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MMA MMAPLANET o PJJC2022 アンディ・ムラサキ アンデウソン・ムニス エリキ・ムニス クレイグ・ジョーンズ グーテンベルギ・ペレイラ ジョナタ・アウヴェス タイナン・ダウプラ タリソン・ソアレス ダンテ・リオン ディヴォンテ・ジョンソン ブルーノ・マルファシーニ ペドロ・マリーニョ ホベルト・アブレウ リーヴァイ・ジョーンズレアリー レアンドロ・ロ ロベルト・ヒメネス 嶋田裕太 橋本知之

【PJJC2022】パン柔術見所。ライト級のムラサキ✖アウヴェス。ミドル級はダウプラ、ヒメネスらに注目

【写真】昨年のパンナムは8ファイナル敗退だったアンディ・ムラサキ。今年はどうなる?!(C)EUG

フロリダ州キシミーのシルバー・スパーズ・アリーナで6日(水・現地時間)から、IBJJFパン柔術選手権が10日(日・同)の日程で始まっている。

世界の強豪が集結し、6月の世界大会の行方を占う上でもきわめて重要なこのパン柔術。プレビュー最終回は橋本知之が出場するライトフェザー級、嶋田裕太が出場するフェザー級以外について考察したい。


【ルースター級】
本命は2020年のヨーロピアンでブルーノ・マルファシーニ越えを果たし(その年は惜しくも決勝で橋本知之に敗れたものの)、今年のヨーロピアンで優勝を果たしているタリソン・ソアレスか。ソアレスと決勝で対峙する有力候補としては、2019年のヨーロピアンで芝本幸司に快勝したカルロス・アルベルトが挙げられるだろう。

(C)EUG

【ライト級】

この大会2連覇中、AOJのジョナタ・アウヴェスがエントリー。昨年のEUG2のトーナメント決勝にて、柔術の神の子ことミカ・ガルバォンと対戦し、一度トップを取ったら這いつくばってでもキープする執念の戦いぶりでリードを守り切って優勝した姿が印象深い。

そして別ブロックには、ティーン時代を日本で過ごし、昨年のEUG1で世界的黒帯を3タテして衝撃の黒帯デビューを果たしたアトスのアンディ・ムラサキがいる。

23歳のアウヴェスと22歳のムラサキは今年のLAオープンの決勝でも対戦し、この時は8-8のアドヴァンテージ差でアウヴェスが勝利している。柔術界の未来を背負う新世代のライバル対決が、今回決勝でまた見られる可能性は高そうだ。

(C)SATOSHI NARITA

【ミドル級】

大本命は、昨年の世界大会初出場にて初優勝を果たしたタイナン・ダウプラ。鍛え上げたフィジカルを武器に、万力のオープンガードで相手をたちどころにスイープして上を取ると、問答無用の圧力で相手のガードを潰して極めまで持ってゆく戦い方は圧巻だ。

(C)FLOGRAPPLING

そのミドル級、ダウプラの初戦が要・注目だ。

1回戦シードのダウプラが初戦で当たる可能性が高いのが、WNO等のノーギシーンでも目覚ましい活躍を見せるロベルト・ヒメネスだ。見事なバックグラブの技術とどこからでも極めを狙うダイナミックな戦いを身上とするヒメネスが、ダウプラの盤石の戦いぶりを崩せるか、注目したい。

ここをダウプラが順当に勝ち上がれば、おそらく準決勝で当たるのはホナウド・ジュニオール。昨年はパン大会、世界大会とどちらもダウプラの軍門を下っているだけに、雪辱に向ける気持ちは強いだろう。

もう一つのブロックにも強豪選手が散見されるが、ダウプラとの決勝を期待したいのは豪州出身のリーヴァイ・ジョーンズレアリー。抜群の切れ味のベリンボロ・ゲームの持ち主で、以前絶対王者ルーカス・レプリの必殺ニースライス・パスを凌駕してみせて世界を驚かせた。レアリーのベリンボロは、ベリンボロを世界に広めたメンデス兄弟を師に仰ぐダウプラにどこまで通用するのだろうか。

【ミディアムヘビー級】

最大のビッグネームは、階級世界制覇のレジェンド、レアンドロ・ロ。ユニティのムリーロ・サンタナ門下に入ったロと、別ブロックにいる師のサンタナによるクローズアウトが実現するかどうかが注目だ。

この二人を止める候補としては、メンデス兄弟の弟子にして昨年の茶帯世界王者マテウス・ホドリゲスや、昨年のF2W 166でダンテ・リオンに勝利する等ノーギで活躍するマニュエル・ヒバマーらが挙げられる。

【ヘビー級】
第1シードはポーランド出身、今年のヨーロピアン王者のアダム・ワルジンスキ。準々決勝では2019年のADCC世界王者にして、世界柔術でも二度3位入賞しているマテウス・ディニズと当たる可能性が大きく、この対戦がトーナメント序盤の大きなヤマとなりそうだ。

別ブロックでは、素晴らしい切れ味のヒールやギロチンを武器にノーギシーンで活躍し、1月のWNOではクレイグ・ジョーンズを破る殊勲の星を挙げたペドロ・マリーニョがエントリー、道着着用での戦い方も注目だ。

【スーパーヘビー級】
昨年の世界柔術初出場初優勝を果たしたエリキ・ムニスが大本命。長いリーリを活かしたスパイダーガードはまさに難攻不落、別ブロックにいる兄のアンデウソン・ムニスとともにクローズアウトを狙う。

が、アンデウソンのブロックには、エリキと昨年の世界大会決勝を争い僅差で敗れたフィリッペ・アンドリューや、そのアンドリューに道着着用の世界大会では敗れたものの、ノーギ・ワールズではアナコンダ・チョークで一本勝ちを収めて優勝したディヴォンテ・ジョンソン等の有力選手が控えている。

(C)SATOSHI NARITA

【ウルトラヘビー級】

最大のビッグネームは、サイボーグことホベルト・アブレウ。13年にADCC世界大会無差別級を制し、昨年もノーギ・ワールズで優勝する等その強さは健在だ。ノーギ専門家というイメージが強いが。その必殺のトルネードスイープは、道着着用にてグリップを確保することで威力が増すはずだ。準々決勝で当たる、昨年サウスアメリカンを完全制覇しているワラス・コスタとの試合がまずはヤマとなりそうだ。

もう一つのブロックには、強靭なベースを誇り、昨年、今年とワールドプロ大会を2連覇しているグーテンベルギ・ペレイラがいる。ちなみにペレイラとコスタは今年のグランドスラム・ロンドンの決勝でも当たり、僅差でコスタに凱歌が上がっており、今回の決勝で再戦が実現する可能性は大いにあるだろう。

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MMA WJJC2021 アンディ・ムラサキ ケネディ・マシエル ジアニ・グリッポ ジョナタ・アウヴェス タイナン・ダウプラ ブラジリアン柔術 マイケル・リエラJr マテウス・ガブリエル リーヴァイ・ジョーンズレアリー

【WJJC2021】アンディ・ムラサキ✖ジョナタ・アウベス✖マテ・ガブ。BJJ界のカズ=54歳メガトンも

【写真】2試合目を越えれば、表彰台。やってくれそうなアンディ・ムラサキ (C)MMAPLANET

8日(水・現地時間)から12日(日・同)まで、カリフォルニア州はアナハイムのアナハイム・コンベンションセンターにて、IBJJF主催の世界ブラジリアン柔術選手権が行われる。
Text by Isamu Horiuchi

2014年から2019年まで6連覇を果たしている絶対王者、ルーカス・レプリの名前が見当たらない今年のライト級。が、レプリに代わって頂点の座を付け狙う新世代の有望選手が多数出場し、見逃せない階級となっている。

そのなかでも最注目は、日本のインパクトBJJでティーン時代を過ごしたアンディ・ムラサキのムンジアル黒帯初挑戦だ。


ムラサキは今年の4月、EUGプロモーションズが主催する道着着用160パウンド以下トーナメントで黒帯初戦を迎えた。1回戦と準決勝ではケネディ・マシエル、ジアニ・グリッポという世界トップクラスの強豪のガードを強烈なプレッシャーで封じ込めてペースを支配し、グリッポ戦に至ってはパスガードで完全制圧した後に上から仕掛けた三角絞めで衝撃の一本勝ちを収めた。

決勝でムラサキは2019年フェザー級世界王者のマテウス・ガブリエルの切れ味抜群のオープンガードに対し、それに劣らぬ切れ味のトップゲームで真っ向勝負を展開した。結果、両者譲らない一進一退のままタイムアップを迎え、ムラサキはレフェリー判定で勝利を収め──世界超一流の黒帯3人を連破するという衝撃の黒帯デビューを果たした。

日系ブラジル人の両親を持つこの若者が、EUGトーナメントに次いで、世界大会でも初出場初優勝の偉業を成し遂げることができるのか。期待とともに見守りたい。

そのムラサキを10月のパン大会で下したのが、こちらも世界大会初出場となるジョナタ・アウヴェスだ。この試合でムラサキ相手に50/50戦に持ち込んだアウヴェスは、終盤に上を取って逆転すると、そのまま背を向けて守りに徹して勝利、その勢いで優勝をさらってみせた。

2019年の世界大会にて茶帯の部を制した直後に、師匠のギィ・メンデスによって黒帯を授けられたアウヴェス。前述のEUG160パウンド級トーナメントでは優勝候補筆頭に挙げられながら、マテウス・ガブリエルのベリンボロでポイントを奪われ、まさかの初戦敗退を喫している。

翌月には、雪辱を期して階級上のEUG170パウンド級トーナメントに参戦し、50/50を有効利用して決勝まで勝ち上がる。そこで待ち受けていたのが、チームメイトのタイナン・ダウプラを倒した柔術の神の子ことミカ・ガルバォンだった。

天才の繰り出す凄まじい攻撃を耐え抜き、なりふり構わず文字通りマットに這いつくばりながら上をキープ、執念の優勝を果たしている。1アドバンテージを競い合う現代柔術にあって、ガブリエルは師匠のメンデス兄弟譲りの戦略を実行して勝ち切る力が際立つ選手だ。

前述のように、そのアウヴェス相手に1回戦でベリンボロを決めて勝利しつつ、決勝でムラサキに惜敗したのが、2019年フェザー級世界王者のガブリエルだ。

ムラサキ戦にしても、終盤ベリンボロで崩して見せ場を作るなど、ガブリエル勝利を支持する声も多かったほどの接戦だった。そしてガブリエルは、ムラサキ以降はブラジレイロを全試合で制するなど無敗街道を走っている。

21歳のムラサキとアウヴェス、24歳のガブリエル。今年に入って戦績も三つ巴で1勝1敗の若手3人は、全員横並びの優勝候補と言えるだろう。

さらに今回もう一人、この3人に並ぶ優勝候補の新世代戦士が参戦している。豪州出身の24歳、リーヴァイ・ジョーンズレアリーだ。2019年のヨーロピアン決勝にて絶対王者レプリ相手にデラヒーバガードを作ると、レプリ必殺のニースライス・パスに素早く対処し、旗判定こそ2-1だったが完勝して世界を驚かせてみせた。

この強力極まりないオープンガードに、ムラサキやアウヴェスはどう対処するのか、そして劣らぬキレのガードゲームの持ち主であるガブリエルとはどういう試合になるのか、興味は尽きない。

またこの同階級には、2018年世界3位の北欧のベリンボロ使いエスペン・マティエセン、2016年フェザー級世界準優勝のマーシオ・アンドレ、さらには2018年世界準優勝のヘナート・カヌートらの強豪選手も出場している。

ムラサキは初戦でギルヘルミ・ボルゲスと対戦し、ここを勝ち上がると、ジョナタ・アウベスが待ち受けている。向かいの山にはAJ・アガザーム、ジョーンズレアリー、マティエセン、カヌートという名前のある柔術家がひしめいている。

前半のブラケットにはマテウス・ガブリエルとマイケル・リエラJrの勝者が、アンドレが勝ち上がり候補筆頭の反対側のセミファイナリストと相対することになる。

この前半の枠には、なんと54歳のメガトンことウェリントン・ディアスが出場している。1996年に世界柔術準優勝を果たしてから、25年経過してなお世界大会に挑む──柔術界のカズ、鉄人の戦いは無謀とも思えるが注目せずにはいられない。

■視聴方法(予定)
12月9日(金・日本時間)~13日(月・同)
午前2時30分~Flo Grappling

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BJJ BET02 MMA ONE ウィリアム・タケット セルヴィオ・トゥリオ タイナン・ダウプラ ブログ マウリシオ・オリヴェイラ ミカエル・ガルバォン

【BJJ BET02】1回戦最後の枠で──『柔術の神の子』ミカ・ガルバォンが茶帯世界王者と対戦

【写真】マウリシオ・オリヴェイラには失礼だが、やはり準決勝のバルボーザ戦は実現してほしい(C)CALYTON JONES

いよいよ開催が1日(日・現地時間)に迫ってきたBJJ BET02「Who’s Next」。ブラジルのサンパウロで開催される8人制88キロ級のノーギトーナメント──強豪、古豪が入り乱れる同トーナメントに超新星ミカ・ガルバォンが参戦し、マウリシオ・オリヴェイラと初戦を戦う。

18歳のガルバォンは、現在世界でもっとも熱い視線を集めるグラップラーだ。6月のEUGにおける170ポンドTに茶帯ながら参戦し、同階級世界最強の一角と目されるタイナン・ダウプラのスイープを絶妙の重心移動で封じ込め、下からは流れるようなスイープと跳び付き三角の連携で追い詰めて勝利した一戦は記憶に新しい。


同時にルタリーブリの黒帯でもあり、ノーギでも驚愕の強さを見せるガルバォン。同月のオリヴァー・タザ戦では、体力で勝る相手に攻撃を仕掛けさせておいて一瞬で切り返す非凡な動きを連発して勝利した。

さらに同月末の3GCグラップリングトーナメントにも参戦し、ジョン・コムズ相手にはテイクダウンに合わせたギロチンで、ペドロ・ホシャ戦では下からのヒザ固めから一瞬で移行した内ヒールで、そして決勝のペドロ・マリーニョにはニースライスをゴゴプラッタで切り返し、次の瞬間腕を伸ばすという離れ業で極め、全試合一本勝ちの完全優勝を遂げている。

目を見張る反応速度と動きのスムースさ、一瞬の切り返しの妙と極めの強さ。身体的にはまだ未発達で頭抜けたパワーの持ち主ではないが、その動きの全てが驚きに満ちているガルバォンは、ブラジリアン柔術でも黒帯を取得。今回が黒帯デビュー戦となる。

対戦相手のオリヴェイラは、2018年に茶帯世界王者に就いた24歳。道着着用ルールを主体に活躍している新鋭の黒帯だ。ギなしルールでは同じく2018年末のノーギワールズにて、本トーナメントにもエントリーしているセルヴィオ・トゥリオと対戦。下から足を絡めてトーホールドを狙って上になり、トップからも優れたバランスを発揮して僅差の勝利を収めている。

驚くべき動きこそないものの、強靭な身体をもって上下どちらからも戦うことができ、ノーギへの対応もよく、ポイントゲームにも長けているオリヴェイラ。柔術の神の子ガルバォンとしても決して簡単な相手であるまい。

誰が勝つか分からない今回のトーナメントだが、順当に行けば準決勝はレアンドロ・ロ✖ウィリアム・タケット、ルーカス・バルボーザ✖ガルバォンか。IBJJF道着着用ルールのレジェンドであるロと北米ノーギグラップリングの新星タケットの初対決は、新旧のダイナミック・スタイルの交わりとして非常に楽しみなところだ。また、相手の動きを封じることにおいては天下一品のバルボーザと、インスピレーションの塊のような動きをするガルバォンがどう交わるのか。興味は尽きない。

■視聴方法(予定)
8月2日(月・日本時間)
午前5時00分~FLOGRAPPLING

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EUG02 MMA WNO10 オリバー・タザ ジュニー・オカシオ ジョナタ・アウヴェス タイナン・ダウプラ マイキー・ムスメシ ミカエル・ガルバォン ルーカス・ピニェーロ

【WNO10】マイキー・ムスメシが2大会連続出場。EUG02の衝撃から1週間、ミカ・ガルバォンも

【写真】マイキーの快進撃が始まるか(C)COREY STOKTON/WNO

18日(金・現地時間)、テキサス州オースティンのJWマリオット・オースティンにてWNO 10が開催される。レビュー最終回はバンタム級のマイキー・ムスメシ✖ジュニー・オカシオ、ウェルター級のミカエル・ガルバォン✖オリバー・タザという注目の2試合の見所を紹介したい。
Text by Isamu Horiuchi

ムスメシは、言わずと知れた2017年~2019年にムンジアル三連覇を達成し、道着着用の柔術においては誰もが認める軽量級絶対王者だ。今年に入って最後の野望=ADCC制覇に向けてノーギでも本格始動を開始し、5月のWNO 09ではルーカス・ピニェーロ相手にわずか1分半足らず、下から50/50を作っての内ヒールで秒殺勝利している。


3月のマルセロ・コーエン戦(腕を極めて圧勝)後に練習をノーギに切り替えてわずか2カ月にして、その恐るべき対応能力を見せつけたムスメシの対戦相手ジュニー・オカシオは、ミヤオ兄弟の同門でユニティ柔術所属だ。2019年に黒帯を取得すると、Kasai pro 6の予選リーグで今成正和の足関節技を凌いでポジションを奪って8-1で勝利、さらに10thPlanet柔術・軽量級のエース=ジオ・マルチネスとの凌ぎ合いを2-0で制して決勝進出。 決勝こそ先輩のジョアオに惜敗したももの、その実力を知らしめた。

その後も実績を重ねているオカシオは、まぎれもなくノーギグラップリング専門の軽量級トップファイターの一人だ。前回ムスメシが勝利したピニェーロは、超一流選手ではあるものの道着着用柔術をメインとするファイターであり、ヒール等の足関節技に不慣れであったことは否めない。

よって今回のオカシオ戦こそ、怪物ムスメシのノーギグラップリングの技術的洗練度、進化の度合いを図る絶好の機会となりそうだ。

続いてWNO 09(ではアンドリュー・タケットに圧倒的な勝利を挙げ、1週間前のEUG02における道着170パウンド以下級トーナメントにて、世界トップの黒帯たちを相手に驚愕のパフォーマンスを見せたスーパーティーンネイジャー、ミカことミカエル・ガルヴァオンが怒涛の連戦に打って出る。

連戦が可能になり、世界のトップの出場機会が多くなるのが組み技競技の良いところだ。ノーギと道着着用を股にかけて活躍し、現在世界でもっとも熱い注目を集めるグラップラーと呼べるミカの今回の相手は、ジョン・ダナハー門下にしてレバノン出身のカナダ人足関節師、オリバー・タザだ。

タザも先月のWNO 09に出場。奇遇なことに、先日のEUG 2トーナメントの決勝でミカの猛攻を膠着戦法で凌ぎ切って優勝したジョナタ・アウヴェスと対戦している。この試合でタザは一度パスを許してサイドを奪われる場面があったものの、前半に必殺のヒールフックを何度も仕掛け、凌がれたもののサブミッション狙いの数で上回りレフェリー判定勝利を得ている。

ミカがEUG 2のトーナメントにて、トップにおける絶妙のバランスと体捌き、チャンスを逃さない反応速度からの連続攻撃で、超強豪タイナン・ダウプラの強力なガードからのスイープを完封したのは記憶に新しいところ。

驚愕のトップゲームを持つミカが、タザが使いこなす足関節の仕掛けに対してどう対応するのか。同世代のライバルであるルオトロ兄弟が4月のWNO 08で見せた足関節対処法とはまた一味違ったアプローチを、ミカが見せてくれることにも期待したい。

他にメインカードでは、タイの双子の兄弟ケイド・ルオトロと、チンギーニャことマウリシオ・マリアーノの黒帯コール・フランソンの一戦、WNO 08でデイヴィッド・ガルモに完勝したアンドリュー・ウィルツィと、ヴィエイラ兄弟の黒帯カブリエル・アウメイダの試合。

さらには昨年のパン柔術とパンノーギの両方を制したアンドレ・ガルバォンの黒帯ハファエル・ガエデスと、ホイス・グレイシー系の黒帯にしてプロMMAでも2戦2勝の戦績を持つエリン・ハープの女子マッチが組まれている。

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EUG02 JJ Globo Report タイナン・ダウプラ ブログ ミカエル・ガルバォン

【EUG02】茶帯ミカ・ガルバォン、センス・オブ・ワンダー柔術で超新星ダウプラを破り決勝へ

12日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのラスベガス・ハーレーダビッドソンにてEUG(Evolve Ur Game)プロモーションの第2回大会が行われた。

レビュー前編では、優勝賞金1000ドルが懸けられた170パウンド以下級8人制トーナメントから、準決勝=20歳のAOJ黒帯タイナン・ダウプラと17歳の茶帯、スーパーティーンネイジャー=ミカエル・ガルバォンが激突した凄絶な戦いの模様をレポートしたい。


<170 ポンドT準決勝/7分1R>
ミカエル・ガルバォン(ブラジル)
Def. by Ref Disicion
タイナン・ダウプラ(ブラジル)

新黒帯にして優勝候補筆頭のダウプラは一回戦、代打出場のセザ・プレデスと対戦。強固なガードに引き込んでスイープすると、持ち前の凄まじいプレッシャーパス攻撃で主導権を握り、最後は粘るプレデスの背後に回ると、ギチョーク狙いから後三角絞めをロックオン。そのまま腕を極めて一本勝ちを収め、黒帯取得後無敗記録を伸ばすとともに、その実力を見せつけた。

対する茶帯の「ミカ」ことガルバォンの方は一回戦で、米国人黒帯ダミアン・ニトキンと対戦。出場メンバーの中では明らかに実績に劣るニトキンがクローズドガードから立ち上がると、すかさず右足を抱えて倒す基本スイープでマウント奪取。そのままバックを奪いリアネイキッドチョークを極め、わずか2分で圧勝してみせた。かくして準決勝にて、20歳のダウプラと17歳のミカによるファン待望のスーパー新人対決が実現した。

試合開始後、スタンドでミカが足を飛ばすが、ダウプラはすぐに引き込んでクローズドガードへ。すかさず立ち上がったミカがダウプラの足を押し下げてガードを開かせると、ダウプラはすぐにデラヒーバでミカの右足に絡んでゆく。

そのまま右手で袖を取るダウプラ。普段ならここから問答無用ですぐにスイープを決めてしまうところだが、ミカの重心は崩れない。そのうちミカが左足で外側にステップオーバーしてのパス攻撃を仕掛けるが、ダウプラは超えられかけた右足をすぐに戻す。

半身になりながらデラヒーバフックを深く入れるダウプラ。ミカは自分の体の前にあるダウプラの右足を腕で押しのけると、次の瞬間頭から低く入り、同時に右腕でダウプラの首を抱えて腰を切る。そのままマットに半身を付けたまま右に動いてのパス狙いへ。難攻不落のダウプラのガードを、17歳の茶帯が追い詰める驚きの光景が展開されている。

半身のミカは絡まれている右足をなんとか外しにかかるが、ダウプラも強固なグリップを離さずに守る。ならばとミカは上体を起こしてニースライスに移行。さらに方向を変えて左足を右にステップしてパスを狙う。懸命に足を利かせて守るダウプラだが、ついにミカが胸を合わせたまま一本足を超えてハーフに。

が、次の瞬間ダウプラは下からミカを浮かせてのスイープ狙いへ。ミカはバランスを保つと、またしてもヒザを入れて低く体重を預けてのニースライスへ。さらに横に動くミカに足を抜かれたダウプラだが、インヴァーテッドを作って足を効かせ、強固なフレームを張って正対してみせた。

が、ミカは次の瞬間またしても右のニースライスへ。再び足を抜かれかけたダウプラだが、ここも強固な腕のフレームで押さえ込みを許さず距離を作る。ここでアクションが一段落と思いきや、ミカがさらにパスを狙って迫ったところで場外ブレイク。攻めるミカと守るダウプラ。柔術界の未来を背負う両者によるあまりに壮絶なパスガードの攻防だ。

ダウプラが座った状態で、マット中央からの再開。すぐさま襲いかかり旋回するようにパスを狙うミカ。足を効かせて守ったダウプラは、内側に入っている左足をフルガードに戻しにかかる。と、瞬時に対応したミカが右足を入れてのニースライスへ。そのまま上半身を低く預けたミカは、サイドに出てみせた。

ついにダウプラのガードが陥落かと思いきや、ダウプラは完全に押さえ込まれる前に渾身のスクランブル。全身を使ってミカの体を浮かせて強引に起き上がり、そのまま上になってみせた。

ここで上下が入れ替わった両者だが、サイドを取られた状態からのリバーサルなのでスイープとしては認められず。両者ともにポイントは与えられなかった。

残り1分半。下になったミカが左でラッソーを作る。ここまで攻め込まれているダウプラは、重心を低くして横に動いてのパス狙いに。が、ラッソーグリップを利用して体勢を持ち直したミカは、そのまま後転スイープへ。バランスを崩されたものの容易に下になることを拒絶するダウプラは、前向きに額からマットに突っ込んでいった。

すぐさま起き上がるダウプラだが、それよりも一瞬早く立ち上がったミカが跳びつき三角絞めへ。足を完全にロックするものの、ダウプラは腰を上げて前傾姿勢を取り、絞めを緩めようとする。ならばとミカが右腕を極めにいったところで、7分間の至高の戦いが終了した。

スコアは0-0だが、判定は上からも下からも攻め続けたミカに。黒帯取得以来驚異の快進撃を続け、今年の世界柔術でも優勝候補に挙げられるダウプラを、茶帯の17歳のミカが圧倒した形だ。

トップからの卓越したバランス、反応速度、相手に一切の隙を与えず攻め続けるその姿勢、そして世界最高峰にあるダウプラのトップからのプレッシャーをあっさりとかわして崩すスイープ能力と、すぐさま極めに繋げる攻撃力──良かった点を挙げると、いくらでも出てくる。

そんなミカエル・ガルバォンのセンス・オブ・ワンダーに溢れた戦いぶりと、その限りない潜在能力に世界が震撼した一戦だった。そしてそれを引き出したのが、驚異的な身体能力と意地を見せ最後までポイントを許さなかったダウプラの戦いぶりだったことも間違いない。

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EUG02 JJ Globo MMA ONE Preview UFC ジョナタ・アウヴェス タイナン・ダウプラ マイケル・リエラ・ジュニア ミカエル・ガルバォン

【EUG02】1万ドル争奪柔術8人制Tに、脅威の20歳ダウプラと脅威過ぎる17歳ミカエル・ガルバォンが参戦

【写真】ルタリーブリと柔術の二刀流、17歳──脅威過ぎる新星ミカエル・ガルバォン (C)GLAYTONE JONES/WNO

12日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのラスベガス・ハーレーダビッドソンにてEUG (Evolve Ur Game)プロモーションの第2回大会が行われる。4月の旗揚げ戦では60パウンド以下級の8人トーナメントを開催し、アンディ・ムラサキの衝撃的な黒帯デビューが見られた同大会。
Text by Isamu Horiuhi

今回の目玉は、170パウンド以下級の8人トーナメントだ。前回同様道着着用で行われ、優勝賞金も前回同様に10000ドルとなっている。


残念ながら、前回大会優勝時に出場を予告したムラサキの名前は見当たらないが、彼と共に今後の柔術界を背負うニュースターが複数エントリーしている。

1 回戦の組み合わせは以下の通り。

ジョナタ・アウヴェス(ブラジル)
マイケル・リエラ・ジュニア(米国)

ジョナタス・グレイシー(ブラジル)
マテウス・ルナ(ブラジル)

タイナン・ダウプラ(ブラジル)
ハファエル・ドス・アンジョス(ブラジル)

ダミアン・ニトキン(米国)
ミカエル・ガルバォン(ブラジル)

「ハファエル・ドス・アンジョス」の名前を見て胸を躍らせた方もいるかもしれないが、この選手は元UFCライト級王者とは同性同名の別人。ブラジル出身にして2018年にヨーロピアンの紫帯を制覇、そして今年の1月にコブリーニャことフーベンス・シャーレスから黒帯を得た24歳の若者だ。

そのドス・アンジョスと1回戦で当たる20歳のタイナン・ダウプラこそ、このトーナメントの最注目選手だろう。ブラジルのフロリアノポリス出身、5歳の頃から柔術をはじめたダウプラは、14歳でコスタメサに移住しメンデス兄弟のAOJに参加。ジュブナイル、アダルト青帯の世界大会優勝をはじめとして、柔術界の未来を担う若手として輝かしい業績を上げてきている。

そして2020年のパン大会の茶帯ミドル級決勝にて、今回の一回戦の相手でもあるドス・アンジョスを倒してその場で黒帯昇格した。今年に入ってからは、黒帯としてIBJJF系のローカル大会を中心に20戦近くをこなして全勝──しかも、その大半が一本勝ちだ。

一本勝ちを逃した試合では、72-0という驚異のスコアで勝利している。今回のトーナメントにエントリーしているマイケル・リエラ・ジュニアには5-2で、マテウス・ルナには腕十字で完勝しており、黒帯初の大舞台である今回、すでに優勝候補筆頭と言えるだろう。

まず引きこんで強固なオープンガードから上を取る展開が多いダウプラだが、最大の武器はトップゲーム。相手の下半身をコントロールするグリップをがっちりと確保した後に、強烈無比な上半身のプレッシャーを用いて低く体重をかけて相手の腰と足を無効化して超えてゆき、最後は胸を合わせて完全制圧を達成する。その無類の圧力と安定感は、まさに師であるメンデス兄弟を彷彿させる。

このダウプラと並んで注目したい若手選手が、マナウス出身のミカエル・ガルバォン。こちらはさらに若い17歳だ。2歳から柔術をはじめ、10歳からはルタリーブリも学んだミカエルは、(少年用の)緑帯時代にアダルトの茶帯選手を一蹴するなど注目を集めた。

2019年にはヨーロピアン大会のジュブナイル青帯の部決勝でタイ・ルオトロに勝利して、階級別と合わせて完全優勝。続く同年の世界大会では、ミドル級の体格ながらスーパーヘビー級にエントリーして優勝を果たしている。

柔術では昨年末に茶帯になったばかり。茶帯初の大会となった年末のパンノーギ大会では4試合中3試合一本勝ちで優勝。今年に入って、柔術に先立ってルタ・リーブリの黒帯を先に獲得している。

そして先月のWNO 09大会では、プレリミナリーファイトに登場。一歳上のアンドリュー・タケットを下から崩し、回転系の動きでバック狙いからマウントに繋いで主導権を握ると、その後も攻撃を継続。数回パスを決めた上でマウントを取ったミカエルは、終盤はテイクダウンを狙ってきたタケットに迅速のカウンターでバックテイクを決め、タケットが反転したところに三角絞めから腕を伸ばしかけた。結局極めきることはできなかったものの、文句なしの判定勝利を収めた。

道着の有無にかかわらず活躍し、トップからもボトムからもきわめてダイナミックな動きと強烈な極めを使いこなすミカエル。「ゴードン・ライアン以来の逸材」とすら呼ばれるこの17歳が、超一流の黒帯選手たちを相手にどのような戦いを見せるのか。

(C)SATOSHI NARITA

さらに、AOJにおけるダウプラの兄弟子の22歳、ジョナタ・アウヴェスも有力候補だ。

前回の160パウンドトーナメントにおいて優勝候補に挙げられながらも、一回戦で世界王者マテウス・ガブリエルに惜敗しただけに、今回こそという思いは強いだろう。実際、アウヴェスとダウプラのAOJ新世代がクローズアウトを達成する可能性は高い。

■視聴方法(予定)
6月13日(日・日本時間)、
午前8時30分~ Flograppliong

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