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【Special】河名マスト「強くなる……試合の準備をしておくだけ」&中村倫也「治癒を待つ」─03─

【写真】取材をした時──1カ月以上前の右拳と、今の拳の状態は相当に違っています (C)MMAPLANET

2月16日のGLADIATOR CHALLENGER SERIES01でパン・ジェヒョクを破ってGLADIATORフェザー級のベルトを巻いた河名マストと、同17日(土・現地時間)のUFC298でオクタゴン2戦目=カルロス・ヴェラを下した中村倫也の対談、最終回。
Text by Manabu Takashima

お蔵入り厳禁。カルロス・ヴェラ戦で思うように戦えない時、中村倫也は何を思っていたのか。そして右拳の骨折からの復帰と、河名マストの今後とは? ファイターの凄まじさを改めて思い知ることとなった言葉が続いた。

<中村倫也&河名マスト対談Part.02はコチラから>


──確かにギロチンのセットアップをじっくりするのもヴェラの特徴でした。

中村 自分がレスラーなので、テイクダウンを誘っておいてギロチンを仕掛けてくる。足関よりも、そっちを気にしていました。

──それにしてもディープハーフへの対応など、しっかりとできていました。倫也選手は自分が使わない技も動画などを見て研究するのでしょうか。

中村 そうですね、試合映像もチェックしますし。足を抜く時にカーフスライサーを取られないようにするとか。外掛けの対処は頭にありました。でもヴェラも要所で、足を金網に引っかけていて細かい反則をしているんですよ。アレには腹が立っていました(笑)。

──ところで今もギブスが見られますが、拳のケガをしたのはどのタイミングだったのでしょうか。

中村 3Rの初っ端ですね。なので、パウンドに関するとそれまではケガは関係ないです。当たらなかった時に、どういうリアクションがあるのかとか考えていました。そうですね、今回のパウンドのイメージは……パウンドは上体を剥がさないと打てないので、相手を放す。

──そうすると、スクランブルに持ち込まれないですか。

中村 ハイ。放す……離れるのですが、相手と自分の距離がS極とN極が反響しあっているぐらいのイメージで。引っ付いていると殴れないけど、反響しあっているぐらいの距離でないと立たれるので。殴られた相手が嫌がって動いてできるスペースは、自分のモノ。そのイメージをずっと刷り込んでいました。刷り込んでいたんですけど……。

河名 フフフフフ。

──マスト選手が笑っていますが。思ったようにいかなかった、と。

中村 原因の一つはカフェインの摂り過ぎもあると疑っています。

──えっ?

中村 とにかく頭に血が上りやすかったです。フワッと1テンションを上げようとすると、3、4、5と上がってしまうような感覚がありました。加えて、アリーナにあるエネルギーが影響してしまって自分の感情をコントロールすることが難しかったです。

──少しワイルドになっていました。試合中は上手くいかないことで、粗くなっていたのかと思っていたのですが……カフェインですか。

中村 上手くいかなかったから雑になったというのもあります。でも、テンションが上がってしまっていた方がずっと大きな原因ですね。その状態でブーイングが聞こえるようになってきて……。

河名 (笑)。

中村 「うわぁ。皆、お金を払って観に来てくれているのに。時間を無駄にしちゃっている。皆の時間を無駄にしている。俺は悪者だ」みたいな意識が、表面に出てきてしまって。

──そんなに皆のことを考えてくれるなら、MMAファイターでなく政治家になって欲しいです(笑)。驚きました。そこでファンのことを考えているなんて。

中村 そうなると「どうにかしなきゃ」みたいになって。その結果、行ったらダメなのに頭から行ってしまったり……そんな瞬間もありました。でも、やっぱり観に来てくれた人のことは想ってしまいますよ。

──マスト選手は?

河名 想わないです。

中村 いや、それはない。絶対に食らうから(笑)。

──いや、マスト選手は森戸新士選手とグラップリングの試合をした時に、「5分2R、空調の音が聞こえるような試合をする」と宣言していますから。

河名 そうです。お客さんの時間を無駄にしているとか、それは考えないです。

中村 それが考えちゃうんだって(笑)。「この時間をどうにかしないと」ってなっていると、拳が折れた。もう「もっとつまらない試合になること確定!! 皆、本当にゴメン」みたいになりました。「確定だけど、俺、勝たないといけないから。もっとつまらない選択をし続けないといけない」という自分を受け入れることが、本当にしんどくて……。

──久しぶりに使わせて頂きますが、「モノが違います」ね。中村倫也は──。

中村 そんな風になっていると、三角がきて。「おい、おい、おい。こんなこと、考えている場合じゃない」って(笑)。

──「ファンのために」という発言はいくらでも聞かれますが、プロモーターへの配慮でなくお客さんのことをそこまで考える選手が果たして存在しているのか。逆に中村倫也が理解不能です。

河名 そのギリギリのところで、皆のことを考えられる……今回はアクシデントもあったけど、それができる倫也だから皆が応援したくなる。そこはあります。求めているモノが高いから。

──自分が指導者なら、ファンなんて芋だと思ってとか言ってしまうはずです。いやぁ、理想が高いです。高過ぎる。

中村 本来は戦う理由は自分にあるべきです。今回は外に、自分の心が動かされ過ぎました。会場がAPEXだと、ああいう風になっていないのと思うので。ちょっと勉強になりました。髙谷さんは『岡見(勇信)はあのブーイングが続いても、シカトできるんだからスゲェよなぁ』と言っていました。でも、それで乱れないのは凄い。考えさせられましたね、髙谷さんは笑っていましてけど。

──アハハハ。でも、それだけ自分に集中できる岡見選手の凄さの一端ですね。ともあれ2人揃って勝利しましたが、倫也選手はしばらく休まないといけないですね。

中村 ハイ。経過は良いのですが、折れた面が揃わないとダメで。中指を引っ張って、面を合わせているんです。

完全に拳が折れていた状態で、勝ち名乗りを受ける。左腕で良かった(C)Zuffa/UFC

──折れた瞬間の感覚は?

中村 バキっと折れて、拳を握ろうとすると凹ッと拳頭と甲の間にもう一つ関節ができたのかって思うぐらい膨らんでいて。「あぁ、これか!」と。そしたら折れたところから血が流れてきたのか、生温かくてヌルとってしてきて。そうしたら、感覚が無くなりました。ただ痛いとかではなくて、「これは折れているな」と。

──ダウンしても自分の形まで持って行けばと挽回したり、拳がそんな風になってもファンのことまで気に掛けてしまうとか。凄まじいです。

河名 いえ、そんな凄いことでは(苦笑)。

中村 傷もこのまま我慢して、ひっつけばまた離れることは0パーセントになると言われていますし。それまで本当にちょっとした衝撃も与えてはダメなので、何もできない状況ですけど。

──一人遊びもできない?(笑)

中村 ダメですね(笑)。

河名 いや……そこはサウスポーなので、大丈夫なはずです(笑)。

中村 ハハハハハハ。ハイ、そうですね。厳密にいえば利き手ではないので、大丈夫です。

──中学の時に小指を脱臼して、薬指と束ねて固定されていたのでOKマークみたいな形で中指、人差し指、親指でやっているヤツもいました。

中村 それ、高島さん自身じゃないですか(笑)。

──アハハハハ、妙にディティールがハッキリしていましたか(笑)。ただ、利き腕でないとしても本当に不便ですよね。

中村 この状態で、腕を振るだけでもポキッとずれるかもしれないです。だからコップの水をこぼさないで歩くぐらいのイメージで生活をしています。今は全然体は動かせないです。でも、焦りもない。これまでの自分なら焦っていただろうけど、今はできることをやろうと。瞑想や呼吸トレーニング、ゆっくりと四股を踏んだり──ですね。

──でもボルトを入れたりしないということですね。

中村 ハイ、自然治癒にしました。だから、『そんことできるのか』って拳をやったことがある選手たちから、注目されています(笑)。

河名 この治癒の仕方はどうなるのか。画期的なんじゃないかと思います。

中村 だから、次は……今年の9月か10月にはできる……できると思っています。「今年は厳しい」という人もいますが、しっかりと揃っているので骨ができれば──。1カ月間固定し、1カ月間リハビリをする。そこから練習を徐々に始めると、4カ月ぐらいすれば試合はできる。それまでは本当に慎重に生活をします。

──とはいえ倫也選手は9月、10月の話ができる状況にあります。一方で、マスト選手の方は……。

河名 見えない未来です(笑)。

中村 Road to UFCがあれば、5月に試合だよね。一発目が。

──いつ頃に出場の有無は分かるのでしょうか。

河名 全く分からないです。4月には決まるとはなっているようなのですが。

中村 そうなるとタイトですね。

河名 引っ掛かれば、試合期間とかもう全てを受け入れるので──それで、良しです。引っ掛からなければGLADIATORからLFAのルートができたので(※LFAフェザー級王者で、2022年8月に敗れた)アライジャ・ジョンズの首を獲りに行こうかと思います。

中村 そうなったとしたら、アライジャ・ジョンズは2年間でこんなに変わるのかっていうことを味わうと思いますよ。

──基準がハッキリしていないですし、本当にUFCは大変です。そのような状態だから、言ってみれば「Road to UFCに出られるよ」詐欺も横行していますし、『話してみるよ』レベルの話に皆がすがってしまうような感じで。

これからの──これからも専大レスリング部同期コンビに期待大

中村 それ、聞きます!!

河名 でも待つだけです。ここは本当に自分のコントロールできる部分ではないので。強くなる……試合の準備をしておくだけです。

──人事を尽くして天命を待つ、マスト選手。そして……。

中村 治癒を待つ、自分です(笑)。

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【Special】河名マスト&中村倫也、2/16 GCS01&2/17 UFC298を振り返る─02─「7の集中力」(マスト)

【写真】取材はまだ冬の装いが必要な下北で行われたものです (C)MMAPLANET

2月16日のGLADIATOR CHALLENGER SERIES01でパン・ジェヒョクを破ってGLADIATORフェザー級のベルトを巻いた河名マストと、同17日(土・現地時間)のUFC298でオクタゴン2戦目=カルロス・ヴェラを下した中村倫也の対談、第2弾。
Text by Manabu Takashima

お蔵入り厳禁。技術と精神の交差点──That’s MMAというファイトを自ら、そして盟友の考察を踏まえて振り返りたい。

<中村倫也&河名マスト対談Part.01はコチラから>


──河名ポジション(笑)。和製マッド・リンドランドかランディ・クートゥアーか。いずれにせよ、グレコローマンレスラーの強味が出るポジションですね。

河名 そこがオアシスなんです。

中村 オアシス(笑)。MMAは砂漠の中でいかにオアシスを見つけることができるのか。自分にとって良い場所を如何に創るのかという勝負ですからね(笑)。

──初回はピンチを脱し、自分のペースに持って来ることもできました。ただ、そこからどうなるかは分からない。2Rはどのように戦おうと思っていましたか。

河名 初回は取られたとは思いました。でも、前の試合では創ることができなかった自分の形……オアシスに辿り着けたので、自分としては行けるという気持ちでした。ポジティブな気持ちで臨めました。

中村 まだ10分あるなかで貰う怖さと比較すると、あの短時間でフィニッシュが近いというところまで創り直すことができたことによるパン・ジェヒョクへのプレッシャーの方が上回ったんじゃないかと。僕も「良しッ!!」となりました。

──結果的に2R以降、パン・ジェヒョクの質量が下がりました。

河名 これは僕の想像ですけど、フィニッシュできる選手ではないので初回にフィニッシュができそうだったのに反撃された。そこに不安を感じてしまうようになったんだと思います。彼がフィニッシュをしてきた選手なら、その感覚があるのであんな風になっていなかったんじゃないかと。彼の戦略にもKOがなかった。でも、初回に倒せるかもというシーンが訪れたことでパン・ジェヒョクが自分のペースを乱したんじゃないかと。

──なるほぉ。本当に勝負の綾とはどこにあるのか、分からないものですね。そして2Rは河名選手が圧倒しました。

河名 クリンチの攻防が続かず、ボディロックテイクダウンで倒せたことが大きかったです。前回の試合ではケージを上手く使われたので八隅さんからも「頭を中に入れて、ケージから離れろ」と言われてきた組手がハマりました。ちゃんとフォールが取れる、背中をつけさせて殴る。動いてきたら自分も動いて、常に安全な場所にいるということが徹底できました。

──3Rはボディロック以前に、ダブルレッグでクリーンテイクダウンを奪うことができました。

中村 僕は3Rばかりか、2Rの中盤でもう勝利を確信できました。

──そうなのですね!! さすがの信頼感です。私は勝つならテイクダウン後、フィニッシュとか狙われなくて抑え込み続けろ──と思っていました(笑)。スタンドに戻されるな、と。

河名 入りの時点ではとにかく何としても、もう1回倒す。そういうつもりでテイクダウンに入りました。2Rの攻撃が効いていたので、パン・ジェヒョクは手首を掴むだとか身を守る動きしかしてこなかったです。スクランブルに来る動作がなかったので、そこは安心して戦えました。あとは「時間よ、過ぎろっ!!」と。

中村 アハハハ。僕的にはサイドバックで削って、最後は仕留めたいのかなっていう感じで視ていました。

河名 仕留められるというプランは僕にはなかったのですが、3Rに入る前に八隅さんから「取るなら肩固めかバックチョーク」という指示はありました。パウンドでTKOできるとは思っていなかったです。

──あれだけ殴っていても!!

河名 そこは自分への不安よりも、パン・ジェヒョクの頑丈さへの不安が上回っていた感じです。

──最後はアレクサンドル・カレリンかという俵返しも見られました。

中村 アレはもう印象付けですよね。あれで背中を見せたパン・ジェヒョクは、心が折れてしまっていましたね。

──そんな河名選手の激勝を見終え、水抜きに入ったであろう中村選手。気持ちは上がりましたか。

中村 12月の試合で打撃は大丈夫だという風に覚悟を持てたとはいえ、その怖さを乗り越えて自分を出す……。格闘家の誰もが目指していて、一番難しいことをやってのけましたよね。マストもマイクで言っていたように「自分を信じてやりきることができた」という姿に力を貰えました。

──良い話ですが、中村倫也には「そんなもん気にせず、寝ていてくれ。他人のことを気にする余裕があって良いのか」という気持ちもあります(笑)。

中村 アハハハハハ。それはそうなんです。試合の1カ月前の自分が、試合直前の自分がこうなっていると分かれば怒っていたと思います。でも、あの時の自分って……なんだろう、自分の選択を信じるだけで。そこに不安を感じると、試合にモロにでてしまうんです。

──凄くリアルです。

中村 もう起きている自分を認める。ここで「寝ないといけない」という風に自分の行動にネガティブになると、試合の動きに影響を与えます。もう自分のやることは全肯定しないといけない時間帯ですね。だからセコンドの中村京一郎と2人で大騒ぎして、喜んでいました。

ただ最初にライブ配信を視始めた瞬間、ヘンリー(三上大智)の相手が急所を抑えているところだったんです。解説が「3度目は……」とか言っていて、「えっ、3回目なの? どんな試合」って(笑)。

──ハハハハハ。では改めて河名選手、パン・ジェヒョクに勝ってどのような気持ちでしたか。

河名 素直に安心、ですね。通過点という認識ではいたのですが、そのチェックポイントを通らないと次には向かえないので。ただ、あの晩は眠れなかったです。勝った興奮とかではなくて、本当に疲れて体が強張ってしまって……。まだスタートラインにすら立っていないのに、こんなにしんどいのって(苦笑)。

──難敵でした。個人的に中村選手がデビュー3戦目でアリアンドロ・カエタノと戦ったような。ただUFCばかりかRoad to UFCも出る権利を得ることは非常に大切ですが、しっかりと力をつけておかないと……上手く立ち回っても、ここから上手く生き残れるのですかという想いもあるので、本当に素晴らしい勝利でした。

河名 ありがとうございます。倫也もそうですけど、UFCで戦っている連中ってどんな想いでやっているのかとか色々と勝ってからも考えました。それで1日空けて倫也の試合があって。試合の時には一晩寝て、友人3人と勝利を祈りながら視ていました(笑)。

──ピンチがあったわけではなく、ほぼ一方的に攻めているようで仕留めきれない面倒な相手でした。結果、マスト選手とパン・ジェヒョク戦のようにディティールが覚えきれていないです。

中村 アハハハハ。

──MMAとグラップリングは違います。ただし、グラップリングにパンチがなくてもグラップリングで有効な技は、グラップリングでの対処方法を知っておかないとMMAは戦えない。同時にカルロス・ヴェラの足関節のエントリーは、グラップリングのように絶対にカカトを抱えに行くのではなくて、やはり殴られないようにという頭がある入りだったかと。上も下も思い切ることができない。そんな歯がゆさを勝手ながら感じてしまって。

中村 ハハハハハ。

──でも倫也選手のカカトが浮くと、ハッとなる。

中村 戦っていて……自分のテーマとしては、とにかく上になったらキープして殴り続ける。8月の試合は隙間を埋めて、そこからゲームを創ろうとしたのですが。やっぱりダメージを与えないとフィニッシュに繋がらないので、そこを見直して──。自分は空間ができても重心をコントロールするのはデキる方なので、その隙間から殴ってダメージを蓄積させる。そして隙間を増やして、どんどん殴る。そういうプランでした。でも……う~ん、体の分厚さという面で体力差がありました。

河名 手足が太いわけじゃないのに、胴骨だけ異常に太い(笑)。力が強いんですよね、そういう選手は。

中村 髙谷(裕之)さんも「あの胸毛は力が強いぞ」って、鼻をクンクンして(笑)。

河名 アハハハハハ。匂いで判別する(笑)。

中村 案の定、強かったです。ATTに行った時に思ったのですが、僕らが知らなくても強いヤツはゴロゴロいる。レスリングの世界でもそうですけど……。だからヴェラのような相手は、練習では思い切りパウンドが打てないので極められてしまいます。そういう感じの相手でした。同時にチームの雰囲気として勝って当たり前、次のために1Rから2Rに終わらせるという雰囲気もありました。そんな雰囲気で迎えてしまったのも、良くなかったです。

──それは取材をさせてもらっている我々の方にも、「今回は勝つでしょう」という空気を纏っていることがあるかと思います。

中村 そこも含めて、打撃の展開になるという予想が偏っていたので、終わらせられるチャンスでピッと体が反応するところまで持って行けなかったです。反省して、改善していきたいと思っています。

河名 もっと打撃の交換があると思っていたのですが、あっさりと寝技の展開になりましたね。相手が寝技にそれだけ自信があったのか。こうなると、ちょっと違う集中力……8や9とかの集中力ではなくて、どこで来るか分からない相手の仕掛けをカットし続けないといけない7ぐらいの集中力をずっと保つ必要がある。そういう集中力が必要な試合でした。

(C)Zuffa/UFC

7の集中力を持続する。

それには、そのポジション……組手に集中力を使う必要があって、バンバン殴れるモノではないですし。パウンドを打つために9、10の集中力を使うと、4に落ちる時間ができるので。

中村 結果として、確かにそういうこともあったかもしれないです。やりにくいというのはMMAPLANETのインタビューで、ヴェラのチームメイトであるタン・リーが言っていた通りです(笑)。

ただ本当にボトムから足関節の展開になるとは思っていなかったです。そこに対する準備は相手が代わったことを差し引いてもなかった。

──逆にそれであれだけ対応できたのですね。

中村 そこは体が覚えていました。野瀬(翔平)選手、風間(敏臣)選手と戦う時に練習してきたことが、たまたま生きました。

──テコンドーと50/50柔術の選手なので、足関節も十分にあり得たかと。

中村 それよりもギロチンでくるかと思っていました。

<この項、続く>


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【Special】河名マスト&中村倫也、2/16 GCS01&2/17 UFC298を振り返る─01─「あっ、ヤバい」(倫也)

【写真】遠近法です(C)MMAPLANET

2月16日、会場非公開で開催されたGLADIATOR CHALLENGER SERIES01でパン・ジェヒョクを破ってGLADIATORフェザー級のベルトを巻いた河名マスト。同17日(土・現地時間)、カリフォルニア州アナハイムのホンダ・センターで行われたUFC298でオクタゴン2戦目=カルロス・ヴェラを下した中村倫也。
Text by Manabu Takashima

それぞれのレスリング人生を歩み、それぞれのMMA道を生きる両者。専修大学同期レスラーコンビが互いの──そして自身の試合を振り返った。


──個人的に倫也選手とマスト選手を同時に取材というのは、2022年1月のFight&Lifeの対談以来になります。

中村 あぁEXFIGHTでやったインタビューですよね。

──そのEXFIGHTという固有名詞を倫也選手の記事で使うことが許されるようになり感無量です(笑)。

河名 アハハハハハ。

中村 本当に皆さんのご理解があって。ご迷惑をお掛けしてばかりなのに、本当にありがとうございます。

──ハハハハ。今回は日本時間で2月16日にマスト選手の試合があり、18日に倫也選手の試合がカリフォルニアであった。計量前日だったと思いますが、倫也選手はマスト選手の試合の方はチェックされたのでしょうか。

中村 夜中にライブで視ていました。結構、時差ボケが酷くて……午前1時半ぐらいから「今日も眠れねぇな」っていう風になっていて。そのまま3時ぐらいになって、あと3時間もすれば水抜きが始まるかっていう時だったんですけど、「もう寝れないんだからしょうがない」っていう気持ちでYouTubeの配信を視ることにしました(笑)。

──本来はしっかりと睡眠をとっている時間だったと。

倫也 ハイ。起きて水抜きをしながら、ディレイでチェックしようと思っていました。で3時ぐらいになっても眠れないのと同時に、『マスト、これから試合か』ってなるとソワソワしてしまって(笑)。なら、もう良いやと思って起きてチェックしました。そうしたらヘンリー(三上大智)の急所蹴りがいきなり映って(笑)。

マスト アハハハハハ。

──戦前の予想はどのようなモノだったのでしょうか。

倫也 勝つ。前回の試合と違って初見ではないので、何度もぶつかるなかでマストが上回っていくというのは、何となく分かっていました。ポイント、ポイントを押さえて勝つことができるとは思っていましたね。

──マスト選手も9月、12月の試合を経て自信は深めているようでした。

河名 ハイ。戦略でいうと前回は足を触ってテイクダウンを狙うとディフェンスされたので、今回は触ったらドライブする。そして背中から落として倒すということでした。レスリングでいえば4Pのテイクダウンを取るという算段です。パン・ジェヒョクにKOパンチはないと踏んで、勇気をもって選択した戦略でした(笑)。

──すると……。

中村 ストレートを打ち抜かれた時、ハッとしました。正面からドンと打たれるシーンはあったのですが、あそこは横から抜かれていたので『あっ、ヤバい』ってなり、凄く怖かったです。

──あの後のGLADIATORの3月3日大会のストップを見ていると、あの試合も止められていても致し方ないかと思いました。

河名 負けた選手が試合後に不満顔を浮かべている時って、あれで止められた時なんでしょうね。一応、意識があるけど殴られ続けているっていう。

──立ち上がった時に、背中を向けたまま殴られた。あそこもストップがあるのかというシーンでした。

中村 色々なことが頭をよぎりました。頑張ってくれるんだろうけど、このまま殴られる試合は視たくないとか。ここから行くんだったら、1分間マジで貰わずに組みつけとか。同時に思いましたね。

河名 あの前に同じ形でワンツーを貰っていて。アレと同じで、入ってつこうとしたら『エッ?』ってなりました。

中村 あぁ、なるほど。

河名 ただ追い打ちがパンチでなく、浴びせ倒しのように倒されたのは助かりました。あそこでもう一発、スコンと貰っていたら本当に終わっていたと思います。背中を向けたのは、相手の片手をワキの下にもってきたかったかたです。

──ウィザーにとろうと。

河名 ハイ。触って、ケージの近くでオーバーフックの態勢に持ち込む。本能的にそう動いていました。片手で殴られるのは仕方ないと。僕は向き合う方が怖かったです。

──結果、正対してオーバーでなくアンダーフックでパン・ジェヒョクの動きを止めることができたかと。

河名 ハイ。とにかくケージに救いを求めていました。あのまま殴られ続けていたので。ただ触っていれば組みには戻せる。力は出ないけど、意識はあったので何とかなる──そんな心理状態でした。

──その言葉通り、シングルレッグで組み直してボディロックでテイクダウンを奪いました。

河名 櫓投げを仕掛けて、投げられまいと戻ってきたところを投げる。相撲でいうと呼び戻し、仏壇返しですね。

──あそこで流れが変わりました。

中村 あの時、真っ直ぐに地面を押すことができていて……パン・ジェヒョクをケージに運ぶときに、ヒザがブレることなく力を真っ直ぐに伝えることができていた。そこで大丈夫だとは思ったんです。にしても、あそこまで反撃するのかって(笑)。あれで『おお、良し良し』と(笑)。

──その後のパウンドから肩固め、マウントへ。パン・ジェヒョクがスクランブルに持ち込もうとすると、オーバーフックで浴びせてからのクリンチアッパー。あのオーバーフックのダーティーボクシングが強力で。会場内では凄い音が響き渡っていました。

河名 これまでクラッチを組んで固めるということに徹底していたのを、パン・ジェヒョクが僕の手を一本取ってくるという組手だったので──顔が空くと殴ろうと思っていました。あえて胸と胸の間に空間を創っていつでも動けるようにして、尚且つ殴れるように。そこはずっと練習をしていて、あの形になると八隅(孝平)さんは『河名ポジション』って叫んでいます(笑)。

中村 アハハハハ。

<この項、続く>



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【Gladiator CS01】河名マスト、1Rのピンチを乗り越えて2・3Rで逆転!判定勝利で王座戴冠

<Gladiatorフェザー級選手権試合/5分3R>
[挑戦者]河名マスト(日本)
Def.3-0:29-28.29-28.29-28.
[王者]パン・ジェヒョク(韓国)

いきなりジェヒョクがワンツー、ジャブで距離を取る。河名は右カーフ、左フックから前に出る。ジェヒョクは距離を取って、ジャブを顔とボディに振ってワンツー。バックステップからジャブを当て、右カーフを蹴る。

河名はダブルレッグでテイクダウンを狙うが、ジェヒョクはケージに身体を預けて立ち上がる。河名が投げでテイクダウンを狙うが、ジェヒョクはすぐ脇を差して立ち上がる。そのまま河名をケージに押し込んでヒジを入れた。

河名はパンチのプレッシャーをかけてシングルレッグに入るが、今度はジェヒョクは小手を巻いて投げを狙い、立ち上がって正対する。距離が離れると河名は左ハイ、ジェヒョクはワンツー、右ストレートを当ててダウンを奪う。河名は背中を見せて立ち上がり、距離を取って離れるが、やや足に力が入っていないか。

それでも河名がシングルレッグで組んで、ジェヒョクをケージに押し込む。四つ組みになると河名がヒザ蹴りから投げでテイクダウンして一気にサイドポジションへ。肩固めを狙うが、ジェヒョクは左腕を差して身体を起こす。河名はそれを小手に巻いてパンチを連打する。

2R、河名はワンツー、左ストレートを当ててダブルレッグからテイクダウンを奪う。サイドで抑え込む河名は細かく鉄槌を落とし、亀になるジェヒョクのボディにヒザ蹴りを入れ、コントロールする。

河名は左手で脇の下からジェヒョクの右手を持って、ジェヒョクの動きを止めて、右手でパンチとヒジを入れる。立ち上がろうとするジェヒョクを寝かせて殴る河名。ジェヒョクが正対して蹴り上げを狙うが、河名は足を振ってパンチを落とし。亀になるジェヒョクにパンチをまとめた。

3R、河名が歩くようなワンツーで前に出て、右腕を差してジェヒョクをケージに押し込む。距離を取るジェヒョクに河名はバックブローを見せる。距離が離れると河名が左フック、ジェヒョクの右ストレートにダブルレッグを合わせてテイクダウンする。

ハーフガードのジェヒョクは左腕を差して体を起こそうとするが、河名は右腕を深く入れて寝かせる。上体を起こしてパンチとヒジを落とす河名。ジェヒョクが亀になるとバックコントロールからパンチを入れ、攻め続ける。

最後は河名が俵返しのようにジェヒョクを豪快に投げ捨て、パンチを連打した。1Rを落とした河名だったが、2・3Rはレスリング力を活かした試合運びでジェヒョクを攻め続け、判定勝利でベルトを巻いた。

試合後、河名は「まず一つ、ベルトを獲っちゃいましたー!相手の元気があるときは厳しい展開になると思っていて、2Rでクリーンテイクダウンできていける、やるしかないと思って戦いました。マイ・ライフ・イズ・リベンジ。僕はRoad to UFCに出たいです。毎日が勝負ですが、今日は勝負をかけないといけない時間に勝負できました。ありがとうございました」と語った。


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【Gladiator CS01】河名マストの挑戦を受けるパン・ジェヒョク「仮面を被っています。もっと危ないヤツ」

【写真】嫌われているのか──と思うほど、無口なパン・ジェヒョク。まさにKorean Quiet Warrior (C)MMAPLANET

本日16日(金)、GLADIATORの新しい試みGLADIATOR CHALLENGER SERIES01「Bang vs Kawana Ⅱ」が開催される。無観客&配信に特化した大会のメインでGLADIATORフライ級王者パン・ジェヒョクが、河名マストの挑戦を受ける。
Text by Manabu Takashima

昨年6月に一度は倒した相手の挑戦を受けるチャンピオンが、自身がどこで、どのような環境で戦うのかをしっかりと見極めていた。そこがパン・ジェヒョクというファイターのクレバーさ。直径7メートルから6.15メートルになる今回の戦いは、アウトストライカー&ディフェンシブレスラーの彼をどのように変えるのか。その言葉から探ってみたい。


──2月16日、河名選手の挑戦を受けて初防戦を行うことが決まりました。このオファーが届いた時は、どのような気持ちでしたか(※取材は1月18日に行われた)。

「9月にチャンピオンになった後、2カ月後から試合をしたいと思っていましたが、この時期に試合ができることはちょうど良いと思いました。個人的には同じ相手と戦うことは好きではないですが、GLADIATORは河名選手をプッシュしているんだなと思いました」

──つまり河名選手のための選手権試合だと?

「そこまでは思わないですけど、河名選手はGLADIATORでたくさん戦っていますし団体が彼を認めているんだなと」

──河名選手もそうですが、この時期にベルトが欲しいと思っている日本人選手の多くがRoad to UFCを狙っています。ベルトを巻いているパン・ジェヒョク選手は今後のキャリアをどのように考えているのでしょうか。

「RIZINで戦いたいと思っていますが、実現していません。当然Road to UFCやUFCという話があれば良いですし、GLADIATORのタイトルホルダーとして他の団体に挑戦したい気持ちです」

──そのためにも大切な初防衛戦となりますが、改めて河名選手の印象を教えていただけますか。

「前に戦った選手はワンディメンションなレスラーでしたが、それからどんどん打撃が上手くなってウェルラウンダーになっていると思います」

──河名選手はパン・ジェヒョク選手に対して、前回の試合後に腰が柔らかくてテイクダウン防御力が高い。苦手なタイプの選手だと言っていました。

「しっかりと自分のことを評価してもらって、感謝します。パンクラスでもワンディメンションな透暉鷹選手と戦った時も、自分をテイクダウンするのに苦労していました。あの時も圧を掛けて、彼を苦しめることができました。自分自身でも、レスリングはそこそこできると思っています」

──ところで河名選手の12月の試合もチェックされたと思いますが、どのような感想を持ちましたか。

「9月のユン・ダウォン戦を見ても、パンチにパワーを乗せることができるようになってきたと思います。12月のチハヤフル・ズッキーニョス戦は打撃を自信を持っているように感じました。ただ彼が打撃を怖がらなくなっているのであれば、打撃戦にも応じてくるでしょう。そうなると、カウンターを決める場面も増えますね」

──やはりパン・ジェヒョク戦の打撃は、カウンターが一番の武器だと。

「自分の打撃は2つの武器があります。カウンターと、プレッシャーをかけて攻め続けること。この2つの攻撃パターンで攻めようと思います」

──パン・ジェヒョク選手の打撃の圧。河名選手のレスリングの圧。そこが鍵を握りそうなファイトです。

「河名選手が打撃戦が構わなくなっているように、自分もレスリングになっても大丈夫だと思えるだけ練習をしています。次の試合では防御だけでなく、攻めるレスリングを見せることができると思います。それだけ練習してきましたし、だからこそ打撃、レスリングだけでなく柔術も含め全局面で戦えるので河名選手もしっかりと気を付けて戦うことをおススメします」

──今回、無観客での試合になりますが、そのような環境をどのように思っていますか。

「またパンクラスの時の話になってしまいますが、背が高い選手と戦った時(亀井晨介戦)に自分のヒットには会場は静かなままで、相手の拳が届いただけで大きな声援が挙がっていました。あの環境は審判の判断を誤らせると思います。だから無観客は自分にとって有利に働くと思います。

それにジムで練習している時のような楽な気持ちで戦えるんじゃないかと思って、楽しみにしています。ケージが少し小さくなることもポジティブに考えています。本来は広さを使ったファイトを得意としていますが、ケージが小さくなるなら、それだけ圧力がかけやすくなるのでインファイトもしやすくなりますね」

──ところで、自分が韓国人選手をインタビューした時には『男として──』という様な威勢の良い言葉が聞かれることが多いのですが、パン・ジェヒョク選手はいつも本当に落ち着いた返答ですね。

「まだ仮面を被っています(笑)。本当はもっと危ないヤツだと思いますが、試合前は冷静でいたいです。それに日本のファンの人達も、そういうキャラは望んでいないと思います。ファンの皆さんの志向に合わせています(微笑)」

■視聴方法(予定)
2月16日(金)
午後6時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■ Gladiator CS01計量結果

<Gladiatorフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者]パン・ジェヒョク:65.75キロ
[挑戦者]河名マスト:65.65キロ

<Progressフォークスタイルグラップリング・フェザー級王座決定戦/5分3R>
竹本啓哉:65.8キロ
竹内稔:65.4キロ

<ミドル級/5分3R>
三上ヘンリー大智:84.2キロ
アン・ジェヨン:84.1キロ

<Progressフォークスタイルグラップリング88キロ契約/5分2R>
グラント・ボクダノフ:84.0キロ
大嶋聡承:86.0キロ

<Gladiatorフライ級王座決定T準々決勝/5分3R>
和田教良:57.0キロ
チェ・ドンフン:56.6キロ

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【Gladiator CS01】ラスト侍に訊く、剣道とMMA。三上ヘンリー大智─02─「打って勝つな、勝って打て」

【写真】計量台でポージング。剣道、武道について話してもらいましたが、ヘンリーはプロフェッショナルMMAファイターです (C)MMAPLANET

16日(金)、配信に特化して開催されるGLADIATOR CHALLENGER SERIES01「Bang vs Kawana Ⅱ」で、アン・ジェヨンと対戦する三上ヘンリー大智インタビュー後編。
Text by Manabu Takashima

高校、大学と剣道で活躍した三上は、その剣道家生活で体に摺り込まれた武の理が、MMAで生きると断言した。表面上の動き、そして内面。武道でありながら競技のある武器術と、無手のコンバットスポーツであるMMAの共通点とは──。

目の前の相手に勝つ競技を戦いながら、戦いの本質がその身にある三上ヘンリー大智──彼以外のMMAは決して口にできないであろう──数々の心理が聞かれた。

<三上ヘンリー大智インタビューPart.01はコチラから>


――個人的にヘンリー選手に以前から伺いたかったことなのですが、剣道がMMAに生きることはあるのでしょうか。

「メチャクチャあります」

――おお。ぜひとも詳しくお聞かせください。素手と武器術は間合いから違ってくると思いますし、どのようにMMAに落としこむことができるのか。同じ剣術でも、前後運動だけのフェンシングよりも、剣道の方がリンクするのではないかと。それぐらいの感覚でしかないので、とても興味深いです。

「色々な要素があり過ぎて、伝えることは難しいのですが……。重量級という立場で言わせてもらうと、剣道は無差別なので凄くすばしっこいヤツ、大きくて一発はあるけどノソソノしたヤツとやろうがルールは全て同じです。状況も全て同じです。そのなかで三本勝負なので、パワーで押せないというのがあります。

スピードに対応しないといけない。小さい人と稽古しているときも、その速さについていかないといけないんです。そうなると大きかろうが、小さかろうが足さばきは必然の要素になってきます。だからいわゆるキックボクサーのゆっさゆっさした動きにはならないんですよ。

前後移動、左右移動ともに重心を一定にして、上下させるのは相手の攻撃を避けるにしても、攻撃を当てるにしても、技の起こりがなかなか見えないので。僕に関して言うと『ここで当たる』という場所に留まらない。『ここには当たらないだろう』という時に当たる。そのような動きが可能になると思います。

あと……一番大きい所は間合いなのかと思います。剣道をやっている時に口を酸っぱくして言われたのが、『打って勝つな、勝って打て』ということなんです。その部分での間合いとか気構え、相手の起こりを捕らえることだとか。あるいはわざと起こりを見せて、相手を誘って打つとか。その辺りの心理的な駆け引きに関して言うと、他のスポーツ……例えばボクシングと違ってダメージを受けずに訓練ができるので、何度失敗してもその訓練ができるのが剣道の特徴ですね。

ボクシングだと打たれ、ディフェンス力がついてくるじゃないですか。でも、その時には打たれ弱くなってしまうかもしれない。でも剣道はそういうことなしで、模擬戦を何度でもできる。そこが違ってくるのかと」

――武道は競技化すると勝利を目的とした技術が発展し、結果スポーツとしてフィジカルの優れた者が有利になります。ただ竹刀があり、防具があることで剣術ではないですが、剣道として武道性は残りやすいのでしょうか。

「自分のなかでは……『これは、そうなんじゃないかな』ということがあります。対人競技で相手と、体の中心が近ければ近いほどパワーの勝負になる。それが離れれば離れるほど、技術の勝負になる。だから弓道は的を狙うものですけど、体格とか関係ないじゃないですか。弓を弾く力は必要でも、的の中心を射るという点においては体の大きさは関係ない。

剣道よりも槍の方が間合いが遠いから、より技術の勝負になる。剣道には鍔迫り合いという近距離での間合いでいなしたりとかするから。空手の場合は競技化すると、突きの距離になるので、竹刀がある剣道とは理屈が変わってくる。そうなってくると、空手は技術の側面が失われるのかもしれないですね。

最初から組んでいる武道、競技は話が違ってくるとは思いますけど。剣道は一つ棒を持つことで、武術の本質に触れられる。でも剣道をやっている時は、そんなことは全然考えていなかったです。振りのスピードとか、足を速く動かした方が勝てるだろうと思っていて」

――つまり西洋スポーツ化した思考だったのですね。

「ハイ。でも剣道を離れてMMAを始めると、『ヘンリーって、こういうところが凄いね』と指摘された動きは、剣道の動きで。意識をしていなかったのですが、そこで初めて『剣道のこういうところが生きるんだ』って気づいたんです。それこそ無意識に摺りこまれていたんでしょうね」

――剣道の動きよりも、剣道の理がMMAに生きる?

「その通りですね。だから組み技でも生きるんですよ。剣道は面を取りたかったら、小手を攻めろというのがあって。小手を取りたかったら、面を攻めろと。それは柔術も同じで。腕十字を取りたかったら、三角を見せて腕十字だとか。マウントを取りたかったら、腕を攻めに行くとか。

ボクシングもそうで。ジャブを見せて、ボディとか。虚実――そこらへんが全て、つながっているんじゃないですかね」

――虚実を織り交ぜた動きが、体に摺りこまれている。そこがMMAで有利に働く?

「それはあると思います。それは自分に剣道を指導してくれた先生のおかげです。高校の時(東海大学付属第四高等学校※現東海大学付属札幌高等学校)の古川和男先生が、その場で勝つための剣道を教えているような先生だったら、こういうような考え方には恐らくなっていなかったと思います。

『こういう風に打て』、『こうやれ』、『ああやれ』という指導だったら、こうやったら当たるというので終わってしまって表面上のことしか理解できていなかった。『勝って打て』──意味分かんねぇってなるんですけど、悩みながらやっていくなかで自分の心に刻まれたんじゃないかなって。それが先生の指導力の賜物だと思います」

──自分の間になっているから、勝っていると。

「ハイ。打つから勝つのではなくて。そういう内面的なこともありますし、さきほど話した足さばきや重心のこともあります。私はエレベーターがあるところは階段でなくエレベーターに乗るようにしています。坂道は重心移動として平気なのですが、階段は本来の重心移動ではないので気持ち悪くて。もう、そういう体になっているのだと思います。

表面的には他にも相手のスピードについてくために、足さばきは磨かれました。それと私は特殊で、中段から上段にスタイルを変えたんですよ。中段と上段って足の向きが逆なので、だからスイッチを使える側面もあって。そこは凄く大きかったかなって思います。

あと中段だと剣先が触れて、『ここなら攻められる』という風に勝負ができるのですが、上段の場合は竹刀同士の触れずに間合いを測らなければならなくて。本当に空間を目で見て、心で認識しないといけないんです。『今、勝っているのか』、『打って良いのか』ということを。そこもMMAに凄く生きています」

──実は以前からヘンリー選手の剣道の動画を見せてもらっていて。とにかく長身を生かして上段の構えから面を打って勝つ。その踏込みなどがMMAに生きるのかどうか、そこが気になっていたのですが……ここまで深い話を聞かせていただけるとは。

「勝つまでの行程が色々とあって、良いのを打ったなというのは相手の気を殺しているというか──間合いを盗んでいる。何よりも自分が攻めている状態で打っています。自分が攻められている状態で打っても一本にならないですし、相手に防がれます。MMAも同じなんじゃないかと」

──まさに武術的な重心の話ですね。

「ハイ、心のバランスです。同じことをしても、守っている時は全く通じないです」

──いや、参りました。それほどまで武の理を理解しているMMAファイターはいないかと。

「でも世界のトップレベルの選手って、スポーツをやっていてもそこに行き着いていると思います。メイウェザーとかも。海外の人達からは、日本の武術は凄いと思われがちですけどトップに行く人は押しなべて皆、同じようなエリア……ゾーンに足を踏みいれていると思います」

──押忍、本当に興味深い話をありがとうございます。今回の試合を終えると、ヘンリー選手はどのようなキャリアアップを考えているのでしょうか。

「そうですね、やるからにはトップを目指していきたいです。今はたまたま格闘技に心血を注いでいる状態なのですが、皆が『努力は実を結ばない』とか考えがちになります。でも私の中では……変な風に聞こえるかもしれないですけど、来世まで自分の努力や頑張ったことは引き継がれると思っています。現役選手生活が輝かしいキャリアにならなかったとしても、そこは諦めずに絶対に来世で花が咲くぐらいの勢いでMMAを頑張っていきたいと思っています。

目指すところは……名前を出して良いか分からないけど、UFCチャンピオンになること。でも、それが叶わなくても自分のやっていることに誇りを持ちたいと思うので、とにかく目の前の一戦・一戦を全力で戦うだけです」

──自分のやっていることに誇りを持つためには、ケージのなかから何を見せないといけないでしょうか。

「う~ん、そこはもう勝手に出てくるものだと思っていて。自分で表さないといけないと考えた時点で、なんか嘘になっちゃうかなって。自分が表現したいから、表現することって本当に自分の本質なのかなって思うんですよ。さっき、前回の試合で無意識になったと話したようにアレが自分を表せている。無意識の状態で、何も考えずに勝手に出てきたものが自分自身だし──。

一つ言えることは、相手に敬意を払うこと。勝っても負けても、相手に敬意を払うこと。多分、自分と同じだけ努力をしているだろうし、負けたくてケージの中に入っていく人はいないと思うから。勝っても負けての相手に敬意を払うこと。そこだけなのかと。勝った後の立ち振る舞い、負けた後の立ち振る舞いに自分のMMA道が出てくるのかなって思いますね」


■視聴方法(予定)
2月16日(金)
午後6時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■ Gladiator CS01計量結果

<Gladiatorフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者]パン・ジェヒョク:65.75キロ
[挑戦者]河名マスト:65.65キロ

<Progressフォークスタイルグラップリング・フェザー級王座決定戦/5分3R>
竹本啓哉:65.8キロ
竹内稔:65.4キロ

<ミドル級/5分3R>
三上ヘンリー大智:84.2キロ
アン・ジェヨン:84.1キロ

<Progressフォークスタイルグラップリング88キロ契約/5分2R>
グラント・ボクダノフ:84.0キロ
大嶋聡承:86.0キロ

<Gladiatorフライ級王座決定T準々決勝/5分3R>
和田教良:57.0キロ
チェ・ドンフン:56.6キロ

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45 AB Gladiator Gladiator Challenger Series01 LFA MMA MMAPLANET o Progress YouTube   アン・ジェヨン エド・ソアレス グラント・ボクダノフ ダナ・ホワイト チェ・ドンフン チャンネル パン・ジェヒョク 三上ヘンリー大智 和田教良 大嶋聡承 河名マスト 竹内稔 竹本啓哉 長谷川賢

【Gladiator CS01】計量終了 河名マスト「最後の300グラムが……」。ヘンリーはLFA ソアレスCEOと談笑

【写真】エド・ソアレスCEOを見て、「あのダナ・ホワイトみたいな人は誰ですか?」と、和田。PROGRESS長谷川賢代表の「記事ぐらい読んでくださいよ」という返答に 「チェ・ドンフン以外、目に入っていないので」と目をギラギラさせていた(C)MMAPLANET

15日(木)、明日16日(金)に会場非公開&配信に特化して実施されるGLADIATOR CHALLENGER SERIES01「Bang vs Kawana Ⅱ」の計量が港区の10kolで行われた。
Text by Manabu Takashima

いわゆるアンダーカード無し、MMAとグラップリングが5試合凝縮された新しい試みは全5試合出場10選手全員が計量をクリアした。


ギリギリ度合いが伺える和田教良と9キロの減量を完成させたチェ・ドンフンは、3試合勝利を手にした後に腰に巻かれるベルトを挟んでフェイスオフ。

88キロ級契約で大嶋聡承との組み技マッチに臨むグラント・ボクダノフは、ウェルター級のMMAで戦う時よりも明らかに大きなフレームを維持していた。

その両者、フェイスオフでも笑顔で言葉を交わしていた。

また第3試合のミドル級でアン・ジェヨンと戦う三上ヘンリー大智は、今大会の視察に訪れたLFAエド・ソアレスCEOとポルトガル語で話し「LFAでブラジル大会へ」という魅力的な誘いにも、「今は明日の試合に集中します」と返答。

ソアレスCEOは「これこそ、私が求めるファイター像だ」と感心しきりだった。

Gladiatorの減量といえば、苦戦がいつも伝わってくるのが竹本啓哉だ。

その竹本はコメインでProgressフォークスタイルグラップリング・フェザー級王座を賭けて竹内稔と相対するが、MMAより1階級上の体重リミットにも「設定をそこにして落としてきた」ということで、やはり減量は苦し気であった。

メインでパン・ジェヒョクの持つGLADIATORフェザー級王座に挑む河名マストは、本来は最初に体重を測る予定だったが、全5試合とルールミーティングが終わった頃に会場に姿を現して、パス。

「残り300グラムを落とすのにチョット苦労しました」と苦笑いを見せていた。

■視聴方法(予定)
2月16日(金)
午後6時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■ Gladiator CS01計量結果

<Gladiatorフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者]パン・ジェヒョク:65.75キロ
[挑戦者]河名マスト:65.65キロ

<Progressフォークスタイルグラップリング・フェザー級王座決定戦/5分3R>
竹本啓哉:65.8キロ
竹内稔:65.4キロ

<ミドル級/5分3R>
三上ヘンリー大智:84.2キロ
アン・ジェヨン:84.1キロ

<Progressフォークスタイルグラップリング88キロ契約/5分2R>
グラント・ボクダノフ:84.0キロ
大嶋聡承:86.0キロ

<Gladiatorフライ級王座決定T準々決勝/5分3R>
和田教良:57.0キロ
チェ・ドンフン:56.6キロ

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【Gladiator CS01】竹内稔戦で二冠を目指す竹本啓哉─02─「プログレスに強い選手が出て来るキッカケに」

>【写真】グラジのベルトを奪還して以降、竹本の意識は確実に変化している(C)SHOJIRO KAMEIKE

16日(金)、配信に特化して開催されるGLADIATOR CHALLENGER SERIES01「Bang vs Kawana Ⅱ」で、竹内稔とPROGRESSフェザー級王座を賭けて戦う竹本啓哉のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

紆余曲折を経て、当初の発表どおり「ミスター・アナコンダ」竹内稔とのフォークスタイルグラップリング戦に臨むこととなった竹本。グラジエイター王座との二冠を賭けた一戦への意気込みを語る。

<竹本啓哉インタビューPart.01はコチラから>


――GLADIATOR CSは配信に特化したイベントで、無観客で行われます。その点についてはいかがですか。

「嬉しいです。僕も今まで経験がないことに挑戦したくて。無観客の中で試合をすると、どうなるのか――これって選手の性格も出ると思うんですよね。僕自身はどうなるか分かりませんが、最初に竹内戦が決まってから、すごく楽しみにしています。自分でチケットを売ることがないのも楽ですし。もちろん配信を視てほしいので、その案内はしますけど」

――では竹内戦に関するお話の前に、改めて2023年は竹本選手にとってどのような1年でしたか。

「自分にとっては『立て直すことができた1年』だったと思います。初めて1年に2試合も国際戦をやりましたし、初めてのコンバット柔術も楽しかったです。新しい刺激が多くて、かつベルトを巻きなおしたことで、自分を立て直すことができた1年だったと思います」

――ベルトがあると無いとでは、新年を迎えた時の気持ちも違うかと思います。

「もちろん気持ち良く新年を迎えられた部分もありますが、せっかくベルトを獲得したのに――12月の大会で勝った竹中大地選手と上久保周哉選手には見向きもされていませんでした。『眼中にないじゃん……』って、ちょっと心に引っかかっています。だから今年は、竹中選手と上久保選手だけじゃなく、多くの人たちに『グラジのベルトは、これだけの価値があるんだよ』と知らしめていきたいです」

――竹中選手と上久保選手がグラジのケージで、グラジ王者との対戦を希望しなかった点については気になりますか。

「少し傷つきましたね(笑)。僕は強さには興味があるけど、それほど有名になりたいという気持ちはなくて。でもあんなに見向きもされないと、『そうじゃない。このベルトはもっと価値があるんだ』と言いたくなります。僕のことよりも、もっとグラジという大会とベルトに対する認識を高めるために、僕自身も実績を上げる必要があるなって思いました。

さっきも言ったとおり、現役の間にもっともっと強い相手と試合がしたいです。次の相手、竹内選手もグラップリング界では本当に強い相手で。それにしても、最近は竹が絡む選手が多いですね」

――竹中選手、竹内選手と同じカルペディエム三田の竹浦正起選手、そして竹本選手と。

「ここまで竹が多いと、もう竹林ですね(笑)」

――……。

「すみません、余計なことを言いました(苦笑)」

――アハハハ。話を戻すと、これまで竹内選手との絡みはないですよね。

「ないです。自分の周りでいえば去年、アマゾン先生(白木アマゾン大輔)にアナコンダを極めていましたよね。今までの試合について調べたら、本当にギロチンやアナコンダで勝っている試合が多いじゃないですか。ADCC予選も6試合中4回アナコンダを極めていて――とんでもない選手ですよ。その竹内選手とグラップリングで試合をするのは、MMAとは違う緊張感があります」

――MMA以外の試合としては、昨年1月にプログレスのコンバット柔術ルールで江木伸成選手を下しています。打撃のないグラップリングルールの試合は、いつ以来でしょうか。

「一昨年の11月、TOKKUMI(3対3のグラップリング団体戦)ですね。チームカルペディエム名古屋で出場して、2試合がドローで1試合はヒザ十字で勝ちました。グラップリングマッチは自分にとって里帰りみたいな気持ちもあって。何より竹内選手との試合って、異次元対決のような感じなんですよ」

――異次元、ですか。

「自分でも、どんな試合になるか分からないです。えぇ、どうなるんだろう? 自分が普通に勝っちゃう気もしますし、反対にあっさりとアナコンダを極められてしまうかもしれないし……展開が予想しにくい試合ですね。

だって、ADCC予選で準優勝ですから。今のADCCはスタンドレスリングが強い選手が勝つと聞いていたのに、そんななかでアナコンダをバンバン極めていて。完全に我が道を往く『アナコンダ・モンスター』じゃないですか」

――テムーレン戦はシングルレッグで組むことができました。しかし、それは竹本選手がジャブで崩してから入るというMMAならではのお話で。ではフォークスタイルグラップリングだと、どう崩していくのか。

「インサイドで組むシングルレッグだと、相手もアナコンダは極めにくいと思いますけど……、どうなるんでしょうね。安易に組むとアナコンダが待っているので怖いです(苦笑)」

――どうなるのか、それはご自身で試してみるのが一番です。

「自分から極められに行きませんよ! あのアナコンダがあるので、否が応でも慎重になりますよね。きっと形に入られたら一発で極まっちゃいますから。かといって失点もしたくないので、自分から下になるのも嫌ですし。

いずれにしても、どちらが早く自分の得意な形に持ち込むかっていう勝負になりますよね。僕が竹内選手のアナコンダを警戒しすぎて、ただ時間が過ぎていく展開も嫌じゃないですか。アナコンダを食らわないためには、まず自分がテイクダウンに行かなければ良いわけですけど、今までテイクダウンを狙わなかったことがなくて(笑)。

せっかく竹内選手とグラップリングで戦う良い機会だから――という気持ちは、なくはないです。竹内選手のアナコンダって、どれくらい凄いんだろうって楽しみでもありますし。自分も一本を狙いたい。でも試合だから、勝ちに徹したい気持ちもあって。とにかく対策だけはしっかりして、あとは試合展開次第というところですね」

――この試合に勝てば、グラジとプログレスの二冠王者となります。

「二冠王者になったら、防衛戦が大変そうですよね(笑)。でも竹内選手と対戦できるのも、グラジのベルトを巻いたおかげです。今回は自分がチャンピオンになることで、プログレスにも強い選手がどんどん出て来るキッカケになるよう、必ず勝ちます!」

■視聴方法(予定)
2月16日(金)
午後6時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■ Gladiator CS01対戦カード

<Gladiatorフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者]パン・ジェヒョク(韓国)
[挑戦者]河名マスト(日本)

<Progressフォークスタイルグラップリング・フェザー級王座決定戦/5分3R>
竹本啓哉(日本)
竹内稔(日本)

<ミドル級/5分3R>
三上ヘンリー大智(日本)
アン・ジェヨン(韓国)

<Progressフォークスタイルグラップリング88キロ契約/5分2R>
グラント・ボクダノフ(日本)
大嶋聡承(日本)

<Gladiatorフライ級王座決定T準々決勝/5分3R>
和田教良(日本)
チェ・ドンフン(韓国)

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【Gladiator CS01】Road to RTU=パン・ジェヒョクに挑戦、河名マスト「結局、恐怖って自分で創るモノ」

【写真】練習とキッズの指導の合間、バッテラと団子でエネルギー補給をしていた河名 (C)MMAPLANET

16日(金)、配信に特化して開催されるGLADIATOR CHALLENGER SERIES01「Bang vs Kawana Ⅱ」。そのメインで河名マストが、パン・ジェヒョクの持つGLADIATORフェザー級のベルトに挑戦する。
Text by Manabu Takashima

昨年6月に同王座決定トーナメント準決勝で一度は敗れた相手に、再び挑む。この8月の間に河名はどれだけ成長できているのか。もちろん、当日のコンディションは試合を左右する。そこを踏まえて、この試合はこの8カ月間の成長合戦だ。9月のユン・ダウォン戦、12月のチハヤフル・ズッキーニョス戦と実戦を重ねてきた河名は、あれからどれだ強くなっているのか。

UFCという目標を目指し、Road to UFC出場を狙う河名にとって、もう絶対に負けられない一戦に向けて──の心境を尋ねた。


──2月16日にパン・ジェヒョクとの再戦、タイトル挑戦が決まりました。オファーがあった時はどのような気持ちでしたか。

「即、やりたいと返事しました。やっぱり3月、4月にRoad to UFCのメンバーが決まる。その前にベルトを獲るチャンスがあるのは、僕にとって最高にラッキーだと思いました」

──つまりは誰と戦うというよりは、ベルトが大切だと。

「そうですね。僕にとってはベルトが懸かった試合ということが大切です」

──そうなると、もっと獲りやすいベルトもあったかと思います。ベルトの価値云々でなく、日本の団体のベルトなら、チャンピオンがパン・ジェヒョクより獲りやすい相手もいるだろうと。

「そこはやっぱりGLADIATORの王座決定トーナメントでベルトを獲ってから、臨む。そういう気持ちだったのが夢破れて、そこで終わったと思ったら、また拾い上げてもらった。あの借りはしっかりと返さないとなって思います」

──拾い上げてもらった……2度目のチャンスを手にできるための9月、そして12月のマッチメイクだったというのが偽らざる想いです(笑)。

「ハイ(笑)。9月は自分でもタイトルマッチとは言い切れなかったですけど、12月はしっかりと勝って逆に僕以外にタイトルに挑戦できる選手はいないというのは自分のなかにありました」

──ではGLADIATORのナンバーシリーズだと3月3日でしたが、CHALLENGER SERIESという新たな大会がスタートしたことで3週間弱早く挑戦できる。ここはどのように捉えていますか。

「時期は決められたところで戦うものなので、変わりはないです。ただ2週間早くベルトを獲る。そのことがRoad to UFCに出ることで優位に働くかもしれないので、早く決まるなら決まった方が良いです」

──6月から8カ月、一度敗れた相手と戦うことに向けて、この間にどれだけ成長できたと感じ取れる部分がありますか。

「多分……テクニックとかフィジカルは大して変わっていないと思います。パン・ジェヒョク戦とユン・ダウォン戦は自分のなかで1Rは相手の怖さを払拭するためのラウンドでした。パン・ジェヒョク戦は相手のパンチがどれだけ効くのか、自分のテイクダウンがどれだけできるのか──みたいなのがあって、1Rからいくことができなかったです。怖くていけなかった。そういう部分もあったので。

ユン・ダウォン戦は、組んでからの相手の極めという違った恐怖がありました。だから最初はいけなかった。2Rもいき切れてないです。そんな試合を勝てたことは大きかったのですが、恐怖を抱えていました。そこは12月のチハヤフル・ズッキーニョス戦で、怖い自分、恐怖する自分に克つ。最初からどんどん行こうという気持ちでいけたので、その試合の流れでガンガン初回からいければと思っています」

──ズッキーニョス戦でデキたことは、パン・ジェヒョクにもできる?

「もちろん、できないです。それに、エラーが起きるかもしれない。前回は1Rの最初のテイクダウンの攻防でエラーが起きて、打撃のやり取りになったら自分も死にはしないけど、かといっていく勇気もない。心が右往左往していたのが、チハヤフル戦で迷わずにいくしかないでしょっていう気持ちで自分を律することができた。そこは今回の試合でも出せるかと思います」

──初回をマスト選手が怖がっているとは思っていなかったです。それは怖いままで終わらずに挽回していったからです。初回で怖かったことが、2Rから変わることができるメンタルというのも凄まじいと思います。

「このパンチだったら死なない。KOされないと1Rで感じる。それを見ちゃうからいけないというのもあれば、そこで安心できるから2、3Rでいけるというのはありますね」

──このパンチだと死んでしまう……そういうパンチだったら、どうなるのでしょうか。

「その時は、その時です。アハハハハハハ」

──そこですね。マスト選手は中村倫也選手の自然児振りと比較すると、至極真っ当な人間かと思っていたら──なんのそのというところがあります(笑)。レスリング時代もそのような性格だったのですか。

「レスリングの時は社会人になってU23で世界一に一度なれました。どっちかというと追われる立場で。もちろん自分も追わないといけない立場だけど、大学生や若い選手が出てくるなかでポイントを取られると、そこをビビっちゃうというか……会社に所属しているから、会社の人間としてどうにかしないといけない。そういう変な、抱えないで良いプレッシャーを感じていました。

MMAになってからは、そこを気にせず。自分が生活していくためにやらないといけないし、自分自身のために戦うということをより感じるようになったというのはあります」

──それで割り切れるということなら、根本として強い人間ではないかと。

「そうですね、LFAで(アライジャ)ジョンズと戦った時もやられて怖いけど、死なないから1Rでケージに吹っ飛ばされた時も『こんなことするために日本から来たんじゃねぇ』と思っていけた。そういうところは、あると思います(笑)」

──2度目の対戦だから、パンチの威力は知っている。だから初回からいけるのか、ズッキーニョス戦でいけたからいけるのか。どちらでしょうか。

「両方です。何も知らない状態で打撃の交換を前回はしました。今回はこういう感じで来るということは想定できます。逆に自分のテイクダウンをどれだけ切ることができるのかも想定できるから、そこはある種怖さでもあります。そこが自分のなかで整理ができているので、加えてチハヤフル戦でいけたことが自信になっている。その2つを合わせて1Rからドンドンいけるんじゃないかというのはあります」

──では改めてパン・ジェヒョクの一番の強味はどこだと捉えていますか。

「とにかくアウトができることです。当てて離れて、当てて離れてを繰り返してポイントで勝ち切れる。その強さと、同時にポイントゲームで勝とうとするから拮抗した試合になるという脆さもあります。でも、そこで勝ち切れる強さを持っています」

──そんなパン・ジェヒョクを切り崩すポイントというのは?

「前回は1と2を取られて、3からいけた。それを1からいければ、1と2でも1と3でも取れれば良いし、あわよくば自分の形に持っていってフィニッシュする。それができれば相手のポイント計算が崩れるというのがあります。

結局、恐怖って自分で創るモノじゃないですか。ああされたらどうしよう、こうされたらどうしようと思うことで。そこを払拭する。チハヤフル戦では最初に右ミドルをバチンと蹴ることができたことで僕のなかの恐怖が払拭されました。そこが一つ。組む前に僕のなかで壁が一つ乗り越えることができたので、今回は自分が恐怖を感じるどの壁を乗り越えないといけないとのかという部分を、映像を視て設定していく必要があります」

──6、9、12、2月と試合が続く。これだけ試合が続いて、対策練習ではなく個として強くなれる部分はどれだけ積み上げることができたと思いますか。

「やっていることは、そんなに変わっていないと思います。そのなかでEXFIGHTの髙谷(裕之)さんと倫也のセコンドに就くことで繋がらせてもらって。『結局、MMAは最初は絶対に打撃をやらないといけないから、その覚悟を持って構えないといけない』と言ってもらえて。そういう部分が摂取できたのは、自分のなかで大きいです。髙谷さんとの打撃練習は対策練習ではなかったですし。

それに僕は何もないところからMMAを始めたので、何をやっても積み上げ練習になります。クラスに出て会員さんとの練習で引き込んで返す。それだけも自分の底上げになっていると思います」

──ロータスで一般クラスを請け負っている北岡選手のクラスに出ることも、底上げになるわけですね。

「もちろんです。それこそ寝技という部分では、細かい部分の修得度が低いです。MMAだと組手の途中でレスリングにしてしまえば良いから……見慣れている景色にすれば良いです。でも、そうならない時とか……そうするまでの流れのなかで、見慣れていない景色も見ないといけない。そういう意味では、テクニックだとか寝技でいう基本の部分はできていないと思っています。

だからこそ北岡さんのクラスで一般会員さんと一緒に習っていることが、僕にとって底上げになっています。やっぱり、中身のない引き出しは出せないと思うので。いつ開けることができるかは別として、引き出しはたくさん用意しておく方が良いと思っています」

──少し話が違いますが、最近では打撃のトップ選手がMMAに転じることが増えました。彼らはMMAをやり過ぎると、本来の打撃が弱くなるという話もしています。その点、レスリングに関してはMMAをやり込むと本来持つレスリングが弱くなることはあるのでしょうか。

「僕は、それはないと思っています。どっちも強くなる。やっぱり性質が違いますし。レスリングは倒した時点で攻め手と守りが確定して、そこから攻防が始まります。MMAはそうじゃない。流れが途切れないので、グラップリングやMMAの距離感で大学のレスリング部で練習をすると『やり辛くなった』と言われることもあります。

ザ・ピュアレスの組手を大学で摂取してMMAに戻ったら、見慣れている景色をもう一度確認してきたので、打撃とどういう風に組み合わせようかと組み立てることができます。打撃が入る角度が、テイクダウンに入る角度と同じだとか、リンクする部分は本当にあります」

──次の試合、ケージの直径は6.15メートル。従来は7メートルなのか。この85センチの違い、どのように影響を与えると思いますか。

「ケージレスリングは確実にやりやすくなります。自分が壁に押し込もうとしているのをパン・ジェヒョクがどうカットしてくるのか。そこはアドリブの部分なので、試合にならないと分からないです。その時はその時です。アハハハハハ」

──やはり、そこですね(笑)。ところで、まだRoad to UFCの決勝が終わっていないからか(※取材は1月16日に行われた)、次回Road to UFCの話が伝わってこないです。

「僕の耳にも入ってこないです。でも、そこもなるようにしかならない。僕がどうにかできるものではないので。ここに勝っても絶対ではない。とはいえ勝たないと話にならない。まずは勝つために自分のやれることをやらないといけない。そう簡単にフィニッシュさせてくれる選手ではないので、そこの我慢比べは……ケージが小さくなったからこそ互いの我慢比べの度合が大きくなると思います。だから絶対に退かない。休憩させない。諦めるまで追い続けられればなと思います」

──その覚悟でデキているということですね。今日はありがとうございました。では最後に意気込みの方を宜しくお願いします。

「UFCに行くために絶対に勝ちます。僕のRoad to Road to UFCは終わっていません。No UFC、No MMA──です」

■視聴方法(予定)
2月16日(金)
午後6時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■ Gladiator CS01対戦カード

<Gladiatorフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者]パン・ジェヒョク(韓国)
[挑戦者]河名マスト(日本)

<Progressフォークスタイルグラップリング・フェザー級王座決定戦/5分3R>
竹本啓哉(日本)
竹内稔(日本)

<ミドル級/5分3R>
三上ヘンリー大智(日本)
アン・ジェヨン(韓国)

<Progressフォークスタイルグラップリング88キロ契約/5分2R>
グラント・ボクダノフ(日本)
大嶋聡承(日本)

<Gladiatorフライ級王座決定T準々決勝/5分3R>
和田教良(日本)
チェ・ドンフン(韓国)

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【Gladiator CS01】アン・ジェヨン戦へ─三上ヘンリー大智─01─「どれだけ無意識な状態に持って行けるか」

【写真】このルックスを人生が優位に運ぶように使わない。男前は、そんなことは考えないのだ (C)MMAPLANET

16日(金)、配信に特化して開催されるGLADIATOR CHALLENGER SERIES01「Bang vs Kawana Ⅱ」で、三上ヘンリー大智がアン・ジェヨンと対戦する。
Text by Manabu Takashima

剣道界からは、消えた名選手と呼ばれ。銀幕デビューを果たし、POWNDSTORMやEXFIGHTでは黄色い声援を誰よりも集めていた甘いマスクの持ち主。取材中も彼の姿を視界にとらえた街往く女性が、そのまま目を奪われたように追い続ける。あるいは振り向いたままということが、続いた。それでもヘンリーは、その視線に気づかず──懸命に重心移動について、言葉を続ける。自身の持つルックスには無頓着で、武道精神をもって研ぎ澄まされた感覚でMMAを突き詰めようという姿勢を持つラスト侍に、今回の対戦や剣道との関わり、今後について尋ねた。


──16日にアン・ジェヨンと対戦が決まった三上選手です。このタイミングでGLADIATORの新機軸であるGLADIATOR CHALLENTER SERIESで戦うことを決めたのは?

「最初にやる予定だったイ・イサク選手が、若くて勢いのある5勝0敗の選手で凄くモチベーションが上がりました。この選手を倒すと、MMAファイターとしてもう少し認められるんじゃないかと思って」

──イ・イサクは5月から開始のTUFへの出演が決まり、出場が流れた。主催者もUFCへの道が開いた選手をここに縛ることはできないという判断をしたと聞いています。その結果、アン・ジェヨンと戦うこととなりました。

「あのあと候補として名前を頂いた選手のなかで、一番自分のなかで意味ある試合になると思った選手なのでお願いしたという形です」

──イ・イサクと戦っていたなら、三上選手がこれまで見せていなかったMMAファイターとしての完成度の高さが必要な戦いになったと思います。対して、アン・ジェヨンとはどのような意味のある試合になると考えられたのでしょうか。

「私自身のMMAの創り方のようなモノは変わらないのですが、テーマはちょっと変わったかなというのはあります。ストライカーとしてMMAをやらせてもらって、向うも自分のことをストライカーだと認識してくるでしょうし、変な話──打撃の勝負になるかなと思っています。そこでMMAのなかでのストライキング能力が試される試合という風に位置づけは変わったと思います。そこに向けてチャレンジングな試合、挑戦者として挑もうという気持ちです」

──イ・イサク戦がなくなった時、試合を断ろうと気持ちには?

「若干、『あぁ、マジかぁ』というのはありましたけど、一つひとつ勝たないといけないし。自分のなかではどんな相手とやってもかけがえのない財産になると思うので、試合ができる時にやらせてもらえることが一番喜ばしいことなので」

──ミドル級は国内で対戦相手が少ないですし、試合機会を逃したくないという気持ちも強かったのではないでしょうか。

「それが一番にあります。立ち技でも何でも色々な団体で戦わせてもらう立場でやっていますが、一番優先したいのはMMAの試合なので。これからは韓国人選手だったり、外国人選手と戦うことが多くなると思うので、一つひとつ受けたオファーはケガとかがなければ断らないようにしていきたいです」

──正直、これまでの試合で三上選手はそのポテンシャルを出し切れてない印象があります。デビュー戦はMMAの打撃に戸惑っていた。そして前回のチョン・ホチョル戦は組み主体の試合となりました。

「アハハハハ。まず、チョン・ホチョル戦を細かく分けると、1Rは本当に打撃で行こうと思っていました。ただ、がぶった時に『あれっ? これ寝技の展開でデキるかも』と思って。で、バックを取ろうとしたときに足が引っ掛かって下になってしまったんです。あの時は立つ意識は余りなくて。相手も力を凄く使っていたので、寝技である程度しのいで2R、3Rに賭けようと思っていました。

で2Rは自分のなかでは打撃でいって、相手がダウンをしたら立たせて打撃ではなくて、上を取ってトップで何かをする。ポイントを稼ぎ続ける。そういうゲームをやっていかないと今後、ストライキングが自分と同じぐらいだったり上の選手と戦った場合に話にならない。勝ち負けが懸かった大事な一戦ではあるけど、あそこはトップの状態で勝負に行くべきだと思いました。なので効いたのか、頭を振ってテイクダウンに来たところをがぶって上を取って終わらせました。だから自分のなかでは成長するために凄く良い試合だったと思っています」

──MMAに慣れた三上選手の打撃の威力が見られるかと期待していたので、その選択に驚かされました。ただし、そこを経験できたことは本当に良かったですね。では今、三上選手のMMAの打撃のレベルはどうなのかと考察した時に、12月9日のNOKC OUT UNLIMITEDという全局面打撃ルールというファイトを経験した。あの試合が得られるモノは何だったのでしょうか。

「MMAグローブで殺傷力のある展開のなかで、落ち着いて相手を見て自分の打撃を繰り出す──ストライカーとして、凄く良い経験ができました。ヘッドギアで固めて、ガチガチのスパーリングをするのとはわけが違うじゃないですか? 緊張感もあるし。心の揺れもある。そのなかで冷静に自分を保って戦えたのは、本当に良い経験になりました。だから今後もああいうオファーを頂けるのであれば、積極的に受けていきたいです」

──KNOCK OUT UNLIMITEDルールでの試合は三上選手の成長につながる?

「繋がると思います。打撃をやらないといけない。打撃って組み技とちょっと違う……勝負ごとって何でもそうだと思いますが、階級が重くなればなるほど運の強さが大きくなると思うんですよ。そこで腹を括って、自分の動きを出す。そこは何度も繰り返さないと、自分の自信につながらないと思います」

──やはり一発で勝負が決まると。

「それが重量級にはあります。そこは自分もやられた経験がありますし、すごく怖いと思っているところです」

──アマチュア時代のアンディ・コング戦のことかと思われますが、キャリアの汚点と言っても良い敗北でした。

「ただ、あれはあれで人々を勇気づけられるスパイスになったんじゃないかと思っています。今後頑張って色々な結果を出した時に、あの過去があったと他の人が知れば『俺もここで頑張り続ければ、何か良いことがあるんじゃないか』と思ってもらえるような選手になりたいですし。格闘技の天才で無敗で、強い。まぁ格好良いですけど、それって人に何を与えるのかと考えた時に『あの人は特別』って思われるだろうし。敗北を経験している人の言葉って凄く温かくて、私はそういう人間になりたい。だから色々とチャレンジして、負けても良いし……負けても良いという気持ちでは戦わないです。でも、負けてもチャレンジを続けて人に元気を与えられるファイターになりたいです」

──押忍。UNLIMITEDルールの試合を再び振り返って欲しいのですが、キックボクサーがあの展開になると、寝技でもガムシャラに殴るか、サッカーボールキックを思い切り狙うかと。一方で三上選手は非常に冷静にヒジ、鉄槌を落としてパウンドアウトしました。

「正直に言うと、あの試合の記憶はほとんどないです。それが自分の中の理想で。試合の記憶がない状態が、一番無意識で攻撃が出せるんじゃないかと。『これを出そう』という時点で、脳が余計なことを考えている。どれだけ自分を無意識な状態に持って行けるか。そのための日々の鍛錬だと思うので、そこのしっかりとした鍛錬が出た試合だったかと思います」

──試合全般でそうだったのですか。

「ハイ。スピニングバックフィストを食らったんですが、そこ以外はほとんど覚えていないです」

──ではスイッチしての左ミドルという素晴らしい攻撃も?

「覚えていないですっ!!」

──首相撲からのヒザも?

「覚えていないです」

──無心で本来の動きが出せるということなら、あの一連の攻撃が本来の三上選手の打撃なのですね。そうなると我々も欲張りなので、MMAであの攻撃が見たくなってしまいます。

「私はやっぱりトータルでやっていきたいとは思っていて。色々な道具を持っていて、場面・場面で使い分けることができるのが理想で。ただ下の展開に関していうと、柔術というのは積み重ねだと思うので、ずっとやってきた人とそこで勝負しようとなると凄く限定的になってしまいます。

だから色々な道具は持ちますが、道具を使う取捨選択が非常に大事になってきます。年齢的に考えても、取捨選択は大事になります。一つ一つを研ぎ澄まさせて、この場面でコレは絶対に勝てる。これは自信がないから、他の展開にしようとか。打倒極の全部で一つ自分のなかで必殺技を創りたいです。必殺の展開を創っていきたいとは思っています」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
2月16日(金)
午後6時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■ Gladiator CS01対戦カード

<Gladiatorフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者]パン・ジェヒョク(韓国)
[挑戦者]河名マスト(日本)

<Progressフォークスタイルグラップリング・フェザー級王座決定戦/5分3R>
竹本啓哉(日本)
竹内稔(日本)

<ミドル級/5分3R>
三上ヘンリー大智(日本)
アン・ジェヨン(韓国)

<Progressフォークスタイルグラップリング88キロ契約/5分2R>
グラント・ボクダノフ(日本)
大嶋聡承(日本)

<Gladiatorフライ級王座決定T準々決勝/5分3R>
和田教良(日本)
チェ・ドンフン(韓国)

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