カテゴリー
o UFC アレキサンダー・ヴォルコフ ウマル・ヌルマゴメドフ トム・アスピナル マッケンジー・ダーン

【UFC】速報中!UFC 321: Aspinall vs. Gane

IMG_1169


【ライトヘビー級】
×アレクサンダル・ラキッチ(セルビア)
(1R KO)
◯アザマト・ムルザカノフ(ロシア)
1R、開始直後からラキッチがミドルを多用して距離を制す。さらに要所要所で片足タックルで組み付いてムルザカノフをコントロール。優位に試合を進めていたが、身体が離れてのスタンドの展開から、ラキッチが踏み込んだところにムルザカノフの右フックがクリーンヒット。ラキッチは大の字!ムルザカノフはUFC無傷の6連勝!

【ヘビー級】
◯アレキサンダー・ヴォルコフ(ロシア)
(判定2-1)
×ジャイルトン・アウメイダ(ブラジル)
1R、開始直後にアウメイダが片足タックルでテイクダウンに成功。攻め手はないがポジションを固める。会場からはブーイング。すると残り2分でヴォルコフがスイープ。潜るアウメイダに対して肘とパウンドを入れる。アウメイダは最後まで脱出出来ないままラウンド終了。
2R、アウメイダはパンチからの片足タックルでまたもテイクダウン。だがヴォルコフのディフェンスが固くアウメイダは思うように動けない。するとブレイク。再開するとアウメイダが両足タックルでテイクダウン。そのまま上を固めてラウンド終了。このラウンドはアウメイダか。
3R、前に出るヴォルコフに対してアウメイダは片足タックルでテイクダウン。だがヴォルコフはすぐに立ち上がって差し合い。しかしアウメイダはタックルに切り替えてテイクダウン。ヴォルコフは下から三角を狙うが不発。アウメイダはサイドからバックに周るがすぐにヴォルコフは向き直ってブレイクがかかる。再開するとアウメイダが両足タックルで倒したところで試合終了。判定はスプリットでヴォルコフに軍配。アウメイダはテイクダウンするものの攻め手がなかったのが悔やまれる。

【バンタム級】
◯ウマル・ヌルマゴメドフ(ロシア)
(判定3-0)
×マリオ・バティスタ(米国)
1R、ミドルを放ったバティスタの打ち終わりにウマルはバックに張り付く。リフトしてテイクダウン。バティスタは下から足関節を仕掛けるがウマルは身体を反転させて脱出。そのまま上をキープしながらバックに周る。バティスタは逃げられないままラウンドを終えた。
2R、開始直後のスタンドの攻防。前に出るバティスタ。パンチから膝を入れるとクリーンヒット。ウマルはダウン。すぐに立ち上がってタックルに行くがバティスタは足を抜いて脱出。スタンドの攻防が続くがウマルはタックルでテイクダウン。だがバティスタは脱出。その後もミドルを掴んで倒す場面はあったがバティスタはすぐに立ち上がってラウンド終了。
3R、スタンドの攻防が続くとウマルが積極的に手数を出す。バティスタはタックルを警戒してか手が出ない。ウマルはさらに打撃を出しつつタックルでテイクダウン。バックに周りかける。バティスタは脱出するがその度にウマルはタックルでことごとく倒して完全にコントロール。このまま試合終了。判定はウマルに軍配。


【UFC世界女子ストロー級王座決定戦】
×ビルナ・ジャンジロバ(ブラジル)
(判定0-3)
◯マッケンジー・ダーン(ブラジル)
1R、スタンドで様子を見る静かな展開が続く。ジャンジロバはタックルを仕掛けるがダーンはいなす。それでも2回目のトライでジャンジロバがテイクダウンに成功。だがダーンもすぐに立ち上がってスタンドの攻防。またもジャンジロバはタックルで倒すがダーンは立ち上がって差し合いのまま試合終了。
2R、スタンドの攻防が続く中、ジャンジロバがタックルでテイクダウン。しかし思うように攻める事が出来ないままダーンは立ち上がる。スタンドの展開から組み付くジャンジロバ。逆にダーンが足を掛けてテイクダウンするが上下が激しく入れ替わって上になったのはジャンジロバ。このままラウンド終了。
3R、スタンドでお互い積極的にパンチを出す。するとジャンジロバがニータップでテイクダウン。だがダーンはすぐに立ち上がる。スタンドの攻防からジャンジロバのタックルを凌いでいたダーンだったが、残り2分でついにテイクダウンを許す。ジャンジロバが上からコントロールしてラウンドを終えた。
4R、スタンドの展開が続く中、逆にダーンが組み付いてテイクダウンを狙うが倒せない。それでもパンチを振るって前に出る。手数はダーンが上手か。するとジャンジロバはタックルで倒すが、スタミナ切れなのかグラウンドに行かずにダーンは立ち上がる。ここからダーンが逆に組み付いてテイクダウン。上をキープしてラウンド終了。
5R、後がないダーンはパンチを振るって前進。それに対してジャンジロバはタックルでテイクダウン。しかしダーンはすぐに立ち上がる。差し合いを経てスタンドの攻防。またしてもジャンジロバがタックルでテイクダウン。だがダーンは立ち上がる。最後のスタンドの攻防から組み付いたダーンが投げでテイクダウン。上からパウンドを入れて試合終了。判定はダーンに軍配!テイクダウンを許したが手数の多さでタイトル奪取!


【UFC世界ヘビー級タイトルマッチ】
トム・アスピナル(英国)
(ノーコンテスト)
シリル・ガヌ(フランス)
1R、前に出るのはアスピナル。積極的に手数を出すがガヌはサークリングしながら距離を取る展開。カウンターでパンチを入れてアスピナルは鼻から出血し始める。アスピナルはハイやミドルなど大きな攻撃も見せるがクリーンヒットしない。終盤に入ると打撃の交差からガヌの指がアスピナルの目に入って試合は中断。アスピナルは目が開けられないか。ドクターが集まり協議の結果、ドクターストップのノーコンテスト。無念の終了。
カテゴリー
45 MMA MMAPLANET o UFC UFC321 マッケンジー・ダーン ヴィルナ・ジャンジローバ

【UFC321】マッケンジーがTDから攻防遮断のジャンジローバに競り勝ちムンジ、ADCCとUFCの三冠達成

<UFC世界女子ストロー級王座決定戦/5分5R>
マッケンジー・ダーン(米国)
Def.3-0:49-46.48-47.48-47
ヴィルナ・ジャンジローバ(ブラジル)

ジャブからローの両者。マッケンジーが2発目のローを蹴り、ワンツーで前に出る。外したジャンジローバが右を当て、マッケンジーは右から組んでヒザを突き上げる。ジャンジローバがワンツー、マッケンジーは右オーバーハンドを繰り出す。ジャンジローバのテイクダウン狙いを切ったマッケンジーがジャブをヒット。構えを変えるジャンジローバも右をヒットさせた。

ジャンジローバは打撃の攻防のなかでダブルレッグでテイクダウンを決める。下になったマッケンジーは手首を取って、ジャンジローバを立たせない。とパンチを落とすジャンジローバを蹴りあげたマッケンジー。ジャンジローバはスタンドに戻ると、続いて立ち上がったマッケンジーに組みつく。ケージを背負ったマッケンジーは体を入れ替えて離れると、ジャブを当てる。ジャンジローバは2度目のテイクダウンを決める。マッケンジーは足を取られた状態で座り、右腕を差す。両者座った状態でパンチを打ち合い、スクランブルへ。クリンチの攻防で互いにヒザを入れ、マッケンジーが右フックとアッパーを入れた。

2R、思いきり右を振るうマッケンジーが、ダブルレッグでドライブしケージにジャンジローバを押し込む。マッケンジーは自ら離れ、ややスラッピーなパンチで前に出る。ジャンジローバはミドルを蹴り、右を当てる。さらに右オーバーハンドを当てたジャンジローバが、ダブルレッグへ。切ったマッケンジーは、続くダブルレッグで倒され足を取りに行く。スプロールで防いだジャンジローバは、クローズドガードの中から鉄槌を落とす。

両者揃って立ち上がると、パンチの攻防のなかでマッケンジーが右を当てる。ジャンジローバのダブルレッグを払い腰で投げたマッケンジーだが、その勢いを利したリバーサルでガードを強いられる。ニーシールドのマッケンジーにハンマーフィストのジャンジローバが寝技の攻防にならない絶妙の寝技を見せて立ち上がった。

3R、ジャンジローバが右オーバーハンドを空振り。逆にマッケンジーが右を当てる。ジャンジローバは蹴り足をキャッチし殴りながらテイクダウン。マッケンジーの蹴り上げから、試合はスタンドに戻る。ダブルでドライブしたマッケンジーが、ハイクロッチ。ジャンジローバがエルボーを連打する。ここもマッケンジーは自ら離れると、続くシングルレッグを切る。ジャンジローバのダブルを押し返したマッケンジーが、ケージに押し込むもテイクダウンは奪えない。打撃の間合いに戻ると、ジャンジローバが左ハイからシングルレッグへ。クリンチから崩されたマッケンジーは、ここでも下に。マッケンジーはグランド状態で顔を蹴り注意が入る。最後はスタンドに戻った両者、試合はチャンピオンシップラウンドに。

4R、ジャブの差し合いから、右を狙ったマッケンジー。左を返すジャンジローバに、左ミドルを入れる。右を当てたジャンジローバはシングルのフェイクから左フックを振るう。左を入れたマッケンジーが、ワンツーで前に出る。右を見せてダブルレッグも、ジャンジローバはテイクダウンを許さない。マッケンジーが間合いを取り直し、ジャンジローバが左を当てる。右を入れたマッケンジーが右ミドル。ジャンジローバのシングルレッグも決まらず、打撃の攻防が続く。

残り90秒、ジャンジローバがダブルレッグを決めスタンドで待ち受ける。レフェリーがマッケンジーを立たせると打撃戦のなかで、レベルチェンジしダブルレッグでテイクダウン。足を一本抜いたマッケンジーは、密着するジャンジローバに有効な攻撃は出せなかった。

最終回、「勝つなら判定はない」とコーナーマンに送り出されたマッケンジー。「あと5分でチャンピオンだ」という声を受けたジャンジローバが右ストレートをヒットさせる。マッケンジーも右を当て返し、スピニングバックエルボーへ。ここに組んだジャンジローバがテイクダウンを決める。正座のジャンジローバに対し、マッケンジーが立ち上がる。即ダブルレッグでドライブしたジャンジローバに対し、ウィザーのマッケンジーが左腕を差し返して離れる。

マッケンジーはジャブを当て、ジャンジローバのダブルレッグにオモプラッタ、ハイガードもジャンジローバが即反応する。エルボーを連打するマッケンジーに対し、ジャンジローバがスタンドへ。レフェリーが割って入り、試合はスタンドで再開。残り70秒、マッケンジーが三日月蹴り、ジャンジローバは右を入れて、スピニングバックフィストも空振りに。鉄槌をスタンドで見せたマッケンジーが、スピニングバックフィストにテイクダウンを合わせる。ジャンジローバのリバーサル狙いを潰したマッケンジーのトップでタイムアップを迎えた。

両陣営が肩車をして勝利をアピール。スタンドでの勢いがあったマッケンジーと、テイクダウンを9度決めたジャンジローバ。結果は3-0でマッケンジー・ダーンに凱歌が挙がった。ファブリシオ・ベウドゥムに次ぎ、ムンジアル、ADCCとUFCの三冠となったマッケンジーは、「アメージング。信じられない」と笑顔を見せ、「テイクダウンは許したけど、そこから膠着狙いだったので寝技の攻防でなくダメージを与えようと思った。とにかく膠着したくなかった」と話したマッケンジーは、ベルトを愛娘に与えた。


The post 【UFC321】マッケンジーがTDから攻防遮断のジャンジローバに競り勝ちムンジ、ADCCとUFCの三冠達成 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 AMMA MAX MMA MMAPLANET o UFC UFC321   アザット・マクスン アザマット・ムルザカノフ アレキサンダー・ヴォルコフ アレクサンドル・ラキッチ イクラム・アリスケロフ イリー・プロハースカ ウマル・ヌルマゴメドフ カリル・ラウントリー カーティス・ブレイズ クイラン・サルキルド クリス・バーネット シリル・ガンヌ ジャイルトン・アルメイダ ジョン・ジョーンズ スタイプ・ミオシッチ セルゲイ・パブロビッチ タイ・ツイバサ ダナ・ホワイト デリック・ルイス トム・アスピナル ナサニエル・ウッド ナスラ・ハクパレス ハムディ・アルデルワハブ パク・ジュンヨン フェルナンド フランシス・ガヌー ホセ・デルガド マッケンジー・ダーン マテウス・レンベツキ マリオ・バウティスタ ルドヴィット・クライン ヴィルナ・ジャンジローバ 堀口恭司 海外 魅津希

【UFC321】展望 ヘビー級選手権試合。底が見えないアスピナル×穴を塞いで(?!)3度目の正直ガンヌ

【写真】13試合中5試合がヘビー級戦という今大会。締めは当然、世界ヘビー級選手権試合だ(C)Zuffa/UFC

25日(土・現地時間)UAEはアブダビのエティハド・アリーナにて、UFC 321「 Aspinall vs Gane」 が行われる。ヴィルナ・ジャンジローバとマッケンジー・ダーンの間で争われる女子ストロー級王座決定戦をコメインとするこの大会のメインは、王者トム・アスピナルにシリル・ガンヌが挑むヘビー級タイトルマッチだ。
Text by Isamu Horiuchi

王者アスピナルは、UFCヘビー級戦線にて初回KOの山を築き続ける英国出身の32歳だ。UFCデビュー以来9戦8勝8フィニッシュ。そのうち7つが初回決着で、UFC唯一の敗戦である2022年7月のカーティス・ブレイズ戦は、開始15秒でローの着地時にヒザを負傷して続行不可能となったもの。オクタゴンで相手に攻め込まれたことがほとんどなく、悉く短時間で圧勝しているため強さの底がまだ全く見えていない。

一撃必殺の拳が際立つアスピナルだが、もともとのバックグラウンドは柔術家でもある父親に幼少時から学んでいる組技だ。2022年3月のアレクサンダー・ヴォルコフ戦ではボディロックと抜群のタイミングで入るダブルレッグという二種類のテイクダウンを見事に決めている。さらにそこからタイトに胸を合わせる抑え方、腰を切って足を抜くパス等寝技での体捌きの秀逸さも披露した上で、ストレートアームバーでフィニッシュ。極めの強さまで見せつけている。


初戴冠は2023年11月のMSG大会だ。当初予定されていた王者ジョン・ジョーンズ×スタイプ・ミオシッチのヘビー級タイトルマッチがジョーンズの怪我で流れると、ダナ・ホワイト代表はそのカードを温存するために、リザーバーとして控えていたセルゲイ・パブロビッチと4位のアスピナルの間での暫定王者決定戦を組んだ。

69秒で王座奪取。60秒で王座防衛

わずか2週間半の前の告知で上がった大舞台で、アスピナルは大きく踏み込んでの閃光の如き右をテンプルに叩き込み、ぐらつくパブロビッチにさらに目にも止まらぬ左右フックを叩き込んで巨体を薙ぎ倒すと、すぐさま上から鉄槌を連打。69秒で試合を終わらせてみせた。マットに突っ伏して喜びを表現したアスピナルは、幼少時から二人三脚で歩んできたヘッドコーチである父親にそのベルトを捧げた。

翌2024年の7月には、上述のアクシデント故に唯一敗れているカーティス・ブレイズを迎えて、地元英国のマンチェスターにて暫定王座の初防衛戦に臨んだ。両者の距離が近づいた瞬間、リアルタイムでは見えないほど速いジャブを当てて倒したアスピナルは、背後からパウンドの嵐を見舞ってフィニッシュ、今度は1分ジャストで仕留めてみせた。

試合後のインタビューでは、正規王者(であるにもかかわらず、暫定王者の自分を差し置いて元王者のミオシッチを挑戦者に迎えたレジェンドファイトを予定している)ジョーンズに「ハロー、ジョン! 個人的に君への恨みは何もない。でも僕は自分の方が強いと思うし、君を倒せると知っている。獲りに行くぞ!」と丁寧なメッセージと送った。

さらにアスピナルは「聞いてくれ。僕は普通の人間。普通の家族、家庭、地域の出身だ。いま家で視てくれているあなた方と同じくね。でも時には、そんな普通の人間たちが並外れたことをやってのけることができる。僕はその証明だ。みんな懸命に頑張り、目標に向かって行ってほしい。自分を抑えることなしに!」と言葉を重ねた。

決して相手を煽らず、スーパースターとして派手に振る舞うのではなく、あくまで「普通の人々」の一人として戦い、人生にて努力を重ね目標に邁進する姿を示すというのが、アスピナルが選んだプロとしての姿勢だ。

その後ジョーンズは2024年末にミオシッチを倒し、正規王座防衛に成功した。当然アスピナルとの王座統一戦を望む声が高まったが、以前から「アスピナルと戦っても、俺のレガシーにはなんの足しにもならんよ」と公言していたジョーンズは応えず。結局半年以上経った今年の6月、デイナ・ホワイト代表はジョーンズの引退を発表。同時にアスピナルを新しく正規王者に認定するとした。

対戦要求していたジョーンズに逃げられた形となったアスピナルだが「まず言いたい。人生とキャリアにおいて前に進む彼に、神の祝福があらんことを。我々も次に行こうじゃないか。僕はどんな相手とも戦うよ。今こそヘビー級戦線を動かす時だ。みんな待ちくたびれていたんだから」と、いかにも彼らしい態度で前向きに対応した。そして今回、アスピナルは現在のUFCヘビー級の中では最大の難敵と思われるガンヌを相手に、正規王者の初めての防衛戦に向かう。

チリンなヴァイブス

対する挑戦者のガンヌはフランス西部生まれで、父親はカリブ海西インド諸島にあるフランスの海外県であるクアドループの出身。普段からなんともchillin’ (まったりとした)なヴァイブスを発散しており、自身のドキュメンタリー映像においてもレゲエを流しながらご機嫌にゆったり踊り、幼少時に訪れたクアドループにてココナッツを用いてマリファナを嗜んでいた人々の話を楽しそうに語り、「ラスタマン(※レゲエ文化人??)!」と叫ぶ場面があり、その立居振る舞いにはカリブ海文化の影響を強く感じさせるものがある。

24歳の時に地元を離れ、ワークスタディ(働きながら学ぶ学生支援制度)でパリを訪れたガンヌは、勤めていた家具店の同僚に勧められてムエタイをはじめ、すぐにその才能を発揮してプロのリングで勝利を重ねた。家具店が潰れたこともあり、より真剣に取り組んだムエタイにてガンヌは14戦全勝9KOの記録を残しており、それ以前はサッカーとバスケの経験しかなかったことを考えても、その天賦の才のほどが伺われるというものだ。

やがて当時フランシス・ガヌーのコーチでもあったフェルナンド・ロペスと出会い、彼の勧めでMMAの道に。2018年8月にデビューし3連勝3フィニッシュを経て、翌2019年の8月にUFCデビュー。オクタゴンでも連勝街道を進み(最初の2試合は肩固めとヒールで一本勝ちしている)、2021年の8月にはデリック・ルイスとの暫定王座決定戦に駒を進めた。ここで圧倒的なスピード差を利して一方的に打撃を当てたガンヌは、3ラウンドに何度かダウンを奪った上でラッシュをかけてTKO勝利、無敗のまま王座に輝いた。

ちなみに筆者はその翌月に堀口恭司にインタビューする機会があり、ATTの仲間とこの試合を観戦した彼に感想を尋ねたところ「いや、あれ凄いっすよ。なかなかでかい体の人が、あんなに動き回れないっすから。子供の頃からやっていたんすかね、あの人?」と語ってくれた。

他の選手の試合にあまり興味を示さない堀口をもってここまで言わしめるほどの、ヘビー級離れした機動力とナチュラルタレントをガンヌは持ち合わせている。

そして翌2022年1月に迎えた大一番=正規王者ガヌーとの統一戦(元ロペス門下のチームメイト対決でもあった)。一進一退で迎えた5R早々、ガンヌは見事なタイミングでテイクダウンを奪取。勝利の芽が見えてきたところで、なんとヒールを狙って自ら倒れ込み、上を取り返されてしまうという痛恨のミス。この失敗が響いて最終Rを失ったガンヌは、僅差でプロ初敗北を喫するとともに、ヘビー級真の世界一というとてつもない栄光を逃してしまった。彼が発する魅力的なヴァイブスの根源を成している「大らかさ」が、一番大切な場面で悪い形で現れてしまったかのような痛恨の初黒星だった。

その後地元フランスで行われたタイ・ツイバサ戦で会心のKO勝利を挙げたガンヌは、2023年3月に再び大チャンスを得る。UFCと条件で揉めたガヌーのリリースを経て空位となったヘビー級タイトルを、ジョン・ジョーンズと争うこととなったのだ。が、ここではやや不用意に出した左ストレートをかわされて組みつかれてしまったガンヌは、そのままグラウンドに持ち込まれ、最後はケージ側に追い込まれてのギロチンでタップ。いいところなく敗れてしまった。

有り余る才能を有していながらも、肝心なところで詰めが甘く、一番大切な試合で勝てない──そんな印象が強く与えてしまったガンヌだが、その後セルゲイ・スピヴァックとアレクサンダー・ヴォルコフに2連勝。今回三度目の正規王座挑戦のチャンスを引き寄せた。

そんな両者の戦いの下馬評は、底を見せていない王者アスピナルが大きく有利と出ている。当然のことだ。ヘビー級を一撃で倒す凄まじい威力の拳を誇るアスピナルと、軽い打撃を当て続けての判定勝利が多いガンヌ。もともとは組技主体で、テイクダウンからのサブミッションで圧勝する姿も披露しているアスピナルと、ガヌー戦やジョーンズ戦でグラップリングにおける穴を露呈したガンヌ。「自分の大きな武器は、瞬間瞬間で正しい判断ができること」と自信満々に語り、その言葉の正しさを試合で証明し続けているアスピナルと、大一番で誰もが目を疑うような選択をやらかしているガンヌ。これまでの両者を比較すると、王者有利説を補強する要素が次々と思い浮かぶ。

しかし、ガンヌこそ我々がまだ見ていないアスピナルの「底」を露呈させてくる可能性を一番秘めた選手であることも確かだ。アスピナルの最大の武器は、一瞬で距離を詰めて放つ拳にある。それが途方もない威力を発揮するのは、相手が反応できないほどのスピード差があるが故だ。

が、ガンヌはUFCヘビー級で、唯一アスピナルに劣らぬスピードと機動力の持ち主であり、距離のコントロールでも卓越している。軽い足取りで遠い距離を保ちながらロー、前蹴り、関節蹴りと多彩に足を飛ばし、気を散らされた相手にサウスポーから閃光の如きジャブを当てるのを必殺パターンとする。アスピナルと言えども、そのうるさい手足を掻い潜り距離を詰めるのは容易ではないだろう。「トムは、僕のようなタイプの相手と戦ったことはない」と語るガンヌの言葉に嘘はない。

アスピナルもそれは百も承知で「シリルはスーパーアスレティックですごいスピードで動く。だからこっちもスーパーフィットな状態を作り、スーパーシャープに行く必要があるよね」とまったく油断はしていない。距離を保ちたいガンヌと、一瞬で詰めて仕留めたいアスピナル。間合いを制するのはどちらか。そこにグラップリングの要素がどう影響してくるのか。

「僕らの試合は重量級のニューエイジの戦いだよ。二人とも10年前のヘビー級選手とはまったく違う動きができるからね」とアスピナル。その言葉の通り、今まで見たことがないような速さと洗練度を併せ持つ、ヘビー級の頂点をめぐる攻防を堪能したい。

■UFC321対戦カード

<UFC世界ヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者] トム・アスピナル(英国)
[挑戦者] シリル・ガンヌ(フランス)

<UFC世界女子ストロー級王座決定戦/5分5R>
ヴィルナ・ジャンジローバ(ブラジル)
マッケンジー・ダーン(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
イリー・プロハースカ(チェコ)
カリル・ラウントリー(米国)

<バンタム級/5分3R>
ウマル・ヌルマゴメドフ(ロシア)
マリオ・バウティスタ(米国)

<ヘビー級/5分3R>
アレキサンダー・ヴォルコフ(ロシア)
ジャイルトン・アルメイダ(ブラジル)

<ライトヘビー級/5分3R>
アレクサンドル・ラキッチ(オーストリア)
アザマット・ムルザカノフ(ロシア)

<ライト級/5分3R>
ナスラ・ハクパレス(ドイツ)
クイラン・サルキルド(豪州)

<ミドル級/5分3R>
イクラム・アリスケロフ(ロシア)
パク・ジュンヨン(韓国)

<ライト級/5分3R>
マテウス・レンベツキ(ポーランド)
ルドヴィット・クライン(スロバキア)

<ヘビー級/5分3R>
ヴァルテル・ウォウケル(ブラジル)
ルイ・サザーランド(英国)

<フェザー級/5分3R>
ホセ・デルガド(米国)
ナサニエル・ウッド(英国)

<ヘビー級/5分3R>
クリス・バーネット(米国)
ハムディ・アルデルワハブ(エジプト)

<フライ級/5分3R>
アザット・マクスン(カザフスタン)
ミッチ・ラポーゾ(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
ジャケリニ・アモリン(ブラジル)
魅津希(日本)

The post 【UFC321】展望 ヘビー級選手権試合。底が見えないアスピナル×穴を塞いで(?!)3度目の正直ガンヌ first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 AB AMMA INVICTA MAX MMA MMAPLANET o UFC UFC321 アマンダ・ヒーバス アマンダ・レモス アンジェラ・ヒル イェン・シャオナン シリル・ガンヌ ジェシカ・アンドラーデ ジャン・ウェイリ タチアナ・スアレス トム・アスピナル ビア・メスキータ マッケンジー・ダーン マリナ・ホドリゲス ルピタ・ゴディネス ヴィルナ・ジャンジローバ 青木真也 魅津希

【UFC321】展望。マッケンジー×ジャンジローバ。光と影、再び相対する時…新UFC女子ストロー級王者誕生

【写真】エイネモ×ヴェウドゥム、青木真也×シャオリンのように卓越したグラップラー同士のMMAがグラップリング合戦にならないことはしばしある。それでも両者の参戦は組み技の攻防が前回より見てみたい(C)Zuffa/UFC

25日(土・現地時間)UAEはアブダビのエティハド・アリーナにて、UFC 321「Aspinall vs Gane」 が行われる。王者トム・アスピナルにシリル・ガンヌが挑むヘビー級タイトルマッチをメインイベントとするこの大会のコメインは、ヴィルナ・ジャンジローバとマッケンジー・ダーンの間で争われる女子ストロー級王座決定戦だ。
Text by Isamu Horiuchi

ここ数年間、UFC女子ストロー級はジャン・ウェイリが絶対王者として君臨していた。が、ウェイリは階級を上げてバレンティーナ・シェフチェンコのフライ級王座に挑むことを決意し、ベルトを返上した。(UFCは今年の2月から、一人の選手が二階級のタイトルを同時に保持することを禁止し、王者が別の階級に挑む際はベルトを返上しなくてはならないという非公式のルールを施行していると報道されている)そこで今回、ランキング1位のジャンジローバと5位のダーンという、卓越した柔術ベースの組み技技術を持つ両者の間で王座決定戦が行われる運びとなった。

ダーンの父は柔術界の鉄人

ランキングは下だが、知名度、人気ともに圧倒的に勝っているのはダーンの方だ。その父は柔術界の鉄人「メガトン」ことウェリントン・ディアス。もっともこの人物を形容するのに「鉄人」という使い古された言葉では不十分だ。1996年の第1回のムンジアル(柔術世界選手権)の黒帯アダルトの部で準優勝して以来、2019年まで黒帯アダルトの部に実に24回連続出場したメガトン。

その後数年はマスター&シニアの部で戦っていたが、2023年には55歳にして世界柔術黒帯アダルトの部に復帰し、コラル帯(黒帯を取得してから約30年以上指導や稽古を続け、柔術界への多大が認められた者のみに許される最高位に近い帯)取得者として初めて世界柔術アダルト黒帯の部に出場という途方もない記録を樹立している。

そんな父の下で幼少時から柔術に親しんできたダーンは、10代の頃から柔術世界選手権の全ての色帯の部で優勝。多彩かつ高度な技術を次々と繰り出す戦いぶり、美貌、輝くばかりの笑顔…と観る者を魅了するあらゆる要素を持ち合わせた彼女は、たちまち世界の注目を集める存在となった。

茶帯時代には日本のバラエティ番組にて、柔道経験のある芸能人とエキシビションマッチを戦ったことすらある(ちなみに当時から「野獣の如き風貌の父親から、なぜこのような美しい娘が」という声が囁かれていたが、よく見るとこの親娘の顔立ちは瓜二つだ)。


ダーンとはあまりに対照的な道を歩んできたジャンジローバ

(C)IBJJF

2015年には黒帯としてムンジアルを筆頭に――。

パン、アブダビワールドプロ柔術、ADCC世界大会、ノーギ・ワールズといったメジャー大会全制覇という偉業を達成したダーン。当時は毎回無差別級にも出場し、判官贔屓の観客の大声援を背に自分の倍ほどの体格のガビ・ガルシアに果敢に挑んでは場内を沸かせており、実際2015年のアブダビワールドプロの無差別級決勝では、ついにガルシアから僅差の勝利を挙げてダブルゴールドを達成している。

こうしてダーンは弱冠22歳にして競技柔術&グラップリング界で得られる栄光の全てを手にすると、翌2016年にはMMAプロデビュー。デビュー以来5連勝(3つの一本勝ち)の記録をもって、2018年3月にUFC初登場を果たした。

(C)Zuffa/UFC

そんなダーンとはあまりに対照的な道を歩んできたのが、ジャンジローバだ。

生まれつき斜視(両目の視線が平行にならない状態)を持つことで幼少期から苛めを受けたという彼女は、苛まれる不安を緩和するという目的を持ち5歳で柔術を始めたという。若くして姉を胃がんで失った時にはパニック発作に襲われ「周りの人々がみんな死んでしまう」と思い詰め、家の外に出ることすら恐ろしいと感じることもあったジャンジローバ。彼女に姉の死を忘れさせたのは道場での柔術の練習であり、苦手な遠出も柔術の大会出場の旅ならば安心してできるようになったと語っている。

柔術で才能を発揮したジャンジローバは、ブラジルで開催されるCBJJE主催の大会の各帯を制覇。茶帯時代には(のちに世界柔術を6度制覇しADCC世界大会も優勝する)ビア・メスキータに、黒帯としてはUFCトップランカーとなったクラウジア・ガデーリャに勝利して優勝した実績をも挙げた彼女だが、その名が国際的に知られることはなかった。当サイトのインタビューで彼女は「経済的な問題で、リオやサンパウロの大会には2年に1回くらいしか参加できなかったから、名前を挙げても、また表舞台から消えるような感じ」、「IBJJFのムンジアルに出たことはないの。ロサンゼルスの大会に出るだけのお金はないし、スポンサーもいなかった」と語っている。そんな厳しい現実のなか、ジャンジローバはMMA転向を決意した。

(C) INVICTA FC

2013年にプロデビューし、祖国で10連勝を飾ると2017年12月にインヴィクタFCに登場。

翌年3月には魅津希──奇しくも今度のUFC同大会に出場予定だ──を2-1で下してストロー級王座を戴冠し、さらに1つの一本価値を経て14戦全勝の戦績をもって2019年4月にUFCデビューを迎えた。

輝く柔術の星の下に生まれ、その導きのまま光の中を進んできたかのようなダーンと、生まれながらに試練を与えられ、柔術にすがり柔術に救われて過酷な人生を生き抜いてきたジャンジローバ。あまりにも違いすぎる柔術の道を経て世界最高レベルの組技師となった両者は、やがてともにMMAを志し、ほぼ同時期にその最高峰の舞台=UFCに辿り着いた。

(C)Zuffa/UFC

その後両者は、それぞれ改めて厳しい道を征くこととなる。

ダーンはUFCにおける最初の7試合で6勝1敗(4つの一本勝ち)を収めたが、その後マリナ・ホドリゲスやイェン・シャオナンといったランカー達には寝技を凌がれて苦戦。2023年11月にはジェシカ・アンドラーデの強打の前に生涯初のKO負けを喫し、翌年2月のアマンダ・レモス戦も二度ダウンを奪われ敗れた

ジャンジローバは、デビュー戦でいきなり元王者のカルラ・エスパルサに挑み、ハイレベルなMMAグラップリング戦の末に惜敗。2020年12月にはダーンとの初対決で打ち負けると、21年10月にはアマンダ・ヒーバスにテイクダウンを切られて打撃をもらい続けて敗北した。

しかし両者はここで屈せず、絶え間ぬ努力を重ねて、進化を遂げてゆく。

(C)Zuffa/UFC

ジャンジローバは2022年5月のアンジェラ・ヒル戦以来ここまで5連勝だ。

昨年7月のレモス戦は引き込んでのハーフガードスイープを仕掛け、投げ返されるものの背後に付き、チョーク狙いからの腕十字で見事な一本勝利を挙げた。今年4月のイェン・シャオナン戦は、スタンドで巧みに距離を取り、打撃をもらわずに組みつくとグラップリングで全ラウンド完全支配して判定3-0で完勝。ナンバーワンコンテンダーの座を確固たるものにした。

ダーンの方も、昨年8月にルピタ・ゴディネス相手に、向こう見ずな打ち合いを避け精度の増したパンチで渡り合い、マウントを奪う場面も作って快勝

今年1月には一度敗れているヒーバスと再戦し、下からの腕十字狙いからスイープし、マウントから改めて十字を取って会心の一本勝利を挙げた。そして上述のように王者ウェイリの王座返上があり、2位のタチアナ・スアレスが試合を消化したばかり、3位のシャオナンと4位のレモスはともに最近ジャンジローバが倒しているという状況も味方し、今回の王座決定戦に選ばれたのだった。

ジャンジローバがいかにダーンの打撃の間を縫って組みつくか

(C)Zuffa/UFC

上述のように、この二人は約5年前の2020年12月に一度対戦している。

この時はダーンが思い切りのいいワンツーを中心に果敢に前進し、ジャンジローバがそれを迎え撃つ展開に。2Rの打撃の交錯時、ジャンジローバが放った右ミドルのヒザがダーンの顔面にヒットし鼻が折れる場面があったが、ダーンは3Rも前進して強烈な右ストレートをヒット。結局スタンドの有効打の差で3者共29-28の判定でダーンに凱歌が上がっている。

試合前には「この試合は二人の柔術スペシャリスト同士の戦い。だからこそ特に大切なものとなる。ダーンはとても人気があり、世界的に有名な柔術選手。もし私がそんな彼女から一本とれたら素晴らしいこと」と語っていたジャンジローバ。試合ではダーンのシングルレッグを防ぎ、また上手く切り返して上を取る場面も見せた。しかし、ダーンの寝技を警戒したせいか自分からテイクダウンやトップからの攻撃を仕掛けることができず、己の最大の強みを活かせぬまま終わってしまった。

MMAという競技を通して我々は、ジャンジローバの人生を貫く魂の戦いを見ることができる

あれから5年。それぞれ鍛錬を重ね進化した両者は、いかなる戦いぶりを見せてくれるのだろうか。5年前は「ハイレベルなグラップラー二人がMMAで戦うと、立ち技の攻防に終始してしまう」というパターンに嵌ってしまったこの顔合わせ。今回も同じ展開が続くならば、当時以上に鋭く正確な打撃に磨きをかけているダーンの優位は否めないだろう。

よってこの試合の見どころの一つは、ジャンジローバがいかにダーンの打撃の間を縫って組みつくかだ。近年彼女は、スタンドでスイッチやフェイントを多用し相手に的を絞らせず、被弾を避けて組みつく術において大きな進歩を見せている。ダーンもそんな対戦相手について「ヴィルナのファイトIQはすごく向上していて、自分の戦いをやり抜くことができている。彼女は私が負けたマリナ・ホドリゲス、イェン・シャオナン、アマンダ・ヒーバスに勝っているけど、きっと私の敗戦から学んだのだと思う。(グラップラーは)こんなふうに戦っちゃダメだんだってね(笑)。私みたいに打ち合ってダメージを受けることなく、組みついて極めたり勝利する方法をうまく実行した」と(やや自虐ジョークを交えながら)語っている。

これは単に技術的な問題ではない。ジャンジローバは今回「この試合で一番大切なことは、技術以上に精神のあり方」と語っている。ダーンやヒーバスとの初戦で敗れ「私は王者の器ではないのでは」と疑うこともあったという彼女だが、常に専門家の指導を受けて精神面の改善に取り組んできた。5年前の自身と比べて「今の私は遥かにいい精神状態にある。当時は自分を抑えつけてしまっていたけど、今はそんなことはない」と語るジャンジローバ。

幼少時からさまざまな内なる敵と戦い続けてきた彼女は今回、世界の頂点を極めたグラップラーであるダーン相手に、自らの最大の武器でもある組技勝負に打って出ることができるのか。MMAという競技を通して我々は、ジャンジローバの人生を貫く魂の戦いを見ることができる。

もっとも、自らの内に潜む敵と戦い克服してきたことにおいては、ダーンも同様だ。今回の試合前のインタビューで彼女は、「これまで何度も『自分はこれ(MMA)をすべきじゃない』、『柔術に戻るべきかな』って考えたことがあった。柔術では私は全てを勝ち取ってきたから。これは自分を謙虚にする経験。白帯になって学び直し、進んでゆくようなもの。UFCは多くの批判者を集める大きな場。UFCファンは私を好きになって、嫌いになって、また好きになってくれたり、ローラーコースターに乗っているようなもの。ロンダ・ラウジーみたいに無敗で王者になれたらって思わないでもないけど、私はこれまでの自分の旅を誇りに思っている」と語っている。

ダーンは柔術ファンタジスタ

とまれ、ジャンジローバがダーンに組技勝負を挑んだ時、我々見る者には、前回見ることができなかった女子MMA最高峰のグラップリングの攻防を堪能できる可能性が開けてくる。お互いに柔術をベースに持つが、そのスタイルは共通の根を持ちつつも大分異なっている。

ダーンはときに現代の競技柔術・グラップリングの技術をほぼそのままMMAで通用させてしまう柔術ファンタジスタだ。下から目にも止まらぬ速さで仕掛けて相手の腕を絡め取るオモプラッタ、シッティングガードで相手の膝裏を抱えて足を絡めて崩す動き等、UFCの舞台では滅多に見られない技術を有効に使う。それでいてホイラー・グレイシーの黒帯を父に持つ者に相応しく、トップを取った時のマウントの安定感とそこからの極めの強さも出色だ。

ジャンジローバは、よりケージMMA用に進化したグラップリングの使い手

対するジャンジローバは、よりケージMMA用に進化したグラップリングの使い手だ。相手をケージに押し付けて逃げ道を封じてのテイクダウン、相手の足に自らの足を絡めて逃さない動き、背中を見せた相手への隙のない体重のかけ方等、現代MMAで多用される技術において誰よりも卓越した女子選手だ。ダーンもそれを承知で「私はヴィルナにケージに押しつけられたり、抑えられて膠着され負けてしまうつもりは毛頭ない。私のグラップリングが彼女より優れていることは知っているし、それは記録でも示されている」と語っている。

対するジャンジローバのコーチのヘナート・ベラメは「マッケンジーはすごい技術を持っているけど、MMAグラップリングならヴィルナが上だと信じている」と語る。二つの異なる女子最高峰の組技が交錯する場面を、今度こそ期待したい。

実はこの試合には──英語圏のファン(と呼べるのかは分からない人々)から「まったく興味がない」、「最大のトイレタイムだ」といった声、あるいはそれ以上に心ないコメントが少なくなく寄せられている現実がある。しかし、柔術系の組技を愛好する者や、試練を乗り越えて人が生きる姿に感銘を受ける者なら、この試合は見る価値がある。

輝く柔術の星の下に生まれたダーンと、苛烈な境遇下で柔術に生かされてきたジャンジローバ。どちらが王者に就こうとも、また組技の攻防がほとんど見られないまま試合が終わったとしても、この試合は柔術に人生を賭け、戦い続けてきたアスリートの勝利を告げるものとなる。


■視聴方法(予定)
10月25日(土・日本時間)
午後11時00分~ UFC Fight Pass
午後10時30分~ U-NEXT

The post 【UFC321】展望。マッケンジー×ジャンジローバ。光と影、再び相対する時…新UFC女子ストロー級王者誕生 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 MMA MMAPLANET o UFN UFN249 アマンダ・ヒーバス キック マッケンジー・ダーン

【UFN249】マッケンジーが蹴りでヒーバスを翻弄。最後はマウントからの腕十字で鮮やかな一本勝ち

<女子ストロー級/5分5R>
マッケンジー・ダーン(ブラジル)
Def.3R4分56秒by 腕十字
アマンダ・ヒーバス(ブラジル)

ヒーバスが細かいパンチのフェイントで前に出る。マッケンジーはそこに右カーフを蹴る。ヒーバスもパンチから右の蹴りにつなげ、右カーフを蹴る。マッケンジーは右から飛び込んで返しの左フック。お互いにカーフを蹴り合うと、ヒーバスがワンツーやスピニングバックキックを繰り出す。

マッケンジーは右の前蹴りから右カーフを蹴り、右フックから左フックへ。ヒーバスのパンチをバックステップでかわして左ミドル、ここも右フックから左を返し、バックステップを駆使してヒーバスにパンチを当てさせない。

ここでヒーバスがサウスポーにスイッチして右ジャブと右フック。これで戦況を変えようとするが、逆にマッケンジーがダブルレッグを成功させてテイクダウンを奪う。ヒーバスがクローズドガードを取ると、マッケンジーはケージに頭を押し付けてパンチを入れる。

2R、オーソに戻したヒーバス。マッケンジーは右カーフとインローを蹴って、シングルレッグに入る。ここはヒーバスが投げてテイクダウンするが、ガードを取ったマッケンジーは側頭部にヒジを入れて、これでヒーバスの右目尻をカットする。マッケンジーはヒーバスの首を左手で抱え、ヒーバスの左手首を持ってサブミッションのチャンスを狙うが、ヒーバスはトップキープしてヒジを落とす。

マッケンジーが左腕を差して体を起こしつつガードをキープすると、ヒーバスはインサイドガードからヒジを入れる。マッケンジーも下からヒジを返し、腕十字を狙いつつオモプラッタへ。ヒーバスは背中でマッケンジーの体をつぶそうとするが、ダーンもヒーバスの腕を極めつつ最終的にヒーバスをスイープして、インサイドガードでトップキープする。

3R、サウスポーのヒーバスが左ハイ。マッケンジーは左フックを狙いつつ右の前蹴り、ヒーバスのジャブをバックステップでかわす。ヒーバスは左ミドルとワンツー。マッケンジーがヒーバスの蹴りに合わせて組みつき、ヒーバスに投げを許さずに両差しでケージに押し込む。

ヒーバスが小手を巻いて投げを決め、下になるマッケンジーだがガードポジションを取ると下から打撃を入れ、ヒーバスの右腕をとって腕十字へ。ヒーバスは腕をクラッチして体重をかけて右ヒザを蹴るが、マッケンジーはヒーバスの足を抱えてひっくり返すとマウントへ移行する。マウントをキープするマッケンジーは残り10秒でヒーバスの左腕に腕十字へ。これをしっかりと極めて、ヒーバスからタップを奪った。


The post 【UFN249】マッケンジーが蹴りでヒーバスを翻弄。最後はマウントからの腕十字で鮮やかな一本勝ち first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 LFA LFA198 MMA MMAPLANET o ビア・メスキータ マッケンジー・ダーン

【LFA198】ビア・メスキータ、じっくり攻めてアラウージョをRNC葬。「マッケンジーとは練習したい」

<女子バンタム級/5分3R>
ビア・メスキータ(ブラジル)
Def.2R4分21秒by RNC
フェルナンダ・アラウージョ(ブラジル)

パフンパとレティシア・ヒベイロをコーナーにつけたビアは、-1400というフェイバリットで試合開始を迎えた。打撃の間合いでジャブを伸ばすビアが、右ロー。アラウージョがワンツー、そして右を伸ばす。ビアはワンツーから左、そして右ローを蹴る。ステップインしワンツーを振るうビアだが、ここで左を被弾してバランスを崩す。右オーバーハンドからパンチの応酬も、ビアは上体があがり、アゴががら空きで危ない。それでも組みへのステップインはスピードに乗っているビアは、シングルからクリンチへ。右腕を差し、左でパンチを放つビアが小外刈りへ。アラウージョが耐え、互いにヒザを繰り出す。

残り1分を切り、ヒザを続ける両者。そのままクリンチが続き、ビアが左のパンチを打つ。アラウージョも右を返し、そのままケージに詰まった状態で初回が終わった。

2R、3度目のMMAで初めて2Rを戦うビア。右を振り、右ローを蹴るアラウージョ。ビアは右ローにワンツーを合わされそうになる。アラウージョはジャブをジャブを伸ばし、ワンツー。これも届かず、ビアが前蹴りを繰り出す。アラウージョが右を当てるも、大きな動きはないまま時間が過ぎる。アラウージョのワンツーに、ビアは小外刈りでテイクダウンを決める。まだ時間は2分残っている。足を畳まれた状態でハーフのアラウージョに対し、ビアはパスでなく細かいパンチを落とす。と、一気に足を越えてマウントを奪う。

懸命にボディロックを取るアラウージョにエルボー、さらにパンチを落としたビアは背中を取ると一気にRNCを極めた。「スタンドで向き合う自信が少しついて、テイクダウンすれば私の時間だから、焦らずミスを犯さないように戦った。テイクダウンしてからも、急いで仕留めに掛からず練習をしてきたパウンドを落としたの」と話したビアは、ケージサイドで観戦していたマッケンジー・ダーンと戦うことはいう質問受けると、「私は体重を落とせないし、マッケンジーは階級を上げることはない。もう戦うんじゃなくて、一緒に練習したい」と話した。

The post 【LFA198】ビア・メスキータ、じっくり攻めてアラウージョをRNC葬。「マッケンジーとは練習したい」 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 AB F1 MIKE MMA o ONE UFC   アンソニー・スミス ダスティン・ジャコビー ドミニク・レイエス マッケンジー・ダーン ヴィトー・ペトリーノ

12.14 UFCタンパ大会でマッケンジー・ダーン vs. アマンダ・ヒバス、ダスティン・ジャコビー vs. ヴィトー・ペトリーノ

ニューエラ LP 59FIFTY MLBオンフィールド タンパベイ・レイズ ゲーム 13554928


 UFCが12月14日にフロリダ州タンパのアマリー・アリーナでFight Nightシリーズの大会を開催することと、マッケンジー・ダーン vs. アマンダ・ヒバスの女子ストロー級マッチが行われることをMMAJunkieが確認したとのこと。

 ダーンは8月の『UFC on ABC 7: Sandhagen vs. Nurmagomedov』でルーピー・ゴディネスに判定勝ちして以来の試合。現在UFC女子ストロー級ランキング8位。ヒバスは3月の『UFC on ESPN 53: Ribas vs. Namajunas』でローズ・ナマユナスに判定負けして以来の試合。現在UFC女子ストロー級ランキング9位。


 同じくタンパ大会でダスティン・ジャコビー vs. ヴィトー・ペトリーノのライトヘビー級マッチが行われることも確認されています。

 ジャコビーは6月の『UFC on ESPN 57: Cannonier vs. Imavov』でドミニク・レイエスに1R KO負けして以来の試合。ペトリーノは5月の『UFC 301: Pantoja vs. Erceg』でアンソニー・スミスに1Rギロチンチョークで敗れて以来の試合。これがプロ12戦目にして初黒星でした(UFC戦績4勝1敗)。続きを読む・・・
カテゴリー
45 AB MMA MMAPLANET o UFC UFC ABC07 マッケンジー・ダーン ルピタ・ゴディネス

【UFC ABC07】激しい打撃戦からTD&スクランブル。マッケンジーがゴディネスに競り勝つ

<女子ストロー級/5分3R
マッケンジー・ダーン(ブラジル)
Def.3-0:29-28.29-28.29-28
ルピタ・ゴディネス(メキシコ)

すぐにジャブを打ち合った両者。ともに前に出て、積極的に手を出す。リードフックのゴディネスに対し、ジャブのマッケンジーは蹴りも織り交ぜて戦う。そのローをすくってテイクダウンを奪ったゴディネスは、寝技が続かないようすぐに離れる。ゴディネスはダブルレッグを切って、がぶりからヒザ&パンチをヒットさせる。さらにワンツーを被弾したマッケンジーはワンツーに左を合わされる。

パンチの応酬のなかで組んだマッケンジーが、払い腰で投げてマウントを取る。ブリッジを潰してマウントをキープするマッケンジーは、ゴディネスのブリッジに合わせて腕十字をセットする。下になり十字を仕掛けながら鉄槌を連打も、十字を諦めてクローズドガードに戻る。上から殴ろうとすとゴディネス──ここで時間となった。

2R、いきなりの打ち合いのなかでアッパーを狙ったマッケンジーは、クリンチからジャンピングガ―ドへ。すぐに着地したところでゴディネスが離れる。ゴディネスはガードで顔を固めて左フック。ジャブの差し合いから、マッケンジーが右を当てる。ステップインにカウンターを入れたゴディネスは、ハイをガードして左を打ち込む。そのゴディネスは左ミドルをキャッチされるが、足を引き抜いてテイクダウンを許さない。

続いて蹴りにカウンターを当て、マッケンジーに尻もちをつかせたゴディネスは、寝技を避けてスタンドで待つ。立ち上がったマッケンジーは右をヒットさせるが、被弾する数も多い。それでもマッケンジーはワンツーを決め、さらにゴディネスの前進に右を決める。と、残り40秒でゴディネスがダブルレッグでテイクダウン。スクランブルもスタンドで肩固めを仕掛け、ヒザを入れたゴディネスがラウンドを取り返した。

最終回、ワンツーのマッケンジーに対し、左フックをゴディネスが当てる。さらに蹴りに左を合わせてボディストレート。マッケンジーはバックステップする時に体が伸び、そこにパンチを狙われている。ジャブの差し合いでもリードするゴディネスだが、マッケンジーはアッパーを入れ、ダブルジャブからダブルレッグ。リフトして落とすと、サイドで抑える。尻を抜いてスクランブルの狙いのゴディネスを潰したマッケンジーは、足関節を防ぐ。

このタイミングでゴディネスは立ち上がり、試合はスタンドへ戻る。左フックの連打で前に出るゴディネス。マッケンジーはワンツーからスリーを打っていく。ゴディネスの左リードフック、ジャブがマッケンジーの顔面を捕える。カーフを蹴ったマッケンジーは組まれると体を入れ替えてケージにゴディネスを押し込む。ヒザを蹴り合い、離れた両者。残り10秒でゴディネスがダブルレッグからクリンチへ、マッケンジーはパンチを2発入れて突き放そうとしたところでタイムアップを迎えた。

結果、ジャッジ3者とも29-28でマッケンジーを支持──「ルピタはタフで、毎回強くなっている。テイクダウンして柔術をしたかったけど、パンチが多くなってしまった。彼女がグラウンド、スクランブルが強いことも知っていたしプッシュし続けた」とマイクで話した。


The post 【UFC ABC07】激しい打撃戦からTD&スクランブル。マッケンジーがゴディネスに競り勝つ first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 AB MMA MMAPLANET o PRIDE RIZIN UFC UFC ABC07 YouTube アロンゾ・メニフィールド ウマル・ヌルマゴメドフ コリー・サンドハーゲン シャミル・ガジエフ シャラブジン・マゴメドフ ジェイ・ハーバート セドリクス・デュマ デイヴィソン・フィゲイレド デニス・チュルリン トニー・ファーガソン ドミニク・クルーズ ドンテイル・メイス マッケンジー・ダーン マルロン・ヴェラ ミハウ・オレキシェイジュク モハメド・ヤヒア ルピタ・ゴディネス ヴィクトリア・ダダコワ

【UFC ABC07】トニー・ファーガソンが対戦、マイケル・キエーザ「僕は日本で戦わなければならない」

【写真】さすがはカラーコメンテーター。非常に整理整頓された言葉が続いた(C)MMAPLANET

3日(土・現地時間)、UAEはアブダビのエティハド・アリーナでUFC ABC07「Sandhagen vs Nurmagomedov」が開催され、マイケル・キエーアがトニー・ファーガソンと対戦する。
Text by Manabu Takashima

今やファイターだけでなく、UFC中継の解説者としても活躍中のキエーサに解説業とファイター人生を尋ねた。「自由になれれば強くなれる」という彼の言葉はオクタゴンの内外で当てはまる。非常に穏やかでキエーザだが、日本のファンへの一言という紋切り型の締めに対し、それまで以上に声が籠るという一面が見られた。


――トニー・ファーガソン戦が今週末に行われます(※取材は7月30日に行われた)。今の気持ちを教えてください。

(C)Zuffa/UFC

「凄く良いよ。

2016年にトニー・ファーガソンと試合が組まれたけど実現しなかった。僕はウェルター級に階級を上げたし、もう戦うことはないかと思っていたんだ。たけど、トニーがウェルター級に転向して僕を指名した。あの時は凄く興奮したよ。トニーは素晴しいファイターで、将来は殿堂入りするだろう。そんな彼と彼と戦うことができて本当に嬉しい」

──マイケルは3連敗、トニーは7連敗中です。この状況は勝利を目指すためにモチベーションになるのか、それともプレッシャーになるのでしょうか。

「3連敗もしていたら、本来はプレッシャーを感じるものだろうね。でも、今の僕は人生で一番大切なモノは何かが分かったから、プレッシャーを感じていないんだ。家族、友人たちとの関係は勝ち負けに左右されるものじゃない。勝とうが負けようが、彼らは僕を愛してくれている。

以前は試合に負けてファンがSNSに書き込む悪口や無神経な言葉に影響を受けることがあった。でも年を重ねて、人として成熟するとSNSの声なんて、何も重要でないと思えるようになった。僕には愛する人達、僕を愛してくれる人たちが近くにいてくれる。そんな愛すべき人々の存在が、僕からプレッシャーを取り除いてくれた。

何も縛られることなく戦うよ。そのために練習でベストを尽くしてきた。トニーが今、どのような心境で戦うのかは知る由もないけど、今の僕はそんな感じなんだ」

──自分の大切な人が理解してくれていると、顔も名前もしらない人間の書き込みなんてどうでもよくなりますよね。

「正直、今朝も色々と言われているよ。トニーは、多くのサポーターがいるからね。トニーを崇拝している分、僕に口撃をしてくるんだ(笑)。でも、僕がやるべきことはオクタゴンに上がって、勝利を得るために戦うだけだから。

家族を信じて生きるって、実は生き方を楽にしてくれるんだ。だって、それ以上に大切なモノは存在しないんだから。26歳の頃は、勝敗を生死のように捉えていた。でも、そんな風に考えることがなくなって、ファイターとしても成長していると感じている。自由でいることは競技者を強くする。今、僕は3連敗中だけど、人生においてその差は収入の差でしかない。勝てば、もっと収入が増えていたんだけどね(笑)」

──ハハハハ。そんなマイケルですが、もう6年ほど現役ファイターでありながら、UFC中継で解説者としても活躍しています。解説という仕事をすることが、MMAファイターとして役に立つことはありますか。

「もちろん、あるよ。絶対的にね。中継で解説をすることで、ファイトをするだけの自分とは違うビジョンが見えてくるようになった。ファイターの多くは自分の試合と対戦相手の試合しか、真剣にチェックしないものだ。

でも、少しでも良い解説者になろうとすればあらゆる選手のことを知らないといけない。そのためにチェックする試合の数が劇的に変わった。その結果、MMAについて理解が深まったよ。MMAは99パーセントの精神力と1パーセントの体力で戦うスポーツだ。解説の仕事をして、精神的に良い影響が出るようになった。ほとんどのファイターが、僕のような環境下で過ごしていないからね」

──TV解説は一般層にMMAを理解してもらうのに、とても大切な役割を担っていると思います。ただ殴り合いが見たいという視聴者に、MMAが何たるかを伝えることができる。そんな解説という仕事で、マイケルはどのようにMMAをジェネラル層に届かせ、より理解を深めてもらえるよう話していますか。

「まずファイトのストーリー性を伝え、興味を持たれるように心掛けている。DJは話しが面白いけど、知性を持ち合わせた解説をしている。ドミニク(クルーズ)は、技術の説明が秀でている。カラー・コメンテーターにも、それぞれ特徴がある。UFCの解説者に同じような人間はいない。ローラ(サンコ)は凄くエネルギッシュだけよね。マイケル・ビスピンはリズムよく、視ているファンの気持ちを上げている。そして、分かりやすい話し方だ。

そんななかで系統としては、僕はドミニクのような解説者になりたいと思っている。ドミニクって言葉をただ発するだけでなく、理に適う知識を持って言葉にできるんだ。試合を視ながら、そこで必要な知識をさりげなく話している。結果、ファンのMMAへの理解力が深まっている。そんなドミニク・クルーズの良さを受け継ぐような解説者になりたい」

──解説者は視聴者のことを100パーセント考える仕事で、ファイターは自分が勝つために我儘を通さないといけない。まるで別モノですね。

「どちらもスイッチを入れることが大切だよ。自由になれると、戦いやすくなる。そこが土曜日の試合でも大切になってくるだろう。自分にプレッシャーを与えることなく、戦いたい。そうやって戦うと、新しい自分になっている。きっと土曜日の試合で、ファンの皆が見たことがない戦いができるだろう。その機会を得られたのだから、存分に楽しみたいと思っている」

──マイケル、今日はありがとうございました。最後に日本のファンに一言お願いします。

「このスポーツから足を洗う前に、僕は日本で戦わなければならない。以前、UFC日本大会を訪れた時に、『こんなファンの前で戦いたい』と心底思った。僕はPRIDEを見て育ったし、今でもRIZINをチェックしている。日本のファンこそ、世界でベストのファンだ。日本の人達はマーシャルアーツへの造詣が深い。『いつかの日か、さいたまスーパーアリーナで戦いたい』と神に祈っているよ」

──嬉しい限りの言葉です。

「それに日本でUFCが行われる日は、近づいている。タツロー・タイラはフライ級のトップランカーに成長し、カイ・アサクラがUFCにやってくる。僕はウェルター級だから、手の合う日本のスーパースターはいないかもしれないけど、対戦相手は見つかるはずだ。UFCが日本に戻った時、絶対にその場に一緒にいたい」

■視聴方法(予定)
8月4日(日・日本時間)
午前1時00分~UFC FIGHT PASS
午前0時45分~U-NEXT

■ UFC ABC07対戦カード

<バンタム級/5分5R>
コリー・サンドハーゲン(米国)
ウマル・ヌルマゴメドフ(ロシア)

<ミドル級/5分3R>
シャラブジン・マゴメドフ(ロシア)
ミハウ・オレキシェイジュク(ポーランド)

<バンタム級/5分3R>
マルロン・ヴェラ(エクアドル)
デイヴィソン・フィゲイレド(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
トニー・ファーガソン(米国)
マイケル・キエーザ(米国)

<女子ストロー級/5分3R
マッケンジー・ダーン(ブラジル)
ルピタ・ゴディネス(メキシコ)

<ライト級/5分3R>
ヨエル・アルバレス(スペイン)
エルビス・ブレネウ(ブラジル)

<ライトヘビー級/5分3R>
アロンゾ・メニフィールド(米国)
アザマット・ムルザハノフ(ロシア)

<ライト級/5分3R>
モハメド・ヤヒア(UAE)
カウエ・フェルナンジス(ブラジル)

<ヘビー級/5分3R>
シャミル・ガジエフ(バーレーン)
ドンテイル・メイス(米国)

<ライト級/5分3R>
グラム・クタテラデス(ジョージア)
ジョーダン・ブシニック(英国)

<女子ストロー級/5分3R>
ヴィクトリア・ダダコワ(ロシア)
サム・ヒューズ(米国)

<ライト級/5分3R>
ジェイ・ハーバート(英国)
ロランド・ベドヤ(ペルー)

<ミドル級/5分3R>
セドリクス・デュマ(米国)
デニス・チュルリン(ロシア)

The post 【UFC ABC07】トニー・ファーガソンが対戦、マイケル・キエーザ「僕は日本で戦わなければならない」 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 AB CJI Interview UFC UFC ABC07 ブログ マッケンジー・ダーン ルピタ・ゴディネス

【UFC ABC07】ゴディネス戦へ、マッケンジー・ダーン「自分と戦っていると1✖2になって勝てなくなる」

【写真】相変わらずフレンドリー、そして早口だったマッケンジー(C)MMAPLANET

3日(土・現地時間)、UAEはアブダビのエティハド・アリーナでUFC ABC07「Sandhagen vs Nurmagomedov」が開催され、マッケンジー・ダーンがルピタ・ゴディネスと対戦する。
Text by Manabu Takashima

マッケンジーはジェシカ・アンドラーデ、アマンダ・レモスに連敗中だ。ムンジアルを2度、ADCCも制しているマッケンジーは、世界最高峰のUFCにあっても寝技の強さは絶対なばかりか、アグレッシブかつ荒い打撃で激闘を繰り返している。

ゴディネスという強い打撃の圧を持つゴディネス戦、その2週間後のCraig Jones Invitationalで女子グラップリング界のP4Pといっても過言でないフィオン・デイヴィスとのスーパーファントも決まっているマッケンジーをインタビュー。脱・激闘マザー宣言、そしてCJIによって組み技界の変化について彼女の話を訊いた。


負けても良いから、エキサイティングな試合を見せようと思って戦ったことはない

――ルピタ・ゴディネス戦が週末に控えています。今の心境を教えていただけますか。

「今、連敗中だけど相手は元世界チャンピオンとタイトルチャレンジャーで、本当に強かった。今回の相手のルピータはアマンダ・レモスと同じように危険な打撃の持ちで、テイクダウンディフェンスにも長けているわ。でもアマンダほどのパワーはないし、私自身レスリングを徹底的にトレーニングしてきたの。ルピタ戦の2週間後に、柔術の試合に出ることも決まっていて。そのためのレスリングでもあるんだけど、MMAにも凄く役立っているわ」

──2週間後の柔術とは、Craig Jones Invitationalにおけるフィオン・デイヴィス戦のことですね。

「そう、レスリングに力を入れてきたから寝技での攻めも変わるはず。アマンダとの試合ではグラウンドに持ち込むことはできたけど、それほどダメージを与えることができなかった。それほどサブミッションを仕掛けることがなかったから。でも、今は寝技でも拳を使ってダメージを与え、サブミッションも仕掛けることができるわ。

それにルピタは前の試合でヴィルナ・ジャンジローバに負けているけど、グラウンドゲームでいくつかのミスを犯している。私もヴィルナとの試合では、ミスをしたんだけどね……。とにかくルピタは運動能力も高いし、エキサイティングに戦いになることは間違いないわ。前に出て戦うから、私のようなグラップラーとは相性は良いファイターね。

実はルピタとは何度か同じ大会に出たことがあって、控室が同じで凄く良い感じだし、親近感すら持っている。試合に関しては同じ大会だからライブでチェックする機会はなかったけど、彼女はしっかりとステップアップをしてきた。だから、ここで戦うことになったと理解しているわ」

──マッケンジーはムンジアルとADCCを制した最高の柔術家ですが、MMAでは思い切り打撃戦を繰り広げています。正直、「やり過ぎだよ」と思うこともあるほど。だからファンの支持を集めることができるのですが、やはりダメージが蓄積していないかが心配です。

「やり過ぎ……まさに、その通りで(笑)。2つの黒星もそこが関係していることは自覚しているわ。殴られると、もっと殴り返さないといけないってエキサイトしてしまって。結果的に連敗はトゥーマッチから卒業するきっかけになったの。視野を広く持てば、私はテイクダウンでも柔術でも勝負ができるわけだから。その方が対戦相手も苦しい試合展開になることは間違いないし。

柔術やグラップリングでも、常にアグレッシブに攻撃的な試合をしてきてきたわ。ただ、やっぱりMMAでやり過ぎるとダメージを受ける。でも、もう大丈夫。ダメージを避け、どう戦うのかがクリアになったから。正しいタイミングでテイクダウンを奪い、正しいタイミングでパンチが打てる。一歩下がって、自分の試合を俯瞰して見えるようになったわ。

リラックスし、フェイクも織り交ぜて戦うわ。殴られる覚悟はできている。でも、もうエキサイトし過ぎずに落ち着いて戦う。感情をコントロールできるようになって、『前に出ないといけない』なんてプレッシャーを感じずに戦えるよう準備はできているわ」

──ルピタの過去2試合の相手も強豪グラップラーでした。タバタ・ヒッチは打撃戦に付き合い、寝技に持ち込めず判定負けに。さきほど名前が出たジャンジローバはシングルレッグからケージレスリング、テイクダウンを狙い、時には引き込んでディープハーフガードからスイープを仕掛けるほど徹底して組んでいきました。結果、ポジションを取って判定勝ちを収めています。マッケンジーとしては、タバタかジャンジローバがどちらの攻めを選択しますか。

「自分から下になるとかではなくて、柔術を駆使して一本勝ちするのがこの試合のゴールね。ルピタは過去に一本負けがなないけど、私は彼女をサブミットできる。その前に寝技に持ち込むためのテイクダウンがしやすくなるように、打撃も使って戦おうと思っているわ。

さっきも言ったけど、ルピタはテイクダウンディフェンスが上手くて、良い形で組まれないように常に前に出てプレッシャーをかけてくるファイターで。でも、彼女を驚かせるつもりよ。今回の試合のためにフィジカル・ストレングスも徹底してトレーニングしてきた。打撃、ケージ、寝技を融合させて戦うけど、最後に一本勝ちするためよ。

そうね、カビブのようにパンチを見せながら、いつでもテイクダウンを仕掛けるよう戦う。テイクダウン防御に専念されると、なかなかテイクダウンは奪えないから。打撃に反応させて、テイクダウンを決めやすくなる。スパーリングを繰り返し、そのタイミングは掴めるようになった。もちろんコーナーの指示に従うし、私はレスリングだけでなく柔道のテイクダウンもあるから」

──ところで、これだけエキサイティングな試合を続けているマッケンジーですが、勝ち負けではなく良い試合をするという思考も持っているのでしょうか。

「ノー。絶対にない。勝負は勝たないと。負けたいなんて思って戦うファイターはいないはず。それに私の試合は自然とアグレッシブでエキサイティングになる。そういう意識がなくても、なっている。それもあってファンのために良い試合を見せようというプレッシャーを感じることはなくて。

私のキャリアのなかで過去に2度あったけど、退屈な試合も存在するのがMMAで。でも私は負けても良いから、エキサイティングな試合を見せようと思って戦ったことはないわ。勝つことに集中している。今回の試合は娘もアブダビまで来ているし、あの子の期待に応えるためにも絶対に勝利は譲らないつもりよ。

これまで試合中も自分と戦ってきた感じが強くて。でも、気付いたの。相手がいるんだから、自分と戦う必要はない。自分と戦っていると1✖2になって勝てなくなる。だから、対戦相手に集中するわ。『もっと上手く攻めないといけない』、『もっと強くならないといけない』なんて考えることは止めて。昨日の自分より強くなれなくても、今日の相手より強ければ構わない。だって私はルピタに勝つことが大切だから。15分間、ルピタを上回ることに集中するわ。アブダビのオクタゴンは私の場所。ルピタの場所には決してさせない」

私の柔術は今でもフィオンに通じると思っている

──そのルピタとの一戦も本当に楽しみですが、さきほど触れられたCJIのデイヴィス戦はもう鳥肌ものです(笑)。デイヴィスは女子グラップリング界のP4Pだと思います。もともとADCC世界大会に出場が決まっていたマッケンジーですが、なぜこのタイミングでグラップリングだったのでしょうか。

「正直、ADCCから離れたことは心が痛くて。2年に1度の世界タイトルが掛ったトーナメントに元世界王者として出場することがとても楽しみだった。でも、クレイグ・ジョーンズのオファーはより魅力的で。フィオンがADCCに出て、私もADCCで戦っていたら、戦う可能性は十分にあった。でも絶対じゃないでしょ?」

──ハイ。トーナメント戦ですし。

「CJIだと凄く良いファイトマネーを手にして、絶対にナンバーワン・グラップラーと戦えるわけで。私とフィオンが抜けると、ADCC世界大会に出場できる選手が2人増える。それも悪くないって、思えて。

CJIは5分3Rで、ポイント制でなくて10Pのラウンドマスント・システムで争われる。このフォーマットだと7年間、ポイント制の柔術を戦っていない私がフィオンに勝つ可能性はグンと上がるはず。

私は柔術家として、もうベストの時を過ごしてしまった。対して、フィオンは今の柔術界のトップ。過去のナンバーワンが今のナンバーワンに挑めることって、最高の機会だと思っているわ。

それに私はUFCのMMAファイターで、もう柔術のトップ10でもない。プレッシャーを感じることなく、世界一に挑むことができる。逆にフィオンの方がプレッシャーを感じているでしょうね。私は、もう攻めるだけ。何よりグラウンドになれば、私の柔術は今でもフィオンに通じると思っている。

パンチ、エルボー、ニーに注意を払わないといけない戦いからチョーク、アームバー、レッグロックに気をつけないといけないフィールドに戻る。それは凄く楽しみだし、エキサイティングだわ」

──CJIという高額の賞金が掛ったトーナメントがグラップリング界に出現したことを柔術家として、どのように思っていますか。

「とにかく1度だけで終わらず、継続してほしいと思っている。ADCCは私にとって、特別だった。6歳の時に初めてADCCワールドを見て、『絶対にここで戦いたい』という気持ちが芽生えた。それ以来、より練習に励むようになったわ。私のようなキッズ柔術家は他にもいたはず。

でも、30年も活動していて優勝賞金が増えないのは問題で。大きな会場に人がたくさん集まったのだから、優勝賞金が増えて然り。そうなるとグラップラーたちのモチベーションも上がるだろうし、熱い試合も増えるはずだから」

──マッケンジー、試合に負けない激熱トークもありがとうございました。では日本のファンに一言メッセージをお願いします。

「アリガト!! 日本のMMA、そして柔術のサポーターに感謝している。また、すぐにでも日本に行きたい。8月は私にとって大切な1カ月になるけど、UFCアブダビもCJIも皆が見てくれると信じているから。本当にいつも応援ありがとう」

■視聴方法(予定)
8月4日(日・日本時間)
午前1時00分~UFC FIGHT PASS
午前0時45分~U-NEXT

■UFC ABC07対戦カード

<バンタム級/5分5R>
コリー・サンドハーゲン(米国)
ウマル・ヌルマゴメドフ(ロシア)

<ミドル級/5分3R>
シャラブジン・マゴメドフ(ロシア)
ミハウ・オレキシェイジュク(ポーランド)

<バンタム級/5分3R>
マルロン・ヴェラ(エクアドル)
デイヴィソン・フィゲイレド(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
トニー・ファーガソン(米国)
マイケル・キエーザ(米国)

<女子ストロー級/5分3R
マッケンジー・ダーン(ブラジル)
ルピタ・ゴディネス(メキシコ)

<ライト級/5分3R>
ヨエル・アルバレス(スペイン)
エルビス・ブレネウ(ブラジル)

<ライトヘビー級/5分3R>
アロンゾ・メニフィールド(米国)
アザマット・ムルザハノフ(ロシア)

<ライト級/5分3R>
モハメド・ヤヒア(UAE)
カウエ・フェルナンジス(ブラジル)

<ヘビー級/5分3R>
シャミル・ガジエフ(バーレーン)
ドンテイル・メイス(米国)

<ライト級/5分3R>
グラム・クタテラデス(ジョージア)
ジョーダン・ブシニック(英国)

<女子ストロー級/5分3R>
ヴィクトリア・ダダコワ(ロシア)
サム・ヒューズ(米国)

<ライト級/5分3R>
ジェイ・ハーバート(英国)
ロランド・ベドヤ(ペルー)

<ミドル級/5分3R>
セドリクス・デュマ(米国)
デニス・チュルリン(ロシア)

The post 【UFC ABC07】ゴディネス戦へ、マッケンジー・ダーン「自分と戦っていると1✖2になって勝てなくなる」 first appeared on MMAPLANET.