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【Shooto2025#05】永井奏多と世界暫定王座決定戦、ダイキライトイヤー「できるだけ下にならない」

【写真】元町駅前にある修斗GYM神戸。入口はビジネスシューズで埋まっている――一般会員さんが溢れるなか、その応援を受けてダイキライトイヤーが暫定王座戦に挑む(C)SHOJIRO KAMEIKE

25日(日)、大阪市住之江区のGORILLA HALL OSAKAで開催されるPROFESSIONAL SHOOTO 2025 Vol.5 in OSAKAにて、ダイキライトイヤーが永井奏多との世界バンタム級暫定王座決定戦に臨む。
Text by Shojiro Kameike

2013年3月のプロデビューから12年――ダイキライトイヤーが遂に、暫定ながら世界王座に挑むこととなった。昨年開催された環太平洋同級王者決定トーナメント決勝で野瀬翔太を下してベルトを巻いたダイキ。続いて新鋭の永井を迎え撃つ世界暫定王座決定戦を控えるダイキが、キャリアを重ねるにつれて変化してきたマインドを語ってくれた。


若い時はベルトとかランキング、知名度とかを気にしていたし、それを欲していました。でもこの年齢になると……

――まずは環太平洋王座、獲得おめでとうございます。

「ありがとうございます。もちろんベルトを獲ることができたのも嬉しいんですが、野瀬君に勝てたことも本当に嬉しくて。凄く実力があり、修斗の中でも一番強いやろうなと思っていた選手でした。その野瀬君に勝てたことはホンマに嬉しかったですね」

――あの環太平洋バンタム級王者決定トーナメントは、まさに「野瀬のためのトーナメント」とも思われていました。

「そうでしょうね。僕としては全部ひっくり返してやろうと思っていました。ずっと『決勝で野瀬と対戦したい』と言っていて、実際に試合することになった。自分が一番強いと思っている選手を倒してチャンピオンになるほうがカッコいいじゃないですか」

――もちろんです。

「皆は野瀬君が優勝すると思っていたやろうけど、僕はそう思い描いていました」

――このトーナメントはダイキ選手にとって、プロデビューしてから10年以上が経ち、初めて修斗のベルトを巻くことができるチャンスでした。その点において気負いのようなものはなかったですか。

「それはなかったです。若い時はベルトとかランキング、知名度とかを気にしていたし、それを欲していました。でもこの年齢になると、『まず目の前にある試合を一つひとつ大事に戦っていきたい。しっかり勝っていきたい』と考えるようになって。もちろん『よっしゃ! コレ勝ったらチャンピオンや』という気持ちは、心のどこかにはあったと思います。でも昔のような感覚ではなく、とにかくこの試合に勝つというつもりで続けてきましたね」

――そのように意識が切り替わったのは、いつ頃でしょうか。

「いつ頃やろう……。メッチャ前になるんですけど、修斗のBORDERで山城選手に勝った時(2019年1月、山城剛に2R KO勝ち)ぐらいやと思います。あの頃は『ここで負けたらMMAを辞めよう』と思っていたような時期でした。でも山城戦から4連勝を収めて。その頃から人のためだとか、皆が視ているから――とかじゃなく、自分のために戦おうと思って挑んだのが山城戦やったんです。なぜそう考えたのかは覚えていないけど、あの辺りが自分にとってターニングポイントでした」

――4連勝して、もう一つステップアップできるはずでした。しかし2020年12月には、田丸匠戦で踏みとどまることになりました。

「僕、いつも『ココ!』というところで負けてしまうんですよね(苦笑)。去年のトーナメントも『ココ!』という勝負やったじゃないですか。そこで勝ち切ることができたから、ホンマに嬉しくて。今までやってきたことが、一つの形になったかなって思います」

――ちなみに先日行われたTORAO35の野瀬×加藤ケンジ戦はご覧になりましたか。下になった加藤選手が、野瀬選手に対してペダラーダを連発していました。

「まだ視ていないですけど、それは聞きました!」

――ダイキ選手が見せたペダラーダが、野瀬攻略法として皆の記憶に残ったのでしょう。それだけのインパクトを与えたということで。

「下からの蹴り上げって危ないから、なかなか練習では出せないじゃないですか。でも練習中に『このタイミングなら当たるやろうな……』と思うことは何度もあって。そう考えていることが、まさかあんな形で試合に出るとは思いませんでした。別に狙っていたわけではなく、自然に出たものではあるんですけど」

――ダイキ選手の場合、大切なのはカウンターの三角絞めではないでしょうか。

「カウンター三角! なかなか極められないですけどね(笑)。でも皆が警戒してくれます」

――その警戒心があるからこそ、相手が上体を起こす。そこにペダラーダが当たると。

「それは練習とかでも考えていました。でも野瀬君の圧が強くて、そこまで考える余裕は全くなかったです(苦笑)。自分が下になった時の嫌がらせが、ああいう風に発展して。これから『ダイキといえば蹴り上げや』といわれるようになったら嬉しいですね。アハハハ」

――先ほど言ったとおり、ダイキ選手といえばカウンターの三角絞めが印象的です。ペダラーダといい、下からの展開が得意なのでしょうか。

「いや、どうなんですかね? その前に、あんなに下になっちゃダメだと思うんですよ。何か安心しちゃうポジションなのかもしれないけど」

――確かに現代のMMAで、あれだけベッタリとマットに背中を着けることはリスクがあります。そのスタイルを変えようとは思わなかったのですか。

「いえ、野瀬戦では絶対に下にならない。下になっても、すぐ立ち上がる――そう意識していました。ただ、今までもダメやとは分かっていながら、何かどこかで『いけるんじゃないかな』と思う自分がいて。不思議なもんですよ。ダメやと思っていたことが大事な試合で生きて、別の技が入るんですからね」

――やはり継続は力なり。やってきたことは嘘をつかないのでしょう。ただ、野瀬戦の勝利で、「やっぱり変えないでいいか。下になろう」と考えてしまうかもしれません。

「いやいや(笑)。今は、できるだけ下にならないよう意識して練習しています」

絶対に永井には負けない、自分に負けない、試合で勝つ

――なるほど。修斗のベルトを巻き、周囲の反応はいかがですか。

「皆が喜んでくれていて、僕も嬉しいです。やっぱり大阪でベルトを巻くことができたのは大きくて。会場もメッチャ盛り上がってくれたし、皆の応援があって試合も乗り越えることができました。これは綺麗事でも何でもなく、特に前の試合はそれを感じて。

でもベルトを獲った瞬間――これは生意気かもしれんけど、『次っ!』という気持ちになっていたんですよ」

――次とは、世界王座のことですね。

「はい。試合後のランキングを見ても、これは環太平洋王座の防衛戦よりも、もう一つ上に行きたいという気持ちが強くなりました。次の試合がすぐ世界戦になって嬉しいですね。何かって言うと、僕は世界のベルトと環太平洋のベルトを二つ肩に掛けたいんです。

僕がMMAを始めた頃、このジムで中蔵隆志さんの指導を受けていたんですよ。当時、中蔵さんが世界のベルトを腰に巻いて、環太平洋のベルトを肩に掛けた写真をずっと見ていました。その光景がずっと忘れられなくて……」

――そうだったのですね。確かに始めた頃に受けた印象は忘れられないものです。

「ずっと戦ってきて、こんな日が自分に訪れるとは思っていませんでした。先ほど言ったとおり、ベルトやランキングとか、数字どうこうより目の前の試合を――というマインドに変わっていたので」

――そのマインドに変えることができたからこそMMAを続けて、チャンスをモノにすることができたのかもしれません。

「あぁ、そうですね。その欲がなくなったことが、良かったのかもしれないです。

これも不思議なもんですけど、年齢を重ねるにつれて『去年の自分より強くなっている』と感じているんですよ。もう無理やなって限界を感じるようになったり、試合で負けても悔しくなくなったらキッパリ辞めようと思っています。でもオッサンになるにつれて強くなっている。そう感じることができるうちは、まだまだいける。そう考えていますね」

――1週間前の5月18日には、東京でサステイン興行があり、世界戦も行われます。自身の世界戦も東京で……という気持ちはありませんか。

「それは全くないですね(笑)。前の試合も大阪で皆の応援がなかったら……自分一人の力では勝てなかったと思います。だから次、世界戦も大阪でやりたかったんですよ」

――ダイキ選手が環太平洋のベルトを獲得したからこそ、大阪でこの世界挑戦が実現します。対戦する永井選手の印象を教えてください。

「若くて勢いのある選手ですよね。無敗やし、弱いわけがない。僕も気を抜かず、キッチリ練習して臨みたいと思っています」

――豊富なスタミナでアタックし続けてくる永井選手に、カウンターの三角とペダラーダを……。

「アハハハ! もう下にならないですって。なぜあんなに下になっていたのか、昔の自分に聞きたいぐらいですよ(笑)。ただ、どんなフィニッシュでも勝つことが一番大事で。

ベルトやランキングに対する欲はなくなったけど、次の試合で2本のベルトを巻くイメージはできていますね。それも『絶対にベルトを巻く』とか、そういう気持ちじゃない。『絶対に永井には負けない、自分に負けない、試合で勝つ』というマインドで毎日練習しています。

今回って暫定王座決定戦なんですよ。まず永井選手に勝って暫定のベルトを巻き、正規王者の齋藤奨司選手と統一戦をやりたいですね――12月1日に予定されている大阪大会で」

■視聴方法(予定)
5月25日(日)
午後13時~ ツイキャスPPV

■Shooto2025#05 in OSAKA対戦カード

<世界バンタム級暫定王座決定戦/5分5R>
ダイキライトイヤー(日本)
永井奏多(日本)

<フェザー級/5分3R>
宇藤彰貴(日本)
パク・ジョンジュン(韓国)

<フライ級/5分3R>
杉本静弥(日本)
山本壮馬(日本)

<フェザー級/5分3R>
轟轟(日本)
グ・ジユン(韓国)

<新空手・Stand up提供試合/キック・ヘビー級/3分3R>
小池翔(日本)
伊藤叶人(日本)

<新空手・Stand up提供試合/キック・58.5キロ契約/3分3R>
THE ROCK MFC(タイ)
白鳥光希(日本)

<新空手・Stand up提供試合/OFGキック・67.5キロ契約/3分3R>
有馬伶弍(日本)
井原浩之(日本)

<フライ級/5分2R>
龍城(日本)
南裕人(日本)

<バンタム級/5分2R>
中島陸(日本)
松岡琉之介(日本)

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45 MMA MMAPLANET o Torao TORAO35 ダイキ・ライトイヤー 加藤ケンジ 野瀬翔平

【TORAO35】同じ轍は踏まない。野瀬がペダラーダを狙い続ける加藤に肩固めを極めて再起

<バンタム級/5分3R>
野瀬翔平(日本)
Def.1R3分35秒 by 肩固め
加藤ケンジ(日本)

サウスポーの野瀬が距離を詰め、左前蹴りを繰り出す。フェイントに対して下がった加藤が踏む込むも、野瀬が距離をつくる。一度ダブルレッグをかわされた野瀬が、再チャレンジでテイクダウンした。ケージ際で加藤がクローズドガードに。野瀬は体重をかけながらパスを狙う。立ち上がった野瀬に対し、加藤がペダラーダからスタンドに戻る。

すぐに野瀬が前蹴りからダブルレッグで背中を着かせたが、またも立ち上がった野瀬の顔面を加藤のペダラーダが襲う。昨年12月、ダイキ・ライトイヤーが野瀬戦で試合を優位に進めたペダラーダを狙い続ける加藤。しかし野瀬は肩固めをセットし、左にパスして絞め上げ、タップを奪った。

再起を果たした野瀬は「前回負けてしまって、その反省を生かせたと思います。ここからまた上に行きます」と挨拶した。


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45 MMA MMAPLANET o Torao TORAO35 ブログ 宮口龍鳳 野尻定由

【TORAO35】6連続KO勝ち! ボディへのヒザ蹴りを効かせた宮口が左ハイ→右ストレートで野尻を沈める

<バンタム級/5分3R>
宮口龍鳳(日本)
Def.1R4分41秒 by KO
野尻定由(日本)

宮口がプレスをかけると、野尻が左に回る。野尻の右ローをかわした宮口が、ジワリと距離を詰めていく。踏み込んで左を振るう野尻。しかし左の相打ちで野尻が下がった。宮口が右を伸ばす。野尻にケージを背負わせ、左ハイを見せた宮口。野尻がダブルレッグで飛び込むも、宮口はバックステップでかわす。宮口の右をかわした野尻が左フックを当てた。さらにダブルレッグでドライブ。宮口は左オーバーフックで耐え、立ち上がった。

離れた野尻のボディを、宮口の右三日月蹴りが襲う。宮口の跳びヒザに野尻が左フックをカウンターで合わせた。尻もちを着いた宮口が立ち上がり、組んできた野尻のボディにヒザを連打で突き刺す。さらに右ストレートを効かされるも、野尻が組みついた。宮口はヒザ連打から右ヒジを打ち込む。手数が落ちた野尻に右三日月蹴りを見せながら、相手の左フックのインサイドから右ストレートを突き刺した。ダウンした野尻のバックに回る宮口。立ち上がった相手に右ヒジを当て、左ハイから右ストレートでマットに沈めた。

これでデビュー以来6連続KO勝ちの宮口は、地元・佐賀から駆け付けた応援団と家族に感謝を述べた。


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45 MMA MMAPLANET o Torao TORAO35 キック 安海健人 結城大樹

【TORAO35】初回は上を取った2022年新人王・安海、最終回はライト級転向の結城がバック奪取=ドローに

<ライト級/5分2R>
結城大樹(日本)
Draw.1-0:20-18.19-19.19-19.
安海健人(日本)

安海が右に回ってワンツーを繰り出す。ダブルレッグで組んだ結城がバックを狙いながら引き込んだ。起き上がる安海に対し、左足を差し入れた結城がバックへ。ケージキックでグラウンドに引き戻した結城だが、安海も反転してトップを奪取する。結城はクローズドから足を上げていく。安海の肩まで足をかけた結城は、安海は右ヒジを落としてきた瞬間にシングルレッグで組んだ。安海は巻き込んで袈裟固めでトップを維持した。

最終回、結城が左ジャブを突くと、安海が左インローを返す。結城はワンツーから足を払うが倒せず。組んだ結城が首を抱えられて袈裟で押さえ込まれるも、そのまま首を抜いてバックに回った。立ち上がる安海。結城は1Rと同様、片足を差し入れてバックマウントを狙い続ける。ボディロックからグラウンドに引きずりこんだ結城は、すぐさまバックマウントを奪取。ボディトライアングルからRNCを狙う。暴れる安海の体を伸ばし、左腕を首に回してパームトゥパームで絞め上げる。凌ぐ安海に対し、セットアップし直した結城が左腕を深く入れるが極めることはできず。右腕に切り替えたが、安海が極めさせず試合終了となった。

1Rは結城がバックを奪いきれず、トップに回った安海。2Rは確実に結城――結果、ラウンドを分け合ってドローとなった。


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【TORAO35】野尻定由と対戦。デビュー以来5戦全KO勝ちの宮口龍鳳「殴られたらスイッチが入る」

【写真】少し武人の香りも漂う宮口(C)SHOJIRO KAMEIKE

11日(水)、福岡市中央区のアクロス福岡イベントホールで開催されるプロ修斗公式戦「TORAO35」で、宮口龍鳳が野尻定由と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

宮口はプロデビュー以来、5戦全KO勝ち。しかもここ3戦は全て1Rで相手を仕留めている。修斗で2024年度バンタム級新人王を獲得し、続いて環太平洋同級3位の野尻と対戦することとなった。空手ベースの打撃を武器に、快進撃を続ける宮口。試合で見せる豪快なKOからは想像もできない、まだ地元・佐賀のイントネーションが残る朴訥とした喋り――そこには、強さを追求し続ける九州男児の姿があった。


――2023年5月のプロデビュー以来、5戦全KO勝ちで新人王も獲得。その自分に対する期待は感じますか。

「えー、まぁ……期待というか、次の試合もKOするというのは頭にありますね。今までずっとKO勝ちできているので、自分の中でも倒せるという自信はあります。ただ、狙いすぎずに戦いたいです」

――格闘技のベースは空手ということですが、どの流派で空手を学んでいたのでしょうか。

「自分は佐賀県唐津市の出身で、地元でフルコン空手をやっていました。両派というか、金山流カラテという町道場に、小学2年生の時から7年間ぐらい通っていましたね」

――空手を始めたキッカケを教えてください。

「親が格闘技好きで、その影響です。僕もテレビで視ていて、子供の頃はK-1ヘビー級が好きでした。ジェロム・レバンナ、レイ・セフォー、レミー・ボンヤスキーとか。空手を始めてから、親も冗談で『将来はK-1ファイターになれよ』とか言っていて(笑)。

親は最初、柔道と空手どちらを習わせるか迷っていたらしいんですよ。当時は地方でMMAはもちろん、レスリングを始める環境もなかったですし。周りに空手道場がたくさんあったので、空手を始めることになりました。」

――空手以外のスポーツ経験はないのでしょうか。

「野球とサッカーもやっていました。野球が小4から小6、サッカーは中学生の時です。親も『勉強はせずにスポーツを頑張れ』というタイプで」

――将来はプロ野球選手かJリーガー、あるいはK-1ファイターになれば将来は安泰だということで。

「アハハハ、そんな感じです。中学を卒業する前には、ほんの数カ月だけブラジリアン柔術も習っていました。地元の唐津市に――イワモト柔術アカデミーというんですけど、一つだけ柔術の道場があって。そのあとはウェイトにハマッていました。中学を卒業したあと就職して、仕事して遊んでウェイトやって……という感じでしたね」

――ウェイトトレーニングにハマりながら、格闘技は続けなかったのですか。

「その頃もまだ地元にキックやMMAのジムがなくて。友達と一緒に遊び感覚でミット打ちをやったりとか、その程度でした。でも『やっぱり格闘技をやりたい』と思って、大阪に出てきたんです。大阪に出て来たのは23歳の時で、新しくMMAを始めるには結構遅いですよね」

――う~ん、幼少期にレスリングを始めている選手と比べれば……ではありますが。ただ、中学卒業後から23歳までは地元でくすぶっていたのでしょうか。

「地元で格闘技をやる環境もなく、くすぶっていました。空手時代って先生が怖くて、毎日泣きながら道場に行っていたんですよ。でも、ふとした時に当時のことを思い出して、『あの頃の頑張りが勿体ないなぁ』とか感じて――そこで『もう1回、格闘技をやってみよう』と決めました」

――その間にMMAに挑戦するチャンスはなかったのですね。

「一度、地下格闘技に出ようかとも思ったんです。当時は福岡で地下格闘技の大会が多くて。一度試合も決まったけど流れてしまい、そこから地下格闘技の大会もどんどん少なくなっていって」

――MMAをやる場所として、東京ではなく大阪を選んだ理由は?

「……東京は何だか、人間が冷たい感じがして」

――アハハハ!

「当時は、ですよ(苦笑)。何も知らなかったから、本当にそういうイメージだけで。やっぱり九州からは東京より大阪のほうが近いし、もともと大阪に行きたくて」

――子供の頃から空手、野球、サッカーとやっていて、それだけウェイトを続けていたわけですよね。大阪に出て来た時に周りと比べて、すでに体は出来ていたでしょう。

「はい。MMAをやったことがないのに、体幹が出来ていたから最初はやれたんですよ。プロの方からも『体が強い』と言ってもらえていました」

――大阪にあるMMAジムの中から、コブラ会を選んだポイントは何だったのですか。

「コブラ会はグラップリングが強いというイメージを持っていました。自分は空手もやっていたので、立ち技はある程度できるという自信があったんです。23歳はMMAを始める年齢としては遅いから、今までやったことがない寝技を鍛えて強くなりたいと思いました。あとコブラ会は夜に、アマチュアもプロ選手と一緒に練習できるんですよ。自分は時間もないので、最初からプロに揉んでもらいたいって考えました」

――フルコンタクト空手とMMAでは、当然のことながら距離感も何もかも違う。そこに慣れてきたのは、いつ頃なのでしょうか。

「いや、いまだに慣れているんですかね、という感じです(苦笑)。」

――そこがポイントだと思います。宮口選手は前回の新人王決勝を除けば、プロデビュー以降も不安定さは見える。しかし最後に相手を倒している要因は何なのか……。

「自分はスロースターターなんですよ。ちょっと危ない場面――殴られたらスイッチが入るみたいで(苦笑)。メッチャ緊張するタイプで、最初は堅くて雑になってしまっていました」

――何となく理解できます。新人王を獲るまでの宮口選手はグラップリングを避けるというよりも、「逃げる」という表現が適していたように思います。もちろん「逃げる」=サバイブですし、MMAでは必要なことです。ただ、そこからが強い。

「コブラ会に入った頃、最初はずっと『足を使え』と言われていて。だけどフルコンでは足を使って回ることがなくて、言われていることの意味が分からなかったです。でも最近になって、ようやく距離感というものが分かってきた気がします。

自分はストライカーなので、組みには付き合わない。コブラ会ではあれだけグラップリングが強い人たちを相手に、そう意識して練習しています」

――なるほど。次はランカーであり、やはり組みが強い野尻選手と対戦します。

「そうですね。5分3Rフルで戦えるスタミナがある選手、という印象です。僕もしっかり戦い抜きます」

――これまで3R目を経験していないことは不安ではないですか。

「練習ではずっと5分3Rを意識してやっています。もちろん試合と練習は違うし、試合で経験していないので少し不安はありますけど、自信もあります。新人王を獲って、次はランカーで。ここからどんどん上に行きたいですね」

――まず目指すのは修斗のベルトでしょうか。

「修斗に出ているからには、そうですね。それで来年にはRoad to UFCに出たいです。MMAをやるかぎり、ゴールはUFCだと思ので。自分もメジャーリーガーになりたいですね」

■視聴方法(予定)
5月11日(日)
午後14時45分~ ツイキャスPPV

■TORAO35 対戦カード

<バンタム級/5分3R>
野瀬翔平(日本)
加藤ケンジ(日本)

<バンタム級/5分3R>
野尻定由(日本)
宮口龍鳳(日本)

<ライト級/5分2R>
結城大樹(日本)
安海 健人(日本)

<フェザー級/5分2R>
磯城嶋一真(日本)
久保村ヨシTERU(日本)

<バンタム級/5分2R>
松岡琉之介(日本)
アサシン秋雄(日本)

<ストロー級/5分2R>
黒瀬恭平(日本)
大城正也(日本)

<フライ級/5分2R>
平賢二郎(日本)
古賀優平(日本)

<フェザー級/5分2R>
本松要(日本)
諸石一砂(日本)

<フライ級/5分2R>
高宮諒(日本)
小生隆弘(日本)

<バンタム級/5分2R>
山口カケル(日本)
河野慶樹(日本)

<ライト級/5分2R>
はやぶさ(日本)
大地(日本)

<ウェルター級/5分2R>
グラップラー脇(日本)
平尾大和(日本)

<2025年度ストロー級新人王決定T1回戦/5分2R>
緑真作(日本)
佐野光輝(日本)

<2025年度バンタム級新人王決定T1回戦/5分2R>
有松朋晃(日本)
井上滉人(日本)

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【TORAO35】環太平洋王座を逃がした野瀬翔平が地元福岡で加藤ケンジと復帰戦。結城大樹は安海健人と

【写真】焦らず、確実に――野瀬にとっては成長が試される一戦だ(C)MMAPLANET

9日(日)、5月11日(日)に福岡県福岡市中央区のアクロス福岡イベントホールで開催されるTORAO35の対戦カードが発表された。昨年12月、環太平洋バンタム級王者決定トーナメント決勝でダイキ・ライトイヤーに敗れた野瀬翔平が、ホームタウンで加藤ケンジと復帰戦を行う。
Text by Shojiro Kameike

すでに野尻定由×宮口龍鳳のバンタム級など、九州在住ファイターを中心としたカードが発表されていた今大会。さらに野瀬×加藤、結城大樹×安海健人のライト級戦が追加されている。


野瀬は3年連続でRoad to UFCも挑戦するも、いずれもトーナメント優勝はならず。昨年9月に、キャリア初のベルトを目指して修斗環太平洋バンタム級王者決定トーナメントで再起した。初戦では人見礼王と対戦してキムラで勝利。しかし12月の決勝ではダイキ・ライトイヤーに判定負けを喫し、戴冠には至らなかった。

人見戦の前にはMMAPLANETのインタビューで「今まで以上に組みを強化している」と語っていた野瀬。確かに試合では相変わらずのテイクダウン&コントロールの強さを見せているが、打撃の被弾も目立ち、結果的に自分の形でポジションを奪うことが難しくなるというトーナメント2試合の内容であった。

対する加藤ケンジは現在5連敗中ではあるが、テイクダウンディフェンス&相手の隙を突く打撃を得意としている。まさに環太平洋トーナメントで明らかになった、野瀬にとっては課題ともいえる武器を持つファイターだ。ここで野瀬が強引な攻めを見せるようであれば、加藤のTD防御&打撃で削られる可能性もあるだけに、野瀬の試合運びにも注目したい。

結城は昨年10月、Bloom FCで勝利して以来の試合に。修斗公式戦は1年振りだ(C)MMAPLANET

また、結城は1年振りとなる修斗の試合で、2022年修斗ライト級新人王の安海を迎え撃つ。昨年3月は後楽園ホール大会で椿飛鳥に敗れ、ランキングを明け渡してしまった。その結果、ランク1位となった椿が3月16日にSASUKEが持つ修斗世界フェザー級王座に挑むこととなっている。

結城は10月のBloom FCからライト級に転向し、ソ・ジェファンをRNCで下した。そのソ・へファン戦では移動と減量苦から解放されたおかげか、テイクダウンからバックテイク、フィニッシュまで力強い動きを見せていた。現在はフェザー級でランクされている結城は、キャプテン☆アフリカがベルトを巻く修斗ライト級で新たにランキング入りなるか。

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