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DEEP JEWELS30 Interview J-CAGE ブログ 前澤智 青野ひかる

【DEEP JEWELS30】青野ヒカルとの防衛戦で現役引退、前澤智─01─「ネジがぶっ飛んでいないと……」

【写真】つまりは全てを投げうって、MMAに賭けていた前澤の8年間だった(C)MMAPLANET

31日(土)、東京都港区のニューピアホールで開催されるDEEP JEWELS30のメインで、DEEP JEWELSアトム級王者前澤智が引退試合で青野ひかるの挑戦を受ける。

TKO負けを宣せられ、前澤は無意識にケイシーに組みついていった

2012年9月のプロデビューから3連敗、星をイーブンに戻すとPXCで現UFCファイターのコートニー・ケイシーに惨敗、女子MMA谷間世代の常、SARAMI、黒部三奈と繰り返し対戦が続いた。

2018年12月にその黒部に3度目の対戦で初勝利し、ベルトを巻いた。その後はRIZINで世界の頂点とも対戦した前澤は、今年の元旦に入籍して新しい生活を始めた時、格闘技一色でない人生に巡り合った。

最後の試合を前に、引退に至った境地と最後の試合への想いを前澤に訊いた。


──MMAPLANETでは2014年のPXCや2017年のROAD FCなどで前澤選手の取材をさせていただいていて……あの頃にグアムで戦っていた選手が、次の試合で最後だということで、お話を聞かせてもらえないかと思いまして。

「ありがとうございます」

──そもそも引退というのは、いつ頃から考えていたのですか。

「引退は結構、前から……去年の10月に富松(恵美)さんと試合をする前後ぐらいに意識し始めました。ベルトを獲って(浅倉)カンナちゃんとJEWELSで、RIZINでハム・ソヒ選手と試合をさせてもらい──ベルトを獲った時は、防衛をしていこうと思っていたのですが、その直後に強豪選手と試合をさせてもらって……差を感じていたのも事実です。

それでも練習して挽回していけば良いという想いもあったのですが、そうこうしているうちに新型コロナウィルスの感染問題が世界で起こり……そこも含めてなのですが、その少し前に結婚をして……」

──おお、そうだったのですか。おめでとうございます。

「と、とんでもないです。ありがとうございます(笑)。今年の1月1日に入籍をして、コロナが起こり……色々と考える時間ができてしまったんですよね。今までは考えようと思っても練習の日々でしたし、ケガをしてもとにかく練習が第一でした。

それがコロナの期間に時間ができると、練習よりも大切にしないといけないモノや、怖いモノがあることが分かってしまって……その時に、普通の人間になってしまったんです」

──……。普通ではMMAなんて、できなかった? 

「ネジがぶっ飛んでいないと、私は自分の信じた道を征けなかったです。それが落ち着いてしまったことで、ネジがハマってしまって……正常な思考を持つようになって……」

──前澤選手は思い切り入り込まないと、できない感じの人のように感じていました。車の運転に例えるなら、バックミラーとか見ずに突き進まないと。

「アハハハ、本当にそうですね。フロントガラスしか見ていなかったのに、バック・モニターをつけちゃいました(苦笑)」

──結婚を機に、女の幸せも追求したくなりましたか。

「う~ん、女というよりも人間として──ですね。格闘技で勝つ以外に、楽しいことがあるんだなって。もう、そんな風に思った時点で私は戦うべきじゃない……あそこには上がるべきじゃないと思います」

──その気持ちは分かると言えば失礼なのですが、理解できるような気がします。実家の親御さんに引退することを伝えると、どのような言葉がありましたか。

「深く飲み込むように『そうか』って言ってくれました。うん、うん、うんって頷いて。私はもっと喜ぶのかと思っていたのですが、深く理由を聞くこともなく。そういう感じでしたね」

──あぁ親御さんの想いは、自分も3人娘の父親として選手の気持ちより分かります。前澤さんが一生懸命やってきたことですから、反対・賛成ということがあっても、懸命にやってきたことから離れるのはもう尊重して頷くしかない。そこに意見することなんて、なかったんだと思います。

「あぁ、そういうモノなのですか……親は。でも、そうですね、回りが何を言ってもやってきたことなので……」

──だからこそ引退を決めてから、戦う気持ちを創ることは難しくなかったですか。

「そこは金原代表も言ってくれているのですが、私はヨーイドンで喧嘩ができる人間なんです。なので、最後のタイトル戦──魅せてやりたいって思っています。

最後だから、これまで以上に練習をしてきた部分もあります。後悔はしたくないので、センチメンタルにはならないでやってこられています」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
10月31日(土・日本時間)
午後5時45分~PPV SPWN

■DEEP JEWELS30対戦カード

<DEEP JEWELSアトム級選手権試合/5分3R>
[王者] 前澤智(日本)
[挑戦者] 青野ひかる(日本)

<フライ級/5分2R>
アミバ(日本)
栗山葵(日本)

<49キロ契約/5分2R>
KAI(日本)
さくら(日本)

<ミクロ級/5分2R>
山崎桃子(日本)
國保小枝(日本)

<54.5キロ契約/5分2R>
ARAMI(日本)
伊澤星花(日本)

<49キロ契約/5分2R>
村上彩(米国)
須田萌里(日本)

<58キロ契約/5分2R>
ミッコ・ニルバーナ(米国)
ゆりな(日本)

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DEEP Special The Fight Must Go On ブログ 佐伯繁 前澤智 浅倉カンナ

【The Fight Must Go On】Must Watch !! 佐伯繁のおススメ、DEEPケージファイト思い出の5番勝負─05─

【写真】浅倉カンナの実力が査定される試合でもあった (C)MMAPLANET

全国的に緊急事態宣言が解除され、格闘技ジムの活動再開も伝わってくるなか──MMA大会は中止及び延期が続いています。それでもUFCの活動再開や、国内でも無観客大会が開かれつつあるなか、引き続きThe Fight Must Go Onということで、第41弾はMust Watch!! このスポーツの著名人が、改めて視聴することを薦める試合を紹介したい。

佐伯繁代表がDEEPオフィシャルYouTubeチャンネルにアップされているケージマッチから、「今、まだアップしきれていないけど」思い出の5試合を振り返る──企画の第五弾。

※ここで紹介する試合は、オフィシャルホームページやオフィシャルYouTubeチャンネルで誰もが無料で視聴できるファイトに限っており、違法でアップされた試合は含まれていません。


佐伯代表が選んだ「今、まだアップしきれていないけど、アップしているなかから思い出の5番」、5試合目は2019年3月9日に行われた浅倉カンナ✖前澤智の女子アトム級のマッチアップだ。

DEEP JEWELSが23度目のイベント開催で、後楽園ホールに進出。そのメインでRIZINで育った浅倉カンナが、アトム級チャンピオンの前澤智と戦った一戦。

佐伯繁のMust Watch 05、浅倉✖前澤の選択理由は以下の通りだ。

佐伯繁
「カンナがこの前の大晦日で浜崎さんに負けて、彼女がどれぐらいの強さがあるのか。JEWELSでは、どの位置にあるのかっていうので現役王者の前澤さんと戦う。その試合が初の後楽園ホール大会のメインだった。JEWELSが後楽園ホールでやって、そのメインをそういう2人が務めるというのはやはり感慨深かったですね。

浜崎さんとハム・ソヒにしても、浜崎さんとカンナにしても、カンナと前澤さんにしても、言ってしまえばROAD FCでハム・ソヒが黒部さんとやった時も、僕からすると皆、自分のところでやってきた選手だから。どっちが勝つにしても、負けるにしても……知らない選手に負けるくらいなら、知っている選手同士で勝ち負けがあるほうが普通に見られるんです。彼女たちが知らない選手に負けるより、ずっと良い。うちの選手が修斗の選手とやるのとは違います。

結果、カンナはケージで強かったです。測定不能だった彼女が、現役のチャンピオンとやる。前澤さんも勝てば得るモノが大きい。DEEP JEWELSにとって初めての後楽園ホール大会のメインに相応しい試合だったと思います。結果としてカンナが強かったです」