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ABEMA Fighter's Diary Interview UFC ブログ 佐藤天

【Fighters’s Diary con on that day】「試合がない日々」を生きる佐藤天の声 on 2015年3月10日

Takashi-Sato【写真】佐藤天、MMAPLANETインタビュー初登場のインタビュアーは中村拓己氏だっ!!(C)ABEMA & TAKUMI NAKAMURA

全世界を巻き込む新型コロナウィルス感染拡大の影響は当然のように日本の格闘家たちの人生にも影響が出ている。試合がない、大会が開かれない、練習場所の確保も困難だ。

そんな今、格闘技を愛する全ての人へ──ABEMA格闘CH が公式YouTubeチャンネルで Fighter’s Diary Ep.02が19日(日)より、アップされている。

第2回でクローズアップされた格闘家はKRAZY BEE軍団(朴光哲、矢地祐介、田村一聖、あい)、佐藤天、浅倉カンナ、北岡悟、堀江圭功(と高阪剛)の9人だ。

Fighter'sDiaryFighter’s Diaryは3週に渡り、3つのエピソードで総勢16人の格闘家たちの声をYouTubeで伝え、26日(日)午後7時より、ABEMA格闘CHにて Fighter’s Diary完全版が放送される。

そんなFighter’s Diaryでは「試合がない日々」を格闘家たちはどう生きるのか? ──という今の声を集めた。MMAPLANETでは、タイアップ企画ならぬボーディング企画を提案。MMAファイター達が今を発せられるようになった原点を探る上で、あの日の彼らや彼女達の声=on that dayとして、MMAPLANETインタビュー初登場時の声を紹介したい。

題してFighter’s Diary con on that day、第10回は2015年3月12日公開、3月10日に取材が行われた──キャリア7戦目=バイロン・フィリップス戦を5日後に控えた──佐藤天のあの日の声をお届けしよう。


<リードを含めた完全版はコチラから>

――試合が目前まで迫ってきましたが、仕上がりは順調ですか。

「月曜日までしっかりと追い込んで練習できたので、仕上がりはいいと思います」

――今大会ではカナダのバイロン・フィリップスと対戦、国際戦に挑むことになりました。

「国際戦は2試合目の時にパンクラスでジョー・プラクター選手と対戦しています」

――それから経験を積んでフィリップスを迎え撃つことになったわけですが、フィリップスにはどんな印象を持っていますか。

「元々バスケをやっていて、長身でバネがある選手かなと思います。プロフィールでは189センチだったので、自分より6~7センチは大きい相手ですね」

――佐藤選手は自分より背が大きい相手と戦ったことはありますか。

「1~2㎝はありましたけど、ここまで大きい相手は初めてです」

――なかなか普段の練習で190㎝近い相手と手を合わせることはないですよね。

「そうですね。そこはちょっと未知数な部分はあるんですけど…逆に中に入ってしまえばやりやすいところもあると思います」

――まずはリーチをどう攻略するか。そこがポイントになりそうですね。

「はい。今までは僕がリーチの長さを活かして戦うことが多くて、今回はそれが逆になるので、長南(亮)さんからは色々と対策を指導してもらっています。そこは綿密に、試合映像を見ながら研究してきました」

――佐藤選手は2013年にプロデビューして、ここまで6戦6勝、デビュー戦以外はすべて一本・KOで勝利しています。ここまでのキャリアを振り返っていかがでしたか。

「デビュー戦は判定決着で納得がいかない試合だったのですが、2戦目からは少しずつ練習でやっていることが出せるようになりました。それで一本・KOにつながっているのだと思います」

――それは経験を積んだことが大きいですか。

「大きいですね。デビュー当時は試合中にどう試合を組み立てていけばいいのか分かりませんでしたが、最近は落ち着いて冷静に戦えるようになってきました」

――過去の試合で自分で納得できた試合はありますか。

「う~ん…直近の試合ですが大晦日の試合(×秀虎、1R4分21秒、TKO勝利)は練習してきたことを頭で考えながら、相手の動きを見て戦えたと思います。それまでも練習してきた技でフィニッシュすることはあったのですが、すぐに試合が終わっちゃったり、自分の動きを確認しながら戦えた試合は少ないんですよね。そういう意味では前回の秀虎戦が一番やりたいことが出来た試合かなと思います」

――打撃で削って試合を作ることが佐藤選手にとっては理想形ですか。

「立ちにおいては、そうですね。自分から先に先にプレッシャーをかけて攻めていくという。まだ試合で寝技になる展開が少ないのですが、立ち技と同じようにトップをキープして相手を削ってフィニッシュすることが理想です」

――TRIBEはウェルター級の選手が多いので、佐藤選手にとっては最高の環境ですね。

「はい。白井(祐矢)さんや出稽古で来ている青木(真也)さんなど、すごいメンバーが集まっていますし、練習環境に関してはTRIBE TOKYO M.M.Aが日本一だと思います」

――先ほど青木選手が「首を絞められてタップしたあとにふて腐れるのはやめてください」と言っていましたよ(笑)。

「ああ……僕、結構熱くなるタイプなんで、やられたらやり返しちゃうんですよね。それでよく青木さんに注意されます(苦笑)。でもそういう熱くなることは全部が全部悪いわけじゃないし、そこは意地を張ってもいいところだと思います。周りは強い選手たちばかりですが、同じマットに立っている以上はやられたら悔しいし…熱くなりますよね? でもそれが悪いとは思わないです」

――佐藤選手は柔道出身とのことですが、どれくらいの柔道歴をお持ちですか。

「10歳から柔道を始めて、大学を卒業するまで続けていました」

――柔道を始めたきっかけは何だったのですか。

「うちの父親が柔道をやっていて、テレビで柔道を見ていたり、日常会話にも柔道のことがよく出て来ていたんですよね。その影響で小さい頃から自然と柔道に興味を持って、町道場に連れて行ってもらいました。中学時代は柔道のために陸上部にも入っていたのですが、それ以外はずっと柔道漬けの毎日でしたね」

――確かKRAZY BEEの矢地祐介選手とは高校時代の同級生ですね。

「はい。専修大学の附属高校に通っていて、矢地と宮川峻(狸瑪猿シュン、修斗やTTFチャレンジで活躍)が同級生です」

――同じクラスだったのですか。

「宮川とは柔道部で一緒で、宮川と矢地が同じクラスだったんですよ。みんな格闘技好きということで意気投合して、それからの付き合いです」

――当時、矢地選手はすでにKILLER BEE(現KRAZY BEE)でMMAの練習を始めていますよね。

「はい。宮川も大学に入ってからリバーサルジム東京に通い始めて。あとは中村K太郎さんも先輩なんですよね。そうやって自分の周りに総合をやる人間が多くて、自分もずっと総合をやりたいと思いながら柔道を続けていました」

――なるほど。ただし佐藤選手は専修大学に進学して柔道を続けることになります。

「東京都の大会で無差別や階級別でベスト8に入るくらいの実績だったのですが、大学から声がかかって、最終的に大学で4年間柔道をやることになりました」

――柔道をやりながらも心はMMAに傾いていましたか。

「そうですね。でもしっかり柔道を続けていれば、総合をやるための下地になると思って練習を続けていました」

――MMAにはいつから興味があったのでしょうか。

「最初は小学生の頃にK-1を見ていて、中学から総合という感じですね。当時は柔道の選手が活躍していて、見ていてこれだけ面白いんだから、やったら絶対面白いだろうと思っていました。他にやりたいこともなかったし、総合をやることしか考えていなかったですね」

――ただし、ご家族がMMAをやることに反対していたという話を聞いたことがあります。

「大学では寮生活していて、たまに2週間くらい実家に帰ることがあるんです。その時に格闘技の試合をずっと見ていたり、専門誌ばっかり読んでいたり…。父親がそういう僕を見て『(総合)格闘技をやるんじゃないだろうな?』とか『ちゃんと就職しろよ』とけん制してくるわけです。でも僕は僕でそれを上手くかわしてたんですけど(笑)」

――それで大学を卒業してMMAを始めることになる、と。

「いや、大学4年の時に単位が一つ足りずに留年しちゃって……それで退寮した年の5月にTRIBEに入門して、10月にプロデビューして、という流れです。さすがに父親も自分がプロデビューするとなったら、何も言わなくなったし、ある意味、留年している間にデビュー出来てよかったと思います」

――でもそれだけMMAをやることに情熱があったわけですね。

「はい。周りには柔道を活かして就職する人間もいましたけど、自分は総合をやること以外は考えていませんでした」

――数あるジムの中でTRIBEを選んだ理由は何ですか。

「どのジムに入ろうか悩んでいた時に、K太郎先輩から『大きい階級だったらTRIBEがいいよ』と薦められて。あとは大学時代のコーチが高阪(剛)先輩と面識があったので、アライアンスにも練習に行かせてもらったりもして。それで最終的にTRIBEに入ろうと思いました」

――入門して約5カ月後にプロデビューすることになる佐藤選手ですが、すぐプロ練習に参加したのですか。

「そうですね。プロ志望で入ったことは伝えてあって、最初は一般クラスに参加していたのですが、長南さんから『次からプロ練に来てもいいよ』と言われて、ジムに入って2週目くらいからプロ練に参加させてもらうようになりました」

――身体のサイズが大きくて柔道のベースがあったにせよ、早々の抜擢ですね。

「もっと一般クラスで実績を積んで、プロデビューしてからプロ練に参加できると思っていたので、声をかけてもらった時はびっくりしました。少し前まで一般会員さんたちとワンツーを教わっていたのに、いきなり白井さんや青木さんがいるところに放り込まれたので、最初はむちゃくちゃ緊張しました(苦笑)」

――TRIBEのプロ練はそうそうたるメンバーが集まっていて、それだけ練習もハードだと思います。心が折れそうになることはなかったですか。

「(きっぱりと)それはなかったです。高校時代の監督にずっと言われていたのが『同じ土俵に立ったら強い・弱いは関係ない』と。自分はその教えをずっと守っていて、相手が強いからって引くのが一番かっこ悪いじゃないですか。だからどれだけやられてもしがみついて練習にくらいついていきました」

――まさにその成果が短期間でのプロデビューにつながったわけですね。今はパンクラスを主戦場にしている佐藤選手ですが、今年はどんな目標を持って戦っていこうと思っていますか。

「今はパンクラスをメインに試合を組んでもらっていて、今年もしくは来年にはベルトを獲りたいですね。それこそ矢地はPXCのタイトル挑戦が決まって、堀口(恭司)選手はUFCのタイトルマッチじゃないですか。田中(路教)選手もUFCに出ているし。そういう同世代の選手の活躍は刺激になりますね」

――パンクラスのウェルター級はレッツ豪太選手がチャンピオンにいて村山暁洋、有己空(近藤有己が改名)、鈴木槙吾選手らがランキングにいて、4月大会からは外国人選手たちも続々と参戦します。やりがいはありますか。

「正直、練習で白井さんや青木さんに稽古をつけてもらっているので、しっかり練習でやったことを試合で出せば、トップ選手にも太刀打ちできるし、勝つチャンスもあると思います。それこそ試合になったら強い・弱いは関係なくやるしかないわけで。僕は決して天才型の選手じゃないけど、しっかり練習で技術と気持ちを作って強い相手と戦っていきたいと思います」

――このインタビューをきっかけに佐藤選手の試合に注目するファンの人たちもいると思います。これから自分のどういった部分をアピールしていきたいですか。

「2戦目以降はKO・一本で試合を終わらせているので、これからもそこにはこだわっていきたいですね。相手のレベルが上がれば、簡単にフィニッシュ出来ないと思いますが、フィニッシュして試合を終わらせる気持ちを持って戦い続けたいと思います」

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ABEMA Fighter's Diary Interview J-CAGE ブログ 田村一聖

【Fighters’s Diary con on that day】「試合がない日々」を生きる田村一聖の声 on 2012年2月22日

Issei【写真】8年前なのに、余り変わってない一聖。そして、人の良さも同じだ(C)ABEMA & MMAPLANET

全世界を巻き込む新型コロナウィルス感染拡大の影響は当然のように日本の格闘家たちの人生にも影響が出ている。試合がない、大会が開かれない、練習場所の確保も困難だ。

そんな今、格闘技を愛する全ての人へ──ABEMA格闘CH が公式YouTubeチャンネルで Fighter’s Diary Ep.02が19日(日)より、アップされている。

第2回でクローズアップされた格闘家はKRAZY BEE軍団(朴光哲、矢地祐介、田村一聖、あい)、佐藤天、浅倉カンナ、北岡悟、堀江圭功(と高阪剛)の9人だ。

Fighter'sDiaryFighter’s Diaryは3週に渡り、3つのエピソードで総勢16人の格闘家たちの声をYouTubeで伝え、26日(日)午後7時より、ABEMA格闘CHにて Fighter’s Diary完全版が放送される。

そんなFighter’s Diaryでは「試合がない日々」を格闘家たちはどう生きるのか? ──という今の声を集めた。MMAPLANETでは、タイアップ企画ならぬボーディング企画を提案。MMAファイター達が今を発せられるようになった原点を探る上で、あの日の彼らや彼女達の声=on that dayとして、MMAPLANETインタビュー初登場時の声を紹介したい。

題してFighter’s Diary con on that day、第10回は2012年2月22日公開、同日に取材が行われた── UFCデビュー戦を4日後に控えた──田村一聖のあの日の声をお届けしよう。


<リードを含めた完全版はコチラから>

――突然のUFCデビューが決まりました。オファーがあったのは、いつ頃だったのですか。

「ちょうど、2週間前ですね。その1週間ぐらい前に一緒にYBTで練習している選手から『一聖君、UFC出るの?』なんて聞かれたことがあったんですが、『ないです。そんな話。俺が出られるわけないです』って答えていたんです(笑)。

その時点では、全くそんな話は来ていなかったです。本当にオファーをもらったときは驚きました」

――ともあれ、オファーが2週間前に届いた時点で、体重など問題はなかったのですか。

「体重はしっかりと練習しているので、問題はなかったです。夢の舞台なので、全く迷うことなく出場を決めました」


――日本で勝てば、そのまま米国でも戦えるという契約なのですか。

「いや、それは僕の方は全く聞いていないです。とにかく、今回の試合に集中しているので、そういう契約の話などはマネージメントをしてくださる方に任せています」

――田村選手の修斗での試合を見る限り、中国のジャン・ティエチュエンに勝つ力は十分にあると思います。

「いえ、ホント、そんなことないです。人生の全てを賭けて戦います。本当に今回の話をもらって、人生を変えることができるので、ハンパなく気合が入っています。

試合なんで、結果はどちらかしかないのですが、それまでに全てを賭けます」

――対戦相手の試合などは見られましたか? ギロチン一本槍という印象が強いのですが。

「ハイ、何回も試合を見ました。ギロチンは方向も、入り方もパターンが決まっていますね。プレッシャーを掛けてくると思うので、真っ直ぐ下がらず捌いてから攻めたいです」

――11日にマカオでジャン・ティエチュエン選手のチームメイトの試合を見たのですが、凄く成長していました。

「UFCのレベルが高いので、目立っていないだけかもしれないですし。とにかく、どんな局面になっても戦えるようにしています」

――アマチュア修斗でもない、まさかの朝9時半からの試合開始です。

「ハイ、とにかく朝早くから目を覚まして、体がしっかりと起きるように朝型の生活をしています。寝るのが遅くなった日も、朝早く起きるようにしてします」

――このチャンスをもらったのも、今までやってきたことが評価されてのことだと思います。頑張ってください。

「戦績でいえば、僕よりも良い選手、実力的にも強い選手がいます。だから、僕がこの試合で絶対に勝って、日本には強いファイターがゴロゴロいるんだと伝えることができるような試合がしたいです。

ホントに自分よりも良い選手がいたなかで、UFCのチョイスで試合ができるようになった。何を思って、自分が選ばれたのか分からないですが、オファーが来たからには絶対に勝ち上がろうと思っています」

――ある意味、こういうケースでUFCに出て結果が残せればジャパニーズ・ドリームとして、日本の選手のモチベーションにもなると思います。頑張ってください。

「ハイ、ありがとうござますッ。頑張ります」

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ABEMA Interview ONE ソロパベル・モレイラ ブログ 朴光哲

【Fighters’s Diary con on that day】「試合がない日々」を生きる朴光哲の声 on 2012年10月5日

Park Kwang Cheol【写真】この時に既にオールドルーキーと称していたカンチョル。今や霞を食べ、光合成で生きられるぐらいの達観ぶりだ (C)ABEMA & MMAPLANET

全世界を巻き込む新型コロナウィルス感染拡大の影響は当然のように日本の格闘家たちの人生にも影響が出ている。試合がない、大会が開かれない、練習場所の確保も困難だ。

そんな今、格闘技を愛する全ての人へ──ABEMA格闘CH が公式YouTubeチャンネルで Fighter’s Diary Ep.02が19日(日)より、アップされている。

第2回でクローズアップされた格闘家はKRAZY BEE軍団(朴光哲、矢地祐介、田村一聖、あい)、佐藤天、浅倉カンナ、北岡悟、堀江圭功(と高阪剛)の9人だ。

Fighter'sDiaryFighter’s Diaryは3週に渡り、3つのエピソードで総勢16人の格闘家たちの声をYouTubeで伝え、26日(日)午後7時より、ABEMA格闘CHにて Fighter’s Diary完全版が放送される。

そんなFighter’s Diaryでは「試合がない日々」を格闘家たちはどう生きるのか? ──という今の声を集めた。MMAPLANETでは、タイアップ企画ならぬボーディング企画を提案。MMAファイター達が今を発せられるようになった原点を探る上で、あの日の彼らや彼女達の声=on that dayとして、MMAPLANETインタビュー初登場時の声を紹介したい。

題してFighter’s Diary con on that day、第9回は2012年10月5日公開、同日に取材が行われた──ONE初陣でONE世界ライト級王者ゾロ・モレイラに挑む前日の──朴光哲のあの日の声をお届けしよう。


<リードを含めた完全版はコチラから>

――一度は引退を決意し、そして復帰からコンスタントに試合がしたいという心境の変化の理由を教えてもらえますか。

「ハハハハ。まぁ、結局やることがないんですよ。で、体も調子良くなっちゃって。そうしたら手っ取り早く生活するには、試合をするのが一番なんで。でも、格闘技をなめているわけじゃないですよ」

――体調的にもリフレッシュでき、気持ちも戻ってきたと。

「そうですね。全てが変わったんです。全てが……」

――朴選手が引退している間に旗揚げをしたOFCに対し、どんな印象をもっていたのですか。

「アジアでやっているってことぐらい、そんなイメージしか持っていなくて。でも、青木(真也)君とかと契約して、これから大きくなるんだろうなって漠然と思っていました。こっちに来てみるとHERO’SとかDREAM、K-1と変わりなくスケジュールがしっかりしていて、選手も手厚く世話してもらって、ちょっと勘違いしちゃいそうです(笑)。
俺なんかに立派なホテルを用意してくれて、ファンとの交流とかあって……」

――正直、待遇の良さはイヴォルブ期待のゾロ・モレイラの対戦相手、そしてアンダードッグ以上のものがあったと。

「アッ、ソレ、先に言っちゃいましたね(笑)。まぁ、俺も噛ませ犬だろうが、試合がしたかったんですよ。最初、OFCも10月は欠員が出れば試合ができるけど、12月まではないって感じだったんですけど、それが世界戦が転がり込んできたんです。まぁ、まさにアンダードッグです」

――王座を賭けて戦うゾロ・モレイラは、引退前にYBTでスパーを散々してきた青木選手のチーム・メイトです。その辺り、弱点なども知り抜かれているという恐れはないですか。

「さっきも言ったんスけど……、格闘技をやっていなかった1年で俺、全て、全てが変わったんですよ。全てが。だから、またやろうって思ったんです。1年前の自分とかは、何の参考にもならないです。

青木君がシンガポールにいるし、俺も今はクレイジービーでしか練習していないんで。ノリさん(山本KID徳郁)がカナダから帰ってきて、ジムでの練習も全部変えて、凄く良い練習ができているッスよ。

クレイジービーはジム単位でいえば、日本でも本当にトップ、実力者が揃っているし。もう、後輩たちに胸貸すどころか、いっつもボコられて、揉まれて……良い練習ができているんです」

――モック計量では、既にゾロ・モレイラの体が大きくなっていたように思います。

「まぁ、さっきより体も張っていましたけど、明日になると完成体になっているでしょうね(笑)。自分は減量とかも、ほとんどしていなくて、そこで戦うつもりは頭からないんで。まぁ、チャレンジですよね」

Kotetsu Boku【写真】対格差は明白だが、「そこで勝負をしない」という2戦目のベテランが何を見せてくれるのか、楽しみだ(C)MMAPLANET

――リーチが長く、接近戦でもエルボーがあります。

「一番警戒するのは〇〇〇〇でしょうね。アレを効かされて、次に〇〇〇〇や〇〇〇〇をもらうんで。アイツの勝つイメージは、頭に完全にできあがっています(笑)」

――では、自分が勝つイメージは(笑)。

「まぁ、思ったより身長が高くなかったし……。勝つイメージは向き合って、試合のなかで作っていきます。それしかないッスね」

――それだけのキャリアが朴選手にはあると、日本のファンも信じていると思います。

「まぁ、キャリアといってもこれが復帰2戦目だから、2戦目のルーキーのつもりで戦います。ちゃんと格闘技と向き合って2試合目なんで(笑)」

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ABEMA Fighter's Diary Interview PXC ブログ 矢地祐介

【Fighters’s Diary con on that day】「試合がない日々」を生きる矢地祐介の声 on 2013年7月24日

Yusuke Yachi【写真】ヤッチ君前のヤッチくん、です (C)ABEMA & MMAPLANET

全世界を巻き込む新型コロナウィルス感染拡大の影響は当然のように日本の格闘家たちの人生にも影響が出ている。試合がない、大会が開かれない、練習場所の確保も困難だ。

Fighter'sDiaryそんな今、格闘技を愛する全ての人へ──ABEMA格闘CH が公式YouTubeチャンネルで Fighter’s Diary Ep.02が19日(日)より、アップされている。

第2回でクローズアップされた格闘家はKRAZY BEE軍団(朴光哲、矢地祐介、田村一聖、あい)、佐藤天、浅倉カンナ、北岡悟、堀江圭功(と高阪剛)の9人だ。

Fighter'sDiaryFighter’s Diaryは3週に渡り、3つのエピソードで総勢16人の格闘家たちの声をYouTubeで伝え、26日(日)午後7時より、ABEMA格闘CHにて Fighter’s Diary完全版が放送される。

そんなFighter’s Diaryでは「試合がない日々」を格闘家たちはどう生きるのか? ──という今の声を集めた。MMAPLANETでは、タイアップ企画ならぬボーディング企画を提案。MMAファイター達が今を発せられるようになった原点を探る上で、あの日の彼らや彼女達の声=on that dayとして、MMAPLANETインタビュー初登場時の声を紹介したい。

題してFighter’s Diary con on that day、第8回は2013年7月25日公開、7月24日に取材が行われた──海外PXCでのトビー・ミセッチ戦w控えた──矢地祐介のあの日の声をお届けしよう。


<リードを含めた完全版はコチラから>

──5月17日にPXCデビュー戦が決まっていましたが、体調不良で欠場になってしまい、8月9日にトビー・マイセック戦が決まった矢地祐介選手です。

「黄色ブドウ球菌っていうんですか? ブドウ球菌でふくらはぎがパンパンになってしまって……。試合の1ヵ月ぐらい前からあやしくなってきて、2、3週間前にパンパンに腫れて、練習も当然できないですし、断りを入れるしかなくなってしまいました。

試合をまとめてくれた方にお願いして、プロモーターに連絡を取ってもらったんですが、『大丈夫ですか? お大事にしてください』っていう感じで、非常に穏やかに対応してもらえました。ピースな感じでしたね」

──練習を再開したのは、いつ頃からでしょうか。

「何だかんだと6月になってからですね」

──上げてきたフィジカルなど、少し落ちるということはなかったですか。アッ、でもフィジカル・トレなんかは問題なかったかもしれないですね。

「フィジカルは……、もともとフィジカル・トレはあんまりやらないんで(苦笑)。ただ、体重が増えてしまったのでそれを落すのに苦労していました」

──星野勇二選手という日本のフェザー級を代表する強豪にテイクダウンをほぼ許さず、完勝といって良い内容で修斗環太平洋ライト級のベルトを守っただけに、そのまま勢いを持続して初めての海外での試合に乗り込みたかったのではないですか。

「星野戦はもっとデキると思っていたので、納得していないですね。凄く良い練習ができていたんで、この辺りでKOをしたいというか、KOできると思っていたんです。だから、あの試合は悔しかったです」

──星野選手にテイクダウンを許さないというのは、なかなかできる試合ではないと思いましたが……。

「そうなんスかねぇ? 倒そうって思っていたから、ここ最近では一番悔しい試合です」

──それは頼もしい言葉ですが、その悔しさをぶつける矛先も失くしてしまっていたわけですね。

「星野選手との試合から、マーク・ストリーグルでしたっけ? フィリピンでの試合まで間隔が短かったので、チョット無理し過ぎていたのかもしれないです」

──ところで、今回はMMAPLANETとしては、矢地選手に初インタビューとなります。海外MMAに特化しているMMAPLANETなので、読者の皆さんには矢地選手のことを詳しく知らない人もいるかもしれないです。今日は、次戦だけでなく、ここまで格闘技キャリアについて尋ねさせてください。まず、なぜMMAを始めたのでしょうか。

「小学校から中学と野球をやっていて、格闘技の経験はなかったです。それこそ甲子園を目指している野球小僧でした。ただ、中学で野球部を引退してから、その夏休みですかね。最初はキックボクシングのジムに入門したんです。でも1、2カ月……、しっくりこなくて幽霊会員みたいになってやめたんです。そしてKILLERBEEに入りました」

──エッ、そんな頃からもうジムにいたんですね。

「はい、結構古いんですよ。もう7年を越えています。野球しかやっていなくて、格闘技に関して知識もなかったんです。で、インターネットで総合格闘技のジムを調べたら、KILLERBEEが最初に見つかって。別に近所とかってことでもなかったんですけど、KIDさんも載っていたんで。K-1とかも好きで、『この人がいるんだ』なんていう感じで、取り敢えず見学に行って、そのまま続けています」

──あのジムに中学生がいたということがピンとこないのですが、周囲の反応はどうでしたか。

「冷たくはなかったですが、構ってもらうということもなかったです(笑)。かなり殺伐とした雰囲気のジムだったので。プロの選手と練習生、一般会員とは壁があるように感じていたので、自分はアマチュアの人たちのなかで一緒にやっていたんです。だから、プロの人でなく普通の会員さんに声を掛けてもらった感じですね、最初も。そこから、だんだんと馴染んでいきました」

──一般会員で、一緒に汗を流していた人で、今もプロになったり、プロを目指すということでKRAZYBEEに残っている人はいるのでしょうか。

「いないんじゃないですかね……。こっちに移ったときに、格闘技を辞めたり、ジムを変える人が結構いました。こっちに来たのは、俺ぐらいじゃないですか。俺はここで良い感じでいたので、そのまま一緒に移ってきました」

──プロ練習に参加するようになったのはいつ頃からですか。

「いつだろう? KRAZYBEEに移ってからじゃないですかね、プロのMMA練習に参加するようになったのは。柔術もやっていたので、グラップリングだとプロの人たちに混じって練習はしていたのですが、打撃とかMMAはこっちに来てからですね」

──プロデビューの1年前には、もうプロ練習に参加し、しっかりとプロを目指していたということですね。

「ジムに入って時から、プロになるというのは決めていました。やるなら、プロになるって」

──プロ練習に参加するようになり、『プロは違う』と思うようなことはありましたか。

「もう、それはスゲェところに来ちゃったと思いました(笑)。最初、プロ練に参加したきっかけは小路(伸亮)さんから『次の対戦相手がお前みたいだから、ちょっと手伝ってよ』って感じだったんです。サウスポーだからだったんですけど、打撃もできないってことでもなかったんで。

ただ、プロ選手とのスパーリングとかは初めてで、まぁ、やられて(笑)。そこから積極的に参加するようになりました。食らいつくので必死でした」

──それから4年ほどで修斗の環太平洋王座を獲得し、そこからPXCで戦おうと思ったのは?

「まずはプロになることが目標でした。最初は高校生の間に全日本アマチュア修斗を獲って、プロになるということを目標にして、それが成ると修斗の新人王を獲ることが目標になりました。それも出来て、次は大学在学中に環太平洋でも世界でも良いので修斗のベルトを獲りたいと思っていたんです。

3月に卒業したんで、去年の11月に環太平洋のベルトを獲れたから、まぁギリ間に合って目標は段階的に達成できているんです」

──大学も卒業し、修斗のベルトの次の目標はどこに設定しているのですか。

「もちろん、UFCです。UFCに出ることもそうだし、出るからにはチャンピオンになりたいと思っています」

──その目標達成までの期間はどのように設定しているのでしょうか。

「あんまり公には言っていないですが、将来的にはボクシングにも興味があるので、26、27歳までにある程度、MMAで結果を残したい――UFCでチャンピオンになりたいです。だから、あと3、4年ですね」

──なるほど、そういう言葉を聞くとやはり時代は変わっていくんだと思ってしまいます。当然、UFCで頂点を目指す過程としてのPXCなのですね。

「世界に向けて――ですね。今、日本で戦っていても自分の階級も、トップ選手は外に出てしまっていて盛り上がっていないですし、(堀口)恭司を見ても分かるように日本で結果を残しても、すぐにUFCに出場できるという状況にもなっていない。それなら、海外で試合をしてみようと思ったんです。

PXCからはUFCやBellatorに出ていく選手もいるみたいなんで。そういう意味では、チャンスが大きいのかと思いました。UFCへ行くまでの海外ならでの難しさなんかも学びたいですね」

──PXCはメジャーへのフィーダーショーだということを十分に理解して活動していますしね。その初舞台からフィリピンからグアムになったことに関して、どのように捉えていますか。

「グアムの方が簡単じゃないですかね。落ち着きやすいですよね」

──対戦相手のトビー・ミセッチの印象は?

「BJ・ペンのところの選手ですよね。その試合の映像は見ていないですけど、ダスティン・キムラとも戦っているみたいですね。元はボクサーらしくてパンチは上手いです。手数も多い。向こうの勢いに呑まれないようにしたいですね」

──5月のフィリピン大会だと、PXCフェザー級王座決定トーナメントでしたが、今回はワンマッチ参戦です。

「PXCからはトーナメントは外れてしまうけど、1、2試合とワンマッチで強い選手と組むので、勝てば王座挑戦になるという話を聞かされています。だから別に……」

──王座を巡っては、矢地選手の代役でフィリピン大会に出場したタクミ選手が、ライバルとなりそうです。

「……、それによりマーク・ストリーグルが王座決定戦に出場することになっていますよね?  まぁ、何だかなって感じですけど、フィリピン人だからなんでしょうね。まぁ、ストリーグルも含めベルトを争うぐらいだから強いんでしょうけど、PXCの選手相手には、いけないことはないという風に捉えています。自分のなかでは」

──ケージ、そしてユニファイド・ルールで戦うことについては?

「ケージに関しては、全く不安はないです。KRAZYBEEでも、その練習をしてきているので、むしろケージの方が戦いやすいんじゃないかって」

──それはスタンドでも、プレッシャーを掛けていけるということでしょうか。

「そこに関しても全く不安はないです。大丈夫だと思います。リング有りきということではやってきてなくて、距離を大切にしてきていたので。僕らの間では宇宙空間って呼んでいるんですけど、距離感、間合いは常に意識してきたので。それにケージの立ち際の攻防も結構自信があります」

──ミセッチに勝ち、9月14日のマニラ大会で決まるPXCフェザー級王者と戦わせてほしいということになりますか。

「そういう感じですね。焦ってはいないですけどね……。正直、VTJに出たいという気持ちもあったんです。時期的にも5月のPXCか6月のVTJか、どっちにしようかという思いはありました。

VTJに出るなら、そのまま今年は日本になる可能性もある。それでも修斗では世界戦が組んでもらえるか不透明な部分があったんです。ほんと、ケージだリングだっていうことは関係なくて、先が見えないという部分が気になったんです。この時期を無駄にしたくないっていう気持ちでした。

常に前に進んでいきたいので、勝った先がクリアなところで戦う方が良いと判断したんです。でも、VTJは盛り上がっているし、良い試合をしたら日本で名前も売れるだろうし、戦いたかったです。それでも、この先はUFCだけを見ているので、PXCでやろうと」

──さすが計画を立てて、進む男ですね(笑)。

「ハハハハ。そこはしっかりとやっていかないと……。PXCでベルト取って、良い試合をしてUFCに目をつけてもらえればって思っています」

──UFCフェザー級戦線では日沖選手が2勝2敗、他は小見川選手がリリースされて以降、日本人の補充はありません。

「厳しい世界ですよね、ホントに。バンタム級ですが、(田村)一聖さんを見ていてもそうですし……。あれだけ強いのに……、厳しい世界だと思います。だからこそ、自分を試してみたいという気持ちになります。

UFCに出ることができれば、今後の進むべき道も見えて来るんじゃないかと思います。急ぎ過ぎるのも良くないのですが、やっぱり出たいですね、UFCは」

Misech【写真】3月のPXC36で韓国人ファイターのチョ・ソンフォンを相手に殴り勝ち、3RでTKO勝ちを収めているミセッチ。キャリアは3勝2敗、矢地優位な試合であることは間違いないが、決して侮れない相手だ。

──トビー・ミセッチ戦が、その新たな一歩となるので、しっかりとした勝利が必要になります。

「アウェイとかも気にしていないので、大丈夫だと思います。前の欠場を教訓にして、疲れとか感じるとしっかりと休むようにしていますし。減量も始まるのでケガのないように最後、しっかりと調整してきます」

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ABEMA Fighter's Diary Interview J-CAGE ブログ 北岡悟

【Fighters’s Diary con on that day】「試合がない日々」を生きる北岡悟の声 on 2014年9月22日

Satoru-Kitaoka【写真】番組内でも北岡の言葉は刺さるモノが多かった。「依存すら超えている」──さすがです (C)ABEMA & MMAPLANET

全世界を巻き込む新型コロナウィルス感染拡大の影響は当然のように日本の格闘家たちの人生にも影響が出ている。試合がない、大会が開かれない、練習場所の確保も困難だ。

そんな今、格闘技を愛する全ての人へ──ABEMA格闘CH が公式YouTubeチャンネルで Fighter’s Diary Ep.02が19日(日)より、アップされている。

第2回でクローズアップされた格闘家はKRAZY BEE軍団(朴光哲、矢地佑介、田村一聖、あい)、佐藤天、浅倉カンナ、北岡悟、堀江圭功(と高阪剛)の9人だ。

Fighter'sDiaryFighter’s Diaryは3週に渡り、3つのエピソードで総勢16人の格闘家たちの声をYouTubeで伝え、26日(日)午後7時より、ABEMA格闘CHにて Fighter’s Diary完全版が放送される。

そんなFighter’s Diaryでは「試合がない日々」を格闘家たちはどう生きるのか? ──という今の声を集めた。MMAPLANETでは、タイアップ企画ならぬボーディング企画を提案。MMAファイター達が今を発せられるようになった原点を探る上で、あの日の彼らや彼女達の声=on that dayとして、MMAPLANETインタビュー初登場時の声を紹介したい。

題してFighter’s Diary con on that day、第8回は2014年10月2日公開、9月22日に取材が行われた──ワールドスラムT準決勝=リッチー・ウィットソン戦に向けて調整中だった──北岡悟のあの日の声をお届けしよう。


<リードを含めた完全版はコチラから>

──北岡選手をMMAPLANETで取材させてもらうのは、2012年4月の北米トレーニングの出稽古の旅以来となります。J-CAGEという国内のケージ大会を扱うコンテンツを立ち上げたことで、今回の取材を実現できることとなりましたが、この2年5ヶ月の間、北岡選手はMMAPLANETの主たる取材対象である海外MMAから遠い場所で戦い続けてきたこととなります。そして、あのトレーニングの旅に参加した選手で、MMAPLANET再登場に最も時間を要したのが北岡選手で、一人前がGRANDSLAMに出場した伊藤健一選手でした。個人的にもここで北岡選手の話を聞けることが嬉しいです。

「ハイ、ありがとうございます。僕はケージやユニファイドに遠いところにいましたけど、まだ現役やっています(笑)。」

──そんななか9月20日、UFN52で金原正徳選手のセコンドに就かれていましたが、どのような印象を持ちましたか。

「UFC全般ですか?」

──はい。

「僕、金ちゃんの試合しかアリーナにいることがなくて、モニターしか見ていないんです。だから何とも言えないですけど、金ちゃんの試合は長年の想いが実った瞬間を共有させてもらい、凄く光栄でした」

──『ありがとう、UFC』というセリフがとても印象に残っています。

「彼は……不良上がりだとは思うのですが(笑)、本当に明るい性格だし、良いですよね」

──UFCに関して、特に感じ入るモノはなかったですか。

「いや、でも素晴らしいと思いましたよ。控室にいても、そういう風に思えました。日本人選手が多かったですけど、そこは日本を代表する指折りの選手ばかりなので、取り組み方だったり、意気込みも高い。日本のトップの人たちばかりだから。やっぱり、そういうモノに触れたり、同じ空間にいられることは心地よかったですね」

──UFC JAPANが終わってから2週間後にはVTJとパンクラスという国内有数のケージ大会が開催され、ここにきて北岡選手がパンクラスでケージ、そしてユニファイド・ルールに挑みます。

「う~ん、去年の年末のラマザン・エセンバエフ戦も、4月の宮崎(直人)戦もヒジ有りだったので、リングでの試合でしたが徐々に寄っていっているというのは有りました。ただ、DEEPはタイトル戦なので、サッカーボールキックも有りなんですよね。そこもDEEPに関しては、菊野戦以外はタイトル戦なのでリングで戦うということは外せない要素だったんです。一時期、選手が同意すればケージでもタイトル戦が行われるようになりそうなこともあったんですが、結局のところタイトル戦はリングに拘るという風に落ち着いたようですし。ただ、今後もルールに関してはユニファイドに寄せるようになるとは聞いています」

──ではケージという部分については、どのように考えられていますか。

「ケージに関しては、意識して練習はしてきました。でも、たまたま……ですよね。海外に戦場を求めなかったこと以上にたまたまです」

──今回出場するパンクラスが、たまたまケージを使用していると?

「パンクラスで戦うこともたまたまに近いかもしれないです。去年の9月に出て、また出たいとは思っていたんですけど、それは遣り甲斐でもあるし、生きるためでもある。両方ですよね、ハイ」

──その想いがあっても、DEEPのチャンピオンということもあり、なかなか実現には至らなかったわけですが。

「難しい時期もありました。電撃和解というか茶番劇というか……でも、良かったと思います。選手の立場からすると、試合の機会が明らかに増えるわけですから」

──何れにせよ、和解劇(笑)が北岡選手のパンクラス出場という形で表れたのであれば、それはファンにとっても歓迎すべきことですしね。

「僕だけでなく、いわゆる中堅どころの選手が、行き来できるようになっています。両団体がストックしている選手のなかにも、やっぱり対戦カードとか扱いが難しくなってくる状況の選手がいても、パンクラスとDEEPの交流によって目新しい顔合わせが生まれることは本当に良いことですよ。それに若くてやる気のある選手なんて、めちゃくちゃ試合経験を積めるわけですしね」

──ここに修斗、あるいはVTJが加わるとさらに良い状況になりますよね。

「VTJなら階級も同じですしね……。でも、僕が出ていないところの話は……(苦笑)」

──現状、北岡選手は戦い勝手の良い場所で戦っていくということでしょうか。

「何とも言えないです。戦い勝手の良い……、何だろうなぁ。DEEPに関してはチャンピオンですから、タイトル戦が中心になるはずです。ファイトマネーの額からも、頻繁には使い辛いだろうし、それはパンクラスも同じことで。でも、ディファ有明で外国人、僕が出るからワールドスラムも復活したというのもあるだろうし、よくこの場を与えて下さったと思います。そこは本当に感謝しています」

──トーナメントとなると、またDEEPライト級王座防衛戦とスケジューリングのバッティングが起きないよう、団体間での調整も必要になってくるのかと。

「優先順位としてはDEEPですよね、チャンピオンですから。ただ、究極的には僕の気持ち次第です」

──このところ、選手を拘束したいのであれば、契約が必要という意見が多く聞かれるようになりました。

「DEEPとは一度、防衛をすれば自由にして良いということになっています。返上しても良いけど、僕が防衛戦を行う気持ちでいるなら、挑戦者に関しても佐伯さんのなかでは意中の選手はいるようです」

──それが決してTDCホール大会のようなビッグショーではないと。

「今年は4月にすでに防衛しちゃっていますからね。う~んパンクラス出場が決まっていなかったら、TDCホール大会に出ていたかもしれないです」

──昨年9月のパンクラス再出場の要因の一つには20周年記念大会ということもありました。今大会もパンクラスに出場することで、特別な思い入れは持たれているのですか。

「去年の9月にパンクラスで戦い、『またパンクラスで見たい』と言ってもらえたし、それ以上に僕自身も『また、ここに出たいな』という気持ちもありました。その両方の部分とプロとして……、スイッチというか、DEEPとパンクラスの両方に出ることで注目もされますしね。それとパンクラスのデカゴンの中で戦い、勝ちたいという気持ちもあります」

──10角形のケージで戦うことで、戦い方にアジャストは必要だと感じていますか。

「相手のリアクションという要素はありますが、何といっても広いですしね。修正すべき点は出てくると思います、格闘技に関しては僕もバカではないので考えてはいます(笑)。やってみないと分からない部分はついて回りますし、そういう怖いもの見たさのような興味もあります」

──北岡選手はテコンドーを取り入れ、ステップなどにも工夫をしてきました。リングから角のほぼないデカゴンで戦うには、間合いや出入りも変化が必要になりますか。

「変化というよりも、よりこれまでやってきたことが生き、より使えるようになるんじゃないでしょうか。と同時にベタ足でもプレッシャーを与えて、相手に触ることも大切だと最近は感じるようになっています。それを実践したのが、8月のONE FCで青木が見せた試合ですよね。あれってもの凄いことをやったと思うんです」

──今、日本人でカマル・シャロウスを一方的に下せる日本人はいるのかという部分でも、より評価されても良い試合だったと思います。

「いや、誰もできない。できないですよ。でも僕は僕でステップ等歩法を意識しつつ、日本で一番と言っていいくらいの練習をできていると思っています。それこそUFCの日本大会に出場したほとんどの日本人選手とこの試合前にスパーしていますし」

──現在はプロ練習やスパーリングはどこで行っているのですか。

「DEEPジムが閉まってから、ここロータス世田谷で従来の金曜日だけでなく月曜日にもプロ練習を開くようになり、シンガポールに行っていない時は青木も来てくれます。あとは火曜日はHEARTSに行き、木曜日がTRIBE。スポット的にAACCとBRAVEで1、2回練習させてもらいました」

──宮田和幸選手率いるBRAVEですか。場所的にかなり遠くないですか。

「三郷ですから1時間半から2時間ほど掛かりました。でも、BRAVEにはケージがあるので、2回ほど寄せてもらって先週は宮田さんや芦田(崇宏)君とスパーをしたんです。その前は川中(孝浩)君っていう70キロの選手がいて、彼ともやりました。ケージの感触を掴みたかったので。アッ、ケージだと大阪でタクミさんのパラエストラ大阪にも行きましたよ。大阪ではタクミさん、別府(セブン)選手と練習しました」

──大阪にもケージを体感しに行ったのですか。

「はい、それだけでなく舘和男さんにテコンドーの指導をしていただくのと併せて、タクミさんのところでケージで練習させていただこうと思って」

──なるほど。本当に真剣に格闘技と向かい合っていますね。AACCでは強烈な追い込み練習が行われていると窺っています。

「大塚(隆史)選手や鈴木JAPAN選手がいて、3分間のMMAグローブをつけたフルスパーをやるので、実戦に近い緊張感を持って臨むことができます。マットスペースも広いですし、感覚的な部分を掴みやすいですね」

──試合が近づいていますが、技術練習は余り行わないのですか。

「技術練習? 打ち込みはHEARTSやTRIBEの練習メニューに組み込まれているので、それが技術練習ですかね。なんだかんだと言って、青木も技も教えてくれますし(笑)。あとはこれまで練ってきたものを確認するように、自分も教えています。それが僕的には技術練習に近いですかね。基本、スパーリング中心ですから」

──スパーは先ほどAACCでフルスパーがあると言われたように、他ではシチュエーション・スパーが中心ですか。

「僕が管轄の練習で、壁を使ったりする限定スパーを一時期、極端に増やした時があったんですけど、結局は元に戻って今はフル・グラップリングのスパーを大事にしています。人それぞれ、色々な入り方があってムエタイを重視して、ムエタイをしっかりとやりこむ人もいます。フィジカルを重視する人もいれば、ボクシングを重視する人もいる。柔術を大切にする人もいますよね。僕はフル・グラップリングを大事にして作っています」

──北岡選手がフル・グラップリングを重要視していても、出稽古中心だとそのジムのメニューに当然、合わせる必要があるので、自分の想い通りの練習ができないというジレンマに陥ることはありませんか。

「火曜日のHEARTSでは打ち込みから、シュートボックス。そこからシチュエーションのMMAスパー。木曜日の長南さんのところ(※TRIBE)はフィジカルで体を温めて打ち込みからシチュエーション。だからこそ、月曜と金曜日はここで、ひたすらフル・グラップリングのスパーをやって、おしまいって感じで。土曜日もここでやることが増えて、軽量級の子が多いから、その子たちをただひたすら苛めるだけ(笑)。打ち込みのつもりで、スパーをやっています」

──つまり、約束ではなくても自分の好きな動きができる練習ですね。

「もう、容赦なくやっています。土曜日はフル・グラップリングからフルMMAを回すような感じなんですけど、フライ級やバンタム級の子を抑えつける練習だと思ってやっています。それで全然、問題ないです。逆にシチュエーションだけだと不安になります。限定スパーだけだと、僕は無理です」

──もう、今から10年も前にスクランブル渋谷で、所属先や戦っているプロモーションに関係なく選手が集まりスパーリング・セッションを行うようになりました。八隅孝平、植松直哉が声を掛け、北岡選手をはじめ青木真也、今成正和、大石真丈、渡辺直由、所英男、宮田和幸、佐藤ルミナ、朴光哲、孫煌進、アマ時代の田村一聖らが一同に介していました。あの時代のフル・グラップリングを北岡選手は、今も大切にしているということですね。

「あぁ、あれがYBTの始まりで、プロ練習の走りですね。でも、その原点の金曜日のYBTは過疎化が半端ないです(笑)。それ、このインタビューで声高にかつ切実に訴えさせてほしいです。キムさん(※キム・ジュン)とタイマンでやっていますから(笑)」

──キムさん……。佐藤ルミナ選手つながりでK’z Factoryに出入りするようになり、YBTには初期から参加していた知る人ぞ知るキムさんですか。

「ハイ、今は茶帯で。トライフォースでノーギのインストラクターもしていてテクニシャンだし、良い練習になっていますよ」

──道場主の八隅さんの名前が出てこないですが(笑)。

「もう色々とボロボロで、スパー練習はたまにしか一緒にやっていないです(笑)。月曜日の方は、今日なんかでも青木、加藤忠治、中島太一君が来てくれて凄く良い練習ができているんです。だから、金曜日ですね(苦笑)。先週なんかはもうキムさんしか来ないだろうということで、自分でスケジューリングして夜にBRAVEへ行くことを決めていました。そこで宮田さんや芦田君とMMAの練習をして。

今、色々なジムで練習させてもらっていて上の方……指導者の方はやっぱりしっかり色々と分かってらっしゃいます。宮田さん、大沢さん、長南さん、阿部さんもそう」

──分かっているというのは?

「凄く見えてらっしゃいますよね。選手世代が指導者になり、変わってきていると思います。僕もそうなるのかなぁ……、それはちょっと嫌だなぁ(笑)」

──その指導者が師匠となっていくのか。韓国のトップ選手は指導者を人間として慕って、指導者も対戦相手の研究などに関しては、今の日本の多くのケースより熱心なように見受けられます。

「あぁ、なるほど。そうなんですねぇ、UFCの日本大会を見ていても、そんな感じはしていましたよ。でも、それって単純に熱意、熱意の差ですよ。韓国には凄く興味あります。クミMMAのイ・チャンソプから練習来てよってメールをもらって」

──チェ・ドゥホのコーチの?

「ハイ、そうです」

──韓国もそうですが、UFC日本大会を見ていてアライアンスMMAなど、チームとして機能しているので、日本人選手は個人の能力として、そこまで開きがないはずなのに、結果という部分で違いが出てきているのは怖いです。

「まぁ、色々な部分。トータルで負けていますよ。いっぱい負けていると思います」

──そのようななか、出稽古中心の北岡選手は米国人のリッチー・ウィットソンが相手となります。

「長岡に一本勝ちしているけど、ONE FCで一本負けしているんですよ。良いテイクダウンを取ったのに、そのあとやられて。ニコニコ動画で解説していて、『えっ』と思いました。不思議な選手ですね」

──ラマザン戦もありますし、外国人と戦うと何が起こるか分からない怖さがあります。

「今は外国人に限らず、凄いスピードでこの競技は全体的にレベルが上がっているので全く油断はできないし、自分に余裕を持つようなことはないです。勿論僕自身も強くなってきているとは思いますし、今年に入ってから自分のなかで感じてきているものもあるのでそういったものを出したいです」

──ウィットソンを相手にここは気を付けないといけないという点は?

「気を付けないといけないのは、全ての局面です。長岡にはサブミッションで勝っているわけだし、外国人ですし、打撃、グラップリングともに一発がある。だからといって、警戒しまくって丁寧にお行儀よくやるつもりはないです。自分で研鑽を重ねてきたものをぶつけてやる気持ちでいます」

─ではさきほど言われた、強くなっていると感じる部分とはどこになりますか。

「グラップリングとか、ちょっと変わりました。アマチュア・レスリングなのかどうか分からないですけど、レスリング的な繋ぎとか分かったりだとか。グラップリングも、よりMMAというか制圧するグラップリングになってきたので。スタイルは変わったと思います。練習で足関節とか、全然やらなくなりました。まぁ、本当のところはずっと前からやっていないんですけどね」

──制圧するスタイル、足関節は仕掛けない。つまりは上を取るということでしょうか。今の判定基準だと、下からのコントロールは制圧することにはならないですよね。

「下からの制圧もあるんですけど、それって下になっているようでなっていないんですよ。そこらへんは、言葉にしづらいですね。ただ、お客さんがどういうものを見たいのかっていうのもありますし」

──観客の目を意識しますか。

「いや、それはやっぱりないですね。そこまでは考えていません」

──4月の防衛戦を見ていると、攻め続ける気持ちがあるのは理解できたのですが、その攻めよう、やろうという気持ちによって必要以上に動き、疲れた部分があったのではないかと思いました。

「そうじゃないとダメなんじゃないですか。疲れないと。そんな楽したらダメだと僕は思っています」

──体力を失い、疲れると判断ミスを生むのであれば、スマートに戦っても良いかと。宮崎戦は特に、トップを取ってから絶対的に自分で局面を打開しようと動き続け、かなり疲れていたように見えました。

「いや寧ろ、またアレがやりたいぐらいですけどね。相手より疲れて負けるなら、それまでじゃないかと思います。ドロドロにして、自分が疲れる以上に相手を疲れさせる。そういう戦い方ができれば、それが理想的な戦いです。そんな行儀良くできないです、僕」

──自分のペースなら、動いていてもそれほど疲れないこともあるかと思います。

「だから、そこまで……心配してもらっているほど疲れていなかったと思います。傍からどう見えるかは分からないですけど。出し切ったら偉いと思うわけじゃないですけど、僕は出し切りたい」

──北岡選手には出し切らなくても良いから、結果を出す。そういう風に求めてしまいます。

「なるほどっ!!  それはありがとうございます。やっぱり、心配してくれているんですよね?」

──心配とかではなく、格闘技は練習で苦しい目にあい、試合では苦しまずに勝てるのが一番だと思っています。だから、いうなれば疲れようが、疲れまいが勝利が大切だと。

「なるほど、なるほど……ですね」

──疲れた方が敗北に近づきますしね。

「……難しいですね。そこまで、強くないですから」

──そうとも思っていません(苦笑)。

「それも、ありがとうございます。弱者の理論じゃないですけど、弱者の理論と強者の理論のミックスがやりたいというか……。相手より強いからこそ、相手より頑張る。そして相手より弱いからこそ、相手よりも頑張らないといけないみたいな。変なこと言っているかもしれないですけど。人間って両方持っているものじゃないですか。そして、僕の良さは両方あることだと思っています。

それこそギュッと抑え込み、上からドミネイトしまくって勝てれば良いですけど、やられかけた時に下から捲れたりとか。柔術の技とか、切り返す技を持っているのと、持っていないのでは全然違うじゃないですか。凄く劣勢な場面で、一発逆転を狙うことができる技があるのか、ないのか。そういう跳ね返す力と、パーフェクトゲームで勝てる力、両方を持っていたいです」

──パーフェクトゲームで勝てる気持ちを持って、劣勢になってから返す準備もしておく?

「そういう風でいたいです」

──ウィットソン戦はスカッと勝ってほしいと周囲も期待しているとは思うのですが、北岡選手はドロドロの局面になることも良しとしているようですね。

「そうですね、別にそれでも分かる人には面白いモノに……でも、それじゃダメだな。う~ん、ライブ観戦を楽しみにしてくれている人に……何ていうんですかね、見応えのあるモノを見せるという自信はあります。根拠を問われると、答えられないですけど(笑)。そういう取り組みはしてきているつもりです」

──あとから振り返って見る気にはなれないけど名勝負、そういうライブ特有のモノもありますよね。ライブでも振り返りでも名勝負といわれる戦いとは別に。それこそ、北岡選手が言ったような手に汗握る見応えのある戦いが。

「こんだけやっていますし……。他に何もやっていない。なくても良いけど、責任感もあります。だから、見に来てくれたファンが喜んでくれる試合はやります」

──責任感というのは、どこに対しての責任感ですか。

「DEEPのチャンピオンであることもそうですし、パンクラスであったり日本の格闘技を代表しているような気持ちは持っています。未だにアイコンの一つである自負があります。ただ、格闘技界のためにと思う気持ちは、犠牲の心ではないです。自分のためであり、張り合いがあるからです。総合格闘技をやっている北岡悟というモノが好きで、誇りを持っていることを最近、また気づきました。だからこそ、やっていないことはやっておきたい。

そういう気持ちがあってのケージでユニファイドなわけです。リングではなくなったパンクラスに出ておきたいと思ったのも事実ですし。10月5日より、先のことは終わってから聞いてもらえればと思います。ただし、やってなかったことをやっていく──その道標ではいたいです。そのためには勝ち続けること……が、自分自身の張合いをもたらしてくれるので。そのためにも勝利が大事になってきます」

──これが最後の質問です。今回のパンクラス出場に際し、日本人相手ではなく、外国人選手と戦いたいという気持ちでいたのでしょうか。

「僕と釣り合う相手と戦いたいとは思っていました。そうしたら日本人は、資格を持っている者がいなかった。資格がある人がいなくなってしまったので。こういうことは縁だから、仕方がないです。でも、パンクラスに出場し続けるのであれば、ディファ有明という箱を考えると日本人選手と戦う方が絶対に良いと思います。言っても日本の格闘技界で、僕と戦うことは相手にとって張りのある試合になるはずだから。そこに手を挙げてくれるような選手と戦いたいです。そのためにも僕も勝ち続けて、相手にとって張り合いのある選手でありたいです」

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ABEMA Fighter's Diary Interview J-CAGE ONE ブログ 青木真也

【Fighters’s Diary con on that day】「試合がない日々」を生きる青木真也の声 on 2012年8月某日

Aoki & Zoro【写真】写真はその前年=2011年にEvolve MMAの柔術クラスでゾロ・モレイラと談笑する青木 (C)ABEMA & MMAPLANET

全世界を巻き込む新型コロナウィルス感染拡大の影響は当然のように日本の格闘家たちの人生にも影響が出ている。試合がない、大会が開かれない、練習場所の確保も困難だ。

そんな今、格闘技を愛する全ての人へ──ABEMA格闘CH が公式YouTubeチャンネルで Fighter’s Diary Ep.01というドキュメンタリームービーが12日(日)より、アップされている。

第1回でクローズアップされた格闘家は平田樹、若松佑弥、中村K太郎&杉山しずか夫妻、堀口恭司、青木真也の6名だ。

Fighter'sDiaryFighter’s Diaryは3週に渡り、3つのエピソードで総勢16人の格闘家たちの声をYouTubeで伝え、26日(日)午後7時より、ABEMA格闘CHにて Fighter’s Diary完全版が放送される。

そんなFighter’s Diaryでは「試合がない日々」を格闘家たちはどう生きるのか? ──という今の声を集めた。MMAPLANETでは、タイアップ企画ならぬボーディング企画を提案。MMAファイター達が今を発せられるようになった原点を探る上で、あの日の彼らや彼女達の声=on that dayとして、MMAPLANETインタビュー初登場時の声を紹介したい。

題してFighter’s Diary con on that day、第7回は2012年8月14日公開、8月某日に取材が行われた──ONEデビュー戦=アルナウド・ルポン戦が決まったばかり、ONEがONE FCと呼ばれていた時代──青木真也のあの日の声をお届けしよう。


<リードを含めた完全版はコチラから>

――OFC06への出場が決まりました。今回はシンガポールのイヴォルブMMAに入って、そのまま試合をするそうですね。

「はい。試合の日程が決まった時点で、そのスケジュールで行こうと思ったので、試合が終わるまでの約1カ月間をシンガポールで過ごすことになります」

――OFC参戦までの経緯については、すでに各媒体でお話されていると思うので、参戦決定以降の話を聞かせてもらえればと思います。7月に大会のプロモーションでフィリピンに行かれたそうですが、現地の様子はいかがでしたか?

「とにかくエナジーを感じましたね。主力選手をほとんど集めて、150人以上のメディアを招いて、フィリピンのYahoo!でトップニュースとして報道されたという話も聞きました。

またプロモーションそのものも、格闘技だけではなくて対外的な部分にアプローチしているので、今すぐに成果が出なくても1~2年後を見越した投資だと感じました。出場選手を見てもグレイシーが3人、UFCの元王者が2人もいる。スポンサーも有名企業が名を連ねているんで、世界的にも見てもビッグプロモーションと言ってもいい大会規模だと思います」

――フィリピンでもMMAは人気がある競技なのでしょうか?

「マニー・パッキャオを生んだ国だし、基本的にファイトが好きな国だと思うんですよ。だからMMAも興味を持たれているという印象を受けました」

――OFCと契約して初めてビクター・クイCEOと顔を合わせる機会だったと思うのですが、何か会話されましたか?

「僕の場合はイヴォルブのチャトリ会長を通してやりとりしているので、ビクターと直に話をする機会はなかったです。逆にチャトリにはとにかく感謝の気持ちを伝えました。イヴォルブでの練習環境も含めて、今まで以上にチャトリにはサポートしてもらいましたからね」

――OFCという新たな団体で試合をするうえで心境に変化はありますか?

「PRIDEやDREAMの頃とは全く違います。OFCでデビューするじゃないですけど『ここでもう一山稼いでやる!』って気持ちです」

――現時点ではまだ対戦相手が発表されていません。過去にDREAMでは対戦相手選びが難航したこともありましたが、不安はないですか?(※取材はシンガポール入りする前に行われた)

「正直、簡単には決まらないだろうなとは思いますけど……。今は自分になんだかんだで、自信があるんです。4月にエディ・アルバレスに負けちゃいましたけど、この2年間でMMAで負けたのはアルバレスとギルバート・メレンデスだけですからね。そのクラスの選手以外には負けないよという気持ちはあります」

――イヴォルブMMAでの練習も3月以来ですが、それについてはいかがでしょう?

「久しぶりにゾロ(バベル・モレイラ)やエディー(・アング)たちと会えるから楽しみですよ。あとナルポン・フェアテックスがトレーナーに加わるそうなので、それも気になりますね」

――イヴォルブのメンバーは青木選手が練習をスタートした頃に比べると、かなりレベルアップしていますよね。

「僕がイヴォルブに行く度に、みんなが強くなっています。特にやばいのはゾロ。初めて練習した時から『こいつは強いな』と思っていましたけど、それがさらに強くなっている感じですね。8月のOFCには出ずに、72~73kgまで体重を落として、ルンピニーかラジャでヨーロッパ人とムエタイの試合をするみたいです」

――青木選手はもちろんイヴォルブ勢の活躍にも注目が集まります。

「ライト級は特に層が厚いんですよ。僕とゾロがいて、少し僕らよりは劣るけどエディもいて。UFCに出ているハファエル・ドスアンジョスもいるから、イヴォルブのライト級はチームとして強いと思いますよ」

――OFC参戦で青木選手を取り巻く環境も大きく変わると思いますが、そこで自分がどうなるのか楽しみな部分はありますか?

「自分ももう37戦やっていて、2003年のDEEPフューチャーキングトーナメント王者なので、プロとしては来年で10年選手になります。いい条件でOFCとは契約させてもらったので、今までとは違って試合数も少し考えながらやっていきたいとは思っています。あと今年の大晦日、正月は格闘技から離れて、のんびり過ごしたいです(笑)」

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ABEMA Fighter's Diary Interview J-CAGE ブログ 堀口恭司

【Fighters’s Diary con on that day】「試合がない日々」を生きる堀口恭司の声 on 2013年10月31日

Horiuchi Kyoji【写真】堀口恭司が水垣偉弥となぜ、一緒なのか……は元記事で確認ください (C)ABEMA & MMAPLANET

全世界を巻き込む新型コロナウィルス感染拡大の影響は当然のように日本の格闘家たちの人生にも影響が出ている。試合がない、大会が開かれない、練習場所の確保も困難だ。

そんな今、格闘技を愛する全ての人へ──ABEMA格闘CH が公式YouTubeチャンネルで Fighter’s Diary Ep.01というドキュメンタリームービーが12日(日)より、アップされている。

第1回でクローズアップされた格闘家は平田樹、若松佑弥、中村K太郎&杉山しずか夫妻、堀口恭司、青木真也の6名だ。

Fighter'sDiaryFighter’s Diaryは3週に渡り、3つのエピソードで総勢16人の格闘家たちの声をYouTubeで伝え、26日(日)午後7時より、ABEMA格闘CHにて Fighter’s Diary完全版が放送される。

そんなFighter’s Diaryでは「試合がない日々」を格闘家たちはどう生きるのか? ──という今の声を集めた。MMAPLANETでは、タイアップ企画ならぬボーディング企画を提案。MMAファイター達が今を発せられるようになった原点を探る上で、あの日の彼らや彼女達の声=on that dayとして、MMAPLANETインタビュー初登場時の声を紹介したい。

題してFighter’s Diary con on that day、第6回は2013年11月1日公開、10月31日に取材が行われた──UFCデビュー戦となったダスティン・ペイグ戦後の──堀口恭司のあの日の声をお届けしよう。


<リードを含めた完全版はコチラから>

――9月の第2週ぐらいにUFC参戦が決った堀口選手ですが、10月10日に共同記者会見が開かれるまで、なかなかメディアへの露出がありませんでした。やはり初めてのUFCでナーバスになっていたということでしょうか。

「いや、自分の方では取材を断っているつもりとかなかったんですよ。それに緊張もしていなかったし。ただ、マネージメント・サイドの方が、取材は1日でまとめて済ませようと気を遣ってくれたみたいで」

――事実上、試合まで1カ月。この間の練習で最も気にしていたのはどのようなところだったのですか。

「UFCでは誰と戦っても強いので、自分の一番良い動きを出せるように練習していました。対戦相手がどうのこうのっていうよりも、自分の動きができるようにという部分を大切にしていたんです」

――2R、KO勝ちというデビュー戦でしたが、初回にはバックに回られRNCも狙われました。堀口選手にとって、自分の動きができた試合になったのでしょうか。

「30点です(苦笑)。自分が求めていた動きではなかったです。本当に動きが固かったし。言い訳になってしまうのですが、試合前に尿検査とかあって、アップもできずにオクタゴンに入ったんです。だから、動きが固いままで。特に緊張したとかっていうこともなかったのですが、アップができない影響はありました」

――1Rにバックを取られたシーンなどは、あの態勢と動きだと普段の練習では背中に張り付かれることはなかったのではないですか。

「そうですね。やっぱり手足も長いし、ああいう風にバックを取られることは日本ではないですね。あんなに巻きつかれ、振りほどけないというのは。でも、UFCなんだし。こういうもんなんだろうと思って戦っていました。絞めはそりゃあ、苦しかったですけど、手を一本取っていたので極められることはないと思って淡々と戦っていました」

――1R、終了時もスイープからトップを許した状態でした。初回をポイントで取られ、そこでも焦ることはなかった?

「なかったです。まず、ポイントをそれほど気にしていなかった。如何に決める(倒す)のかという部分で戦っていたので。1Rを落としても、2R、3Rのなかで決めようと試合を組み立てていました」

――緊張しなかったということですが、計量のときなど、あまり日本では見られない笑みを見せていました。

「そうですか?  緊張は全然していなかったですよ。『おお、UFCか』って会場を眺め、『このあと向かい合うんだ』って思うとにやけてしまって(笑)」

――さすがの強心臓ですね。ところでセコンドではもともと田村一聖選手が同行する予定でしたが、RFCでの負傷で急遽、矢地祐介選手に変更されました。先輩の田村選手が訪米できなくて、セコンドが代わるという緊急事態にも動じなかったのでしょうか。

「動じなかったですね。もちろん、田村さんが必要だから、セコンドをお願いしていたのですが、戦うのは僕なので。周囲に何かが起ったり、米国だから日本と違うとかってことで動揺していたら、自分のやるべきことができなくなる。それって、本当に意味がないと思うんです。まずは自分が戦うということ。そこが大切なんで。

自分がコントロールできないことを色々と考えてもしょうがない。自分は自分だって考えています。セコンドが田村さんから矢地君に代わっても、僕がやることは変わらないんです。精神状態も変わらないです。まずは自分の考えを纏めて、それから人の意見を聞く性質なので試合中もまぁ、同じなんです」

――なるほど。ペイグはリーチの長い選手でしたが、ああいう選手がジャブを使ってフットワークを駆使してくると厄介だとは思いませんでしたか。

「それは厄介ですが、戦っていて皮膚感覚でペイグは前に出てくるという確信がありました。だから、どう決めるか。自分のなかでシナリオはできていました。ただ、これからリーチと足を使ってくる選手と戦うこともあるだろうし、レスリングを強化し押し込んでから、テイクダウン。そこからパウンドっていう流れを強化していきたいです」

――8月に水垣偉弥選手が、エリック・ペレスと対戦したとき、打撃戦のなかで見事なテイクダウンを決めています。

「その試合は見ていないのですが、水垣さんの試合は何度か見ていて、打撃戦から相手を押し込んで倒すという部分は、ああいう戦い方もあるだって頭にインプットしています。ポイントを取られている時は、しっかりとああいう風にいかないといけない場合も出てくるって覚悟しています」

――堀口選手はストライカーですが、ブローラーではない。闇雲な打ち合いはしないです。

「ハイ、ステップを踏み、フットワークを大切にしています。ただ、ああいう動きを米国のジャッジが理解しているのか分からない部分があるので、今回も試みたのですが、頭を振って入るボクシング的な動きも取り入れていこうと思っています。そこに従来からのステップを加えていきたいんです」

――空手のステップにボクシングの動きを加えたスタイルで、UFCを戦っていくと。

「UFCはポイント合戦になる。だからこそ、打撃だけでなくレスリングや寝技をしっかりと強化したい。それと打撃戦も打ち合いじゃなくて、自分だけ当てる。そんな戦い方で接近戦も仕掛けていきたいです」

――減量に苦労しない堀口選手ですが、連敗していたクリス・カリアソが復活の勝利を挙げる前の時点で8位。それだけバンタム級と比較すると層が薄いフライ級への転向は視野に入れていますか。

「カリアソには勝てそうですけどね。ハハハハ。でも、バンタム級で戦っていきます。デカい選手を倒したいというのが、根本の部分であるので」

――小よく大を制すというのは空手家としての考え方なのですか。

「KIDさんです。自分の憧れはKIDさんで、KIDさんはデカい選手をバコバコと倒していました。自分もそういう選手になりたいんです。簡単ではないことも理解していますが、バンタム級に拘りたいですね」

――UFCと契約を果たした選手は、即タイトル戦線に割って入る選手と、サバイバル戦に放り込まれるファイター、2種類があると思います。堀口選手は後者に当てはまると思うのですが、どれぐらいでトップ集団入りできるという見込みでいますか。

「2年は掛かると思います。5試合ぐらいですね。そのためにもレスリングと柔術、この二つを伸ばしていきたいです」
――レスリングと柔術を伸ばすために、どのような工夫が必要だと考えていますか。

「グランドスラムのプロ練習に参加させてもらいたいと思っています」

――互いに将来性を買われ、ある意味、ライバルでもある田中路教選手が所属するジムでの練習となりますが。

「強くなりたいので、そういうことに拘ることはないです。強くなるためなら、どこにでも足を運びます。そして、僕を強くしてほしいです」

――8月に矢地選手のセコンドで訪れたPXCで見たカイル・アグォン。レスリングとスクランブルの強さを認めていましたが、彼が田中選手に挑戦した試合はチェックされましたか。

「見ていないです(苦笑)。自分、水垣選手の試合もそうですが、どうやって見たら良いのか分からないんです……。動画とか落ちていないと」

――なるほど(笑)。田中選手がシングルをスイッチで切り返されたり、やはりアグオン強かったです。際で取られそうになったり、一瞬は取られて、田中選手が返していくという展開が何度も見られました。セコンドの勝村(周一朗)選手も、『ポジションをキープできる選手と戦うと、あれが通用しなくなる』って課題を見つけていました。

「自分、そういう会話をしたいんですよ。どうやって、修正していくのか――とか。そういうのが、今、自分のジムにはないんです。やっぱり、KRAZY BEEは選手同士なんで、皆が皆、自分中心になってしまうんで。アドバイスはできても、指導ではない。だから、組技に関しても、僕は伸びていない。一時期、植松(直哉)さんが朴(光哲)さんとの関係で来てくれていた時期があったんですが、今は来られていないし……。

ホント、ずっと来てほしかったんです。だから、技術を教えてほしいので立川まで訪ねていって、指導してもらおうかと思っています」

――馬込から立川まで通うということですか。

「時間が勿体ないという考えもありますが、とにかく強くなりたい。そのためには何でも……、ハイ」

――技術を学びたいというのは、田中選手も立ち技に関して言っていました。スパーだけでなく打撃の技術を指導してもらいたいと。

「その通りだと思います」

――グラップリングが堀口選手の強化すべき部分であり、それは田中選手の得意分野です。田中選手の強化すべき点が打撃にあり、堀口選手の得意分野である。田中選手から打撃の練習をしたいという申し出があった場合はどうしますか。

「全然、構わないですよ。僕が役に立てるなら」

――某元UFCファイターが、堀口選手に打撃の指導を受けて、凄く分かりやすく勉強になると言っていました。

「自分の打撃のスタイルしか教えることはできないですけど、そこで何か掴んでもらえるのであれば。人それぞれスタイルっていうものがあると思うので、その人に合った動きというのは教えることはできないのですが、僕がやってきたことで何か勉強にしてもらえるなら、自分の技術を伝えることは問題ないです。それで良ければ……って思っています」

――ちなみに田中選手のことは、おかしな表現になりますが、認めているのですか。

「もちろんですよ。強いッスよ。PXCのチャンピオンですし。あの場で勝てる選手、ベルトを持っているんですから」

――今年の1月にFight&Life誌の取材で、堀内選手、田中選手、佐々木憂流迦選手を一つのレポートで掲載するとき、鼻にもかけていない雰囲気がありましたが……。

「いやいやいや(苦笑)。違いますよ。アレは、ハッキリ言って憂流迦にムカついていたんです。彼はいろいろ、僕のことを言っていたから。『何だよ、コイツ』って思っていて。だから、あのときは憂流迦……佐々木選手に言いたかったことと一緒になってしまったんです。田中選手には、何もなかったです(苦笑)。

でも、もう今は佐々木選手とだって練習したいです。同じ階級であの長身で、リーチも長い。そして寝技が得意っていう選手、なかなか日本にはいないですし。でも、UFCだと佐々木選手のような体格の選手ばかりになる。ダスティン・ペイグだって、そういう選手だったじゃないですか。だから田中選手だけでなく、佐々木選手とも一緒に練習していきたいです。強くなるためなら、何だってやるんで」

――なるほど、そんな練習が実現すれば、お金を払っても見てみたいですね。ところで打撃に関しては、KRAZY BEEと栃木の一期倶楽部で二瓶弘宇先生以外に指導を受けているのでしょうか。

「ほとんど一期倶楽部です。あと、ボクシングもちょっとやっています。ウィービングしてフックとか、ペイグ戦で使ったのもボクシングの動きでした。ボクシングジムで習ったことを二瓶先生に伝えて、そこからどう動きたいのかも報告していました。『あのフックは良かったぞ。ちゃんと体重が乗っていた』って言ってもらえました(笑)」

――二瓶先生にセコンドについてほしくは?

「先生はあれでいて、あがり症なんですよ。だから、先生があがっているのを見ると、僕も迷いが生じるので。先生もそこを分かっているんです。でも、常に見ていてくれていますから。先生が見てくれているから、負けられないっていうのが一番です」

――ところで10月の中旬から、続々と日本人選手がUFCと契約をしています。同じバンタム級でも清水俊一選手が参戦することも決りました。負けていられないですね。

「そりゃあ、負ける気はないですよ。アハハハハ。ていうか、負けないですよ。でも、急に日本人選手の契約が増えて不思議ですよね。僕は結構、時間が掛かったのに。何か傍から見ていると、パッパッパッと決まったみたいで。ちょっと納得いかないんですけど、まぁ、自分が結果を残せば良いことなので」

――修斗ではずっとリングで戦っていましたが、VTJでケージを経験しました。VTJに参戦したことは、UFCで戦うときに助けになりましたか。

「VTJで戦うときには、壁を使った練習を続けていたので、ケージに戸惑うことはなかったんです。もう、自分は練習でできていたので。それでも、リングしか経験していないよりも、VTJを経験したことでより動けたと思います」

――対戦相手もTPFバンタム級王者イアン・ラブランド、そしてキング・オブ・パンクラシスト・バンタム級王者の石渡伸太郎選手でした。あの2人と負けられない試合を経験したことも大きくなかったですか。

「負けちゃいけないのは、いつものことで、それは修斗の試合も変わりないです。どの試合だって負けちゃいけない。ただ、ラブランドのように前に出てくる選手、石渡選手に実戦でケージに押し込まれる経験をしたのはデカかったです。

あの経験があったから、押し込まれた時の対処方法も分かってきたし、前に出てくる選手にどうすればカウンターを合わせることができるのかも分かったので。自分が下がりっぱなしじゃダメだっていうのも分かって、良い経験になりました」

――そんな経験を経て上がったオクタゴン、そこから見える光景は今までのキャリアで見られたモノと違ってくるのでしょうか。

「あそこでチャンスを掴めば、そこから先が違ってくるという意味で、全然違いますね。練習に熱も入るし、ほんと内面から変わってきます。UFCで勝っていれば、これ一本で食っていけるので。MMAが仕事になったのはデカいです。やっぱりお金の心配とかしていると、集中できないですから」

――どんどんノックアウト・オブ・ザ・ナイトを獲得してください(笑)。

「そうッスね。あの大会、KOばっかりだったので……。自分は一番最初だったんで、KOしても即ボーナスが貰えるほど甘くなかったですね(笑)」

――ボーナス狙いなら、パンチで効かせたあとに絞めですよ。KOよりサブミッション・オブ・ザ・ナイトは競争率が普通は低いですから。

「なるほど。そういうこともできないと……ですね。極めを磨いていきたいですね。まずはポジションを取って殴ることが先決なんですが、そこができるようになると極めまでできる選手になりたいですね」

――では最後にUFCで勝ったあと、マッチメイカーのショーン・シェルビーから何かお褒めの言葉はもらえましたか。

「いえ、ショーン・シェルビーとは試合後は会わなかったですね」

――そうですか……。

「でも、ダナ・ホワイトに声を掛けてもらえました。『KOできる選手は好きなんだ』って言ってもらえました。嬉しかったです。自分も決めて勝ちたいんで。そういう部分で評価してもらえて良かったです」

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ABEMA Fighter's Diary Interview J-CAGE ブログ 杉山しずか

【Fighters’s Diary con on that day】「試合がない日々」を生きる杉山しずかの声 on 2014年12月23日

Sugiyama【写真】写真は計量時のモノです。この時、K太郎選手との結婚を活字にできなかったような……記憶が (C)ABEMA & MMAPLANET

全世界を巻き込む新型コロナウィルス感染拡大の影響は当然のように日本の格闘家たちの人生にも影響が出ている。試合がない、大会が開かれない、練習場所の確保も困難だ。

そんな今、格闘技を愛する全ての人へ──ABEMA格闘CH が公式YouTubeチャンネルで Fighter’s Diary Ep.01というドキュメンタリームービーが12日(日)より、アップされている。

第1回でクローズアップされた格闘家は平田樹、若松佑弥、中村K太郎&杉山しずか夫妻、堀口恭司、青木真也の6名だ。

Fighter'sDiaryFighter’s Diaryは3週に渡り、3つのエピソードで総勢16人の格闘家たちの声をYouTubeで伝え、26日(日)午後7時より、ABEMA格闘CHにて Fighter’s Diary完全版が放送される。

そんなFighter’s Diaryでは「試合がない日々」を格闘家たちはどう生きるのか? ──という今の声を集めた。MMAPLANETでは、タイアップ企画ならぬボーディング企画を提案。MMAファイター達が今を発せられるようになった原点を探る上で、あの日の彼らや彼女達の声=on that dayとして、MMAPLANETインタビュー初登場時の声を紹介したい。

題してFighter’s Diary con on that day、第5回は2014年12月27日公開、12月23日に取材が行われた──DEEP DREAMでのライカ戦前クリスマスイブ・イブの練習後の──杉山しずかのあの日の声をお届けしよう。


<リードを含めた完全版はコチラから>

――大晦日は元ボクシング世界3階級制覇のライカ選手と、MMAルールで対戦することになりました。この試合は杉山選手が希望したことで実現したそうですね。

「はい。私のほうから、ライカ選手と対戦したいとお願いしました。ライカ選手がMMAをやると聞いた時、体重も近いので、試合をするなら私かなと思ったんです。ただ、来年あたりに対戦できたらいいな、と考えていたんですけど大晦日の舞台で試合が組まれて嬉しいです」

――大晦日の試合といえば、1年の総決算的な意味合いもあるかと思います。杉山選手の2014年は、これまで2勝1敗。その1敗は5月に、端貴代選手とDEEPジュエルスのミドル級王座(61.2キロ以下)を争い、判定負けを喫したものです。杉山選手のなかで、ベルトを取り逃したことに関しては、どのように受け止めていますか。

「負けはしたんですけど、私にとっては意味のある敗北だったのかなって思います」

――意味のある、と思うことができた理由は何ですか。

「試合前はなんとなく“勝てるかな”と思っていたんですけど……あとから考えたら、もう少し相手のことを研究しなければいけなかったし、端選手のほうが勝ちに来ていました。そんななかでも、自分が弱いと思っている部分以外は、もう少しやり方を変えればいけるかな、って考えることができたんですよ」

――なるほど。まず端選手に“勝てるかな”と思っていたポイントは何だったのでしょう?

「端さんがなぜ強いと言われているのか、技術的な部分が何も分かっていなかったんです(苦笑)」

――反対に、自分の弱い部分とは?

「寝技ですね。そこは端さんのほうが上でも、打撃は自分のほうが体格も上だし、何とかなると思っていて……」

――国内の女子総合格闘技界でいえば、48キロと52キロの階級が主軸であったなかで、57キロから61キロあたりで戦える杉山選手の体格は、ひとつの強みだったと思います。ただ、それでもジュエルスの新人王トーナメントや、端選手とのタイトルマッチなど、重要な試合で星を落としている、という印象は拭えません。

「はい。勝たなきゃいけない試合で勝てなかった。それは性格というか……どうしても甘えが出てしまうんですよね。練習にもムラがあったり」

――甘え、ですか。

「スパー中、相手の向こうに人がいたらタックルで押し込むことができなかったり、試合ではルール上で認められている攻撃でも、練習だと躊躇してしまうとか」

――その甘えが、試合でも出ている?

「試合中は、全く意識していないんです。でも、練習ではそういう時に、ひと呼吸置いてしまう。よく練習中に“そこは止まるところじゃない!”と怒られます」

――それは山崎剛さんが代表を務めるリーバサルジム代々木Me,Weの所属になってからも?

「所属が変わっても、自分のなかでは劇的に変わったところがないから、大事なところで負けてしまうんでしょうね。自分としては“こういう試合がしたい”と思っていても、周りから“杉山さんはコレが強いから”と言われると、そう期待されている動きに偏ってしまうんです」

――……。

「結果的に、自分の弱点を補うことができていないんですね。たとえば私は寝技が弱い。柔術やレスリングの練習も、しっかりやらなきゃいけないと思います。でも試合前になると、総合のスパーばかりになってしまう。時間がないから、疲れているから、勝つためには――って、苦手な練習に、時間を割かなくなってしまいます。自分でもそれは“逃げ”だったり“甘え”だということは、分かってはいるんですけど……」

――確かに、人材が決して豊富とはいえない女子格闘技界にあって、杉山選手に対する期待は大きいところもありました。

「重量級は私しかいなかったですからね。でも、買いかぶられすぎていたと思います」

――普段の言動からして、杉山選手はマイペースで、あまり周囲を気にしないタイプなのかと思っていました。

「いや、周りに左右されすぎなのかもしれないですね。もちろん練習でも試合でも、“ココはこうしたほうがいい”という指摘は、受け入れるべきだと思います。ただ、プロモーターさんやファンの人たちに“自分がどう見られているのか”ということも気になってしまうので」

――なぜ、そこまで周囲の目が気になるのですか。

「プロ選手って、そういうものだと思っていたんです。みんなに期待してもらえる選手でなきゃいけない。だから普段も“みんなは私に何を期待しているんだろう?”とか、タイトルマッチでも“ベルトを獲ったらどうなるんだろう?”という気持ちがあっって」

――うーん……では、ライカ選手との試合が発表された時も、“打撃勝負”という意気込みを口にしていましたが、それも周囲の期待を意識してのことですか。

「会見でも言った打撃勝負というのは、パウンドも含めてです。でも、そのためには抑え込むためのテイクダウンや寝技の練習をしなきゃいけないと思っています」

――改めてライカ選手は、ボクシングで世界3階級制覇を果たした、ビッグネームです。

「ビッグネーム……今回の試合に関しては、それは特に意識していません。確かにライカ選手はボクシングの世界王者だったけど、これは総合の試合なので。総合でいえば、たとえば浜崎朱加のほうがビッグネームだと思っています。“ボクシングのライカ”は皆さん知っていても、“総合格闘家のライカを知っている?”と聞かれたら、みんな知らないわけじゃないですか」

――大晦日の試合がMMA2戦目ですからね。

「私は私なりに、この世界(総合格闘技界)でずっとやってきました。もちろんライカ選手のことは、いちファイターとして尊敬しているし、試合ができて嬉しいです。でもこれは総合の試合ですから。だから負けられない、とにかく勝たなきゃいけないっていうことでは、大切な試合だと思います」

――ライカ選手のMMAデビュー戦、今年9月14日のイム・スジョン戦(判定負け)は見ましたか。

「見ました。でも、相手も総合格闘家じゃないし(イム・スジョンはキックボクサーで、シュートボクシングのRENAとも対戦している)、試合は寝技も30秒の制限がありましたよね。あまり参考にならないと思います。ライカ選手はヒザ蹴りでやられていたので、大晦日の試合にはそのあたりも対応できるようになっていてほしいです」

――……対応できるようになっていてほしい?

「対応できすぎると嫌ですけど(笑)、私にとっては距離を取ってボクシングをし続けられるほうが嫌かなって思うんです」

――ケージの試合で、ライカ選手がどんなステップワークを見せるかは楽しみですね。

「ケージでの試合は、私が有利かなとも思うんですけど、リングより広いので、ライカ選手が足を使って、私が追いかける展開は避けたいです。でも凄く気持ちが強い人だから、総合の練習をやりこんでくるはずだし、私もライカ選手と異種格闘技戦ではなく総合格闘技をやりたいんですよ」

――大晦日という舞台に関しては?

「女子の会場だけでなく、男子のファンにも見てもらえるのはテンションが上がります。DEEPの本戦に出た時も、いつもと感覚が違っていたし、今回一番ドキドキするのは、会場の大きさなんですよ。逆に心配になりますけど」

――普段のDEEPジュエルスだけでなく、DEEPなど男子の試合が行われる大会にもっと出ていきたいですか。

「まず楽しくやっていきたいのと、上がるステージを大きくしていくことが目標なんです。だから今まで、私の実績に関わらず、チャンスがあればどんな試合でもオファーを受けていました。ただ、今はそこに実績が伴わなければ、応援してくれる人もいなくなりますよね。たくさんの人に応援してもらって、勝つことで初めてステージを大きくできるんだって、今はそう思っています」

――その先に、UFCという目標はありますか。杉山選手が戦うバンタム級はロンダ・ラウジーを中心に盛り上がっていますし、9月の日本大会の際には、杉山選手も出場をアピールしていました

「……今はそこまでのビジョンを描けていないですね。とにかく目の前の試合に勝っていかないと」

――杉山選手のキャリアにとって、このライカ戦とはどんな意味を持つのでしょうか。

「私がお願いして組んでいただいた試合なので、チャンスを生かしたいです。2015年、2016年に向けて私の存在感を示していくために、大事な試合だと思っています」

――これから何かやりたいことなり、ビジョンを持っているということですか。

「やっぱりもう一度、DEEPジュエルスのタイトルマッチに辿り着きたいです。そのためにも、最初に言ったような自分の弱い部分を補わなきゃいけないんですね。今までは、試合が組まれると弱点を補うことに取り組めなかったんです。でもどんどん試合が組まれていったし……もちろんキャリアを積むことも重要だったから、それが良くなかったとは思っていないんですけど」

――一方で、試合が組まれると総合のスパーばかりになり、寝技に取り組むことができなかったと。

「はい。私としては、来年はもっと試合数が少なくなってもいい、その間に自分の弱点を補っていきたいと思っているんですよ。だから、ライカ選手と年内に対戦できて良かったです」

――次の試合は、今後のキャリアを考えるうえで、重要な一戦となるわけですね。

「大晦日にライカ選手に勝てば、来年は試合数が少なくなっても、存在感は示しておくことができると思うんです。だから今回の試合は、私がもっと強くなるために大切な試合。絶対に負けられません」

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ABEMA Fighter's Diary Interview J-CAGE ブログ 中村K太郎

【Fighters’s Diary con on that day】「試合がない日々」を生きる中村K太郎の声 on 2012年3月29日

K-taro【写真】この時点で既にキャリアは8年目を数えていたK太郎 (C)ABEMA & MMAPLANET

全世界を巻き込む新型コロナウィルス感染拡大の影響は当然のように日本の格闘家たちの人生にも影響が出ている。試合がない、大会が開かれない、練習場所の確保も困難だ。

そんな今、格闘技を愛する全ての人へ──ABEMA格闘CH が公式YouTubeチャンネルで Fighter’s Diary Ep.01というドキュメンタリームービーが12日(日)より、アップされている。

第1回でクローズアップされた格闘家は平田樹、若松佑弥、中村K太郎&杉山しずか夫妻、堀口恭司、青木真也の6名だ。

Fighter'sDiaryFighter’s Diaryは3週に渡り、3つのエピソードで総勢16人の格闘家たちの声をYouTubeで伝え、26日(日)午後7時より、ABEMA格闘CHにて Fighter’s Diary完全版が放送される。

そんなFighter’s Diaryでは「試合がない日々」を格闘家たちはどう生きるのか? ──という今の声を集めた。MMAPLANETでは、タイアップ企画ならぬボーディング企画を提案。MMAファイター達が今を発せられるようになった原点を探る上で、あの日の彼らや彼女達の声=on that dayとして、MMAPLANETインタビュー初登場時の声を紹介したい。

題してFighter’s Diary con on that day、第3回は2012年3月29日公開、同日に取材が行われた──香港ベースで、中国やオセアニア勢と日韓の実力者を世に送り出したMMAプロモーション=Legend FCに初参戦、キム・フン戦を翌日に控えた中村K太郎のあの日の声をお届けしよう。


<リードを含めた完全版はコチラから>

──LFC初参戦となる中村K太郎選手です。いつ頃、この大会に出ることが決まっていたのでしょうか。

「一カ月ぐらい前です。プロ修斗の5月大会があるかどうかっていう展開で、声を掛けてもらったので、すぐに出ることを決めました。LFCが決まってから、修斗の試合も正式に決まった感じです」

──LFCには、どんな印象を持っていたのですか。

「慧舟會の選手も出ているので、彼らから話を聞いていたのですが、レフェリングがちょっと……ということを聞いていました(笑)。ファイトマネーもそれなりに、僕的にはもらえるって感じで」

──修斗にも出場するということは、専属契約ではないわけですね。

「ハイ、独占ではないです」

──対戦相手は韓国のキム・フン選手については、どのような印象を持っていますか。

「打撃系のファイターですね。それほど腰が強くはなく、寝技はそれほどでもないようです」


──では、今回の試合も戦略的には1月の修斗、佐藤洋一郎戦のように組んで倒し、トップから攻めるという感じでしょうか。

「あの時は、ちょっと打撃を嫌い過ぎていたので、打撃でも自分からプレッシャーを掛けて、その上で組んでいこうと思います。

あそこまで打撃を嫌うと、相手のペースにもなりやすいので――打撃ができないわけではないので、ミスをしない程度に打撃を使おうと」

──それは明らかにセコンドの磯野(元)さんの意見じゃないですか(笑)。

「そうですね(笑)。あとは、去年の暮にチーム・クエストで経験した練習の成果を出したいです」

──チーム・クエストで、特にどんな点を学んだのですか。

「レスリングが強い選手が多かったですし、MMAもチェール・ソネンと練習をして、ずっと前に出てこられると本当に削られるっていうのを、身をもって体験できました。

自分でも削っていけるように……。LFC、修斗で結果を残し、もう一度、UFCで戦いたいと思っています」

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ABEMA Fighter's Diary Interview J-CAGE ブログ 若松佑弥

【Fighters’s Diary con on that day】「試合がない日々」を生きる若松佑弥の声 on 2017年10月8日

Yuya-Wakamatsu【写真】Fighter’s Diaryの中では父としての不安の声も聞かれた若松、2年半前はこんなに若かった!! (C)ABEMA & MMAPLANET

全世界を巻き込む新型コロナウィルス感染拡大の影響は当然のように日本の格闘家たちの人生にも影響が出ている。試合がない、大会が開かれない、練習場所の確保も困難だ。

そんな今、格闘技を愛する全ての人へ──ABEMA格闘CH が公式YouTubeチャンネルで Fighter’s Diary Ep.01というドキュメンタリームービーが12日(日)より、アップされている。

第1回でクローズアップされた格闘家は平田樹、若松佑弥、中村K太郎&杉山しずか夫妻、
堀口恭司、青木真也の6名だ。

Fighter’s Diaryは3週に渡り、3つのエピソードで総勢16人の格闘家たちの声をYouTubeで伝え、26日(日)午後7時より、ABEMA格闘CHにて Fighter’s Diary完全版が放送される。

そんなFighter’s Diaryでは「試合がない日々」を格闘家たちはどう生きるのか? ──という今の声を集めた。MMAPLANETでは、タイアップ企画ならぬボーディング企画を提案。MMAファイター達が今を発せられるようになった原点を探る上で、あの日の彼らや彼女達の声=on that dayとして、MMAPLANETインタビュー初登場時の声を紹介したい。

題してFighter’s Diary con on that day、第2回は2017年10月8日公開、同日に取材が行われた──翔兵戦前日の若松佑弥のあの日の声をお届けしよう。


<リードを含めた完全版はコチラから>

──計量を終えて、コンディションの方は?

「今はバッチリですね」

──計量直後にも関わらず肌艶が良く、減量は上手くいったようですね。

「前からずっと節制していたので、体重もすんなり落とせました。以前は普段からの節制していなかったですけど、ここ何試合かは試合がない時期も節制しています」

──タテキ・マツダ選手の負傷欠場による参戦となりましたが調整はスムーズに出来ましたか。

「ずっと試合があるかないかという状況で『いつ試合が決まっても良いよ!』と思っていたので、話が来た時には『すぐ行けるぞ』という感じでした」

──翔兵選手はバンタム級から階級を落とし、フライ級に参戦している選手です

Wakamatsu vs Shohei「体重も同じだし、同じ1人の人間なので『どの局面でも負けない』という自信があります。前回の試合からは結構スパンが空いたので、その期間も常に試合に出られるように準備していました。今回の試合も全然問題ないです」

──この間、試合を戦ううえで以前と比較して成長しているだろうと思える点はどこでしょうか。

「しっかり落ち着いて冷静に1個ずつ丁寧にやっていこうと思っている点ですね。前は『殴ってやろう』という気持ちが前面に出ていたんですけど、試合の中では何があるか分からないですし。そういう時に焦ってしまうと相手のペースに飲まれてしまうので、常に冷静さを保って練習していくことを心掛けてきました」

──冷静さを心がけるようになったキッカケを教えてください。

「トレーナーのニック(永末貴之)さんのサーキットトレーニングは種目がいっぱいあって、マスクをつけながら決められた回数、種目をこなします。結構キツいんですけど、焦ってしまうと益々出来なくなってしまうので、キツい時でもしっかりと冷静に対処しないとダメだなと思いました。

そのトレーニング以外にスパーリングとか寝技や打撃もしっかりやっています。ボクシングは今回の試合から三迫ボクシングジムという東武練馬にある結構有名な名門のジムに行っています。三迫ジムの人と一緒にトレーニングをする事があるので、その繋がりで行くようになりました。

寝技だとロータス世田谷でライト級くらいの自分より重い階級の選手と、HEARTSでは修斗に出ている猿田(洋祐)さんとかと練習しています」

──敢えて重い階級の選手とも練習をしているのですね。

「ロータスでの練習は週1回なので、体の大きい人にもしっかり積極的にぶつかっていくという練習も取り入れています。同じ階級やレベルの人と練習をして技を磨いたりしています」

──その練習での変化は感じますか。

「前回より打撃もパワーアップしていると思います。打撃でバチーン!と倒したいですけど、寝技で極めたりとかそういうところも『俺はこういうことも出来るんだぞ』というのをチャンスがあったら見せたいですね。

自分が1番だと思っているので明日は1番レベルの高い試合を見せたいし、前回より全局面で進化しているので更にパワーアップ強くなっているところを見て欲しいです」