【写真】ケージの中の躍動感、無慈悲なパウンドとは対照的に普段はホンワカな感じの原口伸(C)MMAPLANET
12日(日)、東京都江東区のTFTホールで開催されるGRACHAN59×BRAVE FIGHT27で、小谷直之を相手にGrachanライト級王座の初防衛戦を行う原口伸のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike
フレームの問題でフェザー級転向を考える原口にとって、ライト級での試合は今回が最後になるだろう。もちろん契約の問題はあるかもしれないが、それでもプロモーターとの話し合いで今回からフェザー級で戦うことも可能だったはず。しかし原口は、国内ライト級の中でも大きな小谷と対戦する。その先に見据えるのは――UFCに出ることではない。オクタゴンで勝利を手にすることだ。
<原口伸インタビューPart.01はコチラから>
――今後はフェザー級で戦っていくと考えた時に、小谷選手はライト級の中でもフレームが違いすぎませんか。
「はい、メチャクチャ大きいです(苦笑)。僕としてもフレームの違いがネックになるとは思いますが、オファーがあった時点で覚悟は決まっています。もともとグアムの試合の前からオファーは頂いていて。その時は僕も通常体重が落ちていたので、『試合が終わってから身体をつくり直してから防衛戦をやりたい』と返答していました」
――小谷戦を4日後に控えた今、ライト級用の身体に戻ってきているのでしょうか。
「なんとか……。それでもまだ小谷選手とはフレームが違うでしょうけど、計量の時点では同じ70.3キロになるので、あまり深く考えないようにしようと思っています」
――小谷選手とはフレームだけでなく、キャリアの違いもありますね。原口選手にとっては過去最大のキャリアを持つ相手となります。
「PRIDEやUFCにも出たことのある相手ですからね。オファーを頂く前は名前を知っているぐらいでしたが、対戦が決まってからは試合映像をしっかり見ました。見たら『おぉ~っ!!』と思って」
――「おぉ~っ!!」とは(笑)。
「寝技が強くて、一発で試合展開をひっくり返すことができる選手だと思います。どれだけ僕が優勢に進めていても、どこかで取られたら一発で終わる。緊張感のある相手ですよね。ケージレスリングも強いじゃないですか。ケージ際での小外掛けも上手いので、そういったケージでの攻防も頭には入れています」
――特に四つで組んだ時は強いですよね。それでも――フレームの大きさに関わらず、組みでは負けない自信がありますか。
「そうですね。僕はレスリング時代から、力×力で勝負するタイプではないんですよ。相手が力で来たら、こちらはスピードで勝負するような。グラチャンのベルトを獲った植田戦でも、相手が組んできたところを切り返す場面もありました。むやみに力で勝負することはなく、そういった攻防も全て含めて、組みでは負けないと思っています」
――では他の要素についてもお聞きします。小谷選手の打撃については、どのように見ていますか。
「左ストレートは強いですよね。形が良いわけではないと思いますが、実際当たるし、当たったら危ないです。僕も小谷選手もサウスポースタンスなので、左をもらわないように動きたいです。自分もまだ打撃については未完成なので、荒々しい打ち合いになるのかなと思っています。そのなかでも自分はキム・サンウォン戦のように、スピードを生かしながらコンパクトに打っていきたいです」
――なるほど。先ほども少し触れられていましたが、サブミッションを比べるといかがですか。
「まず相手に取らせないことが一番です。一度掴まれたら、こちらが技術で対抗しようとしてもガッと持っていかれる力があると思うので」
――対して、ご自身のグラウンド技術は?
「今回はグラップリングに重点を置いて練習してきました。僕にとってグラウンドでの武器は、パウンドです。さらにパウンドを打ちながら、その流れでサブミッションを極められるような練習を積んでいます。最初から極めることを狙うよりも、一つひとつを積み重ねていって、その先にフィニッシュがあると思っています」
――ということは、やはり試合は削り合いが多くなりそうですか。
「そう思います。小谷選手を相手に、シンプルなグラップリングで一本を取れるような技量は、今の僕にはないかもしれないです」
――正直な意見ですね。原口選手に限らず国内で、シンプルなグラップリングで小谷選手を極められる選手も少ないとは思いますが……。
「アハハハ、それぐらい強い相手だと思います。でもライト級でフレームの大きい小谷選手に勝てなければ、フェザー級に落としても海外では勝てないですよね。僕が目指しているのはUFCです。UFCだけでなく海外の試合を見ていると、ここで負けているようでは中央アジア勢には勝てないと考えています」
――一方で、キム・サンウォン戦を削り合いで制しただけに、原口選手と中央アジア勢の試合もぜひ見てみたいです。
「ありがとうございます。先日のUFC(UFN218)を見ても、『日本人はUFCで勝てない』というのは先入観に過ぎなかったんだなと思いました。どの競技でもそうですけど日本人選手が勝つと、その勢いに続くことってあるじゃないですか。今はMMAでも、その現象が起きつつあるというか――少なくとも、僕の中の先入観がなくなった大会でした。『自分もUFCで戦える』そう思わせてくれました」
――小谷選手との防衛戦を控えた今の時点で、先のことを言うと鬼が笑うかもしれませんが、あとどれくらいでオクタゴンに到達したいと考えていますか。
「宮田先生からは『MMAが分かるようになるには3年かかる』と言われています。僕はMMAを始めて2年経っていないので、まだ分からずに考え込んでしまう部分もあります。だから今年が勝負の1年になると思います。もし今年もRoad to UFCアジアが開催されるなら、ぜひ出たいですね。
UFCに出るためには、小谷選手は絶対に超えないといけない壁です。結果はもちろん、試合内容も問われると思います。試合当日は準備してきたものを、出し惜しみせず全部出して、しっかり勝ちます」
■視聴方法(予定)
2月12日(日)
午後1時30分~ GRACHAN放送局
■ GRACHAN59×BRAVE FIGHT27対戦カード
<Grachanライト級選手権試合/5分3R>
[王者]原口伸(日本)
[挑戦者]小谷直之(日本)
<ウェルター級/5分2R>
山田哲也(日本)
ブレンゾリグ・バットムンク(モンゴル)
<フェザー級T準決勝/5分2R>
高橋孝徳(コンゴ)
崎山勲(日本)
<ライト級/5分2R>
藤村健悟(日本)
松田マン(日本)
<バンタム級/5分2R>
高須将大(日本)
ガルちゃん(日本)
<無差別級/5分2R>
ダンカン(日本)
鈴木マシマシ(韓国)
<フライ級次期挑戦者決定T1回戦/5分2R>
御代川敏志(日本)
薩摩竜仁(日本)
<フライ級次期挑戦者決定T1回戦/5分2R>
原拓郎(日本)
天野哲宏(日本)
<フライ級次期挑戦者決定T1回戦/5分2R>
宮内拓海(日本)
新垣健司(日本)
<フライ級次期挑戦者決定T1回戦/5分2R>
児玉勇也(日本)
田中智也(日本)
<フェザー級/5分2R>
阿仁鬼(日本)
櫻庭泰裕(日本)
<バンタム級/5分2R>
髙橋謙斗(日本)
松本大輔(日本)
<74キロ契約/5分2R>
神谷大地(日本)
今市凌太(日本)
<ライト級/5分2R>
望月貴史(日本)
古谷宗太郎(日本)
<フライ級/5分2R>
山﨑聖哉(日本)
二之宮徳昭(日本)
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