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【Pancrase337】アームコレクター新居すぐると王座戦─亀井晨佑「パンクラスの硬派なところに誇りを」

【写真】トータル✖一点突破の一戦、世界を目指す上で負けられない亀井だ(C)TAKUMI NAKAMURA

24日(日)、東京都の立川ステージガーデンで開催されるPANCRASE337。今大会のメインイベントではフェザー級KOP王座決定戦として、亀井晨佑が新居すぐると対戦する。
Text by Takumi Nakamura

亀井は昨年7月にフェザー級KOP暫定王座決定戦で透暉鷹に一本負け。今年4月にパン・ジェヒョクに判定勝利すると、透暉鷹の階級変更による王座返上で今回のチャンスが舞い込んだ。ファイトスタイルもキャラクターも正反対の新居との王座戦、また記者会見での「圧倒的実力至上主義」発言について訊いた。


──PANCRASE337で新居すぐる選手とフェザー級KOPを争う亀井晨佑選手です。4月のパン・ジェヒョク戦はスプリット判定での勝利でした。あの試合を振り返ってもらえますか。

「正直、もっときつい試合になるのかなと思ったんですけど、今思うと割と自分のやりたいようにできた試合でした。手応えはあったし、そこまできつい内容ではなかったなと思います」

──ジェヒョク選手は亀井選手が敗れている前王者の透暉鷹選手ともスプリット判定の接戦を演じている相手です。その相手を透暉鷹選手に敗れた直後の試合で指名したことが意外でした。かなりリスクのある試合だったと思います。

「僕としては透暉鷹選手と再戦したいという気持ちがあったし、ジェヒョク選手がどう見ても強いのは分かっていたんですけど、彼をクリアしないことには再戦はないと思っていました。あと自分とは相性的に勝ち目がなくはないなとも思ったんです」

──透暉鷹選手と比べると自分の方が相性がいいと。とはいえ試合前に不安になることはなかったですか。

「正直僕は試合前に『この選手に勝てるんのかな』って思うことはないんですけど、この時はそう思いましたね」

──実際にジェヒョク選手と拳を交えて、どんな場面でいけるという手応えがあったのですか。

「もっと圧力、プレッシャーがあると思ったんですけど、思ったより自分のジャブが刺さったんです。これなら相手が自分の間合いに入ってきても対応できるなという感じで。元々そういう試合になることを想定して練習していたんで、そこは対応することができました」

──その一戦を経て、新居選手と王座決定戦という形で試合が決まりました。

「最初に話を聞いた時は意外でしたね。チャンピオンの動向が分からなかったし、バンタム級に下げることも知らなかったので。それで『次は王座決定戦です。相手が新居選手です』と言われて『そこか!』」と思いました」

──対戦相手として新居選手はどんな印象がありますか。

「記者会見でも言ったように、対戦相手は僕のペースを崩すのが難しいと思うんですよ。でも今のランカーの中で唯一その可能性を持っているのは新居選手なのかなと思います。ハマったときは本当に強いですし、一発で試合をひっくり返せるタイプなので、ちょっと怖い選手ではあります」

──アベレージ的な部分ではなく一発勝負の試合だからこそ怖い相手だと思います。

「いざ試合するとなったら、バランスがいい選手よりも、新居選手のようなタイプは怖さがあります」

──ずばり新居選手の武器は右の強打とアームロックで、いい意味でバランスが悪い・強い部分が偏っているスタイルです。

「それは間違いないです。で、本人も言っているように分かっていてもかかるのが必殺技だし、実際にそれで勝ってきているわけじゃないですか。僕も手を取られたらおしまいだと思っているし、一回でも取らせないつもりで戦います」

――MMAにおけるバランスの良さで勝負する亀井選手とは真逆のスタイルですね。

「はい。でも相手が新居選手だからと言って特段やることは変わらないです。自分のスタイルはジャブを当てて自分の距離を取って……というもので、自分のペースを乱さずにやりたい。練習でも新居選手と背丈が似た相手と、自分の戦い方ができるような練習を続けてきました」

──またファイトスタイルも対照的ですが、キャラクターも対照的ですよね。新居選手は会見で「飲んで遊んでいてもチャンピオンになれる。それが若い選手に夢を与える」といった発言をしていたじゃないですか。亀井選手はあの発言を聞いて、どう思いましたか。

「何も感じなかったですよ。ただ『遊んでいても勝てることが凄い』と思っているなら、それはちょっと考えたが古臭いかなと思いました。ただ僕も正社員として働きながら試合をしているので、練習環境という意味ではあまり変わらないのかなと思いました(笑)」

――まさにお互いのファイトスタイルや格闘技への向き合い方がぶつかり合う試合かなと思います。

「本当に矛と盾みたいな感じですよね。新居選手は『触れば極められる』と言いますし、僕は僕で『やれるもんならやってみろ』なので」

──今回の試合に限らず、亀井選手の中で自分のファイトスタイルや戦い方が確立されてきたという手応えはありますか。

「ありますね。デビュー当初は倒して勝つイメージを持たれていたんですけど、試合の中で感覚的にポイントアウトのようなことができてきたというか。もちろん倒しに行ける場面では倒しに行くんですけど、試合の中でリスクを負う場面が少なくなったと思います」

──亀井選手は本格的にMMAを始めたのが高校卒業後で、決して年齢的に早い方ではないと思いますが、その分、デビュー以降の強くなるスピードが速いんじゃないかなと思ったんです。

「本当にそうですね。ここ2~3年でやっと自分の完成系が見えてきたのかなと思います。もっとやらなきゃいけないことはあるんですけど」

──亀井選手は柔道経験があるものの、MMAでは打撃中心のファイトスタイルですが、自然に打撃の方が得意になっていったのですか。

「柔道は高校3年間やったんですけど、全然強くもなかったですし、高校でちょっとやったぐらいなんです。打撃の方が上手くいったのは、単純に寝技より上達するスピードが早かったっていうのがあって。ジムに入った当初はプロになりたいとは思っていなくて、そうなると寝技より立ち技のほうが楽しくて、そっちに重点を置いたという感じです」

──透暉鷹戦は組み技・グラウンドでペースを握られて判定負けという結果でした。あの試合で自分が強化すべきところも分かったと思います。

「あれは僕の弱いところが露骨に出てたんで、それこそジムでの打撃と組み技の練習の比率を一時期は真逆にしたんです。8:2ぐらいの割合で柔術を多めにしたり、ロータスさんに行って組み技の練習をしたり、あの試合から練習のバランスは結構変わりましたね」

──色々なタイミングが重なっての王座決定戦ですが、再びベルトを獲るチャンスが来ました。それについてはどう感じていますか。

「日本でMMAをやっていて、ベルトを持っていない選手が世界で戦っていくのは、条件的に厳しいと思います。世界と戦うという意味ではベルトが最低限の交通手形になると思うので、絶対に欲しいです」

──その想いは透暉鷹戦と同じですか。

「いえ、あれから変わりました。情けない話ですけど、透暉鷹選手に負けて、より一層ベルトが欲しくなりましたし、自分がベルトに対してどんな想いを持っているかを再認識しました」

──先ほどベルトは世界で戦っていくための通行手形という言葉もありました。その目標に向かうためにも、ただ試合に勝つだけではなく、自分の可能性を見せられるような試合にしたいですか。

「世界と戦うためにベルトが必要とは言いましたが、実際ただ勝てばいいというものではないですし、そこは試合内容でも判断されると思っています。今回も勝つことには徹しますが、そのうえで倒せる方向に持っていきたいです」

──リスクを負う場面を減らしてフィニッシュすることが理想ですか。

「最近フィニッシュできていなかったので、勝つことは最低条件で、今言われたようによりいい勝ち方をするのが必要なのかなと思います」

──また試合中に興奮して叫ぶ亀井選手が見られそうですか。

「まあ状況によっては(笑)。あれは自分を鼓舞するあれでやっているんで、今回また叫ぶかもしれません」

──また記者会見でも質問がありましたが、24日はRIZINや修斗の興行があり、多くの試合が組まれています。そのなかで亀井選手は圧倒的実力至上主義を見せたいとコメントしていました。そこにはこれからもこだわっていきたいですか。

「はい。パンクラスがそういうイベントですし、もし一つでも実力主義ではないカードが組まれたら僕はガッカリします。僕はパンクラスの硬派なところに誇りを持っているので」

――パンクラスという舞台で、自分がやっている格闘技がこういうものだというのを見ている人たちに伝えたいですか。

「そうですね。自分の試合は勝っても負けても、刺さる人に刺さる試合をするので、それも含めてファンの人たちに見てもらいたいです」

■Pancrase337対戦カード

<フェザー級KOP決定戦/5分5R>
亀井晨佑(日本)
新居すぐる(日本)

<ウェルター級/5分3R>
藤田大(日本)
住村竜市朗(日本)

<ストロー級/5分3R>
八田 亮(日本)
黒澤 亮平(日本)

<ウェルター級/5分3R>
押忍マン洸太(日本)
川中孝浩(日本)

<バンタム級/5分3R>
井村塁(日本)
河村泰博(日本)

<フェザー級/5分3R>
平田直樹(日本)
遠藤来生(日本)

<フライ級/5分3R>
秋葉太樹(日本)
ムハンマド・サロハイディノフ(タジキスタン)

<ライト級/5分3R>
余勇利(日本)
神谷大智(日本)

<バンタム級/5分3R>
山口怜臣(日本)
安藤武尊(日本)

<ライト級/5分3R>
松岡嵩志(日本)
葛西和希(日本)

<女子ストロー級/5分3R>
KAREN(日本)
高本千代(日本)

<バンタム級/5分3R>
矢澤諒(日本)
笹晋久(日本)

<フライ級/5分3R>
梅原規祥(日本)
饒平名知靖(日本)

<ウェルター級/5分3R>
佐藤生虎(日本)
渡邉ショーン(日本)

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KAREN MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase337 RYO ブログ 矢澤諒 笹晋久

【Pancrase337】笹晋久と対戦、矢澤諒─01─「アマで負け越し。ジムでやられ続けたから勝利に執着できる」

【写真】やるべきことをハッキリさせ、行くべき時に行く。そんな風に見える矢澤のファイト。そうなった過去とは(C)SHOJIRO KAMEIKE

24日(日)、東京都の立川ステージガーデンで開催されるPANCRASE337で、矢澤諒が笹晋久と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

矢澤は得意の右ストレートを武器に、現在は3連続KO中。パンクラスのバンタム級4位という、王座挑戦も目前という位置にいる。高校まで続けてきた野球で味わった挫折と、MMAで感じた苦悩を乗り越えて、今の矢澤諒が存在する。果たして、野球時代に抱いた夢をMMAで叶えることはできるのか。そんな矢澤の成り上がり人生の序章とは。


――MMAPLANET初登場となる矢澤諒選手です。今回はなぜあれだけ右ストレートが当たるのか、その理由に迫りたいと思います。まず格闘技を始めたキッカケから教えていただけますか。

「最初に始めた格闘技はキックボクシングで、その後にMMAを始めました。キックボクシングのジムに入ったのは、高3の夏に野球部を引退した1カ月後です」

――もともとは野球少年だったのですね。

「小学生の時に野球を始めて、中学では硬式のクラブチームに入っていました。そのあと高校は野球の推薦で進学しています。昔からプロ野球選手になるのが夢で、小学生の頃から『プロ野球選手になってお金を稼いで女子アナと結婚する!』と言っていたんです(笑)」

――アハハハ! 職業だけでなく結婚相手まで決めていたと(笑)。それだけガッチリと夢を固めていた野球を、なぜ高3で辞めてしまったのですか。

「最後の大会で出場メンバーから外されて、ずっと自分がやってきたことを否定されたように思ったんです。『もう自分の人生は意味がなくなっちゃったな』と思いました。大学からも誘いはありましたけど、もう野球を視るのも嫌になって」

――……。

「自暴自棄ってほどではないけど、もう死んじゃっても良いやって。そこで『どうせ死ぬなら、格闘技をやってみよう』と思いました」

――えっ!? そこから急に格闘技へ繋がるのですか。部活を辞めて自暴自棄になると、遊びに走る人のほうが多いとは思いますが……。

「ずっと野球をやっていたので、遊び方を知らなかったんですよ(笑)。少しだけ遊びに行きましたけど、なんだかんだで『格闘技のジムへ行こう!』と。やっぱり体を動かしているほうが好きだったんですかね。高校野球が終わったその夏休みの間に、もうキックボクシングのジムに入っていました」

――他にもスポーツはたくさんあるなかで、なぜ格闘技を選んだのでしょうか。

「傍から見ていると、格闘技って危なくて怖いものじゃないですか。でも自分は野球を辞めた時に1回死んでいるから、もう怖いものはないなと思って。別に何かの試合を視たとか、誰かのファンだったということではなかったです。何か目標があったわけでもなく、とりあえず格闘技を始めてみたっていう感じですね」

――最初は地元の鎌倉にあるキックボクシングジムに入会したのですか。

「藤沢の湘南格闘クラブです。ジムに入ってから格闘技を視るようになり、YouTubeでMMAというものがあることを知りました。MMAって全身を使うじゃないですか。野球をやっていたこともあって、『全身を使う競技って良いな』とMMAをやることにしました」

――そこからパンクラスイズム横浜へ?

「湘南格闘クラブのトレーナーさんが当時、松嶋こよみさんと一緒にトレーニングしていて。そのトレーナーさんに『MMAをやりたい』と言ったら、パンクラスイズム横浜を紹介してくれました」

――ということは、当初はパンクラスも北岡悟選手のことも知らなかったと。

「そうです。あまり大きな声じゃ言えないですけど(苦笑)」

――MMAPLANETに載りますから(笑)。

「アハハハ。それどころか、一人もMMAファイターを知らなかったんですよね」

――選手のことを知らなくてもMMAを始める人がいる。それはMMAという競技にとって素晴らしいことだと思います。話を戻すとパンクラスイズム横浜に入る前は、組みの経験はなかったのですか。

「湘南格闘クラブには柔術のクラスもあったので、MMAをやりたいと決めてからは柔術クラスに参加していました。だけどパンクラスイズム横浜に入った頃は、プロ練習に参加させてもらっても、やられてばかりでした。『自分は試合で勝てるのか!?』と思ってしまうぐらいで。

僕、アマチュアの戦績も負け越しているんですけど、今考えたら良かったと思います。正直、当時はキツかったです。でもジムでやられて、試合でも負けているから吹っ切れたというか。だからこそ今は勝つことに執着できると思うんです」

――アマチュアで負けていると、もうMMAを辞めようとは考えなかったでしょうか。

「このまま一生勝てないんじゃないか、と考えることもありました。練習していることを試合で出せないし、『MMAをやっていても意味ないんじゃないのかな』と思ったり。
その気持ちが変わったのは、プロデビュー戦です。試合前は2カ月ぐらいジムに寝泊まりして、練習も毎日……限界以上にやって。『これで負けたら辞めよう』という気持ちで臨み、勝つことができました。その時に『MMAでもやっていけるんじゃないか』と思うことができました」

<この項、続く>


■Pancrase337対戦カード

<フェザー級KOP決定戦/5分5R>
亀井晨佑(日本)
新居すぐる(日本)

<ウェルター級/5分3R>
藤田大(日本)
住村竜市朗(日本)

<ストロー級/5分3R>
八田 亮(日本)
黒澤 亮平(日本)

<ウェルター級/5分3R>
押忍マン洸太(日本)
川中孝浩(日本)

<バンタム級/5分3R>
井村塁(日本)
河村泰博(日本)

<フェザー級/5分3R>
平田直樹(日本)
遠藤来生(日本)

<フライ級/5分3R>
秋葉太樹(日本)
ムハンマド・サロハイディノフ(タジキスタン)

<ライト級/5分3R>
余勇利(日本)
神谷大智(日本)

<バンタム級/5分3R>
山口怜臣(日本)
安藤武尊(日本)

<ライト級/5分3R>
松岡嵩志(日本)
葛西和希(日本)

<女子ストロー級/5分3R>
KAREN(日本)
高本千代(日本)

<バンタム級/5分3R>
矢澤諒(日本)
笹晋久(日本)

<フライ級/5分3R>
梅原規祥(日本)
饒平名知靖(日本)

<ウェルター級/5分3R>
佐藤生虎(日本)
渡邉ショーン(日本)

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ABEMA KAREN MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase337 スティーブン・ギレスピ パンクラス ムハンマド・サロハイディノフ 中川皓貴 亀井晨佑 井村塁 住村竜市朗 佐藤生虎 余勇利 安藤武尊 山口怜臣 山本琢也 平田直樹 押忍マン洸太 新居すぐる 松岡嵩志 林源平 河村泰博 矢澤諒 神谷大智 秋葉太樹 笹晋久 葛西和希 藤田大 遠藤来生 高本千代

【Pancrase337】住村竜市朗戦へ、藤田大─02─「ウェルターで戦う理由? アイスと竜田揚げが大好きなので」

【写真】押忍マン洸太戦で勝利を決めた直後の藤田。表情豊かな選手だ (C)MMAPLANET

24日(日)に立川市の立川ステージガーデンで開催されるPancrase337「30周年記念大会」で、住村竜市朗と対戦する藤田大のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

インタビューを進めていくと、自信のない発言も出て来る藤田。しかしそれは、彼が自分の気持ちに素直な証拠だ。臆病な気持ちを隠さないからこそ、強くなれる――はず。周囲の声や協力を得て成長していく藤田の姿が明らかになる。

<藤田大インタビューPart.01はコチラから>


昨年9月のグラジでデビュー。前日計量の際から、特異な存在感があった

――柔道と柔術の試合に出ながら、いつ頃からMMAをやることを意識し始めたのですか。

「もともとMMAをやる気は全然なかったです。柔道を諦めてからは柔術とグラップリングを頑張っていこうと思っていました。でもある日、鶴屋さんから『大阪にグラジエイターというMMA大会があって、出てみるか』と言われたんですよ。対戦相手の写真を見たらタトゥーがいっぱいだし、自分はMMAの練習はしたことがないし……もうガタガタ震えていました。その話が来てから打撃を練習し始めて」

――デビュー戦が決まるまでMMAの練習はしていなかったのですか!

「はい。中学生の頃に何回か練習したことがありますけど、打撃が痛くてすぐに辞めました(笑)。それでもデビュー戦が決まったのでMMAの練習をどうしようかと考えていたら、ジムの先輩の山本琢也さんが『練習相手になるよ』と言ってくれて。まず山本琢也さんが打撃を出して、僕がブロックしながら組みつく練習から始めたんです。組んで壁に押し付けてから倒すという」

――自分が打撃を身につける前に、まず打撃を防御しながら得意分野に持ち込むことを選んだわけですね。

近藤魁星にRNCで一本勝ち、デビュー戦を白星で飾った

「だって、いきなり打撃を身につけるのは無理っスよ。でもデビュー戦で勝てて本当に嬉しかったです。デビュー戦の自分と対戦してくれて、対戦相手の方にも感謝しています。その次は負けてしまいましたけど……」

――デビュー2戦目となったスティーブン・ギレスピ戦はバギーチョークを極められてしまいましたが、それまでの展開は藤田選手がリードしていたと思います。

バギーチョーク云々の以前に、試合前にそのような気持ちになっていたとは……

「テイクダウンからバック、RNCまで取りかけて、9-1でほぼ勝っていましたよね。

でも最後に気持ちがガタガタになってしまったんです。僕は本戦が終わったあとの1試合目で、本戦のメインは中川皓貴選手がボディへの攻撃でKO負けしていたじゃないですか。その中川選手がお腹を抑えながら運ばれていくのを見たら、もう怖くて心もギュッと苦しくなっちゃって。

それで自分は試合が始まったら『すぐ倒そう。すぐ極めよう』としすぎて、緊張もあって疲れてしまいました。息が上がった状態で肩固めを極めようとしたところに、相手が足を掛けてきて、バギーチョークを極められたという流れですね。あの負けは結構ハートに突き刺さりました。でも親父も一緒に泣いてくれて。『ずっと落ち込んでいても仕方ないから、とにかく大阪から千葉に戻ってすぐ練習しよう』と。

対戦相手のギレスピ選手には感謝しています。あの負けがあったから『もっと寝技で強くならないといけない』っていう気持ちを持つことができたし、今も世界中の寝技の技術を調べ続けていますから。あの敗北が僕を強くしてくれて、パンクラスで押忍マン洸太選手に勝つことができました。いつかギレスピ選手と対戦したいです。次は負けない自信がありますよ」

実はプロデビュー戦の翌月にEXFIGHTでアマの試合も経験し、ここもRNCで一本勝ちしている

――寝技で強くなろうという気持ちは分かります。しかしMMAである以上、打撃を強くしようとは考えていないのですか。

「打撃はディフェンスできれば良いか、と考えているぐらいです。ウェルター級は相手もデカいし、パワーがありますからね。組みに行った時にカウンターで一発もらうと、それでKOされる可能性があるので。下手に自分からパンチを打っても、ガラ空きになったところに打ち込まれるだけですからね」

――体格面でいえば、藤田選手の身長だとライト級やフェザー級に落とそうとは考えなかったのでしょうか。

「落とそうかなと思ったことはあります。でも如何せん、筋肉が付きすぎて体重を落としづらいんですよ。あと階級を落として勝つというのは――なんだか苦手です。あとはアイスと竜田揚げが大好きなので(笑)」

――アイスと竜田揚げを食べるために、ウェルター級で戦うということですか。

「そういうことです!」

――いや、そういうことではないでしょう(笑)。

「アハハハ。自分の適性階級は自分や練習仲間しか分からないと思うんですよ。周りが『お前はこの階級のほうが動きは良い』と言ってくれたりとか。パンクラスのウェルター級王者になった林源平選手もミドル級やライト級でも戦った結果、ウェルター級が適正だということに辿り着いたわけじゃないですか。自分もやってみないと分からないです。あとギレスピ戦で負けてから階級を下げたら、ウェルター級から逃げたように思われるのが嫌で」

――次の対戦相手である住村選手は、国内ウェルター級の中でも屈指の体躯を誇ります。

「住村さんは怖いっす。あの人に勝てる気がしないんですよね」

――えっ!?

「だって住村さんは戦績も凄いじゃないですか。柔術ではオープンクラスで大きな相手と対戦してきたけど、MMAでは初めてですね。次の試合はMMAをやっていくうえで大事な試合だと思っています。でも……いやぁ、自信ないっス」

――試合前に、そこまで弱気になるのは……。

「僕は、はっきり言って試合前はチキンなんですよ。メチャクチャ緊張します。柔術の試合でもガチガチに硬い状態で試合をしたことが何度もありました。気持ちが弱いから、打撃があっても相手に立ち向かっていけるようにMMAを始めたという理由もあって。

自分は今ランキング2位ですけど、まだタイトルマッチまでも遠いと思っています。住村さんに勝っても、まだ次がタイトルマッチじゃないと考えていて。住村さんに勝ってランキングをキープして、自分の中で気持ちを固めて――さらに打撃も鍛えてからベルトに挑みたいです」

――分かりました。では最後に、次の試合への意気込みを……弱気にならずに。

「はい! 押忍マン洸太選手に勝ったあと、会場でいろんな方に声をかけていただいたんですよ。『良い試合だったね』、『強かったね』とか。自分なんて、まだまだの存在ですけど、そういう声が凄く嬉しかったです。頑張りますので、これからも応援よろしくお願いします!」


■Pancrase337対戦カード

<フェザー級KOP決定戦/5分3R>
亀井晨佑(日本)
新居すぐる(日本)

<ストロー級/5分3R>
八田 亮(日本)
黒澤 亮平(日本)

<ウェルター級/5分3R>
藤田大(日本)
住村竜市朗(日本)

<フェザー級/5分3R>
平田直樹(日本)
遠藤来生(日本)

<フライ級/5分3R>
秋葉太樹(日本)
ムハンマド・サロハイディノフ(タジキスタン)

<バンタム級/5分3R>
井村塁(日本)
河村泰博(日本)

<ライト級/5分3R>
松岡嵩志(日本)
葛西和希(日本)

<バンタム級/5分3R>
矢澤諒(日本)
笹晋久(日本)

<ウェルター級/5分3R>
押忍マン洸太(日本)
川中 孝浩(日本)

<女子ストロー級/5分3R>
KAREN(日本)
高本千代(日本)

<ライト級/5分3R>
余勇利(日本)
神谷大智(日本)

<ウェルター級/5分3R>
佐藤生虎(日本)
渡邉 ショーン(日本)

<フライ級/5分3R>
梅原規祥(日本)
饒平名知靖(日本)

<バンタム級/5分3R>
山口怜臣(日本)
安藤武尊(日本)

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【Pancrase337】住村竜市朗戦へ、異端児=藤田大─01─「古賀稔彦先生に『日本一の寝技師になれ』と」

【写真】既に自らの城を持つ藤田大。醸し出す空気感が異質であることは間違いない (C)SHOJIRO KAMEIKE

24日(日)に立川市の立川ステージガーデンで開催されるPancrase337「30周年記念大会」で藤田大が住村竜市朗と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

藤田は昨年のJBJJF全日本オープンで茶帯ミドル級とオープンクラスを制し、10月にグラジエーターでプロデビュー。圧倒的な組みの強さで一本勝ちしたものの、続く今年1月はスティーブン・ギレスピにバギーチョークで敗れていた。しかしパンクラス初参戦となった6月の押忍マン洸太を下し、いきなりランキング入りして今回の住村戦を迎える。試合以外のところでも、そのキャラが注目され始めている藤田に初インタビューを試みたところ、単なるキャラではなく全てがリアルな格闘家だった。


――本日はリモート取材ですが、背景に映っているのは……パラエストラ柏ではないですよね。どちらにいらっしゃるのですか。

「父と一緒に建てた道場です。1年ぐらい前に創って、まだ会員さんを募集しているわけではないんですけど。自分の練習場であったり、誰か一緒に練習したいと言われたら受け入れるような感じで」

――その年齢とキャリアで自分の城を持つことは凄いです。

「いえ、自分は全然で――父が格闘技に理解を示してくれて、応援してくれるので感謝しかないです。一般的には、子供であっても『道場を創るなら自分で金を稼げ』って言うと思うんですよ。でも父が自分に対して、それだけ金と時間を掛けてくれて、凄くありがたいです」

――藤井選手が格闘技をやることに理解を示してくれている。ということは、お父さんの影響で藤井選手が格闘技を始めたのではないのですか。

「はい、5歳の時に柔道を始めました。当時は暴れん坊将軍で……」

――暴れん坊でなく、暴れん坊将軍ですか?

「いろんなところを走り回るような、ヤンチャな男の子でした(笑)。それで一度大きな怪我をした時に、診てくれたのが柔道をやっている方で。自分に『柔道をやってみたらどうか』と薦めてくれて、僕も近くにあった町道場へ通うようになりました。きっと親も僕に手を焼いていたでしょうし、『やらせてみようか』と考えたと思うんですよね」

――アハハハ。5歳から始めた柔道の実績を教えてください。

「柔道の実績は……言えるようなものは無いです。高校生の頃まで柔道をやっていましたが、ちょうど高校に入ってからコロナ禍があったりして。自分の中では、柔道は『やり切れずに終わった』という気持ちが強いです。柔道が楽しかったのは間違いないんですよ。でも柔術もやっていましたし」

――柔術を始めたのは何歳の時ですか。

「柔術は小学4年生の時からパラエストラCNWに通っていました。部活だけでなく町道場に通っている頃でも、柔術をやっていることに関して、あまり良い顔はされなかったですね。柔術に対してというより、寝技ばかりやることに対して。なぜ寝技をやるようになって柔術も始めたかというと、僕は背が小さいじゃないですか。体格で劣っていると、立ち技では勝てないんですよ。体格で負けているうえ、技術もない、スタミナもない」

――……。

「基本的な柔道の投げ技もできなかったんです。そこで見つけたのが寝技でした。始めてみると寝技が楽しくて、柔術のことも知ってパラエストラCNWにも通うようにもなりました。ただ、周りからは『お前は寝技ばかりやっていて――』というようなことも言われたりして。さらに柔道が、どんどん立ち技中心のルールになっていきましたよね。そこで自分の心も折れてしまったんです」

――そのような事情があったのですね。一方で小学4年生から柔術を習い始めるのは、同世代の中で早いほうではなかったですか。

「いえいえ、全然! パラエストラCNWだと、小4で始めるのは遅いほうでした。僕が入った頃、周りはすでに何年も柔術をやっている子たちばかりでしたよ。それを見て、『自分ももっと早く始めていれば良かった』と思いました。あっ! ちょっと自慢話みたいになっちゃうんですけど、良いですか」

―はい(笑)。ぜひお願いします。

「小学5年生の時に、柔道の大会で古賀稔彦先生に『君は日本一の寝技師になれ』と言ってもらえたんです」

――えっ! それは嬉しいですね。

「ちょうど柔術を始めた後で。大会中に僕が古賀先生に『握手してください!』と寄っていったんです。そうしたら古賀先生が僕の試合を見てくれていて、『君は寝技が強い。もっと寝技を伸ばしていったほうが良い』と言われました。それが嬉しくて、自分は柔術も柔道の寝技も頑張ろうと誓ったんですよ」

――なるほど。柔道部に所属しながら柔術の大会に出ることも認められていたのですね。

「いや、あの、うん……」

――聞かないほうが良いですか(笑)。

「大丈夫です! 一応、部に許可をもらって柔術の大会に出ていました。あまり良い顔はされませんでしたが(苦笑)」

――結果、柔道ではなく柔術を続けることを選んだ理由は何だったのですか。

「寝技でやってきたい、という気持ちが強かったです。実は大学からも誘いはあったんですよ。でも勉強が得意ではなく――中学の時なんて5教科中、4教科で0点を取っていたぐらいでした。国語なんかテストの解答欄に下ネタを書きまくり、あとで職員室に呼び出されました。『お前、勉強する気あるのか!?』って(笑)」

――アハハハ! これ以上訊くと危険そうなので、止めておきます。柔道の練習と柔術の練習を並行するのは大変ではなかったのでしょうか。1日のスケジュールは……。

「まず7時から8時まで柔道部の朝練があります。授業が終わって15時か16時ぐらいから、また柔道部の練習が始まって。部活が終わると家に帰ってから、すぐ柔術の練習に向かっていました。だいたい22時ぐらいまで練習していましたね。柔術のほうは小6ぐらいになると、キッズクラスだけでは物足りなくなっていたんですよ。だから大人のクラスにも参加していました。大人のクラスではボッコボコにされましたけど、楽しかったですね。

自分が柔術で強くなれたのも、その時に大人のクラスに参加できていたからだと思います。どうしても子供だと力は弱いじゃないですか。力が強い大人と練習することで自分も力の使い方とか、いろんなことを覚えることができました」

<この項、続く>



■Pancrase337対戦カード

<フェザー級KOP決定戦/5分3R>
亀井晨佑(日本)
新居すぐる(日本)

<ストロー級/5分3R>
八田 亮(日本)
黒澤 亮平(日本)

<ウェルター級/5分3R>
藤田大(日本)
住村竜市朗(日本)

<フェザー級/5分3R>
平田直樹(日本)
遠藤来生(日本)

<フライ級/5分3R>
秋葉太樹(日本)
ムハンマド・サロハイディノフ(タジキスタン)

<バンタム級/5分3R>
井村塁(日本)
河村泰博(日本)

<ライト級/5分3R>
松岡嵩志(日本)
葛西和希(日本)

<バンタム級/5分3R>
矢澤諒(日本)
笹晋久(日本)

<ウェルター級/5分3R>
押忍マン洸太(日本)
川中 孝浩(日本)

<女子ストロー級/5分3R>
KAREN(日本)
高本千代(日本)

<ライト級/5分3R>
余勇利(日本)
神谷大智(日本)

<ウェルター級/5分3R>
佐藤生虎(日本)
渡邉 ショーン(日本)

<フライ級/5分3R>
梅原規祥(日本)
饒平名知靖(日本)

<バンタム級/5分3R>
山口怜臣(日本)
安藤武尊(日本)

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【Pancrase337】プロ初陣=安藤武尊戦、山口怜臣「お父さんがSNSで相手の発言も全てチェックしています」

【写真】春日井たけしとの寒天ミットのために、HEAT24中村も練習場所になっている山口 (C)MMAPLANET

24日(日)に立川市の立川ステージガーデンで開催されるPancrase337「30周年記念大会」にて、山口怜臣がプロデビュー=安藤武尊戦を迎える。
Text by Takumi Nakamura

山口はIMMAF(International MMA Federation)世界選手権制覇からプロを目指し、タイガームエタイとALIVEを拠点に活動。今年2月の世界大会では怪我の影響もあり、1回戦を突破するものの、2回戦を棄権するという結果に終わった。この大会を終えて、山口はパンクラス30周年記念大会でのプロデビューを果たす。J-MMA界で唯一無二のアマチュア経験を積んできた山口にプロデビューを決意した理由、そして今後のMMAファイターとしてのキャリア設計について聞いた。


――24日のPancrase337=30周年記念大会でプロデビュー戦を控える山口怜臣選手です。デビュー戦に向けた今の練習状況から聞かせてください。

「前回の試合は2月のIMMAF世界大会になるんですけど、大会前のキャンプで怪我をしていて、3月いっぱいは治療の時間に充てていました。それから7月末までプーケットのタイガ―ムエタイでトレーニングして、そこでは各分野、ボクシング、ムエタイ、レスリングなどパーツのトレーニングをしっかりして、技術を分厚くしてきたイメージです。

8月からはALIVEに帰ってきて、昔からよく知っている仲間たちとスパーリングしつつ、鈴木社長にはグラフを作ってもらいつつ体重管理や体調管理もしてもらっています。ここまでコンディションを大きく崩すこともなく順調にきていますね」

――山口選手はタイガームエタイとALIVEが練習場所になっていますが、どのぐらいのバランスで練習の比率を考えているのですか。

「基本的な考え方として、普段はタイで技術を磨いて、試合前に日本で調整するという形です。タイにいたまま試合に出たこともあるのですが、タイガームエタイは選手が多いので、どうしてもコーチの指導が分散してしまう部分があるんです。日本のように細かい部分にまで気にかけてもらって、試合まで持っていくことはどうしても難しいです」

――ALIVEの鈴木陽一代表がやっているようなコンディション管理ができない部分はありますよね。

「現にタイで調整していて怪我や感染症でコンディションを作れないときがあったので。今は慣れ親しんだ、気心がしれた仲間たちと対人練習をして、昔から僕を見てくれている(鈴木)社長やコーチ陣に仕上げてもらうのがしっくり来ていますね」

――2月のIMMAF世界大会は1回戦を突破したものの、2回戦を怪我で棄権という結果に終わりました。どういう状況だったのですか。

「大会の3週間前に怪我をしてしまい、かなり練習も制限された状況で試合をしたんです。初日(1回戦)は何とか勝てたのですが、2日目は厳しいと判断して棄権することにしました」

――そのタイミングでプロデビューを決めた理由は?

「ずっとIMMAFにはこだわってきやってきたのですが、今後のキャリアを考えた時に僕はUFCでチャンピオンになることが一つの目標で。そこから逆算したとき、僕ももう23歳なので、しっかりプロでレコードを重ねていく段階だなと思いました。また、タイガームエタイの仲間、それこそUFCやONEで活躍している選手と接していると、しっかりファイトマネーやスポンサーで資金を潤沢にしたうえでいいコーチを雇ったり、身体のケアに費やしたり…そういうことをやっているんですね。

僕もそうした本当の意味でのプロフェッショナルな生活をしたいと思い、ここからはファイトマネーで稼いでいきたいと思いました」

――では2023年にプロデビューするというのはもともとプランにあったことなのですね。

「はい。ある程度この時期にプロデビューしようと思っていました」

――アマチュアはトーナメント制で、大会前に対戦相手が分からないまま、時に1日で複数回、IMMAFでは連日のように試合を戦わなければいけないということもあります。逆にプロは事前に対戦相手が決まっていて、試合当日は1試合戦うだけです。同じMMAでもプロとアマチュアでは違うものですか。

「本当に別物だと思います。アマチュアは金メダル以外はすべて負け。5回戦って5勝して初めて勝ち、4勝1敗だったら負けなんです。しかも試合するために海外で10日間ほど拘束されるし、ある程度慣れていたとはいえナーバスでした。IMMAFにおいて日本人は発展途上で、最小限のチーム編成で試合をしなければいけない。それこそコロナ禍で試合したときは両親と僕だけで試合したこともあるし、そういう環境で戦うことには緊張感がありました。

あとプロとアマの大きな違いとしては対戦相手の部分ですね。プロは対戦相手の情報が事前に分かるし、相手に似たタイプの選手を練習相手に選ぶこともできる。相手の特徴を考えて練習できることは大きいです」

――アマチュア時代は対戦相手の対策ができないなか、どのようなことを意識して練習していたのですか。

「日頃から自分の穴をなくすための練習ですね。もし相手がストライカーなら寝かせなければいけないし、下からのアタックが強い相手だったら寝技の対処ができないと極められる。それは試合まで分からないので、そういう部分での地力の底上げはアマチュアキャリアが長いからこそできたことだと思います、今回に関していえば、タイガームエタイでぶ厚くした技術でどう相手をハメるのかを考えています」

――アマチュアで長くキャリアを積んできた強みはMMAにおける地力や対応力になるのですか。

「一番はそこですね。トーナメントで勝つためにどんな相手が来てもいいように総合力を上げる。その部分への意識は高まりました」

――間違いなくプロとは違う経験値を積むことができているようですね。

「プロでも色々なことはあると思うんですけど、10日間海外にいて、60カ国以上の国の選手が一箇所に集まるMMAの大会はIMMAF以外でなかなかないじゃないですか。そういう国際感覚はIMMAFで身についたと思います。僕もタイでは英語を使うんですけど、IMMAFが英語を学ぶきっかけになったし、格闘技以外の感覚的な部分は大きな学びになりました」

――それだけ違う国の選手が集まると文化背景も違いますし、細かいトラブルや事件は起きなかったですか。

「……おおらかさが大事だなと思いました(笑)」

――MMAでは色々なキャリアの積み方があると思います。山口選手はUFCでチャンピオンになるための近道や方法論がアマチュア=IMMAFだったのですか。

「そうですね。でも僕がMMAを始めた頃から考えていたことではなくて、マーシャルワールド杯2017JMMAFトーナメントで準優勝して、優勝者が外国籍の選手だったので、僕が繰り上げで豪州の大会(2018年のIMMAFオセアニア・オープン選手権大会)に出る切符を掴んだんです。社長も『経験だから行ってみよう!』と背中を押してくれて、結果的に金メダルを獲ることができました。それが自信になれた部分もありますし、そこで初めてUFCを意識したことは覚えています」

――ジュニア時代にIMMAFの世界大会で対戦したムハマド・モカエフがUFCで活躍しています。彼の活躍はどう捉えていますか。

「妬ましい気持ちがないと言ったら嘘になりますけど、各々選手は人生設計ややりたいことが違うと思うんです。最終的なゴールがUFCだとしても。だから一概に自分と(モカエフを)比較しても意味がないと思います。ファンのみなさんがそこを比較して面白く見てもらう分には構わないですが、僕は少なくとも10年以上はこの競技をやっていくつもりですし、誰と比較して、ではなく自分を高めていく方向に集中しています」

――ファイターとしての人生設計という部分で、プロデビュー後はどのようなキャリアを積んでいきたいと思っていますか。

「僕が考えるMMAファイターは、まずしっかりファイトマネーで生活できること。あとはシンプルに僕はMMAが好きで、格闘技歴でいえば5歳から空手をやっているので、自分がやってきたものをどこまで追求していけるのか。それが毎日楽しいです。後付けになりますけど家族、社長、地元の仲間、コーチ……本当に僕は恵まれた環境で格闘技をやっているので、そういう人たちにも喜んでもらいたいと思います」

――山口選手はもともと極真会館出身なんですよね。極真を始めたきっかけは何だったのですか。

「お父さんが格闘技の大ファンで、小さい頃からテレビでUFCやDREAMを見ていたんです、具体的なキッカケは覚えてないですけど、自然な流れで空手を始めました。そんなお父さんですけど、そこまでガツガツしたタイプじゃなくて『やるならとことんやれよ!』と応援してくれるタイプですね」

――ALIVEに入会したのもお父さんの影響ですか。

「そうですね。通いやすさで言えば、もっと近いところにジムもあったんですけど、お父さんが日沖さんの活躍を知っていて『MMAをやるならALIVEだろ』ということでALIVEを勧められました」

――対戦相手の安藤武尊選手はレスリングベース、山口選手と同じく今回がプロデビュー戦の選手です。

「それこそ僕の場合はお父さんが対戦相手のことをものすごく調べてくれて。こんなこというとドキッとするかもしれないですが、相手のSNSの発言も全てチェックしています(笑)。僕は動いている動画はもちろんSNSの投稿一つとっても選手の性格がにじみ出ていて、それは試合にも影響すると思うので、僕はそういう感覚は大事にしています」

――他の選手とは違うキャリアを積んできたという部分で「山口怜臣、どんなもんだ?」という見方もされると思います。

「試合内容で言うと、全局面で技術の差があると、相手は段々とやることがなくなっていくじゃないですか。アマチュアと違って試合時間が5分3Rあるんで、その時間を使って技術の分厚さを見せたいですね。自分はアマチュアを通じて総合力を磨いてきたので、5分3Rあった方が技術の差を出せると思うんですよ。5分3Rの自分が楽しみです」

――注目のプロデビュー戦、どのような試合を見せたいですか。

「僕は『アマチュアでやってきた部分がどうなんだ?』という見方をされると思いますが、僕自身それ以上にUFCやもっと大きなゴールを見てやっています。逆にそこを見て欲しいというか。『この先コイツは伸びるぞ』とか、MMAファイターとしての将来性を見せられたらと思います」

■Pancrase337対戦カード

<フェザー級KOP決定戦/5分3R>
亀井晨佑(日本)
新居すぐる(南アフリカ)

<ストロー級/5分3R>
八田 亮(日本)
黒澤 亮平(日本)

<ウェルター級/5分3R>
藤田大(日本)
住村竜市朗(日本)

<フェザー級/5分3R>
平田直樹(日本)
遠藤来生(日本)

<フライ級/5分3R>
秋葉太樹(日本)
ムハンマド・サロハイディノフ(タジキスタン)

<バンタム級/5分3R>
井村塁(日本)
河村泰博(南アフリカ)

<ライト級/5分3R>
松岡嵩志(日本)
葛西和希(日本)

<バンタム級/5分3R>
矢澤諒(日本)
笹晋久(日本)

<ウェルター級/5分3R>
押忍マン洸太(日本)
川中 孝浩(日本)

<女子ストロー級/5分3R>
KAREN(日本)
高本千代(日本)

<ライト級/5分3R>
余勇利(日本)
神谷大智(日本)

<ウェルター級/5分3R>
佐藤生虎(日本)
渡邉 ショーン(日本)

<フライ級/5分3R>
梅原規祥(日本)
饒平名知靖(日本)

<バンタム級/5分3R>
山口怜臣(日本)
安藤武尊(日本)

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ABEMA Brave CF BRAVE CF71 IMMAF KAREN MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase337 UFC パンクラス ムハマド・モカエフ ムハンマド・サロハイディノフ ラマザン・ギチノフ 住村竜市朗 佐藤生虎 余勇利 八田亮 山口怜臣 岡野裕城 平田直樹 松岡嵩志 海外 矢澤諒 神谷大智 笹晋久 葛西和希 藤田大 遠藤来生 高本千代 黒澤亮平

【Pancrase337】これからの世界標準へ。30周年大会でIMMAF王者サロハイディノフがプロデビュー戦

【写真】中央アジアのプロMMAシーンでタジキスタンは、カザフスタン、キルギス、ウズベキスタンに続き第4位というイメージが強いが、IMMAFの世界ではカザフスタンに次ぐ強豪国だ(C)PANCRASE

9月24日(日)に立川市の立川ステージガーデンで開催されるPancrase337=30周年記念大会のカードが、引き続き毎日のように発表されており、現時点の決定カードをまとめておきたい。

藤田大×住村竜市朗のウェルター級戦、ストロー級では黒澤亮平×八田亮、平田直樹×遠藤来生のフェザー級、バンタム級=矢澤諒×笹晋久、女子ストロー級のKAREN×高本千代戦、ライト級の余勇利×神谷大智と軽量級から中量級へと各階級のマッチアップが決まっているなか──本日2日(水)に海外勢としてムハンマド・サロハイディノフの参戦が決まった。

タジキスタン人ファイターのサロハイディノフは今年の2月にセルビアのベオグラードで行われた2022年IMMAF世界大会のフライ級王者で、今回がプロデビュー戦となる。


IMMAFの世界王者の注目株は、バーレーン王国のKHKスポーツという共通の親会社を持つBRAVE CFでデビューすること多く、IMMAF世界大会3連覇のラマザン・ギチノフも6月のBRAVE CF71でのプロ初戦を115秒ダースチョークで飾っている。

そんななかサロハイディノフがパンクラス30周年記念大会でデビューというのは、同世界大会を視察したパンクラス福井幸和代表のJMMAF→IMMAF路線の強化への強い想いが形となったといえる。サロハイディノフの対戦相手はまだ決定していないが、IMMAFといえば、山口怜臣のプロデビュー戦も今大会で組まれることも決まっている。同じくプロ初陣の安藤武尊と戦う山口は、2018年と2019年のIMMF世界ジュニアで準優勝。この2つの銀メダルは、決勝で2度とも現UFCファイターのムハマド・モカエフに敗れた結果だ。

タイを拠点にIMMAFでカザフスタン、エクアドル、レバノン、イタリア、バーレーン、メキシコ、豪州人ファイターと国際戦を経験している山口は、2月の世界大会に最後のIMMAF出場と決めて挑むも、初戦で勝利した後に古傷の再発で2回戦を棄権という悔しい想いをしている。7カ月の経て、プロとして新たなMMAファイター人生を歩み始める山口。J-MMA界では過去にないアマ生活を送ってきただけに、国内のアマMMAで結果を残してプロとなった安藤との対戦は、自身のキャリアを肯定するためにギチノフやマカエフばりの圧勝を期しているに違いないだろう。

またライト級では4月の立川大会で岡野裕城を破った松岡嵩志が葛西和希と戦うことも決まっている。松岡は5位にランクされ、葛西は6位だが昨年までの期待値は後者の方が前者を上回っていたといっても過言でない。そんななかで元HEAT王者にしっかりとやるべきことをやり切って勝った松岡が、葛西を相手にきっちりと勝てば、さらに上を目指せる試金石となる一戦。対して葛西は、タイトル戦線再浮上を目指すだけでなく、周囲の期待値を維持するという点においてもキャリアの左右する戦いとなる。

なお、同大会では上記カード以外にプレリミ・ウェルター級で、佐藤生虎×渡邉ショーン戦も決定している。

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MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase333 ジェイク・ムラタ 矢澤諒

【Pancrase333】右クロス一閃! 矢澤諒がジェイク・ムラタを沈め、3試合連続1ラウンドKO勝ち

【写真】 鮮やかなワンツーの右クロスで仕留めた(C)MMAPLANET

<バンタム級/5分3R>
矢澤諒(日本)
1R4分33秒 by KO
ジェイク・ムラタ(日本)

※詳細は後ほど


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J-CAGE Report 【iSMOS01】 ブログ 大井洋一 矢澤諒

【iSMOS01】パンクラスイズム横浜・矢澤諒が大井洋一の前進を捌き、右ストレート一発でKO勝ち

<61キロ契約/5分3R>
矢澤諒(日本)
1R2分09秒 by KO
大井洋一(日本)

飛び出した大井が左ジャブ、矢澤も足を使いながら左ジャブで応じる。入ってくる大井の顔面に、左フック、右ストレートを当てていく矢澤。大井も右クロスを繰り出す。左ローをヒットさせた矢澤は、サークリングしながら、パンチをカウンターで当てつつ、相手が下がったら右ストレートをヒットさせる。大井の左ジャブをかわし、右ローを当てる矢澤。一呼吸置いたところで繰り出した右ストレートが大井の顔面を捉え、大井がダウンするとレフェリーが試合を止めた。

勝利した矢澤は涙を流しながら勝ち名乗りを受け、「いつも『お前のパンチじゃ倒せないと言われていた」というパンチでKOできた喜びを語った。

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iSMOS01 J-CAGE News ブログ 北岡悟 友實竜也 大井洋一 小金翔 木村裕人 矢澤諒 近藤有己 餅瓶太

【iSMOS01】計量終了 北岡悟「小金翔と北岡悟の真剣勝負をニコニコプロレスチャンネルで」

【写真】マスク着用、ジョイントマット1枚分のソーシャルディンスタンスを取ってフェイスオフが行われた (C)MMAPLANET

30日(木)、明日31日(金)に横浜市中区のパンクラスイズム横浜で開催される無観客大会=iSMOS01の計量が行われた。

4試合に出場する全8名の選手は問題なく、計量をクリアしそれぞれが以下のようにコメントした。


小金翔
「今回、クラウドファンディングをして試合をする場所を提供してもらったことを感謝しています。ただ明日は真剣勝負なので全力で僕が勝ちに行きたいと思います」
北岡悟
「明日は小金翔と北岡悟の真剣勝負をニコニコプロレスチャンネルで見てください。宜しくお願いします」

餅瓶太
「和神会所属、栃木から来た餅瓶太と申します。今回のカード、正直に言ってバグみたいなものだと思っています。もう、どうせなら結果もバグみたいな結果にしたいと思います。皆さん、その瞬間を明日、夜8時からニコニコチャンネルでご覧になってください」
近藤有己
「試合ができる喜びでいっぱいです。明日、一生懸命やります。宜しくお願いします」

大井洋一
「北岡さんから連絡が来て、断る選択肢はなかったです。選ばれたことが凄く嬉しくて、あとはしっかりと戦って勝つことまでが求められていると思うので、しっかり勝つというところまで明日見せたいと思います。ありがとうございます」
矢澤諒
「明日は全力で戦って勝ちに行きます。見ていてください」

友實竜也
「試合ができて嬉しいです。頑張ります。宜しくお願いします」
木村裕斗
「プロデビュー戦で相手の戦績もキャリアも全然、俺より上で。でも全然勝負できないとは思っていないので。明日は全力で頑張ります」

■ iSMOS01計量結果

<71キロ契約/5分3R>
北岡悟:71.35キロ
小金翔:71.35キロ

<78キロ契約/5分3R>
近藤有己:77.9キロ
餅瓶太:77.8キロ

<61キロ契約/5分3R>
大井洋一:61.25キロ
矢澤諒:61.35キロ

<73キロ契約/5分3R>
友實竜也:73.15キロ
木村裕斗:72.7キロ