【写真】黒部が頭を下げるところを狙っていたという前戦。強い打撃を生かすための冷静な判断力と当てきる技術がある(C)SUSUMU NAGAO/SUSTAIN
21日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催される女子修斗興行COLORSにて、修斗世界女子スーパーアトム級王者SARAMIに挑む渡辺彩華のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike
プロ4戦目で修斗王座に挑むこととなった渡辺。対戦相手は過去2試合の相手、藤野恵実と黒部三奈の練習仲間でもあるSARAMIだ。日本女子トップファイターとの連戦で、自身でも成長を感じているという渡辺が語るSARAMI戦への自信と、その先に見据えているものとは――。
<渡辺彩華インタビューPart.01はコチラから>
――柔道出身の渡辺選手が打撃中心のファイトスタイルになったのは、いつ頃からなのでしょうか。
「なぜか最初からそうでしたね。柔道の投げを生かしたテイクダウンを練習していたのに、気づいたら打撃戦になっていて……」
――気づいたら(笑)。その理由は分からないのですか。
「分からないです……。打撃に触れたのはMMAを始めてからなのに、自分が一番驚いています(苦笑)」
――前回の黒部三奈戦を見て驚いたのは、渡辺選手の足さばきです。確かにリーチはあるし、パンチも伸びる。それ以上にプロデビュー3戦目にも関わらず、しっかりとパンチを効かせるための位置へ移動するための足さばきが目立ちました。
「そうなんですか! ありがとうございます。自分でも気づいていませんでした。ボクシングジムに通い始めたのも最近というか黒部戦のあとで。もともと打撃は我流でしたし、基本的にはAACCの打撃練習に参加していただけだったんです。
ただ、浜崎さんやRENAさんと練習しているのは大きいと思いますね。RENAさんの打撃は言うまでもなく、浜崎さんもパンチが当たるとメチャクチャ痛いんですよ。拳が固くて、石で殴られているような感じで。そう考えると、自分より強い人たちと練習することが重要なんだなって思いますね。今もAACCで、打撃もテイクダウンも寝技も自分より強い人しかいなくて(苦笑)。だから普段の練習はキツいです。でも藤野さんとの試合や黒部さんとの試合で――実際の試合で自分の成長を感じさせてもらっているというか。最近は自分より強い選手と対戦した時に、どこまでやれるのか楽しみで仕方ないです」
――戦うために生まれてきた、ナチュラルボーン・ファイターのようですね。敗れたとはいえ、プロデビュー2戦目でトップファイターである藤野選手と対戦できたことは大きかったですか。
「すごく嬉しかったです。私がMMAを始める前から、藤野選手も黒部選手も、そしてSARAMI選手のことも知っていたわけですよ。こんなにキャリアが浅い自分が、そういう選手と対戦できるのはラッキーだなって思います。やっぱり強い選手に勝つと、それだけパーンって上がっていくじゃないですか」
――黒部戦の内容と結果は、まさに選手が上がっていく様を体現したと思います。
「そうですよね。MMAを始める前から、とにかく強い相手と対戦したかったし、藤野戦のオファーが来た時も嬉しくて。強い選手と試合するのも恐怖はなくて、楽しみでしかないです。やっぱり格闘技って他のスポーツと比べて、選手寿命も短いじゃないですか。短い期間の中で、どれだけ濃い格闘技人生を送ることができるか。それは練習でも、試合でも。勝てる相手とだけ試合をして、戦績だけ良くする――私がやりたいのは、そういうことじゃないんですよ。強い相手に勝っていくのは格闘技だと思っているので」
――では敗れた藤野戦とKO勝ちした黒部戦の間に、何か成長したり身につけたものはありますか。
「藤野さんとの試合は52キロ契約で、やっぱり相手が大きかったです。パンチの威力も違うし、体づくりって大事だなって痛感しました。黒部さんの時は階級を下げたうえで、自分の通常体重を上げたんですよ。だから減量の幅も試合当日の体重も、藤野戦よりも黒部戦のほうが上で。おかげで私のパンチが効いているのは分かりました。藤野さん、黒部さんと対戦させてもらって一番良かったのは、そういう体づくりの重要性が分かったことですね」
――なるほど。その藤野戦、黒部戦を経て次はSARAMI戦を迎えます。
「皆さん、練習仲間なんですよね。もうその練習会が敵になっていますよ(苦笑)」
――アハハハ。
「私の中では、やっぱり藤野さんに負けたのが悔しくて仕方ないです。同じ体重で打ち負けて――もうボッコボコにされましたから。黒部さんとの試合でも、SARAMIさんと試合をすることになっても、どうしてもその先に藤野さんのことを考えてしまいます。いずれ藤野さんにリベンジしたいんですよ。絶対に、たとえ52キロ契約でも。藤野さんはパンクラスに出ていて、私は修斗に出ているからお互いの試合があるし、タイミングが合わないかもしれません。だから今は修斗で、私がチームメイトに勝つ姿を藤野さんに見せつけたい。間接的に藤野さんと戦っている、という気持ちで自分の気持ちを盛り上げています。私、ずっと根に持つタイプなので(笑)」
――根に持つというよりも、戦うということに対して正直なのではないでしょうか。渡辺選手のチームメイトでいえば、浜崎選手と初めて話した時と同じような感覚を持っています。
「そうなんですね。自分では『今、負けただけ。最後に私が勝てば良い』と思っています。MMAって考え方はシンプルじゃないですか。勝てば良い。勝つことで発言権が得られる。黒部さんにKO勝ちして、次はベルトを目指したいと発言したら、実際にSARAMIさんとの試合が実現しましたよね。だから今後も、勝ち続けて藤野さんを引きずりだしたいです」
――とはいえ、その先に藤野選手が見えるかどうか分からないほど、SARAMI選手の壁は高いと思います。
「もちろんです。本当に何でもできる選手ですよね。何かに偏っているわけではなく、巧くて引き出しが多いと思います。でも私が柔道時代に先生から言われたことがあって――『巧い選手は強い選手に勝てない』と。巧さよりも強さを身につけろ、と教わりました。SARAMI選手はすごく巧くて、私からすればもうキャリアの差は埋められないんですよ。でも、黒部さんの試合でもそうでしたけど、私は思い切りが良いと自分でも思っています。フルスイングしてSARAMIさんの意識を飛ばしてやります!」
■視聴方法(予定)
5月21日(日)
午後1時~ABEMA格闘チャンネル
■COLORS 対戦カード
<修斗世界女子スーパーアトム級選手権試合/5分5R>
SARAMI(日本)
渡辺彩華(日本)
<女子アトム級/5分3R>
古賀愛蘭(日本)
ジェニー・ファン(台湾)
<女子アトム級/5分3R>
中村未来(日本)
川西茉夕(日本)
<グラップリングルール53キロ契約/8分1R>
前澤智(日本)
杉内由紀(日本)
<インフィニティリーグ2023女子ストロー級/5分2R>
杉本恵(日本)
吉成はるか(日本)
<インフィニティリーグ2023女子ストロー級/5分2R>
宝珠山桃花(日本)
エンゼル☆志穂(日本)
<女子アトム級/5分2R>
渡辺久遠(日本)
玉田育子(日本)
<グラップリングルール49キロ契約/5分1R>
井上愛羅(日本)
NOEL(日本)