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【Pancrase337】北岡イズム。葛西和希戦へ、松岡嵩志─02─「どうにかなるは、勝負じゃなくて博打」

【写真】濃いキャリアを送っている松岡。さらに濃くするために負けられない葛西戦だ(C)MMAPLANET

明日24日(日)、東京都の立川ステージガーデンで開催されるPANCRASE337で、葛西和希と対戦する松岡嵩志のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

右を主体にKOを生み出してきた松岡だが、トップ選手との対戦が増えるにつれ、右を打つ瞬間を狙われることも増えてきた。そんななか、松岡はいかに「自分の弱さ」を克服してきたのか。前回の岡野戦で進化した姿を見せた松岡が語る葛西戦と、北岡悟イズム――。

<松岡嵩志インタビューPart.01はコチラから>


――岸本戦に続く粕谷優介戦は、衝撃のKO劇でした。

「ちょうど粕谷選手が調子を落としていた時期だったと思います。でも、そのチャンスをモノにできたことは大きかったですね。以降は対戦相手に実力者が続くようになって」

――粕谷戦のあとは松本光史選手、冨樫健一郎選手、雑賀ヤン坊達也選手、そして岡野裕城選手と対戦しています。文字通り強豪と対戦し続けていますね。

「勝った試合も負けた試合も、胸を張って『強い相手だ』と言える選手ばかりでした」

――仰る通りです。ただ、松岡選手といえば右ストレートが強いというイメージがありました。しかし松本戦と雑賀戦は松岡選手の右にパンチを合わせてきました。

「正直、あの2人が素晴らしい選手であることは間違いないです。松本さんは今でも一緒に練習させてもらっていて。メチャクチャ強いですし。雑賀選手も試合前から『シンドイ相手だな』と思っていました。それよりも自分の弱い部分が出てしまいました。

最初に試合をコントロールし始めたのは自分なんですよね。それは2人の強さに焦りを感じて、早く試合を決めたいと思ってしまったからなんです。それで突っ込んで、負けてしまう。今までのKO負けも全て同じで、弱い自分が出てしまって負けることが多かったので。この2試合も相手のプレッシャーが強いからこそ、それが出てしまったんですけど……。あれは北岡さんからも『技術で負けたわけじゃないけど、気持ちの面が出てしまうけど、この結果になってしまうよね』という話をしてもらいました」

――直近の岡野戦は、2つの敗戦を踏まえて戦術の変更があったのですか。

「戦術というよりは、とにかく突っ込まないようにしました。自分にとって良い状況になったり、あるいは自分が追い込まれた時には、どうしても得意な右に頼ってしまいますよね。右を当てればどうにかなるというのは勝負じゃなくて博打ですから」

――「勝負ではなく博打」、とても良い言葉です。

「そういう意味では、岡野選手との試合は良かったと思います。岡野選手のジャブは本当に凄くて、それでも我慢して蹴ったり、テイクダウンのフェイントを混ぜたりして勝負できたので。あまり自分が崩れることもなく勝てたので、自分の中では満足しています」

――岡野選手が左ジャブを出してくると、右を被せるかインサイドから打ち込みたくはなりませんでしたか。

「やっぱり狙ってしまうところはありました。でも岡野選手のリーチが長いのと、顔を後ろに背けるディフェンスをするので、右クロスは当たりづらくて。それも踏まえて左フックまで返して。右は打ちたくなります。要は、いかにして良い右を打ち込むか。重要なのは、そこですよね」

――もうひとつ、松岡選手といえばローの強烈さが印象深いです。ローが当たっている時ほど右ストレートも当たるようになっていて。

「そうですね。岡野戦でも右ローがバシバシ当たっていて。蹴ると体のバランスが良くなります。実は冨樫さんとの試合は足を痛めていて、『これは蹴れないな』と思っていたんです」

――えっ! でもバシバシ蹴っていましたよね。

「アハハハ、そうなんですよ(笑)。試合前は、たとえ蹴れなくても蹴るフェイントを入れれば体のバランスが戻ってくるから、フェイントだけは入れていこうという話をしていました。だから蹴りは生命線というか、すごく重要な武器です」

――次に対戦する葛西選手も蹴りが得意なファイターです。

「柔道出身だからグラップリングをやるのかと思ったら、最近はキレのある蹴りを打ってきますよね。負けたけど粕谷選手との試合も良かったですし、あの小気味よい蹴りは僕も嫌いじゃないです(笑)」

――対戦相手の蹴りが好みですか(笑)。

「粕谷選手はメチャクチャ強くて、あの試合を物差しとしては考えられないですよね。僕と粕谷選手では違いすぎるという意味で。僕には粕谷選手ほどのテイクダウンやグラップリング力はない一方で、打撃面では粕谷選手ではなく葛西選手のほうがコントロールしていたと思います。とにかく次の葛西戦が厳しい試合になることは間違いないです」

――その葛西戦では、どういった試合を見せたいですか。

「正直、試合で何かを見せるということは考えたことがないです。もちろん良い試合、良いKOを見せることができれば、それに越したことはないです。でも勝負をしていれば、ハマる人にはハマると思いますし。僕としては勝ちを求めるだけで、自分が勝ちに行く過程で何かを見せられたら――あとは観ている人が判断してほしいです」

――その言葉はまさに北岡イズムですね。

「あぁ、確かにそうですね。でもそれは北岡さんにお世話になるなかで、僕が北岡さんに染まってきたわけじゃないんですよ。ロータスに行きたいと連絡する前から、北岡さんの意見に共感することが多くて。だから僕のほうから北岡さんに『練習させてもらいたい』と連絡しました。僕も勝利至上主義なので」

■Pancrase337計量結果

<フェザー級KOP決定戦/5分5R>
亀井晨佑:65.75キロ
新居すぐる:65.65キロ

<ウェルター級/5分3R>
藤田大:75.5キロ
住村竜市朗:77.55キロ

<ストロー級/5分3R>
八田亮:52.75キロ→52.6キロ
黒澤亮平:52.55キロ

<ウェルター級/5分3R>
押忍マン洸太:76.65キロ→77.55キロ
川中孝浩:76.95キロ

<バンタム級/5分3R>
井村塁:61.35キロ
河村泰博:61.65キロ

<フェザー級/5分3R>
平田直樹:66.25キロ
遠藤来生:66.0キロ

<フライ級/5分3R>
秋葉太樹:57.05キロ
ムハンマド・サロハイディノフ:57.05キロ

<ライト級/5分3R>
余勇利:70.55キロ
神谷大智:70.55キロ

<バンタム級/5分3R>
山口怜臣:61.6キロ
安藤武尊:61.0キロ

<ライト級/5分3R>
松岡嵩志:70.15キロ
葛西和希:70.6キロ

<女子ストロー級/5分3R>
KAREN:51.85キロ
高本千代:52.0キロ

<バンタム級/5分3R>
矢澤諒:61.8キロ→61.65キロ
笹晋久:61.4キロ

<フライ級/5分3R>
梅原規祥:57.05キロ
饒平名知靖:56.1キロ

<ウェルター級/5分3R>
佐藤生虎:77.5キロ
渡邉ショーン:77.0キロ

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【Pancrase337】ザ・七転び八起き=松岡嵩志─01─「もうMMAは終わり」からの「ダメだ。まだ──」

【写真】1991年生まれの32歳。雑賀ヤン坊達也、冨樫健一郎、松本光史、粕谷優介、岸本泰昭、横山恭司、牛久絢太郎、林源平、そして──チェ・ドゥホ。これだけの面々と戦ってきた(C)SHOJIRO KAMEIKE

24日(日)、東京都の立川ステージガーデンで開催されるPANCRASE337で、松岡嵩志が葛西和希と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

松岡のプロデビューは2008年。MMAキャリアは14年間と、ベテランの域に達している。しかしその14年間は決して平坦なものではなかった。パンクラスのニューエイジ戦線からトップファイターとの対戦を経て、松岡が打撃主体からオールラウンドのMMAファイターへ進んできた道程を訊いた。


――MMAPLANETでは今回が初のインタビューとなりますが、どうしても松岡選手にお聞きしたいことがありました。雑賀ヤン坊達也戦が決まった際、プレスリリースで「格闘家の3大親方と言えば、藤野恵実、長南亮、そして松岡嵩志だ」と書かれていましたが……。

「アレですか(笑)。昔、専門学校に通っている頃に、あまり練習できていなくて太ってしまった時期がありまして。その時に北岡さんに『親方感が出ている』と言われて、親方という言葉が内輪で広まっていたんです」

――親方と呼ばれる職種でも何でもなかったのですね。

「それもよく言われました。『大工か何かやっているの?』って。僕としては藤野選手や長南さんと並べていただいて、嬉しかったです(笑)。でも藤野選手は僕のせいで巻き込まれていまい、すみません!」

――アハハハ、いきなり余談で失礼しました。まずは格闘技を始めたキッカケから教えていただけますか。

「僕たちは地上波で格闘技を視ていた世代で、中学校を卒業したら格闘技をやろうと考えていました。そんな時、たまたま町田へ遊びに行ったらU-FILE CAMPを見つけて。でも入会してからしばらくはキックボクシングしかやっていなくて、あまり寝技クラスには参加していませんでした」

――そこからパンクラスイズム横浜の所属になった経緯を教えてください。

「2011年ごろにU-FILE CAMP町田からキックボクシングのSTB Japanというジムに移って、ちょうどその頃にパンクラスに出させてもらえるようになりました。そのパンクラスで2015年3月に牛久絢太郎選手と対戦する前に、ロータス世田谷でプロ選手が集まって練習していることを、北岡さんのツイッターで知ったんです。北岡さんに『自分も参加させてもらっても良いでしょうか』と連絡して、そこから北岡さんには本当に良くしていただいています。

当時の僕は、どこにも所属していないフリーの状態で。ロータスの練習に参加し始めたあと、北岡さんからパンクラスイズム横浜が出来るという連絡をいただき、そこに入るしかないと思いました。もともと柔道整復師の資格を取るために専門学校に通おうと考えていたので、学校もパンクラスイズム横浜から近いところを選びました」

――ロータスでの練習に参加したいと連絡した時、すでに北岡選手とは面識があったのですか。

「いえ、なかったです(笑)」

――えっ……面識がない先輩ファイターに連絡するのも、なかなか勇気がいりますよね。

「いきなり連絡するのは失礼かと思いましたが、どうしても参加したくて……。ただ、当時の北岡さんは、傍から見ると本当に怖くて(笑)。『ロータスへ行くと練習で足を壊されちゃったりするのかな』と思いながら行きました。でもお会いすると本当に優しかったです。今でも怖いところはあるけど、あれだけしっかり怒ってくれる人とは、なかなか巡り会えないです。自分としては、ありがたいですね」

――ロータスの練習に参加するまでは打撃主体といいますか、キックボクシングで戦っていたわけですか。

「テイクダウンされなければ勝つ、というぐらいの気持ちで試合をしていました。とにかく組まれたら耐える、倒されたら背中を見せてでも立つという感じで。勝つ時はKO、寝技で一本を取るようなタイプではなかったです」

――当時は徐々に対戦相手のレベルが上がってきて、2015年から2016年にかけて、パンクラスの中でも次の時代を担う選手同士の戦いが繰り広げられていました。しかし松岡選手は2018年まで負けと勝ちを繰り返しており、当時はどのように感じていましたか。

「自分にとっては牛久選手に負けた時が、悪い転換期になったといいますか……。まさに今後上がっていく選手同士の対決だったんです。そこで牛久選手はすごく頑張って――技術的な部分以上に、自分が気持ちで負けたような試合でした。牛久戦以降の4年間は、『もう自分は上に行けないのか』と思って過ごしていました」

――……。

「その頃にはパンクラスイズム横浜に移って、一生懸命やっていました。でも、そこにビジョンがなかったです。ただスパーリングを頑張って試合に出る。その結果、勝つと負けるを繰り返すような時期でした。

実は2019年に入って、MMAを辞めようと考えたことがあったんです。2018年12月に金田一孝介選手とのランキング入りを賭けた試合で、すごい失神KO負けをして。そのあとに柔道整復師の試験があり、『もう柔道整復師の資格を取って普通に仕事をしていく。もうMMAは終わりだ』と思いました。でも国家資格を取得したあとに改めて考えた時、『ダメだ。まだ燃え尽きることができていない』と思って。MMAがなくなった自分の生活を想像できなかったです」

――1度辞めようと決めたからこそ、自分にとってMMAが必要だと気づくことができたのですね。

「そこから技術的な面でも変わってきて。金田一戦に続く平信一選手との試合を経て、組みが強くなったと明確にと思えるようになったのは岸本(泰昭)選手に勝ってからです。もともと技術的な部分では、下位の選手が相手なら勝負できていたかもしれないです。でも本番でその組みを試すのは怖くて。実際に試合で、グラップリングが強い岸本選手に勝つことができて、自信に繋がりました」

<この項、続く>

■Pancrase337対戦カード

<フェザー級KOP決定戦/5分5R>
亀井晨佑(日本)
新居すぐる(日本)

<ウェルター級/5分3R>
藤田大(日本)
住村竜市朗(日本)

<ストロー級/5分3R>
八田 亮(日本)
黒澤 亮平(日本)

<ウェルター級/5分3R>
押忍マン洸太(日本)
川中孝浩(日本)

<バンタム級/5分3R>
井村塁(日本)
河村泰博(日本)

<フェザー級/5分3R>
平田直樹(日本)
遠藤来生(日本)

<フライ級/5分3R>
秋葉太樹(日本)
ムハンマド・サロハイディノフ(タジキスタン)

<ライト級/5分3R>
余勇利(日本)
神谷大智(日本)

<バンタム級/5分3R>
山口怜臣(日本)
安藤武尊(日本)

<ライト級/5分3R>
松岡嵩志(日本)
葛西和希(日本)

<女子ストロー級/5分3R>
KAREN(日本)
高本千代(日本)

<バンタム級/5分3R>
矢澤諒(日本)
笹晋久(日本)

<フライ級/5分3R>
梅原規祥(日本)
饒平名知靖(日本)

<ウェルター級/5分3R>
佐藤生虎(日本)
渡邉ショーン(日本)

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ABEMA MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase334 YouTube パンクラス ボクシング 中村勇太 岡見勇信 村山暁洋 林源平 海外 雑賀ヤン坊達也

【Pancrase334】ウェルター級王座決定戦=村山暁洋戦へ、林源平─01─「熱くなるよりも冷静になる」

【写真】初のタイトル奪取へ、確かな自信が伺えた林 (C)SHOJIRO KAMEIKE

4日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるPancrase334で、林源平が村山暁洋と空位のウェルター級KOPを争う。
Text by Shojiro Kameike

林といえば打撃中心のスタイルで、試合では打ち合いになり危うい場面になることも少なくない。2022年にライト級からウェルター級に転向し、9月の中村勇太では1Rにパンチを食らいながら、2Rと3Rにダウンを奪って判定勝ち。続く12月の押忍マン洸太戦も打撃でケージに詰められながら右ストレートを決めてのKO勝ちだ。そんな林にウェルター級転向と打撃戦について訊くと、この1年間での成長が明らかになった。


──――MMAPLANETでは初のインタビューとなります。よろしくお願いいたします。

「はい、よろしくお願いします!」

――今回の試合が2度目のパンクラス王座挑戦となります。

「そうですね。前回(2020年9月、雑賀ヤン坊達也と暫定ライト級KOPを争い、KO負け)は暫定タイトルマッチでしたが、今回は正規のベルトということで」

――暫定と正規では気持ちも違ってきますか。

「ベルトが懸かっているという意味では変わりません。ただ、前回とは自分の中の自信が全然違いますね。今の自分なら絶対にベルトを獲れる、そういう自信があります」

――それだけ自信がついてきた要因は何なのでしょうか。

「とにかく打撃が進化したことと、階級の変更ですね。ライト級からウェルター級に上げて、この階級が自分に合っているというのは大きいです」

――2021年12月の金田一孝介戦までライト級で戦い、昨年からウェルター級に上げて以降は2連勝中です。ウェルター級に転向した理由を教えてください。

「ライト級時代は、普段のコンディションが良くなかったですね。通常体重は摂生して83キロぐらいでした。そこから試合の時は70.3キロまで落とすので、ライト級の中でもかなりやせ細っていたと思います。GENで一緒に練習している仲間からも『階級を上げてみても良いんじゃない?』と言われていて。実際に階級を上げたら、普段の練習からコンディションが良いと言われるようになりました」

――林選手の身長が181センチ、さらにライト級の中ではリーチも長いですね。その体格だと体重を落とすのもキツかっただろうと思います。しかしウェルター級に上げても体格は劣っていないどころか、相手より勝っていたのではないですか。

「力でも負けているとは感じなかったので、この階級が合っているんだと思います。今はライト級時代ほど摂生する必要はないし、練習でも毎日元気よく動くことができていますね」

――元気よく! それは良かったです。もともと静岡県のイギーハンズ・ジム所属である林選手が、東京のGENに練習拠点を移したのは、いつ頃なのでしょうか。

「今からちょうど4年前ですね。最初は『どうせ行くなら海外へ行っちゃおう』と思っていて。でも周りの方に相談したところ『海外へ行く前に、まずは東京で練習環境を整えてみれば?』と言われて、GENへ見学に行かせてもらったんです。そこでGENの練習を見て、まだまだ自分でもやれることがあるなって感じました」

――当時のGENといえば、どちらかというと重量級ファイターが多い印象でした。

「ライト級の選手も何人かはいましたね。でも平均でウェルター級ぐらいだったのは間違いないです(笑)。そもそもイギーハンズ・ジムはすごく良い環境ですし、強い選手もたくさんいます。だから、どうせ行くなら――もっとデカくて強い人たちと練習したいと考えていたので、GEN以外の選択肢はなかったですね」

――そのGENで練習をし始めた当初はいかがでしたか。

「いやぁ、恐ろしかったです(笑)。あそこで生き残った人間がトップに行けるんだな、って思いました。最初に安西昌信さんとスパーさせてもらった時、本当に全然ダメで。岡見勇信さんとスパーさせてもらうと、全く歯が立たなかったです。そのおかげで、『自分はココで強くなるんだ!』という気持ちにさせてもらいました。

最初はスパーでも組まれて、潰されてからどうするかという毎日でした。打撃で攻めたい、でも組まれて何もできない――その繰り返しで。ライト級だと当時は徳留一樹さんがGENに来ていて、最初はやられ続けていました。だんだん食らいついていくことはできるようになってきたかな、と思ったのがGENに入って1年ぐらい経ってからです」

――もう一つ「打撃が進化した」とのことですが、林選手といえば打撃、というイメージが強いです。しかし、どうしても打ち合いになりがちで、見ていて怖い面はあります。

「アハハハ、そうですね。殴って勝つことしか考えていないもので(笑)。でも打ち合うことの恐怖よりも、試合に勝ちたいっていう気持ちのほうが強いんです」

――なるほど。打撃戦に持ち込むことこそが、自身にとって勝つための術であると。

「そこが自分の一番得意なところですからね。別に打ち合おうと思っているわけではないけど、相手の打撃をもらってから自分のスイッチが入るところはあります。『100倍にして返してやろう』って(笑)。でも、そこで熱くなるよりも冷静になっているんです。たとえば押忍マン洸太戦って、いきなりヤバイと思われるような展開になったじゃないですか」

――はい。正直、『押忍マン洸太選手のKO勝ちか』と思いました。

「皆さん、そう思っていたはずなんです。でも改めて試合を見返してみると、ケージに詰められてからは押忍マン選手のパンチをもらっていなくて。しっかり相手を見ながら、自分の右を当てることができました。それはGENで打撃を指導してくださっている、田牧一寿さんのおかげです。田牧さんからは『毎日しっかりシャドーボクシングをやること』と、『試合では常に相手のことを見てパンチを出しなさい』と言われています。

だから毎日シャドーを欠かさず、練習でも試合でも常に相手のことを冷静に見るようにして――その結果が出たのが、ウェルター級の2試合だと思います。もしかしたら、田牧さんに会う前の自分だったら、もっと被弾して負けていたかもしれないです。田牧さんのおかげで、冷静に自分のパンチを当てられるようになったことが一番大きいですね」

■視聴方法(予定)
2023年6月4日(日)
午後2時00分~ PANCRASE YouTube メンバーシップ、TIGET, ABEMA PPV ONLINE LIVE、U-NEXT

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DEEP DEEP114 MMA MMAPLANET o ONE RIZIN ボクシング 五明宏人 修斗 力也 北岡悟 大原樹理 小金翔 川名TENCHO雄生 平松翔 日比野エビ中純也 松嶋こよみ 水野竜也 江藤公洋 泉武志 泰斗 海飛 酒井リョウ 野村駿太 雅駿介 雑賀ヤン坊達也 鹿志村仁之助

【DEEP114】先輩・五明と揃い踏み、野村駿太。勝てばタイトル戦?? 難攻不落の堅実派=江藤公洋戦、決定

【写真】江藤の出る瞬間を、野村が捉えることができるか。それが至難の技 (C)MMAPLANET

22日(月)、7月2日(日)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP114 IMPACTの追加対戦カードが発表されている。

松嶋こよみの初参戦、DEEPメガトン級選手権試合=チャンピオン酒井リョウ✖チャレンジャー水野竜也、五明宏人✖海飛日比野エビ中純也✖鹿志村仁之助らが組まれている同大会。

今回の発表では3回戦で江藤公洋✖野村駿太、2回戦で小金翔✖泉武志というライト級マッチ、さらにバンタム級では2回戦が2試合=力也✖窪田泰斗、平松翔✖雅駿介という4試合が明らかとなっている。


帝京大空手部の先輩・後輩である五明と野村が初の揃い踏み。暫定ながら王座決定戦にいち早く到達した五明を追い、野村は小金、川名Tencho雄生とZSTと修斗の元王者を下しタイトル挑戦に向け着実に歩を進めてきた。

それでもキャリア6勝1敗の野村に対し、江藤はDEEPからONE WS、そしてONE本戦、修斗、RIZIN TRIGGERと場数を踏み、今回の試合が30戦目となる。

伝統派空手の踏み込み、近い距離でのボクシング、そしてテイクダウンディフェンスを磨き、MMAファイターとして完成度を高めてきた野村にとって、江藤は過去のどの対戦相手よりも難敵といえる。

グンター・カルンダ、雑賀ヤン坊達也、北岡悟、そして川名を下し現在4連勝中の江藤は、良くいえば強固な堅実さを持ったファイターといえる。

出れば、強い。それは昨年4月のヤン坊戦で立証できている。ここがキャリアの分岐点といえるTKO勝ちを収めたが、その後はまたもリスクを避けて、自分の庭でのファイトを続けている。それが江藤の強さで、その強さを捨てる必要はない。それ故に、打撃を見る目を持っているテイクダウン&コントロールファイターは、野村にとって厳しい相手になる。

野村はとにかく打撃を効かすこと。効かせば、テイクダウンとコントロールの圧が落ちる。そんな効かせる打撃を江藤のテイクダウン&スクランブルで削るファイトのなかで見せることができるのか。それができれば、野村は大原樹理との対戦がグンと近づくことになるだろう。

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MMA MMAPLANET o RIZIN RIZIN LANDMARK05 アリ・アブドゥルカリコフ 雑賀ヤン坊達也

【RIZIN LANDMARK05】RIZINへのリベンジ果たせず――雑賀ヤン坊がアブドゥルカリコフの右に沈む

<ライト級/5分3R>
アリ・アブドゥルカリコフ(ロシア)
Def.1R3分30秒by KO
雑賀ヤン坊達也(日本)

ジャブからローを繰り出すヤン坊、アブドゥルカリコフもローから右フックを振るう。オーバーハンドをかわしたヤン坊が、右から左を伸ばしてヒットさせる。ローをキャッチして右を打ちつつテイクダウンを決めたアブドゥルカリコフに対し、ヤン坊がすぐに立ち上がる。ケージを背負ったヤン坊は、細かいヒザを見せる。アブドゥルカリコフが離れ、右フック。ヤン坊は右に合わせて、右を当てる。追撃に右を返したアブドゥルカリコフ。ヤン坊はやはり迂闊に連打は打ち込めない。

ヤン坊はジャブを入れ、スピニングバックフィストをかわす。直後に左フックから右フックを打ち抜いたアブドゥルカリコフ。この2発でヤン坊は、後方に倒れ強振した右のパウンドの前に敗れ――RIZINへのリベンジは果たせなかった。


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ABEMA MMA MMAPLANET o RENA RIZIN RIZIN LANDMARK05 V.V mei   アリ・アブドゥルカリコフ クレア・ロペス スダリオ剛 ルイス・グスタボ 倉本一真 太田忍 山本空良 平本蓮 斎藤裕 朝倉未来 武田光司 浅倉カンナ 牛久絢太郎 金原正徳 雑賀ヤン坊達也

【RIZIN LANDMARK05】計量終了 バスローブで登壇の平本蓮は、そのままバスローブ姿で会場を去る

【写真】とにかく、明日 (C)MMAPLANET

明日29日(土・祝)、東京都渋谷区の代々木第一体育館で開催されるRIZIN LANDMARK05のセレモニアル計量がメディア及びファンクラブ当選者限定/会場非公開で行われている。

9試合、18出場選手は全て計量をクリアしており、メインとコメインに出場する4選手がステージ上でマイクで意気込みを話した。

なお公開計量のスタートが遅れた原因となった平本蓮はグリーンのバスローブでセレモニアル計量に姿を現し、出場選手全員の撮影終了後はそのままの姿でエレベーター乗り、計量会場を後にしている。

4選手のコメントは以下の通りだ。


牛久絢太郎
「お互いコンディション、バッチリなので明日、最高の試合期待してください」

朝倉未来
「明日は俺の試合楽しんでください。PPVを購入していない方は購入して。必ずKOします」

斎藤裕
「試合──1年振り凄く良い練習というか準備ができて、自分でも凄く良いと思っているので。明日は期待してもらって良いかなと。会場に来れない方はPPVお願いします」

平本蓮
「明日から僕の時代です」

■視聴方法(予定)
4月29日(土)
午後2時30分~ABEMA, U-NEXT, RIZIN100CLUB,スカパー!

■RIZINLANDMARK05計量結果
※赤字の選手はクリックすると、事前インタビューに跳びます

<フェザー級/5分3R>
牛久絢太郎:65.8キロ
朝倉未来:65.85キロ

<フェザー級/5分3R>
斎藤裕:65.85キロ
平本蓮:65.75キロ

<バンタム級/5分3R>
倉本一真:60.8キロ
太田忍:60.9キロ

<ライト級/5分3R>
武田光司:キ70.85ロ
ルイス・グスタボ:71.0キロ

<女子アトム級/5分3R>
浅倉カンナ:48.8キロ
V.V Mei:48.8キロ

<51キロ契約/5分3R>
RENA:50.9キロ
クレア・ロペス:50.75キロ

<ヘビー級/5分3R>
スダリオ剛:117.2キロ
ロッキー・マルチネス:115.2キロ

<フェザー級/5分3R>
金原正徳:65.85キロ
山本空良:65.75キロ

<ライト級/5分3R>
雑賀ヤン坊達也:70.8キロ
アリ・アブドゥルカリコフ:70.9キロ

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【RIZIN LANDMARK05】RENAと対戦、知性と野生の融合クレア・ロペス「最後は私がRENAをKOしている」

【写真】キャリア7勝4敗、34歳で9歳の息子がいるというクレア・ロペスの話を聞いている間中、脳内でシルヴィ・バルタンのIrrésistiblement が流れまくっていました……(C)MMAPLANET

明日29日(土・祝)、東京都渋谷区の代々木第一体育館で開催されるRIZIN LANDMARK05に、クレア・ロペスがRENAと対戦する。

フランスで幼少期から器械体操を続け、南米は仏領ギアナでは指導者に。同時にムエタイを始めると、出産を経て柔術を嗜むようになる。「人生に次のレベルに行くことが必要」というロペスは、フランスに戻りMMAファイターとなる。

その後、英国に移り住みロンドンでブラッド・ピケット門下のMMAファイターとして、アグレッシブな打撃の展開が世界一多いといっても過言でないコンバテ・グローバルで活躍すると、適正体重階級のあるRIZINで戦うことを実現させた。

器械体操を続けてきた選手のコーディネーションとアジリティに関しては、GSPが真っ先に認め、このスポーツ経験者では猿田洋祐や猿飛流などが、国内外MMAシーズンで結果を残してきた。

完璧な動きを求める姿勢と、自在に肉体を操る能力が空いての動きを察知し、抜群のタイミングを生み出す。それでいて喧嘩ファイト上等──人生を謳歌するロペスはRENAとの体格差を越えてKO勝ちする気満々だ。


RENAが50.9キロ、クレア・ロペスが50.75キロで計量を終えている

──RIZINのクレアのプロフィールを見て、とてもユニークだと感じました。器械体操をやっていて、ムエタイからMMAに転向。しかも仏領ギアナに10年も住んでいてブラジルでMMAを見たのがきっかけとか。

「私はニースで生まれて、今もフランスの南部に家はあるけどMMAの練習のためにロンドンに住んで3年になるの。ずっと器械体操をやっていて17歳で競技活動をやめ、両親をはじめ一族の多くが住んでいる仏領ギアナに私も移り、器械体操のジムを創って指導を始めた。その2年後にムエタイの練習をするようになったわ」

──フランスではなくて仏領ギアナで?

「そうよ」

──欧州ではオランダが一番のキック王国ではありますが、ムエタイでいえばフランスという風に1990年代の終わり頃に思っていました。

「デニー・ビル、シャルル・スカボロスキーっていう素晴らしい選手が90年代のフランスにはいたし。私のコーチはパリから仏領ギアナに移り住んだ人で、ムエタイをフランスから持ち込んだ人だった。だから、しっかりとフレンチ・ムエタイを教わることができたわ。

アマチュアだったけど仏領ギアナ、ブラジルやスリナム、フランス領のマルティニークやグアドループというカリブの島々、パリでも試合をして。タイに行ってアマ世界大会にも出場したわ。でも、息子ができて試合に出ることは控えるようになって──」

──お子さんがいるのですか。

「えぇ、もう9歳よ(笑)。ムエタイは辞めたけど、すぐに柔術を習うようになったわ。ムエタイ、そして柔術をやっていると──もうMMAをするしかないじゃない?」

──そうとも限らないかと思いますが(笑)。クレアの場合はそうだったのですね。

「ブラジルのマカパやベレンでバーリトゥードを見て本当に凄かった。私はムエタイの試合をしたんだけど、もう会場の雰囲気も凄くて。そこでバーリトゥードが始まって。大興奮したわ。『クレイジー!! 血まみれじゃない』って。

目力が強い

でも、『やってみたい』って思った。

なぜ、そういう風に思ったのか自分でも分からないけど、またムエタイのようにファイトしたくなったの。本当にあの日々は楽しくて充実していたから。そんな私にとって柔術は十分じゃなかったみたいで。柔術ではアドレナリンが分泌されなかったわ(笑)」

──アハハハハ。クレアは殴る女だと。

「ファイターでいたかったのかも。バーリトゥードを見た時、見た目は残酷で怖そうだったけど、私にとってはそれだけではなかった。何より、生きるうえで次のレベルに進みたいし(笑)。

10年間、仏領ギアナで生活をしていて、新しいことがしたくなった。それが一番ね。24歳で子供ができ、3歳の時にMMAを始めようと思った。でも、仏領ギアナではMMAの練習は十分にできないから5年前にフランスに戻って」

──その時のファミリーの反応は?

「ムエタイや柔術の時は、そうでもなかったけどMMAに関しては母を怖いと思っていたけど、私がやろうと思ったことに反対はしなかった。母は私の性格が分かっているから。とても協力的で、練習をする私に代わって息子の面倒を見てくれるようになって。でもフランスでも思ったようにMMAのトレーニングをすることは無理だと分かり、ロンドンに拠点を置くようにしたの」

──フランスは長い間、パウンドが認められていなかったですが、強い選手も輩出されています。それでもクレアは十分だと思えなかったのですね。

「それとフルMMAルールの試合も許されてなかったから、試合は他の国で戦わないといけない。やっぱりフランスのMMAは米国や日本ほど発展していないわ。空手やムエタイのようにトップの国と同じような規模にはなっていない。私は今、34歳でもう若くない。だから自分のキャリアを考えて、3年前にフランスを離れることにしたの。

MMAって打撃とレスリング、柔術をそれぞれやれば良いってものじゃないから。その繋ぎが大切で。ケージっていう要素も忘れてはいけないし。そこがフランスの練習では欠けていると感じて……。だからロンドンに行き、ブラッド・ピケットの下でMMAのトレーニングをするようになった。ブラッドはMMAとして、全てを融合している。ムエタイと柔術、レスリングじゃない、全てが混ざったファイトを習うことができた」

──別々で考えると、戦い方も別々になりますね。ただ組みと打撃では、基本的に体の使い方が違う。全てを混ぜて戦うということが頭で分かっても、体に馴染ませることはまた別だと思うのですが、その辺りに苦労はなかったでしょうか。

「そこは器械体操の経験が生きた部分ね。器械体操で敏捷性がついていて、頭で思ったことはスムーズに体を動かせることができたの。それに寝技になっても、自分の位置、相手との距離を体で察知すること可能で。それにレスリングに関しては、器械体操の動きと類似点があってすんなり動けるという利点もあったわ。

加えて器械体操をやってきたことで、フィジカル的にMMAを戦うことで対して体を創る必要がなかったの。器械体操の経験があったおかげで、MMAを始めるスタート時点で随分と恩恵を受けることになったのは間違いないわ」

──クレアのMMAの試合を見て、ハッとさせられたことがありました。それはパンチを打つ姿勢と、ダブルレッグを仕掛ける姿勢が同じだったことです。打撃から組みにタイムラグがない。

「それも器械体操のおかげよ。器械体操では全く妥協が許されず、パーフェクトな動きが求められる。MMAを技術的に理解したうえで、パーフェクトな動きをするには距離、タイミング、角度を考慮した動きが必要で。ブレの無い動きをするために、そこを見極めることが自然とできたみたい。もちろん、そのための練習は必要だけどね」

──ムエタイ、レスリング、柔術は全てリズムが違いますからね。

「そう、MMAで一番重要なのはタイミング。全てはタイミングに掛かっていて、そのために同じリズムを刻むのが一番。そこに関しては、とにかく練習するしかなくて。ただ、器械体操で創られた体は、しっかりとフィットできたわ。結果的に私と戦う相手は、私が何をするのか読めなくて、混乱する。色々と余計なことを考えないといけなくなる。結果、防御のことばかりに頭がいって、向うから私が攻撃する機会を与えてくれるようになるの」

──すでにMMA IQの高さが伺えます。

「ありがとう(笑)」

──そんなクレアですが、正直、器械体操がベースなのだから体が大きいわけがない。これまでコンバテ・グローバルではストロー級で戦っていましたが、体格のことがあって──今回は51キロとはいえ49キロのアトム級が盛んなことでRIZINをターゲットにしたということはありますか。

「RIZINはアトム級、スーパーアトム級で良い選手がいるから常に頭にあったわ。私がMMAファイターになろうと思ったのは、人生を謳歌したいから。それにはファイトだけで生活できないといけない。なるべく長く、この生活がしたい。だからストロー級までのUFCや、フライ級までのBellatorで活躍することは私のゴールにはなりえない。

RIZINって、仕掛けも凄くてファイト以外でも楽しめるし。あの環境はより、ファイターの気持ちを盛り上げてくれると思う。だから……できればRIZINで戦い続けたい。そうなれば、最高ね。日本で戦い、息子と生きていけるようになりたいと思っている。

まだ昨日の夕方に東京に着いたばかりで(※取材は27日に行われた)、日本がどういう感じか分かっていないけど……とにかくホテルにいて、RIZINの人々とメディアデーを過ごすことで、皆がどれだけ礼儀正しくて誠実かが伝わって来たわ」

(C)COMBATE GLOBAL

──そんなRIZINで戦う以前の主戦場コンバテは、その対極にあるファイトが全てのようなイベントでした。

打撃も組み技も、とにかく荒々しい。あのなかでは喧嘩に強くないと、勝ち残れないという空気があります。テクニック重視、ファイトIQの高さを誇るクレアは、コンバテの戦いは何をもたらしましたか。

「コンバテではトーナメント、一晩で3試合戦ったこともあった。そういう戦いのなかで、3人を相手にすることはMMAを戦う上でパズルの組み立てがとても困難で。しかも、対戦相手が誰になるのか分からないなかで戦うわけだし。

そういうなかで落ち着いて、自分の試合をやり切る。あの経験は私を本当に強くしてくれた。でもコンバテでは52キロで戦っていたの。48キロのアトム級では対戦相手が見つからなかった。だからノーマルウェイトに近いストロー級で戦うしかなかった。そこも含めて、コンバテの経験で私は強くなった」

──今回は51キロということは、通常体重に近いわけですね。

「そうね、私は普段は53キロぐらいで契約体重まで、もう1キロぐらい落とせば良いだけ。だから明日の計量までしっかりと創って、ファイトに向かいたい。サウナに入る必要もないから」

──ではRENA選手の印象を教えてください。

「実はRENAとは3年……コロナ前に一度、戦う話があったけど実現しなかったの。だから、ずっと彼女とは戦いたいと思っていた。今回、こうやって戦う機会が巡って来て凄く嬉しい。彼女はRIZINのスーパースターだし、良いファイターだわ。ただ、私の方がウェルラウンディットで穴がない。だから彼女がシュートボクシングのチャンピンだったとしても、打撃でも私の方が思い切りアグレッシブに戦える。

きっとRENAは私のようなパワフルで何でもできるファイターと戦った経験がないはず。彼女を驚かせる準備はできているわ。例え51キロでもね。私はフィニッシュする。彼女が戦う気持ちを持ち続ける限り、攻撃を止めない。そして心を折るわ。

(C)COMBATE GLOBAL

寝技になっても私がコントロールする。

ただのグラップリングじゃない。どの位置からパウンドを落とせば一番効かせることができるのか……そういうことが理解できているから。それにRIZINは寝技でのヒザ蹴り、それにサッカーボールキックが認められているでしょ。これまで未体験だけど、だからこそしっかりと練習してきたわ」

──人の頭を寝技で蹴ってきたわけですね。

「もちろん、パートナーの頭を蹴ったり、踏みつけることはできないけど(笑)。そういうことがデキるよう準備してきた。このルールは最高、私の戦いを完璧なモノにするわ。ノックダウンを奪ってバックを制してチョークも良いけど、倒れた相手の顔面を蹴り上げることができるって最高!! もちろん、私もそうされる可能性はあるわけだけど、MMAは危険なスポーツ。勝つために相手がケガをするかもしれないアタックをしないといけない。

だからこそ、チャレンジのしがいがあるわけで。RENAが私の顔を踏みつけてきても平気、そうするのがMMAだから。だから、私も彼女の顔にサッカーボールキックできる場面が訪れることを楽しみにしているわ」

──そんな戦いを前にしてエキサイト気味ですが、同時に凄くリラックスしていますね。

「戦いの前はいつもリラックスできる。ドクターにも『本当にいつも通りだ。落ち着いているね』って言われるの(笑)。だって、こんなに楽しいことができるのに。ナーバスになるわけがないし」

──母は強し、です。

「その通りね。きっと負けることを恐れていないからだと思う。負けても、私のMMAが終わるわけじゃない。今、RIZINで戦うために日本に来ていることが楽しいし。土曜日にケージの中に入ることを想像すると、楽しくてしょうがないわ。好きでやっていることだし、とにかくエンジョイしたいの」

──押忍。では試合では、ファンに何を見せたいですか。

「良い試合をしたい。退屈な試合は絶対にしたくない。判定まで行かない、動きの多い楽しい戦いをしたい。そして、私が戦っている時の気持ちをファンの皆に伝えたいの。そのためにベストを尽くす。そして、最後は私がRENAをKOしているわ」

■視聴方法(予定)
4月29日(土)
午後2時30分~ABEMA, U-NEXT, RIZIN100CLUB,スカパー!

■RIZINLANDMARK05対戦カード

<フェザー級/5分3R>
牛久絢太郎:65.8キロ
朝倉未来:65.85キロ

<フェザー級/5分3R>
斎藤裕:65.85キロ
平本蓮:65.75キロ

<バンタム級/5分3R>
倉本一真:60.8キロ
太田忍:60.9キロ

<ライト級/5分3R>
武田光司:キ70.85ロ
ルイス・グスタボ:71.0キロ

<女子アトム級/5分3R>
浅倉カンナ:48.8キロ
V.V Mei:48.8キロ

<51キロ契約/5分3R>
RENA:50.9キロ
クレア・ロペス:50.75キロ

<ヘビー級/5分3R>
スダリオ剛:117.2キロ
ロッキー・マルチネス:115.2キロ

<フェザー級/5分3R>
金原正徳:65.85キロ
山本空良:65.75キロ

<ライト級/5分3R>
雑賀ヤン坊達也:70.8キロ
アリ・アブドゥルカリコフ:70.9キロ

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【RIZIN LANDMARK05】RIZINへのリベンジ=アブドゥルカリコフ戦。雑賀ヤン坊達也「過去最高にビビッて」

【写真】怖い、ビビっていると連呼しながらの笑顔(C)MMAPLANET

29日(土・祝)、東京都渋谷区の代々木第一体育館で開催されるRIZIN LANDMARK05に、雑賀ヤン坊達也が昨年4月16日のRIZIN TRIGGER03以来、1年振りのRIZIN出場でアリ・アブドゥルカリコフと対戦する。

RIZIN出場を目標に掲げ、その目標を叶えた大切な試合でキャリア最悪のパフォーマンス、ヤン坊らしさを見せることができなった。あれから1年、世界で戦うことを目標に持つようなったヤン坊が、ホーム=パンクラスのビッグショー前日に代々木で戦う。ロシア人ファイターとの対戦に、いつも通り「怖い」と連呼するJ-MMAライト級最強のKOパンチャーに話を訊いた。


──ジョニー・ケースの代役として、アリ・アブドゥルカリコフと対戦が決まりました。今の気持ちは……あっ、この質問はやめておきましょうか(苦笑)。

「いや、大丈夫ですよ。今、めっちゃくちゃビビっています(笑)。いや……もう恐ろしいですね。オファーを貰った日も、練習でたまたま突き指したからって『ちょっと突き指したので、1日待ってください』って返答して。即答できなかったです(笑)。オファーに即答できなかったのは、初めてですね」

──ところで、昨年12月のパンクラスで、シュウジ・ヤマウチを初回終了間際にTKO勝ち。素晴らしい勝ち方ができました。あの試合後は、次はRIZINという考えでいたのでしょうか。

「僕自身は海外で戦う方向で話を進めてもらっているなかで、試合間隔が空き過ぎでしまうのが嫌で。パンクラスの方には4月30日の大会には出たくないと伝えていました。そういうなかでRIZINから話をもらったのが、ロシア人相手の試合でした(笑)」

──パンクラスの立川大会に出たくなかった?

「僕、タイトルマッチを待っている状態で、タイトル統一戦と同じ日に試合をするのが嫌だったんです。今後に関して色々な話をしているなかで、RIZINさんから話もあった。そこで、RIZINという場に対してリベンジを一発したいという気持ちになりました」

──Road to UFCを考えることは?

「その話も出ていました。本当に色々と話があって。一つ一つをしっかりと考えている中で、RIZINでロシア人と戦うのも対世界ですし。目の前にあるチャンスをまず掴みにいこうと思いました。相手はメチャクチャ強いですけど……(苦笑)。RIZINで川尻(達也)さんと戦った時は、まだ未完成でした。あの試合の時点でも、打撃も結構当てていたし。あの後の試合を見ると……ここ3試合とか組みの選手にもしっかり勝っています。

散打ベースらしく回転系の蹴りとパンチ、何より打撃が速い。恐ろしくスピードがあって、組みもしっかりとできる。強いですね……強いです(苦笑)。だからビビりまくっています。過去、最高にビビッていて……試合を受けてから、何日かはまともに眠れなかったです」

──そうはいっても試合になるとビビったことがないです。

「試合が始まると、世界に入り込んでいるんで。練習では行けないところも、試合だと行けちゃいます」

──それだけ練習はやってきていると。

「そうですね、練習はいつも通り……ではないですね。ソニックスクワッドの安田(けん)さんが、出稽古だけでなく僕が所属するDOBUITAにも来てくださって。サーキットで追い込んでもらっています。あと(佐々木)憂流迦君が5月6日に試合があって(※RIZIN42、ボイド・アレン戦)、相手がちょっと僕っぽいのでいっぱい練習させてもらって。それと関鉄(矢)君には色々と根性磨いてもらっています」

──それは、やられているということですか(笑)。

「ハイ、そうッスね(笑)。かなりやられています。憂流迦君には『もっと自信持ちなよ』って言ってもらえるのですが……練習をしていて、どうしても自分が強いと思えないんです(苦笑)。いつになったら、自分のこと強いと思えるようになるんだろうって常に思っていて……。ただ、この練習が試合のどこかで自分を助けてくれると思っています。それ以上に、アリにはサクッと倒れて欲しいのですが(笑)。

ただ試合映像を視る限り、相当に打たれ強いです。打たれても、打ち返す。気持ちが強い選手。打撃で当てる部分、それと組みがどれだけ強いのか分からないですけど、組み勝っていかないといけないです」

──繰り返しになりますが、試合前は弱気なのに試合になると一切そんな風ではないです。

「試合になれば15分間、痛いのを我慢してやり切ろうって思えるんです。でも、RIZINでしか僕の試合を見ていないファンの人は、去年の江藤(公洋)選手との試合の印象しかないですよね。ホントにパンクラスのベルトの価値を下げてしまって、悔しくてしょうがなかったです。久米(鷹介)さんとの試合は、負けたけど『歴史に残る試合』という評価をしてもらえたのに……。応援してくれる人にも申し訳なくて。

あの日はダメでした。何か上手く行かなくて。あんな風には2度となりたくないです。ただ、ひょっとすると調子に乗っていたのかなって思うようになったんです。自分はそんなに調子に乗るような感じではないのですが、心のどこかに自分も結構戦えるようになったという気持ちがあって。それが甘えや油断になっていた……かもしれないです。

同時にあの負けをきっかけに、それまでも手を抜いていたわけではなかったのですが、もっと頑張らないといけないと練習に向き合ってきました。練習で、もっと苦しいことをしないといけないなって」

──その成果はヤマウチ戦で出ていたのではないですか。テイクダウンされても、焦らずに対処していました。

「四つが凄く強かったです。『ヤバい』と思ったのですが、体が動いて。下からずっとアゴを叩いて削っていたんです。無理から立ちに行くことなく、あの位置では大丈夫だと試合中も冷静でいることができました。2連敗があったから、成長できたとは思いました。だから次の試合で、去年の不良債権を回収しようと。今回の試合でRIZINにリベンジをしたいのですが……まぁ、強い相手が来ましたね(笑)」

──すぐに対戦相手のことに話題が戻りますね(笑)。

「アハハハ。もう頭のなかは、アリ、アリ、アリ、アリ。アリ一辺倒です。ただ、やるからにはやるしかないので。それにここで勝てば、自分の評価ももっと上がると思っています。なので、本当に今回の試合はチャンスだと思っています。もちろん勝つつもりで戦いますし、勝ったら色々と景色が変わるんじゃないかと」

──ところで、アブドゥルカリコフ戦翌日のパンクラス・ライト級王座統一戦ですが、ヤン坊選手の見立ては?

「いやぁ……、それ結構難しいです。タイプが同じで。アキラさんの右が当たれば……KOならアキラさんで、判定だと流れはどんどん久米さんにいって軍配が挙がるかと思います」

──タイトルを狙う上で、どちらが勝者になった方が都合が良いですか。

「ストーリー的には久米さんですね。次はダウンを奪っても、寝技にはいかないです(笑)。そうですね……久米さんに勝ってベルトを巻く。それが僕にとってはドラマですね。だからこそ、ここで勝たないと。負けて、パンクラスのベルト云々ではないですからね」

──パンクラス、RIZINライト級、海外。色々とターゲットがあります。

「最終的には世界に挑みたいです。ただ、待っていられないんです。年も年なんで。そんなに長くはできないので、焦りもあります。なので今は目の前の試合で勝って、最終的に目標に結びつけることができれば──あの時、この試合を受けて良かったと思えるようになるんじゃないかと。もう1年経験を積んで、来年にはガツンと行っちゃいましょう、と。そういうプランでいます。

でも、こうやって話しているとやれる気がしてきましたね。燃えてきました(笑)。そうなんです、僕は今年やらないといけない。アブドゥルカリコフとはどっちかが当たる試合。見ている人にヒリヒリしてもらえると思います。そして最後は立って、失神しているアリを見下ろすことができる試合にします」

■視聴方法(予定)
4月29日(土)
午後2時30分~ABEMA, U-NEXT, RIZIN100CLUB,スカパー!

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【RIZIN LANDMARK05】「パンクラスの前日、2度と情けない姿は見せられない」ケース欠場、代役=ヤン坊

【写真】雑賀ヤン坊達也。RIZINの舞台で雄々しい姿を今回こそは見せられるか (C)MMAPLANET

13日(木)に行われたRIZIN42の対戦カード発表記者会見において、29日(土)に東京都渋谷区の代々木第一体育館で開催されるRIZIN LANDMARK05に出場予定だったジョニー・ケースとカルリ・ギブレインの欠場が明らかとなった。

ギブレインは出国手続き不備で来日が不可能となり、対戦するはずだった上田幹雄は6月24日の札幌大会で戦うことになるとのこと。

またケースは右ヒザの半月板損傷、前十字靱帯断裂、外側側副靱帯断裂、内側側副靱帯断裂、脛骨亀裂骨折という今後が心配になる負傷で欠場し、雑賀ヤン坊達也が代役出場しアリ・アブドゥルカリコフと戦うことが決まった。

MMAPLANETではスクランブル出場が決まった雑賀に、今大会出場の意気込みを尋ねた。


雑賀ヤン坊達也
「対世界。今まで以上に燃えています。しかも相手はロシア人ファイター。ロシア人ファイターを相手に、自分がどこまでできるのか。いつも通り凄くビビっていますが、やるしかないので魂燃やして勝ちにいきます。

ちょうど1年前、RIZINに初出場した時は自分の日にできなかったので、今回こそは自分の日にして『俺がヤン坊だ!!』と叫んでやります。

Pancrase333の前日、しかもライト級王座決定戦とランカーが勢ぞろいする大会の前の日に、パンクラス代表としてRIZINに出場する限り、もう2度と情けない姿は見せられないです。もちろんチームの皆、応援してくれる皆様、サポートしていただいている皆様に対しても──です。

ここで勝つことで、人生が大きく変わると思っています。自分を信じて勝利を掴み取ります! 応援よろしくお願いします!!」

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【Pancrase333】久米鷹介と王座統一戦、アキラ─02─「お互いゴリラチック」&「最高の試合ができる」

【写真】プロセスの違うパンチを打てるようになってきたアキラ。35歳にして引き出しが増え続けている(C)SUSUMU NAGAO

30日(日)、立川市の立川ステージガーデンで開催されるPancrase333で、フェザー級正規KOPとの王座統一戦に臨む、暫定王者アキラのインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

石渡伸太郎の指導を経て、アキラの試合内容は大きく変化し、そして進化してきた。試合の組み立てからフィニッシュに至るまで、まるで別人のように――。RIZINで1敗を喫したものの、その後に掴んだチャンスをものにして暫定ながらベルトを巻いたアキラ。では正規王者の久米に対してどんな印象を抱いているのかと訊いたところ、久米と通じるものがあるという。そんな両者の対戦や、いかに。

<アキラ・インタビューPart.01はコチラから>


――アキラ選手のファイトが大きく変わったのは、2021年5月に行われた松本光史選手との2戦目だったと思います。あの試合では序盤から松本選手が左ジャブで試合を制しているように見えながら、フィニッシュシーンから考えるとアキラ選手が最初から誘っていたのでしょうか。

「そうなんですよね。僕が前に出て大きなパンチを当てていたからか、ジャッジは1Rと2Rを僕につけていて。でも後からテレビの映像を視ると、実況と解説の方はずっと松本さん寄りで……(笑)。

3RでKO勝ちしたことは同じでも、田村戦と松本戦は試合プランが全く違っていました。田村戦は1Rが終わってコーナーに戻ったら、石渡さんから『今はこのパンチしか当たらないから、このパンチしか狙わなくていい』と言われたんです。最後は相手のパンチをもらった時、僕自身はそれほど効いてはいなかったのですが、田村さんは効いたと思ったのか安易に仕留めにきて。そこに石渡さんから狙うように言われていたパンチが当たりました。

松本さんとの2度目の試合は、逆に僕がポイントを取って、松本さんがKOか一本を狙って前に出て来るしかない状況に追い込んでいきました。そこに狙いどおりにパンチが当たったという流れですね」

――なるほど。2022年2月の鈴木琢仁戦は意外といいますか、柔術ベースの鈴木選手に対してアキラ選手からグラウンド勝負を挑んだように見えました。これまでのアキラ選手の試合でもテイクダウン&トップキープはありましたが、ガードポジションとパスガードを見ることは少なかったと思います。

「アハハハ、確かに珍しいですよね。特に意識していたわけではないのですが、寝技でも勝負できるという自信があったから、そういう試合になったんだと思います。テイクダウンしてからフィニッシュに持ち込む形が出来たのは大きいです。

それはRIZINで阿部大治選手に極めたノースサウス・チョークとか。ああいう形は、昔はなくて。石渡さんに教わって必死に練習しました。あの形が出来たからこそ、鈴木選手のように足が利く選手でも自分が立つことなく、そのまま寝技で勝負できるようになったんです」

――ただ、松本選手との3度目の対決でベルトを獲得する前に、RIZINでDEEP王者の大原樹理選手に敗れています。当時はパンクラスとRIZINで4連勝し、もうベルトも見えていたのではないでしょうか。

「選手をやっている以上、やっぱりベルトという形として残したいです。一方で、大きな舞台で戦いたいという気持ちもあります。実は大原戦の前まで、このままRIZINで戦って、もうパンクラスに戻ることはないかもしれないと考えていました。

でも大原戦で負けてしまって……あの試合は本当に悔しかったです。負けた原因は、結局は自分の根性のなさで。1Rと2Rは悪くなかったのに、最後に少し疲れたところで相手にまくられてしまったと思います。ここで負けるとRIZINで次の試合はあるのかどうか、そう思っていたところにパンクラスから暫定王者決定戦のオファーを頂いて、本当に嬉しかったです」

――プロデビューから12年で、ようやく辿り着いたタイトルマッチでした。

「やっと――という感じでしたね。ずっと一生懸命やってきました。でも一生懸命やっていただけで、やり方の工夫はできていませんでした。そんな自分を石渡さんが変えてくれて、辿り着いたタイトルマッチだったと思います。

ただ……何て言うんですかね、……何とも言えない気持ちでした。もちろん嬉しい気持ちは大きいです。でもまだ暫定のベルトで、これで正規王者に挑戦できる権利を得たという感じです。僕の中では、あの試合は挑戦者決定戦のような気持ちでしたね」

――そして今回、正規王者の久米鷹介選手と王座統一戦を行うことが決まりました。お互い長いキャリアの中で、同じ階級で同じ相手と対戦していることも多かったのですが、これが初対決となります。

「久米さんとは被っている時期がないですからね。僕がパンクラスに出始めた頃は、久米さんはROAD FCに行っていて。久米さんが勝ち続けている時に、僕は負けてしまっていたので……。だから以前は対戦するという意識はなくて、石渡さんの引退興行にいらっしゃっていた時、一緒に写真を撮ってもらいました(笑)。メチャクチャ良い人ですし、お互い通じるものがあって」

――通じるものとは?

「年齢も近いし、……お互いゴリラチックで」

――アハハハ、そこはYesともNoとも言えません(笑)。

「対戦が決まってからは、その時の写真を見ながら気持ちを高めています。……というのは冗談ですけど(笑)。久米さんは本当に偉大な選手です。打撃も強いし組んでも強くて、何より攻撃力が高い。でも、そのなかで自分が勝負できるところがあり、今はその部分を石渡さんと磨いているところです」

――どんなところを磨いているのでしょうか。

「それは試合前なので言えません(笑)。改めて前回の試合(※2021年12月、雑賀ヤン坊達也に一本勝ち)を視ても、本当に凄い内容でした。ああいう試合を視ると、自分も燃え上がります。久米さんとなら最高の試合ができるし、パンクラス史上に残るようなタイトルマッチにしたいですね。この試合で、自分がパンクラスのライト級でナンバーワンのファイターだと証明して、さらに上の世界に行きたいです」

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