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【ONE Heavy Hitter】2年3カ月振りの実戦、岡見勇信─01─「現役をやっていて良いのかな……」

【写真】現役ファイターになった途端、岡見の「格闘DREAMERS」で見られるスラスラとしたトークは影を潜め、一つ一つかみ砕くように話していた (C)TSP

14日(金・現地時間)にシンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE Heavy Hitterでレアンドロ・アタイジと岡見勇信が対戦する。

2019年10月の日本大会以来の実戦。コロナ禍において岡見はLDH martial artsのFighter Battle Auditionで次世代の日本の担うファイター候補をリードする立場であり続けた。

見守る立場と、戦う立場は明らかに違う。しかも巨大プロジェクトは、常に監督という立ち位置である岡見勇信の姿をTVカメラが追い続けている。この環境のなか、岡見勇信は以前のように戦えるのか。MMAファイター岡見勇信の話をABEMAのTHE WONDERスタッフと共に訊いた。


――ファイター岡見勇信のインタビューは、いったいいつ以来になるのか。もう記憶も定かでないです。

「ホント、試合をするのが2年3カ月振り、あの台風直後の日本大会以来ですからねぇ(苦笑)」

──それなのにLDH martial artsのFighter Battle Audition、格闘DREAMERSで頻繁に話を訊き、現役選手としての話を訊く機会がなくなっていました。

「確かに……。試合の契約書が届いた瞬間に、本当に意味でファイターとして軸を移せたかと思います。この間、若い選手と出会い、後進の育成に関わる機会が本当に増えました。10代から20代前半の子たちばかりだったので、彼らと接していると自分がお父さんみたいに感じられて。逆に『自分は現役をやっていて良いのかな』っていう想いにもなりましたし、自分の立ち位置を明確にするのが難しいこともありました。

でも現役としてやっているのであれば、自分に厳しい練習を課して……GENスポーツでも現役としての炎を消さないように、若手のデカい子たちとハードにトレーニングをして、無理やり厳しい練習を自分に課していましたね。そうやって1日、1日を過ごしているのに彼らと接していると、う~ん……色々と、以前とは変わりましたね」

──今も格闘DREAMERS2ndシーズンの撮影は続いているわけですよね。

「ハイ、続いています」

──私自身、岡見勇信がいくら葛藤しようが本来の姿はMMAファイターだと思っています。それが先日のEXFIGHTで、選手たちを追っていた格闘DREAMERSのディレクターが目を輝かせて『岡見さんの試合、取材に行かれるのですか』と私に尋ねてきたんです。あの時、彼女たちに格闘DREAMERSの製作スタッフにとって岡見勇信の試合が特別なことであると感じました。

「ハイ、そうですねぇ。何かねぇ……」

──岡見勇信の試合に目をキラキラさせて話す人なんて、もうずっといなかったですよ(笑)。

「いやいやいや。それはおかしいですよ、おかしい(笑)。でもホントにこの2年の間で、色々なことが変わりました。凄いスピードで環境が変化し、自分の見る視点が変わり、自分が見られる視点も変わった」

──そんななか岡見選手がEXFIGHTのケージで週に2回、ガチスパーを相当な勢いでしていると伺いました。

「ケージでやるのは、感覚が全然違います。ある意味、ノンストレスでやっています。他の人のスパーを気にせずに、360度金網に囲まれている。試合により近い状況に身を置けるのが、このフルサイズのオクタゴンです」

──貸切るという表現はおかしいですが、岡見選手はこのケージで1×1、一組だけのスパーリングをしているのですね。

「ハイ、僕は1×1でやっています。本番を見据えてフル集中です。この2年間で随分と練習内容も見直してきました。実はコロナが蔓延する直前に米国で練習してきて」

──そうだったのですか。ポートランドですか。

「チェール(ソネン)のところ、ATTポートランドでファビアーノ・シェウナーがトップで指導しているのですが、2月にゲガール・ムサシの持つBellator世界ミドル級王座に挑戦するオースチン・ヴァンダーフォードとずっと練習をしていました。その練習スタイル、練習のプログラムが凄く勉強になったので、日本での練習に採り入れるようになったんです。

そういう時にコロナ禍となり、また自分で考える時間ができた。そこは練習に向けては良い時間になったかと思います」

──ONEでのミドル級、93キロで戦うことにしたのは?

「ポートランドにいる時に、ずっと93キロでスパーリングをやっていて凄く状態が良くて、手応えも掴めました。『このぐらいで、やれれば良いのにな』と素直に思いました。2019年10月の日本大会でアギラン・タニと84キロで試合をしたときに、自分の感覚と実際の動きに結構ギャップがあって。あの形で返されてしまうのとか──とか。

あの試合の翌日が、息子の運動会で。一緒に写真を撮ったのですが、自分のゲッソリとした顔と体にショックを受けました。『これはファイターの顔でも体でもない』と。ONEのウェルター級、84キロで戦っていたらこんな体になるのかと……」

──北米のウェルター級時代もそうですし、スラリとしてバスケットボールやバレーボールの選手のような体形でした。

「そうなんですよ(苦笑)。ホント、84 キロで戦う時にはオフで90キロぐらいで。米国での練習での調子の良さと、オンラ・ンサンと戦いたいという気持ちが合致し、93キロで戦っていくことを決めました。今は練習していると95キロぐらいで、凄く調子が良いです。これが北米のライトヘビー級だと、試合当日は100キロ越えの相手と戦うことになるのですが、ONEのミドル級だとさすがにそういう相手はいないですしね」

──ところでオンラ・ンサンとの対戦を熱望していていましたが、レアンドロ・アタイジ戦となりました。この間、オファーはなかったのですか。

「2週間前にロシア人選手とのオファーとかありました……アッハハハハハ。結局、そういう感じなのかというのは思っていましたけど、今回はしっかりと期間を設けてくれて、良い相手を用意してくれたと思います。まぁ、そこをやってくれるなら相手は別にそのロシア人でも良かったですけど、良い相手を与えてくれました」

<この項、続く>

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【ONE Heavy Hitter】トロイ・ウォーセン戦へ、上久保周哉「北米MMAを組み伏せて攻略したい」

【写真】上久保の独特の感性は、J-MMA界にあってとても貴重だ (C)TSP

1月14日(金・現地時間)にシンガポールはカランのシンガポールインドアスタジアムで開催されるONE Heavy Hitterに上久保周哉が出場し、トロイ・ウォーセンと対戦する。

昨年4月にミッチェル・チャマールと対戦し、RNCワールドで一本勝ちしたにも関わらず試合機会が巡ってこない現状をSNSで訴えたこともあった上久保には、少しで早く、少しでも多く試合をしたい理由があった。

独特の感性の持ち主の大切な人を想う気持ち、そんなセンチメンタルな感情を容赦なく叩き壊しに来る北米基準ファイターとの対戦を彼はどのように捉えているのか。

ABEMAのTHE WONDER取材班とともに上久保の心境を尋ねた。


――なかなか試合が組まれない状態が続きましたが、7カ月ぶりにONEで試合が決まりました。試合が約2週間後に迫ってきたなか(※取材は12月28日に行われた)、現在の心境はいかがですか。

「このコロナ禍において試合が簡単にできないということは理解していました。ただ今回というか、ここで試合がしたかったのは本当に試合を見せたい人がいて。自分の年齢的にもベストなパフォーマンスをいつまで続けることができるのかも分からないですし、そういうなかで自分は第一に、家族に試合を見せたいという気持ちでいました。時間的にも制約があるなかで、ある意味焦りを感じていて、とにかく早く試合がしたかったです」

――家族というのは?

「奥さん、兄弟もそうですし、何よりも親に見てほしかった。親の年齢的にもそうですし、母親は体調が良くなくて、いつまで自分の試合を見せることができるのかという気持ちでいます。本来は現地で観戦してほしいのですが、日本大会でない限りは遠出することは体に負担を掛けすぎるので、直接ではなくても試合を視てほしくて。これが何試合できるか……ということがあったので」

――……。

「入院とかする症状ではないのですが、持病があって……。自分が柔道を辞めると言ったときも、MMAを始めるとき、MMAをできるところまでやり続けるという決断をした時も反対せず、応援をしてくれました。言ってみれば、一番長くサポートをしてくれた人なので、そこに対する思いはあります。今回、試合が決まって母も喜んでくれていたので良かったです」

――そのような想いを抱いてケージインするわけですが、対戦相手のトロイ・ウォーセンは4月に戦う予定でした。しかしスティーブン・ローマンが欠場し代役でジョン・リネケルと対戦して、KO負け。現在2連敗中です。同じ相手なのですが、敗北を重ねたことで4月の時点とモチベーションに違いはないですか。

「トロイ・ウォーセンに対する思い入れというものはないです(笑)。僕はジョン・リネケルでもないですし。バシバシ殴るわけでもないので。リネケル戦のウォーセンもストライカーに準備していたわけじゃなかったでしょうし。あの試合でウォーセンを評価することはできないです」

――とはいえウォーセンの価値はリネケル戦での敗北で落ちたことは確かで、勝って手にできる見返りは減った感はいなめないです。

「まぁ、ONEとか周りの評価はあまり興味がないというか、そこでのリターンを考えてもしょうがないです。それよりも自分がトロイ・ウォーセンという選手と戦って得ることができる経験が大きいと思います。レスリングでの実績……強いレスラーであるということ、そこにきちんとしたグラップリングとストライキングが混ざっているちゃんとしたMMAファイターのトロイ・ウォーセンのような選手と戦う経験が必要なので。

ウォーセンはMMAに必要な要素のレーダーチャートで目立って悪いところがない。そういう選手と戦う必要が自分にはあります」

――つまりONEに多い、秀でた部分と穴が極端な選手でなく、北米流のウェルラウンディット・ファイターとの試合が必要だと。

「ハイ。そうなんです」

――上久保選手は「選択肢が多い選手が有利。なので組み技での選択肢を多く持てる」ように努力していると言われていますが、前回の試合から7カ月を経て選択肢が増えましたか。

「増やしてきたつもりです。と同時に苦手な攻防とも向き合ってきましたし、引き出しは増えてきたと思います」

――ONEで戦いつつ、北米志向でもある上久保選手ですが、グラウンドで頭部や顔面へのヒザ蹴りが認められているONEルールは戦いやすくはないでしょうか。

「顔や頭でなければ、グラウンドでもヒザ蹴りは使えますから。自分は顔を蹴ることができるからヒザを打っているというよりも組んでいるなかで空いている部分……腕を使って抑えていたら、足が空いているから足で蹴る。手が空いていたら手を使うというぐらいの意識でしか、グラウンドでのヒザやパウンドを使っていないです。

頭に当てることができないのであれば、他の部分を攻撃すれば良いかなって感じです。無駄……というか空いている、フリーになっている手足をいかに無駄にしないかが肝です。だからグラウンドでの顔面へのヒザ蹴りが禁じられることで、途端にやり辛さを感じることはないと思います」

――なるほどぉ。辻褄が合っていますね。ONEでの勝ち方も、北米ルールに適当できると。

「ONEルールで試合をしてきた経験は、そのまんま他の舞台に行っても生きるし、仮にONEで戦い続けても生きる戦いかたです」

――ではONEでの評価を気にしないというなかで、ウォーセン戦はキャリアップにどのような意味合いのある試合だと捉えていますか。

「一つの試合です。ONEに来た当初は、自分がタイトルに絡めるようになるとか思ってもいなかったですし、すぐに負けるだろうってぐらいで。自分がどれだけ通用するのかも分かっていなかった。だから、そういう風に尋ねてもらえるようになっただけでも良いことかと」

――ONEでの試合前ですが、MMAファイターとしてのこの試合で勝つことで、どのような評価を得ることができるのかは気になります。

「いや、勝つ気でやっていますよ。勝つことしか考えていないですし、勝てばなんだって良いです。そのためにはどんな手を使っても勝ちたい。とにかく勝ちたいです」

――どんな手ではなく、理想的な試合展開は?

「組み技の部分、組む前のアプローチでも考えてきたことを出したいです。米国……北米MMAを組み伏せて攻略したいです」

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【ONE Heavy Hitter】来年1月14日、三浦と岡見が揃い踏み。新たなるダゲスタンの脅威もONE初陣

【写真】ついに三浦が世界挑戦。岡見は選手育成でなく、ファイターとしての顔が久しぶりに見られる(C)MMAPLANET

17日(金)にONE Championship Japanより来年1月14日(金・現地時間)に開催されるONE Heavy Hitterで三浦彩佳が、ONE世界女子ストロー級王者シイォン・ヂィンナンに挑戦する世界戦と、岡見勇信のミドル級転向初戦=レアンドロ・アタイジ戦が組まれることが、2022年度上四半期のイベント・スケジュールとともに発表された。

同大会を皮切りに1月28日(金・同)、2月11日(金・同)、2月25日(金・同)、3月11日(金・同)、3月26日(土・同)の6大会が行われる2022年のONE。コロナパンデミック以前の水準、月に2大会のライブ中継イベントが組まれる予定だ。

開催地、会場は未発表だが、気になるのが3月26日大会だ。他のイベントが金曜日開催なのに対し、同イベントのみシンガポール軸で考えると土曜日開催になっている。

12月5日に予定されていた初のPPVショー=ONE Xはシンガポールの日曜に予定されていたが、金曜開催でないこの日のイベントが通常大会とは違った形式になるのか注視したい。


なお同リリースで寄せられた三浦と岡見の次戦に関する意気込みは以下の通りだ。

三浦彩佳
「今回、1月14日にタイトルマッチが決まりました。タイトルマッチが決まった時、“遂に来た”という気持ちでした。チャンピオンのヂィンナンは何度も防衛をしていて皆さんご存知の通りとても強い選手ですが、トライブの仲間と共にたくさん練習をしたりアドバイスをもらったりしてきました。前の試合後からずっとヂィンナン選手と戦う準備をしてきました。この試合ではねちっこく勝ちに拘り、やることをやりたいと思います。いつも応援してくださっている皆さんへ。2022年一発目からしっかり盛り上げていきたいと思います。日本のゾンビは強いんだということを皆さんにお見せしたいと思うので、応援宜しくお願いします!」

岡見勇信
「約2年3カ月ぶりの試合。コロナ禍などで試合から遠ざかっていたこの期間は、己について考える機会となりました。19歳でプロデビューしてから、ずっとコンスタントに途切れず試合をしてきて、前回の試合後に、戦う気力が消えかけていました。しかし、その状態から、この期間で、格闘家としての自分を一から見つめ直し、世界ランク2位の記録を残しているミドル級に階級を上げて戻ることを決意しました。
『日本人は不利だ』と言われる重量級でも、そしてたとえ40歳だとしても、世界で勝つことができる。それを証明したい。そう、ふつふつと、また闘いたいという想いが沸いてきました。

そして練習仲間の試合、格闘DREAMERS、選手育成を通して、たくさんのエネルギーをもらい、彼らのおかげで心の中の『闘いの火』がどんどん燃え上がっていきました。今はただ、レアンドロとの戦いが待ち遠しいです。この気持ちを思い出させてくれたみんなに恩を返すために、私の戦いで報いたい。
私の持つ心技体すべてを、レアンドロにぶつける。ミドル級で戦い「岡見勇信」という格闘家、その姿を見届けてほしい。ご期待ください」

同コメントで岡見が触れているミドル級は北米階級で84キロ、ONEミドル級は92キロで名称は同じだが、階級は実質1クラス重くなる。通常体重に近いであろう今回の階級変更は、岡見にとってファイナルカウントダウンの一歩であることは間違いない。豪腕柔術家のアタイジに対し、3R戦い切れるペースと圧力を岡見は見せたい。

(C)ONE

また今回のリリースではザイード・イザガクマエフがジェームズ・ナカシマとのライト級戦でONE初陣を戦うことも合わせてアナウンスされている。

イザガクマエフはカビブ・ヌルマゴメドフの15年来のトレーニング・パートナーで、キャリア19勝2敗。旧ゴリラFC──つまりヌルマゴが買収しイーグルFCと名称を変えたロシアのフィーダーショーの暫定ウェルター級王者だった。

昨年1月10日のダナ・ホワイト御前大会とUFCへのステップアップの舞台を整えてもらっていたUAEW15とEFC32の合同イベントで、ルタリーブリ戦士カールストン・ハリスに敗れ──そのハリスがUFCと契約を果たすという厳しい現実をイザガクマエフは経験している。

ここを経てONEに戦いの場を求めたイザガクマエフだが、強烈なレスリングコントロールの持ち主で、がぶってヒザ蹴りがあるONEルールの最適化ファイターともいえる。ジェイムス・ナカシマ戦次第では、オク・レユン政権のライト級でダイ・アサラナリエフと並ぶ、ダゲスタンの脅威となる可能性は十分にある。

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