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【Colors】プロ4戦目で修斗世界王者SARAMIに挑戦、渡辺彩華─01─「MMAをやっていくための覚悟」

【写真】AACC内では浜崎朱加選手は「あやか」、渡辺彩華選手は「なべあや」と呼び分けられているそうです(C)SHOJIRO KAMEIKE

21日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催される女子修斗興行COLORSにて、渡辺彩華がSARAMIの持つ修斗世界女子スーパーアトム級王座に挑む
Text by Shojiro Kameike

2020年12月にパラエストラ柏からDEEP JEWELSでプロデビューした渡辺は、ブランクを経てAACCに移籍。2戦目は藤野恵実に判定負けを喫したものの、続く3戦目で元修斗王者の黒部三奈をKOして今回のベルト挑戦のチャンスを掴んだ。女子修斗の中でも1、2を争う大波乱を巻き起こした渡辺のキャリアは、いかにして形成されてきたのかを訊くと、まさかのライバル関係についても自ら触れ始めた。


――渡辺選手はアマチュア時代からプロデビューして現在に至るまで、打撃中心で戦っていますが、もともとは柔道出身と聞いて驚きました。

「実はそうなんです(笑)。柔道は小学1年生から大学4年まで、15年間やっていました」

――15年間! 柔道での実績を教えてください。

「大学時代、インカレに出たぐらいですね。地元の愛知県には大成中学校・高校という、日本一を続々と輩出するような柔道の強豪校があるんですよ。私は大成の選手にずっと勝てませんでした」

――これまで柔道出身のMMAファイターにお話を聞くと、強豪校の壁に阻まれて柔道を引退するケースもありました。渡辺選手の場合は、大学まで柔道を続けたのですね。

「中高時代は練習で大変な思いをしても、なかなか勝てませんでした。すごく悔しかったです。でも自分の中で柔道に対して一区切りつけるためには、全国大会に出たい。そうでないと、大変な思いをしたことが報われないと思いました。

私は小さい頃、心も体も弱くて柔道を始めたんですよ。柔道のおかげで心も体も強くなることができました。中高時代は勝てなかったけど、それでも大学に進んで柔道を続けて、インカレに出た時に『これで柔道を辞めることができる。頑張って良かった!』と思いました」

――しっかりと一つ目標を達成することができたわけですね。大学卒業後にすぐMMAを始めたのでしょうか。

「いえ、大学時代から公務員になるための勉強をしていて、愛知県内で公務員として就職しました。3カ月ぐらいで辞めちゃったんですけど……」

――3カ月で退職というのは早いですね。

「柔道を辞めて公務員になったものの、刺激が足りなさすぎてMMAを始めようと思いました(笑)。ずっと柔道をやっていて、毎日練習していましたから、戦うことが日常化していたんですよね。それが戦わなくなると、一気に刺激がなくなって」

――刺激を求めて、いわゆる「遊び」に走る人もいます。渡辺選手はそうではなく、再び戦う日々を求めたということですか。

「遊びたい、っていう感覚はなかったですね。お酒も得意じゃないですし。ウチはお父さんが格闘技の大ファンで、リビングのテレビにMMAの試合が映っていることが普通でした。だから自分がMMAに進むことになっても、恐怖とか違和感というものはなかったです」

――1997年生まれの渡辺選手にとって、子供の頃は山本KID徳郁さんや五味隆典選手が活躍していた頃だったと思います。しかし以降は国内の興行規模も縮小していくなかで、MMAを始めることに不安はなかったのでしょうか。

「確かに子供の頃と比べると、男子の試合はそうだったかもしれないです。でも女子に関しては盛り上がってきていましたよね。RIZINが始まってから浜崎朱加さん、RENAさん、浅倉カンナ選手が活躍していて。私が初めてRIZINの会場にお客さんとして足を運んだのが、大学3年の時でした。ドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)で浜崎さんや浅倉選手の試合を見た時、『すごくキラキラしている』って感じたんですよ。その頃から、趣味として見るのではなく、競技としてMMAをやってみたいと意識し始めました」

――そして、最初は浜崎選手側ではなく浅倉選手側へ……。

「いやいや(苦笑)。最初はパラエストラ柏とAACCの両方を見学する予定だったんです。先にパラエストラ柏を見学した時に、初めてMMAに触れたら楽しすぎて。もうMMAをやりたい気持ちが強くなりすぎて、AACCを見学せずにパラエストラ柏への入会を即決してしまいました。今考えると、ヤバいことをしてしまいましたよね」

――ヤバい、というのは?

「だって……、やっぱりライバルじゃないですか」

――アハハハ。パラエストラ柏の鶴屋浩代表とAACCの阿部裕幸代表も、そこでトラブルに発展するような間柄ではないでしょう。

「パラエストラ柏時代、プロ2戦目の前に負傷して、一度地元に戻ったんです。実家から病院に通院することになって、パラエストラ柏からも離れてしまいました。『もうMMAは無理かな……』と思っている時に、ずっと知り合いで連絡を取っていた大島沙緒里さんが『もう少しMMAを続けてみたら?』と言ってくださったんです。それで通院が終わってからAACCへお邪魔させていただいた時に、体を動かしたら『やっぱりメチャクチャ楽しい!』と感じて。阿部さんにも相談し、AACCに移籍することになりました。……ウフッ、AACCとパラエストラ柏の複雑な関係もありましたけど(笑)」

――ネタにしようとして、もう先に自分で笑ってしまっているじゃないですか(笑)。ちなみに浜崎選手と浅倉選手が対戦した時は、どちら側だったのでしょうか。

「2度目の対戦(2021年3月)ですよね。その時は地元で通院しているので、どちら側でもなかった――と思います(笑)」

――一方、地元を離れてMMAを始めた娘さんが負傷して地元へ帰ってきた。でもMMAを再開するということで、親御さんは反対しませんでしたか。

「お母さんからは最初にMMAをやるという時に反対されていましたし、やっぱり再開する時も反対されました。一緒に病院へ行った時、先生に『同じようなことが続くと……』と説明を受けて、お母さんからは『これからの人生のほうが長いのだから、MMAは辞めたほうが良い』って。私も迷惑をかけ続けてしまいましたからね。メチャメチャ時間をかけて、お母さんを説得しました。親と一緒に病院の先生とも相談しながら、私からも『MMAは今しかできないから続けたい』と説明して。その時、私自身の中でもMMAをやっていくための覚悟ができた気がします。お母さんも納得して、今はすごく応援してくれています」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
5月21日(日)
午後1時~ABEMA格闘チャンネル

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ACA MMA o RIZIN YouTube   キック ソルト ニュース 上田幹雄 大島沙緒里 後藤丈治 新居すぐる 矢地祐介 遠藤来生 鈴木博昭 関鉄矢 飯田健夫

【RIZIN】速報!RIZIN.43追加対戦カード発表!


ゴールデンウィークが終わった直後に突然の咳とのどの痛み。もしかしてと思ったものの陰性。謎の体調不良で爆睡していた土曜日に突如としてRIZINから飛び込んだビッグニュース。6月24日に真駒内セキスイハイムアイスアリーナで開催されるRIZIN.43の追加対戦カードが発表されました。

【MMA 女子52.5kg契約】
大島沙緒里(AACC)
ソルト(マルスジム)

【MMA ライト級(71kg)】
矢地祐介(フリー)
ザック・ゼイン(米国/マウイ柔術)

【MMA フェザー級(66kg)】
鈴木博昭(BELLWOOD GYM)
西谷大成(トライフォース赤坂)

【MMA ヘビー級(120kg)】
関根“シュレック”秀樹(ボンサイブルテリア)
上田幹雄(BRAVE)

【MMA バンタム級(61kg)】
トレント・ガーダム(オーストラリア/タイガームエタイ&MMA)
後藤丈治(TRIBE TOKYO MMA)

【MMA フェザー級(66kg)】
関鉄矢(SONIC SQUAD)
遠藤来生(パワーオブドリーム)

【MMA フェザー級(66kg)】
新居すぐる(HI ROLLERS ENTERTAINMENT)
飯田健夫(フリー)

【MMA 女子バンタム級(61kg)】
熊谷麻理奈(ウィラサクレックムエタイ札幌ジム)
栗山 葵(SMOKER GYM)

【キックルール(肘無し・ワンキャッチワンアタック) 57.5kg契約】
山川賢誠(Kickboxing Academy Sapporo)
平野凌我(MTS)


詳細は追って!
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RIZIN.43:矢地 vs. ザック・ゼイン等、追加カード発表

ライト級・矢地祐介 vs. ザック・ゼイン

ハワイで行われたトライアウトで合格し、昨年10月の武田光司戦でRIZINデビューしたが、1Rキムラで一本負けしたゼイン。もう一回呼ぶレベルとは思えなかっただけに、矢地は今度こそフィニッシュが必要であるということを理解した上で戦う必要がある。

フェザー級・鈴木博昭 vs. 西谷大成

鈴木はMMAデビュー戦の奥田は明らかにRIZINレベルではなく、2戦目は昇侍が打撃に付き合ってくれてのKO勝ちで2連勝としたが、そこから平本・青井に連続判定負け中。

トライフォース赤坂所属の西谷は先週行われたDEEPで初めて3Rマッチに出場し、ベテランの高野優樹に判定勝ち。MMA6勝5敗。

ヘビー級・関根"シュレック"秀樹 vs. 上田幹雄

昨年7月にスダリオに秒殺KO負けしたシュレック。その後、GLEATのグラップリングマッチで判定勝ち、巌流島では押し出しで勝利で、MMAはスダリオ戦以来。今年8月に50歳になる。

昨年4月のMMAデビュー戦で引退試合の高阪に秒殺KO負けした元極真の上田。12月にはプロデビュー戦の韓国人ファイターに秒殺KO勝ち。4月にカルリ・ギブレイン戦が組まれていたが、ギブレインがブラジルを出国できず中止となっていた。

フェザー級・新居すぐる vs. 飯田健夫 

新居はRIZIN中村大介・山本空良に2試合連続1R負けしたが、昨年はパンクラスで2試合連続得意のアームロックで勝利。

飯田は3月に修斗でSASUKEのフェザー級世界王座に挑戦するも、2RバックブローでKO負け。

ともに北海道出身のジモMMA

52.5kg契約・大島沙緒里 vs. ソルト

JEWELSアトム級(47.6kg)・DEEPミクロ級(44kg)王者の大島が、階級を上げて4月にパンクラス女子ストロー級王者となった地元のソルトと対戦。RIZINでは浅倉カンナ山本美憂に勝っているのにこんな理不尽なマッチメイクを受けるしかなかったのか?

バンタム級トレント・ガーダム vs. 後藤丈治

MMAでビクター・ヘンリーに一本負け、2020年の井上直樹のデビュー戦では敗れたが判定まで持ち込んだガーダムだが、その後はMMAの試合には出ておらず、昨年10月肘ありキックルールで出場した梅野戦ではロー一発で足を負傷しKO負け。3年ぶりMMAの相手は地元出身でパンクラスでプロデビュー、現在は修斗ランカーの後藤。

後藤は昨年11月、RIZINにも出場した須藤拓真にヒールで足を破壊され一本負けして以来の試合。

フェザー級・関鉄矢 vs. 遠藤来生

ZST王者関はRIZINでは神田コウヤにKO勝ち・堀江にKO負け、原口央に判定勝ち。昨年7月には佐々木憂流迦の代役で中原由貴戦が直前で決まったが、明らかにコンディション不十分で判定負け。

地元北海道在住の遠藤は最近はパンクラスを主戦場とし2勝3敗。直近は3月の高木凌戦で2RKO負け。

女子バンタム級・熊谷麻理奈 vs. 栗山葵

地元の熊谷はDEEPでKINGレイナとキックルールで対戦するも、謎の判定負け。翌月組まれたダイレクトリマッチでは判定勝ちでリベンジ。その後はMMAに主軸を置き、4連敗していたが、そこから3連勝中。ただし、相手のレベルはいずれも0勝か1勝クラス。

栗山は本来階級下のフライ級の選手だが、昨年のJEWELSフライ級トーナメントでは体重オーバーで失格。ワンデートーナメントだったため、中井りんが1日2試合のハンデキャップマッチをすることになった。今年2月に中井りんと対戦したが2R一本負け。

オープニングファイトMMA特別ルール55kg契約5分2R・丸山大輝 vs. 早坂優瑠

オープニングファイトMMA特別ルールライト級5分2R・渡辺トシキ vs. 安海健人

他、オープニングファイトでジモキック。

上の3カード以外は地元勢が絡むカード。まあ地方大会あるあるだが。出場予定選手に入っていた山本空良の名前がないが、4月の試合も負傷を押しての出場だったとのことなので、無理をしないでほしい。

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【DEEP JEWELS41】J-女子MMA界の未来、須田萌里と万智がK-女子MMAファイターと対戦

【写真】この揃い踏みは〇〇過ぎる──とか、〇〇美女とか、そういう枕詞は必要ない。 (C)MATSUNAO KOKUBO&MMAPLANET

10日(月)、DEEPより5月28日(日)に東京都港区のニューピアホールでDEEP JEWELS41の開催とカードの発表が行われている。

そして3回戦では49キロ契約マッチ=須田萌里✖パク・ジョンウン、ストロー級では万智✖キム・ユジョンがマッチアップされた。


若い力の台頭が目立つJEWELSで、象徴的な活躍をしている2選手が韓国勢を迎え撃つことが決まった。

2004年7月生まれの須田は、なんとチビウルフことパク・ジョンウン──ハム・ソヒに次ぐK-MMA界アトム級の強豪と対戦する。

2015年5月、18歳の時に藤野恵実を相手にプロデビューを果たしたキム・ジョンウンはキャリアで優る日本勢との対戦、層の薄さが影響して早々に女王=ハム・ソヒへの挑戦を実現させた。その結果、戦績的にはザッツK-MMAというべき8勝7敗1分で決して綺麗でレコードではない。

それでもレスリングを消化する以前とはいえ、パク・シウに判定勝ちし、他の選手が育って来るのを待つように組まれた日韓での過去5戦は4勝1敗と大きく勝ち越している。

シン・ユリには思わぬスプリット判定負けで、Road FCアトム級王座を獲得することはできなかったが、韓国国内最強の選手であることは間違いない。

今年で19歳になる須田も、この年齢にしては8勝4敗という試合数をこなし、また大島沙緒里や本野美樹という国内トップと既に拳を交えている。打撃の成長もハッキリ認められ、寝技も技術的には申し分ない。

特に組みではパク・ジョンウンを十分に仕留める力を持っているであろう須田だが、やはり気になるのはフィジカルか。最近の日本の女子選手の急成長の裏には格闘技だけでなく他競技の経験が生き、体ができているという背景がある。

パク・ジョンウンはフレームだけでなく、体の力が須田を上回っているとみて良い。その違いが打撃の質、回転力の差に繋がり、組みでも須田の技術を跳ね返す可能性がある。それゆえにパク・ジョンウンと伍することができ、一発勝負の関節技でなく攻防のなかで、ポジションをとってから極めることができれば、須田は早くも日本のトップに限りなく近づいていることを示すことができる。そんな一戦となる。

対してストロー級3回戦でキム・ユジョンとのマッチアップに臨む万智は、國學院大栃木高時代にケガとコロナに泣かされた柔道家人生に見切りをつけ、MMAに転じた。今回はプロ3戦目=19歳と358日で初の国際戦を戦う。

昨年11月のプロ初戦でARAMIから判定勝ち、今年2月の2戦目でHIMEをRNCで下した万智は柔道ベースで、体ができているスーパールーキーだ。

HIMEとARAMIを下したことで、アトム級と違い層が薄いストロー級では──同じ2022年デビュー組、キャリア2戦目で長野美香を破った松田亜莉紗と並び、遥かなる頂=伊澤星花の背中を遠くに眺めるという位置に既に立っている感もある。

それゆえDEEPも国際戦を万智に用意した。対戦相手となる、MMA版20世紀のキミ=キム・ユジョンはモディファイドMMAのARCとRoad FCで3勝1敗という戦績を残しており、うち2試合はRNCで一本勝ちを収めている。

サウスポーの構えから果敢に打撃を打ち込み、クリンチ&テイクダウンも力強いパク・ユジョン。彼女を相手にしてなお、万智がマット運動をしているように躍動感あふれる動きで、運動量の面で上回り続けて勝利をするようだと……今後は日本最高峰の舞台で欧米系の対戦相手を用意してもらうしか、万智が日本で強くなる道はなくなってしまうかもしれない。

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DEEP DEEP Osaka Impact2023#01 MMA MMAPLANET o ONE RIZIN にっせー サダエ☆マヌーフ ライカ 大島沙緒里 村上彩 海外

【DEEP OSAKA IMPACT2023#01】サダエ☆マヌーフ戦へ、村上彩─02─「最後は気持ちの勝負」

【写真】キャリア2度目の判定勝ちも、フィニッシュへの拘りを最後まで見せていた。その拘りに殉ずるのではなく、課題としている(C)MMAPLANET

4月2日(日)、大阪市の住吉区民センター大ホールで開催されるDEEP Osaka Impact2023#01でサダエ☆マヌーフと対戦する村上彩のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

「美女柔術家」、「コスプレファイター」といったキャッチフレーズを聞くと、どのようなファイターを思い浮かべるだろうか。そのイメージと村上彩の実像は異なっていた。「面白いことが言えない」と彼女は反省する。キャッチフレーズの向こう側にある、本当の村上彩とは――。

<村上彩インタビューPart.01はコチラから>


――足から攻めていくパターンは、カルペディエムで学んだものだったのですね。

「あの形はスイープもできるというのが一番大きいです。もちろんMMAではトップを取れたほうが安心します。でも下になった時にそのまま攻めきれないと、判定になったらどうしよう……と考えてしまいますよね。だから足関節を取りに行きつつスイープを狙う、という形が良いと思いました」

――確かにトップの奪い合いで勝てれば、それに越したことはありません。しかしテイクダウンやケージレスリングに注目が集まる一方で、下になった時のリスクを想定して練習できているのか。

「そういう練習をやっている人は、多くないと思います。特にストライカーは主に立つための練習をしていると思います。立てたら良いですが、立てなかった時にキツイですよね。単に立とうとすうだけじゃなく、MMAだから下から攻めたりして、いろんな要素を混ぜたほうが立ちやすいと思うんです。自分が立とうとすればするほど、相手はもっと抑え込もうとするので。

私も下になったら立つことを考えていた時期もありました。でも私は寝技が得意で、下からも攻めることができます。なのに、無理に立ち上がろうとしたところでパスされたりするよりは、慌てずに下から攻めたりスイープしたほうが良いと考えています。自分が攻めた時に相手が動いたら、そこでカウンターを取ってスイープや立ちやすくなりますし」

――一方、須田戦に続く昨年12月のにっせー戦では、これまでになくテイクダウンとトップからの攻撃を狙い続けていました。

「下になるのは最終手段ですね。まずはテイクダウンを取りに行くし、倒せなかったら引き込んでもいいと思っています。ただ、テイクダウンが取れたので、自分の有利なポジションで安全に進めていました」

――結果、2R制でありながら最大4P差がつく判定勝利を収めました。それだけ試合内容は手応えがありましたか。

「手応えはありました。2Rになっても、それほど打撃を出してこなかったですし。もう少し私のほうが攻めれば良かったなと思っています。一本を取ることに固執しちゃって、もっとパウンドを打てば良かったなぁって。試合を有利に進められていたこともあって、冷静に戦うことができました」

――プロデビュー以降5勝1敗で次のサダエ戦を迎えます。現在、MMAファイターとしての目標は何ですか。

「RIZINに出たいです。海外の大会に出てみたいとも思いますけど、やっぱり階級が……。私はアトム級でも小さいと思うし、ONEはアトム級といっても名称が同じなだけで、実質的にはストロー級ですよね。となるとRIZINは49キロで試合があって、なおかつ日本でやっているので。

大島沙緒里さんがRIZINに出て、49キロ契約で試合をしているじゃないですか。私と大島さんって身長が同じくらいなんです(公式プロフィールは大島が149センチで、村上は150センチ)。でもあれだけ勝っていて――レベルは違うかもしれないけど、私も頑張れば戦えるんじゃないかと思っています」

――RIZINに出場するとしても、何かベルトを巻いていたほうが主催者の興味も引くとは思います。プロデビューから4連勝して須田選手との再戦が決まった時、ここはタイトルマッチじゃないのか……とは思いませんでしたか。

「うーん、そこまでベルトにこだわっているわけじゃないんですよ。もちろんチャンピオンになったほうが良いでしょうけど、ベルトを持っているからってメチャクチャ強いわけじゃなくて。それよりは一つひとつの試合で確実に勝つことのほうが大事だと思います。たとえば、メッチャ強い人がベルトを返上して、その強い人に負けている選手に勝って私がベルトを巻いても、自分自身に対して『本当に強いのかな?』と考えてしまいますよね」

――……ストイックですね。

「私もチャンスがあれば、タイトルマッチはやりたいです。だからといって『ここでタイトルマッチじゃないんだ……』とは思わなかったですよ(笑)」

――「自分より須田選手のほうが推されているんじゃないか」と……。

「アハハハ、それは推されているんじゃないですか。若いし、将来有望ですしね。最近はもう若い選手のほうが強いですよ。彼女が推されるのも当たり前だと思います。そこに私が嫉妬することはないです(笑)。私は自分がやりたいようにやるので」

――なるほど。では次の対戦相手、サダエ選手の印象を教えてください。

「印象ですか? うーん……、……、……」

――言葉がスッと出てこないですか(苦笑)。

「試合前に『煽る言葉を……』と言われることがありますよね。私、そういうの苦手なんです。相手がどうこうではなく、自分がどうするかが大事で。でも見た目と喋り方で、キツイ人間のように思われることはあります。実際に喋ってみると『見た目よりマシだね』って言われますけど(笑)」

――アハハハ。では、ご自身がこの試合に向けて何をやってきたかを教えてください。

「私は気持ちの面で弱いと思うところがあります。技術はもちろん大事ですけど、最後は気持ちの勝負じゃないですか。それは今年に入ってから考えるようにしていて。自分が圧されている時でも迷わないとか。そんな気持ちの勝負でも負けません。サダエさんはオールラウンダーなので、私もいろんなことを試したいです。はい……、……」

――え、どうしましたか。

「いえ……、面白いことを言えなくて、すみません」

――プロとしてのセールスポイントと、MMAに対する考え方にはギャップがあるかもしれないですね。それも人間であり、ファイターとしての面白さの一つだと思います。

「私はファイターなので、喋りじゃなくて試合の内容と結果で評価してもらいたいです。口で何を言っても、結局は試合で全てが出ると思うんですよ。練習したことが全て――技術もそうだし、気持ちの面でもそうですね。だから、試合を視てください。よろしくお願いします!」

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Black Combat Black Combat05 DEEP MMA MMAPLANET o YouTube キム・ジョンフン キム・ミンウ チェ・ウォンジュン ブラック ホン・イェリン ユン・ダウォン 中村大介 大原樹理 大島沙緒里 山本聖悟 赤沢幸典

【Black Combat05】ブラックコンバット✖DEEPの対抗戦は──3勝2敗でブラックコンバットに凱歌…厳しい

【写真】この陣容で敗れるのは、厳しい(C)PARK JONG HYUK

4日(土・現地時間)、韓国はスウォンのスウォン・コンベンションセンターで開催されたBlack Combat05「Song of the Sword」。
Text by Choi Woo Suk

同大会で実現したBlack Combat vs DEEP対抗戦は3勝2敗でブラックコンバットに凱歌が挙がった。しかも、日本勢の2連勝から3連勝で逆転勝ち。DEEPにとってはある意味、0勝5敗よりもしてやられた結果となった。

<無座別級/5分3R>
チェ・ウォンジュン(韓国)
Def.3R1分49秒by TKO
赤沢幸典(日本)

<フェザー級/5分3R>
キム・ミンウ(韓国)
Def.3R4分39秒by RNC
中村大介(日本)

<バンタム級/5分3R>
キム・ジョンフン(韓国)
Def.2R0分30秒by TKO
山本聖悟(日本)

<ライト級/5分3R>
大原樹理(日本)
Def.1R4分39秒by KO
ユン・ダウォン(韓国)

<女子アトム級/5分3R>
大島沙緒里(日本)
Def.3R0分59秒by 腕十字
ホン・イェリン(韓国)


※同大会のレポートはYouTubeの公開を待ってアップします


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【Black Combat05】ホン・イェリン戦前、大島沙緒里─02─「実は私も打撃が好きなんですよ」

【写真】DEEPミクロ級王者&DEEP JEWELSアトム級王者として、韓国に初上陸 (C)BLACK COMBAT

4日(土・現地時間)、韓国はスウォンのスウォン・コンベンションセンターで開催されるBlack Combat05では、Black CombatとDEEPの対抗戦が行われる。その女子アトム級でホン・イェリンと対戦する大島沙緒里のインタビュー後編。
Text by Kameike Shojiro

大島にとっては、今回のBlack Combat出場がMMAでは初の海外試合となる。韓国女子MMAの新鋭、ホン・イェリンを相手に日本2冠王者として、いかに戦うのか。そんななかで気になる大島の得意技――キムラ・スイープにまつわる秘話が語られた。

<大島沙緒里インタビューPart.01はコチラから>


――もともとBlack Combatについては認識していましたか。

「YouTubeを中心に進めていくスタイルは面白いですよね。それによって大会の知名度が上がっているのでしょうし、アリだとは思います。そういえば大晦日、Black Combatに行ったんですよね。どうでしたか?」

――個人的な感想を言えば、YouTube向けのイベントかと思っていましたがMMAとしてのレベルは高かったです。出場選手の多くは数戦しかしていないので、測りきれないところはありますが……。

「女子の試合はなかったんですよね? でも、それだけのレベルがあって嬉しいです(インタビューはBlack Combatの出場者決定戦の動画配信前に行われた)。私は韓国人といえばパク・シウ選手としか試合していないので、どうなるか全く分かりませんでした。でもここで試合をしないと、私自身のモチベーションも落ちてしまうし、誰が相手でも出たいと思っていました」

――柔道時代も含めて、今回が初の海外試合なのでしょうか。

「いえ、柔道では10年以上前ですけど、ロシアやハンガリーで試合をしたことがあります。冬で寒かったですね。韓国も寒いみたいですし、現地へ行っても試合まで外に出ません(笑)」

――その韓国で対戦するホン・イェリンについて印象を教えてください。

「若いですよね(※現在20歳)。MMAの試合は全て見ました。キックボクシングの試合にも出ているので、そちらの映像も見ています。若さとガッツあふれるストライカーだなと思います。ガンガン前に出てくる選手で、その勢いに飲まれないようにしたいですね」

――今の大島選手にとってストライカーに対する怖さ、やりにくさはありますか。

「それはあります。でも、実は私も打撃が好きなんですよ。今も打撃はAACC以外にも、ずっとムエタイやボクシングジムにも週1ぐらい通っていて。ボクシングジムに行き始めたのは最近で、ムエタイジムはパク・シウに負けた後ぐらいからずっと行っています」

――大島選手のムエタイテクニックは、ぜひ試合で見たいです。

「古瀬戦ではその打撃を見せたかったんですけどね(笑)。次の試合は47.6キロ契約で、ミクロ級よりは重い体重になりますけど、やっぱり打撃は見せたいです」

――ホン・イェリンのMMAの試合を見ると、キャリアは浅いものの成長していることは窺えます。ただし、キックボクシングがベースでテイクダウンのディフェンスは少し難がある。その点は大島選手にとって優位となりますか。

「組めばどうにかなるということはないと思います。柔道時代から韓国人選手はフィジカルトレーニングをやっているイメージで、MMAの世界でも変わらないですよね。もちろんホン・イェリン選手も対策はやってきているでしょうから」

――一方で、敵地での試合ということについては、いかがですか。

「いつもと違う場所で戦うというのは、コンディション面で気をつけないといけないことは多いですよね。でもケージに入ったら周りも見えず、相手と向き合うだけ。それはRIZIN沖縄大会でもそうでしたし、韓国であっても同じだと思っています」

――なるほど。大島選手に、どうしてもお聞きしたことがあります。いつも試合で見せているキムラからのスイープですが、なぜあれほどまでに決まるのでしょうか。

「あぁ、あの引き込み返しですね」

──ハイ。形は引き込み返し、もしくは帯取返しで帯でなく腕絡みで返していくというものです。

「あれは……柔道もMMAも、下になるのは大きなリスクがあるじゃないですか。そのなかで、あの技は本当に何度も何度も練習しないと身につかないんですよ。それこそ高校時代に何百回も失敗しながら、1年半ぐらいかけて身につけました」

――1年半ですか!

「ずっと失敗し続けて、ようやく1回成功して……。だから『ココをこうする』と説明しても、みんながすぐに実践できるようなものじゃないんです」

――相手にしてみれば一度食らったとしても、次の試合でそう簡単に防御できるものではないということですね。

「はい。得意な技って、掛け方が一つじゃないんです。こう防御されたら、こうする――枝葉のように分かれていくので、多少防御されたからといって掛からなくなるものではないですね」

――それだけの期間と練習回数を要しても、あの技を身につけたかった理由は何だったのでしょうか。

「そもそも私が通っていた高校の柔道部で受け継がれている技だったんです。あの引き込み返しともう一つを、ずっと練習する学校でした」

――柔道部で受け継がれている技! 浪漫を感じます。

「だから、何回失敗しても身につけないといけなくて(苦笑)。柔道の試合で抑え込まれても、その2つの技を貫き通します。同じ柔道部の子だったら、MMAでも同じ技ができると思いますよ。あの技を見るだけで、その学校の柔道部だと分かるような技です」

――さらに……あの引き込み返しだけでなく、もう一つ伝統の技があるのですか。

「どちらかというと、私はもう一つの技のほうが得意でした。その技はまだMMAで使っていないので、どんな技か今は言えないんですけど……。柔道と違ってMMAは帯や道着を掴むことがないので、少し難しいかもしれないです。でも、何か方法はあるかなと思っています。

柔道時代にその2つを練習してきたおかげで、MMAでも下になっても返すことができるんですよ。だからテイクダウンに行って下になっても大丈夫だし、下になっても大丈夫だからテイクダウンを狙われるのも怖くない。その気持ちをつくってくれたのが、引き込み返しともう一つの技を教えてくれた、あの柔道部の練習なんです」

■ Black Combat05対戦カード

<無差別級/5分3R>
チェ・ウォンジュン(韓国)
赤沢幸典(日本)

<フェザー級/5分3R>
キム・ミンウ(韓国)
中村大介(日本)

<バンタム級/5分3R>
キム・ジョンフン(韓国)
山本聖悟(日本)

<ライト級/5分3R>
ユン・ダウォン(韓国)
大原樹理(日本)

<女子アトム級/5分3R>
ホン・イェリン(韓国)
大島沙緒里(日本)

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【Black Combat05】対抗戦でユン・ダウォンと対戦、大原樹理─02─「今の僕があるのはDEEPのおかげ」

【写真】DEEPの王者として勝利し、もう一つベルトを狙うことはあるのか。そのストーリーラインをブラックさんは受け止めることができるのか (C)BLACK COMBAT

4日(土・現地時間)、韓国はスウォンのスウォン・コンベンションセンターで開催されるBlack Combat05「Song of the Sword」で、いよいよ実現するBlack CombatとDEEPとの対抗戦。団体の威信が相当に掛かっている対抗戦、その次鋒戦に出場する大原樹理インタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

DEEPへの想いは誰にも負けない大原の対抗戦出場、しかも大原にとっては今回が初の海外遠征となる。インタビュー後編では対戦相手のユン・ダウォンについて、さらに対抗戦の勝敗予想も語ってくれた。

<大原樹理インタビューPart.01はコチラから>


――今回の対抗戦の話が出る前から、Black Combatの存在はご存じでしたか。

「いえ、全く知らなかったです。試合が決まってから過去の動画を視たぐらいですね。大晦日のライト級王座決定戦も視ました」

――イ・ソンハがキム・ジュンギュンを判定で下した試合ですね。イ・スンハの体型や試合スタイルは、大原選手に近いのではないですか。

Black Combatライト級王者イ・ソンハ

「あぁ、そうかもしれないですね。

であれば次の対抗戦で勝って、現チャンピオンに喧嘩を売ったほうが良いですか? タイトルを賭けて試合しようよって(笑)」

――実際、試合直後に次の対戦相手と煽り合う場面は多いです。

「ああいうふうにYouTubeが中心で、煽り合っていくスタイルも良いんじゃないですか。あれはあれでアリだと思いますよ。対抗戦のメンバーが決まっていくのをドキュメンタリー風に見せていて、面白いです。ただし文化の違いもあるので、DEEPは今のままで良いんじゃないですかね」

――今の格闘技界は、YouTube以外にもSNSを活用することが求められる風潮があります。その点については、どのように思いますか。

「僕があまりSNSを活用していませんからね(苦笑)。それは選手によりけりで。自分としては試合が決まったことだけをSNSで伝えて、あとはゴチャゴチャ書かずに試合を見てっていうほうがカッコ良いんじゃないかと思います。古いタイプなんですかね? SNSで言い合うよりは、煽り映像を撮ってくれたほうが嬉しいです」

――今回のBlack Combatとの対抗戦出場が、大原選手にとっては初の海外での試合になります。

「今の僕があるのはDEEPのおかげなので、DEEPから出てほしいと言われれば出る。常に会長とも、そう話をしています。特に今回はDEEPの代表として敵陣に乗り込むわけで、良かったと思います」

――初の対抗戦に、現役王者である大原選手が出場すると知って驚きました。佐伯さんは最初から対抗戦に勝利する気マンマンなのだと。

「そうですよね。ユン・ダウォンはMMA戦績が5勝3敗1分で、しかも最近は勝ったり負けたりという結果じゃないですか。もちろん韓国人選手は戦績だけで判断できないです。でも直近の試合(昨年11月、ショフルフ・ニヤズマトフにRNCで勝利)を見たんですよ。それで『あぁ、なるほど……』と思いました」

――含みを持たせた言い方ですね。

「アハハハ。ユン・ダウォンって、2017年12月にDEEPで横田(一則)さんと対戦して、キムラで一本負けしているじゃないですか。その試合も見たうえで、『あれから何が成長しているんだろう』と思ったんですよ」

――横田戦は完全に組みの展開で進めていたのに、ここ最近は打撃戦を主軸にして寝技でフィニッシュを狙うという展開が多いです。

「だから結局は組みの選手だと思うんです。組みやすくするために打撃を散らしている印象があります。でもちゃんと組めているかといえば……」

――今の韓国人選手は、再び組みより打撃のほうが多くなる傾向にあります。

「そう考えると、あれは自分の得意なスタイルではないかもしれないですよね。僕との試合ではどう出て来るか分からないですが、やっぱり打撃をやりながらテイクダウンを狙いに来るのでは――という感じです。

でもあの打撃で来てくれるなら、僕はやりやすいですよ。すぐテイクダウンに来るなら来るで、別に構いません。僕は寝技に付き合うつもりは一切ないですし」

――ここ最近、ユン・ダウォンはライト級からフェザー級に落として試合をしていました。その分スピードも落ちていたように思いますが、それがライト級に戻して戦うことで何か影響はあるのでしょうか。

「いや、条件は変わらないと思いますよ。僕も一時期はフェザー級で試合をしていて、今も――試合で動けるかどうかはともかく――フェザー級に落とそうと思えば、落とせます。単にフェザー級が自分に合っていなかったというだけで。まぁ階級を戻しただけで勝てるなら、苦労しないッスよ(笑)」

――そうですね、失礼いたしました(笑)。大原選手と韓国人選手の試合といえば、2015年7月のRoad FC日本大会で、イ・グァンヒに敗れたことを思い出します。

「ありましたねぇ。僕にとっては、あの大会が初めてのビッグイベント出場で。相手の映像を見ても、『これはKOするかKOされるかの試合になる』と思いました。結果は、僕のほうがKOされてしまいましたね。韓国人選手との試合といえば、2016年4月にフェザー級でジン・テホに判定勝ちしたぐらいです。

当時と比べて、自分は打撃の質が向上しました。打撃の破壊力が増して、さらに組みから全て底上げされています。アウェイでの試合はちょっとでも分かりにくい内容だったら、判定は相手のものになると思っているんですよ。だから今回は最初からガツガツ行きますね」

――試合を楽しみにしています。最後に今回の対抗戦は、どのような結果になると思いますか。

「自分の対戦相手以外だと、まだ無差別級の出場者決定戦しか見ていないですけど……DEEPとは歴史が違いますからね。今回の対抗戦に出るのは、そのDEEPで鎬を削ってきた選手です。それこそ全勝して、DEEPは強いっていうところを韓国のファンにも見せて帰国したいですね」

■ Black Combat05対戦カード

<無差別級/5分3R>
チェ・ウォンジュン(韓国)
赤沢幸典(日本)

<フェザー級/5分3R>
キム・ミンウ(韓国)
中村大介(日本)

<バンタム級/5分3R>
キム・ジョンフン(韓国)
山本聖悟(日本)

<ライト級/5分3R>
ユン・ダウォン(韓国)
大原樹理(日本)

<女子アトム級/5分3R>
ホン・イェリン(韓国)
大島沙緒里(日本)

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【Black Combat05】DEEPと対抗戦、ブラック代表─02─「野球選手に負けない収入を得られるよう」

【写真】黒魔術以上に腹芸が際立っていた(笑)──対抗戦の会見(C)BLACK COMBAT

4日(土・現地時間)、韓国はスウォンのスウォン・コンベンションセンターで開催されるBlack Combat05「Song of the Sword」=Black Combat vs DEEP対抗戦。

YouTubeでブラックコンバット勢の選抜戦の動画のアップが終わり、5つの試合が決定すると同時に現地では記者会見やフェイスオフを行われている。ここでは昨年末に行った謎が謎を呼ぶ、ブラック代表インタビューの後編をお届けしたい。

DEEPとの対抗戦からのブラックコンバットの進むべき道、それはブラック代表が異様に強度の高いMMAファンであること理解できる目標=夢であった。

<ブラック代表インタビューPart.01はコチラから>


──と同時にやはりスポーツはLIVE中継が欠かせない。ディレイ中継だと余りにもコンテンツという見方が大きいようにも感じます。

「もちろん、その点についても考えています。ライブで視聴したい人も多くいるでしょう。ただし日本と韓国は違います。韓国はMMAがメジャーではないです。お金を払って、会場で試合を見る人がまだまだ少ないのが実情です。そのなかでライブ配信を行うと、会場で試合を見る人がさらに少なくなってしまいます。だから、あえてライブ配信はしていません。

ブラックコンバットの試合を生で見たいなら、チケットを買って会場に足を運んでほしい。結果的に、チケットはソールドアウトになっています。会場で試合を見れば、MMAの素晴らしさを体感できます。そうすると、次の試合も見たいと思ってくれるはずです」

──とはいえDEEPとの対抗戦は、日本のファンの多くは航空券を買って韓国に足を運ぶことはできません。

「そこは日本ではPPVでライブ視聴できるようなアプリを作成しようと思います……将来的には。日本のファンは、携帯でブラックコンバットを視聴してもらえるようになります。韓国では映画館、パブリックシアター形式でライブ観戦も可能にしていこうと思っています」

──キャラが立っている選手は、キャリアに関係なく知名度が上がる。選手も張り切る側面があるなかで、やはり実力者の試合が見たい。そういう声も挙がるかと思います。その辺りはどのように考えていますか。

「キャリアの少ない選手にキャラ付けをして、注目されたのは確かです。同時にDEEPとの対抗戦で選抜された5選手は、本当に強い選手です。まずヘビー級はチェ・ウォンジュン、ヤン・ヘジュンには敗れてヘビー級王者になれなかったですが、現Road FC王者を5秒でKOしたことがあります。ライト級はユン・ダウォン、Double GFCでもトップで彼はブラックコンバットではランク2位です。フェザー級はもう説明の必要もないですね、キム・ミンウが出場します」

──おおっ!!

「そしてバンタム級にはキム・ミンウの兄キム・ジョンフン。女子アトム級はホン・イェリン、日本ではパンクラスでも試合をしたことがあります。その時は負けているのですが、急なオファーを受けての結果なので『日本人には絶対に負けない』と燃えていますよ(笑)。
彼らの実力には自信を持っています。強い選手にブラックコンバットで戦ってもらう。その気持ちでいました。だからこそ対抗戦出場選手もそうですし、今後も強い選手に出場してもらうつもりでやっています」

──対抗戦ですが、日本で既に出場選手が誰になるかを聞いています(※取材は昨年12月30日に行われた)。女子アトム級が大島沙緒里選手、バンタム級が山本聖悟選手、フェザー級は中村大介選手、ライト級は大原樹理選手、そしてヘビー級は赤沢幸典選手という5名。山本選手以外はチャンピオン、タイトルコンテンダーです。佐伯代表は完全に勝ちに来ていると思います。

「その5選手の名前を聞いて。20年以上続けているプライドを感じました。ただし、韓国で開く大会です。こちらの方が絶対に負けらないです。ここで勝って、年末に対抗戦第2弾をやるつもりでいます。その時はRIZINで活躍している選手にも出てきてもらって、大きな会場で開催したいですね」

──DEEP以外にも他の国のプロモーションと対抗戦を開くことは考えていますか。

「実は他の国からコラボの話はありました。ただ順番があります。韓日戦は一番盛り上がります。2023年は日本、そこからは世界中の団体と対抗戦をやっていきたいです」

──日本もそうですが、韓国も国内の選手の多くがMMAを戦うだけでは生活ができないです。この辺り、ブラックさんはどのように考えていますか。

「もちろん、そうなることを考えています。ブラックコンバットを発足させたときの記者会見でも、所信表明をさせてもらいました。ブラックコンバットを大きくし、少しでも多くのファイトマネーを支払いたいですし、サポートできるようにしていきたいです。いつかは野球選手に負けない収入をMMA選手が得られるように、自分は頑張ります。

そのなかでMMA界では世界初で、ブラックコンバットのオフィシャルジムでチャンピオンズリーグという大会をやっています。ジム対抗戦ですね。試合数も増えていますし、選手の育成にも通じています。そして優勝したジムの優勝賞金も増やしていきたいです。

やはりチーム戦と個人戦は違います。5✖5のチーム戦には、一つ一つのチームにスポンサーもついています。そうやっていくなかで、チーム戦もMMAの魅力を伝える一つの手段になると思います。ただし、それらはあくまでも手段なんです。格闘技の本質は強さです。いくらキャラが立っていて、人気があっても負けると人気は下がります。戦って一番上に立つ者が、一番の人気者になります。それが格闘技です」

──押忍。ありがとうございました。では最後にDEEPとの対抗戦への自信の程を聞かせてください。

「DEEPが素晴らしい団体だということは百も承知です。ただし、戦う限り勝ちに行きます。世界に行くために、DEEPを踏み台にします。振り返るとPRIDEがあった時代は、UFCでなくPRIDEが世界のトップでした。トップの座をアジアに取り戻したい。しかし、それは日本ではなくて韓国になりますっ!!」

■ Black Combat05対戦カード

<女子アトム級/5分3R>
ホン・イェリン(韓国)
大島沙緒里(日本)

<バンタム級/5分3R>
キム・ジョンフン(韓国)
山本聖悟(日本)

<フェザー級/5分3R>
キム・ミンウ(韓国)
中村大介(日本)

<ライト級/5分3R>
ユン・ダウォン(韓国)
大原樹理(日本)

<ヘビー級/5分3R>
チェ・ウォンジュン(韓国)
赤沢幸典(日本)

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【Black Combat05】Black Combatと対抗戦へ大島沙緒里─01─「MMAは辞めなきゃいけないと考えて」

【写真】アスリート夫婦というのは、そういう苦労もあるのか──と (C)SHOJIRO KAMEIKE

4日(土・現地時間)、韓国はスウォンのスウォン・コンベンションセンターで開催されるBlack Combat05では、Black CombatとDEEPの対抗戦が行われる。5階級で争われる対抗戦の女子アトム級は、DEEPミクロ級&DEEP JEWELSアトム級王者の大島沙緒里がホン・イェリンと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

2021年は4戦全勝も。2022年の初戦は3月にノンタイトル戦でHIMEに敗れた大島だったが、その後はRIZINの試合も含めて3連勝を収めている。しかし、そんななかでMMAを離れてしまう可能性もあったという。今回のインタビューでは、須田戦の後に見せた涙の真相とBlack Combatの対抗戦について語ってくれた。


――2022年の大島選手は3月の敗戦からスタートし、その後3連勝を収めて今年の初戦であるBlack Combatとの対抗戦に臨みます。大島選手にとって昨年は、どのような1年だったのでしょうか。

「初戦の負けは、浅倉選手に勝ったあと(2021年10月、浅倉カンナに判定勝ち)だったので、いろいろ言われたり書かれたりしましたね(苦笑)」

――いろいろ言われたり書かれたり、というのは……。

「上げて、下げられて――という感じです。私もそういう書き込みに慣れていなくて。アハハハ。そこで気持ちも落ちそうになりながら、すぐに次の試合が組まれたんですよね。だから私もすぐに気持ちを切り替えました。チャンピオンとして負けたら周囲の評価がどうなるかも分かりましたし、そこから『絶対に勝ってやる』という気持ちで毎試合準備していました」

――5月の須田萌里戦のあと、『これからMMAが続けられるかどうか分からない』といった旨のことを、涙ながらに語っていました。あの発言はどういう意味で、その後2試合行っているのは一体何がどうなったのかを、ご説明いただけますでしょうか。

「あぁ、その件については何も説明していませんでしたね(笑)。須田戦と同じ日に主人(柔道家の大島優磨)も柔道の試合があって、主人は負けてしまったんです。そのために十代の頃から入っていた柔道の強化選手から落ちてしまって。柔道を引退するかどうか、主人とも話し合いました。もし引退したら、地元(大島優磨の地元は徳島県)で教員をやるかもしれない――そうなる可能性もあったんです。彼が地元に帰るなら、もちろん私も子供たちも一緒に行きますから、東京でMMAを続けられなくなると思いました」

――えっ、そのような状態だったのですか!?

「でも主人がそのあとの大会で優勝して、まだ強化選手には戻っていないけど次に繋げることができました。それが去年の8月ぐらいのことですね」

――昨年の8月ということは、7月の山本美憂戦(RIZINで判定勝ち)は今後どうなるか分からない状態で臨んでいたのですか。

「そうなんです。あの試合は、私のほうから『試合がしたい』とお願いしました。MMAができる間に、できるだけやっておきたくて」

――……もしその時にMMAを離れることになっていたら、大島選手ご自身は気持ちよく離れることはできていたでしょうか。

「うーん、いや……気持ちよく離れることはできなかったでしょうね。それこそ、しばらく格闘技の試合も見られなくなってしまうような――。自分自身としては、まだやり切れていなかったので。

今は日本のどこへ行っても、MMAの練習はできます。でも私の場合は子供もいて、地方に行った時にAACCと同じような練習環境を確保できるのか……。そうなると、満足いくほどの準備をして試合に臨むことはできないんじゃないか。そう思っていました」

――……。

「そんな中途半端な状態で試合に出るのは、私自身は嫌でした。だからAACCを離れることになったら、MMAは辞めなきゃいけないとも考えていたんです」

――昨年11月の古瀬美月戦は、開始早々から鬼気迫る表情でテイクダウンを仕掛けて、すぐに袈裟固めからのアームロックで勝利しました。やはりあの表情には、大島選手としても懸けるものがあったのでしょうか。

「アハハハ、そうじゃないんです。逆に緊張しすぎていました。古瀬戦は打撃を見せようと思っていたのに、それを忘れて組みに行っちゃって(苦笑)」

――えっ、こちらが考えすぎていましたか(苦笑)。

「ミクロ級の試合で減量もあったので、いつもより緊張していました。ただ、アトム級ほど相手も大きくないので、自分の打撃も試したかったんです。いつもより打撃の練習を多くしてきたのに……全く打撃を出さなかったですね(笑)」

――アハハハ。緊張のせいで練習してきたことを出せずに圧勝したと。

「試合が決まってから、『大島が余裕で勝つだろう』と言っている人もいました。私自身は油断しないよう、いつもより気を引き締めて練習していたんです。『古瀬選手は強いし、決して余裕ではない』って思いながら。それが緊張に繋がってしまったんですかね……。

ただ、あの試合で勝てたことで、いろんな気持ちが晴れました。3月に負けたあとは全勝できましたからね。RIZINで勝つことができて、アトム級とミクロ級のベルトを防衛することもできて、とりあえずはホッとしています。でも2022年としては、結果的に現状維持なんですよ」

――現状維持、ですか。

「上にも行けず、下にも行かず、ずっと横ばいで一直線のままじゃないですか。このままで良いのか、いろいろ考えてきました。ミクロ級も相手が多いわけではなく、アトム級も相手が大きいので……。ミクロ級であれば、アム・ザ・ロケットとの試合がどうなるか、ですね」

――アトム級には、本野美樹選手が転向してきました。

「いえいえ、同門対決はないですから(笑)。本野はRIZINか海外を見据えてアトム級に落としているのでしょうし。実は私にとって、Black Combatが初めての海外での試合なんです。もともと海外でも試合をしてみたかったんですけど、佐伯(繁DEEP代表)がYouTubeでBlack Combatと絡み始めた頃に、『女子の試合はないのかなぁ』と思っていました。そうしたら対抗戦で女子アトム級をやると聞いて、すごく嬉しかったです」

<この項、続く>

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