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【ONE FN02】ヂィンナンに挑戦、アンジェラ・リー「途中で諦めるという選択肢は、私にはないから」

【写真】体重だけでなく、体調としてヘルシーな状態でのファイト。どのようなアンジェラ・リーが見られるか(C)ONE

明日10月1日(土・現地時間)、シンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE Fight Night02「Xiong vs Lee 3」メインで、アンジェラ・リーがONE世界女子ストロー級王者シイォン・ヂィンナンに挑戦する。

妊娠&出産を経験し、サークルケージに戻ってきたアンジェラは3月にスタンプ・フェアテックスを相手に女子アトム級王座の防衛に成功し、今回は3年半ぶりとなるストロー級王座に挑戦する。

アトム級王者に君臨しながら、体重を落とす戦いを強いられてきたアンジェラは125ポンドの戦いを前に『私って苦しんでいる? もっと苦しむべきじゃないの?』と減量から解放されて、充実のキャンプを行ってきた。


――シイォン・ヂィンナンとのトリロジー、最終章が近づいています(※取材は9月27日に行われた)。

「凄く調子が良くて、自信も十分にあるわ。彼女と最後に戦ったのは3年前、あれから随分と成長しているしベルトを獲る準備はできている。3月のスタンプとの試合後からも、順調に練習をしてきたしね」

──アトム級で戦うファイトウィークと比較して、ストロー級で戦うファイトウィークはいかがですか。

「正直にいえば125ポンドの方が過ごし良いのは確かよ。体重に関して、何も心配することがないから。そういうストレスが一切なくて。だって毎朝、朝食を食べることができるんだもん(笑)」

──表情もまるで違いますね。

「そうでしょ。115ポンドで戦うより、125ポンドの方がよりナチュラルだし。ファイトキャンプの間も、ずっと同じ体重だった。125ポンドより少し重いだけでエナジーも100パーセント、自分でも力強く感じられて……本当に良いことばかりよ」

──ところで妊娠を経験すると、お腹の中の子を守る機能なのか腹回りに皮下脂肪がつきやすくなると聞いたことがあります。

「女性はそれぞれ違うモノよ。エヴァを出産してから、私はクリーンでヘルシーな食生活に変わったの。結果、脂肪が減って普段の体重も軽くなって。だから、その逆で出産を経験してから、グッドシェイプになったの。妊娠前はジャンクフードでも、何でも食べていたし(笑)。でも妊娠中は私が口にしたものがエヴァの栄養になるから、妊娠を機会に栄養を考え、ヘルシーな食生活を送るようになって。そのまま出産後も、同じように食事には注意を払っているから、ファイターにとっても最適な食生活になっていると思うわ」

──キャリア最高にヘルシーな状態での試合になるわけですね。

「うん、そうね。奇妙なもので、これまでは計量にパスするまで自分を殺していたの。とにかく体重を落とすことに集中して。でも今回のキャンプでは毎日のように学習ができたわ。ホントに『私って苦しんでいる? もっと苦しむべきじゃないの?』って思ったりして(笑)」

──アハハハハ。

「でも皆がハッピーファイターはデンジャラスファイターだって(笑)」

──そんなハッピーでノー・サファーなアンジェラですが、アンジェラと戦った以降のヂィンナンの試合内容をどのように思いますか。リー姉弟とは対極あるポイントゲームをやり切っているように感じますが。

「その通りね。凄く良いプレイゲームをやってのけているわ。きっと今回の試合もそうしてくるでしょうね。でもリー姉弟は違うわ。私たちはフィニッシュを目指し、相手をヤるつもりで戦っている。それがリアルファイターよ。だからこそ、私は土曜日にケージに上がってリアルファイトをヂィンナン相手に見せたい」

──クリスチャンがまさにそのようなファイトを8月にやってのけ、オク・レユンからライト級のベルトを奪い返しました。クリスチャンの勝利はモチベーションになったのでは?

「クリスチャンの勝ち方を視て、ものすごく興奮して最高に盛り上がったわ。クリスチャンは私たちのパッションを、戦いのなかで実証してみせたの。こないだも、その前のクリスチャンの試合も私はキャンプ中でシンガポールに行くことができなかった。でもクリスチャンの試合を見ると……オーマイゴット!! 彼はシンガポールにいて、私を強くしてくれる。クリスチャンは『これがリー姉弟』という試合をしてくれた。土曜日、私は同じように戦うわ──絶対に」

──そのリアルファイトを見せる、仕留めるという思考が強いのでピンチに陥ることがあります。過去の試合を見ると、アンジェラの場合はボディへの攻撃です。

「ボディショットに対する防御は、ファイトキャンプ中も徹底してやってきたわ。スタンプ戦、そしてヂィンナンとの試合でも私はお腹を攻撃されたから。エクスブロージョン・エリアで私はボディへの攻撃を受けた。だからあの距離、ああいう場面でのディフェンスをしっかりと磨いてきたの。防御だけでなく、カウンターの攻撃もね。今回は私がボディショットを打つ番よ(笑)」

──あれだけ腹を抉られて、よく我慢できるなとは思いますが、そこからの逆襲よりも腹に攻撃を受けないほうが賢明です。しかし、あの頑張り……気持ちの強さは称賛モノです。

「試合の途中で諦めるという選択肢は、私にはないから。頭を殴られようが、ボディを抉られようが、絶対に勝負を投げることはない。そういう精神力はファイターなら、持っていないといけないモノだし。チャンピオンなら、なおさらよ。何があろうが、私は前に出ることを止めない。自分を守るためにも、ファイトはフィニッシュするものなの。ビッグハードだと言ってくれたけど、私は自分の技術と同様にハードを信じているの。ホント、それってタフなことで。今回、シィオン・ヂィンナンがどれだけの気持ちの持ち主なのか試してみるわ」

──そのヂィンナンも115ポンドの時と125ポンドでは別人だと思います。

「完璧に仕上げてケージに上がって来ることを望んでいるわ。しっかりとフィジカル・コンディショニング・トレーニングをやり込んで来てほしい。アトム級の時の彼女は本当に小さかった。今回はそんなことはないだろうし、パワフルでスピードもある完璧な状態でいてほしい。そういう彼女に対して、私の全てをぶつけたいから」

──過去2試合は本当にエキサイティングな試合でした。ただし、見ていてエキサイティングな試合は戦っている選手にはタフな戦いになります。今回、エキサイティングな試合かドミネイトかどちらの戦いをしたいですか。

「う~ん、私のプランはドミネイトね。でも、そうなってもエキサイティングな試合になるから。ハイライト・ノックアウトやハイライト・サブミッションを狙うわけじゃないの。ただ、自分の戦いを続けていると自然にそういうフィニッシュが生まれてくるだけで。だから私が目指す戦いはドミネイトよ」

──いやぁ、期待値が上がりますね。米国のプライム・タイムで中継されることはどのように思っていますか。

「最高ね。ハワイのファンやファミリーが午前4時や午前5時に起きて、私の試合を視る必要がないから。クリスチャンの家族とヴィクトリア、そしてエヴァ、皆一緒に私の試合を視てくれる。皆のためにも良い試合をするわ」

──アンジェラ、インタビューに時間を割いてくれてありがとうございます。最後に日本のファンにメッセージをお願いします。

「日本のファンの皆には、いつも応援してくれてありがとうと伝えてね。皆が何年も私の試合を視てくれることに感謝している。私のMMAの旅、MMAへの想いを追い続けてくれて、ありがとう。少しでも早く東京に戻りたいわ」

■放送予定
10月1日(土・日本時間)
午前9時00分~ ABEMA格闘チャンネル

■ONE Fight Night02対戦カード

<ONE世界女子ストロー級(※56.7キロ) 選手権試合/5分5R>
[王者] シィオン・ヂィンナン(中国)
[挑戦者]アンジェラ・リー(米国)

<ONEキックボクシング世界フェザー級選手権試合/3分5R>
[王者]スーパーボン・シンハマウィーン(タイ)
[挑戦者] タイフン・オズカン(オランダ)

<ONEサブミッショングラップリング世界フライ級(※61.2キロ)王座決定戦/12分1R>
マイキー・ムスメシ(米国)
クレベル・ソウザ(ブラジル)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
スタンプ・フェアテックス(タイ)
ジヒン・ラズワン(マレーシア)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
マーチン・ウェン(豪州)
イリャ・フレイマノフ(ロシア)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
ティモフィ・ナシューヒン(ロシア)
ハリル・アミール(トルコ)

<キック・フェザー級/3分3R>
マラット・グリゴリアン(アルメニア)
ジャマル・ユスポフ(ロシア)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
高橋遼伍(日本)
オ・テホク(韓国)

<ムエタイ女子アトム級/3分3R>
アニッサ・メクセン(フランス)
ダオコンファー・バンチャメーク(タイ)

<キックボクシング・ヘビー級ワールドGP補欠戦/3分3R>
ラーデ・オバチッチ(セルビア)
ジヤンニス・ストフォリディス(ギリシャ)

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【ONE FN02】アンジェラと決着戦。シィオン・ヂィンナン「ベルトをキープし、他競技のベルトに挑みたい」

【写真】凄く落ち着き、笑顔も多いパンダだった(C)MMAPLANET

10月1日(土・現地時間)、シンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE Fight Night02「Xiong vs Lee 3」。そのメインでONE世界女子ストロー級王者シイォン・ヂィンナンがアンジェラ・リーの挑戦を受け、7度目の王座防衛戦を行う。

アンジェラとはこれまで1勝1敗、2試合とも東京で戦い──初戦のストロー級王座防衛戦ではTKO勝ちし、2試合目のアトム級王座挑戦試合ではRNCに敗れた。2試合とも決着5Rという激闘だったが、それ以降の3度のタイトルディフェンディング・ファイトでヂィンナンは全く付け入る隙を見せずに防衛に成功してきた。

しかし、そんな彼女を支えてきたEvolve MMAのシアー・バハドゥルサダが4月にチームを離れた。固い絆で結ばれていたと思われた関係が、一瞬に崩れた影響は? 新体制で挑む今回の防衛戦への意気込みをシィオン・ヂィンナンに尋ねた。


――土曜日の朝、アンジェラ・リーの挑戦を受けます。今の心境を教えてください。

「凄く楽しみだけど、とても落ち着いているわ。土曜日の朝に、サークルケージでこの興奮をぶつけるつもりよ」

──ヂィンナンはONEで初の中国人世界王者となりましたが、中国人男子として8月にタン・カイがONEの世界フェザー級王座に就きました。

「今はまだ2つだけど、これから中国人選手が巻くベルトの数はもっと増えるわ。それはMMAだけでなく、他のルールも含めてね。中国のコンバットスポーツは凄い勢いで成長しているから。この成長は嬉しいことだし、誇りでもあるわ」

──これから増えるということは、土曜日に減ることは絶対にないということですね。

「もちろん、このベルトはキープし続けるし、私自身はONEがチャンスを与えてくれるなら他の競技のベルトにも挑みたいと思っている」

──それはムエタイやキックのベルトに挑戦したいということですか。

「ONEで組まれている全ての競技ね。サブミッショングラップリングも含めて」

──何と、それは素直に楽しみです。特に女子ストロー級王座は敵なしの状態ですから。とはいえ今回のチャレンジャーはアンジェラ・リーです。この世界戦に向けての仕上がり具合を教えてください。

「この試合は私にとって、とても重要なチャレンジになる。新しいコーチとの初めての試合だし、合流して1カ月で新しい戦術やテクニックを採り入れてきたから。それが、どう試合で生かすことができるか」

──元ONEファイターで、柔術黒帯のアダム・カユーンがヘッドコーチになったと聞きました。実はヂィンナンに尋ねたかったのは、そこだったんです。ヂィンナンはイヴォルブMMAのチームメイトの試合でコーナーに就き、勝利も敗北にも付き添い本当にチームを大切にしてきました。そしてチームを離れたシアー・バハドゥルサダとの絆も深かった。彼が突然、チームを離れた時はどのような気持ちになったのでしょうか。

「あの時は少し……いえ、涙を止めらないほど動揺したわ。シアーの突然のチーム離脱によって、精神面と肉体の両方で影響を受けたのは事実。でも人間って、どういう経験も糧にしないといけないと思うの。シアーが離れたことで調子が落ちた分、自分で考えて取り戻さないといけないという意志を持って回復に取り組み、乗り越えることができた。その事実に対して、私は自分を誇りに思っている。

シアーのチームからの突然の離脱があったから、私はより強くなれた。人生には良いことも悪いことも起こる。でも立ち止まらないでモチベーションとして前に進まないと、ね。今の私は以前より進歩しているわ」

──素晴らしいです。そしてこれまでアンジェラとは1勝1敗。その2試合ともキャリアで最もタフな戦いだったと思います。この3度目の戦いで、前回の2試合とどのような違いを見せたいと考えていますか。

「絶対的に、いくつか新しい部分を見せることになるでしょうね。誰だって進歩し、成長している。私自身もそうだし、ファンの皆に多くの違う面とよりシェイプされた戦いを見せたいと思っている」

──今回は125ポンドでの試合です。115ポンドで戦った時は、減量が厳しくて本来の力を発揮できなかったのではないかと思ってきました。実際、ストロー級の防衛戦でアンジェラに勝利し、アトム級王座に挑戦して敗れていますし。

「敗因は階級だけじゃなくて、コンディショニングやレンジなどあらゆることが関係していたはず。そういうことが合わさって、穴ができて私の弱点になっていた」

──ストロー級ではそのような不安要素は少ないと思います。では最後に日本のファンに一言お願いします。

「東京で試合をした時に応援してくれた日本のファン、皆に感謝しているわ。試合が終わってからも、皆が応援メッセージを送ってくれて。そんな日本のファンに、最高の試合を見せると約束するわ。いつもサポートありがとう。謝謝」

■放送予定
10月1日(土・日本時間)
午前9時00分~ ABEMA格闘チャンネル

■ONE Fight Night02対戦カード

<ONE世界女子ストロー級(※56.7キロ) 選手権試合/5分5R>
[王者] シィオン・ヂィンナン(中国)
[挑戦者]アンジェラ・リー(米国)

<ONEキックボクシング世界フェザー級選手権試合/3分5R>
[王者]スーパーボン・シンハマウィーン(タイ)
[挑戦者] タイフン・オズカン(オランダ)

<ONEサブミッショングラップリング世界フライ級(※61.2キロ)王座決定戦/12分1R>
マイキー・ムスメシ(米国)
クレベル・ソウザ(ブラジル)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
スタンプ・フェアテックス(タイ)
ジヒン・ラズワン(マレーシア)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
マーチン・ウェン(豪州)
イリャ・フレイマノフ(ロシア)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
ティモフィ・ナシューヒン(ロシア)
ハリル・アミール(トルコ)

<キック・フェザー級/3分3R>
マラット・グリゴリアン(アルメニア)
ジャマル・ユスポフ(ロシア)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
高橋遼伍(日本)
オ・テホク(韓国)

<ムエタイ女子アトム級/3分3R>
アニッサ・メクセン(フランス)
ダオコンファー・バンチャメーク(タイ)

<キックボクシング・ヘビー級ワールドGP補欠戦/3分3R>
ラーデ・オバチッチ(セルビア)
ジヤンニス・ストフォリディス(ギリシャ)

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【ONE FN02】初の組み技世界王者へ、マイキー・ムスメシ「このルールは……結果、柔術の発展に寄与する」

【写真】いつも通り、興奮しているようで理路整然とした返答ばかりのマイキーだった(C)MMAPLANET

10月1日(土・現地時間)、シンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE Fight Night02「Xiong vs Lee 3」で、マイキー・ムスメシがクレベル・ソウザを相手にONEサブミッショングラップリング世界フライ級(※61.2キロ)王座決定戦を戦う。

昨年、ノーギの世界一を目指し道着を脱いだ戦いに進出するや、すぐに強烈な強さをサブオンリー・ルールでも見せつけたマイキーだが、目標としていたADCC世界大会への出場はキャンセルされ、今回のタイトルマッチに集中することとなった。

ファンにとっては残念でならないこの決断だが、マイキーがサブミッショングラップラーいや柔術家といて生きていくためにごく自然が判断だった。


――マイキー、サブミッショングラップリングの世界王座を賭けて世界最大のファイティング・プロモーションの一つであるONEで試合をし、その模様が米国のプライムタイムにAmazon Prime Videoで配信されます。今の気持ちを教えてください。

「それほど深く考えていないよ。いつものように試合の準備に集中してきた。体の調子も良い具合でキープできているし、もう100パーセントの状態で試合に向かうことができるよ。イコー!!」

──イコー??

「日本語でGoっていう意味だよね?」

──おお、行こうですね。Let’s go !!

「そうだよ。イコー!!だよ(笑)。ONEで最初のサブミッショングラップリングのタイトルショットに出場できてホント、ワクワクしている。僕の人生で一番のビッグファイトだしね」

──今回の試合の準備はラスベガスで?

「そうだよ。いつも通りFTCC(Faito Tamashii Combat Club)の柔術マットと僕のガレージで、これまで柔術の世界タイトルを取った時と同じ仲間たちと練習してきた。全ての練習が僕がタイトルを取るために欠かせないモノだったよ」

──このタイトル戦のために、しっかりと集中してきたと思います。が、それでもADCCに不参加だったのは残念です。

「6月に虫垂炎の緊急手術をしないといけなくなり、その影響でトレーニングと試合から離れないといけなくなった。試合用にハードな練習ができるようになったのは8月の中旬で、これだと2週間少ししかADCCへの準備ができなかった。その状態で無理をして、本来の僕の階級よりも2つも重い階級で戦う意味はないと思ったんだ。それなら、この試合の集中したかった。このタイトル戦は、僕にとってもっと重要な試合だから」

──ADCCは勝ち上がりに4試合、決勝では30分以上試合をすることになるかもしれないですしね。

「その準備をするのに、あの時の僕の体調は厳しすぎたよ。繰り返すけど、2階級も重いクラスで戦うわけだからね」

──戦い方を変える必要はそれほどないかと思いますが、金網があることを意識しますか。

「マットとは全く違う経験だね。僕は米国の狭くて小さい体育館のマット、床で試合をしてきた。今では数千人のファン、数億人のTV視聴者の前でケージのなかで戦っている。本当にこれまでに経験したことがない環境だけど、凄く楽しんでいるよ。こんな状況の一部として、戦ったことは過去になかった。だから、この環境で戦えることが心地良いんだ。もっと、こういう試合を重ねていきたいと思っている。

前回、今成との試合でしっかりとケージに対応できていた。あの試合を経験できたことで、今回はずっと戦いやすくなるだろう。前回のイマナリとの試合が、今回のタイトル戦に生きてくるに違いない」

──金網があるから、その方向に回れないだとか考えることはありますか。

「それほど影響はないよ。レスリングだと金網に押し込む展開とか重要になってくるけど、僕はレスリングをそれほど使うわけでもないし。大した影響はない。ただ足関節を使った時、ケージがあるから相手がロールできないとか、蹴って離れることができないということはある。そういう時はケージが役立つこともあるだろう。そういうところが、また楽しいんだよ」

──ではクレベル・ソウザの印象を教えてください。

「タフだよ。とても強い。でも、相手のことはそれほど関係ない。自分がどう戦うか。自分がどういうポジションを取れるかが重要になってくるから、普段から対戦相手のことを想定して練習をしたりはしないんだ。僕が取れる最高のポジションで戦う。大切なことは、そこだよ。対して、相手がどういう反応をしてくるのか。見極めるのは、そういうところだよ」

──これまで柔術でもグラップリングでも、その知識があるファンの前で戦っていました。ただし、ONEではキックやムエタイのような打撃が好きなファンの前で組み技マッチを戦います。

「ムエタイ、キックボクシング、柔術、そしてMMAというマーシャルアーツが一つのイベントで行われ、全てのファンが集まるっていうのは最高だよ。だからこそ、エキサイティングな試合をしないといけないという責任感が生じる。特に柔術を知らないファンに対して、ね。サブミッショングラップリングでも柔術でも、他の競技を見たいと思っている人に認められないといけない。

そういう責任感を持って戦うことが、また楽しいんだよ。サブミッショングラップリングをメジャーなプラットフォームで届けることができる。そしてサブミッショングラップリングを戦うことで、MMAの人々と同じようにファイトマネーを得ることができる。以前はサブミッショングラップラーが大金を手にするには、MMAに転向するしかなかった。それが柔術家やサブミッショングラップラーが、サブミッショングラップリングを戦うことでビッグマネーを手にデキる時代がやってきた。最高だよ。サブミッショングラップリングを戦って、生きていけるなんて」

──エキサイティングな試合をする。サブミッションで極めるというメンタルを持つことで、マイキーはより強くなれるでしょうか。

「僕らが戦ってきた柔術トーナメントは、ポイント制でポジションとドミネイトを第一に考えて戦う。サブミッションの仕掛けは減ってくるよ。でも、このルールでは一本を極めることが唯一のゴールに設定されている。ポジション支配でなく、サブミッションのキャッチが有効になるのだから、純粋により攻撃的になるよね。つまり、僕のゲームがよりアクティブになるんだ。このルールだと、アスリートはよりアグレッシブになる。結果、柔術の発展に寄与すると信じているよ」

──マイキー、ケージのなかでベルトを賭けて戦う姿を見るのが待ち切れないです。では最後に日本のファンに一言お願いします。

「最高だね。ホント、僕は日本に行きたくてしょうがないんだ(笑)」

■放送予定
10月1日(土・日本時間)
午前9時00分~ ABEMA格闘チャンネル

■ONE Fight Night02対戦カード

<ONE世界女子ストロー級(※56.7キロ) 選手権試合/5分5R>
[王者] シィオン・ヂィンナン(中国)
[挑戦者]アンジェラ・リー(米国)

<ONEキックボクシング世界フェザー級選手権試合/3分5R>
[王者]スーパーボン・シンハマウィーン(タイ)
[挑戦者] タイフン・オズカン(オランダ)

<ONEサブミッショングラップリング世界フライ級(※61.2キロ)王座決定戦/12分1R>
マイキー・ムスメシ(米国)
クレベル・ソウザ(ブラジル)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
スタンプ・フェアテックス(タイ)
ジヒン・ラズワン(マレーシア)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
マーチン・ウェン(豪州)
イリャ・フレイマノフ(ロシア)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
ティモフィ・ナシューヒン(ロシア)
ハリル・アミール(トルコ)

<キック・フェザー級/3分3R>
マラット・グリゴリアン(アルメニア)
ジャマル・ユスポフ(ロシア)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
高橋遼伍(日本)
オ・テホク(韓国)

<ムエタイ女子アトム級/3分3R>
アニッサ・メクセン(フランス)
ダオコンファー・バンチャメーク(タイ)

<キックボクシング・ヘビー級ワールドGP補欠戦/3分3R>
ラーデ・オバチッチ(セルビア)
ジヤンニス・ストフォリディス(ギリシャ)

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ABEMA MMA MMAPLANET o ONE ONE Championship ONE FN02 ONE X アンジェラ・リー ガブリエル・ソウザ キック クレベル・ソウザ スタンプ・フェアテックス チャトリ・シットヨートン ボクシング マイキー・ムスメシ 三浦彩佳 今成正和

【ONE FN02】3度目のパンダ✖アンジェラは、ストロー級世界戦。組み技世界王座制定へ、ムスメシ✖ソウザ

【写真】ONEサブミッショングラップリング王座決定戦。直接対戦は1勝1敗──とはいえ、実績は圧倒的にマイキーがソウザを上回っている(C)MMAPLANET

16日(火・現地時間)にONE Championshipより10月1日(土・同)にシンガポールはシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE FIGHT NIGHT02でMMA、キック、そしてグラップリングの世界タイトル戦が組まれることが発表されている。

米国とカナダでAmazon Prime Videoによりライブ配信され、北米の金曜プライムタイムに合わせてアジアでは土曜日の午前中に試合が実施されるONE Fight Night。その第2回大会のメインは女子世界ストロー級王者シィオン・ヂィンナンにアトム級世界王者アンジェラ・リーが挑戦する一戦に決まった。


パンダとアンジェラは2019年3月と10月の日本大会で2度対戦しており、3月のストロー級世界戦でパンダ、10月のアトム級世界戦ではアンジェラが勝利、そして3度目の対戦はアンジェラがパンダに挑戦する形となる。

3月のONE Xでスタンプ・フェアテックスに腹を抉られ、打撃の猛攻を受けながらテイクダウンから形勢逆転、最後はRNCで一本勝ちで5度目の防衛に成功したアンジェラに対し、パンダは1月に三浦彩佳を下しており今回が7度目のタイトルディフェンディング戦となる。

チャトリ・シットヨートンも大興奮のグラップリング王座制定。ONE世界サブミッショングラップリング・フライ級王座決定戦はマイキー・ムスメシとクレベル・ソウザの間で争われる。

道着からノーギへ。マイキーはWNOライト級王座決定Tでガブリエル・ソウザのノースサウスに敗れた以外、従来の階級では負け知らずの快進撃中で、今年の1月にWNOバンタム級王座に就くとONEと契約を果たした。そして4月の今成正和戦でサークルケージデビューし、RNCで完勝している。

対するソウザはマイキーの去った今年のムンジアル・ルースター級で3位獲得も、世界のタイトル歴はなく──本来なら立派なパン柔術優勝という肩書もマイキーの前では心もとない。とはいえこの両者、5年前のアブダビ・ワールドプロと翌年の同大会で戦っており、初戦でソウザがレフ判定、2戦目はマイキーが2-0のポイント勝利となっている。

3度目、そしてONEとグラップリング界にとっては新しい一歩となる世界戦──だが、本音をいえばこの2週間前に開かれるADCC66キロ級でマイキーの雄姿を見てみたかった、というのは偽らざる本音だ。

またキックの世界戦はONEキックボクシング世界フェザー級王者スーパーボン・シンハマウィーンにフェザー級GP優勝のチンギス・アラゾフが挑戦する一戦がマッチアップされている。

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【RIZIN】伊澤星花 スーパーアトム級GPの開催を要望


RIZIN.35で浜崎朱加を下して第4代RIZINスーパーアトム級王座に就いた伊澤星花。試合後のマイクでスーパーアトム級GPの開催を要望していましたが、大会後の記者会見で榊原信行CEOはこれに呼応。

「十分あるんじゃないですかね。メンバーは揃うと思うので、どういう形でやるかは別として女子のスーパーアトム級は今年トーナメントとして実現させていいんじゃないかなと今日は思わせるような内容だったかなと思います。決定ではないですがこれから最終調整をして、伊澤選手のそういう意見も含めて前向きに考えたいなと、そう思いました」

なるほど。スーパーアトム級でグランプリですか。榊原CEOの言うように選手は揃うでしょう。浜崎朱加、浅倉カンナ、RENA、山本美憂、パク・シウ、大島沙織、藤野恵実、黒部三奈。トーナメントが出来る8人は埋まりそうです。

でも伊澤の実力が圧倒的に飛び抜けていて、果たしてGPを開催せる意味があるのか。やるなら伊澤への挑戦者決定トーナメントの方がしっくりくる。それくらい伊澤は別格だと見ています。

伊澤絡みで見たいのはやっぱり国際戦。RIZIN絡みでベラトールから選手を連れてくるのもよし、逆にベラトールに乗り込むのも面白い。もはやRIZINの枠外になりますが、UFCや ONEでの試合も見てみたい。

伊澤対アンジェラ・リー、スタンプ・フェアテックス、ハム・ソヒ、リトゥ・フォガット。。。想像しただけでゾクゾクしてきます。

そしてトレーナーの横田一則の発言により遺恨を残した中井りん戦。もちろん階級の壁があって容易ではありませんが、流れやアングル的には道筋が出来ています。異次元の強さで一強状態となった伊澤。向かう進路に注目です。
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【Special】月刊、大沢ケンジのこの一番:3月:アンジェラ✖スタンプからのタン・リー✖ゲイリー・トノン

【写真】新足関時代も、足関節はリスクが高いことを──しっかりと研究し、対処を長期間に渡って行ってきたタン・リーが再確認させてくれた (C) ONE

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客3名が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。3人の論客から、大沢ケンジ氏が選んだ2022 年3 月の一番。3月26日のONE130で組まれたアンジェラ・リー×スタンプ・フェアテックス戦からの──3月11日=ONE129で組まれたONE世界フェザー級選手権試合、タン・リー✖ゲイリー・トノンについて語らおう。

<月刊、大沢ケンジのこの一番:3月:アンジェラ・リー✖スタンプ・フェアテックスPart.01はコチラから>


──アンジェラ✖スタンプがメイン、誰でもMMAはデキることを示した舞台はONEの10周年記念大会でした。正直、MMAと立ち技があることで方向性が定まっていないと感じられることもありましたが、今回はミックスファイト、グラップリングまであったのに上手くパッケージされていたように感じられました。

「本当に面白かったです。首を傾げたくなる判定はありましたけど、それ以外は本当に面白い──ONEらしさが詰まった大会でしたね」

──そんななかMMAの打撃戦に関して、もう少し注意を控えて様子を見てほしい。あれでイエローではスタンドでキックボクシングをやれということになり、MMAの打撃にならないかと思えるレフェリングがありました。

「早かったですね。スティーブン・ローマン✖佐藤将光、アドリアーノ・モライシュ✖若松佑弥の2試合は。なんかレフェリーが試合を創らないといけないって、焦ってしまったのか。アレは普通のONEではないですよね。

お客さんが久しぶりに入って、ブーイングに耐えられなかったのかもしれないですね」

──今後、あの傾向になっていくようであれば怖いです。

「あれがONEのスタンダードになるなら、怒りますよ」

──怒りますか(笑)。表現がなんか良いです。

「あんな風になると嫌ですからね。おいおいおい、皆もっと間を見ようぜって。ローマンと佐藤選手、若松選手とアドリアーノの試合、緊張感があったじゃないですか。そこは……ちょっと今後を見ないといけないですね。どうなっていくのか」

──そこは注文をつけたくなるとはいえ、ONEらしさが強調できたイベント。同時に、あの大会に出なかった注目選手も少なくないです。

「いや2週間前に行われたタン・リーとゲイリー・トノンとフェザー級のタイトルマッチなんて、10周年大会に負けない素晴らし試合でした。

やっぱり足関って、しっかりと理解しないといけないですよね」

──ハイ、その通りだと思います。

「自分のジムも今、足関節が強くなっていて。ちょっと掴めています。僕自身、イケるっていうのがあるんです。それはタン・リーも同じだと思います。タン・リーはそれほど怖がっていなかった。だから足を取られても、逃げるというより、突っ込んでフックが緩む方で動いていましたね。

でも、それって足を突っ込んでいくから攻防が続くので、理屈が分かっていてもなかなか怖くてできないです。だから皆、抜いて行こうとすると引っかけられる。でもタン・リーは理解しているから、怖がっていなかった。結果、足のロックを捌いてパウンドという攻撃を見せることができたと思います。

MMAの選手は足関節を怖がっていた時期もありました。日本でもMMAファイターがグラップリングで、グラップラーに足関節で負けることが続きましたけど、ちょっと対応できるようになってきましたよね」

──トノンの方が、一度ワキの下に入れると懸命にそこだけキープしようとしていましたね。

「そこまでいくと、取れると思ったんでしょうね。ウチの高橋サブミッション雄生もそうですけど……僕としては、全部をやらないといけないのがMMAで。自分のやりたくないところと向き合わないといけない。打撃の選手も組み技の練習を懸命にして。

そんななかピュア・グラップラー、フットロッカーは足関節だけやり続けている。そういう人たちが活躍する。これは嫌なことに向き合っている選手からすると、好きなことだけやっている選手が勝つようで悔しいんですよ。

でも見ている人達には面白いですよね。一つ尖がっているところがある選手が勝つ試合というのは。それでもMMAというのは、やりたくないことと向き合って穴を埋めるモノだと思います」

──足関節で勝てるのも、結局は全てがデキて足関節ができる選手になっていくのではないでしょうか。

「そうですよね。長所を伸ばして、短所を無くす作業を怠ると『やっぱり勝てないよね』ということを──トノンやフットロッカーによって崩されることを僕は危惧していました。

同時にMMA選手が怖がっていても、足関節は仕掛ける方だったリスクが高い。それをタン・リーが改めて見せてくれました。

ジョン・ダナハー論理だと、サドルとかは他に移動できるポジショニングで、足関節が極まらなくても次がある。トランジッションなので殴られないということでしたけど、そこはやはり選手が研究し、対処方法を知り、怖がらないで戦うことができればパウンドを打ち込むこむことができた。

それをタン・リーが示しました。そして『やっぱり下からの足関節は危ないぞ』ということを思い出させてくれましたよね」

──そこまで組み立てることが、ゲイリー・トノンができていなかったです。

「タン・リーが防御していましたからね。抜きにいかないで、突っ込む。そして殴った」

──トノンも外ヒール狙いで、捌かれて殴られました。

「タン・リーに少し余裕が感じられました。取り合いをしているわけでなく、防御に徹していたので。対処を間違えないと逃げられるという風に思っていたように見えました。だから変に逃げることもなく解除に向かってパウンドアウトしました。

で、次はタン・カイになると……これも楽しみです。タン・カイは距離の取り方が抜群に良い。あれは強いですよ。バランスがメチャクチャ良くて。タン・カイの距離感は……ずっと誘っていました。高橋遼伍選手との試合もそうで。自分から行かずに、待っている。相手も来るのが分かっているから、余計に前に出ることが難しくなる」

──タン・リーは蹴りがあって、距離が遠くなる。じゃあ、どこでタン・カイは待つのか。

「いやぁ、楽しみですね。本当に面白い試合になるでしょうね。ONE自体もコロナで三分割された大会よりも、確実に今年に入って層の厚い良い大会になっています。だから、これからも楽しみですね」

※試合前のタン・リー・インタビュー
※※試合前のゲイリー・トノン・インタビュー

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【Special】月刊、大沢ケンジのこの一番:3月:アンジェラ✖スタンプ「MMAは皆ができる競技になった」

【写真】ONE史上最大のビッグショーで女子最軽量級の世界戦がメインで組まれたこと、試合内容でも納得させたことに大沢ケンジは何を感じたのとか…… (C) MMAPLANET

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客3名が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。3人の論客から、大沢ケンジ氏が選んだ2022 年3 月の一番。ONE130で組まれたアンジェラ・リー×スタンプ・フェアテックス戦について語らおう。


──大沢さんが選んだ3月の一番は?

「これはベタな選択かもしれないですが、アンジェラ・リー✖スタンプ・フェアテックスです」

──ベタでしょうか(笑)。

「解説をさせてもらっている大会のメインですしね。そういうことだろうって思われるじゃないですか(苦笑)」

──そんな下衆な意見は無視しましょう。素晴らしい試合でした。

「これは凄いことだと思ったんです。女子の最軽量級の試合が、10周年記念大会のメインを張っている。格闘技って、青木君も口にしますけど、『大きくないと』っていう見方があるじゃないですか。

それってプロレスとかもあるんですけど、格闘技が見世物じゃないけど怪物と怪物が戦い合うモノという見方があり、大きな選手しかメインを張れない。そういう時代が確実にありました。UFCも随分と軽量級の価値観を上げる試合を組んできましたけど、やはりビッグショーのメイン……その最後の最後にフライ級の試合やバンタム級の試合が来るってなかなかないです」

──トリプルメインの一発目──的な試合ですよね。

「そう、そうなんです。ないんですよ。そのなかでONEの10周年記念大会で女子アトム級のタイトル戦がメインになり、それを皆が受け入れている。さらにいえば、皆を納得させるメインでした」

──その通りですね。20試合、10時間超のイベント。最初から視聴しているファンは疲労困憊だったと思います。でも、そんな疲れを吹き飛ばす試合内容でした。

「それってONEの功績であると思うんです。ONEが始まった2011年にタイの女の子がMMAファイターになろうなんて、誰が思うことがあったのかっていうことですよね。

ONEはシンガポールは当然としてタイやマレーシア、インドネシア、フィリピンの血管の隅々まで血を巡らせた。本当にそう思える大会であり、メインでした。アジア、東南アジアの国はMMAというスポーツにおいて後進国でした。でも、そこにMMAを根付かせた。その象徴がスタンプの今大会のメイン出場だったと思います」

──ONE以前にMMA、しかも女子MMAが存在した日本。そこから出場している平田選手は、暫らく戦いたい相手にスタンプという選手名は出してはいけない。そう感じるほどでした。

「平田選手に関してはここで意見することは控えますけど、ONEの功績という部分でいえば彼女に勝ったジヒン・ラズワンはマレーシア人です。ONEがなければマレーシア人女子選手がここまで育つことはなかったと思います。

普通の体格、日本人でもいくらでもいる体格の女子がオールター大会のメインを締めた。アンジェラはママですしね。そのアンジェラがボディを効かされた。ボディを効かせたスタンプがまず凄いです。そしてアンジェラは完全に気持ちが折れた。

それでも挽回した。組まれたスタンプも、そこで一方的に攻撃されるわけでなく反撃もしていた。

アンジェラはツイスターまで駆使して戦って。それをまたスタンプも耐えていた。最後、RNCを極めていないとアンジェラは負けていたと思います」

──確かに。試合がラウンドを跨ぎ、スタンドでボディを抉られると終わっていたでしょう。

「彼女自身も賭けに出ていたと思います。結果、MMAの面白いところが全て詰まった試合になっていました。僕がMMAを始めた時って、僕の階級(※バンタム級)は世界になくて。日本でもパンクラスもDEEPもなかったです。重い階級の人しか目立つことがないスポーツでした。

それが少しずつ下の階級が充実してきた。修斗でもベルトが誕生し、キャリアの終わりごろにメジャー・タイトルもできた。日本には女子MMAはあったけど、マニアックな人気しかなかった」

──レベル的にも北米で女子が定着するまで、男子が認めないのも頷ける状態も長かったです。

「ハイ。ホント、そうですよね。それが国内ではRIZINで女子が認められるようになった。ONEという規模がさらに大きな舞台で……繰り返しますけど、アンジェラとスタンプがメインを戦い、試合内容で納得させた。凄い時代になったと思います。

MMAは選ばれた人にしかできないモノではなくて、皆がデキる競技になった。そう思わせてくれる試合で、本当に感慨深いモノがありました。

きっとタイで、あの試合を見て『私が敵を討つ』って思った女の子たちがMMAを始めますよ。個人的には勝てば最低でも1300万の女子タイトルマッチ──日本からも、そこをもっと目指して欲しいです。あの舞台を」

<この項、続く>

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【ONE】青木真也×秋山成勲に思う

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昨日開催されたONE Championshipの10周年記念大会ONE X。全20試合の大容量。14時に第1部が始まり、第3部のメインカードが終わったのは日付をまたいで0時過ぎ。そりゃ近所の吉野家の営業も終わってますよ。空腹に耐えながらも最高のMMA、キック、ムエタイを存分に堪能させていただきました。

そんなロングラン興行の印象に残った試合は何か。メインを締め括ったアンジェラ・リーの執念の一本勝ち、緊張感満点だったDJとロッタンのミックスルール、鬼気迫るローキックで掴み取った秋元皓貴の王座戴冠などなど。見どころは数あれど、やっぱり青木真也×秋山成勲の時代を超えた因縁マッチを挙げるオールドファンは多いのではないでしょうか。

この試合が配置された第3部はABEMAの格闘技イベントとして初のPPVでの有料配信。放送中も青木×秋山の試合までのカウントダウンを画面に表示する力の入れよう。最初に「あと7時間」というテロップを見たときには昭和時代のスペースシャトルの打ち上げかと思いましたもん。那須川天心、堀口恭司と言った格闘家にもこの試合に対するコメントを求めるなど、これ以上ないほど煽りに煽っていました。

そんな状況の中、わたしはどうだったか。正直な感想としては無反応、無関心。青木の「秋山マイケルジャクソン先輩、ネバーランドで僕とwowowしませんか」という対戦要求はもう13年前ですからね。そもそも2人は当時も階級は違っていて交わる必要性はなかったし、交わるくらいなら同じ階級の強豪と対戦してよと思っていました。あの時でさえ全く乗れなかったのに13年経って興味を持てというのはどたい無理な話でしょう。

最近の青木の秋山に対するちょっかいも格闘代理戦争での桜井マッハとの絡みと同じで、てっきりネタ的な感じなのかと思ってましたもん。最後はケージの中で肩を組んで熱唱するんじゃないかと。だから2人がONEのリングで対戦する事には違和感がありまくりでした。

でも、いざ試合が始まって2人が対峙する姿を見ると当時のいろんな感情や情景が蘇ってくるんですよね。1つ1つはあえて書きませんが、当時はPRIDEがなくなって先が見えない冬の時代。その中で良くも悪くも先頭に立って、渦の中心にいたのは秋山であり、青木なんですよね。試合中ノスタルジックな気分に浸りました。

当時から考えたら秋山は45歳になってフィジカルは全然老け込んでないし、外野からの意見にも動じないメンタルの強さは相変わらず。青木は圧倒的な極めの強さと寝技を凌がれた時のモロさは当時も今も表裏一体。その振り幅が極端だからこそ唯一無二の存在感を今でも醸し出しているのでしょう。改めて希少価値があって儚い存在だ再認識させられました。

そしてもう一つの発見はABEMAの中継で青木×秋山の試合を「腕折×ヌルヌル」と表現していた事。どちらも青木と秋山を語る上で欠かせない大事件ですが、危険すぎて触れてはならないアンタッチャブルな事だと思っていました。それがネット配信でサラッと語られるとは。。。やっとネタに出来るくらいの時間が経過したんだと、過去を清算出来たような少し晴れ晴れとした気分に浸っています。

今や令和。腕折もヌルヌルもPRIDEも知らないRIZIN世代の新しいファンがたくさん生まれる時代。そして那須川天心と武尊という2人の天才が激突する時代です。そんな時代に青木と秋山。逆行しつつも、2人の生き様と世界観を刻んでくれたのではないでしょうか。もう平成ではいられない。前を向いて先に進もう。
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MMA MMAPLANET o ONE ONE130 アンジェラ・リー スタンプ・フェアテックス

【ONE130】アンジェラのボディブローを耐えたアンジェラ、ノンストップ・シーソーゲームをRNCで制す

<ONE世界女子アトム級(※52.2キロ)選手権試合/5分5R>
アンジェラ・リー(米国)
Def.2R4分53秒 by RNC
スタンプ・フェアテックス(タイ)

いきなり距離を詰めたアンジェラが右ストレートからパンチを連打。組みついてスタンプをケージに押し込むも、スタンプが首相撲から正対する。ケージに押し込まれたアンジェラは右足を差し込み、離れてヒジとパンチでスタンプを追い込む。ケージ際での差し合いでは、ヒジとヒザを叩き込むスタンプ。さらにアンジェラの右ストレートに対して、カウンターで左ボディブローを突き刺した。

離れ際に笑顔を浮かべ、ボディを効かせてからパンチの連打でアンジェラをケージに追い込んだ。完全にボディが効いたアンジェラは、苦悶の表情を浮かべスタンプのパンチをもらうも、シングルで組みつきスタンプをケージに押し込む。オーバーフックで腕を巻いているスタンプの顔面に右の拳を叩き込むアンジェラ、グラウンドに持ち込んでバックマウントを奪う。パンチと右カカトで削りながら4の字ロックに移行したアンジェラは、さらに右足を相手の頭にかけて腕十字を狙う。これは凌がれるもバックをキープするアンジェラ。再び4の字ロックで固めて削るアンジェラに対し、スタンプが凌ぎ切った。

2R、またも前に出るアンジェラを首相撲に捉えるスタンプ。しかしアンジェラが首に手を回してケージに押し込みながらテイクダウンを奪う。袈裟で抑え込むアンジェラ、右ヒザを当てるもスタンプが起き上がるスクランブルを狙う。下になったアンジェラはスタンプの左腕を抑えつつ三角絞めへ。そのまま上を取ろうとしたアンジェラだったが、スタンプが頭を抜く。再び三角を狙うアンジェラ、さらに腕十字に切り替えるもアンジェラに逃げられてしまう。

アンジェラはスタンプのバックに回るが、スタンプがアンジェラの腕を抱えて極めさせない。するとアンジェラはツイスターへ。渾身の力で搾り上げるアンジェラ、ここでもスタンプが耐える。アンジェラはトップを取り返しにいくが、なんとスタンプが下から腕十字へ。腕を抜いたアンジェラがバックに回り、スタンプの体を伸ばしてRNCへ。パンチで削りつつ、しっかりと絞め上げてタップを奪った。


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【ONE130】ガルバォンと組み技戦、二階級王者ライニア・デリア―「ガルバォンは15分間サバイブできない」

【写真】ガルバォンのボディがヤバい……(C)MMAPLANET

本日26日(土・現地時間)、シンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE130「ONE X」でONE世界ミドル級&ライトヘビー級世界王者ライニア・デリガーがアンドレ・ガルバォンとグラップリングマッチを戦う。

2月にウェルター級王者キャムラン・アバソフの挑戦を一蹴し、その組み技力の高さを改めて見せたデリダ―が、柔術界のレジェンドとの戦いに向け――自信のほどを口にした。


――2月25日にキャムラン・アバソフを一方的な展開で下し、その時にマイクアピールをしていたアンドレ・ガルバォンとのグラップリングマッチが実現します。それにしてもアバソフを一方的に下したミドル級の防衛戦には驚かされました。

「上手くいったね。試合はいつだって一方的にドミネイトしたいと考えているし、少しでも早く極めたいと思っている。いつもそうなるとは限らないから、凄く達成感があるよ。あの試合後、少しだけ家族と過ごしてシンガポールをまた訪れることが楽しみだよ(※取材は3月16日に行われた)」

――ライニアは打撃でKOをするタイプではないですが、しっかりと相手の打撃を見ることができる。そして組み技につなげて、最後はグラウンドで仕留めるウェルラウンダーだと再確認できました。

「だって毎日のようにオランダのキックボクサーと練習しているからね。常に進歩しているよ。打撃の練習も好きだし、楽しんでいる。けど常に僕は柔術を代表して戦っているつもりだ。いつか僕のテイクダウンをストップする相手が現れた時は、打撃をもっと披露することになるだろうね」

――その柔術に関して、以前のインタビューで「ポイント制でホールドするのが嫌いで、柔術の試合には出ないようになった」と言っていました。そのライニアがサブオンリーでガルバォンというレジェンドとサークルケージの中で戦います。

「なぜ、試合場に来て戦わずに守ることばかりを考えるのか、僕には理解できないんだ。生き残れば良いのかな? 僕は自分の培ってきた技術の全てを駆使して、ガルバォンを倒しに行く。僕のグラップラーとしてのキャリアのなかでも、ガルバォンのような強豪と戦うのは初めてだし、凄く楽しみにしている。もっと楽しみなのが、彼に勝つこと。この機会を得ることができて、本当にハッピーだよ」

――とはいえ、ここ数年のガルバォンのADCCでのスーパーファイトはポイントを取って守るというものです。それでもポイントがあれば、まだ観客は勝ち負けの目安が観客も分かります。今回はサブオンリーで、観客にもタフなファイトになるかもしれないです。

「試合はケージで行われる。ガルバォンは逃げる場所がないよ」

――防御能力の高さ、それがIBJJFのトーナメントで優勝できる選手の共通項です。そのガルバォンが守りに徹すると、相当に難しい試合になるかと。

「対戦相手が何をするか、それは関係ない。僕がこれまでどういう試合をしてきたか。今回も同じように、完全にドミネイトすることを考え。少しでも早くフィニッシュするために戦うよ。ガルバォンは15分間もサバイブできない。

彼はテイクダウンから試合を組み立てていく。立ち技ではスナップダウンがとても巧妙だ。スナップダウンに引っかからないよう、しっかりと間合いを考えて戦う必要がある。ガルバォンがトップを取ると安全策を取って厄介になるからね。でも、僕がテイクダウンを奪われることはないよ」

――いなしに注意。そこが楽しめるファンは相当にコアですね。ところでMMAでは上攻めのグラップラーですが、パンチがないグラップリング戦だと下になる選択はありますか。

「ノー。僕が引き込むことはないよ。テイクダウンされたり、スイープされてボトムを取ることはあっても、自分から下にはならない。狙いはテイクダウン、トップを取ってバックに回ることだよ。MMAから打撃を抜いた組み技をする。引き込むことはない」

――15分間だと、ガルバォンも慎重になるでしょうね。スタミナを切らさないために。

「その通りだ。だから僕はプッシュし続ける。15分間、動き続けるだけのコンディションを創っているしね。動いて、ガルバォンをもっと疲れさせるんだ。彼のゆっくりしたペースを速く動いて、崩す必要があるからね」

――キック、ムエタイ、MMAのなかで行うグラップリング。観客には知識と我慢が必要なのがグラップリングです。その状況でどうファンを満足させたいと考えていますか。

「積極的に動いて、極めを狙う。そしてキックやムエタイ、MMAの試合を楽しんでもらうストラクチャーの役割を果たすよ。僕はヘッドライナーじゃないし、自分の試合を楽しんでから、ビールでも飲みながら他の試合を視て楽しむよ。それにこの歴史的なショーに参加できること自体が嬉しいしね」

――今後もグラップリングマッチを戦うことはありますか。

「もちろんMMAが僕のメインフォーカスだ。ただビッグネームと戦えるなら、グラップリングファイトもチャレンジしたい。ブシェシャ、ゴードン・ライアン、そんなビッグネームとならグラップリングでも戦いたい」

――ではMMAファイターとしての今後は?

「ヘビー級のベルトを狙いたい。正規王者のアージャン・ブラーと暫定王者のアナトリ―・マリキンがまずは戦うべきなんだろうけど。マリキンはロシア人だから、この先ONEで戦えるのか……。そこも関係してくるね」

――ライニア、今日はインタビューを受けていただきありがとうございました。最後に日本のファンに一言お願いします。

「実は今、リキ・フクダ(福田力)と練習しているんだ。リキはUFCやアジア(※Road FC)で戦ってきた、本当のナイスガイだ。日本はMMAで長い歴史を持っている。そんな日本のファンにも僕とガルバォンのグラップリングマッチを楽しんでほしい。そして、いつの日が僕も日本で戦いたいと思っている」

■放送予定
3月26日(土・日本時間)
午後1時30分~ ABEMA格闘チャンネル
午後9時00分~ABEMA PPV ONLINE LIVE

■ONE130 「ONE X」対戦カード

<ONE世界女子アトム級(※52.2キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]アンジェラ・リー(米国)
[挑戦者]スタンプ・フェアテックス(タイ)

<フリースタイル・フライ級(※61.2キロ)/3分4R>
ロッタン・シットムアンノン(タイ)
デメトリウス・ジョンソン(米国)

<ONE世界フライ級 (※61.2キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]アドリアーノ・モライシュ(ブラジル)
[挑戦者] 若松佑弥(日本)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
青木真也(日本)
秋山成勲(日本)

<ムエタイ・ライト級/3分3R>
エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)
ウェイン・パー(豪州)

<ONEキックボクシング世界フェザー級選手権試合/3分5R>
[王者]スーパーボン・シンハマウィーン(タイ)
[挑戦者]マラット・グレゴリアン(アルメニア)

<ムエタイ世界バンタム級選手権試合/3分5R>
[王者] ノンオー・ガイヤーンハーダオ(タイ)
[挑戦者] フィリッピ・ロボ(ブラジル)

<ONEキックボクシング世界バンタム級選手権試合/3分5R>
【王者】カピタン・ペッティンディーアカデミー(タイ)
【挑戦者】秋元皓貴(日本)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
ハム・ソヒ(韓国)
デニス・ザンボアンガ(フィリピン)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
平田樹(日本)
ジヒン・ラズワン(マレーシア)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
キム・ジェウン(韓国)
タン・カイ(中国)

<キック・フェザー級ワールドGP決勝/3分5R>
チンギス・アラゾフ(アゼルバイジャン)
シッティチャイ・シッソンピーノン(タイ)

<グラップリング・ミドル級 (※93.0キロ)/15分1R>
ライニア・デリダー(オランダ)
アンドレ・ガルバォン(ブラジル)

<ムエタイ・ライト級/3分3R>
ニキー・ホルツケン(オランダ)
シムサット・クリンミー(タイ)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
リト・アディワン(フィリピン)
ジャレミー・ミアド(フィリピン)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
スティーブン・ローマン(フィリピン)
佐藤将光(日本)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
アミール・カーン(シンガポール)
高橋遼伍(日本)

<ヘビー級(※102.01キロ)/5分3R>
カン・ジウォン(韓国)
ポール・エリオット(英国)

<グラップリング女子アトム級(※52.2キロ)/12分1R>
山口V.V芽生(日本)
ダニエラ・ケリー(米国)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
澤田龍人(日本)
仙三(日本)

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