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【RIZIN44】ジャブで距離を支配した中島が岡田を撃破「バンタム級なら負ける気がしない」

<バンタム級/5分3R>
中島太一(日本)
Def.3-0
岡田遼(日本)

岡田がいきなり飛びヒザ蹴り。中島の前足にローを集める。中島は右のカーフキック、ジャブから右ストレートを伸ばす。これで岡田を下がらせ、すぐに右のカーフキックを蹴る。岡田はカーフを空振りさせて、すぐに組む。中島はロープ際で投げからテイクダウンを狙い、上を取れないと判断して立ち上がる。

岡田が打撃のフェイントを見せつつ、再び組みついてテイクダウンを奪う。サイドポジションで抑え込む岡田。この時間が長く続くが、中島は背中を見せつつ立ち上がる。そのまま中島がボディロックでコーナーに押し込んでヒジ。岡田が飛びつき腕十字を狙うが、中島は岡田をマットに落として、立った状態でブレイクを待つ。ブレイク後、岡田が右の前蹴り、右のスーパーマンパンチ。これをバックステップでかわした中島が打撃でプレッシャーをかける。

2R、中島が右ハイと右ミドル。岡田は左フックと右カーフを返す。中島はジャブからワンツー、この右を当てて岡田の動きを止める。さらに中島は歩くようなワンツー。岡田はダブルレッグに入るが距離が遠い。岡田はジャブとワンツー、再びダブルレッグを狙うがここも距離が遠い。

中島は両手を伸ばして距離を取りながらジャブを突き、岡田が組みついてきても、四つ組みで倒れない。ジャブで距離を取る中島。岡田はパンチで追いかけて組み付こうとするが、深く組むことができない。距離をる中島が左フックから右。ノーガードで岡田のパンチを空振りさせ、組まれても中島が岡田を押しこむ。

3R、中島が右カーフキック、右ストレートから返しの左フック。岡田が前に出てくるところにジャブを合わせ、サイドキック、ワンツーと手数を増やす。岡田がパンチから組み付くと、中島がその勢いを使って投げるが、ロープから岡田の身体が出てしまいブレイクとなる。

再開後、ここも中島が岡田がパンチで前に出るところに右ストレート、岡田のパンチを空振りさせて左フックを当てる。さらに中島は組みつく岡田をがぶってヒザ蹴り、亀になる岡田に後ろからパンチを入れる。岡田がコーナーに身体を預けて立つと中島がダブルレッグでテイクダウンし、肩固めへ。

かなりタイトに極まっているようにみえたが岡田はタップせず。中島が肩固めを外してトップキープすると、立ちあがって踏みつけ。亀になる岡田にパンチを打ち込み、サッカーボールキックを蹴ったところで試合が終わった。

ジャブで距離を支配した中島が岡田を圧倒。判定勝利を収めると「RIZINのバンタム級のベルトを獲りに行きました。フェザー級ではケラモフに負けましたけど、バンタム級なら負ける気がしません。もっと強い選手とやらせてください」とトップ戦線への殴り込みを宣言した。

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【RIZIN44】摩嶋一整×横山武司が横山の男気キャッチウエイトで66.2kg契約に変更

明日24日(日)、さいたまスーパーアリーナで開催されるRIZIN44のセレモニアル計量がメディア及びファンクラブ当選者限定/会場非公開で行われている。

全10試合・出場20選手が計量をクリアする中、フェザー級で組まれていた摩嶋一整×横山武司が、66.2kg契約に変更されたことがアナウンスされた。(計量そのものは摩嶋が66.2キロ、横山が65.8キロ)

計量後に囲み取材に応じたRIZIN榊原信行CEOによれば、本計量時に摩嶋が66.0kgまで体重が落ちない状況になり、摩嶋・横山両サイドと話し合い「横山の男気で、66.2キロ契約で正々堂々やろうということになりました」と説明。摩嶋×横山はペナルティなし・通常の公式戦として行われる。

スパイク・カーライル×堀江圭功では、計量後のフォトセッションを終えたあとにカーライルが持参したビールを堀江にプレゼント。堀江はそれを受け取らず拒否した。

メインとコメインに出場する4選手は「私と金原さんでいい試合をします」(クレベル・コイケ)、「クレベルという最強の男を覚悟を持ってやっつけにいきます」(金原正徳)「明日は必ず仕留めにいきます」(牛久絢太郎)「明日はすごいものを見せるんで、楽しみにしとってください」(萩原京平)と意気込みを語った。

■ RIZIN44対戦カード

<フェザー級/5分3R>
クレベル・コイケ:65.85kg
金原正徳:65.65kg

<フェザー級/5分3R>
牛久絢太郎:65.85kg
萩原京平:65.85kg

<ライト級/5分3R>
スパイク・カーライル:71.00kg
堀江圭功:70.95kg

<キックボクシング 70kg契約/3分3R>
安保瑠輝也:69.95kg
宇佐美正パトリック:69.90kg

<フェザー級/5分3R>
中原由貴:65.90kg
白川陸斗:66.00kg

<66.2kg契約/5分3R>
摩嶋一整:66.20kg
横山武司:65.80kg

<フライ級/5分3R>
福田龍彌:56.95kg
山本アーセン:56.85kg

<バンタム級/5分3R>
中島太一:60.75㎏
岡田遼:60.95kg

<ヘビー級/5分3R>
シビサイ頌真:109.30kg
ヤノス・チューカス:118.35kg

<フライ級/5分3R>
征矢貴:56.85kg
ラマザン・テミロフ:56.90kg

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【RIZIN44】福田龍彌戦前の山本アーセン「勝てば見えなかったモノが見えてくる。恭司さんの爪先ぐらいは」

【写真】この試合が如何に大切か、誰よりも分かっている。集中しつつ、リラックスできているアーセンだった(C)MMAPLANET

24日(日)、さいたまスーパーアリーナで開催されるRIZIN44で、山本アーセンが福田龍彌と対戦する。
Text by Manabu Takashima

5月の伊藤裕樹戦の勝利で評価を180度変えたアーセンが、その評価を絶対とするために待ち望んだ福田との一戦に臨む。対戦相手の情報はシャットダウン、信頼するセコンドの声を聴き、自信の直感を大切するというアーセン──その感覚派の言葉から、確かな自信と仲間との信頼感が伝わってきた。


――2週間後に福田龍彌戦が迫ってきました(※取材は11日に行われた)。今の調子はいかがですか。

「もちろん技とかもあるんですけど、とりあえずメンタルを整えることが大事で。ちょっとでも『守りが上手い』とか思ったら自分の動きができなくなるし、色々変なことは考えないようにして。今日からSNS断ちをします。変なモノは入れないで、自分に集中しようと思います」

──SNSには精神的に影響が出る文字が躍っていますか。

「これはファイターとか直接何かがあるだけでなく、普通の人も他人の私生活を覗き見ることって良くないみたいですね。羨ましいとか、自分より下だとか思って比較してしまうそうです。そうすると自分を保てなくなるみたいで」

──確かに。本来は、誰がどこで何を食べたとか。どこを旅行しているとか、知らなくて良いことですしね。それだけ自分のことだけに集中し始めたということですね。

「それで視野が狭くなったり、思考が一方通行になる副作用が出るとダメなんですけど、前回の試合でそこも掴めて。それまでの試合と比べると、凄く良い創り方ができたんです。今回も凄く良くて。本当はセコンドは(漆間)將生に就いてもらおうと思っていたけど、アイツ自身が色々と考える時期になっていて。それを(中村)倫也に相談したら、『俺がやるっしょ』といって貰えて、急遽アイツがやってくれることになったんですよ」

──そういえば倫也選手のUFCデビュー戦ではアーセン選手は、コーナーに就かなかったですね。

「髙谷(裕之)さんと河名マスト君が行くなら、俺は試合前だから自分のことに集中させてもらいました。2人だけだったら、シンガポールまで行ったけど。追い込みが必要な時に、他に倫也をサポートしてくれる人がいるところに行くより、練習だろうと。

だから『ゴメン、我儘言って良い』って。今回の相手は、100パーセント集中しないといけない。『倫也、ゴメンなんだけど』って連絡して。倫也も『あぁぁぁぁぁ、分かったぁ!!(鈴木)崇矢、連れて行くわ』ってパニクっていました。凄く申し訳なかったけど、俺は俺でようやく芽が出てきたところなんで、咲かせないと意味がないから。シンガポールに行って、練習時間を削っていけるような相手じゃないから──懸けたいって思って。

ホント、倫也に半べそかきながら電話しました。仮にシンガポールに行っていたら、同じ部屋にいる倫也に俺の本当の気持ちが伝わってしまうし。そういう負のオーラは、倫也の気を崩してしまう。だから、これは言わないといけないって」

──中途半端な仲でないことが伝わってきます。

「嘘の関係じゃないので。それなのに俺のセコンドは引き受けてくれて。仏様みたいな人ですよ。倫也も自分にネガティブなところは、引きずらない性格でポイってできるので。それもそれで正解で。俺は皆を引っ張る立場だから、人は切れない。十人十色で、俺と倫也の関係は何も変わらない。

でも倫也の勝ちは凄かったです。ラウンド間のパラメーターで100×0になって。そんな数字がでるんだなぁって。もちろん俺と倫也は違うけど、ちょっと自分の戦い方にも被ったところがありました。諦めないで漬けて、相手の心を折る。あの試合を見て、『やっぱ俺、間違ってなかった』というのもあったけど、俺はいっこ上のレベルに行きたいと思ったのもあります」

──というと?

「打撃ッスね。MMAなのにやっぱり打撃、組み技という2つでアバウトに分けられているじゃないですか。でも、どっちもデキた方が良いプレッシャーになるし、相手も迷いますからね。次の試合でそれができたら良いけど、相手が相手なので」

──それこそ、コントロールし続ける試合でも問題ないかと思いますが……。いや、それができたら大したものというぐらいの対戦相手かと。

「ハイ。一周回って、そこに来ました。だから全然漬けても良いし、そこは神のみぞ知る。流れに任せます」

──コントロールして勝利した伊藤裕樹戦。その伊藤選手が、7月大会ではヒロヤ選手にコントールを許す場面もありました。アーセン選手の完勝に、ミソがついた形にはならないですか。

「いやぁ、伊藤君はマイ・メン、自分の仲間にしたい人だから何も、そこはないです。でも、アレはビックリした。とはいっても試合は試合、相手がいるものなので。ヒロヤ君もせっかくもらったチャンスで、全てを賭けていましたからね。自分の試合を見て、参考にした部分もあっただろうし。とにかく、あれだけ賭けてやっているんだから、そりゃあ、そうなるでしょって。俺だって負けるって皆に言われていたけど、あの試合に賭けていて。努力して、ああいう試合ができた。人間の底力ってあるから。だから、伊藤君とヒロヤ君の試合で、周りがどういう風に思うかは気にしないです」

──伊藤選手に強い姿を見せて欲しかったというのは?

「ないです。別に……2人とも全力を出しているので。今、こんなご時世で第3者が何でも言う時代になったけど、大昔は殺し合っても誰も何も言わなかったし。当人の問題なんで。あの試合がどうこうでなく、俺はまた自分を証明できる相手と戦えるわけだし。それは自分の段階が上がっているということなので」

──つまり福田選手は伊藤選手より格上という認識があるわけですね。

「正直に言って良いですか?」

──もちろんです。

「現実問題として、結果が出ているから福田選手が上だと考えるのは当たり前です。でも、皆がフライ級の頂点でなく中腹にいて。ここで誰が強いとか、弱いとか考えていると一生中腹から抜け出すことができないように思うんですよ。俺はここでゴチャゴチャやる気はない。俺の兄貴、倫也なんてUFCで自分を出しているんだから。俺も倫也ぐらい頭抜けたいし。ここで強い、弱いなんて考えている暇はない。

倫也の探求心は本当に凄いです。でも俺は次男で、良い所取りをします。お兄ちゃんがあれだけ色々とシミュレーションをして超頑張って、次男はオイシイところを貰う。倫也は俺にできないことをやっていて。だからセコンドに就いてもらって、結構任すという感じで自分の味方につける。そういうメリットを目当てに、倫也と一緒にいるわけじゃないけど、次男としていただけるものはいただきます。この先、もっと成長するためには倫也の思考とかも採り入れないといけないけど、今は採り入れなくてもやってくれる状態だから、信じて任しています」

──裏を返すと、倫也選手の言うことを実行できるということですよね。

「そうっすね。倫也だけでなく、モッサ(K-1ジム五反田・秋元僚平)先生も柔術のトミー矢野君も就いてくれます。超豪華メンバーなんですけど、3人の言葉を全て聞いていると衝突事故が起きちゃうから、自分で判断します。面と向かって見える、開いているところと第三者から見えるところで全然違うわけじゃないですか。そこは自分の直感を信じます。自分の野生の勘を」

──戦いって、自分が出ると思います。それはトラッシュトークや煽りVの言葉が本気なら、その言葉のような戦いになる。創られた言葉なら、そのような戦いにはならない。これが人間力だとすると、福田選手も相当な人間力の持ち主かと思われます。

「だからこそ、福田選手のインタビューは読まないし、動画も視ない。読んだら、その人の気持ちが入ってくる。それは要らない。どっちみち戦うんだから、知らない方が俺は自分の動きができる。

やっぱり試合の動画とかもチェックした方が良いと言ってもらうこともあります。でも、全く視ないです。それは全部、倫也達に任せている。あの人達は俺に嘘をつかない。そこを信用して、そのなかで自分が想ったことをやるだけです。地図を見ない方が、目の前の風景を見て、ナビの声を実行できる。猫が飛び出しても、そこに反応するのは俺の運転。何かが飛んできた、当たったら当たった時。

相手のことを気にして、自分を出せないで終わるより、知らないままで自分を出して負けるほうが良いから。まぁ負けないけどね(笑)。でも、どっちが良いかといえば自分を出して満足したい。福田選手のフックが強いという情報があると、ストレートが出せなくなる。じゃあ、頭振ってつっておいてのテイクダウンに入れないな──って考えると、もう相手に合わせた動きになる。それは俺、嫌なんですよ。

この先、自分がレベルアップして相手の動きを研究しても、自分のやるべきことをやると守れるのであれば試合映像を視るようになるでしょうね。でも今はケツの青いペイペイだから、自分のやっていることを試合で出すことが一番の目標です」

──昔の白兵戦は相手の癖を知らずに、殺し合いをするわけですしね。

「となると、自分がどう動けるかじゃないですか。そういうことなんですよ」

──面白いモノで、全く倫也選手とは真逆なのですね。

「倫也はそういう風に育ってきたから。小学生の頃から、何か食べ物を買う時も原材料をチェックしているんですよ(笑)。俺は『何やってんの。美味いんだから、食えばいいじゃん』っていう人間で。倫也は意識が高い風に育っている。俺は直感で生きるよう育った。だから完全に倫也を真似すると俺は死んでしまいます。でも倫也が味方にいると、彼がしっかりと研究したことを指示して、俺の実になる。結果、もっと良い直感に結びつく。相手のこと考えず、何でも来いよってやっている方が俺は強いし、速いんですよ。何事も拘らない方が、俺は強い」

──なるほど。では今回の対戦もカードの発表というだけで、これだけの一番に記者会見がなかったことも気にしないですか。

「記者会見もあるかないかっていう話で、断っても良さそうな空気だったので断りました。別に要らないです。戦う前に会う必要はない。自分を偽って有名になる必要はないし、好きでやっていることなので。好きなことだから、その時間を使って好きなだけ準備したいです。まぁ、他の試合でも何でも会見をやってRIZINを視てくれる人が増えれば、その分俺の試合を視てくれる人も増えるので、それはそれで構わないんですけどね。

オラオラしたいわけじゃないし、相手を挑発したいわけでもない。ただ自分がしたい試合をして、相手をぶっ飛ばす。で勝った後のマイクパフォーマンスで、少しでも人の心を動かすことができればなって思っていて。それだけでやっているので。絶対に必要だというなら会見にも出席します。でも、そうでもないならジムにいて仲間と練習していたい」

──相手を知ってしまう、顔を合わせると自己表現の邪魔になるということでしょうか。

「う~ん、相手を知ることは勝つための一つの手段だと思います。だから、そういう試合もあります。でも自分が納得できるか、できないかということで考えると、知ることで自分のやりたいことの純度が落ちます。それが嫌なんですよ。伊藤君との試合まで、そればっかだったから。

自分を出さないで終わっている試合ばっかりでした。で、いっつも負けて悔しいけど……なんか納得できない。不完全燃焼で。だったら自分が納得できる戦いをしたいなって」

──強くない相手にやりたいことをやるのは簡単だと思います。その点、相手を知ろうが知るまいが福田選手にやりたいことをやるのは簡単なことではないかと。

「だから、やりたい相手だったんです。ぶっちゃけ、大晦日を考えて9月に試合をする必要はないという意見もありました。ただし、そうなると福田選手が相手でなくなるかもしれない、と。それは絶対に嫌だと思いました。直感で、この人だけは逃したくないと思いました」

──試合も見ず、インタビューも読まないのに福田選手と戦いたいと思ったのですか。

「修斗のチャンピンだったということ。ノリ(山本KID徳郁)が戦っていたところのチャンピオン。それと伊藤君に勝っている。これに勝てば、見えなかったモノが見えてくる。(堀口)恭司さんの眼中には入っていないけど、俺からは恭司さんの爪先ぐらいは見えるんじゃないかと思ったんです」

──堀口選手を意識しているのですね。

「RIZINで戦う理由はそこです。恭司さんと戦うことができる確率が、他より高い。俺の知名度は家族から譲られたモノ。その知名度を使ってでも、あの人とやりたい。そういう知名度が生きるのもRIZINなので」

──なぜ堀口選手なのですか。

「同門だし、この前の試合で褒められたのがチョット嫌でした。同じ階級の選手なのに、バックステージで『良かったね。もっと柔術をやった方が良いんじゃない』って言われて……。有難い言葉だし、図星だと思います。でも、俺は将来戦うかもしれない相手にアドバイスなんて絶対にしない。つまり、眼中にないってことで。

ただ単に以前所属していたジムにいる知り合いってこと。自分のなかでは、見返したいっていうのがどうしてもあって。だからあの人とやるためにRIZINで戦う。俺の矜持が許せなかった。敵として見られていないことが悔しかったです」

──エールだと思うのですが。

「もちろん、そうです。ラブです。でも、戦う人間としてそんなの嫌じゃないですか。同じ階級ですからね。そこは譲れない」

──福田選手に勝てば、そこに近づくと?

「RIZINという場が近づきやすい。福田選手は福田選手で、心から倒したいと思った人で。この先のことも見ていないし、とにかく福田選手を倒したい。ディスもなにもない。戦う男だし、だからこそ勝ちたい。凄く価値のある相手。恨みはないけど、俺の欲しい財宝を持っている相手。海賊がそうであるように、財宝が欲しくて戦います。倒したい相手なんです」

──同時に応援してくれる人に喜んでほしい。では、どういう試合を彼らに見せたいですか。

「それも考えていない。自分が戦いたいから、戦う相手で。で、俺が自分を出せば皆が盛り上がる。レスリングの時も、前回の試合もそう。伊藤君との試合なんて『よしっ、死ぬ準備はできた』、『自分に負けない』、『全力を出す』。このモットーだけを守っていた試合なんです。だから俺が自分を出せば、自然と盛り上がる。なんで、応援してくれる人にどんな試合を見せたいかとか何も考えていないです。

俺、やっとアスリートでなくて、ファイターにようやくなってきたんです。MMAで自分を出せるようになってきたと思っています」

──アーセン選手は本来は優しい性格の持ち主で、この競技に向いているのかと疑問に思うところはあります。

「もう倒れている相手を殴って、蹴っ飛ばすことができるようになったんで。練習中でも以前は『大丈夫?』なんて気にしていたことが、平気でやれる。チームメイトに対してもスイッチが入るようになった。結果、スイッチをオフにもできる。前は試合が決るとずっと荒ぶっていたのが、今はスイッチをオンするまで普通に過ごせています。だから、試合以外は優しくさせてよって(笑)。だって、優しい男は強くないといけない。優しい男は強いんです」

■視聴方法(予定)
9月24日(日)
午後2時00分~ABEMA, U-NEXT, RIZIN100CLUB,RIZIN LIVE,スカパー!

■ RIZIN44対戦カード

<フェザー級/5分3R>
クレベル・コイケ(ブラジル)
金原正徳(日本)

<フェザー級/5分3R>
牛久絢太郎(日本)
萩原京平(日本)

<ライト級/5分3R>
スパイク・カーライル(米国)
堀江圭功(日本)

<フェザー級/5分3R>
中原由貴(日本)
白川陸斗(日本)

<フェザー級/5分3R>
摩嶋一整(日本)
横山武司(日本)

<バンタム級/5分3R>
中島太一(日本)
岡田遼(日本)

<ヘビー級/5分3R>
シビサイ頌真(日本)
ヤノス・チューカス(ハンガリーム)

<ヘビー級/5分3R>
スダリオ剛(日本)
トッド・ダフィー(米国)

<フライ級/5分3R>
福田龍彌(日本)
山本アーセン(日本)

<フライ級/5分3R>
征矢貴(日本)
ラマザン・テミロフ(ウズベキスタン)

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【RIZIN44】「チョット早くね」=摩嶋一整戦前の横山武司。「ボコボコされる可能性は十分にあります」

【写真】言葉使いは現代風ですが、礼を欠かない。慇懃無礼の逆を行く横山武司(C)MMAPLANET

24日(日)、さいたまスーパーアリーナで開催されるRIZIN44で、横山武司がRIZIN二戦目で摩嶋一整と対戦する。
Text by Manabu Takashima

ブラジリアン柔術黒帯、新婚旅行もATOSで修行という横山は5月の山本琢也戦でRIZINデビューを腕十字&一本勝ちで飾ったが、今回の摩嶋戦のオファーに関しては「チョット早くね」という心境を吐露した。

社会からはぐれていそうで、しっかりと社会性もある。そのアンバランスさはMMAファイターとして組み特化のアンバランス性と相まって、横山の存在を既に際立たせている。


――7月の超RIZIN02の際、さいたま新都心駅の改札横で長蛇の列の先頭に横山選手がいて、ファンにサインを書き続けている場面に出くわしました。

「そうでしたね(笑)。めっちゃビックリしました。赤羽までバイクで行って、そこから電車に乗ったんですけど、なんかすごいジロジロと見られて。何かおかしいなって思っていると、改札を出た直後に『サインしてください』、『写真撮らせてください』っていう人が次から次へと出てきて(笑)。結局、1時間ぐらいサインをしていました」

――1時間も。あの炎天下でッ!!

「1人だったから、水を飲むタイミングがなくて……。でも、最後の最後に『これを』って水をくれた人までいたんです。気が利く人っているんですね」

――凄く良い笑顔で対応していました。

「凄く嬉しかったです。最初は(笑)。最後の方は、試合が始まっちゃうって焦り出して。でも、途中でやめるって嫌な気持ちをする人もいるのでできなかったです」

――そのファンの存在は、横山選手にとってやりがいになるのですか。

「なりますね。そんな、特別に有名になりたいという気持ちはないのですが、今のところファンのSNSでの反応は良いことしか書かれていないので、励みになるというか自信になります。応援してくれる人達のために頑張ろうということではないけど、自分のこのやり方は間違っていないんだって思えます。

まだ悪口とか、変なことは書かれていなので――そこは良かったなって。でも何かあったら悪口に変わるし、これでつけあがるようなことはないようにしたいです。良い感じで楽しんでいられるので、今の感じで良いかなって」

――そして9日後に摩嶋選手との試合が控えています(※取材は15日に行われた)。前回の山本琢也戦ですが、あの状況では横山選手の実力は測ることができない。計量失敗で、山本選手は力を出す精神状況になかったと素直に思いました。それでも一本勝ちができた。あの勝利をどのように振り返ることができますか。

「アレは相手がミスってくれればできることですけど、一瞬で終わっちゃったんで。試合勘が全く掴めていない。ただでさえ、RIZINに出るまで4試合しかしていなくて、あの試合も自分の経験値にはあまりなっていない。疲れることもなく、汗を掻く前に終わってしまったし。勝った時はもちろん嬉しかったけど、経験値を高めることができていない。そういう焦りもあります」

──そこで決った摩嶋選手との一戦です。オファーを貰った時は、どのような気持ちでしたか。

「『チョット早くね』っていうのが、本音です。本当にトップの選手なので。斎藤(裕)選手、朝倉未来選手、摩嶋選手──その辺の選手たちはもうチョット後、次はRIZINで1、2回出たぐらいの下の選手になるかなって。自分もまだ無名だし、北海道大会とかに余り知らない人達が出ていた。あの辺の人たち。DEEPからRIZINにきて1試合目じゃ2試合目の選手。それか、この前の僕みたいにどっかの団体のチャンピオンでRIZINデビュー戦になる人。知らない選手で、決まってから調べて『こういう選手なんだ』ってなるような相手と戦うのかなと思っていました。

それが摩嶋選手だったから、あぁもうそういう選手とやるんだって。同じ日に試合をして、普段普通に練習していて摩嶋選手の名前はよく聞いていました。他の選手に比べて、かなり業界のことを知らない僕でも摩嶋選手のことは知っていました。ただ、ここで相手を選ぶことはできないので。『うわぁ、マジか』って思ったけど、『やります』と返答しました」

──戦績的に摩嶋選手はRIZINでは1勝3敗です。それでも横山選手からすればフェザー級のトップだと。

「相当に強いと思います。3敗したといっても斎藤選手、クレベル(コイケ)、金原(正徳)さんが相手です。この3人でないと5連勝していたかもしれない。マジで結構連勝していたと思います。RIZINに出る前は14勝1敗だし、相当に強い」

──それでも対戦を受けたのは?

「相手を選ぶのって恰好悪いじゃないですか。戦えない理由が『知り合いだから』とかっていうモノなら分かるけど、『ちょっとまだ勝てないから』って断ることはできない。試合に向けて練習していくしかないから。なんで、オファーを受けた時には『練習しないとな』となりました」

──摩嶋選手は昨年の4月に金原選手に激闘の末敗れました。対して横山選手は昨年の11月に山本空良選手にNEXUSで競り勝った。そして金原選手は4月に山本選手と戦い圧勝しています。現状、横山選手と摩嶋選手の間には金原選手と山本選手のような差があるかもしれない。そのような見方も成り立ちます。

「ホント、その可能性はあると思っています。金原さんと山本選手は、先輩が先輩らしくボコボコにした試合でした。僕がそうされる可能性は十分にあります。7割、8割、9割の局面をコントロールされて、フィジカルも気持ちも摩嶋選手の方が全部格上だなって負ける。その可能性は結構高い。それか僕が一本を取る。僕が疲れすぎて肩固めでタップという可能性もあるけど、スッと一本を取られることはない。一本決着なら、僕が隙をついて取ります」

──スッと入るということであれば汗を掻く前、初回が勝負かと。

「でも摩嶋選手は1Rが元気なので、そこで掴めるのは難しいと思います。取るなら疲れてきたところなので、気持ちで負けないように……スタミナが切れないようにずっと攻撃し続けてないといけないです」

──それは簡単ではないですね。

「そこッスね。気持ちの保ち方、フィジカルで自分が先に疲れると勝ち目はないです。攻め続けて、相手を疲れさせないと一本は取れない試合になるんじゃないかと」

──勝負だから負けることもあると承知の上で今、冷静に話しているのか。もしくは謙遜して話している風で、心の内は凄く自信があるのか。どちらなのか、判断がしづらいです(笑)。

「両方ッスね(笑)。自信もしっかりあるけど、全てをシミュレーションしています。だから、どうなると負けるのかっていうことも考えていて。ただ謙遜していても、適当なことを言っているということはないです。本当のことしか言っていないです。今回は本当に相手は強いだろうなって」

──それでも自信が伝わってくることが、横山選手の面白いところです。大口を叩いても、やはりそれが大口にしか聞こえない選手もいます。

「真面目に練習していないと、そうなりますよ。やっぱり練習あるのみだから。勢いだけでやっていると、なんか若い子はMMAはやることが多すぎて喧嘩みたいな方にいってしまいますよね」

──若い子はって……。

「僕はデビューしたのが25歳で、もう27歳なので(笑)」

──MMAだけでなく、そこまでの全ての経験値も関係してくるような気もします。特に横山選手は柔術家という括りでいえば、黒帯のコンペティションを経験していることは大きくないでしょうか。

「柔術でいえば黒帯になってからが、本当の勝負なので。そこで戦っている人間と、やっていない人間の違いはあると思います。それとグラップラーだとMMAも柔術もグラップリングもやっていて、負けたら終わりという状況にないことがあります。負けたら終わりという試合をすると、選手は成長できるかと」

──なるほど。では今回の試合に向けて、練習内容に変化はありましたか。

「余り変えていないです。今は仕事として柔術のクラスがありますが、選手練習はMMAだけです」

──その練習場所というのは?

「K-Clannでは……今はATTに行っているけど、牛久(絢太郎)先輩やCOROさん。大尊伸光選手、中原由貴選手とか。あとK-ClannのDEEPに出ている選手なんかと」

──中原選手など、RIZINで同じ階級ですね。

「まぁ、打撃はボッコボコにされています(笑)。メッチャ、強いです。あの人と試合をするとなると、怖いッスね。だからこそ、そういう練習が必要で。あとはFIGHT BASEで(佐藤)将光先生のところに行っているのと、ここS/weelsでもグラップリングの練習をハードにしたり。それとパラエストラ東京を借りてイゴール・タナベ、シビサイ(頌真)さんとかめっちゃデカいですけど(笑)、マネージメントが同じ3人でミットを持ってくれる人やレスリングのコーチが来てくれて一緒にやっています」

──レスリングの指導はどなたが?

「なんか日体大の強い人……凄く強いって言われている人が来てくれます」

──アハハハハ。名前を覚えていないのは失礼かと思うのですが、なぜか許されてしまう得なキャラをしていますよね。

「ハハハハ。MMAの練習は色々な人が誘ってやっているけど、レスラーはやっぱ凄いですね」

──今回の試合に関しては、組んで倒されても自分の庭で戦えるということなりますね。

「向うのやりたい試合が、僕のやりたい形になってくるので、やりたい戦いになると思っています。自分の得意なところを潰されないこと。そこは絶対に潰されない自信はあります」

──トップのプレッシャーに対して、下からのコントロールというところでしょうか。

「そうですね。意外と簡単にスイープできちゃうのか。全然、できないのか。サブミッションのディフェンスはどうなのか。メッチャ緊張しているのですが、凄く楽しみです」

──寝技に付き合わない、突き放す戦いをされる方が嫌かと思うのですが。

「何もしてこないってやつですね。そこはマジで想定しています。突き放してくる分には別に構わないです。立って殴り合いをして、自分からも組むので。でも上から何もしない。パウンドも打たない。取られないことだけを意識して、動いてこないと本当につまらない試合になる可能性はあります。

摩嶋選手は強い選手です。だから……弱い選手が上から何もしてこなくても、動かす方法は意外となくて。それを摩嶋選手が動かないでつまらない戦いをやってきたら、本当につまらない試合になる。そうならないことを願っています。そうならないよう勝つ時も、負ける時も良い試合をしたいですね」

──MMAでの戦い方は、どのように組み立てているのですか。

「自分でやっています。色々なところで練習しているので、細かいところは自分で考えて。そのなかでも、たくさんアドバイスをくれるのは将光先生です。実際にスパーリングをしても、圧倒的に知識とテクニックがありますし。まず将光先生から聞いて、自分でできることをやる。分からないことは将光先生に尋ねて、また試す。そうやって最後は自分で選ぶんですが、将光先生は本当にお世話になっています」

──ここ越えて、この先というのは考えますか。

「これが自分にとってRIZIN公式デビュー戦です。この前の試合はRIZIN体験入門で。今回はこの前の体験で皆から認められて、ファンの人も求めてくれた試合──RIZINの中心メンバーと組まれた。どこまで自分ができるのか。勝っちゃったら、もっと強い人というのはあんまり考えていなくて。いうても、まだ7戦目で。この人と戦いたいというのはあまりないです」

──ここからは横山選手本人の試合ではないのですが、クレベル・コイケ✖金原正徳の一戦の勝利者予想を。

「(きっぱりと)クレベルの一本勝ち」

──おお。

「高校生や青帯の時から見ている業界の大先輩がRIZINに出て、バンバン一本勝ちしているのを視て、俺にもできると思ったところもあるし。クレベルが負けるところを見たくないです。自分の信じた柔術が一番強いという想いが凄くあって、僕はクレベルとサトシが勝ってくれると勝手に誇らしく思っていたし。だから金原選手も凄く強くて、金原選手が勝つパターンも色々と想像できるけど、願い──望みということもあってクレベルが一本取るんじゃないかと思います」

──横山選手は今、柔術ベースのMMAファイターなのかMMAを戦う柔術家なのか。どちらなのでしょうか。

「MMAファイターらしくはなってきちゃってはいます。なぜかというと、今年の収入は柔術よりMMAファイターの方が全然高いので。だからMMAファイターになってきてはしまっているけど、まだ柔術家のノリがあるかな。

ただ柔術の黒帯全日本チャンピオンがMMAをやっているというのはあったけど、RIZINに出てそれなりに注目されているなら、MMAファイターだと言わないとRIZINに失礼かという気持ちもあります。この舞台で戦って注目されているからにはMMAファイターだと思って、やることをやらないといけないです」

■視聴方法(予定)
9月24日(日)
午後2時00分~ABEMA, U-NEXT, RIZIN100CLUB,RIZIN LIVE,スカパー!

■ RIZIN44対戦カード

<フェザー級/5分3R>
クレベル・コイケ(ブラジル)
金原正徳(日本)

<フェザー級/5分3R>
牛久絢太郎(日本)
萩原京平(日本)

<ライト級/5分3R>
スパイク・カーライル(米国)
堀江圭功(日本)

<フェザー級/5分3R>
中原由貴(日本)
白川陸斗(日本)

<フェザー級/5分3R>
摩嶋一整(日本)
横山武司(日本)

<バンタム級/5分3R>
中島太一(日本)
岡田遼(日本)

<ヘビー級/5分3R>
シビサイ頌真(日本)
ヤノス・チューカス(ハンガリーム)

<ヘビー級/5分3R>
スダリオ剛(日本)
トッド・ダフィー(米国)

<フライ級/5分3R>
福田龍彌(日本)
山本アーセン(日本)

<フライ級/5分3R>
征矢貴(日本)
ラマザン・テミロフ(ウズベキスタン)

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【RIZIN44】横山武司戦へ、摩嶋一整―02―「リングは足元に空間があるので戦いやすい」

【写真】半年前になるが立川での金原、平田直樹との出稽古。これは良い練習になっただろう(C)KAZUMASA MAJIMA

24日(日)、さいたまスーパーアリーナで開催されるRIZIN44で、横山武司と対戦する摩嶋一整インタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

摩嶋は同業者、つまり選手からの評価が高いファイターだ。昨年対戦した金原正徳も試合後に「摩嶋君は強い」とベタ褒めしていた。一方の摩嶋も金原の強さを体感し、なんと対戦後に金原のジムへ出稽古に行ったという。さらに、これまでは「ケージのほうが得意」と言っていた摩嶋だが、リングMMAへの意識も変わってきたという。2023年、摩嶋一整が大きく変わる。

<摩嶋一整インタビューPart.01はコチラから>


――これは都市圏以外のジムあるあるですが、摩嶋選手レベルとなると練習で追い込まれることはないですよね。練習相手との実力差があるために、スパーリングでも摩嶋選手が不利な状況に陥ることが少なかったのではないですか。

「試合の時のように追い込まれることはないです。でも、やり方次第で変わります。練習仲間にガンガン来てもらって、自分は休まずにスパーリングしていたら追い込まれてきますし。あるいは森戸さんのようなトップ柔術家とスパーしていると、本当に疲れますから」

――これから新しく取り組みたいことはありますか。

「もっとトップ選手と肌を合わせたいですね。そのためには出稽古も必要じゃないかなと思っています。今年に入って金原さんのジムに行かせてもらったんですよ」

――昨年対戦した金原選手の立川ALPHAで練習したのですか!?

「はい(笑)。スパーリングもさせてもらって、すごく刺激になって助かりました」

――立川ALPHAへ行ったのは、いつ頃のことなのでしょうか。

「2月ぐらいですね。毛利道場の選手が東京で試合をするので、僕もセコンドに就くことになったんです。東京に行くなら練習したいと思って、金原さんに連絡したんですよ。やっぱり金原さんはフェザー級のトップ選手で、実際に試合すると本当に強かったので。それに1度対戦して、もう2度と試合することはないだろうと(笑)」

――摩嶋選手が勝ち上がっていけば、再び対戦することもあるでしょう。それでも金原選手としてはウェルカムだったのでしょうか。

「快く受け入れてくれました。自分が立川ALPHAに行った時は、金原さんと平田直樹選手がいて。3人でグルグルとスパーを回すことができて、本当に良かったです。金原選手は強いし、巧いし。平田選手も強かったですよ。腰が重くてグラップリング力も高いし、もっと上の舞台で戦う選手になるだろうなって感じました」

――その東京出稽古で何を感じましたか。

「金原さんと試合をして1年近く経っていました。負けてから体力をつけたり、柔術の練習に取り組んできました。だから試合をした時よりは成長した自分を見せることができたと思います。実際に試合をした相手ともう一度組むからこそ、自分自身もそういうことが分かりますし。今回は同じ大会で金原さんがクレベル選手と試合をしますよね。自分としても楽しみです」

――今回はご自身の試合もあるので難しいとは思いますが、金原選手が摩嶋選手のセコンドに就くことはあるのでしょうか。

「セコンドはないと思います。でも前回の試合では勝ったあとに、リングサイドにいた金原さんが抱きしめてくれました。すごく嬉しかったです(笑)」

――本当に嬉しそうですね。ただ、お互いに勝ち続けていれば再戦もあるかもしれません。

「もちろんです。その時はその時で、金原さんを超えたいですね」

――なるほど。金原選手との試合はケージで行われ、芦田戦も次の横山戦もリングで戦います。摩嶋選手はケージのほうが得意だと仰っていましたが、RIZINではどうしてもリングの試合のほうが多くなります。1週間後に行われるLANDMARK、つまりケージのほうに出たいという気持ちはなかったですか。

「確かにケージの試合は魅力的ですけど、さいたまスーパーアリーナで試合ができるのは嬉しいです。最近はリングとケージ、どっちでも良いかなと思うようになりました。実はリングでも試合をするために、壁を使わないことを意識して練習しているんですよ。だから今は、壁があってもなくても関係ないです。リングは足元に空間があるので戦いやすい面はあって」

――というと?

「マットとロープの間にスペースがあるので、ロープやコーナーに押し込んでからも足をかけやすいですよね。ケージだと、そのスペースはなくて。前回の試合もコーナーに押し込んでから大外刈りでケージ中央に投げることができたのは、そういう理由もあるんです」

――そうだったのですか! 次の横山選手は柔術ベースのMMAファイターである一方、これまでキャリアのほとんどをケージで戦ってきました。摩嶋選手にとってリングで戦うことにアドバンテージはありますか。

「僕も柔術を習い始めて、リングでの試合にも慣れてきました。ここで今までの経験が生きるんじゃないかと思っています」

――では対戦相手の横山選手について印象を教えてください。

「本当に柔術家らしく、下からでも上からでも極めることができる。しかも一発で極められる力を持っているので、そこは脅威だと思います。あとは結構、蹴ってきますよね。MMAの試合なので、打撃戦になっても寝技になっても、どちらでも戦うつもりで準備しています。スタンドとグラウンド、どちらで来てくれても構わないです」

――森戸選手と練習することで、横山選手の対策も考えやすいですか。

「森戸さんはトップ柔術家なので、上からでも下からでも強いです。だから横山選手対策とかは関係なく、森戸選手と練習していたら勉強になることは多くて」

――その森戸選手は9月30日に、グラジエーターで世羅智茂選手と対戦します。摩嶋選手とノーギの練習をし始めたことで、森戸選手にも変化は見られますか。

「最初は引き込んで下から攻めるイメージが強かったです。でもプログレスの試合に出始めてからはスタンドレスリングやテイクダウンの力をつけてきて、今はケージレスリングもすごく巧いです。もちろん下からも強いし、いずれMMAでも戦えるんじゃないかと思っていますよ。次の試合も森戸さんに完封勝利してもらいたいですね」

――では最後に、ご自身の試合への意気込みをお願いします。

「自分はまだまだ成長過程です。どんどん成長していって、いずれはRIZINのベルトを山口に持ち帰りたいです。これからも見守ってください。応援よろしくお願いします」

■視聴方法(予定)
9月24日(日)
午後2時00分~ABEMA, U-NEXT, RIZIN100CLUB,RIZIN LIVE,スカパー!

■ RIZIN44対戦カード

<フェザー級/5分3R>
クレベル・コイケ(ブラジル)
金原正徳(日本)

<フェザー級/5分3R>
牛久絢太郎(日本)
萩原京平(日本)

<ライト級/5分3R>
スパイク・カーライル(米国)
堀江圭功(日本)

<ヘビー級/5分3R>
スダリオ剛(日本)
トッド・ダフィー(米国)

<キック70キロ契約/3分3R>
安保瑠輝也(日本)
宇佐美正パトリック(日本)

<フェザー級/5分3R>
中原由貴(日本)
白川陸斗(日本)

<フェザー級/5分3R>
摩嶋一整(日本)
横山武司(日本)

<フライ級/5分3R>
福田龍彌(日本)
山本アーセン(日本)

<バンタム級/5分3R>
中島太一(日本)
岡田遼(日本)

<ヘビー級/5分3R>
シビサイ頌真(日本)
ヤノス・チューカス(ハンガリーム)

<フライ級/5分3R>
征矢貴(日本)
ラマザン・テミロフ(ウズベキスタン)

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【RIZIN44】ついにクレベル・コイケと対戦、金原正徳「一緒にするなよ!という気持ちはありますよ」

【写真】RIZIN LANDMARK05で山本空良に勝利した時の会見での金原。RIZINで戦うことで、これだけのメディアの質問を試合後に受ける。彼の言葉が、一般メディアに少しでも届くことはMMA界のためになる(C)MMAPLANET

24日(日)さいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナで開催されるRIZIN44にて、金原正徳がクレベル・コイケと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

ビクター・ヘンリー戦後の引退表明を撤回し、RIZINで芦田崇宏,摩嶋一整 、山本空良と日本人相手に3連勝している金原。今大会でいよいよRIZINフェザー級トップ戦線の一角、元王者のクレベルとの一戦に臨む。金原はクレベル戦を己の格闘技人生を貫く試合と位置づけ、自分がやってきたことを証明したいと話した。


――RIZIN44でのクレベル戦が迫ってきました(取材日は9月15日)。クレベルは元RIZIN王者であり、RIZINフェザー級トップの一角です。日本人相手に3連勝して、そろそろこのクラスの相手と戦いたいという希望があったのですか。

「本音で言ってもいいですか?」

――ぜひ本音を聞かせてもらいたいです。

「自分の中でUFCへの挑戦が終わった時点で、気持ちが続いてなかったというか。トップを目指すという意味では、やっぱりUFCが一番であって、UFC以外はどの山を目指すにしても富士山だと思うんですよ。自分が格闘家としての終着点として、どこを目指すかを考えたときに、富士山を目指すという気持ちにはなれなくて。

もちろん簡単に富士山の頂上まで登れる=日本一になれるわけではないし、そのためにやらなければいけないことはあります。でもそこにモチベーションを向けたり、パワーを注ぐことができなかったというのが正直なところでした」

――RIZIN参戦当初は、こういったキャリアは考えてなかったんですね。

「僕がRIZINに出始めた時期はちょうどコロナ禍と重なっていて、外国人を招聘できないから、日本人同士の試合が増えている状況だったんです。自分の実力的に、コンディションを100パーセントに近い状態まで持っていければ、日本人には負ける気はしなかったし、自分の立ち位置が分かったうえで試合をしていました。だからRIZINで3連勝したからといって、自分の実力が上がっているとか、そういう勘違いはしていないつもりです」

――では僕も本音で質問させてもらうと、日本人選手のマッチメイクが中心とはいえ、金原選手からすると実績・キャリアに差がある、もしRIZINにランキングがあれば下位の選手を迎え撃つという試合が続いたことに対して「なぜ?」という気持ちはなかったですか。

「それはありましたよ、特に前回4月の山本空良戦の時は。今まで自分が積み重ねてきたものを全て否定されたような気持ちになった部分はあります。でも年齢を重ねて若い選手と戦って、踏み台にされることも自分の宿命なのかなとも思ったし。そんな気持ちがあった上で、いざ蓋を開けてみたら、自分が思った通り実力差があることを見せることができたと思うんです。だったら、これからは自分が強いと思える相手とやりたいと思って、その時はヴガール・ケラモフを指名させてもらいました」

――山本戦が王者クラスとやりたいと思うきっかけだったんですね。

「きっかけというか、どうしても選手って試合が近づいてくるとメンタル的に不安になってくるんですよ。僕が山本選手とやった大会は同じ階級のダブルメインイベント(斎藤裕×平本蓮・牛久絢太郎×朝倉未来))の注目度が高かった。自分ではその4人のなかでも俺が一番強いと思っているのに、この4人が注目されるのが日本のMMAの現状だなと思って。フラストレーションやイライラは溜まっていました。

はっきり言えば実力以上に人気がある選手がフューチャーされてしまうこの時代に、俺の格闘家としての存在価値はなんなんだろうって。だったら僕は注目されなくてもいいから、自分が強いと思う相手と戦って、自分が満足してキャリアを終えたいと思いました。僕はずっとそういう道を通ってきた格闘技人生だったから、最後もそれで終わるのがいいんじゃないかなと思います」

――自分が歩んできた道を全うする、金原正徳の道を貫く試合をやる、と。

「僕らの世代は器用じゃないし、SNSを使って上手いことやるとかできないですよ。でも人生をかけて一生懸命、格闘技をやってきた。だったらそれを少しでも多くの人に見てもらいたいという気持ちが強くなってきていますね」

――一方でここ3試合を見て、金原選手の戦い方がより洗練されてきたと感じています。

「外国人選手に勝つためにやってきたことを日本人相手にやっているだけで、もともとの地力に差があるというのは感じます。そこも含めて自分のなかで余裕やゆとりを持って戦えているとは思います」

――摩嶋一整戦のバックステージ映像では、かなり冷静に試合を振り返っていましたよね。試合展開としては逆転勝ちだったにも関わらず、一切慌てていなかったことが印象的でした。

「そこはRIZINルールとユニファイドルールの違いはありますよね。RIZINルールは仮に1・2Rをとられても、3Rに逆転できるルールで、僕はファイトスタイル的に1・2Rとることもできるし、3Rに逆転することもできるので(RIZINルールに)噛み合うと思っています。実際に練習でもRIZINルールを意識したものはやっているので、そこは大きいかなと思います」

――今回のクレベル戦、カード発表会見で「心機一転」という言葉を使っていましたが、そう感じた理由は教えてください。

「クレベルは本当に強い選手だと思うし、今までの感覚でやっていたら絶対に勝てない相手だと思います。20代、30代前半の頃の挑戦者の気持ちを思い出して、身体を作っていこうという意味での心機一転ですね」

――直近3試合のように実力&地力に差がある中で、コンディションを100パーセントに近づけて勝つという試合ではない、と。

「今回は試合に向けた考えが全く違います。ここ3試合は、正直80パーセントくらいのコンディションでも何とか勝てる相手だっと思うんですよ。でもクレベルは120パーセントまで持って行かないと勝てる相手じゃない。だから怪我を恐れず練習量を増やしました。若い頃のように2部練、3部練とやって『疲れた』とか『どこどこが痛い』は関係ない。それで怪我したらそれまでだと思って、厳しく自分を追い込んできました。それがいい方向に出るか、悪い方向に出るかは試合にならないと分からないです。でも最後はやらないよりはやった方がいいと決断して、タイ(タイガ―ムエタイ)にも行きました」

――タイでの練習は今どう影響していますか。

「試合前は不安になることが多い中、『俺はこれだけやってきたから大丈夫だ』と思うことができますよね。まさに昔の僕はそうやって自分に言い聞かせてきた部分があって、今回はそれが出来ていると思います」

――先日公開練習の様子が動画や記事で各メディアにアップされていましたが、僕は試合前にも関わらず芯をついたコメントだったと思いました。

「あれはド正論ですよ」

――公開練習後の囲み取材で「スタンド」と「先手を取る」ことをポイントとして掲げていましたが、僕もこの2つが勝負の鍵だと思っていて。

「はい。そう思ってます」

――そこまで言い切ってしまうこと、それを相手が事前に目にすることは気にならないですか。

「全然気にならないです。僕もクレベルも今更何かを隠してやるようなタイプじゃないし、それがバレたところでお互いどうにかなる選手じゃないんで。自分が試合前にあれをやりたい、これをやりたいと考えるより、リングで実際に向かい合って組んで、そこでどう感じるかのほうが大事です」

――ではそこについても聞かせてください。クレベル選手はレスリングやテイクダウンのアプローチがそこまで積極的ではない分、逆にスタンドの打撃を思い切りやっている印象があります。その意味で金原選手もスタンドが重要という認識なのですか。

「それは少し違って、こちらがスタンドで行き過ぎると組まれるリスクもあるし、逆に間合いが遠くなってクレベルの距離になるのもよくない。だからこそ、そこは試合前の決め事ではなくて、向かい合ってどう感じるかなんですよ」

――なるほど。

「その時の自分の感覚とセコンドが客観的に見たときの距離感とリズム。そこをしっかり把握して戦うことが大事で、それはもう現場合わせでしかできないことですね。僕はそれだけのキャリアも積んできたし、ラウンドごとに修正する引き出しもあるので、あまり試合前に決めきらずにやろうと思います」

――あともう一点、クレベル選手はサブミッションが強い。それは対戦相手なら誰しも分かっていることで、みんな対策を立てて試合をしていると思います。ただそのせいで試合運びがクレベル選手の寝技対策ばかりになり、結果的に受け身になってクレベル選手のサブミッションに捕まるパターンが多い。だから金原選手は「先手を取る」という言葉を使ったのではないかと思いました。

「それはクレベルに限らず、ですね。僕は基本的に先手を取って戦うタイプで、後手にならずに自分からプレッシャーをかけていきたい。仮にテイクダウンされても自分からアクションを起こした結果ならしょうがないよね、と。そうすることで、そのあとの寝技の攻防でも先手がとれるし。最初から後手に回るとテイクダウンされる、背中をつけずにエスケープしようとする…と、どんどん後手後手になるんです。それよりも自分から相手に触りに行って、展開を作っていくことが自分の理想です」

――分かりました。とはいえ過去の戦績を振り返ると金原選手の一本負けは2試合だけなんですよね。

「デビューしてすぐの頃にZSTで佐東伸哉にアームロックを極められたのと、UFCでマイケル・マクドナルドにRNCを極められただけですね。だいぶ対戦相手のレベルが違いますけど(笑)」

――確かに(笑)。ただし金原選手がサブミッションを極められる印象がないのも事実です。

「でもクレベルの試合映像を見れば見るほど『コイツ強いなぁ…』と思いますよ。だからそう感じてからは一切映像は見てないです。クレベルの動きのイメージだけ頭に残しておいて、それ以外にネガティブになる要素には触れないようにしました。勝ちパターンと負けパターン、どちらもイメージしているので、自分の動きを勝ちパターンに近づけることが出来たらベストだと思います」

――これから外国人選手の参戦が増えてくれば、RIZINの見え方や世界観も変わってくると思います。ちょうどその過渡期において、金原選手は自分がやってきた格闘技が何なのかを試合で見せたいですか。

「はい。自分が今までやってきたことは、今のRIZINファイターがやってきたこととは違う。そこを一緒にするなよ!という気持ちはありますよ。で、今回は実際に強い選手とやってみろと言われて、まさに自分がやってきたことの答え合わせだと思うんです。ここであっさり負けるようだったら、お前がやってきたことは他の選手と変わらないじゃんとなるだろうし。クレベルといい試合をして勝つことで、自分がやってきたことの証明ができると思っています」

■視聴方法(予定)
9月24日(日)
午後2時00分~ABEMA, U-NEXT, RIZIN100CLUB,RIZIN LIVE,スカパー!

■ RIZIN44対戦カード

<フェザー級/5分3R>
クレベル・コイケ(ブラジル)
金原正徳(日本)

<フェザー級/5分3R>
牛久絢太郎(日本)
萩原京平(日本)

<ライト級/5分3R>
スパイク・カーライル(米国)
堀江圭功(日本)

<ヘビー級/5分3R>
スダリオ剛(日本)
トッド・ダフィー(米国)

<キック70キロ契約/3分3R>
安保瑠輝也(日本)
宇佐美正パトリック(日本)

<フェザー級/5分3R>
中原由貴(日本)
白川陸斗(日本)

<フェザー級/5分3R>
摩嶋一整(日本)
横山武司(日本)

<フライ級/5分3R>
福田龍彌(日本)
山本アーセン(日本)

<バンタム級/5分3R>
中島太一(日本)
岡田遼(日本)

<ヘビー級/5分3R>
シビサイ頌真(日本)
ヤノス・チューカス(ハンガリーム)

<フライ級/5分3R>
征矢貴(日本)
ラマザン・テミロフ(ウズベキスタン)

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【RIZIN44】「フライ級GPで優勝し、次の相手がアーセン君で『やった!』という選手は少ない」──福田龍彌

【写真】表題の発言をしても、全くアーセンを軽視することがないのが福田だ(C)TAKUMI NAKAMURA

24日(日)さいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナで開催されるRIZIN44にて、福田龍彌が山本アーセンと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

2021年10月からDEEPに参戦し、今年5月にDEEPフライ級グランプリ優勝&DEEPフライ級暫定王座獲得を果たした福田。グランプリを前に勤めていた会社を退社し、プロ格闘家として生きる道を選んでのグランプリ制覇だった。2度目のRIZIN参戦でアーセンと拳を交える福田は、アーセンと自分を「ホンマに真逆。月と太陽」と例え、その胸の内を明かした。


──昨年3月以来のRIZIN参戦で山本アーセン選手と対戦が決まりました。対戦相手がアーセン選手だと聞いた時には率直にどう思いましたか。

「自分はもっと違う相手を想像してたんですけど。アーセン君は伊藤(裕樹)君に勝ってるから、それもあるかなとは思ってました……って感じでした」

──対戦相手については改めて聞かせてください。福田選手は昨年8月からスタートしたDEEPフライ級グランプリ優勝&DEEPフライ級暫定王座獲得を経てのRIZIN凱旋となります。グランプリが終わってからはどのようなことを意識して練習しているのですか。

「普段と変わらずという感じですね。結局、毎日やることって変わらないんですよ。減量があるかないかとか、それぐらいで」

──福田選手は昔からそういうスタンスなんですか。試合の有無や対戦相手のことは関係なく。

「自分がどう強くなるかっていうのは、日常の過ごし方やどんな練習をするかやと思うんですけど、DEEPに出るまでは試合が年1回とかだったんで、毎日自分を突き詰めて継続して練習するというのができなかったんです。でもDEEPでは試合数も増えて、サラリーマンの仕事も辞めて、毎日一生懸命練習やるようになりました」

――DEEP参戦後はフライ級グランプリも含めると、約1年半で8試合と試合数が激増しました。そこは大きな変化でしたか。

「めちゃくちゃ変わりましたね。仕事を辞めて戦うことで生計立てることもできるようになったし、ずっとこういう生活をしたいと思っていたんで。年に1回しかライブしてへんアーティストより、毎月ライブしているアーティスト。年に1回しか家を建てへん大工より、毎月家を建てている大工。後者の方がパフォーマンスもステータスも上がるじゃないですか。今そういう生活を謳歌している感じですね」

──しかもただワンマッチを重ねるのではなく、DEEPフライ級グランプリがあったというのは大きいですよね。

「実はグランプリがあるから会社を辞めたんですよ」

──グランプリがきっかけだったのですね。

「ちょうど拳を怪我していて手術、リハビリをしている途中でグランプリの話があって。会社を辞めるんだったら、このタイミングしかないなと思いました」

――葛藤や躊躇はなかったですか。

「葛藤はずっとありました。正直ちゃんと練習して戦うことに身を置けば、もっと結果を出せるって自信があって、自分が仕事さえしいひんかったら、グランプリでも優勝できると思ったんです。それでグランプリに出るとなった時、会社員をやりながらグランプリに出たら絶対後悔すると思って決断しました」

──それだけグランプリで優勝できるという自信があったのですか。

「ありましたね。グランプリには色んな団体から選手が出るって話で、実際そういうメンバーが集まったんですけど、自分だったら優勝できるなって。逆にそこで自分の存在や自分の強さを知らしめたいと思っていました」

──まさに人生を変えるグランプリ優勝でしたね。

「毎日なんやかんや忙しく練習もたくさんできて、何よりもメンタル的に楽になりました、試合前に焦ることもなくなったし」

──それだけ自信を持てる練習ができているということですか。

「僕は修斗時代から『試合やったら上のやつらに負けへんぞ』と思って、地方大会で勝ちまくっていたんですよ。そうすれば後楽園の興行にも呼んでもらえると思って。僕が見てきた先輩たちが、そうやったんで。でも僕の世代はそうじゃなくて、地方で勝ち続けても、なかなか後楽園に呼んでもらえない。そういう悔しさを人一倍感じてやってきたんです。かませ犬扱いでもいいから、俺とやらせてくれよって」

――DEEPフライ級グランプリは、まさにそういった想いをぶつける舞台でもあったんですね。

「はい。自分の実力を証明する場所を作ってもらえたと思います」

──そんな福田選手からするとデビュー戦がRIZINで常に脚光を浴びる位置で試合をしてきてアーセン選手のことはどう見えていたのですか。

「ホンマに僕とは真逆。太陽と月みたいな感じですよ。その流れで言うと、一つ言えるのは『君とは潜ってきた修羅場はちゃうで』と。『俺は地方からたくさんの修羅場を潜って、屍の山を築いてここまで来ましたけど、君はどうなん?』って。きっとアーセン君はアーセン君で、ずっと注目され続けてきた人間やからこその悩みもいっぱい経験して、あの場にいると思うんですよ。だからそれが試合でどうなんのかなみたいなところは楽しみですね」

──福田選手が考える自分のファイターとしての一番の強みはどこにあると思いますか。

「う~ん、どんなところやろう。逆にどう思います?」

──スタンドの打撃が一番の武器でありつつ、その強みを福田選手が自分で理解して、それを軸にゲームプランを組み立てているなと思いました。

「なるほど、なるほど。ありがとうございます」

──MMAはやることも多い競技なので、自分が何が強くて、何が得意なのか分からないまま、戦っている選手も多いので。

「ずっと自分もそうだったんですよ。というか途中からそうなるんです。キャリアを積むと、いろんな情報も入ってきるし、いろんな技術も覚える。選択肢が多くなるんです。でもMMAの根本は何をやってもいいという条件下で“戦う”ってことじゃないですか。だから僕は相手が何をやられたら嫌か。それを試合中に相手から感じて、自分に当てはめていく感じです」

──リングで相手と向かい合った時の感覚やフィーリングを大事にしているのですか。

「はい。そんなに作戦も立てへんし、相手と向かい合った時にどんなことを感じるかですね。フライ級グランプリの時は全部そうやったし、DEEPで神龍(誠)君とやった時もそう。DEEPに来てからは作戦もゲームプランもないし、そのための対策もないし、ゼロでやってきました。だから即興なんですよ。簡単に言うとぶっつけ本番です」

──試合で福田選手の動きがばっちりハマっているので、しっかり対策・戦術を練っていると思いました。

「逆です。対策・作戦ゼロだから、自分の動きがハマるんですよ」

――というと。

「どんな相手にもすぐに合わせられるような練習をするんです。今日はこういうことをやるって決めるんじゃなくて、相手に合わせる練習です。練習パートナーも日によってコンディションもちゃうし、気分もちゃうわけじゃないですか。そういうのに柔軟に対応するための練習をするんですよ。その日のフィーリングで自分が感じたことや頭に浮かんだことを実践できるようにするために日々練習するって感じです」

──なるほど。そういう考えで練習している選手であれば、試合経験を積めば積むほど適応力も上がって強くなるんじゃないですか。

「そういうことなんですよ。僕はそれが強くなるってことやと思うし、次の練習相手がめちゃくちゃ打撃が強いからって自分のファイトスタイルを押し曲げて戦うと、それは僕じゃなくなるじゃないですか」

──相手がこうだから自分はこうするというのは相手主導の試合になりますからね。

「はい。僕は『俺はこうなんだけど、君はどうなの?』という感覚で試合を楽しんでいるんで。音楽で言うとジャムセッションみたいな感じです」

──ちなみに福田選手は音楽が好きなんですか。音楽での例えが多いと感じたのですか。

「音楽も好きやし、現場仕事も好きやし、そういうのもひっくるめて職人さんが好きなんですよ。例えば僕、楽器を触る人の手つきとか好きなんです。ギターリストとかピアニストの指の動きとか、ドラマーのスティックを持つ指の動きとか。何か一つのことをやり込んでいる人の手の動きってキレイじゃないですか」

──まったく業種は違いますが、寿司職人さんの寿司を握る手つきとか。

「そう、そう。たこ焼き屋のおっちゃんがたこ焼きをひっくり返しているところとか、板前さんの包丁さばきとか(笑)」

──そういう熟練の技、練り上げられた技が好きなんですね。

「はい。格闘技をやり込んでいる人って、テイクダウンの動きとか、パンチや蹴りのフォームがきれいじゃないですか。そういうものに美を感じるというか。で『この技を出しますよ!』じゃなくて自然に出るところがすごいと思うんです。だから僕もそこまで技の精度を上げていきたいですね」

──福田選手は職人、達人志向なのですね。

「あとは純粋に格闘技が楽しいなっていう。僕も長く格闘家をやらせてもらって、そういう魅力を感じ始めたのかなと。昔は何も考えずに勢いだけでやってましたけど、選手生活を通してだいぶ成長して、そういう感性にも目を向けられるようになったと思います」

──次の対戦相手がアーセン選手ということで、今まで以上に試合を見る人の数も増えると思います。当日は、どのような試合をしていきたいですか。

「あんまり目立つのが好きじゃないし、ちょっと小っ恥ずかしいんですよ(笑)。でも戦うことが大好きで、会社を辞めちゃうぐらい好きなんで(笑)、こいつ本当に戦うのが好きなんやろうなっていうのを見てくれる皆さんには見せたいなと思います」

──大舞台で戦う選手にはそれぞれモチベーションがあると思いますが、例えば福田選手の場合は普段戦えない選手たちと戦えることがモチベーションですか。

「そうですね。あとRIZINでは修斗にいた時にできひんかった扇久保(博正)さんとやりたいという気持ちはあります。僕もそう若くないから、あと何年できるかだと思うんですよ。フライ級でやるのもしんどくなってきているし、長いことフライ級でやってられへんと思うし。それを考えると、フライ級でやる貴重な1試合、もっとワクワクしたり、自分にしかできひんようなカードをやりたいです。

アーセン君、きっといい選手やし、素晴らしい選手で人柄もいいんでしょうけど『DEEPフライ級グランプリ優勝したから、次の相手はアーセンです』と言われて『やった!』という選手は少ないと思うんです。僕はあのメンバーが参加した過酷なトーナメントを優勝してここにいる。アーセン君は3年ぶりくらいの復帰戦でグランプリでベスト4止まりやった伊藤君に1回勝って、グランプリの優勝者とやれる。それに対して思うことはありますよ」

──福田選手は自分がやってきたこと、残してきた実績にそれだけ自負があるということですね。

「アーセン君も久しぶりの試合で伊藤君に勝つわけやから、それはそれですごいことだと思うんですけどね。まぁ僕は元々PUREBRED京都所属やったんで、アーセン君とはいわゆる同じ大和魂一族なんですよ」

──確かに遠い親戚のような間柄ですね。

「そうです。そういう意味では歴史を知ってはる人、PUREBRED京都から追っかけてくれる人は、そういう見方で盛り上がってくれはるなみたいなのはありますね。そういうところでも負けれへんなとは思ってます」

■視聴方法(予定)
9月24日(日)
午後2時00分~ABEMA, U-NEXT, RIZIN100CLUB,RIZIN LIVE,スカパー!

■ RIZIN44対戦カード

<フェザー級/5分3R>
クレベル・コイケ(ブラジル)
金原正徳(日本)

<フェザー級/5分3R>
牛久絢太郎(日本)
萩原京平(日本)

<ライト級/5分3R>
スパイク・カーライル(米国)
堀江圭功(日本)

<ヘビー級/5分3R>
スダリオ剛(日本)
トッド・ダフィー(米国)

<キック70キロ契約/3分3R>
安保瑠輝也(日本)
宇佐美正パトリック(日本)

<フェザー級/5分3R>
中原由貴(日本)
白川陸斗(日本)

<フェザー級/5分3R>
摩嶋一整(日本)
横山武司(日本)

<フライ級/5分3R>
福田龍彌(日本)
山本アーセン(日本)

<バンタム級/5分3R>
中島太一(日本)
岡田遼(日本)

<ヘビー級/5分3R>
シビサイ頌真(日本)
ヤノス・チューカス(ハンガリーム)

<フライ級/5分3R>
征矢貴(日本)
ラマザン・テミロフ(ウズベキスタン)

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ABEMA BELLATOR MMA MMAPLANET o ONE RIZIN RIZIN44   キック クレベル・コイケ スパイク・カーライル フアン・アルチュレタ 中原由貴 中島太一 剛毅會 堀江圭功 宇佐美正パトリック 山本アーセン 岡田遼 平本蓮 征矢貴 摩嶋一整 斎藤 斎藤裕 横山武司 武術空手 海外 牛久絢太郎 白川陸斗 福田龍彌 萩原京平 金原正徳 鈴木千裕 関鉄矢

【RIZIN44】白川陸斗戦へ、中原由貴 in 剛毅會「空手をやったからと言って、使えるようになると思うな」

【写真】稽古をして、中原の打撃を試合に生かすこと。それが武術空手だ (C)TAKUMI NAKAMURA

24日(日)さいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナで開催されるRIZIN44にて白川陸斗と対戦する中原由貴。
Text by Takumi Nakamura

昨年大晦日に鈴木千裕に敗れた後、平本蓮のトレーニングキャンプに参加したことをきっかけに剛毅會空手での練習をスタートさせた。白川戦の約2週間前、剛毅會空手での練習を終えた中原に話を訊いた。


──今回剛毅會空手での練習風景を取材させていただきました。いつからここでの練習をスタートしたのですか。

「大晦日で負った怪我が治った3月くらいですね。もともとT-GRIP TOKYOには毎週火曜日に出稽古に来させてもらっていて、ちょうど(平本)蓮くんの斎藤裕戦に向けたトレーニングキャンプに参加させてもらったんです。そのときに蓮くんと一緒に岩﨑先生も練習に来られていて。僕も岩﨑先生の指導に興味があったので、剛毅會空手の練習に参加させてもらうようになりました」

──練習内容を取材させてもらい、一般的に言われている打撃の技術や理論とは異なる独自のものが多いと感じました。最初に剛毅會空手の練習に参加したときの第一印象はいかがでしたか。

「もともと僕はメンタル的な話や武術的な考えが嫌いではなくて、岩﨑先生のMMAPLANETでの記事も好きでよく読んでいたんですよ。実際に岩﨑先生の話を聞かせてもらったり、指導を受けたりして、シンプルに面白いなと思いましたね」

──剛毅會空手を学んで、最初に変化と感じたのはどこですか。

「変化ではないんですけど、大晦日の敗因は僕がイケイケになってしまったことなんですね。練習でもそうなのですが、僕は理性が働いて自分の戦いができている時は、自分の長所を活かせているんです。でも何かのきっかけで試合でも練習でもイケイケになってしまう。大晦日はまさにイケイケになってしまった典型的なパターンで、事前の作戦も全部ひっくり返しちゃって、前に行きすぎてやられました。剛毅會空手を学ぶことでそうならないように自制できるようになりましたね」

──大晦日の敗因を分析・理解することで、自分の戦い方に変化があったのですか。

「去年7月に関鉄矢選手に勝った時、僕の戦い方にSNSで賛否両論あったんですよ。ファンの人からは『つまらない』と否定的な意見が多く、格闘技の知識がある人からは『距離が抜群で、打撃の打ち分けがよかった』と肯定的に言ってもらえて。あの試合がつまらないと思っている人たちには大変申し訳ないんですけど、僕の中で関戦は歴代の自分の試合のなかでもトップクラスにいい試合だったんです」

――自己評価と一般的な評価に乖離があったわけですね。

「僕としては関戦の自分が理想のはずなのに、大晦日ではそれと全然違うことをやっちゃうという(苦笑)。最初からすべてが同じではなかったですが、自分と岩﨑先生の思想が合っていたと思うし、岩﨑先生の教えを請いたいと思いました」

──そこから技術的なことや実践の動きのなかで『これがでハマった!』と『よくなった!』と感じるのはどこですか。

「なんだろうな…自分の長所に磨きがかかったところじゃないですかね。岩﨑先生と練習を始めた頃、岩﨑先生が『数年空手をやったからと言って、空手を使えるようになると思うな。俺もまだその途中なんだ』とおっしゃっていて。それがすごく印象的だったんです」

──そんな簡単なことではない、と。岩﨑さんはご自身の技術を指導する一方、岩﨑さんからも練習参加メンバーに「これはどうなの?」と質問する場面もあって、あのバランスが選手にとっては大きいなと思いました。

「そうなんです。僕の場合は剛毅會空手を始めて数カ月で、今回の試合が決まった時に『いろいろ教えたけど、自分が出来ないと思ったことは捨てなさい』と言ってもらえて。今それがちょうどハマってるんですよね」

──中原選手のスパーリングを見て、凄く“大きく”見える。そう感じました。

「あっ、本当ですか? 純粋に身体がデカいとかではなく、ですか?」

──純粋なデカさもあるかもしれないですが(笑)、対戦相手は向き合ったときに身体のサイズ以上の大きさやプレッシャーを感じるのではないかと思いました。

「どうだろうなぁ……ここの練習ではちゃんと先生に見てもらっているので、多少強く殴っていいよって言われるんです。それもあって(相手に)プレッシャーがかかっているように見えるかもしれませんが(笑)。そこも含めて自分の長所に磨きがかかっているなというのは感じます。関選手とやった時を一つの理想にしつつ、そこに打撃の破壊力が乗っているというか」

──また今日の練習を見て、中原選手の技の引き出しが増えているような気もしました。

「ああ…そうかもしれないです。次の試合で色々とやろうとしていることはありますね」

──それと同時に打撃の引き出しが増える、打撃の技術が伸びたことでMMAにおける戦い方の幅も広がったのではないですか。

「少し前に打撃だけじゃなくて組みに関しても、ちょっと迷子になっていたところがあったんです。RIZINに来る前、ONEでのエミリオ・ウルティア戦なんかではいい感じに出来ていたものが、最近の試合ではできなくなっていて。ちょうどその原因になっていたところを岩﨑先生に修正してもらって、それで一気に全て変わりました」

──では結果的に試合間隔が空いたこともいい方向に出そうですね。

「本当は4月~5月に復帰戦のオファーをいただいていたのですが、3月末までコンタクトする練習ができなくて(フィジカル)トレーニングだけだったので、それで体重だけ落として試合するのは周りの人に申し訳ないと思い、お断りさせてもらったんです。

じゃあ6月か7月という話も出たのですが、剛毅會空手の練習を始めてすぐだったし、まだ教わったことを試合で使えないと思っていて。その話は流れて最終的に9月になりました。最初は焦りもありましたが、練習期間が伸びた分、パフォーマンスが上がっていたので、この時期に復帰戦が決まって良かったです」

──その復帰戦の相手の白川陸斗選手の印象は?

「白川選手は試合そのものが2年ぶりですけど、シンプルに根性が凄いし、打撃も上手いし、素晴らしい選手だなと思います。ただ2年も空いていると、過去の試合は何も参考にならない。2年もあれば人は別人になれますからね。だから事前の情報がほとんどない相手と戦うイメージで、あとは試合中に起きたことに臨機応変に対応します」

──白川選手のブランクの有無はあるにせよ、今の中原選手にとっては×対戦相手よりも、自分のパフォーマンスがどうなっているのかに興味があるのではないですか。

「今回はそれがデカいですね。なんか楽しみというか。白川選手ほどじゃないけど、自分も期間が空いているし、大晦日に出しきれずに終わったもの、用意していて出せなかったものもあるし。今回は相手に対してだけでなく、新しくなった自分のパフォーマンスに集中したいです」

──この復帰戦をクリアして、ここからどこを目標に戦っていきたいと思いますか。

「焦るのも良くないんですけど、やっぱり強い選手とやりたいし、海外勢にいいようにされていてムカつくところもあるんですよ。今のRIZINは外国人たちの『(RIZIN)に出ればベルト獲れるんじゃない?』という雰囲気が伝わってくるし。フアン・アルチュレタなんてポンポンとRIZINに出て、ベルトを獲って次はフェザー行くみたいな話を軽くしてたりとか。『ちょっとナメすぎだろ?こいつら』という想いがあります。

もちろん今フェザー級のトップでやっている選手に頑張ってもらわないとって気持ちはあるんですけど、やっぱりそこに自分が行きたいと思うんで。白川戦も含めて勝ちを重ねて、早く発言権を得たいです。RIZINとBellatorとの対抗戦でも、お互い強い選手を出し合ってるからしょうがないかもしれないけど、Bellatorにやられちゃったことは悔しいし。僕はそういう試合に出ても白星をとれる選手になりたいし、RIZINを代表して外(海外)に日本人で強い選手がいるぞというところを見せたいですね」

──中原選手はONEで戦っていたことも含めて、海外での試合や×世界を常に意識していたと思うし、そこで結果を出すことへのこだわりはありますか。

「僕は自分の限界を知りたいんですよね、自分がどこまでやれるか。もちろん日本人相手でも限界を知ることはできると思うんですけど、やっぱまだ世界の団体を見ても日本人の名前がトップにない状況があって。日本より海外の方が強い選手が多いわけじゃないですか。それは競技だけじゃない、人口的な問題があるのかもしれないですけど、僕たちは日々必死に練習しているので、ちょっとでも強い相手とやりたいという気持ちが強いですね」

──RIZINのフェザー級は中原選手が欠場している間に王座交代もあり、大きな動きがあった階級です。RIZINフェザー級の現状をどうとらえていますか。

「色々と動きはありましたけど、トップどころのメンバーは変わってないですよね。上の選手になればなるほど試合数も減っていて。今のままではマッチメイクも難しいと思うし、試合を選んでいるとは思わないですけど、みんなメリットのある試合をやりたがるじゃないですか。

それは当然のことだと思うんですけど、今の状況を変えるには僕らみたいに下から上に上がる選手がいて、上をかき回すことが大事。RIZINファンにつまらないと思わせないためにも、僕には下から突き上げる使命もあると思っています」

──確かにトップ戦線に一人新しい選手が入るだけで組み合わせも含めて、いろんな動きが出てくると思います。

「トーナメントをやるのも一つの手段だと思うんですけど、結局それで上のメンバーが団子状態になる可能性もあるわけで。だったら下から上がってきた選手が一人ポンと入って、一人ずつ倒していけば面白いと思うんですよ。自分がそうなりたいですね」

──中原選手をインタビューさせてもらい、競技者としてどうあるべきか。またプロとしてどう見られているか。本当に色んなことを考えている選手だと思いました。そのうえで今回は何を一番意識していますか。

「自分のパフォーマンスに集中することですね。今まで色々と考えすぎていたんですよ。それも対戦相手ありきというか、相手といい試合を作ろうとか。今はそうじゃなくてもっと我を出していこうじゃないけど、俺さえ良ければいいみたいなマインドに変えようと思って。海外の選手の発言を聞いていると、そんなヤツばっかりじゃないですか(笑)」 

──確かに常に主語は自分になっているような気がします。

「当然僕も相手にリスペクトは持つし、その信念は捨てないです。でももっと自分のことに集中してみようかなと。何をするにしても、視点を変えるじゃないですけど、一人称を自分にするというか。そうやって相手に合わせないことで、明らかにパフォーマンスが変わったんで、それを試合で見せたいです」

──前回の試合から変わった中原選手の姿が見られると思います。それではこの試合を楽しみにしているファンの皆様に締めのメッセージをいただけますか。

「自分でも自分を楽しめるというか、どんなパフォーマンスが出るか自分でも分かっていないので、そこも楽しみにしてもらいながら。どんな結末になるのか、手に汗握りながら見てもらえたらと思います」

■視聴方法(予定)
9月24日(日)
午後2時00分~ABEMA, U-NEXT, RIZIN100CLUB,RIZIN LIVE,スカパー!

■ RIZIN44対戦カード

<フェザー級/5分3R>
クレベル・コイケ(ブラジル)
金原正徳(日本)

<フェザー級/5分3R>
牛久絢太郎(日本)
萩原京平(日本)

<ライト級/5分3R>
スパイク・カーライル(米国)
堀江圭功(日本)

<ヘビー級/5分3R>
スダリオ剛(日本)
トッド・ダフィー(米国)

<キック70キロ契約/3分3R>
安保瑠輝也(日本)
宇佐美正パトリック(日本)

<フェザー級/5分3R>
中原由貴(日本)
白川陸斗(日本)

<フェザー級/5分3R>
摩嶋一整(日本)
横山武司(日本)

<バンタム級/5分3R>
中島太一(日本)
岡田遼(日本)

<ヘビー級/5分3R>
シビサイ頌真(日本)
ヤノス・チューカス(ハンガリーム)

<フライ級/5分3R>
福田龍彌(日本)
山本アーセン(日本)

<フライ級/5分3R>
征矢貴(日本)
ラマザン・テミロフ(ウズベキスタン)

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ABEMA MMA MMAPLANET NEXUS o RIZIN RIZIN44 クレベル・コイケ スパイク・カーライル 中島太一 堀江圭功 山本アーセン 岡田遼 征矢貴 摩嶋一整 森戸新士 横山武司 牛久絢太郎 福田龍彌 筋トレ 芦田崇宏 萩原京平 金原正徳

【RIZIN44】新スタイルへ進化中、摩嶋一整―01―「フルラウンド動いてフィニッシュを狙い続ける」

【写真】明らかに前回のインタビュー時と表情が違う。すっきり爽やかな笑顔だ(C)SHOJIRO KAMEIKE

24日(日)、さいたまスーパーアリーナで開催されるRIZIN44で、摩嶋一整がNEXUSフェザー級王者の横山武司と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

今年5月に芦田崇宏を下して連敗を脱した摩嶋。昨年4月の金原正徳戦は敗れたものの大激闘となり、摩嶋自身も学んだものが多かったという。横山戦を控える摩嶋が目指す、理想のMMAスタイルとは――


――9月24日に横山武司戦を控えている摩嶋選手です。本日は宜しくお願いします。

「宜しくお願いします! そういえばMMAPLANETって、国内のリングMMA取材を解禁したんですね」

――はい。そこで次はリングで試合をする摩嶋選手のインタビューと相成りました。

「MMAPLANETは特に選手が多く見ていると思うので、リングMMAも扱ってくれるのは嬉しいです」

――ありがとうございます。それにしても前回のインタビュー……、昨年4月の金原戦の前と比べると、表情も柔らかいですね。

「心の余裕がありますから。やっぱり3連敗中は、しんどかったです(苦笑)」

――では心に余裕が生まれた要因でもある、芦田戦の勝利の感想から教えてください。それまで摩嶋選手は3連敗中でした。

「ようやくRIZINで勝てたことは僕にとっても、あと地元にとっても嬉しいことだと思うので、とりあえずホッとしています」

――地元である山口県の方からの期待を感じますか。

「山口県からRIZINに出ている選手は僕しかいませんし、自分が出たらそれだけ地元でも盛り上がるので。最近は仕事の現場でも声を掛けられるようになりました。あと道を歩いていると『試合を視ました!』と言われることもあって――特に勝った後は。自分の試合を視てくれているんだなぁって感じます」

――その状況では、3連敗中だと心に余裕がなかったのも仕方ないかもしれません。

「結果を出すことができていなくて、地元の人たちに対して申し訳ない気持ちはありました。でも自分としてはもっとできると思っていたし、しっかり練習して勝てたことは嬉しいです」

――その芦田戦の前に、金原選手との試合は敗れたものの大激闘を展開しました。あの試合内容に対して手応えはなかったのですか。

「練習内容の割には戦えたのかな、と思います」

――練習内容の割には(笑)。

「アハハハ。でも、もっとできることはあるかなと思いました。ここは攻める、ここは休むというペース配分とか。3連敗しましたけど、大舞台でそういう経験ができて自分も変わることができましたね」

――摩嶋選手の場合、どうしても練習環境が取り上げられることが多いです。仕事の関係で、練習できても週4日ほど――そのなかで広島と山口で活動している柔術家の森戸新士選手と、ケージレスリングの練習に取り組んでいるとのことでした。金原戦で、その練習の成果は出ていたのでしょうか。

「今考えると、まだまだだなって思うことは多いです。ただ、あの後もずっと森戸さんと練習させてもらっていて、自分に合った戦い方が分かってきました。それはケージレスリングだけでなく、グラウンドの面でも」

――金原戦の直後には「スタミナがなく、3R戦えない。最後は心が折れた」と仰っていました。

「金原さんとの試合に限らず、いつも1Rで極めるつもりで戦っていて最初からガンガン攻めていました。でもトップレベルの選手と対戦すると、全て防がれてしまう。すると自分が消耗していくという試合ばかりでしたよね」

――19戦というキャリアの中で判定決着が2試合しかない摩嶋選手です。1Rからガンガン攻めていくのも摩嶋選手の魅力かもしれません。一方で3連敗を喫した時に学んだものとは、3Rずっと攻め続けるためのスタミナをつけることなのか。あるいはペース配分を考えることなのか――どちらでしょうか。

「今は両方ですね。スタミナをつける練習もやっていますし、無駄なところでは力を抜くというペース配分も考えながら戦っています」

――これまで最大で週4日という練習スケジュールのなかで、スタミナをつける練習よりも技術練習やスパーリングに時間を割くことのほうが多かったのですか。

「筋トレやフィジカルトレーニングをしたことは、ほとんどないです。ほとんど技術かスパーリングで。30歳を迎える頃には仕事も忙しくなってきて、全く練習できない時期が1~2カ月もあったりしました。ずっと休みなく、毎日働くことになるので。それも3連敗してから、仕事が忙しい時期と試合をずらすことにしました。仕事が忙しい時期は、だいたい決まっているので」

――そうして練習と試合に集中できる時間を増やしたということですね。――体力をつけるために、どんなトレーニングをしているのでしょうか。

「走り込んだりもしますが、基本は道場での練習のみです。でもスパーリングで追い込むようにしてもらっています。どんどん体力を使って、追い込まれた時に自分がどうするかっていう練習は増えました」

――摩嶋選手のスタイルで3R攻め続けることができれば、それは強いですよね。

「それが理想ですし、その理想を求めてきました。ただ、ずっと早い段階でフィニッシュできていたので、スタミナ面はあまり考えてこなかったんです。でも対戦相手のレベルが上がってくるにつれて、試合の後半でフィニッシュすることを考えなくちゃいけなくなった。もちろんチャンスがあれば1Rで極めることですけど、ベストはフルラウンド動き続け、フィニッシュを狙い続けることです」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
9月24日(日)
午後2時00分~ABEMA, U-NEXT, RIZIN100CLUB,RIZIN LIVE,スカパー!

■ RIZIN44対戦カード

<フェザー級/5分3R>
クレベル・コイケ(ブラジル)
金原正徳(日本)

<フェザー級/5分3R>
牛久絢太郎(日本)
萩原京平(日本)

<ライト級/5分3R>
スパイク・カーライル(米国)
堀江圭功(日本)

<フェザー級/5分3R>
中原由貴(日本)
白川陸斗(日本)

<フェザー級/5分3R>
摩嶋一整(日本)
横山武司(日本)

<バンタム級/5分3R>
中島太一(日本)
岡田遼(日本)

<ヘビー級/5分3R>
シビサイ頌真(日本)
ヤノス・チューカス(ハンガリーム)

<ヘビー級/5分3R>
スダリオ剛(日本)
トッド・ダフィー(米国)

<フライ級/5分3R>
福田龍彌(日本)
山本アーセン(日本)

<フライ級/5分3R>
征矢貴(日本)
ラマザン・テミロフ(ウズベキスタン)

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【RIZIN44】中島太一戦へ、岡田遼─02─「MMAを深く見ている方に楽しんでもらえる試合にしたい」

【写真】岡田さんもここでバックを奪取して、RNCで切って落とした──ことはありませんでした(C)MMAPLANET

9月24日(日)、さいたまスーパーアリーナで開催されるRIZIN44で、中島太一と対戦する岡田遼のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

RIZIN初出場で敗れ、続いて修斗のベルトも失った時、このまま岡田が引退すると考えた人も少なくないだろう。しかし、彼は再び戦いの舞台に戻ってきた。MMA愛、そして修斗愛とともに――1年半振りに実戦の舞台に立つ岡田が、現役生活の最終章と中島戦について語る。


――修斗のベルトを失った直後と今では、気持ちも違ってきていますか。

「全然違います。修斗のチャンピオンは憧れで、あのベルトを巻くことが夢でした。そしてベルトを巻いたあとも、チャンピオンらしく振舞わないといけない――つまり必ず防衛戦はしないといけないと考えていて。でも、そこで一つの目標は達成してしまっているんですよ。松根さんと扇久保さんが巻いていたベルトを、再び鶴屋さんのところに持って帰る。それが僕のMMA人生で最大の目標でした。それを達成してしまうと、『試合がしたい』『試合が楽しみだ』という気持ちよりは、『試合をしなきゃいけない』なんて義務感のほうが強かったです」

――では修斗のベルトを獲得したあと、望んでいたUFCとの契約が叶わなかった岡田選手にとって、MMAを続ける理由は何だったのでしょうか。

「うん、そうですね……うん」

――正直なところRIZINで元谷選手に敗れ、さらに安藤選手に負けて修斗のベルトを失った時、このまま岡田選手はフェードアウトするかと思っていました。

「皆、そう思っていたでしょうね。確かに修斗のベルトを失った直後は、戦う理由がなくなっていました」

――経営者としても成功していますし。

「まぁ、そうですね(笑)。あとは結婚するだけだと思っていました」

――ちなみにご結婚のほうは……。

「アハハハ! そっちは全然ダメですね」

――結婚はご縁のものなので……。改めて戦う理由を見つけたのは、何かキッカケがあったのですか。

「戦う理由はなくなっても、このままフェードアウトするつもりはなかったです。ちゃんとケジメとして最後に――これまで応援してくださった方に試合を見せて終わりにしようと考えていました。だから、この期間もずっとトレーニングは続けていて。

そんななかで平良達郎や鶴屋怜、ジムの後輩たちのサポートを通じて、先ほども言ったとおり新しい発見がありました。まだ自分も向上しているところがある。ベルトを失ってから時間が経ち、冷静に考えてみた時に『もう一度MMAをやりたいな』という気持ちが芽生えてきたんです。そのタイミングで、RIZINから良いオファーを頂きました」

――「ケジメとして最後に試合を……」というのは、次の中島戦をラストファイトと考えているのでしょうか。

「それも皆に訊かれるんですよ。『次の試合で辞めるの?』って。でも中島戦が最後ではないです。これを最後にするつもりは一切ないですね。いつか来るであろう、ケジメの日の前哨戦です」

――すでに選手としての最後は決めているのですね。

「最後は絶対に修斗で試合をする。引退試合は修斗でやると決めています」

――最後は修斗で……もう「シューター」という言葉は廃れてしまいましたが、修斗出身選手の修斗愛は一体どこから来るものなのでしょうか。

「うーん、自分でも分からないですね(苦笑)。でもRIZINで戦っている扇久保さんや斎藤裕選手、UFCに行った平良達郎にしても『みんな修斗が好きなんだよな』と思いますよ」

――岡田選手としては次の試合について、元とはいえ修斗王者とパンクラス王者の対決として考えていますか。

「もちろんです。そのつもりで試合を受けましたから。別に修斗の選手と試合をするのであれば、修斗でやれば良いわけで。やっぱり団体対抗戦は燃えますよ。僕は勝手に修斗を代表しているつもりでいます」

――では最初に中島戦のオファーが来た時の気持ちを教えてください。

「断る理由がなかったです。昔から試合を視ていて、中島選手が強いことも分かっています。本当に願ってもない良い相手で」

――お互いにキャリアが長いなかで、今まで絡みはなかったのですか。

「同い年だけど、面識もなかったです。でもずっと試合は視ていました。ソツの無い選手で、総じてレベルが高い。特に打撃が鋭いと思います。もしかしたら一般の方に対しては知名度がないかもしれないけど、MMAを深く見ている方に楽しんでもらえる試合にしたいですね」

――前回の試合から約1年半ぶりとなりますが、ブランクに対する不安はないですか。

「この約1年半の間に、心身ともにリフレッシュできました。痛めていた箇所も治したし、疲弊していた心も回復しました。すごく良い感じでファイトキャンプに取り組むことができています。おかげで今は、『こんなにMMAって楽しかったっけ?』と感じるぐらいですよ。久しぶりに――始めた頃のようにMMAと向き合うことができています」

――それは期待したいです。最後に、次の試合への意気込みをお願いします。

「とにかく良いパフォーマンスを見せたいです。後先を考えて、計算して勝ちに徹する試合は一旦、横に置いておきます。とにかく今のMMAを全身全霊で感じながら、お客さんに楽しんでもらうことが次の試合のテーマです。ありがたいことに、休んでいる間も『いつ試合するの?』『岡田遼の試合が観たい』と言ってくださる方がいました。そんな応援してくれている皆さんに楽しんでもらいたい。そのためには、まずは自分が楽しくないといけないと思っています」

■視聴方法(予定)
9月24日(日)
午後2時00分~ABEMA, U-NEXT, RIZIN100CLUB,RIZIN LIVE,スカパー!

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<フェザー級/5分3R>
クレベル・コイケ(ブラジル)
金原正徳(日本)

<フェザー級/5分3R>
牛久絢太郎(日本)
萩原京平(日本)

<ライト級/5分3R>
スパイク・カーライル(米国)
堀江圭功(日本)

<フェザー級/5分3R>
中原由貴(日本)
白川陸斗(日本)

<フェザー級/5分3R>
摩嶋一整(日本)
横山武司(日本)

<バンタム級/5分3R>
中島太一(日本)
岡田遼(日本)

<ヘビー級/5分3R>
シビサイ頌真(日本)
ヤノス・チューカス(ハンガリーム)

<ヘビー級/5分3R>
スダリオ剛(日本)
トッド・ダフィー(米国)

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福田龍彌(日本)
山本アーセン(日本)

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