて一本勝ちできたので、安心しています。DEEPのベルトを持って、世界の強豪と戦っていきたいです」と語った。


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45 AB DEEP DEEP JEWELS DEEP118 MMA MMAPLANET o ONE RIZIN YouTube イ・ソンハ ロッキー・マルチネス 中村K太郎 五明宏人 力也 北岡悟 川名 TENCHO 雄生 平松翔 江藤公洋 神田コウヤ 福田龍彌 酒井リョウ 雅駿介 雑賀ヤン坊達也 青井人 青木真也 魚井フルスイング

【DEEP118】イ・ソンハに挑戦、江藤公洋「面白い試合云々っていうなら、ちゃんと頑張って逃げてね」

【写真】穏やかな自信(C)MMAPLANET

本日9日(土)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP118 Impactで江藤公洋が、DEEPライト級王者イ・ソンハに挑戦する。
Text by Manabu Takashima

レスリングからMMAに転向した当時から、そのポテンシャルの高さは認められてきた。しかし、その強さを発揮しきれない。試合になると、気持ちで前に出られないということも指摘された。そして勝てば、コントロールで地味というレスリング&コントロールファイターに付きまとう問題も、江藤は持ち続けてきた。

その江藤が2020年9月に青木真也に完敗を喫して以来、ここまで5連勝でタイトル挑戦権を獲得した。ハマれば超絶に強かった江藤が、自分の嫌な展開でも試合を創れるようになった。その背景に指導、中村K太郎のマンツー・スパーが存在した。


──HEARTSでレスリングクラスを持っていると聞いて見学させていただいたのですが、MMAグローブを着用してMMA用のレスリングを指導されていました。

「そうですね、大沢さんからMMAのレスリングとグラップリングを重点的にプロ選手に指導してほしいと2カ月ぐらい前に尋ねられて、やらせてもらうようになりました。HEARTSの底上げという目的もあって、始めた感じです。ピュア・レスリング、ピュア・グラップリングではなく、MMAにアジャストした形でやらせてもらっています。

ピュア・レスも大切なのですが、やはり組んだ距離でMMAの間合いと違ってきます。間合いの設定が違うと、切り崩し方も違ってくるので。そういうところでMMAレスリングの指導を心掛けています」

──MMAレスリング=壁レスとなりがちですが、今日はそうでない場所での指導でした。

「壁も大切です。でも中央で相手を制することも大切で。壁だけでなく、両方でやっていますね。中の動きと壁の動き、壁という要素が加わってもベースは共通しています。中央でやることを、壁を使ってやりましょうという意識を持っています」

──しっかりと伝える言葉も持たれていました。

「パーソナルの指導なども続けてきて、その時に自分だけの視点ではなく、色々な視点があることを頭に技術を修得するようになりました。一つのアプローチだけでなく、多方向の視点を持つことが大切だと思うと、指導する時に色々なアプローチから説明できます。そこがファイターとしての自分の成長に繋がっていると思います」

──指導することで、自ら成長できたと。

「色々な視点で見ることで、崩し方や動きに対してアプローチの種類が増えました。特に相手の特性も理解できて、思考が分かるようになったことが大きいです」

──なるほどぉ。指導で得たことを自らの練習で試す?

「ハイ。それで自分が使う場合は、無理だと判断して切り捨てることもあります。でも、指導するうえで切り捨てる知識はない。それを知ることでも、自分の成長になります」

──現在、5連勝です。その指導をすることが、好調の要因にもなっていますか。

「青木さんと試合をするまで(2020年9月)、ただ練習をしていると強くなるという風で考えていなかったです。あの敗北から色々と変えないといけないと思うようになりました。メンタル面でも変に気合を入れるとか、良いところを見せようとして逆に迷ってしまって普段通りの力を出せない。そんな自分を認めたくなかったのが、あの試合で何もできないことで──そんな自分が恥ずかしくて、格闘技を辞めた方が楽だという気持ちにもなりました」

──ハイ。

「でも楽な方を選ぶと、それは簡単ですよね(笑)。あそこで自分の色々なモノを壊して自分を創りなおした方が人間として成長できると思って、ここまで取り組んできました。5連勝の裏で試行錯誤して、なかなか上手くいないこともありました。そのなかで一つ一つを噛み砕いて、検証することでここまで来ることができました。今もまだ過程ですけど、今の自分をぶつけることが凄く楽しみです。日常を切り取った部分で、今回の試合では皆に見て欲しいという気持ちがあります」

──RIZIN LANDMARKの雑賀ヤン坊達也戦と、DEEPの北岡悟戦。前者の方が良い試合だと思われるかと思いますが、個人的には後者の方が恐怖とも向き合っていた感があります。

「そうですね……落とせないという気持ちもありました。それが自分の弱さだと思います。決め切れないところは課題で、でも試せたことはプラス。まだ僕は完成していないので。怖さも自分のなかで受け入れていますし、やってきたことをやる。回りの目を気にすること……そこも大切なのですが、そこも含めて自分のやってきたことが出せるか。練習の方が強い自分がいる。そこに近づくために、もがいている自分が今もいます。それが徐々に良くなっているので。人にチヤホヤされたくて格闘技をやってきたわけじゃなくて、強さを追求するためにやっている。そこはブレないようになりました。良い試合だった──で良いのか。積み上げて来たものを出す方が、大切だと自分は思っています」

──その積み上げるなかで中村K太郎選手とのマンツーマンのトレーニングの意味合いが大きいと聞いています。

「ハイ。自分が成長できる一番のパートナーです。K太郎さんとの練習は思い描いたことできない。テイクダウン、スクランブル、打撃とコントールできないから、際の攻防の練習ができる。

打撃、組み技、寝技とどの局面でも練習ができて、K太郎さんという自分が日本で一番強い選手とやれている。そこが自分の自信になっています。試合より厳しいことをやっている。相手より強い選手とやっていることは絶対ですし。

試合なので、一発貰うこともある。でも、そこ以外だったら絶対に競り負けないという気持ちになれました。どんな展開でも引かない。気持ちの強さは、K太郎さんとの練習で身に着けられたものです。練習で試合よりしんどいことをやって、試合でしんどいことを相手にさせます」

──そのなかでDEEPライト級王座に挑戦。チャンピオンは韓国のイ・ソンハで国際戦となりました。

「流れが変わってきましたね。対日本人でなく、今だと対アジアに。それって大切なことだと思います。だから自分はONEにチャレンジしたし、対日本人でなく対世界を見据えて色々な技術を修得してきたので」

──ではイ・ソンハの印象を教えてください。

「手足が長く、打撃も組み技もできる。だから、面白い。このところ、勝ってホッとすることばかりで。なんか熱くなることがなかった。その点、今回はどうなるのか楽しみです。どれぐらいかは、組んでみないと分からない。勝ち筋はある程度思い描けていますが、それが実際に戦ってどうなるのか。その面白さはありますね。打撃、テイクダウン、寝技、全部で勝負したいです」

──イ・ソンハは「自分が面白い試合をするので、そこは気にしないでください」ということ言っていました。

「まぁコントロールされない自信がるからって、その後の攻防を自分ができないと思っているなら間違っています。仮にテイクダウンからコントロールができなかったら、その先を見せることができるので、それは必然と面白くなるでしょうね。

ただ僕がコントロールできてしまうと、殴り合いも何もない面白くない試合になるということですよね。じゃあ、頑張ってねっていう話です。面白い試合にしたいなら、コントロールされないように頑張って。そうなっても、その先を見せるから」

──ブラボーです。

「だって動けない奴が悪いわけで。動けてスクランブルの攻防まで持ち込めば良いじゃないですか。なんでコントロールできているこっちが、わざわざ動かないといけないのか。動けない、お前が悪いんだよってことですよ。コントロールされて、時間がきてブレイクって──それは審判に助けてもらっているだけ。まぁ、面白い試合云々っていうならちゃんと頑張って、逃げてねって」

──長い年月を掛けて、一皮剝けた。言葉にすると簡単になってしまいますが、凄く重みのあることだと感じました。

「変われたかな……ただやっていれば結果が出る。そんな風に思っていましたけど、それじゃあ体が強くなるだけ。そして色気をもって戦って、自分を出せない。そういう弱い自分を飲み込んで、克服するにはどうするかを考える。そこで練習環境、練習内容を組み立てることができてきました。強くなるための過程にあるなかで、今回の試合でどこまでできるのか。やっぱり、そこは楽しみです。今回のタイトル戦は、対アジアに到達しているのか。その査定試合になります」

■視聴方法(予定)
3月9日(土)
午後5時45分~YouTube DEEP/DEEP JEWELSメンバーシップ、U-NEXT、サムライTV

■ DEEP118計量結果

<DEEPメガトン級王座統一戦/5分3R>
[正規王者]ロッキー・マルチネス:108.5キロ
[暫定王者]酒井リョウ:106.9キロ

<DEEPフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者]神田コウヤ:65.7キロ
[挑戦者]青井人:64.7キロ

<DEEPライト級選手権試合/5分3R>
[王者]イ・ソンハ:70.3キロ
[挑戦者]江藤公洋:70.35キロ→70.15キロ

<バンタム級/5分3R>
福田龍彌:61.5キロ
雅駿介:61.7キロ

<フェザー級/5分2R>
五明宏人:66.2キロ
木下カラテ:66.1キロ

<ライト級/5分2R>
川名 TENCHO 雄生:70.55キロ
倉本大悟:70.8キロ

<バンタム級/5分2R>
平松翔:61.65キロ
魚井フルスイング:61.2キロ

<バンタム級/5分2R>
力也:61.6キロ
小崎連:61.55キロ

<アマチュア・フェザー級/3分2R>
信原空:66.05キロ
菅涼星:66.15キロ

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45 AB Black Combat DEEP DEEP JEWELS DEEP118 MMA MMAPLANET o RIZIN YouTube イ・ソンハ ブラック ロッキー・マルチネス 五明宏人 力也 川名 TENCHO 雄生 平松翔 江藤公洋 神田コウヤ 福田龍彌 酒井リョウ 金原正徳 鈴木千裕 雅駿介 青井人 魚井フルスイング 鶴屋浩

【DEEP118】計量よもやま話。青井&福田は新幹線に缶詰め&神田はバスタブ壊れる。次回Black Combatは…

【写真】ただ一人再計量となった江藤だが、余裕でクリア。なお、この時点で青井と福田はまだ計量会場に到着していなかった(C)MMAPLANET

明日9日(土)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP118 IMPACTの計量が8日(土)に新宿区ホテルローズガーデンのオークルームで行われた。
Text by Manabu Takashima

メガトン級王座統一戦、フェザー級&ライト級と3階級のタイトルマッチが組まれている大会の計量は、フェザー級選手権を戦うチャンピオン神田コウヤとチャレンジャー青井人が揃って開始時間に姿を見せないという予想外の状況でスタートが切られた。


神田に挑戦する青井と雅駿介と対戦する福田の関西組は、人身事故の影響で何と米原で1時間に渡り新幹線の中で缶詰状態に。今回はバンタム級に挑む福田は、この4キロ強の減量幅の違いに命拾い。「フライ級やったら、ブチ切れていましたよ」という言葉も、そのフライ級での計量直後のようなかすれ気味の声でなく力のあるものだった。

そんな福田とともに東京駅からタクシーで計量会場に移動しても疲れを見せなかった青井の挑戦を受ける神田も、予期せずアクシデントに見舞われていた。自宅で水抜きに入った神田だが、なんとバスタブの栓が壊れており、お湯が溜まらないという状況に追い込まれる。

その影響で体重を落としきれなかったチャンピオンは、計量会場近くのサウナで最後の1キロを落とし、クリア後もその表情からは安堵と疲れが感じられた。

そんな神田に対し、Black Combatの撮影チームは容赦なくインタビューを始め「フェザー級王者が神田選手との対戦を求めています。どう思いますか」等と明日の防衛戦もお構いなしの質問をする。これには神田に帯同していたパラエストラ千葉ネット代表もラストウィークに入った鶴屋浩代表も苦笑いを浮かべるしかなかった。

そのBlack Combatのブラック代表の姿も計量会場で見られたが、氏は2週間後のDEEP JEWELSにも来日するとのこと。中国のWLFとの対抗戦の計画も進むBlack Combatの次回大会は4月20日に予定されており、ブラック代表によるとDEEPから4人の日本人選手を招聘する予定だという。

イ・ソンハの持つDEEPライト級王座に挑む江藤公洋は、本計量では50グラム・オーバーだったが、最計量では200グラムも落とし余裕でクリア。江藤が所属するHEARTSからは木下カラテ、魚井フルスイングも今大会に出場しており、計量会場にも出場選手だけで現れ、魚井がかいがいしく江藤のサポートをしていた。

またメディアよりも撮影に懸命なパラエストラ八王子の塩田歩代表に4月29日のRIZINフェザー級選手権試合に関してコメントを求めると──。「もう独立していますけど、金ちゃん(金原正徳)と今指導している千裕(鈴木千裕)君があの舞台でベルトを賭けて戦うというのは、本当に嬉しいです。ただ僕はもう100パーセント、千裕君のサポートですから」と言葉が聞かれた。

■視聴方法(予定)
3月9日(土)
午後5時45分~YouTube DEEP/DEEP JEWELSメンバーシップ、U-NEXT、サムライTV

■ DEEP118計量結果

<DEEPメガトン級王座統一戦/5分3R>
[正規王者]ロッキー・マルチネス:108.5キロ
[暫定王者]酒井リョウ:106.9キロ

<DEEPフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者]神田コウヤ:65.7キロ
[挑戦者]青井人:64.7キロ

<DEEPライト級選手権試合/5分3R>
[王者]イ・ソンハ:70.3キロ
[挑戦者]江藤公洋:70.35キロ→70.15キロ

<バンタム級/5分3R>
福田龍彌:61.5キロ
雅駿介:61.7キロ

<フェザー級/5分2R>
五明宏人:66.2キロ
木下カラテ:66.1キロ

<ライト級/5分2R>
川名 TENCHO 雄生:70.55キロ
倉本大悟:70.8キロ

<バンタム級/5分2R>
平松翔:61.65キロ
魚井フルスイング:61.2キロ

<バンタム級/5分2R>
力也:61.6キロ
小崎連:61.55キロ

<アマチュア・フェザー級/3分2R>
信原空:66.05キロ
菅涼星:66.15キロ

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