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【VTJ2021&Shooto2021#07】坂本一弘代表に訊く、Shootoのヒエラルキー─03─「勝ちゃあ、良い」

【写真】岩本健汰はプロアマ通して、1度もMMAを経験することなくプロ修斗公式戦を戦った(C)MMAPLANET

いよいよ 6日(土)に迫ったVTJ2021とShooto2021#07。東京都江東区のUSENスタジオコーストで両大会を主催するSustainの坂本一弘氏インタビュー最終回。

VTJが復活した今、修斗公式戦では中村倫也及び宇佐美正パトリックというEXFIGHT勢がアマ修斗を経ず、公式戦でKO勝ちデビュー。岩本健汰がアマでもMMAを経験せずにプロ修斗に参戦し、RNCで一本勝ちした。彼らのデビュー関して、修斗のヒエラルキーが崩れるという声がはからずとも起こった。

アマからプロという一貫した競技性を気付いてきた修斗における変化を坂本氏はいかに捉えているのか。そこにはVTJと再び行う意志に通じる、強さへを追求する姿勢が見られた。

<坂本一弘インタビューPart.02はコチラから>


──VTJと修斗と同日興行、その先には海外というモノが存在しています。再び、富国強兵の時がやってきたのかと。

「まぁ修斗とVTJに関連づけると、現状において海外で成功している日本人は堀口恭司──ただ1人ですよね。ならばその成功例を真似るというのは一つの正解だと思います。SASUKE選手とかにもそういう話をしました。同じテンションではできなくても1カ月とか2カ月の間、米国で練習をして、その経験を日本に持ち返る。次の戦いに備えて自分のできることをやっていく。

堀内恭司にはなれなくても、自分のやり方は見つかるはず。だから焦ったり、短絡的な選択をしない。そのためのステップという意味はありますよね──今回のVTJというのは。だから厳しい試合を外から持って来る。今はコロナ禍で制限もありますが、そこを崩しに掛かっているので、90年代にVTJでやってきたことをやる。今回だけでなく、2022年の公式戦に関しても、その方向性で見ています。

日本は最弱ではないです。でも、どこもかしこも強くなっているから置かれている状況は厳しい。厳しいからこそ、厳しいことを強いて殻を破らないといけないです。1996年の『日本最弱』、あれは日本の総合格闘技がピンチを迎えた時ではあったと思います。強さという威厳を保つうえで。で、そのピンチの後には、何があったか……。

VTJが7月7日に浦安のNKホールであり、7月28日にクラブチッタ川崎で第3回全日本アマチュア修斗があったんです」

──ウェルター級(※69キロ)の決勝が……。

「桜井速人✖宇野薫でした。この時は川崎フリーファイトとしてプロの試合も組んで、郷野聡寛が須田匡昇と戦っているんですよね」

──郷野選手はその後のVTJに出場はなく、年が明けて1月の後楽園ホール大会で戦う。そういう印象が強いです。須田選手は98年のVTJでマーク・コールマン門下のブランドン・リー・ヒンクルに足関節を仕掛けてカカトで顔面に蹴られまくった。

「ホント、修斗が世界に逆襲、打倒ブラジルを掲げて99年に成就した。でも、それって今から思うと綺麗なストーリーですけど、当時はひたすらに必死になってやっていただけですからね。とにかく負けるかって言うことで」

──坂本さんは今もある意味、必死のパッチじゃないですか(笑)。

「ホンマにそうですよ(笑)」

──VTJと修斗はレコードのA面とB面という話でしたが、A面の方ではアマ修斗を経ず公式戦デビューをした中村倫也、宇佐美正パトリックの両選手ばかりか、プロアマ問わずMMAを経験していない岩本健汰選手が、プロ修斗でプロMMA初陣を戦う。そしてアマ修斗を経てプロになった選手を圧倒しました。これはA面のヒエラルキーとして、危機感を持つことはないですか。アマ修斗を経ない選手たちの出現に、修斗が修斗でなくなるという声も聞かれますし。

「まぁ、そういう声があるということに関して正直にいうと、『だから、どうなんだ?』ということですよね。修斗のヒエラルキーを守ろうとする人たちに関しては、そういう風に思ってくれて有難いです。修斗をそうやって大切に思ってくれている。そういう人たちがいてくれて、修斗は成り立っているのも確かです。

でも、強い選手にプロ修斗公式戦を戦ってもらうことを否定して良いモノでしょうか。なら外国人選手を招聘することも、厳密にいえばヒエラルキーから外れてきてしまうじゃないですか」

──確かにそうですね。

「20年以上前にマット・ヒューズとデイブ・メネーを招聘した時、『なんで、ククラスBじゃないんだ。修斗で実績がないだろう』という意見も出ました。強い選手はどこにでもいるんですよ。岩本健汰の出場に反対する。それがアマ修斗の存在を脅かすというのであれば、椿飛鳥が岩本に勝たなアカンかったんですよ。アマ修斗の存在感を頑強にするのであれば。

これは椿の敗北に関して、注文をつけているわけじゃないです。青木のあんな要求を受けて、試合を受けた。大したもんです。試合なんです。椿は勝つためにオファーを受けた。勝つチャンスは均等に与えられているんです。

それをモノにするかどうか。これは修斗に関わっている人間に対しての僕の考えです。ファンの人たちに対しての言葉ではないです。ファンの人たちは好き勝手、自分の想う修斗を応援してください。

その一方で、修斗関係者に対しては、自分たちが修斗の在り方を守りたいために、力のある選手が修斗公式戦に出ようという状況を阻害するのはおかしいと思っています。それを守って、強さを追求するというのは違う。それは修斗の理念ではないんじゃないかという気がします。

僕はプロモーターです。だから『お前の解釈だと、岩本が出ることは都合が良いんだろう』って言われたとしても、『強いから、しょうがないやないか』と。別に最初から世界王座に挑戦しているわけでもないですからね。試合になる椿との試合を組んだ。正しいのは勝った岩本です。それだけです。勝ちゃあ、良い。

それだけアマ修斗が大切なら、アマ修斗の全日本王者が無敗でずっと勝ち続けられるよう選手を強化していけば良いじゃないですか。それができていなくて、アマ修斗から勝ち上がってきた選手が、MMA初戦の選手に負けたら、その試合の存在を否定するのではなくて、より強さを目指すアマ修斗であれば良いんじゃいかと」

──はい。

「強くなるという目標に向かっていくと、手段は一つではないです。山の頂上を目指すためには、ルートが複数あるように色々な登り方がある。強さを追求するのも同じことだと思いますよ。それに椿が岩本に負けたからってアマ修斗は否定されるモノではないです。アマ修斗が必要な選手は全国にいくらでもいますから。アマ修斗の経験をプロ修斗で生かす人がいれば、グラップリングや柔術の経験をプロ修斗で生かすことができる選手もいて然りです。活かし方は個人の判断です。それは自分で決めないと。

まぁ、でもそうやって疑問を投げかけてくれる人がいるというのは、本当に有難いことだと思っています。修斗らしさ、アマからプロという筋道を大切にしてほしいと言われるのが修斗なんだと僕は捉えています」

──坂本さんはそういう意見も、我々マスコミが書くことも苦虫を嚙み潰したような表情になるでしょうが、許容してくださっていますしね。だから、修斗だけは書きやすいというのは私のなかではありますね。

「ホンマ、勘弁してほしいですけどね(笑)。皆、それぞれに『俺たちの修斗』がある。これは幸せなことやと思います。昔話をして、振り返って。そこで答え合わせをするのもありです。でも、これからのことを考えるうえで、将来の答え合わせを今することはできない。挑戦するから、答が出てくるわけで。挑戦しないと、分からんままです。

だから岩本とか中村倫也、パトリックの出場もそうだし、VTJの再開もそう。挑戦するから、何かが分かる。岩本に勝ちたい、中村に負けるか。パトリックなんぼのもんじゃ──っていう風な選手が出てくること。VTJから世界目指すんやっていう選手が現れることを期待していますし、それにはこっちが動かないとあかん。そういうもんやと考えています」

■VTJ2021視聴方法(予定)
11月6日(土)
午後4時30分~ ABEMA格闘チャンネル

■VTJ2021対戦カード

<58.5キロ契約/5分3R>
平良達郎(日本)
アルフレド・ムアイアド(チリ)

<ライト級/5分3R>
西川大和(日本)
菅原和政(日本)

<63キロ契約/5分3R>
佐藤将光(日本)
河村泰博(日本)

<フェザー級/5分3R>
宇野薫(日本)
原口央(日本)

<ライト級/5分3R>
宇佐美正パトリック(日本)
野村駿太(日本)

<ライト級/5分3R>
原口伸(日本)
岡澤弘太(日本)

■Shooto2021#07視聴方法(予定)
11月6日(土)
午後1時00分~ ABEMA格闘チャンネル

■Shooto2021#07対戦カード
             
<修斗世界女子スーパーアトム級選手権試合/5分5R>
[王者] 黒部三奈(日本)
[挑戦者] SARAMI(日本)

<修斗暫定世界ストロー級王座決定戦/5分5R>
猿丸ジュンジ(日本)
黒澤亮平(日本)

<ミドル級/5分2R>
岩崎大河(日本)
清水洸志(日本)

<フェザー級/5分2R>
結城大樹(日本)
岩本健汰(日本)

<フライ級/5分2R>
高橋SUBMISSION雄己(日本)
山内渉(日本)

<インフィニティリーグ2022女子アトム級/5分2R>
中村未来(日本)
澤田千優(日本)

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Interview J-CAGE SARAMI Shooto2021#07 ブログ 黒部三奈

【Shooto2021#07】大好きなSARAMIと初防衛戦、黒部三奈─01─「試合中に心を折りたい」

【写真】昨年8月の王座奪取から1年3カ月振りの実戦で、初防衛戦となる黒部 (C)KEISUKE TAKAZAWA

6日(土)、東京都江東区のスタジオコーストで開催されるShooto2021#07で、SARAMIを挑戦者に迎えて世界女子スーパーアトム級王座の防衛戦を行う黒部三奈インタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

練習仲間でもあり、「大好き」と語るSARAMIが、自身への挑戦権を賭けて戦った試合を、黒部はどのように見ていたのか。そして勝ち上がってきた相手と、いかに戦うのか。黒部が語る、チャンピオンとしての決意とは――。

<黒部三奈インタビューPart.01はコチラから>


――対戦相手のSARAMIとは過去に2度対戦しています。初戦は2014年11月にRNCで一本勝ち、再戦は4年後の2018年に判定勝ちして、黒部選手がDEEPジュエルスのベルトを防衛しています。2戦2勝の相手と3度目の対戦を迎えるなか、どのようなモチベーションを持っているのでしょうか。

「相手に対するモチベーションは存在していますよ。モチベーションというか……楽しみですね。楽しみを作っています」

――楽しみ……とは?

「何でしょうね(笑)。そんなに意識することではないけど、試合のたびに自分で楽しみを見つけるようにしています。格闘技だけじゃなくて、何に対しても楽しみを見つけたがる性格かもしれないですね」

――ではSARAMI選手との3度目の対戦に向けての楽しみとは、何でしょうか。

「相手の心を折りたいです。SARAMIちゃんのことは大好きだけど、試合中に心を折りたいなって。今回は特にそう思っています」

――心を折ることが、楽しみなのですか。

「私は前澤智さんと3度試合して、2度勝ったあと3度目の試合で負けたじゃないですか」

――前澤選手とは初戦が2013年3月で、RNCで一本勝ち。再戦は2016年8月に判定勝ちで、2018年12月の3度目の対戦では判定を落とし、DEEPジュエルスのベルトを失っています。

「2回勝って、防衛戦で負けているんですよね。だから私もSARAMIちゃんに2度勝っていても、3度目も勝てるっていう保証はないわけで。自分自身への緊張感を持っておくことも大切だし、しっかり相手の心を折りにいかないと勝てないと思っています」

――SARAMI選手にとっては、3度目の正直か……。

「あるいは、2度あることは3度あるのか。どちらになるかは、自分次第ですからね」

――前澤選手との3度目の試合では、どこか自分の中で緊張感が足りないところもあったのでしょうか。

「今回も大丈夫だろう、とは思っていたかもしれないです。あの試合でベルトを防衛することの難しさを知りました。ベルトを守るって考えちゃダメなんですよ。チャンピオンであっても、ベルトは奪い取りに行くものだと考えて挑まないといけない。あの試合の映像を見返しても、私は守りに入っていましたね。前に行くことができていませんでした」

――前回のSARAMI選手の試合では、とんでもない殴り合いを展開していましたね。

「アハハハ、とんでもない殴り合い(笑)。あの時は……負けられるかよ、っていう気持ちで前に出ていきました。3度目の対戦であっても、自分がチャンピオンでも、そういう気持ちを持って試合に挑まないといけないんですね」

――そんな2戦目から3年半が経ちます。SARAMI選手は、どんなところが伸びてきていると思いますか。

「本当に、全部ですね。寝技もスキルアップしてきている感じです。以前は勢いの良さが目立っていたけど、勢いプラス細かい技術が出来てきているかなって」

――対して、黒部選手は……。

「私のほうは、だいぶ打撃のレベルが上がってきたかなって思います」

――黒部選手への挑戦権を獲得するための試合を、ご自身は練習仲間の試合として見ていたのですか。それとも次の対戦相手を極める試合として見ていましたか。

「両方ですね。SARAMIちゃんを応援する気持ちもあるけど、複雑な気持ちで試合を見ていました。でもSARAMIちゃんが勝った時、すぐに気持ちは切り替わっています」

――挑戦者決定戦が終わってから、SARAMI選手とは連絡を取っていないのですか。

「連絡は取っていないですね。最後の連絡は――練習会のグループLINEに、練習に参加しない旨のメッセージが来た時ですかね」

――なるほど。MMAって不思議なスポーツですね。一緒に練習している仲間でも、試合では思いっきり殴り合わないといけないし、殴り合うことができるという。球技や陸上競技など他のスポーツにはない部分かと思います。

「それが、やり合えちゃうんですよ(笑)。でもそれって、男の人のほうが気にするかもしれないですね」

――……どういうことでしょう?

「女は、あまり気にしていないかも。女のほうがサバサバしていますからね。だからSARAMIちゃんとの試合も楽しみですよ」

――なるほど。そういえばRIZINで浜崎選手と藤野選手が対戦した時も……。

「みんな、あんな感じですね(笑)。藤野さんも顔ボコボコになりながら、試合が終わったらお互いに笑って話すことができるので。できるかぎりの準備をしてきたので、自信はあります。あとはSARAMIちゃんに思い切りぶつけるだけですね、私のこの想いを――」

■視聴方法(予定)
11月6日(土)
午後1時00分~ ABEMA格闘チャンネル

■Shooto2021#07対戦カード
             
<修斗世界女子スーパーアトム級選手権試合/5分5R>
[王者] 黒部三奈(日本)
[挑戦者] SARAMI(日本)

<修斗暫定世界ストロー級王座決定戦/5分5R>
猿丸ジュンジ(日本)
黒澤亮平(日本)

<フェザー級/5分2R>
結城大樹(日本)
岩本健汰(日本)

<フライ級/5分2R>
高橋SUBMISSION雄己(日本)
山内渉(日本)

<インフィニティリーグ2022女子アトム級/5分2R>
中村未来(日本)
澤田千優(日本)

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ABEMA ARAMI MMA ONE RIZIN SARAMI Shooto Shooto2021#07 ブログ 黒部三奈

【Shooto2021#07】女子Sアトム級王者・黒部三奈─01─「私はSARAMIちゃんのことが大好きですから」

【写真】SARAMIが挑戦者に決まった時ですら、ケージ内で自撮りをする黒部。SARAMIの表情からも両者の関係が伺える (C)MMAPLANET

6日(土)、東京都江東区のスタジオコーストで行われるShooto2021#07で、世界女子スーパーアトム級王者の黒部三奈が、挑戦者SARAMIを迎え撃つ。
Text by Shojiro Kameike

黒部にとっては昨年8月に獲得したベルトの初防衛戦であり、SARAMIは今年7月に修斗初参戦ながら中村未来との挑戦者決定戦に勝利して、今回の対戦に至った。両者は過去2度対戦し、いずれも黒部が勝利を収めている。同時に、普段は練習を共にしている間柄だ。SARAMIが王座挑戦権を獲得した直後には、ケージインした黒部との仲睦まじいやり取りが展開されていた。

そんな2人の激突直前、王者の黒部に現在の心境を訊いた。


――今年7月に中村未来選手を下したSARAMI選手を挑戦者に迎え、修斗女子世界スーパーアトム級王座の防衛戦を行うことになりました。そのSARAMI選手は、普段は一緒に練習している仲間なのですね。

「はい。日曜日にマスタージャパンで、他のジムの女子選手が集まって一緒に練習しているんですよ。何年も前から一緒にやっています。いつも参加しているのは、メイさん(V.V.Mei)、藤野(恵実)さん、富松(恵美)さん、それとSARAMIちゃんですかね」

――SARAMI選手とは過去に2度対戦し、いずれも黒部選手が勝利しています。2度目の試合は2018年3月に行われていますが、その時点では一緒に練習していたのでしょうか。

「いえ、2018年はまだ練習していなかったです。その試合がキッカケで、一緒に練習することになったのかな……。もう何年も前のことなので、詳しくは覚えていないんですけど」

――SARAMI選手も含めて、いま名前が挙がったのは階級も近く、対戦する可能性もある選手ばかりですが……。

「仕方ないですね。各ジム、そんなに女子選手っていないじゃないですか。特にプロで上のほうにいる選手が集まっているジムはなくて。すると、そこまでガッツリ練習できる相手がいないんですよ。自分のジムでは男性とも練習しているけど、やっぱり実戦に近いレベルの練習は、女性が集まってやらないと分からないこともあるので。だから週に1回ぐらいは――という気持ちで集まって練習しています」

――なるほど。

「そもそも、みんな対戦することもあるかな、と思って練習しているところもありますよ。でも、しょうがないよねって」

――実際に、9月のRIZINでは練習仲間でもある浜崎朱加選手と藤野恵実選手が対戦しました。今後、対戦する可能性がある選手と全力で練習できるものなのですか。

「私は、できます。手の内を見せたくないとか言う人もいますけど、私はもともと強くなりたくて格闘技を始めているわけだし、そんなことは気にしていないですね」

――では、そのSARAMI選手の練習はいつまで行っていたのでしょうか。

「挑戦者決定戦まで、ですね。前回のSARAMIちゃんの試合が、挑戦者決定戦と発表されて……そうなるとSARAMIちゃんが勝ったら対戦する可能性があるわけじゃないですか。そうしたら彼女から『次の試合が終わるまでは練習してもらっていいですか?』って連絡が来て。私も『もちろん、お願いします』っていう感じでした」

――そうした仲が、SARAMI×中村未来戦直後のやり取りに繋がっているわけですね。ほんわかした会話といいますか……。

「アハハハ! 私はSARAMIちゃんのことが大好きですから。もちろんSARAMIちゃんのことを思いっきりぶっ倒そうと思っているけど、それは試合の時だけ。会見とかの場では、普段の会話になっちゃいますね(笑)」

――普段の練習でも、そのような感じで。

「そうですね……いや、もしかしたら対戦するかもっていう流れになってきた時は、練習の時もバチバチだったことはありました。そこまで熱くなることはないけど、スパーリングでラウンドの最後とか、相手が打ってきても引かないで打ち返すとか(笑)」

――アハハハ、練習だから仕方ないですよね。今はUFCを中心としてMMAの世界では、女子のレベルが急速に上がり続けています。そんななかで、日本のトップ選手が一緒に練習してレベルを上げていかなければいけないのも、当然かと思います。その点でいえば、海外の女子の試合については、どのように見ていますか。

「……海外の選手と、そんなに凄く差があるとは思っていないんですけどね。スタンプ選手と対戦してみたかったなぁ、とは思いますけど」

――ONE女子アトム級GPに対して、思うところはありますか。

「別にイベント自体に、特に思うところはないです。女子だけのトーナメントとか、こだわりもなくて。私としては、試合ができればいいかなって(笑)。できれば知らない相手と試合がしたい。そうなると海外の選手と対戦したい、っていう気持ちはありますけど」

――すると、今の黒部選手にとってMMAを戦ううえでの目標は何なのでしょうか。

「うーん……私は自分の年齢のことは気にしていないですよ。気にしていないです。気にしていないけど――この先に何があるかは分からないじゃないですか。

もっと自分が若ければ、ONEで試合ができたかもしれないし、次の試合に勝ったらもっと上に行きたいとか思っていかかもしれないです。でも今の私にとっては、次の試合を本当に思いっきりやる。それだけなんですよ。今この年齢で試合の舞台に立てていること自体が、凄いというか(笑)」

――黒部選手は現在44歳、確かに凄いことだと思います。

「だからこそ……毎回、最後の試合のつもりで準備しています。できるかぎりのことを、本当に毎日やる。もしかして、明日はないかもしれないから。でも不思議だけど、今すごく元気なんですよ。本当に――若返っているなっていうぐらい(笑)」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
11月6日(土)
午後1時00分~ ABEMA格闘チャンネル

■ Shooto2021#07対戦カード
             
<修斗世界女子スーパーアトム級選手権試合/5分5R>
[王者] 黒部三奈(日本)
[挑戦者] SARAMI(日本)

<修斗暫定世界ストロー級王座決定戦/5分5R>
猿丸ジュンジ(日本)
黒澤亮平(日本)

<フェザー級/5分2R>
結城大樹(日本)
岩本健汰(日本)

<フライ級/5分2R>
高橋SUBMISSION雄己(日本)
山内渉(日本)

<インフィニティリーグ2022女子アトム級/5分2R>
中村未来(日本)
澤田千優(日本)

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ABEMA MMA ONE SASUKE Shooto Shooto2021#07 VTJ VTJ2021   エンセン井上 中村倫也 佐藤ルミナ 修斗 原口央 坂本一弘 堀口恭司 宇野薫 海外 石原夜叉坊 西川大和

【VTJ2021&Shooto2021#07】坂本一弘代表に訊く、VTJ─02─「VTJはずっと続けるモノではない」

【写真】今や伝説、Vale Tudo Japan99のTeam Japan登場シーン(C)SUSUMU NAGAO

11月6日(土)に東京都江東区のUSENスタジオコーストでVTJ2021とShooto2021#07を主催するSustainの坂本一弘氏インタビューPart.02。

歴史の節目に修斗に表れる裏歴史=VTJを1997年から指揮し、その前年の10月よりワールド修斗~サステインを母体に修斗公式戦を開いてきた坂本氏にVale Tudoとのパーセプションから、日本最弱を経て修斗のレコンキスタ、そして世界と遭遇する大航時代の象徴となったVTJを振り返ってもらい、11月のVTJ2021が果たす役割について話してもらった。

<坂本一弘インタビューPart.01はコチラから>


──カーロス・ニュートン!!  今も中村倫也選手と親交があるそうですよね。

「カーロスは倫也のお父さんの晃三社長にお世話になっていましたからね。あの時、カーロスは初来日で修斗ライトヘビー級王者だったエリック・パーソンに腕十字で一本勝ちしたんですよね。トム・エリクソンもフリーウェイトでエド・デ・クライフに勝っていますね」

──日本勢ではプロデビュー2年目で桜井マッハ速人選手も出場している。凄い面子ですね。

「凄いですねぇ、そう考えたら。今、誰に通じるんかいって話ですけど(笑)、エェ選手が集まっていますよね。まぁ、この年はやっぱりルミナがジョン・ルイスにリベンジを果たしたってことですかね。試合結果でいえば、ドローから一本勝ちなので決着をつけたということになるのですが、97年の公式戦からVJTと結果を残せたのも、ルミナだけは96年に仕留められずに引き分けたから。そういう違いは大きかったんだと思います。

そうですね……94年、95年から96年の日本最弱と呼ばれた大会を経て、VTJもグレイシー柔術への挑戦から、97年と次の年の98年では対世界という部分が色濃くなりましたね」

──なんといっても1998年は……。

(C)SUSUMU NAGAO

「エンセン井上✖ランディ・クートゥアーですね。

90年代のVTJと、その後のVTJ──性格も時代背景も違いますが、ベストバウトという見方をすると1位も2位もなくエンセン井上✖ランディ・クートゥアー、それと堀口恭司✖石渡伸太郎──この2試合しか出てこないです。3位以下はもう皆頑張った、エェ試合で選べない。でも、この2試合は別格。デカいです」

──とはいえ90年代VTJの集大成、1999年のVTJはイベント自体として印象に強く残っているモノではないでしょうか。

「あの年は原点回帰というか、世界を知った修斗が打倒バーリトゥードの母国に挑む。そういうコンセプトでしたね。試合前のセレモニーのチームJAPANの入場シーンは、未だに『格好良かった』と言われますね」

3分間流れたブラジル国歌、この日の第1試合で佐藤ルミナと戦ったのは、今やKINGS MMAの総帥ハファエル・コルデイロだ

──あれは語り継がれるべき、登場シーンだったと思います。

「そしてブラジル国歌がフルバージョンで流れ、ブラジル勢をブックしてくれたエリオ・グレイシーの愛弟子ジョアン・アルベルト・バヘットさんの挨拶が延々と終わらない。それに友情の印で木刀のプレゼントですよ(笑)」

──色々な意味で伝説です。

「1999年のVTJはVale Tudoからの卒業、集大成であるのと当時に僕らがやることも修斗に舵取りをするという時期にきていたんだと思います。VTJはずっと続けるモノではない。だから10年後に再開したり、今回も5年2カ月振りになりますしね。99年のVTJを終えて、修斗という競技をしっかりと確立していく……あの前後で米国、豪州、欧州、ブラジルでアマ修斗があり、プロ公式戦が開かれるようになった。VTJというモノがあり続けると、そういう活動に支障が出ていたかもしれないです。

それは言い方を変えると、それだけのテンションを持って続けられなかったということにもなります。99年のVTJは、やはりイベント全体として最高でした」

──修斗、MMAが確立する以前の決闘の雰囲気が残っていた大会です。

「2000年からNKホール大会が公式戦に変り、あの時代における一つの役割を終えたということですよね」

──それから22年を経て、世界、世界、海外、海外と口にはできますが、全くもって国内の情勢は厳しくなっています。

「あの頃とMMAが行われている国の数が全く違います。選手も世界中で生まれ、育っている。とはいえ日本のレベルも上がっています。絶対論でいえば日本も世界も上がっている。そして後発でMMAが始まった国の選手たちの力の伸び様や、MMAの市場規模の成長という部分で日本と海外を相対的に比較すれば、海外の方が力をつけているということで。

やはり次のステップ、ネクストステージに進むときに、何か楔となるモノが必要です。平良(達郎)、SASUKEも西川大和もそうです。次のステップに行くまでに経験しておくべきことってあると思うんです。それが修斗でできることもあれば、VJTでなければできないこともあります。そういうことを踏まえた上で、結論として『やっていた方が良くない?』という試合、場を提供したいということです。先輩風を吹かせると、ですね(笑)。

もっと華やかな世界はあります。海外で戦うという場合にしても、これはやっていた方が良い、コイツは越えておいた方がエェというのは常にありますよ」

──とはいえ現状、コロナ禍において外国人の招聘が難しく、スポーツ庁などに働きかけてもそれこそ90年代のVTJのような海外勢が半分出てくるというイベントは開けないです。今後ということも含め、どのような国から海外勢を招聘したいと考えていますか。

「まずお隣の韓国は外せないです。強い選手が多いのは当然ですし、地理的にも招聘しやすい。ただ、ワクチン接種が選手の世代にはなかなか回ってこないという事情があるようで。今回のVTJに関しては、韓国勢の招聘は見送ることにしました。そうなってくると北米になりますね。ワクチン接種が進んでいますし」

──対して日本勢というのは?

「僕が出てほしいのは平良、西川、SASUKE。彼らにはやはり出てほしいと思っています。『お前らが何か変えろよ』と、彼らには変える力がありますからね。そういう選手に海外から選手を招聘できるようなら、外国勢を当てたいですね。もしくは海外を経験してきた選手を。そういう選手と戦うというのも、現状のVJTの一つの要素ですね」

──ただし現在の修斗で海外を知る選手というのは、思い当たるのは宇野選手を筆頭にして、夜叉坊選手ですか。それとONEと契約している選手ですかね。

「ONEと契約している選手は、ONEとまず話をしてクリアーにならないといけないですが、そのパターンも視野にはいれています。あと石原夜叉坊はVTJ前に米国で試合があるようで(※10月17日にFury FCに出場しドローだった)。『決めてまいましたわぇ。このままじゃ、帰られまへんねん』ということでしたね」

──『帰られまへん』とは言わないでしょう(笑)。

「アハハハ。まぁ、夜叉坊も意地があるでしょうしね。そういうことで夜叉坊の出場はないですが、宇野薫(インタビュー後に原口央との対戦が決定)以外にも、ここはVTJですし修斗に出場経験のない選手の試合というのも考えています」

──VTJと修斗の昼夜興行というのも興味深いです。

「以前は一つのイベントで公式戦とVTJルールの試合を前後にわけて組んだことがありますが、イベントを並べるのは初めてですね」

<この項、続く>

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【VTJ2021&Shooto2021#07】坂本一弘代表に訊く、VTJ─01─「日本最弱……、胸を張って良い敗北」

【写真】25年前の格闘技通信──VJT96増刊号を手に、坂本一弘代表。思えば、当時は格闘技雑誌もガチだった。このタイトルで販売数が伸びることは考えづらい、皆が真っすぐだった時代の象徴だ(C)MMAPLANET

11月6日(土)に東京都江東区のUSENスタジオコーストでサステイン主催VTJ2021とプロ修斗公式戦=Shooto2021#07が昼夜2部制で開催される。

UFCとグレイシー柔術の出現以前、修斗にはパウンドがなく、パウンドを実践するためのポジショニングの概念が存在しない総合格闘技だった。

同様に1993年に第1回大会が開催されたUFCのように、多分に危険性をアピールするようなイベントの概念も、異種格闘技という要素も存在していなかった。UFCとグレイシー柔術との出会いは、修斗にパウンドとポジショニングをもたらしただけでなく、世界には同じような総合的な格闘技が行われているという事実との邂逅でもあった。

それは日本より強い海外勢がいる──という事実を受け入れることに通じていた。

当時はVale Tudo(※ポルトガル語で何でもあり)、NHB(No Holds Barred ※英語でやってはいけないことはない=制限なし、無条件)と呼ばれたMMAを競技として整理し、スポーツ化を推し進めた90年代後半の修斗。

修斗として競技を確立する一方で、グレイシー柔術とVale Tudoに真っ向から向かい合い、世界と戦うブランドとしてVale Tudo Japanが立ちあげられた。グレイシーのイントロダクションのようだった1994年と1995年のVJTを経て、1996年のVTJは公式戦でパウンド解禁後の修斗の精鋭たちによる世界への挑戦という舞台に昇華していた。

しかし、勝利は女子プロレスラーの堀田祐美子が挙げた1勝のみ。男子選手はルール上、時間切れはドローということでジョン・ルイスに病院遅れにされた佐藤ルミナ以外、朝日昇、エンセン井上、菊田早苗、葉山“湘南”智昭の全員が敗れた。

結果、格闘技通信の増刊号の表紙には『日本最弱』というショッキングな文字が躍った。思えばVJT96より修斗は本格的に世界と向き合うこととなり、公式戦で本格的に海外勢を招聘、世界にネットワークを広める期間となった。そして──1999年度大会でVale Tudo王国ブラジルとの対抗戦で勝ち越した。

公式戦で総合格闘技の内需拡大と富国強兵に努め、年に1度世界に挑戦する舞台がVJTだった。坂本一弘サステイン代表によると、この両者はレコードでいえばA面とB面──表裏一体であったという。そのVTJが5年2カ月振りに公式戦とダブルヘッダーで行われる。

再び、海外と明確な距離が存在するようになった、2021年のJ-MMA。1996年から1999年の4度のVTJ開催と、その間の修斗の状況を鑑みながら、『今、なぜVTJなのか』。そして『2021年の修斗』について黒豹の話を訊いた。


──坂本さん、なぜ、このタイミングでVTJなのでしょうか。

「なぜ、このタイミングなのか……。そういう風に考えると、これまでVTJが行われて来た時は、常に何かを欲している時だったと思います。言い換えると何かを求められている時で。この1年半、コロナ禍において繰り返される緊急事態宣言の下、無観客試合、制限のある有観客大会と、修斗でも色々な試みが行われてきました。

そのなかで海外の選手を、もうそろそろ招聘したい。それが可能になるのか、無理なのか。この間にハッキリすることです。ただし、ハッキリするまで指を咥えて待っていることはできない。もちろん、外国人選手を招聘できるよう働きかけます。同時に、それがやはり無理であった時も海外との対戦というキーワードを用いた大会を開きたい。

それは修斗公式戦ではなく、VTJだと。今はもうA面、B面とは言わないんでしょうけど(笑)、もうCDもない時代ですからね。でも公式戦とVTJは修斗にあって表裏一体、海外という存在を追求するために裏面を使ってみようかと思ったんです」

──それが今だったと。

「もうそこは直感ですよね」

──チャンピオンになった選手が、あれだけ海外と口にする。そこは関係していますか。

「それはあります。僕自身、選手上がりですし。『コイツとやりたい』という気持ちを持つことは十分に理解しています。逆にそこがない選手の方が、どうなんやろうってなりますよね。そこをやるのが、VTJを開催する真意ですよね。

公式戦が修斗内という表現を使うと、それも絶対的なことではないですけど、どこの団体、どの大会にも優秀な選手、強い選手はいます。そういう選手たちと修斗の選手が戦うとどうなるのか。それはファンの皆さんも興味を持ってくれるだろうし、僕自身も興味を持っています。

現状、なかなか選手たちも海外で試合をすることはできないです。これが参加費を払って出場するアマチュア大会ならまだ、そういうチャンスもあるかもしれないですが。プロとして呼ばれて、試合に出る。それが可能なのはUFCとONE、Bellatorなど一部の舞台で。日本人選手にとってハードルが高いなら、僕らが何とかせなアカンと」

──親心でもあるわけですね。

「親心……う~ん、そうしないといけない。そうするための努力をすることが、自分の役割だと思います。ABEMAや長南(亮)君とRoad to ONEを開いた。トライ……トライするということですよね。次が海外の選手招聘なら須藤元気参議院議員を訪ね、スポーツ庁を紹介頂き、隔離措置の緩和にはオリンピックのような公益性が必要なのでレスリング協会へもお願いに上がっています。

先ほども言ったように指を咥えて状況が変化することを持つのではなく、何かトライすることが大切なんです。そこを乗り越えてこそ、『やった』ことになるので。何がベストか分からないですけど、ベストを尽くすことは絶対です。

それって練習も試合も同じですよね。ベストを尽くそうとする……ベストを尽くす、ことを全うする。別に完璧じゃなくても、そこはやらないといけないです」

──だからこそ、あえてB面を持ちこむ。思えば2021年は日本最弱から25年になります。

「1996年のVTJは、僕は修斗から離れている時期で外から眺めていました。ただ言えることは、結果は結果なんです。これは変えることはできない。でも、その結果からあとを変えていかないといけない。技術的にもそうだし、意識的にもそう。UFCまで修斗にパウンドはなかったです。

ただし、佐山(聡)先生はブラジルにバーリトゥードがあり、寝技で打撃が許されている試合があることは知っていました。知っていたけど、佐山先生はレスリング、ボクシング、キックボクシングと先生の知っている寝技を合わせて総合格闘技を創っていました。そこにはパウンドという要素はなかったんです。

それでも佐山先生はボディへのパウンドを導入したり、試行錯誤はしていました。結果、ボディへのパウンドも必要ないという結論を出されていましたけど。

総合格闘技の確立ではなくて、果たし合いとして何でも有りという概念を持つグレイシー。その文化の違いを明確に感じていて、それでも取り入れようと決めた時に、先生はいきなり取り入れるのではなくて……皆がパウンドがあるかどうかということばかりに頭が云っている時に、まずガードポジションにポイントを与えるというルールを導入しているんですよね」

──ハイ。田中健一選手に九平選手がテイクダウンを取られる。でも、その度に九平選手に加点される。当時、「何だ、これは!」と思って見ていました。

「殴られないための技術をまずは覚える。次のステップのため、先生は批判を浴びても粛々と続けていました。あとから振り返ると意味がある、皆が分かることを。本当に先見の明があるというか。

先生の指導は本当に細かかったです。なぜか、『お前らを強くしたいのが50パーセント。残りの50パーセントは、お前らに良い指導者になってほしい』と言われていて。『そうしないと、この競技は広まらないからね』と……」

──何とも、凄い人です。そうやって公式戦でパウンドを解禁し、海外勢との試合も増えた。結果、1996年の惨敗。直後に坂本さんが修斗に戻ってきてワールド修斗、サステインと1997年から1999年までVJTを開催し、公式戦も米国、ブラジル、欧州、豪州と海外勢を発掘&招聘するようになっていました。

(C)SUSUMU NAGAO

「グレイシーから始まり、世界中でMMAが行われるようになり、エェ目標というか対抗意識はやはりありましたよ。

当時、可能な限り強い選手を呼んできたというのは思っています。だから負けている。弱いヤツを呼んでいたら、勝てますからね。それは1996年のVTJも同じかと。

(C)SUSUMU NAGAO

あの時は日本最弱って肩を落としていたけど……日本最弱、やっぱり負けても胸の張れる大会やったはずです。

エンセンが(イゴール)ジノビエフにパウンドアウトされ、朝日さんがホイラーに絞め落とされ、ルミナは顔面がボコボコになり眼窩底骨折し入院しました。それは強い選手と戦ったからで。胸を張って良い、敗北やったんです」

──続く公式戦から、坂本さんがタクトを振るい修斗の興行を仕切ることになりました。そして、年間のスケジュールをVTJに向けて強化大会を組むようになっていきました。

「まず僕が受け持つようになった公式戦で、エンセンがVJTで菊田早苗選手に勝ったムスタファ・アブドゥーラに勝ちました。年が明けて97年の1月には、ルミナがヒカルド・ボテーリョに足関節で勝った。公式戦で結果を残し、VTJに向かっていった。選手はひとつずつ与えられた相手を潰して、VTJの舞台に上がっていたんですよね。

そしてVTJ97でルミナがジョン・ルイスにリベンジし、エンセンはフランク・シャムロックに負けました。でも1998年にランディー・クートゥアーに腕十字を極めて勝ちましたからね」

──いやぁ、今更ながら世界のトップとタメを張っていたことが思い出されますね。

「1997年のVTJは中尾受太郎がUSWFのスティーブ・ネルソンに勝ち……スティーブも修斗に対応できる選手を探しに、アマリロまで行って。

あの時、ゲストとしてリングで紹介されると、テキサスのファンからずっとブーイングをされて──『何やね、これは!』って思いましたよ(笑)。メインでスティーブが勝った時に手を挙げると、その時にだけようやくブーイングが収まって(笑)。

USWFで発掘したポール・ジョーンズとか招聘して、VTJに大将のスティーブとフランク・トリッグを呼びましたね。あとはジョン・ルイスから繋がりができたノヴァウニオンからジョン・ホーキが来て、巽宇宙と戦いました」

──ルイス・ペデネイラス柔術ですね!!

「そこからデデ(アンドレ・ペデネイラス)と縁ができて、彼が修斗ブラジルの大会を開くようになる。今からすると、色々なことの潮流があって原点になっていますね。カーロス・ニュートンが出たのも、この1997年だったはずです」

<この項、続く>

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ABEMA ARAMI J-CAGE News Shooto2021#07 ブログ 山内渉 岩本健汰 結城大樹 高橋サブミッション雄己

【Shooto2021#07】結城大樹✖岩本健汰、高橋サブミッション✖山内渉。ダイバーシティ「打・投・極」!!

【写真】組みの粘り強さが身上の結城だが、岩本に組ませてはいけない。そして岩本は組めない時を乗り越える必要がある(C)MMAPLANET

8日(金)、Sustainより11月6日(土)に東京都江東区のUSENスタジオコーストでVTJ2021と昼夜興行で開催されるShooto2021#07の追加カードが発表された。

修斗世界女子スーパーアトム級選手権試合=王者・黒部三奈✖挑戦者SARAMI、修斗暫定世界ストロー級王座決定戦=猿丸ジュンジ✖黒沢亮平という2つのタイトル戦が明らかとなっている今大会、追加カードは2回戦2試合だ。


一つはフェザー級2回戦、9月大会でMMAデビューを果たしたばかりの岩本健汰が、同級世界9位の結城大樹と対戦する。グラップリングの世界最高峰を目指すなかで、テイクダウン&スクランブルを身につけるために青木真也に合流した岩本は、いつしかトレーニングパートナーがMMAファイターばかりに。

結果、ADCCという目標を据え置きMMA挑戦を始めた。デビュー戦では椿飛鳥をRNCで落とし、やるべきことを全うし勝利を手にしている。対して、結城はプロ修斗4勝1敗4分、新旧グラジやパンクラス、DEEPでの戦績を合わせると9勝4敗4分というキャリアを誇っている。

結城の師・弘中邦佳のMMA道は、柔術の基礎をしっかりと身につけること。その上でMMAを戦うというスタイルが浸透し、結城は過去10試合で6勝1敗3分と結果を残している。

勝利は判定かバックチョークと弘中イズムを体現しており、その心情は組みで粘りを見せる──ことだ。とはいえ、岩本戦では組技に持ち込まれると力の差は明白だ。組みを習得したMMAファイターとして、結城が組ませない打撃をどれだけ岩本に入れることができるか──そこがまず見もののファイトとなる。

今回明らかとなった、もう一つの2回戦は高橋SUBMISSION雄己✖山内渉のフライ級マッチ。高橋もそのリングネームに表れているように──自らをグラップラーと分類し、MMAを戦う組技師だ。

とはいえ岩本がMMAを戦ううえでトップ重視のMMAグラップリングを実践するのに対し、高橋は迷わず下を選択するなどピュア・グラップリングの技術で修斗を戦う。

現代MMAで下になれば、上から殴られる。判定基準もトップ重視だ。その実──外掛け外ヒールでない限り、日本のMMAファイターの多くはダハナー以降の足関節のエントリーに瞬時に反応し、殴ることはそれほどできていない。

MMAはパンチ、蹴り、ヒザ、エルボー、レスリング、クリンチ、スクランブル、ホールディング、トランジッション、多岐にわたるサブミッション等々、修得すべき技術があり過ぎる。

そして現状でいえば打撃とレスリング、そして寝技という修得順序があり、その寝技での極めはスクランブルでのギロチン、失敗して不利にならないためにポジションを制してのRNCが主流であることも否定できない。

と同時に打と倒、そしてポジションと極めという4つのエレメントを接続させるのではなく、融合させるのが次世代フーリーラウンディットMMAファイターだ。

今回、高橋と対戦する山内は『格闘DREMAERS』出身、EXFIGHTでなくFIGHT FARM所属を選んだファイターで、上に挙げた要素の一つ、一つに大砲を抱えているわけではなく、合間を埋める動きで、ペースを握るウェルラウンダ―だ。

グラップリング・スタイリストの高橋に対し、4要素の繋ぎのスムーズさが最大の特徴の山内にとって、足関節のエントリーという局面がエアポケットにならないか。

現代MMAではフットロッカーが少ないばかりか、ガードファイターがそもそも少ない。自ら下になり足関節を狙うという選手が少ない分、その対処も未成熟ともいえる。高橋の足関節エントリーを埋める動きを山内はデキるのか。そこが可能であれば、回転が武器の山内が遮断MMAで勝機を掴める。

結城✖岩本、高橋✖山内という2つの2回戦は修斗、そしてMMAの多様性が凝縮されたマッチアップといえる。

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ABEMA ARAMI DEEP MMA ONE SARAMI Shooto2021#07 VTJ2021 修斗 澤田龍人 猿丸ジュンジ 黒澤亮平 黒部三奈

【Shooto2021#07】VTJ前の修斗で2つの世界戦。黒部三奈✖SARAMI、猿丸ジュンジ✖黒澤亮平

【写真】いつだって負けられないが、特に負けられない相手でもあるはず (C)MMAPLANET

9月29日(水)、Sasutainより11月6日(土)に東京都江東区のUSENスタジオコーストでVTJ2021と昼夜興行で開催されるShooto2021#07の対戦カードが発表されている。

世界戦やトップランカーのサバイバルマッチが組まれると開催発表時のプレスリリースに記載されていたように、今回は2つの選手権試合が組まれることが明らかとなった。


そのうちの1試合は7月に挑戦者決定戦が組まれ、早々に決定していた王者・黒部三奈✖挑戦者SARAMIの修斗世界女子スーパーアトム級選手権試合だ。

この両者、DEEP JEWELS時代に2度対戦経験がある。最初は2014年11月と7年前に拳を交え、黒部がRNCで一本勝ちを収め、2018年3月の2戦目も黒部が判定勝ちで当時保持していたDEEP JEWELSアトム級の王座防衛を果たした。

両者揃ってDEEP JEWELSでは対戦相手が一周以上したと理由で新天地を目指したわけだが、SARAMIはコロナ禍で主戦場としていたONE Warrior Seriesが活動ストップしており、黒部に続き修斗に合流となった。

結果、まだまだ層の薄い修斗女子戦にあって、必然というべき両者がタイトル戦が組まれることに。JEWELSから離れた際に望み描いていた未来とは違うかもしれないが、こうなると黒部としては過去2戦以上力の差を見せ、SARAMIとしてはどのような形でも勝利を得ることで、自己肯定するしかない。この2人だからこそ、魅せられることができる女子MMAが存在するはずだ。

今回発表されたもう一つのタイトル戦は暫定ストロー級王座決定戦=猿丸ジュンジと黒沢亮平だ。

この2人も6年前の2015年2月──黒澤が飛鳥拳のリングネームだった時代──に対戦経験があり、猿丸がTKO勝ちを収めている。その後、黒澤は澤田龍人との王座決定戦に勝利し、ストロー級の頂点になっている。

そのベルトを返上し、本名で戦うようになり王座返り咲きを目指す黒澤に対して、猿丸は4度の世界王座挑戦と、挑戦者決定戦と通算5度に渡りベルトに手が届かなかった過去がある。

猿丸はタイトル戦での勝利、黒澤はリベンジと過去との清算でもある暫定王座決定戦だ。

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ABEMA BELLATOR MMA ONE ONE Championship SASUKE Shooto2021#07 UFC VTJ2021 修斗 岡見勇信 岩﨑大河 平良達郎 海外 西川大和

【VTJ2021&Shooto2021#07】世界を目指す者と知る者。VTJ5年振り開催&修斗公式戦と昼夜興行

【写真】5年振りのVJT開催。修斗公式戦と同日開催。2つの世界観がぶつかり合う?! (C)SUSUMU NAGAO/SUSTAIN

25日(金)、ABEMAのONE Championship中継内で、11月6日(土)に東京都江東区のUSENスタジオコーストでサステイン主催VTJ2021が開催されることが発表され、同時にサステインからVTJ2021とプロ修斗2021#07が昼夜2部制で開かれるというリリースがあった。

コロナ禍で無観客や二部構成など、従来のイベント形式とは違う興行をサステインも1年5カ月に渡り主催してきた。そんななか日本人対決が続き、修斗の世界チャンピオンは「海外挑戦」と例外なく口にしている。

とはいえ現状でいえばONE以外で渡航して海外で戦うケースは、UFCとBellatorと契約のあるファイター、もしくは現地在住の日本人選手に限られている。また今も来日外国人には隔離措置が取られるなか、修斗の興行においても海外勢の招聘も2019年1月の公式戦以来見られていない。


この閉塞感を打ち破るということではないだろうが、裏表でいえばプロ修斗公式戦のB面といえるVJTが2016年9月以来、5年2カ月振りに行われる。

ABAMAでの発表以前に22日発売のゴング格闘技でサステインの坂本一弘代表をインタビューした際には「外国人選手の招聘に向け、格闘技振興議員連盟に協力を仰いでいる」、「外国人選手、あるいは世界を知る選手に若い力がぶつかる」という話も聞かれた。

海外を目指すと口にした世界チャンピオンは今年になって3人、フライ級チャンピオンの平良達郎、フェザー級王者SASUKEとライト級チャンプ西川大和が存在する。そして、世界を知る先人とは誰になるのか。

ABEMAで流されたVTRでは、『世界を目指す者』として、SASUKE、平良達郎と西川大和以外に岩﨑大河の映像が使われ、『世界を知る者』として岡見勇信、高橋遼伍、佐藤将光、宇野薫が登場している──が、正式決定ではなく「お前ら、やれんるんか?」という段階のようだ。

1994年の第1回に代表されるように修斗と世界のMMA界の情勢がクロスし、何かを生むという節目に開催されてきた。

またリリースによると、修斗公式戦には世界戦やトップランカーのサバイバルマッチが組まれるとのこと。A面=ランキングが軸となる修斗公式戦と、B面=その世界観から飛び出すVTJの同日開催はマキシシングルな1日となるはず。出場選手及び対戦カードの発表が待たれる。

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