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【Black Combat10】須田萌里の挑戦を受ける、パク・シユン「あの腕十字は私には通用しないです」

【写真】9月のDEEP参戦時も圧勝したBlack Combat勢の末席にちょんと座っているような感じのパク・シユンだったが、結構言うことを言う選手でした (C)MMAPLANET

20日(土・現地時間)にソウル・ソンブク区にある高麗大学校(コリョ・テハッキョ)ファジョン体育館(チェユックァン)でBlack Combat10「Night in Seoul」が開催される。日本から山本聖悟、中村大介、大原樹理、駒杵嵩大らと現地に乗り込んでくる須田萌里を相手にBlack Combat女子アトム級王座防衛戦に臨むが、パク・シユンだ。
Text by Manabu Takashima

昨年9月のDEEP vs Black Combat対抗戦で。圧倒的な不利と見られた大島沙緒里戦で判定勝ちし、DEEP JEWELSとBlack Combatのアトム級二冠となった。その時に見せた涙、そして取材中の言葉も少なく笑顔を絶やさない彼女が、地元での須田戦を前に少し違った一面を見せるようになっていた。


──10月にインタビューをさせていただいた時、パン・テヒョク館長が伊澤星花選手との対戦を期待し、同時に絶対の自信を持っていましたが、今回は須田萌里選手の挑戦を受けることになりました。

「私も伊澤選手と戦いたかったのですが、須田選手と戦うことになりました。須田選手は強いグラップラーですし、油断せずに試合に臨もうと思います。そして、ここで勝って伊澤選手と戦いたいと思っています」

――今回は館長がいないので、しっかりとパク・シユン選手の声をファンに届けられればと思います。

「いつも、インタビューでは話が下手な私の代わりに館長が話してくれますが、今日はもう練習がしんどくて家に帰りたいと思って……自宅で1人でインタビューを受けています(笑)」

――試合が1週間後に迫ってきましたが、ソウルの気候はいかがですか(※取材は13日に行われた)。

「ソウルは凄く寒いです。家のなかでも分厚い服を着ています」

――日本は暖冬なので、その寒さになれている韓国人選手には地の利がありますね。

「天候は私が何かできることではなく、自然の力なのですが、それで相手が風邪をひいてくれるなら私にとって有利になりますよね(笑)」

――須田選手が挑戦者になることは、想定していましたか。

「大島(沙緒里)選手と伊澤選手以外はほとんど知らなかったので、試合をすることになってから映像を確認しました」

――どのような印象を持ちましたか。

「10秒も試合を視れば、私には通用しない――大島選手より全然弱いと思いました。グラップリングばかりで、問題なく勝てるという自信があります」

――えっ、大島選手のようなフィジカルはまだないかもしれないですが、柔術的な寝技は日本の女子MMAファイターのなかでトップクラスかと思うのですが。

「彼女は道着を着て戦うと、もっと強いと思います。でも、道着を着ていないMMAのグラップリングの動きは自分の方が上です。危ないだとか、危険というレベルにはないです。須田選手の勝利は腕十字が多いですが、相手は弱い選手ばかりでした。本当に強い選手とは戦った時は、極めることができていない。あの腕十字は私には通用しないです」

――先日のインタビューの時に、館長の隣でずっと笑っていたパク・シユン選手ですが、相当にぶっ放す人だったのですね。

「アハハハハ。笑って話してはいるのですが、本当はこういう人間なんです(笑)」

――館長からカンペが送られてきていないですよね(笑)。

「ハハハハ。普段は良い子だとか言われるのですが、試合前になるとまた違う私がいるのだと思います」

――なるほど(笑)。須田選手の寝技に対して、付き合っても上なのか。付き合わないで遮断するから上なのか。どのように考えていますか。

「私のストロングポイントはレスリングです。レスリングからグラウンドという流れでも、そこは変わりません。正直、スタンドでも負ける気はしないですが、自分の得意なテイクダウンからの極めで一本勝ちしたいと思っています」

――大島戦ではレスリングを防御面で使っていましたが、今回は攻めのレスリングに期待して良いということですね。

「大島選手との戦いは、そういう作戦だったので。今回の試合はガンガン、自分から攻撃してテイクダウン、サブミッションとアグレッシブに戦います」

――日本で戦った時すらBlack Combatのホームのような応援団がいました。今回は正真正銘の地元での試合です。ソウルで日本人選手を迎え撃つのは、どのような気持ちなのでしょうか。

「応援団の人達が日本にたくさん来てくれていましたが、海外での試合には変わりなかったです。だから恐怖心も心配事もありました。でもソウルで戦うことで恐怖心は一切なく、ワクワクする気持ちでいっぱいです」

――日本ではホテルから計量、試合ということでしたが、ソウルで戦う場合は自宅から試合に向かうのですか。

「計量の日はホテルに泊まることになると思います。私はソウルに住んでいても、試合会場と家は離れています。だから渋滞のことなどを考えると、試合前にホテルで宿泊できて良かったです」

――Black CombatとDEEP Jewelsの王者、日本人選手だけでなく韓国人選手のターゲットにもなっているかと思います。

「本当に韓国には女子選手が少なくて実力差も多く、引退する選手も多いです。なので韓国の女子選手には興味がないです。日本の方が強い選手が多いので、日本人選手と戦ってきたいです」

――須田選手はパク・ジョンウン選手と戦ってTKO負けでした。韓国のトップの選手と須田戦の内容で比較されるかと思いますが、その辺りはどのように考えていますか。

「パク・ジョンウン選手はどちらかという打撃系、ストライカーです。その強みを生かして、須田選手をKOしました。でも自分は打撃も使いますが、やはりグラップラーです。レスリングからグラップリング、パウンドやサブミッションという圧倒的な流れで、強さを見せます。須田選手に何もさせないで勝てると思うので、そこはパク・ジョンウン選手とは違う部分です」

――RIZINに出たい。その希望を実現させるには、直接戦っていなくても同階級の韓国人選手もライバルかと思います。

「う~ん、何といって良いのか……私の方が圧倒的に勝てるので……。韓国の女子選手はストライカーが多くて、寝技はあまり上手くないです。そのなかで私は他の選手とスタイルが違う、唯一無二のグラップラーなのでしっかりと試合内容でもアピールできると思っています」

――押忍。そのあたりも踏まえて、須田選手との王座防衛戦への意気込みをお願いします。

「とにかく、この大切な試合のために一生懸命練習をしてきました。この試合に勝って、3月に伊澤選手と戦いたいです。私は話すのが上手くなくて(苦笑)。自分で話していても、何を言っているのか分からなくなることがあります(笑)。その時までに日本語も勉強して、頑張っている姿でアピールしたいと思います」


■ Black Combat10対戦カード

<フェザー級/5分3R>
キム・ミンウ(韓国)
ユ・スヨン(韓国)

<Black Combatフライ級選手権試合/5分3R>
[王者]キム・ソンウン(韓国)
[挑戦者] 駒杵嵩大(日本)

<Black Combatフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者]シン・スンミン(韓国)
[挑戦者] ソン・ユチャン(韓国)

<Black Combat女子級選手権試合/5分3R>
[王者]パク・シユン(韓国)
[挑戦者] 須田萌里(日本)

<ライト級/5分3R>
大原樹理(日本)
ファン・ドユン(韓国)

<ライト級/5分3R>
キム・ソンジェ(韓国)
パク・ソンジュン(韓国)

<フェザー級/5分3R>
パク・チャンス(韓国)
中村大介(日本)

<フライ級/5分3R>
ジョン・ウォンヒ(韓国)
キム・ウジェ(韓国)

<バンタム級/5分3R>
山本聖悟(日本)
イ・ソンウォン(韓国)

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【Black Combat10】中村大介と対戦、Double GFC王者パク・チャンス「腕十字でフィニッシュします」

【写真】 サッカーボールキック有り、中村大介というユニファイドMMAの常識に当てはまらない相手との試合でパク・チャンスがどのような戦いを見せるか(C)MMAPLANET

20日(土・現地時間)にソウル・ソンブク区にある高麗大学校(コリョ・テハッキョ)ファジョン体育館(チェユックァン)で開催される Black Combat10。山本聖悟、中村大介、大原樹理、そして須田萌里と駒杵嵩大が出場し、須田と駒杵はそれぞれがBlack Combatフライ級&女子アトム級王座に挑戦する。
Text by Manabu Takashima

そんなBlack Combat vs DEEPの対抗戦の様相を呈している同大会で、中村と戦うのがパク・チャンスだ。Double GFCフェザー級王座で昨年4月にシン・スンミンに敗れた――K-MMA界ユニファイドルールの強豪にとって、Black Combatで戦う意義とは。そして中村戦後に抱く日本での活躍について話を訊いた。


──パク・チャンス選手、Double GFCフェザー級王者のままBlack Combatに出場するようになりました。なぜ、Black Combatを次の戦場に選んだのでしょうか。

「Black Combatで戦いたいという選手が増え、Double GFCイ・チーフン代表に自分の方からBlack Combatで戦いたいと伝えました。ただ今もDouble GFCのチャンピオンのままですし、Double GFCがイベントを再開すると防衛戦を戦っていきます」

――そのようにプロモーション間を行き来できるのですね。素晴らしいことです。

「ハイ、両方の団体で試合をすることができます」

――ではDouble GFCの王者として、Black Combatのフェザー級王座決定戦でシン・スンミン選手に敗れた事実はどのように捉えていますか。

「やはり敗北後は落ち込みました。でも、すぐにリベンジをしたいという気持ちが強くなり持ち直しました。強い選手と戦いたいからBlack Combatで戦うことを選んだので。今はチャンピオン云々よりも、強い選手と多くの試合を積んでいきたい。そう思っています」

――あの試合はスリップ気味に倒れた後、シングルを取ろうとしサッカーボールキックを被弾してKO負けを喫しました。

「自分はUFCを目指していたので、北米ユニファイドルールに慣れ過ぎて、あの局面でサッカーボールキックがあることが頭に入っていなかったです。全くサッカーボールキックを意識せずにシングルレッグを本能的に仕掛けてしまいました。

練習仲間でBlack Combatで戦っている選手がいなくて、でもチームメイトが自分の練習に合わせてくれています。なので、練習としては問題ないです。今後はRIZINにも出てみたいので、サッカーボールキックにも慣れないといけないと思っていますし。もう少し時間がかかるかもしれないですが、試合を続けることで慣れていくはずです。このルールを消化して、勝っていきたいです」

――練習でサッカーボールキックをやることはできないですが、スタンドにしても打撃の含まれたスパーリングをするときに、何割ぐらい力を入れていますか。

「スパーリングの回数は週に1回で、決して多くないです。なのでスパーリングの時は試合ぐらいのモードでやっています。グローブは大きめのモノを使っていますが」

――ところで9月には豪州のEternal MMAでエリオット・コンプトンと対戦予定でした。結果、キャンセルとなったのですが豪州でUFCへの登竜門といえるプロモーションで試合をしようと思ったのは?

「別にUFC云々があってEternalに出ようと思ったわけではないです。試合のオファーがあり、戦いたいと思っただけで。ただフェザー級のオファーだったのが、1カ月を切って70キロにしてほしいと言われ。それも了承しました。それなのに72キロ、最終的に75キロと言われて、もう無理だと判断して試合は成立しなかったです」

――それはひどい話です。では、20日に戦う中村大介選手の印象を教えてください。

「素晴らしい選手です。戦い方がユニークで、難しく感じるかと思います。過去一番で戦い辛い相手になるはずですが、その分しっかりと練習をしてきました。問題ないです。腕十字でフィニッシュします(笑)」

――おお、掟破りの逆腕十字ですね(笑)。次回大会はDEEP勢も多く出場します。ここで戦うことで、日本のことを意識するでしょうか。

「自分にDouble GFC暫定フェザー級王座決定戦で負けたパク・ジェヒョク選手がGLADIATORでフェザー級チャンピオンになり、強い日本人選手と試合をしています。彼から凄く刺激を受ける一方で、自分も全然できると思っています。日本で戦いたいです」

――では日本のファンに一言メッセージをお願いします。

「いつも日本で戦いたいと思ってきました。今回、中村大介選手にしっかり勝って、日本で戦いたいと思っているので。応援よろしくお願いします」


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【Special】J-MMA2023─2024、須田萌里&雄律─01─「小学校の卒業式で『夢はRIZINフェザー級王者』と」

【写真】左から須田萌里と父・智行、そして雄律という大阪の柔術&MMA一家(C)MMAPLANET

2023年が終わり、新たな1年が始まるなかMMAPLANETでは2023年に気になった選手をピックアップ──過ぎ去った1年を振り返り、始まったばかりの1年について話してもらった。
Text by Shojiro Kameike

J-MMA2023-2024、第七弾は大阪スコーピオンジムの須田萌里&雄律の姉弟に話を訊いた。姉の萌里はMMAを戦う一方で柔術の試合にも出場し、昨年は父の智行さんから茶帯を授けられた。対する弟の雄律は、ジュニア/キッズでなんと45戦に出場! 前編ではプロ興行のプロモーターからも熱い視線を向けられているという、雄律を中心に話が進んだ。

■2023年須田萌里戦績

2月19日 JBJJF修斗杯柔術選手権2023
女子アダルト紫帯ライトフェザー級 優勝

3月25日 DEEP Tokyo Impact2023#02
〇2R0分53秒 by RNC 桐生祐子(日本)

5月28日 DEEP JEWELS41
●1R4分27秒 by TKO パク・ジョンウン(韓国)

7月10日 IBJJF Asian Jiu-Jitsu Championship 2023
女子アダルト紫帯ライトフェザー級 準優勝

8月6日 DEEP Nagoya Impact2023公武堂ファイト04 ※グラップリングマッチ
●0-3 マユミ・グラップリングシュートボクサーズジム(日本)

9月10日 DEEP JEWELS42
○3-0 ケイト・ロータス(日本)

10月8日 JBJJF第24回全日本ブラジリアン柔術選手権
女子アダルト紫帯ライトフェザー級 優勝

11月22日 DEEP JEWELS43
○1R0分49秒 by 腕十字 彩綺(日本)

■2023年須田雄律 主な戦績

1月22日 第6回全日本キッズ/ジュニア修斗選手権大会
ジュニア修斗 48キロ以下級 優勝

4月29日 グラジエイターカップ03
ビギナー -61.2キロ級 優勝

7月17日 JBJJF第15回全日本キッズ柔術選手権
ティーン2橙帯ミディアムヘビー級 準優勝

8月11日 Jr.BORDER23 2nd
ジュニア修斗部門 MVP

9月24日 アマチュアDEEP公武堂ファイト53
○1R0分41秒 by RNC 奥村駿(日本) ※優秀賞獲得

10月7日 JSCC修斗チャンピオンズカップ2023 vol.02
ジュニア修斗男子53キロ以下級 優勝

11月3日 Jr.BORDER24 第7回全日本キッズ/ジュニア修斗選手権大会
ジュニア修斗56キロ以下級 優勝

11月5日 Gladiator-Cup04
ビギナー -61.2キロ級 準優勝

12月2日 JBJJF第6回全日本キッズ柔術オープントーナメント
ティーン2橙帯ウルトラヘビー級 優勝


――今回は姉弟揃ってのインタビューで、雄律選手にお話を訊くのは初となります。まずは雄律選手の2023年を振り返ると、1年で45戦35勝10敗という戦績は凄いですね。萌里選手もMMAの試合に出場しながら、柔術のビッグタイトルも狙っていました。

萌里 弟が試合に出ているので、『負けていられへんな』という気持ちはありました(笑)。

雄律 僕はキッズの間にいろんなタイトルを獲りたいので、どんどん試合に出ていました。その僕に、お姉ちゃんが付いてきていますね。

萌里 アハハハ。雄律はもう何でも出ていますから。

雄律 でも、こんな試合ペースは今年ぐらいで。去年も結構試合をしましたけど、コロナ明けで今年から大会も戻ってきたんです。

智行 雄律も今でこそ勝っていますけど、もともとはメチャクチャ弱くて。柔術も勝敗がやっとイーブンになったぐらいで(現在56勝50敗1分)、ずっと負け越していたんですよ。

雄律 勝てるようになってきたのは、小4~5ぐらいからです。それまでは10連敗して、1勝してまた10連敗とか。

――それまで雄律選手が勝てなかった理由は、何だったのでしょうか。

智行 ただ単に弱かったな。

雄律 身体も弱かったし、小さかったからかな(苦笑)。

萌里 当時は練習中も結構ふざけていましたからね。練習の途中でも喋っていたりとか、真面目にやっていなくて。練習には来ていても、練習への取り組み方は良くなかったと思います。でも最初は練習も週1やったのが、どんどん練習回数も増えていって。

雄律 小さい頃は自分が進んで格闘技をやっていたというよりは……。

萌里 やらされていた?

雄律 アハハハ! 最初は自分も格闘技をやりたいという気持ちがあったけど、途中から変わってきました。でも途中から練習回数が増えてきて、なのに試合で勝てないから(苦笑)。小4ぐらいから格闘技が好きになってきましたね。

萌里 それまでは嫌いやったん?

雄律 小2~3ぐらいは遊びたかった(笑)。でも今は、同じ年代の人たちも同じぐらい試合をしているから、自分もこれぐらい出ても良いかなって思う。

――同年代のライバルには、どういった選手がいるのでしょうか。

智行 山里エンゾ君、マツオ・クリスチャン君とかかな。

萌里 尾崎裕二郎君も。

雄律 あと河野大樹君かな。ずっとライバルに負けてから勝つ、っていう繰り返しです。

智行 とりあえず同年代の強い子には、負けてからリベンジしているよなぁ。

――ジュニアやキッズの世代は、年間これだけ試合をこなしている選手が多いのですか。

智行 トップ選手は試合数が多いですね。それこそ毎月のように試合に出ていると思います。でも雄律の試合数は、「出すぎちゃうかな」とは思いますけど。

――お父さんの方針ではなかったのですか。

智行 まず去年は「出られる試合は全て出よう」と決めたんです。スケジュールが合うものは全部出ました。そうしたら、この試合数になって(笑)。

――11月3日のジュニアBORDERでお会いした時、2日後のグラジエイターカップにも出場すると聞いて驚きました。

智行 連日で試合をしたこともありますよ。柔術の試合に出た翌日にMMAをやったりとか――しかも大人のMMAの試合に出て。

――雄律選手はまだ中学2年生です。フレームが異なる大人と試合をさせると、怪我の心配はありませんか。

智行 中学生になってからは、ジムでも大人の会員さんと練習しているんですよ。その練習のなかで体重がある人でも、パワーがある人でも対処できていて。だから「大人と試合をしても怪我はせえへんやろうな」と思っています。今はまだ何でも経験の段階なんですよね。プロになったら帯も体格も関係ないじゃないですか。今のうちに、やりたいことはやっておく。負けるなら、今のうちに負けておくほうが良くて。

――なるほど。弟の雄律選手のほうが、萌里選手よりも先に柔術を始めたのですよね。

萌里 雄律が始めたのが2015年1月で、私は2015年3月ですね。

智行 スコーピオンジムでキッズを始めたキッカケは、まず僕がキッズ上がりの子にボコボコにされたんです。その時、代表(恒冨嘉徳スコーピオンジム代表)に、「10年後に日本一を獲るキッズを育てるからキッズクラスをやらせてくれ」とお願いして。キッズクラスを始めるために、まず雄律に柔術を始めさせました(笑)。

――その時、萌里選手は雄律選手と一緒に始めようとは思わなかったのですか。

萌里 最初は「何かやっているなぁ」と思うぐらいで、特に興味はなかったです。でも練習を見ていると雄律が下手やったんですよ。だから「私のほうが上手くできるわ」って(笑)。

雄律 確かに、お姉ちゃんが始めたら一瞬で抜かれたわ。当時は何も思わんかったけど、今となっては少し悔しい(笑)。

――ジュニアBORDERの試合では、距離を取りながら組んで勝っています。至近距離での打撃戦をやろうとは思わないですか。

ジュニアBORDERで見せた蹴り&寝技も戦略だった。プロデビューが期待されている(C)MMAPLANET

雄律 ジュニアBORDERは顔面打撃(パンチ)がないので、そこまで考えないです。効かないから寝技に行ったほうが良いですよね。

智行 あのルールは寝技をしているほうが強いと思います。寝技で関節技の形に入って、見込み一本を取るほうが勝ちに近くて。

――では顔面へのパンチ攻撃が認められているアマチュアDEEPに出場した時は……。

雄律 速攻で組みました(笑)。

――アハハハ。

雄律 相手がストライカーやったので、速攻で組んでRNCを極めました。

――雄律選手はMMAでもキッズやジュニアの大会で優勝し、すでにプロ興行のプロモーターからも声が掛かっていると聞きます。

智行 そうですね……。会場に行くたび、プロモーターさんからは「将来プロになったら出てね」と声をかけていただいています。

――雄律選手は、いつからプロのMMAファイターになろうと思ったのですか。

雄律 小6の時に、将来はプロのMMAファイターになろうと思いました。

萌里 アハハハ! そういえば――。

智行 思い出し笑いしとる。

萌里 小学校の卒業式で将来の夢を言う時に「MMAでRIZINフェザー級チャンピオンになります!」って、階級も決めていたんですよ(笑)。

雄律 あの時は自分で勝手に考えた(笑)。当時RIZINで一番面白い階級やったから。

萌里 2年前なので、牛久絢太郎選手が斎藤裕選手に勝ってチャンピオンになった頃ですね。

智行 ちょうど牛久君と会って、練習も見てもらっていたころやったらから、そういう気持ちになったんやな。

雄律 身長が今のままならフライ級かバンタム級で、もっと伸びたらフェザー級かライト級でやりたいです。どの階級でやるとしても、チャンピオンになるという目標は変わらないです。

<この項、続く>


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【Black Combat10】パク・シユン×須田萌里& 駒杵もフライ級王座挑戦。キム・ミンウ×ユ・スヨン決行!!

【写真】パク・シユンの二冠が続くのか、DEEP×Black Combatがさらなる混迷に向かうのか――要注目だ(C)MMAPLANET & DEEP

1日(月・現地時間)、Black CombatがオフィシャルYouTubeチャンネルで20日(土・同)にソウル・ソンブク区にある高麗大学校(コリョ・テハッキョ)ファジョン体育館(チェユックァン)で開催される Black Combat10の対戦カードを発表した。
Text by Manabu Takashima

昨年2月の韓国における対抗戦、9月の東京での対抗戦を経て通常興行でもDEEPとの交流が続くBlack Combatだが、今大会では日本から山本聖悟、中村大介、大原樹理、そして須田萌里と駒杵嵩大が出場し、須田と駒杵はタイトル挑戦となる。


(C)DEEP

駒杵は9月の対抗戦で対戦したキム・ソンウンに挑戦することとなった。

キム・ソンウンは11月大会でイ・カンナムとの王座決定戦で勝利しベルトを巻いたが、9月の一戦を見る限り両者の間には力の差が感じられた。とはいえ母国で8000人の観客が入る舞台での初防衛戦だ。キム・ソンウンがあの時と同じファイターとは捉えない方が良いかもしれない。

一方、須田は対抗戦で大島沙緒理を破りBlack CombatとDEEPの二冠王となったパク・シユンの持つBlack Combat女子アトム級王座にチャレンジする。MMAPLANETのインタビューでパク・シユン……というよりも指導者のパク・テヒョク氏が伊澤星花に対して絶対の自信を持っていたが、今回はホームで須田の挑戦を受けることに。

関節技にずば抜けた強さを見せる大島に対し、直接対決という部分でなく――×パク・シユン戦を念頭に比較すると、須田は打撃の成長が顕著で、よりウェルラウンダーとして戦える。寝技にしても思考、動きともにフレキシブルな須田だけに、パク・テヒョク氏が言うところの戦略に振り幅が持てる。

日本人選手がBlack Combatのベルトを手にし、韓国人選手がDEEPのベルトを腰に巻くという逆転現象も起こるかもしれないBlack Combat女子アトム級選手権試合だ。

今やDEEPよりもBlack Combatを主戦場にしようかという熱の大原は公言通り11月に続き、連続出場を果たす。対戦相手もイ・ファンスン戦での勝利後、ケージの中で挑発してきたキム・ジュンギュンでなく希望通りパク・ジョンホンと相対する――予定だったが、ヒザの負傷で欠場しファン・ドユンと戦うことが決まった。。

本来ランキング1位の大原と2位のパク・ジョンホンのマッチアップは事実上の次期挑戦者決定戦と思われたが、リアリティ番組で注目されているとはいえファン・ドユンは格下の相手だ。今回の試合結果いかんで大原は、対抗戦で完敗を喫したイ・ソンハの持つBlack Combatライト級王座に大きく近づくことができるのか――。

山本はバンタム級でイ・ソンウォンと、中村はフェザー級でパク・チャンスとの対戦も決まった。この2カード、注目は中村の相手パク・チャンスだ。4月のフェザー級王座決定戦で、パク・チャンスは姿勢を乱して倒れたところにシン・スンミンのサッカーボールキックからパウンドアウトで敗れた。

しかしDouble GFC暫定フェザー級王座決定戦で現Gladiatorフェザー級王者パン・ジェヒョクに勝っているパク・チャンスは、MMAの王道的なスタイルを貫けばシン・スンミンを上回る実力者とも考えられる。

中村×パク・チャンスなど、タイトル戦線で鍵を握る選手が日本勢の相手を務める、完全ガチのマッチメイクはBlack CombatではDEEP勢はワンオフでなく、レギュラーという認識があるようだ。そのフェザー級戦線、同大会ではたシン・スンミンはソン・ユチャンとの初防衛戦が控えている。キム・ソンウンと同様に対抗戦で青井人に遅れを取り、DEEP勢に2つ目の白星を献上しているだけに再起戦でチャンピオンの意地を見せたいところだろう。

そんなフェザー級選手権試合を第7試合に追いやり、キム・ミンウ×ユ・スヨンのフェザー級戦がメインで組まれている。元Road FCバンタム級王者で韓国一の猛者と目されながらRoad to UFCでは計量失敗で敗退。階級を上げてBlack Combatで戦うキム・ミンウと、Black Combatでライト級&フェザー級、さらにバンタム級と3階級を制したユ・スヨンの一戦は、PPV級のスーパーファイトといえる。

(C)DEEP

気になるのはユ・スヨンのコンディションだ。

ユ・スヨンは昨年12月21日のNAIZA FC56でダスタン・アマンゲルジにTKO負けを喫してから、インターバルは僅か1カ月でキム・ミンウという実力差と対峙することになる。ボディを効かされての負けではあったが、メンタル面と肉体の消耗度を考えるとキム・ミンウ有利と見るのが妥当か。

いずれにせよ、アジアを代表するファイター同士の対戦はDEEP勢が絡まなくても日本のMMAファンにとっても必見といえる。

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『DEEP JEWELS 43』試合結果

ゴング格闘技 2024年 1月号 [雑誌]


第10試合 メインイベント DEEP JEWELSストロー級暫定王者決定戦 5分3R
○松田亜莉紗(BLOWS)
×万智(スポーツジム67’s)
判定3-2 (石川28-29/橋本29-28/島村29-28/植松28-29/豊永29-28)
※松田が王者に

第9試合 セミファイナル 49kg契約 5分2R
○須田萌里(SCORPION GYM)
×彩綺(フリー)
1R 0’49” 腕ひしぎ十字固め

第8試合 フライ級 5分2R
○栗山 葵(SMOKER GYM)
×斎藤百瑚(EXFIGHT)
1R 2’51” TKO (レフェリーストップ:左フック→グラウンドパンチ)

第7試合 バンタム級 5分2R
○熊谷麻理奈(Trister Gym)
×Te-a[ティーエー](AACC)
判定3-0 (20-18/20-18/20-18)

第6試合 ミクロ級 5分2R
○山崎桃子(坂口道場一族)
×こゆき(Kyoto SEIKENKAI)
2R 4’27” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)

第5試合 フライ級 5分2R
○奥富夕夏(リバーサルジム新宿Me,We)
×谷山 瞳(パラエストラ柏)
判定3-0 (20-18/20-18/20-18)

第4試合 バンタム級 5分2R
○MANA(blooM)
×細谷ちーこ(ABLAZE八王子)
判定3-0 (○19-19/19-18/○19-19)

第3試合 無差別級 5分2R
○超弁慶(ガムランナック)
×ぽちゃんZ(パラエストラ東京/レグルス池袋)
判定3-0 (19-18/19-18/20-18)

第2試合 グラップリング 54kg契約 5分1R
○横瀬優愛[ゆあ](BELVA)
×あきび(ABLAZE八王子)
3’25 裸絞め

第1試合 ミクロ級 5分2R
○ジャカ季美香(SONIC SQUAD)
×チャッキールビ(大阪SEIKENKAI)
判定3-0 (○19-19/○19-19/○19-19)

オープニングファイト アマチュアSPルール 50kg契約 3分2R
○サラ(FIGHT BASE都立大)
×横瀬美愛(BELVA)
判定3-0

 11月23日にニューピアホールで開催された『DEEP JEWELS 43』の試合結果。メインイベントのストロー級暫定王者決定戦は松田亜莉紗が万智に判定勝ちし王座戴冠。セミファイナルは須田萌里が彩綺に1Rアームバーで勝利しています。続きを読む・・・
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【DEEP JEWELS43】須田がTDできずも、彩綺が差し上げてきた右腕を抱えて引き込み腕十字を極める

<49キロ以下契約/5分3R>
須田萌里(日本)
Def.1R0分49秒 by 腕十字
彩綺(日本)

左前蹴りを伸ばす彩綺との距離を詰めた須田が、ニータップからケージに押し込む。彩綺が右腕を差し上げると、須田がウィザーから彩綺の右腕を抱えながら引き込んで腕十字へ。彩綺を仰向けにして腕を伸ばし、タップを奪った。


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【DEEP】速報中!DEEP JEWELS 43

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2023年の勤労感謝の日はDEEPの日。昼の部はDEEP JEWELS 43が浜松町のニューピアホールで開催されます。メインは松田亜莉紗(BLOWS)×万智(スポーツジム67’s)のストロー級暫定王者決定戦。さらには須田萌里(SCORPION GYM)×彩綺(フリー)、栗山葵(SMOKER GYM)×斎藤百瑚(EXFIGHT)というRIZINにも直結しそうなアンダーカードも見どころ充分。本日も電波と充電の続く限り速報します。乱筆乱文にはご容赦くださいませ。


【オープニングファイト アマチュアSPルール 50kg契約】
◯サラ(FIGHT BASE都立大)
(判定3-0)
×横瀬美愛(BELVA)
1R、開始直後にサラの蹴りを掴んだ横瀬。グラウンドになるとサラがスルスルとバックに周る。立ち上がる横瀬の背中に張り付いてチョークを狙うが、横瀬はディフェンスを固めてラウンドを終えた。
2R、開始直後に横瀬がタックルでテイクダウン。少し膠着すると横瀬は足関節を狙う。しかしサラは冷静に対処して上になる。だが横瀬もすぐに立ち上がり、最後はテイクダウンして試合終了。判定はサラに軍配。


【第1試合 ミクロ級】
◯ジャカ季美香(SONIC SQUAD)
(判定3-0)
×チャッキールビ(大阪SEIKENKAI)
1R、遠めの距離からジャブ、ローを当てるジャカ。組みつくと足を掛けてテイクダウン。パスを狙うが試合は膠着。ルビは時間をかけて立ち上がると差し合い。またもジャカがテイクダウンするが一回転してルビが上になってラウンドを終えた。
2R、一転してスタンドの展開。リーチで勝るジャカは距離を取ってロー、ジャブを当てる。対するルビは距離を詰めるとフックを振るって1発を狙う展開。お互いに単発でヒットさせるが決定的な場面がないまま試合終了。判定はジャカに軍配。


【第2試合 グラップリング 54kg契約】
◯横瀬優愛(BELVA)
(1R チョーク)
×あきび(ABLAZE八王子)
1R、開始と同時に座り込んでグラウンドに誘うあきぴ。横瀬は付き合ってパスを狙う。すぐにマウントを奪うがあきぴも必死でディフェンス。スイープを仕掛けるが横瀬は再びマウントから三角を狙いつつバックに周るとチョーク。ガッチリ極まって横瀬の一本勝ち!


【第3試合 無差別級】
◯超弁慶(ガムランナック)
(判定3-0)
×ぽちゃんZ(パラエストラ東京/レグルス池袋)
1R、序盤は距離を置いたスタンドの展開。互いにパンチを振るう場面はあったが見せ場のないまま試合は進行。終盤にはパンチの交差から差し合いになるが膠着してラウンド終了。
2R、またしても距離を置いたスタンドの展開。パンチの交差からバランスを崩したぽちゃんを超弁慶がテイクダウン。そのままグラウンドをコントロール。マウント→バック→マウントとポジションを移行。パウンドであわやの場面を作って試合終了。判定は超弁慶に軍配。
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【DEEP Tokyo Impact2023#06】ハリーKIMURA戦へ、赤沢幸典─02─「試合に向けて何もやっていない」

【写真】107.2キロで計量をパスした。Nariagari対抗戦の時は105.9キロだったが、昨日の計量の方が仕上がっているボディに。昨年11月の酒井リョウ戦の時は122.2キロだった(C)MMAPLANET

23日(木・祝)、東京都港区のニューピアホールで開催されるDEEP Tokyo Impact2023#06で、ハリーKIMURAと対戦する赤沢幸典のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

山田崇太郎の下でトレーニングを開始した赤沢は、練習や試合の中で肉体の機能面でも大きな変化を感じていたという。2連敗からNARIAGARIとの対抗戦を経て、国際戦に挑む今大会――機能が向上したからこそ、やることはシンプルに。赤沢が包み隠さず次の試合について語ってくれた。

<赤沢幸典インタビューPart.01はコチラから>


――4月1日から肉体改造を始めて、23~24キロ落ちたのはいつ頃ですか。

「確か始めてから3カ月ぐらい経ったあたりですね」

――ということは、7月にDEEP×NARIAGARIの対抗戦で、朝太選手に勝利した時にはトレーニングの効果が出ていたのでしょうか。対戦相手との実力差もあり、過去の試合と比較するのは難しいかもしれませんが……。

「いえ、それが効果は出ていたんですよ。試合映像を視直していただければ分かるのですが、テイクダウンに行った時の初動がかなり速かったです。特に重量級ファイターの中では、かなり速いほうではないかと思います。しかも遠い距離からスパン!と入ることができて、山田さんトレーニングの効果を感じることができました」

――なるほど。試合当日だけでなく、試合に向けた練習の中でも効果は感じていましたか。

「はい。GENでの練習でいえば、重量級は通常のスパーリングでも一本やって一本休むか、頑張って二本やって一本休む――といった感じだと思うんですね。それがNARIAGARIとの対抗戦の前は、一本5分で7~8本連続でスパーしていました。しかも岡見さんや水野(竜也)さんといった日本重量級のトップファイターを相手に、全ラウンドでテイクダウンすることができて」

――ハッキリと効果が出ていますね。山田トレーナーの指導は、週何回のペースで受けているのでしょうか。

「週3~4ぐらいですね。だけど実質的には、週7でやっていると思ってください」

――週7でトレーニング!?

「これを言うと信じてもらえなかったり、あとは『赤沢は頭がおかしくなったのか?』と言われたりするんですけど(笑)。今、オフの日はないです。週末も有酸素運動というか、4時間ぐらい歩いていますね。

今回のファイトキャンプ期間って、土日は山田さんのトレーニングを休む代わりに4時間歩いていました。土曜日に4時間、日曜日に4時間――と。住んでいる幕張から千葉駅前のスタバでレギュラーコーヒーを買って、幕張まで帰るという(笑)。そんな嘘のような本当の話です」

――えぇっ!? 幕張駅から千葉駅まで約8キロありますから……それは岡見選手も、おだてる意味ではなく本当の気持ちとして「今の赤沢のトレーニングはこなせない」と仰ったのかもしれませんね。ではNARIAGARIとの対抗戦以降も、トレーニングの成果を感じ続けている状態なのですか。

「それは感じていますね。4月からNARIAGARIとの対抗戦まで、僕の人生で一番キツい期間だと思っていました――あの時は。でも、そんなことはなかったんんだなって(笑)」

――今はもっとキツくなっているということですね。

「土日、オフの日も無くなってしまいましたから。あとは山田さんから『練習もするけど、ケアもしろ』と言われたんですよ。今は練習と同じぐらいの時間をケアに充てています。結果、1日が練習とケアだけで終わるようになっていて」

――お話を聞いていると、今MMAをやっていて楽しいのではないですか。

「これは本当に、メチャクチャ楽しいです。これまでの間、何度も山田さんとも衝突しました。山田さんは僕を強くするために妥協がない。でも僕は山田さんに励ましてほしいとか、そういうものを求めていて……。すると、ある時に山田さんから説教を食らったんですよ。

『お前は慰めてくれる仲間が欲しいのか? 慰めてほしいなら慰めてやるけど、それが本当に欲しいものなのか。お前は厳しいことを言われて勝つのと、慰めてもらいながら負けるのは、どっちが良い?』と。僕の中でも『そうだ、違うよな』と思うようになって。そんな感じで、メンタルの面でも山田さんにお世話になっています」

――何歳になっても新しい発見がある。MMAというものは奥が深いですね。

「本当にそう思います。いろんな要素があっても実際にやるべきことは、すごくシンプルで。試合前にタネ明かしをしてしまいますけど、実は今回の試合に向けて何もやっていないんですよ」

――それは対策練習を行っていないという意味ですか。

「はい。シンプルに打撃をやって組み、テイクダウンしてパウンドを落とす。ただただソレだけをやっていて、だからこそ自信があるというか。肉体の機能が上がったことで、自分が思っていることを具現化できるようにもなりました」

――まさに電池が100パーセントに近づき、もともと存在していた機能を使えている状態になっているわけですね。

「そうです。あとは、あえて減らす作業といいますか――僕は器用であるがゆえに、『これを試してみよう。あれも試してみよう』と考えていたと思います。でも今は、あえて他のことには目を向けずに2、3個のことしかやらない。やることを減らす、使わないものを減らしていくという作業もやっています」

――それだけ大きな変化をもたらした要因として、ブラックコンバットの対抗戦もそうですし、昨年11月の酒井リョウ戦での敗北は大きかったのでしょうか。

「あの2連敗で『もう終わったな』と思いました。ベルトを巻くチャンスを逃して、次に自分からブラックコンバットとの対抗戦に出たいと言っておいて――せっかくメンバーに入れてもらって、しかも2勝2敗で迎えた最後の試合だったじゃないですか。最も自分が目立てる場面であったにも関わらず、一番やっちゃいけない負け方で」

――……。

「あの場面で、ガス欠で負けてしまった。ネットでアンチコメントも見ましたし、『もう引退しろ』という声も耳にしました。『指導者をしていたほうが良いんじゃない?』とも言われましたし、実際に自分でもそう思ったり……。でも、ふと考えたんですよね。『ここで辞めるなら、なぜカナダから日本に戻ってきたんだよ』と。そう考えている自分の前に、山田さんがいました」

――31歳で新たなトレーニングも始めて、今は生まれ変わったと言えるのでしょうか。

「う~ん……あんまり大きな発言をすると何か言われそうで、正直怖いです(苦笑)。自分は生まれ変わったかもしれません。でも、まだ100パーセントじゃない。完全体ではないけれど、順調に『やりたいことができる』肉体に変化していると思います」

――その変化を見せつける相手、ハリーKIMURA選手の印象を教えてください。

「嫌な相手ですよね。僕の中で『テイクダウンしたら勝てる』という自信が深まっているなかで、テイクダウンしてからのほうが危ない相手ですから。体もしっかり出来ていて、ただのヘビー級ではないし、いろんなところからキムラを狙ってくるのは怖いですね。

相手がどう考えているかは分からないけど、僕が組まずに距離を取って打撃で勝負すると思っているかもしれないです。でも、その戦い方を選択してしまったら、自分が自分ではないというか。『結局、相手に合わせているじゃん』と思われてしまう。だから今回は、あえて自分の強いところで勝負します。打撃からテイクダウン、そしてパウンド—―これだけですね」

■DEEP TOKYO IMPACTO2023#06視聴方法(予定)
11月23日(木・祝)
午後5時5分~DEEP チャンネル-YouTube

■DEEP TOKYO IMPACTO2023#06計量結果

<メガトン級/5分3R>
水野竜也:103.15キロ
SAINT:111.2キロ

<メガトン級/5分3R>
赤沢幸典:107.2キロ
ハリーKIMURA:──キロ

<メガトン級/5分2R>
稲田将:104.3キロ
トーマス:107.2キロ

<ウェルター級/5分2R>
嶋田伊吹:77.55キロ
鈴木琢仁:77.4キロ

<フライ級/5分2R>
島袋チカラ:56.75キロ
京之介:57.15キロ

<フライ級/5分2R>
安永吏成:57.05キロ
坂本岳:57.05キロ

<ウェルター級/5分2R>
前田啓伍:77.15キロ
山田聖真:77.15キロ

<バンタム級/5分2R>
岩見凌:61.45キロ
生田大雅:61.35キロ

<ライト級/5分2R>
BAGGIO:──キロ
宮本誠一:70.2キロ

<メガトン級/5分2R>
JUICY:74.05キロ
Peach:──キロ

<アマチュア・キック52キロ契約/1分30秒2R>
横江明日香:51.6キロ
島村優花:51.5キロ

<アマチュア・フェザー級/3分2R>
森下智紀:65,4キロ
島次亜瑠:65.55キロ


■DEEP JEWELS43視聴方法(予定)
11月23日(木・祝)
午後12時15分~DEEP チャンネル-YouTube、サムライTV、U-NEXT

■DEEP JEWELS43計量結果

<DEEP JEWELS暫定ストロー級王座決定戦/5分3R>
松田亜莉紗:51.95キロ
万智:52.1キロ

<49キロ以下契約/5分3R>
須田萌里:48.55キロ
彩綺:48.7キロ

<フライ級/5分2R>
栗山葵:56.5キロ
斎藤百瑚:56.95キロ

<バンタム級/5分2R>
熊谷麻理奈:61.2キロ
Te-a:60.1キロ

<ミクロ級/5分2R>
山崎桃子:44.05キロ
こゆき:43.95キロ

<フライ級/5分2R>
奥富夕夏:56.75キロ
谷山瞳:56.15キロ

<バンタム級/5分2R>
MANA:60.8キロ
細谷ちーこ:61.3キロ

<無差別級/5分2R>
超弁慶:──キロ
ぽちゃん Z:73.8キロ

<グラップリング54キロ契約/5分1R>
横瀬優愛:53.5キロ
あきぴ:52.2キロ

<ミクロ級/5分2R>
ジャカ季美香:44.2キロ
チャッキールビ:44.35キロ

<アマ・50キロ契約/3分2R>
サラ:49.45キロ
横瀬美愛:49.65キロ

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【RIZIN LANDMAR07&DEEP JEWELS43】渡辺戦振り返り「ツンデレ」&松田戦展望「上を取る」──万智

【写真】4連勝のドヤ顔(C)MMAPLANET

10月1日(日)に愛知県名古屋市中区のドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)で開催されたRIZIN LANDMARK06で、万智が因縁の渡辺彩華戦でスプリット判定勝ちを収めた。
Text by Manabu Takashima

そして間髪入れずに23日(木・祝)に港区ニューピアホールで開かれるDEEP JEWELS43で松田亜莉紗とDEEP JEWELS暫定ストロー級王座決定戦で戦うことが発表された。

自ら喧嘩を売った形で始まった渡辺とキャリア4戦目とは思えない攻防を繰り広げて勝利した万智は、あの試合で自信と得ると同時に課題を見出していた。そして、このタフな試合を経験したことで、松田戦とベルト奪取への自信を深めていた(※取材は10月21日に行われた)。


――改めてですが、渡辺選手との試合に勝って手に出来たモノは何でしょうか。

「自信です。あの試合は自信になりましたね。3Rをフルで戦い切れたこととストライカーを相手に組みに行けたことです。組めずに殴られ続けることも、考えていたので……。何気に自分も打撃もちょっと当たって」

──初めてのRIZIN。大会場で固くなることは?

「緊張しなくて、めっちゃ楽しかったです。絶対に勝たないといけない試合だったのに、なぜか楽しもうっていう気持ちになって。RIZINは自分の憧れていた場所だから、ここで絶対に勝たないといけないと思っていて」

──DEEP✖修斗だからではなくて?

「そういうのも一応ありますけど、RIZINという場だし。煽られていたのもあって」

──いやいやいや、それは……。

「自分が言ったから、煽られたんですけどね(笑)。でも今度からはちゃんと考えて喋ろうと思います。適当に喋っているから、そんなに深く考えていないことも凄く真剣に捉えられてしまって」

──適当に(笑)。

「アハハハハ。ちゃんと考えて、話そうと思います」

──では試合内容に関して質問しますので、しっかりと考えて返答してください(笑)。

「ハイ(笑)」

──組むところまでいっても、クリーンテイクダウンはなかなかできなかった。焦りはなかったですか。

(C)RIZIN FF

「全然、心は折れなかったです。

触れたことで安心できました。打撃も当たるし、触ることができる。

(C)RIZIN FF

つまり、距離は合っているんだと思えたので。

3Rは結構、体力的にはきつかったんですが……で、質問なんでしたっけ(笑)」

──テイクダウンできなくて、焦りはなかったかと……(苦笑)。

「あっ、ハイッ!! そこはもう普段から男の選手と練習をしていて、切られても組みつき続けるというのをやっているので。そこでキツイとか、焦ることはなかったです」

──ライス・ビースト手塚裕之選手と組み合ってきたぞ、と。

「ハイ。それに那須塩原のクロウフォレストでアマ修斗で戦っている男子選手とMMAのスパーリングをしているのも本当に今回の試合に役立ちました」

──自分も練習を見せてもらったのですが、10月15日の全日本アマ修斗で、菊池元選手はウェルター級、そして小磯圭佑選手はフライ級でプロライセンス取得推薦枠獲得者となっています。彼らも万智選手にテイクダウンを奪われてたまるかというスパーを繰り広げていました。

「あの前蹴りとか、マジで入れなくて……。半泣きになって練習していました。自分はあの子たちよりも打撃ができないから。それに男の子だし、上手いしパワーもついてきて。こっちは女なのに倒されてたまるかって、ガチでやってくるんですよっ!! 毎回、『はぁ、やりたくねぇ』って思いながらやっていて。

ホントにクロウフォレストであの子たちと練習するのがマジで嫌いで、行くのもめっちゃ嫌なんですけど。でも、本当に頑張らないといけないところで、あの前蹴り、ジャブ、ミドルに対して自分ができるのは組むことだけで。やられても、組みつく。クロウフォレストでやってきたことが、凄く今回の試合で役立ちました」

──そこは大きいですね。それでも大接戦でしたが、3Rを戦い終えて判定勝ちできるという自信は?

「何も考えていなかったです。取りあえず終わった、やり切ったと。でも判定でアッチに入った時に『あぁ』って思って。でも、自分に2つ入ったから(笑)」

──改めてどのような自信がつき、またどのような課題が残ったと思っていますか。

(C)RIZIN FF

「3Rで動きが急激に落ちたことは、反省点です。

それで打撃も当てられるようになって。疲れて、距離設定が鈍くなりました。1、2Rは相手が距離を掴めていなくて、組むことができていたいけど、3Rにそれができなかったのは疲れて、集中力が切れてきたからで」

──その疲れは、なぜ出たのでしょうか。

「1Rと2Rに頑張ったからです」

──2Rは中盤にテイクダウンからバック奪取。終盤も踏みつけ、サイド奪取と猛攻を仕掛けました。その反動もあったかと。ただし、アレがあって判定を取れたという見方もできますし。

(C)RIZIN FF

「そうなんです。アレは大きかったかなって。

顔を踏みつけにいったのは、印象良かったと思います」

──もう字面だけみると、もの凄く怖い印象を与えていると思います(笑)。

「アハハハハ。でも、大きな勝利です。本当に自信につながりました。打撃も当たりましたし。そこは自信というか、不安なところから抜け出せました。試合前は藤野(恵実)さん、黒部(三奈)さん、ライカさん、富松(恵美)さん……皆にやられ過ぎて打撃が嫌だという意識がついてしまっていたんです。

藤野さんには相手にならないぐらい、やられて。もともと苦手意識はパク(シウ)ちゃんとの練習で植え付けられちゃって。それで、もう恐怖症のまま練習で殴られて……。でも、試合で自分の打撃が当たったことで、そこから抜け出すことができました。打撃恐怖スランプ脱出です。それに……何だかんだと言って相手も戦績は変わらないけど、チャンピオンだし。一応、階級が下だったので負けるわけにいかなくて。結構、プレッシャーがあったんですよ」

──自分で蒔いた種かと(笑)。メディアって自分がいうのもなんですが、試合が注目されるなと思えば、そこを強調するものなので。

(C)RIZIN FF

「そうですね……。

あっちも乗って来たし……。でも、戦って分かりあえたかなって思います。渡辺選手はツンデレだから、そういう風には口にしないと思いますけど。私より6歳上なんで、お姉さんって感じを出そうとうするんですよ。まぁツンデレですね。私は戦っていて、分かりました(笑)。

あと試合後のインタビューで『もう一度戦いたい』って言ったんですけど、余り戦いたくないです……。こんなこと言うと、また怒られちゃいますね(爆)。やりたくない、勝ち逃げしたいです。アッハハハハハ」

──あのう……これ記事になると私が言わせていると思われるかもしれないですが、全く誘導していないですからね。そこは強調させていただきます(笑)。

「アハハハハ。でも、渡辺選手とだからできた試合だと思います。大会のベストバウトだと言ってくれる人も多くて。本当に渡辺選手としか、あんな感じの3Rの間ゴチャゴチャになる試合はできなかったと思っているので、そこは感謝です。ありがとうございます」

──現状、キャリア4戦目でも万智選手のテイクダウンを止めることができる選手が、国内にはどれだけ残っているのかと。

「でも、そんな風に褒められる試合じゃないと思っています。あそこで一本勝ちしないと、トップとは差がある。そう感じました。キャリアの少ない者同士だから、良い試合になっただけで。(伊澤)星花ちゃんやパクちゃんとは差があります」

──トップに向けて、試合の1週間後には11月23日に松田亜莉紗選手とDEEP JEWELS暫定ストロー級王座決定戦が組まれるという発表がありました。

「12月かと思っていましたけど、11月だからビックリしました。でも万智の目標は成人式までにベルトを取ることだったので。これが一番大切です。RIZINも一番だったけど、とにかくコレ。コレが私の本命です。コレが万智の今年の大一番です。会場の大きさなんて関係ないです。この試合を組んでもらえて、受けてくれた松田さんにも『ありがとうございます』です」

──松田選手とアマチュアで戦った時は54キロ契約でした。アマチュアで負けた事実を踏まえて、今の松田選手の印象は?

「凄くMMAができる──ジムで男の人とちゃんとしたMMAをやっている選手だと思います。基礎、基本、際の部分ができているMMAの選手です。それと正反対で、アマチュアの時の私は柔道しかできなかった。MMAで柔道をやっていて。それにバスターをやったり、グラウンドで殴るような反則までして。バックを取られるとか、松田さんは上手なMMAをやっていて、私は負けました」

──男子と比べると、今でも日本の女子MMAはベースとなる格闘技の強さがMMAの強さに比例していることが多いと思います。対して松田選手は、野球というアスリートとしての基礎があっても格闘技は真っ新だったことが強さに通じているかと。

「逆に私は柔道を悪い方に使って。あの試合で、首投げは止めました。首投げを卒業して、首を巻かない、必ずワキを差し、小手を巻くということをやっています。MMAって全然違うと。そこは梅田さんに教え込んでもらいました。壁しかやらないし、首を巻くことは絶対的にダメだと注意されて。

アマで松田さんと戦った時は梅田さんに習い始めたばかりで、そこが分かっていなかったです。柔道家が野球選手に負けないって正直、思っていたし。でも松田さんはちゃんとMMAをやってきたから」

──次の試合のルールが、あの時と同じであれば今の万智選手は圧倒的に強いと思います。ただし、松田選手がプロのケージで見せてきたのは、強烈なパウンドです。組みと合体したMMA打撃の威力は、すでに女子MMAの国内トップにあるかと。

「パウンドが凄いですね。メチャクチャ凄いです。ただプロデビュー戦の長野(美香)選手以外の対戦相手はそれほど強くない人とやっている……かと。だからこそ、渡辺選手との試合が役立ちました」

──なぜ、過去形に……。

「いや、役に立ちます(笑)。私は初戦でARAMIさん、2戦目でHIME選手、3戦目は韓国人選手(キム・ユジョン)。そして4戦目が渡辺選手。強い相手としかやっていないです」

──すっごくドヤ顔ですね(笑)。

「マジで過酷な人としか、当てられていません!! 渡辺選手との試合で、自分が上回れなかったのは柔道の技なんです。柔道の人に柔道の技を仕掛けて、効果がなかった。次の試合はもっとテイクダウンが取れるし、松田さんがやりたいことはできないです。

自分が下にならなければ、パウンドはない。壁で低く入っても、私はそのまま上に上げていくので。そこでも組みのパンチは打てないと思います」

──この試合で思う様な結果が出た場合、その先に何か見据えていますか。

「試合に関して言えば、この試合のことしか考えていないです。本当にベルトが欲しいので。ただ、この試合が終わればフィジカルを改善していきたいと思っています。階級を下げることも考えましたが、それだと世界に階級がない。いずれ、外国人と戦っていくための体創りはしようと考えています。筋肉がマジでないので、水抜きも下手くそで。そういう部分も改善していきたいんです」

──では最後に松田選手とのタイトル戦に向けて、意気込みの方をお願いします。

「今回は私がパウンドを打つ試合です」

■視聴方法(予定)
11月23日(木・祝)
午後12時15分~DEEP チャンネル-YouTube、サムライTV、U-NEXT

■DEEP JEWELS43対戦カード

<DEEP JEWELS暫定ストロー級王座決定戦/5分3R>
松田亜莉紗(日本)
万智(日本)

<49キロ以下契約/5分3R>
須田萌里(日本)
彩綺(日本)

<フライ級/5分2R>
栗山葵(日本)
斎藤百瑚(日本)

<バンタム級/5分2R>
熊谷麻理奈(日本)
Te-a(日本)

<ミクロ級/5分2R>
NØRI(日本)
斎藤百瑚(日本)

<ミクロ級/5分2R>
山崎桃子(日本)
こゆき(日本)

<フライ級/5分2R>
奥富夕夏(日本)
谷山瞳(日本)

<バンタム級/5分2R>
MANA(日本)
細谷ちーこ(日本)

<無差別級/5分2R>
超弁慶(日本)
ぽちゃん Z(日本)

<グラップリング54キロ契約/5分1R>
横瀬優愛(日本)
あきぴ(日本)

<ミクロ級/5分2R>
ジャカ季美香(日本)
チャッキールビ(日本)

<アマ・50キロ契約/3分2R>
サラ(日本)
横瀬美愛(日本)

<アマ49キロ契約/3分2R>
須田美咲(日本)
槇原未来(日本)

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【RIZIN LANDMARK06】渡辺彩華が振り返る─万智戦「修斗で2階級制覇し互いにベルトを巻いて再戦」

【写真】右目が大きく腫れていた渡辺(C)MMAPLANET

10月1日(日)に愛知県名古屋市中区のドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)で開催されたRIZIN LANDMARK06にて、渡辺彩華が万智に判定負けを喫した。
Text by Shojiro Kameike

渡辺にとってはMMAファイターを志すキッカケとなったRIZIN初出場――しかも地元・愛知県で開催された大会だった。敗れたものの激闘を展開した渡辺が試合を振り返るとともに、今後の目標について語ってくれた(※取材は10月16日に行われた)。


――リモートの画面が繋がった瞬間、驚きました。右目の腫れはどうしたのですか。

「右目の眼窩底骨折で入院、手術して昨日退院しました。このタイミングで取材というのは、MMAPLANETさんは持っていますよ。アハハハ」

――笑いごとでは……そんな時にインタビューを受けていただき、ありがとうございます。

「MMAPLANETさんだから、インタビューを受けることにしたんですよ! ……なんて、あえて言っておきます(笑)。万智戦の前から右目は負傷していました。実は試合前のインタビューの時も、右目の調子は良くなかったんです。さらに試合で3Rに左フックをもらってから二重に見えるようになったので、試合後に病院へ行くと『格闘技は引退しますか?』と聞かれて。私は続けたいから手術することになりました」

――えっ!? 驚くことが多すぎて、こちらも頭の中を整理できていません。

「まず試合の2カ月前から右目の異常は感じていて、治療はしていました。まだ万智戦が確定していなかったけど、なんとなく出場の話は来ていて――私としては『地元の愛知県で開催されるRIZINには絶対に出る』と決めていました。相手が誰でも、階級が違っていても関係ない。だから右目の負傷が悪化しないように、スパーリングや激しい練習はしていませんでした。でも、できる限りのことはやっていたので、別に悔いはないです。万智戦は、そんな状況でも頑張ったなぁっていう感じですね(笑)」

――今はそれだけ笑顔で語ることができるなら良かったです。ただ、RIZIN名古屋大会に対しては「負傷していても絶対に出る」という気持ちが大きかったのですね。

「はい。私が無名の頃から応援してくださっている方、スポンサーの方たちは地元の愛知県に多いんです。そういう方たちにできる最大の恩返しって何かといえば、今の私にとっては愛知県で大きなイベントに出場することであって。修斗のベルトを獲ったのが5月で、RIZIN LAMDMARKが10月――スケジュール上はうまくハマるなと考えていました」

――それだけの想いを持って挑んだ万智戦について振り返っていただきたいと思います。まず契約体重が普段のスーパーアトム級ではなくストロー級でしたが、調整には何か影響がありましたか。

「調整は何も問題なくて、試合内容も――今回が初めてMMAの試合になったと思います」

――今回が初めてのMMA、というのは?

「私って今まで、キックボクシングのような試合をしていたんですよ。とにかく殴って蹴ることが中心で。でも今回はストロー級の試合で、万智選手はストロー級の中でもフィジカルが強いほうじゃないですか。その選手に組まれても、意外に対応できたと思います。万智選手の得意なポジションに持ち込まれても冷静に対処できましたから。去年のプロデビュー戦で藤野恵実戦に負けた時よりは、自分の中では手応えを感じています。この1年で成長できているなって思いました」

――敗れたとはいえ渡辺選手のテイクダウンディフェンスや、寝かされても立ち上がる動きが目立っていました。あれほど組まれてもスルッと抜けて離れる、あるいは立ち上がる。それは今までも練習していたことなのか。あるいは万智戦に向けて練習してきたことだったのでしょうか。

「それほど練習で壁に押し込まれることがないんですよ。練習相手から打撃のプレッシャーを感じることが少ないので。もちろん練習だから、相手がテイクダウンのアクションを起こしても、一度こちらがカットしてしまえば続けないですし。

(C)RIZIN FF

ただ、試合では最初から万智選手が組んでくると思っていました。

でも遠い距離で攻めて来たことは誤算でしたね。もっと打撃を散らしながら距離を詰めてくると考えていたけど、遠い距離から左ミドルハイを出して、そこから組みに来たじゃないですか」

――万智選手の蹴りから試合が動きましたね。

「そうなんです。最初は私のパンチに合わせて組みに来ると思っていました。でも万智選手が左ミドルハイを出して、パンチよりも遠い距離から入ってくる。それは私の蹴りの距離でもあり、自分がパンチだけでなく蹴りを出しても入ってくるわけで――組みのプレッシャーがあって1R、2Rはやりづらかったです。

(C)RIZIN FF

もともと万智選手が私の蹴り足を狙っていることは分かっていました。

そこにプラス、私にとっては相手の打撃にも注意しなければいけなくなっていた。そのために私が不利な体勢で組まれてしまい、ケージに押し込まれてしまったということですね」

(C)RIZIN FF

――ケージ際での差し合いではブレイクが掛かりました。

あの状態はブレイク待ちだったのですか。それとも万智選手の組みから抜け出せずにいたらブレイクが掛かった、という状況だったのでしょうか。

「最初は抜け出したかったです。組んでいても、テイクダウンされるほどではないなと感じて。ただ、思っていたよりも万智選手のクラッチが強くて、『どうしようかな……』と考えていたところでした。何もしなかったら印象は悪くなってしまうので、私のほうからアクションは起こす。でもクラッチを切ることができない。だから最後はブレイク待ちでした。結局、1Rは私のやりたい距離で戦えていなかったです。ずっとやりづらさを感じていて――どうしようかな、とインターバル中に考えていました」

――いかにして状況を打開すべきなのか。インターバル中に結論は出たのですか。

「まず『組まれてはいけない』と、それだけでした。テイクダウンされることはないけど、組まれたらクラッチを切ることができないので。そうなると押し込まれて、自分が思っているような試合はできなくなってしまう。私にとって、こういう試合は初めてだったんですよ。打撃戦ではなく、組みの展開でやりたいことをやらせてもらっていない。『どうしよう?』という状態で2Rに入りました」

――2Rに入ると、万智選手が距離を変えてきたのではないですか。

「近い距離から組んでくるようになりました。とにかく、やりづらい。万智選手が目指すのは、寝かせて極めることだったと思うんです。そのために、まずは組む――ということにフォーカスしていて。そのフォーカスに対してブレがなかったんでしょうね。こちらの打撃には一切付き合わずに、とにかく組むという覚悟が強かったような気がします。万智選手って今までの試合を視ても、自分のやりたいことを押し通してくるタイプじゃないですか。1Rと2Rは、そういう万智選手の強さを感じました」

――2Rに入ると、渡辺選手が組まれても離れることができるようになり、徐々に自分の展開に引き込み始めていたのではないでしょうか。

「1Rよりは、だいぶ動けるようになっていました。相手の組みのプレッシャーとテイクダウンのレベルは1Rで把握したので、自分の中でも『これなら大丈夫』という安心感が生まれていたんですよ。だから少しずつ自分がやりたいことを出せていたのが、2Rの前半です。

(C)RIZIN FF

でも2Rの後半に、自分が蹴った時にタイミングが悪くて、そのままコケてしまいました。

もともと組みに関しては、万智選手が得意なのはバックテイクと、その後の展開ですよね。

(C)RIZIN FF

だから組まれてもバックに回られていなければ――という考えはありました。なのに2Rの最後で、上から踏みつけられるとか印象が悪い状態で終わってしまいましたよね」

――結果、2R終了後のインターバルでは……。

「3Rにフィニッシュするしかない、と思いました。修斗のチャンピオンとして出場して、こんなツマラナイ試合で負けたくないし……と」

――ご自身の中では「ツマラナイ試合」だと感じていたのですか。日本女子MMAの歴史を振り返ってみても、プロキャリア4~5戦目の女子選手が、あれだけのMMAを展開するとは考えていなかったです。それだけ予想をはるかに上回る展開でした。

「えー、そうだったんですね。私としては『とにかく3Rは行くしかない』としか考えていなくて。『極められるもんなら極めてみろよ』と。そんな感じで私の気持ちがハイになった時、ファイターとして万智選手の気持ちと交錯したような気がするんですよ。だから私も『来いよ!』ってアピールしたり(笑)

私自身が『ここで行くしかない!』と思った時に、万智選手もテイクダウンに来ることができる覚悟があって――どんな状況になっても、自分のやりたいことを遂行できる。試合が終わって、万智選手に対して『やっぱり皆に評価される選手なんだな』って思いました」

――2-1で万智選手の勝利、という判定結果については?

「判定については妥当だと思いました。むしろ私につくんだと感じたぐらいで。私としては、1Rと2Rはツマラナイ試合でしたし。それでも評価してくれるジャッジがいて、ちょっと嬉しかったです(笑)」

――結果、ゴキブリ呼ばわりしていた万智選手とは気持ちが通じ合えたわけですね。

(C)RIZIN FF

「通じ合えましたけど、嫌いなのは変わらないです」

――えぇっ!?

「みんな試合前はいろいろ言っていても、試合をしたら『ありがとう』って仲良くなったりするじゃないですか。もちろん万智選手に対して『試合してくれて、ありがとう』という気持ちはあります。でも、嫌いなんですよ。試合前と印象は変わりましたけどね。もっとブッ飛んでいる子かと思っていたら、思っていたよりも人間で」

――思っていたよりも人間だった! 凄い表現ですね(苦笑)。

「ファイターとしての強さは感じました。意外と冷静に戦うタイプで、だから――再戦すれば勝てます。やっぱり私の中でラスボス感があるのは、藤野恵実さんで。藤野さんとの再戦までは無敗でいく、というのが私のシンデレラストーリーでした。でも組まれる相手がどんどん強くなっていくなかで、そう簡単にはいかないものだなって思いました」

――藤野選手にラスボス感があるのは、何となく分かります。

「最後に倒すべき相手は藤野さんというのは、万智選手に負けたあとも変わらないです。今、藤野さんは修斗の女子ストロー級インフィニティ・リーグに参戦しているじゃないですか。同じチームの杉本恵さんも出ていますけど、もし藤野さんが優勝したらストロー級で再戦して、勝って2階級制覇したいです」

――今後の修斗での展開にも注目ですね。では改めて万智戦を振り返って、どのような感想をお持ちですか。

「良い試合だったと言ってもらえるのは嬉しいです。お互いにまだ粗いところがあって、その粗さが噛み合ったというか。万智選手は次、DEEP JEWELSのストロー級タイトルマッチが決まっているじゃないですか(23日、松田亜莉紗との同ストロー級暫定王座決定戦に臨む)。そこでベルトを獲ってもらって、私も修斗で2階級制覇したあと――すぐじゃなくて何年かあとに、お互いにベルトを巻いた状態で再戦したいですね」

――それは夢が膨らむストーリーです。

「試合直後にも万智選手に言ったんですよ。『また試合してね』と言ったら、『もうやりたくないです!』って――いやいや、絶対に勝ち逃げさせませんよ。まぁ、再戦で私が勝ったら勝ち逃げしますけど(笑)。再戦で勝った直後に、マイクを握って『万智、仲良くしようぜ!』と言って、1勝1敗でも3度目の対決はしません」

――……実際は万智選手と仲良くなりたいのではないですか(笑)。

「SNSでは『この2人はMMAで出会っていなかったら、仲良くなっているよな』って書かれていました(笑)。いやいや、お互いにMMAやっていなかったら出会っていません!」

――だからこそ、そんな2人が出会えたことがMMAの奇跡なのだと思います。

「たぶん万智選手は、私のことを好きですよ。試合後にSNSでコメントすると、『IGLOOの練習で待っています!』とか送ってくるから、『行かない。嫌い』と返信して。あと試合でもクラッチがメチャクチャ強かったのは、私を抱きしめたかったからじゃないですか。人生で一番ギューッと抱きしめられましたもん。でもね、その気持ちは一方通行の恋で終わります。私は万智選手を嫌いだから!」

■視聴方法(予定)
11月23日(木・祝)
午後12時15分~DEEP チャンネル-YouTube、サムライTV、U-NEXT

■DEEP JEWELS43対戦カード

<DEEP JEWELS暫定ストロー級王座決定戦/5分3R>
松田亜莉紗(日本)
万智(日本)

<49キロ以下契約/5分3R>
須田萌里(日本)
彩綺(日本)

<フライ級/5分2R>
栗山葵(日本)
斎藤百瑚(日本)

<バンタム級/5分2R>
熊谷麻理奈(日本)
Te-a(日本)

<ミクロ級/5分2R>
NØRI(日本)
斎藤百瑚(日本)

<ミクロ級/5分2R>
山崎桃子(日本)
こゆき(日本)

<フライ級/5分2R>
奥富夕夏(日本)
谷山瞳(日本)

<バンタム級/5分2R>
MANA(日本)
細谷ちーこ(日本)

<無差別級/5分2R>
超弁慶(日本)
ぽちゃん Z(日本)

<グラップリング54キロ契約/5分1R>
横瀬優愛(日本)
あきぴ(日本)

<ミクロ級/5分2R>
ジャカ季美香(日本)
チャッキールビ(日本)

<アマ・50キロ契約/3分2R>
サラ(日本)
横瀬美愛(日本)

<アマ49キロ契約/3分2R>
須田美咲(日本)
槇原未来(日本)

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