【写真】9月のDEEP参戦時も圧勝したBlack Combat勢の末席にちょんと座っているような感じのパク・シユンだったが、結構言うことを言う選手でした (C)MMAPLANET
20日(土・現地時間)にソウル・ソンブク区にある高麗大学校(コリョ・テハッキョ)ファジョン体育館(チェユックァン)でBlack Combat10「Night in Seoul」が開催される。日本から山本聖悟、中村大介、大原樹理、駒杵嵩大らと現地に乗り込んでくる須田萌里を相手にBlack Combat女子アトム級王座防衛戦に臨むが、パク・シユンだ。
Text by Manabu Takashima
昨年9月のDEEP vs Black Combat対抗戦で。圧倒的な不利と見られた大島沙緒里戦で判定勝ちし、DEEP JEWELSとBlack Combatのアトム級二冠となった。その時に見せた涙、そして取材中の言葉も少なく笑顔を絶やさない彼女が、地元での須田戦を前に少し違った一面を見せるようになっていた。
──10月にインタビューをさせていただいた時、パン・テヒョク館長が伊澤星花選手との対戦を期待し、同時に絶対の自信を持っていましたが、今回は須田萌里選手の挑戦を受けることになりました。
「私も伊澤選手と戦いたかったのですが、須田選手と戦うことになりました。須田選手は強いグラップラーですし、油断せずに試合に臨もうと思います。そして、ここで勝って伊澤選手と戦いたいと思っています」
――今回は館長がいないので、しっかりとパク・シユン選手の声をファンに届けられればと思います。
「いつも、インタビューでは話が下手な私の代わりに館長が話してくれますが、今日はもう練習がしんどくて家に帰りたいと思って……自宅で1人でインタビューを受けています(笑)」
――試合が1週間後に迫ってきましたが、ソウルの気候はいかがですか(※取材は13日に行われた)。
「ソウルは凄く寒いです。家のなかでも分厚い服を着ています」
――日本は暖冬なので、その寒さになれている韓国人選手には地の利がありますね。
「天候は私が何かできることではなく、自然の力なのですが、それで相手が風邪をひいてくれるなら私にとって有利になりますよね(笑)」
――須田選手が挑戦者になることは、想定していましたか。
「大島(沙緒里)選手と伊澤選手以外はほとんど知らなかったので、試合をすることになってから映像を確認しました」
――どのような印象を持ちましたか。
「10秒も試合を視れば、私には通用しない――大島選手より全然弱いと思いました。グラップリングばかりで、問題なく勝てるという自信があります」
――えっ、大島選手のようなフィジカルはまだないかもしれないですが、柔術的な寝技は日本の女子MMAファイターのなかでトップクラスかと思うのですが。
「彼女は道着を着て戦うと、もっと強いと思います。でも、道着を着ていないMMAのグラップリングの動きは自分の方が上です。危ないだとか、危険というレベルにはないです。須田選手の勝利は腕十字が多いですが、相手は弱い選手ばかりでした。本当に強い選手とは戦った時は、極めることができていない。あの腕十字は私には通用しないです」
――先日のインタビューの時に、館長の隣でずっと笑っていたパク・シユン選手ですが、相当にぶっ放す人だったのですね。
「アハハハハ。笑って話してはいるのですが、本当はこういう人間なんです(笑)」
――館長からカンペが送られてきていないですよね(笑)。
「ハハハハ。普段は良い子だとか言われるのですが、試合前になるとまた違う私がいるのだと思います」
――なるほど(笑)。須田選手の寝技に対して、付き合っても上なのか。付き合わないで遮断するから上なのか。どのように考えていますか。
「私のストロングポイントはレスリングです。レスリングからグラウンドという流れでも、そこは変わりません。正直、スタンドでも負ける気はしないですが、自分の得意なテイクダウンからの極めで一本勝ちしたいと思っています」
――大島戦ではレスリングを防御面で使っていましたが、今回は攻めのレスリングに期待して良いということですね。
「大島選手との戦いは、そういう作戦だったので。今回の試合はガンガン、自分から攻撃してテイクダウン、サブミッションとアグレッシブに戦います」
――日本で戦った時すらBlack Combatのホームのような応援団がいました。今回は正真正銘の地元での試合です。ソウルで日本人選手を迎え撃つのは、どのような気持ちなのでしょうか。
「応援団の人達が日本にたくさん来てくれていましたが、海外での試合には変わりなかったです。だから恐怖心も心配事もありました。でもソウルで戦うことで恐怖心は一切なく、ワクワクする気持ちでいっぱいです」
――日本ではホテルから計量、試合ということでしたが、ソウルで戦う場合は自宅から試合に向かうのですか。
「計量の日はホテルに泊まることになると思います。私はソウルに住んでいても、試合会場と家は離れています。だから渋滞のことなどを考えると、試合前にホテルで宿泊できて良かったです」
――Black CombatとDEEP Jewelsの王者、日本人選手だけでなく韓国人選手のターゲットにもなっているかと思います。
「本当に韓国には女子選手が少なくて実力差も多く、引退する選手も多いです。なので韓国の女子選手には興味がないです。日本の方が強い選手が多いので、日本人選手と戦ってきたいです」
――須田選手はパク・ジョンウン選手と戦ってTKO負けでした。韓国のトップの選手と須田戦の内容で比較されるかと思いますが、その辺りはどのように考えていますか。
「パク・ジョンウン選手はどちらかという打撃系、ストライカーです。その強みを生かして、須田選手をKOしました。でも自分は打撃も使いますが、やはりグラップラーです。レスリングからグラップリング、パウンドやサブミッションという圧倒的な流れで、強さを見せます。須田選手に何もさせないで勝てると思うので、そこはパク・ジョンウン選手とは違う部分です」
――RIZINに出たい。その希望を実現させるには、直接戦っていなくても同階級の韓国人選手もライバルかと思います。
「う~ん、何といって良いのか……私の方が圧倒的に勝てるので……。韓国の女子選手はストライカーが多くて、寝技はあまり上手くないです。そのなかで私は他の選手とスタイルが違う、唯一無二のグラップラーなのでしっかりと試合内容でもアピールできると思っています」
――押忍。そのあたりも踏まえて、須田選手との王座防衛戦への意気込みをお願いします。
「とにかく、この大切な試合のために一生懸命練習をしてきました。この試合に勝って、3月に伊澤選手と戦いたいです。私は話すのが上手くなくて(苦笑)。自分で話していても、何を言っているのか分からなくなることがあります(笑)。その時までに日本語も勉強して、頑張っている姿でアピールしたいと思います」
■ Black Combat10対戦カード
<フェザー級/5分3R>
キム・ミンウ(韓国)
ユ・スヨン(韓国)
<Black Combatフライ級選手権試合/5分3R>
[王者]キム・ソンウン(韓国)
[挑戦者] 駒杵嵩大(日本)
<Black Combatフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者]シン・スンミン(韓国)
[挑戦者] ソン・ユチャン(韓国)
<Black Combat女子級選手権試合/5分3R>
[王者]パク・シユン(韓国)
[挑戦者] 須田萌里(日本)
<ライト級/5分3R>
大原樹理(日本)
ファン・ドユン(韓国)
<ライト級/5分3R>
キム・ソンジェ(韓国)
パク・ソンジュン(韓国)
<フェザー級/5分3R>
パク・チャンス(韓国)
中村大介(日本)
<フライ級/5分3R>
ジョン・ウォンヒ(韓国)
キム・ウジェ(韓国)
<バンタム級/5分3R>
山本聖悟(日本)
イ・ソンウォン(韓国)