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【Fight&Life】武術、MMA、打撃。平本蓮が触れた武術と、武術に依存せず勝つMMA打撃

【写真】弥益前日のstArt JAPAN MMAでの稽古。後ろ足の使い方、腕の伸ばし方、拳を置く位置の確認。記事では写真を掲載しなかったが、平本はシューズ着用で稽古を行っていた。もちろん、左足を守るためだ(C)MMAPLANET

10月 28日(金)発売のFight&Life#93に、6日(日)に名古屋市中区のドルフィンズアリーナで開催された「RIZIN LANDMARK 4 in NAGOYA」で、弥益ドミネーター聡志を相手に新しいMMA打撃を披露し勝利した平本蓮と、彼と武術空手の稽古を行う剛毅會空手・岩﨑達也宗師の対談が掲載されている。

「人が拳を突きつけられているプレッシャーって、見ている人は分からないけど、対面していると分かるじゃないですか。あの(最初に向き合った)時、岩﨑先生から狂気的というか、殺しの雰囲気というか……何て言ったら良いのか分からないですけど、とにかく『怖い』と感じさせられたんです」

「岩﨑先生に教わっていることって、よく分からない人が見ると意味不明だと思います。でも練習に参加したら分かるというか……いや興味がないと、格闘技や武道をやってきた人間でも分からない」

「来られても受けるのではなくて、攻撃を止めない。そういう練習を今はやっています」

「まだ僕も全然自分のモノになっていないですけど、型をやって自分が変わってきたと思います。スパーリングで、アレがそのまんま出るわけではないですが、ホントにそれこそ内面的なモノなんです。意識はしているのですが、その内面的なものが無意識出るようになることが大切で。以前は考えて出していたものが、スッと気が付けば出ている。馴染ませるというか……何ていえば良いのか分からないのですが」

「今回の試合は相手が格上っていうのも関係しているかもしれないですけど、浮ついていないです。『もうできるでしょ』」みたいな(笑)。自信ではなく、安心が自分のなかにあるかもしれないです。『絶対KOする』とか言って、過信のような気持ちの持って行き方とは違うんですよね。凄く冷静に一歩引いて戦いを見ることができているなっていうのがあるので」

同対談には弥益戦の平本の打撃スタイル、戦い方のヒントになる言葉が話されていた。ここでは誌面のスペース上、掲載しきれなかった平本の言葉をお届けしたい。


──昨年末、ミルウォーキーでの練習の良さを話していました。準備が整えば、すぐにでもルーファスポートに戻りたいと。今、平本選手のなかで海外での練習をどのように捉えているのでしょうか。

「ミルウォーキーでの練習は凄く良かったです。レスリングや組みの部分では。正直、打撃という面ではMMAの打撃と僕がやってきた打撃は別物かもしれないですが、今は日本で岩崎先生とやっているモノが自分にとって必要だと思っています。

それでも米国で練習したいというのはあります。それはトレーニングというよりも、腕試しをしたいという感覚に近いです(笑)。今、自分のなかでなれる最大限の強さへの近道……近道でもないですね。求める強さっていうのは、今ここでやっていること。自分に必要なモノはここにあります。打撃も含め。凄く満足した練習はなかなかできることがなかったので。でも、今はあるから充実しています。凄く練習が楽しいです。

型とかやっていても、一見凄く地味なことをやっていると思われるはずです。でも自分のなかで武道の内面的な強さを全て掴めていないから、そこを求めている。だから『早く手に入れたい』という気持ちが強い。とにかく『一歩踏み出そう』というか。自分がこれまで持っていた打撃の技術に拘っていてもしょうもないじゃないですか」

──しょうもないですか(笑)。

「1日1日変わっていたい。昨日の自分と同じでいたくないです。同じでいたくないから上がったり、下がったりって凄くあると思うんです。でも、下がり続けることはない。自部のなかでチューニングができている。7月の僕の試合を見ても、何も参考にならないですよ」

※平本の感じる武術空手。その印象や問い掛けに対して岩﨑氏が返答することで、より武術空手をMMAで使うという意味合いが理解できるかと思われる──平本✖岩﨑対談が掲載されたFight&Life#93は10月28日(金)より発売中です。

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【RIZIN LANDMARK04】計量終了。平本蓮は計量後に通常稽古、「後ろを使う」と「下がる」の違い

【写真】計量終了から1時間後、平本の姿がstArt Japan MMA&BJJで見られた (C)MMAPLANET

6日(日)、名古屋市中区のドルフィンズ・アリーナで開催されるRIZIN LANDMARK04の計量が、同地の名古屋東急ホテルで行われた。

オープニングファイト3試合を含む全14試合、28選手の全選手が計量をクリアしている。

午後2時15分から行われたセレモニアル計量。その締めで70キロ契約で戦う弥益ドミネーター聡志と平本蓮が登壇し、前者が69.3キロ、後者が69.85キロという体重だったが、体が大きく見え――かつ、絞った感があったのは弥益の方だった。

フェイスオフ後、平本は両手を添えて弥益と握手した

その弥益、平本が「明日は俺が絶対勝ちます。皆さん、ドミネーター選手の応援をよろしくお願いします」と淡々と話したのに対し、「もう色々ありましたけど、飾りつけはもうこれ以上いらないでしょ。明日のケージの中で見届けてください」と疲れた空気感を醸し出す。

今大会のメインに関して、正式発表がなされた以上のやり取りが存在したであろうことが、弥益の表情や言葉の端々から感じられた。一方、「減量は全くない」と言う平本は、計量終了の1時間後には実弟の丈を伴い、stArt JAPAN MMA&BJJで打撃の師である剛毅會空手の岩﨑達也氏、組み技の指導者・赤沢幸典と合流していた。


減量がない分、休息とリカバリーもない平本は計量後もミット打ちやケージ際での組みなどの確認を普段通りのメニューで1時間に渡り行い、日沖が場所を提供したというのが今回のstArt訪問だ。

平本のシャドーの向こうで日沖がGSP譲りのコーディネーション・トレを黙々と行う。バック宙の高さに驚かされた、この後、赤沢がGSPに電話をかけ両者が約10年ぶりに会話をした

「先生との練習は、練習でも試合のような空気がある」という平本。パンチを打つ際のヒジの伸び方から、拳の置き方、そして足さばきの際の頭の位置など、試合前日であってもダメ出しのオンパレードで、まさに日々の稽古が繰り返されていた。

とはいえ、武術に頼らないで、その断りを使いMMAで勝つための打撃を2カ月の稽古期間で習得させるのは簡単ではない。というよりも不可能だ。その動きに適応させようとすることで、平本が本来持つ良さをスポイルする面を感じていた赤沢がその点を岩﨑に尋ね、答えを導き出すというコーチ陣の横のつながりも見られた。

実際、平本は後ろを使う――という武術的思考と、下がるという可視化できる現象の差を埋めつつある。組まさない志向での戦いのなかで組まれたときの対処など、「足」という限定的な表現で彼が言い表した負傷の影響と、超短期間での追い込み=思考の変化が如何に明日のケージが見られるのか。

1時間の稽古を終えた平本は、日沖に感謝の言葉を伝えstArt Japanを後にした。チーム平本蓮、最後の稽古は会場入りしてから行われるそうだ。

■視聴方法(予定)
11月6日(日)
午後2時~RIZIN STREAM PASS. ABEMA, U-NEXT, RIZINIVE. Exciting RIZIN, dTV, Streaming+,Paravi, SPOOX,スカパー!

■RIZN LANDMARK04計量結果

<70キロ契約/5分3R>
弥益ドミネーター聡志:69.3キロ
平本蓮:69.85キロ

<フェザー級/5分3R>
今成正和:65.45キロ
鈴木千裕:65.95キロ

<バンタム級/5分3R>
元谷友貴:61.0キロ
倉本一真:60.8キロ

<ヘビー級/5分3R>
ミノワマンZ:89.95キロ
侍マーク・ハント:117.65キロ

<無差別級/5分3R>
カルリ・ギブレイン:110.45キロ
貴賢神:119.75キロ

<49キロ契約/5分3R>
SARAMI:48.8キロ
ラーラ・フォントーラ:48.65キロ

<フライ級/5分3R>
中村優作:56.95キロ
征矢貴:56.8キロ

<フェザー級/5分3R>
青井人:65.55キロ
鈴木博昭:65.9キロ

<バンタム級/5分3R>
アラン“ヒロ”ヤマニハ:60.85キロ
河村泰博:60.6キロ

<バンタム級/5分3R>
魚井フルスイング:61.0キロ
ヤン・ジヨン:60.95キロ

<フェザー級/5分3R>
奥田啓介:65.75キロ
久保優太:66.0キロ

<バンタム級/5分3R>
日比野“エビ中”純也:60.65キロ
吉田陸:60.65キロ

<フライ級/5分3R>
久保健太:56.85キロ
秀義:57.0キロ

<キック53キロ契約/3分3R>
佐藤執斗:52.9キロ
KAZUNORI:52.95キロ

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MMA MMAPLANET o 八巻建志 剛毅會 岩﨑達也 松井章圭 極真会館

【KYOKUSHIN】国際空手道連盟極真会館・松井章圭館長から聞かれた、MMAに通じる──痺れる名言

【写真】 目から鱗のMMA論ともいえる松井館長の言葉を拾ってみた。この世代の重厚さが欠けている一方で、歴史がない自由さがあるのがMMAでもある。きっと館長たちが始めた頃の極真のように(C)MMAPLANET

2日(水)、東京都渋谷区の国際空手道連盟・極真会館総本部代官山道場で行われた──八巻建志氏の極真会館復帰及び総本部師範就任と、岩﨑達也氏率いる剛毅會空手が賛助会員としての国際空手道連盟加盟に関する記者会見。

同会見で松井章圭館長が質疑応答のなかで話した10数分の話のなかで、MMAにもいいあてはまる言葉もいくつも聞かれた。

ここでは勝手ながら──痺れた、そしていくつかはMMAにも通じる、いや原点だろうという名言をお届けしたい。


「総裁が言われたように『地に沿った基本、理に適った型、華麗なる組手。品格のある空手。理念のある空手』が極真の空手。正直言って競技体系はあるけれど、技術体系は持っていない。だから流派を名乗らないわけです。極真会館は流派でないから、『こうでなければならない』という形がない。確立された技術体系がない。本来はどんなものにもないんですよ。『これで良いんだ』という完成形の技術はない」

「ややすると便宜的に創ったルールに支配される。稽古する人、特に試合に出る人は。その呪縛を取っ払った視点から(八巻氏と岩﨑氏から)助言がもらえるんじゃないかと。組織の良さはそういうところ。自分が実際に体験していなくても、体験者から何かを受け継ぐことができる。影響を受けることができる。それが組織の良さ」

「一般的にフルコンタクトってよく言うんですけど、いつの時代からフルコンタクト空手、フルコンって言うようになったのか。正直、今、一般的にフルコンタクト空手というものでは極真会館の大会はない。世間が見るフルコンタクト、世界にいる人たちがいうフルコンタクト空手を越えたというと語弊があるけど、異質というか。極真空手なんです」

「競技ってMMAを含めて実戦は一つもない。ただ全ての競技がその延長線上に『こんな実戦があるな』と想定できなければ、それは格闘競技とは言えない」

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K-1 MMA MMAPLANET o キック ボクシング 八巻建志 剛毅會 岩﨑達也 松井章圭 極真会館 武術空手 海外

【KYOKUSHIN】「価値観を否定しない」八巻建志復帰&剛毅會加盟会見で松井章圭館長がMMAについて語る

【写真】松井館長にMMAについて、しっかりと話してくれた(C)MMAPLANET

2日(水)、東京都渋谷区の国際空手道連盟・極真会館総本部代官山道場で八巻建志氏の極真会館復帰及び総本部師範就任と、岩﨑達也氏率いる剛毅會空手が賛助会員としての国際空手道連盟加盟に関する記者会見が行われた。

松井章圭館長の挨拶に続き、2002年に極真会館を退会し米国で八巻空手を興して活動してきた八巻氏は以下のように極真復帰について話した。

八巻建志
「20年振りに極真に戻って参りました。この20年間、極真を名乗ることはなくても心の中は極真で、大山総裁が常々言われていた『極真は最強でないといけない』という言葉を胸にやってきました。いつ、どんな相手であろうと、いかなる場所であろうと負けるわけにはいかないという気持ちで日々鍛錬をしてやってきました。私がやってきたものを少しでも伝えられれば良いと思っています」

続いて岩﨑氏は賛助会員として連盟入りについて語った。

岩﨑達也
「21年前に極真会館から自流を興し活動してまいりましたが、極真を否定して出て行ったわけでなく、自分の理想とする極真を自分なりに確立したいと思ってやってまいりました。そういった活動というものが少し松井館長に認めていただけて、今回こうやって賛助会員として加盟することになったのかと思うと、大変光栄に思います。極真というものは競技ではないと思います。価値観であり、思想であり哲学であるもの。それをやるにあたって大山倍達館長の後継人である松井館長を抜きにして語ることはできないと思っています。そういった方向に関して、自分が何らか協力できれば良いと思っています」

MMAPLANETでは場違いと自認しつつ、八巻氏の「いつ、どんな相手であろうと、いかなる場所であろうと負けるわけにはいかない」という言葉と、岩﨑氏が現在行っている武術空手をMMAに生かすという活動を鑑みて、極真の名の下においてMMAに挑戦することがあるかを尋ねた。3者の返答は以下の通りだ。


松井章圭
「これは私自身の話になってしまいますけど、私が話すので私自身の話としてしかできません。恐らく我々の年代が全てそうだったと思われるのは、我々は空手をやりたくて極真会館に入門したわけじゃないんですよね。とにかく強くなりたくて、言ったら変な話──当時少年でしたけど、子供の頃にいわゆる……こういう言い方をすると、昨今の世間ではどういう風に言われるか分かりませんけど、喧嘩に強くなりたくて。当然、喧嘩はノールールですから。そういうような意識で始めたことがこのような形になっています。

もちろん社会的に健全でないといけないというところで、極真会館というモノは本来、武道団体である。その延長線上というか、水面下でいえば社会体育団体であるというところに、原点を見直して、あるべき姿を追求する形にはなっていますけど、そういう意味においては試合の形状がどうであるかって関係ないんですよね。

だから組織である以上ルールがありますし、規律を守ってきちっとした秩序が大事になりますけど、そういうことをしっかりと守って行けるのであれば、現実、ウチはプロの選手……具体的に言うと、フランシスコ・フィリョ君がK-1に出て以降、プロの活動を是認していますし。今もキックボクシングのリングに上がっている選手もいますし、MMAの試合をしている選手もいます。

海外では、また複数いますし。それを一切否定するという気は全くないです。

だから岩﨑宗師が言われたように、そこを追求して結構ですし。例にも挙げられていましたけど昔、黒崎(健時)先生、藤平(昭雄)先輩……大沢昇先生、この人達が私たちのところを形的、組織的に離れて目白ジムを建てて、その道に邁進しました。そこに対して(岩﨑氏が)言われたように先輩たちが別門になったという意識は全くない。それこそ未だに黒崎先生や藤平先輩は自分達の大先輩、大きなアニキであったり、オジサンみたいな存在だし。

もっといえば当時の藤原(敏男)さんとか島(光雄)さんとか、岡尾(国光)さんという伝説的ファイターの人達を我々は先輩として認識していましたから。

そういう意味においては今、彼(岩﨑氏)がやろうとしていることで、そういった視点から我々に色々なアドバイスがあるだろうし。我々は便宜的に総裁から受け継いだ極真ルールやその武道性や実戦性を掘り下げて、そこは競技ですから競技性や安全性を追求していますけど、その限りではないということが実際のところなんです。

先ほども言ったようにウチは競技団体ではないので。武道性を追求するために便宜的にああいった舞台を創って、それを追求している。だからこそ全空連との友好化もありましたけど、ポイントルールも是認している。

だから我々組織が、組織ごとMMAに向かったり、キックに向かうということはないです、一切。K-1に行った時は『極真会館はプロになるぞ』、全空連と友好化した時は『極真会館はノンコンタクトになるぞ』って世間はよく言います。我々は一切そういうことはないし、組織としての根幹がぶれることはない。

ただ、その価値観を否定するモノではない──というところを皆さんに認識して頂けたら有難いですね。今後、そういう選手が出ていく可能性は大いにあります」

八巻建志
「MMAに出たいという選手は、その練習をやれば良いと思うし、自分の教えられることは教えたいと思います。MMAとか試合とかに拘らず──米国に暫らくいて感じたことは、何があるか分からないんです。いきなり襲われるかもしれないし。そういうのをいっぱい見てきたので、本当に使える空手じゃないとやっていて意味がないと思います。

本当に使える……危ない時に使えたりとか、自分の身を守れるような。そういう空手を教えていきたいと今は思っています」

岩﨑達也
「さきほど館長からお話が出ていたように、MMAの選手を育てています。育てていると色々な問題がある子もいて、さすがに風紀といった部分に相いれない子がいます(笑)。でも、そういう子こそやるべきだと僕は思います。教えている子にはSNS等でお騒がせしている子もいますけど、礼に始まり礼に終わるということをキチンとさせています。

『武道をやっているんだよ』ということは言っています。MMAをやる子には『君たちが大変な思いをして、この競技をやっているのだから、それが人生に生きないといけないよ』と常に言っていますし、そうあって欲しいと思っています。そういう道でないといけない。

『現役生活を辞めて引退した後の方が人生は大変なんだよ。そこでどうあるかで、君たちの評価は決まるんだよ』ということは、どんな子にも言っています。そこを理解しない子には私は教えません。確かに極真会館という枠組みの中には合わない子もいますけど、そういう子たちも稽古を通じてMMAを武道にしていってもらいたい。そこを常に意識して、今後も指導していきたいと思います」

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ABEMA BELLATOR MMA MMAPLANET o RIZIN Road to UFC UFC イー・チャア 北岡悟 岩﨑達也 松嶋こよみ 総合格闘家

【RTU ASIA2022Ep05】Road to UFC敗北から8日、松嶋こよみ「この負けを他の人の責任にしたくない」

【写真】既に稽古には戻っている松嶋(C)MMAPLANET

10月23日にUAEはアブダビのエティハド・アリーナで開催されたROAD TO UFC AISA2022 Episode05で、松嶋こよみがイー・チャアにスプリット判定負けを喫し世界最高峰へのチケットを取り逃した。

誰よりも長い期間、UFCで戦うことを目標に生きてきた。29歳、ラストチャンスで悔いの残る判定負けを喫してから8日が過ぎ、空手衣の袖に手を通した松嶋にあの敗北と、これからについて話を訊いた。


──敗北から8日、あの敗北をどのように捉えていますか。

「そうですね……。まだ受け入れてはいないというか……自分のなかで、内容を反省できるところまで精神的に戻っていない。そういう感じではあります」

──そういう精神状態ですが、進退については考えてきたのでしょうか。

「試合直後はこのトーナメントにそれだけ懸けていたし、これを最後にしようという気持ちでいました」

──以前から話していた日本一のコーヒー屋さんになると?

「そこまで先のことは決めていないですが、コーヒー屋も一つの選択肢というか夢でもあります。僕、格闘技を辞めようと思ったことはこれまで1度しかなかったんです。本当に小さい時に『空手を辞めたい』と思ったことがあって。もう総合格闘家にならなくて良いから、空手を辞めたいと。理由も覚えていないのですが、その時は母に帯で首を絞められて踏み止まりましたけど(笑)」

──……。両親、星一徹ですね……(笑)。

「アレ以来ですね。格闘技を辞めようと思ったのは。これまでも手痛い敗北もあったし、レスリング時代に辛い時期を過ごすこともありました。でも最終的にはMMAをやってUFCで戦うという夢を持ち続けていて、辞めようとは全く思わなかったんです。でも、この負けは、辞め時かなっていう風に感じました。

試合直後から日本に帰国するまで、そういう気持ちでいました。ただ未練は間違いなくあります。小さい頃に辞めようと思って……自分に囚われていたのかもしれないですが、あの時に辞めなくて良かったと振り返ることができるだけの格闘家人生を送っていない。そういう風に考えている時にショーン・シェルビーから『もしかしたらチャンスはあるよ』という言葉を貰ったので、今はその数パーセントのチャンスに賭けてやっていきたいなと思っています」

──ショーン・シェルビーから声が掛かるのを待つ。それまで練習を続けるということですか。

「ハイ。UFCがダメだからBellator、日本で……RIZINで頑張るという気持ちに本当になれないんです。最後までUFCで戦うために足掻く。でも自分のなかでタイムリミットは決めて、そのなかでやろうと思っています。Road to UFCがあと3カ月少しで決勝がありますし、半年──長くて1年ですね」

──とはいえショーン・シェルビーは世界中のファイターに同じようなことを言っている可能性もありますし、半年以内に声が掛かるのか、1年以内で声に懸かるのか。それがどのタイミングになるのか分からない。なら他で試合をするということは考えないですか。正直、トーナメントの2試合は、実戦の難しさが痛いほど感じられました。

「試合勘という部分では、その考えはあるにはあります。ただし、他で試合に出るタイミングでUFCから声が掛かるかもしれない。試合直後で、緊急オファーに応じられないとか……そこを考えると、他で試合をする方が良いのか……まだ自分のなかでは決め切れていないです。勿論、試合をした方が良いですけど。練習で強いだけのヤツになりたくないですし。

でも、現状はそういう風になってしまっています。試合で練習通りの力が出せないっていう経験は、Road to UFCまで無かったです。それまでは試合で練習の時と同じように動けていました。それがこの2試合は明らかに違っていたことは、自分が一番分かっていることなので。今回は練習でやってきたことを試合で出すというよりも、負けたくないという執着心が出てしまいました。

普通はあの選択はしないだろうという選択を、たくさんしていました。練習でやってきたことが試合で出すことができれば、勝利に近づくはずです。でも、あの時の自分はこの1勝に賭けるという風になり、持っているモノが出せなかった……。そういう試合をしていると、UFCが契約をしないということも分かっています。ただ、あのトーナメントに関していえば勝てば契約があるということで、スプリット判定でも29-28でも構わないから、負けたくないという風に執着し過ぎていました」

──スプリットでも29-28でも構わないというのは、全然間違っていないと思います。ただし、2Rを終えた時点でジャッジの制定を読み違えた。あの展開で2つ取っているという判断は松嶋選手だけでなく、セコンドの北岡悟選手、大塚隆史選手、そして客席から叫んでいた岩﨑達也さん、チームの問題だと思います。どうすれば29-28になるのか、どうすればスプリットで勝てるのか。そこはチームが研究を怠った──怠っていないとすれば、あそこで2つのラウンドを取ったというのは、都合の良い方に考え過ぎだったかと。

「それは……そうだと思います。ただし、あの時は北岡さんや大塚さん、岩﨑先生に何を言われても僕はああいう選択をしていたかもしれないです。僕の負けです。この負けを他の人の責任にしたくない。チームで戦っているといっても、自分の負けです。僕がこの負けを認めないといけない。そこをやらないといけなかったのは、チームではなくて僕だったんです」

──……。

「それはFight&Lifeの記事を読んでも、そう思ったし。やってきたはず……なんです、これまでも。だから……試合を終った日、あの15分間……1Rのここがダメだった、2Rがダメだったということでなく、15分間で何がダメだったのか。今日1日の何がダメだったのか──過去何年分、頭を使ったのかって言うぐらい考えました。

どういう風に取り組んできたのかもそうだけど、取捨選択をすることが大切なら結局チームとして僕がもっと皆と話をしておくべきだったというのは……少しは思いました」

──今回の経験の全てを次に生かす。あるいは人生でも生かしたいですね。

「とにかく練習は僕にとって日常なので、試合がなくてもします。チャンスを待って、その時に全力で戦いたいという気持ちは消えていないです。消さないで、やっていこうと思います」

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Bu et Sports de combat MMA MMAPLANET o UFC キック ボクシング マーヴィン・ヴェットーリ ロバート・ウィティカー 剛毅會 岩﨑達也 武術空手

【Bu et Sports de combat】武術的な観点で見るMMA。ウィティカー✖ヴェットーリ「後ろ足」

【写真】 この写真は左ジャブだが、ウィティカーの攻撃は右が中心だった(C)Zuffa/UFC

MMAと武術は同列ではない。ただし、武術の4大要素である『観えている』状態、『先を取れている』状態、『間を制している』状態、『入れた状態』はMMAで往々にして見られる。

武術の原理原則、再現性がそれを可能にするが、武術の修練を積む選手が試合に出て武術を意識して勝てるものではないというのが、武術空手・剛毅會の岩﨑達也宗師の考えだ。距離とタイミングを一対とする武術。対してMMAは距離とタイミングを別モノとして捉えるスポーツだ。ここでは質量といった武術の観点でMMAマッチを岩﨑師範とともに見てみたい。

武術的観点に立って見たロバート・ウィティカー✖マーヴィン・ヴェットーリ戦とは?!


──遠い距離から蹴り、近い距離ではヘッドムーブ。ヴェットーリの攻撃をほぼ完封したウィティカーが判定勝ちを収めました。

「ウィティカーのスタンスが素晴らしかったです。ヴェットーリがサウスポーで、ウィティカーがオーソ。ウィティカーは常に蹴ることができるスタンスでした。ただし、なぜか1Rは全く蹴りを出さなかったです。そうなるとただ広いスタンスで動く、これでは一歩間違えると殴られやすい何の取柄もないスタンスになってしまいます。

だから何のためにこういうスタンスをしているのかと思っていたのですが、蓋を開けて見れば2Rから右の前蹴りを軸にして、右の突き、そして右のハイキックという3つの攻撃だけでヴェットーリを圧倒しました。ヴェットーリは蹴りなのか、突きなのか。何が来るのか分からない状態で貰っていたと思います。

当然、そこにはヴェットーリの打撃の質がそれほどでないから、好きなように攻めることができるということはあったと思います。とはいえウィティカーは長い間トップで戦ってきた選手なので、自分の勝ちどきが分かっていて展開をどんどん創ることができますね。

ところで、ウィティカーのベースは何なのですか。伝統派空手か何かですか」

──確かに幼少期から10代の半ばまで剛柔流空手をやっていて、そこからハップキドーに。その道場がMMAジムに代わりMMAを始めたということを聞いたことがあります。かつてMMAPLANETのインタビューで「規律のある動き、タイミングの取り方、スピードは剛柔流空手から来ている部分が多い」と言っていました。スタンスやフットワークも。ただし、「そういう動きが西洋のスポーツで育めないかといえば、それは難しい質問だ」と。

「彼はいつも、あれだけ当てることができていますか」

──ハイ。貰わず当てることが多いと思います。勝っている試合では。ただし、アデサニャ戦ではより長いレンジを崩せず、テイクダウン狙いに切り替えて倒せずに負けました。そんなウィティカーですが、近い距離になると頭を振ってボクシングになる。それは武術空手的には蹴りに対応できない危ない動きということになりますよね。

「ハイ。ハイキックをもらう危険があります。そこは本当に危ないです。相手が蹴りを使わないから良かったですけど、蹴りのある相手には危ないです」

──つまりはボクシングも蹴りのない選手には有効になるわけですね。

「パンチをかわす技術ですから。なのでMMA全般にいえることですが、そこまで蹴りを使いこなせる選手が多くないので、頭を振って戦っていても危なくないように映る試合は多いです。

ただし蹴りのある選手に対しては穴になる。私が稽古している選手には、その穴をついていこうという風にしています。蹴りの対応に関しては、UFCにあってもまだ知識が行き届いていない。これだけハイキックによるKO決着が見られても、未だにそこを重要視していない。深刻に捉えていない部分があるように感じます。本当にあの頭を振ってパンチをかわそうとするのは、危ないです」

──攻める方の技術が上がらないと、防御の技術も上がらないと。

「その通りです。だからといって、皆がやらないから自分もやらないというのは違います。グレイシーだけが持っている柔術という技術を知らなかったから、他の競技の選手は柔術家に負けていました。それと同じで、蹴りに対しては空手が持っている技術がまだ浸透していない部分が多い。受け返しなどフルコンタクト空手で数十年前から繰り返されてきた技術が、MMAにないのであれば──それは知っている方が有利です。

当然、寝技ができてテイクダウンの攻防ができる。顔面直接殴打、パンチに対応しているうえで蹴りの受け返しがあれば──ということです。それがないのにMMAで、フルコンタクト空手の受け返しといっても始まりません。

同時に顔面のあるなしはあっても、あのウィティカーの間合いと飛び込みはフルコンタクト空手で日本人が外国勢に苦しめられた距離なんです。あの戦い方が日本の空手家は当時、できなかった。

それがアデサニャには通じないとなると、カウンターが取れないのだと思います。自分よりリーチのある選手と戦って入って行けない。長い距離にカウンターが取れないのでしょうね。堀口選手なんて、そういう風に攻めることができていましたよね。

でもウィティカーは後ろ足で距離をコントロールしています。そこは是非とも日本のMMAファイターの皆さんにも見習ってほしい点です。前に攻めようとする時に、どうしても前足で動いて、前足で距離を取ろうとしがちです。

対してウィティカーは後ろ足で、一度深さを創って前蹴りから右の突きを打っています。相手としては遠くから飛んできたと感じます。これが動かないで、半四股立ちの幅が間違う──つまりは前足でコントロールしたりすると、右を出してもカウンターを打たれやすいです。型通りに後ろ足に引くことができる──正しい状態から拳(けん)を伸ばしていくと、相手の攻撃を受けずに自分の攻撃を当てることができます。つまりは後ろ足でコントロールすると相手の攻撃を受けずに、自分の攻撃が入りやすくなるということです。そこまで考えてはいないと思いますが、ウィティカーはそういう動きを使っています。

だから定番となっている外を取るという動きとは、逆で内側でも攻撃を当てることができていました。ヴェットーリが右足前で、ウィティカーは左足が前。ウィティカーはヴェットーリの前足の中に入っている。外を取っても、中に入れないといけない。そういう部分でもウィティカーの動きは注目すべきモノです。

スタンスが蹴られる状態で、後ろ足で相手との距離や自分が反撃するタイミングをコントロールしている。跳ねる前後移動とは、明らかに別モノでした。ウィティカーも跳ねます。でも、後ろ足を少し引いているんです。これはデキるようでデキない。前に出ようとする時に、後ろ足を引く。これはデキないんですよ。

ただしタイ人やミルコがKOしている時は、それをやっていました。右足前で、左足を少し引いて左ミドルを蹴る。倒せる時のミルコは、その場で蹴ることはなかったです。ただしUFCで倒された時は前足で踏み込んで──のされてしまいました。

1Rは何をしているのかまるで分からなかったですが、2R以降はウィティカーのスタンスの広さの意味、この動きがあるからあの広さなんだと理解できました。凄く興味深いです」

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【RIZIN LANDMARK04】弥益ドミネーター聡志と対戦、平本蓮が武術空手を学ぶ理由。「素手の感覚」

【写真】 何が違うのか、明確だが瞬間を切り取っても分からない。試合で出るかでないか──だ(C)MMAPLANET

11月6日(日)に名古屋市中区のドルフィンズアリーナで開催される「RIZIN LANDMARK 4 in NAGOYA」で、平本蓮が弥益ドミネーター聡志と対戦する。

MMA戦績1勝2敗の元K-1ファイターのJ-MMA界における存在感は、頭抜けたモノがある。その存在感を弥益は9月30日の会見で「インフルエンサー」と称した。

SNSは「アンチを生むことで、話題になる」とその効用を語り、榊原信行CEOとのやり取り漫才と言う平本。自らを見せる術を知るルーキーは、その一方でファイター仲間からの期待度がMMAキャリアの少なさとリング上のパフォーマンスと不具合なほど高い。それは周囲が平本蓮の戦いへの探求心の強さを知っているからだ。


その平本が8月より、武術空手=剛毅會・岩﨑達也と稽古を行っている。練習仲間の長谷川賢を介して、平本は4月に松嶋こよみの剛毅會の稽古を見学、そして体験した。そこで岩﨑の指導する立ち位置、間合い、実際に向き合った者だけが感知できる「怖さ」を体感し、指導を受けたいと思うようになったという。

7月に試合があったことで、中途半端になりたくないという考えから定期的に指導を受けるようになったのは8月、まだ2カ月の稽古期間でも、平本は「確実に違うモノが見せられる」と言い切る。

週に一度、渋谷・道玄坂のFIGHTCLUB428で行われる練習に対して、岩﨑自身は「指導でなく、一緒に稽古し私も得られるものが非常に多い」と捉えている。

「でも、実際に練習をMMA選手が見ても『何をやっているんだ?』って分かってもらえないことが多いだろうし、バカにされることもあると思います。実際『そんな時間があったら、違う練習をしたら』とも言われました」と平本。

FIGHTCLUBで行われる稽古は、実に地味だ。組手になるとさすが、特に実弟の丈を相手にした時は打撃の勢いはさすがとしか言いようがなく、目を見張るものがある。とはいえ、それはキックボクシングを忘れないために必要なことであって、武術空手を採り入れるための地ならしのようなモノだ。

数センチの誤差、特に重視されるのは自ら攻撃したあとの姿勢と位置取り。MMAだからといって平本が組み技を駆使する必要はない。もちろんレスリングも柔術も練習は必要だ。ただし、試合で出さなくても構わない。

組み技の練習の成果は必要に応じて出てくるものであって、組み技ありきで試合に臨むと、平本の最大の強味である打撃が生かせず、相手の間になっている。

そんな思考の修正から両者の稽古は始まり、今は姿勢と距離に取り組んでいる。平本は「実はボクシンググローブからMMAグローブに変わった時から、素手を意識するようになっていました。だから空手に興味を持って。岩﨑先生の話を聞いて、全てが理解できているわけでもないし、型をやっても分からないことばかりです。でも、長い間『打撃はできるでしょ。自分でやって』という感じで、教えてもらえることがなかった。そんな僕が、ダメだしをしてもらえる感覚は本当に久しぶりです」と地味な動作を繰り返す。

対して岩﨑は「武術、空手に興味を持ってもらっても依存しちゃいけない。あくまでも平本蓮の打撃をMMAで使えるための修正であり、空手といっても空手なんてやる必要はない。平本蓮として戦えば良いんです」と、武術空手の位置づけが明確にできている。

次戦に向け、平本はMMAファイターとして、弥益がどれだけ格上かも理解してなお「今回はこれまで違って、煽って自分の気持ちを上げて戦うという精神でなく、ひたすら練習の成果が出せるか楽しみなんです」と言う。対して岩﨑は「畏れる者が勝つ試合になる。そういう意味で弥益選手は手強いです」と言い切った。

「内側」、「目に見えないもの」、「間」、「先」という言葉が普通に出てくる平本蓮。彼が武術空手の理をいかに学び、MMA──自らの打撃に生かそうとしているのか──。

※その詳細は10月28日発売のFight&Life#93に掲載される平本蓮×岩﨑達也対談で確認を。

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【RIZIN LANDMARK04】ランドマークが初ケージ大会。武の理を学ぶ平本蓮が、弥益ドミネーター戦へ

【写真】基本稽古から平本が何を得ているのか、非常に気になるところだ(C)MMAPLANET

昨日25日(日)、RIZIN FFより11月6日(日)に名古屋市中区のドルフィンズアリーナで「RIZIN LANDMARK 4 in NAGOYA」の開催と、同大会で弥益ドミネーター聡志✖平本蓮のフェザー級マッチが組まれることが発表された。

今大会はRIZIN LANDMARKとして初のケージ使用大会となる。今年3月のLANDMARK出場時にも平本はケージでのファイトを要望していたが、ついに国内いやキャリア初の金網での実戦を戦うことになった。


対戦相手の弥益、すっかりRIZINに欠かせない存在となったファイターにとっても、今回の試合は2年2カ月ぶりのケージMMAとなる。

キャリア4戦目、戦績1勝2敗の平本は以前から弥益戦を熱望していたが、元DEEPフェザー級王者は現DEEP&RIZIN二冠王者である牛久絢太郎に敗れてベルトを失ったとはいえ、勝つチャンスも十分にあった実力者。平本にとっては過去最強の相手になることは間違いない。

シャッフル打撃&確かなケージグラップリングの強さを持つ弥益に対し、平本がどれだけ熱望した金網でMMAファイターとして完成度が上がったことを証明できるのか。と同時にMMAだからMMAを戦うという思考でなく、持ち味の打撃を最大限に生かすスタイルに移行した平本は現在、剛毅會空手の岩﨑達也氏に武術空手の指導を受けている。

今年の4月に一度、平本は松嶋こよみとT-GRIPの剛毅會プロ練で手合わせをしたのをきっかけに、GENに岩﨑達也氏を招き、その格闘論に興味を持った。

岩﨑氏によると「平本君は素直。そして考えて、武術の理をMMAに生かそうとしています。と同時に素直過ぎて、空手により過ぎることもあるので、週によってキック寄りの日、空手寄りの日というふうに稽古をしている」とのこと。

実際に移動稽古を立ち合いに生かすために活用し、基本稽古も行う姿がFight Club渋谷で確認されている。果たして、あの平本のMMAの完成に武術の理がどう生かさせるのか──という楽しみもあるが、それを確認するには厳しすぎる弥益とのマッチアップといえる。

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Bu et Sports de combat ONE160 タン・カイ タン・リー ブログ 剛毅會 岩﨑達也 武術空手

【Bu et Sports de combat】武術的な観点で見るMMA。タン・カイ✖タン・リー「恋愛と同じ」

【写真】飛び込んで、打たれる。なぜ、タン・リーはタン・カイを相手にそのような動きを繰り返すことになったのか…… (C)ONE

MMAと武術は同列ではない。ただし、武術の4大要素である『観えている』状態、『先を取れている』状態、『間を制している』状態、『入れた状態』はMMAで往々にして見られる。

武術の原理原則、再現性がそれを可能にするが、武術の修練を積む選手が試合に出て武術を意識して勝てるものではないというのが、武術空手・剛毅會の岩﨑達也宗師の考えだ。距離とタイミングを一対とする武術。対してMMAは距離とタイミングを別モノとして捉えるスポーツだ。ここでは質量といった武術の観点でMMAマッチを岩﨑師範とともに見てみたい。

武術的観点に立って見たタン・カイ✖タン・リー戦とは?!


──教え子の松嶋こよみ選手が離脱したONEフェザー級戦線、その世界戦ですが非常に興味深い顔合わせでした。

「ハイ。それだけにタン・リーにガッカリでした。どうしてしまったのか。対して、タン・カイは良い意味で狡猾でした。ホント感心させられました」

──まずタン・リーがオーソに構えて、左足をカーフで壊されました。なぜ、最初からサウスポーでいかなかったのか。

「確かに左の蹴りが良い選手ですが……。あの試合だけ見ると、その良さやそもそもどのような選手だったのかを忘れてしまうほど、崩れていました。それだけ動きが冴えなかったです」

──左ミドルで踏み込んでからスイッチして追いつき、あるいは右フックなど注目していた攻撃が見らなかったです。

「追わされました。タン・カイが追わせて戦っていた。恋愛と同じでね、追うより追わせた方の勝ちです(笑)。試合は追った方が不利。それだけ追うのは難しいんですよ。タン・カイはそれをやらせました。

そしてタン・リーは自分を見失った。ダニエル・ウィリアムスとツオロンチャアシーとの試合のツオロンチャアシーと同じで、どういう理由を持ってその攻撃に出ていたのか。そういう動きに終始してしまいましたね。

あのテイクダウン狙いやバック狙いなど、懸命だったのは伝わってきましたが、理もなくタン・リーは動いていたように見えました」

──タン・カイは相手を見て、右でも左でも倒せる。それにしても入ってきたタン・リーに当てる攻撃は見事でした。

「上手いです。もともとカウンターは上手いですが、今回はそこにサークリングが加わっていました。タン・リーを中心にして円を描くという動きをタン・カイが続けていました。一つ言えるのは、攻防としてタン・リーが打つ。タン・カイが返す。ここで終わっていたということです。

そうなると返した方が有利になる一方です。タン・リーが打って、打たれて、また打っていく。そこまで続けると、タン・カイも攻撃を止めることができずに、次の局面というものが生まれていたはずです。

ただし、この試合はソレが最後までなかったです。タン・カイはマネージメントがデキていましたね。武術的にMMAを捉えると、その部分は私も弱いところなので参考になりました」

──それはどういう部分で、ですか。

「試合だから、勝てば良いという部分で参考にしたいのですが、それはあくまでも試合に勝つという前提があってのことで、全面的に良いわけではないことを前提にして──。3Rからもうタン・カイは手を抜き始めましたね。無理にいかない。無理しない。それは現実問題として、そういうことも試合中は必要なのかと思います。

同時にマネージメントができた。だから良かったという結果論になります。ではマネージメントができない状況に陥ったら、どうなったのかと」

──ならなかったので結果論として、良しということですね。

「そういうことです。つまりタン・カイはタン・リーに対して、余裕があったということですね。タン・リーはもっと制空権が深く、相手が入ってきたところに攻撃を入れるというイメージがありましたけど、全くなかったです」

──ハイ。だからこそタン・リーが、来ないタン・カイを相手にしてどのように詰めるかという楽しみがあったのですが……。タン・カイは来ないばかりか回り、タン・リーは自らの戦いがまるでできなくなった。あそこでタン・リーも行かないという選択は、あり得ますか。

「試合ですから、全く行かないということはできないでしょう。ただし、タン・リーが出ないとなるとタン・カイが行かないといけなくなる。つまりは先の取り合いなんです。先が取れないで入っていくと、食らいます。

タン・リーは今回、先が取れていなかった。ブランドン・モレノ×カイ・カラフランス戦でモレノは先を取れていました。あの両手の動きで先が取れているので、自分から攻めることができます。対してタン・リーは、先が取れる動きがなかった。本当に少しのことで、ここは変わります。少し右足を引くとか、それだけでタン・カイを反応させる。そういう動きが見られなかったです。

同時にカーフを効かされたことは大きいです。

その影響が出たのか、タン・リーの動きをするというよりも、タン・カイにやられない動きに終始していました。本来は相手のことなどお構いなしに自分勝手に蹴って、殴る選手なのに。だからタン・リーの試合では、ミドルを蹴っているのにヒザが顔面に入るKO勝ちなどが生まれました」

──タン・リーは居着いていたということでしょうか。

「そうですね。居着いていると言って良いかもしれないです。居着くというのは色々な意味がありますが、その一つに受けに回っているということがあります。受けて何かをすることを居着いているとも言いますからね。相手の動きを第一に考えて、自分軸で動かない。良い時は自分の動き、自分軸で戦っています。

それが良くいわれる見えない部分での主導権の奪い合いで、今回はタン・カイが主導権を握ったということです。見える部分でジャブが当たった、蹴りが当たったというのは結果論でしかなくて。武術的に質量などを踏まえて考察していくと、エネルギー的に主導権をどちらが握っているかということになります。

ただし主導権を握っているのに、パッと離してしまう選手もいます。試合は結果論を得るために戦うので、主導権を握っていることが分からなくなることが選手には往々にしてあるんです。そこを指導の現場で指摘することが、指導者としての役割だと心得ています。

つまりタン・カイは行かない部分を含めて、自分のペースを守り切った。そこは考えさせられる部分でした。あと、やはりONEの裁定基準という部分は大きいかと思います。2度ダウンを奪ってもラウンドマストの5回戦だと、あと1つはラウンドを取らないといけない。でも、ONEなら2度ニアフィニッシュがあれば、もう何もさせなければ勝てます。フィニッシュを狙わせる裁定基準の裏をいった──タン・カイのマネージメント能力でした」

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【Bu et Sports de combat】武術的な観点で見るMMA。ヴェラ✖ドミニク「いけないオンパレード」

【写真】ドミニクはドミニクであろうとし、ヴェラに敗れた (C)Zuffa/UFC

MMAと武術は同列ではない。ただし、武術の4大要素である『観えている』状態、『先を取れている』状態、『間を制している』状態、『入れた状態』はMMAで往々にして見られる。

武術の原理原則、再現性がそれを可能にするが、武術の修練を積む選手が試合に出て武術を意識して勝てるものではないというのが、武術空手・剛毅會の岩﨑達也宗師の考えだ。距離とタイミングを一対とする武術。対してMMAは距離とタイミングを別モノとして捉えるスポーツだ。ここでは質量といった武術の観点でMMAマッチを岩﨑師範とともに見てみたい。

武術的観点に立って見たマルロン・ヴェラ✖ドミニク・クルーズ戦とは?!


──マルロン・ヴェラ×ドミニク・クルーズ。一つの時代が終わった。そんな印象のドミニクのKO負けでした。

「その一時代を築いたドミニク・クルーズのことをリスペクトされているようですが、私はこの試合だけに限って話をさせていただくと……戦いとしてやってはいけないことばかりのオンパレードでした。

これは止めましょうというオンパレードです。動くために動いている。その動きが、1Rの2分過ぎでピタッと止まってしまっていました。バテてしまったのですかね」

──あの時間帯で背中が光るほど汗が出る。過去になかったかと思います。

「とにかくあれだけ体が浮いてしまうと、自分の攻撃は全てが軽くなりますし、相手の攻撃を被弾すると効いてしまいます。対してヴェラがどっしり構えていつでも倒せるぞという戦いをしていれば、早々にパンチで倒せていたと思います。でも、そうでもなくのんびり構えていましたね。もっと早く倒せたはずですが、エンジンの掛かりが遅かった。

ただ、この試合はドミニク・クルーズがマルロン・ヴェラにKO負けしたというよりも、ドミニク・クルーズが自爆した。そういう試合だったと思います」

──もうドミニクが、ドミニクではなかった。だから岩﨑さんの指摘は正しいのでしょう。それでも、ドミニクをぶった切られると良い気分はしないです。正直。

「それは、松嶋こよみ師範代も言っていましたよ。『この試合だけでなく、ドミニクのWEC時代やUFCでのデメトリウス・ジョンソン戦、ユライア・フェイバー戦を見て評価してください』って。そんなもん、いくら昔が凄かろうが今、負けていたらどうしようもない。基本に戻る必要があるんだって言っても、師範代は納得しないんですよ(苦笑)」

──それはそうですよ。ドミニクが基本通りの動きをして、ファイター人生の余生を永らえるなんて見たくもないです。もうドミニクではなかったかもしれないけど、ドミニクはドミニクであろうとして散ったんです。昔、凄かった。そう言われる選手が、どれだけMMAに存在しているでしょうか。

「アハハハハハ。いやぁ、それだけ愛されるって凄い選手なんでしょうね。あなたもそうだし師範代もそう。相当にリスペクトされているドミニクですけど、私はガーブラントにやられた時ぐらいからしか見ていないので。逆にどう凄かったのでしょうか」

──この試合でいえばドミニクっぽくはありました。ただし、前の動きも後ろへの動きももうドミニクではなくなっていた。前に関しては、あそこで止まるならそりゃパンチを合わされるよなと思います。

「つまりは、あそこでは止まっていなかったということですね。もっと遠かったということですか」

──遠いというよりも、近づいても遠くなる。前に出るなら相手の横を通り抜けて、攻撃を受ける位置にはいないぐらいで。当てた時も、その場にはいない。そして相手を翻弄してテイクダウンを奪っていた。それと下がる動きが、まさに変幻自在でした。

「そこまでだったのですね。下がれるのは凄いことです……MMAを戦ううえで。そして自分の攻撃を当てることができていたのは。ただし、この試合では下がった時のステップが、足がバッテンになるんですよね。アレは絶対にやってはいけないです」

──足がクロスするということですね。

「縦のバッテンと横のバッテンがあって、縦のバッテンがあると歩幅が狭くなってしまって。あれではすぐに相手の距離になってしまいます。バランシングといって、歩幅は一定で横に動くことが必要で。でも、クロスしてしまっていますからね。そこでパンチを貰うと、非常に効きます。最後は横のバッテンなんですよ。あのステップになると、相手が見えなくなります。だから、そのためにナイファンチンの型稽古があります。

足がクロスした時にも、相手を見られるようになるためには。そういう部分もナイファンチンにはあるんです。でも話を伺う限り、以前はあのステップでも攻撃を貰わなかったのでしょうね」

──ハイ。以前は、その足がクロスするステップでも相手の攻撃を受けなかったです。まさに唯一無二の存在でした。

「そこまでできていたことが、できなくなる。それはなぜ、デキていたのかが分かっていないとデキなくなりますよね」

──……。誰もできない動きをしていた。だから、靭帯を負傷したのかもしれないです。

「そういうことだと思いますよ。人間として、やるべきではない動きで負荷が掛かっていたのでしょう。ただですね、指導者として見るとドミニク・クルーズは人ができないことができたファイターということだけで、もう放っておいて構わない選手です。それだけ才能がある選手ですから。

でも才能がない人は真似をしてはいけないです。だから基本があって、そこが大切になってくる。基本を身に着けたうえで、応用をやる。ドミニク・クルーズのような才能がある人間は、ほぼ存在していないんですよ。

昔、私が指導していた人間でドミニクの真似をして、全くダメになった人がいたんです。蹴りが凄く強くて、その蹴りを伸ばそうと練習をしてきたのにドミニクに感化されて。全くバラバラになりました。

ドミニクを真似るなら、そういう分かりやすい部分ではなくて──相手の動きが見えているところや……きっとそれって、相手の動きを予見して当たらない方向に動いていたんだと思います。その動きをするためには、徹底的な反復練習が必要だったはずです。そういう部分を真似て欲しい。そういうことなんです」

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