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【DEEP116】46歳、46試合目の挑戦。しなしさとこ─02─「次の試合はニューしなしを見せます」

【写真】前日計量は43.65キロでクリア(C)MMAPLANET

11日(土)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP116でちびさいKYOKAと対戦する、しなしさとこのインタビュー後編。

試合はしたい。でも、あとどれだけ戦えるのか――現在46歳、そして次の試合が46戦目となる彼女が、そう考えるのも無理はない。首投げからフィニッシュを狙う展開も、もはや誰もが知っている。そんななか、前回の試合から9カ月間で培ってきたものとは――

<しなしさとこのインタビューPart.01はコチラから>


――MMAを長く続けたい。そのために怪我は避けたいが、無理をせずに試合で勝てることも少ない。ファイターというのは難しいものだと思います。

「私は昔から誰よりも体格が小さかったので、いつも練習や試合で怪我をしてしまう怖さはありました。練習でも技術云々より、何だか……壊しに来るような感じの人もいたりとか。そういう人との練習は避けたりと、無意識に長く続けるための行動を取っているかもしれないです。今はマンツーマンの練習形式のほうが良いですね」

――現在は若林次郎さん、瀧本美咲さん、そして山崎桃子選手などマンツーマンの練習が多くなっているのですね。

「やっぱり練習って信頼関係が必要じゃないですか。年齢も年齢ですし、信頼関係のある人たちとマンツーマンで練習することが増えていますね。今さらこの年齢で練習を増やす――昔のように3部練、4部練とやっていくのは無理です。短い時間の中で、どれだけ集中できるかが重要であって。今はマンツーマンで自分自身の動きを確認したり、できていないことを詰めて行ったりというほうが重要になっていますよね。そのほうが充実しています」

――しなし選手の場合、戦うことへのモチベーションが衰えないことが何より一番大きいかと思います。

「そうですね。一度復帰した時に、昔のようにギラギラした感はなくなって。記者の方からも『カドが獲れましたよね』と言われるぐらいで、良かったとは思うんです。でもそれは人間としては良くても、ファイターとしてはどうなんだろう――という気持ちはありました」

――やはりファイターとしては、今でもギラギラしていたいですか。

「でも今は『試合は試合、プライベートはプライベート』って、しっかり分けることができているんです。それが大人になったということかな、と思ったり(笑)。昔の私って、本当にギラギラしていましたよね」

――しなし選手だけでなく20年前に女子MMAを戦い、生き残っていた選手は皆ギラギラしていたのではないでしょうか。ただ、それは今の選手がギラギラしていないという意味ではありません。当時の女子MMAは、どこで誰に勝てば何がどうなるか分からない――そんななかで誰もが、もがき苦しんでいたような気がします。

「うん、そういう時代でしたね。確かに時代の違いはあると思います。今の女子選手は本当に良い環境で練習も試合もできていて。かといって『昔は……』なんて言うつもりもないし、かといって今の選手を羨ましく思うこともないですね。私は私だから」

――はい。

「今は目の前にある試合で、精いっぱい頑張る。もう他の選手と自分を比べることもなくて。それは格闘技だけじゃなく、普段の生活でも。何だろう……そう考えると、生きやすくなりました(笑)」

――アハハハ。それと……やはりお母さんになったことで、しなし選手も大きく変わったと思います。

「まぁ、守るものが増えますからね。大きな手術をすることになったら、子供の世話もできなくなるし」

――結果「早く極めたほうが良い」という結論に至っているのではないでしょうか。

「それが……そういう試合ばかりしているから、最近は怒られてばかりで(苦笑)」

――えっ!?

「今でも秒殺とか大好きですよ。一番の理想は極めて勝つことで。誰が相手でも判定で勝とうなんて、1ミリも思ったことがないです。私は一本を取らないと勝てない――そう考えて戦ってきました。

でも、みんな技術レベルが上がっているじゃないですか。しかも試合映像もあるから、私のバカの一つ覚えみたいな勝ちパターンを分かっていますよね。だからそう簡単には勝たせてもらえなくなっています。やっぱり同じ試合展開が続くと、そうなっちゃいますよね。前回も判定決着で。だから今は――実は新しいことに挑戦しているんです」

――新しいこととは一体何でしょうか。

「それは言えません(笑)。今回は9カ月間、いろいろと新しいことをやってきました。次の試合は『ニューしなし』を見せますよ。この年齢でも頑張っていますから。私って44キロで戦っている選手の中でも、体が強いほうだと思うんです。昔ほどではないけど、まだまだ筋肉もありますし。練習している人たちからも『まだまだ伸びしろがあるんだね』と言われているぐらいで。次の試合はまず、ちびさい選手に漬けられないこと。そしてニューしなしを見せますので、楽しみにしていてください!」

■視聴方法(予定)
11月11日(土)
午後5時40分~DEEP チャンネル-YouTube、U-NEXT、サムライTV

■ DEEP116計量結果

<バンタム級/5分3R>
元谷友貴:61.6キロ
CORO:61.5キロ

<ライト級/5分3R>
北岡悟:70.75キロ
泉武志:70.65キロ

<バンタム級/5分2R>
窪田泰斗:61.7キロ
雅駿介:61.65キロ

<女子ミクロ級/5分2R>
しなしさとこ:43.65キロ
ちびさい KYOKA:42.8キロ

<バンタム級/5分2R>
力也:61.65キロ
谷岡祐樹:61.65キロ

<バンタム級/5分2R>
橋本ユウタ:61.7キロ
鹿志村仁之助:61.4キロ

<メガトン級/5分3R>
誠悟:121.2キロ
ヨコヤ・マクレガー:96.35キロ

<ライト級/5分2R>
佐々木大:70.75キロ
太田将吾:70.25キロ

<バンタム級/5分2R>
秋元強真:61.55キロ
田口貴親:61.4キロ

<アマチュア68キロ契約/3分2R>
菅涼星:67.75キロ
小柴亮太:67.15キロ

<アマチュア・フェザー級/3分2R>
鈴木大晟:65.3キロ
横内おにぎり君:64.65キロ

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【DEEP116】ちびさいKYOKAと対戦、しなしさとこ─01─「試合は大変だけど、やっぱり格闘技が好きで」

【写真】46戦目直前──写真は今日の昼過ぎにしなし本人が送ってくれたモノ。体重は43.5キロだそうだ(C)SATOKO SHINASHI

11日(土)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP116で、しなしさとこがちびさいKYOKAと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

しなしは今年2月、約3年振りの復帰戦で古林礼名に勝利した。古林戦前には復帰の理由を語ってくれたが、今回のインタビューは「戦い続ける方法」を訊く。しなしさとこ、46歳9カ月の挑戦――試合1週間前の取材で、すでに体はバッキバキだ。


――前回の試合から9カ月振りの試合を控えています。現在のしなし選手にとっては、もっと試合がしたいですか。それとも、これぐらいのペースで試合をするほうが良いのでしょうか。

「もう年齢的に、これぐらいのペースでないと試合できないです(笑)。やっぱりちゃんと準備して試合に臨みたくて。実は前回の試合って、1カ月ぐらいしか練習していなかったんですよ」

――1カ月では十分な準備ができない、ということですか。

「もともと前回の試合が、約3年ぶりの復帰戦だったじゃないですか。その3年の間は週に一度横浜グランドスラムでの練習と、週に一度のフィジカルトレーニングぐらいで。要は3年間、週2回しかトレーニングしていない状態から、まるまる一カ月を練習に充てて試合に出たんです。だから私としては、あまり練習ができていない状態だったといいますか。でも前回の練習期間も含めて10カ月、しっかり練習することができました」

――試合間隔が2~3カ月となったら厳しいですか。

「もう体がもたないです(苦笑)。最近は44キロで試合をする選手も増えてきたみたいで」

――44キロ=DEEPミクロ級ですね。確かにミクロ級の試合も増えてきました。

「佐伯(繁DEEP代表)さんからも『選手が増えてきたから、いつでも試合できるよ』と言われていますけど、私のほうが難しいですね。今は試合間隔を空けて、しっかり練習してから臨みたいので。だから今が一番良いペースですね。もう体重もアンダー、44キロを切っていますから」

――SNSにアップされている写真を見ると、すでに体もバッキバキです。

「私は減量なしで、通常体重が44キロなんですね。今回の対戦相手も減量なしで44キロだと聞いています」

――ちびさいKYOKA選手は公式プロフィールによると身長146センチで、しなし選手は148センチです。しなし選手が体格で上回る試合は、今回が初めてではないでしょうか。

「ビックリしますよね! 今まで私より身長が低い相手はいました。でもその場合は通常体重が重かったり。前回対戦した古林礼名選手も、身長は私より高いうえ通常体重はかなり上で。試合当日はすごく大きかった。私の場合は練習でも、同じぐらいの体格の子と一緒になったことがなくて(笑)」

――しなし選手の場合、そもそも男子選手と練習していることが多いです。

「アハハハ、そうですね。ただ、最近は山崎桃子ちゃんもスパーリングパートナーになってくれて。桃ちゃんとはグランドスラムで一緒に練習していたけど、彼女がグランドスラムを離れてからは、あまり連絡を取っていなかったんです。でも今回の試合が決まる少し前から、彼女とまた練習するようになりました。桃ちゃんも減量なしの44キロですし。もちろん瀧本美咲ちゃんもずっと一緒に練習してくれていて、女子と練習する機会がまた増えましたね」

――そういえば意外といえば意外ですが、山崎選手とは対戦経験がありません。それは練習仲間だったことも理由なのでしょうか。

「そうです。実は今回も対戦相手のリストに桃ちゃんの名前があったんですけど、その前からスパーリングパートナーになっていたので。今は桃ちゃんが所属している坂口道場一族さんへ行かせてもらい、週に一度マンツーマンでスパーリングしています。……日曜日に(笑)」

――アハハハ。他のベテラン女子ファイターに聞いても、格闘技しかない生活を送っているのは素晴らしいことだと思います。

「そうですよねぇ。試合をするのは大変だけど、やっぱり格闘技が好きで。好きだからこそ、皆さんも続けることができているんでしょうし」

――しなし選手の場合、今も食欲旺盛であることが戦い続けていることとリンクしているような気がします。日常生活の中で食欲が落ちることはないですか。

「今も焼肉に行ったら、サシが入ったお肉ばかり食べていますからね。もちろん試合が決まると練習がキツくなるので、食べる量を抑えることはあります。でも食欲が落ちたわけではなくて」

――食べることと戦うことがリンクしている場合、『同じ量を食べられなくなったら戦えなくなる』という怖さのようなものはないですか。

「怖さというか――やっぱり私の場合は、食べていないと44キロにも届かないですからね(笑)。6年ぶりに復帰した時があるじゃないですか。あの時って42キロしかなかったんですよ」

――えっ!? 2014年10月のジ・イェジ戦ですよね。

「はい。食べることもそうですけど、試合ができなくなる怖さ――『あと何試合できるんだろう?』という気持ちは、ずっとあります。もしかしたら次の試合で終わりかもしれないし、逆にあと2~3年は続けられるかもしれない。年齢的なこともあって、それは分からないです。でも急に『今回の試合でおしまい』となっちゃうのは嫌だから、常に1試合1試合を大事にしていきたいという気持ちは強いですね」

■視聴方法(予定)
11月11日(土)
午後5時40分~DEEP チャンネル-YouTube、U-NEXT、サムライTV

■ DEEP116対戦カード

<バンタム級/5分3R>
元谷友貴(日本)
CORO(韓国)

<ライト級/5分3R>
北岡悟(日本)
泉武志(韓国)

<バンタム級/5分2R>
窪田泰斗(日本)
雅駿介(韓国)

<女子ミクロ級/5分2R>
しなしさとこ(日本)
ちびさい KYOKA(韓国)

<バンタム級/5分2R>
力也(日本)
谷岡祐樹(日本)

<バンタム級/5分2R>
橋本ユウタ(日本)
鹿志村仁之助(韓国)

<メガトン級/5分3R>
誠悟(日本)
ヨコヤ・マクレガー(韓国)

<ライト級/5分2R>
佐々木大(日本)
太田将吾(日本)

<バンタム級/5分2R>
秋元強真(日本)
田口貴親(日本)

<アマチュア68キロ契約/3分2R>
菅涼星(日本)
小柴亮太(日本

<アマチュア・フェザー級/3分2R>
鈴木大晟(日本)
横内おにぎり君(日本)

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