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【Road to UFC2023 Ep06】準決を前にして――上久保周哉「肉体的な疲労と、自分の感情は一致していない」

【写真】淡々と自分を客観的に見て、話すことができる上久保。試合もそのように動くことができれば、もう勝利は間違いない (C)MMAPLANET

27日(日・現地時間)、シンガポールのインドアスタジアムで開催されるRoad to UFC 2023Ep06のバンタム級準決勝でシャオ・ロンと対戦する上久保周哉。
Text by Manabu Takashima

1回戦で野瀬翔平を破ったシャオ・ロンと対戦を前に、やはり上久保らしく「勝つことが一番大切」という姿勢を貫く。その一方で、肉体の疲労と感情は一致しないという非常に興味深い事実を話した。


――4日後に準決勝が迫ってきました(※取材は23日に行われた)。ここまでどのように積んで、また整えることができましたか。

「調子は前回よりは良いような気はします」

――つまり前回は体調面で不安視される部分があったということでしょうか。

「まぁ、多少はケガをしているというのもあったので。できない練習もあったし、頻繁に治療をしていないと動くにも動けないということは実はありました。そこに比べると、しっかりと練習はできていて不安もない状態です。練習はやれるだけやったかと思います」

――対戦相手のシャオ・ロンは初戦で野瀬翔平選手にスプリット判定勝ち。ヒールやギロチンで攻めた野瀬選手ですが、サブミッションのキャッチポイントが無いに等しい従来のUFCの判定基準であれば、トップを取っていたシャオ・ロンの勝ちも十分にあるという接戦だったかと思います。

「どうしても日本人だし、野瀬選手を贔屓目に見てしまうことはありますけど、あの日のRoad to UFCはトップキープ、ポジションを優先して見ていた気はします。野瀬選手の仕掛けと、シャオ・ロンのポジションのどっちを取るかとなるとポジションかな――みたいな。ギリギリといえばギリギリの試合ですけど、野瀬選手がトップを取ってサブミッションを仕掛けられていれば、文句なしに野瀬選手の勝ちだと思っていたはずです。トップを取っているのは野瀬選手だから、判定に文句言うなよって(笑)」

――ではシャオ・ロンのトップの取り方には、どのような印象を持っていますか。

「スクランブルを創って、何だかんだと上を取る。野瀬選手のサブミッションの後に抑えたので、パスガードをしているように足を抜いて良い形で抑えていました」

――上久保選手は引き込んで関節技を仕掛ける印象は、あまりありません。下になったとしても、レッスルアップやリバーサル狙いでないかと。

「まぁ、そうですよね。自分は下から攻めると勝てていると感じることができないから、引き込むことはないと思います。やっぱり逃げられる可能性が少しでもあるなら、あまりやりたくないです。行かないと取れないですが、優先順位として自分のなかではポジションを捨ててまで取りに行くサブミッションは高くない。あくまでも削り続けて、逃げられない状態を創っておいてから、フィニッシュにいきたいです」

――仮にMMAにキャッチPが採用されるなら、しっかりとポジションを取ったところから仕掛けて、逃げられても優位なポジションにいること有りきであってほしいです。

「ギロチンや足関節は、見た目より極まっていないこともありますし、異様に耐性のある選手もいるので。そういう選手に同じ態勢でかけ続けても、掛け逃げという気もします」

――では、上を取る寝技を見せていたシャオ・ロンの動きで気をつけないといけないのはどこでしょうか。

「なんやかんや上を取ろうと、動いてくるんじゃないかなというのと。組み際を狙ってくるだろうし、組み際で崩した後に攻め込まれるようなことがあれば撤退しますし、攻めることができそうならシャオ・ロンはトップを取りに来るんじゃないかと思います」

――そうなれば上久保選手の庭での戦いになることが予想されます。

「まぁ、そのつもりではいますけど――でも向こうも前回対戦したチルイイースー・バールガンと同じチームで、しっかりと対策を立ててくるんだったら、深追いはしてこないんじゃないかと」

――組みが得意の選手が、組み技に付き合わないファイトをした。ただし、付き合わないで戦うことを全うできずに上久保選手が勝利しました。

「なので、シャオ・ロンは守り切れないから、守れている時に組みでも攻めてくるんじゃいかなと。それが自分の予想です」

――打撃は気にならないですか。

「右は強いので、アレを貰うわけにはいかないです」

――組み立ての失敗で、ヒザ蹴りを被弾してフラッシュダウンを喫した。あそこから何か生かせるように練習はしてきましたか。

「そうッスね。グラップリングをやっているときも、テイクダウンには入れてもヒザとかヒジを相手は使うことができるんだというのは、気にするようにはなりました。グラップリングの練習ではヒザはなくても、そこを気にするように」

――それでも上久保周哉、決勝進出でしょうという強い期待があります。

「皆がそう思ってくれるのはありがたいですけど、僕はスプリットでも勝てれば良い。勝つことが大事で。圧倒しようとかっていう欲はないです。際、際の勝負をモノにして。向こうも競り合いに乗ってくるなら、そこは絶対に譲れない」

――そういう点でいえば、そのしんどい勝負をギリギリでもモノにするという選択ができるRoad to UFCは、コンテンダーシリーズよりも上久保選手に合っているかもしれないですね。

「僕の戦い方だと、勝っても取ってもらえないかもしれないですよね(笑)。まぁ、勝ちに行く姿勢は持っているし、終わらせる気持ちで戦っています。でも、防御もせずに倒しにいけという風だと……そういうことはしたくない。そんな練習はしてきていないし。そういうファイトは練習しなくてもできるので。このスタイルを続けてきたから、前回の試合も勝ち切れたとは思っています。長く戦い続けるには、投げやりとは言わないですけど、一か八かの打ち合いにならないことは大切です」

――しかも、本人は一か八かでも相手にすれば自分の庭ということもありますし。

「そうすると、勝ち目はない。勝てるところで勝負し続けることが大切だと思っています。前回もミスはあったけど、疲れていて相手が耐えてこなかった一面があるので。自分が思い切りのめり込んだことで崩れてしまい、抑え込めなかったことがあって。ああいう細かいミスはしたくないです」

――ギリギリの勝負をしていて相手が引けてきたら俄然、前のめりにもなりますよね。

「まぁ勢い余っちゃうというのはありますよね。心は疲れていないけど、体は疲れているということは。テイクダウンした後、自分の体が思ったより崩れていたので、そういうズレはなくしていきたいです。試合の時は感覚が違うというか……」

――それはどういうことでしょうか。

「肉体的な疲労と、自分の感情は一致していない。体は指示通りに動いているけど、痛覚や疲労は感じていない。でも、しっかりと動きは悪くなっている」

――つまりは自覚がないままダメージを受けていて、体をコントロールできなくなることもあるということですか。

「そういうのは結構あります。映像を見返して、動いていないなって。でも自分の気持ちは疲れていなくて、試合後もあと2R戦えるとか思って。でも、ちゃんと疲れている(笑)。同時に集中力とアドレナリンが全てを解決してくれるという気持ちもあります。それでも本当はズレが大きくない方が良い。思った以上に体が疲れて動けていないのに、心がイケイケだったらやっぱりミスも増えます。それは前回の試合で思いました。

自分の状態を把握しきれてなくて、やりたい時に自分のやるべきことができなかったり。スタミナには自信はあるけど、そこは無視しちゃいけないと」

――その辺りの心理面の変化は、傍で見ていても分からないので、また決勝進出を決めたあとで話を訊かせてください。

「そうですね。でも、試合はきつくなかったと言うかもしれないですよ(笑)」

■視聴方法(予定)
8月27日(日・日本時間)
Ep.05午後5時~UFC FIGHT PASS
Ep.06午後7時~UFC FIGHT PASS
午後4時30分~U-NEXT

■Road to UFC2023 Ep06対戦カード

<Road to UFCライト級T準決勝/5分3R>
バーハートゥブールゥ・アトゥボラティ(中国)
原口伸(日本)

<Road to UFCバンタム級準決勝/5分3R>
ダールミス・チャウパスゥイ(中国)
イ・チャンホ(韓国)

<Road to UFCライト級準決勝/5分3R>
ロン・チュウ(中国)
キム・サンウク(韓国)

<Road to UFCバンタム級準決勝/5分3R>
シャオ・ロン(中国)
上久保周哉(日本)

<ライト級/5分3R>
パク・ジェヒョン(韓国)
クイラン・サルキルド(豪州)

■Road to UFC2023 Ep06対戦カード

<Road to UFCフェザー級T準決勝/5分3R>
リー・カイウェン(中国)
神田コウヤ(日本)

<Road to UFCフライ級準決勝/5分3R>
チェ・スングク(韓国)
チーニョーシーユエ(中国)

<Road to UFCフェザー級T準決勝/5分3R>
イー・チャア(中国)
キム・サンウォン(韓国)

<Road to UFCフライ級準決勝/5分3R>
鶴屋怜(日本)
マーク・クリマコ(米国)

<フライ級/5分3R>
ピーター・ダナソー(タイ)
ナムジャルガル・トゥメンデムベレエル(モンゴル)

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【Road to UFC2023Ep05】豪腕カイウェンと準決勝。神田コウヤ─02─「ぺースを握ってタフファイトに」

【写真】恐怖心を持ちつつ、勇気で上回ることが求められるタフファイトへ (C)MMAPLANET

27日(日・現地時間)、シンガポールのインドアスタジアムで開催されるRoad to UFC 2023 Ep05のフェザー級準決勝で、リー・カイウェンと対戦する神田コウヤのインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

今年5月のRTU初戦は、イープークールーをタフファイトの末に判定で下した。上海開催で対戦相手は中国人ファイターという、完全アウェイの中で神田は何を感じたのか。次戦の相手も同じ中国のリー・カイウェンだ。RTUフェザー級随一のハードヒッターとの決戦を控えた神田が、その決意を語る。

<神田コウヤ・インタビューPart.01はコチラから>


――RTU準々決勝のイープークールー戦はハードな乱打戦となりました。あれだけのタフファイトになることは想定していましたか。

「想定はしていましたね。当日の第1試合で、グラジエーターのベルトを獲ったニャムジャルガル選手がすごいタフファイトをやっていたじゃないですか。相手のトップノイも1Rから飛ばしまくって、お互いドロドロになりながらフルラウンド戦っていましたよね。あの試合を見て、セコンド陣と一緒に青ざめていたんです。『これはキツいぞ。お前の試合も同じような展開になるから覚悟しておけ』と言われて」

――やけに不安を煽る言葉ですね。誰に言われたのですか。

「代表の鶴屋(浩)さんです。『15分間、絶対にキツい試合になる。でもファイターとしての仕事だから、キッチリと仕事をこなせよ』って。鶴屋さんは試合前に結構そういうことを言いますよ(笑)」

――そのような言葉をプレッシャーに感じることはないでしょうか。

「人によってはプレッシャーに感じるかもしれないけど、僕は一切ないですね。自分は最初から『試合ってキツいものだ』ということが分かっているし、鶴屋さんも僕のことを分かっているからこそ、そういう風に言ってくれるのかもしれないです」

――鶴屋代表も神田選手のことを幼少期から見ていますから、性格も分かっているのでしょうね。プレッシャーでいえば、今年のRTUは中国人ファイターのためのRTUという要素は強いです。完全アウェイの状況で戦うことに対し、プレッシャーはありませんでしたか。

「いや、それも無かったですね。まずUFCのスタッフさんは選手のことを平等に扱ってくれますし――確かに歓声とかは完全にアウェイでした。でも自分にとっては完全アウェイという状況が、良い影響を与えてくれたと思います。逆に日本開催だと、僕のほうがプレッシャーも大きかったでしょうし。日本だと応援してくれる方も多いので」

――パラエストラCNWは会場に駆けつけてくれる応援団が多いですしね。

「前回は上海開催だから、いつも来てくれる応援団の方々は一人もいない。そのぶん気楽に戦うことができました。それとRTU初戦というのも大きかったです。イープークールー選手が初戦で誰か日本人選手を倒して、次に自分と試合するという状況だったら、また違ってくると思います。僕はその日本人選手と比べられるわけで――そんな比較対象もなくて、プレッシャーなく戦えましたね。

相手のほうが中国開催だからプレッシャーはあったんじゃないですか。試合映像を見返すと、イープークールー選手は後頭部に円形脱毛症みたいなものがあって……。めちゃくちゃストレスが大きかったと思います。試合当日は応援団が多いし、普段からUFC PIという恵まれた環境で練習している。自分がイープークールー選手の立場なら『ここで負けるわけにはいかない』と考えてしまいますよね。それだけ自分や中国のMMAに投資してくれている人がいるわけで。相手にとっては、それがプレッシャーになったかもしれないです」

――なるほど。では神田選手にとっては、自分の力を出し切れた試合でしたか。

「はい、出し切った感はありました。根負けもしなかったですし。こういうタフな試合に勝つのは、自分にとっても良い経験になると思っています。今後の糧になるというか。一番嫌なのは先に相手から攻められ、良いパンチをもらって自分が失神するような展開ですよね。8秒でKOされた2試合目のように」

――準決勝の対戦相手、リー・カイウェンは先にガンガン攻めて来るファイターです。

「前回のルー・カイ戦は会場で見ることができなかったんですけど、あとで試合映像を視て、まず『強いな』って思いました。今回のRTUのフェザー級はリー・カイウェンとイー・チャアを決勝で戦わせたい構図なのかもしれないですね」

――中国サイドからすれば、その組み合わせが一番盛り上がるでしょう。ただ、神田選手としてはそうなるわけにはいかない。リー・カイウェンの印象を教えてください。

「まさに剛腕ですよね。一発のある、厄介な相手です。ただ、剛腕なだけじゃなくて冷静さもありますよね。ルー・カイ戦のKOも最初にフックで頭を下げさせ、そこに右アッパーを突き上げているので。打撃の精度はメチャクチャ高いと思います」

――あれだけ打撃で攻めてくる相手との対戦経験はありますか。

「打撃が得意な選手はいました。青井人選手や五明宏人選手とか。でも、リー・カイウェンのような剛腕タイプはいなかったです」

――初めてのタイプとの対戦に向けて、すでに対策はできているのでしょうか。

「自分がやることは決まってきています。相手がパンチを振ってくる時に、自分がどう動くかが大切だと思うんですよ。そこで下がってはいけない。自分からも攻めていくことが、最大の防御になりますね」

――剛腕タイプに対しては、真っ直ぐ下がってしまうと危険ですよね。

「真っ直ぐ下がってしまうと、走ってパンチを振りながら追いかけてくるでしょうね。1Rだけ――いや、1分間だけの勝負ならリー・カイウェンが一番強いと思いますよ。まずは自分からペースを握って、タフファイトに持ち込みたいです」

――では最後に、RTU準決勝への意気込みをお願いします。

「自分としてはいつもどおり、勝つために最善を尽くすのみです。今回もU-NEXT、あるいはUFCファイトパスで中継されますので、入会されている方には視ていただきたいです。まだ入会されていない方も、この機会にご入会ください!」

――その辺り、定番の締めコメントになっていますね。

「格闘技は会場であっても中継であっても、ライブが一番面白いですから。海外の試合を日本で視られるのは凄いことだと思うので、皆さん宜しくお願いします」

■視聴方法(予定)
8月27日(日・日本時間)
Ep.05午後5時~UFC FIGHT PASS
Ep.06午後7時~UFC FIGHT PASS
午後4時30分~U-NEXT

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【Road to UFC2023 Ep05】リー・カイウェン戦へ。神田コウヤ─01─エルボー秘話「ヒジはMMAじゃない」

【写真】精悍な表情の神田コウヤ。実はヒジ打ちアレルギーだった (C)SHOJIRO KAMEIKE

27日(日・現地時間)、シンガポールのインドアスタジアムで開催されるRoad to UFC 2023 Ep05のフェザー級準決勝で、神田コウヤが中国のリー・カイウェンと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

神田といえばテイクダウン&首相撲、ヒジ打ちとダーティボクシングの印象が強い。試合内容でもその点に強いこだわりが見られる。そんな神田のスタイルは、いかにして確立されてきたのか。超ストライカーであるリー・カイウェンとの準決勝を前に、神田が自身のスタイル――特にヒジ打ちへの想いを語る。


――Road to UFCの準決勝を控えている神田コウヤ選手です。お会いするたびに精悍な顔つきになっていますね。

「試合が近づいているからですかね。減量や練習もありますし」

――減量や練習の影響もあるかとは思います。それ以上に今年4月、修斗沖縄大会の翌日に那覇空港で遭遇した時も、「初めてインタビューした時より雰囲気が落ち着いたなぁ」と感じました。ベルトを巻いて、立場が人を創るというのか……。

「あぁ、たまに言われます。『5年前とは雰囲気が違うよね』って。ここまで勝ってきて、ベルトを巻いたといっても、自分の中で大きな変化はないです。別に生活水準も変わっていませんし。ただ、『ここまで自分は苦痛を味わいながらMMAをやってきたんだぞ』という自負はありますね」

――苦痛、ですか。

「そういうキャリアを経て、自分の中にも覚悟が生まれてきているという実感はあります。RTUに出ている他の日本人選手と比べても、自分は負けが多くて。それだけ苦労してきたんだっていう気持ちは負けないです」

――戦績で全てを語れるものではありませんが、そう言われてみると今年のRTUに出場した日本人選手の中で、神田選手の過去4敗というのは黒星が多いほうかもしれません(※注)。

「これまでの敗戦が、自分をしぶとくしてくれていると思います」

(※注)Road to UFC 2023:1回戦出場時の日本人選手の戦績
■ライト級:原口伸 5勝0敗1NC、丸山数馬 11勝6敗
■フェザー級:SASUKE 11勝2敗1分、神田コウヤ 11勝4敗
■バンタム級:上久保周哉 12勝1敗1分、野瀬翔平 10勝3敗2分
■フライ級:鶴屋玲 6勝0敗

――プロデビュー当時は、ここまで黒星を重ねることなく頂点にたどり着けると思っていましたか。

「思っていました。少なくとも、こんなに険しい道のりになるとは考えていなかったです。自分はもっと人気者になって、もっと稼いでいると……でも現実は違っていて(苦笑)。『それでも自分はMMAを続けるしかないんだ』って、諦めているというか開き直っています。負けて腐っていたら、そこで終わり。『とにかく勝つしかないんだ』っていう気持ちでやっていますね」

――自分が思い描いていた夢と現実が異なると感じたのは、いつ頃なのでしょうか。

「2戦目でKO負けした時です(高塩竜司戦、8秒でKO負け)。自分の中ではプロデビューから10連勝ぐらいして、すぐに海外へ行ったりするのかなと思っていました。でも現実は、そういうわけにはいかなかったです(笑)。そのあと4戦目でも負けて(加藤貴大にRNCで一本負け)、次の5戦目は『また同じ負け方をしたらどうしよう?』という気持ちにはなっていました」

――そこで試合に対する恐怖心などは生まれなかったのですか。

「恐怖心はありました。でも戦っていくなかで、勝つと負けたことが相殺されていきました。自分の中で自信がついたのは、5戦目以降に3連勝した時ぐらいですね」

――2019年頃ですね。連勝し、自分に自信を持つことができた要因は何かありましたか。

「だんだん自分のスタイルが固まってきたことですね。負けることで自分の弱い部分を知ることができたり、自分の強みを考えるようになってきて。それって戦いの中でしか知ることはできないんですよ。

たとえば、技術が格段に増えることも重要だとは思います。でも『試合の展開によって、どの技術をどう使うか』という判断能力は、戦いの中でしか養われないので。どの技術を使うのか一瞬でもためらってしまうと反応が遅れてしまうし、その一瞬が勝敗を分けることもある。そんななかで、自分は試合で迷うことなく動けるようになってきたと思います」

――結果、レスリング+ムエタイのスタイルが確立されてきたわけですね。特にケージへ押し込んでヒジを連打する展開には、強いこだわりを感じます。

「アハハハ、ありがとうございます。グレコ出身なのでムエタイの首相撲や、ダーティボクシングも相性は良いですよね。グレコも首相撲も、相手に対して上のほうで組むことが多いので。でも自分の中で、ヒジはMMAじゃなかったんです」

――ヒジはMMAじゃない、とは?

「僕がMMAを始めた頃は、国内でもヒジがOKの団体は少なかったので。だから――PRIDEで観ていたマウリシオ・ショーグンがUFCに出た時、ヒジで血だるまにされて負けたんですよ。『卑怯だ。これはMMAじゃない!』と思って」

――卑怯(笑)。確かに現在は国内MMAでもヒジ有りがスタンダードになってきていますが、当時の国内と海外MMAの違いといえばケージかリングか、そしてヒジ打ちの有無は大きかったです。

「そのショーグンの姿が本当にショックで。海外を目指すうえでは、ヒジ打ちを練習しないと勝てないって思いました。だからプロデビューが決まった時から、ヒジ打ちは練習していたんです。ヒジ打ちについて考えれば考えるほど、パンチよりも効率的だなと思うようになって。でもスパーリングで思いっきりヒジを打ち込むことはできないから、とにかく試合でフルスイングして試す。練習ではサンドバッグで打ち方を考えながら、試合後に映像を視ながらフィードバックする。そうやってヒジ打ちが上手くなってきたと思います」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
8月27日(日・日本時間)
Ep.05午後5時~UFC FIGHT PASS
Ep.06午後7時~UFC FIGHT PASS
午後4時30分~U-NEXT

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【WKG&M-1Global】川名雄生&高木亮が出場。急激に力をつける中国勢。国内イベントでの実力の程は?

【写真】WGKのオクタゴン・リング。はRoad FC、ONE、RIZINに肩を並べる規模でイベントが行われているのか……(C)CFP

12日(土)、CFPより26日(土・現地時間)に中国は広東省(クウントン・シュン)の深圳(シェンチュン)にある深圳南山文体育中心(シェンチェン・ナンシャン・チュウワン・ウェンティーヂョンシン)でWKG & M-1 Globalが開催され、日本から川名雄生&高木亮が出場することが発表されている。
Special Thanks to Mr.Hiroyuki Iwakuma
Text by Manabu Takashima

CPFのリリースよるとWGK=World King Gloryとは中国の投資家であるトン・リーなる人物が、中国国内のMMAの近代化とより優秀な選手の育成を目的として2016年から活動を開始したプロモーションで、活動開始時よりロシアのM-1Globalと提携関係を結んでいるという。


WKGでは8角形のリングが使用され、試合タイムは5分✖3R。ルールはユニファイドがベースながらグラウンドでの頭部へのヒジ打ちは禁止、裁定方法はラウンドマストとなっている。

2人参戦する日本勢、高木亮の対戦相手アーハージャンはキャリア12勝3敗。正確な後ろ回し蹴りを駆使するなどアグレッシブで打撃が切れるウェルラウンダーだ。積極的な余り防御が疎かにある部分もあるので、高木としては勢いに飲み込まれずに戦いたい。

また過去10試合で3勝7敗と厳しい状態にある川名が、2018年のPFL参戦以来となる海外進出で、Road to UFCで神田コウヤと熱戦を繰り広げたイープークールーと対戦する。イープークールーは7月22日にDRAGON FCで藤村健悟をヒザ蹴りでKOしており、3カ月で3度目の日本人対決となっている。

世界を動かす経済大国の人材育成MMAプロモーション=WKG。ロシア、ブラジル、タジキスタン、モンゴル、韓国、日本勢を食って強化に挑む。とはいえアーハージャンとイープークールーの戦績は抜けているものがあり、この辺りは×日という部分は興行の軸になっているのかもしれない。

経済の論理が、まま強さの真理に通じる格闘技にあって、Road to UFCで明らかになったように日本が中国をリードしているとはもう言えないのが現実だ。そんななか、アーハージャン&イープークールーの両者ばかりか、7勝2敗でONE Hero Series & ONE Friday Fightsベテランのシャア・リエンヤンや主催者発表では5勝0敗のジュア・グーツェンらが、どのようなパフォーマンスを見せるのかが非常に気になる。

■WKG & M-1対戦カード

<ライトヘビー級/5分3R>
ウィ・ヤオツン(中国)
ヘナト・ハンジェル(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
川名雄生(日本)
イープークールー(中国)

<フェザー級級/5分3R>
ツー・ワン(中国)
イエダーリ(中国)

<フェザー級級/5分3R>
高木亮(日本)
アーハージャン(中国)

<フェザー級/5分3R>
シャア・リエンヤン(中国)
ウイシーバイ・チューハイイーフー(中国)

<バンタム級/5分3R>
イリャ・ツェルゲルニコフ(ロシア)
リー・ムーハ(中国)

<ウェルター級/5分3R>
キム・ジュンギョ(韓国)
チョウ・ニエンラ(中国)

<フェザー級/5分3R>
ガンゾリグ・エルデンバター(モンゴル)
ジュア・グーツェン(中国)

<バンタム級/5分3R>
リ・ファンヒョン(韓国)
シャア・ミンチェン(中国)

<フライ級/5分3R>
リーツー・ソンウーウ(中国)
サイヴァリ・サイドフ(タジキスタン)

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お蔵入り厳禁【Road to UFC2023】初戦突破、上久保周哉─02─「苦戦することを望んで、ここにきている」

【写真】ダウンを喫してからの逆転勝利(C)Zuffa/UFC

5月27&28日の両日に、中国は上海のUFC PIにおいて開催されたRoad to UFC。4人の日本人選手が、準決勝に勝ち残った。そのうちの1人、上久保周哉インタビュー後編。

お蔵入り厳禁。組みを拒否して戦うバールガン・チィルイイースーとの試合に勝つことで、上久保は何を得られたのか。またアジアの中で日本の立ち位置をどのように捉えているのか──と訊いた。

<上久保周哉インタビューPart.01はコチラから>


──SASUKE選手と丸山数馬選手が韓国勢にフィニッシュされ、野瀬翔平選手は中国人選手に惜しい星を落としました。そして鶴屋怜選手と原口伸選手はインドネシア人ファイターに楽勝し、神田コウヤ選手と上久保選手が中国の選手に競り勝った。

「まぁ、SASUKE選手の相手は実際に試合を見るまでどんな感じが分かっていなかったですが、あのパンチは技術の上に成り立っているモノでした。どう見ても、作戦を立てて戦っていました。技術を持っているうえで我慢強い。そういう部分も含めて、しっかりと強い選手が出てきています」

──韓国ではUFCにフェザー級に既に4人も在籍していて、そのうえでキム・サンウォンのようなファイターがいるということになります。

「それと神田選手の相手は、PIの選手ではないですよね。今回、PIからは8選手が出場していたようです。リー・カイウェンに負けたルー・カイは、PIの選手と戦うことになるからPIを離れてアルファメールで練習していたと聞きました。ただ、リー・カイウェンもアルファメールで練習をしていた時期がある。なんか同じ輪のなかでやっていますよね」

──PIがあって、普通に米国に練習をしに行っている。そこにもC-MMAの現実が見えます。何より視ている我々の身が改めて引きしまった一番の試合は上久保✖バールガン戦でしたが……(苦笑)。

「アハハハ。『こんなに苦戦するとは』って(笑)。でも、逆にこれまでが上手く行き過ぎていたと自分では思っています。ONEで戦ってきた相手と違い、100パーセントの警戒と100パーセント勝つために作戦を立てて、しっかりと時間を掛けて準備している。なら、こういう試合になることは十分にあり得ます。

それを越えないといけないし、自分も待っていた部分がありました。苦戦することを望んでONEを辞めて、ここにきている。だからこそ自分の伸びしろもたくさん分かりました。試合では練習はしていても、試してこなかったこともたくさんあったので。今回は引き出しをだいぶ、開けさせてもらいましたね。練習でやってきたことを本番で、試し斬りできた。だから、そういう場をくれたことに関してはPIの人に感謝しています」

──本音をいえば、引き出しを出すのはUFCとの契約後にしてほしかったです。

「アハハハハ。自分もこんなところで──初戦から全力で戦うことになるとは思っていなかったです。ただトーナメントって誰と当たるか分からないし、イー・チャアのように分かっていなかったけど蓋を開けてみればメッチャ強い。そんなヤツと、いきなり当たることもあるだろうって思っていたので。

そういう選手とUFCと契約する前に当たって、自分の伸びしろを見つけられた方が良かったです。まだ時間もいっぱいあるし、やれるじゃんって思えるので」

──フェザー級は大変。でもバンタム級はそうでないと思っていたら、全くそんなことはなかったと。ただし、現時点でフライ級はそうでもないという予想通りになっています。

「フライ級……言っちゃなんですけど、そうですよね」

──ところで頂柔術で指導をしてくれる磯野元さんは、今回の試合に関してどのように言われていましたか。

「試合の日は磯野さんが珍しく、凄く喜んでくれていました。『ヨッシャー!!』って。自分が勝った云々よりも、磯野さんが喜んでくれて嬉しかったです。判定で勝利が告げられた時、自分ちょっと笑っているんですけど、あれは磯野さんを見ていたからなんです(笑)」

──磯野さんって実は涙もろいところがあるかと。

「泣いてはいなかったですけど(笑)、喜んでくれました。そして試合後には、色々と今後について話しました。ただ磯野さんにしても、今回の試合は想定内だったと。『100パーセント勝つもりなら、ああくるよ』って。自分が自分と戦うならそうするという部分も、磯野さんとほぼほぼ同じ考えで。今回は付き合わない相手とどう戦うという部分で、想定の範囲内のことを突破しきった。

それと磯野さんからは『彼は組みの選手で、組んで勝って来た。その選手に完全防御という選択をさせた時点と、さらにソレを突破できたことは大きい』とは言ってもらえました」

──なるほどぉ!! ストライカーが拒否しきって、打撃をガンガン入れてくる展開は今も頭にありますか。

「ストライカーだと、あんなに粘れないと思います。バールカンも組み力が凄く強いから、組んで受け止めて返すことができる。そういう体力がありました。体が組みをやってきたということで、対応力もついている。だからこそ3Rの終盤まで粘られたということはあります。

ただし組んでいた部分で、自分がもっとやらないといけなかったこともたくさんあります。今、自分がやっている練習環境のなかで同じ階級ぐらいでやっていると──ボディロックを組んだ時、最高の展開はバックを取ることです。それが練習で、いえば簡単にバックを取ることができてしまっていた。練習のなかでそうなることが多いので、上手くいかなかったときもバック狙いを続けてしまいました。やはり練習でも成功することが一番多いので。

でも、今回の試合では切り替えないといけなかった。その切り替えが、遅かったです。もちろんバックを取る力を伸ばすというのは当然ですが、相手も力が入っているところに正面からぶつかっていくよりは、絶対に色々な方向からアタックしていく方が良いです。結果として今回テイクダウンを取れたのも、バールカン自身を動かした時で。彼が止まっている状態でバックが取れたわけでなく、動かせて疲れた時に取れました。だから相手を動かす練習ですね。自分がたくさん動くことも大切だけど、とにかく相手を動かせる。くっついて踏ん張ると力は入るけど、くっつかない──力が入らないところを創る。自分の力が入るところで勝負した時は、相手も力を入れることができるので五分にしからならないので。

そういうところで自分は両足をついていていも、相手は片足にさせるよう動かす。五分じゃないところで勝負し続ける。ダメだったら切り替えていく。ソレを繰り返しできるようスピードを上げていく。今回もやっていたけど、もっと速くしないといけないです。

身体的なスピードと判断力の速さ。同時に今回もペースは上げていたのですが、ペースが速いから良いというわけでもなくて。リズムを変えたりすることも必要ですし、体力があるからトップスピードで走り続ければ良いというわけでもない──という話も磯野さんとしました」

──つまりは勝って、学ぶモノが多い試合だったということですね。

「そうですね。反省というか、次へ……次ではなくて今後の材料を得られるという部分で凄く収穫になりました。同時にこれまで半信半疑で出してこなかった部分を出すことによって、自分の良さに確信を持つこともできました」

──その次、準決勝の相手は野瀬選手に勝利したシャオ・ロンです。そして、あと2試合勝てばUFCです。

「あと2試合……とりあえず2度、試合ができる目途が立っているのはありがたいです。試合ができない期間が長かったので、試合を用意してもらえる状況に感謝しているぐらいですね」

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DEEP DEEP JEWELS o 劉獅 朝倉未来 松嶋こよみ 神田コウヤ

【悲報】松嶋こよみの相手シウバが「飛行機に乗り遅れると共に体重が落ちないため」試合キャンセル

253: 実況厳禁@名無しの格闘家 2023/06/30(金) 15:37:06.61 ID:8XqKGdYf0



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DEEP DEEP114 MMA MMAPLANET o キック 中村大介 五明宏人 海飛 神田コウヤ 青井人

【DEEP114】海飛と仕切り直しの一戦、五明宏人「相手が煽ってくるなら空手対決として受けて立ちます」

【写真】MMA歴は短くとも競技者として、成熟度合が高い五明(C)SHOJIRO KAMEIKE

7月2日(日)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP114で、五明宏人が海飛と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

伝統派空手からMMAに転向し、3連勝を収めていた五明は今年2月、神田コウヤとのDEEP暫定フェザー級王座決定戦に敗れた。5月に青井人と対戦が一度は発表されたが、五明の負傷により試合は流れていた。初の敗戦から4カ月。そこには冷静で、かつ笑顔を浮かべながら語る――空手家ではない、MMAファイターの五明宏人がいた。


――今回の海飛選手と試合、「空手対決」という謳い文句があります。五明選手は伝統派空手で、海飛選手は極真空手出身ということですが、その空手対決というイメージは持っていますか。

「いえ、それほど……(苦笑)。もちろん空手あっての僕ですが、今回が空手対決だとは思っていないです。ただ相手が空手出身で、MMAの試合を行うっていうだけで。でも、空手対決っていうほうが盛り上がるなら、それで構いませんよ」

――空手対決というよりも、伝統派×極真という見方のほうが面白いかもしれません。

「そうですよね。相手も煽り映像で、僕の空手のほうが軽い――軟派な空手だというふうに言っていたので」

――フルコンタクトの極真空手から見て、ポイント制の伝統派空手のほうが軽いと。

「自分としてはどちらでも良いんですけど、相手がそう煽ってくるなら僕も空手対決として受けて立ちますよ」

――一方で、海飛選手も空手家というよりはMMAファイターになってきていますよね。グラウンドで勝負することも多いですし。

「キックっぽい動きもありますしね。勝ち負けが激しいけど、若くて勢いのある選手なので、僕も噛み合うんじゃないかと思います。空手対決といっても、お互いに打撃でいくかどうかは分からないですよ。それは試合が始まってみないと」

――MMAとして打撃をやりたいですか。それとも寝技で勝負したいですか。

「打撃をやりたいです。僕自身も打撃で勝っている試合のほうが面白く感じる部分はあるので。やっぱり打撃で倒したいですね。前回、僕が先手を取られてしまったので、今回は自分が先手を取りたいです。そして全ての試合で、圧倒して勝つ。短距離よりは中距離の戦い方で、しっかり勝ちます」

──押忍。もともとは今年5月に青井人選手との復帰戦が予定されていましたが、五明選手が怪我で欠場となりました。欠場に至るのは、どのような状況だったのでしょうか。

「僕が試合の1カ月前に、椎間板ヘルニアになってしまったんです」

――えっ!? それは厳しい状況ですね。

「これが初めての発症で。左手が痺れて動かず、練習もできない状況でした。試合の1カ月前で試合を飛ばすことはしたくなかったのですが、前回のタイトルマッチで負けていたこともあり、欠場させていただくことになりました。練習の強度が上がっていたことも要因だったと思います」

――空手時代には、それほどの状況になることはなかったのですか。

「椎間板ヘルニアに関していえば、やはり打撃の競技なので、この状態になることはなかったです。相手を倒して突くという動作もありますけど、レスリングほど激しい組み合いではないですからね」

――ということは、それだけレスリング面を強化してきたというわけですね。ただ、初めての経験ということで「今後MMAを続けられるかどうか」など不安にならなかったのでしょうか。

「それはありました。でもジムの先輩に椎間板ヘルニアになった方が多くて。その先輩方からいろんな話を聞いて、まずは治療に専念することになりました」

――確かに初めての経験である以上、その状態で1カ月後の試合に臨むことができるかどうかは分からないですよね。

「はい。それでもプロとして試合を飛ばしてしまったことは、良くなかったと思います」

――いや、たとえ試合に出たとしても、良いパフォーマンスは発揮できないでしょう。まず練習ができない状態になっているわけですから。

「もちろん良いパフォーマンスは出せないと思います。でもジムの先輩には、常に万全の状態で試合をしている人がいないんですよ」

――……。

「みんな何かしらの怪我はしているわけです。まだプロ5戦目の僕なんかが怪我で欠場してしまったのは、プロ失格だったという気持ちがあって……」

――ジム仲間の選手たちが、それだけの負傷を抱えながら練習して、試合に出ているのは傍で見ていて分かりますか。

「見て分かるというか、実際に先輩方のお話を聞くんですよね。誰も万全の状態で試合に臨むことはできていなくて。それと『僕ももう若くないんだなぁ』って思いました」

――……。

「昔は練習で無理しても全然大丈夫だったんですけど、20代後半になって『もう若くないんだな』って感じるようになりました(笑)。だから、しっかりケアするようにしています。特にウォーミングアップとアフターケアは大事ですね」

――確かに五明選手の場合はプロMMA5戦目ですが、これまでの空手キャリアがありますし。20代後半でプロ5戦目というMMAキャリアは、焦りの要因になりますか。

「いや、焦りはないですね。逆に20代後半だからこそ、若さゆえに勝ち急ぐような気持ちはなくなっているので。4戦目でタイトル挑戦というチャンスを頂けたことは本当に嬉しいけど、そこで負けたからといって焦ることはないです。一つひとつ、絶対に良くなってきているはずですから」

――そのタイトルマッチですが、神田コウヤ選手に判定で敗れました。いま振り返ると、神田戦の内容と結果は、どのように捉えていますか。

「相手がキャリアは上なのにシンドイ試合に持ち込んできた時点で、先手を取られてしまったと思います。相手が余裕を持って戦ってくるのかなと思っていたんですけど、試合が始まった時点でテイクダウンに来た。そこで先手を取られたことが一番良くなかったですね」

――試合前は神田選手が、もっとスタンドで戦ってくると考えていたということですか。

「テイクダウンに来ることは想定していました。でも――やられちゃいましたね(苦笑)」

――神田選手にとってテイクダウンは一つの重要な要素であるとはいえ、あそこまでテイクダウンからしつこく組んでくるとは思いませんでした。

「そうなんですよね……。前の試合(※昨年11月、中村大介に判定勝ち)でも、打撃で行っている場面が多かったじゃないですか。僕との試合でも打撃で来るかなとは思っていました。そこで相手のほうがシンドイ試合に持ち込んでくるとは考えていなかったです」

――試合内容から、五明選手ご自身のテイクダウンディフェンスやケージレスリングについては、どのように考えますか。

「僕としてはソッチよりも、試合中のローブローのほうが重要だったと思います。2Rに故意ではないけどヒザ蹴りが当たってしまい、それで相手を休ませてしまうことになりました。組んだ状態から相手を突き放すという選択肢もありました。でも結果的に、ヒザ蹴りを打ったことで相手に休むチャンスを与えてしまいましたよね。あれは反省点です」

――なるほど。試合中も試合後も、それだけ冷静に見ているのですね。

「そこはもう客観的に――もちろん周りの人から教えてもらうことも多いです。特にジムの先輩方が分析してくださることが多いので、自分でも冷静に見て、客観的な意見を聞いて考えることができています」

――しかしながら、試合中にペースを奪い返すことは難しかったのでしょうか。

「いつもどおりケージの中心を取って戦おうとしていました。でも前半に削られてしまったことが大きかったですね。相手も後半は疲れてきていたので、自分からもう一歩攻められたら良かったんですけど」

――結果、ベルトを巻くことができなかった点については、どのように考えていますか。

「う~ん……ベルト、欲しかったんですよねぇ(苦笑)。でも獲れなかったので、もう一度ベルトを狙いに行く。それしか考えていなかったです。悔しいというよりは、すぐに前を向いて次を考えることはできました」

――プロ4戦目でタイトルマッチの機会を得たことは、それだけ五明選手に対する期待も高かったのだと思います。そのような期待をプレッシャーには感じませんでしたか。

「正直、僕もベルトを獲れると思っていたんですよ(笑)。それでベルトを巻けなかったことよりも、自分にガッカリしました。もっと自分はできると思っていて……。MMAファイターとしての五明宏人にガッカリしましたよね」

<この項、続く

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MMA MMAPLANET o Road to UFC Road to UFC2023 UFC UFC Fight Night UFN ジョン・チャンソン ファーニー・ガルシア マックス・ホロウェイ 上久保周哉 中村倫也 原口伸 神田コウヤ 鶴屋怜

【UFN & Road to UFC】中村倫也の初陣はシンガポール。メインはホロウェイ✖コリアンゾンビ。RTU準決も

【写真】コリアンゾンビにとって、ラスタダンスとなるのか……それとも母国大会が最後の舞台か (C)Zuffa/UFC

16日(金・現地時間)、UFC ASIAより8月27日(土・同)にUFC Fight Night、翌28日(日・同)にRoad to UFC準決勝大会がシンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されることが決まった。

昨年6月以来のライオンシティでのUFCは2週間後にシドニーでのPPV大会を控えており、アジア・プライムタイムで行われるFight Night大会となる。とはいえメインで組まれるのは、マックス・ホロウェイ✖コリアンゾンビことジョン・チャンソンのスーパーカードだ。なお今回のリリースには記されていないが、同大会では中村倫也のオクタゴン・デビュー戦=ファーニー・ガルシア戦も行われる。


また翌日は5月最終にスタートを切ったRoad to UFC2023の準決勝大会が実施されるが、試合開始時間は現地の午後4時とプレスリリースに明記されており、昨年のような2 エピソードではなく4階級✖2試合で構成させる1イベントとなる模様だ。

日本勢はフライ級の鶴屋怜、バンタム級で上久保周哉、フェザー級で神田コウヤ、ライト級で原口伸と1階級に1人が残っている状態だが、果たして何人が決勝進出を決めるか。ファイトナイト大会もアジア向きショーであるがため、他の日本人選手の出場やアジア勢との生き残り合戦が組まれる可能性もある──それだけに、8月の最終週に世界の中のJ-MMAの今後を考えると限りなく大切な2日間となることは間違いない。

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KTT MMA MMAPLANET o Road to UFC Road to UFC2023 Road to UFC2023Ep03 SASUKE TOP FC UFC イ・ジョンヒョン イ・チャンホ イープークールー イー・チャア ウィンドリス・パティリマ ウズアズベク・ジャフフ エプライム・ギンディン キム・サンウォン キム・サンウク キム・ハンスル キ・ウォンビン クリス・ホフマン シャオ・ロン シャン・シンカイ スミット・クマール タイラークゥ ダールミス・チャウパスゥイ チィルイイースー・バールガン チェ・スングク トップノイ・キウラム ナムジャルガル・トゥメンデムベレエル バーハートゥブールゥ・アトゥボラティ ビリー・パスラタン ピーター・ダナソー ホン・ソンチャン マーク・クリマコ ユ・サンフン ラナルドラ・プラタップ・シン リー・カイウェン ルー・カイ ロナル・シアハーン ロン・チュウ 上久保周也 丸山数馬 原口伸 神田コウヤ 野瀬翔平 鶴屋怜

【Road to UFC2023Ep03】ロン・チュウ戦へ─脱力KTTホン・ソンチャン「イケメンなのでボコボコに(笑)」

【写真】メチャクチャハードな練習をしていながら、こんな風にRoad to UFCに向き合えるのも素敵だ (C)MMAPLANET

27日(土・現地時間)&28日(日・同)の両日に、中国は上海のUFC PIにおいて開催されるRoad to UFC。2日目のエピソード03に出場し、元UFCファイターのロン・チュウと対戦するホン・ソンチャン。

TOP FC時代に日本のファンの記憶にも残っているであろう──佐藤豪則と2度に渡る急所蹴り→ノーコンテストという珍事を経験し、その後は4年近いブランクがあった。

その激しい練習に知られたKTTで自らを苛め抜く日々を送りながら、ホン・ソンチャンはRoad to UFCに対して非常に肩の力が抜けた向き合い方をしていた。


──気を悪くされると申し訳ないのですが、ホン・ソンチャン選手といえばどうにも佐藤豪則選手と2度に渡り急所蹴りでノーコンテストになった事件が忘れられないです。

「まだ、覚えているのですか(苦笑)」

──いやぁ、忘れられないですよ(笑)。

「佐藤選手との試合以降、ヒザより上は蹴られないようにしています(苦笑)」

──アハハハハ。

「あれは100パーセント、自分のミスなので。今でも佐藤選手には申し訳ない気持ちでいっぱいです。申し訳ありませんでした」

──2017年7月の佐藤選手との2戦目から、2021年5月まで3年10カ月もの長期間ブランクがありました。

「練習自体していない時期が凄く長かったです。プロMMAファイターを続けていると経済的な問題を抱えていましたし、自分のやりたかったこともったので。その後、親しい先輩とジムを運営することになり、そこで軽く汗を流しているとやっぱりMMAは楽しくて。それで復帰を決めました」

──このハードなKTTの選手練習に戻ってこられるものなのですね。

「運営しているジムがKTTの支部ですし、KTTで練習するからこそ、遣り甲斐を感じることができます。KTTでの練習後に食事をすることが、一番の楽しみです(笑)」

──復帰する際の目標はどこにあったのでしょうか。

「特定の目標はなかったのですが、ジム運営をしながらちゃんと生活の基盤を持ちつつ、機会があれば試合に出よう。それぐらいでした。ただ、ここにきてRoad to UFCで戦うという流れになり、もう簡単な気持ちではやれないですよね(苦笑)」

──勝てばUFCというRoad to UFCだからこそ、世界最高峰を目指そうという気になったのですか。

「そうですね。負けたらどうしようとかという気持ちもありますが、それでも自分がやるだけやって試合に出れば満足できるんじゃないかなと思っています」

──ライト級には原口伸選手が出場しています。互いに勝ち続ければ絶対に当たることになるのですが、彼が昨年11月にチームメイトのキム・サンウォン選手に勝っていることは意識しますか。

「もちろんですよ。当然じゃないですか(笑)。ただ、まずは1回戦のロン・チュウです。元UFCファイターですし、今は彼だけに集中しています。自分よりも経験豊富ですし、上手い選手です。しっかりと準備もしてきました。イケメンなのでボコボコに殴ってやりたいです(笑)」

■視聴方法(予定)
5月27日(土・日本時間)
Episode01
午後7時00分~UFC FIGHT PASS
午後6時30分~U-NEXT

Episode02
午後9時00分~UFC FIGHT PASS
午後8時50分~U-NEXT

5月28日(日・日本時間)
Episode03
午後7時00分~UFC FIGHT PASS
午後6時30分~U-NEXT

Episode04
午後9時00分~UFC FIGHT PASS
午後8時50分~U-NEXT

■ROAD TO UFC AISA2023 Episode01対戦カード

<Road to UFCフェザー級T準々決勝/5分3R>
SASUKE(日本)
キム・サンウォン(韓国)

<Road to UFCフライ級準々決勝/5分3R>
マーク・クリマコ(米国)
イ・ジョンヒョン(韓国)

<Road to UFCフェザー級準々決勝/5分3R>
イー・チャア(中国)
ウズアズベク・ジャフフ(中国)

<Road to UFCフライ級準々決勝/5分3R>
鶴屋怜(日本)
ロナル・シアハーン(インドネシア)

<フライ級/5分3R>
トップノイ・キウラム(タイ)
ナムジャルガル・トゥメンデムベレエル(モンゴル)

■ROAD TO UFC AISA2023 Episode02対戦カード

<Road to UFCバンタム級T準々決勝/5分3R>
リー・カイウェン(中国)
ルー・カイ(中国)

<Road to UFCフライ級準々決勝/5分3R>
スミット・クマール(インド)
チェ・スングク(韓国)

<Road to UFCフェザー級準々決勝/5分3R>
イープークールー(中国)
神田コウヤ(日本)

<Road to UFCフライ級準々決勝/5分3R>
チーニョーシーユエ(中国)
ビリー・パスラタン(インドネシア)

<ウェルター級/5分3R>
タイラークゥ(中国)
キム・ハンスル(韓国)

■ROAD TO UFC AISA2022 Episode03対戦カード

<Road to UFCライト級T準々決勝/5分3R>
ホン・ソンチャン(韓国)
ロン・チュウ(中国)

<Road to UFCバンタム級準々決勝/5分3R>
上久保周也(日本)
チィルイイースー・バールガン(中国)

<Road to UFCライト級準々決勝/5分3R>
丸山数馬(日本)
キム・サンウク(韓国)

<Road to UFCバンタム級準々決勝/5分3R>
シャオ・ロン(中国)
野瀬翔平(日本)

<ウェルター級/5分3R>
クリス・ホフマン(フィリピン)
ユ・サンフン(韓国)

■ROAD TO UFC AISA2022 Episode04対戦カード

<Road to UFCライト級T準々決勝/5分3R>
キ・ウォンビン(韓国)
バーハートゥブールゥ・アトゥボラティ(中国)

<Road to UFCバンタム級準々決勝/5分3R>
イ・チャンホ(韓国)
ラナルドラ・プラタップ・シン(インド)

<Road to UFCライト級準々決勝/5分3R>
ウィンドリス・パティリマ(インドネシア)
原口伸(日本)

<Road to UFCバンタム級準々決勝/5分3R>
エプライム・ギンディン(インドネシア)
ダールミス・チャウパスゥイ(中国)

<フライ級/5分3R>
ピーター・ダナソー(タイ)
シャン・シンカイ(シンガポール)

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o ONE PRIDE UFC ルー・カイ 神田コウヤ

Road To UFCシーズン2エピソード2:第5試合・リー・カイウェン vs. ルー・カイ

フェザー級トーナメント一回戦。

中国のカイウェンはONEで12戦して9勝3敗の戦績を残している。五味に似ているため、中国のファイアーボールキッドとも呼ばれている。フェザー級だったが、最後の2戦はバンタム(水抜きなしの145ポンド)に落としたものの、21年12月に現王者のファブリシオアンドラージと対戦し、早々に肩を脱臼して1RKO負け。しかし中国勢の中では実力がはっきりしている方。27歳で10勝5敗。

ルー・カイは2年連続の出場で、初戦はONE PRIDE王者に実力差を見せつけ2Rパウンドアウトで勝利。2戦目は優勝しUFCとの契約を果たした韓国のイ・ジョニョンに42秒でKO負け。28歳で8勝4敗1NC。昨年のRoad To UFCの後は試合を行っていない。

勝者は神田コウヤと準決勝で対戦する。