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【DEEP JEWELS49】仕切り直して初参戦。HIMEと激突、重田ホノカ「進化よりも変化を見てほしい」

【写真】とにかくUFCの試合を参考に、自分自身を高めているという重田(C)SHOJIRO KAMEIKE

25日(日)、東京都港区のニューピアホールにて開催されるDEEP JEWELS49で、元パンクラス・フライ級QOPの重田ホノカがHIMEと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

昨年7月、杉山しずかに敗れてフライ級KOPのベルトを失った重田が、DEEPジュエルスで復帰戦を迎える。当初は今年3月のDEEP JEWELS48でHIMEと対戦する予定であったが、重田の負傷で延期に。改めて組まれた復帰戦を控えた重田が、キャリア初黒星を経て得たものと自身の成長とは。


――重田選手がパンクラスのベルトを失ったあと、DEEPジュエルスに参戦すると聞いた時は驚きました。フライ級からストロー級に戻し、その王座を狙うのかと……。

「私は高校生の時からずっとDEEPジュエルスを視ていて、いつか出たいと思っていたんです。パンクラスのように男子の試合と一緒に女子の試合が組まれるのも良いけど、女子だけの興行は選手層も厚くて、華がある。そういう大会で試合をしてみたい、という気持ちはありました」

――最初は今年3月にHIME選手と戦うことが発表されながら、重田選手の負傷で試合は延期に。改めてHIME戦を控えている今ですが、体もかなり絞れていますね。本来はストロー級だったとしても、しばらくフライ級で戦っていました。今回の契約体重である49キロまで絞ることは難しくないですか。

「良い感じで落とせてきていますね。いつも1日に3部練、4部練とかやりすぎて、この時期はゲソッとしていたりするんですよ。でも今回は怪我からの復帰でもあるので、練習しすぎないように、練習しすぎないように――と注意していて。良い感じで筋肉も残っています。今回はしっかりと打撃もやっていますし」

――中指と人差し指にナックルに練習の跡が見えます。しっかりと良いポイントでパンチを当てることができている証拠ですね。

ナックル部分の傷跡は、正しくパンチを打ち込んできた証(C)SHOJIRO KAMEIKE

「パンクラスで負けてから10カ月、しっかりと自分の中でテーマを決めて練習してきました。UFCの選手を参考にしながら打撃はもちろん、首相撲やヒジとかを強化してきて。ずっとMMAを組みだけで戦ってきたんですよ。打撃も荒々しく、とにかく打ち勝てば良いという感じの『攻め勝つ』スタイルですよね。少しは変化したかなぁ……ちゃんとゲームができるようになったとは思います」

――前回の杉山戦は、最初から攻めすぎていたのでしょうか。

「攻めすぎたというか、気持ちが入っていなかったですね。試合当日は朝起きて一番に、後輩に電話したんです。『保険証っている?』って(笑)」

――というと?

「実は試合の2週間にアバラを骨折していたんですよ。だから体も動かせなくて。そんなに減量はなかったけど、体も全然ハリがなく、むくんでいたと思います。動けないから、1日中ただただ歩いて体重を落としていました。

練習も全くできずに、気持ちもつくることはできなくて。でも試合をキャンセルしたら、次の大会はカンナさんの引退試合と被っちゃうし……(※杉山戦は7月21日のPancrase346で実施。この大会をキャンセルすると次のナンバーシリーズは9月29日。その日はRIZINで浅倉が伊澤星花との引退試合に臨むこととなっていた)。

当日はカンナさんのセコンドに入ることになっていたから、絶対にキャンセルできないと思って。だから体重だけ落として、試合は何もできずに負けました」

――試合当日、アバラの具合は……。

「もう痛すぎて、アップでも息が上がってしまうぐらいでした。リカバリーも失敗していたのか、アップだけで汗がバァーッと出てしまう状態で。

あとはストレスもあって、ずっと眠ることができていなかったんです。なのに試合当日、眠気が来ちゃって。だけど寝てはいけない。ここで寝たら試合できなくなる。だから意地でも起きていたけど、試合は全然ダメでしたね(苦笑)」

――それだけアバラ付近に痛みがあると、ニンジャチョークで絞め上げられた時も激痛が走ったのではないですか。

「最初にテイクダウンした時『これはもうダメだ』と思いました。そのあと、いつもならニンジャは上を向いて外しに行くけど、その時は痛すぎて上を向くことができなかったですね。体が動く前に脳が『ダメだ』って指示した感じで、体が反応しなくて。結果、眠っちゃいましたね」

――試合まで眠れていなかった分……と笑いごとではないですが。

「アハハハ! でも入場の時から、もう半分寝ていたような感じでしたね。覇気はないし、試合前から母にも『いつもと違うよ。大丈夫?』と心配されていました」

――負傷があったとはいえ、ファイターとして試合でベストを尽くすことができなかった。その点で悔しさはありませんか。

「そうですね。『私、何やっているんだろう?』『何故こうなっちゃうんだろう?』って……。でもここまで着々と積み上げてきて、サッとベルトを獲ったから『このあと絶対に悪いことあるだろうな』と思っていました。それこそ人生最大に悪いことが――ドーピング問題(※端貴代戦のドラッグテストで、漢方薬や風邪薬に含まれるエフェドリンが検出された)、アバラの骨折、そして王座から転落と」

――……。

「年内に復帰したかったけど、対戦相手も決まらず、私自身も体調が良くなくて。今まで駆け抜けてきたし、一度休んでみても良いかなと思ったんです。

ちょうどその頃にカンナさんが引退して、練習にも来なくなるじゃないですか。私の手元にはベルトも残っていない。そうなると『私、何のためにMMAをやっているのかな』と考えようになって。闘志がなく、とりあえず練習だけはしているという状態でしたね。

それで3月にDEEPジュエルスで復帰戦が決まったけど、また練習中に負傷して試合ができなくなりました。だけど、何としても1年以内には復帰したいと思っていて。去年の7月に試合をしてから1年以上ブランクができてしまうのは嫌で」

――DEEP事務局からのプレスリリースには、「練習中に左ヒザを負傷した」とありました。

「一般的には体を動かせるようになるまで半年はかかる怪我でした。そこからリハビリとなると……。でもスポーツ専門のドクターを紹介してもらい、復帰も早くなって」

――負傷も癒えて、改めて対戦するHIME選手の印象を教えてください。

「パンチの回転力がありますよね。ただ、足を使うタイプじゃないですか。圧をかけてくる選手よりは比較的やりやすいと思います。ただ、ケージに詰めた時に見えない壁というか……分かります?」

――それはカウンター攻撃のプレッシャーのことですか。

「はい。『もっと近づくとアッパーとかスーパーマンパンチを打ってくるんだろうな』という距離は、試合中に絶対生まれてくると思います。でも、そこはしっかりと練習してきたので、あとはいつもどおりの試合をするだけですね。

単にテイクダウンに行くだけでは倒せない。腰が重いのも、力が強いのも想定内で――なかなか試合が思うように運ばないのも想定内です。どんな状況になっても良いように練習してきました」

――自身の強みであるテイクダウンに至るためにも、鍛えてきたその拳が生きるわけですね。

「もちろん進化はしていますけど、それよりも変化を見てほしいです。『あれ? 重田ホノカ、変わったな』って。この1年弱で本当に変わったと思ってもらえる試合をしたいですね。

試合でいろんな経験をしてきて、私も大人になりましたから。大人になったと思いません?」

――確かに以前より、考えていることも話すこともシッカリしてきたとは思います。ただ、それで「大人になったと思いません?」と自分から聞いてくるのは……。

「そうですね、アハハハ」

――大人の重田ホノカとして臨むHIME戦、楽しみにしています。そういえば浅倉カンナ選手が引退試合前のインタビューで「私のセコンドにつくことで少しでもモチベーションが上がってくれたら嬉しいし、次はホノカにあの舞台を目指してほしいです」と言っていました。実際セコンドに入って、何か得ることはできましたか。

「カンナさんが入場して私もリングサイドに着いた時点で、私もう号泣しちゃっていたんですよ。でもそこに伊澤選手の入場曲がかかって――見たら、RIZINのベルトがキラキラと輝いていて『良いなぁ、アレ欲しいなぁ』と思いました(笑)。今の目標はRIZINのベルトではありますけど、今は目の前の試合があって、自分がやるべきことに集中します」

■視聴方法(予定)
5月25日(日)午後12時25分~
U-NEXT、サムライTV、DEEP/DEEP JEWELS YouTubeチャンネル メンバーシップ

■DEEP JEWELS49 対戦カード

<49キロ契約/5分3R>
HIME(日本)
重田ホノカ(日本)

<58キロ契約/5分3R>
栗山葵(日本)
奥富夕夏(日本)

<49キロ契約/5分2R>
彩綺(日本)
SAAYA(日本)

<54キロ契約/5分2R>
横瀬友愛(日本)
成本優良(日本)

<キック 60キロ契約/3分2R>
エレナ(フランス)
ちゃんりな(日本)

<アマチュア ストロー級/3分2R>
あきぴ(日本)
堀内美沙紀(日本)

<アマチュア 50キロ契約/3分2R>
大井すず(日本)
渡辺真央(日本)

<アマチュア ストロー級/3分2R>
和智美音(日本)
山吹マリン(日本)

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【パンクラス】渡邉史佳×杉山しずかのあとがき

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格闘技一色だった先週末。UFCの鶴屋怜と並んでマニアの注目を集めたのはパンクラスでフライ級チャンピオンの杉山しずか(リバーサルジム新宿Me,We)を下して王座を戴冠した渡邉史佳(FIGHTER’S FLOW)でしょう。

渡邉はプロMMA戦績4戦目。経験値ではベテランの域に達した杉山が大きく上回りますが、試合開始直後に渡邉は先制攻撃。フックを打ち込んで杉山からダウンを奪います。立ち上がるも足下がおぼつかない杉山に対して渡邉は圧力を強め、パンチの交差から再び右フックで2度目のダウンを奪ったところでレフェリーが試合を止めました。

戦前から渡邉のパンチの強さは話題になっていましたが、当て勘、思い切りの良さ、そして威力の凄まじさを改めて実感。あれだけ振って圧力を掛けてこられたら対戦相手にとって驚異でしょう。それでいてプロ4試合目だから伸びしろ十分。幻想が渦巻くのもわかります。

でもこのシチュエーションはどこか既視感がある。そうだ、重田ほのかだ。重田は杉山の前のフライ級チャンピオン。4戦目で端貴代を判定で下して王座を戴冠。年齢も21歳と若く、無双状態が期待されましたが、初防衛戦で杉山にニンジャチョークを極められて一本負けを喫しました。この時の状況と酷似しています。

もちろん、渡邉も重田もポテンシャルが間違いなく高いし、試合もアグレッシブで面白いから期待値は変わりませんが、いかんせん経験が4試合しかないから、どっちに転ぶかまだわからないというのが実情でしょう。

でも、試合経験の浅い王者が誕生する背景にあるのは女子選手層の薄さ。男子に比べて競技人口が少ない上に、修斗、DEEP、パンクラスで選手が分散したら、そりゃ各大会毎の選手は少なくなりますよ。それがゆえに2試合かったらすぐタイトルマッチという事も普通にあり得ます。嫌な言い方をすると、ボロが出る前に王者になると、その後に思わぬ弱点が露見してコロッと負ける可能性は大いにあるわけです。

この問題の打開策は1つに集約されたら一時的には改善するのでしょうが、各大会の興行もあるし、現実的ではないでしょう。それに一時しのぎにはなっても、そもそもの女子の競技人口が増えないと、遅かれ早かれジリ貧になりますからね。競技人口の拡大、、、これは根深くて重たい

UFCにアトム級が新設されて伊澤星花が日本人初のUFCチャンピオンになって知名度が飛躍的にアップするとか、ブレイキングダウンで絶対的なアウトロー女王が誕生してブレイクするとか、大きな仕掛けや起爆剤がないと厳しいでしょう。それもきっかけに過ないわけで、一朝一夕にはいきませんよね。。。長い道のりだ。

話を渡邉史佳に戻すと重要になるのは次戦。ぶっちゃけ対戦相手がいるのか?一番見たいのは重田との試合ですが、重田はDEEP JEWELSに出場する事が発表されていたし、この後にパンクラスに戻ってくるのかいささか疑問が残ります。

あとは恐らくパンクラスは出禁だと思いますがやっぱり中井りんとの試合は見てみたい。渡邉のパンチが中井にどこまで通用するのか興味津々。もしかすると中井無双を止める事が出来るかもしれないと淡い期待を抱きます。DEEP JEWELSなら栗山葵やHIMEなど見たい対戦カードは広がりますが、団体の越境は簡単ではないでしょう。

そう考えると、杉山しずかのダイレクトリマッチガ一番現実味がありそう。次は渡邉の打撃にも相当警戒するでしょうし、今回ほど楽な戦いにならないはず。渡邉が完全に世代交代を成し遂げるか、杉山がリベンジするのか。何気に楽しみ。さてどうなりますか。
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【Pancrase352】フライ級QOP杉山しずかに挑戦、渡邉史佳「テニスの動きが右ストレートに繋がっている」

【写真】インタビューは2月21日、タイトルマッチ調印式の前に行われた(C)SHOJIRO KAMEIKE

9日(日)に横浜市中区の横浜武道館で開催されるPancrase352で、渡邉史佳が杉山しずかの持つフライ級QOPに挑戦する。
Text by Shojiro Kameike

プロデビューから2年、わずか4戦目でベルトに挑む渡邉はビュー戦こそライカに敗れたものの、昨年はNØRI、端貴代とランカーを連覇してタイトルマッチに辿り着いた。幼少期からテニスを始め、大学時代に格闘技へと転向した渡邉。その代名詞ともいえる右ストレートと、MMAファイターとしての成長について訊いた。


――これからタイトルマッチの調印式を控えている渡邉選手です。大学時代にテニスから格闘技へと転向されたそうですが、テニスは何歳から始めたのでしょうか。

「たぶん4歳か5歳ぐらいからです。気づいたらテニスをやっていた、という感じですね。大学3年の途中まで続けていたけど、その頃にコロナ禍があってテニスの試合がなくなり、『とりあえず体を動かしたいなぁ』と思ってボクシングを始めました。ボクシングのプロライセンスを取得したあと、MMAも楽しそうだなぁと思ってMMAのジムに通いました」

――ボクシングではプロライセンスを取得していながら、プロ選手になろうとは思っていなかったのですか。

「う~ん、テニスをやっていた時も『プロになれたらいいなぁ』というぐらいの気持ちはあったんです。でも成績的に、それは現実的ではない。ただ、何かのスポーツのプロ選手になりたいという気持ちは持っていて。

ボクシングジムに入った時、ちょうど他にもプロテストを目指している子たちが何人かいて、ジムの方から『来年プロテストが行われるから受けてみる?』と誘っていただいたんです。その時は自分自身、プロのファイターとはどういうものかは全く想像もしていなくて、本当に興味でボクシングのプロテストを受けたという感じですね」

――MMAを始めたのは、ボクシングのプロテストを受けたあとですか。

「はい。MMAも楽しそうだなと思って――これも本当に興味本位でした。『MMAを始めるなら女の子がいるジムがいいんじゃない?』と言われて、札幌のマルスジムに行きました。マルスジムにはソルトさんや中村未来選手がいたので。あとは自宅から50メートルぐらいのところにあるウィラサクレックジム(WSRムエタイジム)でも練習させてもらいました」

――札幌格闘技を網羅していますね。まずボクシングを始めた時、テニスの動きとボクシングの動きは全く違ったものでしたか。それとも比較的やりやすかったでしょうか。

「比較的やりやすかったですね」

――試合を視ていると、テニスの足捌きがMMAの試合に生きているのではないかと。

「えぇ~、どうなんだろう? どうですか(笑)」

――こちらに訊かないでください(笑)。プロデビュー戦の時からフットワークで使うヒザの動きが、新人のレベルではなかったように思います。

「えっ、そうですか。確かにテニスで培っていた動きのベースが、少しずつ打撃にもハマッてきているように感じます」

――プロデビュー戦では、元ボクシング世界王者のライカ選手に右を何度も当てていました。

「さっきボクシングやMMAを始めたのは興味本位と言いましたけど、実は試合が決まった時、ライカ選手がどういうファイターなのかを知らなくて(苦笑)」

――えっ、それは……。

「皆から『すごい選手だよ』と言われて、私は『そうなんだぁ』という感じで……その頃から『自分の打撃が当たれば倒れるだろう』という変な自信を持っていました。練習の段階から手応えはありましたけど、それだけまだ、ちゃんとMMAと向き合っていなかったんですね。でもデビュー戦でライカ選手のようにキャリアのある選手と対戦できたことで、『MMAってこういう感じなんだ』というのが分かってきました」

――判定は僅差のスプリットでライカ選手の勝利でした。ご自身が勝っているとは思わなかったですか。

「いや、あの時は自分では分からなかったですね。あとあと見返したら『もしかしたら……』とは思いましたけど仕方ないです」

――他のスポーツを経験しているファイターに訊いていることなのですが、たとえばテニスの動きが右ストレートに繋がっている部分はありますか。

「あります! テニスって小さい頃から、ソフトボールとかをネットに向かって思いっきり投げるという練習をするんです。百回、二百回――自分は小さい頃から、それをやっていました。テニスではサーブを思いっきり打つじゃないですか。フォアハンドも腕を一度引いてから前に出す。そういう動きはボクシングを始めた頃から、パンチを出す時にやっていました」

――テニスにおけるボールコントロールが、右ストレートを出す動きに繋がっているわけですね。組みの動きはいかがですか。ライカ戦でも綺麗にテイクダウンしていました。

「正直、何とも言えなくて……。よく分からないけど、体が勝手に動いていました(苦笑)」

――これは失礼ながら、あの時は技術云々ではなく足腰の強さ、粘りを感じました。

「そうですね。練習していても、スポーツ経験のない一般女性とは全く違うとは思います」

――なるほど。渡邉選手が現在所属しているFIGHTER’S FLOWに一般的ではない女子ファイターについては……。

「アハハハ! (渡辺)華奈さんはレベルが違いますね。もう異次元、エグい、ヤバい。練習場所に同じ階級の女子選手、なかでも華奈さんがいることは大きいですね。私にとっては『先輩の華奈さん』というより『あの渡辺華奈選手』と思ってしまうほど、大きな存在です」

――それは渡辺華奈選手が「気安く先輩って呼ぶんじゃないよ」と壁をつくっているのではないですか。

「この小娘が――なんて。華奈さんはそんな人じゃないです!」

――ノリツッコミありがとうございます(笑)。試合の話に戻ると、端戦ではさらに右を振るう数が増えたかと思います。何か成長や変化があったのでしょうか。

「FIGHTER’S FLOWでは鈴木隼人コーチのもと、徹底的にレスリングをやり込みます。そのおかげで以前よりも組みに自信を持つことができました。『こういう時はこうすれば大丈夫』と自分の中でも分かってきているから、思いっきり振れるようになってきているのかもしれません」

――組みに自信が生まれたからこそ右を振ることができる。だからこそ左のパンチに繋がるようになったのでしょうか。端戦では左でダウンを奪っていましたが、それまでの試合ではあまり左のパンチの印象がなかったです。

「うん、そうですね。返しの左は大事だと思っています。試合の中でも成長させてもらいました。デビュー戦からライカ選手、NORI選手、そして端選手と――毎回『おぉっ!』という感じではありましたけど、それが『やるしかない』という気持ちになって」

――そこに不安や恐怖などはなさそうですね。

「いやいや、毎回、不安と恐怖しかないですよ。試合が決まって2週間ぐらいは、『もう嫌だ! 嫌だ!!』みたいな気持もあります。でも試合当日ケージの中に入ったら、もうやるしかないですから」

――杉山選手を相手に、どのような試合を見せたいですか。

「チャンピオンはMMAの全てをやってくる選手ですね。端選手もそうでしたけど、経験値に関しては自分より遥かに上です。その差をどう超えるのか、いろいろ考えています。
まずは自分の強み、自分のやりたいことを徹底的にやらせてもらいたいです。自分のパンチをブチ当てることしか考えていません。

私が獲れば、FIGHTER’S FLOW所属としては1本目のベルトになります。華奈さんも4月からPFLの2025年シーズンが始まるので、しっかりベルトを巻いて華奈さんに繋げます!」

■視聴方法(予定)
3月9日(日)
午後11時45分~U-NEXT

■Pancrase352 対戦カード

<フライ級QOP選手権試合/5分5R>
杉山しずか(日本)
渡邉史佳(日本)

<ストロー級KOP選手権試合/5分5R>
黒澤亮平(日本)
植松洋貴(日本)

<バンタム級/5分3R>
井村塁(日本)
松井斗輝(日本)

<ライト級/5分3R>
粕谷優介(日本)
ラファエル・バルボーザ(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
Ryo(日本)
山本歩夢(日本)

<女子ストロー級/5分3R>
藤野恵実(日本)
本野美樹(日本)

<バンタム級/5分3R>
合島大樹(日本)
後藤丈治(日本)

<バンタム級/5分3R>
矢澤諒(日本)
山木麻弥(日本)

<ウェルター級/5分3R>
村山暁洋(日本)
長岡弘樹(日本)

<フェザー級/5分3R>
遠藤来生(日本)
木下尚祐(日本)

<フライ級/5分3R>
山﨑聖哉(日本)
時田隆成(日本)

<バンタム級/5分3R>
前田浩平(日本)
梅原規祥(日本)

<バンタム級/5分3R>
千種純平(日本)
松井涼(日本)

<フライ級/5分3R>
今井洋希(日本)
稲垣祐司(日本)

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45 AB MMA MMAPLANET o PANCRASE pancrase347 渡邉史佳 端貴代

【Pancrase347】右! 右!! 右!!! 左でもダウンを奪った渡邉が元QOP端をフルマークで下す

【写真】(C)MMAPLANET

<女子フライ級/5分3R>
渡邉史佳(日本)
Def.3-0:30-27.30-27.30-27.
端貴代(日本)

※詳細は後ほどアップします


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【Pancrase347】ホン・イェリン戦前のアトム級QOP SARAMI「塩漬けです。もう、ああいう勝ち方はない」

【写真】有終の美ではないかもしれないが、終わりを見て現役生活を全うしている (C)MMAPLANET

本日29日(日)、東京都立川市の立川ステージガーデンで開催されるPancrase347で、アトム級QOPのSARAMIがホン・イェリンとノンタイトル戦で戦う。
Text by Shojiro Kameike

3月に同王座決定トーナメント決勝で沙弥子を48秒で下したSARAMIにとって、あの右ストレートで一発の勝利は何を意味したのか。その後、パンクラスイズム横浜を離れ、毎日のように違う場所でトレーニングの日々を送る。

「この生活も長くは続けられない」というSARAMIに3月のKO劇と今、そして──これからについて尋ねた。


――もう次の日曜日にホン・イェリン戦を控えているSARAMI選手ですが、今一度3月のアトム級王座奪取について話をきかせてください。見事過ぎる右ストレート一発のKO劇。格闘技生活で、一番の喜びようだったのではないかと。

リモート取材を行った24日の時点では、藤野恵実につけられた傷が残っていた

「あの瞬間は『嘘でしょ!!』っていう感じでした」

──そこから笑顔の時間が、凄く長かったです。

「アハハハハハハ。北岡(悟)さんや、矢澤(諒)君は『パンチで倒す』と思っていたらしいです。いつか、パンチで倒すと。北岡さんにはずっと前から言われていました。でも、私はできないだろうって思っていたんです。女子で一発KOなんて、ないじゃないですか。まさか自分がするなんて思っていなくて(笑)。打撃に自信があるわけじゃないので」

──ただ、あのパンチです。練習をしてきて、成長しているという風に自分で感じることはなかったですか。

「自分の右のパンチが凄く強いという実感はありました。打ち方とかも、凄く考えてきたので。それは分かっていたけど、試合でソレを出せるとは思っていなかったです」

──あの勝ち方をこれからも続けたいという想いは?

「ないです」

──本当ですか。それを想って戦えないかもしれないですが、どこか少しでも残っていないですか。

「えぇぇ……。また、したい気持ちはありますけど。アレを狙うと、絶対にできないです。自分の攻めをしているなかで、ああいう偶然が起これば良いかなって。あのパンチを狙うと、自分のスタイルが崩れてしまいます。私の試合はドロドロで、勝つ時も負ける時も。殴り合いって誰でもできるので、それは余り格好良いとは思えないんです」

──練習仲間、女子選手たちの反応はどうでしたか。

「びっくりしていました。練習では私は打撃が上手くはないので。男子も女子も当てっこゲームが上手な人が、練習では打撃は上手です。思い切り打てないから、試合とは違うと思っています」

──ぶっちゃけてKO勝ちとタイトル奪取、どちらの方が嬉しかったですか。

「一発KOです」

──ずっと練習を続けてきて、あのKO劇があって良かったと本当に思います。

「私の人生にこんなことがあるんだって。本当に。私、格闘技の試合で勝って、お客さんが盛り上がる瞬間──あの気持ち良さって多分、結婚式をする時の気持ち良さよりも上だと思うんです。なのに、あんなKO勝ちしちゃうと、もう最高ですよ」

──そんなタイトル奪取後、所属先が整体北西に変わりました。

「もともとトーナメント中もパンクラスイズムで練習するのは1度か2度で。ジムの面子も変わっていく中で、私が格闘技をやる場所はイズムではなくなってきたように思えたんです」

──練習場所が所属名になったわけではないですよね。

「ハイ。私がずっと体を見てもらってきた整体です。北西(英司)さんはパンクラスができた頃から、選手の体を診ていて、格闘技の試合も物凄く見ている人で。フォースタンス理論に出会えたから、こっちに出てきて少し結果を残せたと思っています」

──イズムを離れる時、どこかジムの所属になろうと考えることはなかったですか。

「それは今も迷っています。決まった練習場所があることは大切だと思うので。ただ試合がもう決まっていたから、そこままという感じできました」

──今、練習場所はどういう風になっているのでしょうか。

「なかなか、色々なところに行っています。行動範囲は相当に広いですよ(笑)。女子選手がいるところに、練習に行かせてもらっていて」

──では万智選手ばりに1週間のルーティンをお願いします。

「月曜日は朝から仕事をして、夜は坂口道場に行きます。火曜日は昼ぐらいにKRAZY BEEに行き、夕方は元町にあるクロスフィットでパーソナルトレーニング。夜はカルペディウム三田のレスリングクラスに参加したり、しなかったり。水曜日は1日仕事をして、行けたらファイトベースに。木曜日も1日仕事して夜に東中野のトイカツ道場。金曜日は昼にマスタージャパンでグラップリング、夕方は国立に体の使い方のコンディショニング・トレーニングに行って、夜に整体をして帰って来ます。

土曜日は朝から仕事をして、夕方に千葉の市川市にあるトランセンド・ジムでロッキー川村さんにミットを持ってもらっています。で日曜日の朝にJTTに女子練習ですね(笑)」

──仕事をしながら……ですよね。1週間で7位置の練習を。

「やばいですよね(笑)」

──その原動力は何なのでしょうか。

「不安だから。やらないと不安なんです。もちろん毎週 、完璧にやっているわけじゃないですけど、この生活と練習を維持するには心もお金も、体力も大変です」

──そうですよね。

「だから、これをずっとやっていられないなって。引退も近いのかなって思っています」

──それでも結婚式よりも嬉しいモノがMMAでの勝利なわけですよね。

「結婚式をしたことないんですけどね(笑)。私は結婚して子供も欲しい。だからずっとできない」

──そうなると限られた試合のなかで、今回はタイトルマッチでないですが、その辺りはどのように思っているのですか。

「ホン・イェリン戦が用意されたことに、全く不満はないです。ちゃんと強い相手ですし、国際戦が戦いたかったので。用意してもらった相手に、今の全てをぶつけます。対戦相手の格とか関係なく、準備したことを全て出します」

──それは右ストレートですね(笑)。

「違います(笑)。塩漬けです。もう、ああいう勝ち方はないし、一度したから思い切り漬けにいけます(笑)」

──女子は比較的行き来ができていますが、これからのキャリアをどのように考えていますか。

「目標がなんなのかよくわからない状況ではあるんですけど、海外でやりたいです。もう日本人は皆やったし、今さら新しい子とやる必要はないかなって。めちゃくちゃ強い外国人にメチャクチャにやられたら、辞めることができるかなって」

──刹那的ですね。

「もう私、敵わないんだっていう経験をしたら辞められるかなって」

──その将来を望むとしても、メチャクチャ強い外国人を戦うためには次の試合でしっかりと勝つ必要があるかと思います。どのような試合にしたいですか。

「…………(じっくりと考えて)、攻め続ける。とにかく攻め続けます」

■視聴方法(予定)
9月29日(日)
午後12時40分~U-NEXT

■Pancrase347 計量結果

<ライト級KOP選手権試合/5分5R>
[王者] 雑賀ヤン坊達也:70.15キロ
[挑戦者] 久米鷹介:70.3キロ

<ストロー級QOP選手権試合/5分5R>
[王者] ソルト:51.95キロ
[挑戦者] 藤野恵実:52.1キロ

<ウェルター級KOP選手権試合/5分5R>
[王者] 押忍マン洸太:76.95キロ
[挑戦者] 佐藤生虎:77.1キロ

<ライト級次期挑戦者決定/5分3ラウンド
葛西和希:70.55キロ
天弥:70.65キロ

<女子アトム級/5分3R>
SARAMI:48.05キロ
ホン・イェリン:47.75キロ

<バンタム級/5分3R>
井村塁:61.4キロ
カリベク・アルジクル・ウルル:61.65キロ

<ライト級/5分3R>
粕谷優介:70.7キロ
ホン・ソンチャン:70.5キロ

<女子フライ級/5分3R>
端貴代:56.65キロ
渡邉史佳:56.8キロ

<女子ストロー級/5分3R>
KAREN:52.1キロ
エジナ・トラキナス:51.9キロ

<フェザー級/5分3R>
糸川義人:65.9キロ
栁川唯人:65.95キロ

<ストロー級/5分3R>
野田遼介:52.5キロ
船田侃志:52.55キロ

<バンタム級/5分3R>
安藤武尊:61.45キロ
ギレルメ・ナカガワ:61.55キロ

<2024年ネオブラッドTフライ級決勝/5分3R>
岸田宙大:56.7キロ
山﨑蒼空:57.1キロ

<フライ級/5分3R>
時田隆成:56.95キロ
齋藤楼貴:56.95キロ
 
<バンタム級/5分3R>
友寄龍太:61.1キロ
渡邉泰斗:61.5キロ

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45 AB MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase346 RIZIN UFC   キック タクミ パンクラス ボクシング ムハンマド・サロハイディノフ ラファエル・リベイロ 三宅輝砂 丸山数馬 伊藤盛一郎 前田浩平 山口怜臣 平信一 杉山しずか 松岡嵩志 海外 濱田巧 田中路教 端貴代 重田ホノカ 鈴木悠斗 高城光弘 高島俊哉

【Pancrase346】杉山しずかの超挑戦を受ける、重田ホノカ「ハートの強さで、自分は負けないです」

【写真】昨日の計量は問題なく、笑顔を見せてクリア。この笑顔の裏、色々な想いと覚悟を隠している(C)MMAPLANET

本日21日(日)、東京都の立川ステージガーデンで開催されるPancrase346で、フライ級QOP重田ホノカが杉山しずかの挑戦を受ける。
Text by Manabu Takashima

3月に大ベテラン端貴代を破り、デビューから11月で王座戴冠。トーピング検査で陽性となり、出場停止処分を受けた重田。そこも踏まえて5日の調印式及び記者会見前にインタビューを行うと──重田からオラオラはキャラで、自分の素ではなかったと涙の告白があった。


強気の言動とか、もうあのキャラに疲れちゃって……

──タイトル初防衛戦の前に、まず3月31日に王座奪取がなった試合で端貴代選手と共にエフェドリンの陽性反応が出た件について話を伺わせてもらえますか。

「ハイ」

──端選手は風邪薬、重田選手は漢方薬を服用していた。ただし試合結果は変わらずとタイトルはそのままで、重田選手は100日間のサスペンションとファイトマネーの20パーセント返却に。サスペンション明けの1週間後に防衛戦、ファイトマネーの一部返却以外は事実上のお咎めなしという形です。

「ドーピング=ステロイドという印象でした。お医者さんか漢方薬を処方されて、漢方だし大丈夫なんだと思っていました」

──自然の生薬という説明があると、そのように理解するのは重田選手に限らず多いと思います。生薬である麻黄の成分にエフェドリン、つまりは中枢神経・交感神経系に対して賦活作用がある。つまりは興奮剤の類ですよね。

「ハイ……それを分かっていなかったです」

──使用上の注意にも実は「精神興奮」という交感神経系への副作用の可能性が明示されています。田中路教選手が過去に花粉症を抑えるために漢方薬を服用して、UFCからサスペンションを食らったこともありました。でも重田選手からすると、10歳の時の話なんですよね。チームメイトとは、そのような話をすることはなかったのでしょうか。パンクラスはタイトル戦ではドーピングテストがある状況でも。

「私の方が漢方は大丈夫だと思っていたので、ジムで話すこと自体がなかったです。家族は当然、漢方薬を摂っていることを知っていたのですが、その禁止という意識がなくて……。パンクラスにも飲んでいる薬を伝えるのですが、そこには市販薬となっていたので、私は処方してもらったから書かなかったんです」

──禁止成分が入っているわけないという想いがありますしね。チーム全体で勉強になったと思います。

「今回は服用しているモノ全て、期間と場所と量まで事細かに報告しました」

──ここまで良くも悪くも天真爛漫、SNSでの活動にしても奔放だった重田選手も、色々と勉強になった。それで一件落着ということでしょうか(笑)。

「今回の件でというか……強気の言動とか、もうあのキャラに疲れちゃって……」

──キャラ?  あの言動は作っていたのですか。

「もうキャラを続けるのに疲れて、煽りVでも素がでちゃって……。涙を見せちゃったり、でも逆に楽になりました。デビューから負け知らずで、ここまでやってきた。そこ自体がイケイケの印象を与えていたし、そのキャラのままで行こうと思っていたんですけど……疲れちゃって……陰で泣いていることの方が多くなって。

今では練習でも泣いています(笑)。ボクシングの練習に行っても、泣いてばかりで。でも、それで楽になりました」

──オラオラが一転、泣き虫になって練習面に影響が出てしまっていませんか。

「もう、辞めたいって(笑)。での前から毎回、試合が決まってから練習で追い込まれると『このあとはめっちゃ休む』とか『早く辞める』とか言っていて、情緒不安定になっていました。それが(浅倉)カンナさんに、『ありのままで良いんだよ』と言ってもらえて。『泣きたかったら、泣いて良い。でも試合が決れば、やらなきゃ。それはもうしょうがないんだよ』って。じゃぁ、泣きキャラでも良いかなって」

──いうとデビューして11カ月でパンクラスの頂点に立ったわけですし、色々な変化があって然りだと思います。4戦目でチャンピオンになった。そのなかで杉山選手が挑戦者として、登場してきたことに関してはどのように思いましたか。

「やるしかないやって……。前の試合前、会見の時からやると思っていたし。パンクラス的にも、それが面白いから。『やるよね』、『そうだよね』って」

高本選手が一番強かったです

──ではMMAファイターとして杉山選手の印象は?

「杉山選手は基本的にMMAが綺麗にできるタイプの選手ですよね。左のノーモーションのパンチ……サウスポーもオーソもデキる。でもサウスポーの方が多くて、ノーモーションとワンテンポ遅らせてのフック。近距離でのハイキック、離れ際のハイキックも上手いです。

ただテイクダウンに関しては、レスラーのような綺麗な入り方はできないです。自分の方が身長も低いし、入りにくいかと思います。そんな感じですけど、前回の試合は久しぶりの試合だったからか固かった。でも次の試合では感覚を取り戻しているかもしれないし、フィジカルも組んで見ないと分からない。だから、杉山選手云々でなくて自分のやりたいことをやろうって思っています」

──そんな杉山選手に対して、重田選手のストロングポイントはどこだと考えていますか。

「杉山選手の方が経験があって、スタンドでもある程度できます。ただ折れない心は自分の方が持っていると思います。ハートの強さが自分の武器です。私は気持ちで戦うタイプなので。試合を見てもらうと分かってもらえると思うんですけど、フィニッシュへの技がたくさんあるわけじゃないんです(涙声に)。けど……」

──えっ、ここって泣くところなのですか……(汗)。競り合った時には負けない強さは持っている。そこが杉山選手との試合で武器になると。

「競り合いになるとハートの強さで、自分は負けないです」

──気持ちの勝負になる前に、技術の勝負ではどのように考えていますか。

「ハッキリ言って、技術的には自分の強味が何か分かっていないです。ただ杉山選手は似たタイプだと思っています。立ちも寝技もどっちもやる──みたいな。でもスクランブルは負けないですね。体の動かし方とか、一瞬の判断からの動きは自分の方が長けていると思います。だからスクランブルに持ち込んで、競り勝ってバックに回るというのは、自分のなかで組み立てています」

──ところで過去4戦の対戦相手、誰が一番手強かったですか。

「デビュー戦で戦った高本(千代)選手です。どうしてですか?」

──この3年ほど、日本の女子MMAレベルは急速に上がったように感じています。それはこの間にデビューした選手達は明確にMMAを戦う目標があり、基礎を身に着けてデビューしている。結果、自力があって数年にさかのぼるキャリアの差を埋めることができているからだと考えています。

「あぁ……。高本選手が一番強かったです。高本選手こそ、下手をするとそこら辺の少しキャリアのある人に全然勝っちゃうんじゃないかと思います。最後にパンチを貰ってカットし、縫っていますし。あれが2Rだと、私はTKO負けしていました。

ただ世代とかは気にしていないです。世代交代を強く意識することもないし。選手一人ひとりのことは尊敬していて、当てられた選手に勝つことに集中しています」

──そんななか、今後に関してですが。国内の女子フライ級は相当に層が薄いです。キャリアップを狙うとなると、海外も視野に入れないといけないかと思うのですが、その辺りはどのように考えていますか。

「自分が憧れているのは、RIZINのベルトです。RIZINがきっかけMMAを始めましたし。ただ盛り上がっているのは49キロで。同時にフライ級は適正階級ではないので今回の試合が終わったら、階級を下げて強い選手と……戦って……いきたいです」

──なぜ、そこで涙が……。

「泣いてないです(笑)。今は泣いてないです」

──ではストロー級、スーパーアトム級に落としていくと。

「ハイ。今回が最後のフライ級なので、しっかりと勝ちたいです」

──そして、RIZINに殴りこむと。

「先のことは今回の試合が終わってから、考えます」

■視聴方法(予定)
7月21日(日)
午後1時45分~U-NEXT

■Pancrase346計量結果

<フライ級KOP選手権試合/5分5R>
[王者] 伊藤盛一郎:56.65キロ
[挑戦者] ムハンマド・サロハイディノフ:56.55キロ

<フライ級QOP選手権試合/5分5R>
[王者] 重田ホノカ:55.95キロ
[挑戦者] 杉山しずか:56.45キロ

<ライト級/5分3R>
平信一:70.55キロ
鈴木悠斗:70.7キロ

<フライ級/5分3R>
濱田巧:56.95キロ
ラファエル・リベイロ:57.05キロ

<バンタム級/5分3R>
高城光弘:61.3キロ
オタベク・ラジャボフ:61.65キロ

<フェザー級/5分3R>
三宅輝砂:66.2キロ
石田陸也:65.9キロ

<ライト級/5分3R>
松岡嵩志:70.55キロ
丸山数馬:70.15キロ

<ストロー級/5分3R>
寺岡拓永:52.0キロ
高島俊哉:52.55キロ

<58.55キロ契約級/5分3R>
前田浩平:58.55キロ
増田大河:58.20キロ

<ネオブラッドT バンタム級準決勝/5分3R>
山口怜臣:61.6キロ
宮城成歩滝:61.55キロ

<ネオブラッドT バンタム級準決勝/5分3R>
白井誠司:61.3キロ
荒田大輝:61.25キロ

<フェザー級/5分3R>
沢木純也:66.2キロ
小島健史:65.8キロ

<フライ級/5分3R>
田中亮祐:56.7キロ
鳴海秀哉:56.75キロ

<フライ級/5分3R>
名久井悠成:56.5キロ
萩島answerタクミ:56.8キロ

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【パンクラス】重田ホノカ×杉山しずか 女子フライ級タイトル戦決定!

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7月21日に立川ステージガーデンで開催されるPANCRASE 346。既に伊藤盛一郎(リバーサルジム横浜グランドスラム/ZST)×ムハンマド・サロハイディノフ(Katran Gym/タジキスタン)のフライ級タイトルマッチが決定していますが、今回新たに重田ホノカ(THE BLACKBELT JAPAN)×杉山しずか(リバーサルジム新宿Me,We)の女子フライ級タイトルマッチが追加発表されました。

MMA戦績4戦4勝で20歳にしてパンクラスのタイトルを一気に奪取した重田。とても20歳とは思えないどっしりとした試合運びが印象的です。最近では対戦相手が宙に浮いた中井りんに対して対戦要求したかと思えば、パンクラスのタイトルマッチで行ったドラッグテストで興奮剤の陽性反応が出てペナルティが課せられるなど、良くも悪くも注目を集めてきました。7月21日は100日間のサスペンドが終わって迎える復帰戦。故意の陽性ではなかったものの、思わぬ形で課せられた汚名を晴らす事が出来るのか。

対するはDEEP JEWELSからパンクラスに主戦場を移した杉山。初戦のライカ戦では要所要所でテイクダウンを奪ってグラウンドをコントロールして判定勝ち。パンクラスでも安定感のある強さを見せました。これで女子フライ級1位にランクインしてタイトル奪取に早くも王手をかけました。

そんな両者の対戦。まだまだ底が見えず成長過程の重田。前戦はベテランの端貴代を相手にしっかりとテイクダウンを奪って判定勝ち。杉山と似たような試合運びだけに、どっちがグラウンドで上になるか、テイクダウンを巡る激しい攻防になる予感がしてきました。でも、得てしてこういうマッチメイクは、1周回ってスタンドでの打ち合いになったりするんですよね。今から楽しみ。久しぶりに立川ステージガーデン行こうかな。。。
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【Pancrase341】重田が端との5R戦を制して判定勝利。デビューから1年弱、無敗でフライ級QOP王座戴冠

【写真】5Rにこそ端の反撃を許した重田だったが、1Rから攻め続けた (C)MMAPLANET

<フライ級QOPC/5分5R>
[挑戦者] 重田ホノカ(日本)
Def.3-0:50-45.50-45.49-46.
[王者] 端貴代(日本)

サウスポーの重田がいきなり飛びかかり、インローと左ストレート、左ミドルを蹴る。端はその左ミドルをキャッチし、蹴り足を抱えてケージに押し込む。重田は足を引いて正対し、ダブルレッグに入る。腰をコントロールして、端の右足をかけて寝かせつつバックを狙う。端はケージを背にして立ち上がり、重田は右腕を差して押し込んでヒザ蹴り。離れると重田が左ストレート、端の右に右フックを合わせ、前足へのシングルレッグをフェイントにした左フックを当てる。重田はプレッシャーをかけてインローと左ストレート。端もインローを蹴るが、重田は左ストレートから右フックを返し、組みになると端をケージに押し込む。ジャッジ3名とも10-9で重田を支持した。

2R、重田が左ストレートとインロー。端はインローと右ストレートを返す。重田は右アッパーから前に出て、端は左腕を差してケージに押し込む。重田は投げを狙いつつ離れ、プレッシャーをかける。端のインローにアッパー気味の左ストレートを合わせ、ダブルレッグでケージに押し込んで端を寝かせる。橋が左腕を差して起き上がろうすると、重田は右腕で首を抱えてギロチンを狙いつつヒジ。重田がトップキープしてラウンド終了となった。ジャッジ1名が10-9で端、2名が10-9で重田となる。

3R、ここも重田が前に出て左ストレート、シングルレッグで組みつく。端がケージに体を預けて立ち上がる。距離が離れると端がジャブを突くが、重田は左ミドル、スピニングバックフィスト、左ストレート。組みの攻防になると首投げから袈裟固めへ。端が頭を抜こうとするとがぶってコントロールし、端の体をケージに押し込む。立ち上がった重田は端の蹴り上げを捌きつつ、端の体をケージに押し込む形でラウンド終了。1R同様にジャッジ3名が10-9で重田にポイントをつけた。

4R、端は重田の前足にインローと前蹴り。重田はプレッシャーをかけて右フックと左ストレート、端も下がりながら右ストレートを返す。重田は左のスーパーマンパンチ、右のジャブを当ててシングルレッグへ。端はケージに体を預けてスタンドをキープすると、重田はダブルレッグで尻餅をつかせる。パスガードを狙う重田に対し、端は脇を差して上のポジションを取り返すが、残り時間がなくラウンド終了となる。ここもジャッジ3名が10-9で重田を支持した。

5R、端は下がりながら右ストレートを当てる。これを被弾する重田だったがシングルレッグで端をケージに押し込む。端の体を振ってバックも狙いつつ、端をケージに押し込み続ける。端がニンジャチョークを狙うと、重田は低くダブルレッグに入ってバックへ。端は重田の腕を持って巻き込むようにグラウンドで上のポジションを取り、重田をがぶる。端が重田をケージん押し込むと、重田は離れてワンツー、端が右ストレートから組みつく。重田が投げを決めるも、その勢いのまま端がグラウンドで上になる。ここで試合終了となり、重田が判定勝利で新王座に就いた。

試合後、重田は「あれだけ煽っておいて、端選手が強くて心が折れそうになったんですけど、セコンドの鶴屋(浩)先生、(浅倉)カンナさんはじめジム関係者のみなさん、サポートしてくれる人たちたちのおかげで何とかやりきれました。デビューして11カ月、無敗のままチャンピオンになりました。日本には3階級制覇した強いチャンピオン(伊澤星花)がいると思んですけど、いつか挑戦できるように頑張ります」とマイク。先輩の浅倉にもベルトを渡し、喜びを分かち合った。


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45 DEEP MMA MMAPLANET NØRI o PANCRASE Pancrase341 ROAD FC YouTube キム・ジヨン パンクラス ライカ 海外 端貴代 重田ホノカ 食事

【Pancrase341】重田ホノカの挑戦を受ける、端貴代「格闘魂の底力とは――気合いと根性です」

【写真】今年の9月でデビュー20周年を迎える端(C)SHOJIRO KAMEIKE

31日(日)に東京都立川市の立川ステージガーデンで開催されるPANCRASE341にて、フライ級QOPの端貴代が重田ホノカの挑戦を受ける。
Text by Shojiro Kameike

2021年10月にNØRIを下して暫定QOPとなった端は、正規王者に昇格後、ダイレクトリマッチでもNØRIに判定勝ちを収めて初防衛に成功した。11カ月の試合に向けて――というよりも、20年にも及ぶ端のキャリアを支えてきた「格闘魂の底力」について訊いたところ、まさかの答えが返ってきた。


――練習後のお疲れのところインタビューを受けていただき、ありがとうございます。

「こちらこそ、すみません。こんな遅い時間に……(※22時から取材がスタート)」

――我々は問題ないのですが、端選手は現在どのようなスケジュールで1日を過ごしているのですか。

「昼間は飲食店で仕事をしていて、夜は19時から22時、23時ぐらいまでジムで練習です。あと土日は実家(御食事処 三好弥)の手伝いをしています」

――今、ファイターが注目するお店といえば三好弥か「スナックふじの」ですね。

「アハハハ! 何か始まりましたね(笑)」

――多くの選手が「端さんの練習はハードだ」と口にします。試合前と通常の期間で練習内容は異なるのでしょうか。

「通常はいろんなことを試して、試合前は試合でやることを徹底して練習するという感じですね。だいたい試合の2カ月前ぐらいから練習内容を切り替えます」

――端選手がプロデビューした頃は、ショートノーティスで試合をすることも多かったです。一方で今回は前の試合から1年という期間が空いており、一般的には「ブランク」と呼ばれる試合間隔ではあります。ただ、現在の端選手にとっては、それぐらいの試合間隔のほうが良いのでしょうか。

「昔のように試合を詰め込むよりは――というぐらいですね。でも最近は、試合のない期間に試し、繰り返していることが試合でも繋がってきています。そういう意味では良い試合間隔なのかもしれないですね。

試合も『機会があれば』という感じで、試合が無ければ無いで……とは考えています。昔は私の人生には格闘技しかなかったけど、今はそういうわけではないですし」

――前回の試合が1年前なので昔の話を振り返るようですが……、端選手は試合前に「相手の心を折りに行く試合をしたい」と仰っていました。実際のところ、相手の心を折ることはできたのですか。

「う~ん、相手も心が強かったですよね。そこで自分も仕留めることができませんでした。私自身がもっと攻めていれば――特に最後は腕十字を極めきりたかったです」

――1Rにあれだけ端選手がコントロールしていながら、2RにNØRIがバックマウントを奪うなど盛り返してくるとは思いませんでした。

「2Rは私がミスしましたね。今もまだ凄く反省しています(苦笑)」

――端選手がバックマウントまで奪われる展開は、あまり記憶にありません。

「そう言われてみると、私も最近では記憶にないですね。特に四の字で腕まで巻き込まれて。自分でも過去最悪のポジションを許してしまったと思います。だから、なのか……2Rは『アレッ!? こんな展開になっちゃった』と、焦りはありました。ただ、あの展開で極められることはないとは感じていましたね。何がどう、ということではなく長年の経験と感覚で(笑)」

――2Rを凌いだ端選手が、3R以降は一方的に攻め込みました。あの展開で心が折れなかったNØRI選手も成長を感じさせたと思います。そんななかで端選手は、どの段階で仕留めようと考えていたのですか。

「一つひとつ積み上げて、最後に極めたいと思っていました。私って、いきなりバシッと極めるスタイルではないじゃないですか。とにかく、私がやることは決まっている。自分がやることを徹底して、貫く。ラウンドごとに細かく作戦を変えるわけでもないですし」

――それが端選手らしさであり、凄さだと思います。フルラウンドに渡って、試合前に決めたスタイルを貫くために動き続ける。普段は体力面のトレーニングはしているのですか。

「体力トレーニングというより、サーキットトレーニングやミット打ちで鍛えていきますね。NØRI選手との初戦は相手がサークリングし続けたので、私も打撃を練習どおりには出せなかったんですよ。それが再戦では相手も組んできてくれて、私としては戦いやすい面はありました。戦いやすい……うん、『試合をした!』という実感はありました」

――端選手はこれまでスマックガール、DEEPジュエルス、そしてパンクラスQOPのベルトを巻いてきました。今の端選手にとってベルトとは、どのようなものなのでしょうか。

「私の『生きた証』ですかね。毎日やり続けてきたことが結果として、形として表れたのがベルトなんじゃないかなって思います。特にパンクラスのベルトに対しては、『守りたい』という気持ちが強いです。今まで初防衛に成功したことがなかったですし」

――確かに。これまでスマックガールはベルトを巻いたあとに活動休止となってしまいましたし、DEEPジュエルスは初防衛戦でキム・ジヨンに敗れました。

「あの頃はベルトを持って海外に挑んでいた時期でもあったんですよ」

(C)STRIKEFORCE

――スマックガール王者となってストライクフォースの王座決定戦に出場

(C)DAVE MANDEL

DEEPジュエルスのベルトを巻いてインヴィクタFC王座に挑戦したりと……。

「はい。だからといって初防衛戦に憧れがあったというわけではないんですけど――やっぱりキム・ジヨンとの防衛戦が、ずっと心のどこかに残っていて。

(C)ROAD FC

キム・ジヨンとはROAD FCで試合をしたことがあり、その時はドローでした。

そうやって一度対戦したことがある選手のことって何となく分かるじゃないですか。だから再戦では……、何と言えばいいのか」

――再戦では試合前から「勝てる」と考えていたということですか。

「勝つか負けるかは、やってみないと分からないと思うんです。でも試合に向かうまでの気持ちを考えると、自分の中に甘さがありました」

――つまり自分に負けたということですね。

「そんな甘えがあった自分に納得がいかないと言ったら言い過ぎかもしれないけどね。だからNØRI選手との初防衛戦では甘えもなく、私としては初戦の続きを戦うという意識で。ただ初防衛に成功して、NØRI選手との再戦に勝っても結局は満足できなくて(苦笑)。

勝ったことについては、その時は嬉しいです。でも試合後は『あぁバックを取られてしまったなぁ』とか「仕留めきれなかった!」という気持ちのほうが強くなります。だから、ずっとMMAを辞めることができないのかもしれませんね」

――前回のNØRI戦で初防衛を果たすことができました。端選手の中はキム・ジヨン戦のことを払拭できたかもしれません。そして今回も防衛戦になったということは、端選手としては今後もタイトルマッチを続けていきたいということなのでしょうか。

「私としてはタイトルマッチでも、ノンタイトルマッチでも構いません。ただ、私ももうこの年齢なので……」

――どういうことでしょうか。

「NØRI選手に勝って暫定王者になったのが2021年で。そのベルトを持って他のところで戦えるような状態でもなかったです。だから諦めたというわけでもなく、とにかく目の前の試合を考える。チャンピオンであるかぎり、絶対に防衛戦はやらないといけないものじゃないですか。だからMMAを続けるために、このベルトがあるんだなと思っています。

それと今、パンクラスの女子が徐々に盛り上がってきていますよね。同じ大会で女子の試合が他にも3試合あって。私が対戦する重田選手もそうですけど、新しい選手が上がってきて対戦するというのが楽しいんです。もっともっと選手層が厚くなってくれればって」

――では重田選手について印象を教えてください。

「ライカ戦の前はストロー級でやっていたので、当時は対戦するとは考えていなかったです。でもストロー級の時も、『強い選手が出てきなぁ。こういう戦い方を自分もやってみたいなぁ』と思っていましたよ。それは重田選手に限らず、他の選手の試合を視ていても。

でもやっぱりライカ戦の時は『本当に強いなぁ』と感じました。私もライカさんとは対戦したことがありますし。特にテイクダウンする力は本当に強いと思いますね」

――端選手にとっては久々に組みが中心の相手と対戦することになります。

「私の場合は、グラップラーの選手でもあっても組みを避けてくるじゃないですか。だからガッツリ組んで来る試合は、もともと少なかったです(苦笑)。だから重田選手が、どう出て来るのか。ライカ戦を視ると、私としては『テイクダウンしてから、こういうふうに展開できると良いなぁ』と思いました」

――端選手が重田選手のように戦いたいと思うことがあるのですか。

「アハハハ、そうです。『私がやりたい戦いってコレだな』と思う展開がありました。どの展開かは言わないけど、コントロールの方法としてはベーシックで強いと思います。だから私もやりたいけど、自分もしっかり対策できるという面はありますね」

――重田選手の煽りについては、どのように受け止めていますか。

「別に、どうとも思っていないです。私たちがやっているのは言葉の交換ではないので。MMAだから体で感じるものだし、次の試合で感じてもらえることができるとは思います」

――試合で相手に感じさせたいものが、記者会見で仰っていた「格闘魂の底力」なのでしょうか。

「あぁ、あれですね。格闘魂の底力とは――気合いと根性です」

――そこですか!

「やっぱり最後にモノを言うのは気合いと根性なので。次の試合も気合いと根性で頑張ります!」

■視聴方法(予定)
2024年3月31日(日)
午後1時00分~ U-NEXT 、PANCRASE YouTube メンバーシップ

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【Pancrase341】フライ級QOP端貴代に挑戦、重田ホノカ「端さんは私のスピードについてこられない」

【写真】この選手は図太い神経の持ち主だと思っていたのですが、とことん練習をして自信をつけていることが分かりました(C)SHOJIRO KAMEIKE

31日(日)に東京都立川市の立川ステージガーデンで開催されるPANCRASE341にて、重田ホノカが端貴代の持つフライ級QOPのベルトに挑む。
Text by Shojiro Kameike

昨年プロデビューし、ここまで3連勝中の重田は、現在20歳。若さゆえのビッグマウスも聞かれるが、決して口だけではない実力を証明してきた。その自身の源は、パラエストラ千葉ネットワーク改めTHE BLACKBELT JAPANでの練習にある。重田が練習で大号泣する理由とは?

――現在は追い込み練習の最中とのことですが(※取材は3月21日に行われた)、タイトルマッチを控えているといえど、表情も気持ちもこれまでの3試合と変わらなそうですね。

「全然変わらないです(笑)。柔道時代から、大きな大会であっても特に気持ちは変わらないんですよ。気を張っていても勝つ時は勝つし、負ける時は負ける。逆に気持ちが乗っていなくても、勝つ時は勝つので。やっぱり試合は、どれだけ準備できているかが大きいと思います。しっかり準備して、あとは戦うだけっていう」

――ベルトに挑戦できることに対する嬉しさはないですか。

「特にないです! 『次はタイトルマッチです』、『やりま~す』みたいな感じで」

――ただ、フライ級1位のライカ選手を下した時に「次はタイトルマッチが組まれるだろう」という想定みたいなものは持っていたのではないでしょうか。

「いやぁ……勝つには勝ちましたけどフィニッシュできなくて、試合後は泣きながら牛丼を食べていました(苦笑)。『もっと大きく叩いておけば良かったんですかね?』とか」

――重田選手としてはフィニッシュできなかったとはいえ、1R終盤はストップしても良かったのではないかと思います。

「あれは私もよくないんですよ。もう1Rでフィニッシュできると思って連打したら、殴りすぎて疲れちゃったんです。両腕の前腕がパンパンになって、2R以降の動きにも少し影響してしまいましたね。

ああいうシーンでは殴り方も重要なんだなって思いました。たとえば少し殴って相手が少し動いて、また私が殴って――ということの繰り返しだと、1回1回リセットされてしまうじゃないですか」

――なるほど。レフェリーストップのタイミングがリセットされてしまうわけですね。

「はい。相手を完全に動けない状態にしてパウンドを落とし続ける、ということも必要なんだなって分かりました。それで殴り続けていたら腕がバンバンになって、2Rにバックを奪ってRNCを極めようと思っても腕が使えなかったんですよ」

――パウンドによるレフェリーストップに対しては、以前に荒東“怪獣キラー”英孝選手が「レフェリーが試合をストップする理由をつくる。効かせるというよりもパンチをまとめるほうが正しい」と仰っていました。

「あぁ、そうなんですね。良いことを聞きました(笑)」

――一方で、あの連打を受け続けても決して諦めないライカ選手の気持ちの強さも見えた試合ではありました。

「そうですか。試合中に相手のことを見ていなかったので……。私としては、まず1回目のテイクダウンで成功するとは思っていなかったんですよ。だけど倒すことができたから、『今日はいける!』と思ってしまって(苦笑)。手応えとしては、おそらくライカ選手は自分のスピードについてくることができない。さらに1Rでかなり削ったからだと思いますけど、2R以降は相手のパンチもスピードがなくなっていました。このパンチをもらっても効くことはないと判断して、あとはどこでフィニッシュするか――と考えていましたね」

――どの時点でフィニッシュするつもりだったのでしょうか。

「3Rです。最後に私がバックマウントから腕十字を狙ったじゃないですか。腕十字って逃げられると自分が下になるリスクもあるので、最後の最後まで躊躇してしまった部分はあるんです。バックも取っているし、このままキープしていても勝てるわけで。だから極めに行くのが終了間際になってしまいました」

――実際、重田選手が十字で腕を伸ばしたところで試合は終了しました。

「2Rもバックに回ってから、RNCか十字を狙っていたんですよ。でも1Rの展開から、私に時間を考える余裕が生まれちゃって。今、極めに行って失敗したら後半がキツくなるとか。ライカ選手はもともとボクシングの世界チャンピオンだから、スタンドに戻って一発を食らうと危ないですし。であれば、このまま寝かせておいたほうが良い。そう考えながら時計をチラチラ見ていて……。欲を言えばフィニッシュしたかったけど、勝つために安全パイを選んでしまったと思います」

――勝利のために安全パイを選ぶこともあると思います。特に挑戦者決定戦の意味合いを持つマッチメイクで、勝てばタイトル挑戦が待っているわけですから。もう一つはフィニッシュすることと、3R通じて相手に何もさせない――完全にドミネイトすることで、どちらが強さを感じさせるのか。

「確かに。3Rずっと立たせず、抑え込んで殴り続けるのも難しいですもんね」

――これはMMAという競技を考えるうえで、いつも意見が分かれるところです。ただ、ライカ選手をフルラウンド圧倒したことで、さらに重田選手の強さを見ることができたのも事実です。正直なところ「ここまでやれるのか……」と驚きました。

「ありがとうございます。体力には自信があるので(笑)」

――アハハハ。

「前回の試合も自分がコントロールし続けているので、息があがることはなかったです。試合が終わっても息は切れていなかったぐらいで。でも、それって見ているお客さんからすると……って考えることはあるんですよね。『まだ体力が残っているなら、もっと行けよ』と思われるかなって。実際、自分でもそう思われて仕方ない試合をしてしまったと思います。だから次のタイトルマッチは、余力を残さない試合をしたいです。フルラウンド、相手を潰しに行きますよ。でも5Rまでやるつもりはないですけどね」

――まだプロ3戦目でありながら、ライカ選手を圧倒できる試合ができた。そこにご自身の成長は感じますか。

「実感はないですけど、少しは成長できているのかなって思います。でも自信は全くないんですよ。昨日も練習で忍さん(太田忍)さんや御代川(敏志)さんにボコボコにされて、心も折れて半ベソになっていましたもん。『端さんにもボコボコにされて、私も心が折れてタップしてしまうのかな……』と考えてしまいましたから(苦笑)」

――……練習がトラウマになってしまうのではないですか。

「アハハハ。でも毎回、練習でボコボコにされることで『次の相手はここまで強くないだろう』と思えるんですよ。私はボコボコにされて強くなるタイプで。だからライカ選手のようなレベルの相手と対戦しても、気持ちの面で優位に立てるんじゃないかと思います。『端さんもウチの男子選手よりは強くない。強くない』と考えながら練習してきました」

――よほど練習でボコボコにされているのですね(笑)。

「女子MMAファイターって、まだまだ選手人口は多くないじゃないですか。だから男子選手と練習することはあっても、相手が受けてくれることが多いですよね。でも自分は、そんな練習は一切していないので。練習に対して甘えはない。その点だけは自信があります。端さんも男子選手に混ざって、甘えのない練習をしている方じゃないですか。私も同じか、それ以上だと思っていますから」

――確かに、端選手の練習に臨む姿勢は尊敬の対象にもなっています。

「ライカさんもそうですし端さんも、それだけの練習に取り組んできていることは本当に尊敬しています。あとは、今なら伊澤星花さんですかね」

――伊澤選手と練習したことはあるのですか。

「ないです。私は対戦する可能性がある選手とは練習しないので。でも伊澤さんと練習したことのある男子選手から聞くのは、とにかく巧いって。あとは強くなるために妥協がない。だけど、力は私のほうがあるって言われました」

――アハハハ。最後に自分を上げてきますね。

「それだけの練習をさせてもらっていると思うんです。たとえば月曜日の朝から、練習で征矢貴さんにギロチンを極められて大号泣したりとか」

――号泣するのですか。

「号泣ではなく、大号泣です(笑)。しかも一本目のスパーから極めてきますからね。翌日は忍さんと御代川さんにボコられ、また泣いて……。自分ほど試合前に泣かされている選手はいないと思っています。柔道時代から、相手が男だろうと誰だろうと練習でやられたら悔しい。打撃スパーでジャブを1回当てられただけで『絶対にブッ飛ばしてやる』と思うし、グラップリングで倒されたら『足にしがみついてでも極めてやる』っていう気持ちになりますよ。とにかく負けたくない、勝ちたいです」

――これまで端選手は、ジャブとグラウンドコントロールで相手を削り、勝利してきました。本人は謙遜から否定していますが、間違いなく相手の心を折ってきたファイターだと思います。重田選手はご自身が、これまで端選手が戦ってきた相手とは違うと言い切れますか。

「はい。そもそもテイクダウンされることはないし、端さんが私のスピード――特にスクランブルからの回転の速さには、ついてくることができないと思います」

――重田選手はストロー級でプロデビューしましたが、今回はフライ級のベルトに挑みます。前回のライカ戦もフライ級契約で、階級の違いなどは感じませんでしたか。

「私としては、フライ級よりもストロー級のほうが合っていると思います。でもフライ級でチャンスをもらった以上、ここで勝って改めて『ストロー級で戦いたい』と言いますよ。勝たないと自分に発言権はない。それがファイターだと思っているので」

■視聴方法(予定)
2024年3月31日(日)
午後1時00分~ U-NEXT 、PANCRASE YouTube メンバーシップ

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