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Interview J-CAGE ONE Road to ONE02 ブログ 宮田和幸 田中路教

【Road to ONE02】田中路教とグラップリング戦、宮田和幸「今は失うモノがないので、極めたいです」

Kazuyuki Miyata【写真】昨年3月にはBrave FightとGrachanの合同興行で引退式も行ったが、そのヘラクレスボディに変わりはない(C)MMAPLANET

4月17日(金)に開催されるRoad to ONE02で、田中路教とグラップリングマッチで戦う宮田和幸。

一昨年大晦日にMMAを引退した宮田だが、Quintetに出場するなど組み技では実戦をこなしてきた。それでもBraveというジムを持ち、選手のマネージメントばかりか大会を開催するなど多忙な宮田が、新型コロナウィルス感染拡大で、今も大会を行う姿勢を持ち続けている同大会で田中と戦う。

なぜ、今、ここで五輪レスラーの肩書を持つ宮田が戦う必要があるのか。そして、田中とのグラップリングでは何を見せたいのかを訪ねた。


──いきなり失礼な話なのですが、世の中がこのような状況ですし宮田さんは、今大会欠場するのではないかと思っていました。引退した選手が、試合も練習も社会的に何を言われるか分からないという時ですし。

「正直、大会は中止か延期で試合がなくなると思っていました。ただ……現役の時にサステインの坂本一弘さんと口約束的だったんですけど、修斗に出場すると言っていたことがあったんです」

──そんなことがあったのですね。

「ハイ。2012年の年末ですかね。それが三崎和雄選手の引退大会をHEALEOがDEEPとやることになり、僕がメインで戦うことになって(※キム・ジェウンに勝利)、日程がかぶってしまったんです。相手は誰だったか……若手の強い選手と戦う約束していた大会に出られなくなって。その時は坂本さんにもお詫びにもいきました。

だから今回、坂本さんから話をもらって……Road to ONEという大会ですけど、これであの時の約束を果たせる。そこに尽きますね、今回試合に出るのは一番はそこです」

──では、オファーがあった時に気持ち的に楽になりましたか。

「そうですね。グラップリングは練習していますし、これからも機会があれば試合に出ようと思っていたので。あの時の約束を果たせます。それにこの大会を開くということは色々と大変なことがあるでしょうし、総合だったらアレですけど出ないとは言えないです」

──階級はONEのフェザー級、70.3キロです。当日計量ですが、MMAを戦っていた時の事実上1階級上の体重で戦うというのは?

「現役の時と体は変わっていないですし、普段から太らないようには心がけています。体重も70キロから71キロなので、朝ごはん食べないで出れば大丈夫です」

──そこまでシェイプを保っているのですね。では対戦相手の田中選手については、どのような印象を持っていますか。

「本来は1階級下の選手ですよね。ただ僕は筋肉があるからデカく見られますけど、そうでもないですし……レスリングの時と同じで、引退するときは若い強い選手とやりたかったんです。田中選手も30歳になるかというところですけど、世代の違う強い選手と戦いたかったので良い相手だと思います」

──グラップリング練習はどのぐらいの頻度で行ってきたのでしょうか。

control「ほぼ毎日やってきましたよ。出稽古はしないので、Braveの芦田(崇宏)だとか、武田(光司)とかと」

──単純に気になってしまうのですが、DEEPライト級チャンピオンで同じくレスリング出身の武田選手とグラップリングの練習をして、どちらが強いのでしょうか。

「グラップリングだけだったら、まだ内弟子達に負けることはなないですね。大丈夫だと思います」

──!! 宮田さん、えげつないですね(笑)。

「まだ練習しているんで、そこは(笑)」

──2016年3月のGrandslamで宮田さんが先ごろ引退した金原正徳選手とグラップリングマッチをした時、試合早々に肉離れを起こしてしまったことが、今も残念でならないんです。レスリング五輪代表とケージレスリングも猛者の対決として、凄く楽しみにしていたので。

「DJ taikiと試合をしたときに太腿を肉離れして、あれからずっと調子が悪い時だったんです。で開始早々にタックルを切った時に、ブチっといってしまって。あの時は寝技よりもレスリングをやろうと思っていたのに、それができなくて……ディフェンシブな試合になってしまい、見てくれている人達に申し訳なかったです」

──その状態で金原選手の攻撃を切り続けたのは、逆にとんでもないことかと思います。

「いや、あの試合は金原君が僕のケガに気付いていなかったから、凄く慎重になっていたと思います。彼が気付いていたら、やられていました」

──気付かせなかったのも化け物ですね。あの試合があるからこそ、今回はという意気込みはありますか。

「そうですね……あの試合もそうですが、DREAMで戦っている時にフェザー級は日本人が多くて、1試合でも負けたら干されるというのがあり、極めよりも勝ちに走っていました。

今は失うモノは何もないですし、とにかく極めたいなと思っています」

──このルールは宮田さんが最も得意とする部分かと。

「そうだと思います。絞って65キロ、当日計量の70キロなら凄く自信があります。出稽古は殆どいかないのですが、たまに他のジムの選手が来てくれて手を合わせても、まだやられることはないですし」

──田中選手が『テイクダウンできる』と言っていましたが。

「レスリングに関しては正直、僕も最近はやっていないから……最近というかずっとやっていないので何ともいえないです」

──えっ?

「でも、そう簡単には倒れないとは思います」

──日本ではレスリングはいつまでもテイクダウンという風に見られがちですが、この試合に注目する目の肥えたファンは宮田さんのコントロールと、田中選手のスクランブルに注目しているかと思います。

haedrock「ホントはレスリングは散々やってきたので極めを見せたいんですけどね。でも田中選手は完全なMMAファイターだし、寝技を見たい人がいるのかなってところで、正直迷っています(笑)」

──いや、もうそれは勝利を目指してどのような戦い方でもしてください(笑)。

「そうですね。レスリングで勝負するのか、寝技に持っていくのか。下からもできなくはないので。何がきても対応できるようにしたいです」

──ケージレスリングに関しては、どのように捉えられていますか。

「ケージレスリングはそんなに得意じゃないです」

──え~っ!!

「レスラーはケージは嫌いだと思います。ケージがないと無敵ですけど、ケージには特殊な技術が必要になってくるので、僕はそんなに得意じゃないです。でもレスリング技術の差で補っちゃっています」

──ジムにもケージは置かれているじゃないですか。

「内弟子は使っていますけど、僕はそんなに使わないです(笑)」

──なるほど。まだまだ予断は許さないかもしれないですが、この試合を楽しみにしているファンに一言、お願いします。

「最近、グラップリングが世界的に流行してきて、僕も得意な分野なので楽しんでもらえればと思います」

──もちろんコロナ収束後になるかと思うのですが、またグラップリングで戦う意向は持たれていますか。

「ハイ、アブダビに出たいです。前から出たかったんです。良いルールだし。足関節の対処は重要になってきますが、指導もしていかないといけないので、僕も足関節は採り入れているんです。そういうところで戦っていくのも楽しみです」

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DEEP JEWELS29 DEEP95 J-CAGE News ブログ 佐伯繁

【DEEP95 & DEEP JEWELS29】5月6日のDEEPとJEWELSがダブルヘッダーが中止。聖地・後楽園も臨時休園に…

DEEP & JEWELS【写真】JEWELSでは3階級のタイトルマッチとKINGレイナのキック戦、DEEPでは2階級のタイトル戦、DJ.taiki✖小見川道大戦など興味深いカードが揃っていた(C) MMAPLANET

7日(火)、DEEPの佐伯繁代表がSNSで5月6日(水・祝)に東京都文京区の後楽園ホールで開催予定だったDEEP JEWELS29とDEEP95 IMPACTの中止を発表している。

「2020年5月6日(水・祝)に後楽園ホールで開催する『skyticket Presents DEEP 95 IMPACT』と『skyticket Presents DEEP JEWELS 29』を新型コロナウイルスの影響により中止とさせていただきます。なお、チケットの払い戻しについては後日DEEPオフィシャルHPで案内させていただきます」というSNSでの佐伯代表の発表約1時間後に、安倍首相が東京都、神奈川県、埼玉県、千葉面、大阪府、兵庫県、福岡県の7都市に5月6日までの改正特別措置法(新型コロナ特措法)に基づく緊急事態宣言を行っている。

また会場となる後楽園ホールもDEEPの中止発表以前に、東京ドームシティとして臨時休園を明日4月8日(水)から「当面の間」行うことを明らかとしていた。DEEPとしては4月12日に予定されていた大阪大会に続く、新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けての大会中止となる。


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J-CAGE News Nexus20 ブログ

【NEXUS20】ネクサス20とGAMES03がそれぞれ、5月17日→8月29日&5月31日→8月30日にスライド

NEXUS【写真】選手には減量を含めた準備が必要。緊急事態宣言ではジムの閉鎖もより進むことも予想されるだけに……(C) MMAPLANET

7日(火)、Fighting Nexusより5月17日(日)に東京都新宿のGEN Sports Palace で開催予定だったNEXUS20~初代フェザー級王者決定トーナメント2回戦~と同31日に大田区のゴールドジム・サウス東京アネックスで予定されていたNEXUS GAME03の延期を発表した。

両大会はそれぞれ、8月29日(土)の新宿FACEと同30日(日)に同じくゴールドジム・サウス東京アネックスでスライド開催することとなった。

「無観客での開催も考えましたが弊社イベントでは試合数が多いこともあり、無観客だとしても選手、関係者、スタッフで100人を超える人が集まってしまうので今回は選択肢から外しました」という団体の方針がリリースで説明されていた。

その言葉にあるように、プロ大会でもセミプロ、アマチュアの試合を組み試合数が多いのがネクサスのカラーでもあり、無観客大会を選択しないのは十分に理解できる。また今回の変更により、フェザー級王座決定戦トーナメント2回戦は、初戦のケージからリングを使用して行われることになりそうだ。

なお大会のスライド発表直後になされた改正特別措置法(新型コロナ特措法)に基づく緊急事態宣言の期間は5月6日となっているが、選手の試合の準備等を鑑みての決定というのは想像に難くない。


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Interview J-CAGE ONE Road to ONE02 SARAMI ブログ

【Road to ONE02】「アレをチャラにしないといけないから」鈴木祐子と対戦予定だったSARAMI─01─

Sarami【写真】「格闘技には関しては真っすぐ」というのが、北岡悟のSARAMI評。既に体重も創り始めていた……(C)MMAPLANET

17日(日)に東京都渋谷区の渋谷TSUTAYA O-EASTで開催されるRoad to ONE02に出場予定のSARAMI。

本来、同大会は12日にニューピアホールで行われる予定で、そこで鈴木祐子と対戦することが決まっていたが、日時変更と無観客大会の決定以前に鈴木欠場の報が彼女には届いていた。

3月30日、対戦相手の欠場が伝えられ、大会開催は現状として絶対とはいえないなか、SARAMIの想いを尋ねた。


──色々と不安点な状態で試合が近づいてきています。

「もともと4月16日に決まっていたONE Warrior Seriesが延期になってしまって、それなら12日のRoad to ONEで試合をしないかと言ってもらえ……3週間ぐらい前ですかね。で、すぐに『やります』と返答しました。ただ、その時点から大会を本当に開くことができるのかというのはありました」

──ONE WSのオファーはいつだったですか。

「1月です。年が明けた時点で4月にと。それが1月の終わりに2月にどうかと尋ねられたのですが、それは急すぎるので無理ですって返答して。もう、対戦相手もウォリアーで2勝している豪州人選手(※クリスティ・オブスト)に決まっていたんです。でも、結果的に4月にしたいということで……こういう風になってしまって」

──それは致し方ないです。誰も予測できなかったことですし。万全を期して戦う選択を誰もしたいはずです。いずれにせよ今回の試合は昨年10月にキム・ソユルに敗れて以来のファイトになる予定でした。

「ハイ」

──今、この状況になっていなくても半年ぶりの試合になります。ウォリアーを選択したのはSARAMI選手ですが、日本のプロモーションに残っていればもっと頻繁に試合ができたのではないかという見方もあります。

「そうですね……。JEWLESでタイトルマッチで負けてしまって。もう同じ相手と戦うようになっていたので、あのなかで格闘家人生が終わってしまうのは嫌だという想いが、まずありました。

これまでも海外(PXCROAD FC)で試合をしていたので、また海外で戦いたかったです。だからONEに出たいというのを北岡さんに伝えて、それは無理だけどウォリアーなら出られるということでこうしたので。

日本の団体にいたら試合はもっとできたと思います。でも、もうキャリア的にも年に4試合とかする時期ではないと思っています。う~ん去年は2試合だったので、もう少ししたかったです」

──例えば黒部三奈選手は修斗で新設される女子スーパーアトム級王座を獲ってONEへという青写真を描いています。

「良いですよね。上手くいっている感じで(苦笑)。私がウォリアーで戦うと決めた時に、あのトーナメントの話はなかったですし。これは言っちゃって良いのか……JEWELSに出ていた時ですけど、パンクラスに出たいと言ったこともあったんです」

──どうしても対戦相手が一回りすると、戦場は変えたくなりますよね。それは男子選手も同じだと思います。

「でも、その時はアトム級の試合は組んでいないということだったので。まぁ、今は組んでいるし──タイミングや自分の実力不足で仕方なかったんだと……」

──究極、勝っていると発言力もできて選択肢も増えるのが格闘技で。そういう決意で選んだウォリアーシリーズですが、10月に日本で敗れたというのは?

「あの試合は勝てる相手だったと思います。あんまり思い出したくないけど……あぁ、これで泣いたら、また泣くキャラになっちゃう……。

良くないことが積み重なって、自分で負けにいってしまった。あの負けはなかったことにならないので、アレをチャラにしないといけないから、早く試合がしたいというのはあります。だからウォリアーがなくなって、Road to ONEからオファーを貰えた時はありがたかったです」

──対戦相手が、取材前に欠場が決まった鈴木祐子でした。キャリア的に見ると、かなり差がある相手ではあったと思います。

「ですよね。やる必要があるのかとは思いましたけど、試合がしたかったですし」

──ONEに行きたい選手同士が、ここで日本人対決をする。しかも日本では格上だったSARAMI選手との試合を受けた鈴木選手も強い決意だったのだろうと思いました。

「キャリア的にはそうだけど、ウォリアーでいえば彼女は2勝をしていて私は1勝だし。これは消化試合じゃないので受けました。勝って当然でしょと皆が思う試合だし、私もそう思っていました。でも、私は去年の10月に負けていて、彼女は逆転で2勝目を挙げた。

ああやって勝つってことは、実力がついてきているからで勢いもある。ちゃんとしないといけないと思っていました」

──しかし、あと2週間というところで(※取材後に大会が17日に変更された)試合が宙に浮いてしまいました。鈴木選手が出られないという連絡を受けたばかりですが、どのような気持ちになりましたか。

「もう……まぁ仕方ないといえば仕方ないです。それは世間的にも……」

<この項、続く>

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J-CAGE News ONE Road to ONE02 ブログ 世羅智茂 青木真也

【Road to ONE02】17日&無観客大会に変更。メイン出場の青木真也は「生きるために格闘技をしている」

Shinya Aoki【写真】当然、批判の声も挙がるだろう。これが青木真也の生き様だ(C) MMAPLANET

3日(金)、サステインより12日(日)に東京都港区のニューピアホールで開催される予定だったRoad to ONE02(Road to ONE実行委員会主催)が、日程・会場ともに変更され17日(金)に渋谷区の渋谷TSUTAYA O-EASTで、無観客大会として行われるという発表があった。

無観客、ウィークデーでの大会は、週末の外出自粛を求める東京都始め行政の要請により忠実に従うことを念頭に決定され、会場ではサーモグラフによる検温、手洗い&うがい、試合中の選手とレフェリー以外の関係者のマスク着用と新型コロナウィルス拡大防止策に取り組むとリリースには明記されている。


キックでWKBA世界ウェルター級王者・緑川創が西川大和と相対するなど、ムエタイとキックの試合が2試合追加された今大会、メインは青木真也✖世羅智茂もグラップリングマッチに決まった。また日程の変更に伴い西浦ウィッキー聡生✖論田愛空隆は5月31日の修斗後楽園ホール大会にスライド、後藤丈治と対戦予定だった祖根寿麻、SARAMIと対戦予定だった鈴木祐子が欠場し、代役が決定し次第アナウンスされるとのことだ。

大会キャッチで「今こそ、本物かどうかが問われている」と銘打たれた同大会のメイン出場となった青木真也は、リリースに今大会の実現、出場に関して以下のようなコメントを寄せている。

青木真也
「ずっと生きるために格闘技をしている。
今やらなくていつやる。最初から命張っているのだから、いまさら恐れることはないだろう。
本物かどうかが問われている…どころではない。
今、何者かが見えるのだ。リスクを負わない正論か、リスクを背負った現場の声か。
青木真也の思想信念、主義主張を無理やりにでもメインに置いてこよう。
37歳を迎えようとするロートルのグラップリングマッチにメインを取られることを他のファイターはよく考えた方がいい。僕だったら耐えられないことだから」

なお今大会はAbema TV格闘チャンネルで全試合がライブ配信される。


             

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Interview J-CAGE JJ Globo ONE Road to ONE02 ブログ 世羅智茂 青木真也

【Road to ONE02】青木真也とケージグラップル、世羅智茂─01─「包み込まれるような組まれ方を……」

Sera【写真】即答、まさに今を生きる選択だ(C)MMAPLANET

12日(日)に東京都港区のニューピアホールで開催されるRoad to ONE02で、青木真也とグラップリングマッチに挑む世羅智茂。

世羅に青木との戦いを飲んだ理由を尋ねると──「断る理由がなかった」と、間髪入れず返答があった。


──青木真也選手とのケージでのグラップリングマッチ。オファーが来たのは、いつ頃なのでしょうか。

「先々週の月曜日だったと思います。『やります』と即答しました。メッセンジャーで石川(祐樹・カルペディエム代表)さんから連絡がきて、断る理由がなかったです」

──自身の気持ち、感情としてやるしかなかった?

「感情と言うか、やる以外なかったです。基本、試合は断らないです。あまり断った記憶はないです。Quintetや今成さんと戦った時もそうですし。それに今回の試合は自分のなかではメリットしかないと思っています。

負けるのは怖いですけど、そこでビビるのはよろしくないです」

──対戦相手が青木真也だから特に戦いたい……仮に早い者勝ちだったら、いの一番に手を挙げるというようなことはありましたか。

「仮にそういう状況だったら、すぐに手を挙げます。青木さんのことは日本ではもちろん、世界的に……MMAも柔術の人も知っているじゃないですか。もしかすると自分のキャリアの中で、一番注目される試合になるかもしれないと思います。だから、断る理由はなかったです」

──青木選手の純粋なグラップラーとしての技量はどのぐらいだと思っていますか。

「青木さんは基本MMAのグラップリングをやっていると思うのですが、最近はIGLOO柔術で岩本(健汰)君や山中(健也)君、イゴール田辺選手と練習しているので、その辺りの知識は勿論あるだろうし、対応もしてくる。ただのMMAグラップラーでないことは認識しています」

──今成選手とケージでグラップリングマッチを行いましたが、ケージでMMAファイターとグラップリングを戦うのとマットで柔術家とノーギで戦うのは気持ち的に違いはありましたか。

「ケージを使う攻防が出てくるという違いはあります。柔術やグラップリングは基本、壁はないので。そこを利用されての向うのペースになるというのは頭には入れています。いっても青木さんは何でもできて、全部のレベルが高いですが、金網に押し込まれてテイクダウンという攻撃は、あくまでも手段の一つとしてあるだろうと想定しています」

──壁レスなどの練習もしているのでしょうか。

「そんなに量は多くないですけど、やっています」

──その時の練習相手は?

「カルペディエム三田では、壁を使ったそういう練習もしているので、三田のスタッフとしています」

──三田にはMMA選手が練習に来ているようですが、彼らとは?

「最近はMMAファイターが来ていないので、そこまではできていないです。三田のスタッフに『ちょっと壁使ってよ』という程度ですね」

──柔術、グラップラーにとって壁レスリングは必要ない技術かと思います。

「まぁぶっちゃけて言えば、そうです。無視して良い、全く練習する必要はないです。でも僕は元々UFCとか好きで、割と壁の攻防を楽しんで見ている方なので、無駄といえば無駄かもしれないですが、そこは楽しくやっています」

──とはいっても、世羅選手は上の取り合いをする必要はありませんよね。座れば良い。

「それは勿論あります。その確率がどれぐらいかは分からないですが、青木さんと向き合ってみて何を選択するのか──ですね」

──今成選手との試合は、相手に合わせた感も少し感じました。

「アレは警戒し過ぎました。あそこは反省しています。警戒し過ぎていました。結果論ですが、もっと思い切りいけば良かったと思います」

──では青木選手と向き合って、最も警戒が必要なのはどのような点でしょうか。

「リーチとかじゃないでしょうか。青木さんの印象って、凄くリーチが長くて、懐が深い。包み込まれるような組まれ方をするんじゃないかと思います。そういうことを練習では体感できないので、実際に体面したときに如何にビビらずに対応できるのか。大丈夫だとは思いますが、実際に組まないとその恐怖は分からないので」

──青木真也対策を特定のパートナーとしてきたということは?

「特に誰かというのはないですけど、自分のなかで意識してそういう攻防には集中しようとかという感じです。練習相手に青木さんの動きをコピーしてもらうとかは特にせずに……自分のなかで危ないシチュエーションだとかを意識してやっています」

──青木選手といえばテイクダウンからバック、あるいはテイクダウンの途中の攻防でバック奪取&チョークかと。

「そこが必殺パターンですね。一番怖い状況です。バックを取られると逃げられるかどうかは微妙だというのは、自分のなかではあります。MMAでもバックを取られるとチョークでやられているので、そこに一度ハマると怖いです。特に1Rなのでバックを取られてそのままずっとバックキープされて終わるというのも、最悪あるかと」

──では極めの部分においては?

「全体のレベルが高いと思いますが、バックチョークが一番強いと思います。バックからのチョークは一度、その態勢に入ると危ないと思っています」

──この勝負、青木選手の動きに対し、世羅選手の防御力、攻撃を切る力に掛かってくるのかと予想しています。

「先に攻めたいですよね。今成さんの時に思ったのが、研究し過ぎて警戒し過ぎてしまった。もちろん研究もしますが、自分のアタックをしないといけないとあの試合で感じたので。青木さんとの試合では……難しいところですねぇ。攻めて自爆すると危ないのですが……でも自分から攻める、先に攻めることは忘れたくないです」

<この項、続く>

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Interview J-CAGE ONE Road to ONE02 ブログ 宮田和幸 田中路教

【Road to ONE02】宮田和幸との金網組技戦に挑む田中路教─02─「頭が柔らかくなった、素晴らしい時間」

Nori【写真】パウンドを頭にいれないグラップリングが田中に何をもたらすのか (C)MMAPLANET

4月12日(日)に東京都港区のニューピアホールで開催されるRoad to ONE02で、宮田和幸とグラップリングマッチを戦う田中路教インタビュー後編。

グラップリングとMMAは別物であり、MMAグラップリングと純粋グラップリングも別物。ただし、MMAにおいて純粋グラップリングの技術や動きで試合を制することもできる。そのうえで、MMAファイターは純粋グラップリングに時間を割くことや、打撃のないグラップリングを頭の軸にそえて戦い、練習に取り組むことはできない。

だからこそ人生初のグラップリングファイトに向けて、この時間がMMAファイター=田中路教にとって貴重な刻となっていた。

<田中路教インタビューPart.01はコチラから>


──自身のMMAを立て直すために、昨年3月のウラジミール・レオンティブ戦は結果的に良い機会になった感じでしょうか。

Nori 01「自分の現状が理解できた試合でした。そこは良かったと思っています」

──あの試合は、あれだけドミネイトしながら極め切れなかった。そういう部分で試合後から矯正したことがありましたか。

「取れなかったことに関しては、すぐに試合後に嶋田(裕太)君に聞きました。ただ、あの試合ではフィニッシュできなかったことではなく、根本的な部分が足りていないと感じていました。あの試合から今までそこを改善するための時間だったと思います」

──名前が出た嶋田選手は去年の9月の終わりから米国へ行き、その前も東京の家を引き払って実家のある茨城県に戻っていました。

Nori 02「今回の試合が決まってグラップリングに集中してスパーリングをしていると、嶋田君に言われたことをドンドン思い出すんです。

本当はそこを普段の練習でも意識してできれば良いのですが、なかなかMMAをやっているとグラップリング一つに集中はできない。そのなかで、今回はそれができました。そうすると『嶋田君があの時、こう言っていたな』とか、『あっ、この場面でこういう動きをすれば良いんだな』ということがあって勉強になったんです」

Nori 03──MMAに専念すると、忘れがちなグラップリングの動きを思い出すと、MMAに生きるのでしょうか。

「もちろん、そうなると思います。本当は普段の練習で細かく意識できれば良いのですが、そこは僕は不器用で、苦手なの部分で。MMAが軸にあるとここまで、一つ一つ全体を深く掘っていけないんです。それが今回の試合のために凄くグラップリングに集中できたので、良い時間になったと思います」

──では、この試合でしないといけないことは?

「テイクダウンを取ることと、一本を取ることです」

──それが今日のスパーリングで見せていた、変な飛びつき三角に通じているのでしょうか(笑)。

「アハハハ。確かにアレはMMAに通じていないです(笑)。でも、この試合はパウンドなしの攻防になるので……。さっきも言ったようにこれまでグラップリングの練習をしているときも、常にパウンドがあることを意識して動いていたのが、グラップリングの試合に出るので、そこを意識すると勝つ可能性が下がってしまう。なので、飛びつき三角とか普段は出さない動きも仕掛けています」

──MMAは最適化、そして効率の良さが練習に求められると思います。ただし、何が起こるか分からないMMAで田中選手が飛びつき三角で勝つことが絶対ないとは言い切れない。だからこそ、この試合に向けての練習は良い時間になっているという言葉の裏付けだと思います。

Nori 04「ハイ、頭を柔らかくすることができました。一つに絞られた練習をすることで、こういう動きがあるんだっていうことを感覚としてできるようになったので。またMMAの練習に戻るとできなくなるかもしれないですが……とりあえず、こうやって一つのことに集中して、一つの目標に向かっていくことが素晴らしい時間だというのは、改めて感じています」

──このグラップリングマッチが田中選手のMMAに生きることを期待しています。

「そうですね、そうなると思います。MMAにとってプラスになるし、僕の人生にとってもプラスになると思っています。今回、グラップリングが2試合組まれているんですけど、青木さんと世羅選手のグラップリングと、僕と宮田さんのグラップリングは全然変わった形の試合になると思います。

Nori 05僕自身、グラップリングの試合は初めてでどういう試合ができるのか、どういう風になるのか分からないのですが……そのなかで魅せられるものがあるんじゃないかと」

──コロナ騒動で大変な状況で、人々に格闘技を見てもらって元気になってほしい?

「う~ん、そういうのは……(苦笑)。世の中、こんな風になっていますが、僕自身は練習ができているので……それが危険かもしれないのですが、とりあえず予防も含め自分にできることをやっていきます」

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J-CAGE News PFC24 ザ・タイガー石井 ブログ 山本喧一 田中智也

【PFC24】北海道MMA=PFCの5月9日大会の延期決定。「再度万全の準備をしていきたい」(山本喧一)

PFC23【写真】3月大会は行われた道産子MMA=PFCも5月大会の延期が決まった(C)PFC

31日(火)、PFCより5月9日(土)に札幌市西区の琴似コンカリーニョで、フライ級T決勝=ザ・タイガー石井✖田中智也をメインに開催予定だったPFC24の延期が発表された。

PFC山本喧一代表より、以下のような延期についての説明がリリースでなされている(要約)

山本喧一
「北海道からスタートした感が否めないコロナウィルス問題ですが、現在北海道は一時期よりは落ち着きを見せております。が、コロナ問題は東京を中心に本州全体に広がりを見せており、ジムの自粛など選手の練習環境も多大な影響を出し始めています。出場選手を取り巻く様々なマイナス要素など、練習に集中出来ない影響を鑑みて延期を決定致しました。

今後は情勢を見ながら5月以降、新型コロナウィルスの収束状況を見ながらにはなりますが、6月もしくは7月に向けて再度万全の準備をしていきたいと思います」