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【FIGHT&MOSH】SASUKE、打撃の圧力→TDを切ってパウンドアウト。危なげない試合運びで王座防衛

【写真】安定感たっぷり、危なげない試合運びで王座防衛(C)MMAPLANET

<世界フェザー級選手権試合/5分5R>
SASUKE(日本)
Def.3R1分07秒 by TKO
田中半蔵(日本)

サウスポーの田中が右のアウトロー。SASUKEは顔面へのスピニングバックキックを繰り出す。SASUKEは右ストレートを伸ばしてヒザ蹴り。田中は距離を取りながら右フックを狙う。SASUKEも右を見せつつ、田中の蹴り足をすくって組みつく。

田中が右手を差してSASUKEをケージに押し込み、ダブルレッグへ。SASUKEは半身になって足をクラッチさせず、ケージに身体を預けて側頭部にヒジを入れる。田中がSASKEをケージに押し込み、動きが止まったところでブレイクになる。

スタンドでの再開後、SASUKEは田中の左の蹴りに左フックを狙い、そこから右フックを強振。

首相撲にとらえるとヒザ蹴りを突き上げ、足をかけてテイクダウンする。SASUKEはトップポジションからヒジを落とし、田中が亀になると一気にパンチをまとめる。

2R、SASUKEが田中の前足に関節蹴りを連打。飛びヒザ蹴り、スピニングバックエルボーと手数を増やす。じりじりと前に出るSASUKEが左フック、そこから右フックにつなげる。田中も右フックを返してインロー。

SASUKEは田中の前蹴りをとってテイクダウンし、中腰からパスガードを狙いつつ、ヒジを落とす。田中は下から鉄槌を当てるが、SASUKEはトップキープし、田中の頭をケージに詰めて固定し、パンチとヒジを連打する。

3R、SASUKEはプレッシャーをかけながら、田中が前に出るところに右ストレートと左フック。右の前蹴りをボディに突き刺すと、首相撲からヒザ蹴り。田中がダブルレッグに入るが、それを切ると亀になる田中にパンチを連打する。

田中の動きが止まったところでレフェリーが試合を止めた。危なげない試合運びで王座防衛に成功したSASUKE。試合後は以下のメッセージをファンに送った。

「僕は夢に向かってワガママで生きていますが、応援してくれる人がたくさんいます。修斗を背負ってRoad to UFCに挑戦して2年連続で負けて不甲斐ない結果でした。それからすべてを変えて戦いのために過ごしてきました。

苦しいことしかない毎日で、どうすれば報われるか考えてやってきました。ここに立っているのはサポートしてくれるみんなのおかげです。なかでもマスタージャパンのみんなは暖かい言葉で励ましてくれて後輩もできて、このチームは家族みたいなもんなんで、みんな大好きです。ありがとうございます。そしてマスタージャパンだけじゃなくて、応援してくれるみなさんありがとうございます。

明日TORAOがあって、マスタージャパン福岡から3人出場します。そこにつなげました。明日は楽しみです。いつも話が長くなるので、このくらいで終わりにしましょう(笑)。ご来場ありがとうございました。SASUKEならびに修斗の応援よろしくお願いします」


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【Special】K-MMA、2023年・秋。グラジで久保健太戦、チェ・ドンフン「ニャムジャルガルにも勝てる」

【写真】1999年1月2日、ソウル生まれ。ポハンには軍人として赴いた(C)MMAPLANET

日本と韓国、MMAにおいても永遠のライバルである両国。Road FCを頂点とするK-MMAは規模的には日本のRIZINのようなビッグステージを持たない。対してUFCファイターの評価は引退したコリアンゾンビに代表されるように、韓国勢の方が高い。9月のDEEP vs BLACK COMBATで後者が日本の老舗を圧倒した。日韓関係に少し変化が見られるようにもなった10月最終週に訪韓、K-MMAの今を歩いた。
Text by Manabu Takashima

特集「K-MMA、2023年・秋」。遅まきながら第三弾は12月9日(土)に豊中市の176BOXで開催されるGladiator024で久保健太と対戦するチェ・ドンフンの声をお届けしたい。

3月大会でフライ級王座挑戦が決まっていたが負傷欠場、9カ月後に仕切り直しを前にキャリア3戦目でDouble GFCフライ級王者となった24歳のK-MMAファイターはどのような想いで日本で戦う。


――3月のGladiatorでNavE選手に挑戦予定でしたが、足の骨折で出場不能となりました。その後、回復具合はいかがだったのでしょうか(※取材は10月26日に行われた)。

「骨折は足の甲でした。自分自身、凄く試合はしたかったのですが、手術が必要で戦うことができなかったです。今もピンが入っているままですが、ドクターから試合に出ても大丈夫だという言葉を貰っています。鋼鉄が足に入っているので、蹴りでKOできるのではないでしょうか。アハハハハハ」

――……。欠場したタイトル戦でチェ・ドンフン選手の代役で出場したニャムジャルガル・トウメンデムベレルがKO勝ちをしてベルトを巻くと、そのままRoad to UFCのワンマッチ契約を勝ち取りました。ケガをしなければ自分が……という悔しい想いはないですか。

「悔しいと思わないといえば嘘になります。でもケガで試合ができないことはしょうがないです。とにかくリハビリに集中して、さらに強くなろうという気持ちでいました。同時に代わりに出る選手なので、どのような戦いをするのかは気になっていました。モンゴルのチャンピオンということで楽しみでもあったのですが、ニャムジャルガルの最近の試合を見ても自分なら勝てますね」

――凄い自信ですね。今回、久保健太選手が対戦相手候補ということですが(※その後、正式決定)、まず日本で戦うことが再び決まったことについてはどのように思っていますか。

「再びチャンスをくれたGladiatorに感謝しています。今回がタイトル戦でなくても、Gladiatorでの試合に集中しています。Gladiatorモードです」

――そんなチェ・ドンフン選手ですが、MMAを始めたきっかけは何だったのでしょうか。

「自分は軍人で、所属基地がポハンにありました。徴兵期間後も下士官として、軍に残っていました」

――ネトフリでD.Pというチョン・へインが主人公を演じる脱走兵追跡のドラマを視ましたが、体罰やいじめなど本当にあれ程えげつないのですか。

「アハハハハ。アレは陸軍の話で、自分は海軍にいましたので。海軍は陸軍よりも××××(※以下自粛)ですよ(笑)。そのまま軍人として生きていくのかと考えた時に、自分が強くになるにはMMAしかない……男としてMMAのスーパースターになりたいと思ったんです。MMAファイターとして生きていくことを決めました。実際、チームMADポハンに所属し人生が変わりました」

――軍に入る前に格闘技の経験はあったのですか。

「中学時代に柔道をやっていました。ただ初めてMMAを見た時に、これは喧嘩だと思ったので打撃を学ぼうと思い、ジムに入ったんです。で、初めてスパーリングをした時の相手がキム・ミンス館長でした。どれだけ殴られても、最後は殺してやろうという気持ちで挑みましたが、全く近づくことはできずにボコボコにされました(笑)。もう血だるま状態で。『これはしっかりと学ぶ必要がある』と思い知り、そこから気合を入れ直しました。

とにかく夕方にジムに行くとボコボコにされて(笑)、血みどろで家に戻るんです。そんな毎日が続くと、『俺は選手とやっていけるのか。本当に正しい判断をしたのか』と疑問を持つようになったこともあります。でも黙々と練習をしていると1日、1日と成長する自分を感じることができて、試合で結果も残せるようになりました」

――キャリア3戦目でDouble GFCのチャンピオンになり、今は4勝0敗です。正直、経験値としては十分でないという見方もされるかと思います。

「自分のレベルアップのため、そしてプレッシャーを与えるためにGladiatorで戦おうと思ったんです。これからは国内だけでなく、海外でも戦っていきたいので。この世界で成功を修めるには海外で連続して戦っていかなければならない。なのでギアを上げることにしました。これから世界のトップ舞台で戦うために、Gladiatorは良いステッピングボードになると思っています」

――MMAファイターとしての強みはどこだと思っていますか。

「自分はフライ級のなかでも大きい方ではないです。過去4試合とも、相手の方が背が高かったです。日本で戦うかもしれない久保選手はリーチが長いそうですが、ステップを使って久保選手の距離で戦わないようにしようと思います。そうですね、インアウト――出入りが自分の強みです。

足を負傷していたので、ボクシングの練習に集中していた期間がありました。そこで身につけた出入りですが、戦いに幅がなかったのも事実です。今後はグラップリングも交えて、圧力を掛ける試合をしたいです」

――キ・ウォンビン、チョ・ソンビン、パク・ジェヒョクとGladiatorでは韓国人王者が生まれていますす。同じ韓国人選手として続きたいという気持ちは?

「そういう歴史を紡ぐよりも、自分のために頑張りたいと思います。Gladiatorフライ級のタイトルを取ります。期待してください」

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【FIGHT&MOSH】SASUKEが語る王者の使命「ベルトを背負って戦ってこそ王者。ビシッと締める」

【写真】 3月に飯田健夫をKOし、初防衛に成功したSASUKE。今大会でも防衛戦を志願した。(C)MMAPLANET

12月2日(土)東京都江東区にある豊洲PITで開催されるプロ修斗公式戦「MOBSTYLES presents FIGHT&MOSH」にて、世界フェザー級王者SASUKEが挑戦者・田中半蔵と対戦する。
text by Takumi Nakamura

2021年7月に工藤諒司に勝利して世界フェザー級王座を獲得したSASUKE。3月に飯田健夫をKOして王座防衛に成功する一方、2年連続でRoad to UFCに出場するも1回戦敗退に終わっている。修斗のベルトを防衛し、UFCという目標を追いかける。SASUKEにその想いを訊いた。


――前回5月の試合=Road to UFC(RTU)フェザー級トーナメント準々決勝でのキム・サンウォン戦は2RKO負けという結果でした。あの試合を振り返っていただけますか。

「チャンスをモノにできなかった悔しさが大きい試合でしたね。というか、それしかない試合でした(苦笑)」

――今の言葉にもある通り、1RからSASUKE選手ペースで試合が進んでいたにも関わらず、2Rにサンウォンの右ストレート一発で試合をひっくり返されるという展開でした。

「見てもらうと分かる通り、1Rは相手をコントロール出来ていて、セコンドからも『倒しにいけるぞ』という指示だったし、僕もそういう手応えがあったんですね。1Rはコントロールに全振りしていたところがあったので、もっとダメージを取らなきゃいけないと思って2Rに入ったんです。それで1Rと比べると打撃の距離が半歩近くなって、自分ののパンチも届くようになっていて。それで倒そうと思って(左フックを)振ったところに右ストレートをもらっちゃいましたね。やったことは間違いじゃないと思うんですけど……本当に悔しいし、もったいないなと思いました」

RTUフェザー級T準々決勝ではキム・サンウォンに逆転負け(C)MMAPLANET

――試合後はどんな心境でしたか。

「試合が終わってホテルに戻ってきたのが夜の9時過ぎで、翌日の朝4時には出発しないといけなくて、試合後はすごくバタバタしてたんです。負けたし、へこんでるし、何を食べてもおいしくないし……何か変な感じのまま帰ってきました(苦笑)」

――ある意味、明確に差をつけられた敗戦の方が負けを受け入れることができたかもしれません。

「切り替えるまでに時間はかかったんですけど、倒しに行った結果として倒されてしまったので、そこはもう自分の実力不足ですね。あと弘中(邦佳)さんが試合後にかけてくれた言葉にすごく救われて、結果が変わって状況が改善することはないんですけど、弘中さんのおかげで切り替えることができました」

――差し支えなければどんな言葉をかけられたのか教えてもらえますか。

「『お前が思っているほど、周りはお前の勝敗は気にしてないぞ』と言われました。僕はUFCを目標にやってきて、RTUで2年連続初戦敗退に終わって、すごく絶望的な状況だと思うんですよ。でも自分がヘコんでいるほど、当たり前ですけど周りはそんなに気にしてないし、1年も経てば今回の負けのことはみんな忘れるんだから、また頑張ればいいんだよって。すごく前向きな言葉をかけてくれて、それで救われましたね」

――悔しい結果であった一方、あの試合のためにやってきたことや取り組みが間違っていなかった部分もあったと思います。

「以前の自分は待ちのスタイルというか、ウェルラウンダーゆえに相手に合わせるところがあったんです。でも去年のRTUでイー・チャア選手に負けたときに周りから言われたのは、このレベルになると自分を相手に押し付けたものしか勝てないよ、と。あの試合以降、とにかく自分から攻めることを意識するようになって、そのスタイルでサンウォン戦も1Rはコントロールできていたので、そういった戦い方や組み立ては間違っていなかったと思います」

――打撃でも組み技でもどちらでもプレッシャーをかけて崩すことが出来ていました。そこは意識していた部分ですか。

「本来の僕は練習でもああやってプレスをかけるスタイルなので、練習通りにできたと思います。しかも日本を飛び出てアジアの選手にも通用したというのは、自分のスタイルが間違ってないなと思いました」

――そして12月「MOBSTYLES presents FIGHT&MOSH」で2度目の防衛戦が決まりました。年内には試合をしたいという希望があったのですか。

「そうですね。サンウォン戦が5月末なので、年内にもう1試合やって、勝って年を越したいと思っていました」

――YouTube「SHOOTO OFFICIAL」チャンネルでは防衛戦を希望したとのことでしたが、チャンピオンとして公式戦に出る以上は防衛戦をやるべきという想いがあったのですか。

「数年前に修斗でチャンピオンになったらONEに行くという流れがあったじゃないですか。その間に暫定王座を設けたり、正規王者が外部の選手とやるときにノンタイトル戦だったり。僕は個人的にそれに疑問を持っていたんですよ。やっぱりベルトを背負って戦ってこそチャンピオンだし、チャンピオンが試合をするのにベルトをかけないことに納得がいかなくて。そういう想いがあったので、今回も対戦相手の候補が何人かいるなかで『相手は誰でもいいので防衛戦をやらせてください』と伝えて、最終的に半蔵選手に決まりました」

――今回の試合は防衛戦であり、約7カ月ぶりの再起戦です。SASUKE選手の中ではどちらの方が大きいですか。

「どちらにということは考えていなくて、一番は試合が決まったからやる、と。前回の負けを忘れるわけではないですけど、そこまで気にしていないというか。ここで負けたらベルトを獲られるとか2連敗になるとか、そういいうネガティブなことは一切思わないんですよね。目の前の試合に勝って次に進む。それしか考えてないですね。復帰戦は復帰戦ですけど、そこに対する気負いはないですね」

――「勝って年を越したい」という言葉もありましたが、2024年につながる試合にしたいですか。

「それもありますし、関東では年内最後の修斗なので、修斗のチャンピオンとして自分が勝って2023年の修斗もビシッと締めたいと思います。そこを深く考えることはないですけど、やることをやれば自然にそうなると思います」

(C)MMAPLANET

――来年以降もUFCへのチャレンジという大きな目標もあると思います。それについてはいかがでしょうか。

「また来年もRoad to UFCにエントリーしたい気持ちはありますが、現実的に厳しいということも分かっています。なのでRoad to UFCとは違う形でUFCにつながる試合をしたいです。修斗で防衛を続けることがUFCに繋がるのであれば防衛を続けたいですし、アメリカのLFA、オーストラリアのEternal MMA、中東だったらUAE Warriorsと、UFCの目に留まるプロモーションもあるので、そういう団体も視野に入れてやっていきたいです」

――それでは2023年を締める試合に向けて、ファンのみなさんにメッセージをいただけますか。

「今いい意味で格闘技が盛り上がっていますが、僕は誰かのためにではなく、自分のために戦っています。応援してくれる人がいたらうれしいし、ネガティブな意味ではなく、僕の試合を見たくない人は見なくてもいいですよって考えなんです。というか周りに気を使ってやっている余裕はない状況なので。自分の存在感を示すことが一番で、インパクトがある勝ち方をして『この選手はもっと出来る』と思わせるような試合をしたいです」

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【Special】月刊、水垣偉弥のこの一番:10月 ウスマン×チマエフ「スタンドのバックキープは山の五合目」

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客3名が気になった試合をピックアップして語る当企画。背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。
Text by Takumi Nakamura

大沢ケンジ、水垣偉弥、柏木信吾というJ-MMA界の論客をMMAPLANET執筆陣がインタビュー。今回は水垣偉弥氏が選んだ2023年10月の一番──10月21日に行われたUFC294でのカマル・ウスマン×カムザット・チマエフ戦について語らおう。

――取材がギリギリになって申し訳ありません!10月の一番として、水垣さんにはUFN228でのカマル・ウスマン×カムザット・チマエフを選んでいただきました。

「まずチマエフはまだ底を見せ切れていないというか、ギルバート・バーンズ戦で大分見えていた部分もあったけど、最終的には競り勝った。では本来の階級は下だけど、ウスマン相手にチマエフの実力がどうなのかを見たいという興味がありました。あとはテイクダウンされないウスマンと最強のテイクダウン技術を持つチマエフが戦ったらどうなるのかなという好奇心もありましたね」

――いざ蓋を開けたらチマエフが開始早々テイクダウンしてバックを取るという衝撃的な展開でした。

「あれはビビりましたね(笑)。改めて見直すとチマエフがテイクダウンしてバックを取るまで1分くらいなんですよ。あの攻めの速さは尋常じゃないです。ただ2Rになるとチマエフがテイクダウンにいけなくなるんですよ。少し休みながら戦っているようにも見えて、もしかしたら1Rにテイクダウンとバックは取っていたけど、あの攻防のなかで『今までの相手とは違う』という感覚があったのかもしれないですね」

――意図したものかどうかは分からないですが、1Rと2Rのチマエフは別人のようでした。

「そこがまだチマエフの分からないところなんですよ。スタミナが切れてしまったのか、あえてそうしたのか。3Rに入ると何度かテイクダウンに成功しているし、結局チマエフの全貌が分からない(笑)」

――3Rはウスマンのパンチも当たりだしたので、このままウスマンが前に出て、チマエフが弱気になると思ったんです。そうしたら打撃でも打ち返していましたよね。

「それはバーンズ戦でも感じたことで、僕はチマエフは試合終盤の競り合いになったら弱気になるタイプだと思っていたんですよ。でもバーンズ戦はそういう競り合いでも勝負強さを見せたんですよね。今回も2Rを見終わって、3Rはこのままウスマンの流れるになるかなと思っていたら、最後はチマエフが盛り返して勝っている。2試合連続ちゃんと競り勝っているわけだから勝負弱くはないと思うんですけど、1Rの圧倒ぶりからすると、もっと圧勝できる気もするじゃないですか。でも最終的に接戦になってしまっているので『結局、チマエフどうなの?』と思われてしまいますよね」

――そんな謎多きチマエフではありますが、シングルレッグからテイクダウンしてバックコントロールという流れは素晴らしかったです。ここ最近のロシアや中央アジア出身の選手が得意にしているムーブです。

「シングルレッグ、テイクダウン、相手が立ってきたらバックキープ、仮に立たれてもスタンドでバックをとる、そこからテイクダウン……この流れが完全に出来上がっていますよね。チマエフはハビブ軍団とは別チームなので指導者やトレーナーが同じということはないと思うんですけど、あの地域のレスリング系の選手の技術体系や動きが似ているというのは不思議な部分ではあります。これは推測ですけど“組み伏せて殴る”ことを突き詰めていくと、バックコントロールに行きつくんじゃないですかな、と」

――スクランブルの攻防が増えて、組みの展開で選手が立つという選択をするようになった。グラウンドで両足をフックする柔術的なバックコントロールよりも、レスリング的な足をフックしないバックコントロールの時間が長くなっていることも影響していると思います。

「その方が殴りやすいというのもあるでしょうね。あとは立たれるリスクもあるけれど、スタンドでバックについていればOKという感覚もあると思うんですよ。立たれて正対されるのはダメだけど、バックについていれば仕切り直しできるみたいな」

――スタンドのバックキープがイーブンではなく有利な状況ということですね。

「山登りでも五合目にベースキャンプを置いて、登山途中に天候が悪くなったら一旦ベースキャンプに引き返すじゃないですか。そのベースキャンプがスタンドのバックキープというか。テイクダウンして完全にバックコントロールするのがベストだけど、その攻防で自分が下になる・立たれて距離を取られるリスクがあるなら、立たせてバックキープする方がいい。スタンドのバックキープは6:4で有利だけど、正対されたら4:6で不利になる。だから6:4で有利でいられるところまで戻されることはよしとする感覚なんだと思います」

――なるほど。“立たれた”ではなく“立たせた”という見方もできる、と。そう考えるとポジショニングの概念も選手のファイトスタイルや技術によって変わってきますね。

「もちろんスタンドのバックキープからテイクダウンする&組み伏せる技術ありきですが、彼らにとってはグラウンドのポジションキープよりも体力の消耗も少ないんだと思います。そこまで展開に幅を持たせることが出来たら体力的にも精神的にも余裕を持てますよね」

――逆にショートノーティスで出場が決まって、本来はウェルター級ながら、ミドル級のチマエフとあれだけ出来たウスマンの強さも再確認しました。

「チマエフのテイクダウンを切って、捌くところは捌いてましたからね。UFCは試合中にテイクダウンの成功率が出るじゃないですか。確かにテイクダウンを取られてはいるんですけど、防いでいると言えば防いでいる。その数字は『あれだけチマエフのテイクダウンを防いだウスマンはすごい!』なのか『結果的にウスマンからテイクダウンを取っているチマエフはすごい!』なのか。チマエフが未知数な部分を残している分、どっちなんだろうなと思ってしまいますね(笑)。もちろんウスマンをテイクダウンするチマエフの能力はすごいですんですけど」

――チマエフは前回の試合が13戦目ですし、まだまだ伸びしろはありそうですね。UFC自体も完成された選手が集まるというより、UFCで戦っていくなかでキャリアを積んで伸びていく選手たちが増えそうです。

「例えばDWCS(Dana White’s Contender Series)から無敗のまま上がってくる選手もいますけど、正直『えっ?』と思うような選手もいるんですよ(笑)。でも今のUFCはそれもありというか。戦績がいい選手を30~40選手くらい集めて、その中にダイヤの原石が1人いればいいという考えで、昔と比べるとふるいのかけ方が変わってきているんだと思います。とりあえず戦績がいい選手を数で集めて、UFNのアンダーカードで削って行くみたいな」

――以前は他のプロモーションで勝ち上がった選手がUFCを目指していましたが、今はUFCというプロモーション自体がもう一つ大きなふるいを持ったイメージですよね。それがRoad to UFCやDWCSでもあると思いますし。

「とりあえず履歴書を送って、書類選考は通過みたいな(笑)」

――まずはバイトから始まって正社員まで険しい道のりが続く、と(笑)。言い方を変えれば間口が広がった分、UFCに引っかかる可能性やチャンスは増えましたよね。

「まだDWCSに日本人が出る機会は少ないですけど、木下憂朔選手の例もありますからね。ただそれは他の国にも言えることで、アジア圏でも色んな国から選手が出てきているじゃないですか。来年はUFCとしてインドから選手を育成するプログラムをスタートさせるという記事も見ましたし、Road to UFCに出ている選手たちも1年間で急成長していますからね」

――UAE Warriorsに参戦中の藤田大和選手を取材したのですが「国全体でMMAが盛り上がっている空気を感じるので、これからすごい選手が出てくる可能性もあると思います」と話していました。

「UAEWやBRAVE CFを経由してUFCに出る選手たちは一味違いますよ。あとはムハマド・モカエフのようにIMMAFに出ている選手たちは、アマチュアだけどめちゃくちゃレベルが高いところで試合をしてきているから、先ほどとは逆で『この強さでこの戦績?』と驚くような選手も出てきますよね。MMAという競技の発展という意味では、そういった動向も見ていきたいと思います」

――もしかしたら数年後にインドやUAEがMMA大国になっているかもしれない。そんな言葉で今月の一番を締めさせていただきます!

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【TOPBRIGHTS】松嶋こよみ カルシャガ・ダウトベックと対戦!

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2024年1月21日に群馬県のオープンハウスアリーナ太田で開催されるTOPBRIGHTS.1の追加対戦カードとして松嶋こよみ(パンクラスイズム横浜)×カルシャガ・ダウトベック(カザフスタン/タイガームエタイ)のフェザー級ワンマッチが発表されました。

松嶋はONEを主戦場にした後にROAD TO UFCにも出場した実力者。その後もUFC出場を見据えて今年はDEEPに参戦していました。それがまさかTOPBRIGHTSに参戦するとは。。。意外な気もしますが、UFC出場を目指す上で単発で参戦出来る大会は貴重だったのかもしれません。

しかも、試合はUFCにアピールする上でモノを言いそうな国際戦。ダウトベックはボクシングをベースにしたストライカー。2018年にRIZIN朝倉未来に判定負けを喫しましたが、今年はカザフスタンでのAlash Prideを主戦場に3試合連続1R KO勝ちと波に乗っています。

9月にはUFCに出場経験のあるディエゴ・ブランダオンをハイキックからフックでダウンを奪ってパウンドアウトした試合は印象的。同じく打撃がキレる松嶋との対戦はヒリヒリした緊張感のあるものになりそう。松嶋はアピールする上で負けられない一戦を迎えます。

その他にもグレイソン・チバウ(ブラジル/アメリカン・トップチーム)×キム・ハンスル(韓国/コリアンゾンビMMA)のMMAマッチが決定。堀口恭司プロデュースたる所以かだいぶ国際色豊かな大会になってきました。

後は大会を観戦しに行くべきか。良いカードもある反面、大半はキッズや育成枠の試合。そして群馬という開催地。チケットも決して安くはないしな。。。配信を激しく希望します。
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【UAEW45】藤田大和が振り返るアディロフ戦「カーフとギロチンでMMAの幅が広がった」

【写真】2試合連続ギロチンで一本勝ちした藤田。海外挑戦へ向けて磨いていた技だ(C)UAEW

10月17日(火・現地時間)にUAEはアブダビのアルジャジーラ・クラブで開催されたUAE Warriors45にて、カザフスタンのサンスハル・アディロフにギロチンチョークで勝利した藤田大和。
text by Takumi Nakamura

UAEW初参戦となった8月大会でのフィルカドベク・ヤクボフ戦に続き、2試合連続同じ技での一本勝ちだった。UAEW参戦が決まるまで約11カ月間のブランクがあった藤田だが、フィニッシュのギロチンはブランクの期間で習得した技であり、試合序盤でペースを掴んだカーフキックはUAEW参戦以降に磨きをかけた技だ。

海外挑戦までの準備期間で取り組んできたことが身を結ぶ形となった。今回のインタビューではギロチンを極めるまでにどんな過程があったのかを聞くと共に、急速に拡大しているUAEでの戦い、そして目標に掲げるUFC参戦への想いを訊いた。


――UAEW45ではアディロフからギロチンチョークで一本勝ちを収めました。これでUAEWでは2連続一本勝ちという結果になりました。

「こんなに上手くいくとは思っていなくて、出来すぎで怖いくらいです。うれしいを通り越して不思議な感じがします(笑)」

――そんな出来過ぎな(笑)アディロフ戦について聞かせてください。事前のインタビューでは「足を使ってジャブを突くパンチ主体の選手ですけど、自分から組みに行く場面もある。対して相手が組んで来るとスプロールすることもできて、何でもやれるタイプ」とアディロフを分析していましたが、比較的早い段階から組んで来ましたよね。

「実はアディロフが想定していたことと全く逆のことをしてきたんですよ。事前に映像を見た限り、構えはオーソドックスでパンチ主体&基本的には組まずに打撃で来ると思っていたら、すぐに構えをサウスポーにスイッチして蹴りを出してきて。それで僕も少し離れた距離を取っていたら、今度はテイクダウンに来るという(苦笑)。戸惑いまではいかなかったですが、ゲームプランを考え直さないといけないなと思いました」

――相手が想定外のことをやってくることはあると思いますが、そこまで逆のことをやるのは珍しいですね。

「でもMMAは色んな局面があるので、想定外のことが起こりやすいと思うんです。今回も事前に見た映像で相手がオーソだから、スパーリングの相手もオーソで揃えるということはしなかったですし、満遍なく色んな選手と練習しました。むしろうちのジムにはサウスポーの選手も多いので、サウスポーは問題なかったです」

――アディロフは開始直後はオーソドックス、藤田選手がカーフを蹴ったあとにサウスポーにスイッチしましたがが、あれは相手がカーフを嫌がっていたのでしょうか。

「間違いなくそうですね。あれは右カーフが効いたからスイッチしたんだと思います。僕が右カーフを蹴ってアディロフがサウスポーにスイッチして、また一瞬オーソに戻したんですけど、その瞬間に右カーフを蹴ったんです。そうしたらすぐに構えをスイッチしたんで、完全に嫌がっているなと思いました。ケージに押し込まれている時にアディロフの左足を見たらかなり腫れていたので確実に効いていたと思います」

――カーフキックは練習していた技なのですか。

「数年前にみんなが使うようになって、自分も練習していた技ではあります。ただUAEWに出るまでは相手のバランスを崩すイメージの蹴り方で、効かせようと思って蹴ったのはUAEWに参戦するようになってからです。練習でもピンポイントで効かせられるようになってきて、カーフは今の自分にとって一つの武器になりました」

――カーフを効かせたあとはケージに押し込まれる展開が続きますが、あの場面ではどんなことを考えていましたか。

「僕自身、ケージを背負った状態は得意というか、試合で寝かされることはほぼないんですよ。普段から倉本(一真)さんや山北(渓人)と組み合っているので(寝かされる)怖さはなかったですし、逆に少し先の展開も考えながらやっていました。あのままラウンド終了までいっちゃうとポイントを取られるので、立ち上がるタイミングを計ってましたね」

――慌てずに対処できていたわけですね。

「相手はかなり力を使っていたと思いますが、僕はほとんどスタミナも使わず、息も上がっていなかったです」

――そこからギロチンを狙っていく流れとなります。

「トータル3回ギロチンを狙って、3回目で取ったんですけど、1回目でトライしたときに『(アディロフは)あんまりギロチンを取られ慣れてないな』と思ったんです。だから1回目はギロチンに固執しなかったし、2回目もギロチンの態勢にはなりましたけど、そこまで極めの形にはなっていなかったので、どちらかというと立てればいいやという技のかけ方でした」

――私見ですがギロチンは何回もトライして極まるというよりも、タイミングを合わせて一発で極めるイメージのサブミッションなんです。なので2回トライして極まらなかったところを見て、もうこの試合でギロチンでフィニッシュするのは難しいのかなと思ったのですが、実際は逆だったんですね。

「はい。僕もギロチンを失敗すると力も使うし、下になるリスクもあるので、何度もトライしないのですが、あの時は取れる感覚があったので、無理な態勢から取りにいく必要はないと思いました」

――そしてフィニッシュのギロチンですが、アディロフがダブルレッグに来た時点で「もらった!」と思いましたか。

「はい。あれはがぶった瞬間にガッチリ入っていました。あのまま両足を組んでも極まりそうだったんですけど、相手も動いてきたので、何度か回転して極まる形でした」

――ギロチンで2連続一本勝ちという結果になりましたが、いつからギロチンが得意になったのですか。

「具体的な時期は覚えていないですが、UAEWに参戦するまで1年ほど試合が空いて、そこで色々と練習して覚えましたね。試しにやってみたら自分にしっくり来たというか。最初は若い選手やアマチュア選手に極まるようになって、UAEWに出る直前くらいからはプロ選手にも極まるようになっていきました」

――UAEW参戦ではケージレスリングも強い中央アジア系の選手と試合が続いて、期せずしてその対策になっていたようですね。

「予習みたいな感じになってました(笑)」

――ここ2試合はギロチンでフィニッシュして、今後はギロチンを警戒されると思います。

「でもギロチンを警戒してくれればケージレスリングや組みの時間が短くなる=打撃の時間が長くなると思うので、それは自分にとってはやりやすいです。カーフキックとギロチンを覚えて、自分のMMAの幅が広がりましたね」

――さて次戦についてですが、何か具体的な話は進んでいますか。

「まだ話はしていないですが、今後も継続してUAEWには参戦したいですし、UAEWにはフライ級のタイトルがないので、これをきっかけにベルトを作って欲しいですね。ベルトという形を残せばUFC参戦という目標にも近づけると思っています」

――藤田選手はいつからUFC参戦を視野に入れていたのですか。

「明確に目標になり始めたのは(2021年2月に)DEEPで暫定王座を獲ってからですね。(2022年5月に)神龍(誠)くんと統一戦をやる前にはこれで勝ったらいけるかもしれないと思っていたのですが負けてしまって。そこからまたキャリアを尽くり直そうと思い、海外で試合をやりたいと思いました。UAEWが決まるまでの空白の期間も幾つか話があったのですが、最終的にまとまらなくて。結果的にUAEWで試合を組んでもらって、現にUAEWからUFCに行った選手もいますし、そこで2連続一本勝ちできたことは大きなアピールになっていると思います」

――ずばり藤田選手がUAEWで戦ってきた相手はRoad to UFCよりも手強い・厳しい相手だと思います。レコードに黒星がつくリスクもありますが、そういった相手と戦って自分のレベルを上げていきたいですか。

「はい。僕は野蛮なヤツとやり合いたいので(笑)。人間は本能的にも相手が強い・怖いと思っている方がいいパフォーマンスを出せると思っています」

――UFCを目指すうえで色んな方法や道があると思いますが、藤田選手が選んだ道がUAEWということですね。

「はい。今はUAEWが主戦場になっていますし、ほかにUFCにつながるチャンスがなければ、UAEWで戦っていきたいです」

――UAEという国自体もMMAが盛り上がっているのですか。

「かなり格闘技熱は高いですね。もともとADCC発祥の国ですし、国営放送でUFCやUAEWはもちろん、柔術やグラップリングの試合も放送されているんですよ。僕も帰りの空港で『昨日試合して勝ったヤツだろ!?』みたいに声をかけられたりもしました。国全体でMMAが盛り上がっている空気を感じるので、これからすごい選手が出てくる可能性もあると思います」

――サッカーではサウジアラビアリーグのクラブがオイルマネーを使ってネイマールやクリスチアーノ・ロナウドといったスーパースターを次々と獲得しています。MMAでもオイルマネーが動き出すと今までの常識が覆るようなことが起きるかもしれないですね。

「全然あると思いますね。僕はいつチャンスが来てもいいように、このまま勝ち続けていきたいと思います」

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AB ACA DEEP GFC Gladiator Gladiator024 Grachan K-MMA MMA MMAPLANET NavE o ONE RIZIN ROAD FC Road to UFC UFC YouTube   じゅん イ・スンチョル キック チェ・ドンフン フェルナンド ライカ ルネ・カタラン 上久保周哉 中川皓貴 久保健太 南友之輔 吉田開威 宮城友一 海外 溝口司 澤田政輝 田中有 竹中大地 若松佑弥 高橋孝徳

【Gladiator024】プレ・フライ級Wars。チェ・ドンフン&イ・スンチョルが来日。じゅんが復活

【写真】自らのイケメンと言ってしまうチェ・ドンフン。3戦目でチャンピオンになった実力の程は──(C) MMAPLANET

23日(木)、GLADIATORより12月19日(土)に豊中市176BOXで開催されるGladiator024の追加カード10試合が発表されている。
Text by Manabu Takashima

3回戦2試合、2回戦8試合が新たに明らかとなったが、まず目につくのがDouble GFCフライ級チャンピオンのチェ・ドンフンの来日&久保健太との対戦だ。

チェ・ドンフンは今年の3月大会で当時のGladiatorフライ級王者NavEと対戦予定だったが、足の小指を骨折して欠場に。彼の代役としてニャムジャルガル・トゥメンデムベレエルがベルトに挑戦することとなった。


そのニャムジャルガルが僅か7秒でNavEをKOし、新チャンピオンに。直後にRoad to UFCと契約したためタイトルを返上し、グラジのフライ級王座は空位となっている。

チェ・ドンフンも狙いは来年のRoad to UFC出場であることを公言して憚らない。その過程で韓国国内でなく、日本=グラジで試合をこなし、ベルトも視野に入れている模様だ。柔道出身のチェ・ドンフンは泣く子も黙るどころか、凍り付く厳しさの韓国海軍に徴兵後も身を置き筋金入りの気持ちの強さを身に着けている。

除隊後にMMAファイターを目指しTeam MAD浦項に入門すると、瞬く間に頭角を表し3戦目でDouble GFCの王座に就き、初防衛後に上にあるようにグラジ出場を決めていた。ムエタイでもプロとして1勝を挙げ、コンバットサンボの国家選抜戦でも優勝しているチェ・ドンフンは、パワーとスピード溢れるウェルラウンダーだ。

対してベテランの久保は今年の1月以来のグラジ出場となる。下のコメントにあるようにコロナ明けで練習ができない状態で挑んだ宮城友一戦でRNCに敗れた。DEEP名古屋大会での再起戦を飾った久保もまた、グラジのフライ級王座を視野に入れて韓国の新鋭と対戦することとなった。

チェ・ドンフンと同じくK-MMAのフライ級からイ・スンチョルの来日も決まった。キャリア5勝1敗、10月にはBIFCでONEストロー級タイトルコンテンダーのルネ・カタランを僅か71秒でKOで破っているイ・スンチョル。キックベースだが、徴兵期間中にMMAファイターを目指すこと決めたイ・スンチョルの憧れのファイターは、日本の若松佑弥だという。その影響かイ・スンチョルもスタイル的にもアグレッシブなストライカーである一方で、しっかりとテイクダウンもできるタイプだ。

このイ・スンチョルの対戦相手に抜擢されたのが、キャリア2戦目の澤田政輝だ。グラジからステップアップを図る溝口司と同門の澤田は柔道ベースながら、思い切った打撃が武器で──倒して極めるスタイルでデビュー戦を飾っている。

2戦目の国際戦、臆することなく気合満々でオファーを受けた澤田がどのようなファイトをやってのけるか、興味深い。

さらにフェザー級でグラジ元バンタム級王者じゅんの4年8カ月振りの実戦復帰=高橋孝徳戦も決まった。今大会には実弟・田中有と中川皓貴が揃って国際戦に挑むこととなっているが、リライアブル神戸を引っ張るボスとして、じゅんがその背中で何を見せるのか。

対戦相手の高橋は昨年Grachanのフェザー級王座決定Tで惜しくも準優勝に終わり、心機一転グラジを戦場に選んだ。高橋といえばケージに押し込み、じっくり戦うという印象が強く──「魅せてナンボ」のじゅんとは対極にある「勝ってこそ」のMMAを戦う。じゅん✖高橋はある意味、MMAイデオロギー闘争的なマッチアップといえる。

また竹中大地&上久保周哉というJ-MMAのトップファイターが参入してきたグラジのバンタム級戦線で、空手ベースで注目を集める吉田開威と南友之輔の連続出場も決まった。

吉田はグラップラーのフェルナンドと対戦するが、ここでの組み対策と攻撃的な打を披露できれば、トップ戦線が一気に近くなる。

一発の強さが魅力的な南は、健太エスペランサとのマッチアップとなる。既に2月のGrachan大阪大会出場も決まっているという話もある南だが、デビュー前から2024年中にグラジ・バンタム級王座に就くと宣言しており、有言実行への期待感を抱かせるファイトができるのか──要注目だ。

以下、今回のプレスリリースから過去最長と言っても過言でない──じゅん&久保山、そして高橋、澤田、韓国勢の次戦への意気込みを完コピでお届けしたい。

じゅん
「いつも選手の事を1番に考えてくれている凄く良い大会です。Gladiatorがインディ団体と言うてる人がいるなら、アホかと言うてやりたいですね(笑)。弱い外国の選手では無く、強い外国の選手を使っている所にも惹かれます。ここに勝てないと世界で勝負出来ない事を明確にさせているので、世界を目指す選手にはめちゃくちゃいい刺激だと思います。余談ですが、凄い金額がかかっている団体だと思っていますが、一体いくらくらいかかっているんですか?(笑)相手選手のことは組みの展開が得意で、そこから判定で勝ちに行くって感じの印象です。でもキックパンツで試合しているのを見ると打撃を本当は試合でしたいんじゃないんですかね? 僕は約5年ぶりの試合でもともと1階級下でやっていたのでパンチもキックも弱いはずです!

日本でトップの選手でもないので、相手の方からすると打撃の試合をやるのにお手頃の相手なんじゃないですか? 僕は盛り上がる試合しかする気がありません。組みでも寝かされても、盛り上がる事したります!勝ちにこした事はありませんが、お客様や興行主様が喜ぶ試合にしたいです。なんで打ち合ってくれれば嬉しいです。こんな事言うたらダメですが、ここで僕を倒してくれれば、また僕のジム生が相手選手を倒しに行くと言うストーリーが出来るので、面白いんじゃ無いんですかね?

僕は倒れないですけどね。

僕はもう選手活動はする気が無かったんですが、色々と考える事があり、その結果また試合をする事にしました。櫻井代表への恩返しになるか分かりませんが、そうなれればいいです」

高橋孝徳
「関西のみならず、アジアの各国から強豪選手が参戦するGladiatorに初めて出場する機会をいただき光栄に思います。私個人としては、前戦でGRACHANのタイトル獲得に失敗してからの再起戦となります。もう一度頂点を目指す上で、しっかりレベルアップした姿をお見せいたします。これまでよりも攻撃的なファイトにご期待ください」

久保健太
「今大会であるGladiator024大会の出場オファーを頂きありがとうございます。前回出場させて頂きました020大会で宮城友一選手との試合では不甲斐にも敗退してしまいとても悔しい思いをしました。宮城選手との試合は偉大な選手なだけに、それなりに懸けていた思いがありました。しかし試合直前の5日前まで初のコロナにかかり寝込んでしまい一時は試合欠場となる状況まで陥っていたこともあったことから、僕自身にとっては不完全な試合となってしまいました。

それでも試合に出場し戦ったこと、宮城選手と試合をさせて頂いたことに何一つ後悔はしていません。そんな状況な中でも試合をした自分に誇りを持っています。その悔しい思いから、その後のDEEP名古屋大会でタイトルを持つ選手から勝利を納めては、Gladiatorでの挽回を待ち望みながらに日々トレーニングと練習の日々を重ねてきました。そしてようやくそのチャンスを頂き、対戦相手をお聞きしたところ海外の強豪選手、韓国のダブルGFCという団体の現王者であるチェ・ドンフン選手でした。戦歴等を確認したところ、MMA無敗の柔道ベース、コンバットサンボでは韓国国家選抜選手権優勝とかなりの実績がある強豪選手でした。

対戦相手に不足はありません。むしろ他団体の現王者相手に僕を指名して頂けたことに感謝と敬意の気持ちを持って全力で闘い勝利を手に入れます。韓国の選手とはRoad FCやCMAでこれまでに何度か戦ったことがあります。CMAカイザーでは僕もタイトルを獲りました。しかし、ここはGladiatorのリング、今ではGladiatorの顔の一人でもある僕だとそう自負しています。この対戦カード、試合で盛り上げるのも、勝利するのも僕じゃないといけないんです。僕も良い年齢になりました。格闘技人生長くはないと思います。

今大会に勝利し、Gladiatorフライ級トーナメントで選抜して頂きそこに宮城選手がいれば再戦はもちろんのこと、行けるところまで駆け上がり王者君臨を目指します。試合当日、楽しみにしていて下さい。注目していて下さい。宜しくお願い致します」

チェ・ドンフン
「自分はこんなイケメンですが、Gladiatorからチャンスを貰えたことで相手を半殺しにするぐらいの覚悟を持って戦います。応援よろしくお願いします。押忍」

澤田政輝
「オープニングファイトから出て。ここで有名になりたいって思ったのがGladiatorでした。Gladiatorで有名になりRIZINとか世界に行けるように頑張ります。今回強い相手選手を候補に挙げて交渉してくださり、自分にとって大事な試合を組んでくれたと思います。強い相手と戦える事が最高のチャンスだと思うので、一番面白い試合するので 皆様見ていてください」

イ・スンチョル
「日本のファンの皆さんは、自分のことを知らないと思いますが、Gladiatorのタイトルに通じる試合になるかもしれないので一生懸命戦い、自分のデキることをすべて駆使し日本のファンに満足してもらえる試合を見せたいと思います。頑張りますので、応援よろしくお願いします」


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AB DEEP K-1 MMA o ONE PFL PRIDE RIZIN Road to UFC TOP BRIGHTS UFC   キム・ハンスル 劉獅 朝倉未来 松嶋こよみ

1.21『TOP BRIGHTS.1』で、松嶋こよみ vs. カルシャガ・ダウトベック、グレイソン・チバウ vs. キム・ハンスルが決定

EASY FIGHT



 1月21日に群馬県太田市のオープンハウス太田で開催する『TOP BRIGHTS.1』の第1弾対戦カードが発表されています。

Gleison Tibau(Sherdog)

Han Seul Kim(Sherdog)

 元UFCファイターのグレイソン・チバウも現在40歳。最近はPFLやロシアのRCCで試合をしていますが4連敗中です。キム・ハンスルは5月の『ROAD TO UFC』シーズン2でタイイーラクエ・ヌエアジに2R KO負けして以来の試合。


Koyomi Matsushima(Sherdog)

Karshyga Dautbek(Sherdog)

 松嶋こよみは7月の『DEEP 114 IMPACT』で劉獅に1R TKO勝ちして以来の試合。カルシャガ・ダウトベックは現在29歳(試合時は30歳)のカザフスタン人でMMA戦績13勝3敗。9月の『Alash Pride 89』でディエゴ・ブランダンに1R KO勝ちして以来の試合で5連勝中。2018年9月の『RIZIN.13』で朝倉未来に判定負けしたことでも知られています。

11/22(水)TOPBRIGHTS.1対戦カード(詳細情報)(TOP BRIGHTS)

 他にも育成枠10試合、キッズ・ユース3試合が発表されています。10時30分開始予定なので長丁場になりそうです。


 チケット価格は以上の通り。最高価格50万円は一瞬驚きましたが、「定員70名」の席です。続きを読む・・・
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DEEP MMA MMAPLANET o PFL PRIDE RIZIN Road to UFC TOP BRIGHTS TOP BRIGHTS01 UFC カルシャガ・アウトベック キム・ハンスル ディエゴ・ブランダォン 吉成名高 堀口恭司 朝倉未来 松嶋こよみ 海外

【TOP BRIGHTS01】松嶋こよみの参戦決定!! カザフのアウトベックと対戦。「胸が高鳴っています」(松嶋)

【写真】来年は3月スタートという話もあったRoad to UFC。12月9日の上海大会はベガスに開催地が変更される予定だが、Road to UFCファイナル出場選手はビザの取得が間に合わなく延期が濃厚。この影響をRoad to UFCが受けるのか。そもそも松嶋の狙いは、ROAD TO UFCにあるのか。いずれにせよ、勝ち続けるしかない松嶋だ(C)MMAPLANET

22日(水)、堀口恭司がプロデュースするTOP BRIGHTS旗揚げ戦のカードが発表されフェザー級で松嶋こよみ✖カルシャガ・アウトベック、ウェルター級でグレイソン・チバウ✖キム・ハンスルの2試合が組まれることが分かった。

来年1月21日(日)に群馬県太田市のオープンハウスアリーナ太田で開催されるTOP BRIGHTS01。これまでにチバウ、吉成名高、朝陽、さらにタイガームエタイ所属選手のロシア、カザフスタン✖2、英国人と7選手の出場が明らかとなっていたが、MMAで初めて日本トップ選手の参戦が決まった。


昨年、失意のRoad to UFC準決勝敗退を経て、今年はDEEPで再起戦に挑んだ松嶋が、カザフのアウトベックと相対する。キャリア13勝3敗のアウトベックは直近の試合では9月にカザフ国内メジャーのALASH PRIDEで流離いのMMAファイター=ディエゴ・ブランダォンから、僅か35秒でパウンドアウト勝利を収めている。

5年前にRIZINで朝倉未来に判定負けを喫しているが、その後は5勝1敗という戦績を残しているアウトベック。早期、そして納得できる相手という──なかなか国内ではハードルの高い松嶋の要望をTOP BRIGHTSがクリアしての対戦決定だ。

この試合に向けて、松嶋はMMAPLANETに以下のような意気込みを寄せてくれた。

松嶋こよみ
「待ち望んでいた強い選手との試合が決まり、胸が高鳴っています。自分の出せるもの全てを最高の状態で相手にぶつけ、ぶった斬りたいと思います。応援よろしくお願いします」

また元UFC&PFLのチバウ、Road to UFCからの再起を図るキム・ハンスルというブラジル(ATT)✖韓国(Korean Zombie MMA)のマッチアップが見られるなど、国際色豊かなラインナップが揃いそうだ。なお山田義則CEOによると、海外勢が10~15名ほど参加するなどTOP BRIGHTは「円安に負けない、コア層にも響くイベント」を目指すという。MMAと育成と世界基準の融合、対戦カードの発表によって堀内恭司のビジョンがいよいよ具体化されてくる。

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MMA MMAPLANET o Road to UFC UFC UFN UFN232 ジェカ・サラギ ブログ ルカス・アレクサンデル

【UFN232】ジェカ・サラギ、右フックでアレクサンデルをKO。UFC初のインドネシア人ウィナー

<148ポンド契約/5分3R>
ジャカ・サラギ(インドネシア)
Def.1R1分31秒by KO
ルカス・アレクサンデル(ブラジル)

Road to UFCライト級準優勝のサラギが、インドネシア人として初めてUFCに出場を果たす。アレクサンデルが計量失敗でキャッチウェイト戦となった一戦は、アレクサンデルがまず左ローを蹴る。右ミドルから左ミドルを蹴ったサラギだが、右カーフで姿勢を乱す。アレクサンデルはテイクダウンをフェイクを見せ、ワンツーをヒット。さらに左ジャブでサラギの前進を止める。ばかりかケージ際まで下がったサラギは、蹴り足を取ってテイクダウンへ。

足関節狙いを察知したサラギ、その反応のタイミングでアレクサンデルが背中を向けて立ち上がりつつ正対した刹那、右フックを打ち抜く。この一発でアレクサンデルは腰から崩れ落ち、UFCに初インドネシア人ウィナーが誕生した。

「長い間の夢だった。コーチとマネージャー、トレーニングキャンプを用意してくれて感謝している。今年は練習で、インドネシアにいるよりも長く米国にいた。村に戻って家族に会う日が待ちきれない」とサラギは話した。


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