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Interview News ONE Road to ONE02 ブログ 後藤丈治 祖根寿麻

【Road to ONE02】欠場→一転、後藤丈治戦確定の祖根寿麻「2日遅れのエイプリルフールだと」

Sone Kazoomer【写真】本当はキィキィ言っているだけで何を言っているのか分からないのですが、同じ愛知県のジャバーニ久米鷹介選手が訳してくれました(C) MMAPLANET

3日(金)午後、サステインより17日(金)に渋谷区の渋谷TSUTAYA O-EASTで、無観客大会として行われるRoad to ONE02で後藤丈治と対戦予定だった祖根寿麻の欠場が一度は発表されたが、夜には再びリリースでこの試合が組まれることが改めて明らかになっている。

欠場の報を受け、「なんで俺が欠場になっているの?」とツイッターで反応した祖根。新型コロナウィルス禍以前から、基本リモートワークの共催大会だけにコミュニケーション不足がその背景にあった模様だ。


改めて後藤と戦うことが再確認された祖根は以下のようなコメントをMMAPLANETの読者向けに話してくれた。

祖根寿麻
「まず昨日の欠場発表後にゴタゴタしてしまい、この大会の開催に向けて努力を続けてくださっている関係者の方々に不快な想いにさせてしまったこと、お詫び申し上げます。

この件も糧にして、当日は後藤選手としっかりと試合をします。僕を踏み台にしたい感がすっごく伝わってくる試合ですが、逆に叩き潰させてもらいます。このような世の中で僕も泥水をすすって生きているので、負けるわけにはいかないです。

試合欠場の発表も2日遅れのエイプイルフールだと思い、気持ち入れ替えて試合まで気を抜かず、免疫力あげていきます。応援よろしくお願いします」

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Interview JJ Globo ONE Road to ONE02 Special ブログ 世羅智茂 青木真也

【Special】月刊、青木真也のこの一番:番外編─世羅智茂戦@Road to ONE 02「いつもと変わりなく」

Shinya Aoki【写真】ロータスはMMAグラップリング、IGLOOでピュアグラップリングを構築する青木 (C) MMAPLANET

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。世界的にMMAがストップした3月、試合数も激減したなか過去の試合をチェックするなど、変わらぬ情熱を見せる青木は、17日に東京都渋谷区の渋谷TSUTAYA O-EASTで開催されるRoad to ONE02で、世羅智茂とグラップリングマッチを戦うことが決まっている。

今、このタイミングで組み技を戦う青木に、自身の次戦について引き続き話を訊いた。


──世の中が揺れるなか、青木選手自身は世羅選手とのグラップリングマッチが決まっています。

「試合に関する向き合い方は、普段と変わりないです。最近、グラップリングが面白くなってきているので、一度やってみるのも良いなって。単純に面白くなってきています。もちろん、MMAの試合が決まっていればそっちを優先しますけど、楽しくなってきたグラップリングを試合で試すことができる。そこは単純に楽しみです」

──これまで青木選手がONEで行ってきたグラップリングは、どちらかというとケージグラップリング、MMAグラップリング的な要素が強かったと思います。今回の相手である世羅選手は純粋な柔術家、楽しくなってきたグラップリングを試すには壁にはこだわらない?

「ケージグラップリングではありますけど、相手によりますからね。マラット・ガフロフとやった時は相手がそれを望んできて。ゲイリー・トノンにはケージ中央でやられちゃいましたし。相手次第だから純粋グラップリングになる確率は高いと思います。それが楽しくなっちゃっています」

──世羅選手が座ってきても、対応できますか。

「できると思います。実際、日本にはグラップリングだけを戦っている人はいないし、そのなかで僕も純粋グラップリングの練習を週に一度やっているので。そういう意味でも良い対戦相手だと思います」

──正直なところ世羅選手とのマッチアップは意外でした。

「まぁ、色々対戦相手の名前は挙がりましたけど、現状でできる相手だと国内に限られてきて。そうなると、僕の方から特定の名前を挙げて組んでみたい相手はいないです。

そんななか関根(シュレック秀樹)さんの名前が挙がったことがありましたが、体重差もあって文脈が違い過ぎるだろうって(笑)。逃げたと言われると、まぁ癪に触るけど……。だって、僕のキャリアのアップデートにならないですからね。今、関根さんとグラップリングで試合をしても」

──エンターテイメント要素が強くなりますね。見た目の印象で。

「まぁ、しっくりとは来ないです。そういう試合があっても良いけど、僕が今グラップリングを真面目に取り組んでいるなかで、技術的にもアップデートしているので──ここはヘビー級の関根さんじゃないだろうって。自分の取り組みを良い形で試合に出したいから。

そうなると国内のグラップリングで一番強くて、名前があるのは岩本選手だと思っています。でも岩本選手とは週に3回、組み合う仲になっているので試合はできないですし」

──そして良い対戦相手、世羅選手との試合になったと。どのような印象を持っていますか。

「頑張る選手です。今成戦ではバックを取っているし、全く舐めたりしていないです。シリアスな勝負になると思っています。だから、世羅選手に頑張り勝ちたいです」

──世羅選手と今成選手の試合は、互いに警戒心が強い試合でした。

「僕はああはならないと思います。攻めたいので。まあ、そこは僕の宗教観で。攻めてこそ、ナンボという性分があるので攻めたいです」

──格闘技として楽しくなるには、世羅選手が青木選手の攻めをどれだけ遮断できるのか。そこが見所だと思っています。

Aoki & Iwamoto「僕としては、逆にそこを崩さないといけない。岩本選手や山中(健也)選手とIGLOOで練習できていることは財産になっているので、そこが上手く……技術的に出るかと思います。グラップラーの岩本選手、柔術家の山中選手、そしてMMAファイターの僕。

3つの宗教が混在していて、柔術、グラップリング、MMAとかなく、グラップリングマッチを戦います。本来は僕が技術をたくさん仕入れて引っ張らないといけないのですが、最近は教えてもらうことが多い。それが出る試合になるような気がします。練習でやっていることが出る。そういう試合になるでしょうね」

──自粛、延期、中止が合言葉となりつつある格闘技界。この現状で流動的(このインタビューをした時点で17日の無観客は発表されていなかった)ながら、試合があることについては。

「やるヤツはやる。どうなるか分からない部分はあるけど、そういう状況は関係なく、試合に向けてはいつもと変わりなくやります」

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HOOKnShoot Special The Fight Must Go On アレッシャンドリ・カカレコ エルミス・フランカ タクミ ブログ マイク・ブラウン マット・ヒューム 山下志功 鈴木洋平

【The Fight Must Go On】DVDチラ見─02─2001年11月17&18日、マイク・ブラウンが戦っていたのは修斗?

HnS【写真】古き良き時代と新しい時代への交差点のような大会だったHOOKnShoot KINGS (C) FIGHTWORLD.com

国内外のMMA大会の中止及び延期、さらには格闘技ジムの休館など、停滞ムードの真っただ中です。個人的にも大会の延期と中止のニュースばかりを書かざるをえない時期だからこそ、目まぐるしい日々の出来事、情報が氾濫する通常のMMA界では発することができなかったMMAに纏わる色々なコトを発信していければと思います。こんな時だからこそ The Fight Must Go On──第11弾は懐かしくもあり、今や秘蔵っぽさタップリのDVD紹介シリーズ、その第2回として2001年11月17&18日にインディアナ州エヴァンズビルで開催されたHOOKnSHOOT「KINGS」のDVDを紹介したい。


豪州=オーストラリア修斗、ハワイ=スーパーブロウルに続き、中西部インディアナ州でプロ修斗公式戦を組むようになった──今でいえば──フィーダーショーがHOOKnShoot(以下HnS)だ。とはいっても北米のビッグショーはUFCだけといっても過言でない時代、人口10万人強(広域都市圏では35万人ほど)の地方都市のメモリアルホールで行われていた大会は、今の北米ローカルショーとは比較にならない国際色豊かなイベントとして行われていた。

HooKとShoot、裏技とガチというプロレス隠語を合わせたネーミングのMMA大会は1996年から活動しており、いわば業界のパイオニアの一つであった。そして90年代の終わりごろ米国のマニアック層は、修斗の競技志向をリスペクトする傾向が見られ、HnSを主宰するジェフ・オズボーンもその一人だった。そんなマニアック過ぎたオズボーンを片腕として、後にBodogなど非UFC系のビッグショーのマッチメイカーやタレントリレーションズで活躍するミゲール・イトゥラテがサポートし、一介のローカルショーの域を脱するショーを2000年から2001年にかけてプロモートしていた。

イトゥラテはこの2日連続イベントからフロリダの富豪ダン・ランバートの資金援助を得るようになり、シウベイラ・ブラザース所属の3選手やコーチ陣はランバートと共にプライベート・ジェットでエヴァンズビル入りを果たしていた。

Franca vs Brownそう後のATTの原形がこの大会で見られたことになる。

シウベイラ・ブラザースから出場したエルミス・フランカは、今やATTの知恵袋として八面六臂で活躍中のマイク・ブラウン(当時はキース・ロッケル率いるアムハースト・サブミッション・アカデミー所属だった)を2分少しで三角絞めで下している。

この大会はプロ修斗公式戦を行うことで日本からTV放映料を得ていたが、HnSという大会のブランド力をアップさせたいイトゥラテの意向もあり、修斗公式戦と北米ユニファイドルールを併用したイベントでもあった。

タクミ、山下志功、鈴木洋平が日本から出場した修斗公式戦とはいえ、HnSでの修斗公式戦はインディアナ州アスレチックコミッションの認可を受けるために、当時日本で用いられていた10カウント制は採用されず、修斗インディアナ・ルールという特例ルールの下で実施されていた。

Nakayamaばかりか、この大会では競技運営面を統括していたインターナショナル修斗コミッションとプロモーションのコミュニケーション不足もあり、修斗グローブが現地になく修斗公式戦出場ファイターもハービンガー・グローブを着用していた。

結果、2001年だけで脅威の6勝目をタクミが挙げた✖ヘンリー・マタモロス戦にしても、修斗公式戦か北米ルール下でのMMAマッチか、今や映像を確認しても判別がつかない状況になってしまっている。

Shikoしかも、山下は2回戦契約だったが現地では3回戦と認識されており、2R終了後に混乱が収まらないまま3R開始に応じた山下はカーチス・スタウトに判定負けを喫している(※後日、修斗公式戦的にはノーコンテストとされたが、今も北米の主要サイトでは山下は敗北のままだ)。

このように公式戦を世界に広めようとした修斗と、尊敬心以上にビジネスとして日本のCS TVマネー欲しさで繋がったHnSとの関係は余りにも脆弱で、彼らの関係はその後2年ほどで解消される。イトゥラテはATTとより強力なタッグを組むことになり、HnSはフロリダに進出するとAbsolute FCという別名を用いるようになる。

ほどなく人が良いもののメジャー・プロモーションの経営者の資質に欠けたオズボーンと野心家イトゥラテの蜜月も終焉を迎えたものの、HnSはオズボーンの手で地元エヴァンズビルのハウスショーとして、2017年4月まで活動を続けていた。

CacarecoこのKIGS 2Daysにはイワン・フリーマン&レイ・レミディオスの後の英国UFCファイターズ、既に古豪入りが近かったカーロス・バヘット、2年後のADCC無差別級で2位となるルタリーブリのアレッシャンドリ・カカレコらが出場。

またAMCからアーロン・ライリー、アンソニー・ハムレット、クリス・モンセンを率いていたマット・ヒュームを始め、同じ中西部のエクストリーム・ファイティングのモンテ・コックス代表らがリングサイドに陣取っており、まさに古き良きNHB時代から2005年以降のMMAメインストリーム時代へのクロスロードのようなイベントだった。

Yohei & Matt現ONE副社長となったヒュームは、かつてシアトルで指導した鈴木のセコンドにも就いており、ビクター・エストラードにTKO勝ちした彼とリング上で抱き合って喜びを露にしているシーンもしっかりとDVDには収められている。

そんなHnS KINGのDVDはFightworldというオズボーンの経営するビデオ製作&販売会社から発売されていたが、彼はその映像権をUFC Fight Passに売却。そう……ここに挙げた試合は、なぜかHnS KINGS2というタイトルでファイトパスのライブラリーで視聴できるので、ぜひチェックしてほしい。

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RIZIN ブログ

【RIZIN】榊原信行CEOが夏に格闘技のメガイベントの開催を提案「ファンの皆さんと我々主催者と選手で作る、その準備に入りたいと思います」

スクリーンショット (6034)

52: 実況厳禁@名無しの格闘家 2020/04/02(木) 23:11:14.39 ID:5CBtc8IO0
本当に団体の壁を超えて開催するのならクラウドファンディングでも何でも協力するが、コロナの収束が全く見えてない中で動くのってほんと大変そう。 
RIZINは4月2日(木)19時より、榊原信行CEOによる会見を公式YouTube LIVEで生配信。
(中略)

ひとつの提案として今日、皆さんにご提案したいのは今年の夏、残念ながら東京オリンピックが中止になりました。

スポーツに限らずなかなか未来へ向けて明るい話題がない中で、できれば夏に格闘技界みんなが力を合わせて、ある意味で東京オリンピックの弔い合戦になるような、格闘技のメガイベント、真夏の格闘技の祭典になるようなイベントを。

これは今年のスケジュールでは予定していなかったんですが、あえてコロナで戦う時間を充電期間にして、コロナが収束した時にスタートを切れるような、苦しい時間を夏にファンの皆さんの知恵やひょっとしたら皆さんの経済的支援をいただいてでも夏に大型のイベントを開催することを企画・提案したいと思います。

メガイベントをファンの皆さんと我々主催者と選手で作る、その準備に入りたいと思います」と、格闘技界とファンが力を合わせてのメガイベントを開催したいと提案。(中略)

コロナが終息に向かって皆さんと選手の安全が確保できる中で準備を進めていきたいと思います」と、新型コロナウイルスの感染が終息に向かうことが大前提ながら、ファンからもクラウドファンディングなどで資金を募り、他団体にも協力を呼び掛けて夢の格闘技イベントを開催したいとした。(全文は以下リンク先参照)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200402-00010008-gkakutogi-fight


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ONE ブログ

Road to ONE 2nd:4月12日に予定されていたRoad to ONEが17日に会場変更・無観客での開催に変更。AbemaTVで生中継。

www.shooto-mma.com

4月12日に東京・竹芝ニューピアホールで開催予定だったRoad to ONE:2ndが、新型コロナウイルスの影響により、会場を渋谷TSUTAYA O-EASTに移して無観客開催に変更。日程も12日から17日に変更となる。また、それに伴い2選手が欠場、ウィッキー vs. 論田の試合は5月31日の修斗後楽園ホール大会にスライドとなった。東京でのMMAイベントは3月21日の渋谷TSUTAYA O-EAST大会以来となり、現時点で4月に日本で開催される唯一のMMAイベントとなっている。

17日はONEがシンガポールで無観客イベントを実施すると発表されているが、現在の所カードは発表されていない。シンガポールは非常に厳しい入国制限・集会やイベントの制限を行っており、無観客開催を行うとしても、海外の選手の招聘は難しく、シンガポール国内でもイヴォルブジムが今月いっぱい閉鎖しており、中止となると見られているが、現時点まで発表はない。

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Special The Fight Must Go On ビビアーノ・フェルナンデス ブログ

【The Fight Must Go On】あの時、〇〇が話していたこと─02─2011年6月9日、ビビアーノが話していたこと

Bibiano【写真】今から8年10カ月前のビビアーノ。さすがに若いが、その生い立ちから達観ぶりはずば抜けていた (C) MMAPLANET

国内外のMMA大会の中止及び延期、さらには格闘技ジムの休館など、停滞ムードの真っただ中です。個人的にも大会の延期と中止のニュースばかりを書かざるをえない時期だからこそ、目まぐるしい日々の出来事、情報が氾濫する通常のMMA界では発することができなかったMMAに纏わる色々なコトを発信していければと思います。こんな時だからこそ The Fight Must Go On──第10弾は過去のインタビューで、今も印象に残っている言葉を再収録したい。あの時、〇〇が話していたこと……第2回は2011年6月9日──カナダ・バンクーバー郊外リッチモンドで取材したビビアーノ・ヘルナンデスの言葉を振り返りたい。

2011年、東日本大震災のあった日本ではPRIDE後の格闘技界をDREAMとともに引っ張ってきた戦極が活動停止となり、そのDREAMも縮小化へ。レギュラーといっても過言でなかったビビアーノも来日が半年以上途絶えていたなかで、UFCやBellator移籍もあると見られていた。

そんななかDREAMで戦うことを拘るビビアーノは、当時は余り明らかとされていなかった達観した人生哲学を語り始めた。こんな今だからこそ、あの時のビビアーノの言葉をお届けしたい。


──このような状態になってもビビアーノが、日本で戦い続けるという想いはどこから起こってくるものなのでしょうか。

「今、試合がなければ道場のことを考えている。DREAMとの契約が残っているんだから、UFCで戦いたいとかベラトールで戦ってみたいとか、そういうことは口にしたくないんだ。最初に何かを始めれば、それは最後までやり通さないといけない。DREAMからなかなか試合の機会が与えられなくても契約は彼らとの間にしか存在しないんだ。そういう大前提として存在するものを飛び越えて次の話を進めることは、人間的にも良しとしないんだ。

僕はここにいる。今、君のインタビューを受けている。その時に他のインタビューのことを考えるわけにはいかない」

──なんだか本来は当然のことなのですが、状況が状況ということがあるなかでビビアーノの義理堅さには驚くばかりです。

「だって人は今を生きているんだ。将来のことばかり考えたってね。分かるだろう?」

──自分など将来に不安を感じ、今という現実を軽視してしまいがちなのでビビアーノの言葉が胸に響きます。

「将来のことなんて何も分からないよ。今、その足下を見つめないとね。DREAMから『ビビアーノ、君はもう要らない』と言われれば、他のオプションを考える。だからDREAMがなければ……という過程の話をしてもしょうがない。僕はジャングルで生まれ育った。

僕らは生き残るために生活していて、死というものを身近に受け入れている。だから今、できることをこなし、平穏に生きたいんだ。頭をクリアにして真っすぐ歩いていくことが大切だと思っている。何かに挑戦することを大きく喧伝する連中もいるけど、僕は生きていくこと自体がチャレンジなんだ。

今の生活に不満はない。生き急いでどうなる? 早く死にたいってこと?  意味はないよ。スピードを出し過ぎた車は事故を起こして壊れてしまう。焦る必要はない。時間を掛けて生きるんだ。急いで走ってストレスを感じて、人を信じることができなくなって……一体何を恐れているの?」

──何事も生き急がないと。

「生まれてきた誰もが死ぬんだ。それだけは皆、変わりない。何を生き急ぐ必要がある?」

──マナウスやリオデジャネイロに住んでいた頃と比較して、随分と成熟したと思いませんか。

「そんなことは決してないよ(笑)。生き方は同じだけど、今のように昔は断言できることはなかったね。僕はお金のために戦ったことはない。母が亡くなって家には食べ物もお金も無くなってしまった。ある女性の家の掃除をして生きていくことになった。彼女は『いくら欲しい?』と尋ねてきたけど、『食べ物が欲しい』と答えたんだ。僕はお金を得るために生きてきたんじゃない。生きるために生きてきたんだ」

──本来はバンクーバーでビビアーノの練習などを拝見させてもらって紹介しようということが主題の取材だったのですが、このような会話になるとは思っていなかったです。

「なぜか? 今日、ここにいるからだよ。君がバンクーバーに着いたばかりなのに、僕が住んでいるラングレーにレンタカーをドライブしてくると言うので、そんなことをさせることはできないと思った」

──そのためにわざわざ、私が宿泊しているホテルまで足を運んでくれたのですね。

「自分のことを第一に考えるのなら、家で君の到着を待つだけで良かった。しかし、東京から飛行機の長旅で疲れている友人に、酷い渋滞のなかドライブなんてさせたくなかった。人生は人を思いやり、人から思いやれるもの。自分のことばかり考えて、何かを手にしていくのは実は人を思いやれないことと同じで、何も残らない空っぽな人生になる。

今、日本は大変なことになっている。でも、しっかりと気持ちを落ち着けて、自分以外の人のことを考えていくと、危険は去り、また良い時代がやってくるに違いない。そんな日本でまた戦えることを楽しみにしているよ」

──Fight & Life 2011年10月号(Vol.26)より抜粋──

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Interview Special トム・ヘルピン ブログ 青木真也

【Special】月刊、青木真也のこの一番:3月─その参─コンバット柔術ワールド「足関節が極まらなくなって」

Combat JJ【写真】エディ・ブラボーが主催するコンバット柔術は、突っ込みどころ満載でありながら魅力に満ちている。写真は昨年5月のバンタム級Tのモノ(C)DAVE MANDEL

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ3月の一番、第3弾は8日に開催されたCJJW2020、コンバット柔術ワールド2020を語らおう。


──3月の青木真也が選ぶ、この一番。3試合目はどの試合になるのでしょうか。

「これは試合ではなく、コンバット柔術世界大会全体にしたいと思います」

──おおコンバット柔術ですか。グラウンドで掌底ありのノーポイント&サブオンリー、加えてタイムアップになるとシートベルト・ポジションとスパイダーウェブからのオーバータイム制が用いられるグラップリング大会です。

「技術の流れを語るうえで、今回のコンバット柔術は重要だと思います」

──どういうことでしょうか。

「足関節がやっぱり減ってくるんです」

──最終的に?

「ハイ、最終的には(笑)。僕も岩本(健汰)選手とスパーリングをさせてもらっていて、フィニッシュとしてお互いに減ってくるんです。コンバット柔術にしても、他のグラップリングにしても足関節でフィニッシュは減っていると思います」

──ただ優勝したトム・ヘルピンは初戦、準決勝の今成正和選手との試合、そして決勝と内ヒールで一本勝ちしています。

昨年のADCC66キロ級に出場していたヘルピン。パブロ・モントバーニに0-13で敗れている(C)SATOSHI NARITA

昨年のADCC66キロ級に出場していたヘルピン。パブロ・モントバーニに0-13で敗れている(C)SATOSHI NARITA

「あの選手のことは知らなかったですねぇ、全く。

岩本選手はADCC世界大会に出ていたり、その前の欧州予選で勝っている同階級の選手だからしっていたみたいですけど。

アイルランドですよ。あんな奴、いるんだっ──みたいな。しっかりと柔術が強くて、足関節とバック。柔術がちゃんとできるところが、ヘルピンが足関節で勝てた理由だと思います。足関節とバックという組み合わせが多くなって、そういう強いヤツがいるんだなって」

──まさにヘルピンは2回戦で所英男選手をRNCで破っています。それにしても本家・今成ロールにカウンターのヒールを合わせたのは驚きでした。

「切ってバックにいくのが主流で、彼も出来るはずだけと取りに行った。相当、自信あるんだと思います。多分、今成型の瞬発力的にパンと取るヒールフックは、彼らからすると一昔前の技で怖くないと思います。今成さんも今の足関節を凄く研究してレベルアップしたけど、僕と同じでいつの間にか後追いになっているんです」

──あぁあ……。ノーギに関しては、日本では90年代終盤ADCCがあり、こぞってMMAファイターが出場していました。そこから柔術家の時代になりましたが、日本はグラップリングが一度、途絶えた感があります。対して、米国は今の隆盛を迎える前に15年以上に渡り、ずっとノーギ文化が育まれてきた。

「確かに、そうですね。米国にはヒールフックは普通にある。日本にはグラップリングというジャンルがなくなり、ヒールフックも途絶えた」

──ヒールに関しては、佐藤ルミナ選手がMMAで仕掛けて殴られる。だから、MMAで選手が足関節を使わなくなった。そうすると練習でも試さないという流れではないかと。ルミナ選手が足関節の象徴だったので。もともと競技柔術にはヒールはないですし、ヒールを伝えるのはMMAの人、それが日本だったと。

「あぁ、その発想はチョットなかったです。要は日本でヒールフックが使われなくなったのは、ルミナ✖ハンセン戦からだと。その史観、面白いっ!! それは衝撃的、面白いですよ!! ルミナさんは特異なタイプだから。ルミナさんはMMAを戦っている間、柔術が入らなかったです。引退されて、柔術を取り入れられているようだけど。

今成さんは柔術が入った。僕もセコンドに就いていた時に『引き込んでヒールフックして上を取りましょう』とか作戦としてやっていたんです。ルミナさんも体を捻って逃げる相手の背中に飛び乗るとか、あの運動神経があるとできていたと思います。でも周囲にも柔術の発想がなかったかもしれないですよね。

そして植松さん、今成さん、戸井田さん、ルミナさん以降は足関節は職人の技になりましたね」

──DREAMと戦極で、青木&北岡コンビが現代足関節時代になる前に、一度脚光を浴びさせました。青木選手がエディ・アルバレス、北岡選手が五味選手に勝って。

「でも、僕は足関節のフィニッシュは2試合しかないんです。エディと川尻さんとの試合しか。北岡さんの方が、足関節で勝っている試合は多いです」

──と同時に青木選手が足関節を逃げられて殴られたという記憶はないです。

「僕は怖いから、それだけ使っていないので。上に居続けないといけないという発想に代わりましたからね。足関節は出ちゃった時は仕方ないけど、自分の作戦として採り入れないようにしていました」

──そんななか掌底有りのコンバット柔術における足関節とはどういう位置づけでしょうか。

「う~ん、コンバット柔術はジャンルとしてメインストリームには来ないと思います。アレがUFCみたいになることはほぼない。ルールの穴が多すぎて、メジャーになるには禁止される部分が増えたり、戦いもグラップリングでなく掌底の殴り合いみたいになっていくでしょうし。

でも現時点のコンバット柔術は逆張りする上で面白い。岩本選手とか出れば良いのに……アレはグラップリングなので。日本でもMMAファイターの人材育成ルールとか、逆に柔術家がMMAをやる前に経験しておく要素──そういうルールかと思います」

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J-CAGE News ONE Road to ONE02 ブログ 世羅智茂 青木真也

【Road to ONE02】17日&無観客大会に変更。メイン出場の青木真也は「生きるために格闘技をしている」

Shinya Aoki【写真】当然、批判の声も挙がるだろう。これが青木真也の生き様だ(C) MMAPLANET

3日(金)、サステインより12日(日)に東京都港区のニューピアホールで開催される予定だったRoad to ONE02(Road to ONE実行委員会主催)が、日程・会場ともに変更され17日(金)に渋谷区の渋谷TSUTAYA O-EASTで、無観客大会として行われるという発表があった。

無観客、ウィークデーでの大会は、週末の外出自粛を求める東京都始め行政の要請により忠実に従うことを念頭に決定され、会場ではサーモグラフによる検温、手洗い&うがい、試合中の選手とレフェリー以外の関係者のマスク着用と新型コロナウィルス拡大防止策に取り組むとリリースには明記されている。


キックでWKBA世界ウェルター級王者・緑川創が西川大和と相対するなど、ムエタイとキックの試合が2試合追加された今大会、メインは青木真也✖世羅智茂もグラップリングマッチに決まった。また日程の変更に伴い西浦ウィッキー聡生✖論田愛空隆は5月31日の修斗後楽園ホール大会にスライド、後藤丈治と対戦予定だった祖根寿麻、SARAMIと対戦予定だった鈴木祐子が欠場し、代役が決定し次第アナウンスされるとのことだ。

大会キャッチで「今こそ、本物かどうかが問われている」と銘打たれた同大会のメイン出場となった青木真也は、リリースに今大会の実現、出場に関して以下のようなコメントを寄せている。

青木真也
「ずっと生きるために格闘技をしている。
今やらなくていつやる。最初から命張っているのだから、いまさら恐れることはないだろう。
本物かどうかが問われている…どころではない。
今、何者かが見えるのだ。リスクを負わない正論か、リスクを背負った現場の声か。
青木真也の思想信念、主義主張を無理やりにでもメインに置いてこよう。
37歳を迎えようとするロートルのグラップリングマッチにメインを取られることを他のファイターはよく考えた方がいい。僕だったら耐えられないことだから」

なお今大会はAbema TV格闘チャンネルで全試合がライブ配信される。


             

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Bu et Sports de combat Interview ジョセフ・ベナビデス デイヴィソン・フィゲイレド ブログ 岩﨑達也

【Bu et Sports de combat】「最後は先の先、それ以上に…」武術で斬るMMA=フィゲイレド✖ベナビデス

Figueiredo【写真】フィニッシュの右は先の先。そしてベナビデスは全く観えていなかった(C)Zuffa/UFC

MMAと武術は同列ではない。ただし、武術の4大要素である『観えている』状態、『先を取れている』状態、『間を制している』状態、『入れた状態』はMMAで往々にして見られる。武術の原理原則、再現性がそれを可能にするが、武術の修練を積む選手が試合に出て武術を意識して勝てるものではないというのが、武術空手・剛毅會の岩﨑達也宗師の考えだ。距離とタイミングを一対とする武術。対してMMAは距離とタイミングを別モノとして捉えるスポーツだ。ここでは質量といった武術の観点でMMAマッチを岩﨑師範とともに見てみたい。

武術的観点に立って見たデイヴィソン✖フィゲイレド✖ジョセフ・ベナビデスとは?!


──UFC世界フライ級王座決定戦、ジョゼフ・ベナビデス✖デイヴィソン・フィゲイレドの一戦ですが、フィゲイレドが体重オーバーでベナビデスが勝利した時のみ新王者が誕生するという変則タイトル戦として行われました。

「フィゲイレドは試合開始直後は重心を低くして、足を開いた蹴りを使う構えでしたね。対するベナビデスのスタンスはパンチだけで蹴りは使えない。う~ん、あの構えと間は……ベナビデスは体調が悪かったのでしょうか?」

──どういうことでしょうか。

「以前の彼はもっとスイッチを使い、蹴りも見せていました。下と上、上と下という動きができていたのに、この試合ではまるで見られなかったです。あの間だとパンチをかわして、パンチを入れる。それだけで前後、上下の連係ができないです。ただ左の威力にフィゲイレドが圧されていたので、テイクダウンを取れたんです。この試合のベナビデスができたことは、パンチからテイクダウンだけ。そういう構えと間でしたね」

──そのテイクダウン後も、フィゲイレドが腕十字に捕えます。ここで抜群の防御&スクランブル能力を発揮してベナビデスが逃げました。

Figueiredo Armbar「スタンドに戻ってからのベナビデスは、打ちに行っているので非常に危なかったです。カウンターを合わせられるような状態で戦い続けていました。打撃では常に間がフィゲイレドになっていて、彼はベナビデスが観えている状態でした。対してベナビデスは自分で間を小さくしてしまっていた。

ベナビデスは左のパンチが強いのでしょうが、とにかく打ちに行っていて崩れてしまっていましたね。そして、カウンターを合わされると危ない間で戦い続けた。要は最初こそ左を見せて質量が高かったのが、テイクダウンまで持ち込んでも腕十字で一本を取られそうになったことで、スタンドに戻ってからはテイクダウンを仕掛けて寝技に行かなくなった。

つまり寝技が怖くなった状態での打撃なんです。と同時にフィゲイレドも試合開始直後とは違い、重心が変わりパンチしか打てない構えになっていました。ここではベナビデスもフィゲイレドも質量が下がった打撃をしています」

──フィゲイレドも質量が落ちてしまっていたのですか。

「落ちていましたね。開始直後に蹴りが出る構えから、蹴りのない構えになっていたので。にもまして、ナビデスは状態が良くなかったです。ヘンリー・セフードに勝った時と比較すると、同じ選手には思えなかったですね。

前後の動き、前に出るときの踏みこみは別人です。あの頃は、パンチからテイクダウンにつなげて、そこから左ハイまで見せることができていたのに、この試合では蹴りが出ない構えでした。もっとワイドスタンスで、半四股ぐらいで動いていましたよ。それで出入りがあった」

──2Rに入り、仕切り直しは?

「1Rの終盤は共に質量が落ちていたのが、2Rが始まってフィゲイレドが上がりましたね。後ろ蹴りを見せていましたが、あの蹴りは相当にためがないと出せる技ではないです。ただフィゲイレドはバランスと重心が蹴りは蹴り、パンチはパンチと別々なんです。だから蹴りが出る時は、パンチに威力はない。パンチを出せる時は、蹴りが出ない。そこは分かりやすかったです。

とはいっても、そこまで同じ構えでちゃんとしたパンチも蹴りも出せるのは、UFCといえどもTJ・ディラショーぐらいかと思います。そこまでしっかりと上も下も使えるのは。フィゲイレドは蹴りが良い選手なので、もっと蹴りをガンガン効かせてからパンチにいけばもっと良かったと思います。それが中途半端にベナビデスのパンチに付き合ってしまいました。そこには初回にテイクダウンを許したということが影響しているかもしれないですね」

──蹴りを出すと、キャッチされてと。

「あの日のベナビデスだったら、そこまで心配する必要はなかったかと思いますよ。本当にもっとボコボコにできていたかと。決して調子の良くないベナビデスでしたが、ボクシングには慣れています。そうなると試合は成立してしまっていましたよね。フィゲイレドもパンチだけなら、危ない場面もありました」

──そういう状況で頭が当たり、間合を取り直したベナビデスに対しすかさず右ストレートを打ちこんだフィゲイレドがKO勝ちを決めました。

「最後は先の先でした。それ以上に、ベナビデスが観えていなかった。頭が当たってから下がる間、これは打つこともできないし、蹴ることもできないという非常に危ない状況でした。下がって距離を取っているから、気が抜けたのか……完全に無防備になっていました。これは試合数も多く、経験値が高い人が陥りやすい状態ですね。間合を外すことに慣れているから、大丈夫だと気を抜いてしまった。

危機感があれば、もっと瞬時に動きます。同時にフィゲイレドはあの蹴りを出せる下半身があるので、ベナビデスが思っている以上にパンチが伸びてきたんだと思います。逆にベナビデスは外せると思って下がったので、そこは非常に危ないですね。

とにかく、間がずっとフィゲイレドの試合でした。ベナビデスが良かったのは、開始直後の左ストレートだけで。しかし、体重オーバーをしてもそこを気にしない人でなしさ──が必要になるということですね。無責任、誠意がないことが強さに通じる場合もあるのでしょう。

逆にベナビデスはピークの時にデメトリウス・ジョンソンがいて、この試合では旬が過ぎていたのかもしれない。でも、そういうことは往々にしてあると思います」

──試合を通して質量的には?

「最初からフィゲイレドの質量が良かったですが、それを生かすことは試合でできていなかったです。自分の質量を生かし切る動きにはなっていない。ただし、選手は長所を伸ばすのではなく、試合に勝つ練習をするので……それも致し方ないでしょう。そういう稽古をしているわけでないでしょうから」

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【RIZIN】新型コロナウイルスの影響でRIZIN.22が中止

4月19日に横浜アリーナで開催される予定だったRIZIN.22が新型コロナウイルスの感染拡大の影響により中止する事が発表されました。さらに準備中だったという5月17日の仙台大会も中止するとの事。
Youtube生配信に登場したRIZINの榊原信行CEOは「4・5・6月は一切大会を開催しません」と発表。その一方で「今年の夏、格闘技界みんなが力を合わせて延期される東京オリンピックの弔い合戦になるような“真夏の格闘技の祭典”を提案したい」と語りました。会場の候補としてさいたまスーパーアリーナのスタジアムバージョンを挙げています。

いつ緊急事態宣言が出ても不思議ではない状況を考えたら中止の決定は致し方ないでしょう。まずはコロナウイルスに打ち勝たない限り、安心して観戦出来る日は来ませんもん。苦しいですが今は歯を食いしばって耐える時。我慢するしかありません。
その先に待っているご褒美は榊原CEOの言う“真夏の格闘技の祭典”か。もしこの場所で那須川天心×武尊が実現しようものなら、、、世間を巻き込んだビッグインパクトになるのは間違いないでしょう。これまでの経緯から考えて、実現性は限りなく低いですが、そんな夢でも見ないとやってられませんよ。夢を見てコロナ禍を凌ぐしかない。