カテゴリー
AB o UFC ジョン・ジョーンズ チャールズ・ジョンソン ブルーノ・シウバ ボクシング マネル・ケイプ ヴァン 平良達郎 朝倉海

UFC323:セミファイナル・アレシャンドレ・パントージャ vs. ジョシュア・ヴァン

フライ級。ヴァン1位。パントージャはP4Pランキングで6位。

ブラジルのパントージャは35歳。UFC14勝3敗(2KO、6一本勝ち)、キャリアでは30勝5敗(8KO・12一本勝ち)。UFC王者は今年1年で大きく様変わりしており、現王者で防衛に成功しているのはパントージャとメインに登場するメラブ、10月に女子フライ級王座を防衛したシェフチェンコの3人しかいない。パントージャは現役最多4度の防衛に成功している。2021年のマネル・ケイプ戦(ケイプのUFCデビュー戦)から8連勝中。柔術の強さはもちろん、朝倉海相手に打撃勝負で引かないボクシングテクニックと気持ちの強さも武器。

ミャンマーのヴァンは23歳。UFC8勝1敗(2KO勝ち)、キャリアでは15勝2敗(7KO・2一本勝ち)。12歳の時に一家でアメリカに移住。いじめを受けたことがきっかけで格闘技を始めた。UFCデビューから3連勝したが、4戦目でチャールズ・ジョンソンにKO負け。今年3月の鶴屋戦の時点ではノーランカーだったが、6月に行われたブルーノ・シウバ戦でKO勝ちすると、同月にケイプの欠場で相手がいなくなったランキング1位ブランドン・ロイバルの相手に名乗りを上げ緊急出場。ダウンを奪って判定勝ちし、わずか3ヶ月でランク外から1位まで上り詰めた。勝てばアジア人男性ファイターとして初のUFC王者となる。打撃・テイクダウンディフェンスは強いが、昨年1月のフェリペ・ブネス戦では、テイクダウンを許すとあっさりとマウントを取られた場面もあり、寝技の対処が2年間でどこまで向上しているか。

オッズはパントージャ1.42倍、ヴァン2.95倍。

いきなりカーフを蹴ったパントージャ。アグレッシブ。パンチを打ち込む。出てきたパントージャに組んでボディロックの体勢になったヴァンだが、すぐに引き剥がし離れる。パントージャが右ハイ。ヒットするが、ヴァンがキャッチしてテイクダウン。倒された際にマットに手をついたパントージャが左肘を脱臼。レフェリーストップ。

1R0分26秒、負傷TKOでヴァン勝利。アクシデント的な決着とはいえ、アジア人男性初のUFC王者が誕生。UFC王者としては、ジョン・ジョーンズに続く2番目の若さ。

勝ったヴァンは「回復に時間がかかるなら、次は平良達郎になる可能性が高いがどうか」と問われ、「自分は誰も恐れない」とコメント。客席で見ていた平良が笑顔になったところも映される。

カテゴリー
45 AB ABEMA AMMA ARAMI KNOCK OUT LFA MAX MG眞介 MMA MMAPLANET News NOEL o ONE PFL RIZIN RIZIN LANDMARK12 RIZIN51 Road to UFC UFC UFC319 Unlimited アルフィー・デイヴィス アレックス・ポアタン イスラエル・アデサニャ カイル・マヨッキ カムザット・チマエフ キック キャプテン☆ キャプテン☆アフリカ キ・ウォンビン クレイグ・ジョーンズ クロン・グレイシー ケイト・ロータス コナー・マクレガー ジエゴ・ロピス ジョシュア・ヴァン ジョン・ジョーンズ チャンネル ティム・エリオット トニー・ララミー ドミニク・クルーズ ヌルハン・ズマガジー ネイト・ディアス パンクラス ファン・イェーロウ フランキー・エドガー ブライス・ミッチェル ボクシング マゲラム・ガサンザデ ヴガール・ケラモフ 安藤達也 山内渉 松嶋こよみ 柏木信吾

【RIZIN】柏木さんと会議室MMA談議─02─「今のRIZINならグローバル、本当に世界基準で強くなれる」

【写真】多忙ななか、しっかりとMMAとMMA界について語ってくれて感謝です(C)MMAPLANET

超RIZIN04を終え、RIZIN51を控えた9月18日に行った柏木信吾氏インタビュー。1時間以上の取材時間の半分近くを、柏木氏は11月3日(月・祝)開催のRIZIN LANDMARK12に見られる一つの事例について語っていた。
text by Manabu Takashima

MMAに見られる急速な立ち技の間合いの変化は、どのような近未来を創造していくのか。そんなMMA技術史から、2026年に見られるかもしれないUFCの変化。そのUFCを目指すと公言している山内渉と松嶋こよみのRIZIN参戦は、ある意味、J-MMAの深層に関わってくるターニングポイントになるやもしれない。

UFCとRIZINは、北米と日本のMMA文化の差異から長らくリンクしないという風潮が見られた。その固定概念を切り崩すことが念頭にあるわけではないが、柏木氏の発掘した外国人ファイターたちが見せる力が、いわゆる非RIZINファイターとRIZINのベクトルを変えた。

強さを追求する。その一点において、RIZINという舞台に新たな潮流が起ころうとしている。

<柏木信吾氏インタビューPart.01はコチラから>


MMAは凄く変わってきています

――MMAの変化、どういうことでしょうか。

「今年に入ってから、ヒジのテクニック。ヤバくないですか(笑)。それも首相撲でなくて、合わせるヒジがめちゃくちゃ凄くて。スピニングバックエルボーもそうだし。あんな合わせづらくて、背中を見せるような動きはそうは見られなかったですよね。

本当にMMAが別の生き物として生まれ変わっている。進化している過程をまざまざと見せつけられているような気がします。今年だけでスピニングバックエルボーでのKOをいくつ見たんだろうって。

Noche UFCのジエゴ・ロピス、UFC319のレローン・マーフィー、PFLでもアルフィー・デイヴィス。メジャー系でもこれだけ決定機となっている。

MMAはホイス・グレイシーの柔術から始まりました。マーク・コールマンやマーク・ケアーのレスラー時代。そしてモーリス・スミスが、簡単に倒れないストライカーの走りになった。NHBからMMAに移ると、パット・ミレティッチやマット・ヒューズの何でもやるけど渋いファイトが増えてきて。

次はGSPのMMAアスリートというべき、テイクダウン&コントロールの時代。フランキー・エドガーやドミニク・クルーズのステップ&テイクダウン、さらにジョン・ジョーンズのリーチを生かした打撃とテイクダウン、グラウンドコントロール。

簡単にテイクダウンできないようになって、また倒す打撃になってきた。MMAのベースを大きくしていくようなコナー・マクレガーやマックス・ホロウェイが来て、イスラエル・アデサニャだ。アレックス・ポアタンだと、ストライカー全盛期。同時進行でダゲスタン系のようなテイクダウン&パウンドが強いけど、打撃にも圧があるファイターの時代が並行していて。

そうしたら一方でマラブ・デヴァリシビリだ、カムザット・チマエフというテイクダウン&コントロール、あるいは極めという強さを見せるファイターたちが凌ぎを削っている。その間に、エルボーという要素が加わってきました。特に首相撲じゃない、クリンチでないところでのエルボーですよね」

――打撃の距離が近づいたからだと思います。

「それは、どういうことですか」

――ストレートが届く距離に立って、コンビネーションがスリーからフォーまである。ボディフックを打てる距離が通常化している。組みに入るのも、よほどのレスラーでないと打撃でコントロールしていないとクリーンに倒せない。その距離だから合わせるエルボー、スピニングバックエルボーが当たる。

「なるほどぉ。そういうことかぁ。本当に色々な要素があって、技のブームがある。面白いですよね」

――同時に組みのフェイクで、回転バックエルボーを狙う選手が明らかに増えました。

「確かにマクレガー×ネイト・ディアスの時代の打撃戦だと、あのヒジ打ちは出ないですよね」

――そうだと思います。あと、ONEがムエタイをゲームから、倒す格闘技に変えたことも影響しているかと。

「あぁ、切って終わりではないですよね。先日(8月29日)のKNCOK OUTのメインのエルボーとか、倒すヒジが入ってきていますね」

――ただMMAであの距離で戦うと、安定して勝ち続けることができる選手はデビュー直後から少なくなるのかとコンテンダーシリーズやLFAの試合を視て、思うようになりました。同時にUFCにいくために海外、特に北米がそうなっていると思いますが……あの距離で打ち合う。それって究極、UFCとの契約を勝ち取りたい日本人ファイターは、RIZINが求めるファイトができないといけなくなっているのではないかと。

「あぁ、そういう風になってきているのかもしれないですね。ただ本来のMMAって、我々が……ここは僕と高島さんですが……僕らが求めるMMAって、抑え込んで勝てるヤツらにその距離で殴り合って勝てということじゃないですか」

――はい。その通りです。TTFCで石井逸人選手をKOした豪州のカイル・マヨッキ、4勝0敗のグラップラーなのにあのKOです。

「ニュージーランドのシティ・キックボクシングにスカラシップで入った選手ですよね」

――ハイ。

「凄いですよねぇ。抑えて勝てる選手が、その距離で戦う」

――結果、どうなるか分からない打撃戦だけをしているのは将来セカンド・グループ止まりで。どうなるか分からない距離でも上にいく選手は、キャリア序盤に貰うことはないのかとまで思ってしまいます。

「あの戦いで勝ち残った者は、例え接近戦になろうとも、一か八かじゃない試合ができると? 」

――あの距離が続くのかも含めて、ですね。そして現状のカジュアルなファンが見て、面白いモノになるのかも分からないです。ただ、そこにテイクダウンがあるからボクシングとは違う打撃戦になるわけで。

「テイクダウンがあるから、当たる打撃がある。それこそヒジが大切になってきそうですね。今やそのフェーズになってきている……。いやぁ、凄いですね」

――その距離だからこそ、首相撲もまた重要になってくるかと。そういう意味で、いきなりMMAに来ることができないムエタイの選手がKNOCK OUTのUNLIMITEDルールを経由して、MMAへ挑戦を始めるとか考えるとワクワクしますね。

「その過程の近距離戦にあってジョシュア・ヴァンが、UFC世界フライ級王者パントージャに挑む。とんでもないシンデレラ・ストーリーですよ。スピード出世で。そこも含めて、MMAは凄く変わってきていますよね」

――そこに絶対に組みが存在しているけど、組みのコントロールは重視されない。この辺りが、また現代MMAの妙で。

「ちょっと時間的は遡ってしまいますが、去年の12月にUFCを視察した際にクロン・グレイシーがブライス・ミッチェルに負けました。ジャンピングガードをしたところで、前腕でアゴを固定されて叩きつけられた。アレで一つの時代が、完全に終わったと思います。絶滅危惧種の最後の個体が死んだ瞬間を目の当たりにしたと思いました。

どれだけ柔術が強くても、例えばクレイグ・ジョーンズのようなグラップリングができても、そこを生かす状況を創らないと。それでも柔よく剛を制すなんて、なかなかできない。そういう戦いを体現することは、もう難しいかと」

――自分は道着の柔術は追えていないですし、グラップリングもフォローできていないです。それでも競技柔術が、パンチがあるなかで有効な技術等を追求しなくなって、四半世紀が過ぎていますし。

「それでもトップが強い人は、今も強いと思うんですよ。だからこそ、下からの仕掛けに浪漫がある。自分は、やっぱりそこを考えちゃいますよね。だから、そういう選手を応援しちゃいますし。マッケンジー・ダーンとか大好きですしね」

――柏木さんのマッケンジー好きは、そこだけじゃないかと思います(笑)。

「アハハハハ。でも真面目な話、風間敏臣選手の負けとか見ると怖いです」

――三角を防ぐのではなくて、セットさせてスラムを完全に狙っていました。UFCの話が続きますが、朝倉海選手のティム・エリオット戦の負けはどのように捉えていましたか。

「ティム・エリオットに負けたのは、痛いです。誰も得をしない結果だったと思います。UFCも得しないし、UFCのマッチメイカーも得をしない。RIZINも得しない。食うまでもなくエリオットは強いです。DJとの試合を見ても、それは分かっている。だから興行としては、海選手が勝たないと誰も得をしないマッチメイクだったと思います」

UFCもセントラルキッチン化するかもしれない

――今になって朝倉選手の寝技についてアレコレと意見が出てきていますが、日本ではそこにいかず勝てていました。

「ハイ。そういうことなんですよね。やっぱりリングとオクタゴンの違いは、あると思います。手を出さないプレッシャー。それはコーナーで生きる。ミルコみたいですね。UFCの選手は先手を取って、強引にペースを鷲掴みにしていきます。でもUFCって裏通りにある焼き鳥屋の焼き鳥を、セントラルキッチン系のレストランのお客さんに広めたんだなってつくづく思います。

ただし、そのUFCもESPNからパラマウントに移行することでどうなるのか。UFCもセントラルキッチン化するかもしれない」

――PPVがなくなるという話も聞きます。

「PPVがなくなる。つまり自分たちでリスクを負うことがなくなるということです」

――それこそシーズン制でもない個人競技のMMAで、どういう山を創っていくのか。まぁ、ひたすら試合を組むだけで成立できるのも強みなのでしょうが……。

「ハイ。と同時に水で薄めても、大丈夫になるという考え方もできるようになります」

――つまらない消化カードが増えるかもしれない?

「その可能性もあるかと思います。カードを揃えて用意することが第一になるかもしれないので。クォンティティ・オーバー・クオリティになるかもしれないということです」

――量より質でなく、質より量と。

「さきほど話題になったコンテンダーシリーズのような試合が、UFC本戦でも増えてくることもありえますよね」

――それがエキサイティングだという刷り込みをもう9年も行ってきたわけですし。

「UFCがそうなるのであれば、クオリティ重視の大会にチャンスが出てくるのではないかと」

正直な話をすれば、Road to UFCの方が楽だぞ。UFCに行きたいなら、扇久保選手に勝ってみろよって。UFCとサインしたいなら、ホセ・トーレスに勝ってみろよ。そこを避けるなら、Road to UFCって逃げ道じゃないですか

――そのUFCを目指すと公言している山内渉選手がトニー・ララミーと。そして松嶋こよみ選手が、ヴガール・ケラモフ選手と11月3日のRIZIN LANDMARKで戦います。UFCを目指す選手が、RIZINに単発契約で出場する。そのようなケースが出てきたことを、柏木さんはどのように捉えていますか。

「自分は良いことだと思っています。山内選手にしてもRoad to UFC再挑戦を目指しているでしょうし、Road to UFCに挑戦できるなら挑戦してくださいという姿勢です。後藤丈治選手なんかもそういうスタンスです。そこの道を進むことに何か思うということはないです。

ただ正直な話をすれば、Road to UFCの方が楽だぞ。『本物』、『本物』というならUFCにはRIZINのチャンピオンになってから行けば良いじゃん。RIZINのフライ級、一部を除いて本物しかいないですよ。本当に強豪を目指せるロースターにはなっている。

UFCに行きたいなら、扇久保選手に勝ってみろよって。UFCとサインしたいなら、ホセ・トーレスに勝ってみろよ。そこを避けるなら、Road to UFCって逃げ道じゃないですか」

――柏木さんの言われていることも分かります。強さを求めるなら。同時にRoad to UFCで優勝すれば、UFCは絶対ということもあります。

「それでUFCと契約しても経験不足で勝てずに、帰ってくるようなら日本で強い選手と戦って、知名度を上げてからUFCに進む方が良くないですか――と僕は最近、胸を張って言えるようになっています」

――と同時に、これはガチトークで。RIZINの絶対レギュラーという選手は一部です。30歳近い選手が、そこで扇久保選手と戦うまでどれだけの時間が掛かるのか。それを考えて、Road to UFCで戦いたいと思う気持ちは理解できます。

「そうですね。Road to UFCから声が掛かれば、Road to UFCで戦う。そこに異論はないです。きっちりとルートが存在していますからね」

――そのルートになかなか乗れないで、厳しい時を凄く選手がいます。そういう意味で神戸大会には雑賀ヤン坊達也選手が出場しますし、伊藤盛一郎選手の名がフライ級戦線に加わることはないのかと。

「そこを伊藤選手が望んでいるのか。それとパンクラスさんとの関係、話し合いも必要になってくるかと思います。ただ、僕としては全然有りです。伊藤盛一郎選手は最近、2段階ぐらい強くなっていると思います」

――そしてフェザー級、松嶋こよみ選手です。

「松嶋選手に関しては『RIZINに出ない』と公言しているとも聞いていましたけど、RIZINとしてしつこく声を掛けせてもらって。ようやく首を縦に振ってもらえました」

――力のある選手が、UFCというルートが明白でない場所を目標にして試合機会が少なくなる。そこを気にする発言を、以前から柏木さんはされてきました。

「だからオファーを出す。でも、断られる。それを繰り返して、近親憎悪的な感情を抱くこともありました。それはもう4周ぐらい繰り返しています(笑)。『もういいわ』、『試合がなくても、そのままでいるんだな』とか思ってしまうことも、本音をいえばありました。

松嶋選手に関しては、国内で試合をするのがMMAでなくてUNLIMITEDだった時には『どこに向かっているんだ』と思いました。ただ、実際にKNOCK OUTの会場で試合を見てあのルールで戦う意味も理解できたんですよ。

そして自分が彼を気にするようになった……パンクラスの頃の松嶋こよみが今も健在だと思いました。加えて経験を積んできたことで老獪さも身に着け、引き出しも増えた。そのなかで計算されたトリッキーな動きもしていました。試合自体が凄く面白かったです」

――松嶋選手のことをそこまで考えているプロモーション関係者は、柏木さんぐらいですよ。本当に優しいと思います。

「優しい……。う~ん、それはフライ級のところでも言いましたが『本物』、『本物』と言っている選手が今のRIZINに出ないでどうするの?と僕は思っています」

強さを追求するなら、RIZINに出ない理由はないと思います。だって……

――UFCがウェルカムでない状況でRIZINに出場して居心地の良さを知ると、UFCへの想いが削がれると感じる選手もいるかと。

「それは個人の取りようじゃないですか。居心地の良い環境から、あえてUFCに行った朝倉海選手だっている。でも『本物』志向の選手ほど、朝倉選手を否定したいわけで。RIZINに来て、UFCへの気持ちが削がれるなら……所詮、UFCへの想いもそこまで。RIZINで戦うならRIZINのためになりたいなんて、僕は求めていないです。

それでいうと少し話が違うかもしれないですが、UFCを神格化しすぎてRIZINの良いところを見落としているきらいはあるかと思います。

だから安藤達也選手なんかは、RIZINで戦うようになってRIZINの良さを感じてくれたのはないかと。凄くモチベーションも高いですし。安藤選手はRIZINにハマりましたよね。それも安藤選手が強い選手と戦うというチャレンジ精神を持っているからで」

――マゲラム・ガサンザデ、ヤン・ジヨン。間違いなくRIZIN以外の国内プロモーションで戦える選手ではないです。

ヤン・ジヨンが弱いわけないですからね。そのヤン・ジヨンにあの勝ち方ができる。安藤選手は勝って、今のポジションを得ました。もちろん、RIZINの全てが良いというわけではないですよ。でも声を掛けても結局は出ないままの選手もいますし」

――UFCで戦いたい理由が強さを追求するということなら、今のRIZINにジャンプインしろよ――という気持ちを柏木さんが想うのとは、凄く分かります。この2年間、RIZINで強い外国勢を投入してきた柏木さんにも気苦労があっただろうし。

「それまでのRIZINで戦わない理由は明確にあったと思います。ただ今は、その時と同じ理由は口にできないはずです。それをいうと逃げているだけ。ここにきてRIZINを否定して、RIZINに出ないなら。強さを追求するなら、RIZINに出ない理由はないと思います。だって……ちゃんとやっているもん」

――……。

「どこよりもやっていますよ。今のRIZINならグローバル、本当に世界基準で強くなれると思います。だから今のRIZINに出ない選手って、逃げているだけ。もちろん、今回の松嶋選手もそうですけど、LFAからUFCへ行きたいという明確な道を歩いている選手もいます。

だから松嶋選手なんてLFAとの契約があるなかで、RIZINで出てもらう。そういう選手を、契約で縛ることはしないわけですし。縛ることはできないですよ。自分もフェデレーションの窓口として、各国のプロモーター達とつき合わせていただいて多くのことを経験してきました。RIZINに彼らの契約下にある選手に戦ってもらうには、色々なケースがあります」

良い意味で『ブレても良い』と思うようになってきた

――それらを吟味して、練る。その結果の門戸開放は、まさにケーススタディですね。

「そういうことになるんです。選手個人の想いを邪魔することはなく。他のプロモーションの契約に抵触するわけは当然なくて」

――仮に松嶋選手がケラモフに勝ち、ビザが取れるとLFAに行くことになる。RIZINのロースターを潰していなくなることも良しとしているのですか。

「別に良くはないですよ(苦笑)。でもケラモフは、この試合の結果によって役割というのは変わっても、RIZINで戦っていくことには変わりないですし。それにこの試合で『松嶋こよみが見たい』という声が増えると、気持ちも変わるかもしれない。RIZINでもっと見たいという人が増えるなら、その時にまたお互いに考えれば良いことで。そのなかで判断していけば、と思います。

安藤選手だって、この時点で海外から声が掛かるかもしれない。それでそっちで戦うとなると、僕らも話し合いはしたいです。それが単発契約。複数契約って、いうとビジョンを固めて互いにやっていくという合意で。それが信頼関係ということではない」

――それは世界中のプロモーションに言えますね。契約は別に信頼関係ではなく、ビジネスの合意です。それこそ信頼関係があるから、契約がなくても試合に出てもらえる。そこをはき違えて、単発契約で「自分の選手だ」なんて空気があることは理解不能です。

「その信頼関係ができる要素の一つが、さきほど高島さんが言われた居心地の良さであるなら単発契約でも、また交渉していけば良いわけで。そういう風に思っています。

僕も最近、年をとってきたので良い意味で『ブレても良い』と思うようになってきたんです。一つの志を持ってブレずにやっていくのも格好良いです。と同時に、時代に合わせるブレも大事で」

――時代遅れとか最先端とかでなく、時代に合わせないと「志」も達成できない。柏木さんより、もっと年を食った人間としては思います(笑)。山内選手、松嶋選手がRIZINで戦う。それはJ-MMAのターニングポイントであり、朗報ではないでしょうか。

「いやぁ、嬉しいですね。こういう言い方は良くないかもしれないけど、やはりRIZINは影響力があります。そのRIZINを1度体感してもらってUFCを目指す。プロとして認知度を上げるのも、一つの仕事じゃないですか。SNSもやらない、力だけで勝負すると言って、じゃあ今はどうなんですか。このまま燻り続けるのですかって。ならRIZINで知名度を上げて、UFCに必要とされるようになる要素を増やしてくださいよと」

――その言葉、3年前に伺った時は首肯できなかったです。でも今は違う。この2年のフェザー級、フライ級。そしてバンタム級を見せてもらいましたので。

「RIZINが目標に向けてのルート、突破口の一つになる。僕はそれでも良いと感じています。その選手が目標達成のためにRIZINで強い外国人選手と戦うことになれば、RIZINにとっても良いことですし。あとファンにしても、RIZINがMMAを知る一つの入り口になってくれれば」

――ポアタンが挨拶をすると、超絶盛り上がるようになると。

「本当ですよ。あのシーンとなった東京ドーム……他の国なら違っていたでしょうね(笑)」

――ハハハハ。KNOCK OUTの後楽園ホールですら『シッティチャイと契約』という発表に、シーン。なんだ、これは?と思うと同時に、そういう層と向き合ってビジネスをしてくれる方々に感謝したくなりました。ORICON NEWSがあってくれるから、MMAPLANETは存在できると。

「本当にその通りで。僕も高島さんも社会不適合の変態ですよ。自分の理想と違うと、不満が口に出る。文句は言いますけど、自分は生かされているんですよね。それこそ同じ志向の人間のなかにいると、その村から出ることができない。

村の外で何が起こっているか分からないと、その村の存在自体がなくなってしまいます。村の外から、村の外の感覚で村を見る人がいてくれるから、村の中から村の中の感覚で外を見ることができる」

――その境界線が行き来できるRIZIN LANDMARK12だと。

「ハイ。凄く興味深いですよ」

――いやぁ、最近はMMAに熱くなりまくりで柏木さんの取材でも下ネタまで話が回らないですね。

「いや、それは別チャンネルで。ここからやりましょうか(笑)」

――ハハハハ。もうお腹いっぱいです。

「あっ、僕も次のミーティングにもう間に合わなくなってしまいました(笑)。でも、本当に自分はRIZINに生かされていて。色々とMMAが好きだからこそ、悩むこともあったけど。1周、2周、3周と回って、悩んで。でも今、松嶋こよみ選手がケラモフとやりますし。山内渉選手もトニー・ララミーと組める。バランスとタイミングが合致したLANDMARK12かと思います。あくまでも自分の理想だけ追求していたら、日本のMMAは盛り上がらない。そのなかで、追及することも忘れない。良い意味でブレも必要だと」

――それがブレなら、ブレでしょう。ただ目標に視線が向いたままなら後退しようが、斜めや横に動こうが前進だと思います。

「それ、悩んでいる時に言ってもらって突き刺さったんですよね(笑)。Step Forward。状況を受け入れ、自分たちはどこに向けて格闘技を創っているのか。それを冷静になって考えることができるようになりました」

――押忍。今日も長時間、ありがとうございました。そのなかで神戸大会関連でも一つだけよろしいですか。

「ハイ。もちろんです」

――金太郎選手と戦うリ・ユンフォンですが、札幌大会のザージバーディン&名古屋大会のファン・イェーロウに続き中国人選手の登用の狙いとは?

「一応、中国でも知られたいということですよね。TikTokとかで跳ねそうな選手をお願いしているというのはあります。ただ、リ・ユンフォンはエンポ―・ファイトクラブの出身で、今はUFC PIで練習をしている選手なんです」

――えぇ、強そうじゃないですか。そしてRIZINの知名度も中国でアップすると。

「SNSの数は相当に行くようです(笑)」


■視聴方法(予定)
11月3日(月・祝)
午前11時30分~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!

■RIZIN LANDMARK12対戦カード

<フェザー級/5分3R>
秋元強真(日本)
萩原京平(日本)

<RIZIN女子スーパーアトム級選手権試合/5分3R>
[王者] 伊澤星花(日本)
[挑戦者] 大島沙緒里(日本)

<フェザー級/5分3R>
ヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)
松嶋こよみ(日本)

<フェザー級/5分3R>
摩嶋一整(日本)
木村柊也(日本)

<50キロ契約/5分3R>
ケイト・ロータス(日本)
イ・ボミ(韓国)

<ライト級/5分3R>
宇佐美正パトリック(日本)
桜庭大世(日本)

<バンタム級/5分3R>
中島太一(日本)
後藤丈治(日本)

<ヘビー級/5分3R>
貴賢神(日本)
MAX吉田(日本)

<62キロ契約/5分3R>
金太郎(韓国)
リ・ユンフォン(中国)

<ライト級/5分3R>
雑賀“ヤン坊”達也(韓国)
ヌルハン・ズマガジー(カザフスタン)

<バンタム級/5分3R>
鹿志村仁之介(日本)
安井飛馬(日本)

<ライト級/5分3R>
キ・ウォンビン(韓国)
キャプテン☆アフリカ(日本)

<フライ級/5分3R>
トニー・ララミー(カナダ)
山内渉(日本)

<キックボクシング51キロ契約/3分3R>
KING陸斗(日本)
水野夢斗(日本)

<OP女子スーパーアトム級/5分2R>
NOEL(日本)
海咲イルカ(日本)

<OPキックボクシング57キロ契約/3分3R>
赤平大治(日本)
翔磨(日本)

<OPバンタム級/5分2R>
宮川日向(日本)
MG眞介(日本)

<OPキックボクシング63キロ契約/3分3R>
元氣(日本)
林眞平(日本)

<OPキックボクシング51キロ契約/3分3R>
みいちゃんレンジャージム(日本)
伊藤菜の花(日本)

The post 【RIZIN】柏木さんと会議室MMA談議─02─「今のRIZINならグローバル、本当に世界基準で強くなれる」 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 AMMA MAX MMA MMAPLANET o UFC UFC321   アザット・マクスン アザマット・ムルザカノフ アレキサンダー・ヴォルコフ アレクサンドル・ラキッチ イクラム・アリスケロフ イリー・プロハースカ ウマル・ヌルマゴメドフ カリル・ラウントリー カーティス・ブレイズ クイラン・サルキルド クリス・バーネット シリル・ガンヌ ジャイルトン・アルメイダ ジョン・ジョーンズ スタイプ・ミオシッチ セルゲイ・パブロビッチ タイ・ツイバサ ダナ・ホワイト デリック・ルイス トム・アスピナル ナサニエル・ウッド ナスラ・ハクパレス ハムディ・アルデルワハブ パク・ジュンヨン フェルナンド フランシス・ガヌー ホセ・デルガド マッケンジー・ダーン マテウス・レンベツキ マリオ・バウティスタ ルドヴィット・クライン ヴィルナ・ジャンジローバ 堀口恭司 海外 魅津希

【UFC321】展望 ヘビー級選手権試合。底が見えないアスピナル×穴を塞いで(?!)3度目の正直ガンヌ

【写真】13試合中5試合がヘビー級戦という今大会。締めは当然、世界ヘビー級選手権試合だ(C)Zuffa/UFC

25日(土・現地時間)UAEはアブダビのエティハド・アリーナにて、UFC 321「 Aspinall vs Gane」 が行われる。ヴィルナ・ジャンジローバとマッケンジー・ダーンの間で争われる女子ストロー級王座決定戦をコメインとするこの大会のメインは、王者トム・アスピナルにシリル・ガンヌが挑むヘビー級タイトルマッチだ。
Text by Isamu Horiuchi

王者アスピナルは、UFCヘビー級戦線にて初回KOの山を築き続ける英国出身の32歳だ。UFCデビュー以来9戦8勝8フィニッシュ。そのうち7つが初回決着で、UFC唯一の敗戦である2022年7月のカーティス・ブレイズ戦は、開始15秒でローの着地時にヒザを負傷して続行不可能となったもの。オクタゴンで相手に攻め込まれたことがほとんどなく、悉く短時間で圧勝しているため強さの底がまだ全く見えていない。

一撃必殺の拳が際立つアスピナルだが、もともとのバックグラウンドは柔術家でもある父親に幼少時から学んでいる組技だ。2022年3月のアレクサンダー・ヴォルコフ戦ではボディロックと抜群のタイミングで入るダブルレッグという二種類のテイクダウンを見事に決めている。さらにそこからタイトに胸を合わせる抑え方、腰を切って足を抜くパス等寝技での体捌きの秀逸さも披露した上で、ストレートアームバーでフィニッシュ。極めの強さまで見せつけている。


初戴冠は2023年11月のMSG大会だ。当初予定されていた王者ジョン・ジョーンズ×スタイプ・ミオシッチのヘビー級タイトルマッチがジョーンズの怪我で流れると、ダナ・ホワイト代表はそのカードを温存するために、リザーバーとして控えていたセルゲイ・パブロビッチと4位のアスピナルの間での暫定王者決定戦を組んだ。

69秒で王座奪取。60秒で王座防衛

わずか2週間半の前の告知で上がった大舞台で、アスピナルは大きく踏み込んでの閃光の如き右をテンプルに叩き込み、ぐらつくパブロビッチにさらに目にも止まらぬ左右フックを叩き込んで巨体を薙ぎ倒すと、すぐさま上から鉄槌を連打。69秒で試合を終わらせてみせた。マットに突っ伏して喜びを表現したアスピナルは、幼少時から二人三脚で歩んできたヘッドコーチである父親にそのベルトを捧げた。

翌2024年の7月には、上述のアクシデント故に唯一敗れているカーティス・ブレイズを迎えて、地元英国のマンチェスターにて暫定王座の初防衛戦に臨んだ。両者の距離が近づいた瞬間、リアルタイムでは見えないほど速いジャブを当てて倒したアスピナルは、背後からパウンドの嵐を見舞ってフィニッシュ、今度は1分ジャストで仕留めてみせた。

試合後のインタビューでは、正規王者(であるにもかかわらず、暫定王者の自分を差し置いて元王者のミオシッチを挑戦者に迎えたレジェンドファイトを予定している)ジョーンズに「ハロー、ジョン! 個人的に君への恨みは何もない。でも僕は自分の方が強いと思うし、君を倒せると知っている。獲りに行くぞ!」と丁寧なメッセージと送った。

さらにアスピナルは「聞いてくれ。僕は普通の人間。普通の家族、家庭、地域の出身だ。いま家で視てくれているあなた方と同じくね。でも時には、そんな普通の人間たちが並外れたことをやってのけることができる。僕はその証明だ。みんな懸命に頑張り、目標に向かって行ってほしい。自分を抑えることなしに!」と言葉を重ねた。

決して相手を煽らず、スーパースターとして派手に振る舞うのではなく、あくまで「普通の人々」の一人として戦い、人生にて努力を重ね目標に邁進する姿を示すというのが、アスピナルが選んだプロとしての姿勢だ。

その後ジョーンズは2024年末にミオシッチを倒し、正規王座防衛に成功した。当然アスピナルとの王座統一戦を望む声が高まったが、以前から「アスピナルと戦っても、俺のレガシーにはなんの足しにもならんよ」と公言していたジョーンズは応えず。結局半年以上経った今年の6月、デイナ・ホワイト代表はジョーンズの引退を発表。同時にアスピナルを新しく正規王者に認定するとした。

対戦要求していたジョーンズに逃げられた形となったアスピナルだが「まず言いたい。人生とキャリアにおいて前に進む彼に、神の祝福があらんことを。我々も次に行こうじゃないか。僕はどんな相手とも戦うよ。今こそヘビー級戦線を動かす時だ。みんな待ちくたびれていたんだから」と、いかにも彼らしい態度で前向きに対応した。そして今回、アスピナルは現在のUFCヘビー級の中では最大の難敵と思われるガンヌを相手に、正規王者の初めての防衛戦に向かう。

チリンなヴァイブス

対する挑戦者のガンヌはフランス西部生まれで、父親はカリブ海西インド諸島にあるフランスの海外県であるクアドループの出身。普段からなんともchillin’ (まったりとした)なヴァイブスを発散しており、自身のドキュメンタリー映像においてもレゲエを流しながらご機嫌にゆったり踊り、幼少時に訪れたクアドループにてココナッツを用いてマリファナを嗜んでいた人々の話を楽しそうに語り、「ラスタマン(※レゲエ文化人??)!」と叫ぶ場面があり、その立居振る舞いにはカリブ海文化の影響を強く感じさせるものがある。

24歳の時に地元を離れ、ワークスタディ(働きながら学ぶ学生支援制度)でパリを訪れたガンヌは、勤めていた家具店の同僚に勧められてムエタイをはじめ、すぐにその才能を発揮してプロのリングで勝利を重ねた。家具店が潰れたこともあり、より真剣に取り組んだムエタイにてガンヌは14戦全勝9KOの記録を残しており、それ以前はサッカーとバスケの経験しかなかったことを考えても、その天賦の才のほどが伺われるというものだ。

やがて当時フランシス・ガヌーのコーチでもあったフェルナンド・ロペスと出会い、彼の勧めでMMAの道に。2018年8月にデビューし3連勝3フィニッシュを経て、翌2019年の8月にUFCデビュー。オクタゴンでも連勝街道を進み(最初の2試合は肩固めとヒールで一本勝ちしている)、2021年の8月にはデリック・ルイスとの暫定王座決定戦に駒を進めた。ここで圧倒的なスピード差を利して一方的に打撃を当てたガンヌは、3ラウンドに何度かダウンを奪った上でラッシュをかけてTKO勝利、無敗のまま王座に輝いた。

ちなみに筆者はその翌月に堀口恭司にインタビューする機会があり、ATTの仲間とこの試合を観戦した彼に感想を尋ねたところ「いや、あれ凄いっすよ。なかなかでかい体の人が、あんなに動き回れないっすから。子供の頃からやっていたんすかね、あの人?」と語ってくれた。

他の選手の試合にあまり興味を示さない堀口をもってここまで言わしめるほどの、ヘビー級離れした機動力とナチュラルタレントをガンヌは持ち合わせている。

そして翌2022年1月に迎えた大一番=正規王者ガヌーとの統一戦(元ロペス門下のチームメイト対決でもあった)。一進一退で迎えた5R早々、ガンヌは見事なタイミングでテイクダウンを奪取。勝利の芽が見えてきたところで、なんとヒールを狙って自ら倒れ込み、上を取り返されてしまうという痛恨のミス。この失敗が響いて最終Rを失ったガンヌは、僅差でプロ初敗北を喫するとともに、ヘビー級真の世界一というとてつもない栄光を逃してしまった。彼が発する魅力的なヴァイブスの根源を成している「大らかさ」が、一番大切な場面で悪い形で現れてしまったかのような痛恨の初黒星だった。

その後地元フランスで行われたタイ・ツイバサ戦で会心のKO勝利を挙げたガンヌは、2023年3月に再び大チャンスを得る。UFCと条件で揉めたガヌーのリリースを経て空位となったヘビー級タイトルを、ジョン・ジョーンズと争うこととなったのだ。が、ここではやや不用意に出した左ストレートをかわされて組みつかれてしまったガンヌは、そのままグラウンドに持ち込まれ、最後はケージ側に追い込まれてのギロチンでタップ。いいところなく敗れてしまった。

有り余る才能を有していながらも、肝心なところで詰めが甘く、一番大切な試合で勝てない──そんな印象が強く与えてしまったガンヌだが、その後セルゲイ・スピヴァックとアレクサンダー・ヴォルコフに2連勝。今回三度目の正規王座挑戦のチャンスを引き寄せた。

そんな両者の戦いの下馬評は、底を見せていない王者アスピナルが大きく有利と出ている。当然のことだ。ヘビー級を一撃で倒す凄まじい威力の拳を誇るアスピナルと、軽い打撃を当て続けての判定勝利が多いガンヌ。もともとは組技主体で、テイクダウンからのサブミッションで圧勝する姿も披露しているアスピナルと、ガヌー戦やジョーンズ戦でグラップリングにおける穴を露呈したガンヌ。「自分の大きな武器は、瞬間瞬間で正しい判断ができること」と自信満々に語り、その言葉の正しさを試合で証明し続けているアスピナルと、大一番で誰もが目を疑うような選択をやらかしているガンヌ。これまでの両者を比較すると、王者有利説を補強する要素が次々と思い浮かぶ。

しかし、ガンヌこそ我々がまだ見ていないアスピナルの「底」を露呈させてくる可能性を一番秘めた選手であることも確かだ。アスピナルの最大の武器は、一瞬で距離を詰めて放つ拳にある。それが途方もない威力を発揮するのは、相手が反応できないほどのスピード差があるが故だ。

が、ガンヌはUFCヘビー級で、唯一アスピナルに劣らぬスピードと機動力の持ち主であり、距離のコントロールでも卓越している。軽い足取りで遠い距離を保ちながらロー、前蹴り、関節蹴りと多彩に足を飛ばし、気を散らされた相手にサウスポーから閃光の如きジャブを当てるのを必殺パターンとする。アスピナルと言えども、そのうるさい手足を掻い潜り距離を詰めるのは容易ではないだろう。「トムは、僕のようなタイプの相手と戦ったことはない」と語るガンヌの言葉に嘘はない。

アスピナルもそれは百も承知で「シリルはスーパーアスレティックですごいスピードで動く。だからこっちもスーパーフィットな状態を作り、スーパーシャープに行く必要があるよね」とまったく油断はしていない。距離を保ちたいガンヌと、一瞬で詰めて仕留めたいアスピナル。間合いを制するのはどちらか。そこにグラップリングの要素がどう影響してくるのか。

「僕らの試合は重量級のニューエイジの戦いだよ。二人とも10年前のヘビー級選手とはまったく違う動きができるからね」とアスピナル。その言葉の通り、今まで見たことがないような速さと洗練度を併せ持つ、ヘビー級の頂点をめぐる攻防を堪能したい。

■UFC321対戦カード

<UFC世界ヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者] トム・アスピナル(英国)
[挑戦者] シリル・ガンヌ(フランス)

<UFC世界女子ストロー級王座決定戦/5分5R>
ヴィルナ・ジャンジローバ(ブラジル)
マッケンジー・ダーン(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
イリー・プロハースカ(チェコ)
カリル・ラウントリー(米国)

<バンタム級/5分3R>
ウマル・ヌルマゴメドフ(ロシア)
マリオ・バウティスタ(米国)

<ヘビー級/5分3R>
アレキサンダー・ヴォルコフ(ロシア)
ジャイルトン・アルメイダ(ブラジル)

<ライトヘビー級/5分3R>
アレクサンドル・ラキッチ(オーストリア)
アザマット・ムルザカノフ(ロシア)

<ライト級/5分3R>
ナスラ・ハクパレス(ドイツ)
クイラン・サルキルド(豪州)

<ミドル級/5分3R>
イクラム・アリスケロフ(ロシア)
パク・ジュンヨン(韓国)

<ライト級/5分3R>
マテウス・レンベツキ(ポーランド)
ルドヴィット・クライン(スロバキア)

<ヘビー級/5分3R>
ヴァルテル・ウォウケル(ブラジル)
ルイ・サザーランド(英国)

<フェザー級/5分3R>
ホセ・デルガド(米国)
ナサニエル・ウッド(英国)

<ヘビー級/5分3R>
クリス・バーネット(米国)
ハムディ・アルデルワハブ(エジプト)

<フライ級/5分3R>
アザット・マクスン(カザフスタン)
ミッチ・ラポーゾ(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
ジャケリニ・アモリン(ブラジル)
魅津希(日本)

The post 【UFC321】展望 ヘビー級選手権試合。底が見えないアスピナル×穴を塞いで(?!)3度目の正直ガンヌ first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
AB o UFC アマンダ・レモス ウマル・ヌルマゴメドフ クイラン・サルキルド クリス・バーネット ジョン・ジョーンズ デリック・ルイス トム・アスピナル ハンナ・ゴールディ パク・ジュンヨン フランシス・ガヌー

UFC321:オッズ/予想と展望

トム・アスピナル 1.28
シリル・ガヌ 3.80
ヴィーナ・ジャンジロバ 2.30
マッケンジー・ダーン 1.65
ウマル・ヌルマゴメドフ 1.16
マリオ・バティスタ 5.55
アレクサンドル・ヴォルコフ 2.80
ジャイルトン・アウメイダ 1.46
アレクサンダル・ラキッチ 1.91
アザマト・ムルザカノフ 1.91
ナスラット・ハクパラスト 1.87
クイラン・サルキルド 1.95
イクラム・アリスケロフ 1.39
パク・ジュンヨン 3.10
ルドヴィト・クライン 1.74
マテウシュ・レベツキ 2.14
アブドゥル・カリーム・アル・セルワディ 1.93
マテウス・カミロ 1.89
ヴァルテル・ウォルケル 1.28
ルイ・サザーランド 3.85
ナサニエル・ウッド 2.24
ホセ・ミゲル・デルガド 1.68
ハムディ・アブデルワハブ 1.24
クリス・バーネット 4.30
アザト・マクスム 1.25
ミッチ・ラポーゾ 4.10
ジャケリニ・アモリン 1.24
魅津希 4.30

毎年10月恒例のアブダビでのナンバーシリーズイベント、今回はヘビー級タイトルマッチがメイン。6月に正規王者ジョン・ジョーンズが引退により王座を返上し、正王者に昇格したトム・アスピナルの初防衛戦。なお、JJは2週間後にUFCホワイトハウス大会の開催が発表されると現役復帰を宣言し、ドラッグテストの検査プールに再登録されている。

アスピナルはUFC8勝1敗だが、1R後半以降に試合がもつれたのはそのうち2回のみ。1試合の平均タイム2分2秒は、5試合以上戦っている選手の中ではUFC史上最短。ボクシングベースのストライカーだが、柔術も黒帯で、UFCでもアルロフスキーとボルコフから一本勝ちしている。

相手は元暫定王者のシリル・ガーヌ改めシリル・ガーン改めシリル・ガヌ。プロデビューから10連勝で、2021年8月に当時の王者フランシス・ガヌーに挑戦予定だったが、ガヌーが試合間隔が短すぎると拒否。ガヌ vs. デリック・ルイスの暫定王座決定戦に変更となり、ガヌが3RTKO勝ちで暫定王者となった。翌年1月に行われたガヌーとの王座統一戦では、ガヌーにテイクダウンから押さえ込まれる展開で判定負け。ガヌーの王座返上後にヘビー級に上げたジョン・ジョーンズと王座決定戦で対戦したが、タックルでテイクダウンを奪われ尻餅をついた体勢でギロチンに捕まり、キャリア初の一本負けを喫している。バックボーンはムエタイ

パンチの技術と、いざという時にグラウンド勝負に持ち込める引き出しの多さでアスピナル有利。アスピナルKO勝ちと予想。

セミではストロー級で挑戦者がいなくなったジャン・ウェイリーがフライ級転向で王座を返上したことで行われる王座決定戦。1位ジャンジロバと5位ダーンはともにタイトル初挑戦。

両者とも柔術バックボーンのグラップラーで、両者合わせて37勝のうち、一本勝ちが22試合ある一方、KO勝ちはジャンジロバの1度のみ。上位ランカーがジャンジロバに敗れたばかりのシャオナン、9月に試合したばかりのスアレスとレモスで、5位ダーンに挑戦権が回ってきた。2015年のADCC60kg、2016年のIBJJF黒帯59kg以下の世界王者で、グラップリングの実力では女子トップクラス。反面、打撃に穴があり、テイクダウンを奪えず打撃で押されるのが負けパターン。最近は打撃も向上してきているが、まだストライカー相手に勝負できるほどではない。

両者は2020年に対戦し、ダーンがそれまで見せていなかった先に打撃で攻めていくスタイルで優勢に試合を進め、ジャンジロバが上になってもダーンの下攻めに阻まれる展開で、ダーンが判定勝ちしている。

お互い寝技勝負するスタイルだが、その部分でダーンが上回っている。ジャンジロバはダーンに勝っているヤン・シャオナンやアマンダ・レモスにはテイクダウンを奪ってグラウンドに持ち込み勝利しているが、ダーン相手ではテイクダウンしても優位に立てないので厳しい。ダーン判定勝ち。

第1試合は魅津希が2年ぶりの復帰戦。前回の試合も2020年以来3年ぶりの復帰戦だったが、その後もオファーのタイミングで怪我があり、またブランクが開いてしまった。前戦はUFC1勝3敗のハンナ・ゴールディのフィジカルで押す戦法にやや苦戦し、際どい内容での判定勝ち。かつて女子でトップクラスと言われたボクシングテクニックが武器のストライカー。

今回の相手はUFCデビュー戦で敗れた後4連続フィニッシュ勝利しているアモリン。柔術家で、引き込んでからの下攻めも得意としている。ランキング手前で、魅津希にとってはブランク明けの復帰戦としては厳しすぎる相手。アモリンのテイクダウンをどこまで防ぐことが出来るか。

第1試合開始は25日土曜日の夜11時から。速報します。

 

カテゴリー
AB F1 KSW MAX MMA News o UFC ウマル・ヌルマゴメドフ カリル・ラウントリー カーロス・アルバーグ ジョン・ジョーンズ ジョー・パイファー ダナ・ホワイト パッチー・ミックス ヤクブ・ヴィクワチ 朝倉海

UFC320:ポストファイトボーナス/総評

・ファイト・オブ・ザ・ナイト:ジー・プロハースカ vs. カリル・ラウントリーJr.

・パフォーマンス・オブ・ザ・ナイト:アレックス・ペレイラ、イジー・プロハースカ、ジョー・パイファー

ボーナスは通常4人のところ5人で、プロハースカはW受賞。

メインはペレイラが前回とは違い最初から圧を掛けてきて、アンカラエフは何も出来ないままパンチを効かされ一気に勝負が決まってしまった。前回は逆にアンカラエフに圧を掛けられる展開だったが、ペレイラが対策してきたのがハマった。次にまた対戦があれば、今度はアンカラエフが対策して、また別の展開になるかもしれないが、再戦があるとしてもだいぶ先か。

勝ったペレイラだが、試合後右足を気にしており、記者会見では「インカーフを蹴った際に痛めた。折れたと思う」と語っていた。次の試合までは期間が開くかもしれない。

https://www.mmaweekly.com/news/alex-pereira-pretty-sure-he-broke-his-foot-in-ufc-320-title-fight

また、試合前からダナ・ホワイトに対し、ヘビー級転向を要望していたとのこと。それに対し、ダナ・ホワイトはまだ挑戦者がいる状態での階級変更には納得していないと語った。

ペレイラは2週間で30ポンド(約13kg)減量し、計量翌日の朝には約10kgリカバリーしていたことも明かしている。

bloodyelbow.com

が、ライトヘビーへの減量が限界とも思えず、どちらかと言えば、ライトヘビー級で対戦相手が一周してしまい、モチベーションが上がらないことの方が大きいかもしれない。

試合後にはUFCホワイトハウス大会でのジョン・ジョーンズ戦をアピールするつもりだったが、JJの兄が亡くなった直後だったため、冥福を祈るコメントのみにしたとのこと。JJは引退表明し王座を返上したが、UFCホワイトハウス大会が発表されると即撤回。現在は再度UFCの抜き打ちドーピング検査の検査プール入りしているが、王座は正式に返上されており、現在は無冠。ペレイラがヘビー級に転向しJJと対戦するとしてもノンタイトル戦となる。

また、ダナ・ホワイトは問題児でたびたび試合を飛ばしてきたJJのUFCホワイトハウス大会出場については「リスクを考えると出せない」と明言しており、JJ vs. ペレイラUFCホワイトハウス大会で実現するかは微妙なところ。

ライトヘビー級王座には先週のオーストラリア大会で勝利したカーロス・アルバーグ、この日のセミ前で勝利したプロハースカの2人が挑戦者候補となるが、まずはペレイラの負傷の度合いと、次がライトヘビー級王座の防衛戦になるかどうかが明らかにならなければ、試合の実現は不透明。ペレイラの欠場が長くなるなら、アルバーグ vs. プロハースカでの暫定王座決定戦が組まれる可能性もあるかもしれない。

セミはメラブ・ドバリシビリが今回も最後までテイクダウンを仕掛けて続けて完勝。1Rはまだ様子見だったが、2Rにテイクダウンを奪うと、直後にケージに詰めてパンチのラッシュを打ち込み圧倒。それ以降はいつも通りのペースでテイクダウンを取る→立たせる→またテイクダウンの無限ループ。今回は打撃で行くと事前に宣言していた通り、いつもよりパンチの手数が多く、空振りも多かったが、5Rまで失速せず戦いきった。

ただ、メラブも来年1月には35歳となる。今と同じ戦いがいつまで出来るか。今回は打撃を多用していたが、結局武器は無尽蔵のスタミナ。メラブの加齢でスタミナが無くなるより早く、メラブ攻略をする選手は出てくるだろうか。個人的には1月にメラブに挑戦したが、1Rに手を骨折し、万全ではない状況だったウマル・ヌルマゴメドフが再チャンスでメラブを超えられるかどうかがみたい。

プレリムに出場したパッチー・ミックスはUFC初参戦のKSW王者ヤクブ・ヴィクワチに完敗。前回は急な出場で減量が万全ではなかったと言っていたが、今回の方が明らかに動きが悪く、消耗も早かった。今回も体調不良かはわからないが、現状では次戦もあまり期待できない。勝ったヴィクワチも、スイープは良かったが、今後も下攻めスタイルを続けるようだと、ランカークラスが相手になると厳しい。UFCが外様同士の対戦で生き残りをさせる方針だとすると、階級を上げた朝倉海を両者と当てるマッチメイクも今後出てくるかもしれない。

 

カテゴリー
45 MMA MMAPLANET o UFC UFC320 アレックス・ポアタン アレックス・ポアタン・ペレイラ イリー・プロハースカ ジョン・ジョーンズ マゴメド・アンカラエフ

【UFC320】80秒のリベンジ劇! 開始直後から王者を攻め立てたポアタンが垂直ヒジ連打でベルト奪還

<UFC世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R>
アレックス・ポアタン・ペレイラ(ブラジル)
Def.1R1分20秒 by TKO
マゴメド・アンカラエフ(ロシア)

開始早々サウスポーの王者に対し、ポアタンがワンツーを伸ばした。アンカラエフは右に回るが、挑戦者の右を受けてしまう。アンカラエフにケージを背負わせたポアタンは右インローを当て続ける。アンカラエフはオーソドックスにスイッチ。その王者を右オーバーハンドでグラつかせたポアタンは、シングルレッグに来たアンカラエフを潰してトップへ。左の鉄槌を連打し、防戦一方のアンカラエフにパウンドと左垂直ヒジを浴びせてストップした。

試合後、アンカラエフに対して何かジェスチャーを見せる勝者。アンカラエフは何か怒りのような感情を見せるも、関係者が両者の間に割って入った。時間を置いてハグした両者とともに、ケージサイドで観戦するイリー・プロハースカを映し出す。今年5月に失ったベルトを取り戻したポアタンは、「誰も信じなかったけど、前回はコンディションが悪かった。見た通りだ。何も驚くことはなかった。言い訳は嫌いだけど、前回は良くなかった。今夜はとても良かったということだ。ジョン・ジョーンズの身に起こったこと(※兄が死去)――彼と家族に皆で黙とうをささげて欲しい」と語り、黙とうの後はオクタゴンで勝利のダンスを見せた。


The post 【UFC320】80秒のリベンジ劇! 開始直後から王者を攻め立てたポアタンが垂直ヒジ連打でベルト奪還 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 MMA MMAPLANET o Special UFC UFC309 キック ジョン・ジョーンズ スタイプ・ミオシッチ トム・アスピナル ボクシング 大沢ケンジ 柏木信吾 水垣偉弥 良太郎

【Special】月刊、良太郎のこの一番:11月 JJ×ミオシッチ「JJが怪物から仙人になってきた」

【写真】王道の戦い方+引き出しの多さ+必要最低限の出力。これはジョン・ジョーンズの変わらない強さでもある(C)Zuffa/UFC

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客が気になった試合をピックアップして語る当企画。背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。
Text by Takumi Nakamura

大沢ケンジ、水垣偉弥、柏木信吾、良太郎というJ-MMA界の論客をMMAPLANET執筆陣がインタビュー。今回は良太郎氏が選んだ2024年11月の一番──11月16日に行われたUFC309のジョン・ジョーンズ×スタイプ・ミオシッチ。今回も水垣氏と同チョイスとなったが、打撃という視点でジョーンズの強さについて語らおう。

【Special】月刊、水垣偉弥のこの一番:11月
JJ×ミオシッチ「いよいよJJが負ける姿が想像つかない」


――実は11月の一番も水垣さんと同じジョン・ジョーンズ×スタイプ・ミオシッチをセレクトしてもらいました。この試合はやはりジョーンズについてお聞きしたいと思います。

「あれはもう…変人の領域に達してますね(笑)。やっぱりジョン・ジョーンズに対する幻想があるじゃないですか。でも体つきを見たりすると、みんなが知っている全盛期から2周も3周も回った選手だと思うんです。だから正直まだ強いのか?と思って見ている人が多かったと思います。ミオシッチも42歳で、約3年8カ月ぶりの試合だったので、ジョーンズが何だかんだで勝つだろうなとは思っていましたが、スピニングバックキックを左の脇腹に突き刺してKO勝ちするというのは全く予想してなかったです。もう本当にすげえな、この人っていう。それしか出てこないです」

――JJは明らかにライトヘビー級時代と比べると体のコンディションは悪いじゃないですか。それでもなんだかんだで勝ってしまいましたよね。

「コンディションは間違いなく良くないですよね。ボクシング的に言ったら、 かつてのスター選手が復活して、倒して勝っちゃうことってあるじゃないですか。あれはボクシングがパンチに限定された競技でラウンド数も長いからだと思うんです。キック・ムエタイは蹴りもあってラウンド数も短くなるから、どうしても若くてフレッシュな選手の方の勢いに飲まれてしまうけど、サムエー、ブアカーオ、センチャイのように制空権を制して、相手を制圧して距離感を支配する達人みたいな40代の選手もいる。MMAは試合時間が長いのでボクシングに近いところがあるけれど、レスリングや組み技をやらないといけないし、よりフィジカル的な強さが求められる。そんな競技なのにジョン・ジョーンズはボクシングやキック・ムエタイでオールドスターが未だに強いというのをMMA、しかもUFCでやっちゃってる感じですよね。

今回のミオシッチ戦で言うなら、右と左をスイッチして戦えるベースがあるんですけど、無駄な動きが一切ないんです。ミオシッチがバー!と攻めた時にジョーンズが後ろを向いて逃げたじゃないですか。あれを若いファイターがやるともっとクイックな動きになるんですけど、ジョーンズはちょっとスローな動きでしたよね。言葉は悪いですけど年齢を重ねた選手というか。でも見方を変えれば必要最小限の動きとスピードでかわしてるわけですよ」

――なるほど。それは面白い視点です。

「細かい技術で言うと、オーソドックスに構えたら自分の距離感でスナップがついたジャブを当てて、サウスポーに構えたら前手で相手の前手を触っておいて、同じモーションでローと三日月蹴りを蹴って、たまに左ストレートを打つ。やってることは普通、王道中の王道なんです」

――特別なことをやっているわけじゃない、と。

「ただジョーンズがすごいのは1Rに決めた大外刈りのような技の引き出しが豊富なところです。あんな技もやるんだという引き出しがあるんですよね。勝つために必要なことを最小限の出力で無駄なくやる、そして技の引き出しが多い。それがジョン・ジョーンズだと思います」

――フィニッシュになったスピニングバックキックについてはいかがでしょうか。

「あれは最初にジョーンズが三日月蹴りでレバーを意識させておいて、アレックス・ペレイラがよくやるようなお尻をくっと入れるフェイントでミオシッチを下がらせて金網を背負わせる。それで逆回転のスピニングバックキックをレバーの逆側にぶちこむと。あれは当たった場所的にボディが効いたというよりも骨がいったんじゃないかなと思います」

――あの一発にもそういった細かいテクニックがあるわけですね。

「昔は怪物で最強だったのが、段々と仙人みたいになってきましたよね」

――良太郎選手のお話を聞いていると怪物時代のジョーンズも無駄打ちが少なかったり、余計な出力をしていなかったり、今と共通している部分もあるんでしょうね。

「そうですね。そこに昔は若さがあったというか、細かい部分のスピードや反応速度は当時の方があったと思います。こういうタイプは段々と反応が悪くなって結果が出なくなってきて、それで引退という流れになるんですけど、ジョーンズは負けないんですよね。なんでそれが出来るのかは……正直分かりません(笑)」

――ムエタイのスーパースターだった選手が日本でトレーナーとして働きながら試合をしても日本人には負けないというパターンに似ているのかなとも思います。

「貯金と言えば貯金で勝っていると思いますが、それだけでもないし、UFCのあのレベルでやっているわけですからね。今回も相手はブランクがあるとはいえミオシッチですし。ここまで来たら、もう相手は1人=トム・アスピナルしかいないですけど、なんかやらなそうな感じじゃないですか。色々と難癖をつけて(苦笑)。でも僕はそれも含めて強さだと思うんですよ。フロイド・メイウェザーじゃないけど、博打する時は自分のタイミングでやる、みたいな。だからそこも全部ひっくるめて最強幻想がありますよね」

――試合以外の部分でも主導権を握るところも含めて強さですね。あれだけ色々な問題を起こしてもUFCで試合を組まれ続けているわけですし。

「本当ですよ。 普通は追放レベルですからね(苦笑)」

――いずれにしてもUFCから必要とされ続けているという時点で スペシャルな選手であることは間違いないですね。

「はい。ただみんなはもうちょっと彼に尊敬や畏敬の面を求めていると思います(笑)」

The post 【Special】月刊、良太郎のこの一番:11月 JJ×ミオシッチ「JJが怪物から仙人になってきた」 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 DJ.taiki MMA MMAPLANET UFC UFC309 ジョン・ジョーンズ スタイプ・ミオシッチ ブログ

【Special】月刊、水垣偉弥のこの一番:11月 JJ×ミオシッチ「いよいよJJが負ける姿が想像つかない」

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客が気になった試合をピックアップして語る当企画。背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。
Text by Takumi Nakamura

大沢ケンジ、水垣偉弥、柏木信吾、良太郎というJ-MMA界の論客をMMAPLANET執筆陣がインタビュー。今回は水垣偉弥氏が選んだ2024年11月の一番──11月16日に行われたUFC309のジョン・ジョーンズ×スタイプ・ミオシッチ、改めてUFCヘビー級王者としての強さを見せつけたジョーンズについて語らおう。


――今月の一番ではジョン・ジョーンズ×スタイプ・ミオシッチの一戦を選んでいただきました。この試合をセレクトした理由を訊かせてもらえますか。

「これはもうジョン・ジョーンズという選手だからですよね。ジョーンズは僕がUFCに行く前からUFCで戦っている大ベテランで、今でもUFCチャンピオンでい続けているという。何で言うんですかね、『誰もジョーンズには勝てないのか?』という、ちょっとした虚しさを感じた試合でした」

――ジョーンズは今回がヘビー級転向2戦目で体もシェイプされていなかったですし、今回は厳しい試合位になると思っていました。

「ヘビー級になって体も大分デカくなって、あの体を見た時に『今まで通り動けるの?』と思ったんです。そうしたらヘビー級転向初戦のシリル・ガンヌ戦はギロチンで一本勝ちして。でもあの試合は2分くらいで終わった試合だったので、判断できないところがあったんです。試合が長引いたらすぐに失速するんじゃないかなと。それで今回のミオシッチ戦はもっとジョーンズが距離を取って戦うと予想していたのですが、序盤から腹を効かせて自分から攻めたんですよね。しかも1Rにいきなり打撃からの大外刈りでテイクダウンして。あれがあったので2R以降のミオシッチはなかなかパンチの距離に持ち込めなかったですよね。逆にジョーンズは1Rで距離感が分かったので、すぐにダメージを与える打撃を切り替えましたよね」

――水垣さんの分析ではあの大外刈りが試合の流れを決めた、と。ただあの技を武器として持っていたとしても、復帰戦の1Rのあの時間帯で決めるのは普通ではないですよね。

「はい。相手のパンチが見えている状況だったら、ああいう技(大外刈り)でテイクダウンできると思うんですよ。でもミオシッチはハードパンチャーで、ジョーンズ自身も1年8カ月ぶりの試合だった。そういう状況で打撃の距離感を合わせるのは難しいし、序盤からああいう技にトライするのはリスクがあると思うんですよ。でもそういう技をパッとやって決めってしまうという」

――あの動きはジョーンズにしかできないですか。

「動きそのものは特別な技ではないと思いますが、あの状況で決めるのは……やっぱりジョーンズは特別ですね。体格的に恵まれている上に技の引き出しも多くて、もちろんジョーンズも色んな努力をして強くなったと思うのですが、あれはずるいです(苦笑)」

――もはやずるいレベルの強さだ、と。

「はい。しかも普通はあれだけ偉大な選手だったらもっとリスペクトされるじゃないですか。でもジョーンズは色んな問題を起こして、スーパーヒールのポジションを確立している。見ていて面白いというのは違うのかもしれないけど、自分のキャラクターを確立していますよね」

――憎まれ役なのにファイターとしては抜群に強い。ジョーンズにしかできないポジションですね。

「僕もジョーンズと話したことがあるのですが、普段は本当に物静かでオラオラするようなタイプでもないんですよ。以前、DJ.taikiさんがジャクソンズMMAに練習に行った時、空港までの移動手段がなくて困っていたら、ジョーンズが『俺が車で空港まで乗せていってあげるよ』と言って送ってくれたことがあったそうなんです。だから本来はそういう一面も持っている人なんですよね。それなのになんであんなに問題を起こしてしまうんだ?という(苦笑)。僕はジョーンズのことが嫌いとかは一切ないんですけど、あれだけ強すぎるとジョーンズが試合で辛くなった姿・苦しむ姿を見たくなっちゃうんですよね」

――確かに……あまりにも強すぎるので苦戦するジョーンズを見たい気持ちは理解できます。

「そうなんです。今までUFCでも特別なものを感じる選手はいたと思うんですけど、どこかで底が見えてくるというか、そういう試合や負けがあるじゃないですか。でもジョーンズはそれがないんですよね。このまま苦戦することなく引退するとなったら、それはそれで悲しい。僕はミオシッチはジョーンズの相手としてはベストチョイスだと思っていて、ファイターとして試合をしながら消防士という一面もあって、そういう人柄も見えてくるじゃないですか。逆にジョーンズは格闘技は強いんだけど問題を起こしまくる問題児で、ミオシッチにジョーンズを苦しめて欲しかったんですよね。そう思っていたら逆にジョーンズが圧勝してしまうという(苦笑)」

――極端かもしれませんが、ジョーンズがこのまま勝ち続けていくと、恵まれた体格と持って生まれた格闘センスを持った人間には誰も勝てないということになっちゃいますよね。

「そうなんです。僕はダニエル・コーミエーがジョーンズが対戦した時、完全にコーミエー派だったんです。コーミエーはジョーンズと違って技術と技のタイミングを精度を研ぎ澄ましてUFCチャンピオンになった選手で、コーミエーもジョーンズとは真逆のタイプだと思うんですよね。でもいざ蓋を開けてみたらジョーンズがコーミエーに2戦2勝して(※2戦目は試合後にジョーンズがドーピング検査で陽性反応が出たためノーコンテストに変更)。もしかしたらミオシッチだったらコーミエー戦の続きを見せてくれるんじゃないかと思って期待したんですけどね……。ライトヘビー級時代にマウリシオ・ショーグンに勝った頃のジョーンズは怖いくらい強くて、ショーグン戦以降は5Rフルに使って勝つみたいな試合も増えていたと思うんですよ。実際にドミニク・レイエスとやった試合は以前のような強さ・魅力がなくなっていて。それでいよいよジョーンズ政権が崩れる時代が来ると思っていたら、ガンヌとミオシッチにああいう勝ち方をしてしまうわけだから。いよいよジョーンズが負ける姿が想像つかないし、どうしたんもんですかね………と思う以外の感想がないです(苦笑)」

――ジョーンズのスペシャルな部分は一旦抜きにすると、レスリングの強さ+ロングリーチから繰り出す多彩な打撃という意味では、自分の強みや特徴を理解して試合を組み立てていますよね。

「そうですね。レスリングが強くて、あの長いリーチで色んな打撃が出来る。対戦相手からすると中に入り込んで打撃を打ち込たいところですが、いざ中に入ってもレスリングや首相撲でコントロールされてしまう。じゃあ離れたところで戦おうとすると、今度は長いリーチから打撃がバンバン飛んでくる。僕もリーチが長い相手の中に入って殴るのが得意だったのですが、ジョーンズみたいな戦い方をされると、どうしようもないです(苦笑)」

――そういった戦い方の上手さもあるということで。

「技の引き出しそのものが多くて、どの局面でどの引き出しを開ければいいか。そこのチョイスには抜群のセンスがあるし、しっかり戦略を立てるコーチやブレーンがいるんだと思います」

――2025年はトム・アスピナルとの対戦が期待されていますが実現するかどうか…ですよね。

「フランシス・ガヌーとやったらどうなるんだろうと思いますが、ガヌーがPFLと契約しているので現実的ではないじゃないですか。だったらアスピナルだとは思うんですけど、どうなるのかなと」

――もしかしたらこのままジョーンズが引退して、ジョーンズは特別だったと割り切った方がいいのかなとも思ってしまいました。

「どうだろう…僕はジョーンズが負けるまで現役は続けてほしいと思いますね。ジョーンズには恨みもなにもないのですが(笑)、あれだけ強すぎるとどうしても負ける姿が見たくなります」

The post 【Special】月刊、水垣偉弥のこの一番:11月 JJ×ミオシッチ「いよいよJJが負ける姿が想像つかない」 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 AB ABEMA BELLATOR Brave CF IMMAF MMA MMAPLANET o PRIDE RIZIN RIZIN DECADE RIZIN49 UFC YA-MAN   アミール・アルバジ アレッシャンドリ・パントージャ イスラエル・アデサニャ イリー・プロハースカ エドポロキング エンカジムーロ・ズールー カルシャガ・ダウトベック キック キム・テイン クレベル・コイケ ケルヴィン・ガステラム ジョン・ジョーンズ ブランドン・モレノ ホベルト・サトシ・ソウザ ボクシング マネル・ケイプ ラジャブアリ・シェイドゥラエフ ロナルド・ロドリゲス ンコシ・ンデベレ ヴガール・ケラモフ 上田幹雄 久保優太 伊澤星花 元谷友貴 堀口恭司 大雅 斉藤健心 新居すぐる 桜庭大世 梅野源治 横内三旺 武田光司 矢地祐介 神龍誠 福田龍彌 秋元強真 芦澤竜誠 貴賢神 鈴木千裕

【RIZIN DECADE】神龍誠と対戦。小さな巨人ホセ・トーレス「ショーティー航空だ。僕が宙を舞わすから」

【写真】待望というか、来日を期待することができなかったフライ級の実力者がRIZINフライ級戦線へ(C)BRAVE CF

31日(火)、さいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナで開催されるRIZIN DECADE。その第2部=RIZIN49にホセ・トーレスが初来日を果たし、59キロ契約マッチで神龍誠と対戦する。
Text Manabu Takashima

IMMAF二連覇、プロ転向後は3戦目でTitan FCフライ級王座を獲得すると5戦目でバンタム級を制し2連覇を達成。合計4度の王座防衛の末に契約を果たしたUFCだったが、フライ級冬の時代と重なり1勝1敗で階級閉鎖の流れのなか、バンタム級転向&契約続行でなくリリースを選択した。

トーレスが選んだ再就職先は、バーレーン王国が所有するBRAVE CFだった。結果的に未完に終わったフライ級王座決定トーナメントに出場後に、階級を上げてバンタム級でBRAVE CFの頂点に立った。

厚待遇、レスト・オブ・ザ・レスト級の未知強と戦える砂漠のMMA独立王国で、トーレスはファイター人生のピークを過ごすものかと思われた。そんな身長163センチ、ショーティーと呼ばれる小さな巨人が思いもしないRIZIN参戦へ。しかも今後はフライ級に戻すことも明言した。

ボクシングの距離で戦い続けることができるトーレスは、レスリングでなく柔道、キックでなくムエタイと散打を重視する。そんな北米MMAの枠を飛び越えた――北米MMAの実力者が心躍る日本初戦への想いを語った。


BRAVE CFを日本の人達に知ってもらうためのファイト

──まさかショーティーの試合が、大晦日に日本で見られる日が来るとは思ってもいなかったです。

「ようやくこの日を迎えることができたよ。僕が最初にMMAに夢中になったのはPRIDEを視たからだった。ストリートでPRIDEのDVDを打っている人間がいて(笑)。それを買ってランペイジのスープレックス、皇帝ヒョードルや多くのファイターの試合を夢中になって視ていた。そして今回、PRIDEが行われていて会場で、PRIDEのようにリングで戦うことができる。こんな環境で戦えるなんて、めちゃくちゃエキサイトしているよ。楽しみでしょうがない」

――BRAVE CFに属してギャリアを全うするように感じていたので、この日が来ることが本当に嬉しいです。

「僕は今もBRAVE CFのファイターだ。彼らが僕にこのDECADEイベントで戦う機会を与えてくれた。そしてポケモン、デジモン、ドラゴンボールZと僕が夢中になった夢のような国で戦うことができる。BRAVE CFの元チャンピオンとして、BRAVEのショーツ、BRAVEのTシャツを着て、BRAVEとは違うマーケットで、BRAVEのブランドを知らしめるために戦う。32歳になった僕には、そういう役割もある。BRAVE CFを日本の人達に知ってもらうためのファイト。その機会をマッチメイカーが僕に設けてくれた。

ただ、それとは別に本当に訪れたかった場所に行けるという喜びがあるんだ。最高にファイターを尊敬してくれるところで戦うことができる。今回の試合だけでなく、観光客として日本に行く日が来ることを願っているよ(笑)」

――ではこの話が決定した時、ショーティーは本当に嬉しかったのでしょうね。

「もう言葉に言い表すことはできないよ。かつての練習仲間だったキョージ・ホリグチがチャンピオンのフライ級まで、すぐに体重を落とすことはできなかった。でもキャッチウェイトでマコト・シンリュウと戦うという話に、即イエスと答えたよ。ホントはキャッチウェイトでない正規の階級で戦いたいけど、今は自分のオリジナルウェイトに落とす過程にあるから、今回は59キロで戦うことにしたんだ。

怖いモノ知らずの若くて、強いファイターと戦う。彼はフライングニーやフライングハイキックをリングで使っているよね。最高にエキサイティングなファイターだ。ただ、僕の武器はシンリュウにとって最悪だ。この試合で、僕の名前を日本のファンの心にしっかりと刻むことできるに違いない。心の底からワクワクしている」

――ショーティーは自分にとって、MMAの打撃戦がボクシングの距離で続くことを初めて見せてくれたファイターです。ただ、それゆえにダメージの蓄積もあったかと思います。そして、最近ではバンタム級でレスリング重視の試合をしてきました。日本のファンはグラップリングを熟知していますが、どのような試合をしたいと考えていますか。

(C)BRAVE CF

「まず、RIZINでは僕にとって未体験の技が許されている。

グラウンドでヒザやキックを使うことができる。それに日本のファンが柔道やレスリングが分かっているといっても、RIZINという場所で見たいのはファイトだ。それに現実的なことをいえばレスリングは嫌いだ。ボクシングが好きなんだ」

レスリングで勝負してくるなら、柔道で迎え撃つ

――アハハハハ。言い切りましたね。

「前に出て殴る。若い頃のマニー・パッキャオのように、スピードに乗って飛び込むようにパンチを繰り出したい。戦いたいんだ。ただ、ここ2年間で3度戦ったンコシ・ンデベレは、背の高いパワーあふれるファイターだった。あの相手に勝つには、テイクダウンを選択するしかない。

ンコシと僕の試合はイスラエル・アデサニャとケルヴィン・ガステラムのマッチアップと同じだよ。ボクシング、テイクダウンと必死に懐に入っていった。ジョン・ジョーンズと戦った時のダニエル・コーミエーのようにね。五輪レスラーのDCが、テイクダウンを狙って苦労し続けた。もう、これはサイズとレンジの問題なんだ。

でも、ついに自分のサイズの相手と戦うことができる。懐に跳びこんで、顔面を殴ることができるんだ。もちろん彼だって僕を殴ることができる。そういう戦いのなかで、スタンドでもグラウンドでも僕には仕留める力があることを見せたい。

シンリュウがテイクダウンを仕掛け、レッスルしたいことは分かっている。試合がグラウンドになっても、構わない。立ちレスになっても、内股や払い腰で投げることが可能だ。ただ日本のファンに最高にエキサイティングな試合を見せたいから、僕のゴールはKOすることになる」

――神龍選手は拳の届く距離に立ち続けることはないかと予想されます。

「僕のボクシングは徹底的にプレッシャーを与えるなかで、カウンターを決めること。マコトの打撃は、カラテやテコンドーのように遠い距離から出入りを多用する。その先にあるのはテイクダウンをすること。でも、僕はカウンターファイターだ。掴んできても、さっきも言ったように投げることができる。それがショーティー・エアラインだ。無料でマイル・ポイントを獲得できるんだ。僕が宙を舞わすから」

――ショーティー航空で、投げを食らうといことですね(笑)。

「そう。でも、決して自分が思うような飛行はできないからね。マコトがレスリングで勝負してくるなら、柔道で迎え撃つ。打撃の間合いなら、殴って来ればよい。その時点でカウンターを打ち込む。彼はまだ若い。そういう経験をしたことがない。それでもマコトのように前に出てくる相手と戦うことは、楽しみでならないよ。それにレスリングと柔術にしても、僕は彼より優れている。テイクダウンをしたいなら、してくれば良い。

僕の爆発力を試合開始直後から、ぶつけるよ。その仕掛けに5分間耐えることができれば、彼は徹底して2Rと3Rを組み続けてくるようになるだろう。でも僕は皆に楽しんでもらいたい。例え、そういう風に攻めてきても僕のペースにマコトはついてくることができるかな?

特にラウンド毎の裁定でなく、試合を通じてダメージを与えた方が勝てる判定基準は、絶対的に僕に有利に働く。本当にシンリュウにとって、しんどい試合になるはずだよ。初回を戦い切ることができたとしても、ね」

――リングで戦うことに対して、免疫はありますか。

「リング、90度のコーナーがあることは僕のようなプレッシャーファイターにとってアドバンテージでしかない。オクタゴンやサークルは、足を使われると先回りすることが難しい。でもコーナーがあれば、サイドステップで先回りして簡単に追い込むことができる。

それに散打の経験が絶対的に生きてくる。散打はリングが舞台だった。ボクシングとレスリングをミックスして、リングで戦っている。リングで戦うことで、何かマイナスがあるとすればケージを背負って仕掛けるサブミッション、ギロチンが極めづらくなることだろう」

――柔道に散打ですか……ショーティーのことを単なる北米スタイルのMMAファイターとは思わない方が良いですね。

「これは僕も分かっていなかったんだけど、ダゲスタンで練習したときに僕のレスリングや柔術は凄くサンボ的だったことを知った。トップから攻めるのが好きで、柔術プレーはしたくない。リバーサルは立ち技に戻るための手段で。それに散打の投げも大好きだけど、僕が本当に得意にしていて皆に見て欲しい攻撃はボクシング。そして組まれたときの柔道とムエタイ・クリンチだ。

首相撲からヒザやヒジを叩きこむこと。ボクシング、柔道、ムエタイを見て欲しい。それを同じサイズのファイターにぶつけることができる。いやぁ、本当に楽しみで仕方ないよ(笑)。上のクラスから、フライ級に戻ることもね」

フライ級で再び戦う。この階級でトップになるために

――さきほどのフライ級でという言葉が聞かれ、実は鳥肌が立っていました。

「アハハハハ。僕はフライ級で戦う。UFCフライ級トップファイターのアミール・アルバジに僕は勝っている。UFCで戦っていた頃、いやそれ以前もだ。僕は世界で有数のファイターたちとトレーニングをしていた。ブランドン・モレノ、アレッシャンドリ・パントージャ、キョージ、多くのフライ級トップファイターとね。もちろん練習は練習だ。

でも、本当に良い日々だった。そしてフライ級で彼らとやり合える自信がある。君がさっき言ったように、僕はダメージが蓄積していた。だから少し体を休めためにクリスマスを楽しんだり、サンクスギビングデーに好きなだけ食べるという生活を数年してきた。そしてフライ級で再び戦う。この階級でトップになるために」

――いやぁ、本当にRIZINフライ級が楽しみになってきます。ショーティーがロースターに加わればRIZINフライ級は、UFCフライ級に続き世界から選手があつまるタフな階級になりますね。

「日本という北米マーケットとは異質のグループが、力をつけることは本当に楽しみだ。カイ・アサクラはUFCで、他のプロモーションからやってきいきなり世界戦を戦えることを証明した。キョージ・ホリグチはRIZINとBellatorの二冠王、カイ・アサクラはRIZINで2度ベルトを巻いた男。マネル・ケイプ、イリー・プロハースカというRIZIN出身のファイター達はUFCファイター達を相手に、その強さを見せてきた。

今回の試合に勝って、フライ級GPのメンバーに入りたい。素晴らしい経験になるだろうから。そしてキョージに挑戦したいんだ。それは彼がチャンピオンというだけでなく、如何に強い人間か知っているからで。大晦日、キョージは問題なくズールーに勝つ。間違いないよ」

――フライ級GPの正式発表の日を指折り数えて待ちたいと思います。ところでショーティーは今、メキシコシティにいるそうですね(※取材は22日に行われた)。どのジムで試合の準備をしてきたのでしょうか。

「それがクレイジーなことに、ここにジムはないんだ。僕がコーナーに就く一人ロナルド・ロドリゲス(17勝2敗、UFCフライ級ファイター)がメキシコシティに住んでいて、マイク・ミゲール・ゴンザレスの指導を受けている。彼が『ジムはないけど、色々なところを回ってファイトキャンプをしないか』って誘ってきたんだ。今回は5、6人のチームで色々なジムを回って練習してきた。なかでもUFC PIメキシコシティは数多く使ってきた。

いずれこのメンバーで、ジムを持ちたいと思っている。それだけ最高のメンバーが揃っているんだ。でも日本とメキシコは凄く似ていると思うよ。日本人、ハワイアン、メキシカンは共通点がある」

――えぇ? ハワイの人は日本の血が流れていることも多いのですが、メキシコ人と日本人が似ている?

「自分より強い相手にも、一歩も引かない。スピードがあってパワフルだ。ハワイアンは、めちゃくちゃテクニカルでタフ。メキシカン・ファイターとの戦いでは、こっちが倒さない限り倒される。とにかく彼らは前に出てファイトを続けるから。最高のテクニシャンじゃない。でも諦めることなく戦い続ける。日本とメキシコは、ボクシングも優秀だし。メキシコではボクサーからMMAに転じるファイターが多くなっている。もちろん柔術やレスリングというように身に着けないといけないことは残っている。でも最高のボクサーが投げを習い、レスリングの指導を受けている。

僕自身、ここではレスリングの指導を徹底してやっている。それぞれ別の特色があるファイターだけど、揃ってずば抜けてタフで才能にあふれている」

――メキシコで準備をしてきた神龍誠戦、日本でどのような試合を見せたいと思っていますか。

「小さな紫色のヘアーカラーをした男が、デッカイことをやってのけるところを見て欲しい。フライ級に戻れば、僕がどれだけのファイターなのか。そう期待してもらえるよう戦う。長い間、1人で戦ってきたけど、今は最高のチームに支えてもらっている。日本で絶対に勝ちたい、メキシコ代表としてね。そしてBRAVE CFの了解を得て、フライ級GPで戦いたい」

■RIZIN DECADE 視聴方法(予定)
12月31日(火)
午後1時00分~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!

■RIZIN DECADE / RIZIN49 対戦カード

<RIZINフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者] 鈴木千裕(日本)
[挑戦者] クレベル・コイケ(ブラジル)

<RIZINフライ級選手権試合/5分3R>
[王者] 堀口恭司(日本)
[挑戦者] エンカジムーロ・ズールー(南アフリカ)

<RIZINライト級選手権試合/5分3R>
[王者] ホベルト・サトシ・ソウザ(ブラジル)
[挑戦者] ヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)

<女子スーパーアトム級/5分3R>
伊澤星花(日本)
ルシア・アプデリガルリム(アルゼンチン)

<バンタム級次期挑戦者決定戦/5分3R>
元谷友貴(日本)
秋元強真(日本)

<フェザー級/5分3R>
久保優太(日本)
ラジャブアリ・シェイドゥラエフ(キルギス)

<フェザー級/5分3R>
YA-MAN(日本)
カルシャガ・ダウトベック(カザフスタン)

<バンタム級/5分3R>
福田龍彌(日本)
芦澤竜誠(日本)

<ヘビー級/5分3R>
上田幹雄(日本)
キム・テイン(韓国)

<59キロ契約/5分3R>
神龍誠(日本)
ホセ・トーレス(米国)

<ライト級/5分3R>
矢地祐介(日本)
桜庭大世(日本)

<フェザー級/5分3R>
武田光司(日本)
新居すぐる(日本)

<ヘビー級/5分3R>
貴賢神(日本)
エドポロキング(日本)

<バンタム級/5分3R>
大雅(日本)
梅野源治(日本)

<RIZIN甲子園決勝戦/5分2R>
横内三旺(日本)
斉藤健心(日本)

The post 【RIZIN DECADE】神龍誠と対戦。小さな巨人ホセ・トーレス「ショーティー航空だ。僕が宙を舞わすから」 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
MIKE MMA o ONE UFC UFC309   ジョン・ジョーンズ マイケル・チャンドラー

『UFC 309: Jones vs. Miocic』パフォーマンスボーナス




 UFCが『UFC 309: Jones vs. Miocic』のパフォーマンスボーナスを発表。

▼ファイト・オブ・ザ・ナイト
・チャールズ・オリヴェイラ vs. マイケル・チャンドラー

▼パフォーマンス・オブ・ザ・ナイト
・ジョン・ジョーンズ、ラミス・ブラヒマイ、オバン・エリオット


 5選手には各5万ドルのボーナス。続きを読む・・・