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【UFC273】MMAの未来イアン・ギャリー─02─「コナー・マクレガーのように成功する。僕のやり方で」

【写真】セレモニアル計量では笑顔いっぱい、早くもハイテンションだったギャリー(C)MMAPLANET

9日(土・現地時間)、フロリダ州ジャクソンビルのヴィスター・ベテランズ・メモリアル・アリーナで開催されるUFC273で、ダリアン・ウィークスと対戦するイアン・ギャリーのインタビュー後編。

コナー・マクレガーの後を追い、彼のような成功を収めることが目標のギャリーは、「自分のやり方でやり遂げる」と言い切った。明るく多弁、ファイトはキレキレのギャリーからは無敗のモノだけが持ちうる──一点の曇りもない真っ白な自信が感じられた。

<イアン・ギャリー・インタビューPart.01はコチラから>


────確かにファイトは素晴らしいモノがありましたが、コナー・マクレガーによりトラッシュトークはMMA界の常識になり、彼自身はトラッシュトークに収まらず暴力事件といって良い行動を起こすこともありました。

「柔道や相撲を見ていても、コナーのやり方は日本の文化とは全く正反対だよね。対戦相手のことを凄く尊敬している。コナーはショーマンなんだよ。決して相手をリスペクトしていないわけじゃない。ファンの期待に応える、鏡のような存在なんだよ。コナーはファンが何を望んでいるのか、本当に理解している。

彼は自身の言動によって、ファンがどんな反応をするかまで把握できている。そして彼が何かコトを起こすだけにファンはコナーのことだけでなく、UFCを話題にする。ファンはずっとコナーが何をして、どんなことを話したかを覚えている。正しいことをしたかといえば、きっとノーなんだろう。でも、誰も彼を忘れていない。今もコナーを話題にしている。彼は市場を理解していた。そして世界に自分が何者かをアピールし続けたんだ」

──コナー・マクレガーは素晴らしいです。でも、多くの選手が彼をコビーしてコナー・マクレガーもどきになった。

「もちろん、コナー・マクレガーは唯一の存在だ。あの価値を持っているファイターは。だから、僕は彼のような言動をしようとは思っていない。僕もファイターだから『アイツを倒す。KOしたい』ぐらいのことは言うよ。でも、僕は対戦相手を尊敬している。失礼な態度を取ることはない。握手を断られた時以外はね。もちろん、向うが何かを仕掛けてくれば、それなりに対応させてもらうよ。舐められちゃいけないからね。対戦相手が僕をリスペクトしてくれれば、僕だって同じようにリスペクトする」

──その方がクールですよね。正直、コナー・マクレガーが大成功を収めたあとでアイルランドからジェイムス・ギャラガーが出てきたとき、二番煎じで面白くなかったです。

「アハハハハ」(と大笑いし、手を叩いて喜んだ)。

──だからイアンがそういう言動をしても、『また出てきた』と思ったかと。規律と尊敬心を重んじる今回の言葉を聞くことがデキて、ずっとクールだと感じました。

「僕はファイトを愛している。でも、自分のことをファイターだとは思ってない。コンペティションが好きなんだ。だから僕は自分はコンペティター、競技者だと思っている。ファイターじゃなくて、自分以外の選手と顔を突き合わせて勝負がしたいんだ。何も嫌い合っているわけでもない。ただ、相手に勝ちたい。だから過剰な言動は控えたいんだ。落ち着いて、しっかりと自制して戦いたい。そして、僕がどれだけのモノなのかを世界に見てほしい。僕の技量はコナーと比べてどれくらいなのかを知りたいんだよ。

オクタゴンに入ると。そこは僕の場所だ。僕が自分を見せる場所なんだ。僕がどれだけ優秀なのかを世界に披露する舞台、それがオクタゴンなんだよ。

僕が口にすることは全て本音だよ。フェイクはしたくない。メディアに対してもそうだよ。僕は僕でしかない。どんな人間なのか、メディアと話す。子供の頃から、多くの人に『静かにしろ』って言われてきたよ。落ち着けってね。僕は自分のエネルギーを抑えることができなくて、喋り倒してきたんだ(笑)。

そうだね……コナー・マクレガーのように成功を収めたいよ。100パーセント、そう思っている。でも、自分のやり方で成し遂げるよ」

──素晴らしいです。その熱い想いをぶつける相手が、ダリアン・ウィークスになるわけですね。どのような印象を持っていますか。

「彼はレスラーだ。グラウンドに持ち込みたいだろうね。クリンチワークからテイクダウンを狙ってくるはずだ。そういう風に仕掛けてきたとき、きっとビックリするだろうね。僕の一つ一つの動きに。

自分が戦いたいようにゲームプランを立ててくれば良いと思っている。どんなゲームプランを考えてきても、試合は僕のモノだ。僕が思ったように、試合は進む。だからダリアンには万全の体調でオクタゴンに上がってほしい。僕が勝った後で、どんな言い訳もしてほしくないから。彼の拳じゃ、ギャリーを倒せない。それは絶対。以上だよ(笑)」

──ところでサンフォードMMAに拠点を移したのは?

「ロリダの暖かい日差しと青い空、パームビーチが気に入ったからだよ(笑)。UFCとサインをした時、エリートクラスの選手が集まるジムで練習をしなければいけなと思ったんだ。UFCウェルター級やBellatorのウェルター級選手が鎬を削り合っている環境に身を置きたいと思った。

もっと強くなるために、追い込んで、押し上げてくれる場所で練習しないといけないってね。サンフォードMMAには、そういう練習環境がある──世界一のジムだよ」

──佐藤天選手が言っていることと同じですね。高い志を持つ選手達と練習したいと。

「サトーとは一緒に練習しているよ!! 僕らは互いにプッシュしている。彼とは毎朝、『オス』って挨拶をしているんだ(笑)。サトーと僕はきっと日本とアイルランドのジムで同じ状態だったと思う。練習相手とは違う、強い意志を持って練習してきた。自分と同じような気持ちで、MMAを戦うメンバーが周囲にいなかったんだと思う。自分の国、ジム、友人から離れるって簡単じゃない選手が多い。でも、僕にとっては何も悩むことはなかった。世界一になるためには、世界一の練習が必要だったからアイルランドを離れることはイージーチョイスだったよ。

凄くシンプルなことさ。そうしないと世界チャンピオンにはなれない。サンフォードでは皆、そういう気持ちで練習しているんだ。全ての局面で、世界最高のコーチがいる。世界各国の団体でトップだったファイターが集まって、死に物狂いで練習している。互いがケツを叩いて、強くなろうしている。僕が世界のベストになるために必要な練習環境、それがサンフォードMMAだったんだ」

──佐藤選手はギャリーは凄く良いヤツで、打撃は元々強くグラップリングも上達していると言っていました。

「そうかい? 嬉しいね。サトーの言う通り、打撃はそこそこ自信はあった。でもサンフォードに来てから、ずっと良くなっている。グラップリングも自分では、そこそこの知識はあったつもりだったけど勉強することだらけだよ。マットの上で他の選手が練習をしているのを眺めるだけでも勉強になる。ロールもそうだし、心肺機能系のトレーニングも本当に興味深い。サンフォードの一員になって、自分の将来を想い描くのが本当に楽しくなったよ」

──こうやってインタビューで話し、イアンの試合がより楽しみになってきました。土曜日、期待しています。

「誰も僕を止めることはできない。何が起ころうが、問題ない。それだけの覚悟と自信をもってケージで戦うよ。どれだけ高いレベルの試合がUFCで行われても、いつだって僕に賭けてほしい。誰も僕を止めることはできないから」

──では日本のファンにメッセージをお願いします。

「6月、シンガポールでUFCが開かれるよね。そこで戦いたい。まずはアジアだ。東南アジアの空気を吸いたい。MMAを戦っていて最高なのは、世界中で色々なカルチャーに触れられることだよ。アジアにはまだ行ったことはない。だからこそシンガポールのファンに喜んでもらえる試合がしたい。そして、シンガポールの次は──ジャパンだよ!!」

■視聴方法(予定)
4月10日(日・日本時間)
午前7時00分~UFC FIGHT PASS
午前11時00分~PPV
午前11時00分~WOWOWライブ

■UFC273計量結果

<UFC世界フェザー級選手権試合/5分5R>
[王者]アレックス・ヴォルカノフスキー: 144.5ポンド(65.54キロ)
[挑戦者]ジョン・チャンソン: 144.5ポンド(65.54キロ)

<UFC世界バンタム級統一戦/5分5R>
[正規王者]アルジャメイン・ステーリング: 134.5ポンド(61.0キロ)
[暫定王者]ピョートル・ヤン: 134ポンド(60.78キロ)

<ウェルター級/5分3R>
ジルベウト・ドゥリーニョ・バーンズ: 170ポンド(77.11キロ)
カムザット・チマエフ: 170ポンド(77.11キロ)

<女子ストロー級/5分3R>
マッケンジー・ダーン: 115.5ポンド(52.38キロ)
ティーシャ・トーレス: 115.5ポンド(52.38キロ)

<ライト級/5分3R>
ビンチ・ピチェル: 155.5ポンド(70.53キロ)
マーク・マドセン: 155ポンド(70.31キロ)

<ウェルター級/5分3R>
イアン・ギャリー: 170.5ポンド(77.34キロ)
ダリアン・ウィークス: 170.5ポンド(77.34キロ)

<ヘビー級/5分3R>
ジャイルジーニョ・ホーゼンストライク: 252.5ポンド(114.53キロ)
マルチン・ティブラ: 253ポンド(114.75キロ)

<女子バンタム級/5分3R>
アスペン・ラッド: 136ポンド(61.69キロ)
ラケル・ぺニントン: 134.5ポンド(61.0キロ)

<ウェルター級/5分3R>
ミッキー・ガル: 170.5ポンド(77.34キロ)
マイク・マロット: 170.5ポンド(77.34キロ)

<ヘビー級/5分3R>
アレクセイ・オレイニク: 244ポンド(110.67キロ)
ジャレッド・ヴァンデラ: 266ポンド(120.65キロ)

<ミドル級/5分3R>
アンソニー・ヘルナンデス: 186ポンド(84.37キロ)
ジョシュ・フレムド: 185.5ポンド(84.14キロ)

<女子ストロー級/5分3R>
ピエラ・ロドリゲス: 115ポンド(52.16キロ)
ケイ・ハンセン: 118.5ポンド(53.75キロ)

<バンタム級/5分3R>
ジュリオ・アルセ: 136.5ポンド(61.91キロ)
ダニエル・サントス: 135ポンド(61.24キロ)

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【UFC273】トーレス戦を控えたマッケンジー・ダーン─02─「KOで勝っても、私は柔術を代表している」

【写真】フェイスオフでは、この後に笑顔で言葉をかわし握手をしたマッケンジーとトーレス(C)Zuffa/UFC

9日(土・現地時間)、フロリダ州ジャクソンビルのヴィスター・ベテランズ・メモリアル・アリーナで開催れるUFC273で、ティーシャ・トーレスと戦うマッケンジー・ダーン・インタビュー後編。

柔術家がMMAに転向する際、グラスルーツショー→フィーダーショーという道順でなく、ONEのようなビッグショーと契約することが増えてきた。対してマッケンジーはフィーダーショーで経験を積みUFCとサインを果たした。

それこそ──柔術界で成し遂げたように、じっくりと腰を据えてMMAの世界でも頂点に立つことを目標する彼女の姿勢の表れだった。

<マッケンジー・ダーン・インタビューPart.01はコチラから>


──柔術の練習は続けていますか。

「柔術は試合の直前になってから始めることが多いわ。今回も父(メガトン・ディアス)とファイトの4週間前になってから練習を再開した形ね」

──トップ・グラップラーがMMA転向する際、柔術家としてのネームバリューを生かしマッケンジーのようにLegacy FCやLFAなどフィーダーショーでキャリアを積むことなくONEやBellatorなどビッグプロモーションと契約するケースが増えています。

「良いことだと思うわ。ONE Championshipがグラップラーに支払うファイトマネーは高いって聞くし。彼らがどれだけシリアスにMMAファイターとして成功を収めようとしているのかは私は分からないし、経験してみたいってことだと思うの。実際、ほとんどが柔術から離れているわけじゃないし。私は柔術を愛しているわ。そして柔術界で頂点を極めた。最高のキャリアを築き、最高の時間を過ごしたわ。

セミナーをたくさんして。試合もたくさん出た。ビッグトーナメント、スーパーファイトで戦い続けたわ。だから十分にお金を得ることもできた。私は柔術を離れ、MMAでトップを目指しているの。ベルトを巻くまで、時間をじっくりとかけてね。MMAでも柔術と同じように大きなことをやり遂げたいと思っている。

ONEのような大きな舞台でグラップラーが、良いファイトマネーを得ることは素晴らしいことよ。だって彼らはそんなに長い間、MMAを戦うつもりはないだろうし。なら条件の良いところ、グラップラーの価値を認めてくれるところで戦うべきよ。

UFCは最もタフなファイターが集まっている場所で、レベルも最高に高い。ここで戦いたいなら、戦場を変えるでしょうし。何より、皆がONEで良い活躍ができていることはグラップリング界や柔術界のためにも素晴らしいことだと思うわ」

──ただしマッケンジーはそうはしなかったということですね。

「ファンの皆は私のキャリアを追っている方が楽しいんじゃない? だって皆にMMAファイターとしての成長過程も見てもらっているのだから。ONEで戦っているグラップラーは、私のようにスタンドファイトをしていないでしょ? 彼らは即グラウンドで戦おうとしているわ。それはそれで凄いって思うけど、皆はグラップラーのスタンドでの成長だって見たいだろうし。私が鼻を骨折して戦う姿とか──それでも私が負けずに戦い続ける姿を、ね」

──ノー。マッケンジー、激しい戦いは見たくても鼻の骨を折るところなんて見たくないですよ(笑)。ケガをせずに戦って欲しいとファンも思っています。

「アハハハハ。きっと、そんなところが好きファンもいるわよ(笑)。私は母であり、妻でもある。そんな1人の女性が色々と学ぶ過程で、鼻を折ったわけだし。それも私の成長を見てもらっていると思っているわ。そして、その試合よりも次の試合で成長した姿を見てもらう。私の試合を見てくれる人のなかには、柔術を練習している人だっているはず。そんな人たちの中には少数でも『自分だって練習すれば、ああやって戦えるようになる』と思ってくれる人もいるでしょうし。私にインスパイアされる人がいる……だから私はいつだって柔術、グラップリングを代表してMMAを戦っているつもりよ。

KOで勝っても、私は柔術ガールを代表しているの。柔術を練習している誰もが、ベストの中をベストを目指して練習すれば、私のように打撃も成長できるから」

──そんなマッケンジーにこういうことをいうのは失礼かもしれないですが、パンデミック以降WNOのようなグラップリングのプロ大会が盛んになってきました。マッケンジーはああいうトップグラップリング・イベントで戦うことは考えていないですか。

「100パーセント、戦ってみたいわよ。私も柔術よりもグラップリングの試合を視ることの方が多くなっているし。グラップリングは柔術と違うプラットフォームのイベントを確立させたわよね。もちろんMMAにプライオリティをおいているけど、グラップリング大会からのオファーをいつだって待っているわ。MMAの試合がない時なら、グラップリングのスーパーファイトをぜひとも戦ってみたいって。

特にめきめきと力をつけている新しい世代のグラップラーたちと、競い合いたいと思っているの。そういう機会があれば、グラップリングに戻ってみたいわ」

──WNOにナンバーワンが戻って来る。最高ですね、そんな機会が巡ってくると。

「ありがとう。そう言ってもらえて、凄く嬉しいわ。私もその日が来るのが願っているわ」

──そんな日を夢見ながら、土曜日の試合です。マッケンジーが言ったようにタフな試合になることが予想されます。とはいえティーシャはトップどころに負け、それ以外には勝つというハッキリした結果が出ています。つまり彼女に勝たないとトップの1人して認識されません。

「この試合で勝てば、私は次のレベルへ進むことができる。女子MMAのなかでも、今いる場所とは、一段違う場所へ進める。それぐらいの感覚でいるわ。トップの戦い──私が目指してきた場所へね。凄く大切な試合だし、PPVカードになっていることも重要で。私のことを知らない人にも、試合を視てもらえる。そして、一風変わった戦い方をする女子ファイターは、チャンピオンになる可能性を持っているって思ってもらえるようになる」

──ティーシャは常にアグレッシブなので、危険な相手ではありますが、逆に組みやすい相手かもしれないです。ジャブで突き放して、テイクダウン防御に徹する相手よりも。

「その通りよ。だから、この試合が楽しみだったの。彼女は動きが多いファイターよ。攻めるために動いている。グラップラーは、そういう相手の方が戦いやすいから。それに彼女は私より背が低い、だからパンチを当てるために近づいてくることは確実で。

そこを捕獲するわ。テイクダウンの絶好の機会になるし。そうね……この試合で、私は一本勝ちするわ。未来の世界チャンピオンがここにいる──そういう試合を世界に披露しようと思っている」

──マッケンジー、今日もありがとうございました。最後に日本のMMAファン、柔術好きの人たちに一言お願いします。

「アリガト。皆の応援に感謝しているわ。最高の試合を皆のためにするわ。ファンの皆の存在が、強くなろうというモチベーションになっているの。I LOVE JAPAN、皆のために戦うわ!!」

■視聴方法(予定)
4月10日(日・日本時間)
午前7時00分~UFC FIGHT PASS
午前11時00分~PPV
午前11時00分~WOWOWライブ

■UFC273計量結果

<UFC世界フェザー級選手権試合/5分5R>
[王者]アレックス・ヴォルカノフスキー: 144.5ポンド(65.54キロ)
[挑戦者]ジョン・チャンソン: 144.5ポンド(65.54キロ)

<UFC世界バンタム級統一戦/5分5R>
[正規王者]アルジャメイン・ステーリング: 134.5ポンド(61.0キロ)
[暫定王者]ピョートル・ヤン: 134ポンド(60.78キロ)

<ウェルター級/5分3R>
ジルベウト・ドゥリーニョ・バーンズ: 170ポンド(77.11キロ)
カムザット・チマエフ: 170ポンド(77.11キロ)

<女子ストロー級/5分3R>
マッケンジー・ダーン: 115.5ポンド(52.38キロ)
ティーシャ・トーレス: 115.5ポンド(52.38キロ)

<ライト級/5分3R>
ビンチ・ピチェル: 155.5ポンド(70.53キロ)
マーク・マドセン: 155ポンド(70.31キロ)

<ウェルター級/5分3R>
イアン・ギャリー: 170.5ポンド(77.34キロ)
ダリアン・ウィークス: 170.5ポンド(77.34キロ)

<ヘビー級/5分3R>
ジャイルジーニョ・ホーゼンストライク: 252.5ポンド(114.53キロ)
マルチン・ティブラ: 253ポンド(114.75キロ)

<女子バンタム級/5分3R>
アスペン・ラッド: 136ポンド(61.69キロ)
ラケル・ぺニントン: 134.5ポンド(61.0キロ)

<ウェルター級/5分3R>
ミッキー・ガル: 170.5ポンド(77.34キロ)
マイク・マロット: 170.5ポンド(77.34キロ)

<ヘビー級/5分3R>
アレクセイ・オレイニク: 244ポンド(110.67キロ)
ジャレッド・ヴァンデラ: 266ポンド(120.65キロ)

<ミドル級/5分3R>
アンソニー・ヘルナンデス: 186ポンド(84.37キロ)
ジョシュ・フレムド: 185.5ポンド(84.14キロ)

<女子ストロー級/5分3R>
ピエラ・ロドリゲス: 115ポンド(52.16キロ)
ケイ・ハンセン: 118.5ポンド(53.75キロ)

<バンタム級/5分3R>
ジュリオ・アルセ: 136.5ポンド(61.91キロ)
ダニエル・サントス: 135ポンド(61.24キロ)

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【UFC273】新型マクレガー=イアン・ギャリー─01─「カレッジを辞めて、MMAにJUMP INした」

【写真】キレキレの打撃とは対照的に、少年のような口調で語るイアン・ギャリー=アイリッシュMMAファイターが何もマクレガー流を踏襲するだけでないことが、よ~く理解できた(C)MMAPLANET

9日(土・現地時間)、フロリダ州ジャクソンビルのヴィスター・ベテランズ・メモリアル・アリーナでUFC273が開催される。

UFC世界フェザー級選手権試合=王者アレックス・ヴォルカノフスキー✖挑戦者ジョン・チャンソン、UFC世界バンタム級王座統一戦=正規王者アルジャメイン・ステーリング✖暫定王者ピョートル・ヤンの2つの世界戦に加え、ジルベウト・ドゥリーニョ✖カムザット・チマエフという注目カードが組まれた今大会のプレリミマッチにヒューチャーの異名を取るイアン・ギャリーが出場、UFC2戦目=ダリアン・ウィークス戦に臨む。

1997年11月生まれの24歳は、19歳でアマMMAを始め5年で最高峰に辿り着いた。コナー・マクレガー後のアイリッシュMMA、いや世界のMMAをリードする可能性すらあるMMAの未来=イアン・ギャリーに初インタビュー。コナー・マクレガー、そのやり口をコピッたBellatorのジェイム・ギャラガー、アイルランドMMA界の新鋭は──マクレガーへの憧れでいっぱいという内面のなかで、その真逆の感性を持っていた。


――パンデミック以前は欧州のMMA大会は、日本では深夜2時や3時のスタートで終了時がUFCのスタートと重なるためにストリーミングがあっても、ほとんど見過ごしていました。それがコロナ禍で世界各国のMMAが活動休止になり、決して多くないプロモーションが無観客で活動を再開。その頃からCage Warriorsも可能な限り視聴するようにしていたのですが、そこで見た──飛び切り活きの良い選手がイアンでした。すると7戦目でウェルター級王者になり、8戦目でUFCデビューと瞬く間に世界の最高峰に到達しました。

「おお、日本ではそんな真夜中にCage Warriorsは中継されているんだね。いやぁ、それなのに僕の試合を視てくれていたなて嬉しいよ。本当にありがとう」

──いえ、フィーダーショーから可能性のある若い選手が出てくるのを見るのが、楽しくてしょうがないんですよ。ところでアイルランドは今やMMAのパワーハウスの一つですが、イアンがMMAを始めたきっかけは何だったのでしょうか。

「MMAに興味を持ったのは、コナー(マクレガー)の影響だよ。彼の活躍と成功をずっと追っていて、試合も夢中になって視ていた。そして『僕もMMAをやりたい』って思うようになったんだ。その時はカレッジの学生だったけど、学校を辞めてMMAファイターになることを決めたんだ。このスポーツに身を置きたいと思ってね。

コナーを見ていたら、自分がカレッジでやっていることってなんなんだろう?って感じるようになった。そうしたら、『こんなことやっていられない。これ以上、ここに居たくない』って居ても立ってもいられなくなったんだ。そしてジムにジャンプインした(笑)。

テレビで視ていた本当に美しい戦いを習うことができるようになって。僕はコナーと同じ道を歩み始めたんだって──最高の気持ちになったよ。練習は凄く楽しかったよ」

──大学を辞めた? 

「そうだよ。自分で決めた。父にも母にも相談せずに学校を辞めたんだ」

──OMG!! 

「ジムに通うようになってから4~5年でUFCとサインできた。UFCデビュー戦はMSGだった。そして2戦目のPPV大会に出場できている。楽しい人生だよ」

──それまでに格闘技の経験はあったのですか。

「柔道だよ!!」

──えっ、いやあれだけシャープな打撃の持ち主なのにベースは柔道なのですか。

「ボクシングはやっていたよ。10歳から14、15歳までボクシングをしていて──父親に連れられて始めたんだけど、なんで人を殴って自分も殴られるようなことをやっているのか、どういう意味があるだって考えるようになっていたんだ。顔を腫らして、さ。そんなときに柔道と出会った。見た感じでも、柔道はイカしていたよ」

──柔道がクールだったのですか。

「そうだよ。学校が終わって宿題を家でやっているより、ずっとクールだったよ。すぐに週に3回か4回は柔道場に通うようになった。柔道を習っていたことでマーシャルアーツに欠かせない規律、尊敬心を学ぶことができたんだ。それはMMAを始めてからも生きているよ。アイリッシュ・クラブというアイルランドで一番の柔道クラブで練習できていて……18歳で黒帯になったんだ。練習するメンバーのなかでも、トップの連中は日本に行って練習していたよ。

僕も彼らと一緒に日本で稽古したいと思っていたけど、それは実現しなかった。僕にはそれに見合った力がなかったからね。日本まで行って練習していた友人たちは五輪を目指すようなレベルだったんだ。それに僕にとって柔道はどれだけ懸命にやっても、返って来るものは少なかった。国際大会で戦ったことはないし、せいぜいイングランドまで遠征して試合に出ていたぐらいかな。それでも柔道の試合に出ることが大好きだった。それは今、MMAをやっていて最高の気分でいるのと同じことで。

ただし、僕が柔道の試合に出ている期間はそれほど長くなかった。黒帯になってから、翌年にはアマチュアのMMAにデビューしたからね。でも、僕にとってオリンピックに出て活躍する柔道家は本当の天才なんだよ。そんな柔道をやっていたことで、学べた心境というのは何物にも代えがたいモノなんだ。

今はMMAに専念しているけど、いずれMMAで第一線から退く時が来る。その時はまた柔道の練習をして、日本で試合をしたいと思っている。それに柔術だって続けたいし、日本で柔道や柔術の試合に出ることだってあるかもしれないよ」

──ぜひ講道館を案内します。

「おお、サンキュー。ホント、そういう日が来るのも楽しみだよ。講道館で稽古がデキれば最高の経験になるね(笑)。今、MMAをやっていて柔道で学んだ技術云々よりも、柔道で身に着けることができた人間の内面性が凄く役立っていると思う」

──とはいえ規律、尊敬心といってもコナー・マクレガーがケージ内外で見せていたことは、全く真逆のことだと思うのですが……。

「ホント、その通りだ(笑)」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
3月10日(日・日本時間)
午前7時00分~UFC FIGHT PASS
午前11時00分~PPV
午前11時00分~WOWOWライブ

■UFC273対戦カード

<UFC世界フェザー級選手権試合/5分5R>
[王者]アレックス・ヴォルカノフスキー(豪州)
[挑戦者]ジョン・チャンソン(韓国)

<UFC世界バンタム級統一戦/5分5R>
[正規王者]アルジャメイン・ステーリング(米国)
[暫定王者]ピョートル・ヤン(ロシア)

<ウェルター級/5分3R>
ジルベウト・ドゥリーニョ・バーンズ(ブラジル)
カムザット・チマエフ(スウェーデン)

<ウェルター級/5分3R>
ケヴィン・ホランド(米国)
アレックス・オリヴェイラ(ブラジル)

<女子ストロー級/5分3R>
マッケンジー・ダーン(ブラジル)
ティーシャ・トーレス(米国)

<ライト級/5分3R>
ビンチ・ピチェル(米国)
マーク・マドセン(デンマーク)

<ウェルター級/5分3R>
イアン・ギャリー(アイルランド)
ダリアン・ウィークス(米国)

<ヘビー級/5分3R>
ジャイルジーニョ・ホーゼンストライク(スリナム)
マルチン・ティブラ(ポーランド)

<女子バンタム級/5分3R>
アスペン・ラッド(米国)
ラケル・ぺティントン(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ミッキー・ガル(米国)
マイク・マロット(カナダ)

<ヘビー級/5分3R>
アレクセイ・オレイニク(ロシア)
ジャレッド・ヴァンデラ(米国)

<ミドル級/5分3R>
アンソニー・ヘルナンデス(米国)
ジョシュ・フレムド(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
ピエラ・ロドリゲス(ベネズエラ)
ケイ・ハンセン(米国)

<バンタム級/5分3R>
ジュリオ・アルセ(米国)
ダニエル・サントス(ブラジル)

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【UFC】再契約なった──超ド級のリア充、佐藤天「もう1度、土俵に立てるので借りを返して上へ」

【写真】根っからの笑顔も久しぶりに見たような気がする (C)MMAPLANET

1月12日(土・現地時間)、フロリダの佐藤天から「試合の日程は決まっていないんですが、UFCと再契約することが決まりました! 今日明日には契約書も出してくれます」という連絡が入った。

2020年11月を最後に、試合のオファーとともに契約更新という宙ぶらりんの状態で、いつあるか分からない緊急オファーに備え練習に精を出してきた。そんな厳しい時間にようやく終止符を打つことができた佐藤に、改めてインタビューを申し込んだ。

時を同じく平良達郎のUFC契約の報がJ-MMA界をわかせた今、佐藤天の心境をお伝えしたい。


──UFCと契約がなったと連絡を頂いていたのに取材が遅くなってしまって申し訳ありません。

「いえ、とんでもないです。あの日にコーチとマネージャーの(ヒラタ)シュウさんとミーティングをして『今日中に決まらないなら、PFLにしよう』という状況でした。次の週の大会のオファーがあったのですが、ビザの発給が間に合うかどうか。コロナの関係で3、4週間掛かるということでしたけど、ここでビザが出ないなら次のオファーはいつになるか分からない。それならPFLと契約するつもりになっていました。

結局、ビザは間に合わないということだったのですが、ショーン・シェルビーが『契約書を先に出す』と言ってくれたんです」

──さっさとそうしてくれれば良かったのに……という想いは?

「UFCも上場したので、契約に関して時間が掛かるようになっていて。試合のオファーの時に契約書を出すということで、同じように待たされているチームメイトも何人かいました。今はオファーがない状態で契約書を出すことが難しくなっているそうです。でも、最後の最後のタイミングで複数試合契約できることになりました」

──気持ちはどれぐらいPFLに向いていたのでしょうか。

「最後の最後までUFCで戦いたいという気持ちでした。ただヘンリー(フーフト)やグレッグ(ジョーンズ)も僕がUFCでやりたいことを十分に理解したうえで『最後の最後、これで無理なら、試合ができないという事態は避けるべき。それだったらPFLでコンスタントに戦おう』という風に言っていましたね。

なのでPFLで戦うという覚悟は決まっていました。UFCでやりたい、1回でも良いからという気持ちは変わっていなかったです」

──そういうなかで契約がなった。素直にどう思われましたか。

「願いは通じるんだなって。ビザとか自分がコントロールできないことだし、ショーン・シェルビーも『枠に入れるようにやっている。それでも難しかったら、PFLでの条件を良くしてもらうように掛け合う』とまで言ってくれていたんです」

──なんと、そこまでですか。

「ハイ。そういうことで決まったのは、素直に嬉しかったです。自分だけの願いじゃなくて、応援してくれる人もそうだし。カミ(バルジニ)も『良かった。ずっと祈っていたんだ』って次の日の練習前に連絡をくれて。皆が僕のことを思ってくれているなか、またスタート地点に立てることが凄く嬉しかったです」

──運を天に任せた。そういう状態で、諦めないからといって願いは叶うものではありません。でも、見切りをつけてPFLにしていれば今回の契約はなかったですね。

「PFLとサインするというタイミングは何度もありました。それでも1パーセントでもUFCの可能性があるなら──と見送ってきました。シュウさんも僕に試合を組ませたいという気持ちがあって、条件面も考えてPFLの話をしてくださっていたので、やり辛かったと思います。でも、僕のそういう気持ちをくんで本当に粘り強くUFCと話してくださいました。この間、シュウさんと密に連絡を取ってきて、立てた方針は他のマネージメントと同様のものですし。しっかりと話して、理解をし合ってここまで来られた。感謝しています」

──PFLは1年間でスケジュールが確定しますし、2試合は確実で。勝てば3試合、4試合とあるので決して悪い話ではないです。自分は日本からPFLに挑戦する選手も出てきてほしいと思っています。

「ハイ。僕もあのタイミングで無理なら、PFLで一生懸命にやるつもりでした。PFLは良い選手が集まっていますし、試合を視るのも好きで。もちろん、簡単に勝てる場所ではないです。でも本当に少しでUFCの可能性があるなら、そこは諦められなかったです。プロである限り、目の前のお金のことも考えないといけないです。ただし、結果が出ていないなかで、そこを一番に求めることは──自分が追い求めてきたものとは違います。UFCの最後の試合で負けていますし、2敗している。借りを返して、上を目指したいです」

──契約が取れた。それから3週間が過ぎましたが、気持ちの方は違いますか。

「いつでもスクランブルで戦えるように準備をしている。そこに変わりはないし、練習に向かう気持ちやモチベーションンはこれまでと同じです。ただ、夜に今後について考えたり、そういうことから開放されたので楽ですね。ただ一度跳ね返されたので、しっかりと勝てる……勝っていけるようにしていきます」

──この間、カザフスタンからシャクハト・ラクモフなど新しい選手の台頭がウェルター級でもあります。

「シャクハトはサンフォードで、キャンプをするので試合前は一緒に練習しています。練習中は凄く強いわけじゃないのですが、頭が良いです。度胸もあるし、自分の強さを本番で出す強さがあります。練習中は穴があっても、試合ではそこを見せないです。

あとミシェウ・ペレイラと試合をしたアンドレ・フィアーリョも一緒にやっています。彼も僕と同じように1年ぐらいUFCのオファーを待っている状態で、試合がないからUAEWに出場したりしていたのですが、5日ぐらい前のオファーでサインをして。それにイアン・ギャリーも、いますよ」

──あのアイルランドの新鋭ですか。

「ハイ。組みは課題ですが、打撃は良いですね。大舞台で結果を出す器、華があります」

──カザフスタン、ポルトガル、そしてアイルランドからやってきた選手達と、佐藤選手は日々練習しているわけですね。

「だから……こっちにいないと、日本にいると分からないことが多すぎます。そこがこっちと日本の差が広がる理由の一つだと思います。ジルベウト・ドリーニョがいて、ビセンチ・ルケもいます。メジャーと契約していなくても、LFAに出ていたタイラー・レイとか強いですし。PFLのシーズン中はローリー・マクドナルドもいました」

──凄まじいメンバーです。

「で……やっぱり皆、UFCで戦いたいんですよ。色々な国から、家族を国においてまでやってきて練習している。何も僕がやっていることは特別じゃない。色んな国から気合が入っている連中が集まっているので居心地が良いです。スクランブルのオファーに文句を言うヤツなんていない。僕はそういう連中がいる、ここが好きです」

(C) TEN SATO

──そういう佐藤選手を支える存在に関してですが……。佐藤選手の彼女が美人でヤバいというTwitterの投稿があるという話が伝わって来たのですが。

「あぁ、それはDropkickさんのインタビューでシュウさんから、彼女のことを尋ねてというリクエストがあったそうで(苦笑)。それでインタビューで話して……」

──あぁ、そういうことですか。発信源は自分でないことを伝えたくて。彼女さんの話題は、若松佑弥選手としか話題にしていなかったですよ(笑)。

「初めて食事に行った時、ちょうど佑弥が来ていた時なんです。で家に戻ったらアイツが『天さん、何ニヤニヤしてんですか。どうだったんスか』って(笑)。次に会ったのはドゥリーニョの試合を見に行った時で。3度目のデートの後から付き合うようになりました」

──この間、実は彼女の存在がないと佐藤選手は心が折れてしまっていたんじゃないかと思っていました。

「いやいやいや、そんなことはないですよ。それは別です。ただ練習に身は入りましたね(笑)。この間も色々と話を聞いてくれましたし……」

──厳しい状況が続いていても佐藤選手は彼女さんの話になると、表情が明るくなって。現地の写真を記事用に送って欲しいとお願いすると、さりげなく彼女の写真もあって(笑)。

彼女さんはプロのチェロ演奏者だそう。お幸せに。岡田遼の歯ぎしりが聞こえてきそうだ……(C)TEN SATO

「アハハハハ。彼女も喜んでくれました。

付き合う前に、初めて食事をすることになった時、そろそろ試合があるという話だったので『緊急のオファーを待っているので、試合が終わったら会いましょう』って……。で、それを何度か繰り返して、全然試合が決まらなくて。『なら、もう会いましょう』っていうのが始まりでした。何カ月も連絡だけしていて。あの間があったから、今があると思います」

──御馳走様です(笑)。超ド級のリア充の佐藤選手ですが、あとは試合がいつになるのか。

「遅くとも5月中の試合にオファーをする。それまでもショートノーティスで声を掛けることもあるから、準備をしておいてくれ──ということです。これまで通りです。平良選手もUFCと契約して、また日本でも注目度が上がるかと思います。

僕も契約したからOKでなく、ここからが大切です。今度は結果を残します。本当にあとはやるだけです。もう1度、UFCという土俵に立てるので借りを返して上にいく。UFCでも勝てるということを証明します。そのためにこっちにいるので」

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Bu et Sports de combat イアン・ギャリー ジョーダン・ウィリアムス ブログ 剛毅會 岩﨑達也 武術空手

【Bu et Sports de combat】武術的な観点で見るMMA。ギャリー✖ウィリアムス「負けて頂き有難う」

【写真】相手の自滅で勝つ。自らの自滅で負ける。自らの技量が勝つ、自らの技量で敗れる。これが勝負事は表裏一体で、前者の方が多いのかもしれない (C)Zuffa/UFC

MMAと武術は同列ではない。ただし、武術の4大要素である『観えている』状態、『先を取れている』状態、『間を制している』状態、『入れた状態』はMMAで往々にして見られる。

武術の原理原則、再現性がそれを可能にするが、武術の修練を積む選手が試合に出て武術を意識して勝てるものではないというのが、武術空手・剛毅會の岩﨑達也宗師の考えだ。距離とタイミングを一対とする武術。対してMMAは距離とタイミングを別モノとして捉えるスポーツだ。ここでは質量といった武術の観点でMMAマッチを岩﨑師範とともに見てみたい。

武術的観点に立って見たイアン・ギャリー✖ジョーダン・ウィリアムスとは?!


──アイルランドMMAの未来、イアン・ギャリーのUFC初戦でした。

「序盤、対戦相手のジョーダン・ウィリアムスが良かったです。ウィリアムスが距離を取ってカウンター狙いで、そこのギャリーが入れなかった。そこに入っていくと、やられるからローを出すとかぐらいで、あそこから何があるということではなく、何もできないからアレを出す。そして前に出ることができていなかったです。

この試合を見る限りでは、ギャリーもカウンターファイターなのかと思いました。そういうなかで後の先を取ったのはウィリアムスだった。つまり先の先を取るパンチがギャリーになかったということですね。

ギャリーの方がリーチが長いのに、入ることができていなかったですから。自分より小さな選手にカウンターを合わせるのは上手いかもしれないです。結果的に勝ったのもそういうカウンターの右ストレートでしたから。

両者の質量はそれほど変わらないのですが、序盤はウィリアムスが間を制していました。そして先を取っているのもウィリアムスです。先の先、後の先だろうが先を取らないと当てることはできないわけで。ウィリアムスもカウンター狙いで、自分から攻めているわけではなかったのですが、後の先を取っていたことになり、ギャリーは先の先を取っていないから入れなかった。前に出られなかったです」

──そのように序盤は優位だったがウィリアムスですが、なぜ組んでいったのでしょうか。そのままでも良かったのに、組んで行ってからペースを失っていったように感じました。

「あれですねぇ。なぜ、あの流れで組むのかは理解できないです。考えられるとすれば、あの短時間で疲れてしまったのか、打撃戦を続けることに。あそこで組みに行くって、メチャクチャですよね。体を入れ替えられて、テイクダウンも取れなかったわけですし。

あのクリンチの展開から、打撃に戻った時にはウィリアムスの質量はメチャクチャ落ちていました。その状態で自分から打ちに行くという武術では絶対にしてはいけないことをやり、ギャリーがカウンターの右を合わせてKOしました。言ってしまえば、そういうことです。クリンチの展開の前と後の違いは何だ、と。あんなに風になるのは、バテてたからとしか考えられないです。あの短時間で。

まぁ武術的に見れば、序盤の打撃戦で先の先、後の先を考えるなら分かりやすい試合でした」

──UFCの初戦は力が発揮できない。UFCジッターという言葉があります。

「緊張してしまうのですね。これまで通りの試合が、UFCという場で期待値が増すとできなかった。それはやはり再現性がないからです。とにかく指導者の役割とは、色々な個性のある選手たちに対して原理・原則を徹底して練習させることだと思うんです。

スパーリングを5Rとか、7Rしたという練習で選手たちは達成感があります。ただし、それで試合の準備になっているのかということなんです。試合から逆算して考えると、イアン・ギャリー陣営としてはUFCジッターという事例が以前に存在しているなら、そこも引き算して準備をしないといけない。

試合の準備って、本当に引き算が多いです。ただし、足し算でやってしまうことが多々あります」

──高く見積もってしまうわけですね。

「そんなことできないですよ。本来は。指導中の指示、セコンドの指示、そこは本当に考えないといけないです。『ローでも良いんだよぉ』なんて言われても、『じゃあ、何でも良いだろう』ってなっちゃうじゃないですか。その指示の意図はどこにあるのか、そこをしっかりと考える必要があります。

話をギャリーに戻すと、それでもアレだけ攻められても、しっかりとKO勝ちしている。それはウィリアムスが自滅したから。だから、勝ちにつながった。MMAって、そういうことが多いです。勝負ごとは」

──確かに、相手が自滅した。相手が勝たせてくれた。この連載中によく聞かれる言葉です。

「勝ったからといって浮かれるのではなく、相手に対して『負けていただきありがとうございます』という気持ちで試合後を過ごしたいですね。もちろん、ケージの中で嬉しさを表すのも勝利者インタビューで威勢の良いことを話すのもありです。ただし、そこから一歩下りれば、相手が負けてくれたという想いを大切にしたいと思います。自分自身のために。

勝負って強いから勝つより、相手が負けてくれることが多いです。ここは本当に試合の真理で。ウィリアムスがバテた。だからギャリーが勝ったなんて、何にも面白くない結論ですよ。でも、そこにリアルがあることを見つめないといけないんです。

選手たちは勇敢で、勝つ気満々でいても、そこは早く家に帰って寝たいという気持ちと常に裏腹です。そこを捉えて、指導をしなければならないです。相手だって帰りたい。自分だって帰りたい。そういうなかで折れないことが大切なんです」

──疲れたウィリアムスが自滅し、ギャリーは勝たせてもらったと。

「それでも、ああいう最後の技を持っている選手がどれだけ日本にいるのか。そこを考えると、ギャリーは最後の右を正確に使っていました。アイルランド、英国系は拳闘に強い。UFCジッターがあったかもしれないし、ウィリアムスは序盤が良かったのに、疲れてダメになったのもあります。それでも、アレを使って勝てるのは……練習環境から、何かあるのでしょうね。次も見てみたい選手です」

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MMA UFC UFC268 イアン・ギャリー キック ジョーダン・ウィリアムス

【UFC268】UFCジッターなし。下がりながらの右でギャリーがウイリアムスをKO。「未来はここにある」

<ウェルター級/5分3R>
イアン・ギャリー(アイルランド)
Def.1R4分59秒by KO
ジョーダン・ウィリアムス(米国)

サウスポーのウィリアムスが左ロー、続いてギャリーのローに左を合わせる。ギャリーは左ジャブを当て、ウィリアムスのローからワンツーをかわすも右を出したところでワンツーを打たれる。右ハイを見せて右に回るギャリー、続いて左に回りジャブもウィリアムスの圧が上回る。ガードの低さをつくようなウィリアムスのパンチは、ヘッドムーブにも下からアッパーで対応している。

引き続き左右に動くギャリーに対し、左フックを空振りしたウィリアムスがシングルレッグからクリンチでケージに押し込む。左を差して体を入れかえたギャリーだが、再びウィリアムスが押し返す。ギャリーはダブルを切ってヒザも、ウィリアムスが左フックを振るう。このタイミングで体を入れ替えたギャリーがヒザを2発見せてから間合を取ることを選択した。

直後に左ハイを放ったギャリーは、ウィリアムスの右をかわして胸が合う距離に。ここから離れ際にウィリアムスが左をヒットさせる。さらに右ハイに左を当てたウィリアムスは、パンチの圧で上回る。ハイキックにもウィリアムスは前進して左フック。これをかわしたギャリーは下がりながら右ストレートを打ち込み、一発KOを決めた。

アイルランドの実力派超新星もUFCジッターかと思われた展開から、ラウンド終了1秒目のKO劇。インタビュー前に「未来はここにある。アイリッシュマンがUFCを取る。僕の時代だ」と勝利者コール前にイアン・ヒューチャー・ギャリーはカメラに向かった話した。


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BELLATOR Cage Warriors CJ・ヴェルガラ GLORY LFA MMA UFC UFC268 アレックス・ポアタン・ペレイラ イアン・ギャリー カマル・ウスマン コルビー・コビントン ジャスティン・ゲイジー ジャン・ウェイリ フランキー・エドガー ブルーノ・ソウザ ブログ マイケル・チャンドラー マルロン・ヴェラ ローズ・ナマジュナス

【UFC268】計量終了 2つの世界戦にゲイジー✖チャンドラーのメガショー。敢えて注目はペレイラ&ギャリー

【写真】公開計量でも色々と口やかましかったコビントンと王者ウスマン(C)Zuffa/UFC

6日(土・現地時間)、ニューヨーク州ニューヨークのマジソン・クスエア・ガーデンで開催されるUFC268「Usman vs Covington2」の計量が5日(金・同)に行われた。

最高のカードが並んだMSG大会のメインはUFC世界ウェルター級選手権試合。カマル・ウスマンにコルビー・コビントンが挑む一戦だ。両者は1年11カ月前に戦っており、その時は最終回にウスマンがコビントンをKOしている。


コメインはUFC世界女子ストロー級選手権試合=王者ローズ・ナマジュナス✖ 挑戦者ジャン・ウェイリ戦。ウェイリが笑顔で右手を差し出すと、王者はその手を握り返したものの表情に感情は見られなかった。

「MSGが私の力を見せる機会を与えられて、とても嬉しい」と元王者は話し、ナマジュナスは「天の父にただ感謝している。父無くして、何もできていなかった。ウェイリ、UFC、NYCの人々に感謝している。皆はもっともタフで私をインうパイアしてくれた。私がベストと尽くした時、神は私がベストなのは神の意志だから」と話した。

フランキー・エドガーと対戦するマルロン・ヴェラにNYのファンはブーイングを送り、エドガーにはこの日一番といっても過言でない大きな声援が送られた。

激闘必至のライト級マッチ=ジャスティン・ゲイジー✖マイケル・チャンドラー、WSOFとBellatorの世界ライト級王者対決は、両者揃ってタイトル戦で敗れてからの再起戦となる。大一番を前にして、フェイスオフでは両者揃って余裕の笑みを浮かべ大物ぶりを見せつけていた。

Fight Night大会なら全てがメインといえるタイトルマッチ以外のワンマッチが並んだメインカード。対してプレリミにも注目のニューカマーが出場する。

プレリミメインでアンドレアス・メケイリディスと対戦するのはアレックス・ポアタン・ペレイラは、元GLORY世界二冠王で、キック時代にイスラエル・アデサニャから2勝を挙げている。Gloryと契約中にLFAでも戦っていたペレイラは、9月に世界ライトヘビー級王座を失ったことで、UFCとサインし今大会でのデビューが決まった。

MMAでは3勝1敗だが、MSGという大舞台が似合った大物ルーキーは非常に落ち着いた表情で、メケイリディスの目から視線を外すことはなかった。

もう1人の注目選手はジョーダン・ウィリアムスと戦うイアン・ギャリーだ。ギャリーはCage Warriorsウェルター級王者からUFCにステップアップを果たした。

ボクシング歴10年のギャリーはワンツーの右、左リードフックに絶対的な破壊力を持ち、左ハイキックでKOもできる。組みでもスクランブルでフロント系チョークを得意としており、柔道流の投げや抑えも強い。その一方で、技を散らしすぎて器用貧乏的な状態に陥ることもあるが、それも有り余る才能を持っている証といえる。

そのギャリー、フェイスオフではしっかりとウィリアムスと握手を交わし、何か目立ったアクション=スタンドプレーに走ることなくステージを下りた。

またマルシック・バクダサリアンと戦う、LFAフェザー級王者でシンゾー・マチダの愛弟子ブルーノ・ソウザも今回がオクタゴン初陣となる。そのソウザ、計量では148.4ポンドと1ポンド・オーバー規定よりもさらに2.4ポンド重く、キャッチウェイト戦を戦うことになっている。

■視聴方法(予定)
11月7日(日・日本時間)
午前8時00分~UFC FIGHT PASS
午前11時~PPV
午前11時~WOWOWライブ

■UFC268計量結果

<UFC世界ウェルター級選手権試合/5分5R>
[王者] カマル・ウスマン: 169ポンド(76.66キロ)
[挑戦者]コルビー・コビントン: 169.4ポンド(76.83キロ)

<UFC世界女子ストロー級選手権試合/5分5R>
[王者] ローズ・ナマジュナス: 115ポンド(52.16キロ)
[挑戦者]ジャン・ウェイリ: 115ポンド(52.16キロ)

<バンタム級/5分3R>
フランキー・エドガー: 135.6ポンド(61.5キロ)
マルロン・ヴェラ: 135ポンド(61.24キロ)

<フェザー級/5分3R>
シェーン・バーゴス: 145.6ポンド(66.04キロ)
ビリー・クゥアンティロ: 145.4ポンド(65.95キロ)

<ライト級/5分3R>
ジャスティン・ゲイジー: 155.6ポンド(70.57キロ)
マイケル・チャンドラー: 155.2ポンド(70.39キロ)

<ミドル級/5分3R>
アンドレアス・メケイリディス: 185ポンド(83.91キロ)
アレックス・ペレイラ: 185.8ポンド(84.27キロ)

<ライト級/5分3R>
アル・イアキンタ: 155.8ポンド(70.66キロ)
ボビー・グリーン: 155.2ポンド(70.39キロ)

<ミドル級/5分3R>
フィル・ホーズ: 185.4ポンド(84.09キロ)
クリス・カーティス: 186ポンド(84.37キロ)

<ミドル級/5分3R>
エドマン・シャバジアン: 185.5ポンド(84.14キロ)
ナソーディン・イマボフ: 184.6ポンド(83.73キロ)

<ウェルター級/5分3R>
ジョーダン・ウィリアムス: 170.6ポンド(77.38キロ)
イアン・ギャリー: 169.6ポンド(76.92キロ)

<ヘビー級/5分3R>
ジャン・ヴィランテ: 260.6ポンド(118.2キロ)
クリス・バーネット: 263.8ポンド(119.65キロ)

<ライトヘビー級/5分3R>
ダスティン・ジャコビー: 203.6ポンド(92.35キロ)
ジョン・アラン: 205ポンド(92.99キロ)

<フェザー級/5分3R>
マルシック・バクダサリアン: 145.4ポンド(65.95キロ)
ブルーノ・ソウザ: 148.4ポンド(67.31キロ)

<ヘビー級/5分3R>
CJ・ヴェルガラ: 127.4ポンド(57.78キロ)
オード・オズボーン: 125.2 ポンド(56.78キロ)

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MMA UFC UFC268   イアン・ギャリー カーロス・ヴェルガラ フランキー・エドガー ブルーノ・ソウザ ボビー・グリーン マルロン・ヴェラ 海外

【UFC268】MSGでエドガーと対戦、マルロン・ヴェラ「オキナワのチキンカツはアリガト・フードだ!!」

【写真】長髪でイメージが変わったチート・ヴェラ。巻き舌の英語を流ちょうに操っていた(C)MMAPLANET

6日(土・現地時間)、ニューヨーク州ニューヨークのマジソン・クスエア・ガーデンでUFC268「Uaman vsCovington2」が開催される。

UFC世界ウェルター級選手権試合= カマル・ウスマン✖コルビー・コビントン、UFC世界女子ストロー級選手権試合/5分5R= ローズ・ナマジュナス✖ジャン・ウェイリ。2つの世界戦だけでなく、試合が始まる前からベストファイトが決定的なジャスティン・ゲイジー✖マイケル・チャンドラー、プレリミでもアレックス・ペレイラ、イアン・ギャリーという注目のニューカマーが出場するなど、NYのUFCは常に年間最高のラインナップが揃っている。

そんなMSG大会のコ・メイン前の1戦で、エクアドル人ファイターのマルロン・チート・ヴェラがフランキー・エドガーと対戦する。ノンストップアクションの新旧対決、レジェンドに挑むチートにこの試合に向けての環境の変化、そして未知のエクアドルMMAワールドについて尋ねた。


──今週末、MSGでフランキー・エドガーと戦います。今の気持ちを教えてください。

「MSGで戦えるなんて、僕の人生で一番大きな出来事だよ。本当にハードなファイトをこの機会にしたいと思っている。そのために過去最高の状態を創ってきたよ」

──今回、Team OyamaでなくRVCAトレーニングセンターでキャンプをしたそうですね。

「チーム・オーヤマでは随分と長い時間を過ごしてきた。何か新しい環境に身を置きたいと考えるようになっていたんだ。より自分にフィットした環境を探していた。ファイトは個人戦だ。だけどチームが存在する。そういう状況で、もっと成長できるチームがないかということを考えてきた。

チーム・オーヤマという環境に問題があったわけじゃないし、人間的に居心地が悪いということは一切ない。凄くハッピーな時間を過ごさせてもらった。ただRVCAのヘッドコーチのジェイソン・パリロとはより良い関係になり、自分の心の声に従ったんだ。

僕には何かが必要だった。そして、今、言えることはもっと早くに動きべきだったということ。でも人生は勉強の連続だからね」

──チートはTUFラテンアメリカのキャストから2014年にUFCと契約しましたが、もともとエクアドルにいて、どのようにMMAファイターを目指すようになったのですか。

「僕は子供の頃から、ずっと喧嘩に明け暮れるような生活をしていた。そして、16歳の時にUFCを知り、ファイトを自分の生活の糧にしようと思ったんだ。MMAこそ、僕のために存在するように感じた。ただし、当時はMMAのジムがなかったから、柔術のスクールで練習を始めたんだよ」

──今現在、エクアドルのMMAの普及状況は?

「今は僕がトレーニングを始めた時と違い、多くのMMAジムがエクアドルにもあるよ。それにいつの日かUFCで戦うことを夢見て、メキシコで練習しているファイターも多い。そのためにコンテンダーシリーズとの契約を目指すという感じだよね。

エクアドルではメジャーなMMA大会はなく、小さなモノばかりだ。僕もエクアドルのファイターがもっとUFCと契約するようになるには、国を離れて印象に残る試合をしないといけないと常に発言している」

──チートがペルーのインカFCで戦っていたように?

「そうだね。より良い環境やチャンスを求めて国を離れるという状況ではあるということだよ。小さな国だけど、多くの人間がファイトを求めている。才能の豊かな人間は多いんだ。でもファイトの機会がない。より強くなるためには海外のジムへ行くべきだし、そうなっても米国に行くにはビザの取得が困難だ。

ならメキシコ、ブラジルのジムで練習して、試合をすること。なかなかそうもいかないから、才能の持ち腐れ状態になっているのは確かだ。僕がもっと活躍して、UFCをエクアドルで開けるようになりたいね。そのためならどんなことでもサポートするよ」

──まさに今回のようなビッグファイトをモノにしないといけないですね。

「そうだね。フランキーはタフな相手だ。強い、簡単な試合にはならない。だからこそ、ハードなトレーニングをしてきた。15分間、もつれるような試合になるだろう。それが楽しみでもあるからこそ、しっかりと準備をしてきた」

──チートの試合は常にハイペースで、動き続けていますね。

「でもフランキーの時代はもう終わっている。これからは僕の時代だ。ここで勝ってトップ10入りして、タイトルショットを得る足掛かりにしたい。バンタム級は群雄割拠状態だけど、この試合を皮切りに世界の頂点に駆け上がるつもりだ。

今はとにかく目の前にいるフランキー・エドガーに勝つことに集中し、そこからどんどん強い相手の戦っていきたい」

──チート、今日はありがとうございます。日本のMMAファンにメッセージをお願いします。

「米軍のセミナーで、オキナワに行ったことがあるんだ。チキンカツ、アミーゴ!! オキナワのチキンカツは最高だった。スシも食べた。チキン・カツはジャパニーズ・チキンカツとタイ・チキンカツを食べたけど、あんなに美味い食事はなかったよ。いつも、皆に『日本では最高の食事がある。アリガト・フードだ』って言っているだ(笑)。とにかく日本のファンも土曜日の試合を楽しんでほしい。フランキー・エドガーをフィニッシュし、新しいバンタム級タイトルコンテンダーの誕生を目撃してもらいたい。

今度はオキナワ以外の日本の街にも行きたいと思っているから、そのときはどこで美味しいチキンカツを食べることができるか教えてほしい」

■視聴方法(予定)
11月7日(日・日本時間)
午前8時00分~UFC FIGHT PASS
午前11時~PPV
午前11時~WOWOWライブ

■UFC268対戦カード

<UFC世界ウェルター級選手権試合/5分5R>
[王者] カマル・ウスマン(米国)
[挑戦者]コルビー・コビントン(米国)

<UFC世界女子ストロー級選手権試合/5分5R>
[王者] ローズ・ナマジュナス(米国)
[挑戦者]ジャン・ウェイリ(中国)

<バンタム級/5分3R>
フランキー・エドガー(米国)
マルロン・ヴェラ(エクアドル)

<フェザー級/5分3R>
シェーン・バーゴス(米国)
ビリー・クゥアンティロ(米国)

<ライト級/5分3R>
ジャスティン・ゲイジー(米国)
マイケル・チャンドラー(米国)

<ミドル級/5分3R>
アンドレアス・メケイリディス(ギリシャ)
アレックス・ペレイラ(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
アル・イアキンタ(米国)
ボビー・グリーン(米国)

<ミドル級/5分3R>
フィル・ホーズ(米国)
クリス・カーティス(ロシア)

<ミドル級/5分3R>
エドマン・シャバジアン(米国)
ナソーディン・イマボフ(フランス)

<ウェルター級/5分3R>
ジョーダン・ウィリアムス(米国)
イアン・ギャリー(英国)

<ヘビー級/5分3R>
ジャン・ヴィランテ(米国)
クリス・バーネット(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
ダスティン・ジャコビー(米国)
ジョン・アラン(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
マルシック・バクダサリアン(アルメニア)
ブルーノ・ソウザ(ブラジル)

<ヘビー級/5分3R>
カーロス・ヴェルガラ(米国)
オード・オズボーン(米国)

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Bu et Sports de combat Cage Warriors MMA UFC イアン・ギャリー ジャック・グラント ジョー・マッコルガン ボクシング 剛毅會 岩﨑達也 武術空手

【Bu et Sports de combat】武術的な観点で見るMMA。イアン・ギャリー✖グラント「英国の脅威」

【写真】イアン・ギャリー、近い将来にUFCへ進むのであろうか。(C)CAGE WARRIORS

MMAと武術は同列ではない。ただし、武術の4大要素である『観えている』状態、『先を取れている』状態、『間を制している』状態、『入れた状態』はMMAで往々にして見られる。

武術の原理原則、再現性がそれを可能にするが、武術の修練を積む選手が試合に出て武術を意識して勝てるものではないというのが、武術空手・剛毅會の岩﨑達也宗師の考えだ。距離とタイミングを一対とする武術。対してMMAは距離とタイミングを別モノとして捉えるスポーツだ。ここでは質量といった武術の観点でMMAマッチを岩﨑師範とともに見てみたい。

武術的観点に立って見たイアン・ギャリー✖ジャック・グラントとは?!


──今回、Cage Warriorsという大英帝国圏の大会から、ウェルター級王座決定戦=イアン・ギャリー✖ジャック・グラント戦の模様の解説をお願いします。

「はい。正直なところ初めて見た大会なのですが、このギャリーという選手は何歳ですか」

──21歳ですね。

「あれで、ですか……。途中で対戦相手となんか、喋っていなかったですか」

──はい(笑)。クリンチになると「お前、こんなことしたいのか?」、「誰も喜ばないぞ」とか言い合って、それで殴られると「これが好きだなんだ」と言い、「俺もだ」って返答して殴り続けたりしていました。

「アハハハハ。もうイッちゃっていますね。そうなってきたのも、分かります。かなり煮詰まっていましたからね。ただし、もうぶっちゃけて言うと、相当なレベルです。気持ちもUFCの上のほうの試合よりも、LFAやコンテンダーシリーズのようにハングリーで。英国を舐めちゃだめです。陽の沈まない国だったんだから。ところで、イアン・ギャリーは空手をやっていたのですか?」

──申し訳ないです。ボクシングをやっていたのは入ってきているのですが、蹴りに関しては分かりません。MMAが空手的になっているようなこともあるかもしれないです。

「あぁ、ボクシングですか。分かりました」

──?

「技術的には、ギャリーは下がれることが素晴らしいです。あの戦い方は自信がないとできない。倒すチャンスも、いくらでもありました。ただし、ボクシングのグローブだったら倒せるのかもしれないけど、MMAグローブでは倒しきれない。そういうパンチになっていますね。パンチの殺傷力はイマイチです。

それにしても、あの下がってジャブを入れたり、前足の蹴りは素晴らしいです。その一方で、打撃だけでなく何でもでき過ぎて、どうやって試合を組み立てていくのか、分からなくなっていったんだと思います。

先日、フィニッシャーとマネージャーという話をしましたが、ホドリゲスのようなファイターのほうがマネージメントとして、ギャリーを上回っています。

ただし、ギャリーは見る者を夢中にさせますよね。それと負けたジャック・グラントですか、あの選手は私には分からない寝技を次から次へと見せていました」

──確かにその通りだと思います。Xガードを狙ったり、サドルは当然でオールドスクールからノーポイント&サブオンリーの技術まで色々と駆使していました。MMAであそこまで競技柔術やノーギの技で勝負するファイターがタイトル戦線にくる。いやぁ、大英帝国のMMAソサイエティ、恐怖です。

「2人して、真剣勝負のエンターテイナーでしたね。ああやって戦う、その姿勢でUFCへ行きたいということを表しています。それにしても、前日にあったライト級タイトルマッチで勝ったジョー・マッコルガンにしても、考えさせられることは多いです。彼は決して上手くない。距離の取り方は下手なんです。それなのに前足がパタパタ動きながらでも、前に出てワンツーを打って倒すことができる。

ギャリーは距離の取り方は抜群です。でも、MMAグローブで倒せるパンチをこの試合では見せていなかった。だから、ギャリーのレンジコントロールとマッコルガンのパンチが合体すれば、すさまじいことになります。

それにしても英国で、こういうギャリーのようなプロモーションがスターにしたい選手という素材が生まれることは見逃せないです。第2のマクレガーを期待され、本人もそうなるためにハングリーです。あのグラントという相手の寝技を凌ぐことができ、あれだけの打撃がある。どれだけのことを普段の練習で積み上げてきたのか。ただし、色々とできるのも難しいことがあるんだと知りました。あれだけできる選手が、4Rと5Rに煮詰まってしまう。そういう意味では、これまでに見たことがないMMAでしたね。

志が高いから、あれだけなんでもできる。それを上手く処理できていないですが、そこを支えるMMA業界が英国にある。

こういうとアレですが、志が低いほうが努力しなくて楽なんです。ギャリーは志が高いから周囲からすれば、何をバカなことをやっているんだというぐらいの努力をしているでしょう。日本にもそういう人がいますよね。でもね、人生はそうやってバカなぐらい努力し、のめり込む奴が謳歌するんですよ。そういうバカが世の中を変える可能性を秘めています」

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【Cage Warriors125】打撃に注目のイアン・ギャリー、寝技への対応力に驚愕のウェルター級王座奪取

【写真】打撃で圧倒しろという意見もあるかもしれないが、これだけの幅の広いファイトと寝技への適応力を見せられると──イアン・ギャリーのこれからを追うしかない(C)CAGE WARRIORS

<Cage Warriorsウェルター級王座決定戦/5分5R>
イアン・ギャリー(アイルランド)
Def.3-0:50-44.50-45.50-45
ジャック・グラント(英国)

左ジャブを差し合う両者、グラントの右ストレートをギャリーがサークリングでかわす。ギャリーは左ジャブから左ハイ、この蹴りを顔面に受けたグラントにワンツーの追い打ちから組むと、肩を固めてテイクダウンを奪う。スクランブルでダースを仕掛けたギャリーに対し、立ち上がりながら首を抜いたグラントがワキを潜ってバックに回りスタンドで両足をフックさせる。

ギャリーは前方に落としにいくが、グラントはスロエフ・ストレッチに移行する。左足が伸びながら立ち上がったギャリー、グラントはジャンピングガードからスタンドでエゼキエルもすぐに放して着地する。距離を取り直したギャリーが、グラントのジャブをダックでかわして、右フックやジャブを当てる。

再び組んだグラントはバックに回り、後方に倒れこむと足関節を狙う。正面を向き、グラントはインヴァーテッド・ハーフガードからバタフライガードへ。ガードからコントロールするグラントだったが、最後の10秒で立ち上がったギャリーが重いパウンドを連続で落とし時間となった。

2R、グラントの力の入った右オーバーハンドをかわしたギャリーが、右カーフキック。この一発で姿勢を崩したグラントだが、立ち上がりながら組んでバックに回る。スタンドで背中に乗ったグラントが前方に落とされる。そのままヒザ十字を狙われたギャリーは胸の上に右ヒザをつき、座るようにしてパンチを落とす。

ギャリーはここで正対していくが、グラントが50/50ガードを取る。起き上がったギャリーが強烈なパウンドを落とし、ヒザを抜いてバックをうかがう。すかさずシングルに出たグラントだが、ギャリーがスプロールからダースチョークへ。そのまま引き込んでギャリーが力を入れて絞めるも決めきれず、技を解いてスタンドを選択する。

ジャブを伸ばし、グラントのフックはダッキング、オーバーハンドはスウェイでかわすギャリー。右に回りながらジャブを見せるギャリーが右アッパーから左フック、グラントのワンツーもスウェイで防ぎ、ジャブを連続で入れる。グラントは殴られながら前に出て、右を伸ばす。かわしたギャリーがボディロックに入ると、グラントはジャンピングガードへ。抱き着くグラントのガードを逆手に取ったギャリーが肩固めに入り、ケージに押し込んでいく。リリースしてバックに回ったギャリーは、右腕をキムラグリップに捕らえられる。

左腕を差し入れてキムラを解除するや、ギャリーが右エルボーを打って離れる。ワンツー、左ハイを放ったギャリーは両手を広げて「来い」と笑顔を浮かべるグラントに前蹴り、そしてジャブを当てる。右に回るギャリーを追いかけては、左ジャブを被弾するグラントは顔面が真っ赤の染まっている。そしてパンチは届かず、ワンツーを受け左ハイが顔面をかすめたところで時間となった。

3R、すぐに左ハイを狙ったギャリーは左右に回りながらジャブを入れ、グラントのパンチは食わない。そして右カーフを蹴り、左ハイへ。これはガードしたグラントが、右を初めて届かせる。ギャリーは右カーフ、ジャブ。グラントの左、右も届くようになるが、もろに右ストレートを顔面に打たれる。

それでも前に出るグラントの左フックをかわしたギャリーが、左前蹴りをボディから顔面へ連続で見せて、ワンツーを打ち込む。切れのあるワンツーにも前に出て笑顔を浮かべるグラントの突進もダックでかわしたギャリーは徹底して距離をコントロールし、接近戦としない。ならばとグラントはレベルチェンジからダブルレッグ──結果的に引き込みを選択する。

グラントはミッションコントロールからデッドオーチャード、三角絞め狙いつつ、左足をつかんで腰を切るや腕十字へ。左腕が伸びながらも、胸をそって解除をしたギャリーがエルボーを落とす。グラントはここでXガード狙いも、防いだギャリーは背中をつけて両ヒザを畳んだグラントのスネに胸を合わせると、手を合わせて「おやすみ」のポーズをとる。グラントが後方回転を見せたところで、時間となった。

4R、右カーフを蹴ったギャリーが組んでボディロック。ケージに詰められたグラントのギロチンを防いで離れ、右ローを蹴る。大きく左右に回り間合いを取ったギャリーが上半身の動きでパンチをかわして、ジャブではなく右ストレートを連続でヒット。さらに左ボディストレート、ジャブとケージを背負い、自らのパンチの距離でなくなるとダブルレッグを見せる。

ここは防御するグラントは、前に出て続け左フック。かわそうとしてスリップしたギャリーは、ヒヤッとするシーンにもダブルレッグでクリーンテイクダウンを奪う。起き上がりつつ組みついたグラントが、ケージに押し込むと後方へテイクダウンへ。これを潰してトップを奪ったギャリーに対し、グラントはシングルで組んでいく。スプロールしてスタンドに戻ったギャリーは、左フックをダックアンダーしバックに回り込み、今度は前方にテイクダウン。亀のグラントはキムラグリップから前転、さらに後転でバックを狙ったところでラウンドが終わった。

ハグ&タッチグローブからスタートした最終回。近距離で左ジャブを当てたギャリーが、グラントの右をヘッドムーブでかわす。続いて組んでボディロック、ケージにグラントが押し込む。「おい、戦えよ。動けよ」とグラントが挑発すると、「俺だってそのつもりだ」と答え、肩パンチを連続入れたギャリーが、ボディロックで左腕をさしてテイクダウンへ。スクランブルでバックに回ったギャリーに対し、グラントは前転して足を狙う。左足を引いてスプロール、バックを取ったギャリーは後方からパンチを入れる。

殴られながら足を狙い、すかされたグラントは「I love you」と声を出し、ギャリーも「I love you too」と返しながらパンチを止めない。直後に前転からヒザ十字に入ろうしたグラント、ギャリーは正対して立ち上がる。残り90秒、パス狙いのギャリーにシングルに出たグラントだが、がぶられて動きを止められる。ヒザをワキ腹に入れて立ち上がったギャリーを追いかけて立ち上がったグラントが跳びヒザ、組まれてギロチンへ。

頭を抜かれ、ケージに押し込まれたグラントはバックを取られると、スピニングバックエルボーへ。ギャリーはこれも察知し、頭をかがめると空振りしたグラントが姿勢を乱して転がる。すぐに立ち上がったグラントだが、ジャンピングガードを狙ったところでスラムで叩きつけられる。残り3秒、トップのギャリーがガードを取るグラントにハグをし時間となった。

結果は3-0でギャリーに。新Cage Warriorsウェルター級王者ギャリーの打撃に注目が集まったタイトル戦は、思わぬウェルラウンダーぶりと──それを引き出したグラントのグラウンドでの引き出しの多さに、英国MMAのレベルの高さが十分に感じ取られる一戦となった。


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