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Interview J-CAGE Shooto2021#06 ブログ 岩本健汰 椿飛鳥

【Shooto2021#06】椿飛鳥とMMAデビュー戦、岩本健汰「そんなに甘くないということは分かっています」

【写真】もちろん打撃への慣れは必要だ。と同時に岩本は壁レスを2年以上もやり込んできたという強味もある(C)MMAPLANET

20日(月・祝)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2021#06で、岩本健汰がMMAデビュー戦で椿飛鳥と対戦する。

岩本といえば柔術と別物になってからのグラップリングを日本で最も究めてきたグラップラーだ。その岩本がAOKI PROJECTという特別な環境で、プロ修斗デビュー戦を戦う。グラップリング界には五輪スポーツのようなステイタスはない。しかし、MMAで通じるグラップリングのメソッドを岩本は、MMAファイターとの練習で確立してきた。

MMAデビューを直前に控えた岩本の想いとは。


──以前からMMAに興味を持っているという話はありましたが、実際に試合に出ようと決めたのはいつ頃だったのでしょうか。

「グラップリングをある程度やってから、MMAに進もうという気持ちはずっとありました。実際にMMAの試合に出たいと思ったのは、クレベル・コイケ対策で練習するようになった朝倉(未来)さんに誘われて、MMAの朝練習に行き始めてからです」

──グラップリングで世界一という目標を掲げていましたが、とにかく日本にいるとグラプリングは試合機会もほぼほぼありません。そういう状況でMMA転向が早まったというのはありますか。

「それは一つの要因としてあります。グラップリングだと先が見えないので」

──では今後はMMAに専心するということでしょうか。

「グラップリングを引退するわけではないです。ただ、優先したいのはMMAです。ADCCとかは勿論チャレンジしますが、どちらかといえばMMAを優先したいという気持ちでいます」

──グラップリングを日本で確立するのは、困難でしたか。

「グラップリングから離れるというわけではないです。Unrivaledもあるし、機会があれば出ます。ただMMAを優先しようと思っています」

──今回の試合というわけでなく、現状の組技の力でMMAへの適応はどの程度できると考えていますか。

「今の僕のグラップリングの技術体系は……かなりMMAグラップリングを練習してきたという部分があるので、そのまま使えるといえば使えます。ヒザやヒジを考えると、少し変わってきますが、ちゃんと上を取って抑えてサブミッションを極めるという点では、そのまま使えると思います」

──ぶっちゃけてしまうと、Road to ONEという話もあったと思います。でも、結果的にグラウンドのヒザ有りより北米ユニファイドのようが良かったという気はしませんか。

「ONEルールはグラウンドのヒザがありますらね。寝技のヒザの有無というのは、それほど考えていたわけではないです。相手だけでなく僕も使えるとはいっても、なかなか練習でも使えるものではないので」

──その点でいえば修斗は前日計量の北米階級に戻っていますが、当日の70.3キロというのはコロナ禍もしくはRoad to ONE方式ですね。

「椿さんは前日のフェザー級を希望していたようですが、試合決定から期間が短くて僕は65.8キロまでは落とせないと伝えました。前日の70.3キロだと椿さんも厳しいようで、折衷案のような形で当日の70.3キロで合意した形です」

──すでに戦いが始まっている感が伝わってくるやりとりです。私が椿選手なら『次回大会で前日計量のフェザーにしましょう』とか言ってしまいますけど、彼が折れた形ですね。

「僕自身はそこまで戦略的に考えていたわけじゃないですけど、優遇してもらえた感じはします」

──正直ですね(笑)。ところでロータス世田谷でMMA選手との練習をしている姿は何度も見てきましたが、MMAで戦うことを決めたトライフォース赤坂でも練習は続けているのでしょうか。

「今はロータスで見てもらっています。MMAの試合に出る時は、所属もロータス世田谷でやっていくことにしました。朝倉さんにMMAの練習を誘っていただき、MMAを始めた形なのですが、チームとしては考えると、やはり身近でずっとグラップリングの練習をさせてもらっていたのはロータスの人たちなので。朝倉さんもクレベル戦が終わってからも、『いつでも練習してくださいね』って凄く気さくに言ってくれたのですが、そこは線引きをしてMMAはロータスだけでやっています」

──MMAはロータスだけでということはグラップリングや打撃は、ロータス以外でも練習を?

「まず柔術やグラップリングに関してはイグルー所属のままで、指導も続けます。打撃はReBORN経堂というキックボクシング・ジムに時間のある時に行っています。それとロータスの月・金のグラップリング練習のあとで、八隅さんや宇野さん、北岡さんがマススパーをしてくれています」

──ズバリ、どのようなスタイルを目指していますか。

「現状、グラップリングを生かすMMAです」

──それはそうですよね。愚問でした。ではいきなりのプロデビューに関して、どのように思っていますか。

「そんなに甘くないということは分かっています。僕自身、アマチュアからやるつもりでもいました。ただ、この機会を貰ってプロ修斗で試合をさせてくれるということになったので、その機会を無にしたくはなかったです。青木さんからも、最初からプロという話を頂き、八隅さんも『グラップリングという武器があるから、いきなりプロで問題がない』と言ってくれたので。

正直、打撃に対応はできないと思います。ただ自分なりに、グラップリングをMMAで生かせることができる。それは練習を通して感じてきているので、勝つ自信は凄くあります」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
9月20日(月・祝)
午後6時00分~ ABEMA格闘チャンネル

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ABEMA News Preview Shooto2021#06   ブログ 岩本健汰 椿飛鳥

【Shooto2021#06】最後の隠し玉は岩本健汰。AOKI PROJECT発動、MMA初陣で椿飛鳥と対戦決定

【写真】有情も無情もとれる、岩本のデビュー戦の相手として指名を受けた椿だ(C)MMAPLANET

15日(水)、20日(月・祝)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2021#06でAOKI PROJECT提供マッチとして70.3キロ契約(※当日計量)=岩本健汰✖椿飛鳥の一戦が組まれることが発表された。

グラップリングではなくプロ修斗公式戦、つまり岩本がMMAデビューを迎えることとなった。


宇佐美正パトリックに続き、今大会の最後の隠し玉は岩本の初MMAだった。青木真也とABEMAが1年4カ月ぶりに発動したAOKI PROJECT。実は青木は7月頃から岩本のMMAデビューをプランニングしており、当初はRoad to ONEがその舞台と考えられていたが、ちょっとした驚きとなる初陣の舞台となった。

対戦相手も青木presentsで、椿に決まった。椿といえば格闘技代理戦争シーズン2で青木の推薦選手として出場し、それからつかず離れずの関係にある。とはいえ、ここで青木による、岩本のためのマッチアップとは……青木らしい親心でもあるが、常人の神経では椿はどこまで青木に翻弄されるのかといったところだ。

朝倉未来がクレベル・コイケ対策で岩本と練習をしてきたが、岩本はMMAデビューに向けて、ロータス世田谷で八隅孝平の指導を受け続けてきた。今やグラップリングでの所属先であるイグルー柔術の敷居をまたぐのは週に1度、それ以外はロータス世田谷とキックの道場で打撃の練習を行ってきた。

「決して腰かけでない」という岩本の本気のチャレンジは、所属先がロータス世田谷になっていることにも表れている。ともあれ、これはMMA。MMAとグラップリングは違う。と同時に岩本はADCC制覇を目標に、スクランブルの練習を取り入れて2年になる。このテイクダウン&スクランブルの指導を青木に受けて、練習仲間がMMAファイターばかりになったことで、今回の転向が本格的になったといっても過言でない。

打撃はともかくとして、岩本はノーギ・グラップリングではなくMMAグラップリングも修得している。椿としては組まれず、打撃で削ること。MMAには組みも含まれているが、パンチでダメージを与えるまで絶対に組んではならない。

岩本の組み技力は確かだ。しかし、パンチがあるなかので組み技は未知数。岩本のグラップラーとしての完成度と、椿のMMAファイターとしての完成度を比較すると、はるかに前者の能力が高い。ただし、その比較には何の意味もない。

全く予想がつかない、いや上を取れば岩本という予測だけが成り立つ一戦、楽しみでしかない。

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JJ Globo Report UNRIVALED00 ブログ 木下尚祐 椿飛鳥

【Unrivaled00】スクランブルマッチはゴールデン・スコアで木下尚祐が、椿飛鳥を下す

【写真】スクランブル・グラップリングの醍醐味が見られた最終試合。このスクランブルゲームをよりダイナミックに表現できるポイント配分もありそうだ(C)MMAPLANET

27日(日)に東京都大田区のゴールドジム・サウス東京ANEXでUNRIVALED00が開催された。

グラップリングで世界に通じる日本人選手の育成と、底辺を広げる大会という目標を掲げグランドスラムとイグルー柔術が手を取り合って行う同大会。プレ旗揚げ大会ともいえる今大会の最終試合、木下尚祐✖椿飛鳥戦の模様をお届けしたい。

<エキスパート75キロ/10分1R>
木下尚祐(日本)
Def.ExR by Golden point
椿飛鳥(日本)

序盤は立ちレスの展開となり、木下が椿をコーナーに押し込む。椿も差し返して体を入れ替えるシーンもあったが、木下はシングルからボディロックに移行してテイクダウンを決める。

右腕を差して起き上った椿が、そのまま木下をコーナーに押し込むも、2度ポジションを入れ替えた後で木下がダブルレッグで2度目のテイクダウンを決め、4-0に。

椿はスクランブルからバックを取り、後方へのボディロックテイクダウンも背中から落とせず得点はない。しかし、スクランブルでバックに回り両足をフックして4-2と挽回する。木下は胸を合わせて上を取ると、パス狙いへ。左腕を差して正対してきた椿は、がぶられスタンドに戻り離れる。

リング中央の手相撲、首相撲の押し合いのなかで椿はボディロックから2度に渡り木下を前方に崩し、両足をフック。4-4に追いつく。

木下が胸を合わせに行くと椿は腰をずらしてギロチンも、コーナー&ロープに詰まり頭を抜かれ下にされる。木下はスクランブルでバックに回り、自ら背中をつけてバックマウントを狙う。

ここで椿が前方に落とし、リバーサル。一旦はガードを取った木下は、ボディロックに取られ立ち上がれないでいるとタイムアップに。延長はゴールデンポイント方式で、最初にポイントを獲得した選手の勝利となる。

開始直後、木下のシングルレッグに椿がギロチンを合わせる。かなりタイトにマルセロチンに入った椿だが、ルールでは首を取られていても背中をつけるとテイクダウンとされるため、ここで木下の勝利が確定した。

ここも今回のアンライバルド・ルールが生んだ決着とはいえるが、熱のこもったスクランブルが見られたグラップリングマッチであった。そして、このスクランブル戦に対し下からの極めを狙う選手や、引き込んでテイクダウンを無力化する寝業師が交じり合えば、総合的な組みの戦いは現実のモノとなるだろう。


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FUMA JJ Globo News UNRIVALED01 グラント・ボクダノフ ブログ 椿飛鳥

【Unrivaled01】ルール決定、ポイント制でスイープPはなし。椿飛鳥出場&プロレスラーFUMはMMA戦

【写真】仕切り直しの組み技戦へのトライ──椿飛鳥 (C)MMAPLANET

27日(日)に東京都大田区のゴールドジム・サウス東京ANEXで開催されるUNRIVALEDの対戦カードとルールが明らかとなっている。

グラップリングで世界に通じる日本人選手の育成と、底辺を広げる大会という目標を掲げグランドスラムとイグルー柔術が手を取り合って行う同大会。MMAファイターやレスラー、柔道家が参戦しやすいルールを創っていくということだったが、今回発表されたルールはポイント制だった。


ノーギグラップリングといえばノーポイント&サブオンリー全盛の昨今、UNRIVALEDの選択をポイント制だった。そのポイント制度は以下の通りだ。

:テイクダウン、サイドポジション、マウント、バックマウント2P
:抑え込みからエスケープし、スタンドに戻ると1P
:引き込み-2P

加えてサブミッションを掛けられた選手が、立ち上がって腰の上まで相手を抱え上げるとブレイクとなり、スタンドで再開となる。

大きな特徴は抑え込まれた状態からのスクランブルに1Pがつき、引き込みは2Pのマイナス、さらにはポイントに表れていないようにスイープは得点にならないというもの。

またテイクダウンは背中をつけた場合で、持ち上げで腹ばいに落としたり、前方への崩しはポイントの対象にならず、バックコントロールにも得点はつかない。

亀の攻防では足をフックするとポイントになり、前方に落とされて下になっても得点を失うことはない。そのうえで亀の状態の選手が、背中をつけると引き込みとなりマイナス1Pとのことだ。

やはり引き込みがマイナスという特徴以上に、スイープにポイントとがないのは総合的な組み技という点において、競技柔術の大きな特徴を削った印象が強い。なお、今回はあくまでも実験的な試みで、今後のルールやポイント制を確立していくとのことだ。

さらに今大会は新型コロナウィルス感染拡大防止のために、規模が縮小され予定されていたセミナー、練習会、エキスパートトーナメントは次回大会以降へ見送られることとなった。

そのなかでエキスパート部門ではグラント・ボグダノフ✖コクエイ・マックス、椿飛鳥✖木下尚祐が決定。アドバンスドではワンマッチが3試合の他、65キロでは4人制トーナメントが行われ、アマMMAに加えプロMMA(5分✖2R)で萩原一貴とプロレスラーのFUMA、諏訪部哲平✖森永ユキトの2試合が組まれている。

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DWTNCS S02 #06 J-CAGE Report ブログ 椿飛鳥 西川大和

【Shooto2020#06】西川大和がスラムを許した直後に三角絞めで椿から一本勝ち

【写真】叩きつけられても即、三角へ(C)KEISUKE TAKAZAWA/MMAPLANET

<ライト級/5分2R>
西川大和(日本)
Def.1R3分23秒by三角絞め
椿飛鳥(日本)

右ミドルから組んで小外掛けでテイクダウンを決めた西川が、ハーフで抑える。右を差して立ち上がった椿が抱えて逆にテイクダウンし、スクランブルでバックに回る。もう1度前方に崩し、立ち上がったとこで倒すという繰り返しで椿が削っていく。胸を合わせた西川だが、椿が執拗にシングルでテイクダウンを狙う。

ダブルに切り替え大きく抱えあげてスラムした椿だが、同時に大和が三角絞めをセットアップしタップを奪った。


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J-CAGE News Shooto2020#06 ブログ マックス・ザ・ボディ 大尊伸光 工藤諒司 椿飛鳥 西川大和 野瀬翔平

【Shooto2020#06】渋谷大会で大尊✖マックス・ザ・ボディ、そして工藤諒司✖野瀬翔平!! 椿✖西川も

【写真】この一戦は楽しみ──である一方で、危険かもしれない(C) MMAPLANET

26日(火)、Sustainより19日(土)に東京都渋谷区のTSUTAYA O-EASTで開催するShooto 2020#06の追加カードが発表された。

既報の通り環太平洋フェザー級選手権試合=王者・仲山貴志✖SASUKE、フライ級の猿丸ジュンジ✖飯野タテオ、フェザー級の藤井伸樹✖後藤丈治が組まれている、この昼夜大会。本日明らかとなったのは3回戦が1試合、2回戦が5試合の計6試合だ。


まず3回戦はウェルター級(※本来はライト級──新型コロナウィルス感染予防のために当日計量&水抜き減量禁止、1階級上のクラスで戦うというフォーマットを他の試合と同様に用いている)で、大尊伸光が2年振りの修斗出場となり、マックス・ザ・ボディと対戦する。

大尊は2018年大晦日のRIZIN、トフィック・ムサエフ戦以来の実戦復帰となり、マックス・ザ・ボディは6月のTTFC08で村岡倫行をパウンドアウトしたばかり。プロ修斗初陣ながら、過去にマックス・ザ・ボディはGladiatorでプロシューターのウエタ・ユウから勝利を収めており、キャリア再浮上を願う大尊とともに、一戦の結果と内容如何で勝者はライト級の台風の目となる可能性もある。

この他、2回戦ながら修斗からONEウォリアーシリーズに転じた工藤諒司が、ライト級で野瀬翔平と戦うというカードも組まれた。現状、海外渡航がままならない状況でウォリアーシリーズのイベント再開の目途が立っておらず、4月にはRoad to ONEで椿飛鳥に圧勝している工藤。9月のRoad to ONE03出場という声も聞かれたが、ここで1年半ぶりのプロ修斗参戦となった。対する野瀬は中止となった3月大会で小林孝秀戦がキャンセルされ、半年遅れで試合出場機会を得たことになる。

柔道王国・九州のエリート柔道家だった野瀬は、高校の時に首の骨を折る大事故から復活を遂げMMAの道を歩んできた。2017年アマ修斗で全日本を制覇し、闘裸男を中心にキャリアアップに努め、現在は5勝1分と順調に成長している。そんななかで、MMAファイターとしての評価では1歩ばかりか、2歩、3歩と先をいく工藤の対戦。工藤としては、勢いのある若い選手に対して星を落とせない試合であり、野瀬は一発大物食いで2ステップ、3ステップとジャンプアップの機会としたい。

一点気になるのは──この一戦も計量無しで通常階級より1階級思いライト級で組まれているが、野瀬はもともと減量なしでフェザー級で戦ってきた選手で、水抜き減量を行えば修斗ではバンタム級で戦うことができる。ONE階級でいえば昨年9月のRoad to ONEでもフェザー級で試合をしている。コロナ禍の間に野瀬のフィジカルが大いに強化されていない限り、工藤という実力者を前にして実質1階級の体の違うは、勝負の行方を占ううえで大きなファクターとなる可能性は高い。

さらに4月のRoad to ONEで工藤に爆殺された椿が、プロ修斗初陣で西川大和と戦うというマッチアップも見られる。西川は椿と同じく、4月のRoad to ONEのムエタイマッチに出場、緑川創に敗れるも立ち技だけでも強さと頑張りを見せ評価を挙げた。

結果5月のプロ修斗無観客大会で木下タケアキとの試合機会を掴むと、この試合では一転テイクダウンを駆使して破り、今回の椿戦を迎えることなった。勢いでは西川だが、工藤戦の敗北を生かすためにも、椿は意地を見せないといけない顔合わせといえる。

この他、フライ級で大 陽✖関口祐冬、女子51キロ契約で中村未来✖永尾音波、そしてウェルター級ではヨシ・イノウエ✖飯田健夫というカードが決まっているダブルヘッダー、その他のカードの発表と、第1部と第2部の割り振りも気になるところだ。

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Bu et Sports de combat ブログ 岩﨑達也 工藤諒司 椿飛鳥

【Bu et Sports de combat】武術的な観点で見るMMA。工藤諒司✖椿飛鳥。「殴る実感が拳にある」

Kudo vs Tsubaki【写真】工藤が圧勝した試合に存在した、椿の突破口とは(C)MMAPLANET

MMAと武術は同列ではない。ただし、武術の4大要素である『観えている』状態、『先を取れている』状態、『間を制している』状態、『入れた状態』はMMAで往々にして見られる。

武術の原理原則、再現性がそれを可能にするが、武術の修練を積む選手が試合に出て武術を意識して勝てるものではないというのが、武術空手・剛毅會の岩﨑達也宗師の考えだ。距離とタイミングを一対とする武術。対してMMAは距離とタイミングを別モノとして捉えるスポーツだ。ここでは質量といった武術の観点でMMAマッチを岩﨑師範とともに見てみたい。

武術的観点に立って見た──工藤諒司✖椿飛鳥とは?!


──工藤選手と椿選手、力の差があると予測されていた試合でした。

「う~ん、今回の試合だけを見ると、本来はそれほど力の差は大きくないと私は感じました」

──それはどういう点からでしょうか。

「まず構えとして、椿選手の重心は蹴りがある戦いとして捉えると良い構えです。対して工藤選手の構えや重心はレスリングがベースにあるのも関係しているでしょうが、蹴りが出せる構えではない。ただし、構えが良くても蹴らない、パンチを出さない椿選手は工藤選手からすると怖くないですよね。

そこで椿選手はサウスポーにスイッチし、そこで出された左ミドルが良かったです。工藤選手のあの反応は危ういものだったのも確かです。あの瞬間は椿選手にとって試合の突破口となりえたのですが、続く攻撃がなかったです。繰り返しますが、あの左ミドルでチャンスを切り開いたのに、そこで攻撃が終わってしまいました。単体で見た質量でいえば工藤選手が上でしたが、あそこは相手の関係による質量で椿選手が上回っていた。でも、その先がなかった」

──重心や構えでは椿選手の方が良い、ただし個々の質量においては工藤選手が上というのはどういうことですか。

Kudo vs Tsubaki 02「それは工藤選手が常に殴る気でいるからです。これは格闘技と向かいあうと一生の課題になってくるのですが、工藤選手には殴る実感が拳(けん)にあります。相手の顔を殴る感触が常にある。椿選手はそこがなかったです」

──両者の技量以外に以前にアマ時代ですが対戦経験があり、工藤選手が勝っている。その後のキャリアの積み方を見ても、圧倒的に工藤選手の方が経験もあった。そういうなかで組まれた試合で、気持ちという部分で椿選手が最初から圧されており質量が下がるということはありますか。

「気持ちという言葉は、適切ではないですね。誰にでも気持ちはあります。ただ、私個人としては気持ちには具体性がないので、何かを検証するベースにしたくはないのです。『気持ちだ』っていう言葉、アレを試合中に使いたいとは思えない。もっと具体的であるべきで。それが思考だとか、意識だと分かります。気持ちって、説得力ないですよ。ぶっちゃけて言うと嫌いな言葉です(笑)」

──では精神状況として、不利だと思われている選手が思考や意思のありようで質量が下がるということは?

「これは失礼な言い方になってしまいますが、椿選手は勝つ気持ちがどれだけあったのか。ただし、それは椿選手に限ったことではないんです。MMAだ、空手だ、格闘技の試合だといっても、漫然と試合場に上がる人は少なくない。言ってしまえば、私もそうでした。

試合に出ている人間の誰もが、やる気満々で勝つ気満々ってことは決してないです。それがどれだけの大舞台で大切な試合でも。疲れて果てて試合場に上がる人もいます。防護服がケージサイドにいる異様な空間での試合でも、格闘技は一対一なんです。そのなかで工藤選手はもう勝つことしか考えていなかった。そういう思考の差が、能力以上に違っていたと思います」

──工藤選手は油断も驕りもなかったということですね。

「ばかりか、ここで負けて失うモノが多いのは圧倒的に工藤選手という試合だったわけですよね? 試合はどちらも負けられない。でも、より負けられないという状況は存在します。そして、より負けられない工藤選手は優位だったと思います。工藤選手は何が来てもぶん殴る、パウンドアウトするっていうのが拳にありました」

──椿選手は試合前に以前の試合で背中を向けてしまったので、そういう風にはなりたくないという決意はあったのですが。

「背中を見せないようにするのは、まず避け方を上達させるところからですね。あの避け方をしていると、結果的に背中を見せてしまう。喧嘩をしたことがない子が、いくらでも格闘技をしている時代になったので。そうですね、後ろを向く……そこは頑張って克服してほしいです。

椿選手は右足前で、左足で蹴った時の質量を基本にして……あの重心だとしっかりと打てるし、しっかりと蹴ることができます。両手両足を使える重心なんです。左足が前の時は、どうでもない。受動的です。本人はオーソの方が動きやすいと思っているかもしれないですが、攻撃するならサウスポーでないかと思いました。そういう長所はあったんです。だから、長所を伸ばして自信をつけて行って欲しいです。

背中を見せてしまうのは、自信がないから。なら工藤選手と戦ったなかで、良い点があったのだから、そこを自分の切り口にして全体の動きを創っていければと思います。工藤選手は殴る実感が拳にあって、何があっても殴る気でいます。そしてレスリングという武器がある。MMAを戦ううえで、多くの武器を既にモノにしているんです。だから用心して、手堅くいってもイニチアシブを握ることができる。

椿選手はそういう工藤選手に負けはしましたが、能力的に大きな差があるわけではない。工藤選手と同じことをするのではなくて、自分の特徴を生かして稽古で核を創っていってほしいです。左の蹴り、左の突きなんかで相手をおちょくることができるようになれば良い選手になると思います。そこで自信がつけば、もう背中なんて見せなくなります。頑張って欲しいです」

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J-CAGE ONE Report Road to ONE02 ブログ 工藤諒司 椿飛鳥

【Road to ONE02】工藤、全局面で椿を圧倒してTKO勝利

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
工藤諒司(日本)
Def.1R2分59秒 by TKO
椿飛鳥(日本)

打撃の交換から工藤がテイクダウンを奪う。工藤は椿の背中をしっかりマットにつけてV1アームロックを狙いながら、マウントポジションへ移行。確実に椿の動きを制しつつ、肩固めを狙う。これがかなり深く入ったように見えるが、椿も身体をずらして頭を抜いて脱出する。チャンスを逃した工藤だったが立ち上がった椿に右フックから襲い掛かって一気に連打。距離を取ろうとする椿にパンチの連打を浴びせて、最後はレフェリーストップでTKO勝利を呼び込んだ。

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Interview J-CAGE ONE Road to ONE02 ブログ 工藤諒司 椿飛鳥

【Road to ONE02】椿飛鳥戦へ──工藤諒司「椿選手は強くなっているはず。僕はそれ以上に強くなっている」

Kudo【写真】アマ修斗で戦った時はレスリングだけだったと、打撃に自信をつけた工藤は言う (C)MMAPLANET

17日(金)に開催されるRoad to ONE02で、椿飛鳥と対戦する工藤諒司。

アマ修斗時代に戦った両者。工藤はアマ修斗関東選手権優勝からプロへ進み、昨年10月にウォリアーシリーズを選択。一方、椿は工藤に敗れてからアマ修斗全日本を制し、格闘代理戦争出演を経て──それ以前にトライアウトで合格していた──ウォリアーで戦うようになる。

同じウォリアーで戦うもの、歩んできた道は違う。工藤は「それぞれの道を歩んだ」と互いのプロセスは気にせず、新型コロナ感染問題で不安定な時期を経て──ただ勝負に集中している。


──金曜日に試合が迫ってきました。新型コロナウィルス感染の拡大、さらには非常事態宣言がなされた状態での準備期間でした。

「ジムが休館になったりとかはあったのですが、選手だけでは練習をしてきたので、トレーニングの頻度が落ちることはそれほどなかったです。出稽古に来ている選手とか、いつもより数は減ってはいましたが……」

──日程、会場が変わることなどストレスになることはありませんでしたか。

「大会があるのかないのか、ハッキリしないところはあったので、2週間前から1週間前は考えることはありましたね。緊急事態宣言が出た時は厳しいとは思ったのですが、その時もやりたいという気持ちでした」

──今、格闘技をする時かという声も挙がるかと思います。

「ハイ。周囲の声は気になります。応援してくれる人もいると思いますが、自粛すべきだと言う人もいるはずですし。ただし、ケージに入ればやるだけです」

──ところで2月のウォリアーシリーズでイ・ミンヒョクに判定勝ちを収め、2カ月後の試合で他の選手のように『ここで試合がしたいから』という状況ではなかったかと思います。

「そうですね。期間は短かったですが、試合があるなら出たいとは思っていました」

──昨年10月にはウォリアーシリーズで4連勝中だったジェリー・ホルシムに勝利し、先ほど言ったように2月も勝った。ONE本戦で戦える力を既に示したのではないかと。

「う~ん、僕はONEウォリアーで4試合やって、勝っていればONEに上がれると思っています」

──改めてオルシムに勝った試合を振り返ってもらえますか。ウォリアーシリーズ初戦で初の国際戦、チーム・ラカイのファイターが相手でした。

「あの試合はケガがあって練習があまりできていなくて、スタミナが心配でした。だから見過ぎてしまいましたね。ただ、アレはアレで練習状況からすると勝てて良かったと思います。初めて外国人選手と戦ったのですが、組んでもそれほど力強さは感じなかったです。ただ右は怖かったので、貰わないよう警戒して戦っていました」

──ではイ・ミンヒョク戦の手ごたえは? 相手のフックをしっかりと外してテイクダウンだけでなく、パンチ、蹴りもミドルを決めるなど圧倒しました。

「外からフックを振りまわしてくる相手で、そこを頭に入れて戦っていました。練習してきたことが出せたかと思います。打撃も上達したというか、そこを試合に出せて嬉しかったですね。ただ、これまで戦った選手にはない気持ちの強さを感じましたし、倒しきりたかったです」

──ウォリアーシリーズで2連勝、ここで椿選手と戦うということはどのように思いますか。

「アマチュア修斗で戦った時の印象は残っています。あの時はレスリングだけで戦いましたけど、椿選手もアレから強くなっているはずです。でも、僕はそれ以上強くなっていると思うので、負けることはないかと……」

──アマ修斗からプロ修斗で戦ってきた工藤選手としては、格闘代理戦争からウォリアーで戦う椿選手に負けられないという気持ちは?

「そこを気にすることはないです。それぞれの道があるので、ここでまた当たるのかって感じだけでした。今、このタイミングで大会を開催してもらえることは、とても有難いです。なので思い出に残るという言い方はおかしいですけど、普通ではない大会というイメージもありますし、ここで勝つことはとても大切だと思います。だからこそ、勝って良い思い出にしたいです」

──無観客、恐らくはこれまで経験したことがない雰囲気のなかでの試合になるかと思います。

「会場入りしてみないと分からない部分もあると思うんですけど、そこまで不安はないです。無観客が試合に影響するわけでもないですしね。気にする人は気にするかもしれないけど、特に僕は気にしないです。どういう会場よりも、どういうケージなるのかとか、そっちの方を少し気にしています」

──では改めて、この試合への意気込みをお願いします。

「前回の試合で決めきれないところがあって、本当に悔しかったです。今回の試合はフィニッシュまで持っていって、次の試合に繋がるようにしたいです」

■Road to ONE対戦カード

<グラップリング・ライト級(※77.1キロ)/10分1R>
青木真也(日本)
世羅智茂(日本)

<ムエタイ72.5キロ契約/3分3R>
緑川創(日本)
西川大和(日本)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
祖根寿麻(日本)
後藤丈治(日本)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
工藤諒司(日本)
椿飛鳥(日本)

<グラップリング・フェザー級(※70.3キロ)/10分1R>
宮田和幸(日本)
田中路教(日本)

<ムエタイ・ストロー級(※56.7キロ)/3分3R>
HIROYUKI(日本)
ポン・ピットジム(タイ)

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【Road to ONE02】Road to ONEはさらなるクローズドへ、メディアの現地取材もNG

Road to ONE【写真】メディアにも取材規制の通達があったRoad to ONE。UFCの無観客試合もメディアはクローズド、ONEは極一部(2名)のみ取材が許可されていた (C)MMAPLANET

14日(火)、サステインよりRoad to Japan実行委員会主催のRoad to ONE02に関して、メディアもクローズドアウトされるという発表があった。

昨日の対戦カード発表時に会場も公としないことや、「会場を専門業者により1日複数回の消毒を実施、サーモグラフィー・体温計のよる検温、うがい、アルコール消毒を徹底し、3密の状況を極力避け、大会関係者にはマスク着用を義務付ける」などコロナウィルス感染予防の姿勢がリリースで伝えられていたが、メディアにも安全性の確保と3密を避けるために会場での取材ができないことが通達された。

また一部選手の話を聞くと、今大会の出場選手の移動などにも通常にはない配慮がなされているとのこと。この時期に大会を開く、そのためには可能な限りの努力をする意思がメディアの取材規制やこの辺りにも表れている。

※MMAPLANETからMMAファン、格闘技ファンの皆さんへ。「仮にABEMAの中継で、開催場所に思い当たったという方がいらしても、SNSでの拡散及び、目星をつけた会場に足を運ばないこと」を強くお願いしたいです。