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【Grachan61】高橋孝徳とフェザー級王座決定T決勝、小島勝志─01─「いわゆるギャングをやっていました」

【写真】ギャングをやっていました──と、サラっといえるのが何となく凄い (C)SHOJIRO KAMEIKE

14日(日)、東京都の大田区産業プラザPIOで開催されるGrachan61にて、小島勝志×高橋孝徳によるフェザー級王座決定トーナメント決勝戦が行われる。
Text by Shojiro Kameike

山本琢也が返上したフェザー級王座を賭けて、昨年8月よりスタートしたトーナメント。小島は1回戦で和田健太郎を、準決勝で鍵山雄介をそれぞれKOで下して決勝に進んだ。地下格闘技からプロMAファイターへ――山梨県在住のプロファイターとしてのキャリアについて訊くと、スタートは和術慧舟會のバックテイク& RNCだった。


――今回が初インタビューとなります。まずキャリアについてお聞きしたいのですが、MMAだけでなく格闘技を始めたのは、いつ頃なのでしょうか。

「23歳ですね」

――他の競技を経験したのちに23歳ごろからMMAを始める選手もいるかとは思いますが、かなり遅いスタートではないですか。

「アハハハ。特に昔から格闘技が好きだったわけでもなくて。成り行きというか、日常がつまらないと思って、23歳の時に初めて山梨にある和術慧舟會フォーランバス(現在は和術慧舟會ではない)というジムに入会したんです」

――23歳まで他のスポーツ経験はあったのでしょうか。

「小学校からサッカーを始めて、中学時代はクラブチームに入っていました」

――クラブチームということは、Jリーグを目指すようなサッカー選手だったわけですね。

「はい……。でもサッカーは中学まででした」

――そのまま高校に進学して、サッカーを続けようとは思わなかったのですか。

「それが――ちょっとグレてしまったんです(苦笑)。サッカーも中3ぐらいから、やる気を失っていました。高校も定時制には入ったけど、それもすぐに辞めて。16~18歳まで、いわゆるギャングをやっていたんですよね。でも20歳になった頃、もうケンカとかは辞めて仕事をし始めたのですが、日常には不満があって……。その頃に地下格闘技というものがあると知ってジムに入ろうと決めた、という経緯です」

――23歳から地下格闘技へ!

「定時制の高校を辞めてから建設業をやっていたんですよ。それで23歳の時に独立しまして。それで『一つ目標が達成した』という気持ちがありました。本当は、独立してからもっと頑張らないといけないですけどね(笑)。それで次の目標を見つけたい――という時に格闘技と出会いました」

――ただ、K-1やPRIDEを中心とした格闘技ブーム全盛期は知らなかったのですね。

「当時流行っていたとは思いますけど、全く知らなかったです。それよりはアウトサイダーや地下格闘技のほうを知って。でも、元々ファンだったわけではなかったです」

――そこで小島選手をMMAに向かわせた要因は何だったのでしょうか。

「ネットで検索して和術慧舟會フォーランバスに入門した初日に、寝技オタクみたいな人たちにやられて。絶対負けたくない、その気持ちが原動力になりました(笑)。そこから、どっぷりと格闘技に浸かっています」

――そこから地下格闘技は何試合、経験しているのですか。

「細かくは覚えていないですけど、50~60戦ぐらいはやったはずです。 2週連続で試合したり、1カ月に4回出場したこともありましたよ。戦績は……地下格闘技で負けたのは10回ぐらいで、ほとんど負けていなかったと思います」

――地下格闘技時代の試合映像も拝見すると、当時から今のスタイルに繋がる、しっかりと右のナックルを急所に当てる技術を持っていました。てっきり空手や他の打撃競技をやっていたのかと思っていたのですが……。

「ありがとうございます。もともとは打撃をやりたくて。近所にキックボクシングのジムがあったんですけど、なぜか入ることができませんでした。次に近いのが、車で45分ほど行ったところにある和術慧舟會フォーランバスで。そこに入ったものの、打撃はやらせてもらえませんでした(笑)」

――そこで和術慧舟會に入ったおかげか、地下格闘技時代からバックテイクは慧舟會スタイルでしたね。首に腕を回すと同時にスッとバックに回るという。

「そうなんです! 今までのキャリアの中でも、寝技のフィニッシュはRNCが一番多くて。あのやり方をジムの代表に教わっていました」

――なるほど、合点がいきました。一方、打撃面はどのように練習していたのですか。

「特に誰かに教わったというのはないです。友達とミットを持ち合っていたぐらいで、動画を見て研究するタイプでもなかったですし。なんとなく――ですね」

――その後、地下格闘技団体の王者になってから次の道は、どう考えていたのでしょうか。

「次はプロでやりたいと思って、池袋のブルードッグジムへ行かせてもらうようになり、プロを目指して練習していました。東京ではスカイライブRにも行かせてもらって」

――スカイライブRとは、魔裟斗さんのトレーナーを務めていた土居進さんのパーソナルトレーニングジムですよね。

「はい。スカイライブRにはコロナ禍になるまで、週1で山梨から通っていました。僕は集団のクラストレーニングに参加していて、とにかくキツかったです。おかげでスタミナ面では、5分2Rフルで戦える自信はつきました。それまで山梨では経験したことのなかったトレーニングで、衝撃を受けましたよね。K-1に出場されている選手もたくさん来ていて、『これぐらいトレーニングしないとプロでは勝てないのか』と実感しました。そういうところは、すごく大きな影響を受けています」

――その経験から東京に拠点を移そうとは考えなかったのですか。

「実は一時期、東京に住んでいました。でも当時、格闘技へのモチベーションが落ちてしまったんですよ。GRACHANで咲田ケイジ選手に負けた試合(2015年9月、ギロチンで一本負け)と、地下格闘技を含めて4連敗して山梨に戻りました。いま考えると、『もう格闘技は辞めてもいいかな』という気持ちだったと思います」

――そこまでモチベーションが落ちたにも関わらず、再びケージの中に戻ってきた要因は何だったのでしょうか。

「地元では昔からの練習仲間が、変わらず車で片道45分かけて練習していました。そんな彼らのために、近くに良い練習環境をつくりたくて、自分のジム(スタイルプラスジム)を立ち上げたんです。そして彼らと一緒に練習しているうちに、自分も続けようと思いました。

ただ、その後はパンクラスに出ていて、なかなか勝てませんでした。自分としてはジムを軌道に乗せないといけないし、建設業もやっていたので徐々に仕事のほう重きを置くようになって……。そんな時に、グラチャンの岩﨑(ヒロユキ代表)さんから、『最近試合していないけど、どうしたの?』と連絡を頂いたんです。

そして『グラチャンに出るならチャンピオンを目指して、しっかりやっていこう』と言われました。おかげで僕も気持ちを切り替えて、グラチャン王者を目指すことにしたんですよ」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
5月14日(日)
午後1時~Grachan放送局

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DEEP DEEP113 DEEPフライ級GP Grachan MMA MMAPLANET o RYO   伊藤裕樹 修斗 本田良介 杉山廣平 松場貴志 福田龍彌

【DEEP113】フライGP決勝=福田龍彌戦へ。福岡発、本田良介「自分のやりたいことで人に認めてもらたい」

【写真】ケージの外では、常に柔和な表情の本田(C)SHOJIRO KAMEIKE

7日(日)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP113 IMPACTで、本田良介×福田龍彌のDEEPフライ級GP決勝戦が行われる。
Text by Shojiro Kameike

昨年8月より実施されてきたフライ級GPで、本田は元DEEPストロー級王者の越智、現Grachanフライ級王者の松場貴志、そして元アウトサイダー王者の伊藤裕樹と、実績や知名度で上回る相手を下してきた。決勝の相手は、元修斗世界フライ級王者の福田だ。本田は今回のインタビューで、何度も「知名度」という言葉を口にした。強い者が勝つ。強い相手に勝つ。本田はこのGP決勝で、知名度を超えた格闘技の醍醐味を見せることができるか。


――昨年8月からDEEPフライ級GPが始まり、遂に決勝戦を迎えます。本田選手にとって、この9カ月はどのような期間でしたか。

「まずGPの話を聞いた時、勝てば次がある――ようやくプロらしい1年間を過ごすことができるんだなと思いました。『いつ試合があるかも分かっていない。それはプロと言えるのかどうか』とか、ずっと考えていたんです。別に専属の期間があったわけでもないので」

――本田選手が東京から故郷の福岡県に戻った頃、ちょうどコロナ禍が発生しました。そのなかで1年に1~2回試合のオファーがあるかどうかという生活は、ファイターとして不安が大きかったのでしょうか。

「そうですね。GPが始まる前は、『もっと試合がしたい』という気持ちでした。コロナ禍もありましたけど、もともとプロデビューしてから試合は年2回ぐらいのペースで。プロといっても、そんなものなのかな――と考えていましたね。ただ、他のチーム競技と比べて、コロナ禍でも自分なりの活動や練習はできていたと思うんです」

――コロナ禍に入った時、本田選手は30歳を迎えました。30歳といえば、自分の将来について考える時期でもあります。

「30歳になる前から、ずっと考えていましたよ。せっかちな性格なので(笑)。コロナ禍でも大会はあったわけじゃないですか。その中で試合に出られる選手と、出られない選手の線引きも分からなかったです。自分はどうなるのかな……、そう考えていた先に今回のGPがあって、僕もひと安心でした」

――コロナ禍の中でも試合に出られる選手と出られない選手の線引きについて、ご自身で考えたことはありますか。

「いやぁ、そこは深く考えませんでした。僕はそういう選手なんだろうな、って」

――……。

「呼ばれない選手っていうことですよね。この世界は結果が全てだから、その結果を受け入れないといけない。……うん、そういう感じです。ナメられている――というわけじゃないですけど、やっぱり東京との距離感はありますよね。地方にいると発言権もないというか」

――2021年からDEEPに出場して2連勝、しかし2022年に入って杉山廣平戦で敗れました。この時も『そこまでの選手なのかな……』と思ってしまったのではないですか。

「アハハハ、自分自身よりも周りにそう思わせちゃいました。僕自身は、あの試合で負けた要因を理解しています。だけど、やっぱり勝つしかないんですよね」

――その杉山戦の1カ月後にDEEPフライ級GPがスタートしました。わずか1カ月で立て直すことができていたのでしょうか。

「その要因以上に、越智(晴雄)さんとの試合前に大きな怪我しちゃって(苦笑)。正直、試合をキャンセルしても良かったと思います。でも負けたままでいるのが、すごく嫌で。相手は誰でも良い。とにかく勝ちたい。だから、やるしかないと思いました。福田選手もGPの途中で拳を骨折していたとインタビューで言っていましたよね。

『それでもやるしかない』という気持ちは、よく分かります。僕にとっては、何よりも勝ちたい。勝てば次がある。何だったら、負けた杉山選手とも再戦できる可能性が、GPにはあったじゃないですか。もともと『勝てば良い』というスタイルだったのが、その気持ちがより強くなりました」

――MMAがスポーツであるかぎり、勝利が最優先であることは当然です。だからこそ「勝たないと言えないこと」があるのも理解できます。

「もちろん試合ではフィニッシュを狙っていますよ。でも勝つために試合をするし、勝てば次があることで安心できますから。負けた選手はGPの途中で消えていく。勝った選手に注目度が集まる。フィニッシュはできなかったとしても、勝ちたいっていう自分の気持ちを乗せやすいスタイルで戦ってきたんじゃないかと思いますね」

――本田選手は自虐的に仰っていますが、そのスタイルで勝ち上がってきたことはインパクトが強いです。越智晴雄選手、松場貴志選手、そして伊藤裕樹選手を自分のスタイルにハメこんで勝利してきたわけですから。

「もちろん相手は全員スタイルが違うのでハメこむ方法も違いますけどね。ただ、同じ形に持って行って勝つというのは、まだ手を隠しているということなんですよ(笑)。もっと隠しているものがあるので」

――実は他のスタイルもあるのですか!

「それは次の試合を楽しみにしていてください。でも、ここに来ても僕はまだ知名度がないですよね。GPでも伏兵って呼ばれていたり(笑)。そんな僕が勝つことができて、『やったぁ!』という気持ちがあります。みんなは知名度ばかり求めているけど、僕は別に有名になりたいからMMAを始めたわけじゃなくて」

――では、何を目指してMMAを続けてきたのでしょうか。

「……そう言われると難しいですね(苦笑)。何を目指してきたんだろう? とにかく『やればできるんだぞ』というところを見せたかったです。証明というか、意地ですかね。

ずっと格闘技をやりたかった。でも『格闘技をやりたい』と口で言うだけのまま、年を食っちゃって。プロになっても試合数は少ないけど、だからといって格闘技を辞めるつもりはなかったです。ただ、知名度は……。勝つことで知名度が上がればいいと思っていました。勝って知名度も上がり、収入が増えれば良くて。

勝つことよりも先に知名度を求めるのではなく、自分のやりたいことで人に認められる。それを目指しているのかもしれないです。認められるためには、勝つしかないです。GPの試合も、勝ったことでは満足しています。『もっと、もっと』という気持ちは常に持っていますけど、1試合1試合『俺は頑張ったな』と自分で自分を褒めて――そういうセルフケアも大切です(笑)」

――アハハハ。『もっと、もっと』と考えるのは、どんな点ですか。

「試合が終わって『まだ体力が残っているなぁ』と感じた時に、だったらもっとラッシュの数を増やせばよかったなとは思いますね」

――えっ!? フルマラソンを走り切ったあとに、なおも体力が残っていることが驚きです。

「いやいや、全然です(苦笑)。でも相手にしてみれば嫌だとは思います。僕は知名度もなくて、GP前に負けているし、見た目も強そうではないじゃないですか。なのに試合では一つのミスを突かれて、そのまま持って行かれてしまうとか」

――ある意味、ギャップ萌えですね。

「ダハハハ! きっと相手も、試合が進んでいくにつれて『このままだとヤバイ』と焦っていくんですよね。たとえば越智さんは一緒に練習していたこともあって、焦っている時が分かります。松場戦ではスクランブルの時に、相手が嫌がることをしたんですよ。それに返してこなかったので『これは休みたくなっているんだな』と思いました。

僕は試合の時、常に0.5ポイントぐらいリードしていれば良いと考えていて。相手がミスをした時に削っていくと、0.5ポイントが貯まる。そのポイントが貯まっていくと、気づけば10ポイントぐらいに膨らんでいて、その結果勝つことができる。今は、一回削ると0.5ポイント貯まるところを、1ポイント以上に増やせるように練習しています。そうすれば、もっと明確に差をつけられるし、それだけ早く勝ちに繋がるので」

――なるほど。伊藤戦では、どのようなシーンで相手が嫌がったと感じましたか。

「最初に右ジャブを当てた時ですね。たぶん僕が打撃で行くとは思っていなかったんじゃないですか。右ジャブが当たって、そのあとは動きが固くなったので。僕としては『これはジャブが当たるんじゃないか』と考えていました。あんなに早く当たるとは予想していなかったけど、おかげで伊藤選手は組む前に焦っているように感じましたね。組んでポジションを取っていくと、さらに焦ってきて。

松場戦と伊藤戦で良かったのは、相手の得意なところで0.5ポイントの貯金を創ることができた点ですね。すると『ここで逆に自分が取られてしまうのか……』という焦りが生まれて、もっともっとポイントが貯まっていくという」

――次の福田戦では、同じ戦法が通用するでしょうか。

「そこを見てほしいです。福田選手の場合は、あのファイトスタイルにどんなテクニックを乗せて来るのか。それ次第で、僕が出すものも変わりますよね」

――それは本田選手も同じかと思います。本田選手も福田選手も、GPを通して毎回違うものを見せてきました。

「福田選手も試合のたびにスタンスや体の高さとか、いろいろ変えているじゃないですか。福田選手はパンチで削ってくるかもしれないけど、僕は全部を使って削りに行く。福田選手って、試合中に焦ることはない選手だと思うんですよ。今までいろんな試合をしてきて、どんな展開に対しても免疫を持っている。そこでお互い、どう削るのか。その幅が勝負を分けるような気がしています」

<この項、続く

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Grachan MMA MMAPLANET o キック ボクシング 伊藤空也 山本琢也 阪本洋平

【Grachan】つくばにジムをオープン。阪本洋平─02─「大事業家になっても、選手育成は続ける」

【写真】MMAファイターとしても、唯一無二の存在(C)MMAPANET

茨城県つくば市に自らの城、PEELESS WOLFのオープンが迫ってきた阪本洋平インタビュー後編。

元Grachan二階級王者の阪本は、4年以上実戦を経験しておらず、ピアレスウルフというジム、新たな事業を立ち上げてようとしている。阪本洋平インタビューin つくば、後編ではケガをした彼だからこそ、唯一無二の存在となり、フィットネス、選手育成と人々関わり合う姿勢を話してくれた。

<阪本洋平インタビューPart.01はコチラから>


──それは体の状態を見極めてのことですし。問題がなければ、断るはずがない。

「普通に考えれば、出ても意味はないです。ただ僕が恥じる部分は、逃げる気持ちがあったんじゃないかということなんです。このコンディションで出て、負けてバカにされたらどうしようとか。そういう気持ちがあったので。色々な人と相談をしてトータルに見て下した判断ですが、心残りではあり自分を恥じています。」

──その時は治して、また戦うという気持ちがあったからではないですか。

「もちろん、もちろん。手術という選択肢がありましたから。『この全然動けない状態で出ても、本当の意味での真剣勝負にならない。僕のやりたい勝負ができない』という気持ちではいました。でも、そういう場面で自分がどういう人間なのかを知りたかったです。それが分からないままだから、そういう状況でどうなるのか、核心の部分を下の選手に伝えることはできない。でも、それで終わりじゃないです。世界一になりたいとか、最強になりたいからMMAを戦うという人も多いですが、僕は決してそうではなかった。内面の部分で、絶対に折れない強さを持つ人間になりたくてMMAを続けてきたので」

──内面の勝負が問われる場面は、今後の人生でいくらでも出てくると思います。そして、新しい事業を立ち上げる今の自分への期待度とはどのようなものでしょうか。

「事業に関しては……MMAを戦ってきて、本当に体調が悪くても戦ったことがありました。3週間、寝込んで練習ができない状態で試合をした時とか、マジで精神的に追い込まれていたんです。でも人間って、そういう追い込まれた状況にある時こそ、人との関わり方が大切なんだと理解できる。

大澤(茂樹※2017年5月)戦の前、試合なんてどうでも良くなりましたもん。取りあえず誰かに悩みを聞いてほしいという想いだけでした。なので、このスタジオは人との関わりを一番大事にしていきたいです。事業も人との関わりを広げていく。ここ一軒で終わらせる気はないです。フィットネス事業に関わらず、チャンスがあれば仲間を増やしていって……現時点でこんなことを言ったらバカにされるかもしれないですけど、僕は大事業家になりたいと思っています。

お金を稼ぐ云々より、人との関わりをどんどん増やしていく。ここがスタートで──まだMMAで真剣に戦っていたモチベーションは、正直持てていないです。でも、そういうのが生まれるんとちゃうかと思って、リスクのある挑戦をしています。なので、ここは目標に向かって全力でやります」

──……。そうなると……。

「分かります。言いたいことは(笑)。僕がまた限度を超えて、やり過ぎる。路を踏み外さないか心配ってことですよね」

──ハイ。その通りです(笑)。

「その可能性……、やり過ぎて体を壊す可能性は確かにあります(笑)」

──と同時に、今は止めてくれる人の言葉を聞き入れることができるのでは。

「いやぁ、あの頃ももう周囲が止めることができないほどでしたから(苦笑)。川尻さんが時々言ってくれたぐらいですね。もう、そこに憑りつかれた人間には誰も何も言えなかったようで。だからこそ、事業を始めた今は自重することが大切だと理解しています」

──パーソナルのフィットネス系のトレーニングジムのように感じますが、選手育成に関してはどのように考えているのでしょうか。正直、選手育成はビジネスとして成立しづらいです。

「今もキックボクシングでは選手の育成とフィットネスを組み合わせて成功している例もあります。確かに今は選手育成をメインにすることはできないです。僕もこれでご飯を食べていかないといけないので。結果が出ない、食べ続けられないと茶番になってしまいますからね。だから最初はフィットネスを主体にして、夜の遅い時間に選手の指導をしようと思っています。

今も指導はしていますが、外部の選手でトッププロがメインです。最初から生え抜きの選手を育てるのではなくて。そういう形でも選手の指導をしていく形でも良いと考えています。そういう風にしてフィットネス事業、他の事業を広めていければ、生涯の健康や人との関わりという部分に関しては、仲間を増やしていくと他の人に任せることができると思っています。でも、選手育成は任せられない。絶対に僕しかできない」

──おおっ!!

「僕にしかできないから、選手育成って僕のなかではマストで残るものなんです。理学療法士なので体のことを普通の選手より知っています。筋肉の構造や体の構造を知っているので、どうすれば体に負担が掛からないかも分かっています。だから、選手に関しては僕と同じ練習量をこなしても、体は壊れないと思います。脊柱を中心とした体に負担をかけずに筋肉、関節、内部を使う方法があります。そういう指導を僕はできます。

今でも練習をやり込むことはエェことやと思っているんです。僕のように体を壊さないのであれば。当時の僕は何も知らないから、メチャクチャやっていました。正しい方法で練習をしていたら、あの時の僕以上に自分を追い込んでも壊れないです。それを若い頃からしっかりと教え込んでいけば、僕以上の練習をしても体は元気な選手を育てることができます。

そういう部分で、僕は指導者として他にないモノを持っていると思います。そして選手育成に関しては、人間の内面の変革を一番大切にしていきます。チャンピオンになろうが、そんなもんどうでもエェです。中身が変われば良いと思っています。『中身が変わって、僕の人生は変わりました』という人を増やしたい。

だから選手育成に関しては、どれだけの大事業家になっても僕が関わらなくなることは絶対にないです」

──選手育成はMMAファイターということですか。

「基本的に格闘技であれば、MMAには拘っていないです。恐怖と直面し、内面が変われば人間はメチャクチャ成長します。これは山本琢也君や伊藤空也君とも話したりしているんですけど、そこが一番大切なところなんですよ。

内面に向き合っていればMMAだろうが、キックボクシングだろうが構わないです。格闘家として、真剣になる選手は育てていきたいです。つまり、ここはフィットネスだけのジムではないということです」

──ところでジムの名前、ピアレスウルフの由来というのは?

「生涯の友──ですね、狼は助け合って群れで生活します。そして、ピアレスは唯一無二、他に比肩するものがないという意味があって。僕がやれることは格闘家の経験、理学療法士の経験、何よりもケガの経験を生かした指導ですね。実はケガの経験が一番デカいんですよ。自分が経験したことなので、ケガをした人の辛さが身に染みて理解できます。

メチャクチャ分かるから、寄り添った指導ができます。高齢の方、体に痛みがあって思い切り動けない方たちをサポートして、健康になってもらう。

加えてバリバリに体が動く格闘家の内面に寄り添い、成長してもらう。これは僕にしかできないと思っています。そうですね。唯一無二の僕が、人との関わり方を大切にするという意味でピアレスウルフという名前にしました」

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DEEP Gladiator Grachan MMA MMAPLANET o Road to UFC SASUKE UFC パンクラス 中村倫也 修斗 原口伸 神田コウヤ 野瀬翔平 風間敏臣 鶴屋怜

【Road to UFC】現状、名前を挙げることができる日本勢は野瀬翔平、神田コウヤ、鶴屋怜、原口伸 & SASUKE

【写真】野瀬がHEATに出場し続けていれば、ここにHEATのベルトも見られたかも──的なRoad to UFC出場選手たち (C)MMAPLANET

8日(土・現地時間)、ニャムジャルガル・トゥメンデムベレルのRoad to UFC出場の報に関してUFCに問い合わせると、「契約をした時点でマネージメントサイドの発表は可能。メディアも公式リリースを待つことなく、選手やマネージャーからサインをしたという話を聞いたケースは記事にしても構わない」という返答があった。

3試合勝てばUFCとの契約が絶対の機会、昨年は中村倫也と優勝は逃したが風間敏臣が世界最高峰とサインした。ここではMMAPLANETが選手やマネージャーから言質を取った5選手の名前を明らかにしたい。

フライ級は本人がSNSでも呟いた鶴屋怜、バンタム級は昨年のベスト4=野瀬翔平、フェザー級も再挑戦となるSASUKEとDEEP暫定フェザー級チャンピオンの神田コウヤの2名、そしてライト級はGrachanライト級王者=原口伸が現状で名前を挙げて良い5選手だ。

5月の試合に向け、彼らの対戦相手も当然のように決まっているが、選手サイドとコンタクトが取れているわけではないので、そこはUFCもしくは選手サイドからの発表を待ちたい。

パンクラス王者、修斗王者、DEEP王者、Grachan王者、昨日発表のニャムジャルガルはGladiator王者──Road to UFCが行われるようになったことで、日本のMMAイベントで結果を残せば世界最高峰への入り口に立てるようになったのは嬉しい限り。

2年連続出場の野瀬とSASUKE、原口はフェザー級希望ではあったがライト級で参戦など、UFCの採用基準は明確ではないが、MMAPLANETが聞く出場確定ファイターは残り2選手。サインをしたかどうかは現在、確認中だがビザの申請も行っており、確定でなく決定と捉えて問題ないだろう。


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DEEP Grachan Grachan61 MMA MMAPLANET o RIZIN イ・ハンヒョン キック 伊藤空也 小島勝志 阿部路人

【Grachan61】5・14@大田区産業プラザPIO 阿部路人が決定、伊藤空也「打撃にも深みが出た感じがします」

【写真】あまりスポットが当たらない状況が続いているが、もっともっと目立って良いファイターだ (C)MMAPLANET

3日(月)に開催とカード第1弾が発表されているグラチャン5月14日(日)大会=Grachan61。

大田区産業プラザPIOで開催される同大会ではフェザー級王座決定トーナメント=小島勝志✖高橋徳の一戦やフライ級王座決定T準決勝、そしてJ-MMAルーキーカップ2階級の準決勝戦とともに伊藤空也が阿部路人とバンタム級2回戦で戦うことも明らかとなっている。


昨年12月のイ・ハンヒョン戦以来の実戦となる伊藤に、今回の試合に向けての意気込みをBRAVE GYM 三郷で訊いた。

──約半年ぶりの試合が決まりました。今の気持ちは?

「とにかくしっかりやるだけです。去年から、なかなか試合が決まらなくて。RIZINからも声はかけてもらったのですが、それも流れて……そういうなかで決まった試合だったので、とてもありがたいです。まぁ試合ができることに感謝したい。そういう気持ちですね」

──RIZINでの試合を所望しているなかで、グラチャンで戦うことが決まったという形でしょうか。

「いえ、RIZIN待ちということではないです。戦うことができるならプロモーション、大会は問わないです。どこでも戦います。試合ができるなら、どこでもやります」

──それだけ戦いに飢えているなかで決まった今回の阿部選手との試合が決まった。気合が入りますね。

「以前から知っている選手です。DEEPの常連で、それなりに強い選手とも戦ってきた。僕よりも全然キャリアも上の選手なので、胸を借りるつもりではないですけど、ここをしっかりと勝って次へ次へとステップアップしていきたいです。絶対に勝たなきゃなって思っています」

──ステップアップを目指す選手に関しては、この競技は常にリザルトだけでなくパフォーマンスも求められる部分があります。

「しっかりと仕留めること。圧倒的に勝つ。ねちっこいなかで打撃のデキる選手なので阿部選手のペースに巻き込まれないように、しっかりと自分のやるべきことをやる──って言う感じですかね」

──伊藤選手は打撃一辺倒の頃から、BRAVEにやって来てテイクダウン、組みの部分が強化されて久しいです。ウェルラウダ―になったことで、以前のように打撃で制するという部分は薄れたということでしょうか。

「総合的に戦えるようになると、打撃だけを見れば威力は落ちることはあるかもしれないです。僕は以前は言われたように打撃一辺倒でした。最近は組みとミックスすることで、打撃にも深みが出た感じがします。

ムエタイの練習も欠かしてはいないですが、そこに拘らないよう注意もしています。どうしてもキックボクサーになろうとしてしまうので。僕はMMAで勝つことができるので、ミックスされた上でしっかりと打撃を見せていきたいです」

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Grachan MMA MMAPLANET o 修斗 山本健斗デリカット 阪本洋平

【Grachan】ピアレスウルフ、阪本洋平をつくばに訪ねて─01─「格闘技って人の内面を写す鏡」

【写真】つくば駅と常磐道を結ぶ土浦学園線から、県道19号と非常に交通量の多い好立地に駐車場も十分完備されたジムが、もうすぐに出来上がる (C)MMAPANET

茨城県つくば市に自らの城、PEELESS WOLF(ピアレスウルフ=常に群れで行動し、仲間同士助け合って生涯を過ごす唯一無二の力強さ──を意味する)のオープンが迫ってきた阪本洋平。元Grachanライト&フェザー級王者は、2019年1月27日の修斗での山本健斗デリカット戦の勝利以来、4年以上ケージに上がることなく、次の人生に踏み出そうとしている。

グラチャンで圧倒的な強さを見せる一方で、過度に体を痛めつける練習を繰り返し、常に満身創痍という印象があった阪本は、心身共にそのポテンシャル、限界点を見せることなく第一線から身を引いた。

自分が何者であったか、分からないまま──そこが心残りだという彼が第二の人生を正式に踏み出す直前、つくばのジムが創られる場所に会いに行った。


──阪本選手、最初に伺わせて欲しいのが──阪本洋平は引退をしたという理解で良いのかということなんです。

「引退とかはまだ全然言っていないですけど……ケガがヘルニアとかでなく、神経の方で。最後の試合から1年半ぐらい練習したのですが、『これはもうアカンわ。これはどれだけしんどい想いをしても、試合には出られへんわ』と手術をしたんです。『もしかしたら、行けるんちゃうか』って思って。色々と調べて、良い先生に出会えました。その先生も可能性はあるって言ってくれたんですけど、左手の麻痺がなくならかったです。右手の握力が70以上あっても、左手は55、56キロ程度で。この左右の差がデカくて。

今のところで引退とか言うてへんけど、この状態で試合に出ても……というのが続いちゃった。そういうなかで、格闘技がどうなるのか分からないですけど、僕も生きていく上で全力で取り組めるもの、モチベーションになるモノを探すようになりました。

正直、修斗の試合に出る遥か前から体が限界やというのは予測していて。宇良健吾に勝った試合の前から、限界が分かっていました。あの時から格闘技以外にモチベーションになるモノを探していて、理学療法士として病院で働きながらパーソナルのスタジオに非常勤で働きに行っていました。そこから色々とお客さんを自分に取ったり2、3年ほどやってきました。

最初の事業は僕の持っている理学療法士と格闘家の経験を生かして、フィットネスとパーソナル、格闘技をやろうと。これは急に思いついたのではなくて、何年も前から──選手を続けることは限界やとは思っていたんです」

──阪本選手の度を越した練習というのは語り草になっています。

「やり過ぎましたね。止められないんですよ。牛久(絢太郎)君とか、川尻(達也)さんは止まるんですよ。牛久君も川尻さんも、とことん体をイジメているけど、休む時は休める。僕は止まらないんですよ。本当に壊れるまで止まらない。この管理の甘さが、僕の格闘家としての一番の欠点──やったという話ですね」

──事業に向き合う時も、やはり程度というものを考えないといけないとは思います。MMAで経験したことを事業でも生かさないといけないという風になりますか。

「戒めになっています。格闘技も最初から、バーンと決定的なケガがあったわけでなく、何度も小さいのを繰り返して。最後、この神経のケガが山本健斗デリカット戦の2週間前ぐらいに来ました。そういう経験を戒めにしようと思っていて、ちょっとずつは改善していっていたのに……あれは本当に甘かったです。

でも、僕は練習を休むことがマジで怖かったんです。マジで怖かった。次はワールドクラスの外国人と戦う機会が訪れる。やって負けるとは思っていなかったし、そのために100パーセント、毎日限界までやろうとしていた。そこの線引きができていなかったです。

だから、その経験は生かせています。ただ、あれだけやれる人の方が少ない、それも思っていますけどね。それでも、どこかでブレーキを踏まないと。事業の場合は、体は大丈夫でも精神的に問題が出てきてしまうと思うので」

──現在の自分の精神力、体力に関係なく、これまでの自分との比較、周囲との比較をして追い込んでしまう。これは練習量と仕事量に共通している──潰れていく現象かと。

「それは間違いないですね。そこを僕は気付けなかった。負けられないっていう恐怖感ですよね。ここで負けると、全部失うって思っていましたね。格闘技って人の内面を写す鏡、そういう競技やと思います。僕、野球も10年間やっていたけど、野球はそんなことないです。でも格闘技は一対一の神経勝負で、言い訳はない。

そりゃあ、マッチメイク……試合を受けるかどうかで、駆け引きはあるかと思います。でも金網の中に入ったら政治家の息子だろうが、どんな貴族だろうが、スラム街出身だろうが、全部いっしょ。あの場で追い詰められたとき、その選手の人間性が全て曝け出されます。

僕、試合中にわざと負けたろかなって想いになることがあったんです。これ、本当に不思議なことで。まじで苦しくて。これ腕十字取られたり、パンチ受けて負けようかなって一瞬頭によぎったことがあるです。もちろん、やらなかったですよ。そんなことは。でも、やっぱり試合の場に立つことが怖くて。試合を戦うと、自分がどんなしょうもない人間か分かるんですよ」

──だから尊敬できます。一対一で向き合って、負けるとも絶対的に言い訳も他人の責任にもできないところで戦って。

「いや、そこなんですよ。僕は負けることがなかっただけでなく、追い込まれることもなかった。試合で追い詰められたら自分がどうやったんか、しっかりと分かったと思います。戦うことが怖かった僕が、追い詰められて予想以上の力を出して頑張れたかもしれないし、簡単に折れてしまったかもしれない。でも、そういう場面に立ち会うことがなかった。最後はワールドクラスの外国人選手と戦うところまできて……もちろん、日本人でも競り合いなる人は何人かいたと思います。

でも、そこで潰し合うよりも、ロシアとかとやろうというつもりでした。別に実力で、そういう選手に負けているとは思わないです。でも、競り合う試合になった。その時に本当に頑張られる選手なのか。そこが分からないままだったので、格闘技でやり残してしまった。勿体ない……。強い相手、厳しい場面に出くわそうとしている選手、昔の練習仲間の神田(T-800周一)君、牛久君、米山(千隼)君、山本(琢也)君も皆、そうですよ。

僕は練習では追い詰められたけど、試合に関してはそういう場面はなかった。ワールドクラスの選手と戦って、そこを見極めておくべきだった……だったというか、見ておく機会がなかったのは本当に心残りです」

──でも、しょうがないわけですよね。肉体的に。

「今のところ、そうですよね。別に引退しているわけじゃないです。コンディション次第で、Grachanに協力することはあるかと思いますけど、今の時点では……何も言えないですよね。これだけは。最後に外国人のトッププロとの話はありました。でも完全にダメになっていて。そこに逃げる気持ちはあったと思います。この状態で出て、どうなるんやと。だから僕は強い選手と戦うのに、躊躇する選手の気持ちも分かるつもりです」

<この項、続く>

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GLORY Grachan MMA MMAPLANET o ONE RIZIN ニュース パンクラス ブログ 海外

RING、CAGE──「ONEはリングでも掲載するのですか?」という疑問に、お答えします

【写真】IFL、PFC、GLORY、Legend FC。ONE以外でもリングの大会を報じていることを知ってもらえれば、と(C)MMAPLANET

「ONEはリングでも掲載するのですか」ということを最近、よく尋ねられるようになりました。MMAPLANETはリングの試合は掲載しないサイドでしょ──と。RIZINがTRIGGERでケージを採用するようになり、LANDMARKに引き継がれることで、有難いことに「リングも書いてください」と言っていただく機会も増えました。

ONE Friday Fightsの様子を記事化することで、読者の方からの直接の疑問の声も届くようになりましたので、改めてMMAPLANETの方針を説明させていただきます。

About USにもあるようにMMAPLANETは、Livedoorsportsの一つのコンテンツとして2007年6月よりニュースの配信をスタートし、海外で行われているMMAの大会情報、試合レポート、選手&関係者のインタビュー等をお届けする形で活動を開始しました。

その後、2009年にLivedoorsportsへの記事の提供と並行して専門サイトとして独立させていただき、Liveddorsportsの終了とともに広告主となっていただく方々の協力を得て活動を続けることが可能となり、現在に至ります。

海外のMMAの動向を伝える。この方針にケージもリングも関係なかったです。実際IFL、GLORY、Legend FCなどリングの大会も現地でも取材を行い、レポートを掲載してきました。

同時に、当時は国内はリング使用が主流。そのなかで海外、特に北米で日本人選手が戦っていくにはケージでの試合経験が必要という想いは絶対的に持っていました。ケージとリングが同じだとは、あの頃も一切考えていなかったです。

そのなかでHEAT、Grachanという国内のプロモーションがケージを使用しており、専門紙媒体がほぼ報じないというなかで、「ケージMMAは国内でも必要だよ」という明確な判断の下、可能な限り取材し、記事化させてもらってきました。

その後、J-MMA界もパンクラスが酒井さん体制となり、世界標準を謳い完全ケージ化されます。あの時、酒井さんから「パンクラスはケージになりました。MMAです。MMAPLANETで報じてください」とど真ん中の直球勝負のような言葉を掛けられ──「国内はこれ以上、増やしたくないです」という返答はできなかったです(笑)。

「大阪大会のようにリングの大会は掲載できないですが、ケージ使用の大会は書かせてください」という返答をし、ここにリングは記事化しないのではなくて、国内はケージのみという線引きができました。

それからのMMA界の流れは読者の皆さんもご存知のように、ケージが主流となり、リングが貴重な存在となっています。一方で日本ではRIZINが誕生し、その際にも当時のK広報に「雑誌媒体でフリーライターの仕事として依頼あれば書かせていただきますが、MMAPLANETはリングの試合を報じていませんので掲載は見合わせてほしいです」という不躾な説明をさせてもらっていました。

そういうことで国内はリングの大会は掲載しない一方で、海外はこれまで通りケージ、リング、マット、柔道場、土俵であろうがMMAを追い、記事として可視化したいと思っている次第です。

言うと──2019年10月のONE WARRIOR SERIESが開かれた際も記事にしていないです。永遠とは決していわないですが、今はこの方針を続けて行こうと思っています。

新しい読者の方はご存知がなかったかもしれないですが、上に書かせてもらったようにMMAPLANETは海外のMMAの動向を伝えたくて始まった媒体(とも、実際は自分では思ってないぐらい個人的なブログのようなサイト)です。

国内のMMAに関して個別インタビュー等が増えたのは、2017年4月をもってゴング格闘技が休刊された際に、ゴン格に載っていた選手たちの声は──ゴン格に関わっていた身として可能な限り、伝えないといけない──と、嫌らしい言い方をすると少なからず責任を感じたからです。

よって2017年5月から、MMAPLANETでは海外偏向からバランスを少し変えたという過去があります。その後、このバランスが戻せないのは──ここで書くべきでない理由が存在します。その一方で「ONEはリングでもやるのか」と言う声が挙がるのは、MMAPLANETが海外の動向を伝えるという部分で力不足であるからに他なりません。

その現状を変えるために日々精進していく次第です。読者の皆さん、今後ともよろしくお願いします。

2023年3月11日、高島学。


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BELLATOR DEEP Grachan MMA NEXUS o RIZIN UFC ブログ

RIZIN.42:朝倉海 vs. 元谷、アーチュレッタ vs. 井上直樹決定。勝者がバンタム級王座決定戦で対戦。サトシ vs. カーライル、笹本 vs. ドッドソン他追加。山本美憂が王者伊澤相手に引退試合。

バンタム級(61.0kg)5分3R
朝倉 海(トライフォース赤坂)
元谷友貴(フリー)

一昨年のバンタム級GPで瀧澤に敗れて以来、ずっと地味なポジションでの試合が続いてきた元谷だが、判定ながら4連勝し、昨年大晦日には元UFCボントリンからフィニッシュ勝利して、ようやく陽の目が当たる試合が組まれた。

朝倉海は元谷の連勝が始まった2021年大晦日以来、1年4ヶ月ぶりの試合。昨年の沖縄大会では、メインで試合が組まれていたが、拳の負傷により欠場している。

バンタム級(61.0kg)5分3R
井上直樹(セラ・ロンゴ・ファイトチーム)
フアン・アーチュレッタ(米国)

井上直樹もGPでは優勝候補大本命と目されながら決勝で敗退。昨年は怪我で欠場があったが、大晦日に瀧澤からフィニッシュ勝利してトップの実力を示した。相手は井上に勝った扇久保を破ったキム・スーチョルに大晦日の対抗戦で勝利したファン・アーチュレッタ。

この2試合の勝者が、今年7月にバンタム級王座決定戦で対戦する予定とのこと。前王者の堀口は王座を返上とのことだが、フライ級に転向する場合、Bellatorでもバンタム級では試合をしないということなのかは不明。

▼ライト級(71.0kg)5分3R
ホベルト・サトシ・ソウザ(ボンサイ柔術
スパイク・カーライル(米国)

ライト級王者サトシとノンタイトル戦で対戦するのはスパイク・カーライル。昨年4月に武田から一本勝ちしているので対戦の資格は十分ある。一方で、Bellatorではランキングに入っておらず、今週末から開催されるライト級GPにもノミネートされていないので、Bellator代表というには弱い。

▼スーパーアトム級(49.0kg)5分3R
伊澤星花(フリー)
山本美憂(KRAZY BEE/SPIKE22)

山本美憂はこれが引退試合。48歳で現在3連敗中。相手の伊澤は、同門のパク・シウと女子スーパーアトム級トーナメント決勝で対戦し、僅差の判定で伊澤が勝利している。

▼フライ級(57.0kg)5分3R
竿本樹生(BRAVE)
ジョン・ドッドソン(米国)

晦日所英男を秒殺KOしたドッドソン、2戦目はRIZINフライ級で4勝していて、RIZINフライ級ランキングがあれば日本人トップにいるであろう竿本と対戦。竿本は元谷同様に地味な試合ばかり組まれていたが、ここでようやく世界との距離感を測れる試合が組まれた。

▼フライ級(57.0kg)5分3R
山本アーセン(KRAZY BEE/SPIKE22)
伊藤裕樹(ネックス)

アーセンは2020年8月に加藤ケンジに秒殺KO負けして以来の試合。その試合で榊原代表からはリストラ勧告され、実際にその後使われることはなかった。前回負けた加藤が修斗ではランキングにも入っていなかった選手なのに対し、今回フライ級に落として対戦する伊藤は、DEEPフライ級トーナメントのベスト4。実績を挙げていないのに、対戦相手のレベルは上がっている。いきなり潰しに来ているマッチメイク。母親のコネで出られるのも今回が最後か。勝って実力で出場権を勝ち取れるか。

▼フライ級(57.0kg)5分3R
征矢 貴(パラエストラ松戸)
ラマザン・テミロフ(ウズベキスタン)MMA15勝(9KO)2敗

ウズベキスタンのテミロフは26歳で15勝2敗。過去には昨年のRoad To UFCフライ級に出場して準決勝で敗退したチウ・ランに敗れている。中央アジアでも強い選手が増えてきているが、レギュラー参戦できるかどうかはこの試合の勝敗次第か。

フェザー級(66.0kg)5分3R
佐々木憂流迦(セラ・ロンゴ・ファイトチーム)
ボイド・アレン(南アフリカ

昨年矢地相手に寝技がさっぱりで、矢地もフィニッシュを狙わず安全策のために凡戦で終わったアレンが、なぜかフェザー級に下げて再登場。成長は見込めないし、他の選手を試した方が良かったのでは。

フェザー級(66.0kg)5分3R
山本琢也(パラエストラ千葉)
横山武司(Swells柔術ジム)

GRACHAN王者山本は1月に修斗のメインで山本健斗デリカットに勝利し、現在ランキング2位に入っている。横山は昨年11月、NEXUS後楽園大会のメインで山本空良に判定で勝ってフェザー級王座を奪取した柔術家。柔術がメイン、MMAはパートタイムで友達が喜ぶから出ているとのこと。山本は21年10月にRIZINに出場し、白川陸斗に1RKO負けしている。

フェザー級(66.0kg)5分2R
三浦孝太(BRAVE)
YA-MAN(TARGET SHIBUYA)

一昨年大晦日MMAデビュー後、怪我とコロナで2度試合を飛ばしているカズJr.。昨年9月の超RIZINでは、MMAデビュー戦で全くの素人のようだったタイ人に快勝。もっとバンバン試合が組まれるものと思ったが、半年ぶりの試合はまたもMMAデビュー戦のキックボクサーとの試合に。しかしYA-MANの方がタイ人よりはしっかりMMAで戦っていくつもりがありそうで、ちゃんとした試合になりそう。

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BELLATOR Gladiator Grachan MMA o ONE RENA RIZIN UFC V.V mei   カルリ・ギブレイン キック スダリオ剛 パク・シウ パンクラス ルイス・グスタボ 上田幹雄 剛毅會 山本空良 朝倉未来 武田光司 浅倉カンナ 牛久絢太郎 金原正徳

RIZIN LANDMARK5:29日開催に変更。金原 vs. 山本空良、武田 vs. グスタボ、倉本 vs. 太田他8カード追加。

当初の4月30日から1日前の29日に変更。30日はパンクラスと同日だったので助かる。

フェザー級(66.0kg)5分3R
牛久絢太郎(K-Clann)
朝倉未来トライフォース赤坂)

フェザー級(66.0kg)5分3R
斎藤 裕(パラエストラ小岩)
平本 蓮(剛毅會)

すでに発表済みの2カードはケージでの開催へ。タイトルに関わる可能性が高い2試合をケージでやるということは、今後リングからケージへの本格的な移行を見据えている…ということであれば良いのだが。リングでやることにメリットが感じられない。

フェザー級(66.0kg)5分3R
金原正徳(リバーサルジム立川ALPHA)
山本空良(パワーオブドリーム)

フェザー級の裏最強・金原は山本と対戦。40歳の金原と22歳の山本は18歳差。金原本人はもう長くはできないので相手に拘りたいとのこと。まだ衰えを見せないうちに上位陣との対戦が見てみたいが、ここで勝利すればそこにつなげることができるか。

▼ライト級(71.0kg)5分3R
武田光司(BRAVE)
ルイス・グスタボ(ブラジル/EVOLUCAO THAI)

晦日に武田はBellatorとの対抗戦で負けたが健闘。グスタボはジョニー・ケースとの対戦が組まれていたが負傷欠場。ケースに勝っている武田と矢地・大原に勝っているグスタボで、勝者がサトシのタイトルに挑戦することに異論はないだろう。

バンタム級(61.0kg)5分3R
倉本一真(リバーサルジム新宿Me,We)
太田 忍(パラエストラ柏)

両者グレコ出身で、倉本は2012年に全日本選手権55kg級優勝。2013年からは階級を上げて太田と同じ階級となり、2013・14年といずれも全日本選手権決勝で倉本 vs. 太田が実現。2年続けて倉本が勝利しているが、リオ五輪出場につながる2015年の全日本選手権では、倉本は2回戦で敗退。倒した相手は、これも現在MMAに転向している川名マスト。その川名を太田が下してそのまま優勝し、翌年のリオ五輪では銀メダルを獲得している。

年齢は7歳年長の倉本が先にMMAデビュー。太田はここまで4戦して2勝2敗。

▼ヘビー級(120.0kg)5分3R
スダリオ剛(HI ROLLERS ENTERTAINMENT/PUREBRED)
ロッキー・マルティネス(グアム/SPIKE22)

UFCは3連敗でリリースされたが、RIZIN日本人ヘビー級の門番的存在のマルティネス。打撃が武器の選手だとなかなか超えるのは難しいと思われるが、スダリオはこの壁を超えられるか。

▼51.0kg 5分3R
RENA(SHOOTBOXING/シーザージム
クレア・ロペス(フランス)MMA7勝(3KO・TKO/3SUB)4敗

昨年のスーパーアトム級GPは怪我で途中棄権したRENAだが、今回は51kgでの試合。今回の相手はストロー級(52kg)のロペスで、体格的優位はないが、戦績を見る限りはそこまで怖い相手ではないか。

▼スーパーアトム級(49.0kg)5分3R
浅倉カンナパラエストラ松戸)
V.V Mei(フリー)

ONEで2度タイトルマッチを行ったV.V MeiがONEを離脱しRIZIN初参戦。浅倉は女子スーパーアトム級GPではパク・シウに一回戦負けし、最近は精彩を欠いているが、40歳のVをしっかり下してはっきりと世代交代させたいところ。

▼ヘビー級(120.0kg)5分3R
上田幹雄(BRAVE)
カルリ・ギブレイン(ブラジル/ BRAZILIAN THAI)

昨年4月、髙阪引退試合MMAデビューした極真ヘラクレス上田だが、まさかの打撃でのKO負け。GRACHANでの2戦目は12秒でデビュー戦の韓国人選手をKOしたが、3戦目がGLADIATOR王者でキックのキャリアもあるギブレインというのは、また楽ではないマッチメイク。

▼71.0kg
ジョニー・ケース(米国)
アリ・アブドゥルカリコフ(ロシア)

晦日にグスタボの代役・大尊を秒殺KOしたケースだが、今回の相手は既知のロシア人。4年前の川尻戦はテイクダウンされて割とあっさり消耗していた印象しかないが、わざわざ呼んできて強豪と当てるのであれば、相当実力が向上していることが期待される。

なお、翌週のRIZIN.42にはファン・アーチュレッタの出場が決まっており、バンタム級中心のカードが組まれるとのこと。

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DEEP Gladiator Grachan JMMA Rookies CUP KIWAMI MMA MMAPLANET NEXUS o Wardog 中村京一郎 修斗 梶本保希 鈴木崇矢 黒井海成

【JMMA Rookies CUP】ルーキーズ杯 出場メンバー決定、本命は梶本保希&中村京一郎と鈴木崇矢か

【写真】ルーキーのなかでもキャリアが豊富、結果を残している人間が評価値は高い(C)MMAPLANET

1日(水)、19日(日)に千葉市美浜区の幕張メッセ8展示場ホールで開催される極〜KIWAMI旗揚げ戦×GRACHAN in JMMA Rookies CAPで1回戦が組まれるJMMA Rookies CUPの出場メンバーが発表された。

フェザー級とフライ級で団体の枠を超えて実施される新人戦、出場選手は以下の通りだ。

【フェザー級】
GRACHAN/黒井海成
DEEP/梶本保希
GLADIATOR/左海清之&桑本征希
修斗/人見礼王
格闘DREAMERS/中村京一郎
Fighting NEXUS/石塚将也
WARDOG/DAIGO

【フライ級】
GRACHAN/小田魁斗&金井一将
DEEP/氏原魁星
修斗/KJ-Tyler
GLADIATOR/陸虎
格闘DREAMERS/鈴木崇矢
WARDOG/しゅんすけ
Fighting NEXUS/豪瑠


プロモーションの枠を取っ払いDEEP、Grachan、Gladiator、Fighting Nexus、Wardogというプロモーション、修斗という競技、どのような括りにするのか難しいが、その名を適用すればリアリティTVショー=格闘DREAMERSから、キャリア3戦以下でプロデビューから2年以内の選手が1階級8名ずつ、計16選手が出揃った。

プロデビュー戦となる選手、3戦3勝のファイターがそれぞれ違う場所で戦ってきたので、予想は難しい。

そのなかでフェザー級ではフューチャーキング・トーナメントというアマチュアながらパウンド有りのトーナメントを制し、さらにDEEPでプロ3勝の梶本保希。さらにDREMERSでアマファイトやプロ選抜戦、POUNDSTROMを経験している──ある意味、里帰りを果たす中村京一郎が本命視されるか。

同時に全国規模で大会が行われているアマ修斗出身、プロデビュー戦となる人見礼王。K-甲子園東日本出身で幼少期から硬式空手で実戦経験を積んできた黒井海成は、Grahcanで2勝1敗の戦績を持ち注目だ。

パウンド有りの経験値とクオリティ・オポネントを評価基準とすれば、フライ級では鈴木崇矢がフェイバリットとなる。バックグラウンドの違う選手たち、丁々発止のやり取りがあるなかで、各組織がどのような向き合い方をしているのかも、発表された顔触れで明らかとなった。

いずれにせよ、未知数な部分=可能性ととることができる出場選手達、出場する限り優勝が必須。なにより、その名前と所属団体が一致する存在になるためも、しっかりと名前を売る場にしなければならない。

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