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Bu et Sports de combat サンチン ブログ 剛毅會 岩﨑達也 武術空手

【Bu et Sports de combat】武術で勝つ。型の分解、サンチン編─10─中割れで知る、型が伝えること<01>

【写真】サンチン/中割れの教えから、無限に技術論は広がる。それが型稽古を循環させるということになる(C)MMAPLANET

武術でMMAを勝つ。空手でMMAに勝利する──型を重視する剛毅會の武術空手だが、岩﨑達也宗師は「型を使って戦うということではない」と断言する。型稽古とは自身の状態を知り、相手との関係を知るために欠かせないモノであって、その形で戦うことではない。

サンチン、ナイファンチ、セイサン、パッサイ、クーサンクーの型稽古を行う剛毅會では、まずサンチンから指導する。5種類の型稽古にあって、唯一サンチンのみが意味を吸いて吐くという意味での呼吸を学ぶことができる。

全ての根幹となる武術の呼吸を学ぶことができる──サンチンの解析、第10回は中割れを通して、型が伝える意味を前後編で解析したい。

<サンチン解析第9回はコチラから>


(01)転身後に左逆突きから右前サンチンとなり、ここで移動せずに逆突き→順突き→逆突き、そして左受け回しから両腕受けに

(02)手刀を押し分けるようにして中割れ

(03) 横、正面に隙が無く、間を制すという中割れの角度の取り方は非常に難しい

(04)この状態だと、頭突きも

(05)金的も入らない

(06)角度が違ってくると、頭突き、

(07)金的も入る


試合では余り見られないが、実戦で効果的なワキ腹を狙った諸手突きに対して、中割れの状態である両手を受け、右腕受けから、上がってきた拳が裏拳となる。

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【Bu et Sports de combat】武術で勝つ。型の分解、サンチン編─09─「タメ、捻り、反動がない突き」

【写真】同じサイドの手足を前に出す追い突き(C)MMAPLANET

武術でMMAを勝つ。空手でMMAに勝利する──型を重視する剛毅會の武術空手だが、岩﨑達也宗師は「型を使って戦うということではない」と断言する。型稽古とは自身の状態を知り、相手との関係を知るために欠かせないモノであって、その形で戦うことではない。

サンチン、ナイファンチ、セイサン、パッサイ、クーサンクーの型稽古を行う剛毅會では、まずサンチンから指導する。5種類の型稽古にあって、唯一サンチンのみが意味を吸いて吐くという意味での呼吸を学ぶことができる。

全ての根幹となる武術の呼吸を学ぶことができる──サンチンの解析、第9回は追い突きを理解することで、腰にタメを作らず、体の回転による反動や体重移動を必要としない空手の突きを解析したい。

<サンチン解析第8回はコチラから>


(01)転身後、同連載01~08回までの動作を繰り返し、2度目の転身を終えると前方を向くと同時に左腕受け、右引き手、左前サンチン立ちとなる

(02)さらに右突きから、右腕受けで両腕受け。ここからもこれまでと同じように右足を前に進めて左引き手、左突き(逆突き)、左腕受けをして両腕受け=右前サンチン立ちに

(03)続いて転身せずに、足はそのままで右突き(順突き)を繰り出す。ここで初めて前足が出た方の手で突き(追い突き)となる

ここから右足前&右の突き=追い突きが、なぜ威力があるのかを紐解きたい。それにはまず右足が前、左手で突く(逆突き)と左ストレートの違いを説明が必要になってくる。

左ストレートは左肩を引き、腰にタメを作り、その回転力で打つ

(05)対して、逆突きは肩が同じ位置にあり、ヒジを引いて突く。下げて腰にタメを作ることもなく、また肩を前に出して腕を伸ばすのではなく、ヒジをしっかりと伸ばして突く

(06)上の説明にあるように逆突きを腰の回転で突くイメージを持ち続けていると、右のパンチも肩を引き、腰にタメを作って打つようになり、空手の突きとはならない

逆突きと同様に肩を動かすことなく、ヒジを引き、腰にタメを作らず、回転力を利用せず「ただ」突く。これが空手の追い突きだ

腰のタメを使ったパンチは椅子に座ると威力が出なくなる。これは腰を捻ることで、足も捻り体重移動が起こることで得た推進力を利用しているからだ

(09)一方、空手の突きは肩の移動も、腰のタメも体重移動もないため、椅子に座っていても威力のある突きが打てる。ただし、力を起こそうと形が崩れると、型本来から出てくる力が出てこなくなる

(10)より端的に表せば椅子でなく、寝転がって行っても同じことがいえる。腰のタメを来るパンチは背中を床につけると威力が出なくなるのに対し、

(11)空手の突きは重力や力の作用、反作用を使っていないので変わらず打つことができる

【重要】空手の突きは、あくまでも腕を伸ばすだけ。ヒジを使う=伸ばすという作業が簡単でないからこそ、サンチンの型の稽古が必要になる

(12)サンチンで稽古をしたことにより、サンチンと同じように肩を出さず、ヒジを使う突きを基本稽古の四股立ちからの突きで使うことができるようになる

(13)四股立ちの時も、肩の位置は同じで、型の延長線上に突く。ここで威力を出そうとすると、動きにズレが生じる。サンチンの稽古を積むことで、威力が出るようになる

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【Bu et Sports de combat】武術で勝つ。型の分解、サンチン編─08─「転身動作時の呼吸。快適な呼吸」

【写真】吐くことを意識する一方で、決して呼吸を止めるということではなく自然を息を吸うことを忘れない(C)MMAPLANET

武術でMMAを勝つ。空手でMMAに勝利する──型を重視する剛毅會の武術空手だが、岩﨑達也宗師は「型を使って戦うということではない」と断言する。型稽古とは自身の状態を知り、相手との関係を知るために欠かせないモノであって、その形で戦うことではない。

サンチン、ナイファンチ、セイサン、パッサイ、クーサンクーの型稽古を行う剛毅會では、まずサンチンから指導する。5種類の型稽古にあって、唯一サンチンのみが意味を吸いて吐くという意味での呼吸を学ぶことができる。

全ての根幹となる武術の呼吸を学ぶことができる──サンチンの解析、第8回は転身の際の呼吸を解析したい。

<サンチン解析第7回はコチラから>


(01)ヒジを引く時に息を吸う

(02)右腕受けのヒジの下に拳を移動する時に、吐く

(03)転身しながら左前サンチンとなる際に、吐く

(04)右を突きながら、吐く

※息を吐き続けることになるが、この間に呼吸が苦しくなれば息を吸えば良い。ただし、あくまでも意識するのは吐くこと。自然に息を吸うことは構わない。転身の際だけでなく、サンチンの型全般に置いて吐くことを意識する

【最重要】
呼吸は気を出すための呼び水。第一に必要なことは自身にとって快適な呼吸をすること。吐くことを意識するのだが、決して無理をしない

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【Bu et Sports de combat】武術で勝つ。型の分解、サンチン編─07─「転身が壱挙動『イチ!』になるには」

【写真】転身からのヒジを入れ、突かれないための一挙動とは──(C)MMAPLANET

武術でMMAを勝つ。空手でMMAに勝利する──型を重視する剛毅會の武術空手だが、岩﨑達也宗師は「型を使って戦うということではない」と断言する。型稽古とは自身の状態を知り、相手との関係を知るために欠かせないモノであって、その形で戦うことではない。

サンチン、ナイファンチ、セイサン、パッサイ、クーサンクーの型稽古を行う剛毅會では、まずサンチンから指導する。5種類の型稽古にあって、唯一サンチンのみが意味を吸いて吐くという意味での呼吸を学ぶことができる。

全ての根幹となる武術の呼吸を学ぶことができる──サンチンの解析、第7回は転身を分解組手をもって追求したい。

<サンチン解析第6回はコチラから>


究極の一挙動「イチ!」で振り向き、隙を創り辛くすることが求められる転身だが、足をずらしてから回ろうとすることで、歩幅が広くなったり、狭くなるということが起こる。そうさせないために、転身を分解組手で紐解きたい。

(01)相手が右で突いてきたとき、

(02)突きを受けるときには転身しており、

(03)その手のヒジを相手に入れると、相手の攻撃は被弾しない

(04)✖ しかし、相手が突いてきたとき、

(05)✖ 受けてから、

(06)✖ 転身をし、ヒジを入れても、

(07)✖ 一挙動「イチ」でなく、「イチ、ニ」となるため左の突きを受ける

【最重要】
サンチンの型にある転身が意味することを理解できると、型も変わってくる。結果、転身してもサンチンの構えを維持でき足が綺麗に揃うようになる。

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【Bu et Sports de combat】武術で勝つ。型の分解、サンチン編─06─「隙を作らず。回転動作の本質」

【写真】回転するときに注意すべきは、逆の方向(C)MMAPLANET

武術でMMAを勝つ。空手でMMAに勝利する──型を重視する剛毅會の武術空手だが、岩﨑達也宗師は「型を使って戦うということではない」と断言する。型稽古とは自身の状態を知り、相手との関係を知るために欠かせないモノであって、その形で戦うことではない。

サンチン、ナイファンチ、セイサン、パッサイ、クーサンクーの型稽古を行う剛毅會では、まずサンチンから指導する。5種類の型稽古にあって、唯一サンチンのみが意味を吸いて吐くという意味での呼吸を学ぶことができる。

全ての根幹となる武術の呼吸を学ぶことができる──サンチンの解析、第6回は両腕受けから転身を追求したい。

<サンチン解析第5回はコチラから>


(01)両腕受けから連載2回の足運びを同じ動作で、左前サンチン。そして連載3回と同じように右手をひき


(02)連載4回と同じ要領で右腕を突き出し、腕受け、両腕受けに。さらに右足を内側に円を描くように一歩前へ


(03)右前サンチンから左手を引き、左の突き、腕受けから


(04)両腕受けに


(05)これまで同じく体にこすりつけるようにヒジを引き


(06)この引手の拳甲を上へ向けながら


(07)右腕受けのヒジの下に拳を上に向けたまで移動させる


(08)ここから右前足を左の真横に移動させ


(09)後方に一気に振り向き、左前サンチンとなる

✖足をずらした時に歩幅が狭いと、振り向いた時にサンチン立ちではなくなってしまい、隙だらけになる

✖✖右足を横でなく、前方=縦に広げてしまい前後の歩幅が広くなり、これもサンチン立ちではなくなる。足をずらして回ることを意識しすぎていることで、生じる動作だ

【注意・上級編】✖✖✖左にずらした右前足、この移動させた力の反作用で回転させない。このような反動で回るということは、ずらした右足に溜めを作って回ることであり、右側に戻ることができなくなる。
ここで戻ろうとすると、右に傾き軸を失ってしまう。つまり振り向く方向に意識が集中し、逆側に意識が回らないで隙ができることに通じる。結果、一方向に対し、意識が偏った状態=居着いた状態となる。
サンチンで後ろを向こうという時に気を付けなければならないのは、実は逆の方向。移動した足に体重を乗せて反作用で回ると、回転動作の本質とは違う動きになる

反動を使わず右足をずらした時には、究極の一挙動「イチ!」で振り向くことによって隙を創り辛くする。サンチンは基本的に前後に隙を創らないための動き。振り向いたときに、後ろ側に隙があるかどうかが、この振りむいた時の動作で判断できる。

※次回、分解組手でこの振りむく動きを解説したい。

<この項、続く>

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【Bu et Sports de combat】武術で勝つ。型の分解、サンチン編─05─「僅かに吸うと呼吸が体を通り……」

【写真】サンチン、型の分解。今回はここまでの動きに関する呼吸について触れたい (C)MMAPLANET

武術でMMAを勝つ。空手でMMAに勝利する──型を重視する剛毅會の武術空手だが、岩﨑達也宗師は「型を使って戦うということではない」と断言する。型稽古とは自身の状態を知り、相手との関係を知るために欠かせないモノであって、その形で戦うことではない。

サンチン、ナイファンチ、セイサン、パッサイ、クーサンクーの型稽古を行う剛毅會では、まずサンチンから指導する。5種類の型稽古にあって、唯一サンチンのみが意味を吸いて吐くという意味での呼吸を学ぶことができる。

全ての根幹となる武術の呼吸を学ぶことができる──サンチンの解析、第5回──用意の姿勢から突き、受け──ここまで紹介した動きの間に見られる、呼吸を振り返りたい。

<サンチン解析第4回はコチラから>


(01)サンチンをする際の呼吸、まず用意の姿勢の時に息を吸うが、呼吸そのものは大きく見せることはしない。

特に吸うときは、通常の呼吸と同じように息を吸っていることをことさら強調しない。

基本的に武術は呼吸を見せないモノで、サンチン以外の型では隠し呼吸といって、外には見せないようになっている
  
(02)用意の姿勢から始めの声が掛かり、足は結び立ちから内八の字立ちとなり、手の甲を交錯している状態から正拳を握り体側に開き下ろす時に息を吐く。

✖ 動作に合わせてハッと息を吐く。

肩を上げて息を吐く動作はガク引きと呼ばれ、よく見られている。しかし、このガク引きのような大きな動作と大きな呼吸は必要ない

【重要】吸った時を特に見せないようにするのは隙だらけになり、その瞬間に腹を突かれると相当に効かされてしまうから。

吸う呼吸を見せることは健康法ではあっても、武術ではありえない

(03)01:右足を内に回しながら前に進めるとき、両腕が交差し足は内側にある時点まで息を吸い、

(03)02:両腕受け&右足が外に踏み出した時に息を吐く。ここでもガク引きはせず、腹を圧縮するようにし、

(03)03:ごくごく小さく発声するように吐く

(04)左手を引きながら、吸い

(05)突きながら吐く

✖腕を突く時に、大きくヒザでタメを作り同時にハッと大きく発声しながら息を吐いてはいけない

(06)腕受けの際は、外側に下がっている時に吸い

(07)内側を挙がってくるときから、両腕受けになるまで吐く

サンチンの息の吐き方を身につけると息が長くなる。呼吸が長くなるとサンチンに掛る時間も長くなる。

【最重要ポイント】新しい空気を入れるよりも、古い空気を出していないことの方が疲れに通じる。大きく吸って、大きく吐いてという動作をしていると、実際には体の中に呼吸が通っておらず人間の体は軽くなる。少し口を開き、僅かに吸うと呼吸が体を通り、強い状態になる。つまり吸って、吐いてという呼吸を学ぶことで、最終的には吸ったり吐いたりするのではない、体の内面に流れる呼吸を身につけていく。

<この項、続く>

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【Bu et Sports de combat】武術で勝つ。型の分解、サンチン編─04─「チンクチのかかった状態の突き」

【写真】当たった時の形はサンチンでなくても、状態はサンチン。それが武術のMMAにおける、活かし方だ(C)MMAPLANET

武術でMMAを勝つ。空手でMMAに勝利する──型を重視する剛毅會の武術空手だが、岩﨑達也宗師は「型を使って戦うということではない」と断言する。型稽古とは自身の状態を知り、相手との関係を知るために欠かせない。

サンチン、ナイファンチ、セイサン、パッサイ、クーサンクーの型稽古を行う剛毅會では、まずサンチンから指導する。そんな剛毅會の稽古には站椿が採り入れられている。5種類の型稽古にあって、唯一サンチンのみが意味を吸いて吐くという意味での呼吸を学ぶことができる。

全ての根幹となる武術の呼吸を学ぶことができる──サンチンの解析、第4回──突きを追求したい。

<サンチン解析第4回はコチラから>


(01) 拳を出す時は

(02) ヒジが体側から離れる位置にあるところから、

(03) ヒジを中心に円を描き、

(04) ゆっくりと回転して拳甲が上を向くように打つ。拳先からカラダ全体が一つに繋がった状態、すなわちチンクチのかかった状態の非常に強い突きとなる。✖肩甲骨を意識して打っても強い突きは打てない

✖ヒジが体側から離れる前に拳が回転し始めると、腕の伸びる距離が短くなる

✖拳を高い位置からスタートさせると、弱い突きになる

✖上に向かって突きを出すと、弱くなる。チンクチが掛かっていない状態になっている

【重要】
サンチンで正しい突きの打ち方、腕の伸ばし方を習得すると、実際の試合で使うスピードが乗ったパンチも同じ原理・原則で打てるようになる。「それ以外のパンチは、体が嫌がって打たなくなります」(松嶋)。当たった時の形はサンチンでなくても、状態はサンチンになっている。動作と決め、つまり当たったときにカラダ全体が繋がっているのが空手の命である。ただし決めだけではボクシングや、MMAなど実際の格闘で使うことができない。型で養成した突きをボクシング的な練習で自分のリズムに落とし込むことが必要となる。ここに型を格闘に使う際の難しさがある。型で突きを養成し、ボクシング的練習で自分のリズムに落とし込むことで誰でも強烈かつ実戦的なパンチを身につけることができる

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Bu et Sports de combat サンチン ブログ 剛毅會 岩﨑達也 武術空手

【Bu et Sports de combat】武術で勝つ。型の分解、サンチン編─03─「引くという動きが一番難しい動作」

【写真】この拳を引いた構えのなかに、サンチンを知る要素が非常に多く含まれている (C)MMAPLANET

武術でMMAを勝つ。空手でMMAに勝利する──型を重視する剛毅會の武術空手だが、岩﨑達也宗師は「型と使って戦うということではない」と断言する。型稽古とは自身の状態を知り、相手との関係を知るために欠かせない。

サンチン、ナイファンチ、セイサン、パッサイ、クーサンクーの型稽古を行う剛毅會では、まずサンチンから指導する。そんな剛毅會の稽古には站椿が採り入れられている。5種類の型稽古にあって、唯一サンチンのみが意味を吸いて吐くという意味での呼吸を学ぶことができる。

全ての根幹となる武術の呼吸を学ぶことができる──サンチンの解析、第3回──両腕受けから、最も難しいといえる拳を引く動きを追求したい。

<サンチン解析第2回はコチラから>


✖両腕受けで、ワキの下に拳ひとつ入るぐらいのスペースがないと、手の位置が低くなり、相手の攻撃が入りやすくなる

✖拳が前に出過ぎると、さらに入りやすくなる。顔面だけでなく、禁的攻撃を受ける

(01) 正しい構えだと、非常に遠く感じ攻撃は届かなくなる。禁的蹴りも入りづらくなり、何より安心して構えることができる

(02) 両腕受けから左で突く。突くためには拳を引く動作が必要だが、この引くという動きがサンチンで一番難しい動作になる

(03) 拳を引くヒジをしぼって、力をいれないように引く。力をいれないでも、締まるようになる

(04) 引いた拳の位置は、肋骨の一番下に鉄槌が軽く食い込むように持ってくる

この引いた時に、ヒジがやや内側を向いている。これによって、筋肉が背骨側に締まり、縦と横に筋肉を締めることになる。この筋肉の収縮をヒジを出すことで開放する。骨を動かしていると、筋肉がついてくる動きによって、ガマクがかかった突きとなる

【重要】肩を下げて、ヒジを締める。サンチンでは、どの状態でも重要な点

✖ヒジを引いた時の注意点は肩が上がらない、ワキをあけない、締まらないからといって無理やり締めるようにしない。ヒジが内側を向いていなく真後ろに引かない──という4点だ

✖ヒジを内側に入れようとして、腰を捻ると筋肉の横への収縮が弱くなり力は入らない。腰の横回転で打つと、もともとパンチ力の強い人間のパンチは強く、そうでない人間のパンチは弱い。誰もが強く打てる原理・原則の下、威力のある突きが打てる武術空手の突きとは違う

<この項、続く>

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Bu et Sports de combat Interview ONE サンチン ブログ 松嶋こよみ

お蔵入り厳禁【ONE】松嶋こよみに訊く─02─武術空手「サンチンの稽古で培われた内面を生かすこと」

【写真】黒帯のストライプルが2本になっている松嶋。コレをやって役にたつのか?!(C)MMAPLANET

お蔵入り厳禁──8月21日(金・現地時間)にABEMAで中継されたONE110「No Surrender III」のゲスト解説を務めた松嶋こよみインタビュー後編。

Road to ONE出場がなかった松嶋はMMAファイターがほぼ行うことがない空手の型稽古を採り入れている。フルコンタクト空手でもポイント空手でのない、武術空手の稽古は松嶋に何をもたらしているのか。

<松嶋こよみインタビューPart.01はコチラから>


──ゲイリー・トノン、タン・リーという名前が挙がりましたが、その2人を現時点でのターゲットにしているということですね。

「やはり今すぐに戦って勝てるというプランが頭に浮かばない2人ですし。簡単にそういうモノが出てくる相手ではないです。それこそ、もっともっ積まないと勝てない相手だとは分かっています。だからこそ、この2人と戦いたいんです」

──現代の有明省吾と剛毅會では呼ばれている松嶋選手としては……。

「誰も分からないですよ。その呼び方をしても(笑)」

──大山倍達総裁が極真史上、最高の天才と称したとされる春山一郎という実在した人物をモデルとした空手バカ一代の登場人物であることは一応説明させていただきます。そんななか、あまり武術空手を語ることがない松嶋選手ですが、以前に取材以外での会話のなかで『ナイファンチは型をやっていてもまだ分からないですが、サンチンは掴めてきてMMAで生かせる』ということを言っていましたが、その言葉の真意を教えていただけないでしょうか。

「それは……何が生きているのか、動きや技術面として言葉で言い表すことはできないのですが……一番は僕は目線かと思っています」

──目線?

「ハイ。構えている時の目線、視線が死んでいる時というのがあります。こういうことを話し始めると、MMAの選手たちは『何を言っているんだ』という感じになってしまいますが、僕のなかでは視線が死んでいる時があるんです。

でも構えてフとした時に、ハッと……全部、擬音になってしまうのですが(苦笑)、開いた瞬間にパンチが見える」

──それは姿勢や目の位置が同じであっても死んでいる時と、見える時があるのですか。

「細かいことでいえば手の位置とか、姿勢は違っているのかもしれないですが、見えるんです。心の持ちようもあるかと思いますけど、色々なことが合わさって自分の構えが良くなったと思います。

それこそ今、前傾姿勢で戦っているのですが、そういう時ってどうしても頭は下がります。でも、その気持ちがあるだけで自分が楽になるんです」

──サンチンの構えを取らなくても、サンチンの型の稽古をしていることで、その気持ちを思い起こして活用できるということですか。

「ハイ。サンチンの構えを取らなくても、自分が瞬間的にフッと開いているなという気持ちでいるだけで、自分の状態が良くなっているんじゃないかと感じます」

──それがサンチンを体得できているということなのですか。

「いや、体得できているなんて言えません。全然、まだまだだと思っています。そういう気持ちの部分以外でも、肩の使い方や、ヒジが体側から離れるタイミングで拳を回転させるなど威力のある突きを打つことができるはずなのですが、まだ自分のなかで落とし込めていないです」

──つまりはサンチンで培ったモノを心身ともに威力、力として活用するわけであって、相手のパンチを廻し受けし、虎口のようなタイミングで掌底やパンチを入れるということではないと?

「ここは断言できますが、cです」

──おお、そういう風に言い切れてしまうのですね。あれができると格好良いなとか浪漫を追い求めるのではなく。

「練習の時点でそういうことをやると、それは試合のための練習にはならないです。それこそサンチンの型には、色々な動作、体の使い方はありますが、そこによって培われた内面を生かすことだと僕は考えています。あの型の動きが、MMAに生きるとは思っていないです」

──リアリティと浪漫、秘術の違いですね。そういう夢を見なくてトライできるのが凄いですね。

「やって損はないですから。だって日本人の打撃はキックでもなく、ムエタイでもない。日本にあったのは空手じゃないですか。せっかく日本には空手があったのに、皆はそこを学ばないんだなぁって思っています」

──キックボクシング、ボクシング、ムエタイは内面で生かすのではなく、練習した技術を落とし込むことができますよね。その違いは大きくないでしょうか。

「でもK-1やムエタイの距離とMMAは違うので、そこも習った技術がそのまま生きるというのは別だと思います。だから、個々の競技で習ったことをMMAに落とし込む作業は必要ですし。実際、僕もキックボクシングのジムに行かせてもらってキックのスパーリングをしていますけど、そのスパーがMMAで直接生きると思ってやっているわけではないです……でも、なんでやっているのかな。アハハハハ」

──そもそも剛毅會の武術空手は競技としてのカテゴライズを考えるとフルコンタクト空手でも、ポイント空手でもありません。要は琉球で培われていた競技化、むしろ体育科する以前の空手を探求しているような。

「だから僕がやっている空手の稽古はK-1やキック、ムエタイよりもMMAに生きると思っています」

──例えば松嶋選手のパンチは、低い位置からまっすぐ出ることがあります。それはサンチンで培ったからでしょうか。

「自分では理解していないですが、2月のキム・ジェウン戦で奪ったダウンは岩﨑先生曰く『そうです』。でも自分ではサンチンの突きで殴り倒したという自覚はないです。それこそボクシングもやっているから、できたとも思っていました。ただ後々、映像で見返して見るとヒジを返していたり、ちょっと違う殴り方をしていました」

──サンチンの動きが入っていたと。

「それでも武術って実際には使うモノじゃないような気がしています」

──それが路上の現実を指すモノであれば暴漢に襲われた、切った、刺したということが身の回りにあるほうが危険すぎますしね。

「それこそマインド的なやることで、それが勝手に試合で出たんじゃないかと思います。だから、こういう感覚ってどう説明すれば良いのかも難しいですし、誰もがハマるかといえば全然そうじゃないでしょうし。でも、僕にはそれがハマったということです」

──マインドということですが、メディテーションとはまた違うのでしょうか。

「メディテーションは別物です。武術も格闘技もMMAも、どのスポーツも感情の起伏が試合中で出てしまいます。その部分をできるだけ減らしたくて、僕はメディテーションをやっています」

──その効果の程は?

「自分のなかで精神的な波がなくなってきました。それが空手と良いように融合してきたかと思っています。2月の試合は特にそのように感じました。以前は……それこそAACCに所属していた時期は、ガッと攻めて殴れば良いという感覚で空手をやっていました。結果的に空手が自分の中に入ってきていなかったです。

それが今ではメディテーションとの相乗効果で空手が入ってきて、凄く良い練習ができています」

──MMAをやるうえでどのような稽古も真剣にしていれば無駄はないと思います。ただし、効率的かどうかはある。正解があるとすれば試合で勝つこと。と同時に勝った、負けたで正解、間違いもない。結果と鍛錬によって得る効果、あるいは強化とは別物という難しさがあります。

「だから面白いという見方もできると思います」

──結果ムエタイにも興味があって、土曜日はムエタイに行こうとなるわけですね。

「あっ、でも明日(※収録翌日)は昇段審査があるんです。サンチン、ナイファンチ、セイサン、パッサイ、クーサンクーの型を全てやります」

※剛毅會空手二段に昇段

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【Bu et Sports de combat】武術で勝つ。型の分解、サンチン編─02─「力を入れるのではなくて──」

【写真】サンチンの動きで、MMAに勝てたとしてもタマタマです。ただし、サンチンを習得してMMAの戦い生かせることは、確実にある (C)MMAPLANET

武術でMMAを勝つ。空手でMMAに勝利する──型を重視する剛毅會の武術空手だが、岩﨑達也宗師は「型と使って戦うということではない」と断言する。型稽古とは自身の状態を知り、相手との関係を知るために欠かせない。

サンチン、ナイファンチ、セイサン、パッサイ、クーサンクーの型稽古を行う剛毅會では、まずサンチンから指導する。そんな剛毅會の稽古には站椿が採り入れられている。5種類の型稽古にあって、唯一サンチンのみが意味を吸いて吐くという意味での呼吸を学ぶことができる。

全ての根幹となる武術の呼吸を学ぶことができる──サンチンの解析、第2回を行いたい。

<サンチン解析第1回はコチラから>


足の幅は肩幅より少し広く取り、爪先をやや内側に向け、同じ方向にヒザを向け両腕を胸の前で交差させて両腕受けの姿勢に。この構えを取ることで後ろや前、横から押されても崩れない強い姿勢となる。

ヒザを曲げるのではなく、同じ方向に向けることでヒザに力がある状態となる。前足のカカトと、後ろ足の爪先が同一線上となるよう気を付ける。『この時、前足のカカトと後ろ足の爪先が延長線上で交わる地点を三角形の頂点となるように意識する。この三角形の頂点を意識することが、続く動作で非常に大切になる』。

✖爪先が内側に向き過ぎると、押されることで崩れてしまう弱い姿勢に。

拳は起式の際の下げた肩の高さに。ワキは拳が一つ入るぐらいのスペースを創る。『両腕を胸の前で交差させる時に腕を絞ることで、体の中心のある強い姿勢がとれ、目も見えるようになる。サンチンの形によって内側のエネルギーの大きな違いが生じるので、腕を絞る時も力を入れて無理に絞ることは厳禁』。

【最重要ポイント】サンチンの型で最も大切なことが力を入れないこと。力を入れて取られた姿勢は、両腕受け拳が内から外に向いて動いた場合に外に行く力は強いが、逆の方向には弱くなる。力を入れるのではなくて、型から力が出てこなければならない。そうなると逆の方向へも中心ができることで強い構えとなる

✖ワキが空き過ぎる。ワキが拳一つ以上空くと、ここでも体の中心を失い、横からの力に弱い構えとなる

✖ワキが閉まり過ぎると──後ろからの力には強いが、前方からの力に弱くなる

<この項、続く>

The post 【Bu et Sports de combat】武術で勝つ。型の分解、サンチン編─02─「力を入れるのではなくて──」 first appeared on MMAPLANET.