カテゴリー
Interview iSMOS01 J-CAGE ブログ 北岡悟 小金翔

【iSMOS01】北岡悟と対戦、小金翔「自分を変えたい、人生を変えたいというタイミングで」

【写真】取材は27日、iSMOS出場選手のPCR検査があった都内・某所で行われた(C)MMAPLANET

31日(金)に横浜市中区のパンクラスイズム横浜で行われるiSMOS01で北岡悟と対戦する小金翔。

PXCからREAL、そしてZSTでライト級チャンピオンとなった小金の目標はRIZIN出場だ。そのために戦い、模索してきた彼に北岡戦のオファーが届いた。

小金世代の選手にとって、北岡悟という存在は余りにも大きい。そんな相手を戦うことに関して、小金は「自分との戦いでもある」と言った。


──PCR検査を終えて、今どのような気分ですか。

「こうやって検査しているんだなって。勉強になりました」

──現状、濃厚接触者であるか症状らしきものがある人でしか、なかなかPCR検査を受けられないなか、試合に向けて新型コロナウィルスへの恐れというものはありましたか。

「完全にシャットアウトはできないのでしょうが、自分ができることはやっていました。仕事と練習以外は移動することなく。無症状がコロナの特徴ですし、練習仲間がなっていることもあります。でも……これを恐れて練習しないとうわけにはいかないですしね」

──オファーは緊急事態宣言中だったと思いますが、このオファーを受けた時はどのような気持ちでしたか。

「ビックリしました。自粛期間で僕もほとんど練習はしていなかったので。でも緊急事態宣言が5月いっぱいで終わりそうでしたし、試合は7月の終わりだから6月、7月と準備ができるなら戦えるなと思いました。

3月のZSTで試合がなくなり、次はどこで試合をやるのかというのは考えていなかったですが、8月のZSTが有力候補で他から何かあるか待っている状態でした」

──PXCからREALに出場し、そこからZSTを選択して3年間戦い続けてきました。PXC参戦前にインタビューをさせてもらったことがあったのですが、この選択も意外でした。

「PXCのあとでREALに出ていた時に大会が行われなくなり、ZSTから高橋弘選手という強い選手とのオファーを貰いました。遣り甲斐があるので戦うことを決めたのですが、目を負傷して半年ほど戦えなくて。それでもZSTが高橋さんとの試合を組んでくれたんです。

その間、RIZINが盛り上がってきて……2017年の大晦日に観戦して、RIZINに出たいと思うようになりました。でもRIZINに出るにはベルトが必要だと感じ、一番近い環境にいたZSTで戦っていくことにしたんです」

──2018年10月にZSTのチャンピオンになりましたが、昨年はRIZIN出場を果たせなかったです。

「去年はまだRIZINはDEEPの選手が出るという感じが強かったので、葛藤はありました。自分もDEEPに出ようかとも考えましたし。ただ、昨年は親父を亡くして……そのことがあったので後半は試合ができる状況ではなく。そうしている間にZSTの体制が変わり、柳(武見)代表から『ZSTを良く試合。良いイベントにしていくので試合をしてほしい』と言ってもらい、そこは頑張りたいと思いました。

なので今年はDEEPとZSTで戦う気持ちあり、ここで実績を積んでRIZINで戦えるようにしていこうかと考えていて。3月はDEEPとZSTの大会があり、新体制のZSTに出ることを決めました。そうしたらコロナの影響でMMAの試合は中止になってしまったというのが、この試合が決まるまでの流れです」

──北岡選手の申し出は渡りに船だったのですね。

「ハイ。DEEPに出たら、そういうこともあるのかと思っていたのですが、それもRIZINに出ることができて……かつ誰かに勝つことが先だと考えていました」

──この間、ZSTで8連勝。それ以前との違い、どこが一番成長したと感じていますか。

「今、GENで練習させてもらっていてボクシングのトレーナーにパンチを教わり、皆にもレスリングやグラップリングを教わってきました。それまでは根性……気持ちでやってきていたのが(苦笑)、ちゃんと考えて戦うようになりました。

これまでの自分の知識ではそれができていなかったのですが、試合には色々な駆け引きがあることが分かりました」

──北岡戦に関して、自信のほどは?

「この間にタイトルを取るという経験もしましたし、オヤジが亡くなったことで色々と考えて、精神的に強くなれたと思います。以前は弱い自分が出てきていたはずですけど、今はチャレンジしたいという気持ちの方が強いです。自分を変えたい、人生を変えたいというタイミングで北岡選手からのオファーがあったので、そこをぶつけたいです」

──5分3Rのケージ戦というのは、過去3年なかったことですが。

「そうですね……ケージかリングというより、パンクラスイズム横浜のケージなので……。第3者という場でないから、北岡さんが普段から練習している場所で戦うことの方がケージやリングという問題より大きいと思っています。何があっても北岡さんは慣れているし。

でも、そこを気にしているとこの試合は成立しなかったです。それに僕も2、3回練習をさせてもらっているので大丈夫です」

──ケージの小ささは気にならないですか。

「ハイ。小さいですね(笑)。でも、それも言い出すとキリがないので。とにかく、この状況で戦う。それはオファーを貰った段階で分かっていたことなので、気にしてもしょうがないです。それに小ささに関しては、そこを踏まえて練習してきました」

──では、この試合で見せたい小金翔とは?

「北岡さんとの戦いなんですけど、自分との戦いでもあります。昔の自分だったら、北岡さんと戦うだけで心理的に怖気づいていたかと思います。でも、そこが一番格闘技に於いて一番大切なことで。メンタルをコントロールできないと動きもコントロールできない。練習通り動けること、それを試合で示したいです」

──当然、北岡越えはRIZINレーダーに掛る要素になるかと思われます。

「もちろん、そこは意識しています。勝てば可能性は広がるかと思いますが、とにかく試合に勝ってからのことです。なので、そういうことは考えないようにしています」

カテゴリー
Interview iSMOS01 J-CAGE ブログ 北岡悟 小金翔

【iSMOS01】小金翔と自主興行=iSMOSで対戦、北岡悟─02─「終わってRIZINとすぐに話ができるように」

【写真】今大会の正式名称は松本幼稚園「Presents iSMOS.1 Special sponsored Yutrition」。若い選手の頑張りについて話す時、北岡の表情は穏やかになっていた (C)MMAPLANET

31日(金)に横浜市中区のパンクラスイズム横浜でiSMOS01を開催する北岡悟インタビュー後編。

自らメインで難敵・小金翔と対戦する自主興行iSMOSの開催が近づくなか、プロモーターとしてiSMOS開催の意義、北岡悟のMMA大会について尋ねた。

<北岡悟インタビューPart.01はコチラから>


1回にしないつもりで『1』とつけました

──今回、クラウドファンディングがすぐに満額に達しました。

「それは嬉しかったです。誇りにもできますし、力添えになっています。ホント、それによって格闘技の試合……試合を見せるパッケージができたので」

──そこがiSMOSの根底にあると。

「たくさんの人に見てもらうために、ゲスト解説で芸能人が座っているというモノではない。格闘技を見てもらいたいです」

──4試合、北岡選手以外の出場選手にも注目が集まりますし、流されることなく視聴してもらえる機会かと思います。

「第1試合に出場する木村裕斗に関しては、ある一定の信用・信頼があります。体がそこまで丈夫だとは思わないですが、変わっていて僕のジムのヤツって感じです。一応、アマチュアでは全部勝っているので、メチャクチャ弱いわけではないです。

相手の友實竜也選手もDEEPジムで指導している時に、なんか緩く舐めて格闘技をやっていたのが、僕と知り合って競り合う試合ができる子になったんです。だから友實選手は、このイベントをやることになって出て欲しいなって、すぐに思い浮かんで。木村✖友實は、僕の遺伝子を持っている試合だと思います」

──2試合は大井……大井洋一選手と矢澤諒選手の顔合わせです。

「矢澤諒はこの試合はプロだけど、アマチュアなんです。この試合の内容如何では、またアマチュアの試合に出させます。結局、ウチのジムで選手志望でプロになりそうなレベルの人間は完全にプロデビューとなる木村以外に、矢澤ともう1人ぐらいなんです。で、矢澤にやる気があるなら試合を組むぞって伝えると、『大井さんと戦ってみたいです』と言ったんですよ。

彼は2月にDEEPのフューチャーキング・トーナメントに出て、優勝した選手に負けているんです。そのトーナメントに大井さんが出るかもしれないという話があったので、頭に過ったんだと思います」

──大井さんに関しては、選手以外の部分で付き合いもあるかと思いますが。

「そうですね、選手云々でない付き合いもありますが、練習も2度ほどしたことがあって……全然、強いですよ。選手として強いと思っています。

パンクラスのプレリミやDEEPのフューチャーキングで大井さんに勝てない選手は、間違いなくゴロゴロいます」

──後になって朝倉海選手との試合映像を視させてもらったのですが、朝倉海という選手がどういうファイターが理解したうえで、2度目の対戦であれだけ向かい合えるというのは、それこそプレリミとかオープニングファイトに出てくる選手と向き合っても動じないだろうなと思いました。

「ハイ、ちゃんとしたレベルの選手です。それでいてアマ修斗では勝ちきれてない。アウトサイダーでチャンピオンでありながら、アマ修斗にも出ている」

──格好良いですね。

「だから大井さんを相手に、矢澤がどれだけやれるのか。そういう試合です」

──セミファイナルは近藤有己選手が、餅瓶太選手と戦います。

「餅瓶多選手は知る人ぞ知る選手ですね。NXSUSの山田代表に対戦相手候補の名前を挙げてもらおうとしていた時に『餅選手が手を挙げている』と言ってもらえて。良い選手です。近藤さんも良いのを被弾すると効いてしまいますし、ガッチリと組み伏せられると厳しい試合になります。競る試合のなかで近藤さんの打撃の圧、当てる感覚を出してもらって勝ってほしいです」

──iSMOS.1、『1』という数字がついています。

「えっ? 一応、『1』にしています。1回にしないつもりで『1』とつけました」

──今大会のマッチメイクを見ても北岡悟が、選手以外のことを考えてだしているというのが伝わってきました。若い選手の話をするときの北岡選手は、本当に楽しそうですし。

「いやぁ、楽しいッスねぇ。それは楽しいです。だからプロモーターとしてやりたいっていう部分はあるかと。凄く良いカードを組めたと思っているし。格闘技が好きな人に届く、日本の格闘技が好きな人には。対象をギュッと絞ったところにはメチャクチャ熱い、血の通ったモノになっていると思うので」

──具体性のある話ではなくて、将来は客入れをするような形でiSMOSを開いていきたいという気持ちはありますか。

「それは凄くあります。色々と選手もいますし。ファイトマネーが上がって、負けても強い相手とばかり組まれるという選手もウチにはいます。そういう選手のチューンナップになる試合も創る必要があるかと思いますし」

──iSMOSはパンクラスイズム横浜強化策であり、北岡悟版のTTFCなのでしょうか。

「ちょっと違いますよね、TTFCとは。僕は自分のためにやっているし。選手が喜んで、僕も楽しめる。そういうモノですよね、やりたいことは」

──日本が強くなるとかは別次元?

「う~ん、それには金が必要ですよ。とにかく強くなるにはとかって──戦う場があって初めて言えることなので、色々な戦う場所があって良いと思っています。既存の修斗、パンクラス、DEEP、ZSTがちゃんと存在して続いて欲しいです。NEXUSも凄く有難いですし。

今回はそういう既存の団体から、嫌な横槍が一切入らなかったのでそこは凄く有難い……というか、何だろう凄く協力してもらっています」

──いやぁ、北岡選手に横槍を入れるなんて絶対に嫌ですよ(笑)。

「アハハハ。皆さん、凄く感じ良かったです。もう『エェ?』って思うぐらい。RIZINも映像を快く貸してくれましたしね」

──それこそ北岡悟が自分らしくやってきた結果ではないでしょうか。

「とある選手なんですが、クラウドファンディングのTシャルを送る作業をしていると、『大変でしょうから』ってわざわざ足を運んで取りに来てくれて。『金儲けをしようとしていないのが分かるから、応援したくなるんです』と言ってもらえて。

それこそ感染予防のために、スポンサードして応援してくれた人まで会場に来ることができない。それを皆さんが理解して応援してくれる。有難い話です。

コロナの間は近藤さんもそうだし、凄く弱いけどずっとジムに来る人間がいて。パンクラスのネオブラでようやく勝てて1勝4敗の大谷啓元(※インタビュー後の7月24日のネオブラTで宮島夢都希に敗れる)っていう選手で、弱いのにずっと練習しているんです。

近藤さんもあれだけのやってきた人が黙々と練習をしている。近藤さんや大谷のようなヤツに試合を組まないといけない。続けていると、大谷のように亀だって強くなっていく。ずっとやっているから。そういうのは俺のジムならではと思っているので、そんな選手たちが戦える場を創っていかないといけないです」

──では最後にファイターとして、一言お願いします。

「まぁ31日が終わってからですが、どっかのプロモーション……いや、違うな──RIZINですね。31日が終わってから、RIZINとすぐに話ができるように、その日までしっかりと生きる。そういうことですね」

カテゴリー
Interview iSMOS01 J-CAGE ブログ 北岡悟 小金翔

【iSMOS01】小金翔と自主興行=iSMOSで対戦、北岡悟─01─「俺がやる大会は何があっても飛ばない」

【写真】あくまでも自分の道を往く(C)MMAPLANET

31日(金)に横浜市中区のパンクラスイズム横浜でiSMOS01を開催する北岡悟。

なかなか試合の機会が巡って来ない、先が見えない状況で自主興行を開くことを5月に決めた。自身はメインで小金翔と対戦、舞台が整うことよりも自分で創る選択をした北岡に✖小金戦、iSMOSへの拘りを訊くと──そこには明白過ぎるほど北岡悟道が見られた。


──自主興行iSMOSが来週に迫ってきました(※取材は7月22日に行われた)。通常の試合前とは違いがあるかと思われますが、そのあたりは?

「同じだと思いますか(笑)。ただ、それぞれのエキスパートがいてくれるので、イベント運営に関しては『あとは任せました』という状況にはしています」

──では練習に影響が出るようなことはない状態になっているということですね。

「だからこそ、大変なんです。いや、大変とは言いたくない。練習をいつもと変わりなくやる、それに尽きます。いつもと同じだけのこと、それ以上のことをやってきているので。と同時にこの3年の反省すべき点は反省して、練習メニューを組んでいます。反省……反省じゃないか、後悔かな。それを踏まえてやってきました」

──後悔というのは、どういう部分にあったのですか。

「それは言いたくないです」

──練習を何度も拝見させてもらって、疲れているなという風には見えたことはありました。

「まぁ……そういうことかもしれないけど、今は凄く集中してやっているので。集中力が持たないとか、そういうこともあるけど変化……衰え、加齢……簡単にこういうことを言うのも嫌なんですけど、自分の変化は認めないといけないので。それを受け入れたうえで、どうやって勝つ可能性を高くできるのか。それを考えてやってきているつもりです。

ロータスでのグラップリング練習とTRIBEでのスパーリングなんかでも、ここで何をすべきなのかを心得てやっています。効率の悪いことをして、質を落とすことはしていないです。

結果的に今は抱えているモノが多いし重いから、それにより考えざるを得ない……いや、ちゃんと考えることができているのかどうかも怪しいです。考えないようにするために、集中しているという言い方もできるかと思います」

──まさに過去になかった経験ですね。

「ハイ。そうなると、『だから近藤(有己)さんは、ああいう風にしていたんだ』とか理解できることがたくさんあって、それが本当に有難いです。宇野(薫)さんが言ってくれていたことの意味も分かりました。近藤さんや宇野さんのような先輩が近くにいてくれることは、本当に有難いです。

僕は特に自分で経験するまで、周囲の人が忠告してくれたことも分からない人間ですし。でも、こうやって分かる時が来るのも、先輩が周囲にいてくれるからです。そこは本当に感謝しています」

──ところで5月に自主興行を開くと決めた時から、状況も変わってきました。RIZIN、DEEP、パンクラスと戦える場もiSMOSの前後でイベント開きます。自分でやらなくても、試合ができたかもと考えることはなかったですか。

「今はどの大会も急に中止や延期になる可能性があります。そういう可能性はゼロではない。でも俺がやる大会は何があっても飛ばないです。世の中、急に変わる可能性があるじゃないですか?

それでも俺の大会は絶対にあるので、そこは大きいです。あるのか、ないのかなんて考えずに5月からこの日に絶対に試合があると分かって調整ができましたからね」

──北岡選手自身の大会として、対戦相手も自ら選び決定したのですか。

「ハイ(笑)」

──小金選手が対戦相手となった理由は?

「最初に浮かんだことは、自分とある程度知り合いでこの状況でも僕と戦うために大会に出てきてくれる……そんな一定以上の信頼感があってベルトを持っている選手と戦うといことでした。

それがまず小金君で、そしてWARDOGのチャンピオンの鈴木一史選手──この2人だったんです。ただ、それから色や数字がある選手が良くないかっていうアドバイスをもらって、他の選手にも当たったこともありましたけど、速攻で断られました(笑)。

それでパンクラスの坂本靖さんに相談すると、とあるベテラン選手の名前が挙がって。その選手も、ダメ元で尋ねました。そうしたら練習をしてないってことで、やはりダメでした。その時に坂本さんから『こういう時は、ベテランとかよりも、北岡選手に勝ちたいと思っている若い選手の方が良くないですか?』と言ってもらって。なら最初に考えた小金君だろうと」

──最もタフな相手かと思います。

「そうですね。本人がその自分の強さを分かっていない、そんな強い系の選手です。体も強いし、リズムも独特です。テイクダウンディフェンスというより、テイクダウンをされてもすぐに立つ。そして相手が攻め疲れする。打撃も倒すパンチがあって、ムエタイ的なスタンスで蹴ることもできます」

──PXCからREAL、その後がZSTで王者になっていますが、修斗やパンクラス、DEEPでもライト級で上に来るだけの実力の持ち主ではないでしょうか。

「ランキングに入り、タイトルショットも全然あるぐらいの選手です」

──小金選手が対戦相手だと知った時、正直なところ、これは北岡悟のラストファイトになるかもしれないという考えは脳裏を過りました。そういう相手を欲したのですね。

「欲したというのか、なんか流れですよね。それが最初に思い浮かんだ選手だったし。実際、この場に出てきてくれますしね。本人はすぐに『やります』ということで、ZSTの柳(武見)社長も全く問題なかったです」

──小金選手はロータス世田谷にも来ていたメンバーですが、いつ頃まで練習をしていたのでしょうか。

「メンバーというほどは来ていないですね。彼は色々なところで練習している感じだったので。今はGENに落ち着いているようですけど」

──そういう小金選手に対して、北岡選手がやるべきことは?

「作戦の部分については言いたくないですけど、フィニッシュしないといけないです。どうせ、俺が攻め疲れするとか思っているんだろうけど、俺は攻めます」

──試合では、このサイズのケージで戦ったことは?

「記憶にないですね」

──普段から練習しているホームではあります。

「う~ん、そこも答えない……ということにしてください」

<この項、続く>

カテゴリー
iSMOS01 J-CAGE News ブログ 北岡悟 友實竜也 大井洋一 小金翔 近藤有己

【iSMOS01】北岡悟がパンクラスイズムで無観客自主興行=イズモス・ワンを開催、小金翔と危ない対戦へ

【写真】ついに自主興行に打って出ることとなった北岡悟。正気なのか、狂気の沙汰なのか(C)MMAPLANET

1日(月)、北岡悟がかねてからSNSで宣言していたように自主興行=iSMOS.1を7月31日(金)に横浜市中区のパンクラスイズム横浜で開催することを発表した。

昨年7月のジョニー・ケース戦の敗北以来、実戦から遠ざかっていた北岡が無観客大会を自らの城で主宰し、ニコニコ生放送(ニコニコプロレスチャンネル:午後8時開始予定)で配信する。


イベント名のiSMOSとはリリースによると、ismの語源となるギリシャ語のISMOSと、パンクラスイズム横浜の前身パンクラスismを掛け合わせたモノ。拘りのネーミングを用いたイベントで、北岡は71 キロ契約5分✖3Rのユニファイドルール戦で現ZSTライト級チャンピオンの小金翔と戦う。

現在8連勝中の小金、過去8試合で2勝6敗の北岡。2018年10月の武田光司戦以来、1年9カ月振りのケージでの戦いは北岡悟の商品価値を大暴落させる危険性もあるマッチアップといえるだろう。

今大会は全4試合のコンパクトなイベントとなり、その他の決定カードは78キロ契約で近藤有己✖餅瓶太、61キロでTHE OUTSIDERの55キロ~60キロ王者の大井洋一が矢澤諒と、73キロ契約で木村裕斗と友實竜也 と戦うことが決まっている。

なお、今大会は国内最大級のクラウドファンディングサービス「MakuakeMakuake」でサポートを募集しており、新型コロナウィルス感染予防に関しては──北岡は5月31日に行われたプロ修斗公式戦の視察も行い、ABEMAの予防対策を見学。これからの状況の移り変わりを観察した上で7月前半に対策を発表するとのことだ。

カテゴリー
ABEMA Fighter's Diary Interview J-CAGE ブログ 北岡悟

【Fighters’s Diary con on that day】「試合がない日々」を生きる北岡悟の声 on 2014年9月22日

Satoru-Kitaoka【写真】番組内でも北岡の言葉は刺さるモノが多かった。「依存すら超えている」──さすがです (C)ABEMA & MMAPLANET

全世界を巻き込む新型コロナウィルス感染拡大の影響は当然のように日本の格闘家たちの人生にも影響が出ている。試合がない、大会が開かれない、練習場所の確保も困難だ。

そんな今、格闘技を愛する全ての人へ──ABEMA格闘CH が公式YouTubeチャンネルで Fighter’s Diary Ep.02が19日(日)より、アップされている。

第2回でクローズアップされた格闘家はKRAZY BEE軍団(朴光哲、矢地佑介、田村一聖、あい)、佐藤天、浅倉カンナ、北岡悟、堀江圭功(と高阪剛)の9人だ。

Fighter'sDiaryFighter’s Diaryは3週に渡り、3つのエピソードで総勢16人の格闘家たちの声をYouTubeで伝え、26日(日)午後7時より、ABEMA格闘CHにて Fighter’s Diary完全版が放送される。

そんなFighter’s Diaryでは「試合がない日々」を格闘家たちはどう生きるのか? ──という今の声を集めた。MMAPLANETでは、タイアップ企画ならぬボーディング企画を提案。MMAファイター達が今を発せられるようになった原点を探る上で、あの日の彼らや彼女達の声=on that dayとして、MMAPLANETインタビュー初登場時の声を紹介したい。

題してFighter’s Diary con on that day、第8回は2014年10月2日公開、9月22日に取材が行われた──ワールドスラムT準決勝=リッチー・ウィットソン戦に向けて調整中だった──北岡悟のあの日の声をお届けしよう。


<リードを含めた完全版はコチラから>

──北岡選手をMMAPLANETで取材させてもらうのは、2012年4月の北米トレーニングの出稽古の旅以来となります。J-CAGEという国内のケージ大会を扱うコンテンツを立ち上げたことで、今回の取材を実現できることとなりましたが、この2年5ヶ月の間、北岡選手はMMAPLANETの主たる取材対象である海外MMAから遠い場所で戦い続けてきたこととなります。そして、あのトレーニングの旅に参加した選手で、MMAPLANET再登場に最も時間を要したのが北岡選手で、一人前がGRANDSLAMに出場した伊藤健一選手でした。個人的にもここで北岡選手の話を聞けることが嬉しいです。

「ハイ、ありがとうございます。僕はケージやユニファイドに遠いところにいましたけど、まだ現役やっています(笑)。」

──そんななか9月20日、UFN52で金原正徳選手のセコンドに就かれていましたが、どのような印象を持ちましたか。

「UFC全般ですか?」

──はい。

「僕、金ちゃんの試合しかアリーナにいることがなくて、モニターしか見ていないんです。だから何とも言えないですけど、金ちゃんの試合は長年の想いが実った瞬間を共有させてもらい、凄く光栄でした」

──『ありがとう、UFC』というセリフがとても印象に残っています。

「彼は……不良上がりだとは思うのですが(笑)、本当に明るい性格だし、良いですよね」

──UFCに関して、特に感じ入るモノはなかったですか。

「いや、でも素晴らしいと思いましたよ。控室にいても、そういう風に思えました。日本人選手が多かったですけど、そこは日本を代表する指折りの選手ばかりなので、取り組み方だったり、意気込みも高い。日本のトップの人たちばかりだから。やっぱり、そういうモノに触れたり、同じ空間にいられることは心地よかったですね」

──UFC JAPANが終わってから2週間後にはVTJとパンクラスという国内有数のケージ大会が開催され、ここにきて北岡選手がパンクラスでケージ、そしてユニファイド・ルールに挑みます。

「う~ん、去年の年末のラマザン・エセンバエフ戦も、4月の宮崎(直人)戦もヒジ有りだったので、リングでの試合でしたが徐々に寄っていっているというのは有りました。ただ、DEEPはタイトル戦なので、サッカーボールキックも有りなんですよね。そこもDEEPに関しては、菊野戦以外はタイトル戦なのでリングで戦うということは外せない要素だったんです。一時期、選手が同意すればケージでもタイトル戦が行われるようになりそうなこともあったんですが、結局のところタイトル戦はリングに拘るという風に落ち着いたようですし。ただ、今後もルールに関してはユニファイドに寄せるようになるとは聞いています」

──ではケージという部分については、どのように考えられていますか。

「ケージに関しては、意識して練習はしてきました。でも、たまたま……ですよね。海外に戦場を求めなかったこと以上にたまたまです」

──今回出場するパンクラスが、たまたまケージを使用していると?

「パンクラスで戦うこともたまたまに近いかもしれないです。去年の9月に出て、また出たいとは思っていたんですけど、それは遣り甲斐でもあるし、生きるためでもある。両方ですよね、ハイ」

──その想いがあっても、DEEPのチャンピオンということもあり、なかなか実現には至らなかったわけですが。

「難しい時期もありました。電撃和解というか茶番劇というか……でも、良かったと思います。選手の立場からすると、試合の機会が明らかに増えるわけですから」

──何れにせよ、和解劇(笑)が北岡選手のパンクラス出場という形で表れたのであれば、それはファンにとっても歓迎すべきことですしね。

「僕だけでなく、いわゆる中堅どころの選手が、行き来できるようになっています。両団体がストックしている選手のなかにも、やっぱり対戦カードとか扱いが難しくなってくる状況の選手がいても、パンクラスとDEEPの交流によって目新しい顔合わせが生まれることは本当に良いことですよ。それに若くてやる気のある選手なんて、めちゃくちゃ試合経験を積めるわけですしね」

──ここに修斗、あるいはVTJが加わるとさらに良い状況になりますよね。

「VTJなら階級も同じですしね……。でも、僕が出ていないところの話は……(苦笑)」

──現状、北岡選手は戦い勝手の良い場所で戦っていくということでしょうか。

「何とも言えないです。戦い勝手の良い……、何だろうなぁ。DEEPに関してはチャンピオンですから、タイトル戦が中心になるはずです。ファイトマネーの額からも、頻繁には使い辛いだろうし、それはパンクラスも同じことで。でも、ディファ有明で外国人、僕が出るからワールドスラムも復活したというのもあるだろうし、よくこの場を与えて下さったと思います。そこは本当に感謝しています」

──トーナメントとなると、またDEEPライト級王座防衛戦とスケジューリングのバッティングが起きないよう、団体間での調整も必要になってくるのかと。

「優先順位としてはDEEPですよね、チャンピオンですから。ただ、究極的には僕の気持ち次第です」

──このところ、選手を拘束したいのであれば、契約が必要という意見が多く聞かれるようになりました。

「DEEPとは一度、防衛をすれば自由にして良いということになっています。返上しても良いけど、僕が防衛戦を行う気持ちでいるなら、挑戦者に関しても佐伯さんのなかでは意中の選手はいるようです」

──それが決してTDCホール大会のようなビッグショーではないと。

「今年は4月にすでに防衛しちゃっていますからね。う~んパンクラス出場が決まっていなかったら、TDCホール大会に出ていたかもしれないです」

──昨年9月のパンクラス再出場の要因の一つには20周年記念大会ということもありました。今大会もパンクラスに出場することで、特別な思い入れは持たれているのですか。

「去年の9月にパンクラスで戦い、『またパンクラスで見たい』と言ってもらえたし、それ以上に僕自身も『また、ここに出たいな』という気持ちもありました。その両方の部分とプロとして……、スイッチというか、DEEPとパンクラスの両方に出ることで注目もされますしね。それとパンクラスのデカゴンの中で戦い、勝ちたいという気持ちもあります」

──10角形のケージで戦うことで、戦い方にアジャストは必要だと感じていますか。

「相手のリアクションという要素はありますが、何といっても広いですしね。修正すべき点は出てくると思います、格闘技に関しては僕もバカではないので考えてはいます(笑)。やってみないと分からない部分はついて回りますし、そういう怖いもの見たさのような興味もあります」

──北岡選手はテコンドーを取り入れ、ステップなどにも工夫をしてきました。リングから角のほぼないデカゴンで戦うには、間合いや出入りも変化が必要になりますか。

「変化というよりも、よりこれまでやってきたことが生き、より使えるようになるんじゃないでしょうか。と同時にベタ足でもプレッシャーを与えて、相手に触ることも大切だと最近は感じるようになっています。それを実践したのが、8月のONE FCで青木が見せた試合ですよね。あれってもの凄いことをやったと思うんです」

──今、日本人でカマル・シャロウスを一方的に下せる日本人はいるのかという部分でも、より評価されても良い試合だったと思います。

「いや、誰もできない。できないですよ。でも僕は僕でステップ等歩法を意識しつつ、日本で一番と言っていいくらいの練習をできていると思っています。それこそUFCの日本大会に出場したほとんどの日本人選手とこの試合前にスパーしていますし」

──現在はプロ練習やスパーリングはどこで行っているのですか。

「DEEPジムが閉まってから、ここロータス世田谷で従来の金曜日だけでなく月曜日にもプロ練習を開くようになり、シンガポールに行っていない時は青木も来てくれます。あとは火曜日はHEARTSに行き、木曜日がTRIBE。スポット的にAACCとBRAVEで1、2回練習させてもらいました」

──宮田和幸選手率いるBRAVEですか。場所的にかなり遠くないですか。

「三郷ですから1時間半から2時間ほど掛かりました。でも、BRAVEにはケージがあるので、2回ほど寄せてもらって先週は宮田さんや芦田(崇宏)君とスパーをしたんです。その前は川中(孝浩)君っていう70キロの選手がいて、彼ともやりました。ケージの感触を掴みたかったので。アッ、ケージだと大阪でタクミさんのパラエストラ大阪にも行きましたよ。大阪ではタクミさん、別府(セブン)選手と練習しました」

──大阪にもケージを体感しに行ったのですか。

「はい、それだけでなく舘和男さんにテコンドーの指導をしていただくのと併せて、タクミさんのところでケージで練習させていただこうと思って」

──なるほど。本当に真剣に格闘技と向かい合っていますね。AACCでは強烈な追い込み練習が行われていると窺っています。

「大塚(隆史)選手や鈴木JAPAN選手がいて、3分間のMMAグローブをつけたフルスパーをやるので、実戦に近い緊張感を持って臨むことができます。マットスペースも広いですし、感覚的な部分を掴みやすいですね」

──試合が近づいていますが、技術練習は余り行わないのですか。

「技術練習? 打ち込みはHEARTSやTRIBEの練習メニューに組み込まれているので、それが技術練習ですかね。なんだかんだと言って、青木も技も教えてくれますし(笑)。あとはこれまで練ってきたものを確認するように、自分も教えています。それが僕的には技術練習に近いですかね。基本、スパーリング中心ですから」

──スパーは先ほどAACCでフルスパーがあると言われたように、他ではシチュエーション・スパーが中心ですか。

「僕が管轄の練習で、壁を使ったりする限定スパーを一時期、極端に増やした時があったんですけど、結局は元に戻って今はフル・グラップリングのスパーを大事にしています。人それぞれ、色々な入り方があってムエタイを重視して、ムエタイをしっかりとやりこむ人もいます。フィジカルを重視する人もいれば、ボクシングを重視する人もいる。柔術を大切にする人もいますよね。僕はフル・グラップリングを大事にして作っています」

──北岡選手がフル・グラップリングを重要視していても、出稽古中心だとそのジムのメニューに当然、合わせる必要があるので、自分の想い通りの練習ができないというジレンマに陥ることはありませんか。

「火曜日のHEARTSでは打ち込みから、シュートボックス。そこからシチュエーションのMMAスパー。木曜日の長南さんのところ(※TRIBE)はフィジカルで体を温めて打ち込みからシチュエーション。だからこそ、月曜と金曜日はここで、ひたすらフル・グラップリングのスパーをやって、おしまいって感じで。土曜日もここでやることが増えて、軽量級の子が多いから、その子たちをただひたすら苛めるだけ(笑)。打ち込みのつもりで、スパーをやっています」

──つまり、約束ではなくても自分の好きな動きができる練習ですね。

「もう、容赦なくやっています。土曜日はフル・グラップリングからフルMMAを回すような感じなんですけど、フライ級やバンタム級の子を抑えつける練習だと思ってやっています。それで全然、問題ないです。逆にシチュエーションだけだと不安になります。限定スパーだけだと、僕は無理です」

──もう、今から10年も前にスクランブル渋谷で、所属先や戦っているプロモーションに関係なく選手が集まりスパーリング・セッションを行うようになりました。八隅孝平、植松直哉が声を掛け、北岡選手をはじめ青木真也、今成正和、大石真丈、渡辺直由、所英男、宮田和幸、佐藤ルミナ、朴光哲、孫煌進、アマ時代の田村一聖らが一同に介していました。あの時代のフル・グラップリングを北岡選手は、今も大切にしているということですね。

「あぁ、あれがYBTの始まりで、プロ練習の走りですね。でも、その原点の金曜日のYBTは過疎化が半端ないです(笑)。それ、このインタビューで声高にかつ切実に訴えさせてほしいです。キムさん(※キム・ジュン)とタイマンでやっていますから(笑)」

──キムさん……。佐藤ルミナ選手つながりでK’z Factoryに出入りするようになり、YBTには初期から参加していた知る人ぞ知るキムさんですか。

「ハイ、今は茶帯で。トライフォースでノーギのインストラクターもしていてテクニシャンだし、良い練習になっていますよ」

──道場主の八隅さんの名前が出てこないですが(笑)。

「もう色々とボロボロで、スパー練習はたまにしか一緒にやっていないです(笑)。月曜日の方は、今日なんかでも青木、加藤忠治、中島太一君が来てくれて凄く良い練習ができているんです。だから、金曜日ですね(苦笑)。先週なんかはもうキムさんしか来ないだろうということで、自分でスケジューリングして夜にBRAVEへ行くことを決めていました。そこで宮田さんや芦田君とMMAの練習をして。

今、色々なジムで練習させてもらっていて上の方……指導者の方はやっぱりしっかり色々と分かってらっしゃいます。宮田さん、大沢さん、長南さん、阿部さんもそう」

──分かっているというのは?

「凄く見えてらっしゃいますよね。選手世代が指導者になり、変わってきていると思います。僕もそうなるのかなぁ……、それはちょっと嫌だなぁ(笑)」

──その指導者が師匠となっていくのか。韓国のトップ選手は指導者を人間として慕って、指導者も対戦相手の研究などに関しては、今の日本の多くのケースより熱心なように見受けられます。

「あぁ、なるほど。そうなんですねぇ、UFCの日本大会を見ていても、そんな感じはしていましたよ。でも、それって単純に熱意、熱意の差ですよ。韓国には凄く興味あります。クミMMAのイ・チャンソプから練習来てよってメールをもらって」

──チェ・ドゥホのコーチの?

「ハイ、そうです」

──韓国もそうですが、UFC日本大会を見ていてアライアンスMMAなど、チームとして機能しているので、日本人選手は個人の能力として、そこまで開きがないはずなのに、結果という部分で違いが出てきているのは怖いです。

「まぁ、色々な部分。トータルで負けていますよ。いっぱい負けていると思います」

──そのようななか、出稽古中心の北岡選手は米国人のリッチー・ウィットソンが相手となります。

「長岡に一本勝ちしているけど、ONE FCで一本負けしているんですよ。良いテイクダウンを取ったのに、そのあとやられて。ニコニコ動画で解説していて、『えっ』と思いました。不思議な選手ですね」

──ラマザン戦もありますし、外国人と戦うと何が起こるか分からない怖さがあります。

「今は外国人に限らず、凄いスピードでこの競技は全体的にレベルが上がっているので全く油断はできないし、自分に余裕を持つようなことはないです。勿論僕自身も強くなってきているとは思いますし、今年に入ってから自分のなかで感じてきているものもあるのでそういったものを出したいです」

──ウィットソンを相手にここは気を付けないといけないという点は?

「気を付けないといけないのは、全ての局面です。長岡にはサブミッションで勝っているわけだし、外国人ですし、打撃、グラップリングともに一発がある。だからといって、警戒しまくって丁寧にお行儀よくやるつもりはないです。自分で研鑽を重ねてきたものをぶつけてやる気持ちでいます」

─ではさきほど言われた、強くなっていると感じる部分とはどこになりますか。

「グラップリングとか、ちょっと変わりました。アマチュア・レスリングなのかどうか分からないですけど、レスリング的な繋ぎとか分かったりだとか。グラップリングも、よりMMAというか制圧するグラップリングになってきたので。スタイルは変わったと思います。練習で足関節とか、全然やらなくなりました。まぁ、本当のところはずっと前からやっていないんですけどね」

──制圧するスタイル、足関節は仕掛けない。つまりは上を取るということでしょうか。今の判定基準だと、下からのコントロールは制圧することにはならないですよね。

「下からの制圧もあるんですけど、それって下になっているようでなっていないんですよ。そこらへんは、言葉にしづらいですね。ただ、お客さんがどういうものを見たいのかっていうのもありますし」

──観客の目を意識しますか。

「いや、それはやっぱりないですね。そこまでは考えていません」

──4月の防衛戦を見ていると、攻め続ける気持ちがあるのは理解できたのですが、その攻めよう、やろうという気持ちによって必要以上に動き、疲れた部分があったのではないかと思いました。

「そうじゃないとダメなんじゃないですか。疲れないと。そんな楽したらダメだと僕は思っています」

──体力を失い、疲れると判断ミスを生むのであれば、スマートに戦っても良いかと。宮崎戦は特に、トップを取ってから絶対的に自分で局面を打開しようと動き続け、かなり疲れていたように見えました。

「いや寧ろ、またアレがやりたいぐらいですけどね。相手より疲れて負けるなら、それまでじゃないかと思います。ドロドロにして、自分が疲れる以上に相手を疲れさせる。そういう戦い方ができれば、それが理想的な戦いです。そんな行儀良くできないです、僕」

──自分のペースなら、動いていてもそれほど疲れないこともあるかと思います。

「だから、そこまで……心配してもらっているほど疲れていなかったと思います。傍からどう見えるかは分からないですけど。出し切ったら偉いと思うわけじゃないですけど、僕は出し切りたい」

──北岡選手には出し切らなくても良いから、結果を出す。そういう風に求めてしまいます。

「なるほどっ!!  それはありがとうございます。やっぱり、心配してくれているんですよね?」

──心配とかではなく、格闘技は練習で苦しい目にあい、試合では苦しまずに勝てるのが一番だと思っています。だから、いうなれば疲れようが、疲れまいが勝利が大切だと。

「なるほど、なるほど……ですね」

──疲れた方が敗北に近づきますしね。

「……難しいですね。そこまで、強くないですから」

──そうとも思っていません(苦笑)。

「それも、ありがとうございます。弱者の理論じゃないですけど、弱者の理論と強者の理論のミックスがやりたいというか……。相手より強いからこそ、相手より頑張る。そして相手より弱いからこそ、相手よりも頑張らないといけないみたいな。変なこと言っているかもしれないですけど。人間って両方持っているものじゃないですか。そして、僕の良さは両方あることだと思っています。

それこそギュッと抑え込み、上からドミネイトしまくって勝てれば良いですけど、やられかけた時に下から捲れたりとか。柔術の技とか、切り返す技を持っているのと、持っていないのでは全然違うじゃないですか。凄く劣勢な場面で、一発逆転を狙うことができる技があるのか、ないのか。そういう跳ね返す力と、パーフェクトゲームで勝てる力、両方を持っていたいです」

──パーフェクトゲームで勝てる気持ちを持って、劣勢になってから返す準備もしておく?

「そういう風でいたいです」

──ウィットソン戦はスカッと勝ってほしいと周囲も期待しているとは思うのですが、北岡選手はドロドロの局面になることも良しとしているようですね。

「そうですね、別にそれでも分かる人には面白いモノに……でも、それじゃダメだな。う~ん、ライブ観戦を楽しみにしてくれている人に……何ていうんですかね、見応えのあるモノを見せるという自信はあります。根拠を問われると、答えられないですけど(笑)。そういう取り組みはしてきているつもりです」

──あとから振り返って見る気にはなれないけど名勝負、そういうライブ特有のモノもありますよね。ライブでも振り返りでも名勝負といわれる戦いとは別に。それこそ、北岡選手が言ったような手に汗握る見応えのある戦いが。

「こんだけやっていますし……。他に何もやっていない。なくても良いけど、責任感もあります。だから、見に来てくれたファンが喜んでくれる試合はやります」

──責任感というのは、どこに対しての責任感ですか。

「DEEPのチャンピオンであることもそうですし、パンクラスであったり日本の格闘技を代表しているような気持ちは持っています。未だにアイコンの一つである自負があります。ただ、格闘技界のためにと思う気持ちは、犠牲の心ではないです。自分のためであり、張り合いがあるからです。総合格闘技をやっている北岡悟というモノが好きで、誇りを持っていることを最近、また気づきました。だからこそ、やっていないことはやっておきたい。

そういう気持ちがあってのケージでユニファイドなわけです。リングではなくなったパンクラスに出ておきたいと思ったのも事実ですし。10月5日より、先のことは終わってから聞いてもらえればと思います。ただし、やってなかったことをやっていく──その道標ではいたいです。そのためには勝ち続けること……が、自分自身の張合いをもたらしてくれるので。そのためにも勝利が大事になってきます」

──これが最後の質問です。今回のパンクラス出場に際し、日本人相手ではなく、外国人選手と戦いたいという気持ちでいたのでしょうか。

「僕と釣り合う相手と戦いたいとは思っていました。そうしたら日本人は、資格を持っている者がいなかった。資格がある人がいなくなってしまったので。こういうことは縁だから、仕方がないです。でも、パンクラスに出場し続けるのであれば、ディファ有明という箱を考えると日本人選手と戦う方が絶対に良いと思います。言っても日本の格闘技界で、僕と戦うことは相手にとって張りのある試合になるはずだから。そこに手を挙げてくれるような選手と戦いたいです。そのためにも僕も勝ち続けて、相手にとって張り合いのある選手でありたいです」