カテゴリー
LFA LFA110 Report へナート・ヴァレンチ シビウィケン・オンエネゲシャ ブログ

【LFA110】見て、見て、ビッグショットのヴァレンチが、動き続けるオンエネゲシャにスプリット勝利

<ミドル級/5分3R>
へナート・ヴァレンチ(ブラジル)
Def.2-1:30-26.30-27.28-29
シビウィケン・オンエネゲシャ(米国)

まず左ローを見せたオンエネゲシャ、ジャブを差し合うとジャブからローと先手を制す。ヴァレンチは右ハイを狙い、オンエネゲシャが右ローを合わせる。ヴァレンチが右オーバーハンド、さらに左ジャブもオンエネゲシャが右フックを入れる。ステップインに右を合わせていくヴァレンチだが、左ジャブを被弾しテイクダウンから組み技という展開に持ち込めない。

それでも左を入れると、足にきたオンエネゲシャが下がる。ヒザを入れ、下になったオンエネゲシャにハーフで左右のパウンドを落とすヴァレンチはマウントを奪取し、肩固めを狙う。左腕を制して肩固めも極めきれず、スタンドに戻ったヴァレンチがワンツーを打ち込む。距離を取り、左ジャブで逃げたいオンエネゲシャがボディ&左フック、右ストレートを被弾する。さらにパンチを重ねたヴァレンチは、間合いを取り直す息を整え確実にラウンドをモノにした。

2R、スイッチ&変則的な構えを見せるオンエネゲシャだが、序盤のようなスピードはない。それで右に左を合わせられるオンエネゲシャは、右の相打ちからやや勢いを取り戻したか。ヴァレンチはローに左フックを合わせるも、ここは見る姿勢を貫いている。残り2分を切り、両者の距離がつまり手数も増える。こうなると、オンエネゲシャも勢いが落ちてヴァレンチが盛り返すようになる。

初回の劣勢で嫌なイメージが残ったか、思い切りが無くなったオンエネゲシャは蹴りの距離に付き合う展開の陥っている。おのまま膠着したままラウンドが終了し、オンエネゲシャが手数で取り返した可能性もある。

最終回、ヴァレンチが左ミドルを入れる。オンエネゲシャが右ローを2発見せるが、やはりパンチの距離にはならない。それでもワンツーに、パンチを4発ほどまとめたオンエネゲシャに対し、ヴァレンチは徹底して見ている。オンエネゲシャが左ハイ、ヴァレンチが左ボディフックやローを単発で繰り出す。オンエネゲシャが前に出て、右を被弾。左ハイキックに ショートの右を受けたオンエネゲシャの足がもつれダウンする。

すぐに立ち上がったオンエネゲシャだが、決定的なシーンを創りヴァレンチはもう足を使う。なんと、最後にシングルレッグを繰り出すなどリズムが狂ったオンエネゲシャは29-28で一票を獲得したが、スプリットでヴァレンチが凱歌があがった。


The post 【LFA110】見て、見て、ビッグショットのヴァレンチが、動き続けるオンエネゲシャにスプリット勝利 first appeared on MMAPLANET.

カテゴリー
LFA LFA110 MMA UFC キック クリスチャン・ナティヴィダッド ルイス・アギーレ

【LFA110】クリスチャン・ナティヴィダッド、粘るアギーレに圧をかけ続け判定勝ち

<フライ級/5分3R>
クリスチャン・ナティヴィダッド(米国)
Def.3-0:30-26.29-27.29-27
ルイス・アギーレ(メキシコ)

兄ケビンがLFAからUFCに昇格しているナティヴィダッドは、フライ級注目の存在だ。左ジャブを伸ばすナティヴィダッドが、前蹴りを捌いてワンツーを放つ。さらに左リードフックを当ててアギーレを下がらせ、右を振るう。パンチの圧が強いナティヴィダッドは右オーバーハンド、左ジャブ、リードフックとペースを握る。

顔面からボディストレートを決めたと思われたナティヴィダッドだが、パンチが低く試合が中断される。再開後、右オーバーハンドで前に出たナティヴィダッドに対し、アギーレは完全に気圧されている。右インロー、右ストレートとナティヴィダッドが攻撃を散らし、左ジャブを当てる。ケージに詰まって左フック、続いてテンプルに右を被弾したアギーレの腰が落ちる。

ワンツーから前に出て左ミドルを放ったアギーレは、左フックを合わせれ下になる。足を絡ませてバックを狙ったアギーレから離れてスタンドに戻ったナティヴィダッドナティヴィダッドが、右ストレートから左を打ち込む。右エルボーを見せ、左ミドルを蹴るなどアギーレがやや盛り返すが、初回は失った。

2R、キャンパスがスリッピーになり試合が中断される。リスタート後、アギーレの右オーバーハンドにボディを見せたナティヴィダッド。アギーレも鋭い左ハイを蹴っていく。すぐに右ハイを返したナティヴィダッドに対し、アギーレが右オーバーハンドを見せてテイクダウンを狙う。急ぎ、離れたナティヴィダッドが近距離でワンツーフック、アギーレもブロッキングで防御する。直後の左のステップインに、右フックを受けたアギーレがダウン。それでも下からオモプラッタを狙い、煽ると今度はナティヴィダッド素早く逃げて立ち上がる。

スタンドに戻ると間はナティヴィダッドとなり、ガードの上からフックを打つ。左ミドルは出すが、パンチは届かないアギーレは左フックをもらい、ここも引き込むようにガードを取る。クローズドを取ったアギーレに対し、左手を背中越しに取り右を連打したナティヴィダッドが2回も取った。

3R、まず右オーバーハンドを見せたアギーレだが、ナティヴィダッドは右フックを引き続き振るって、ボディも打ち抜く。レベルチェンジから左ボディのナティヴィダッド、アギーレはエルボーから左ハイ、右オーバーハンドを当てる。ワンツー、左ミドルと手数が増えたアギーレだが、ナティヴィダッドが右ボディから右オーバーハンドを繰り出す。

下がらないアギーレだが、右を受けジャブを当てられる。それでも前に出て腹を蹴るアギーレのパンチに、ナティヴィダッドが口を開けて鼻血も見られる。左目尻をカットしているアギーレが飛び蹴りをかわす。左の相打ちから、ナティヴィダッドが組みつく。ギロチンを防いで、タイムコントロールを見せたナティヴィダッドがアギーレに立ち上がらせず、フィニッシャーでいて、マネージメントぶりを見せて3-0の判定勝ち。

デビュー以来の連勝を4に伸ばしたナティヴィダッドは「嬉しくないね。ワンパンチの異名通り戦えなかった……ニックネームを変えないと。ジムに戻ってまた練習だよ。フライ級に転向し、初めてキックも使った。正直、新しいジムに移ったけど前のジムが懐かしい。でも、この数カ月で新しい技術をたくさん身につけた。アギーレのタフさには驚かされた。参った、ファイト・オブ・ザ・ナイトのボーナスが欲しいよ」と話した。


The post 【LFA110】クリスチャン・ナティヴィダッド、粘るアギーレに圧をかけ続け判定勝ち first appeared on MMAPLANET.

カテゴリー
LFA LFA110 Report ジェケリン・アモリン ブログ

【LFA110】右フックからニーインベリー&パウンドアウト、アモリンがオーウェンを10秒KO

<女子ストロー級/5分3R>
ジェケリン・アモリン(ブラジル)
Def.1R0分10秒by KO
ミーガン・オーウェン(カナダ)

試合開始直後、右ローを放つアモリンが前に出てきてワンツーを打ったオーウェンに対し、右フックを放つ。これがオーウェンの顔面を直撃。まっすぐ後方に倒れたオーウェンにアモリンのニーインベリーからの鉄槌の連打を見て、レフェリーが試合をストップ──KOタイムは10秒だった。

「テイクダウンを警戒している相手に、右を打つ機会をいつも待っていたの。キャンプのたびに打撃の自信をつけている。右が良いという自覚があったから、今日の試合もケージに入る前にKOを狙うって言っていたの。あの右で勝負は決したと分かっていたど、とにかく終わるまで攻めたわ。2週間後でも来月でも試合はできるわ(笑)。過去最高に自信がついたから。Let’s go !!」


The post 【LFA110】右フックからニーインベリー&パウンドアウト、アモリンがオーウェンを10秒KO first appeared on MMAPLANET.

カテゴリー
BELLATOR K-1 LFA LFA110 MMA UFC エド・ソアレス チャールズ・ジョンソン ブランドン・モレノ 堀内佑馬 田中路教

【LFA110】ABEMAでライブ中継決定、LFAエド・ソアレス代表「去年60人以上をネクストレベルへ」

【写真】「Black Houseからだと、1年で5人程度しかUFCと選手の契約ができない。LFAなら20人、30人のファイターをUFCにステップアップさせることができる」と話していたソアレス。本当に選手想いのプロモーターだ(C)MMAPLANET

2日(金・現地時間)にオクラホマ州ショーニーのグランドホテル・カジノ&リゾートで開催されるLFA110「Johnson vs Horiuchi」。

ABEMAのライブ中継も決まった同大会を前に、LFAのエド・ソアレス氏にインタビューを試みた。世界最強のふぃだーそーのかじ取りをするソアレスからは、根っからのMMAナードぶりが伝わってきた。


──パンデミック後、昨年7月に活動再開し2日のLFA110まで1年間で27イベントを開催しました。

「パンデミックは世界中を、とんでもない時代にしてしまったとは間違いない。MMAワールドでも、数多くのイベントがキャンセルを強いられた。でもLFAのチームは感染予防を追及しつつ、どうにか活動できないかと模索した。そしてUFC FIGHT PASSという素晴らしいパートナーのおかげで、この間も活動するだけでなく成長できたと思っている。

世界でこれだけの数のイベントを開けたプロモーションは、LFA以外に2つしかない。2020年はパンデミック前と合わせて17イベントを開催した。2020年の1年と、2021年のここまでにLFAから48人の選手がUFCと契約し、18人がBellatorとサインした。60人以上のファイターがネクストレベルに進めた。2020年もLFAは成功の年にしたんだ」

──WOW!! そして田中路教選手がついに渡米し、堀内佑馬選手はフライ級チャンピオンシップに出場します。

「ホリウチは前回の試合で、とても経験豊かなドノヴァン・フリローに一本勝ちし、ベルトへの挑戦をアピールしていた。そしてフライ級王者アルタミラノがコンテンダーシリーズと契約したから暫定王座を設けて、ホリウチとチャールズ・ジョンソンが戦うことをマッチメイカーが決定したんだ」

──この大会は日本ではABEMAで日本語の実況でライブ中継されることが決まりました。

「最高にエキサイトしている。日本語でLFAの試合が流されるなんて」

──解説はWEC、そしてUFCファイターだった水垣偉弥氏になると聞いています。

「おお、それは知らなかった。素晴らしいね。本当に日本向けの中継を視てみたいよ(笑)。我々は国籍に関係なくタイトルに挑戦してほしいと考えているし、日本人選手がLFA王座に挑む試合を日本のファンに見てもらえ、本当に良かったと思う。

LFAフライ級王者がUFCで通用することは、ブランドン・モレノが証明している。元LFAフライ級王者がUFCフライ級王者になったことは、彼のやる気、努力の証だ。私もとても嬉しい。

そして、タナカだ。彼は契約からビザの取得まで10カ月も時間がかかってしまったけど、もうカリフォルニアに来ていて8月にはLFA初戦を戦えるよう話し合いを続けている。

彼のようなやる気に満ち溢れた選手は大好きだ。なぜUFCとBellatorがLFAの選手とこれだけサインをするのか。それはファイターが強い意志を持って戦っているからだ。LFAとサインし試合で勝った時点で、その選手は次のレベルに行く力を持っていることになる。イージーなマッチアップは絶対にないからね。

何よりLFAが国際的なショーになるには、日本人ファイターは欠かせない。私はPRIDE、K-1、DREAMの時代にジャパンには何度も足を運んだ。日本には素晴らしいMMAの土台がある。米国以外だとブラジルと日本は本当に大きな役割をMMA界ではたしてきた。

日本の選手がLFAで戦うことが嬉しくてならないよ」

──そんななか7月にはブラジルのリオデジャネイロで連続イベントを開くことになりました。

「LFAにとって大きな一歩であると同時に、ブラジルのMMAにとっても大きな一歩になると思う。今、ブラジルのMMAはひどい状態に陥っている。あれだけ優れたファイターが誕生しているのに、試合の機会が圧倒的に減ってしまったんだ。

まだブラジルの大地に眠っている才能を掘り起こすことができる。素晴らしいことだよ。彼らの才能を世界に披露するんだ」

──ブラジルの新型コロナウィルス感染状態は、今も厳しい状態にあります。

「だからこそショーが必要なんだ。LFAは米国で1年半やってきたようにバブルを創り、検査を重ねて無観客イベントを行う」

──現地のプロモーションと共催ということではないのですね。

「LFAの単独イベントだよ。無観客大会でチケットを売る必要がないから、可能になった。チケットセールスを気にすることなく、最高のショーにするために全力を注ぐことができる。7月17日は7試合、米国でやっているような通常の大会だ。

そして19日はLFAにとって初めて日曜日の大会で、ウェルター級王座決定GPを開催する。新ウェルター級チャンピオンは1日で2勝しないといけない。リオにバーリトゥードの伝統を持ち返るんだ」

──なんともロマン溢れるイベントですね。

「それにね、まだ正式発表していないけど……ブラジル大会ではアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラが英語の実況チームに加わるんだ」

──ミノタウロが解説に!! エド、もうMMA愛の詰まったショーになること間違いないですね。

「皆が喜ぶと確信しているよ(笑)。凄くワクワクするし、誇りに思う。そして、とても光栄だよ。ミノタウロがLFAの中継に関わってくれることは」

──エド、ファイトウィークの忙しいところインタビューに応じてくれたありがとうございました。

「とんでもない。こちらこそ、ありがとう。日本のファンがLFAを楽しんでくれて、遅かれ早かれもっとライブ中継が増えることを願っている。日本の皆にLFAの応援をしてほしい」

■視聴方法(予定)
7月3日(土・日本時間)
午前10時00分~ABEMA格闘Ch
午前10時00分~UFC Fight Pass

■ LFA110対戦カード

<LFA暫定フライ級王座決定戦/5分5R>
チャールズ・ジョンソン(米国)
堀内佑馬(日本)

<ミドル級/5分3R>
マルクス・ペレス(ブラジル)
クリスチアーノ・フロウリッチ(ブラジル)

<ミドル級/5分3R>
シビウィケン・オンエネゲシャ(米国)
ヘナート・ヴァレンチ(米国)

<フライ級/5分3R>
クリスチャン・ナティヴィダッド(米国)
ルイス・アギーレ(メキシコ)

<女子ストロー級/5分3R>
ジェケリン・アモリン(ブラジル)
ミーガン・オーウェン(カナダ)

<フライ級/5分3R>
アルペン・グラン(米国)
オスカー・ヘレーラ(米国)

The post 【LFA110】ABEMAでライブ中継決定、LFAエド・ソアレス代表「去年60人以上をネクストレベルへ」 first appeared on MMAPLANET.

カテゴリー
Interview LFA LFA110 チャールズ・ジョンソン ブログ 堀内佑馬

【LFA110】堀内佑馬と夢の潰し合い──チャールズ・ジョンソン「人生を変えることができるチャンス」

【写真】堀内佑馬と暫定ライト級王座、そしてUFCへのステップアップを賭けて戦うチャールズ・ジョンソン (C)LFA

5月14日、LFA107。メインイベント。
カムエラ・カークDef.ダニエル・スウェイン
6月5日、UFN189にてマクワン・アミルカーニを相手にオクタゴン初戦を行い判定勝ち

5月21日、LFA108。メイン=LFAミドル級王座決定戦。
グレゴリー・ホドリゲスDef.ジョシュア・フレムド
6月5日、UFC189にてUFCデビュー。ドゥスコ・トドロビッチに判定勝ち

6月4日、LFA109。メインイベント
テレンス・マッキーDef.マイケル・イリザーリ
6月12日、UFC263でのUFC初陣でマット・フレヴォラを07秒でKO

そして──2日(金・現地時間)にオクラホマ州ショーニーのグランドホテル・カジノ&リゾートで開催されるLFA110「Johnson vs Horiuchi」のメインで、堀内佑馬とチャールズ・ジョンソンがLFA暫定フライ級王座を賭けて、メインで戦う。

UFCファイターになることを目指し、米国に渡った堀内。対してジョンソンは、米国からタイへ向かいMMAファイターとして幅を広げた。East meets WestとWest meets East、2つのAcross the world。堀内の夢を潰し、自身の人生を変える戦いに挑むチャールズ・ジョンソンにインタビューした。


──堀内佑馬選手とLFA暫定フライ級王座を賭けて戦います。今の気持ちを教えてください(※取材は現地時間の28日に行われた)。

「これから、金曜日まで4日間の減量が始まる。でも、試合に向けてワクワクしているよ。良い試合になるだろう」

──米国のサイトなどによると、チャールズはプーケットのタイガームエタイの所属となっていますが、今回のタイトル戦に向けて、どこで調整してきたのですか。

「タイガームエタイには1年半ほどいたけど、今はミシガン州ランシングのムルシエラゴMMAで練習している。2019年8月にトライアウトに受かってタイガームエタイに在籍するようになってジョージ・ヒックマン達と練習していたんだ。

今ではプーケットは第2のホームだと思っている。タイガームエタイでは凄く良い練習ができていたし……、そういえばセクシー山(秋山成勲)ともトレーニングしたよ。クールで生かした漢だったな(笑)。

本当にプーケットでの生活は楽しかったよ。僕自身はムエタイの試合にも何度か出たし、パンデミック後はボクシングにも挑戦している。なかなかMMAを戦う機会がなかったからね。ONEで戦えないかトライしたけど、うまくいかなかっから、2020年の11月29日に帰国したんだ」

──タイでの経験もあり、チャールズは長身とリーチを生かした遠距離での攻撃だけでなく、組んでも首相撲からのヒザという武器があります。

「首相撲には自信を持っている。タイガームエタイではトップノイ(タイガームエタイ)たちとしっかりと練習していたし、ムエタイというタイの文化が大好きなんだ。厳しいトレーニングを続けて生きている。可能か限り、ムエタイを吸収してきたよ。

僕はまだ素晴らしいムエタイの使い手ではないけど、すごく成長できていると思う。あの1年半という期間で、色々な技術を吸収できた。

7月からタイはワクチン接種をした外国人観光客は、検疫を必要とせずに段階的にだけど、入国が認められるようになる。もう隔離措置もなくなるんだ。旅行客が戻れば、タイの状況も良くなるはず。きっと、今後数カ月でまたタイで練習できるようになると思うんだ」

──またタイに戻って練習したいですか。

「そうだね。環境が整えば、ね。ただ、今はマーシオラゴMMAでUFCを目指して練習している。マーシオラゴMMAのジョアキン・マーシオラゴはラシャド・エヴァンスのコーチをしていているんだ」

──元UFC世界ライトヘビー級王者のラシャドですね!

「そうだよ。彼のMMAの知識は半端ないんだ」

──では改めて堀内選手の印象を教えてください。

「カラテ・ベースで、とてもテクニカルだ。ただし、ボクシングをあまり使わない。彼が試合で見せている以上に、ボクシングは大切だよ。一番の長所は腰が強いところかな。グラウンドから立ち上がるのも力強いよね。重心が重くて、それを寝技にも生かしている。ガードになることもいとわないしね。そういう風にグラウンドの展開を狙ってくるだろう。

きっと良い試合になるよ。僕はリーチを生かして戦う。スタミナに関しては凄く自信があるし、ずっとプッシュし続けることができるだろう。それを可能にする根性もある」

──5分5Rというのは、やはり頭にありますか。

「全く気にしない。僕はニックやネイト・ディアスのように試合が長引けば、長引くだけ強くなるんだ。長い試合になれば、それだけ良いところが出せるだろう(笑)」

──LFAのタイトル戦はベルトだけでなく、UFCへのチケットという点も多いに注目されます。

「どの試合も大切なんだけど、この試合はスバ抜けて重要になってくる。

人生を変えることができるチャンスなんだ。これまで世界を行き来して、自分を磨いてきた。そうやって培ってきたモノを全てつぎ込んで1試合、1試合戦ってきたんんだ。

この試合に勝っても、そこで終わりじゃない。1週間や2週間後にUFCで戦うつもりでいる。LFAの直近3大会のメインで勝利した選手が、ショートノーティスでUFCに出場している。だからチームメイトも『試合に勝ったら、その日は死ぬほど食え。でも次の日からまた練習だ』って言ってくるんだ(笑)」

──フライ級の選手が欠場することを、申し訳ないけど願わないわけにはいかないですね。

「カモーン!! みんなそう願っているに違いない(笑)」

──と同時にUFC首脳は勝敗だけでなく、試合内容もしっかりとチェックするかと思います。

「勝利もフィニッシュも当たり前で、クリーンな攻防でそれを実現させる必要がある。そのうえで、まだUFCの人間が手にしていないモノを見せるんだ。僕にはUFCで戦うだけの力は十分にある。それを周囲が理解できるパフォーマンスを見せるよ」

■視聴方法(予定)
7月3日(土・日本時間)
午前10時00分~ABEMA格闘Ch
午前10時00分~UFC Fight Pass

■ LFA110対戦カード

<LFA暫定フライ級王座決定戦/5分5R>
チャールズ・ジョンソン(米国)
堀内佑馬(日本)

<ミドル級/5分3R>
マルクス・ペレス(ブラジル)
クリスチアーノ・フロウリッチ(ブラジル)

<ミドル級/5分3R>
シビウィケン・オンエネゲシャ(米国)
ヘナート・ヴァレンチ(米国)

<フライ級/5分3R>
クリスチャン・ナティヴィダッド(米国)
ルイス・アギーレ(メキシコ)

<女子ストロー級/5分3R>
ジェケリン・アモリン(ブラジル)
ミーガン・オーウェン(カナダ)

<フライ級/5分3R>
アルペン・グラン(米国)
オスカー・ヘレーラ(米国)

The post 【LFA110】堀内佑馬と夢の潰し合い──チャールズ・ジョンソン「人生を変えることができるチャンス」 first appeared on MMAPLANET.

カテゴリー
BELLATOR LFA LFA110 MMA UFC チャールズ・ジョンソン 堀内佑馬

【LFA110】シン日本人=堀内佑馬、LFA暫定フライ級王座挑戦へ「こういう生き方もあるんだよ」

【写真】人知れず続けてきた──努力を見ている人間はいる。堀内佑馬が、大袈裟でなく人生を賭けて歩んでいた道。その先を切り開くことができるか。大一番に挑む (C)marsnet.US

2日(金・現地時間)にオクラホマ州ショーニーのグランドホテル・カジノ&リゾートでLFA110「Johnson vs Horiuchi」が開催される。

UFC、そしてBellatorへの登竜門。この1年で両プロモーションに30名以上のファイターを送り込んだMMA界のNCAA=LFAで、堀内佑馬が日本人として初めてタイトル戦に挑む。

LFAフライ級王者ヴィクター・アルタミラノのコンテンダーシリーズ出場が決まり、チャールズ・ジョンソンと暫定王座決定戦を戦う堀内。2016年のGladiator ChallengeからUFCを目指し、カリフォルニア州アーバインに拠点を移し、MMAファイター人生を送ってきた。自身の選択、生きる様を見せつける刻が来た。


──かなり頬がこけていますね(※取材は現地時間6月27日に行われた)。

「そうですね。僕は水抜きをしないので、もうすぐリミットです」

──ではファイトウィークをリミットに近い体重で過ごすと。もうファイトキャンプも終えた感じでしょうか。

「はい、追い込みは終わっていて。明日、少し動いてあとは残りの体重を落とす感じですね」

──対戦相手のチャールズ・ジョンソンは長身、そして手足の長い相手です。遠い距離のパンチや蹴り、近距離ではヒザ蹴り、長い腕はギロチン系の技に適しており、なかなか厄介な相手になりそうです。

「う~ん、あまり試合映像も見ていないんです。当日も自分のフィーリングで戦いたいと思っています。強いのは確かですけど、普段通り戦えば大丈夫かと。

もともとチーム・オーヤマに来ていたことがあって、アレックス(ペレス)とか一緒に練習していた時期があるので、アドバイスをもらっています。対策練習? 背の高い選手とやることですね。キャンプは本当にきつくて、あぁ生き残れたっていう心境なんです(笑)。

皆が気合をいれて僕に接してくれて。もうボコボコにやられることも多くて。それが皆の『頑張れよ』という気持ちの表れなので嬉しかったです」

──キャンプではどのような選手と一緒に練習してきたのでしょうか。

「本当に色々な選手がサポートしてくれましたけど、なかで一番やったのはアレックスですね。それとルイス・スモルカ、終盤はリッキー(シモン)も来ていましたし、ローカルプロモーションのチャンピオンともやってきました。

UFC世界フライ級王座挑戦経験のあるアレックス・ペレスと。堀内はペレスを慕ってやまない。そのペレス、レスリングを使わず勝てるオールアメリカン・レスラー(C)marsnet.US

まぁ、それでもアレックスは強いなぁって感じです(苦笑)。

オーヤマ・コーチがメインで、アレックスがサブで練習メニューや戦術も立ててくれましたし、本当に良い練習ができました」

──やはりUFCファイターたちもLFAのタイトルマッチの持つ意味を理解して追い込んでくれる形ですか。

「ベルトが……というよりも、この先が大切だからという感じですね。僕も最初はベルトに拘っていたんですけど、今はとにかく勝つ。勝って、ついてくるモノが重要と考えています。それはコーチも『勝ったら、行けるからな』という風に煽ってくれます」

──そこがMMAファイターとして、最も重要な剣ヶ峰です。プレッシャーを感じたり、ナーバスになることは?

「緊張することはないですね。プレッシャーは……プレッシャーというか、身近な人から『頑張れよって』盛り上がっていて……そこは力になっています。僕は何もできない人間だったから、周りが応援してくれるのは嬉しいです」

──そして今回の試合が、ABEMAでライブ中継されます。

「最高です。本当に最高です。最高です(笑)。本当に最高です」

──最高しか言っていないじゃないですか(笑)。

「あははは。やはりUFC FIGHT PASSに加入している人は限られているだろうし、こっちでやってきて日本で注目されるような大会で戦ってきたわけじゃないです。知名度は全くないので……これでチャンピオンになって、少しは名前を挙げたいです」

──本気でUFCを狙ってきた。その生き方が認められたのではないでしょうか。

「そこに関していうと、自分で言うのはアレなんですけど……。こっちに来て、超ローカルの団体で戦ってリウドヴィク・ショリニアンっていうウクライナ人、LFAではレオナルド・ゴメスと2試合連続スプリットで負けて。でも、そういう強い奴とやって経験を積み、周りのサポートで力をつけることができました。

前回、コンテンダーシリーズで戦うなど、UFCに近い位置にいるドノヴァン・フリローに一本勝ちすることができて、タイトル戦が決まりました。そして、ABEMAさんが中継すると知って──本当に頑張ってきて良かった……良かったのですが、こんなに良いチャンスが巡ってきたので、勝ってその先を見据えたいです。そのために頑張ってきたので」

──単身、アーバインにやってきて流してきた汗。軽々しく使う言葉ではないと思うのですが、生き様を見せてほしいです。

「はい、見せたいです。僕、キッズのムエタイを50戦ぐらい戦ってきて、4回タイトルを掛けて戦って、1度も勝っていないんです。でも、あの頃とは違うし。RFAやレガシーFC、LFAというポジションのタイトルを取った日本人っていないと思います。ここで俺がベルトを取って、シン日本人スタイル──こういう生き方もあるんだよって見せたいです」

■視聴方法(予定)
7月3日(土・日本時間)
午前10時00分~ABEMA格闘Ch
午前10時00分~UFC Fight Pass

■ LFA110対戦カード

<LFA暫定フライ級王座決定戦/5分5R>
チャールズ・ジョンソン(米国)
堀内佑馬(日本)

<ミドル級/5分3R>
マルクス・ペレス(ブラジル)
クリスチアーノ・フロウリッチ(ブラジル)

<ミドル級/5分3R>
シビウィケン・オンエネゲシャ(米国)
ヘナート・ヴァレンチ(米国)

<フライ級/5分3R>
クリスチャン・ナティヴィダッド(米国)
ルイス・アギーレ(メキシコ)

<女子ストロー級/5分3R>
ジェケリン・アモリン(ブラジル)
ミーガン・オーウェン(カナダ)

<フライ級/5分3R>
アルペン・グラン(米国)
オスカー・ヘレーラ(米国)

The post 【LFA110】シン日本人=堀内佑馬、LFA暫定フライ級王座挑戦へ「こういう生き方もあるんだよ」 first appeared on MMAPLANET.

カテゴリー
LFA LFA110 News チャールズ・ジョンソン ブログ 堀内佑馬

【LFA110】J-MMAの殻を破る一戦。2021年7月2日、堀内佑馬が長身の猛者ジョンソンと暫定LFA王座決定戦

【写真】大願成就前の大一番が決まった堀内 (C)LFA

4日(金・現地時間)にUFC Fight Passで配信されたLFA109中継中に、7月2日(金・同)にオクラホマ州ショーニーのグランドホテル・カジノ&リゾートで開催されるLFA110で堀内佑馬がLFA暫定フライ級王座を賭けてチャールズ・ジョンソンと対戦することが発表された。

UFCへの登竜門で初めて日本選手がベルトに挑戦することが決まった。


1997年9月生まれ、アーヴァインのチーム・オーヤマに所属し米国生活を続ける堀内は今年2月にフライ級に戻し、LFAで初勝利を腕十字で挙げている。

正規王者ヴィクター・アルタミラノのコンテンダーシリーズ出場が決まり、堀内の暫定王座戦出場が決まった。実は当初の予定ではLFA109で両者の対戦は決まっていたが、諸事情により1カ月遅れで実現することに。

対戦相手のジョンソンは175センチ強、フライ級としては長身のスイッチヒッターだ。タイガームエタイに所属し、ノーガードで鋭いジャブを伸ばし、前蹴りとミドルの威力も十分。

さらに長いリーチを生かしたアナコンダ、ギロチンというフロント系のチョークも得意としており、正直アルタミラノよりも手強いといえる。

ノーガード&長い距離で戦うジョンソンは、このレンジだとしっかりと相手の踏み込みやパンチを見切ることができる。その一方で、近い距離だとパンチの打ち終わりで視線が相手から外れ、パンチを被弾するシーンも度々見られる。

ノーガードが仇となる形だが、堀内としてはジャブや前蹴りの間隙を縫って、接近戦に持ち込みこみたい。その堀内は「しっかりと仕上げて、面白くて良い試合をして必ずチャンピオンになります」と、正式発表を受けてMMAPLANETに意気込みを寄せてくれた。

UFCという目標を掲げ、模索し、断念する──そんな選手が多いなかで、米国に移り住む行動力を見せた堀内のLFA王座挑戦はJ-MMA界の殻を破る歴史的な一戦だ。

The post 【LFA110】J-MMAの殻を破る一戦。2021年7月2日、堀内佑馬が長身の猛者ジョンソンと暫定LFA王座決定戦 first appeared on MMAPLANET.

カテゴリー
LFA LFA109 MMA Report UFC キック テレンス・マッキニー

【LFA109】ガードの中からの右の連打でイリザーリが失神。テレンス・マッキニーが快勝

<160ポンド契約/5分3R>
テレンス・マッキニー(米国)
Def.1R1分12秒by KO
マイケル・イリザーリ(プエルトリコ)

サウスポーのマッキニーが、得意のハイキックを連続で蹴っていく。その2発目でバランスを崩したマッキニーに対し、イリザーリはすかさず距離を詰めてトップを取る。頭を押して立ち上がったマッキニーは、スイッチから正対すると首相撲&ヒザを入れる。離れたイリザーリに左を当てたマッキニーが、続く右フックにカウンターで左を再び打ち込む。

ここからマッキニーは手打ち気味の左右のフックを繰り出し、左ハイへ。またもバランスを崩すと、起き上りながら組んで首相撲&ヒザ蹴りへ。さらに首相撲を解いたマッキニーは組まれると、巴投げの要領から横にイリザーリを崩してトップを取る。ハーフからフルガードに戻したイリザーリは、クローズドに取った直後にマッキニー右の連打の意識を失い──勝負は決した。

「メインで勝てて、凄くハッピーだよ。エキサイトし過ぎていた(笑)。パウンドで彼の目が飛んでいたから、終ると思った。UFCから声が掛かるまで練習するよ」とマッキニーは話した。


The post 【LFA109】ガードの中からの右の連打でイリザーリが失神。テレンス・マッキニーが快勝 first appeared on MMAPLANET.

カテゴリー
LFA LFA109 MMA Report UFC アスカル・アスカル ジャスティン・ ウェッツェル

【LFA109】ジャスティン・ウェッツェルが、アスカル・アスカルをパウンドアウト。涙でUFC行きをアピール

<バンタム級/5分3R>
ジャスティン・ウェッツェル(米国)
Def.2R2分21秒by TKO
アスカル・アスカル(パレスチナ)

サウスポーのウェッツェルが左ロー、左ジャブを当てたアスカルが右アッパーを入れたと思った直後にバランスを崩す。ガードをしいられたアスカルは、ケージを背にして立ち上がろうとするが、ウェッツェルが腰をコントロールしてバックへ。1度は飛び乗ったウェッツェルだが、すぐに着地しアスカルが胸を合わせて離れる。

ウェッツェルが再びクリンチに持ち込むも、アスカルが体を入れ替えてケージに押し込むとシングルへ。切ったウェッツェルが離れ、左ボディストレートを入れる。続くシングルで倒されたアスカルは、下からエルボーも背中をマットにつかされる。ケージまで移動したアスカルのバタフライガードを越えようとするウェッツェルだが、立ち上がられヒザを急所に受けて試合が中断される。

再開後、左ミドルからヒザ蹴り、左ストレートを伸ばしたウェッツェルは、ケージ際のクリンチの展開で激しくポジションを入れ替えながらヒザを放つ。両ワキを差したアスカルがテイクダウンを決め、ウェッツェルはマルセロチンへ。引き込みに体を捻ってトップを取り、頭を抜いたアスカルに対して、ウェッツェルが三角絞めのセットしたところで初回が終わった。

2R、アスカルの右ローに対し、ウェッツェルが左ミドルを蹴り返す。テンカオから組んだウェッツェルをケージに押し込んだアスカルが肩パンチを打っていく。ヒザを蹴り合い、離れたアスカルに左ミドルを入れたウェッツェルが、パンチで距離をつめてテイクダウンを決める。パンチの連打&鉄槌に背中を見せたアスカルは、一気に動きが落ちる。

足のフックのないRNCには背中をマットにつけてエスケープしたアスカルは、サイドで抑えられパンチの連打を許す。ウェッツェルは背中を見せたアスカルにパンチを連続し、TKO勝ちを決めた。

「決めることができた。6週間のトレーニングキャンプの成果だ。3Rかけて、ダメージを与えるつもりだった。そしてフィニッシュできると。次? UFCだよ。高校生のときからそこを目指してきた」と涙を流しながらウェッツェルは話した。


The post 【LFA109】ジャスティン・ウェッツェルが、アスカル・アスカルをパウンドアウト。涙でUFC行きをアピール first appeared on MMAPLANET.

カテゴリー
ACA Brave CF Interview LFA ONE Special UFC ブログ 平良達郎 青木真也

【Special】月刊、青木真也のこの一番:3月─その弐─平良達郎✖前田吉朗─02─「完全に通行手形じゃん?」

【写真】平良を例に、日本人選手がUFCで戦うためのキャリアップ方法を模索 (C)MMAPLANET

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

引き続き2021年3月の一番、第ニ弾は20日に行われたShooto2021#02から平良達郎✖前田吉朗──日本人選手の育成環境──について語らおう。

<青木真也が語る平良達郎✖前田吉朗Part.01はコチラから>


──修斗、パンクラス、DEEPの段階である程度以上の国際戦ができていた。コロナ後に、そのようなJ-MMAとなれるのか。そうならないのであるなら、端的な表現をするとUFCで勝てる選手をどのように育てるのか。

「もう招聘できなくなっていますからね。だから元UFCとかではなくて韓国、グアム、フィリピンから強くなるための対戦相手を呼ぶことができるのか」

──若い選手が世界と戦える力をつけるために韓国、グアム、フィリピンから将来のUFCファイター、ONEアスリートになるような素材を招聘して、切磋琢磨できる環境を創る。その通りですね。日本で世代越えをしても、それが力の立証にはならないようになっていますし。

「今、後楽園ホールの大会で出てきてくれる上の世代は、言い方は悪いですけどピークを過ぎている。なのでキャリアアップが難しい。

矢地(祐介)選手とか田中(路教)選手って、割と早い段階にPXCに行きましたよね。当時は裏口入学的なメジャーの狙い方でしたが、そういうキャリアアップの仕方というのがあったと思うんです」

──あぁ、私は先見の明があると思いました。海外のフィーダーショー、そして日本で戦えない相手と戦ういう点のおいて。

「ハイ。日本で見られた旧来の手順とは違う。海外の大会でベルトを巻いてUFCを狙っていました。そして田中選手はラッセル・ドーンに勝って、矢地選手はアレックス・ヴォルカノフスキーと戦っている」

──両選手とも後のUFCファイター、ヴォルカノフスキーに至っては元フェザー級世界王者です。

「そういう選手たちとPXCで戦っていた。海外の大会からUFCへというのをやったのが田中選手と矢地選手で。彼らが走りだったと思います。今、海外のフィーダーショーで試合をするというのはコロナで難しいですけど、往来ができるようになれば、そこはしっかりと見ておく必要があるかと思います」

──それが現状の平良選手にも当てはまると、青木選手は考えていますか。

「ハイ。修斗のチャンピオンになった時点で、UFCから声が掛かれば──現状の力云々でなく行くべきです。ただし、そうでないなら、海外で結果を残すことが必要かと思います。海外を経験する、外国人選手と戦っておくという以上に、現状ではUFCは日本国内を評価していないわけじゃないですか」

──ハイ。コロナ禍でも韓国人選手や中国人選手の新しい契約は進んでいますが、日本人選手は村田夏南子選手だけで。村田選手はInvicta FCで結果を残し、コロナ以前からリストに入っていました。

「日本で戦っていても、評価はされない。ここですね、僕が強く思うところは。日本人選手が評価されていないから、日本人選手に勝っても次に繋がらない。僕らの頃のように繋がっていれば、海外に行ったり、外国人選手に勝つことに拘る必要はないわけで」

──車のレースだと、F1を頂点にF2、F3というステップアップカテゴリーが存在し、F3は日本にも選手権があります。

「……」

──ただ日本のF3で結果を残しても、ステップアップ先は欧州のF2ではなく、もう一度欧州でF3のシリーズに参戦することになります。日本のF3王座は欧州のF3へ行くため。つまり、同じ土俵で戦うために日本でF3を戦います。

「あぁ、つまり日本のレースは本場では評価の遡上にならないのですね。う~ん、MMAでいっても評価されない──評価基準になる選手がいないということですしね。そんななかで海外に出て勝負しているのが韓国人だと思います。

UAEウォリアーズやBRAVE CFという今も国際戦が組まれている中東の大会に彼らは出て行っていますからね」

──PFLも韓国人選手が出場します。それは韓国にはRIZINのような規模の大会がないことも関係していると思います。

「そうですね。国内にメジャーがない。ROAD FCの調子が良かった時は、多くの選手がROAD FCを目指していたと思うんです。中東に行かなくて」

──UFCでないゴールがありました。

「今は韓国にはそこがない。だから、彼らは海外に出て行っている」

──平良選手もまずは修斗のベルトと考えているでしょうが、その先の青写真はしっかりと描く必要があるということですね。

「修斗って、特別なベルト、歴史がある。これは特別だという見せ方がありました。でも今ではどこかに行くためのベルトじゃないですか。

『お前が言うなよ』と指摘されることは承知のうえで、だったら最初から通行手形だって言えば良いのにって思います」

──その通りですね。同時に修斗も戦うという姿勢を持っているのは、ストロー級王者の箕輪ひろば選手だけだと思います。他のチャンピオンはONEやRIZINで戦い、ベルトは返上という選択をしていますし。

「なら、完全に通行手形じゃん? もう通行手形だって言えば良いのに。いつまでがプレミアムなベルトだったのかって。だから今の選手は自分の見ている先を考えると、そこまでベルトに拘る必要があるのかと」

現在開催されているBRAVE CFフライ級王座決定トーナメントに参戦中のアリ・バガウディノフ(C)BRAVE CF

──一応ONEは王者になれば、契約という話がありました。そしてUFCは通行手形になっていない。

「だから僕なんかは、ベルトに拘る必要なく田中選手がPXCに行ったような選択を修斗で戦っている選手も選択して良いと思います。今の感じだと」

ACAフライ級王者はHEATに来日経験のあるアザマット・カレフォフ(C)ACA

──例えばBRAVE CFだとフライ級にはアリ・バガウティノフ、ホゼ・トーレス、ダスティン・オーティズというUFCベテラン、そしてムハマド・モカエフのようなダイヤの原石がいます。

王者→UFCもしくはBellatorというレールが最も明白なLFAのフライ級王者はヴィクター・アルタミラノだ(C)LFA

「ハイ、BRAVE CFのフライ級はレベルが高いです。バガフティノフに勝ったのは誰だといえば、堀口選手になるわけで。そういう話なんですよね。

それか評価の遡上に確実になっているロシア、ACAへ行くとか。田中選手みたいにLFAを選ぶとか。勝って、そこからUFCへ行く──そういうことを考える時代だと思います」

──それが日本の現状だと。

「良い、悪いではなくて、結果としてどこもが内向きになっています。内向きになるのは商売のことを考えると、悪くはないです。でも同時にリスクもある。尻つぼみにはなっていくんです。そこはバランスで、内向きになりつつ外もある程度見ておかないと、選手も頑張れなくなるかも──と僕は思います」

The post 【Special】月刊、青木真也のこの一番:3月─その弐─平良達郎✖前田吉朗─02─「完全に通行手形じゃん?」 first appeared on MMAPLANET.